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バトルオブフラワーズ⑤〜走れ!愛しの愛鳥よ!

#キマイラフューチャー #戦争 #バトルオブフラワーズ

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●ぱっかーんしました
「ぱっかーんなのです!ぱっかーんしたのですよ!?」
 その語感気に入ったのだろうか、繰り返しながらフルール・トゥインクル(導きの翠・f06876)はあわあわと慌てている。
 さすがキマイラフューチャー、何でもありかと言いたいところだが驚くのとは別の話。
 しかも問題は割れたことではなく、内部にある『システム・フラワーズ』がオブリビオン・フォーミュラである『ドン・フリーダム』に占拠されていること!
「ささっと突入してドン・フリーダムに殴り込みをかけたいところなのですけど、周囲を守っているザ・ステージを取り返さないとそもそもの突入ができないのですよ」
 つまり、この場に集った猟兵たちの仕事はザ・ステージの攻略である。
「今回皆さんをお送りするのはザ・ステージの中の一つ、ザ・ゲームステージなのです」
 フルールは嬉々として家庭用ゲームコントローラー(フェアリーサイズ版)を取り出した。
 しかしながら特殊なルールが適用されているようで実際ゲームを操作するわけではなく、直接ゲームの中に入り込むらしい。どうなってるんだキマイラフューチャーの世界。
「お送りするゲームの内容はレースゲームなのです!それも普通のではないのですよ?可愛い鳥さんを育てて、その鳥さんに乗ってレースをするのです!」
 ダチョウのような地上を走る鳥を想像してもらえばよいだろうか。なぜか羽根の色は黄色いらしいが。
 例えば速度を重視したり、スタミナを重視したり、もしくは対戦相手から仕掛けられる妨害に動じないようにするだとか、育て方の好みは様々だ。
 猟兵達で各々自分の乗る鳥を育て、レースに勝利する。といったところだろう。
「レースで1位になればいいのですけど……ゴール直前になるとクリアさせまいとオブリビオン、冬の思い出トリオがそれぞれ鳥に乗って妨害を仕掛けてくるのです。レースに負けてしまいますとゲームオーバーですので気を付けてほしいのですよ」
 ちなみに複数人の猟兵で一緒のレースとなったとしても猟兵たちは同じチームとして登録されるので一人でもトップでゴールすれば無事クリアとなる。
 どのように育て、どのように走り、最終的な妨害を突破してクリアするか、重要だろう。
「それでは準備できた方からお送りするのです。それとできましたら鳥さんの触り心地なども後から教えていただけると大変嬉しいのです!」
 さりげなく頼みごとをしながら彼女は自身のグリモアを輝かせた。


心音マリ
 まさか真っ二つに割れるとは思わなかったなぁ……はっかーんですよ。
 こんにちは、心音マリでございます。
 初めての戦争シナリオとなります。よろしくお願いいたします。

 こちらのシナリオではレースゲームをクリアしていただきます。
 クリア条件はレースで1位となること(複数人の参加の場合はチーム戦となり、誰か一人でも1位でゴールすればOK)
 敗北条件はレースに負けることです。
 敗北条件を満たした場合、強制敗北となりますのでご注意ください。

 レースの前にご自身の乗るレース用の鳥を育てることができますので、どんな風に育てるか(速度重視、妨害重視、スタミナ重視など)がありますと喜んで反映させていただきます。

 また早めの執筆を心掛けますが、申し訳ございませんが諸事情により3日と4日にいただきましたプレイングは返却が遅くなる可能性がございます。
 それでは皆様の素敵なプレイングをお待ちしております。
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第1章 集団戦 『冬の思い出トリオ』

POW   :    かまくら怪人・ウェポン
【かまくら兵器】で対象を攻撃する。攻撃力、命中率、攻撃回数のどれを重視するか選べる。
SPD   :    みかん怪人・ジェノサイド
【みかん攻撃】を発動する。超高速連続攻撃が可能だが、回避されても中止できない。
WIZ   :    鍋怪人・リフレクション
対象のユーベルコードに対し【鍋】を放ち、相殺する。事前にそれを見ていれば成功率が上がる。

イラスト:まめのきなこ

👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​

種別『集団戦』のルール
 記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

マリアンネ・アーベントロート
鳥に乗ってレースだなんて新鮮だねぇ。
しかも自分で育てるだなんて。可愛くて強い鳥になるといいなっ。

育てる方針としては……私自身がそんなに運動得意なわけじゃないし、安定性を重視かな。
いろんなものを食べてもらってどっしりとしたおっきな鳥になってもらおっ。
鳥が安定してたら乗ってる私も催眠術使いやすいしねっ。
速さは……まあ、うん。

というわけで方針としては、相手の妨害にも動じないどっしりとした走りで、相手が妨害してるところに『催眠・夢境の誘惑』を使って相手の鳥を眠らせちゃおう、って感じで!
【催眠術】技能を生かせば鳥にだって催眠は効くよね。

アドリブ等歓迎です。



●レース、第一回開幕!
 るんるんるん、マリアンネ・アーベントロート(ゼーブスタスの催眠術師・f00623)は籠にこんもりと餌を入れて自身の乗る鳥の元へと向かっていた。
 籠の中身は野菜に果物、穀物とバランスよく選ばれている。
「はいどうぞっ。可愛くて強い鳥になるといいなっ」
 餌を与えられ喜んで食べるマリアンネの鳥。その体つきはがっしりとし、大地を踏みしめる足も力強く、喜びで広げられる翼は黄色から羽根の先へ向かうにつれて銀色へと変わってゆく美しいグラデーションに、大きく健康的な姿へと成長していた。
 マリアンネの体格であるならば3人乗ってもたやすく走ることができるであろう。

 そして迎えたレース当日、周囲に並ぶ他の乗り手とその相棒たる鳥たち。マリアンネが周囲を見渡すがそこに予知されたオブリビオンの姿はまだない。彼女が乗る鳥は大きくひと鳴き、やる気は十分だ。
「ふれーっ!ふれーっ!がんばれっ!」
 レース開始と共に一斉に走り出す鳥たち。マリアンネ達はトップよりも一歩遅れた集団に混じって走っている。
 土ぼこりを上げ、時に相手にタックルし、時に設置されている道具を拾って相手を妨害し、時にレース会場にあるギミックを避けて走る。
 マリアンネの鳥は大きく育った代償になかなかスピードが出ない。だががっしりとしたその体格はライバルから与えられる妨害をものともせず、ペースを乱すことなく走り続ける。
 ペースを乱すことがないというのは妨害ありのレースに置いて大変重要だ。どれだけ速く走ることができようが妨害一つでペースを乱し、体力を使い果たしてしまえば本来の実力を発揮することができないからだ。
 その点に関してマリアンネの方針は効果的であったといえる。
「ゴールまでもう少しっ」
 自身の乗る鳥に声をかけて応援しながら、今やトップを走っていたライバルを追い越しトップとなったマリアンネ。
 眼前にはゴールのマーカーが見える。──しかし。
「「「行かせるかヨォ」」」
「わぁ!……出たわね」
 突如としてコース外から乱入してきた三羽の小柄な鳥。その上には頭部がみかんの怪人、頭部がかまくらの怪人、頭部が鍋の怪人がそれぞれ乗っていた。三人そろって冬の思い出トリオである。無駄に筋肉質なのが少し気になるところだ。
「クリアさせるわけにはいかねぇナァ!」
「やっちまえ、みかんヨォ!!」
「任せとけヤァ!!!」
 マリアンネの左側にみかん、後ろ側にかまくら、右側に鍋の怪人がついて追ってくる。二人がみかん怪人を焚きつければ、走り続ける鳥の上でバランスを取ったみかん怪人はマリアンネと彼女の鳥に狙いを定める。
「くらえヤァ!みかん怪人・ジェノサイドォ!!!」
 みかん怪人の手から次々とみかんが生成され高速で放たれる。さすがに妨害に怯まないとはいえゲームだからだ。ユーベルコードが当たればひとたまりもない!
「一瞬で、夢の世界へ!」
 しかし何も対策を考えていない彼女ではない。一瞬で放たれるはユーベルコードによって生み出された催眠光線、当たれば即座に夢の世界へご案内できるものだ。
 ガクンと光線の対象となったみかん怪人の乗る鳥のスピードが落ちた。バランスを崩した怪人の手から放たれるみかんは見当違いにばら撒かれ、ついには後ろを走っていたかまくら怪人の鳥にまでヒット。驚いたかまくら怪人の鳥がハチャメチャに走り出し、鍋怪人の鳥に追突して二羽揃って転倒。端的に言えば大規模なクラッシュだ!
「ふふふっ、鳥さんはおねむみたいですねっ!」
 振り返って大惨事を確認すると楽しそうに笑いながら安定した走りのまま見事にトップでゴールを果たしたのだった。

成功 🔵​🔵​🔴​

榎・うさみっち
まずは鳥との信頼関係を築く事が大事だな!
よーし、お前の名前は「ぴよみっち」だ!
ところでゲームの中の鳥とも【動物と話す】事は出来るのかな?
頑張ろうぜ相棒ー!と撫でつつ話しかけてみる
育て方は速度を最も重視しつつ
咄嗟の事態にも反応できる反射神経も鍛えておく

本番ではぴよみっちには素早くゴールまで飛ぶ事に集中してもらう
俺は【しんそくのうさみっちエスケープ】を発動!
強化した【見切り】を活かして敵の妨害を冷静に見極める
向かってくる妨害は武器うさみっちばずーかやかっこいいワイヤーで
撃ち落としたり弾き落としたり!
それでも防ぎきれそうにない場合は
ぴよみっちに「右に曲がれ!」など指示を出して避けてもらう



●走れ!ぴよみっち!
「よーし、お前の名前は『ぴよみっち』だ!」
 榎・うさみっち(うさみっちゆたんぽは世界を救う・f01902)がまず最初に選んだのは相棒たる鳥に名前を付けることであった。
 サイズはフェアリーである彼にも乗って掴まりやすい小柄なサイズ。さすがゲーム、何でもありだ。
 名を貰ったぴよみっちは嬉しそうに翼をばたつかせ飛び跳ねている。かなり身軽でもあるらしい。
「頑張ろうぜ相棒ー!」
『任せとけご主人!』
 うさみっちの声掛けにぴよみっちは自信満々なひと鳴き。良きコンビとなれそうだ。

 そして迎えるレース本番。他の鳥たちとは体格の違いで最初こそ埋もれそうになる、が。
「飛び出せ、ぴよみっち!」
『おう!』
 レース開始の合図とともに真っ先に飛び出したのはうさみっちとぴよみっちのコンビだ!
 小柄で身軽、さらに速度を重視した成長方針によりぴよみっちは駆ける弾丸となった。
 もはや他のライバルなど振り向いたところで視界にすら入らない。彼らの妨害も届きようがないだろう。レース序盤にしてすでに独走態勢に入る一人と一羽。だが、それを見過ごすオブリビオン達ではない。
「行かせてたまるかヨォ!」
 ぴよみっちの足を止めようと場外から現れるオブリビオンこと冬の思い出トリオ。
『ご主人!』
「気にすんな、お前はゴールまで駆け抜けることだけに集中してればいいんだぜ」
 両手を使えるようにワイヤーでぴよみっちと自分を結び、バズーカをどこからともなく取り出して告げる。
「こいつらの相手は俺だ!」
「言ってくれるナァ!いケェ!」
 コトコト蓋を揺らして怒るのは鍋怪人。吹きこぼれないのだろうか。
 ともあれ、鍋怪人は乗っている鳥と共にタックルを仕掛けようとした。しかし、一歩ぴよみっちの方へと踏み出した足にワイヤーが絡みつき、完全に足を取られた鳥は転倒。鍋怪人も当然のように投げ出されて地面に刺さる。
「残念ながらその行動は見切ってるんだよなー」
 もちろんワイヤーの出所はうさみっちである。かっこいいワイヤーをそれはもうかっこよく振り回して見せる。
「ならこれならどうダァ!」
 続けてコースアウトして先回りしたのであろうかまくら怪人がぴよみっちの進路を塞ぐ。だが、身軽なぴよみっちだ、それが何の障害になろう。
「お前ならやれる、飛べ!」
『もちろんだ!』
 力強いひと鳴き。駆ける速度をさらに上げ、強く強く踏み込むと──跳んだ。翼を大きく動かし、可能な限り速度を落とさず怪人を飛び越え着地。何事もなかったかのように走り抜ける。
 そしてついにゴールが見えてくる。が、諦めの悪いトリオが追いすがる!うさみっち達の後方からみかん怪人が狙いを定め、高速でみかんを射出し始めた!
「お前らはここでゲームオーバーなんだヨォ!」
 飛んでくるみかんを見てもうさみっちは冷静だった。ただ冷静にバズーカを構え──。
「相棒、ちょっとうるさいけど我慢な」
 その引き金を引いた。
 音と共に対抗するかのごとく射出されたのはうさみっちシリーズのうちが一つ、さむらいっちゆたんぽである。過去には壁に潰されたりと可哀想な目にも遭ったが今回は違う。
 飛び出したさむらいっちゆたんぽは手に持つ刀で次々とみかんを切り捨てていくではないか!
 当然、切られたみかんは威力と方向性を乱されうさみっちやぴよみっちには届かない。
「ついでにこいつもプレゼントだ!」
 おまけとばかりに続けてまほみっちゆたんぽも飛び出してくる。みかん怪人に向けて射撃されたまほみっちゆたんぽは、到達するやその手に持つ杖でべしべしとみかん怪人をしばく!大変痛そうだが……あれ、魔法……。
 ともかく、妨害を振り切ったうさみっちとぴよみっちはそのままゴールへと駆けこむことに成功したのであった。

成功 🔵​🔵​🔴​

四王天・燦
SNSに参加表明あげてギャラリーを集める

パラメーター割振り…
格好良さと美味しさを重視。
「名前は『しもふり』っと」

スタイリッシュに振舞う。
ダッシュ・残像・ジャンプで障害物を越えフォロワー数を稼ぐぜ(※若干目的を見失っている)

中盤から化けの皮が剥がれ神鳴抜刀。
妨害なぞ生温い…バッサリよ。
戦国武将の如く鬨の声を上げて恰好よく見せかけ正当化。
「サムライエンパイア人ナメんなよ。これは合戦ぞ!」

最終妨害が来たら納刀。
符術『力場の生成』で敵を飛び越え、その折に『カウントダウン』を落として爆破。
「アタシの動画投稿見ていたらチャンバラで終わらないと分かると思うのになー」

尚、しもふりさんの触り心地はたぷたぷでした



●勝てばよかろう、と人は言う
 四王天・燦(月夜の翼・f04448)の挑むレース本番。ゲーム内とはいえ何故だかギャラリーはいっぱいだ。否、何故ではない、燦が宣伝していたのだ。SNSで、このゲームに、レースに参加すると。
 結果的にキマイラフューチャーが真っ二つになろうが暮らしているキマイラ達は喜んで観戦に来るわけで。
 ──わーわー、がんばれー!
 ──猟兵ファイトー!!
 このたくさんのギャラリーとなるのであった。
「やべぇ、めっちゃ目立つナァ!」
 そしてギャラリーがたくさんいるなら、当然のように出てくるのが怪人ともいえる。お前ら妨害は?と言いたいぐらいにごく当たり前の顔をして冬の思い出トリオも参戦している。しかもたくさんいるものだから正直見分けがつかない。
「よっし、かっこよく決めるぜ、しもふり!」
 トントン、と自身の乗る鳥に声をかけレース直前の気合を入れる。
 そう、彼女の乗る鳥の名前は『しもふり』という。重視されたのは格好良さと美味しさ。レースゲームのはずなのだが大丈夫なのだろうか。
 ただその方針も相まって、しもふりは大柄で少し丸く、しかし羽根の色つやは良く目つきも鋭いイケメン鳥に育っていた。嘴なのになぜか八重歯が見えそうな気がするのは主人に似たからだろうか。

 開始の合図とともにレースが始まる。冬の思い出トリオ達もいる中、一番目立ったのはやはり燦だ。
 彼女の持つダッシュ技能を仕込まれたしもふりはその体に似合わず素早く走る。さらには動く障害物をジャンプと共に残像が出るほどの勢いで避け、ギャラリーをわかせる。
 冬の思い出トリオがそれぞれ妨害しようとタックルを仕掛けるが、これもダッシュや残像で軽々避けてしまう。結果的に燦が目立つだけである。
「このままフォロワー数を稼ぐぜ」
 歓声に手を振って応えながら燦は笑う。レースはしているが目的を見失ってないだろうか……勝たなければならないのだが……。否、かっこよく目立ち、キメるのであれば結局レースで1位を取ることになりそうなのでよいのかもしれない。
 だが、永遠と冬の思い出トリオに囲まれて妨害され続ければさすがに邪魔である。なら邪魔ならどうするか。妨害には妨害を持って返せばよいのである。
 すらりとしもふりに乗ったまま雷を帯びた刀を抜く。そしてそのまま隣を走っている冬の思い出トリオの一人をバッサリ切った!
 当然乗り手を失った鳥は見当違いの方へ走って行ってコースアウト。
 そして燦はかっこよく神鳴を掲げる。
「サムライエンパイア人ナメんなよ。これは合戦ぞ!」
 おぉぉぉ……!!!沸き立つギャラリー、君たちそれでいいのか。
 その間も歴戦の武将のごとく冬の思い出トリオをバッサリ切っては脱落させていく。なんてこった!
「この調子でどんどんいくぜ、しもふり!」
 無双ゲームのごとく快進撃を続けていく。これレースゲームだよなと確認したくなるが盛り上がっているしレースも続いているから問題はないと思われる。ないってことにしよう。
 気が付けばライバル(という名のオブリビオン)を全て(物理で)蹴散らし燦はトップを走っていた。
 それに対し諦めが悪いというのか、どれだけいるというのか、まだまだ湧いて出てくる鳥に乗った冬の思い出トリオ。
 とりあえずコースを塞げばゴールできないのではと言わんばかりにみっちりと塞いでいる。
 はぁ……とため息が彼女の口から出る。それは困ったのではなく、呆れのため息だ。
「アタシの動画投稿見ていたらチャンバラで終わらないと分かると思うのになー」
 パチン、指の音と共に符がばら撒かれ、意思を持つかのように冬の思い出トリオを飛び越える道となる。
 いとも簡単にしもふりに作られた空の道を飛ばせると、燦は燦で眼下の冬の思い出トリオ目掛けて爆弾を投下。
 ──ドゴォォォォン!!!!
 ちょうど飛び越え、ゴールを決めた瞬間に背後で7色の爆発が発生。
 それはまるで燦としもふりの勝利を祝うかのようだったとか。

成功 🔵​🔵​🔴​

月宮・ユイ
不思議な鳥さんですね
乗り心地や触り心地が気になります。

<機能強化>
”学習力”で常時行動最適化
・育成:スピード重視
レースですからね、やはり速さがあるほうが良いでしょう
どれだけ効果あるかわかりませんが
自身に”動物使い・動物と話す”力を”呪詛”とし強化付与
”コミュ力・誘惑”技能応用、育成中に鳥さんと仲良くなり信頼関係を
・レース
仲間達とも情報共有。事前にレース場について出来る限り”情報収集”
”騎乗・操縦”術と鳥さんとの絆でペース配分を伝達調整
”オーラ防御を念動力”で強化、心合わせ怯えさせず耐え、予想されている最後の妨害は全力で”早業”の様に駆け抜ける
勝利報告と触り心地伝えますね

連携アドリブ歓迎



●共に駆ける相棒として
「不思議な鳥さんですね」
 月宮・ユイ(死ヲ喰ラウ連星・f02933)は自身の鳥を見ながら小さく首をかしげる。人を乗せ走ることのできるサイズの鳥、ゲームの中とは言え想像しにくいものが目の前に存在すると何とも不可思議な気分になるのは仕方のないことであろう。
『ですがご主人の希望にこたえられるように頑張りたく思いますよ』
 鳴いて鳥が答える。穏やかな性格のようだ。
「ありがとうございます。撫でてもいいかしら?」
『もちろんです』
 いくらか場所を変えて撫でる。何度か撫でていると翼の部分を撫でられるのが好きなのが分かった。触り心地は思っているよりふわふわしており、うもれて眠ることもできそうなほどであった。
 撫でられた鳥の方は気持ちよさそうにうたた寝をしている。コミュニケーションの最初としては十分な出だしであろう。

「今回のコースはここですね」
 本番前、選ばれたコースのマップを把握し、彼女の持つ学習能力と情報収集を駆使して最適なペース配分を決めるユイ。
 ユイが選んだ育成方針はスピードを重視したものであった。レースに勝つために考えられる選択肢としては最適だ。しかしながら何も考えずに走っていてはすぐにバテてしまう。それを防ぐために調べたコースの情報と育成している時に得た情報を合わせて自分の相棒に最適なペースを決定していた。
『ご主人!私やれます!必ず勝ってみせますね』
 相棒も自信満々に鳴いて準備万端。ユイとなら負けないと翼を大きく羽ばたかせる。
「ええ、頑張りましょう」
 ユイも頷く。いよいよレースの開始だ。握る手綱から相棒の興奮と信頼を感じる。
 スタートの合図でライバル共々一斉に飛び出す。
 実力的にはまだまだスピードは出せるが今はその時ではない。軽く手綱を引いて意思を伝える。くいっと軽く頷くような動きがあって相棒が了承したのがわかる。
 話すだけではなく、高められた学習能力によってより最適化されていった育成、同じく高められた騎乗技術もあって小さな動き一つで意思疎通ができるほどお互いの絆は深いものとなっていた。そうそれは背に乗るユイはもう一人の自分であり、ユイにとっても駆ける相棒というのは自分の足といっても差し支えないほどに。
「泥が飛んできます。汚させませんよ」
『ありがとうございます。このまま速度をあげます』
 ライバルからの妨害もユイが通さない。そして、信頼による安心故にペースを乱すことなく走り続けることができる。
 じわじわと他のライバルの妨害やスタミナ切れでライバルが脱落していく中、予定通りのペースを走り続けたユイたちはトップへ躍り出ていた。
 しかし、このままでは終わらないとユイは知っている。
「きましたね」
 コース外から妨害することだけを目的に飛び出してくる三羽の鳥。その背には怪人の姿。
「駆け抜けましょう!一気にゴールまで」
『もちろんです!』
「あっ、おい、待つんだヨォ!」
 撃退や逆に妨害、完全な退治など猟兵達がそれぞれの対策を選ぶ中、ユイが選んだのは実にシンプルかつレースゲームらしい対策だった。
 ぐんっと前かがみになる全力疾走の構えに合わせて風の抵抗を受けぬようその柔らかな羽毛へ身体をぴたりとつける。ちらと横目で見る景色は先ほどよりも明らかに早い。
 そう、ユイの対策は全力で駆け抜けること。このために体力を温存し全力を出せるだけのスタミナを残せるよう調整していたのだ。
 怪人たちも想定してなかったのであろう。彼らの乗る鳥では全力を出したユイたちには追い付くこともかなわず。何とか妨害をと投擲されたみかんもユイのオーラが軽々と弾いてしまった。
 ──パァン!
 ゴールの音が鳴った。無事に振り切ってクリアすることができたのだ。
 鳥の背から降りたユイは駆け抜けてくれた相棒の目を見てにこりと笑った。
 通じ合った一人と一羽にはそれだけで十分だった。

成功 🔵​🔵​🔴​

マーリス・シェルスカナ
真っ二つに割れたキマイラフューチャーに、あちこちで始まった大戦、もう神秘どころの騒ぎじゃないネ、とにかく今はやる事をやるヨ!
所で…走るBirdって、ダチョウの類ですカ?って今はそんな話してる場合じゃないネ。

(方針)
Oh、Meも妨害にある程度耐えてもらえる安定重視系するヨ
脚を丈夫になるように鍛えれば、(速さはトモカク)安心して乗れる気がシマス。

デ、相手オブリビオンが妨害しようとユーベルコードを使ったら、Meが防御するネ。そして『アナライズアンドリプロダクション』で、そのユーベルコードを解析、反撃として再現しちゃうのデス!
ズルい?No、ユーのやってる事をお返ししただけネ。
(※アドリブ歓迎)


雨宮・いつき
騎馬ではなく騎鳥…珍しいですね
世界の命運がかかった御勤めではありますが…ふふ、少し楽しみですね

育成の方針としては、妨害や騒音にも動じない肝の座った子に育てたいです
次いで速さですね
…この戦いの間だけとはいえ大事な仲間
分身達と一緒に羽の手入れをしてあげたり、愛情持って接しましょう(【動物と話す】+【鼓舞】)

競走では最初に先頭に躍り出て、そのまま一位を維持したままゴール
所謂逃げ切りの戦法でいきましょう
敵が現れたら起爆符を放ち、コースに穴を開けて進路を妨害
さらに雷撃符を持たせコース上に配置しておいた分身達に攻撃を迎撃してもらいます
卑怯な手ではありますが、此方も後にはひけない戦いなので御容赦を



●ファーストコンタクト
「走るBirdって、ダチョウの類ですカ?……Oh、違うみたいネ」
 マーリス・シェルスカナ(宇宙(そら)飛ぶマーリンレディ・f15757)は初めて対面した自身の鳥に小首をかしげた。ダチョウというには首は短く、何より羽毛が黄色い。
 マーリスの知識にはない姿だ。ゲームのキャラクターなので当たり前ではあるのだが。どうなっているのか、知識欲を刺激されるのを止めることはできない。
「ともかく、このRaceに勝つのがやることヨ。がんばるネ!」
 振り上げた腕に合わせるように鳥も大きく鳴くのであった。

 時を同じくして雨宮・いつき(歌って踊れる御狐様・f04568)もまた自分が乗ることとなる鳥との対面を果たしていた。
「騎馬ではなく騎鳥……珍しいですね」
 手を伸ばすと顔を擦り付けてくる。その感触は柔らかく目を細める様は可愛らしい。
 キマイラフューチャーの命運がかかった大事な御勤め、ではあるのだが少しばかし心が躍ってしまうのは仕方ないこと。ましてや──。
『ご主人!?この小さいのは何ですか!?いっぱいいます!?』
「落ち着いて落ち着いて、僕の分身です。大丈夫」
『ですが……!』
 手のひらサイズの小さな分身に驚き、潰さないよう慌てる様子に愛らしさを感じてしまえばなおのことだ。
 こうして二人はそれぞれの方針の元で育成を進めていくこととなる。

●目には目を!妨害には妨害を!
「……これでよし、と」
「アナタ、何してるデス?」
「いえ、競走のための最後の確認と仕込みを、と思いまして」
 レース開始直前、何やら指示を出していたいつきにマーリスは首をかしげたが彼はほんのり笑うだけだ。
 今回のレースに出場する猟兵は彼ら二人。グリモア猟兵の話ではどちらかがトップでゴールすれば良いはずだ。だが、だからといってお互いトップを目指さない理由はない。
「Meが勝たせてもらうネ!」
「残念ですが僕も負けるつもりはありません」
 二人の鳥も翼を大きく広げてやる気は十分。いよいよレースの開始だ!
「お先に失礼します」
 開始直後、先頭に躍り出たのはいつきだ。彼が重視したのは妨害などに動じることのない精神力、その次に速さである。その速度を活かし一気にトップへ、このままの順位を維持し逃げ切るつもりだろう。
「ぐぬぬ、やりますネ!」
 一歩遅れて2位集団、マーリスはここにいた。彼女は妨害にも耐えうる安定感を重視し、特に脚を重点的に鍛えていた。そのため集団内で行われているタックルにも一切動じることはないが、いまいち飛び出すだけの速さが足りない。
 それでも二人とも妨害への対策を重視した結果、ライバルたちはお互いの妨害で次々脱落していく中、大した被害もなく駆け抜けることができていた。方針の勝利といえよう。
 本来のレースであれば勝敗は決したも同然。後はワンツーフィニッシュを決めるだけなのだが、それを良しとしない存在がわらわらと現れる。
 オブリビオン、冬の思い出トリオだ。コース外からどこからともなく乱入してくる。
「Oh、わらわらいっぱい出てきましたネ!」
「このための対策です。お任せを」
 先頭を走っているいつきが手にした起爆符を投げる。正確に冬の思い出トリオの進路先へ投げられたそれは爆発音と共にコースに穴を開け、勢い余ったトリオが落ちていく。
 普通なら爆音に動じそうなものだが妨害への対策を重視していた二人の相棒は動じることなく走り続ける。マーリスに至っては穴に落ちたトリオを踏みつけて進むほどの余裕すらあった。
 しかしゲームの中にどれだけいるというのか。トリオは次から次へと湧いてくる。それを迎撃しているのは予知を元にあらかじめコースへ配置していた分身たちだ。びりびりと放たれる雷でトリオのコースへの乱入すら封じている。
「すごいですネ。Catの手さまさまデス!」
「猫の手ではなく狐の手、ですけどね。少々卑怯な手ではありますが」
「いいのヨ、いいのヨ。相手のがよっぽど卑怯ネ。おっと、それは通さないヨ!」
 コース外から飛んできたみかん。みかん怪人の放ったユーベルコードの一部であるそれをマーリスは器用に受け止めると生み出されたみかんの生成、および発射方法を解析。即座に再現プログラムを構築──完成!
「UbelCode…解析完了、お返しデス!」
 マーリスの手から先ほど受け止めたのと同じみかんが生み出され、次々と放たれていく。一度放てば止まらないものではあるが、そもそも敵は複数いるのだ。狙いをつけずとも容易に当たっていく。
「ちょっ、お前、真似するなんてズルいゾォ!!!」
「ズルい?No、ユーのやってる事をお返ししただけネ」
 からからと快活にマーリスは笑う。
「確かにマーリスさんの言う通りです。何より此方も後にはひけない戦いなのですから」
 更なる起爆符の投擲で別の集団を穴へと落しながらいつきも頷く。
 こうして大量の乱入にも一切動じることのなかった二人はそのままの順位を維持して無事ゴールを果たしたのであった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

ステラ・エヴァンズ
鳥さんに乗れるなど…ちょっと夢のようです
一緒に頑張りましょうねと撫でて笑いかけます

育成方針としては主に瞬発力と反射神経を鍛えましょう
他は均一的に…所謂オールラウンダーです

レースは焦らず、中~上位に入っていれば突出する必要はなし
ゴール手前になったら瞬発力で一気に持てる最速で駆けていただきます
後は体力がなくなるまでゴール目指してまっしぐら!です
必要があれば第六感を使いコースを指示
邪魔者は私が全て請け負いましょう
近づく事は許しません
雷属性の衝撃波で吹き飛ばし距離をとらせます
痺れていただけたら尚グッド
ある程度の距離がとれましたら氷属性の精霊彗星で下敷き、或いは氷付けになっていていただきましょう



●駆ける姿は流れ星のごとく
「鳥さんに乗れるなど……ちょっと夢のようです」
 相棒となる鳥を撫でながらステラ・エヴァンズ(泡沫の星巫女・f01935)は少々感慨深そうに呟いた。
 彼女がよく知る鳥は小さく空を飛ぶものがほとんどだ。ましてや人が乗れるサイズで本当に乗れるとは、ゲームの中とは言え夢がかなった気分になるのも頷ける。
「一緒に頑張りましょうね」
 撫でながら笑いかけると、答えるように目を細めて甘えた鳴き声を出しながらすり寄ってくるのだった。

 ステラの選んだ育成方針は初速を上げる瞬発力と妨害に対応しやすい反射神経を鍛えるというもの。また特化させるわけではなく他の部分を均一的になるよう気を使って育成していく。目指す先はオールラウンダーだ。
 その成果は、レース開始直後に明らかになる。
 開始の合図とともに駆け出すライバルたち。ステラ達も走り出し無事上位集団に食い込むことに成功していた。
 最初からトップを目指す猟兵もいたが、彼女は焦らない。ただトップから離されすぎないよう集団の中に身を置き、機を伺う。
「……!右です」
 ステラの勘が冴えた。右へ軽くタックルするようにコースを取ると後方から他のライバルによる妨害アイテムが飛んできたのだ。間一髪で避けた代わりに前を走っていた別のライバルが上位集団から降ろされる。
 ここまでは彼女の持つ感とそれに対応できる相棒の反射神経もあって順調だ。やがてコースも中盤に差し掛かり、奴らが現れる。
「「「ヒャッハァ!」」」
 これまでに何度も失敗している冬の思い出トリオだ。懲りない辺りが大変に怪人らしい。
 彼らはコース外から乱入するとライバルを押しのけステラへと迫る。
 彼女の相棒が不安そうな鳴き声を上げた。大丈夫とひと撫でして、ステラは流双星を構える。
「邪魔者は私が全て請け負いましょう。近づく事は許しません」
「おワァ!?」
 一振り。巻き起こったのは風ではなく雷を伴う衝撃波だ。正確に迫っていた冬の思い出トリオを吹き飛ばし、近づくことを許さない。
 何度か繰り返せばさすがに近づいての妨害は無理と判断したのだろう。トリオは距離を取り、離れたところから妨害しようと狙い始める。
 それがステラの目的とも知らず。
「星の源 根源を織り成すもの 我が声に応え…墜ちろ!」
 突如、レース会場を冷気が襲った。不意に影が落ちトリオが見上げればそこには大きな雹……いや違う、もっと大きな、そう、彗星がいくつもいくつも降り注いでいた。
 数えるのも嫌になるほど、ざっと見100以上はあるだろう。
「わぁぁぁぁ!?」
「やばいってヨォ!あれはやばいってヨォ!」
「おい鍋、何とかしろヨォ!!!」
 他の二人にせっつかれ、頭の鍋を慌てて怪人が放つが、初めて見たユーベルコードでは防ぐことができるほどの鍋を放つことができない!
 彗星、着弾!
 ──ぎゃぁぁぁぁ!!!
 悲鳴と白い煙が立ち込めた後、煙が晴れた後には鳥ごと凍ったトリオの彫像がいくつもいくつも出来上がっていた。
 さて、そんな結果を見届けることなくレースを続けるステラは終盤に入りラストスパート!
 鍛えた瞬発力で一気にスピードを上げあっという間にトップに躍り出ると、体力の尽きる前にゴールへと滑り込んだ。
 その様はなびくステラの青い長髪もあって駆ける彗星のようにも見えたそうな。

成功 🔵​🔵​🔴​

ノネ・ェメ
 もふもふの予感。 どこから? 一から? 卵から? できれば一からのブリーディングで絆から育みたいかな。 その道の方々には逐一師事を仰ぎ。 褒める育て方でもふもふと愛情を注ぎ。

 もふるの大事。 綺麗な毛並み撫でるとトゥルンってなるし。 ぶつかられそうな時、トゥルンッてさせた勢いと一気に最高速を出すタイミングとを上手く繋げたら、突き放し+リードの両得だって可能かと。

 肝心のスピード面は、ノネも動ける方だからお手本をやってみせたり、一緒に走るコーチング等して、ここぞという時に抜け出せる子へおし上げたい。

 ノネの判断・指示も明暗分ける部分だから、UCで全対抗鳥の位置やペース等は常に把握してないと。


ルナ・ステラ
鳥さんを育ててレースに出ればいいんですね!
なんだか楽しそうですね♩

育成方針ですが、鳥さんにも個性があると思うので、【動物と話す】ことで得意なことや好きなことを聞いて、そこを伸ばそうと思います。
もちろん育成の間に信頼関係も築けたらと思います!

いよいよ本番ですね...
今までの練習の成果を思いっきり発揮しましょうね!

【騎乗】の技能を活かして、騎乗しながら鼓舞の獣奏器で【楽器演奏】して、鳥さんを【鼓舞】してパワーアップしようと思います。
もし妨害がきたら、【衝撃波】や【属性攻撃】の風魔法で打ち返します!

鳥さんがんばって優勝めざしましょうね!

アドリブ&絡み等歓迎です!



●愛情と信頼の形
 愛情の与え方は人それぞれだ。例えばノネ・ェメ(ο・f15208)の場合はもふもふである。もう一度言おう、もふもふである。
「とても良いもふもふの気配」
 ぽふっと自身の鳥へ身体を預け、その体温ともふもふを堪能する。これが生きたもふもふである。生きてないもふもふ?ほら、ぬいぐるみとかそういうの。
「うん、もふもふ。小さくないだけがちょと残念」
 最初から育てることを期待していたが眼前の鳥は大人とばかりに大きい。ただこれでも若く新米だとか言われたのでゲームの設定上仕方のない部分なのだろう。
 それならそれで諦めるし、ノネの育成方針は何も変わらない。
「もふもふ。うん、いい子」
 褒めるのだ。褒めて伸ばし、もふる。もふるのはノネの好みな気もするが、とにかく褒め伸ばす。
 その褒め伸ばしの育成方針がどうなったかはレース本番で明らかになるだろう。

 一方のルナ・ステラ(星と月の魔女っ子・f05304)は鳥と話をしていた。
「へぇー、じゃあ走ることが大好きなんですね」
『そうだよ!だからね、いっぱい走りたい!』
「わかりました、たくさん走りましょう!」
『やったー!』
 自身の好む育成方針ではなく、実際に走るパートナーの得意なことを、好きなことを伸ばす育成方針。
 元気で活発なルナの鳥は走ることを好み、始終走っているような疲れ知らずの鳥であった。そしてルナは望まれるまま走ることを重視。
 好むことを続けさせてくれる主人に懐かぬものなどいない。甘やかしているのではとも思われるが、それは違う。
 ルナはあくまで鳥の個性を尊重し、話し、交流することで育成している。ただ好きなようにやらせているわけではないのだから。

 迎えるレース本番、これが最終戦のようだ。コースにはノネとルナ、他の乗り手に、最後だけは絶対に突破させまいと冬の思い出トリオの姿もある。
「だいじょぶ、ノネのお手本みて上手になったから、走れる」
 開始直前、ノネは自分の乗る鳥へと声をかけた。その翼は美しく、もふることも重視した結果だろうか?羽根の色が黄色から緑、そして青へと先端に行くにつれて変化している。
「いよいよ本番ですね。今までの練習の成果を思いっきり発揮しましょうね!」
 ルナもルナで声をかける。任せて!とルナを乗せたまま飛び跳ねる様は早く走りたくてたまらないといった様子だ。
 そしてレースが開始される。
 好みを伸ばし走ることを続けたルナも、自分を手本に時には共に走ったノネも先頭集団に紛れていた。
 当然というべきか、そこには冬の思い出トリオもきっちり入っている。二人の後方につき、妨害のタイミングを狙ってるのだろう。
「さぁ、好きなだけ走りましょう。他の何も気にしなくていいのです」
 後方を気にしながらも、ルナは持ち前の騎乗スキルで器用にも走る鳥の上に乗ったまま楽器を取り出し奏で始めた。
 ポロンポロロン。強くも優しい音色は相棒の集中力を増し、その力を強める。
「ぁ、ずるい。ノネも真似すればよかった。真似じゃダメかな?」
 音楽とくればヴォーカリストであるノネも敏感に反応する。真似て鼻歌で表現してみるが音よりは楽器と合わさって一つなので効果はいまいちだ。
 それでもノネと一緒にいたためか音楽を好むようになったノネの相棒にとっては良い応援となったが。
 ―― óʊp(ə)n híɚ ――
 代わりにノネは自身のユーベルコードを発動。研ぎ澄まされた聴覚で自分とライバルたちの位置を把握。特に後方に控えているオブリビオンに注意を向ける。
 レース自体は平和に進行していた。行われるのは軽度の競り合いだったり、軽い妨害であったり。ゲーム内で可能な範囲のみだ。
 だが、終盤へと差し掛かった時、冬の思い出トリオたちが動き出した。
「へっへっへ、この時を待ってたんだヨォ!」
「突撃ダァ!!!」
 体力を温存していたのだろう。ここぞとばかりにスピードを上げ、一体はノネへタックルせんと迫る。
 しかしどうしたことだろう。タックルしようとノネの鳥に触れた瞬間、まるで滑るようにいなされてしまったではないか!
 再度繰り返すが、被害が一切なくするりと抜けさらにその勢いのままスピードを上げてしまう。
「あ、あレェ?どうなってんダァ?」
 その秘密はもふもふにあった。もふり大事というだけあってその毛並みは大変綺麗で一定方向から撫でると一気に手が滑っていくのだ。つまり、冬の思い出トリオ(のうちの一体、鍋怪人)のタックルはただ撫でられたものと処理されてしまったのだ!
「邪魔はさせません!」
 ルナの方にも妨害の手が迫る!隣へとつけたかまくら怪人が頭のかまくらに手を突っ込んでは餅や火鉢、雪の塊、さらには炬燵まで取り出しては投げつけてくる。
 だが、そのどれもがルナたちへたどり着く前に楽器から放たれる衝撃波で打ち返され、かまくら怪人の頭の中へリターン。再度取り出しては投げ、戻され、と不毛な打ち合い状態になっていた。
「だぁぁぁ、俺の中がめちゃくちゃになルゥ!!!」
 しびれを切らしたのだろう。かまくら怪人は手に持っていたスコップをとうとう投げた。しかしこれも綺麗に打ち返され、頭のかまくらに突き刺さりそのままダウン!
 乗り手による制御を失った鳥が暴走するのに巻き込まれないようにスピードを上げて走り抜けるとゴールは目前。
 走っているのはルナとノネの二人だけ。猟兵のクリアは確実だが順位はゴールするまでわからない、ラストスパートだ!

「がんばれ。今までで一番だよ」
 ノネの声に最後の力を振り絞ってぐんとスピードが上がる。
「負けないでください。優勝まであと少しです」
 ルナの声と楽器の音にここまでしてもらったのだからと脚に力がこもる。
 抜きつ抜かれつ、猟兵同士のデットヒート。その結果は……。

 ──パァン!!!

 ゴールの音が鳴って、二人はそれぞれ自分の順位を確認した。チーム戦とはいえ順位は個別に出る。それを見た二人は目を丸くした。
 なぜなら全く同じタイムで同着一位だったのだから。
 ぱちぱち、目を瞬かせて顔を見合わせた二人と二羽は一拍の間をおいて、大いに笑った。
 優勝を祝して舞う紙吹雪の中でその笑い声はとても楽しげに響いたという。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2019年05月03日


挿絵イラスト