2
バトルオブフラワーズ⑧〜ナワバリをカラフルに塗り潰せ

#キマイラフューチャー #戦争 #バトルオブフラワーズ

タグの編集

 現在は作者のみ編集可能です。
 🔒公式タグは編集できません。

🔒
#キマイラフューチャー
🔒
#戦争
🔒
#バトルオブフラワーズ


0




「緊急事態だ。キマイラフューチャーで途方もない事件が起きた」
 猟兵がグリモアベースに集まると、バルモア・グレンブレア(人間の戦場傭兵・f02136)がすぐさま急ぎの任務だと説明に入る。
「先のテレビウム達を救援しようとしたところ、キマイラフューチャーが真っ二つに割れてしまった。そしてシステム・フラワーズを占領しているオブリビオン・フォーミュラ『ドン・フリーダム』の存在が明らかとなった。その為ドン・フリーダムを討伐し、キマイラフューチャーを救う為の戦争が開始される」
 急な事だがすぐさま戦力を送らなくてはならない。
「ドン・フリーダムの元に辿り着くにはまず幾つもあるステージを攻略しなくてはならない。諸君にはその一つペイントステージに挑んでもらいたい」
 名前を聞くと塗料が関係あるステージなのかと頭に浮かぶ。
「そのステージは特殊なルールに支配されている空間で、形状は普通の街の姿をしているが、壁や床が全て『闇のような黒色』に塗り固められている」
 見渡す限り光も吸い尽くすような真っ黒な街並みが広がっている。
「その空間では猟兵のユーベルコードはオブリビオンに効かない。そして敵の攻撃だけがこちらへ通じるという一方的な戦闘になってしまう」
 猟兵のみユーベルコードでダメージを与えられない圧倒的不利な敵の縄張りとなっている。
「だがユーベルコードで壁や床を攻撃すると、自分の好きな色で黒を上塗りすることができる。一定以上の範囲を塗り潰すと、一度だけ本来のユーベルコードでオブリビオンへ攻撃することが可能となる」
 周囲の真っ黒な空間を減らす事でユーベルコードへの制限が一時的に解除されるのだ。
「一度だけの本来のユーベルコードを攻撃ではなく、広範囲を一気に塗り潰すスーパー塗り潰し攻撃という特殊攻撃にすることも出来る。マップの3分の2以上が猟兵によって塗り潰されると、ステージの特殊効果が無くなり、無制限に本来のユーベルコードが使用できるようになり、一気に決着を着ける事が可能だ」
 一度の攻撃でオブリビオンを削っていくか、戦いよりも先に塗り潰してしまうのか、どちらかに集中した方が早く決着が着くだろう。
「どうにも塗り絵のようで緊張感の無い戦いになりそうだが、キマイラフューチャーの未来が決まる戦いの始まりとなる。全力で臨んでもらいたい」
 バルモアの言葉に頷き、キマイラフューチャーを救おうと猟兵は急ぎ黒いステージに向かった。


天木一
 こんにちは天木一です。黒いステージを好き勝手に塗り潰しちゃいましょう!

 キマイラフューチャーでの戦争です。ステージに『ヌリツブシバトル』という特殊効果があり、壁や床に色塗りを先にしないと攻撃が通じません。ですのでまずは敵の攻撃を避けながらスプラッシュを楽しんでください。

 戦争の勝利に向けてがんばってください!
196




第1章 ボス戦 『マルチプル・アースムーバー』

POW   :    タイヘン キケンデスノデ チカヅカナイデクダサイ
【放り投げた瓦礫や、ドリルの一撃など】が命中した対象にダメージを与えるが、外れても地形【を塗りつぶし】、その上に立つ自身の戦闘力を高める。
SPD   :    シャリョウガ トオリマス ゴチュウイクダサイ
【ブルドーザー形態による猛烈突進攻撃】を発動する。超高速連続攻撃が可能だが、回避されても中止できない。
WIZ   :    ゴメイワクヲ オカケシテオリマス
【排気マフラー】から【環境に厳しい有害物質たっぷりの黒煙】を放ち、【強烈な粘膜刺激と視界の悪化】により対象の動きを一時的に封じる。

イラスト:おおゆき

👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠グァンデ・アォです。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

宇冠・由
お母様(f00173)と参加

相手も塗りつぶしの効果を持つ以上、ダメージが与えられなくともある程度動きを封じる必要がありそうですね

私は他の方のサポートと敵の妨害に専念します
【七草仏ノ座】にて20Mの大鬼に変化
その巨躯で目立ち敵を引きつけ、その怪力で動きを封じ込めます
「他の方の邪魔はさせません!」
相手の攻撃や投擲を一身にかばい、皆様の塗った地形が上塗りされないように立ち回りますわ

同時に大鬼の姿は全身がユーベルコードそのもの、その足跡、燃える表皮に触れた個所、全てが待ちへの塗りつぶし対象です

街が塗り終わって相手に攻撃が通るようになれば、私は邪魔なので手早く仮面の姿に戻って回避


宇冠・龍
由(f01211)と参加

街を自分色に染める、ですか。ふふっ、なんだか童心に返ったかのよう
いえいえいけません、キマイラフューチャーの未来がかかっているのですから

由が一時的にでも相手の動きを封じてくれている間、少しでも多くの面を塗りつぶしましょう
【竜逢比干】で夫の霊を召喚
その氷の息吹による広範囲攻撃を、私の持つ氷風の槍から発する風ででさらに拡大、一気に色を塗り替えます

そして私たち夫婦はドラゴニアン。翼による飛行で色んな家屋にあがっては、そこから地上に向けての広範囲の冷気放射を繰り返し、黒色を一掃していきます

娘が頑張ってるんですもの、親がその頑張りを無駄にするわけにはいきません


白波・柾
ヌリツブシバトル……か
俺はひたすら壁や床を攻撃して色を塗っていこう
色は選べるのならば赤みを帯びたオレンジ色で

「目立たない」を使って敵の意識を自分からそらし
「オーラ防御」を利用した「シールドバッシュ」で敵の攻撃を防ぎ時には前に出つつ
「なぎ払い」「怪力」「破壊工作」「咄嗟の一撃」「敵を盾にする」など
各種技能を活用しつつ、ひたすら壁や床を塗っていこう

一度だけ敵に攻撃できるようになったときは、敵に攻撃を行わず
「フェイント」も利用して壁や床の塗りつぶしに専念していきたい


須藤・莉亜
「ふむふむ、ユーベルコードでの攻撃で塗れるのか。」
あれ、これ腐蝕竜さんに頼めば楽に塗れるんじゃ…。よし、試してみよう。

眷属の腐蝕竜さんを召喚、その巨体を活かして派手に暴れてもらおう。
彼には上空からのボディプレス、尻尾でのなぎ払い、爪での引っ掻きなんかで攻撃して塗ってってもらおうかな。あ、塗る色は紫が良いな。
僕は腐蝕竜さんに乗って、見張りでもしときます。

敵さんに見つかったら、空へ逃げて他の場所を塗りに行こう。
何故だろう、先に全部塗らないといけな気がするんだよね。敵さんは後、血も吸えなさそうだしね。

攻撃する時は僕は腐蝕竜さんの上から血をあげて強化したLadyで狙撃。腐蝕竜さんの攻撃に合わせとこう。


天道・あや
塗り絵勝負かー、…なんだか世界の危機って感じしないけど…やるからには全力で塗っていくぞー!

【見切り】で敵の攻撃を避けつつ【ダッシュ】で【想いの乗った重い一撃セカンド!どっかーーん!】を使って壁や床をあたし色(赤)に染め上げる!
それで一定以上染めたら一気に蹴りをつけるために【サンダー!ミュージック】で発動させて一気に敵を倒す!

世界を変えるのは自分の次第!自分のしたい色で世界を塗り尽くすぞーー!


ゼー・ヴォーダ
すっげー、なんだこれ天地も建物もぐるっと真っ黒だ。
黒も好きだけどこんなに真っ黒じゃダメダメだっての。俺がキレーに青くしてやるよ。海みたいになっ!

◆戦闘
ここらは俺のフィールドだ!ってことでまずは足元から【S・S・S】で塗り潰し。
自分で塗った青の上を走りながらとにかくそこら中攻撃しまくって、黒を青に塗り替えることに集中!
敵からの攻撃は防御か回避狙いで。

「一度だけの本来のユーベルコード」はスーパー塗り潰し攻撃に使う!
なんたって【S・S・S】は、スーパー・スプーキー・スプラッシュ!の略だからな。スーパー繋がりでスーパー塗り潰しに使うのが絶対イイと思うんだって!


イサナ・ノーマンズランド
・SPD
【スナイパー】【目立たない】【早業】【迷彩】【範囲攻撃】
スプラチャーj……もとい狙撃銃を使って遠距離からまっくろ空間を蛍光グリーンに染め上げながらあちこち動き回ってナワバリを拡げていく。
移動時はダンボール箱をかぶってステルス!
ある程度塗りたくったらスペシャルウェp……ユーベルコードで駄目押しのスーパー塗りつぶし攻撃。おもいきりジャンプしてどすーん、と着地する勢いで広範囲にペンキをぶちまける。

「……なんだかふだんとは勝手がちがうけど、なんだかんだやることはたいさないね」
「だいじょうぶ、ルールはなんとなくおぼえた!」
「まんめんみー!」

他猟兵さまとの絡みやアドリブなど、大歓迎でございます



●黒い街を塗りつぶせ
「ヌリツブシバトル……か」
 白波・柾(スターブレイカー・f05809)は黒い街に足を踏み入れ、こちらのユーベルコードへの干渉を肌で感じ取る。そして大太刀を近くの家に向けて一閃した。すると黒い壁は壊れず、赤みを帯びたオレンジ色で一直線に染められた。
「なるほど……地形への攻撃がペイントのようになる訳か」
 試してみて柾は大きな筆で描くようなものかとコツを掴む。
「俺はひたすら壁や床を攻撃して色を塗っていこう」
 気配を消して目立たぬように動き、柾は敵の死角となる場所で大太刀を振るいオレンジに建物や床を染めていく。
『オレンジイロガハッセイシテイマス サクテキ サクテキ』
 黒く染まった街が色づき、侵入した猟兵に気付いた重機をロボットにしたようなオブリビオン『マルチプル・アースムーバー』が、3m程の巨体を揺らしドシンドシンと振動を響かせながら向かって来る。
「気付かれはしたが、まだ見つかってはいないようだな」
 建物の陰に隠れながら柾はオレンジに周囲を塗りつぶしていく。すると重機ロボが寝そべってキャタピラーでの機動を始めた。建物を体当たりで破壊しながら重機ロボが飛び出してきた。
「ハッケン ハッケン シンニュウシャヲハイジョシマス」
 重機ロボが瓦礫を次々と投げ飛ばしてくる。
「見つかったか、だがまともにやり合うつもりはない」
 柾はオーラを集中して盾のように前方に展開し、瓦礫を防ぎながらまた建物に隠れ、敵を翻弄しながら大太刀を振るい周囲を塗りつけていく。

「すっげー、なんだこれ天地も建物もぐるっと真っ黒だ」
 ゼー・ヴォーダ(インザディープ・f17845)はキョロキョロと周囲を見渡し、墨で塗りつぶしたような真っ黒な街並みに目を丸くする。
「黒も好きだけどこんなに真っ黒じゃダメダメだっての。俺がキレーに青くしてやるよ。海みたいになっ!」
 ゼーの足元に水が広がり、透明感ある青に塗りつぶしていく。
『シンニュウシャヲハイジョシマス』
 重機ロボがゼーに気付き、黒煙を上げながら突っ込んで来る。
「来たな! どっちが上手く街を塗れるか勝負だ!」
 飛び退いて躱したゼーの足元がまた青く染まる。
『クロクヌリツブシマス ゴチュウイヲ』
 重機ロボがドリルと突き出す。それをゼーは液体の体を崩して回避し、ぬるりと移動しながら地面を青に染める。
「ここらは俺のフィールドだ!」
 ゼーの液体の体が触れるだけで周囲を青へと変えていく。
『ココハワタシノナワバリデス ゴタイジョウネガイマス』
 有害物質たっぷりの黒煙が立ち込め、ゼーの体を侵食してくる。
「流石に一カ所に留まって戦うのは危ないなっ」
 慌ててゼーは移動を開始し、地面を塗りながら黒煙の範囲から逃れる。

「街を自分色に染める、ですか。ふふっ、なんだか童心に返ったかのよう
いえいえいけません、キマイラフューチャーの未来がかかっているのですから」
 子供の頃を思い出すと、宇冠・龍(過去に生きる未亡人・f00173)は黒く塗られた街並みを見渡す。
「相手も塗りつぶしの効果を持つ以上、ダメージが与えられなくともある程度動きを封じる必要がありそうですね。お母様に塗るのはお任せします」
 その隣に立った宇冠・由(宙に浮く焔盾・f01211)は、仲間が戦い易いように敵の妨害に専念しようと動き出す。
「ではお願いしますね由。その間に少しでも多くの面を塗りつぶすとしましょう」
 その背中に声をかけた龍は、早速色塗りに取り掛かろうと、竜型ドラゴニアンの夫の霊を呼び出し、その口から放つ氷の息吹で周囲の黒を青白く塗りつぶしていく。
「私たち夫婦の共同作業です」
 そして龍が青白い槍を振るい、纏う風が吹き抜け息吹が広がってさらに青白い範囲が拡大する。
『ココハ タチイリ キンシデス』
 重機ロボが龍を見つけ、壊れた瓦礫を拾い上げて投げながら接近してくる。龍は攻撃の手を止めてそれを回避した。
「お母様の邪魔はさせません!」
 由の炎の体が巨大化し、重機ロボの背丈を越えてまだまだ大きくなり、20mの大鬼となってゆく手を阻む。
『シンニュウシャヲ ハイジョシマス』
 その巨躯を見上げた重機ロボは、怯むことなく腕の先端のドリルを回転させて突撃する。
「こちらの方が大きさもリーチも上です、そんな攻撃は届きません」
 それを手を伸ばして肩を押さえつけ、由が全力で力を込めて動きを封じる。
「娘が頑張ってるんですもの、親がその頑張りを無駄にするわけにはいきません」
 その間に龍は夫の霊と共に翼を広げて飛翔し、黒い街を見下ろす。そして夫の氷のブレスに合わせて槍から風を放ち、地上の黒い街にキラキラと輝く氷の結晶が降り注ぎ一気に青白に染めていく。

「塗り絵勝負かー、……なんだか世界の危機って感じしないけど……やるからには全力で塗っていくぞー!」
 子供の遊びのようなほのぼのした空気を感じながらも、天道・あや(駆け出し猟兵・f12190)は元気にインラインスケートで駆け出す。
『シンニュウシャヘケイコク ココハタチイリキンシデス』
 重機ロボが排気マフラーから黒い煙を吐き出し視界を覆う。
「そんな黒い煙なんて吹き飛ばす!」
 あやは黒の指抜きグローブを嵌めた拳を握ると速度を上げてパンチを放って黒煙を突破し、その勢いのまま建物の壁にパンチを当てた。
「そしてあたし色に染め上げる!」
 パンチが直撃すると、真っ赤な色が広がり建物が一瞬にして染まった。
「世界を変えるのは自分次第! 自分のしたい色で世界を塗り尽くすぞーー!」
 ハイテンションであやは駆け抜け、敵を無視して次々と建物をパンチで赤くする。
『ラクガキキンシデス タダチニヤメナサイ サモナイトコウソクシマス』
 重機ロボがその後ろを追いかけるが、あやは踊るように回避して足元のインラインスケートの跡が赤いラインとなって描かれる。
「捕まえられるものなら捕まえてみなよ!」
 あやは建物を滑るように駆け上がり、屋根から屋根へと飛んで逃れ、建物の上部を赤く染めながら敵の手が届かぬ位置で塗りつぶす。
『コノナワバリハ クロイロデス アカハキンシデス』
 ブルドーザー形態となった重機ロボが家に突っ込み、破壊しながらあやを追跡する。足場が壊れるよりも早くあやは次の屋根に跳んで敵の視界から消えた。

「……なんだかふだんとは勝手がちがうけど、なんだかんだやることはたいさないね」
 イサナ・ノーマンズランド(ウェイストランド・ワンダラー・f01589)はいつも通りにスナイパーライフルを構え、引き金を引いて弾丸を発射する。いつもと違うのは、その弾丸が敵や物を破壊するのではなく、インクのようにびちゃっと建物を蛍光グリーンに染めたことだった。
「ペイント弾をうってるようなものだよね。うん、だいじょうぶ、ルールはなんとなくおぼえた!」」
 とりあえず撃ちまくって蛍光グリーンに地形を染めればいいのだと、見える範囲に弾丸をばら撒いていく。
『ココハシャゲキジョウデハアリマセン ゴタイシュツヲネガイマス』
 警告音と共に重機ロボが発射元を探しにやって来る。
「こっちからこうげきできないんだったよね。それならみつからないようにうごくよ。かくれるのはとくいだからね!」
 イサナはすぽっと小柄な体をみかんの段ボールで覆い姿を隠す。建物を曲がり重機ロボが周囲を見渡す。だがそこには何もなく、段ボールだけが置かれていた。
『シンニュウシャロスト、ソウサクヲカイシシマス』
 猟兵を発見できなかった重機ロボがそのまま通過して行ってしまう。
「ふーあぶないあぶない、でもこのままかくれてうごけばあんぜんだね」
 イサナは段ボールを被ったままこそこそと移動を始めた。

「ふむふむ、ユーベルコードでの攻撃で塗れるのか」
 仲間の様子を見ていた須藤・莉亜(メランコリッパー・f00277)がこくこくと頷き、ふと閃く。
「あれ、これ腐蝕竜さんに頼めば楽に塗れるんじゃ……。よし、試してみよう」
 思いついたら即実行と、莉亜は40m近い腐蝕竜を召喚する。
「腐蝕竜さん、好きに暴れちゃってくださいね。あ、塗る色は紫でお願い」
 莉亜がその背に乗っかると腐蝕竜は空に飛び上がり、落下して街に巨体によるボディプレスを叩き込む。ドーンと衝撃で大地が揺れ、下敷きになった建物や地面が紫色に染まった。
「よしよし、想像通りにくっきり腐蝕竜さんスタンプが押せたよ。この調子でどんどんいってみよー」
 莉亜が腐蝕竜の背中をぽんぽんと叩くと、それを合図に腐蝕竜が尻尾で周囲を薙ぎ払う。すると周囲の建物に横にべったりと紫のペンキが施された。さらに爪で引き裂くように紫の線で黒を上塗りしていく。
『アンノウンヲハッケン ハイジョシマス』
 巨大な竜を発見した重機ロボがガシャンガシャンとやってくる。
「あ、腐蝕竜さん。後ろから敵さんがやってくるみたいだから、他の場所を塗りに行こう」
 莉亜が呼びかけると、腐蝕竜は空へ飛び上がり、敵から離れるように移動を始めた。


●カラフルに染まる
『ココハ ラクガキキンシデス』
 重機ロボは龍を見上げ、掴んでいる由を軽々と振り払い、瓦礫を投げつける。
「お母様はわたくしが守ってみせますわ!」
 間に入った由が瓦礫を大きな手で受け止める。だが思った以上の衝撃を受けて由は尻餅をついた。
「やりますわね。ですがこの全身がユーベルコードそのもの、つまりわたくしのお尻だって地面を塗ることができるのですわ」
 お尻の形に地面が炎のような赤で塗られ、先ほど歩いていた足跡も、起き上がろうと手をついた場所もべったりと赤いインクを塗ったように染まっていた。
『ケイコク ラクガキヲヤメテクダサイ ヤメナケレバ キョウセイハイジョシマス』
 重機ロボが由にドリルを打ち込み、足の炎を散らした。バランスを崩し由が前に倒れる。
「言ったはずですわ、わたくしの全てがユーベルコードであると」
 由の巨体が地面にぶつかると、20mの広範囲がべったりと赤に塗りつぶされた。
「由が活躍しているみたいね。私たちも頑張らないといけません」
 娘にばかり負担はかけさせられないと、龍はビルの上に立ち夫の放つブレスに合わせ、槍を一閃して風を渦巻かせ、周囲を青白へと染めゆく。
『ハイジョ ハイジョ クロクヌリツブシマス』
 排気マフラーから黒煙が噴き出される。その刺激たっぷりの有害ガスが周囲に立ち込め色を黒く染めていく。
「流石に街を塗りつぶしただけの事はありますが、私たちの塗るペースの方が上です」
 竜の氷のブレスと、龍が連続突きでブレスを遠くまで飛ばし、黒の上から地面を青白に塗りたくる。そうして周囲に黒よりも青白が多くなると、ユーベルコードの力が僅かな間戻る。
『トクシュコウカムコウチュウ キケン キケン』
 先に攻撃して止めようと、排気ガスを撒き散らし龍を包み込もうとする。
「お母様たちの邪魔はさせませんわ」
 そこへ割って入った由は自らの巨体でガスを受け止め、咳込みながらもこの先には行かせないと相手の邪魔をする。
「このまま一気に黒を一掃してしまいましょう」
 空から龍が槍を連続で突き、その度に吹き抜ける風が竜のブレスを真っ直ぐに飛ばし、ビルも地面も青白く塗り替えた。
「しかしよくこれだけ広い範囲を黒く塗ったものだ」
 敵に見つからぬよう柾がオレンジに塗り続けているが、見渡せばまだまだ黒いエリアは多い。
『シンニュウシャ シンニュウシャ クロニヌリツブシマス』
 そこへ重機ロボが駆け寄り、周囲を黒くしながら接近する。
「そろそろ一気に塗りつぶすとするか」
 オレンジのエリアの割合が増え、ユーベルコードへの干渉を一時的に解除した柾は、敵に攻撃するとみせかけ防御態勢を取らせ、方向を変えて大太刀を一閃。邪魔される事なく放たれる斬撃は放射状にオレンジを放ち、街並みを一気にカラフルに染め上げた。
『ラクガキハユルシマセン』
「先に黒く落書きしたのはそちらだと思うがな」
 重機ロボが突進してくると、柾はオーラの盾で直撃を避けながら横に飛び退き、そのまま駆け出して敵から離れながら大太刀を薙ぎ払って周囲を塗りつぶす事に専念する。
『シンニュウシャトウボウ シンニュウシャヲツイセキシマス』
 ブルドーザー形態の重機ロボが建物を崩しながら真っ直ぐに柾へと迫る。
「自分の縄張りを主張するのに破壊するとは、ヌリツブシバトルでは邪道だな」
 跳躍した柾は敵の上に乗って、移動しながら大太刀を周囲に振るう。
「これは楽でいい」
 乗り物気分で柾が大太刀を振るっていると、下からドリルが突き上げられた。それを跳び退いて躱し空中でも大太刀を振るい続ける。

「何故だろう、先に全部塗らないといけな気がするんだよね。だから敵さんは後、血も吸えなさそうだしね」
 血ではなくオイルが流れてそうな敵では興味を引かないと、莉亜は敵から離れた位置でそろそろいいかと騎乗する腐蝕竜に合図を送る。腐蝕竜は落下し、ボディプレスでまた竜の形に地面や建物を紫に塗りつぶした。
「こうしていればあっという間に黒を塗りつぶせそうだね」
 腐蝕竜が尻尾で周囲を薙ぎ払い紫に塗りたくり、莉亜が竜に乗った高い位置から周囲を見渡せば、あちこちでカラフルなペンキに街が染まっているのが見える。
「よーし、イイ感じに青くなってきた!」
 家を青く塗ったゼーは上から見下ろし、周辺が綺麗に青に染まっているのを確認して満足そうに頷く。
「この調子で俺のフィールドを広げていくとするか!」
 青い地面に飛び降り、ゼーはさらに広範囲に青のペンキを広げよとする。
『ココデノラクガキハ キンシサレテオリマス』
 そこへブルドーザー形態の重機ロボが突進してくる。ゼーは体を崩して重機ロボの股下を潜り、背後へと逃れた。
「ここはお前の街じゃないだろ、なら俺が好きに塗るのも自由だ!」
 周囲が青く染まりゼーの体に本来のユーベルコードの力が一時的に戻る。
「だから俺の好きな海のように青く染めてやる!」
 ゼーの足元から水が広がっていく。
「スーパー・スプーキー・スプラッシュ!」
 広大な海の波のように周囲に青が広がり、見渡す範囲が青へと塗り替えられる。
「ほら、やっぱり青がキレーだろ!」
 一面の青の上に立ったゼーが得意げに笑みを浮かべる。
「だいぶナワバリがひろがってきたね」
 ダンボールからこっそり顔を出したイサナが周囲を確認し、まだ黒い場所に銃口を向けて狙撃する。黒い建物がびちゃっと蛍光グリーンに染まり、飛び散ったペンキが重機ロボに降り注いだ。
『コチラカラ シンニュウシャノコウゲキガアリマシタ』
 ブルドーザー形態となった重機ロボが高速で迫り、壁にぶつかって停車し周囲を見渡す。そこにはただ段ボールがあるだけだった。
『ダンボールガアリマス クロクヌリツブシマショウ』
 そこへ重機ロボが黒煙を放った。するとささっと段ボールが動き回避する。
『イマ ダンボールガウゴイタヨウナキガシマス』
 重機ロボが確認に近づく、すると段ボールが飛び上がりイサナが姿をみせる。
「まんめんみー!」
 高々と頭上を取ったイサナは、下に向けて弾丸を連射してペンキを小山のごとく盛る。そしてどすーんとそこへ着地し、山盛りのペンキが波打ち周囲に爆散するように飛び散って、辺りに蛍光グリーンをぶちまけた。
「そうかいだね」
 ふうとやり遂げた感を出してイサナが額の汗を拭う。するとその背後に蛍光グリーンに染められた重機ロボがぬうっと現れた。
『インクアソビハ ヨソデヤリマショウ』
 重機ロボがてイサナに攻撃しようとする。だが電源が切れたように一瞬動きが止まった。それと同時に場を満たしていた黒の影響力が抜けていくのを感じる。このナワバリの所有権を敵から奪ったのだ。
「これでここは俺たちのフィールドになった!」
 青く塗っていたゼーが人型に戻り、仲間達に報せようと大きく手を振った。
「攻撃が通じるようになったようですわ」
 由は戦いの邪魔をせぬように巨体から戻り、仮面の姿となって退避する。
「そろそろ決着のようですね」
 それを優しく抱くように龍が受けとめ、共に敵の方へと視線を向けた。
「黒くて地味な街並みがカラフルになった感じ! このまま全部黒を塗りつぶしていくぞー!」
 あやはパンチを叩き込んでビルを赤く染め上げた。するとビルを貫通し重機ロボが現れた。
『ハッケン ハッケン クロクヌリカエシマス』
 重機ロボが黒煙を放ち、周囲を覆い尽くす。崩れていくビルが黒くなって、あやの体をも侵食しようと迫る。
「そろそろ一気に蹴りをつける時! あたし色に世界を染めるぞーーー!」
 黒煙を回避しながら走る脚でリズムを取り、明るい曲を流し歌いながら駆け続け、音楽を聴いた敵の体を感電させた。
『ボディガ シビレテ イマス』
 黒煙が止まり重機ロボの動きが鈍る。
「まだ動けるのかー、ならもっともっと私の世界を体感させてやるぞーー!」
 あやはさらに音楽のボリュームを上げ、敵の体をビリビリさせて動けなくさせた。
「そろそろ3分の2以上が染まったみたいだね」
 地上で手を振っているゼーを見てユーベルコードが解放されたと知り、莉亜は腐蝕竜を敵に向かわせる。
「血が吸えないなら、さっさとスクラップにしちゃおう」
 莉亜が白い対物ライフルに血を与えて強化し腐蝕竜の上で構える。
「腐蝕竜さんに合わせるよ」
 莉亜の意図を汲み取り腐蝕竜が急降下して動けぬ敵に爪を振るう。
『アンノウンヲゲキタイシマス』
 重機ロボはドリルでそれを受け止めるが、質量の差に吹き飛ばされた。そこへ莉亜が弾丸を撃ち出し、宙を飛ぶ敵の体のド真ん中に穴を空けた。
『ラ……ラクガキハ ラクガキチョウニ』
 落下する前に穴から放電した重機ロボが爆散し、粉々になって吹き飛んだ。


●色の戻った街
 街から黒が一掃され、元の街並みへと戻る。
「色が戻りましたね。決着がついたようですわ」
「ふふっ、子供の頃を思い出す楽しい戦いでしたね」
 由が周囲を確認していると、龍が童心に戻った気分だと微笑んだ。
「なかなか厄介なステージだったが、これでクリアだな」
 悪辣な世界なら厄介な事になっていたかもしれないと柾が大太刀を納め、まだキマイラフューチャーを救う道の最初の一歩だと気を引き締める。
「腐蝕竜さんのお蔭で楽ができたよ」
 ありがとうと莉亜は腐蝕竜を帰し地面に着地する。
「動いたらお腹が空いちゃったね、次は血が吸える敵がいいなー」
 ずっと腐蝕竜に乗って楽をしていたはずの莉亜はお腹を撫で、戦争なら獲物には困りそうにないと次の戦いに思いを馳せる。
「次もこんな戦いだったら楽しーんだけどなっ」
 海の色に染める今回の戦いは楽しかったとゼーが満面の笑みを浮かべる。
「じゅうをつかうたたかいならわたしにまかせて」
 えっへんとイサナは胸を叩き、敵を撃ち抜くのもペンキを塗りたくるのも銃を使うのであればお任せとアピールする。
「ほのぼのしてても世界の危機だからね! まだまだ頑張っていくぞー!」
 一戦が終わっても戦いはこれからだとあやは気合を入れて、仲間と共に軽い足取りで戦場を後にした。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2019年05月04日
宿敵 『マルチプル・アースムーバー』 を撃破!


挿絵イラスト