バトルオブフラワーズ④〜春よ来い
猟兵のミロ・バンドール(ダンピールの咎人殺し・f10015)が急ごしらえの折り畳み机で、紙の地図を広げながら他の猟兵へと説明を始める。
「先日のテレビウム・ロック事件では、俺たち猟兵は大きな戦果を得た。そしてシステム・フラワーズ。いわゆる、コンコンすると色々出てくる仕組みへのメンテナンスルートが開いたわけだが……」
文字通り、世界が北半球と南半球のふたつにぱっかーんと開いてしまった。
そして、メンテナンスルートへの周囲を守る6つの『ザ・ステージ』は今、怪人によって占領されてしまっている。
「今回お前達に向かって欲しいのは、『シュウカクフードバトル』のステージだ。特殊ルールがあるので気を付けて欲しい」
このステージでは、多数のオブリビオン『食卓の友同盟』が山林へと山菜採りに向かっている。
季節はまさに春。UDCやヒーロー世界の通常であれば時期をずらさなければならないような食材が、不思議な栽培調整システムによって同時期に収穫期を迎えている。雪の下から顔を出すふきのとうから初夏の香りのするわらびまで、ありとあらゆる『山の幸(春編)』が揃っているのだ。
「ここで収穫をしているオブリビオンは、『収穫中は猟兵からの攻撃が無効になる』という特殊能力がある。そして攻撃が出来ないままオブリビオンに一定以上の収穫をされてしまうと、猟兵側の敗北になってしまう。……で、そんな無敵チートをどうすれば良いのかと言うと、鍵は『収穫物』にある」
食卓の友同盟は収穫した山菜を『積み上げようとする』。この積み上げられた山菜は無敵ではないため、これを使って料理をすることができる。
「もしその料理が美味しそうならば、食欲を刺激されたオブリビオンが作業を中断して、料理を食べにくる。そうすると収穫をしていない判定となって『攻撃無効の効果が無くなる』ので、攻撃して撃破する事が出来る、というわけだ」
要するに、すでに食材は用意されているので美味しい料理を作って敵を誘き寄せ、そこを叩く、という流れだ。
「ここで気を付けて欲しいのは、敗北条件だ。すべての『今おいしく食べられる山菜』を採り尽くされてしまうと強制敗北となって、謎の力でステージから排出されてしまう」
ひと山分の山菜を採り尽くすのはなかなかの骨だが、あまりに凝り過ぎて時間のかかる調理をしていると怪人がやってくる前に敗北してしまうかもしれない。その点に気を付けよう。
「山菜以外の基本的な食材や調理器具は何故か向こうにもある程度揃っているが、不安なら転移する際に持ち込むといい。調味料は……奴らが自前で持っている分? もあるが、確実なら用意した方が良いだろうな」
そう言うとミロはグリモアの炎をガスコンロの火のように円形に燃やす。
「準備が出来たら言ってくれ。採り尽くされる前にケリをつける」
みづかぜ
みなさんこんにちは、みづかぜです。初めましての方は初めまして。オープニングをご覧いただき、ありがとうございます。
微力ではありますが全力で猟兵の皆様の冒険をお手伝いする所存でございますので、宜しくお願い致します。
さて、今回は山菜クッキングでございます。
収穫作業はすべて食卓の友同盟ががやってくれてるので、存分に料理に集中できます。
料理だけでは足止めにしかなりませんので、プレイングには『料理+戦闘』を両方書いていただくか、チームで連携して料理担当&戦闘担当といった感じで作戦を立てていただけると助かります。
どんな山菜があるのかは『OPの描写で無理のない範囲のものはある』とお考え下さい。
明らかに秋にしかないものだと採用できないかもしれません。
それでは、皆様のプレイングをお待ちしております。
第1章 集団戦
『食卓の友同盟』
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POW : マヨネーズ怪人・ウェポン
【マヨネーズ兵器】で対象を攻撃する。攻撃力、命中率、攻撃回数のどれを重視するか選べる。
SPD : コショウ怪人・ジェノサイド
【コショウ攻撃】を発動する。超高速連続攻撃が可能だが、回避されても中止できない。
WIZ : しょうゆ怪人・リフレクション
対象のユーベルコードに対し【しょうゆ】を放ち、相殺する。事前にそれを見ていれば成功率が上がる。
イラスト:まめのきなこ
👑11
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種別『集団戦』のルール
記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
「これは……わらびゲット」
「これは……シダだ、ハズレ」
収穫作業に勤しむ怪人たちは、四苦八苦しながらも収穫篭をいっぱいにしている。若い芽をもいだ切り口からは玉のような露が出来て、ほのかに青臭い香りがする。
「なぁ。ちょっとぐらい食べてみてもいいかな。でも生じゃだめかなあ」
「試してみるか? 俺がいれば生魚だって刺身に変わる」
「しょうゆ、お前……」
作業時間も長く、小腹が空き始めた怪人たちは山の幸の味について気になるようだ。
――そんな時、生の植物から発するのではない、甘い香りが山のふもとから漂ってきたではないか!
アルバート・クィリスハール
意味が……意味がわからない……!!
えっこれ戦争? これが? これで?
何もかもわからないけれど、これも猟兵のお仕事だからやらないと……。
いや本当に、惑星が真っ二つに割れるとか何なの? この世界おかしいよ。
……今更か。
【SPD】
菜の花って山菜に入るかな。あるなら芥子和えと胡麻和えを作るよ。
あれ簡単だからね。切って湯がいて水気切って、調味料と和えるだけ。
必要な道具や調味料はコードで作る。器用さにも手早さにも自信があるから、大丈夫。美味しいよ。味見もしたしね。
あ、寄ってきた寄ってきた。うん。
言い忘れてたけど。そこ、さっき地雷埋めたんだよね。
わぁ、びっくりするくらい綺麗に踏んでくれた……爽快。
エダ・サルファー
山菜料理だな!任せろ!
こちとら田舎出身、山菜の調理には一家言あるのだ!
めくるめく美味の世界に招待してくれるわ!
さて、そんなこと言いつつ、作るのは普通に天ぷらなんですけどね。
でも新鮮な山菜の天ぷらは美味いぞー?
ふきのとう、たらのめ、うど、こごみ……、どれも絶品だが、私のイチオシはこれ、「あずきな」だ!
正式にはナンテンハギとか言うらしいけど、これの天ぷらは洒落にならないくらい美味いのだ!
そして妙に後を引くのだ!
というわけで、天ぷらを大量に揚げて怪人を待つよ!
天つゆと塩なんかも用意しとこう。
まんまと誘き寄せられてきたら、聖拳突きの餌食になってもらうよ!
料理が残っちゃったら、居合わせた皆で食べようか。
「誰か、すでに何か茹でてる……?」
火を通した野菜の類から発するような柔らかい香りがする。朝からずっと自然に生える植物の常温そのままの匂いに包まれていた怪人たちにはすぐに違いが分かった。
「畜生、別チームに抜け駆けされたか!」
こうしてはいられない。
自分達も休憩時間にするのだと、チーム『食卓の友同盟・A』は収穫を中断し、山を駆け下りてゆくのだった。
「お前達、何をしている!? ……ってなんだ猟兵か。いや、やっぱり何をしている!?」
怪人たちはダブルツッコミで前のめり気味にやってきた。
「こちとら田舎出身、山菜の調理には一家言あるのだ! めくるめく美味の世界に招待してくれるわ!」
拳の中に菜箸を握りしめ、エダ・サルファー(格闘聖職者・f05398)が高らかに宣言する。
「私のイチオシはこれ、『あずきな』だ! 正式にはナンテンハギとか言うらしいけど、これの天ぷらは洒落にならないくらい美味いのだ! そして妙に後を引くのだ!」
エダが差し出した皿には、山盛りのあずきなの天ぷらが盛り付けられていた。その名の通り、小豆のような香りがする山菜だ。小麦と油を使って揚げてある為、まるでスイーツにも近しい香りが食欲をそそる。
「天つゆ、塩、どちらでもお好きなほうで」
小皿に取り分けられた調味料はどちらも通好みの逸品。たまらず怪人たちは席につく。常日頃グルメバトルみたいなことをやってるせいか敵味方の整合性などどうでも良くなっていた。
「「「いただきます!」」」
――美味かった。
成りたてのキヌサヤでも似たような味は出せるが、あれはボリュームが足りない。
ぎゅっと詰まった豆のような甘味と旨味が舌の上で広がる。だがベースは草木のもつやわらかい食感だ。やがて豆を実らせるために栄養を貯めた新芽なのだから、当然と言えば当然だ。
「この山菜を採ったのは別チームか」
「後でお礼言ってやらねーとな」
「なんかこう……心にも残るね……」
エダの作ったあずきなの天ぷらを賞味した怪人たちは、どことなく幸せそうだ。
「さっぱりしたのがお好みなら、菜花もあるよ」
とても自然な流れで二品目を勧めるのはアルバート・クィリスハール(仮面の鷹・f14129)。好青年っぷりを発揮して穏やかな笑顔で差し出す皿には、芥子和えと胡麻和えの二種を取り合わせる気遣いが息づく。
最短最速で怪人の嗅覚をキャッチした素材選びの目利きとユーベルコード『不完全な創造(ユノ・タウジェ)』を活用した迅速な調理工程は、怪人たちの収穫スピードを殺ぐのに最も貢献したと言っても過言ではない。
この世界のいろんなあれこれに対してまるで意味がわからないという心境とは真逆に、仕事はきっちりこなしていた。
「い、いいのか」
「じゃあこっちも……」
「いただきまーす」
怪人たちがテーブルを移そうとしたそのとき、急に足元が爆発する!
「「「うわーっっ」」」
まるでドッキリ番組の一幕だった。
さらに、爆炎の直撃を受けたマヨネーズが引火して烈しく燃え上がる。
「言い忘れてたけど。そこ、さっき地雷埋めたんだよね」
「え……?」
「は……?」
状況が呑み込めない怪人たちとは裏腹に、アルバートは穏やかな笑みを崩さずに恐ろしい言葉を告げる。
「びっくりするくらい綺麗に踏んでくれた……爽快」
「鬼! 悪魔!」
抗議の弁を述べるコショウとしょうゆを背後から捉える影があった。
「くらえ必殺! 聖拳突きぃっ!」
エダの祈りを込めた拳が、まとめて怪人たちを宙へと飛ばした。
直撃した時点でもう勝敗は決していたのだが、周辺地形を破壊するほどの威力は空中へ向かった為、料理には被害が無かったことは書き添えておこう。
「菜花料理は残っちゃったから、向こうの人たちも誘って皆で食べようか」
「そうだね。あちらも首尾よく行ってるかな」
見据える先には、他の猟兵達も調理場を構えていた。
大成功
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清川・シャル
f08018カイムと第六感で連携
料理なら任せて下さい
胃袋掴んでますからっ
スタンダードな物でシンプルに作りましょ
20分あれば出来ます(たすき掛けしつつ
山菜のアク抜き等下拵え
フライパン、天ぷら鍋、行平鍋セット
パスタ麺はレンチン
料理、早業で手早く「和風山菜パスタ」「天ぷら(カレー塩)」「山菜のお吸い物」
【P】
すぐに攻撃に対応出来る様Amanecerを召喚
UC使用で誘惑、おびき寄せ、催眠術で誘い
美味しいご飯ですよ〜!
全力魔法、衝撃波にてオーラ防御を展開
防御成功後にカウンター反撃
一斉発射、目潰し、殺気、串刺し、吹き飛ばし
熱光線と音圧で攻撃
カイムへの防御に氷の盾を
コショウを風魔法で空に吹き上げたら大丈夫?
カイム・クローバー
シャル(f01440)と第六感で連携し行動。
そもそもあのコンコンシステム?だっけ?あんなもん出来過ぎだと思ってたんだよなぁ。ま、ステージをこなさねぇとボスの所まで行けねぇってんならやるしかねぇけどよ。
【S】
シャルが料理してくれるっつー話だし、俺は積み上げた食材をシャルの方に運ぶぜ。何が必要か言ってくれりゃ、自動で積まれるみてーだから持っていくのは容易だ。山菜を収穫してる時のコイツらは無敵モードなんだっけ?戦争中だってのに風景だけ切り取ると呑気な気がすんのは俺だけかねぇ…。
戦闘はUCを使って挟み撃ちにしつつ、叩く。【二回攻撃】【援護射撃】で銃をぶっ放しつつ。攻撃に対しては【見切り】【残像】で対処
「料理なら任せて下さい。胃袋掴んでますからっ」
桜色の着物にするりと手早くたすき掛けをして、清川・シャル(ピュアアイビー・f01440)が必要な調理器具を揃えて取る。
「そもそもあのコンコンシステム? だっけ? あんなもん出来過ぎだと思ってたんだよなぁ」
共鳴するかのごとくタンザナイトをあしらったピアスを煌かせ、胃袋掴まれた側ことカイム・クローバー(UDCの便利屋・f08018)はシャルの必要な食材を選び、調理場へと運ぶ。
シャルは調理時間を20分ときっちり定めて鍋をコンロへ置くと、湯がく、水にさらすなどしてそれぞれの食材を適切にアク抜きしてゆく。
真面目に鍋で作ろうとすると意外と時間のかかるパスタ麺は便利グッズでレンジ調理だ。ナイス時短である。
「あと何かすることはあるか?」
「出汁の火だけ、シャルも気にかけてるけど一応見てて」
鬼気迫る(羅刹だしネ!)シャルの真剣な雰囲気に思わずカイムはたじろぐ。
「お、おう。山菜を収穫してる時のコイツらは無敵モードなんだっけ? 戦争中だってのに風景だけ切り取ると呑気な気がすんのは俺だけかねぇ……」
至ってシンプルかつ重要な役目を仰せつかり、まだ煮立ちそうにない鍋を前にカイムは山で収穫にいそしむ怪人たちの影を眺める。
のどかな光景であった。まるでスローライフのドキュメンタリー番組のようでもあった。
ふと鍋を見ると、水面の端にごく小さな水泡が出来つつある。
「お、そろそろか」
「ざるとキッチンペーパーはそこにあるから、いいって言ったら漉して」
コンロを二口使いパスタの具と天ぷらの両方を攻略しながらのシャルも的確に指示を出すと、二人は三品を完成させてゆくのだった。
「美味しいご飯ですよ〜!」
Amanecerによって増幅されたシャルの声が山へ響く。『ごはんですよ~!』『ですよ~』というやまびこも帰る。
「ご飯と聞いて」
「山から来ました」
魅惑の誘いに、腹をすかせた怪人グループ『食卓の友同盟・B』もマッハで駆け付けた。いい感じのご案内に、スピーカーとアンプらしきものが設置されていることに疑問を抱くはずもなかった。
「これは……素敵なランチセット……!」
シンプル&スタンダードながらも主食・主菜・汁物が揃っている。
しかも自分たちが頑張って収穫した山菜が使われているとなれば、その魅力は倍増。
天ぷらに添えられたカレー塩のスパイスの風味が得も言われぬ食欲を刺激する。
汁物の蓋を開けると、立ちのぼる湯気と共に鰹節の香りと中央に浮いた青々とした新芽の香りが合わさり、まさに椀の中の春霞である。
山菜パスタは控えめな細麺に多種の山菜を盛り合わせ、茹でたパスタと刻み海苔の香りが山菜の青さを引き立てる。
「美味そうだ」
手を伸ばしかけた怪人だったが――突如飛来した弾幕の雨あられによって料理とは真逆の方向へと吹き飛ばされる!
「何事だ!」
「もぐもぐタイムではなかったのか!?」
究極のおあずけ状態に、怪人たちも混乱している。
「罠だったのか!」
カイムの姿を見つけたコショウ(怪人)がコショウ(兵器)を風に舞い散らせる。
しかしその攻撃は音圧に掻き消され、逆に衝撃波で自分達がコショウ(兵器)でジェノサイドされる羽目になった。
「美味しい、ごはんですよ~♪」
食べさせてあげるとは一言も言ってないシャルの応援ソングは怪人たちの心をぽきぽきと折る。
しょうゆはしょうゆリフレクション(UC)を試みるが、事前に見ていない攻撃を防ぐことはできなかった。
途方に暮れる怪人をカイムの二丁銃が捉え、次々と蜂の巣にしてゆく。
「知っているか……マヨネーズは天ぷら衣の卵代わりに使うと、カラッとさくさくになる……」
二人分作るのに卵1個が多すぎる時にも使えそうな謎の自己主張メッセージを残して、最後の怪人もその場に斃れ消えていった。
大成功
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駆爛・由貴
ボアネル(f07146)と出撃
山菜…苦いのはちょっとなー
とはいえこのままアイツらに好き勝手されるわけにゃいかねーな
よっしゃ!気合い入れていくぜ!
まずは俺の【万能機械】を発動
戦闘以外にも色々役立つコイツらでボアネルのアシストをするぜ
切ったり混ぜたりアク抜きのために軽く水にさらしたりだな
俺も道具を運んだりして手伝うぜ
しかし良くこんな苦いモンを食おうとするよなー…
アイツらが出来上がった料理に群がってきたらボアネルと連携を取って攻撃開始だ
多数群がってきたのを見計らってアシスタントをしていた万能機械達で一斉射撃だ!
引きつけすぎて食い終わられないようにはしねーとな
強制ゲームオーバーになる前にぶっつぶすぜ!
ボアネル・ゼブダイ
由貴(f14107)と出撃
冬を耐えた山菜は生命力と滋味に溢れた食材だ
ここで採り尽くされるわけにはいかんな
由貴と協力をして私がメインで料理を進める
事前に人工血液セットで吸血し【血呪解放】を発動
素早く動けるように身体能力を上げる
まずはふきのとう
これは天ぷらにして塩のみで食べる
次にタラの芽
小振りな物は天ぷら
開いて大きくなり出した物はゴマ和えで
山ウドは茎を軽く酢水に浸してアク抜き
これでそのままでも食べられる
春の料理には苦みを盛れと言う諺もある
この苦みが身体にはとても大事なのだ
出来上がった料理に敵が集まったら
由貴と連携して【フランマ・スフリス】で一気に攻撃を行う
貴様等の最後の晩餐だ
よく味わうがいい
「しかし良くこんな苦いモンを食おうとするよなー……」
万能機械(マルチパーパス・ポッド)を召喚した駆爛・由貴(ストリート系エルフ・f14107)は、その自律式ポッドに調理器具との調整を行わせる。
「春の料理には苦みを盛れと言う諺もある。この苦みが身体にはとても大事なのだ」
ダークセイヴァー出身のヴァンパイアとは思えない程、異世界の文化に精通したボアネル・ゼブダイ(Livin' On A Prayer・f07146)は、山菜の良さを語る。
「冬を耐えた山菜は生命力と滋味に溢れた食材だ」
積み上げられた食材の品定めをするボアネルの眼はまさに料理人。どちらかといえば雇い主が似合う彼も、今は血呪解放によって身体能力を高め万全の構えだ。
タラの芽の開いたものと小ぶりなものを、用途によって分けている。
そんな相棒の様子を頼もしく思いつつ、由貴は山菜の下拵えを手伝う。皮を剥き短冊に切り酢水にさらしてみると、癖の強かった採りたて山ウドの匂いがまろやかになった。
「これでそのままでも食べられる」
「へぇ……?」
ボアネルに促されて一切れ味見する。セロリにも似た香りと食感がしたが、それよりもっとまろやかで筋もなく柔らかい。噂に聞くほどの強いえぐ味もなかった。
「この要領で続けるぞ」
「よーし。働け! お前ら!」
由貴自身もある程度手伝うが、人海戦術のごとく大量の自律型ポッドが利用できるのは作業効率的に大きい。
天ぷら一切れ一切れにタイマーと温度計を一つずつ当てるような繊細な調理も可能となり、速さを強化したボアネルの持ち前の料理センスもあり、程なくして四品を作り出すのだった。
「匂うぜ……こいつは『何かを料理している』匂いだッ」
目(鼻?)ざとい『食卓の友同盟・C』が下山してくる。
丁寧に盛り付けられた山菜料理を見つけると、その出来に感嘆する。
「ふきのとうの蕾に薄い衣……まるで菫の砂糖漬けのように美しいじゃないか……」
「いただきまーす」
「ずるいぞ、俺も!」
抜け駆けは許さんとばかりに、我先に食べ始める。
一口、二口。同じタラの芽でも天ぷらと胡麻和えでは風味も食感も違いまるで別の野菜のようであったし、合間にふきのとうをつまめばほろ苦い春が口の中で広がる。
山ウドは添えられた酢味噌をあえて付けなくとも僅かな下味として残った酢の風味だけでシャキシャキのサラダのように食べられる。酒があれば何杯でも進みそうだった。
「貴様等の最後の晩餐だ。よく味わうがいい」
そして怪人たちがテーブルの上に釘付けとなった隙に、ボアネルが背後からうつくしい黄金の剣を突き付ける。
血を求める剣の切っ先は、怪人を貫かんと煌めいているようにも見えた。
「なっ、……猟兵か」
気づいたころには時すでに遅し。
由貴の操る万能機械が周りを完全に包囲していた。
「せめてもの慈悲だ。食べ終わるまでは待ってやろう」
残っていた『食卓の友同盟・C』も滅ぼされた。
こうして、『シュウカクフードバトル』の一角、山の幸・春編は、猟兵側の完全制圧で勝利となったのである。
大成功
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