バトルオブフラワーズ③〜臭いも防げ!防衛施設構築戦争
●「聞いての通り、薄々予感はしてたけどキマイラフューチャーがやべーことになった」
ヘクター・ラファーガ(風切りの剣・f10966)は真剣な眼差しで集まった猟兵たちを見渡しながら、作戦会議室のモニターを点ける。
ガチャポンのカプセルを開いたかのように、真っ二つになったキマイラフューチャー。今では表面は全て玉虫色の街並みに覆われているが、元は地球だったもの。惑星とはこんな簡単に真っ二つになるようなものだっただろうか。
本来燃え盛る金属のマグマ溜まりだったはずの内核は、真っ二つに開かれたことでその姿を露出していた。
ピンク色の輝く何かに覆われた内核。それこそが今回オブリビオンに侵入を許してしまった全自動物資供給機構『システム・フラワーズ』。
そして、この豪快に割れたキマイラフューチャーの姿こそが、『テレビウム・ロック事件』にて緊急解放された"メンテナンスルート"だ。
「俺にとっちゃキマイラフューチャーが真っ二つになってること自体すでにやべーことなんだが、システム・フラワーズとやらが自分から開いたメンテナンスルートらしい。ビビるわこんなん」
半分真顔で、半分笑いたい気持ちを抑えながらも、次の映像に切り替える。
「あ、蟲嫌いは注意な」
そこにあるのは、大量のガラクタで埋め尽くされた場所。ガラクタの大半は、UDCアースにおける第二次世界大戦以前に使われた兵器ばかり。誰一人キマイラフューチャーの住民はおらず、閑散とした場所にて──巨大化し二本足で全力ダッシュし迫りくるカメムシの怪人集団がやってきた。
そこで映像は途切れる。
「……コイツが、俺が見た予知の内容だ。で、さっきのキマイラフューチャー真っ二つと何が関係あるのかというと」
途切れた映像のシークバーを操作し、最初のシーンのところまで巻き戻す。兵器で埋め尽くされた場所だ。
「ここは周囲を守る6つのエリア『ザ・ステージ』の一つ。『ザ・ビルドステージ』。この場所がもうすぐさっきのカメムシオブリビオンに支配されるから、アンタたちはその場にあるガラクタを使って防衛施設を作って対処して欲しい。回りくどい戦い方になるが、どうやらそうしないと追い出されるみたいでな。
ついでに言えば、カメムシオブリビオンは倒しても倒さなくても臭いから、あんまり殴るのはオススメできない」
と言いながら、彼はグリモアを展開しザ・ステージへの入り口を作る。
その先はキマイラフューチャー世界。であるにも関わらず、ネオン輝く市街その姿はどこにもない。薄暗くガラクタの山が目立つ閑散とした世界だ。
「この『ザ・ステージ』はフラワーズへのメンテナンスルートを塞ぐ感じに出てきてるんだ。コイツはその1つに過ぎない。だから必ずクリアするんだ」
クリアしてもあと5あつあるからな!
無慈悲な宣言と共に、彼はグリモアを拡張した。
天味
天味です。
今回は『バトルオブフラワーズ』シナリオとなります。ギミック盛りだくさん(章は一つ)な集団戦となります。
『ザ・ビルドステージ』では、オープニングであった通り兵器の残骸を利用し『防衛施設』を組み立て、それを用い今回の敵『群れを成す者『ペンタトゥミディア』』を迎え撃つというものになります。施設は一人一つまで。破壊されても普通に戦うことができますが、その場合戦闘力が大幅に減ります。
そして戦闘状況次第で追い出されることがあり、強制敗北となります。
まるでシューティングゲームだ!皆様の築き上げる防衛施設、そしてかっこいいプレイングをお待ちしております。
第1章 集団戦
『群れを成す者『ペンタトゥミディア』』
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POW : 臭気放出(臭い)
【凄まじく不快な臭気】を放ち、自身からレベルm半径内の全員を高威力で無差別攻撃する。
SPD : 絶望的な余韻(臭い)
【十秒前に攻撃されたかの如く臭いを撒きつつ】対象の攻撃を予想し、回避する。
WIZ : バッドスメル(臭い)
【どこ】から【ともなく耐え難い臭気】を放ち、【不快感】により対象の動きを一時的に封じる。
イラスト:笹にゃ うらら
👑11
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴
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種別『集団戦』のルール
記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
ガイ・レックウ
【POW】で判定するぜ
【戦闘知識】と【拠点防御】のスキルをフル動員して防衛施設(大砲数門と近距離迎撃用のAI操作の機関銃そして火炎放射器たくさんを備えた火力重視のもの)をくみ上げてやるぜ!!弾幕はパワーだ!!【2回攻撃】、【範囲攻撃】のスキルを使用したアサルトウェポンと防衛施設の設備の一斉射による弾幕を見せてやる!!
オーラ防御でにおいの対策をしつつ、ユーベルコード【天砕く紅の流星群】でにおい事焼き払ってやらぁ!!
【WAVE1】
「あのカメムシが来るまで、まだ余裕はあるな」
しんと静まり返ったガラクタ平原の上で、ガイ・レックウ(相克の戦士・f01997)は辺りを見渡しながら早速行動に移る。
まずは元々戦艦の装甲であっただろう鉄板を集め、次に大砲を作るための砲塔を探す。鉄板はすぐに見つかるが、砲塔は中折れしていたり、サイズが大きすぎるものだったりと、ちょうどいいものが見つからない。
今度は近距離迎撃用の機関銃、そして火炎放射器になるようなものを探す。機関銃は山ほどみつかり、空になった消火器は火炎放射器の材料になるため即採用。
拠点防衛における戦闘知識をフル動員した彼は、イキイキと集めた材料を元にパズルを組み立てるように防衛施設を築く。兵器の残骸山は、いつの間にか防衛線を築くためのワークショップと化していた。
「いよっし、完成だ!」
出来上がったものは、汎用的(シンプル)な攻防一体の防衛施設。大砲二門、機関銃六門、火炎放射装備のカーテンウォールだ。大砲は両脇にあり、六門の機関銃はその間を均等に並ぶように配置されている。火炎放射器はその下、壁の中心に空いてある穴が噴出孔で、近づいて攻撃しに来た者を直に焼き払う仕組みになっている。
本来であればAI操作で動かすつもりだったが、ここにはそれを行う装置や部品がなく、自動化はできなかった。しかし作りたいと思ったものは十分築き上げた。ガイは完成した防衛施設の上で、静かに迎撃対象を待つ。
「……いいタイミングじゃないか」
僅かだが、奥からズドドドドと大量の何かが地面を蹴る音が響く。それは徐々に大きくなり、やがて遠くからでも姿を視認できるほどそれは近づいてきた。
『群れを成す者『ペンタトゥミディア』』。カメムシが二足歩行で徒党を組み走って来る。
いるだけで臭い。攻撃も臭い。倒しても臭い!脆く倒しやすい、しかし倒されてもなお攻撃できることを理解している彼ら。まさに神風の勢いで、ペンタトゥミディアたちは防衛施設へ向かって全力疾走する。
接触まであと数百メートル。ガイは背後の操作盤にあるレバーを四つ降ろし、攻撃を始めた。
「いけェッ!!」
直後、薄暗い空間の中に四つの火が姿を現した。
リズミカルに強烈な炸裂音を放つ四本の機関銃。足元にある操縦ペダルを踏み常に角度を変えながら、全体に炎をばら撒く。
神風特攻、そして集団で迫り来ているおげか、雑に撃っても必ずペンタトゥミディアに着弾する。むしろペンタトゥミディアが自らが射線上に飛び込んでいることもあるからかもしれない。
飛んで火にいる夏の虫とはこのことだろうか。否、夏の虫は死んだ後で独特の苦みを感じさせる臭いを放たない。
硝煙に混じり、ペンタトゥミディアの臭いが流れ込んでくる!
「うぉくっっっさ!!」
あらかじめマスクのように口と鼻にオーラを纏わせ臭い対策をしていたが、それでも臭いは防ぎきれなかった。だが、むせて吐き気を催すほど苦しくはない。ガイは手を緩めることなく、もう二つのレバーを降ろしさらにバルブを解放。
残り二門の機関銃と、火炎放射装置を起動した。
「くっせぇなぁ……そろそろ行くか」
数百メートルと離れていたペンタトゥミディアらだが、倒しても倒しても数が減ることなく百メートル圏内まで近づいてきている。オーラで臭いを軽減させているとはいえ、倒されたペンタトゥミディアの数に比例してオーラが効かなくなりつつある。
ガイは覚悟を決め、二門の大砲を起動するレバーを降ろした。
「このくっせぇ臭いごと、焼き払ってやらぁ!主砲用意──」
大砲の中に砲弾は装填されていない。レバーを起動しても、それは大砲の安全装置と砲門を解放するだけだ。
では何を撃つのか。それは、
ユーベルコード『天砕く紅の流星群(クラッシュメント・シューティングスター)』が生み出す、天より降り注ぐ真紅の炎。
「撃てェッ!!」
この兵器の残骸の山ごと焼き尽くすような、無慈悲な隕石だった。
【WAVE1突破】
成功
🔵🔵🔴
ファン・ティンタン
【WIZ】臭いに捲かれて溺死しろ
臭い、その一言に尽きるよ
あなた達…いや、お前らの厄介なトコロは、
倒しても、倒さなくても、そもそも何もせずとも臭くなるトコロ
ホンッット、嫌な奴らだよ
【精霊使役術】でウンディーネを呼び、【コミュ力】と普段より過剰な魔力供給で何とか協力を仰ぐ
お願い
ほんっと、お願い
奴らを倒すには“機密性”が重要だから
後々の水の浄化用の魔力も、割り増しで出すから、そこをなんとか…ね?
瓦礫を組み合わせて即興の檻を作る
適宜水で穴埋めし一切の隙間を無くすことで密室化
その上で、敵が何かする間もない【早業】をもって、魔力水の波濤で完全に包み、檻へと収監していく
…さて、自らの臭いで、窒息するといいよ
【WAVE2】
「臭い無理」
ファン・ティンタン(天津華・f07547)が降り立った直後に言い放った一言が、薄暗いガラクタ山に溶け込む。
先ほどの戦闘の爪痕が残る中、ティンタンは早速準備に取り掛かる。
まず最初に、彼女は精霊を呼び出すことにした。ユーベルコード『精霊使役術』を発動させ、自然現象を起こしそこから精霊を顕現させる。
今回呼び出したのは、ウンディーネ。水の精霊だ。
「お願い。ほんっとお願い!」
パンッと手を合わせ、ティンタンは頭を下げてウンディーネに懇願する。
驚愕と困惑の半々な表情を浮かべるウンディーネは、まずは何をすべきかをティンタンに聞いた。
「あの超絶厄介なカメムシが集団でやってくるの。奴らを倒すには"機密性"が重要だから……」
カメムシと聞き、ウンディーネはようやく理解する。
ティンタンのやろうとしていることは、命に関わるほどの過剰なまでの魔力を要求する。それでもいいのだろうか?と質問をすると、彼女はこくこくと頷いた。
カメムシの集団、ペンタトゥミディアたちが見たものは、巨大なトンネルだった。
こんな場所にあっただろうか?と疑問に思いつつも、トンネルの迂回ルートを探す。だが、トンネルの入り口以外は兵器の残骸で埋まっており、とても迂回できそうにない。
たとえ罠だったとしても、死ぬことすら攻撃になる。その特性を一番理解しているペンタトゥミディアたちは、バラバラに走っていたところを一列に並び、ゾロゾロとトンネルの中へと入って行った。
数十、数百、数千──そのまま万まで行きそうなところで、最後の一匹もトンネルの中に入った。
「──今だッ!!」
その瞬間を狙って、死角から見張っていたティンタンは待機していたウンディーネに指示する。
即席の檻──兵器の残骸で組み合わせたトンネルの中にペンタトゥミディアらを閉じ込めると、そこから隙間を埋め尽くすようにウンディーネが大量の水を放出させる。
その量はさながらダムの放水のようで、そのまま水が膜を作り、小さな隙間だらけだった残骸トンネルから隙間を潰してゆく。
敵に隙を与えさせることなく、全身から魔力を限界まで放出し密閉を急ぐ。これも全て忌々しき臭いを絶つため。倒しても倒さなくても何もせずとも臭くなる絶対悪たる業蟲を抹殺するため。
死ぬ寸前まで力をウンディーネに託す。
「臭いで窒息しろ……!!」
大量の魔力水でトンネルを塞ぎ、密閉が完了した。
あの蟲の量だ。呼吸するための酸素はすぐ尽き、状況を理解した蟲は自身の特性を呪うことになるだろう。今あの檻の中は、仲間の臭いで死に絶え、自分の臭いが仲間を殺すという最悪の悪循環が起きているはずだ。
一仕事を終えたティンタンは、大きく息を吐き残骸にもたれた。
【WAVE2突破】
大成功
🔵🔵🔵
操吊・蜘蛛
んーまぁ蜘蛛の因子のあるボクにとっても、よろしくない相手だなー。ま、いいさ。折角イイモノがあるわけだし、利用させてもらっちゃおう。兵器を蜘蛛糸でくっつけてー、進攻を制限しつつ攻撃を加えられるようにしちゃおう。【罠使い】【戦闘知識】
そいで蜘蛛の巣を張り巡らせる。別にボクが全部始末しなきゃいけないわけでもないし、まーキミたちも虫なわけだしー、こうなっちゃどうにもなんないでしょ?脚が止まったところでひたすら蜘蛛の糸ぶっかけて簀巻きにしてあげよう。
【WAVE3】
量が減りだんだん綺麗になりつつある残骸の溜まり場。
元は兵器だったものの鉄くずが転がるガラクタ山。そこを、ズドドドドと凄まじい音を立てて駆ける集団がいた。
『群れを成す者『ペンタトゥミディア』』。この『ザ・ビルドステージ』における試練の雑魚的。いわば小オブリビオンだ。
目的と本能に従い、ガラクタ山の上を二本足で走る彼ら。その先頭を走る一匹が、何かを見つけた。倒すべき猟兵、ではない。それは白く、バリケードテープのようにあちこちのガラクタに張り巡らされた太い蟲の糸。蜘蛛の糸だ。
張られた位置は低く、ハードル走の要領で飛べば余裕で回避できる。彼らはそう判断し、先頭の一匹が片足をバネにし軽々とその糸を跳び越え──糸に引っかかった。
「!?」
「!?!?」
続いて、二匹、三匹、四匹五匹十匹百匹と、見える糸の上にある細い糸に引っかかる。
空中には近づいて見ないとわからない細い糸が無数に張り巡らされており、彼らの三分の一がこれに引っかかり足止めをくらう。
残りの三分の二は、前方で引っかかり絡まる糸に悶える仲間たちを見て立ち止まっていた。
「んー、予想より多く引っかかったな」
糸を張り巡らせた強化人間の少女、操吊・蜘蛛(アラクネー・f16833)は奥に建てた高台でにんまりとその様子を見ていた。
彼女が作りだした防衛施設は大量の罠。『蜘蛛の巣(スパイダーネスト)』が描く太い糸はブラフ。跳び越えると上に張り巡らされた見えにくい糸に引っかかるという仕組みだ。
「でもどうせなら、一気にみんな引っかかって……ん?」
足をパタパタさせ待っていると、止まっていた残りのペンタトゥミディアの一匹がこちらへ向かって走りだす。見ているのがバレたのか?蜘蛛は立ち上がって勇敢な一匹の様子を観察する。
彼は白く太い蜘蛛の糸の地面に引っかからないよう、減速しゆっくりと歩きだした。姿勢を低くし空中の糸に気を付けながら、丁寧に……太い蜘蛛の糸をうっかり踏んでしまう。
その瞬間、太い蜘蛛の糸に繋げられていたバルカン砲が哀れな一匹に鎌首を向け、火を噴いた。回避する間も、場所もなく、彼は蜘蛛が仕掛けた罠に肉体を蜂の巣にされてしまった。
さらに二機目、三機目とバルカン砲が釣られてペンタトゥミディアたちに顔を向ける。
今ここで走らなければ、撃たれる。だが走った先には蜘蛛の巣。彼らに選択肢はなかった。
「いしょっし!ちゃんと動いた!」
罠を仕掛けた本人はぐっと拳を握り、安堵した様子で高台に座る。
これまで得た戦闘知識を元に作りだした罠。この場にある兵器の残骸と自身の蜘蛛の糸を利用した罠はペンタトゥミディアたちに鉄の雨を浴びせ、蜘蛛の糸で彼らを絡めとった。
元より全部自分の手で始末する気がなかったため、このような罠に特化した防衛施設を組み立てたが、その計画は見事に成功した。
「これなら、待ってたら終わるかな。運よく残ったやつは簀巻きにしてあげよう……くさっ!?」
バルカン砲が次々に彼らを撃ち、どんどん空中糸に捕まるカメムシが増える中、蜘蛛は辺りに充満し始めた耐えがたい臭いに鼻を塞いだ。
【WAVE3突破】
成功
🔵🔵🔴
白鳥・深菜
さて、派手な花火でも上げましょうか。
防衛装置は、牽制用の機関銃と主砲となる大砲による迎撃システムを、風上の位置に用意する。
また、それらを魔力で繋ぎ、容易に【操縦】出来るようにしておく。
敵の集団が現れたら、先ずは牽制用の機関銃で【なぎ払い】、
敵を殲滅しつつ主砲の射線に追い込むようにする。
そして、敵の集団が主砲の射程内に入ったら……
「宿すは<火>の<花吹雪>、放つは真夏の夜の悪夢!」
大砲から【全力魔法】で、でっかい花火をぶっぱなして、爆発させてやるわ。
こんだけカメムシが来たんだもの。猛吹雪、来るでしょう?
ただ、今回のは花火のそれだった、というだけよ。
【WAVE4】
「完成ね。上手くできた感じがするわ」
来て早々、防衛施設を築き上げたキマイラの女性白鳥・深菜(知る人ぞ知るエレファン芸人・f04881)は、最後の機関銃に魔力を繋げたところだった。
内側へ弧を描くようにして建てられた鉄の防壁。そこには牽制用の機関銃が八門、その間に挟まるように置かれた大砲が一門と、敵を追い込むような形の防衛施設が出来上がっていた。
全ての防衛装置は深菜の魔力で繋がれており、いつでも操縦可能な状態になっている。
彼女は大砲後部にある台座に座り、これから来るであろうあのカメムシ集団を待つ。が、すぐにその必要はなくなった。
残骸置き場の奥から、ペンタトゥミディアの群れが走って来る。
「──さて、派手な花火でも上げましょうか」
すぐさま、深菜は台座に取り付けたレバーを掴み、八門ある機関銃を全て稼働させる。レバーを元に送られる魔力が機関銃のエンジンを動かし、一斉掃射を行う。
八本の光の点線が、二足歩行で駆けるペンタトゥミディアの群れを襲う。ペンタトゥミディアは本能に従いその中へ突っ込み自爆したり、グネグネと左右に銃口を傾ける機関銃から放たれる弾丸を避けれず無残な姿になったりと、掃射は効果的に群れの数を減らしてゆく。
しかし、ここでペンタトゥミディアの一匹があることに気づく。襲い掛かる八門の機関銃掃射だが、合計八本の射線のど真ん中だけ妙に弾幕が薄い。
これに気づいたペンタトゥミディアは他の仲間にそれを教え、すぐに隊列を組む。弾幕の中で一列縦隊を組み、そして自身のスメルの射程範囲内まで足を速めた。
「捉えた。さあ行くわよ!」
深菜の想定通り、主砲の射線上にぴったりと沿うように突っ込んでくるカメムシ。彼女はレバーから手を離し魔力の全てを下の大砲の内部へと叩きこむ。
第一波でこの手法を使った猟兵の思想を元に、彼女もまた大砲の中には何も装填していない。これから装填するものは金属ではなく魔力。それも果てしない量を、一撃で全てを消し炭にする念を込めて。
「宿すは火の花吹雪──放つは真夏の夜の悪夢!」
火の粉舞い散る大災害を放つ。『災厄と希望の開放器(パンドーラー・エルピス)』が生み出した炸裂する炎の弾丸は、瞬く間にカメムシの群れを消し炭にしこの薄暗い空間に花火を打ち上げた。連続で爆発し、何度も破裂音を鳴らしながら美しい花吹雪と硝煙を噴かすそれは、肉片の一つも残さずカメムシを皆焼き消した。
「最ッ高の猛吹雪じゃない!素晴らし……くさぁっ!!」
硝煙に紛れてやってきた不快な臭いに鼻を抑える深菜だったが、硝煙と臭いが晴れる頃には全てが終わっていた。
【WAVE4突破】
大成功
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黒影・兵庫
はぁ・・・また虫のオブリビオンですか
虫全体の評価を下げるような行動はホントやめてほしいですね、せんせー
さて、相手は羽虫ですから地雷、有刺鉄線は無意味
機銃で弾幕張ればいいでしょうが空を飛ぶ相手では骨が折れますね
密室なら機動力は殺せますが、死地に飛び込むバカはいない・・・
ならば本能に呼びかけましょう!
まずは密室を作り上げて誘導灯型合金破砕警棒で【誘惑】して呼び込む
ある程度入ってきた連中を【衝撃波】で攻撃!
残った連中は機銃と『蝗害』で呼んだ強襲兵の皆さんとで殲滅しましょう!
ニオイは・・・せんせー、嗅覚いじってもらえます?
焼肉のにおいとかにしていただけるとサイコーです!
【LAST WAVE】
「はぁ……また虫のオブリビオンですか」
ガラクタも残り僅か。綺麗に整地されつつあるこのビルドステージに降り立ったのは、人間の少年、黒影・兵庫(不惑の尖兵・f17150)だった。
「虫全体の評価を下げるような行動はホントやめてほしいですね、せんせー」
彼は自身の体内に宿る教導虫……いわゆる寄生虫を"せんせー"と呼んでいる。呼びかけに応じた"せんせー"は、ドクンと兵庫の体内から準備オーケーの旨を伝えた。
このステージも最終ラウンド。恐らくこれまで戦ってきたペンタトゥミディアは、あらゆる手を使ってでも猟兵をダウンさせ敗北を狙うだろう。数も増え、戦術も恐らく変えてくる。となれば、あのカメムシ集団が学習したことを上回るような戦術的な防衛施設が必要となってくる。
相手は羽虫なため、地雷や有刺鉄線は無意味。強化人間の猟兵が有刺鉄線ではないが地面に糸を設置するタイプの罠施設を使っていた時、カメムシ集団はそれを飛び越えたり慎重にかいくぐっていたりした。
機銃で弾幕を張るもの一手だが、WAVE1とWAVE4で散々機銃の恐ろしさを教えられたカメムシ集団に、今更それは有効的だろうか。
残るは密室。しかしこれもヤドリガミの猟兵が実践済みだ。だが、上述の二つに比べればまだ利用価値はあるだろう。一度しか使われておらず、密室への警戒心も恐らく薄い。
兵庫は、この密室に一手間加えることを考えた。
飛んでいた。
なんと、走るペンタトゥミディアと、飛ぶペンタトゥミディア。それぞれが横隊を組んでやってきたのだ。
土煙に混じり羽虫特有の飛行音がこの空間に鳴り響く。
彼らの走行射線の先にあるのは、ちょっと大きめの密室。周囲はガラクタで塞がれておらず、そのまま迂回して通ることもできる。
だが、密室からぼんやりと光るピンク色の靄が、ペンタトゥミディアたちの視線をくぎ付けにした。
「誘導灯型合金破砕警棒がいい感じに誘ってますねぇ」
ピンク色の光を放つもの、誘導灯型合金破砕警棒が、中を照らすランプのように密室に吊り下げられている。走るペンタトゥミディアも、飛ぶペンタトゥミディアも、みなその光に誘惑され、迂回路があるにもかかわらず密室の中へそ入ってゆく。
数十、数百、数千……万と入ってもまだペンタトゥミディアがいて入りきらない。
だがこれでいい。
「今だッ!」
兵庫は手に持っていたロープを手放し、密室を照らす警棒を地面へ激突させる。数10tの負荷にも耐えることができる合金の警棒は、地面接触した瞬間超巨大な衝撃波を発生させ、密室に入り込んだ哀れなペンタトゥミディアを衝撃波だけで破砕した。
密室の入り口が吹き飛び、衝撃波が外にも伝わる。ペンタトゥミディアという火薬を詰め込んだ密室は、瞬く間に爆弾となって迂回しようとした堅実なペンタトゥミディアたちも巻き込まれる。
勝負は、ほぼついたと言っていいだろう。残るペンタトゥミディアは数百匹程度。密室の先には念のために用意した機銃と『蝗害(コウガイ)』という名の恐ろしく咬合力の強い羽虫が110体も待ち構えているのだから。
もはや負ける要素がない。
「ヒューッ!焼肉のにおい、サイコーですねぇ!」
最後の抵抗にと突っ込むペンタトゥミディアと蝗害が戦う様を肴に、兵庫は一人安全な場所で蟲同士のバトルファイトを眺める。"せんせー"に嗅覚を弄らせ不快な臭いを改竄した彼に、隙はなかった。
【LAST WAVE突破】
【STAGE CLEAR】
大成功
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