魔剣の葬列が『上』を目指す
#アルダワ魔法学園
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アルダワ魔法学園世界、学園迷宮の一つ。またの名を真鍮の神殿、その最奥。迷宮魔導剣士ルキシスは、跪く配下――兵士の呪鎧達へ告げた。
「これより、アルダワへの侵攻を開始する。まず、我々が目指すのは第一層、隠し宝物庫だ」
現在、この真鍮の神殿でアルダワ学園に発見されていない場所。そこに拠点を築き、逆侵攻する――それがルキシスの計画だった。
「連中に教えてやろう、我らがただ封印されている訳ではないと。我が魔剣で、証明してくれる!」
『――――』
兵士の呪鎧達は立ち上がり、一糸乱れぬ動きで胸の前に剣を捧げる。その忠義の現われに満足したルキシスはうなずき、マントをひるがえして告げた。
「さぁ、行くぞ! 反逆の時である!」
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「舞台役者にでも、なればいいんじゃないかな」
煙草をもみ消しながら、ジョー・パブリック(名も無き断章・f17003)はそう切り捨てた。ジョーは猟兵達に向き直り、資料を読み解きながら続ける。
「簡単に言うと、アルダワ魔法学園世界の地下迷宮から封印されていたオブリビオンが侵攻してくる。みんなにはそれを食い止めてほしい」
ジョーはそこまで一気に言い切ると、机に地図を広げた。ダンジョンの一角、壁に丸を書く。
「発見されていなかったが、ここに隠し宝物庫があったらしい。ここを拠点に、連中は迷宮の外に攻めてくる……正直、このカラクリがわかっていないと対処に後手を踏むところだった」
敵がどこで態勢を整えているか? 防衛戦において、それを理解しているかどうかは戦況を大きく左右する。そして、逆もしかりだ。
「今回は、向こうはこちらが気づいている事に気づいていない。逆にこちらが有利な状況だ」
向こうが態勢を整えきる前に強襲、叩き潰す――今回はそういう作戦だ。
「まず、第一層で偵察している兵士の呪鎧達を始末してくれ。数はかなり多いが、散らして状況の確認を優先している。三体から五体のチームがいくつも迷宮内にいるようだ」
これを手早く、いかに気付かれないように始末するかが鍵となる。へたに動けば、ルキシスに警戒されてしまうだろう。そうなると、ルキシス戦は少々厄介な事になりかねない。
第一層は、既にある程度の探索が終わっている。トラップなどはないが、迷わせる構造になっているので、それも工夫次第では使えるだろう。
「兵士の呪鎧達を始末したら、隠し宝物庫のルキシスを倒してくれ。魔剣を振るう強敵だ、十分注意して欲しい」
また、ここまで語り終えてジョーは思い出したように言った。
「そうそう、全てが終わったら一人に付き宝物庫の宝箱を一つ選んで好きにしていいらしい。迷宮を攻略したものの、当然の権利なのだと。何が入っているかはわからんが、それも迷宮攻略の妙ってもんだ。挑戦してみたらどうだ?」
波多野志郎
宝箱にはロマンが詰まってる。どうも、波多野志郎です。
今回は、逆侵攻してくるオブリビオンを退治し、宝箱もゲットしようというお話です。
まず、第一章は迷宮内の兵士の呪鎧達との集団戦となります。いかに戦うか、頭を使って戦うと良いかもしれません。
また、第三章は宝箱を開けるフラグメントとなっております。中身に関しては、皆様のプレイングで決めていただきます。その中身をプレイヤーさんに★0.5で作成していただいても構いません。また、アイテム化するまでもない「ハズレ」でもOKです。
そこを楽しむのも、皆様のプレイング次第でしょう。
それでは、戦闘と宝箱開封を存分にお楽しみくださいませ。
第1章 集団戦
『兵士の呪鎧』
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POW : 突撃陣形
【密集陣形を組ん】で対象を攻撃する。攻撃力、命中率、攻撃回数のどれを重視するか選べる。
SPD : 防御陣形
【後衛】から【遠距離攻撃】を放ち、【前衛が盾で押し込むこと】により対象の動きを一時的に封じる。
WIZ : 機動陣形
【鋒矢陣形を組むこと】により、レベルの二乗mまでの視認している対象を、【衝撃力の高い突撃】で攻撃する。
👑11
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種別『集団戦』のルール
記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
大成功 | 🔵🔵🔵 |
成功 | 🔵🔵🔴 |
苦戦 | 🔵🔴🔴 |
失敗 | 🔴🔴🔴 |
大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
月夜・玲
へー隠し宝物庫
危ない危ない、厄介な所に目を付けられたね
でもまあ、こっちが先手を取れたんだから後はいつも通りやるだけ
それに、戦いの後にはご褒美もあるしね
その辺も楽しみにしとかなきゃ!
さあて、お仕事お仕事!
●戦闘
『忍び足』で足音を消しながら敵の集団を探すよ
聞き耳を立てたり、角等では鏡で敵が居ないか確認しながら慎重に探索
敵を発見したら、空の記憶とBlue Birdを抜剣
両剣にエネルギーをチャージして、いつでも攻撃に移行出来る体制を整えて待機
敵の注意が少しでもそれたら、足音を消しながら一気に敵の近くまで近づくよ!
近づいたら両剣より【エナジー解放】を起動
『2回攻撃』で一気に2度の範囲攻撃
速攻を仕掛けるよ
リンタロウ・ホネハミ
いやぁ怖いっすよねぇ、奇襲するつもりが逆に奇襲されてたってのは
オレっちも何度か経験あるからほんっと恐ろしいのは骨身に染みてるっすよ
ええ、マジで……運がなかったっすね、敵さんは(にやり)
さて、楽勝な状況でも気を抜かないのがベテランってやつっす
迷宮の地図を確認したら、斥候が行きそうだなってところへ先回り、罠をしかけてやるっす
それが可能なだけの技能(戦闘知識や地形の利用等)と道具(ワイヤーやショートボウ等)はあるっすよ?
敵が罠にかかったらカメレオンの骨を食って【〇八七番之隠伏者】を発動!
視認出来なきゃどんな攻撃も当たんないっすよねぇ!
疲れちまう前に一気に畳み掛けて倒すっすよ!!
アドリブ・絡み大歓迎
ラッセル・ベイ
宝箱……冒険者としては心躍る響きだな
武具は必要ないので、それ以外が手に入ると良いのだが……
素材とか、或いは冒険に使える便利道具とか
●戦闘(POW)
いつぞやの鎧兵か
今回が初陣だ。やるぞ、ブロングス
「ストレングス・ルーン」と「グラウンド・ルーン」を同時起動
「地盾グラウンド」「剛斧ブロングス」を構え、鎧兵の攻撃を待つ
どの様な攻撃が来ようと、怪力とグラウンドで受け切ってみせよう
受け切ったら、すぐにバッシュで押し返す
……ここまでだ、【ハイ・インパクト】!
破壊属性のブロングスによる一撃で、密集した鎧兵を薙ぎ払う
そして敵陣の中央に飛び込み、全力の一撃で吹き飛ばす
……良し、悪くない
ブロングスの威力は上々の様だ
アイ・エイド
【鬼神軍】のヤツいたら出来れば連携取りてェな!!
アドリブお任せだぜ!
おおっと?前だけ見てていいのかァ!!
オレは【禁断の生命物資】でオブリビオンにだけ有効な【UDC用痺れ毒】の繁殖力を上げて霧を発生させるぜ!
敵が痺れたり、突然の霧の発生に驚いている内に鋼糸で敵を操ったり、敵を盾にして同士討ちを狙って更なる混乱に陥れるのもアリ、だろうなァ…ふふ。
あ、ヤベ腹黒(師匠っぽいの)乗り移ってた!!
まぁ、戦法としちゃァ、アリか。相手オブリビオンだし?『何スンダコノヤロー』とか『急ニ攻撃シヤガッテ、痛ェジャネェカコノヤロー』とか何となく台詞付けつつ鋼糸で操ってみるぜ!
カメリア・クラウゼヴィッツ
さて、なるべく手薄なところから数の少ない集団を潰して行きたいわね
わざと見つかって近くの小路に誘い出しましょう
”目には目を”方式で、戦士には戦士を。
【サモニング・ガイスト】で、そうね、白い鎧の戦士を喚ぶわ
力を貸してね、お兄ちゃん«Apostel»。
白vs黒。映える画でしょう?
呪鎧っていうから、中は空なのかしらね
基本的には素直に向かってくる感じがするし、陣形を見ながら回避するわね
隙を見て背後を取れたら多少攻撃も通りやすいかしら
此処ちょっと寒いしホコリっぽくない?
早く終わらせて日の光を浴びたいわ…え?
ダンピールは日光に弱いんじゃないかって?古いわよ、その考え方
*他との連携・共闘、アレンジも歓迎です
宇冠・龍
【鬼神軍】で参加
いかに下層の敵に気付かれないかが肝、ですか……
隠密と速攻は得手ではありませんが、元冒険者としてお宝のため頑張りましょう
(迷宮探索……あの人との日々を思い出しますね)
狭い通路での小隊相手。下手に逃げて他部隊と合流されたり鉢合わせ挟み撃ちされると面倒です
部隊の後ろに回り込み【画竜点睛】で各個拘束、エイドさんの毒と合わせ完全に無力化、このドラゴニアンの膂力を持った拳で各個撃破していきます
他部隊にもし見つかっても、幸いにもあちらから向かってきてくれる模様 ならば同様に百を超える亡者の手でお出迎え、床から壁から這い出る腕で足や武器を絡めとり、動きを封じて拳をお見舞いします
ヌル・リリファ
◆零時さん(f00283)と
◆アドリブなど歓迎です
わたし、まもるのも一応できるから。
零時さんは相手はきにせず攻撃だけすればいいよ?
シールドを展開。ふたつあるデバイスのうち、片方は、ひろく、敵ごとつつむように展開して、音や破壊を最小限におさえる。きづかれるかもしれないけどなにもしないよりいいとおもうから。
もう片方は零時さんを【かばい】つつ、敵の攻撃を【盾受け】でうける。この時、UCで防御力を強化して、相手の攻撃にとばされないようにする。
そのあとは【カウンター】として【シールドバッシュ】。隙をつくるよ。
……零時さんの攻撃、単純だけどかなりつよいね
簡単な言葉は平仮名、難しめの言葉は漢字でお願いします
兎乃・零時
ヌル(f05378)と!
アドリブなど歓迎
お宝…ろまん、ってやつだな!めっちゃ気になる!
良いのか…?ヌルは頼もしい…
お、俺様も頑張らないと…!(戦闘は正直怖いけど【勇気】をもって)
UCで紙兎パルを呼んどく
戦闘前に「騒音隔離ボール.Ver1.08」を戦場へ投げ
外に戦闘音や振動が洩れないように、【迷彩】するかのようにカムフラージュ
◆紙兎パル
【誘導弾・属性攻撃・援護射撃・スナイパー】を駆使して兵士に攻撃
【学習力】も向上してるからヌルの援護も上手いこと頼む!
◆兎乃
俺様は隙を見て【全力魔法】で魔力をビーム風にどばーッと騎士へ向けて放つぜ!(厳密には魔法じゃない)
回避は【ダッシュ・逃げ足】を駆使して
愛久山・清綱
ここがアルダワ。封じられた広大なる迷宮。
一歩迷ったら永久に戻れないどころか、迷宮に
巣くう者たちの生き餌になってしまいそうだ。
気を引き締めねば。
■闘
【野生の勘】と【聞き耳】を用いて、敵の気配を探りつつ移動。
敵部隊を発見したら一旦隠れ、気づかれる前に【先制攻撃】。
【戦闘知識】を用いて有効な奇襲方法を模索するのも手か。
万一見つかったり、鉢合わせになったらその場で戦う。
戦闘では大なぎなたで【鎧無視攻撃】を含めた【剣刃一閃】で
【なぎ払い】、一斉撃破を狙う。
敵が陣形を組んで攻撃してきたら【武器受け】しつつ【怪力】で
押し返し、態勢を崩す。
戦闘が終わったら一旦その場から離れよう。
新手に見つかったら、厄介だ。
フェム・ポー
【WIZ】
ダンジョンから出てこようとするオブリビオンちゃん達を退治すればいいのねぇ?
……現世に迷い出てきた、『可哀そうな子達』だものねぇ、ちゃんと、ちゃあんと、『救って』あげなくちゃぁ。
フェムは小さいからぁ、物影に隠れて様子をうかがおうかしらぁ?
相手が近くまで来たらぁ、ユーベルコードの鎖で縛り上げてぇ、
身動きできなくしぇ……その命、ぜぇんぶ貰ってあげるわねぇ?(技能:生命力吸収)
うふふ。
……アナタ達はもう終わっているのだからぁ、今さら現世(苦界)で苦しまなくてもいいのよぉ?
アナタ達のイタミも、クルシミも、なにもかもぉ、フェムが貰ってあげるからぁ、アナタ達はぁ、ここでゆっくりお休みなさぁい?
アネット・レインフォール
▼心情
ふむ…兵士の立ち振る舞いから察するに、よく洗練されている気がするな。
陣形を組んでの連携は厄介だが、逆を言えば一角を崩せば
突破口を見出す事が出来るかもしれない。
▼行動
探索済みのようなので事前に構造や地図の把握を。
先回りなど強襲に使えそうな死角の多い場所の目星をつけておく。
現地では【俯瞰ノ眼】で場の流れや気配を読み兵士達の位置を把握し共有を。
強襲の際には物音が他のチームへ届かないよう距離には注意しておく。
状況が許せば葬剣を無数の鋼糸にして宙に足場を作り、上空から強襲。
戦闘では仲間の攻撃に乗じて【霽月一刀】を放ち、
一体ずつ確実に倒すことで連携を絶つ。
▼他
連携を重視、アドリブ歓迎
薄荷・千夜子
「このような実践は初めてなので緊張しますが、頑張りましょうね」
緊張を和らげるように相棒の鷹(彗)を撫でる。
今回は、彗をメインに動いてもらって皆さんの援護に回ろうと思います。
彗を囮に敵を皆さんがいる方に誘導したり、複数に手分けしているようなら彗を連絡係をしてもらいます。
敵を見かけた際には敵の人数分の赤い紙紐を足に巻いて他の方々に連絡と場所までの案内を。
何か言伝がある場合は紙紐に記載して運んでもらいます。
私自身も【忍び足】で行動。戦闘になった際は巫覡載霊の舞メインで応戦します。
●迷宮内での暗闘
ここはアルダワ魔法学園世界、学園迷宮――その一つ。
「ここがアルダワ。封じられた広大なる迷宮。一歩迷ったら永久に戻れないどころか、迷宮に巣くう者たちの生き餌になってしまいそうだ」
愛久山・清綱(もののふ混合童子・f16956)の呟きは、決して過言ではない。本来、この迷宮は迷わせ、閉じ込める意味があったのだから。現在、罠も解除して調査が終わったと思われるこの一階層でさえ、油断すれば命を落としかねない。
「へー隠し宝物庫。危ない危ない、厄介な所に目を付けられたね」
月夜・玲(頂の探究者・f01605)の言葉に、カリっと咥えた骨に歯を立てながらリンタロウ・ホネハミ(Bones Circus・f00854)は言った。
「いやぁ怖いっすよねぇ、奇襲するつもりが逆に奇襲されてたってのは。オレっちも何度か経験あるからほんっと恐ろしいのは骨身に染みてるっすよ。ええ、マジで……運がなかったっすね、敵さんは」
実際、リンタロウの言う通り相手の所在がわからない奇襲は恐ろしい効果がある。それを今回は、逆手に取れるのだ――テンションが上がるというものだ。
「こっちが先手を取れたんだから後はいつも通りやるだけ。それに、戦いの後にはご褒美もあるしね。その辺も楽しみにしとかなきゃ!」
さあて、お仕事お仕事! とうなずく玲に、ラッセル・ベイ(ドワーフのルーン鍛冶師・f12407)も呟く。
「宝箱……冒険者としては心躍る響きだな。武具は必要ないので、それ以外が手に入ると良いのだが……素材とか、或いは冒険に使える便利道具とか」
そんなお楽しみも、全部が終わった後だ。猟兵達は互いに示し合うと、迷宮内へと散っていった。
まずは、倒すべき敵がいる――その前座をすませる、そのために。
●兵士の呪鎧
迷宮の通路を四つの鎧姿が歩いていく。いや、正確には四体と言うべきか。兵士の呪鎧――呪いによって動く鎧達だ。
(「ふむ……兵士の立ち振る舞いから察するに、よく洗練されている気がするな。陣形を組んでの連携は厄介だが、逆を言えば一角を崩せば突破口を見出す事が出来るかもしれない」)
曲がり角で身を潜めていたアネット・レインフォール(剣の教導者・f01254)は、静かに精神を統一する。
「無式・俯瞰ノ眼」
その小さな呟きと共に、場の流れや気配をアネットは完全に掌握していった。事前に構造や地図の把握している。だからこそ、先回りなど強襲に使えそうな死角の多い場所の目星をつけてあるのだ。
(「もうすぐ来る。打ち合わせどおりに――」)
アネットの視線を受けてうなずいたのは、薄荷・千夜子(鷹匠・f17474)だ。
「このような実践は初めてなので緊張しますが、頑張りましょうね」
千夜子は緊張を和らげるように、相棒の鷹――彗を撫でる。彗も状況を理解しているのか、鳴く事なく身を擦り寄せ温もりを伝えた。その暖かさが、千夜子に普段の感覚を思い出させてくれる。
――曲がり角を、四体の兵士の呪鎧が曲がる。四方を確認しながら進む兵士の呪鎧へ、千夜子は彗を飛ばした。
『――――』
バサリ、と翼を羽ばたかせ低く飛ぶ彗。それに兵士の呪鎧達が視線を集中させた、その時だ。
ズザン! と『上』から降りて来たアネットの霽刀【月祈滄溟】による斬撃が、一体を両断した。
完全な奇襲だ。頭上、通路に暗糸【翠霞喝采】によって足場を作っておいたのだ。頭上という完全な死角を、呪鎧達は突かれた事になる。
三体の呪鎧は、すかさず振り返るが――。
「遅い」
剣気を纏わせた霽刀【月祈滄溟】がすかさずひるがえし、二体目を切り上げた。足を断ち切られ、グラリと体勢を崩す呪鎧。それが残った二体の動きを邪魔してしまう。
そこへ、物陰から飛び出した千夜子が巫覡載霊の舞によって神霊体に変身、薙刀を振るい衝撃波を叩き込む!
『――ッ!?』
「壱式・霽月一刀」
まさかの挟撃に呪鎧が惑う瞬間を見逃さない、アネットの横一閃の【壱式】霽月一刀(セイゲツイットウ)が二体の呪鎧を斬り飛ばした。
「今のはいい動きだ、その調子で頼む」
「はい」
納刀しながら教育者の顔で褒めるアネットに、千夜子もようやく笑みを見せる。
「情報をみんなに――お願いしますね、彗」
彗の赤い紙紐を足に巻いて、千夜子は彗を飛ばせる。そうやって、仲間達と情報を共有しようと言うのだ。
こうして、アネットと千夜子は次の地点へ向かう――敵はまだ、多く迷宮を徘徊しているのだから。
三体の呪鎧が、角で待機していた。他の仲間がそこに来たら入れ替わる、そういう補助要員としてだが――壁がある分、警戒する場所が減っていて厄介な配置だった。
「いるわね」
曲がり角から鏡で確認して、玲は呟く。それにリンタロウは、我が意を得たりと言いたげにうなずく。
「はは、そうっすよね。そこは取っておきたい場所っすよね」
事前に地図を確認して、その場所は把握していた。リンタロウは骨を噛みながら、笑みをこぼす。
「さて、楽勝な状況でも気を抜かないのがベテランってやつっす」
リンタロウは、手元にあったワイヤーを引いた。ピン、という軽い音と共に、角を取っていた呪鎧達が、煙幕に飲み込まれた。先に、向こうが陣取るだろう場所にトラップを仕掛けていたのだ――すぐさま、リンタロウが駆け出した。
(「視認出来なきゃどんな攻撃も当たんないっすよねぇ!」)
カメレオンの骨を喰い、〇八七番之隠伏者(ナンバーエイティセブン・カメレオンボーン)によってその姿を消してリンタロウは一気に踏み込む。煙幕の範囲から逃れようと動いた呪鎧の動きは、外側からなら煙の動きでよくわかる。
「目に頼ってばっかいるからこうなるんすよ?」
だからこそ、無造作に呪鎧はBones Circusによる薙ぎ払いに胴を断たれる。その手を伸ばそうとした呪鎧を横移動でかわし――煙の中から残り二体が、そこへ襲いかかってきた。
(「思い切りがいいっすね」)
目に見えずとも、仲間が倒されたその瞬間にそこにいるはずだ――そういう考えなのだろう。だからこそ、リンタロウは身を沈める――直後、リンタロウの首があった場所を、玲の空の記憶とBlue Birdの、両剣が振り払われた。
「速攻で決めるよ」
ヒュオン! とエナジー開放(エナジーバースト)による巨大化した両剣が一体の呪鎧を両断した。しかし、その一体が強引に前へ――最後の一体を庇うように動いた。
個では意味をなさない全だからこその判断、自身を犠牲にしても次へ繋げようとする執念――だが、それをリンタロウと玲が覆す!
「させないっす」
リンタロウの水平蹴りが、呪鎧の足を払った。それでたたらを踏んだところへ――。
「エネルギー解放、広域放射!」
空の記憶とBlue Birdを突き出し、高威力のエネルギーを一直線に放った玲の一撃が庇った呪鎧ごと連撃で粉砕した。
「……次ね」
「そうっすね」
ガシャン、と武装を納めながら言う玲へ、リンタロウも軽く答える。まだまだ、トラップを仕掛けた場所は残っている――悟られる前に、出来るだけ始末しなければならないのだ。
リンタロウと玲は、次のポイントへと急いだ。
「お宝……ろまん、ってやつだな! めっちゃ気になる!」
この迷宮のどこかに、誰にも知られずに宝物が眠っていた――その事に、兎乃・零時(大きな帽子に夢抱え、目指すは《最強/最高》魔術師!・f00283)は目を輝かせる。確かにそれはロマンだ――だが、零時のそんな様子を見ていたヌル・リリファ(出来損ないの魔造人形・f05378)は冷静に告げた。
「わたし、まもるのも一応できるから。零時さんは相手はきにせず攻撃だけすればいいよ?」
「良いのか……? ヌルは頼もしい……お、俺様も頑張らないと……!」
迷わず請け負うヌルに、零時も帽子を被り直しながら勇気を振り絞る。ここまで来て、怖いと言っている暇はないのだ。
ただ、恐怖を与えるのに十分な威圧が目の前の一団にはあった。五体の呪鎧達、だからこそ零時は深呼吸する。
「い、行くぜ」
ひょい、と零時が騒音隔離ボール.Ver1.08を放り投げる。それに気付き、呪鎧の一体が身構え――残り四体も反応した。
即座に零時に気付き、機動陣形へ。その衝撃波で、零時へと放つ!
「させない」
迷わず前に出たヌルが、ブレスレット【アイギス】の一つからシールドを展開して衝撃波を受け止めた。ただのシールドではない、トリニティ・エンハンスによって風の魔法で防御力を上昇させたシールドだ。そんな厚い盾の上からでも鈍い衝撃が無音で、手元に返ってくる。だが、ヌルは構わない。即座にもう一つのブレスレットからシールドを広げた――ただし、呪鎧達を包むように、である。
『――!?』
「痛そう?」
呪鎧達が、シールドにぶつかり急停止する。音こそ聞こえないものの、見た目はかなり痛そうだった。急停止したのを確認して、ヌルはシールドを解除――そこへ、正確な狙撃が撃ち込まれた。
兎乃の家族から贈られた自立型全自動防衛式神紙兎パルによる、狙撃だ。呪鎧達が散ろうとする事を許さない、手足や関節部を狙った銃弾――その援護射撃を受けて、零時が動いた。
「行っけえええええええええええええ!!」
どばー! と零時の全力全開によるごん太レーザーが通路を埋め尽くし、放たれた。逃げ場を失っていた呪鎧達に、それを耐えきる事はできない。レーザーの中で、ジュ! と蒸発する飴細工のように消滅していった。
「……零時さんの攻撃、単純だけどかなりつよいね」
「単純じゃないぜ!? これは、とても高度で奥ゆかしい魔法の産物で――」
「……魔法か、凄いね」
ヌルの納得に、うんうんと零時もうなずく。最後のは魔法ににたレーザーのようなきがしたけど……とは、ヌルも触れなかった。
紙兎パルの周囲の確認を終え、二人の前に降り立つ。零時は、帽子を被り直しながら言った。
「よし、この調子でガンガン行こうぜ!」
「うん、いこう」
強引にテンションを上げて勇気を振り絞る零時に、コクリとヌルはうなずく。まだ、この迷宮内に呪鎧達は残っているのだ。次を始末するため、移動を開始した。
四体の呪鎧の前へ、ラッセルが立ちはだかった。
「いつぞやの鎧兵か」
『……奇襲、しなくていいんですの?』
「今日は試したいものがあるからな」
ラッセルはポイゼの問いかけにそう答え、剛斧ブロングスを腰から抜く。
「今回が初陣だ。やるぞ、ブロングス」
ラッセルはストレングス・ルーンとグラウンド・ルーンを同時に起動、地盾グラウンドと剛斧ブロングスを構えた。その時には、既に呪鎧達は動いている――突撃陣形を組んで攻撃力を上昇させるとラッセルに四本の剣が振るわれた。
だが、地盾グラウンドとラッセルの怪力の前に斬撃は受け切られる! 散る火花、響く金属音――ラッセルは地盾グラウンドを構えて前に出た。
「……ここまでだ、【ハイ・インパクト】!」
そして、破壊属性の剛斧ブロングスを大上段に振り下ろす。ドン! と二体の呪鎧が、触れただけで砕け散った。その手応えに、満足げにラッセルはうなずく。
「……良し、悪くない。ブロングスの威力は上々の様だ」
『まだ、動いてるのがいますわよ!?』
ポイゼの声に、ラッセルは視線を上げる――だが、動かない。動く必要がないからだ。
「そこまでだ!」
清綱が、大なぎなたを手に飛び込んできたのだ。戦場での使用を想定された大型のなぎなたは、並の腕力では扱えない。しかし、清綱は己の怪力と遠心力を利用して横一閃に薙ぎ払った二体の呪鎧を両断した。
ギギギギギギギギギギギギギギギン、と床を大なぎなたの切っ先ですりながら、清綱は着地。緊張を途切れさせる事もなく、ラッセルへ告げた。
「新手に見つかったら、厄介だ。次へ場所へ行こう」
「うむ、まだ試し足りないからな」
清綱とラッセルは、一緒に走り出す。ポイゼの呆れた声が聞こえた気がしたが、ラッセルは敢えて気にも止めなかった。
(「気を引き締めねば――」)
清綱の野生の勘は、まだまだ呪鎧の気配を感じ取っている。そのどれもが、陣形を組んで厚い防御で固めている――どうやら、一筋縄ではいかないようだ。
だからこそ、最後まで気を抜かない。清綱は、己にそう言い聞かせた。
「ありがとう」
情報を持ってきてくれた鷹、彗にそう礼を告げて、カメリア・クラウゼヴィッツ(林檎椿・f17005)は改めて状況を確認する。
(「さて、なるべく手薄なところから数の少ない集団を潰して行きたいわね」)
三体編成の呪鎧達の情報を、彗が教えてくれた。だから、カメリアは自分を囮にその三体を誘き寄せる事にした。
「ダンジョンから出てこようとするオブリビオンちゃん達を退治すればいいのねぇ?
……現世に迷い出てきた、『可哀そうな子達』だものねぇ、ちゃんと、ちゃあんと、『救って』あげなくちゃぁ」
一方その頃、フェム・ポー(聖者の残骸・f12138)の小さな体を利用して燭台跡に身を潜ませていた。夢見るように、あるいはこれから起きる未来を予知しているかのように、フェムは蕩けた笑みをこぼす。
『――――』
そのフェムの目の前を、カメリアとそれを追っている三体の呪鎧の姿があった。カメリアの視線を受けて、フェムは小さく首肯。
「ウフフ。這い蹲って、哀れで愛しい姿を見せてぇ?」
最後尾の呪鎧、その背後に現われた闇の光の魔法陣から、ジャラララララララララララララッ! と闇の光を帯びた大量の鎖が出現。呪鎧の手足を、胴を巻き付けて封じ込めていった。
「身動きできなくしぇ……その命、ぜぇんぶ貰ってあげるわねぇ?」
その光景を上から見下ろし、フェムは恍惚の笑みで言う。二体の呪鎧が気付き足を止めるが、もう遅い――振り返ったカメリアが、サモニング・ガイストを発動させる。
「力を貸してね、お兄ちゃん«Apostel»」
現れるのは、白い鎧の戦士。白と黒が対峙するその光景に、カメリアが笑みをこぼした。
「白vs黒。映える画でしょう?」
まさに目には目を、戦士には戦士をという考えだ。白い鎧の戦士の槍が、呪鎧の剣と激突する。一合、二合、三合――その間に、フェムは新たな獲物に手を伸ばす。
「うふふ……アナタ達はもう終わっているのだからぁ、今さら現世(苦界)で苦しまなくてもいいのよぉ? アナタ達のイタミも、クルシミも、なにもかもぉ、フェムが貰ってあげるからぁ、アナタ達はぁ、ここでゆっくりお休みなさぁい?」
ミシミシミシ……! と金属の軋む音の後、圧壊音が鳴り響く。闇の光を帯びた大量の鎖が、中身のない鎧を潰したのだ。
その間に、最後の一体も白い鎧の戦士の槍が貫く。槍を掲げ、前へ――バキン! と胸部が破壊されて、呪鎧の動きが完全に止まった。
「此処ちょっと寒いしホコリっぽくない? 早く終わらせて日の光を浴びたいわ……」
「ダンピールってぇ、光は苦手なんじゃないですかぁ?」
パタパタ、と隣に寄ってきたフェムの問いに、カメリアは肩をすくめる。
「古いわよ、その考え方」
新しいとか古いの問題かは別として、日光浴を楽しむのはまだ早い。彼女達には、まだこの迷宮でやるべき事が残っているのだから……。
「いかに下層の敵に気付かれないかが肝、ですか……隠密と速攻は得手ではありませんが、元冒険者としてお宝のため頑張りましょう」
宇冠・龍(過去に生きる未亡人・f00173)は、どこか懐かしそうに迷宮を見回した。
(「迷宮探索……あの人との日々を思い出しますね」)
その日々を思い出し、しかし、龍は現在に意識を引き戻す。思い出の場所を汚す訳には、いかないからだ。
ガシャン、と五体の呪鎧が、一団となって進んでくる。その前に、アイ・エイド(腐れ人狼・f10621)が立ち塞がった。
『――――』
「おおっと? 前だけ見てていいのかァ!! ――さァ出番だ!存分に暴れてこいッ!!」
身構えた呪鎧達へ、アイは言い捨て禁断の生命物質(フォビドン・クリーチャー)を使用。オブリビオンにだけ有効なUDC用痺れ毒の増殖力を上げる。その結果、痺れ毒が大量発生、霧となって膨れ上がった。
「敵が痺れたり、突然の霧の発生に驚いている内に鋼糸で敵を操ったり、敵を盾にして同士討ちを狙って更なる混乱に陥れるのもアリ、だろうなァ……ふふ」
そこまで考えて、アイはふと正気に返った。
「あ、ヤベ腹黒――師匠っぽいの――乗り移ってた!!」
だが、どうせ相手はオブリビオンだしいいか、とアイは思い直す。鋼糸で一体の手足を絡め取ると、大雑把に操り始めた。
『何スンダコノヤロー』
『急ニ攻撃シヤガッテ、痛ェジャネェカコノヤロー』
オフレコしつつ、アイは呪鎧達を混乱させるためだけに、同士討ちさせる。しかし、個より全を優先する呪鎧は即座に操られた仲間を破壊し、難を逃れた。
『バ、馬鹿ナ……ワタシハアナタノ右腕ダッタハズ……ナンテナ!』
そのまま壊れた鎧を鈍器に、アイは呪鎧達を薙ぎ払う。そこへ、龍がすかさず踏み込んだ。
「咲けよ徒花、一つ二つと首垂らせ」
一体の呪鎧が、怨霊の腕で拘束していく――そこに龍は、鋭い後ろ回し蹴りを放つ。その蹴りに、呪鎧は紙細工のように蹴り砕かれた。
ギシリ、と動きの鈍った三体が迫ろうとする。だが、あまりにも遅い。痺れ毒で鈍った動きでは、とても龍には触れる事もできない。
龍は即座に身を沈め、尾の薙ぎ払いで足を破壊。跳ね上がる動きで繰り出した膝の一撃で、完全に粉砕した。
「――フッ!」
龍は鋭い呼気と共に、怨霊の腕に捕まった呪鎧に肘討ち。腹部を破壊すると、そのまま氷風の槍による一閃で切り伏せた。
「これで終わりだ」
そして、アイが鋼糸で完全に最後の呪鎧を断ち切り、止めを刺した。
「次が来るぞ!」
「このまま迎撃しましょう」
次の呪鎧の一団が、気づいて駆けてくる。それをアイは鋼糸を操り、龍は百を超える亡者の手で迎え撃った。
●そして、鎧は残らず――
まさに殲滅戦と言うべき戦いだった。猟兵達は、兵士の呪鎧達を完全に駆逐。気づかれる前に、終わらせる事に成功した。
残るは、隠し宝物庫を拠点として控えるルキシスのみ――猟兵達は、宝物庫へと向かった……。
大成功
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第2章 ボス戦
『迷宮魔導剣士ルキシス』
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POW : 『幕を下ろす輝きの虚空剣』(デウスエクスマキナ)
【次元を歪曲させ生み出した一振りの魔法剣】が命中した対象を切断する。
SPD : 『疾走閃舞』…この私と踊ってみる気はあるか!?
【高速の空間移動が起こす真空の刃】による素早い一撃を放つ。また、【魔力によって硬度が変わるローブを脱ぐ】等で身軽になれば、更に加速する。
WIZ : 『星剣(ソードスフィア)』
レベル×5本の【空間断裂魔法からなる、斬撃】属性の【球体状の剣】を放つ。
👑11
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種別『ボス戦』のルール
記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
大成功 | 🔵🔵🔵 |
成功 | 🔵🔵🔴 |
苦戦 | 🔵🔴🔴 |
失敗 | 🔴🔴🔴 |
大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※このボスの宿敵主は
「💠マックス・アーキボルト」です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
●迷宮魔導剣士
作戦は完璧、そのはずだった。
「…………」
だが、ルキシスの胸中にあったのは原因不明の胸騒ぎであった。何か、重大な見落としをしている気がする――その、言葉に出来ない疑問が頭を巡っていた。
ルキシスは、隠し宝物庫にあった椅子に腰を下ろし、思案する。作戦を前倒しにすべきか? しかし、それもまた早計のはずだ。ならば、何がこんなに気になるというのか――この思案の時間すら、事態を悪化させる要因ではないのだろうか?
ルキシスは、無能ではない。むしろ、優秀な部類であっただろう。その優秀さゆえの慎重さが、今回は悪い方になっただけの事――。
状況は優位、しかし油断は禁物だ。この迷宮魔導剣士ルキシスは、単騎でさえ複数の猟兵と互角、あるいは凌駕する力があるのだから……。
ラッセル・ベイ
空間を操る剣……いや、剣かそれは?
何と言うか、全く剣に見えないのだが
とても紛らわしいので訂正をお願いしたい
●戦闘(WIZ)
それはさて置き、あの魔法は私と相性が悪い
ブロングスが無ければ防戦一方となっていた事だろう
【ウェポンブレイク】。咲き誇れ、剛鋼鉄の花
この花びら一つ一つに破壊属性がある
例え空間を斬り裂く魔法であろうと、触れてしまえば砕け散る筈だ
行け、我が敵を穿て
花びらを掻い潜り、私を狙うのならそれはそれで良い
ルーンを解放したグラウンドがある以上、特に問題なく防げる
私自身も鋼の花と共にルキシス君に近付き、バッシュを打ち込もう
全体重を乗せた渾身の一撃をな
魔法剣は……残念、私では扱えそうにないな
リンタロウ・ホネハミ
さてさて、雑魚共は軽ーく蹴散らせたっすけど……
ヤバいっすねアレ、オレっちより普通に強くないっすか?
だけどま、戦の基本はいつだって質より数っす
頼れる猟兵の皆さんと力を合わせて安全に戦いましょう!
どうやら敵は空間をどうこうするのに慣れてるようっすからね、そんなのと接近戦はごめんっす
なんで、またカメレオンの骨を食って【〇八七番之隠伏者】を発動!
こそこそ隠れてヤツの射程の外からショートボウで射かけてやるっすよ!
防がれても構わないっす
重要なのは不可視の射手がいつどこから仕掛けてくるか分からないという状況っすから
そうやって心も体も確実に削っていく……
数の優位を活かした定石っしょ?
アドリブ大歓迎
月夜・玲
さて、次は大ボス戦だね
体も温まってきた事だし、遠慮なく行くよ
けれど全くこんな所に隠れて、やらしい事を考えるもんだね
でも残念こっちの方が上手だったみたいだね
君の手下たちは速攻撃破させて貰ったよ
慎重すぎるのも考えものだって事だね
君が感じているその胸騒ぎは確かなものだよ
さあ、決着を付けるとしようか
●戦闘
I.S.T.を起動
【高速演算】を使用して敵の行動予測!
ルキシスから距離を取りつつ、剣戟の衝撃波で攻撃
味方が居るなら連携して、遠距離からの支援攻撃に徹するよ
敵の攻撃は『第六感』を活かして回避しつつ、命中する攻撃は『オーラ防御』でガード
さあさあ、追い詰められた感想はどうかな?
●アドリブ等歓迎
薄荷・千夜子
いよいよですね。気は抜かずに全力で参りましょう。
一緒に戦う他の方々を見て、同じ目的を持った方々とご一緒できることを心強く思います。
今までは、彗と2人でしたからね。皆さんのお役に立てるよう、2人で頑張りましょうね、彗。
戦闘は、【彗翔一閃】をメインに戦います。
巨大化した彗と息を合わせて攻撃。彗の素早さと空中戦が出来ることを強みに立ち回れればと思います。
「私達の連携、魅せてやりましょう!」
アネット・レインフォール
▼心情
成る程、仲間は知人同士で組んでいる者もいるみたいだな。
攻撃手も十分のようだし、俺は遊撃として動こう。
しかし魔導剣士か…。
生徒達の為にもここで止めないとな
▼行動
【POW】葬剣を主軸
壁や柱を利用した三角飛びは勿論、
フェイントを加えた常時移動と連撃を放ちながら
なるべく攻撃の隙を与えないよう立ち回ろう。
先ずは【武人覚醒】で追随しつつ敵の動作や癖を把握していくが
中盤以降も差があるようなら【剣聖覚醒】も上乗せする。
武器は換装してもいいが…宝物庫だしな?
刀剣が転がっていそうだし、ブン投げて注意を引いたり一時的に借りて攻撃を。
…ま、ウェポンマスターなりの戦い方があるしな(呟き)
▼他
連携重視、アドリブ歓迎
愛久山・清綱
次元を操り、空間を断つ技の使い手。恐ろしくも美しい響き……
だが、迫力を感じない。動揺しているのか?
いや、甘く見てはいかん。力は本物だ。
■闘
魔法剣士が相手なら、刀で勝負。
基本は【フェイント】で翻弄しつつ、無防備なところに
【鎧無視攻撃】の太刀を食らわせる。
敵の攻撃は主に【武器受け】で受け止める。
魔術とはいえ攻撃方法が刃なら、武器でも耐えられる筈。
次元移動による攻撃は【野生の勘】で予測し、防御。
ある程度戦いが進んだら、此方は「巫術」を使う。
【神降】で古き神の御霊を一斉に呼び、超強化だ。
反動は【呪詛耐性・激痛耐性・毒耐性】を用いて耐え、
自分が倒れる前にルキシスの撃破を目指す。
※アドリブ・連携歓迎です。
フェム・ポー
【WIZ】
うふふっ。
あなたがぁ、今回の迷える子羊ちゃんねぇ?
もう貴方は主のもとにぃ、召されたのでしょぉ?
こんな現世(苦界)に彷徨い出てぇ、罪を重ねる必要はないのよぉ?
(集団戦で得た生命力を糧として、UCを発動。闇色の光に包まれると、羽化するように人間大の姿となる)
ワガママはフェムが全部ぜぇんぶ、受け止めてあげるからぁ、
(敵の斬撃を受けてもものともせず、悦びの声を上げるばかり)
貴方の痛みも、苦しみも、悲しみもぉ、フェムが全部貰って『救って』あげるからぁ、
(生命力吸収の闇光を浴びた魔力の鎖を放って敵を拘束、更には自身で優しく抱きとめながら、直接その命を吸い尽くさんとする)
ゆっくりお休みなさぁい……
宇冠・龍
【鬼神軍】で参加
魔導剣士ルキシス、貴方を止める手は私にはありません
けれど、私一人では無理でも、仲間と共にならその凶刃に勝つことができる
【画竜点睛】にて呼び出すは185の呪詛の腕。これはあらゆる属性を弱体化させる効力を持ちます
まず、相手の足元から這い出る百の腕で、ルキシス本体を拘束。腕、足、首、腰。あらゆる可動部位を雁字搦めにし移動を封じ、次に頭を覆い視覚と聴覚、嗅覚を封じます
恐らくルキシスは他の感覚頼りか出鱈目に星剣を放つでしょう
弱体化してもその威力は恐ろしい
私や仲間に剣が届く場合、残りの腕で刃をつかみ防御。呪詛でその威力を二重に弱らせ封じ込めます
「攻撃お願いします!」
アイ・エイド
【鬼神軍】
仲間が頑張ってる状況で奥の手を隠しちゃいけねェよなァ
いいぜェ
とォっておきを魅せてやる!
【禁断の生命物質】でオレを支配する…オレが毒使い316である所以を!
腐れ狼の因子に生命を人間以上の筋力を与える!古代紫色の因子が集まりゃァ、それは一頭の狼に変わるだろう
行っけェ!腐れ狼ィイ!!
オレが操れんのはオレを喰ったことで新しく創造された因子だけだから、生命を与えれんのもそれで連携は問題ねェぜ。
オレ自身はだいぶ力持ってかれてッから、あんま動けねェや。
かれこれ10年以上はオレを苦しめてる因子どもがそう簡単にくたばるかよ
筋力を上げたことで俊敏に動きギラつく毒爪や毒牙はルキシスを捉えるだろう
カメリア・クラウゼヴィッツ
呪鎧が片付いて内心ほっとしつつ
ミイラ取りがミイラになっちゃ世話ないし、気を引き締めていきましょう
みんなでいけばなんとかなる…けど、油断はしないわ
一人でいるってことは腕には自信があるってことだろうし…
ルキシス、だったかしら。なんていうか…”お貴族様”感がするわね
ただ持ち上げられてるだけのお坊ちゃんだったらよかったのに
仕事のできそうな顔をしてるけど、この仕事を完遂させてあげるわけにはいかないのよ
あなたの仕事を完遂させないことが私たちの仕事だから、ね
【サモニング・ガイスト】
頭数は多い方がいいんじゃない?
さ、お兄ちゃん≪Apostel≫、私と一緒にもう少し踊ってもらえる?
連携/アドリブ歓迎
ヌル・リリファ
◆零時さん(f00283)と
◆アドリブなど歓迎です
そうだね。(少女はプレッシャーなど感じていない様子。少女は、敵なら倒す。それ以上は考えない。相手の技量は事実として受け止めるが、それだけだった。)
じゃあ、いくよ。
UC起動。【属性攻撃】でひかりのちからを強化。
それから、【戦闘知識】をもとに、すべてを最適化したうごきでせめたてる。わたしはどの剣も把握してるから。自在にうごくこの本数のけんを無傷ですませるのは多分むずかしいでしょう?
派手な武器群は攻撃であり陽動。わたしのうごきに集中すれば、零時さんたちへの注意がおろそかになるだろうし。零時さんたちに集中するならひかりのぶきでつらぬくだけだよ。
兎乃・零時
ヌル(f05378)と!
アドリブ絡み大歓迎
すっごく強い奴らしいし、頑張ろうな、ヌル…!
強そうな相手で震えちゃうけど
あまりかっこ悪い所を見せたくない
そんな男心
【勇気・気合・覚悟】を秘めて闘いに挑む
UCで紙兎を召喚
・戦闘
■紙兎パル
【オーラ防御・拠点防御】で壁のような感じに兎乃たちの防御
及び、その壁を利用して兎乃の【全力魔法】という名のビームっぽい攻撃を反射して、死角からのアタック
(紙兎が独断で兎乃のビームを曲げてる)
攻撃は【生命力吸収・属性攻撃・誘導弾・スナイパー】を駆使してやる
そ、そんなこともできたのかパル…!!
■兎乃
相変わらず【全力魔法】でビーム的な魔力どばーアタック
避ける時は【逃げ足】を駆使
●隠し宝物庫
その隠し宝物庫は、あろうことか出口から数十メートルの距離にあった。ただの行き止まり、そう思い込んだからこその落とし穴。ここを拠点にされれば、次々に戦力を送り込まれていた事だろう。
「ミイラ取りがミイラになっちゃ世話ないし、気を引き締めていきましょう」
カメリア・クラウゼヴィッツ(林檎椿・f17005)の言葉に、異を唱える者はいない。呪鎧が片付いて内心ほっとしつつも、カメリアはその理由に思い至っていた。
(「みんなでいけばなんとかなる……けど、油断はしないわ。一人でいるってことは腕には自信があるってことだろうし……」)
事前に知っていた壁の一部に隠されていたレバーを引けば、バキンバキン! と壁が変形して開いていく――そして、無数の箱が山のように積み上がったそこで一人の男が待っていた。
「……胸騒ぎの元凶は、お前達か」
低く、しかし、よく通る声で男――迷宮魔導剣士ルキシスが呟く。その視線を受けて、リンタロウ・ホネハミ(Bones Circus・f00854)はコキっと骨を噛みながら言った。
「ヤバいっすねアレ、オレっちより普通に強くないっすか?」
否定材料は、どこにもない。いや、ここにいる誰よりも強いのは明白だった。それだけの覇気、殺気に満ちているルキシスに、月夜・玲(頂の探究者・f01605)は真っ直ぐに向き合う告げる。
「全くこんな所に隠れて、やらしい事を考えるもんだね。でも、残念こっちの方が上手だったみたいだね。君の手下たちは速攻撃破させて貰ったよ」
「そのようだな」
ルキシスが、椅子から立ち上がる。その動きに、害意は感じない――『まだ』。
「君の手下たちは速攻撃破させて貰ったよ。慎重すぎるのも考えものだって事だね」
「……否定はすまい。結果が物語っているのだからな」
『if』――歴史に、もしもは禁物である。だが、もしもあの兵力で最初から学園に攻め込んでいれば、少なくない損害を与えていただろう。しかし、それはルキシスの側の敗北も意味していたはずだ。
ならばこそ、勝率の高い方を取り――賭けに、負けた。これは、そんなよくある結果の一つにすぎない。
「だから、配下の敗北は無駄にはせん。少なくとも、お前らの首は持ち帰らせてもらおう」
ヴン! とルキシスの周囲に生み出されたのは、円形の歪み――星剣(ソードスフィア)だ。それを見て、ラッセル・ベイ(ドワーフのルーン鍛冶師・f12407)がため息をこぼす。
「空間を操る剣……いや、剣かそれは? 何と言うか、全く剣に見えないのだが。とても紛らわしいので訂正をお願いしたい」
「私が剣と言えば槍でも剣になる、それが真理だ」
「それは強引が過ぎないか?」
『……この後に及んで、それって重要ですの?』
「「最重要事項だ」」
ラッセルとルキシスの声が揃った瞬間、ポイゼは処置なしと首を左右に振った。ただ、誰もが理解できる――剣か否かよりも重要なのは、その殺傷能力なのだ、と。
(「次元を操り、空間を断つ技の使い手。恐ろしくも美しい響き……だが、迫力を感じない。動揺しているのか?」)
愛久山・清綱(飛真蛇・f16956)は脳裏に浮かんだその疑問を、すぐに振り払う。
(「いや、甘く見てはいかん。力は本物だ――!?」)
ルキシスが一歩前に出た瞬間、清綱は自分の正しさを思い知った。そこはまだ、間合いの『外』だったのだ。しかし、その危険な力が届く範囲に入れば、痛いほどわかる――それが自身の命を奪うのに、十分すぎる力なのだ、と。
「すっごく強い奴らしいし、頑張ろうな、ヌル……!」
「そうだね」
兎乃・零時(大きな帽子に夢抱え、目指すは《最強/最高》魔術師!・f00283)とヌル・リリファ(出来損ないの魔造人形・f05378)の反応は、対象的だ。相手の強さに怯えながらもあまりかっこ悪い所を見せたくないと覚悟を決めて勇気を振り絞る零時に、敵の力量を受け止めてなお倒す以外を考えないヌル――そんな彼等に、平等に星剣(ソードスフィア)が降り注いでいく。
「さぁ、始めようか!」
ルキシスが広げた両腕をオーケストラの指揮者のように振った瞬間、『斬撃』が荒れ狂った。
●剣戟の詩
「あ、は、あはははははははははははははっ」
荒々しく、丁寧に、刃が自分を切り刻んでいく――その痛みさえ愉悦なのだと、フェム・ポー(聖者の残骸・f12138)は艶やかに笑って見せる。
「うふふっ。あなたがぁ、今回の迷える子羊ちゃんねぇ? もう貴方は主のもとにぃ、召されたのでしょぉ? こんな現世(苦界)に彷徨い出てぇ、罪を重ねる必要はないのよぉ?」
呪鎧から奪った生命力を糧に、フェムは反聖母(ネガ・マリア)を発動させた。見る間にフェムが、変わっていく――闇の光を帯びた、人間大の魔性聖母モードへと。
「ワガママはフェムが全部ぜぇんぶ、受け止めてあげるからぁ」
「黙れ、羽虫が」
ルキシスが指を鳴らし、フェムを切り裂いていく。闇の光を体からこぼしながら、それでもフェムは止まらなかった。
「貴方の痛みも、苦しみも、悲しみもぉ、フェムが全部貰って『救って』あげるからぁ」
迫るフェムを、ルキシスは冷静に切り落としていく。その間隙に、宇冠・龍(過去に生きる未亡人・f00173)が囁いた。
「魔導剣士ルキシス、貴方を止める手は私にはありません。けれど、私一人では無理でも、仲間と共にならその凶刃に勝つことができる」
ずるり、と龍の足元から一八五の呪詛の腕が溢れ出す。龍の画竜点睛(ガリョウテンセイ)による群がる呪詛の腕を、ルキシスは次元を歪曲させ生み出した一振りの魔法剣を横一線に振り払い――『ずら』した。
「やるな、賊が」
「仲間が頑張ってる状況で奥の手を隠しちゃいけねェよなァ。いいぜェ、とォっておきを魅せてやる!」
そこへ、アイ・エイド(腐れ人狼・f10621)が吼えた。
「【禁断の生命物質】でオレを支配する……オレが毒使い316である所以を! 腐れ狼の因子に生命を人間以上の筋力を与える! 古代紫色の因子が集まりゃァ、一頭の狼に変わるだろうよ!」
宣言の通り、アイの体から溢れ出した因子が一頭の狼へと変わり果てた。その爪牙を、ルキシスは背後の空間を斬って後方へ高速移動してかわす。
「チ、ィ!!」
「攻撃手も十分のようだし、俺は遊撃として動こう」
壁を足場にルキシスが着地した地点へ跳び、アネット・レインフォール(剣の教導者・f01254)が霽刀【月祈滄溟】の柄へ手を伸ばし――。
「――零式・武人覚醒」
ガシャン! と霽刀【月祈滄溟】に外装を付与させた状態に変身、アネットは横一閃斬撃を放った。ギ、ギン!! と火花を散らせ、アネットの斬撃がルキシスの魔法剣に受け止められる。
「彗、力を貸して」
そこへ、自身の身長のニ倍にもなる美しい鷹となった彗の背に乗って薄荷・千夜子(鷹匠・f17474)が迫る。振り払ったなぎなたの一撃を魔法剣で弾きはするものの、連撃の前にルキシスが体勢を崩した。
「I.S.T起動。サポートモード、敵行動予測開始」
玲の高速演算(コウソクエンザン)が、次のルキシスの動きを予測――三秒後、魔法剣による空間断絶によって七時方向へ5メートル移動する。
だからこそ、その方向へ玲はBlue Birdを振るい、その地点に衝撃波を重ねた。
「――!?」
衝撃波を受け止めるも、威力は殺しきれない。ルシキスの足が床から引き剥がされ浮かばされると、ヌルは頭上に掲げた右手を振り下ろす。
「かけゆく閃光は暗翳をけしさり、乱立するひかりはうせたのぞみをてらす。―――相手の人数がおおくても、わたしはあきらめたりしないから」
「――スフィア!!」
ヌルの死斬光雨(ゼツボウヲハラウハムスウノカガヤキ)によって生み出された膨大な光の武器が豪雨のように迫り、ルキシスはそれを星剣(ソードスフィア)によって迎撃する。
空間が歪み、光が散る――互いに相殺し合うその永遠と錯覚しそうな刹那、零時は豪快な太いビームによってルキシスを薙ぎ払った。
「よ、良し!」
「ちょこざいなァ!!」
「う、わあああああああああああああああああああああああああ!?」
お返し、とばかり返された魔法剣の斬撃に、零時は迷わず逃げ出した。格好はつかなくても、それが正解だ。その証拠に、零時が立っていた場所の床が、ゴッ! と鈍い音と共に抉られたのだから。
「【ウェポンブレイク】。咲き誇れ、剛鋼鉄の花」
ラッセルの手元で剛斧ブロングスが無数の鋼の花となって散っていく。その花びらが自身へ迫るのを迎撃しようとして――ルキシスは、即座に地面を蹴った。
「良い判斷だ。この花びら一つ一つに破壊属性がある。例え空間を斬り裂く魔法であろうと、触れてしまえば砕け散る筈だ」
「ちぃ、それのどこが鎚だ!?」
「私が鎚だと言えば花びらも鎚なのだ、ルキシス君」
『大人気ありませんわね……』
そんなやり取りの間に、リンタロウはガキっとカメレオンの骨を食う。〇八七番之隠伏者(ナンバーエイティセブン・カメレオンボーン)によって姿を消すと、リンタロウは動いた。
(「どうやら敵は空間をどうこうするのに慣れてるようっすからね、そんなのと接近戦はごめんっす」)
そして放たれるショートボウ。身をひねるも、遅い――矢はルキシスの脇腹に突き刺さる。
「ぐ――!」
「ルキシス、だったかしら。なんていうか……“お貴族様”感がするわね。ただ持ち上げられてるだけのお坊ちゃんだったらよかったのに。仕事のできそうな顔をしてるけど、この仕事を完遂させてあげるわけにはいかないのよ――あなたの仕事を完遂させないことが私たちの仕事だから、ね」
カメリアが囁くように告げ、そしてその背後に古代の戦士が出現した。
「頭数は多い方がいいんじゃない? さ、お兄ちゃん≪Apostel≫、私と一緒にもう少し踊ってもらえる?」
カメリアの期待に応えるように、古代の戦士が駆け出す。ルキシスは魔法剣の斬撃で、古代の戦士が繰り出す炎の槍を受け止めた。
「――参る」
そこへ今刀による居合一閃、清綱が加わる。一合、二合、三合、激しい剣戟が宝物庫の中で加速していった。
●己が剣に誇りを持って――
状況は一進一退、ならば状況を分ける鍵とは何か? より確実に手札を切っていく、そのタイミングと読みに他ならない。
「……速い、です」
彗の背から戦場を見下ろすからこそ、今のルキシスの異常性がよくわかる。ルキシスが魔力によって硬度が変わるローブを脱いだ、そこから状況が変わったのだ。
「こちらは好きに踊ればいいだけ、こういう状況でこそ活きる踊りだろう?」
疾走閃舞、高速移動が起こす真空の斬撃は包囲する猟兵達を切り裂いていく。ルキシスが切った手札が、戦況を変えた――その瞬間だ。
「なら――お兄ちゃん≪Apostel≫」
カメリアの呼びかけに、古代の戦士は迷わず動いた。槍を腰だめに構えての疾走、それをルキシスは『幕を下ろす輝きの虚空剣』(デウスエクスマキナ)で切り捨て――た、そのはずだった。
「ぐ、ぬ!?」
だが、切り裂かれながら古代の戦士がルキシスにしがみついたのだ。振り払うのに必要な一秒にも満たない時間、その好機を零時が見逃さない。
ドン! と零時のビームが、大気を震わせ放たれた。そのビームを、紙一重でルキシスは魔法剣によって『ずら』す事に成功した、そのはずだった。
しかし、『ずら』された場所で待ち構えていた紙兎パルが零時のビームを反射。死角から、ルキシスを穿った。
「こ、こまで、読んで、だと……!?」
振り払う時間のせいで『ずら』す角度が少なかった、それもある。しかし、そんな意図が零時にあるとまったく読めなかったからだ。
零時は、体を戦慄かせながら言った。
「そ、そんなこともできたのかパル……!!」
「知らずにやったのか!?」
零時にとって偶然の産物では、読めるはずもない――思わずツッコミを入れたルキシスへ、ヌルが告げた。
「零時さんたちに集中するならひかりのぶきでつらぬくだけだよ」
ヒュがガガガがガガガがガガガ! と即座にヌルの死斬光雨(ゼツボウヲハラウハムスウノカガヤキ)が降り注ぐ! 対応が遅れたルキシスが光の武器に貫かれ、後退した。
「が、あああああああああああああああああああああああああああああ!!」
ルキシスが吼え、星剣(ソードスフィア)を乱れ撃つ。空間歪曲による斬撃の嵐を、ラッセルは鋼の花を従えて迎え撃った。
「行け、我が敵を穿て」
ババババババババババババババババン! と歪曲した空間が、破壊されていく――その相対の隙間をぬうように、アネットが駆けた。
「宝物庫だ。こういうものもあるか」
拾い上げたのは、一本の剣だ。アネットの投擲した剣が、ズドン! と唸りを上げてルキシスの左肩を貫いた。投げる事に特化した剣だったのか、その手応えはかなりのものだった。
「ま、だ、だああああああああああああああああ!!」
ルキシスが、高速起動する。その目にも留まらぬ速度が生み出す真空の刃が、戦場を駆け巡る――だが、そんな嵐をものともせずアイが生み出した狼が迫った。
「かれこれ10年以上はオレを苦しめてる因子どもがそう簡単にくたばるかよ――!」
アイの生み出した狼の毒牙が、ルキシスの右肩を食いちぎる! そこで体勢を崩したルキシスを、龍の画竜点睛(ガリョウテンセイ)による大量の呪詛の腕が掴み、引きずり込んでいく――!
「お、おおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!」
腕、足、首、腰。あらゆる可動部位を雁字搦めにし移動を封じ、次に頭を覆い視覚と聴覚、嗅覚を封じられたルキシスは、龍の狙い通り星剣(ソードスフィア)を展開、周囲を薙ぎ払っていく。
だが、その星さえも呪詛の腕でねじ伏せて行きながら龍は言った。
「攻撃お願いします!」
「はい!」
真上から、彗の背に乗った千夜子が迫る! その鋭いなぎなたの一閃に切り裂かれ、ルキシスの膝が揺れた。
「ま、だ……この程度で、退く、訳には――」
「そうっすか?」
ヒュオン! と迫った矢を、ルキシスは反射的に弾いた。しかし、その矢がどこから射られたのか、ルキシスには近くできない。声をかけられたからこそ、反応できたのだ。
「防がれても構わないっす。重要なのは不可視の射手がいつどこから仕掛けてくるか分からないという状況っすから。そうやって心も体も確実に削っていく……数の優位を活かした定石っしょ?」
ヒュガ!! と再び迫るリンタロウの矢を、ルキシスは太ももに受けて体勢を崩す。反論はない、この戦いである意味ルキシスの集中力をもっとも削ったのは、その行為を貫き通したリンタロウなのだから。
「神よ、我に加護を……」
そこに踏み込んだのは、清綱だ。下段から放たれる、神降(カミオロシ)によって強化された身体能力で放つ斬撃は、深々とルキシスを切り裂いた。
「お、おおおおおおおおおお――!!」
諦めることなく、ルキシスは『幕を下ろす輝きの虚空剣』(デウスエクスマキナ)を引き抜く。その魔法剣が斬撃を放つ寸前、ルキシスの腕を玲の剣戟の衝撃波が断ち切った。
「さあさあ、追い詰められた感想はどうかな?」
高速演算(コウソクエンザン)による予測、だからこそ放つ事の出来た斬撃だ。玲の問いかけに、ルキシスの膝が崩れ落ちる――それが抱きとめたのは、フェムだ。
「ゆっくりお休みなさぁい……」
生命力吸収の闇光を浴びた魔力の鎖が、ルキシスを拘束していく。もはや抗う力の残っていないルキシスは、命を吸いつくされながら言い捨てた。
「……この、化け物、どもめ……」
影さえも残さず、ルキシスが消滅していく。それは、アルダワ学園の逆侵攻が失敗に終わった瞬間だった……。
大成功
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第3章 日常
『宝箱の解錠』
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POW : 力尽くでこじ開ける
SPD : ピッキング技術を駆使して解錠する
WIZ : 魔術等を駆使して解錠する
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種別『日常』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
大成功 | 🔵🔵🔵 |
成功 | 🔵🔵🔴 |
苦戦 | 🔵🔴🔴 |
失敗 | 🔴🔴🔴 |
大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
●そして、宝箱解錠の時間である
オブリビオンの野望は、こうして阻まれた――のだが。
まだ、冒険は終わっていない。最後のご褒美タイム、宝箱の解錠が終わっていないからだ。一人に付き宝物庫の宝箱を一つ選んで好きにしていい――これは冒険した者の、当然の権利である。
大きな宝箱、小さな宝箱。重さも形も千差万別、とにかく叩き込みました! と言わんばかりに隠し宝物庫には、大量の宝箱が眠っていた。
当然と言えば当然である、ここは誰も見つけられなかった宝物庫。誰も手をつけていないのだから――。
さぁ、冒険を終えたキミよ。キミには、宝箱を一つ手に入れる資格がある。好きに持っていくが良いだろう……。
ラッセル・ベイ
どれを取るか迷うが……私はこの小型の木箱にする
他にも良さ気な宝箱があるというのに、何故これを選んだか?
冒険者としての勘としか言い様がないな
冒険者歴二十五年、この私が外す筈がない
……フラグ?何を言っているのやら
ほらな?途轍もなく巨大なサファイアだ
これだけで今後の人生、金に困る事はない
どうだポイゼよ、素晴らしいとは思わんかね?
さて、何に使った物か……ん?
「魔鎧ダークネス」が……暴れている……!?
待て!何故ここで【ダークネスイーター】を……!?
……サファイアが九割近く喰われた、な
何があったのかは良く分からんが、ダークネスの新たな力を感じる
ポイゼは凄く残念そうだが、結果としては悪くは無かったのか……?
●素材を求めて
無数の宝箱を眺めながら、小型の木箱をラッセル・ベイ(ドワーフのルーン鍛冶師・f12407)は手に取った。
「これにしよう」
『他にも良さ気な宝箱があるのに、そんなのですの?』
ポイゼの問いに、ラッセルは真顔で答えた。
「冒険者としての勘としか言い様がないな。冒険者歴二十五年、この私が外す筈がない」
『……それ、フラグですわよ?』
「フラグ? 何を言っているのやら」
木箱は、細かな木の部品で組み上げられた細工仕掛けだった。ラッセルは、器用に木箱を組み替えていく。いくつも厳重な仕掛けを作動させていき――カチリ、と箱を開封する。木箱から転がり落ちてきたのは拳大の宝石、その原石だった。
「ほらな? 途轍もなく巨大なサファイアだ。これだけで今後の人生、金に困る事はない。どうだポイゼよ、素晴らしいとは思わんかね?」
ラッセルがサファイアを差し出すと、ポイゼは興味深げに覗き込んでいたが一つの事実を思い出してため息をこぼす。
『お金に変えるつもりがあるなら、ですわね』
ポイゼのツッコミにも構わず、ラッセルは掌のサファイアを眺めながらしみじみと呟いた。
「さて、何に使った物か……ん?」
ラッセルが不意に、息を飲む。理由は簡単だ、自分が来ている魔鎧ダークネスが勝手に起動したのだ。
「待て! 何故ここで【ダークネスイーター】を……!?」
ガギリ、とダークネスの闇がサファイアを捕食。噛み砕いた。ガリガリ、とサファイアの九割を捕食して満足したのか、魔鎧ダークネスは沈静化していく。
「……サファイアが九割近く喰われた、な。何があったのかは良く分からんが、ダークネスの新たな力を感じる。結果としては悪くは無かったのか……?」
『何を言ってますの!? これ、もう再利用できませんわよ!?』
まだ普通に素材に使っていれば、再利用できたものを。そう嘆くポイゼに、しかし、ラッセルとしては不満はない。
ラッセルは鍛冶屋であり、コレクターではない。自身の武具が強くなるのならば、それで十分だった。
大成功
🔵🔵🔵
薄荷・千夜子
「宝箱がいっぱいだぁ……」目をキラキラさせて宝物庫内を見て回る。目移りして決められないのでここは彗に選んでもらいましょう!
ということで、彗が掴んで持ってこれる小さな宝箱をセレクト。
鍵がかかっている場合はピッキング技術での解錠に挑戦。
無事に解錠できた際には小さなハンターケースの懐中時計を入手。月や星空が描かれているのを見て「私達にぴったりじゃないですか?お手柄ですよ、彗!」
そう言いながら懐中時計を触っていると何かのボタンに触れ懐中時計が巨大化して盾のサイズに。
懐中時計がおまけ機能なのか盾がおまけの機能なのか。
「さ、流石アルダワ製……」
●アルダワ製
「宝箱がいっぱいだぁ……」
薄荷・千夜子(鷹匠・f17474)は、目をキラキラさせて宝物庫内を見て回っていた。ダンジョンで見つけた宝物庫、そこに並ぶ金銀財宝――それはロマンであり、何よりも心弾む光景だった。
だが、この中の一つだけとなるとなかなか決められない。千夜子は、自分の肩に止まる鷹へ語りかけた。
「彗、選んでくれますか?」
鷹――彗はコクリとうなずくと、飛び立った。宝箱の山、その上をグルグルと回っていると不意に獲物を見つけた時のように、彗が下へ移動した。
その爪で小さな宝箱を掴むと、千夜子の元へと舞い戻る。千夜子は宝箱を受け取ると、箱を確認。鍵がかかっているのを知ると、針金を取り出した。
「ええっと、こうやって……こう……ですかね?」
カチリ、カチリ、カチリ、と鍵穴と格闘する事しばし――ガチャリ、と鍵が開く音がした。肩に止まった彗と共に開けた宝箱を覗き込むと、そこにあったのは一つの小さな懐中時計だった。ハンターケース――蓋付きのそれを手に取り開けると、そこには月や星空が描かれた文字板があり、時計の針は正確に時間を刻んでいた。
「私達にぴったりじゃないですか? お手柄ですよ、彗!」
歓声を上げて千夜子が、懐中時計を弄っていたその時だ。蓋の開閉ボタンが、引っ張れる事に気づいて千夜子が引くと――ガシャン! と懐中時計が巨大化していった。
「わわわ!?」
驚く千夜子の手の中で、懐中時計が盾サイズになっていた。蓋も頑丈で、実用にも耐えられそうだ。カチ、カチ、と針が動いている音も聞こえる――懐中時計がおまけ機能なのか盾がおまけの機能なのか、それは定かではない。
「さ、流石アルダワ製……」
千夜子としては、そう感心するしか無い。ただ言える事は、この宝物が大当たりであったという事だけだった……。
大成功
🔵🔵🔵
宇冠・龍
【鬼神軍】で参加
「ふふっ、ここにはどんな秘宝があるのでしょうね」
ここまで厳重に秘匿されていた宝物庫です。最後の罠があるとも限りませんし、用心しながら選びましょう
ルキシスは用意周到な性格でした。手に触れるのすら危険なものなら、別に保管していても不思議ではない
壁伝いに叩いていき、空洞を発見。壁を取り外すと中には一見普通の小さな宝箱
(さて、一番危ないものはこれかしら? 禍々しい呪詛で覆われてますね。人の手が触れないよう保管しておきましょう)
破邪で呪詛を解除
「宝箱の中身は――空ですね」
私のような者を引っかける罠でしたか。けれどこの冒険譚はかけがえのない価値あるものでした
折角の思い出にこの箱を頂きます
アイ・エイド
【鬼神軍】纏め描写・アドリブお任せ オレは直感で選んでみるぜ!
んで、 ちぇすとぉおおぉって掛け声でこじ開けるぜ!!
うわァッ!!白と黒のなんかデカイ鳥が宝箱ン中に入ってて開けた瞬間、バサバサァッて逃げてッた!
あ!鳥が居なくなった宝箱の底にゃァ紙があったぜ!
えっと…何何?
《中に入っていた鳥はカツオドリです。カツオドリはある由来から"Booby" とも言います。》
…Booby、ブービー…ブービートラップかよォッ!?
あァやられたァ…関係ねェかもしんねェが、ルキシ亮公明、この野郎ォ。
思い出か!確かにこういうのも悪かねェや!!
誘いにのってくれてありがとなッ!龍!!
●思い出、あるいは教訓と呼ぶべきもの
「ふふっ、ここにはどんな秘宝があるのでしょうね」
宇冠・龍(過去に生きる未亡人・f00173)が気にしていたのは、ただこの宝物庫だけではなかった。ここを拠点に選んだ、ルキシスの性格もだ。
(「ルキシスは用意周到な性格でした。手に触れるのすら危険なものなら、別に保管していても不思議ではない――」)
それでなくとも、厳重に秘匿されていた宝物庫だったのだ。最後の罠があるとも限らない――ゴン、ゴン、と壁を叩きながら龍は音を確認していると、不意にコン、と音の違う壁を見つけた。その壁の石板に触れると、確かに隙間がある――龍がその隙間に指を滑り込ませると、ガチャリと金庫の扉のように空いた。
そこにあったのは小さな箱であったが――龍は、表情を引き締める。
(「さて、一番危ないものはこれかしら? 禍々しい呪詛で覆われてますね。人の手が触れないよう保管しておきましょう」)
龍が小さな箱に手に取った時だ。
「ちぇすとぉおおぉ!!」
アイ・エイド(腐れ人狼・f10621)が、直感で選んだ巨大な箱の上にいた。自分が乗れるどころか、入れそうなサイズの宝箱だ。鍵がかかっていたが構わない、アイは力技でこじ開けた。
すると、バサバサバサ!! と翼を羽ばたかせ白と黒のデカイ鳥が宝箱の中から飛び立って逃げていった。
「……何だ? アレ」
「あれが宝物だったのではありませんか?」
「ん~……いや、宝箱の底にゃァ紙があったぜ!」
アイは宝箱の中に降りると、紙を拾って戻ってくる。
「あ~、なになに?」
龍も一緒になって、覗き込んだ。紙には、ただこう書かれていた。
《中に入っていた鳥はカツオドリです。カツオドリはある由来から"Booby" とも言います》
「ブービー……ですか?」
龍が、小首を傾げる。ちなみに、ブービーバードの名には『まぬけでかわいい鳥』という意味もあり、ブービー賞の由来、とも言われている――らしい。
「……Booby、ブービー……ブービートラップかよォッ!?」
アイがそこに思い至り、この巨大な宝箱自体がトラップであった事に気付いた。
「あァやられたァ……関係ねェかもしんねェが、ルキシ亮公明、この野郎ォ」
怒りのぶつけどころは、ついさき程倒したばかりだ――唸るアイに、ふと思い出して龍は自分が手に入れた小箱を破邪の力で呪詛を解除した。
かち、と呪詛が消えて自然と小箱が開く。その中身を見て――龍が苦笑する。
「宝箱の中身は――空ですね」
私のような者を引っかける罠でしたか、と龍は納得してしまう。欲にせよ、好奇心にせよ――あるいは、誰かを想う行動でさえ罠に使う。確かに、あのルキシスというオブリビヨンらしいトラップだ。
龍はまだ唸り落ち込んでいるアイへ、優しく微笑んだ。
「この冒険譚はかけがえのない価値あるものでした。折角の思い出に、私はこの箱を頂きます」
「思い出か! それなら、確かにこういうのも悪かねェや!!」
そう思えば、気も楽になる。ガンガン、と自分が入れる大きな宝箱を叩き、アイは龍に改めて言った。
「誘いにのってくれてありがとなッ! 龍!!」
「どういたしまして」
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
リンタロウ・ホネハミ
さぁてさて、ついにお宝とごったいめーんっす!
それじゃあオレっちはこの一際綺羅びやかな宝箱を貰うっすよ!
あっはっはっはっ、何が出るかな~~~っと!!
……こ、これは!!!
アルダワの神話にも出てくるあの聖魔神剣"スルトエクスカリバーデュランダルEX・改弐式"!?!?
まさか実在するとは思わなかったっす……!!
一振りでオブリビオン・フォーミュラーを1000体殺せるとまで言われる剣が……!!
チクショウ呪骨剣の呪いのせいでオレっちこれ使えねぇえええ!!!
しかも聖魔神剣の仕様のせいでオレっちが主で固定されてるから他の人も使えねぇええええ!!!
ううっ、好事家に売り飛ばすっしかないっすね……
アドリブ・絡み大歓迎
●聖魔神剣"スルトエクスカリバーデュランダルEX・改弐式"
リンタロウ・ホネハミ(Bones Circus・f00854)は、宝箱の山をかき分けていく。
「さぁてさて、ついにお宝とごったいめーんっす!」
リンタロウが選んだのは、細やかな金と銀の細工が施された細長い箱だった。
「それじゃあオレっちはこの一際綺羅びやかな宝箱を貰うっすよ! あっはっはっはっ、何が出るかな~~~っと!!」
鍵穴どころか、箱の合わさりさえないそれをリンタロウは弄り回していく。どんな構造か理解するために調べ回していると、リンタロウは金細工の女神と銀細工の騎士が動かせる事に気付いた。
金細工の女神が剣を持ち、銀細工の騎士は無手だ――その奇妙な組み合わせに、リンタロウは二人の細工を動かしていく。騎士が女神に跪き、女神がその剣を肩へと。そう、騎士の叙勲を現す構図だ。
その瞬間、箱が分解していく。現われたのは眩い黄金の剣身と白銀によって装飾された、一振りの剣だった。
リンタロウはその剣にはめ込まれた黒いダイヤモンド――捻じくれた角を持つ魔神を宿した宝石がはめ込まれているのを見て、愕然と叫んだ。
「……こ、これは!!! アルダワの神話にも出てくるあの聖魔神剣"スルトエクスカリバーデュランダルEX・改弐式"!?!? まさか実在するとは思わなかったっす……!! 一振りでオブリビオン・フォーミュラーを1000体殺せるとまで言われる剣が……!!」
リンタロウが酒場で聞いたあの伝説の剣が、まさか実在したとは! リンタロウが柄へ手を伸ばそうとした瞬間、不意にバチン! とその手が弾かれた。
「チクショウ! 呪骨剣の呪いのせいでオレっちこれ使えねぇえええ!!! しかも聖魔神剣の仕様のせいでオレっちが主で固定されてるから他の人も使えねぇええええ!!!」
リンタロウの悲嘆たるや、ふよふよと浮かぶ聖魔神剣"スルトエクスカリバーデュランダルEX・改弐式"は「使わないの? 使わないのかー、しゃーないなー」と言いたげにリンタロウの周りを二、三周するとガランと地面に落ちた。
「ううっ、好事家に売り飛ばすっしかないっすね……」
ため息と共に、リンタロウは聖魔神剣"スルトエクスカリバーデュランダルEX・改弐式"を箱にしまう。こうして、あらゆる戦いに終わりをもたらす剣は、使われる事なく伝説に埋もれていくのであった……。
大成功
🔵🔵🔵
アネット・レインフォール
▼中身
劣化の激しい黄金の騎士剣
▼行動
やれやれ、よくこれだけの宝箱を集めたものだ。
俺も譲ってはもらったが…これは少し扱いに困るな。
かつての所持者は特殊な騎士だったのかもしれないが…。
(中身を見ながら腕を組んで考え)
黄金で出来た騎士剣などどうすればいいのだろう?
…しかも多分このままでは使えない。
柄や装飾は劣化が酷いし、反りも曲がってしまっている。
何より戦場で目立ってしょうがない!
素材は上等だと思うんだが…いや、まてよ?
組合わせれば何とかなるかもしれないな。
所持してる剣で手入れが必要なものがあるし、
刃の素材として生かす方向性で検討してみよう。
そうと決まれば早速、職人を探さないとな。
▼他
アドリブ歓迎
●剣は、あるべき者の手に
「やれやれ、よくこれだけの宝箱を集めたものだ」
アネット・レインフォール(剣の教導者・f01254)は、宝の山ならぬ宝箱の山を感心半分呆れ半分に眺めて呟いた。そして、自分が受け取った宝箱から出て来たモノを腕を組んで見下ろす。
「俺も譲ってはもらったが……これは少し扱いに困るな。かつての所持者は特殊な騎士だったのかもしれないが……」
アネットの目の前にあるのは、劣化の激しい黄金の騎士剣だ。かつては華美な剣であった事が偲ばれるものの、柄や装飾は劣化が酷いし、反りも曲がってしまっている。
「黄金で出来た騎士剣などどうすればいいのだろう?」
おそらくは、このままでは使えない。いや、アネットにはそれよりも重要な事があるのだが。
「何より戦場で目立ってしょうがない!」
黄金である、ましてや武器にそぐわないそれで出来た騎士剣など、どうして作ったのだろうか? 確かに王や指揮官が戦場の先頭に立って掲げる分には、士気も上がるだろう。そういう象徴としては有りだろうが、武器としてはいかがなものか。
そう、ただ象徴や装飾品であったならアネットもここまで悩まなかったのだ。しかし、剣術を修めたアネットにはわかる、この黄金の騎士剣にある劣化は戦いの中でしか生まれない、と。
この騎士剣は、元はどんな騎士が使っていたのだろうか? 興味は尽きないが――そう悩んでいたアネットは、ふとひらめいた。
「素材は上等だと思うんだが……いや、まてよ? 組合わせれば何とかなるかもしれないな。所持してる剣で手入れが必要なものがあるし、刃の素材として生かす方向性で検討してみよう」
アネットは、これも一つの運命と考える。武器としてそぐわない素材で出来た、かつて何者かが使った剣――それが正確無比な剣戟を旨とする自分の元へやって来た。
そこに意味がある――否、それを意味のあるものにしてこそ剣士だ。
「そうと決まれば早速、職人を探さないとな」
アネットは、行動を開始する。剣は、あるべき者の手に――そこから先は、また別の物語である。
大成功
🔵🔵🔵
愛久山・清綱
魔剣士の野望は打ち砕かれた。これで暫くは安泰……
ぐっ……巫術を使った反動が来た。俺もまだまだか。
一個宝箱を開けたら、早めに戻るか。
■行
【POW】
しかし参ったな。俺にはその手の技能は持っていない。
巫術も、こういった場面で使うものではない。
……やむを得ない。この刀を用いて鍵を壊そう。
先ず大きい宝場を持ち、人のいない広い場所に宝箱を固定。
お次は開け口に存在する隙間を狙った、【怪力】を込めた
【剣刃一閃】を放ち、蓋と箱を強引に切り離す。
して、中身は……いくらかの硬貨だ。
あの魔剣士の隠し財産だったのだろうか?
まあいいや、学園に寄付しておこう。
うがあぁぁぁ……また反動が来た。
もうだめだ、今すぐ帰ろう。
●剣刃一閃
「魔剣士の野望は打ち砕かれた。これで暫くは安泰……ぐっ」
愛久山・清綱(飛真蛇・f16956)は、不意に体に走る激痛に顔をしかめた。巫術を使った反動だ、その事をすぐに悟り清綱は痛みにではなく顔をしかめる。
「……俺もまだまだか」
一個宝箱を開けたら、早めに戻ろう――そう決めた清綱は、近場にあった大きめの宝箱を手に取る。
宝箱には、しっかりと鍵がかかっていた。箱自身もかなり頑丈なもので、ビクともしない。
「しかし参ったな。俺にはその手の技能は持っていない。巫術も、こういった場面で使うものではない」
清綱は、しばらく考え込む。そして、結局一番最初に思いついた答えを選んだ。
「……やむを得ない。この刀を用いて鍵を壊そう」
清綱は、今刀を腰に差す。そして、大きめの宝箱を迷宮の通路へと持ち出した。動かないようにしっかりと固定すると、清綱は深呼吸した。
狙うのは、開け口に存在する隙間。その隙間に刃を通すとなれば相応の技量が求められる。一つ、二つ、三つ、と呼吸を整え、細く深く息を吸った。絶妙な摺り足で、爪先が間合いを調整。神経が研ぎ澄まされ、集中していくのが自分でもわかる。
フゥ、と細く息を吐きながら、清綱は今刀の柄へ手を置く――直後、自然な動きと共に居合の斬撃を放った。今刀の切っ先が箱の隙間――開け口の鍵をキン! と澄んだ音を立てて斬った。
「――ハァ」
ほんの、刹那の斬撃を終え、清綱は心地の良い息を吐き終える。宝箱の蓋を開けると、そこにはいくらかの金貨が入っていた。
「あの魔剣士の隠し財産だったのだろうか? まあいいや、学園に寄付しておこう――ぐっ」
気が抜けたのか、清綱を再び激痛が襲う。
「うがあぁぁぁ……また反動が来た。もうだめだ、今すぐ帰ろう」
清綱は宝箱を持つと、足早にそこを後にした。自分は何を得たのだろうか? その事を、考えながら……。
大成功
🔵🔵🔵
月夜・玲
さてさて、お楽しみのお宝タイム!
何をもっていこうかな…
大量の宝箱には心躍るね!
まるでおとぎ話の中みたい
伝説の剣とか伝説の盾とかそんなの期待しちゃうよね
でも私はメカニックだから、武器にも心惹かれるけれど私が使うのは私が創ったものだけだから
だからそうだね…記念になる物だったらいいな
例えば歯車のが印象的な懐中時計とか
そんな小物が良いね
だから大きな宝箱より、ちょっと小さめ…掌に乗るくらいの大きさの宝箱を探してみよう
大きい事は良い事だっていうけれど、小さい事だって良い事だよね
と言う訳で、小さ目の宝箱を1つ貰うね
さて、どんなお宝が眠っているのかな?
●歯車は託され――
「さてさて、お楽しみのお宝タイム! 何をもっていこうかな……」
月夜・玲(頂の探究者・f01605)は、宝物庫の中を軽い足取りで歩いていく。大量の宝箱が積み重なってそこに無造作に置かれている――その光景こそ、玲を楽しませた。
「大量の宝箱には心躍るね! まるでおとぎ話の中みたい」
伝説の剣とか伝説の盾とかそんなの期待しちゃうよね、と呟くも、すぐに思いとどまる。玲の装備はすべて、メカニックとしての彼女が造ったものばかりだ。それは彼女のメカニックとしての、矜持とも言えた。
「だからそうだね……記念になる物だったらいいな」
玲が、ふと目を惹かれたのは歯車で出来た箱だ。カリカリカリ、と箱の中では歯車の回る音が聞こえる――もしかして、と玲は掌に収まるそれを手に取った。
「大きい事は良い事だっていうけれど、小さい事だって良い事だよね。さて、どんなお宝が眠っているのかな?」
玲はマイナスドライバーを取り出し、小さな箱に差し込む。先端から伝わる振動で当たりをつけながら、カチ……カチ……、と中の歯車を動かしていく。
「……うん、これで――」
カチリ、と噛み合う音がした。すると、目の前でカチャリカチャリカチャリと歯車が作動し、箱が開いていく。どこまでの趣味的な、しかし、芸術品とも言うべきカラクリだった。
箱の中から出てきたのは、スケルトンケースの懐中時計だ。中身の複雑に作用し合う歯車、メカニックとしての玲が息を飲むほど精緻で繊細な機巧だった。ほんの数ミリの狂いで動かなくなる、そんな計算に計算を重ねたものがそこにはあった。
ただ、時計は動いていない。箱にはこの懐中時計をメンテナンスするためのものだろう、専用の工具が収まっていた。そして、一枚のメッセージカードが添えられている――。
『これを手にしたキミへ。この懐中時計がふさわしき者の手に渡ったのならば、時を刻む事だろう。願わくば、キミの手で時を動かさんことを――』
これは、過去からの未来への『宿題』だ。どうか、これを手にするのが完成させられるものであって欲しいという願いと要求。だから、玲は微笑んだ。
「ええ、必ず」
ならば、これを自分が手にしたのは必然だ。猟兵ではなく、一人のメカニックとして、玲は製作者の願いを聞き入れた……。
大成功
🔵🔵🔵
カメリア・クラウゼヴィッツ
へえ、ずいぶん沢山あるのね
お宝ってあんまり見ることないけど、いざ目の前にするとやっぱりワクワクするものね
いい経験になったわ
大きいのを開けてみたい気持ちもないわけじゃないけど、ここは小さいのを1つ開けようかしら
選んだのは手のひらにのるくらいの青と銀の宝箱
それでも見た目の割に重たいような
【WIZ】
解錠のために手を翳す
この魔法を使うのも久しぶりだわ
箱の中には小指の先ほどの大ぶりなエメラルドがひと粒
そうねえ、頼んで指輪にでもしてもらおうかしら
箱も持って帰れたら嬉しいけど
絡み/アドリブ歓迎
●昔話のように
カメリア・クラウゼヴィッツ(林檎椿・f17005)は、目の前の宝箱を眺めて呟く。
「へえ、ずいぶん沢山あるのね。お宝ってあんまり見ることないけど、いざ目の前にするとやっぱりワクワクするものね。いい経験になったわ」
それこそ、昔話に出てきそうな光景だ。心躍る冒険を抜けた先に待つ、金銀財宝。そんな登場人物の一人になれたのだ――そう考えれば、カメリアは得難き経験だと思う。
「大きいのを開けてみたい気持ちもないわけじゃないけど、ここは小さいのを1つ開けようかしら」
大きな葛籠と小さな葛籠じゃないけれど、とカメリアは冗談めかして言うと、一つの宝箱を手に取った。掌に乗るくらいの、青と銀の宝箱だ。しかし、ズシリとした重みがある。見た目以上に、重いモノで出来ているのか中身が重いのか――カメリアは、宝箱に手をかざした。
「この魔法を使うのも久しぶりだわ」
青と銀の宝箱には、魔法の鍵がかかっている――それをカメリアは、解錠の魔法で開けた。カチリ、と警戒な音と共に宝箱が勝手に開いていく。中に入っていたのは、一粒の小指の先ほどある大ぶりなエメラルドだった。
深く吸い込まれるような緑にカメリアはしばし見入ると、笑みと共に呟いた。
「そうねえ、頼んで指輪にでもしてもらおうかしら」
ふと、カメリアは手を止める。問題は、この宝箱だ。こちらも青と銀の細工が大変美しく、それだけで芸術品としての価値があるものだ。また、中身がエメラルド一粒だった事を考えれば、この重みは箱のものという事だろう。
材質な細工はもちろん、かけられた魔法も興味深い。閉まれ、と念じると勝手に閉まり、開けと念じれば自動で開く――この魔法の箱も、カメリアを自身の主として認めたのだろう。
「箱も持って帰れたら嬉しいけど……」
カメリアがアルダワ学園側に確認を取ると、もちろん宝箱まで所有権がある、との返答をもらった。その時の職員の笑顔を見れば、あるいはそこまで考えて『正解』だったのかもしれない。
こうして、カメリアはエメラルドと魔法の箱を手にしたのだった……。
大成功
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フェム・ポー
【WIZ】
(魔力で編んだ普通?のシスター服姿に戻り)
あらあらぁ、随分とたくさんの宝箱があるのねぇ?
そうねぇ、フェムはぁ、なるべく小さいのを選ぼうかしらぁ。
フェムはこんなに小さい妖精でしょぉ?
大きいものを運ぶのはぁ、ちょっと大変だものねぇ。
出来ればぁ、お金に変えやすそうなものだったら嬉しいわねぇ。
……うふふっ。
お金にがめついとは思わなかったぁ?
寄付とかにつかうならぁ、そちらの方がいいでしょぉ?
……フェムはぁ、あまり欲しいものがなからぁ。
そうねぇ、それじゃぁ、あの一番小さいのにしようかしらぁ。
フェアリーランドで小さな壺の中に吸い込んでぇ、
もっていかせてもらうわねぇ。
●魔法の箱
フェム・ポー(聖者の残骸・f12138)は、魔力で編んだ普通(?)のシスター服姿に戻って宝箱の上を飛ぶ。
「あらあらぁ、随分とたくさんの宝箱があるのねぇ? そうねぇ、フェムはぁ、なるべく小さいのを選ぼうかしらぁ」
フェムの呟きに、アルダワ学園の職員は目を丸くしたという。その視線に、彼女はこう答えた。
「フェムはこんなに小さい妖精でしょぉ? 大きいものを運ぶのはぁ、ちょっと大変だものねぇ。出来ればぁ、お金に変えやすそうなものだったら嬉しいわねぇ」
はぁ、と意外そうな表情で生返事した職員の目の前で艶やかに微笑み、フェムは補足する。
「……うふふっ。お金にがめついとは思わなかったぁ? 寄付とかにつかうならぁ、そちらの方がいいでしょぉ? ……フェムはぁ、あまり欲しいものがなからぁ」
その言葉に、嘘はない。ただ、フェムが欲するものはお金で買えないからだ。ただ、猟兵としての――あるいは、聖者としての生だけがそれを叶えるから。ならば、ここで得られるのは誰かの未来を救うためのお金でいい、それだけの話だ。
「そうねぇ、それじゃぁ、あの一番小さいのにしようかしらぁ」
彼女が選んだのは、人間であれば掌サイズ――二十二センチのフェムでさえ一抱え程度のサイズの宝箱だった。
ただ、目利きは確かだった。宝箱自体も、魔法のかかった黒一色の不可思議な金属製だ。よくよく目を凝らせば、その表面には細かい文様が刻まれており、光の当たり方によって文様が七色に輝く。それが魔力が通った証であるのは、魔法を学んだ者には見て取れた。
「もっていかせてもらうわねぇ」
キン、と小さな壺――フェアリーランドの中に宝箱を閉まって、フェムはその場を去っていく。
職員がフェアリーランドがあるなら、大きな箱でも良かったのでは? と指摘を思いついたのは、フェムの空気から正気に返るまでしばしかかった頃だった……。
大成功
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ヌル・リリファ
◆零時さん(f00283)と
【POW】
わたしができるのはふたを切断するくらいかな……。
ほしいもの。なんだろ?(まだ子供のような少女は自分の心もあまりわかっていない。)
零時さんは、ほしいものあるの?
……魔道書。確かに、貴重だよね。(少女は演算装置を使い、魔道書を参考にするわけではないが欲しい気持ちは理解する)
わたしは、あんまりおおきいものだと邪魔だし。このくらいにしておこうかな。(軽めの、片手で持てるサイズの箱を開ける。)
(開けると、出てきたのは。魔術の触媒に使えそうな液体。刻印などにも使えそうだ)
ふうん。おもしろそう。ちょっと今度なにかつくってみようかな。
零時さんは……魔導書。本物だといいね。
兎乃・零時
ヌル(f05378)と!
アドリブ歓迎
【WIZ】
やべぇ…俺様鍵の事忘れてた…
あ、ヌル…かパルでもいいけど、解錠とか出来ないか…?
ヌルは欲しい物とかあんま無い感じなのか?
俺様はやっぱ魔導書かな!
本物ってなかなか手に入らなくてなー
いっそルキシスの使ってた魔術の本とかありゃイイが…
欲張ると痛い目見るって聞くし……俺様は中くらいのにする!
(本ぐらいなら入ってそうな大きさ重さ
(入っていたのは分厚い魔導書
古びているが読むのに支障は無し
内容は光属性魔術全般
これが本物なら
大概の光魔術を知り、使える可能性もあるかも
※本物か偽物か
ダイスでもMSさんが決めるでもOK
俺様のは魔導書だった…!
あ、ヌルのも良さげな奴だな!
●未来へと綴る
「やべぇ……俺様鍵の事忘れてた……あ、ヌル…かパルでもいいけど、解錠とか出来ないか……?」
たくさんの宝箱を前にして、大変な事を思い出したと兎乃・零時(大きな帽子に夢抱え、目指すは《最強/最高》魔術師!・f00283)と唸った。式神であるところの紙兎パルは首を左右に振って否定し、ヌル・リリファ(出来損ないの魔造人形・f05378)も表情を変える事なく答えた。
「わたしができるのはふたを切断するくらいかな……」
「ん、だよなー……ヌルは欲しい物とかあんま無い感じなのか?」
ガサゴソ、と宝箱を漁りながらの零時の問いに、ヌルは考え込む事しばし。
「ほしいもの。なんだろ?」
ほしいもの、ほしがるという事。自分の心さえ理解できない、子供のようなヌルにとっては難しい感情かもしれない。だからだろう、ヌルは改めて零時に問い返した。
「零時さんは、ほしいものあるの?」
「俺様はやっぱ魔導書かな! 本物ってなかなか手に入らなくてなー」
目を輝かせる零時に、ヌルは一度自分の中でその情報を噛み砕く。自分にとっての演算装置のようなものだろうか? だとすれば、零時が魔道書を欲しいと思う気持ちは理解できた。
「わたしは、あんまりおおきいものだと邪魔だし。このくらいにしておこうかな」
ヌルが手にしたのは、片手で持てるサイズの箱だ。触れた瞬間、パキンと自分の魔力に反応した事に気付く。快音と共に蓋が開くと、その中には透明な液体が入った三本の試験管が納められていた。
「……?」
ヌルが、試験管に触れると水の色が変わった。赤、青、黄、白、黒――どうやら、流し込む魔力の属性に反応して適正を変える魔法の媒介のようだ。これだけのものならば、物に刻印するのにふさわしい属性を選択する事さえ出来るだろう。
「ふうん。おもしろそう。ちょっと今度なにかつくってみようかな」
そんなヌルの目の前で、零時は迷いに迷い抜いていた。
「いっそルキシスの使ってた魔術の本とかありゃイイが……欲張ると痛い目見るって聞くし……俺様は中くらいのにする!」
零時が選んだのは、本が入ってそうなサイズの宝箱だ。こちらも、魔力に反応すると自然に積み木細工のように反応し、開いていった。
「お、こいつは――!」
零時は箱の中から、分厚い魔導書を取り出す。古びているものの読むのには支障がなく、表紙から紙に至るまでそれ自体が魔法陣を構成する正真正銘の魔導書だった。
「俺様のは魔導書だった……! あ、ヌルのも良さげな奴だな!」
「零時さんは……魔導書。本物だといいね」
「いや、本物……本物なんだけどさ……」
「……? どうしたの?」
難しい複雑な表情の零時に、ヌルは問いかける。チラリと読んだ、読んだのだが――。
「これ、大概の光魔術を使える可能性もあると思うんだけど……」
「……思う?」
「いや、『文字通り』中盤から読めないんだ」
そう、正真正銘の光属性魔術全般が書かれた本物の魔導書であった。ただし、セーフティもかけられている。所有者の実力で使える、そう魔導書が判断した範囲までしか読めない、理解できないように制限がかけられているのだ。
ちなみに、ヌルには文字が書いてあるとわかっていても、一文字も認識できなかった。これは、零時専用の魔導書となった証だ。
「最後まで読めるようになるのは、いつかなぁ……」
思わず、そうしみじみとしてしまう。それは未来への希望を込めた、未来へ綴った魔導書だった……。
大成功
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