バトルオブフラワーズ⑥~デブリフィールド・ダンサーズ~
「タイヘン、タイヘンゴ迷惑ヲオカケシテオリマス」
野外ステージらしい空間の中心に、真っ黄色の体が印象的な機械が立っている。
「コノステージハ、コノステージハワタシドモガ占拠シテオリマス」
キュイイイイイイイン。特徴的な回転音を立てて、腕のドリルを起動する重機。みれば、ステージ上は既に掘削が行われ、瓦礫が散らばる空間になっていた。
「ワタシヲドカシタケレバ、イケテルダンスヲ披露スルコトデス。トハイエ、瓦礫マミレノコノ場デダンスナドデキレバ、ノ話デスガ」
なんと卑怯なりオブリビオン!だが、猟兵をあまりなめてはいけない。この程度の苦境など、彼らにとっては問題ない。さあいけ、オブリビオン!
●
「やほやほ、みんな!キマイラフューチャーが大変だぜっ!」
己の故郷の危機だというのに、随分緊張感のない――むしろ、楽し気とすら言える態度で、ウェンディ・ロックビルは猟兵たちに呼びかける。あるいは、これすらもキマイラらしいというべきか。
「もう知ってると思うけど、僕らの世界の中心――システム・フラワーズっていうらしいんだけど、そこがオブリビオンに乗っ取られちゃったんだって!」
システム・フラワーズを解放するための『メンテナンスルート』が用意されたのはいいが、フラワーズの周囲には6つの『ザ・ステージ』なるものがあり、それらを全て取り戻さない限り、フラワーズにたどり着くことはできないのだという。
「今回、君たちに挑んでもらうのは――ザ・ダンスステージ!……僕が行きたいくらいだよぉ」
各ステージには、特殊なルールが戦闘するのだという。ザ・ダンスステージのルールは、言うまでもなく、ダンスに関連するもの。
「この戦場のルールは、『ダンシングフィーバー』!ここでの戦闘は、以前みんなが助けてくれたテレビウムさんたちを通じて、キマイラフューチャー中に中継されるんだって!それで……“カッコいいダンスをキメればキメるほど、みんなは有利になる”。わかりやすいねっ!」
戦闘の中にダンスを組み込み、そのパフォーマンスが視聴者を感動させれば、感動の深さに応じて『フィーバー』が発生する。フィーバーが発生すると、猟兵たちの攻撃の威力が上昇するのだという。代わりに、フィーバーを巻き起こせなかった場合は――。
「その結果は半減。わかりやすいねっ!イケてるダンス、期待してるぜっ!」
「ちなみに今回の敵さんだけど……じゅーきです」
重機。復唱するグリモア猟兵たち。
「そう、重機。ドリルをふるってコンクリートを掘削する、はたらくオブリビオンさん、だって」
曰く、その結果として、周囲はひどく足場が悪いのだという。
「瓦礫を投げつけられたりもするし……。そんな中でダンスしながら戦うなんて、たーいへん」
でも、だからこそ燃えるよね、と、グリモア猟兵は挑発的に笑う。
「さ、いこーぜみんな!さいきょーのパフォーマンス、みせちゃおっ!」
月光盗夜
戦争ですね、月光盗夜です!
さてさて、今回は、ザ・ステージを解放すべく、みなさんには重機オブリビオンと対峙していただきます。また、今回のシナリオはリアルタイム執筆をいたします。可能な限り早くリプレイを返却いたしますので、プレイング〆切は「🔵到達時」といたします。
なお、今回は速度を重視する関係上、連携描写はいつもより控えめになるかと思います。合わせプレイングについてはいつも通り歓迎いたしますが、〆切に間に合わなかった場合はご容赦ください。
また、以下に改めて、本戦場のルールを記載しておきます。ご参考にしていただきますようお願いいたします。
●ダンシングフィーバー
このシナリオフレームでは、『ダンシングフィーバー』という特殊戦闘ルールが適用されます。
この戦場の戦闘は、テレビウム・ロックで救出したテレビウムの画面を通して、キマイラフューチャー中に中継されています。
戦闘中の立ち回りに、ダンスパフォーマンスを披露して視聴者を感動させる事ができれば『フィーバー』が発生して、その攻撃の効果が2~5倍にパワーアップします。
逆に、フィーバーが発生しなかった攻撃は、その効果が半減以下になってしまいます。
華麗なダンスと戦闘を融合させ、敵を撃破しなければなりません。
第1章 ボス戦
『マルチプル・アースムーバー』
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POW : タイヘン キケンデスノデ チカヅカナイデクダサイ
【放り投げた瓦礫や、ドリルの一撃など】が命中した対象にダメージを与えるが、外れても地形【を塗りつぶし】、その上に立つ自身の戦闘力を高める。
SPD : シャリョウガ トオリマス ゴチュウイクダサイ
【ブルドーザー形態による猛烈突進攻撃】を発動する。超高速連続攻撃が可能だが、回避されても中止できない。
WIZ : ゴメイワクヲ オカケシテオリマス
【排気マフラー】から【環境に厳しい有害物質たっぷりの黒煙】を放ち、【強烈な粘膜刺激と視界の悪化】により対象の動きを一時的に封じる。
イラスト:おおゆき
👑11
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴
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種別『ボス戦』のルール
記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※このボスの宿敵主は
「💠グァンデ・アォ」です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
草野・千秋
キマイラフューチャーの危機と聞いて
駆けつけてみたら、なんだかなんでか
お祭り騒ぎのような!?
僕にはちょっとさっぱりですが
実は自分地味キャラに見えて
日夜ダンスと歌のパフォーマンスの
レッスンは欠かしていませんよ
歌って踊れる正義のヒーロー目指してますから!
(ぐっ)
いくぞ!
(マシンベルト発動)
ダムナーティオー、推参!
UCで歌と踊りを披露
ダンサブルな歌を歌唱しながら
華麗にパフォーマンスをしますよ!
歌い手、パフォーマーとしての矜恃があるんだ
負けられない
ついでに範囲攻撃も味わうといい
マルチプル・アースムーバー!
戦闘場面は2回攻撃、怪力、勇気、衝撃波を使用
武器改造による炎の属性攻撃も忘れずに
アドリブ等歓迎
「キマイラフューチャーの危機と聞いて駆けつけてみたら、なんだかなんでかお祭り騒ぎのような!?」
今回の事件すらもお祭り騒ぎのようにしてしまうキマイラたちに、生来の真面目な性格ゆえかいささか困惑を隠しきれないのは草野・千秋(断罪戦士ダムナーティオー・f01504)である。だが、そうはいっても、動画投稿者たる身としては、この世界に愛着はある。危機と聞いては黙っていられない。
「とはいえ、ダンスと聞いては黙ってはいられません!僕、こう見えて歌って踊れる正義のヒーロー目指してますから!」
意気込みとともに起動するのは変身ベルト。決意とともにこのベルトに力を注いだ時、草野・千秋は断罪戦士ダムナーティオーに変身するのだ。
「さあ、覚悟しろ、マルチプル・アースムーバー!」
そうして、彼のリサイタルが始まった。歌い上げるのは、己で生み出した夢と希望の歌。耳を奪う清廉な歌声に対して、言ってしまえば、凡庸と言わざるをえない歌だ。しかし、彼にはこの歌を歌いたい理由があった。
「タイヘン、ゴメイワクヲオカケシテオリマス」
己の五感を直接汚染し、苦痛を与える毒の煙に咳ごみながらも、必死に歌い上げる千秋。そう、その理由こそは、歌い手として、踊り手としての矜持が故。苦しみながらも歌う姿に、その姿を見るキマイラたちは心を奪われた。
がんばれ……!どこかの誰かからの声に、心が奮い立たされる。
「くらえ――ッ!」
フィーバー!炎を纏ったキックを喰らった重機は、大きく黒煙を吹かす。
成功
🔵🔵🔴
荒・烏鵠
@SPD
アラま、まーた戦争……ッてかパフォーマンス合戦?キマイラ世界は戦争もフワッフワだな?
ならちょーどいいユベコがあらァ。
【万両役者】発動!キレッキレのブレイクダンスにカポエラ系の足技混ぜつつ攻撃したり、腕を振る動きに合わせて妖力込めた神符を投げて爆破したりして戦うぜ。シナトも頑張って尻尾振ったり飛んだり跳ねたりしてネ。
組紐を巻き付けて相手の動きを邪魔したり、輪っかを首に引っかけて端っこをキャタピラに巻き込ませてグエーッてさせたり、マ、戦い方は色々あらァな。
最後は手の上にシナト乗せて決めポーズ、のちカメラ目線で一礼!
「アラま、まーた戦争……ッてかパフォーマンス合戦?キマイラ世界は戦争もフワッフワだな?」
荒・烏鵠(古い狐・f14500)は中性的な美貌に、ケケケ、と苦笑を浮かべる。
「マ、そういうことならちょーどいいユベコがあらァ。古狐を舐めンじゃねーゼ?」
パン、と手を叩いたかと思うと、そのまま大きく側転するように重機に肉薄する妖狐。
「さァさ、化けて終わりじゃ能がねェ。オレサマの舞を見ていきナ!」
長い赤髪を翻しながらのブレイクダンス。いや、それだけではない。大きく振り上げた脚を瞬く間に敵に打ち込み、あるいは片手を地に着け、片手を振った拍子に、妖力を込めた神符を投げて爆破する。ダンスと戦闘の華麗な融合。これこそは、彼のユーベルコード、「万両役者」の為せる業である。
「――!」
赤髪の妖狐の傍らで、鳴き声を上げながら飛び回る小さな影があった。飛び上がって組紐を重機にひっかけたり、噴き出すセメントを風の力で逸らしたり。この小さな影の正体は、烏鵠の従える風の精霊、科戸の狐精である。
「チョロチョロト、ヤッカイナ……!」
業を煮やしたらしいマルチプルアースムーバーが、ドリルをシナトに向けたその瞬間。ここが引き時と見た烏鵠は、シナトを抱えてバク転のごとく飛び上がり、退くのであった。
「こンなとこだろ。ご苦労さん、シナト!」
手の上にシナトを乗せた烏鵠は、中継を行うテレビに向かって一礼。すっかり息を飲んでいたテレビウムの前の少年少女たちも大興奮。
フィーバー!湧き上がる拍手に、既に刻まれた打撃痕が、大きな音を立てて爆ぜるかのごとく、重機が揺らいだ。因果が逆転しているが、これもまた、この戦場のルールである。
大成功
🔵🔵🔵
サン・ブルーローズ
あっはははーっ!
このボク……じゃない、オレにダンスで挑もうなんて甘いねっ!
いいよ、見せたげるよ!
オレのカッケーダンスをさ!
(UC【雷轟電転】を使い蒼雷を纏い、舞う様に相手の攻撃を避け、カウンター狙い)
ほらほら、こっちこっち、当ててみなっ!
ふふん、そんな力任せじゃ喰らわないよーだっ!
さぁて、そろそろこっちから行くよ?
これ食らって立ってられっかー!
ビリビリバチバチ、オレに見惚れて痺れちゃいな!
(相手に剣を突き刺し、最大放電)
よしっ!ボク、もうすっからかーん!
後は任せたよ、みんな!
(ささっと後退し、撤退。)
「あっははははーっ!このボク……じゃない、オレにダンスで挑もうなんて甘いねっ!」
高らかな笑い声とともに走るのは、青い閃光。
「キケンデス、キケンデス。キケンデスノデ、オサガリクダサイ」
いや、閃光と見紛う、小柄な人影だ。その名はサン・ブルーローズ。可愛らしい妖精の見た目には幾分見合わぬ、粗野な装備の冒険者である。
「さあさあ、ダンスがご所望なんだろっ!一曲オレと踊ろうぜ!」
そう言って、彼女がその場で大きく飛びあがると、全身が青い稲妻に包まれる。雷轟電転。全身を包む茨の如き紋様を介し、彼女の魔力を雷へと変換するユーベルコードである。
「ケイコク。掘削シマス。石礫ニゴ注意クダサイ」
雷速、閃光、何するものと、ドリルの腕が少女を襲う。
「へへーん、当たりゃしないぜっ」
無論、そんな大ぶりな攻撃が当たるはずもなく。少女は踊るかのように華麗につぶてを避ける。雷速の身のこなしが敵の腕を避ける度、空間に幻想的な蒼い軌跡が刻まれていく。画面を埋め尽くすかのような蒼い閃光に、視聴者たちも大きくどよめいた。応援の力だろうか。いつも以上に体が軽いことを感じたサンもは、小さく笑う。
「ダガ……マダマダココカ」
「まだまだここからはこっちのセリフだっ!そろそろこっちの番だぜ!」
攻撃を避けられても、余裕ぶった声で、セメントを噴射しようとする腕に、小さな小さな剣が突き立てられる。
「ビリビリバチバチ、オレに見惚れて痺れちゃいな!オレは人呼んで――サンダーダンサー!」
最・大・放・電!蒼き光がセメントを巻き込んで重機の体中を襲う。
「よしっ!ボク、もうすっからかーん!いつも以上に放電したからへとへとだよー」
ていっ、と黒煙を上げるマルチプル・アースムーバーを可愛らしく蹴ると、雷の踊り手は、普段の気張った態度の面影もない可愛らしい様子でふらふらと飛び去って行くのであった。
大成功
🔵🔵🔵
アポロダスト・ディラマティウス
【アドリブ歓迎】
ヘーイ!!!ダンスのことならワタシの出番デース!!!
キマイラフューチャーの未来はワタシが守りマース!!!
【wiz】
どうやら煙を放つみたいですが、重力がなければ関係ありまセーン!
『無重力舞踊(ゼログラビティダンス)』で敵さんの周囲の重力をなくしマース!
ふわふわ浮いた相手にダンス神拳を叩き込みまーす!
フィーバー!!フィーバー!!
はらはらとテレビウムを見つめる少年少女は、目を丸くした。というのも……。
「ヘーイ!ダンスのことならワタシの出番デース!!キマイラフューチャーの未来はワタシが守りマース!!!」
ステージも。視聴者も。視線は彼女に釘付けである。彼女の名はアポロダスト・ディラマティウス(踊り踊らば踊りまSHOW!・f17392)。彼女が大きく指を突き上げると同時、どこからともなくスポットライトが彼女を照らし出し、流れ出たムーディなBGMが周囲に響く。
視線は彼女に釘付けである。ならざるをえない。
「…………キケン」
それまでのつとめて慇懃かつ機械的な口調と裏腹に、短い警戒の声とともに、噴き出した毒の黒煙が彼女を狙う。
「Oh!ドクドクの煙、怖いデスネー!デモ……」
そう言って、彼女はスピンを始める。ばるんばるん。ものすごい恰好をしている彼女のものすごい胸も揺れる。大変だ。そして、スピンが最高速に達したとき……。
「トーウ!」
ジャンプして、着地。発生した衝撃波はしかし、敵を襲うにはほど遠く。だが、その衝撃波を浴びたステージの重力は、彼女の意のままに奪われる。
重力を奪われれば、どうなるか。そう。
「モクモクは、ソラに消えていってしまいマスネー!」
衝撃波は次第に減衰し、オブリビオンを直接浮かび上がらせるには至らない。だが、足元が緩んだ、その隙でも十分。ステップを踏むように肉薄し――。
「フィーバー!!」
えっ、あっ、はい!フィーバー!場の空気は今、全て彼女が支配していた。そしてそのまま叩き込まれるのは。
「アチョー!」
ボディ……というのが適切かはわからないが、重機の体の中心部。武道と舞踊を高度に組み合わせた彼女のダンス真拳は、オブリビオンを大きく宙に吹き飛ばすのであった。
大成功
🔵🔵🔵
リコリス・ミトライユ
※絡み・アドリブ歓迎
ダンスしながら……。
つまり、いつもとあんまり変わんない……はずです。
いっぱいのひとに見られてしまうのは、すっごい緊張しますけど。
とん、と踵を鳴らしてブーツと【スカイステッパー】の力でふわりと浮かびあがって、
これで地面が悪くっても、関係なく踊れます。
くるくる、縦回転の宙返り、横にも回って。たまに大きく跳ねて。
どうしても避けられそうにない瓦礫とかは、拳でたたき落として。
そんなダンスで相手のほうに近づいていきますっ。
体のわりに細そうな脚、ですよね……。
ダンスのついでに体をかがめて、おもいっきりキック!
さすがに折れたりしなくっても、転んだりしてくれれば、
隙を作ることもできますしっ。
浅葱・シアラ
ダンスバトル?えへ……楽しそう……!
小さな妖精だって、華麗なダンスができるってところ、魅せてあげるんだから……!
使用するユーベルコードは「胡蝶閃」
お母さんからもらった希望の光を纏う華麗な蝶々は、お父さんの持つ妖しくも暖かい紫色を纏って、シアラと一緒に戦うの!
技能【高速詠唱】によって早く、何度も、何度も光の蝶々を呼び出してシアの周りに沢山の光の蝶々達を飛ばせてあげるの!
見て、これが妖精と光の蝶々の素敵な光の舞踏!
恥ずかしいなんて言ってられないよね、だって、踊ることはこんなに楽しいんだもの!
えへ、オブリビオンの重機さんはついてこられる?
最高に盛り上がった所で、沢山の光の胡蝶閃、お見舞いしてあげる!
「ダンスしながら……。つまり、いつもとあんまり変わんない……はずです」
すー、はー、と深呼吸するリコリス・ミトライユ(曙光に舞う薔薇・f02296)。世界の危機と言われて戸惑ったものの、自分がやることはいつもと変わらない。
「いっぱいのひとに見られてしまうのは、すっごい緊張しますけど」
よし、と、人見知りをする自分に気合を入れるように拳を握ると、リコリスはとん、と踵を鳴らし、大きく跳びあがった。そして、そのまま空を蹴るようにステップを踏み、滑るように舞い踊る。スカイステッパーたるゆえんである。
「瓦礫があったって、これなら関係ない……ですよね!」
「わわっ!リコリス、素敵な踊りだね!」
彼女の踊りに惹かれるように、淡い光を纏いながら飛んできたのは浅葱・シアラ(黄金纏う紫光蝶・f04820)である。翼をもつ彼女にとってみれば、そもそもこのような瓦礫は気になるものではない。
「ダンスバトル?えへ……楽しそう……!小さな妖精だって、華麗なダンスができるってところ、魅せてあげるんだから……!」
好奇心旺盛な彼女は、わくわくした様子で踊り始める。リコリスと同じく、元来引っ込み思案な彼女ではあるが、友人であるリコリスがいるからか、前向きに臨んでいるようであった。
「さあ、おいで、蝶々さんたち!」
彼女の呼びかけに応じて現れるのは、光の蝶の群れ。紫色の淡い光を纏って優しく輝く蝶々は、シアラと触れ合うようにたのしく周囲を羽ばたき始める。
「もっともっと、たーくさん!おいで!」
たくさん、たくさん、たーくさん!数え切れぬほどの蝶が呼び出され、金と紫が溶け合ってゆく。
「さあ、みんなでおどろ!」
「うん、あたしも負けてられません!」
時に宙返り、時に横に回転。たまに着地する瞬間すらも、スピンを交えてダンスとして魅せるリコリス。一方のシアラも、ダンスの心得はないなりに、己の友たる蝶たちとともに、リコリスの踊りに追従し、画面を彩る。大小二人の妖精と、金紫の光が織りなす幻想的な光景に、観客の心もどこか温まるようであった。
「……力が湧いてきました!」
「うん!そろそろ決めちゃおう!」
フィーバー!二人の体に力が湧いてくるのと、空高く打ち上げられた重機が程よい高さまで落下してくるのはほぼ同時。
「いっ、け――っ!」
「いくよ、みんな……!胡蝶閃!」
リコリスのキックと、シアラの胡蝶閃の同時攻撃によって、オブリビオンは轟音を立てて地面に叩きつけられるのであった。
大成功
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天命座・アリカ
つまり踊ればいいのかい?得意分野さ任せたまえよ!
華麗に舞うのさ天命座!スポットライトを独り占め!
お見せしようか天才の秘儀!一秒たりとも見逃すな!
でででっででー!瓦礫の中から登場さ!待ち望んだかい天才美女だ!
さあ、ステージを始めよう!お代はみんなの笑顔だぜ!
瓦礫まみれ?穴だらけ?なるほど確かに整ってなく!
嗚呼、だがしかし!その程度の事で!天才の足が止まる理由になるだろうかいならないね!
場所を選ぶのは二流であれば!天才はだね一流以上!
舞台で天才が躍るのではなく!天才が躍るからの舞台だよ!
アスレッチックに飛び跳ねようか!飛んでくるのも踏み台にして!
ドリルだってなんのその!スピンキックをお返しだ!
「キケン……キケン……ガガッ」
さすがは重機、とでもいうべきか、地面に叩きつけられてなお、ドリルを回転させながら身を起こそうとするマルチプル・アースムーバー。彼が床にたたきつけられた衝撃と、これまでの戦いによって、周囲は酷い惨状になっていた。
「けっほ、けっほ……」
小さく咳き込みながら、瓦礫の中から姿を現す人影ひとつ。彼女はぱんぱん、と己のピンクブロンドの髪や淑やかな服についた汚れを払うと、いつもの調子で可憐でありながらもよく通る声を張り上げる。
「ンンッ。瓦礫の中から登場さ!待ち望んだかい天才美女だ!さあ、ステージを始めよう!お代はみんなの笑顔だぜ!」
彼女こそは天命座・アリカ(自己矛盾のパラドクス・f01794)。天才となんとやらは紙一重を体現する女である。
「踊りは得意さ任せたまえよ!華麗に舞うのさ天命座!スポットライトを独り占め!お見せしようか天才の秘儀!一秒たりとも見逃すな!」
朗々と語りあげ、くるくる、くる、とその場で回転を始めるアリカ。ここからは、彼女の時間である。歌って踊るは天命座。なんのそのだよ瓦礫も穴も。瓦礫を避けるもダンスの一部。どうだい見とれちゃいけないよいや存分に見惚れるといい!
「嗚呼、そうだ!この程度の事で!天才の足が止まる理由になるだろうかいやならないね!」
舞台で踊るが天才ではなく。舞台にするのが天才なのだ。効率が悪いと笑わば笑え。最効率だよ彼女にとっては。自信を持って笑顔で踊れば、みんな夢中さ天才美女に!
「力が増すのを感じるね!みんな応援ありがとう!さあこれでトドメと行こう!スピンキックをお見舞いだ!」
ドリルパンチはジャンプで回避。飛んでくる礫を踏み台にして。くらえ必殺スピンキック!
「盛り上がったかなよい子のみんな!踊って魅せたぜ天命座!次の舞台でまた会おう!」
ザ・ステージの一角を解放した天才美女は、煤けた顔にいつも通りの天真爛漫な笑顔を浮かべて、テレビウムの前の視聴者たちに勝利のサインを決めるのだった。
大成功
🔵🔵🔵
最終結果:成功
完成日:2019年05月02日
宿敵
『マルチプル・アースムーバー』
を撃破!
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