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バトルオブフラワーズ⑤〜紡げ、勝利のリズム

#キマイラフューチャー #戦争 #バトルオブフラワーズ #カロリー執事

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●バトルオブフラワーズ⑤~紡げ、勝利のリズム
 キマイラフューチャーの中枢、『システム・フラワーズ』へのメンテナンスルートが開かれた。その結果、キマイラフューチャーが北半球と南半球で豪快にパカッとしたワケだが――。
「割れても何やかんやで大丈夫。凄いですね! ということで早速ですけど、皆さんにお願いがあります。オブリビオン・カロリー執事とリズムゲーム『ギャラクシーミュージック』で戦って、倒してください!」

 カロリー執事とリズムゲームで戦う、とは。

 あのですね、とルル・ミール(賢者の卵・f06050)は補足する。
 『システム・フラワーズ』へ辿り着く為には6つの『ザ・ステージ』を攻略しなくてはならない。その中の1つ、『ザ・ゲームステージ』が今回の戦場だ。
「コンピュータールームみたいな場所ですね。そこにこう、デデンッとおっきなマシンがあります。まずはそこにスマートフォンやタブレットをセットしてください。あ、アプリインストールがまだの人はセット後のインストールでも大丈夫ですよ!」
 セットすると観覧用にプレイ画面がブンッて上に表示されます! とルルは言い、そのリズムゲームで決着をつけない限り、お互いの攻撃が通用しないのだと言い足した。
 カロリー執事もそれを理解しており、到着してすぐや、プレイ中の攻撃は一切ない。電話がかかってくるというアクシデントもないので、安心してプレイ出来る環境となっている。
 収録曲数銀河級、というキャッチコピー通り、『ギャラクシーミュージック』には多数収録されているのだが、ジャンルはクラシックから最近流行りのロック、ポップス、ゲーム主題歌と幅広い。
 難易度はイージー、ノーマル、ハード、エキスパートの4段階。選択後は、上から落ちてくる音符付きの星マークをタイミング良くタップし、スコアを稼ぐ。
 ちなみに公平さの為、カロリー執事も猟兵と同じのものが設定される仕様だ。逆にした場合もまた同じ。
 そして、リズムゲームを嗜んでいるものならばわかるだろう。
 このリズムゲーム(ルビ:戦い)において重要なもの。それは!
「そうです! リズムゲームはタップのタイミング、コンボ数が命です!」
 ルルがぐっと拳を握った。嗜んでいるらしい。
 『ギャラクシーミュージック』ではパーフェクト、グッド、ナイスでスコアが加算されるが、大きく稼げるのは当然パーフェクトだ。パーフェクトを出しながらフルコンボで終えれば、フルコンボボーナスも入ってかなりのスコアを稼げるようになっている。しかしミスをすればスコアは稼げず、フルコンボボーナスも入らない。
「リハーサル機能のない一発勝負なので、凄く緊張するかもしれません……でも、1人じゃありません! みんなで戦えば、きっと勝てます!」
 キマイラフューチャーの未来の為に――紡げ! 勝利のリズム!


東間
 割れてしまいましたね。東間(あずま)です。

 プレイング受付は冒頭場面追加後。
 リズムゲームという仕様から、1人参加推奨です。

●シナリオについて
 まずはカロリー執事とリズムゲームで対戦する事になります。
 ゲーム中の妨害は一切ありません。
 己の持つ技術と精神力が鍵となるでしょう。
 プレイングには「曲」「難易度」「どんな風にリズムゲームをやるか」をお書きください。
 お任せの場合はこちらで設定しますが、「こんな感じ」と指定していただけると助かります。その場合、お客様が不利になるような設定にはなりません。

 全員のリズムゲーム対戦が終わると、カロリー執事との戦闘になります。
 こちらのプレイングも忘れずにお願い致します。

●リズムゲームについて
 『ロックな演歌』『最初から激アツなヒーロー戦隊の主題歌』『鬼譜面のクラシック曲』等々、ご自由に設定していただいてOKですが、版権ものはNGです。

 以上です。
 皆様のご参加、お待ちしております。
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第1章 ボス戦 『カロリー執事』

POW   :    血糖覚醒
【自らの野望の為 】に覚醒して【全身が高カロリーな食べ物】に変身し、戦闘能力が爆発的に増大する。ただし、戦闘終了まで毎秒寿命を削る。
SPD   :    カロリーボム
【口に向けて一日分超の高カロリーな食べ物 】を放ち、自身からレベルm半径内の全員を高威力で無差別攻撃する。
WIZ   :    お食事会
いま戦っている対象に有効な【相手が好みそうな食べ物(カロリー激高) 】(形状は毎回変わる)が召喚される。使い方を理解できれば強い。

イラスト:はちみつモンテ

👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は宇冠・由です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


●ザ・ゲームステージ
「ようこそ。お待ちしておりました」
 空調が効いているのかと思うくらいひやりと涼しいそこで、カロリー執事が礼をする。その傍らにはシンプルな台が1つ。カロリー執事は既にスマートフォンをセットしているようだ。
「どうぞお好きにお選びください。どのような曲であろうと、パーフェクトなステージをお見せしましょう。選べないというのでしたらお任せください。貴方様にあわせた曲と難易度を設定してさしあげます」

 ――何せわたくしは執事でありますから。

 アイスクリームの頭だというのに不遜な笑みが見えるような声。
 しかしカロリー執事はギャラクシーミュージックをスタートして、そのままなのだろう。案内人NPCであるウチュウジン・オンガちゃんの「はぁ~、素敵な音楽を聴きたいなぁ~」というチラッチラッ感溢れる放置ボイスが聞こえてきた。
「…………」
「…………」
 沈黙が流れた後、カロリー執事がバッ! と腕を広げる。
「では始めましょう! 世界に轟く美しき旋律を、いざ!!」
海月・びいどろ
戦いだけれど、…たのしそう
選曲は鬼譜面のジャズピアノ
――難易度はエキスパートで

スマートフォンをセットしたら
横向きに寝かせて、ピアノを弾くみたいに
ゆびさき揃えてミュージック・スタート

この曲ね、おほしさまの歌みたいに
きらきら、ピアノが跳ねるから
たくさん聴いて、耳に残っているの
バーチャルキャラクターの、血が騒ぐ
…というやつ、だよ

軽やかに踊る指先に迷いなく
ふん、ふんと鼻歌うたって
小さな画面にも、この手はよく馴染む

…カロリー執事、キミも、たのしい?
熱くなると、アイス、溶けちゃうね

ゲームを終えたら、頑張った分、脱力気味
消費以上のカロリーは、海月のぬいぐるみで
ぱくんとして、一気にキミにお返し、するよ


ニュイ・ミヴ
曲:チャカポコ音と謎の掛け声が騒がしい不可思議宗教系トキシックEDM
難易度:ノーマル
どんな風に:
あっこの曲なつかしいですと楽しく取り組む
スライム体で触覚複数でぺちぺち、体ゆらゆら
取りこぼしそうになった音符も【バウンドボディ】すごいスピードで伸ばした触覚で、それはもうばるんばるんにタップ!
この曲だとここで音符が落ちてくるのが自然では?と察する第六感もフル稼働――どこからでもかかってきてください!
執事さんの曲もすてきですねぇ
ふふふ

戦闘:
次はおいしさ対決です? おまかせあれ!
【ンヌネノ・ミヴ】で体をぶつけて侵食、よく味わって、味わわせていただきましょう
ちゃんとおいしくいただきますので


※アドリブ他歓迎


アイ・エイド
戦いッつーんなら全力で行かせてもらうぜ!【召喚魔法】!!
ゴーグルかァ…まぁ多分この勝負に有利になるアイテムのはずだから、ちゃんと頭に装備してゲームに挑む!!

ハイスピードな盛り上がる曲で難易度はエキスパートだ!観てろよ!俺様のテクニック!!

ん?コレ本当にエキスパートか?星マークの光ってる時間が長く感じて落ち着いて対応出来るぞ!
…あ!コレ、ゴーグルのスロー効果か!!実際は通常通りめっちゃ速くて手が縺れそうな感じなんだろうが、ゴーグルのおかげでミスる気しねェな!!

戦闘
正直、少食としちゃァ苦手なタイプの怪人だぜ…
よし、心を無にして最高速のメンタリティ・ギャンビットを食らわせてやる!

アドリブお任せ


黒門・玄冬
解った、勝負を受けよう
僕もUDCメカニックである以上、多少の覚えはある

曲:ギターソロを含むロックな演歌
難易度:ハード
外野や茶々は無視して集中
努めて冷静に動きを最小に抑えた効率重視プレイ

勝負を挑んでくる以上執事も相当腕に覚えがあるのだろう
此方の利は一対複数にある
連戦で手元を狂わせるよう運ぶよう仕向けたい
休む間を与えず交代に席へ着く

望むところだ
ゲームに付き合ったからには此方にもお付き合い願おう
高カロリー食…甘いものは食べないのだが
布施ならば頂戴しよう

『だまし討ち』『見切り』『スライディング』『カウンター』
を活用し灰燼券で戦う
二度目になるが一対複数だ
この状況であれば間合いを詰める機会は充分にある


嘉三津・茘繼
お食事会だって…!
大歓迎だね、その前にゲームするの?

ふっふっふっ、いいよー。
僕、こうみえてこの手のゲーム結構やりこんでるからねー。

曲は近代管弦楽の難曲を指定
難易度はエキスパート
ブラックタールの身体を変形させ
分けた触手でリズミカルにボタンをヒットする
このバラバラの不協和音の感じがぞわぞわして好きでねー
完ペキ頭に入ってるから自然と体も動くよね
え?ズル?
…二本手限定のルールないし、いいんじゃない?
奥の手は【ハッキング】があるけど
本当のズルとはこういうことをいうのさー♪

泣くも嗤うも決着がついたら此方も決着をつけよう
執事くん、君とのゲーム楽しかったよ

たっぷり、たーんと、
僕に御馳走してくれるよね?



●『インフェルノ』
 カロリー執事の宣言へ向けられたのは、ほのかに青散らした紫眼。
「解った、勝負を受けよう」
 真っ先にマシンへ向かった黒門・玄冬(冬鴉・f03332)の足取りに迷いはない。
 なぜなら己はUDCメカニック。多少の覚えはある。
 マシンにセットした瞬間、頭上からヴンッ、と低めのノイズ音。浮かび上がったビジョン――眩しい七色銀河を背景にしたロゴが表示され、テクノポップな曲と共にロゴの右から左へ光が走った。
 玄冬はスタート画面をタップし、メイン画面からライヴ画面へ。さくさくと移っていく過程でメイン画面にいたオンガちゃんが何か言いかけていたが、それは――。
「ほう! この曲はわたくしのオススメですよ!」
 カロリー執事の楽しげな声と同様、玄冬の意識に割り込む事はない。
 3、2、1。
 カウントが終わった瞬間、薄暗かった画面は満月浮かぶ夜空に変わり、上から音符浮かべた星が降ってくる。タイミング合わせタップした瞬間に始まったピアノの儚げな旋律が、ライブスタートの合図。
 はらはら散る桜のような音色に男の歌声が重なる。何かを想い、求めるが、許されない。その苦しみと『欲しい』と願う心は詩と共に激しさを増し、燃えるようなギターソロに合わせ、繋がった星も端から端まで一気に流れたと思えば、同じ速度で戻っていく。
 それを綺麗になぞる画面は、2つ。
 七色に光って重なる『PERFECT』の文字。
 凄まじい勢いで増えていくコンボ数とスコア。
 満月だけだった夜空は煌めく桜吹雪も舞い、歌声とギターは激情を紡ぎながら最高潮へ。一気に駆け抜けて――ぽろん、と一音。ピアノが最後の音を奏でた時、画面は暗転しスコア画面に切り替わった。
「素晴らしい! わたくしも貴方様もフルコンボ!!」
 カロリー執事の拍手が大きく響いた。
 玄冬とカロリー執事の結果は、PERFECTとGOODに若干の差があり、下3桁が僅かに違うという、『ほぼ互角』。玄冬はそれを見てすぐマシンから離れ、戻っていった。
(「向こうも相当腕に覚えがあるのだろう。だが、此方の利は一対複数にある」)
 休む間も与えず対戦させ続ければ、その影響は――。

●『Burst!!』
「次はオレが行かせてもらうぜ!」
 長い髪を翻してマシンの前へ立ったアイ・エイド(腐れ人狼・f10621)は、その青い目を輝かす。
 戦いであるならば、全力で!
 起こした召喚魔法にカロリー執事が一瞬構える仕草を見せるが、アイの手元に現れた物を見ると、スッと構えを解いた。
「ゴーグルでございますか。他の方も、必要でしたら何かしら身に付けられても構いませんので」
 何でゴーグル、とアイは密かに考えるが、現れたという事はこの勝負を有利に運んでくれるアイテムの筈だ。多分、と思いつつ頭に装備する。
「曲はこいつだ。観てろよ! 俺様のテクニック!!」
「ええ、楽しませていただきましょう」
 静寂が存在したのは画面に『3、2、1』とカウントが表示されていた時のみ。
 ひゅるーん、と落ちてきた星ひとつ。と思った次の瞬間、そこから繋がる続く星の数に周りがざわついた。僅かに息をつく暇も与えない、そんな数の星が一気に降ってくる。
 だがカロリー執事はプレイ済みなのか、慌てる様子もなくハイスピードな旋律を紡ぎ、スコアをガンガン稼いでいた。それはアイも同じ、なのだが。
(「ん? コレ本当にエキスパートか?」)
 落ちてくる星の速度が随分と『落ち着いている』ので、難易度の割にプレッシャーが低い。不思議に思いながらタップ、長押し、同時押しとコンボを稼いで――気付く。
(「コレ、ゴーグルのスロー効果か!!」)
 そう。手がもつれそうな譜面に見えているのは、カロリー執事と勝負を見守る猟兵のみ。
 これがマシンそのものに作用していれば、カロリー執事が「チートは悪しき行い!」と叫んで敗北したかもしれないが、アイの視覚にのみ作用している為セーフである。
 始まりから終わりまで、アクション映画のカーチェイス並に突っ走った曲は熱く震えるギターの音色で終わりを向かえた。カロリー執事がふう、と息を吐く。
「少々曲に引きずられてしまったようですね……お見事です。素直に讃えましょう」
「そっちもなかなかのスコアじゃねェか!」
 全てパーフェクトで終えたアイはカロリー執事に背を向け、次の猟兵に笑顔でバトンタッチ。

●『世廻<セカイ>』
 曲選択画面で中央に来ていた曲のサビが流れる。
 そこに重なるぺちぺち音。どれにしましょうか、と体揺らすニュイ・ミヴ(新約・f02077)の翼めいた触角が、とある曲が表示された瞬間、ぴん! と伸びた。
「あっこの曲なつかしいです」
「おやおや! 色々な意味で神曲といわれたものをお選びになりましたね!」
 楽しそうに両手の指をわきわきさせて解すカロリー執事に、ニュイも「ふふふ」と複数の触角を踊らせて『NORMAL』を、ぺち。
 3、2、1。
 画面に旭日が浮かび上がり、落ちてきた星を長押しすればプァーーー、と雅楽思わす音。ひとつふたつと交互に落ちてきた星からは鈴の音がシャンシャン鳴り響き、追加でやって来た星からはシンセサイザーの音。更に。
『アーァアー、ポコンザポコンザ』
 意味がわからないのに、神聖な歌声の直後に入る謎の掛け声。
 画面では金色の旭日がゆったりくるくる回り続け、チャカポコシャンシャンポコンザポコンザと騒がしい。――だというのに、全てが見事に重なった不可思議宗教系トキシックEDMがステージを支配する。
 軽く体を揺らしリズムを取るカロリー執事の向かいでは、星屑抱えたようなニュイのスライム体もゆらゆらり。複数の触角をぺちぺちと駆使して、取りこぼしそうになったお星様に気付けば、びゅんっと触角伸ばして『PERFECT』。
 心に馴染んだ曲だからこそ「ここで落ちてくるのが自然では?」という予想が当たり、ばるんばるんにタップするニュイのコンボは途切れず繋がっていく。
「ふふ! このように心躍るノーマルは久しぶりでございます」
「執事さんもすてきですねぇ。ふふふ」
『ポコンザポコンザ』
 シャン! シャン、シャン!!
 〆は謎の掛け声と鈴の音。
 観客向けのヴィジョンでは、2つの『FULL COMBO』が燦然と輝いていた。

●『交響幻想曲-無色-』
 お食事会と聞いて馳せ参じた嘉三津・茘繼(悪食・f14236)の眼差しは、次の猟兵を待つカロリー執事――の、頭へと。大歓迎のようだ。しかしその前にゲームをしなければいけないらしい。
「自信がないのでしたらイージーでも構いませんよ?」
「ふっふっふっ、いいよー。僕、こうみえてこの手のゲーム結構やりこんでるからねー」
 にゅるん、とマシンの前へ滑るように移動し慣れた手で画面を操作。
 お目当ての曲までスワイプし続け、はいこれねーとタップして当たり前のように『EXPERT』をタップ。ぞぶりと変形させた身体からは、複数の触手を伸ばし画面に寄せて――3、2、1――アコーディオンの旋律は連なり落ちる星の流れに。ジグザグ描いたその直後、ドラムに合わせ右に左にと次々星が落ちてくる。そこにバラバラの不協和音が重なれば、茘繼の心がぞわぞわ踊った。
 音の移り変わりと見える譜面は、初挑戦であれば混乱を覚え、ミスを招いただろう。しかし茘繼の頭には茘繼に入っていた。体――幾つもの触手が自然と動く。
 タップで使っていいのは2本の手だけ、というルールが無いのは、先に挑戦した猟兵で証明済み。チート行為や妨害行為でなければそのまま進行するようだ。だが、茘繼は『奥の手』も持っている。
(「ま、本当のズルをする必要はなさそうかなー」)
 顔は画面に向けたままだが、ステージに響く2つの管弦楽曲――その片方、カロリー執事のコンボ音が一瞬途切れたのを、茘繼の耳は聞き逃さなかった。

●『Mischief Star』
「少々暑くなってまいりましたね。ですが舞台はまだまだ! さあ、お好きな曲を!」
「……うん」
 ネクタイを弛めパタパタ扇ぐカロリー執事に促され、海月・びいどろ(ほしづくよ・f11200)はギャラクシーミュージックの曲選択画面を見つめる。曲を映すプリズムの瞳は静かに、きらきら。指を止め、タップして。
「ほう」
 カロリー執事が感嘆の声を零した。
 ヴィジョンには『EXPERT』の文字。選択画面で流れるサビのメロディからして、この曲の譜面は間違いなく鬼レベルだと初見でもわかる曲だった。しかし、スマートフォンを横向きにセットしたびいどろは指先を揃え、静かに時を待つ。そして、沢山の星が見えればジャズタイムの始まり。
(「おほしさまの、歌みたい」)
 跳ねるピアノの音。きらきら降る星々。
 たくさんたくさん聴いたから、耳に残っている。その時の感覚は――そう。バーチャルキャラクターの血が騒ぐ、というやつ。
 きらきら輝き、ころころ跳ね回る星の旋律を紡ぐ指先は軽やかに、踊るように。ふん、ふんと鼻歌交えるびいどろの手は、小さな画面にもよく馴染む。
 降る星が途切れ、消えれば、小さなジャズピアニストの舞台もそこでお終い。ふ、と息を吐いたびいどろはくたりと両手を下ろし、向かいで同じように息を吐いたカロリー執事をぼんやり見る。
「キミも、たのしい?」
「ええ、とても!」
「……じゃあ。熱くなると、アイス、溶けちゃうね」
「おっと、左様でございますね。温度を下げたい所ですが……アレを見てもこの熱は下がらないでしょう」
 猟兵側のヴィジョンには『WIN』。カロリー執事側には『LOSE』の文字。


●FINAL LIVE
 マシンから離れたカロリー執事はネクタイをきちっと締め、1歩、2歩。
「熱が冷めないのならば、ここはもう一勝負と行くのが最良かと。如何です?」
 いいよと笑う声は迫り来る獣の頭蓋から。
「執事くん、君とのゲーム楽しかったよ。たっぷり、たーんと、僕に御馳走してくれるよね?」
「無論です。おもてなしも執事の役目ですのでね」
 茘繼に答えたカロリー執事の体が変わる。頭はアイスのまま。しかし一気に漂ったこの香りは――。
「クッキーとドーナツかな?」
「ご名答!」
 茘繼とカロリー執事が激突したそこに玄冬が突っ込んだ。まず一撃、と見せかけ、反応したカロリー執事の銀トレイを躱し、至近距離にあった腹へ拳を叩き込む。
「ぐうぅッ……! どうやらカロリーが足りなかったようですね!」
 更に増した甘い香り。嗅ぎ慣れないそれに、玄冬の眉間に僅かな皺が生まれた。
(「布施ならば頂戴するか」)
 ギャラクシーミュージック対決と変わらず、一対複数の戦い。一発見舞った直後をアイが繋ぐ。カロリー執事は小食党のアイからすると正直苦手なタイプだが、少しばかり心を無にすれば、攻撃くらいお茶の子さいさいだ。
 翔た速度は一瞬。最高速で放たれたダガーはカロリー執事の腕に深く刺さる。
「こちらをどうぞ。リズムゲームは頭を使います、糖分の摂取をなさってください」
 ぼっ! と全方位に放たれたのはバタークリームの花で縁取られたギャラクシーカラーのホールケーキ。きんきらギラギラとした存在感の中に詰まったカロリーは、計測した瞬間ダイエッターを卒倒させる事間違いなし。だが、濃厚な香りにざぶーんと翼めいたタールが躍り込む。
「おいしさ対決ですね? おまかせあれ!」
 ちゃんと美味しく頂く事にかけてニュイは自信有り。ばくんと『口を開けて』ギャラクシーなケーキを頂いたら、今度はカロリー執事の傷口から内へ、内へ。甘い香りも味もよく『味わって』いく。
「ぬわああぁぁ!! なんと! なんという!!」
 カロリー執事が叫び、のたうち回る。ギャラクシーミュージック対決に使用していたマシンに激突し、んがっと呻いたその頭上。ぽわん、と現れたのは色彩揺らす海月のぬいぐるみ。
「キミに、お返し」
 それは鬼譜面を見事弾き終えた分、くたりと力を抜いていたびいどろからのもの。
 は、と気付いたカロリー執事の全身は、ぱくんっと海月の中に沈んで――帰らない。

 ギャラクシーミュージック。
 本日のステージは、これにて終了。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2019年05月05日


挿絵イラスト