バトルオブフラワーズ⑦〜戦場に響く歌
●グリモアベース
「見た目はちょっと手遅れだけど……うん、ここからが始まりよ!」
真っ二つに割れたキマイラフューチャーを見て、若干顔をひきつらせていたアンノット・リアルハート(忘国虚肯のお姫さま・f00851)だが、気合いを入れ直すように自らの頬を叩いて猟兵達の方を見る。
「キマイラフューチャー全土を巻き込む大戦争、バトルオブフラワーズが開幕です!まずは作戦に参加してくれた皆さんに、心からの感謝と尊敬を」
そう言いながらアンノットは小さく頭を下げると、懐から取り出した戦争マップを広げ7とマーキングされた箇所を指差す。
「今回の作戦はザ・ステージの一つ、ザ・サウンドステージの攻略です。この中では特殊な法則が働いてるから、その点を注意して」
その名もパッショネイトソング。
ザ・サウンドステージではあらゆる攻撃が効果を発揮しなくなってしまう、幻覚など直接ダメージを与えるものでない攻撃も同様だ。それを防ぐ方法はただ一つ、自分自身を奮い立たせる歌を歌い続けること。
「悪いことばかりじゃなくてね。強い思いを歌に乗せることができれば、その分攻撃がパワーアップするの!ただ生半可じゃ思いじゃダメよ、愛の告白や秘密のカミングアウト、それ相応の覚悟がないと力にはならないみたい」
一通り戦場の特異性を話したアンノットは軽く息を整えると、いよいよ戦場を守るオブリビオンへと話を移す。
「今回の目標はアンマリス・リアルハートの討伐。その達成をもって依頼の完了とします」
アンマリスの主な攻撃は三つ。
一つは壊滅的な歌声による広範囲無差別攻撃。色々な意味で他者を圧倒するその歌は手で耳を塞ぐ程度では防御が難しく、時として物理的な破壊作用をもたらす。しかし歌による攻撃ということは口を塞いだり、何らかの手段で振動を無効化できれば回避できるはずだ。
次に躍りながら振るわれる剣、踊るように振るう剣ではない。言ってしまえば武器による攻撃だが、躍りと共に放たれる剣戟は予想のできない不規則な軌道を生みだす。素人の剣が一番読めないとはよく言われるが、その類の技だ。
最後にだだをこねる、オブリビオンが行う常識外の八つ当たり。精神的なリミッターが外れているのか攻撃力と耐久力が大幅に上昇するが、冷静な判断ができなくなるので隙は大きくなるだろう。
「ザ・サウンドステージらしい、歌を武器にした相手ね。圧に呑み込まれないように、自分達の思いをぶつけましょう」
しかし、ここまで来ると才能か……と。アンノットは小さく呟くと、一度大きく深呼吸し改めて猟兵達を見る。
「世界の命運は貴方達にかかっています。キマイラフューチャーらしく楽しく、そして真剣にね」
マウス富士山
このシナリオは、「戦争シナリオ」です。1フラグメントで完結する特殊なシナリオとなります。また現実に存在する楽曲の曲名や歌詞、替え歌等が記載されているプレイングは採用できません。
オープニングを見ていただきありがとうございます。今回マスターを努めさせていただきます、マウス富士山と申します。
今回は歌いながら敵と戦う絶唱な雰囲気のシナリオになります。しかし実在の楽曲の曲名や歌詞の使用は問題があるためプレイングされても採用できません、ご了承ください。
また自分自身を奮い立たせる歌に関しては「こういう思いを込める!」という点さえ押さえていただければ、大まかなプレイングでも問題ありません。
皆様のプレイングを心からお待ちしております。
第1章 ボス戦
『アンマリス・リアルハート』
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POW : 歌は自信があるぞ、聞いていけ!
【わりと壊滅的な歌声】を放ち、自身からレベルm半径内の全員を高威力で無差別攻撃する。
SPD : ダンスは教養、出来て当然だ!
【躍りながら振り回す剣】が命中した対象を切断する。
WIZ : 私はちゃんとできてる!間違ってるのはそっちだ!
【現実をみないだだっ子モード】に変化し、超攻撃力と超耐久力を得る。ただし理性を失い、速く動く物を無差別攻撃し続ける。
イラスト:さとみ
👑11
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種別『ボス戦』のルール
記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※このボスの宿敵主は
「💠アンノット・リアルハート」です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
刑部・詠喜
むむむ、それがしは未だ若輩の身でござるが。
それでも!(太鼓を叩く)
兄上方の!(太鼓を叩く)
顔に泥は塗れぬ!(太鼓を叩く)
オオオオッ!ユーベルコード発動ッ!(太鼓音)
貴様がどんなに壊滅的で地獄の顕現たる破滅の魔声で歌おうともッ!(太鼓音)
それがしはそれを上回る兄弟愛とッ!(太鼓音)
キマイラ世界の種類豊富なお菓子に対する愛でッ!(太鼓音)
貴様を倒す!でござるッ!(太鼓音)
フレッフレッそれがし!ガンバレガンバレそれがし!
勝って食べる桜餅はうんまいぞ!
羊羹どら焼き雷おこし、落雁せんべい栗きんとん!
ウオオオオッ!!成敗ッ!!
(太鼓を叩くたびに衝撃波が発生しています)
●羅刹の大太鼓
ザ・サウンドステージ。真っ二つに割れたキマイラフューチャーに建てられた舞台に、猟兵達が降り立つ。
「来たか。私の歌は少々刺激的と言われるが、年若い貴様に耐えられるかな?」
挑発のようなアンマリスの言葉に、刑部・詠喜(太鼓の鬼・f17587)は少しだけムッとしたような表情になるが、抱えていた太鼓【雷獅子】を下ろすと真剣な表情で枹を握る。
「それがしは未だ若輩の身でござるが、それを言い訳に兄上方の顔に泥を塗れぬ!」
決意の叫びと共に、ドンッと腹を振るわす重低音が鳴り響く。
「オオオオッ!鬼楽戦ッ!!」
雷獅子が鳴ると同時に、周囲を衝撃波が駆け抜ける。始めは髪を靡かせる程度の勢いがだったそれは詠喜が枹を振るう度に強く、重圧を持ち始める。
「貴様がどんなに壊滅的で地獄の顕現たる破滅の魔声で歌おうともッ!それがしはそれを上回る兄弟愛ッ!」
演奏の間に入る詠喜の語り、その中に込められた思いがパッショネイトソングによって力へと変わる。雷のような衝撃を中心で枹が一際大きく振り上げられた。
「そしてキマイラ世界の種類豊富なお菓子に対する愛でッ!貴様を倒す!でござるッ!」
フレッフレッそれがし!ガンバレガンバレそれがし!
勝って食べる桜餅はうんまいぞ!
羊羹どら焼き雷おこし、落雁せんべい栗きんとん!
ユーベルコード鬼楽戦の効果を受けたせいか、詠喜の思いが段々と欲求に近いものになる。しかしそれゆえに強く純粋な思いは彼に更なる力を与えた。
「ウオオオオッ!!成敗ッ!!」
ドンッ!と大きな重低音と共にアンマリスの身体を襲う。……そう言えば彼女からの反撃がなかったが。
「…………素晴らしい」
物理的作用を起こした演奏に何かシンパシーを感じたのか、なにやら満足した顔でそのまま吹き飛ばされていった。
成功
🔵🔵🔴
春日・釉乃
【POW】
これってまた櫻梅桃李の出番ってこと!?
通算3回目だけど、姫子とならいける気がする!
即席アイドルユニット『櫻梅桃李』として姫子(f06748)と一緒に参上
キマイラフューチャーを元気にしたいという願いで【絢爛に踊れよ剣の花嫁】を発動して身体能力アップ!
曲名:『キラメキ★future』
曲調:応援ソング的なアイドル曲
衣装:白色と青色ベースでミニスカなチアガール服(釉乃のみヘソ出し)
姫子がヴォーカルで魅せるなら、あたしは[ダッシュ]や[早業]あたりでポンポンをふりふりするダンスで魅せる
アンマリスさんのなんかヤバい歌は『シールドスレイヴ』で彼女の顔を全周囲で覆い隠すことができれば防げないかな?
御劔・姫子
【POW:釉乃(f00006)と参加】
歌…こないな風に歌うんは三度目っ!
今回も【歌唱】【パフォーマンス】で…『櫻梅桃李』が、皆を元気にしたるっ!
(※以降歌詞)
Happy 毎日がholiday
悩み事なんてないよ 幸せなeverydayっ
今日もいいこと(あったね) ウキウキでスキップ
明日もきっと(楽しい) ワクワクが止まらない
明後日も明々後日も 夢いっぱいのfuture
来月も来年も 希望を胸にLet's go
Happy 毎日がholiday
悩み事なんてないよ 幸せなeveryday
Funny 続いてくlovely days
不安なんて忘れて 歌おうよeveryone
●三度目の開演
「良い演奏だった……では、次は私の歌声を披露――! 」
立ち上がり、服についた汚れを軽く払ったアンマリスが大きく息を吸い込んだ瞬間、その顔面に勢いよく盾が貼り付いた。
「開かれた惑星(ほし)を救うため、世界の壁を超え」
「『櫻梅桃李』ここにありっ!」
その隙をついて、春日・釉乃(”CHIPIE”・f00006)と御劔・姫子(はんなり剣客乙女・f06748)が動きやすいチアガール服を身に付けてステージに立つ。アイドルユニット『櫻梅桃李』、即席であると本人達は言うが鉄火場で三度歌を魅せた彼女達の経験は本職に引けを取らない。始めは緊張の色が強かった姫子も、今ではそれを素早く原動力に変換できている。
「今回も櫻梅桃李が、皆を元気にしたるっ!」
「だからしっかり聞いてね、『キラメキ★future』!」
視界は塞がれているがその声を聞いたアンマリスは的確に二人の方を向くと【無粋】、【動画を知ってるぞ】、【※自主規制】、【※放送禁止用語】などありったけの言葉をぶつけようとするが口が塞がれているためムームーと言った呻きになる。呼吸もままならなさそうだが、歌声対策なので仕方がない。
『Happy 毎日がholiday』
『悩み事なんてないよ 幸せなeverydayっ』
抗議の声を上げようとするアンマリスを尻目に、二人の歌が始まる。それは幸せな日々と明日を歌う応援歌、日々を楽しく全力で生きるキマイラフューチャーにピッタリのアイドルソングだ。
『今日もいいこと(あったね) ウキウキでスキップ』
『明日もきっと(楽しい) ワクワクが止まらない』
メインボーカルの姫子が歌で魅せる隣で、釉乃が両手に持ったポンポンを手にチアダンスを踊る。猟兵の持つ高いバランス感覚と反射神経を持ってすれば、もはや新体操のように高く、地上よりも空中にいる時間の方が長い躍りを魅せることだってできる。
『明後日も明々後日も 夢いっぱいのfuture』
『来月も来年も 希望を胸にLet's go』
ザ・サウンドステージの持つ力によって盾はそう簡単には引き剥がせないほどの強くアンマリスを押さえ込む。
『Happy 毎日がholiday』
『悩み事なんてないよ 幸せなeveryday』
『Funny 続いてくlovely days』
『不安なんて忘れて 歌おうよeveryone』
もはや舞台は二人の独壇場、ここが戦場であることを忘れさせるほどに櫻梅桃李は人を惹き付けていた。
成功
🔵🔵🔵🔵🔴🔴
天道・あや
キマフュ割れちゃったけどこれ元通りになるのかな?……接着剤つければいけるかな?…っといけない!いけない!目の前の事に集中しなきゃ!ええと…歌で勝負?……歌で…歌…ミュージック……よーーし!!どっかーんと一曲いっくぞーー!!待っててキマフュ!今元に戻すから!
あたしが歌に込めるのは未来への想い!ドキドキやワクワク、夢や希望!そういった物が未来にあるって皆に伝えたい!だから今や過去の辛らくても夢や自分を否定しないで行こう!一人で無理ならあたしが一緒に着いていってあげる!だからほら手を出して!一緒に一歩踏み出そう!そうすればきっと素敵な未来が待っているから!!
ヒトツヒ・シカリ
アドリブ共闘等歓迎
ただこの世界が好き
生まれて育って家族が友達が居るこの世界がすき!
好きをいっぱいにぶつけて、もう居ない人の心にだって響かせてみせる!
UC使用
思い切り歌い、踊り、周囲を鼓舞
子供のウチでも、産まれてから沢山あったよ
沢山泣いた、沢山笑った、沢山怒った、沢山沢山大好きがうまれた
大好きで大好きで、嫌いな人だって居るけど
でもそれ以上に大好きで
いつだって此処がウチの帰る故郷
だから大切
だから守るよ
だから歌うよ
だから踊るよ
だから言うよ!正しいも間違いもわからない子供だけれど!
一緒に手を取って、歌って踊ろうよ!
だって、ここはこんなに楽しくて
大切のある場所なんだから!
この声が届かなくても、届くまで
ユキ・コシイ
物理破壊すら齎す歌…?すごい…
それがどれだけ攻撃性を持つ音が厄介かも…歌を力として使ってきた身としてはよくわかる
超高速で防御を貫き、全方位に届く…厄介…
ですが…音はエネルギーであり波動。互いに逆の波形同士で打ち消し合う性質がある
ユーベルコード【マシーナリー・オーケストラ】で召喚した管弦楽団
そして…わたしの全てのサウンドツールを用いた歌をぶつけ…相殺しつつ音圧で押し返せるか試みます。
さあ、歌を歌で塗り替えるよ…!
『今幕が上がる、鳴り響け歌よ、輝け音の軌跡よ―!』
『一瞬たりとも聞き逃すな 世界を分かつ歌を』
『一時足りとも目を離すな その在り方を』
『高らかに歌う 我らこそが猟兵―!』
リック・シックハント
■行動
UCで上がった身体能力と【野生の勘】で相手の剣撃を避けながら、獣奏器による攻撃を仕掛けるね。
宿した騎士の剣技による冴え渡る斬撃と刺突を繰り出しながら手数で相手の行動を阻害しながら攻めるよ。
代償で全身から血を迸らせながらも、刃が奏でる音色を伴奏に、かけがえのない今を守り続ける決意を歌い上げよう!
■心情
楽しんだり…悩んだり…笑ったり……
みんなとの想い出が、リック・シックハントを「ボク」にしてくれた。
大切なみんなとこれからも想い出を紡ぎ続けるために、どんなに傷ついても世界を守るために戦おう。
想いが、誓いが、歌となって力となるのなら、
彼女を返すその時まで、どうかこの身を動かし続けて!
●とても小さく、大きな歌
ひっそりと窒息寸前だったアンマリスだったが、ふと何かに気がついたように引き剥がそうとする手を止めると、突如として盾が内側から弾けるように割れる。
「ふん、私の歌を持ってすればこの程度造作もない」
どこか自慢気な表情を浮かべるアンマリスの前に、ユキ・コシイ(失われた時代の歌い手・f00919)は小さく一歩を踏み出した。
「貴女の歌に……挑戦しに来ました……」
「……ほぅ?」
ユキの言葉にアンマリスが、楽しそうに笑う。二人の考えている挑戦は微妙に意味が違うが、それを擦り合わせている時間はない。
『今幕が上がる、鳴り響け歌よ、輝け音の軌跡よ―!』
その歌い出しと共に、ユキの周囲に機械仕掛けの管弦楽団が展開される。それに加えて全てのサウンドツールを展開した彼女のシルエットは巨大な一つの楽器のようにも見える。
『一時足りとも目を離すな その在り方を』
ユキの演奏とアンマリスから放たれた歌ぶつかり合う。視認できず、防御もままならない物理的破壊をもたらす怪音波は、逆の波形を持つユキの歌によって打ち消される。
すなわち音の相殺、本来ならば互いの音楽は打ち消され周囲には無音の空間が広がる……そのはずだ。
『一瞬たりとも聞き逃すな 世界を分かつ歌を』
戦場にユキの歌声が響き渡る。それは周囲を鼓舞し前進を促す行軍歌であり、猟兵という存在を示すアイドルソングのようだ。
その場を支配するユキの姿に、ギシリとアンマリスが歯を軋める。なるほど、確かに悪い曲ではないと認めよう、だが。
『ここは私の舞台、私の演奏会、私だけの輝ける場所!!さっさとご退場願おうか!!』
だだをこねるように剣を振り回しながら、アンマリスが突撃する。演奏をしている間、ユキはまともに戦闘行動をすることができない。そのため反応の遅れた彼女にアンマリスの剣が触れようとした時だった。
『楽しんだり…悩んだり…笑ったり……みんなとの想い出が、リック・シックハントを「ボク」にしてくれた』
二人の間に割り込んだリック・シックハント(繋ぐ旅人・f00522)の短剣、獣奏器がアンマリスの刃を弾く。その瞳はまっすぐアンマリスを見つめ、歌声には不思議な暖かさが込められているが、身体はユーベルコードの副作用で既に血にまみれている。
『子供のウチでも、産まれてから沢山あったよ 沢山泣いた、沢山笑った、沢山怒った、沢山沢山大好きがうまれた』
『ドキドキやワクワク、夢や希望!そういった物が未来にあるって皆に伝えたい!』
そんなリックの身体をヒトツヒ・シカリ(禊も祓もただ歌い踊るままに・f08521)と天道・あや(駆け出し猟兵・f12190)の歌声が支える。
事前に打ち合わせをしたわけでもない即席のセッション。リックに至っては歌というものにあまり慣れていない、それでも。
『大好きで大好きで、嫌いな人だって居るけど でもそれ以上に大好きで いつだって此処がウチの帰る故郷』
『大切なみんなとこれからも想い出を紡ぎ続けるために、どんなに傷ついても世界を守るために戦おう』
『だから今や過去が辛らくても夢や自分を否定しないで行こう!一人で無理ならあたしが一緒に着いていってあげる!』
三人の歌が渾然一体となり、普段以上の力が身体に満ち溢れる。同時にただの戦いでしかなかったリックとアンマリスの打ち合いがヒトツヒの舞と合わさり剣劇のようなリズムが生まれ始める。
『一緒に手を取って、歌って踊ろうよ!』
『一緒に一歩踏み出そう!』
歌を通じて束になった思いに、アンマリスが押され始める。
『ここはこんなに楽しくて大切のある場所 きっと素敵な未来が待っているから!』
あやとヒトツヒの声が重なり、甲高い音色と共に大きく剣を弾かれたアンマリスがたたらを踏みながら後ろに下がる。
『想いが、誓いが、歌となって力となるのなら……』
『高らかに歌う 我らこそが猟兵―!』
ユキと合わさった歌声と共に放たれたリックの一撃が、アンマリスの剣を中心から叩き折った。歌に込められた思い力となるのなら、四人の思いが込められたこの歌が、負ける道理などどこにもない。
呆然と目を見開いたアンマリスは、そのまま天を見るように倒れた。
大成功
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才堂・紅葉
「ああ、それはロックではありませんね」
慎ましく告げ、ギターを構える。
迫りくる破壊の歌声を前にブレス。
『打ち砕け』
焼付くようなメタルのビートが無差別な音を切り裂く。
蒸気アンプで拡大された音、そして気合だ。
【歌唱、気合、楽器演奏、属性攻撃、オーラ防御】
『この世は汚物の泥煮込み
誰も私を省みない
私も誰も省みない
蹲ってりゃ家畜小屋
上目遣いに天を見る』
剣を体捌きでかわし懐へ。
『欲しがるのなら
手を伸ばせ』
八つ当たりの一撃を根元で受けて耐え。
【激痛耐性、優しさ、手をつなぐ】
優しい笑みと共に真の姿。
背負い投げで空中に放り投げて【墜天】。
『天を掴んで
地に墜せ』
更に【落星】で地面へ。
●例え地の底に落ちようと
「馬鹿な……こんなことが……!?」
悔しそうな表情を浮かべるアンマリス、その耳にギターのちょっとしたリフ響く。
「音楽の歴史は自由の歴史。それ故暴力と無縁というわけではありませんが、音で負けたから力で追い出そうとする貴女のそれはロックではありませんね」
そう慎ましく告げる才堂・紅葉(お嬢・f08859)の言葉にアンマリスが立ち上がる。
「黙れ、私が間違っているはずがないだろう!間違っているのはこの世界の方だ!」
アンマリスの叫びが破壊の歌声となり、紅葉に迫り来る。それに対して彼女は冷静にギターを構えると。
『打ち砕け』
激しいギターのビートで、その歌声を迎え撃った。
一つの音に対して、より大きな音をぶつけて打ち消すということは難しい。音は本来実体を持たない現象であるため正確に相殺しなければ互いの身体に突き刺さるのみだ。
『この世は汚物の泥煮込み
誰も私を省みない
私も誰も省みない
蹲ってりゃ家畜小屋
上目遣いに天を見る』
しかし、そんな暴力の並の中に曝されてなお、紅葉は紅葉は歌うことを止めない。
『欲しがるのなら 手を伸ばせ』
そのフレーズと共にアンマリスの懐に潜り込んだ紅葉は、振り下ろされた剣をあえて受けその手を掴んだ。
お互いの息がかかるような至近距離で、紅葉はふっと優しい微笑みを浮かべた。それはアンマリスが滅びた身体で何かを求めていることに気づいたからか。
アンマリスがその真意に気づく前に、紅葉の髪が赤く染まり、背中に氷の樹木とでも言うような青い紋章が浮かび上がる。その姿に一瞬だけ心をとらわれた瞬間、アンマリスの身体は宙に浮いた。
『天を掴んで 地に墜せ』
【墜天】と【落星】、二つのユーベルコードの合わせ技にアンマリスの身体は地面に沈み、霧のように霧散していく。
真の姿まで使用した全力攻撃。痛みは、無かったはずである。
成功
🔵🔵🔴
最終結果:成功
完成日:2019年05月02日
宿敵
『アンマリス・リアルハート』
を撃破!
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