バトルオブフラワーズ⑧〜オペレ-ション カラーズウォー
●グリモアベース
「なんだって!?キマイラフューチャーが割れただと!?」
情報が錯綜している。
キマイラフューチャーが割れた。戦争だ。そんなことよりおうどん食べたい。
「おい!!なんだよシステムフラワーズって!?」
知らぬ言葉。突如始まった新たな戦いの火蓋に、困惑するグリモアベースで、幾人かがすでに動き出している。ユウキもその一人であった。
●ミッションブリーフィング
ユウキの招集の声に集まる猟兵達。そして彼らを見つめるユウキの目は、怪しく輝いていた。
「諸君!よく集まってくれた!!貴君らが理解している通り、おそらくキマイラフューチャーで戦争が始まった模様!キマイラフューチャーが二つに割れ、星の内部の全容が明らかとなった!!」
彼が指をさすその先には、どこから手に入れたのか分からぬキマイラフューチャーの内部の勘略図。
「今回諸君にはポイント⑧。通称『the.Paint Stage』へ向かい、そこにいるオブリビオンを撃破してもらいたい!!」
この戦場では複数の小型オブリビオンが、町全体を黒いペンキのようなもので塗りつぶしており、広大な戦場で奴らを見つけ出しそれを阻止しつつ対象を撃滅。中枢部への活路を開くのが目的らしい。
「システムフラワーズ⋯所謂コンコンと呼ばれているシステムの機関をなすこのシステムの掌握が恐らくは奴らの目的であり、それを掌握されればキマイラフューチャーの経済は壊滅的な打撃を受けることが想像に難くない!!⋯それが何を示すのか⋯分かるな?」
キマイラフューチャーの壊滅。骸の海⋯。
「この戦争に我らが負けることは、即ちキマイラフューチャーの終焉を意味する!!そのことを留意し戦場へと向かってくれ!!」
そう言ってユウキは戦場へのゲートを開く。
「それでは、色戦争作戦(オペレーション カラーズウォー)の開始を宣言する!!我ら猟兵に勝利を!!キマイラフューチャーの未来を守るんだ!!」
ユウキ
戦争だ!!
⋯イカじゃないよ?ホントダヨ?
広大なステージで、黒いインクでステージを染め上げようとするオブリビオンを見つけ出し、殲滅してください!!皆様の索敵能力。プレイングが成功に大きく左右するミッションです!!皆さんの手でキマイラフューチャーの未来を守り抜いてください!!
それではみなさん!!ご武運を!!!!
第1章 集団戦
『マニーギャザラーズ』
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POW : 金庫怪人・ウェポン
【金庫兵器】で対象を攻撃する。攻撃力、命中率、攻撃回数のどれを重視するか選べる。
SPD : おサイフ怪人・ジェノサイド
【おサイフ攻撃】を発動する。超高速連続攻撃が可能だが、回避されても中止できない。
WIZ : ジュエリー怪人・リフレクション
対象のユーベルコードに対し【ジュエリー】を放ち、相殺する。事前にそれを見ていれば成功率が上がる。
イラスト:まめのきなこ
👑11
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
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種別『集団戦』のルール
記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
一一・一一
ペンキ汚れはめんどくさいんすよ!?
とりあえず『スパイダー』を使って『ロープワーク』で高所から高所へ移動しながら【スナイパーズプライド】で『第六感』を強化、大まかな敵の場所を把握しつつ『視力』で敵を確認、【Q・T・S】でアクロバティックに『スナイパー』していくっす
狙撃手が目立つな?知らない言葉っすね
相手の攻撃に関しては【答えるものの助言】で8回まで回避していくっすよ。9回目以降はとりあえず『目立たない』で攻撃来ないようにするっす
ビビ・クロンプトン
キマイラフューチャーの危機、だね…
こんな事態、放っておけない…!
SPD
広い戦場、敵を探すのは大変そうだね…
私の演算デバイス、フューチャーアイを使って、情報を得られないかな…
敵がいそうな痕跡を見つけて、探し出す…最悪、【第六感】頼みかな…
奇襲はUC【ミライヲミルメ】で予測して、対応しよう…
接敵したら、【先制攻撃】…特注ブラスターの一撃を、お見舞いするよ…!
相手の動きは注視して【見切る】よ…
行動パターンが読めたら、戦いを有利に運べるからね…
インクを顔にかけられて目が見えなくなる事態だけは、UC【ミライヲミルメ】をフルに使って避けないと…
システムは…あなたたちの自由に、させない…!
連携、アドリブ歓迎
ゴアゴア・トゥエニワン
ゴアゴアァ《地上を走って敵を探すのは、ちと効率悪いであるな》
という訳で、我輩はジェットパックで空中から敵を探すのである。
全体を見通したほうが、【追跡】も【情報収集】もしやすいであろう?
敵を発見したら、そのまま【空中戦、スナイパー、戦闘知識】を活用して応戦。
ガンブレードはガトリングやマシンガン、ライフルモード等に切り替えながら戦うである。
敵の数が増えてきたりしたら、【UC】で敵をロックオンして纏めてぶっ飛ばすのである。
可能なら、他の猟兵と情報を共有して、お互いをサポートしながら戦いたい所であるな。
アドリブ、共闘歓迎
ベルカ・スノードロップ
この世界は思い入れがあるんです
絶対に守ってみせます
暗がりは【暗視】による目視
ですが
「染め上げるインクを無効化してしまいましょう」
UCを発動
「隠れているなら、そのまま死んでもらいましょう」
【生命力吸収】をこめて
これで倒せれば御の字
ただ本懐は【おびき寄せ】
でてきたら【全力魔法】の【属性攻撃】を【誘導弾】を乗せて撃ち込みます
「赦しませんよ。この世界の破壊を目論むこと自体」
そして、それに与することもです
「絶対に、守りぬきますよ」
周囲の味方への連携は【コミュ力】
全体的に味方を【鼓舞】して確実に、です!
※アドリブ、連携は 歓迎
流観・小夜
……なんというか、混沌としていて場が掴めませんが、精一杯努力しましょう。
ひとまず【ダッシュ】にて素早く高所に陣取り、義体の能力を解放しておきます。道中にある扉は大方電子錠のはずです、義体からコードを取り出して繋ぎ【ハッキング】し強制的に【鍵開け】していきます。
義眼の特殊性能により【視力】を向上させ、ゴーグルの【暗視】機能を発動し暗所や黒く塗りつぶされた場所でも発見できるようにします。
そのまま視認した対象を、スコープで捉え狙撃していきましょう。スコープ内に複数いる場合なら、【早業】によりリロードを素早く行い、間髪入れず狙撃を継続していきましょう。
※アドリブ・他者との協力歓迎
純・ハイト
先に動けたらいいかなぐらいに行動で、奇跡の支援砲撃をしよう。
奇跡の支援砲撃の範囲は広範囲になるように願いながら発動して味方の援護を集中して行う。
戦いとは戦術と数と質と力の大きさで決まるのだよ
グリモア猟兵に転送された先。ポイント⑧において五名の猟兵たちの作戦が開始された。
「ゴアァン『よろしく頼むぞ、嬢ちゃん』」
黒い謎の言語を話すケットシー。ゴアゴア・トゥエニワンは、少女に語り掛ける。
「え⋯えぇ⋯私はビビ。ビビ・クロンプトン」
ゴアゴア含め、他の猟兵たちはいかにも気さくに話しているが⋯全員知り合いなのだろうか?
「ゴアァ『取り敢えず吾輩は空から偵察してみるのである』ゴアン『皆は地上から偵察を頼むぞ』」
そう言ってゴアゴアは、翼型ジェットパックーゴアウィングを腰に装着⋯ところで彼の腰はどこだ?
まぁいい。ゴアウィングを装着すると、ジェットを吹かせ空へと上がっていく。
「小夜さんはどうするっすか?」
ジャージ姿の一一が語りかけたのは黒服の女性。
「⋯⋯私はあそこへ向かいます」
小夜が指したのは、少し離れた電波塔のような物だ。
「⋯⋯私はあまり動きながらの狙撃は得意ではないので⋯あそこからなら一部の死角を除き、確実に狙えるかと」
確かにあの塔の上ならこの場所のほとんどを見下ろすことができるだろう。
「んじゃ、僕はこいつで立体機動と行くっすか」
一一は彼がスパイダーと呼ぶワイヤーのようなものを使い、文字通り蜘蛛の如き動きで素早くビル群を抜けて行く。
「⋯⋯では、私もおそらくセキュリティをいくつか破る必要がありますので、お先に失礼します」
小夜もその足で先程提示した電波塔へと向かっていった。
「ビビさんと言いましたか?」
美しくきめ細やかな青い髪の青年が語りかけた
「私はベルカと言います。ベルカ・スノードロップ」
そう言って静かに街を見るベルカ。
「私は⋯ここが好きなんです。だから⋯私はこの世界を壊そうとしているあいつらが許せません」
虚空を睨む彼の眼は、穏やかでありながらも確かな決意に満ちている。
「この世界を守るために⋯協力していただけますか?」
そう言ってベルカは手を差し伸べた。
「私も⋯こんな事態、放っておけないから…!」
そう言ってビビはベルカの手を取ると、決意に満ちた眼差しで頷いた。
―『the.Paint Stage』上空。ゴアゴア・トゥエニワン&一一・一一
上空を飛んでいたゴアゴアは、一度ジェットパックの熱を冷ますためにビルの上に着地する。
「ゴヤァン⋯『静かであるな⋯』」
その近未来的な街並みは、煌びやかな外観とは裏腹に薄気味の悪いゴーストタウンのような態を成していた。
『ゴアゴアさん、聞こえるっすか?』
作戦前に配られた通信端末から一一の声が聞こえた。
「ゴアァ『どうしたであるか?』」
すかさず通信機に返答するゴアゴア。
『こっちに敵はいないっす。でも、なんか嫌な予感がするんですよ。空から見て、何処か異常は無いっすかね?』
こちらもそれが見つけられず降りてきたところではあるのだが、きょろきょろと周りを見回してみると⋯
「ゴヤァン⋯『居たであるな⋯オブリビオン共⋯』」
まだ少し距離はあるものの、視線の先。ビル群を黒いペンキのようなものが侵食しているのを発見する。すぐさま地図と照らし合わせ、オブリビオンの正確な位置を特定する。
「ゴアァ!『小夜の嬢ちゃん!聞こえるであるか!?』」
さらに正確な情報を得るために電波塔に向かった小夜へと通信を送るゴアゴア。
『すいませんゴアゴアさん、しくじりました!現在対象と戦闘中!援護は不要!すぐに終了させます!!敵のインクにご注意を!非常に高温な上に酷い粘着性があるようです!』
小夜から間髪入れず通信が入る。
転送されてきた地点と電波塔の位置を確認する。
小夜が現在戦闘を行っているのはゴアゴアが確認した位置とはおそらく別の方角だ。
「ゴヤァン⋯『思った以上に数が居そうである⋯』」
そう言って一一に大まかな方角を知らせると、再びゴアウィングのエンジンに火をつけ、黒いペンキのようなものが塗り広げられている方向へと向かっていった。
―流観・小夜
しくじった。
小夜が義体のリミッターを解除し、全速力で電波塔へと駆けていった先、塔へとたどり着くことに集中し過ぎたのか、目の前に突如噴出された黒い何かに、危うく自分から突撃するところであった。
「キャッ!キャッ!」
ふざけたように笑うオブリビオン相手に銃口を向け、即座に発砲する。
「ギャッ!!」
乾いた発砲音と共に放たれた銃弾が、寸分違わず小うるさいオブリビオンの脳天を吹き飛ばす。
「ギャー!!!」
吹き飛ばされたオブリビオンの仲間が叫びながら水鉄砲のようなものを小夜に発砲する
ドゥドゥドゥ!!
粘着質の物体を撃ち出すような気色の悪い低い発砲音と共に放たれた黒い液体が、小夜へと襲い掛かる。
もちろんただのインクであれば避ける必要などないのだが、ふざけていても相手はオブリビオン。ただのインクであろうはずがない。
咄嗟に避けた小夜に命中せず、地面に落ちた黒い粘液は
じゅうぅ!!
と嫌な音を立てると地面に広がりながら蒸気を上げている。
物陰に隠れ、噴出された
「解析⋯異臭に目を瞑れば毒性は無し⋯ただし、非常に高温⋯私の義体でも被害が出そうです⋯」
即座にそれを解析する小夜。
「それに⋯見たところ酷く粘着質。踏めば足がとられる⋯」
『ゴアァ!『小夜の嬢ちゃん!聞こえるであるか!?』』
ゴアゴアから通信が入る。
さすがに悠長に通信を送れる状況ではない。自身の状況と、解析した粘液の性質を簡潔に伝え、即座に敵を見る。
滅茶苦茶に放出される粘液が街を黒く塗りつぶしている。
「⋯⋯あまり長引かせると、移動もままならなくなる⋯」
「だったらまとめて吹き飛ばせばいいんですよ」
ふと響く声に振り返るとそこには
「こちらハイト、誰でもいいから聞こえていたら支援砲撃を頼む」
純・ハイト。翼無きフェアリーの男がいつの間に現れたのだろう?
小夜の背後でフェアリー用に作られた小型のスナイパーライフルを構えて空中に静止していた。
「⋯⋯まとめてと言っても、狙撃銃では⋯」
小夜の言葉を遮るかの如く、少々間の抜けた、まるで花火を打ち上げたかのような
ヒュー⋯
という音が近づいてくる。
「ここは僕に任せてください小夜さん。どうせあれが落ちれば、こっちの勝ちです。どこか向かうところがあったのでしょう?」
ハイトはそう言って小夜を見ると、促すように手を振った。
「⋯⋯感謝します。ハイトさん」
そう言って小夜は再び電波塔へと走り出した。
―純・ハイト
小夜が駆けだしたのを見て、オブリビオンたちは小夜へ高温の粘着物を噴出しようと構えた。
「ダメじゃないか、相手を間違えちゃぁ⋯」
せせら笑うような声⋯今のは誰の声だ?
次の瞬間、
パン!
と小さな音が響き、オブリビオンの頭部に風穴が形成される。
「ほらほら?こっちだこっち。よく見ろ、虫ケラ」
再び響く声。その方向にオブリビオンが振り向くのと、その頭部に風穴が開いたのはほぼ同時だった。
「ハハハ、ほら、今度はこっちだ」
振り向くよりも先に粘着物が声の方角に放たれたが、そこには誰もいない。
先程から聞こえる音が、次第に大きくなるのを感じる。
きょろきょろと周囲を見渡すオブリビオン達を、先程小夜に向けていた顔からは想像もできぬ狂気に満ちた笑顔を張り付けたハイトがはるか上空から見下ろしている。
「記憶したまえ⋯戦いとは戦術と数と質と力の大きさで決まるのだよ⋯まぁ、生きていればなぁ⋯ははっ⋯はっ⋯ハハハハハァ!!」
その狂喜の歓声と共に眼下のビル群に向け先程の音が急速に接近し、オブリビオン達が居たあたりを含めたポイントに無数の爆撃が到達する。
⋯先ほどの声の主。それはハイトだった。おかしくてたまらないといった様子で笑い続けるハイトの眼下では無数の爆発が立て続けに起きている。
その光に照らし出された小さく⋯それでいて途轍もなく大きな狂気は笑い続けていた。
―ゴアゴア・トゥエニワン&一一・一一
小夜が向かった方向から無数の爆発が起きるのが見えた
「ゴアン『始まったであるな』」
彼の眼下には小さなオブリビオン達が黒い粘着物を吹き出し街を黒く塗りつぶしている光景が見える。
「ゴア゛ァン⋯『てめぇら⋯ただで済むと思うなである⋯』」
まるで遊んでいるかのように街を黒く染め上げるオブリビオンたちを、上空から見つめるゴアゴアは静かに睨みつけていた。
『ゴアゴアさん、準備出来たっす!』
一一からの通信に了解と返事をすると、ゴアゴアはオブリビオンの元へと急降下を開始する!
「ゴアゴアア『避け切れるであるか?全弾発射〈ファイア〉である』」
―Gebrüll-21
降下しつつ目に見える標的を捕捉していく。
それは、ある英雄の急降下爆撃の如く。
UCで召喚した多目的誘導弾発射兵器から、無数の誘導弾を発射し、急上昇。
一瞬、ジェットを吹かす音に気付いた敵もすでに遅い。
Gebrüll-21から放たれた無数のミサイルが、その哀れな体を吹き飛ばしていく!!
「ギャー!?」
彼の捕捉を逃れたオブリビオンが、物陰に潜み、その爆撃を回避しようと試みる。
⋯それを静かに見ている目があった。
「物陰に隠れようと無駄っすよ?隙間女って知ってるっすか?」
少し離れた位置でUC『スナイパーズプライド』を発動していた一一はビル群を移動しつつビルとビルの間。それも、常人では射線が通るなどと判断することすら不可能な数ミリの、文字通り【隙間】へライトニングの弾丸を撃ち込んだ。
まさに針の穴に糸を通すような狙撃。
それも、スパイダーによる立体機動を行いながらの一瞬の隙間を彼は捉えた。
頭部を撃ち抜かれたオブリビオンが、地べたに倒れると同時に一一の銃声が響き渡る。
「ゴアァァ!!『まだ終わらんのである!!』」
地上に再び接近したゴアゴアは、剣と銃を合体させたような―いわゆるガンブレードといったものか―それも銃身部分に鍵盤のようなものが付いた武器を抜く。
ガンブレード【カノン・オブ・トゥエニワン】の鍵盤を叩き、激しい旋律を奏でると、砲身が分かれたガトリングガンの様な形態に変化し、凄まじい連射音と共に、多量の弾丸を吐き出した!!
「ゴアゴアァァ!!『避けられるものなら避けるがいいのである!!』」
凄まじい弾幕に反撃を行うこともできぬオブリビオン達は蜘蛛の子を散らすように逃げていき、そして逃げ遅れたものは、その凶暴な咆哮の餌食となる。
「だから、逃げたって無駄だって言ってるじゃないっすか」
いつの間にか接近していた一一が、彼らの頭上から呟いた。
「かくし芸にもならないっすけどね⋯僕の狙撃の技術、見せてあげるっす」
UC『Q.T.S』
先程、物陰に隠れてゴアゴアの爆撃を躱そうとしたオブリビオンを見ていた眼が、
散っていった獲物の位置を一一に知らせる。
「隙間のない場所なんて存在しない。だから、彼女の目を逃れるなんて不可能っすよ」
両手に持ったライトニングを、乱射するかの如く撃ちまくり、そのすべての弾丸が正確無比に、その頭部を粉砕していく。
その正確な狙いと激しい銃撃。まさに、町という舞台で華麗なワルツを踊るが如く。
「そういえば⋯」
粗方敵を葬り、知り合いに言われた言葉を思い出し苦笑する一一
「狙撃手が目立つな?知らない言葉っすね⋯」
周辺の敵を殲滅して、次の標的を探そうとした次の瞬間。
遠く離れた高層ビルが一瞬で氷漬けになり、砕け散る光景が見えた。
―ベルカ・スノードロップ&ビビ・クロンプトン&流観・小夜
先程ハイトと出会った位置に凄まじい爆発音が響き始めた。
「⋯⋯まとめて吹き飛ばす⋯ですか」
有言実行とはまさにこのことか、移動中に見かけたオブリビオンをコンパウンドボウの正確な一撃で葬り去りながら、たどり着いた電波塔を見上げた。
「⋯⋯しかしながら⋯高いですね⋯しかもセキュリティも生半可なものではなさそうです⋯」
入口の前に立ち、目の前の閉ざされた入口と塔を見上げて言った。
「⋯⋯周囲に敵影無し⋯ゲートロックの解除を敢行します」
ゲートロックのカバーを引き剥がし、うなじからコードのようなものを引き出すと、ゲートロックのシステムと自身を繋ぐ。
「システム⋯ロック⋯解除指令⋯否認⋯パスコード⋯ロジックパターン解析中⋯」
小夜の口から機械的な音声が流れ始める
「ロジックパターン解析⋯パスコード入力⋯否認⋯ロジックの再解析を開始⋯」
時間を掛ければ敵に見つかる可能性も考えられる。あまり長い時間をかけるわけにはいかない。
「再解析完了⋯パスコード入力⋯承認⋯ゲートロックを解除します⋯」
ピピ
という音と共に入り口のゲートが開く。コードの接続を解除し、入り口をを潜り抜けようとすると、背後からまたあの喧しい声が聞こえた。
「⋯⋯しつこいですね」
振り返ると数匹の群れが彼女へと接近してくるのが見えた。
「⋯⋯邪魔をしないでくださいッ!」
素早く弾丸を叩き込み、接近してくるオブリビオンの頭部を粉砕する。
「⋯⋯私は急いでいるんです」
そう言って、電波塔の最上階へと向かっていった。
先程から派手な爆発音が周囲に響き渡る中、ベルカとビビは敵を探して街を駆け抜けていた。
「すでに戦闘は始まっているようですね⋯」
爆発音を聞きながら、ベルカは呟いた。
「フューチャーアイ⋯爆発音の位置分布からから敵がいると思われる位置を演算⋯予測⋯」
その後ろを走るビビが爆発音が響いている位置から、その他の敵が居そうな一を割り当てようと演算を行っていた。
「⋯絞られたポイントは三か所⋯一つは電波塔⋯あそこには黒服の人が行っている⋯もう一つは⋯有り得ない。あそこはそもそもステージの外⋯となると⋯」
彼女は少し離れた高層ビルを見た。
「ベルカさん⋯恐らく、あのビルのあたりに敵がいると思う⋯」
ベルカに演算の結果から割り出された伝え、そこへ向かうことを提案するビビ
「分かりました、行きましょう」
二人は ビルへと向かっていった。
電波塔の頂上へと辿り着いた小夜は、周囲へ視線を送る。
リミッターを解除したことにより、感覚が研ぎ澄まされ、義眼のズーム性能も向上している。更に、ゴーグルの暗視機能も発動し、周囲への索敵を行っていた⋯
「⋯⋯あれは!?」
彼女の視線の先、外見は他と変わらぬ高層ビルの内部。
どす黒くなった内部に、無数のオブリビオンが蠢いているのが見えた。
「⋯⋯皆さん聞こえますか?小夜です!ポイントα3。高層ビルの内部に無数のオブリビオンを発見!恐らくあれが奴らの本拠地であると推定されます!誰か向かえる方はいらっしゃいますか!?」
即座に返答が入り、彼女はスナイパーライフルの照準をビルへと合わせた。
『私とビビさんが向かっています』
ベルカだった。
―『the.Paint Stage』
天高くそびえ立つビルの前に辿り着き、少し離れた位置からその様子を窺うと、入り口周辺に複数のオブリビオンが待機しているのが見えた。
何か巨大な機械のようなものから水鉄砲のようなものが排出されるたびにそれを取り合うように群がるオブリビオンたち。
「では、合図と同時に発砲してください」
ベルカが小夜に通信を送る
『⋯⋯了解』
小さく返答が帰ると、それきり通信機は黙り込んだ。
「本当に⋯大丈夫なの⋯?」
ビビが心配そうにベルカの顔を見たが、彼は小さく微笑みながら答えた。
「えぇ、みなさんを信じていますから。勿論、ビビさんも」
そう言って微笑む彼の声は、不思議とビビの心に勇気を与えてくれる。
信頼という絆が、彼女に力を与えてくれる。
「⋯分かった。必ず守るから⋯⋯」
ベルカも、そしてキマイラフューチャーの未来も。だ。
そして二人は敵の前に躍り出ると、ベルカは炎の小さな魔法を空へと打ち上げると、何かの詠唱を始めた。
それに気付いたオブリビオンたちが一斉に飛び掛かってくる!!
「システムは…あなたたちの自由に、させない…!」
ビビのブラスターが火を噴き、的確にオブリビオンの体を撃ち抜いていく。
仕留め損ねた相手も、小夜が電波塔からの狙撃で確実に撃ち抜いていく。
UC『ミライヲミルメ』ビビはその力をフルに活用し、オブリビオンの攻撃を回避する。もちろん背中には呪文の詠唱を行うベルカがいる。彼女が身を翻し敵の攻撃を避ければ、彼にその攻撃が降りかかるのだ。
「⋯だったら⋯ッ!」
その攻撃が撃ち込まれる前に。
攻撃が開始される未来を避ければいい。
立て続けのブラスターの射撃が攻撃を行う敵を確実に撃破していく。
ビビの攻撃がベルカに降りかかる厄災を避け、確実に未来を修正していく!
「⋯しまった!ベルカさん避けて!!」
電波塔からも、ビビからも死角となる位置からベルカへ降り注ぐ高温の粘液。
その未来が見えてしまった。
とっさに叫び、ベルカの詠唱を中断させようとしたその時。
パン!
乾いた小さな銃声が、ベルカの未来を修正する。
「間に合いましたねぇ⋯あ、俺もいるんですよ~」
ハイトがベルカの背後に陣取り狙撃銃のスコープを覗き込んでいた。
「後方は俺にお任せを」
そう言うと、ハイトは続けざまにその小さな狙撃銃から弾丸を放ち、近付くオブリビオン達を過去へと送り返す。
すぅ⋯
小さく息を吸い込んだベルカが、静かに前を見据え歩き出す。
前方はビビが、後方はハイトが、撃ち漏らした標的は小夜が。それぞれ自分を守る為に戦ってくれている。
「染め上げるインクを無効化してしまいましょう⋯」
つかつかとビルへ歩きながら、静かに呟くベルカ。
「隠れているなら、そのまま死んでもらいます⋯」
両手をビルへとかざし、吐き捨てるように言う。
「赦しませんよ。この世界の破壊を目論むこと自体⋯そして、それに与することもです⋯⋯」
UC『永久の氷河』
「永久に広がる絶対零度の世界で⋯自らの行いを悔い改めなさいッ!!」
両手から放たれた、
絶対零度の冷気が渦となり、
嵐となりてビルを飲み込む。
一瞬のうちに凍り付いたビルにめがけて、魔法を放つベルカ。
小さな⋯小さな衝撃波。
それは、ビルへと命中し、出来上がる亀裂が凄まじい勢いで拡がっていく!!
「離れてください!!」
ベルカが叫ぶと、一斉に建物から離れていく三人。
ほぼ同時だった。
建物が小さな亀裂から倒壊していくのは。
轟音と共にその歴史に幕を閉じる建築物。
落下してくる破片が逃げ遅れたオブリビオンを踏みつぶし、そのまま落下の衝撃で砕けた破片は、氷の槍となってさらに周囲のオブリビオンを貫いた。
建物が完全に倒壊したあとには、周囲に氷の影響なのか、肌寒い風が吹き始めた。
「あはは⋯少しやり過ぎましたね⋯」
ニコニコとした笑顔でそんなことを言うベルカ。
「⋯凄い⋯⋯」
素直な感想であっけにとられているビビと、
「流石です。ベルカさん」
賛辞を贈るハイト。
「ギャー!!」
だが、そんな彼らの前に再び集まってきたオブリビオン達。
恐らく、本陣が倒壊するのを目撃した残党が集まってきたのだろう。
「⋯ッ!!」
即座にブラスターを構えたビビを、ベルカは制止する。
「大丈夫ですよ」
「ゴァァン!『待たせたのである!』」
上空から響いた声と共に、ガトリング砲の凄まじい咆哮が、オブリビオンの体を引き裂いていく!
「僕も居るっす!」
二丁の狙撃銃から立て続けに放たれる弾丸が、隙間に隠れた者を撃ち、
『⋯⋯少し休んでもらって結構ですよ。後はこちらで片付けます⋯』
撃ち漏らした相手を、電波塔からの狙撃が確実に終了させていく!
「私は仲間を信じています。それに⋯さすがにあれだけの魔力を使ったら、少し疲れちゃいました」
再びあははと笑うベルカと、残党が殲滅されていく様子を見て、ビビは信頼という言葉の意味を、再確認したような気がした。
『the.Paint Stage』 CLEAR! Conguratulation!!
大成功
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