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強襲指令!聖夜を遂行するために

#UDCアース

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#UDCアース


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 時刻はUDCアースの日本における、12月24日。現地でクリスマス・イヴと呼ばれる日の朝の事。

「猟兵各員、まずは招集に応じていただき、ありがとうございます」
 挨拶もそこそこに、グリモア猟兵、アルマ・デストラクタは中空にディスプレイを投影し、今回の作戦に必要な情報を表示した。

「今回は緊急性の高い作戦のため、手早く説明させていただきます。皆様にはUDCアースにおける邪教団の拠点を強襲、これを撃破していただきます」
 同時にディスプレイに表示されたのは、邪教団の拠点と思しき建物……なのだが、どうにも様子がおかしい。その建物に掲げられた看板は、UDCアースの日本出身であれば見覚えがある、運送会社のものだった。

「敵はなんらかの魔術を利用して、とある配送業者の集荷施設を乗取ったようですね。ここを利用して何かしらの計画を行うつもりでしょうか。荷物にUDC関係の物品を紛れ込ませてあちこちにバラ撒かれるだけで被害は馬鹿に出来ないものになりますし……」

 だが。

「まあ、そんな事はこの際どうでも良いですね。施設自体は今の所業務を停止している状態ですし。これ以上おかしな事になる前に、さっさと強襲して教団の連中を叩き出しましょう」
 邪教団の企みをまるで他人事のように切り捨てたアルマは、今すぐにでも拠点を強襲しようと猟兵たちを急かす。

「幸い、教団は拠点の隠蔽を優先している様ですね。施設に潜入するために目立った障害はありません」
 実際、ディスプレイに表示された施設の外観にはこれと言って手が加えられている様子もない。従業員に変装した教団の信者が数名外に立っているが、見張りと呼べるほどの効果は無いだろう。猟兵たちの侵入を阻むことは不可能だ。

「施設内部……場所は集荷物を保管している大倉庫ですね。ここには既に、教団に使役されている邪神の眷属が放たれているようです。まずはこれを全て撃破してください。」
 続けて表示されてのは教団が使役しているオブリビオン……嘲笑う翼怪と呼ばれる化物のデータだった。

「判明している限りの敵のデータは渡しておきます。活用してください。ああ、倉庫には私の荷物が………失礼。業者が預かっている一般人宛の荷物が大量に保管されていますので、可能な範囲で被害を出さないよう心掛けてください。
 もちろん、自分の身を守るのが第一で構わないと付け加えて、アルマは次のデータを表示する。

「加えて、奥には大物が召喚されているようですね。このオブリビオンは今すぐ外部に被害を出す事は無いでしょうが、放置できるものではありません。教団の信者より、こちらの殲滅を優先してください」
 先ほどと同じ様にオブリビオンのデータを猟兵たちに送信し、アルマは説明を続ける。
 教団の戦力であるこれらのオブリビオンを倒してしまえば、そのまま教団は無力化されると彼女は判断していた。

「召喚された大物を倒してしまえば、教団はそれ以上何も出来ません。信者たちはそのまま逃げ出すでしょう。散り散りになった信者たちがまた何か企む可能性はゼロではありませんが……まあ、奴らをどうするかは現地に赴く猟兵の皆様にお任せします」
 本気でどうでも良いというような態度で敵の処遇を猟兵に一任すると、ディスプレイを消してアルマは猟兵たちに向き直った。

「それから一つ、個人的なお願いなのですが。こちらの施設は何事もなく解放出来たとしても、丸一日近く業務を停止している状態です。出来れば事件後、この施設の業務を代行して、荷物の配達を遂行して下さい」
 個人的な……と言いつつ、まるで遠慮した様子も無くアルマは猟兵たちに雑用を押し付ける姿勢だ。

「現地はクリスマス・イヴ。ここは飽くまでただの運送業者ですが、何やら通販サイトとの連携で、サンタクロースの衣装でプレゼントを配達するサービスをしているとか何とか。届く荷物を楽しみにしている人も居ることでしょう」
 まあ、そこはどうでも言いという態度で流して。
「運送業者に関しても今回は不幸な事件ですし、手伝ってもバチは当たらないかと。ああ、希望するならサンタの衣装は用意しますよ?」


桃園緋色
 オープニング中に具体的な日付が表示されていますが、このシナリオがクリスマス中に完結できるかは状況次第です。

 改めまして、桃園緋色です。
 通販の荷物が届かないと思ったら、集配施設が怪しげな教団に占拠されてた……なんて事もUDCアースではあり得るかも知れません。

 今回は第1章、第2章で純戦闘。第3章で日常シーンという名の、戦闘に関係しない配達シーンを描写します。
 戦闘における敵データは各章で表示されますので、そちらをご参照ください。

 NPCのアルマは戦闘には参加できませんが、日常シーンでは参加者からの要請があれば仕事を手伝いに登場させることが出来ます。
 もし用が有りましたらお気軽にどうぞ。

 それでは、皆様のご参加をお待ちしています。
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第1章 集団戦 『嘲笑う翼怪』

POW   :    組みつく怪腕
【羽毛に覆われた手足】で対象を攻撃する。攻撃力、命中率、攻撃回数のどれを重視するか選べる。
SPD   :    邪神の加護
【邪神の呪い】【喰らった子供の怨念】【夜の闇】を宿し超強化する。強力だが、自身は呪縛、流血、毒のいずれかの代償を受ける。
WIZ   :    断末魔模倣
【不気味に笑う口】から【最後に喰らった子供の悲鳴】を放ち、【恐怖と狂気】により対象の動きを一時的に封じる。
👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​

種別『集団戦』のルール
 記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

木霊・ウタ
心情
邪教団の企みは見過ごせないぜ
それが折角のXマスなら尚更だよな
俺達の出番だぜ(ぐっ

手段
見張りの信者を当身で気絶させて大倉庫へ

勿論荷物へ被害が出ないようきをつけるぜ
皆の日常を守る為に俺達がいるんだもんな

嘲笑う翼怪め
っとに胸糞悪い奴だよな
此奴は

喰らった子供とか虫唾が走るぜ
一匹たりとも逃がしゃしねぇ
此処で片付けたやるぜ!

鉄塊剣を振るって片っ端からぶちのめす;鎧砕き

インカム=サウンドウェポンで歌いながら戦い
皆を鼓舞するぜ;コミュ力&パフォーマンス

んでもってサウンドOPだ
音楽は、歌は
心の叫び、魂の雄叫びだ
この世界を、皆を、未来を守るという想いを込めて歌いあげるぜ


レイチェル・ケイトリン
教団の人たちはほっといてさっさと建物のなかにはいります。
クリスマスの届け物なんてたのしみにしてる人がいっぱいいるから
へんな人たちにかまってられないもの。
必要だったらサイコキネシスでおしのけます。

なかの眷属の敵とたたかうときはわたしが得意な念動力技能で
サイコキネシスをつかってたたかいます。

サイコキネシスは遠隔地の物を掴んで動かしたり、
精密に操作する事も可能だから荷物を傷つけないように
気をつけてつかいます。

いっしょにたたかってくれる猟兵さんたちがいたら、
その人たちが戦いやすいようにまわりの荷物とかを
はなれたところにきちんとおいたりすることを
さきにやってからたたかいますね。



ちょっと!ここは関係者以外立ち入り禁止で……がっ!」

 そう言って注意しようと近づいてきた配送センターの職員……否、職員の制服を着て変装した邪教団の信者は、木霊・ウタの当て身であっさりと気絶した。

「よし、さっさと入ろうぜ」

 ウタが呼びかけると、サイコキネシスを使って同じ様に信者を無力化したレイチェル・ケイトリンはコクリと頷いて、大倉庫へと歩みを進めた。

「はい……。クリスマスの届けもの、たのしみにしている人はいっぱいいるもの。変な人たちにかまってられないです」
「おう!せっかくのクリスマスだもんな!」

 皆の日常を守るために自分たちが居るんだと胸を張りながら、ウタも倉庫へ足を踏み入れた。その瞬間。

「いやぁあああ!」
「助けて!助けてぇ!!」

 倉庫の中から子どもの悲鳴が聞こえた。
 一瞬、動揺し駆け出そうとする猟兵たち。だが、事前の情報からその発生源はハッキリと分かっていた。

「……こいつか。胸糞悪いやつだな、食らった子どもの声さえ利用するなんて、虫唾が走るぜ!」

 忌々しそうに吐き捨てるウタの前に、そのUDCは現れた。
 邪悪に笑う人間の顔を持つ異形の鳥。嘲笑う翼怪と呼ばれるその敵は、倉庫に侵入した猟兵たちを感知し、次々と現れた。

「一匹たりとも逃がしゃしねぇ。ここで片付けてやるぜ!」

 怒りとともに鉄塊剣を握り締めたウタは、跳躍すると空中の怪異へとそれを振るう。

「助けてぇ!」
「いやだ!イタイイタイ!」
「助けて助けて!!」

 ウタの攻撃は翼怪の一体をあっさりと叩き切るが、残った敵が一斉に子供の悲鳴で喚き散らす。
 恐怖と狂気で相手を縛り付ける効果を持つそれは、子供の声と相まってウタたちの精神に負担を掛ける。
 この悲鳴は、嘲笑う翼怪が最後に食らった子供の断末魔そのもの。この敵が召喚されてから今この瞬間までに、確かに失われた命があるのだ。

「うるせえ……。命を弄ぶ者に、俺が負けるわけがない!」

 怒りでそれを振り払ったウタは、インカムのマイク……自身のサウンドウェポンを起動すると、この世界の未来を守るという思いを込め、その魂の雄叫びを歌い上げる。

「行くぜ皆!こんな奴らに負けてたまるかよ!」

 怪鳥の鳴き声をかき消すように、ウタのユーベルコード、サウンド・オブ・パワーが倉庫中に響き渡った。
 それは仲間たちの力を強化する歌声。マイクに向かって心の叫びを込めながら、ウタは再び剣をふるい、怪鳥を打ち倒していく。

「力がわいてくる……。わたしも、負けてられないよね」

 心に響く歌声を心地よく感じながら、レイチェルもまたサイコキネシスを使って空中の怪異を打倒していく。
 ウタや自分に攻撃を仕掛けようとする敵を優先して撃破しながら、レイチェルは倉庫の様子を見渡した。

(思ったより荷物がおおい……。これなら……)

 周囲に保管されている荷物は、猟兵たちが想定したよりも多く、乱雑に積み上げられていた。これでは味方も戦いにくいと判断したレイチェルは、自身からの攻撃を最小限にとどめ、サイコキネシスで散らばった荷物を次々と離れた場所へまとめていく。

「これなら、ほかの猟兵さんたちも戦いやすいかな」

 レイチェルが特異とするサイコキネシスによる荷物の移動は徐々に効果を表し、後に続く猟兵たちにとって確かな手助けとなっていた。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

リリスフィア・スターライト
あのようなモノを従えているなど正気を疑うな・・・
邪教徒なのだから当然と言えば当然かな。

迂闊に接近戦を仕掛けるのは危険だから
エレクトロレギオンで機械を呼び出して
眷属をかく乱してもらおう。
隙あらば私も切り込んでダメージを与えるつもりだ。
精神的に危険な攻撃を仕掛けてくるようだが
気をしっかりともって耐え凌ぐとしよう。
ここで怯えていては猟兵の名折れだからな。

「この程度の恐怖では私は屈しないよ!」


夜乃・瞳
宅配便の倉庫を占領するなんてとっても迷惑なオブリビオンなのです。

クリスマスに合わせてネット通販で注文したあれやこれやが届かなくなったら貴様らのせいなのです。

容赦なく殲滅するのですよ

でもあんまり大げさな攻撃は出来ないので何とか接近戦で戦うのです

コールオプションでアンカーフォース(オレンジ色の発光球体に三本の金属製の爪が生えている。エネルギーの鎖を使って操作できる)を召喚してぐるんぐるんまわしてぶんなげて敵に叩きつけ攻撃していくのです
「くらうのです。一撃必殺、アンカークローなのです」



「あの様なモノを従えているとは……正気を疑うな」

 邪教徒なのだから当然と言えば当然かと、ため息を一つ。
 リリスフィア・スターライトは青い瞳で、倉庫内を我が物顔で羽ばたく人面鳥を見据えた。

「痛い痛い痛いぃい!」
「嫌だ!いやぁああああ!!」

 その化外の声は全てが子供の悲鳴。聞いた者を恐怖と狂気で縛り付けるそれを耳にしても、リリスフィアは怯むこと無く敵を睨みつける。

「この程度の恐怖で私は屈しないよ!」

 同時に電脳魔術士として、その力を行使。小型の戦闘用兵器・エレクトリックレギオンを召喚し、命令を下した。

「まずは相手を撹乱するぞ。……行け!」

 召喚されたレギオンの数は75。
 それらは翼怪に攻撃を仕掛けながらも、個々に複雑な軌道を描き、敵に的を絞らせない。
 そうして空中を移動する翼怪異の自由を奪った所で、リリスフィア本人が、緋色に煌めく刃を手に切り込む。

「まずは1つ!」

 一刀両断。一体の敵を葬り去ったとは、無理に攻めずに距離を取り、慎重に期を見極める。
 当然、味方がやられた残りの翼怪はリリスフィアに意識を向けるが、レギオンに撹乱され思うように動けない。

 そこへ。

「くらうのです。一撃必殺、アンカークローなのです」

 金属の三爪が備え付けられた球体が叩きつけられた。エネルギー状の鎖で操作されたそれは、ユーベルコード・コールオプションによって転送されてきたオプション装備だ。

「まったく、宅配便の倉庫を占拠するなんて、とっても迷惑なオブリビオンなのです」

 クリスマスに合わせて注文した荷物が届かなくなったら貴様らのせいなのです、と空中に残った敵に吐き捨てるのは、ミレナリィドールの少女、夜乃・瞳。
 文字通り人形の様な表情は一切動かないまま、端から見れば一目で分かるほどに不機嫌だった。

「もう一発……!」

 瞳は続けて鎖を握りしめ、空中に残った敵に対して自分の武器・アンカーフォースを振り回す。
 一見すると大雑把な攻撃も、リリスフィアの召喚したレギオンによって動きを制限された翼怪に当てるには十分だ。
 間違っても積み上げられた荷物にアンカーフォースをぶつけないように注意しながらも、一体、また一体と確実に敵を撃破していく。

「そちらもやるな!」

 その様子を確認したリリスフィアは、レギオンを操作して敵を撃破しやすいように誘導しながら、自分も同様に隙きを付いて剣を振るっていく。

 周囲の被害を考慮しながらでは、一度に敵を殲滅することは難しい。
 それでも、猟兵たちは確実に敵の数を減らしていった。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

リステル・クローズエデン
「何を企んでいるかわかりませんが。普通に迷惑ですね。」

他の人が潜入を選ぶならそれに、
突入が多いならそれに。
一応、ダッシュとジャンプはできるけど、隠密系まだですからねえ

さて、眷属ですか。
大倉庫ならスペースはありますが。
荷物に被害を出さないようにするには……
基本は無銘の刀による接近戦で行きます。

ただし、複数の眷属が集っている場合は、
【穿刃天舞】を極力、範囲を眷属に絞って使います。
流れ手裏剣ぐらいは、流石に勘弁してくださいね。うん。


エウトティア・ナトゥア
SPD使用。

周辺施設に被害を及ぼさないように狼に騎乗し開けた場所に敵を引き付け、《巨狼咆哮》で攻撃。

こやつ等は魔の眷属かの?禍々しい気配じゃ。
この世界では祭事をを執り行っているようでな。お主らは場違いじゃ、早う去ね。

マニトゥに「騎乗」し、手製の短弓で牽制しながら開けた場所まで『嘲笑う翼怪』を引き付けるかの。
敵を引きつけたら「野生の勘」でタイミングを計り、「破魔」の「祈り」を載せた巨狼の咆哮で怨念を払うのじゃ!

古来より犬の遠吠えには邪気を払う力があるという……わしのマニトゥの咆哮はちと強烈じゃぞ?
蹴散らせ!マニトゥ!
怨念を払えば邪神の加護も薄れるじゃろう。



無銘の刀を一閃。確かな手応えと共に、倉庫内の通路を飛行していたオブリビオンを撃破すると、リステル・クローズエデンは警戒を緩めずに一息ついた。

「なにを企んでいるのかわかりませんが。普通に迷惑ですね」

 グリモア猟兵からの情報でもハッキリとしなかったが、この場所を占拠した邪教団は最終的に何をしようとしているのか。
 宅配便が機能不全に陥るだけでも大事だが、あるいはより大きな混乱を生み出す企みが進行しているのかも知れない。
 何にせよ、自分たちはそれを邪魔するだけだと割り切り、リステルは再び通路を駆け抜け、作業用のフォークリフトや積み上げられたコンテナを足場にしては跳躍し、倉庫内を自由に動き回る。
 その動きは翼を持った敵を苦も無く捉え、刀の露へと変えていく。

「ん?あれは……」

 追加で一体の翼怪を仕留めたリステルの視線の先。
 そこには巨狼・マニトゥに騎乗して倉庫を駆けるエウトティア・ナトゥアの姿があった。

「まったく、禍々しい気配じゃな」

 マニトゥの背から邪神の眷属を睥睨し、エウトティアは呆れたように呟く。

「この世界では祭事を執り行っているようでな。お主らは場違いじゃ、早う去ね」

 祖霊を祀る巫女として、悪しき神の眷属へと告げながら、エウトティアは手にした探求で敵を射抜いていく。
 だが、その矢は一撃必殺とはいかない。確かにダメージを受けながらも怪異は健在であり、エウトティアを追って翼を翻す。

「イタイイタイィ!」

 怪異から漏れる声は悲鳴。しかし等のオブリビオンが抱いているのは怒りか。
 自らを傷つけた敵を仕留めんと迫る怪異に対して、巫女を背に乗せる巨狼は床を蹴り、荷物にぶつからないよう器用に進路を取りながら距離を取っていく。

「その調子じゃ。頼むぞ、マニトゥ」

 呼びかけながらもエウトティアは矢を番え、先ほどとは別の翼怪に攻撃を仕掛けていく。
 そうして次々と敵の注意を引き、あるいは追いつきそうになった眷属を牽制して。

「なるほど。そういう事ですか」

 その様子を見ていたリステルは一つ頷くと、エウトティアのあとを追うように駆け出し、道中で目についた敵を片っ端から攻撃しては再び駆け出すという動作を繰り返していく。

「む!よし。あそこじゃ、マニトゥ!」

 そうして次々と翼怪を引きつけた2人がたどり着いたのは、味方の猟兵、レイチェルが荷物を移動させて作り出したスペースだ。
 ある程度被害を考えずに大技を繰り出せるという地の利を得たエウトティアは、マニトゥと共に振り返ると自身を追って飛び込んできたオブリビオンたちに、自らのユーベルコードを開放する。

「古来より犬の遠吠えには邪気を払う力があるという……わしのマニトゥの咆哮はちと強烈じゃぞ?」
 自らが騎乗する巨狼が吠え、破魔の祈りを乗せた咆哮が周囲を纏めて薙ぎ払う。
「蹴散らせ!マニトゥ!」

 それに合わせるように、リステルも範囲を絞って無数の苦無と手裏剣を放った。

「天ノ舞は、刃ノ風を呼ぶ……。これで!」

 一斉に放たれた苦無たちは、咆哮を耐えた翼怪たちに次々と突き立ち、トドメを刺していく。
 誘い込んだスペース内に居る複数の敵に対して、一斉に投げた獲物を寸分の狂いなく全ての的に命中させる絶技。

 これによって、大倉庫における猟兵たちの戦いは、邪神の眷属の全滅という結果で終結したのだった。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​




第2章 ボス戦 『牙で喰らうもの』

POW   :    飽き止まぬ無限の暴食
戦闘中に食べた【生物の肉】の量と質に応じて【全身に更なる口が発生し】、戦闘力が増加する。戦闘終了後解除される。
SPD   :    貪欲なる顎の新生
自身の身体部位ひとつを【ほぼ巨大な口だけ】の頭部に変形し、噛みつき攻撃で対象の生命力を奪い、自身を治療する。
WIZ   :    喰らい呑む悪食
対象のユーベルコードを防御すると、それを【咀嚼して】、1度だけ借用できる。戦闘終了後解除される。
👑17
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種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠山田・二十五郎です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


グルルゥウ……
 グルゥウウウウ…………

「なんだ?」

 大倉庫内に放たれた眷属たちを仕留め終わった猟兵たちの耳に、地の底から響くような声が届いた。
 その場に居た皆は顔を見合わせると、その発生源へと足を進める。
 恐らく、この声こそがグリモア猟兵・アルマの言っていた『大物』に違い無いだろう。

 倉庫内を探索すると、隅の方に一つの扉が在った。
 開いてみれば、そこには地下への階段が口を開けていた。

 ここに間違いないと確信した猟兵たちは、足並みを揃え、地下へと降りていく。
エウトティア・ナトゥア
SPDを使用します

味方の猟兵と連携

《回避行動》で『牙で喰らうもの』の周りで牽制して敵をひきつけます。

大きな口じゃのう。わしくらいなら一呑みにされそうじゃわい。
まあ、お主が居れば大丈夫じゃな。そうじゃろう?マニトゥ。

さて、今回は敵を牽制して味方への助攻とするかの。
マニトゥに「騎乗」し、あえて仕掛けて《貪欲なる顎の新生》を引き付けるのじゃ。
「視力」には自信があるでな、奴の攻撃を「見切って」手製の弓で「援護射撃」じゃ。
行動の起こりは「野生の勘」と「第六感」を研ぎ澄まして察知するかの。

おばあさん、どうしてそんなにお口が大きいの?等と言って童話のようには喰われてやらんぞ?


リステル・クローズエデン
(真の姿を認識できていない為、姿は変わりません。)

「これは、喰らう為に喰らう存在……」
その存在を認識した瞬間、スイッチが入ったかのように
【制限解除・呪腕解放】が発動する。
デメリットは『呪詛耐性2、毒耐性2、激痛耐性1』で軽減
青いオーラを体と刀に纏わせる。

「お前……切り裂く……」
刀による斬撃を仕掛ける。
『残像2、2回攻撃2、戦闘知識2、見切り2』を併用しての
ヒット アンド アウェイでいきます


夜乃・瞳
まずいのです。あいつの能力的に絶対に冷蔵、もしくは冷凍倉庫の方には行かせるわけにはいかないのですよ

チキンがピンチなのです

今だと、きっと沢山お取り寄せされている気がするのです

わたしは取り敢えず、出してたアンカーフォースを引っ込めて亜空間コンテナから宇宙バイクを取り出すのです

コールオプションは何が出てくるか分からない能力だから食われると厄介なのですよ

後は、宇宙バイクに乗って移動しながらレールキャノンで攻撃していくのです

なるべく沢山打ち込んで、この場に足止めですよ

可能なら足を中心に攻撃し、更に機動力を奪うのです



「これは……」

 誰かが呆然と呟いた。
 たどり着いた地下室には、広い会議室程度の空間。ただし机を始めとした家具は無く、中央の床に巨大な魔法陣の様な物が描かれているだけだった。
 元は何の部屋かわからないが、邪教団が儀式の為に手を加えたのだろう。

 だが、今この部屋に居るのは教団の信者ではなく、魔法陣の中心に居る『ソレ』のみ。
 青とも黒とも付かない色の、筋肉質な肉体。
 手や足はあるが、顔らしき部分に目はない。

 そして、全身のあらゆる所に口が開き、牙が生えていた。

「これが邪神……」

 その邪神は魔法陣の中央で猟兵たちに背を向け、全身の口で何かを咀嚼していた。
 辺りに飛び散った赤い液体や服らしき布切れから察するに、あまり愉快な物ではないようだ。

「これは、喰らう為に喰らう存在……」

 その姿を目にした瞬間、リステル・クローズエデンが呆然と呟いた。
 先程までとは様子が違う彼女に仲間たちが視線を向けるが、彼女の口にした言葉が、何よりもソレを表現するのに適しているのだろうと猟兵たちは感じ取った。

「まずいのです。あいつの能力的に絶対に冷蔵、もしくは冷凍倉庫の方には行かせるわけにはいかないのですよ」

 配送センターの荷物として保管された食料をこの邪神が察知すれば、どうなるかは火を見るより明らかだ。

「クリスマスのチキンがピンチなのですよ」

 人形の様な無表情のまま、緊張感の無いセリフを言うミレナリィドール、夜乃・瞳。しかし彼女も、目の前の敵の驚異はしっかりと認識していた。

「リミッター解除、青の封印解放……この身は刃……凍てつく青き刃……ただ、斬り裂くのみ……」

 そんな瞳を尻目に、リステルは何かのスイッチが入ってしまったかのように先程までとは打って変わった様子で、サイボーグである己のリミッターを、そして自らに組み込まれた呪物の力を開放する。

「お前……切り裂く……」

 身体に宿るのは呪いと青き魔力。そして心には殺意。
 リステルは地下室の床を蹴り、背を向けて肉を咀嚼し続ける邪神へと駆け出す。
 その速度は、人間の限界どころか猟兵すらも目を瞠るほど。

 そうして気合の声もなく、殺意のみを込めて手にした刀で邪神を切り裂く。

……グルゥウアアア!

 流石に驚異を認識したのか、背中を切られた邪神は、次の瞬間、振り返って腕に開いた口でリステルを噛み砕こうとする。

「……!!」

 それを知覚したリステルは、リミッターを外したことで強化された身体能力に物を言わせてそれを躱し、逆に伸び切った腕を斬りつける。
 そのまま二度、三度と斬撃を見舞った所で、邪神は本格的にリステルを攻撃しようとして。

「おっと、わしらもおるぞ?」

 横合いから放たれた矢が開いた口の中に突き刺さり、邪神は攻撃の期を逃した。

「大きな口じゃのう。わしくらいなら一呑みにされそうじゃわい」

 狂気の存在たる邪神を前にして、のんびりと語りかけるのはエウトティア・ナトゥア。
 巨狼・マニトゥに騎乗した彼女は、リステルが体制を整えたのを確認すると改めて邪神を見据えた。

「さて、今度はわしらが相手になろう。ゆくぞ、マニトゥ」

 巫女の声に答えるように一吠えすると、マニトゥは正面から邪神へと突撃していく。
 その背からエウトティアが矢を射掛けるが、それを無視して邪神は大きく口を開いた。
 狙いは誰が見ても明らか。突っ込んでくる敵をそのまま喰らおうとしているのだ。

「そう簡単には食われてやらんぞ?」

 当然。エウトティアもその狙いを理解してマニトゥに指示をだす。
 ガチン、と。邪神の牙が勢いよく噛み合う音。
 攻撃を避けたエウトティアは、そのまま邪神の背中側に回り込もうとするが……。

「む!?」

 そこに待ち構えていたのは邪神の尻尾。
 見る間にその先端に新たな口と牙が形成され、よだれを垂らしながら大きく開く。
 意外にも知恵が回るのか、避けた敵を追撃するために新たな口を作り出すという常識を無視するような行動で罠を張っていた邪神。

「甘いわ!」

 だが、キマイラの巫女とその相棒はさらに上をいく。
 エウトティアは自らが騎乗するマニトゥの野生の勘を信用し、マニトゥはそれに答え、邪神の常識を外れた攻撃さえも躱しきってみせた。

「よくやったぞ、マニトゥ。……さて、わしらにだけ構っていて良いのか?」

エウトティアが邪神に対して挑発を送ると同時に、轟音と共に邪神の足に何かが打ち込まれた、

……グルウウアア!!

これまでで最大の衝撃と痛みにバランスを崩して倒れ込む邪神。

「ちょうど良いのです。このまま足止めしましょう」

 攻撃の正体は瞳の乗る宇宙バイクに備え付けられたレールガン。
 リステルとエウトティアの攻撃の裏で、瞳は自らのバイクを戦闘状態へと変形させ、攻撃の準備を整えていたのだ。

「そうじゃの、この部屋から出してやる事もあるまい。マニトゥ、もう一度やつの注意を引くぞ」

 瞳の作戦に同意したエウトティアは、再びマニトゥと共に邪神の注意を引き攻撃の隙を作り出していく。
 同じく宇宙バイクに騎乗した瞳は邪神の足を狙ってその動きを確実に止める。
 そしてリミッター解除の代償である呪いや激痛などのデメリットを、自らの装備した防具の力で軽減して長時間の強化を実現したリステルは、2人の作り出した隙を突いて確実に邪神を切り刻んでいく。

 邪神などと呼ばれても、その正体はオブリビオン。
 それを狩る猟兵たちは、その役目を確実に果たそうとしていた。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

木霊・ウタ
心情
いよいよ大物のおでましってか
ハッピーな聖夜が待ってる
お帰り願うぜ

手段
ワイルドウィンドで歌い奏でながら戦い
皆を鼓舞するぜ
;コミュ力&パフォーマンス&楽器演奏&歌唱&手をつなぐ&勇気

皆がXマスを待ってる
未来へ進むぜ!

炎を纏わせた焔摩天でぶっ飛ばすぜ
;鎧砕き&薙ぎ払い&属性攻撃&破魔

敵防御を確実に砕きつつ
炎や破魔の力が蝕んでいくって寸法だ

さあダンスを踊ってもらうか
相手は地獄の焔摩だけどな(にやり

でかい口や牙は武器受けで防御

サウンドオブパワーも行くぜ
音楽は、歌は
心の叫び、魂の雄叫びだ
この世界を、皆を、未来を守るという想いを込めて歌いあげるぜ
この世界の未来は俺たちの
皆のものだ
てめぇに渡しゃしねぇぜ!


リリスフィア・スターライト
強敵の登場か・・・それならば全力攻撃で撃破しよう。
近づかれる前に魔力と自然現象を融合させた炎の竜巻で
対称を焼き払いつつ吹き飛ばすつもりだ。
間違っても仲間を巻き込まないよう必死に制御するぞ。

「扱いは難しい分、破壊力は絶大だよ!」


レイチェル・ケイトリン
わたしの得意な念動力技能に吹き飛ばし技能もあわせてサイコキネシスをつかって敵をふっとばしてたたかうね。

敵からの攻撃もふっとばしてふせぐよ。

いっしょにたたかってくれる猟兵さんへの攻撃ももちろんふっとばすよ。
かばう技能もつかってふせぐからね。

敵はわたしたちの力をまねできるみたいだけど、サイコキネシスならまねされてもこまんないよ。

サイコキネシスはわたしの心の力。

ほかのひとをたすけてあげることもできる「幅広い応用性」がそのつよさ。

かたちだけまねられてもこわくないもの。



「へっ、大物のお出ましだが、ハッピーな聖夜が待ってるんだ。さっさとお帰り願うぜ!」

 猟兵たちによって足止めされる邪神を前に、木霊・ウタが歩み出る。
 その手には、梵字の刻まれた巨大な剣、『焔摩天』が握られていた。

「さあ、行こうぜ!」

 仲間たちに呼びかけると同時に、インカムのマイクを入れる。
 倉庫の時と同じ様に、ウタの魂の雄叫びが音楽に乗せて猟兵たちの耳に届いた。
 ユーベルコード、サウンド・オブ・パワーはその音楽を聞いて共感した者の戦闘力を増幅する。
 その場に居る猟兵たちに勇気を与えるその歌は、彼らの耳に届き、邪神と戦う力になる。

「いい歌だね。心強いよ」

 ウタに並ぶように剣を構えるのは、マジックナイトのリリスフィア・スターライト。
 リリスフィアは邪神の巨体を見据え、肩を並べる猟兵たちに声をかけた。

「相手は邪神……全力で攻撃させてもらうよ。巻き込まれないように気をつけてくれ」
「ああ、遠慮なくやってやれ!」

 ウタはリリスフィアの言葉に力強く頷くと、焔摩天を手に邪神へと突進する。
 歌で仲間を強化するだけが自分の戦いでは無い。
 ブレイズキャリバーが操る地獄の炎を剣に纏わせ、自らも前線に参加する。

 ……ォオオアアアアアア!!!

 対する邪神は、他の猟兵たちによってその場に釘付けにされながらも新たに牙を形成してウタを迎え撃つ。
 邪神の腕が不自然に伸び、その先端が新たな口となってウタを噛み砕こうと襲いかかった。
 あるいは、猟兵たちを強化する歌の発生源を理解しているのかも知れない。

「へっ!ダンスなら付き合うぜ。相手は地獄の焔魔だけどな!」

 ウタは不敵に笑って、その攻撃を焔摩天で捌く。
 自身を襲う牙を剣で受け止め、お返しとばかりに地獄の炎で邪神の肉体を焼き、ダメージを与えていく。
 邪神はうめき声を上げながらも二度三度と攻撃を繰り返し、ウタはそれを紙一重で捌く。
 そうしている間にも他の猟兵たちの攻撃は続き、邪神は体制を崩され、逆にウタは炎による返礼を見舞っていく。

「よし、このまま一気に……」

 倒れた体制から繰り出された尻尾の一撃を後ろに跳んで躱し、反撃しようとしたウタの目に、腹に新たな口を大きく開いた邪神の姿が映った。
 その口腔からは、自分の炎と同種の……ブレイズキャリバーの地獄の炎が赤々と燃えていた。

「コイツ、俺の炎をコピーしたのか!?」

 言う間にも邪神は、自らが文字通り喰らった炎を、その使い手に向かってブレスの様に吐き出す。
 ウタには、巨大な炎の壁が迫って来るように見えた……

「させない」

 ウタが炎に飲まれるのを覚悟した瞬間、邪神の放った炎が不可視の力によって吹き飛ばされた。

「間に合ってよかった……」

 安堵の笑みと共に、油断なく邪神に目を向けるのは銀髪の少女、レイチェル・ケイトリン。
 レイチェルは邪神が再び立ち上がった瞬間、炎を防いだ時と同じ、サイコキネシスによる不可視の力を叩きつける。

「勝手にうごいちゃ、だめ……!」
 ……ルゥオオオオオ!!
 
 幼い口調とは裏腹に、その念動力は並外れて強力。
 サイコキネシスを正面から受けた邪神は、床に轍を刻みながら大きく後退した。
 自らを吹き飛ばそうとする不可視の力を、巨体を活かして無理やり耐えたのだ。

 そうして邪神が再び口を開く。その動作を見た何人かの猟兵は敵が何をしようとしているのか理解した。
 先ほどと同じ、受けた攻撃をコピーする邪神のユーベルコード。

「むだだよ」

 次の瞬間、邪神とレイチェルの中間地点で何かが弾けた。
 邪神の放ったサイコキネシスを、レイチェルが相殺したのだ。

「これはわたしの心のちから。形だけまねされても、もこわくないよ」

 その言葉の通り、レイチェルは倉庫での荷物の移動に始まり、攻撃や防御と様々な形でサイコキネシスを利用している。
 その度に大きな効果を発揮しているが、それはレイチェル自身の卓越した念動力の扱いと、応用力によるものだ。
 形だけ真似た不可視の衝撃はなど、レイチェルにとっては察知して相殺するのも容易いことだった。

「本当のつかいかた、みせてあげる」

 返す刀で、再びサイコキネシスによる攻撃。
 今度は防御する間も与えず邪神の身体を壁面に叩きつけ、追撃とばかりに戦闘で出来た瓦礫を邪神へと叩きつける。

「これは凄いな……」

 邪神の巨体が宙を舞う姿は、他の猟兵たちにとっても圧巻の一言だ。

「なら、私も負けていられないな」

 猟兵たちから大きく離れた場所に吹き飛ばされた邪神。
 今なら仲間を巻き込む心配もない。
 タイミングを伺っていたリリスフィアは極限まで集中力を高め、自身のユーベルコードを開放する。

「唸れ雷光、轟け嵐、渦に飲まれ、全てを灰燼に帰せ!」

 詠唱を終えた瞬間、リリスフィアの魔力が自然現象と融合し、一つの攻撃となって放たれる。
 それは邪神を中心として巻き起こる、炎の竜巻だった。
 離れていても肌が焼け付くようなソレは、リリスフィアの全身全霊を込めた最大火力。

 ……ルゥオオオオ!!!

 炎の竜巻に飲まれながら、邪神は咆哮した。
 もし邪神に感情があるなら、その声は苦悶の声に違いない。
 全身を業火で焼かれながら脱出しようとする邪神は、先程までに猟兵から受けたダメージもあって、満足に動けず身悶えするしかない。

「くっ、まだ倒れないのか……!?」

 一方で、自身の使える最大の火力で攻撃しても倒れない邪神を前に、リリスフィアも冷や汗を流しながら制御に集中する。
 このユーベルコードは、絶大な威力と引き換えに暴走しやすいと言う欠点を持つ。長時間発動を続けていては仲間を巻き込む危険も跳ね上がる。
 ……だが、リリスフィアはユーベルコードを決して解除しない。

「これくらい、制御してみせる……!」

 ォオオオオ!!

 そうして一分か、あるいは一時間か。
 巻き上がる炎が一際勢いを増すと同時に、周囲に響いていた邪神の咆哮が途切れた。
 
 炎の竜巻が解けた時、後には焦げ付いた床以外は何もない。

「やった……?」
「おう!俺たちの勝ちだ!」

 呆然と呟くリリスフィアに掛けられる称賛の声。

 召喚された邪神は、聖夜を邪魔させまいと集まった猟兵達によって討ち倒されたのだった……。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​




第3章 日常 『猟兵よ、聖なる夜を駆け巡れ!』

POW   :    集荷場仕分け担当

SPD   :    配達担当

WIZ   :    オペレーター担当

👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​

種別『日常』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


「皆様、お疲れ様でした」

 邪神を倒し、一息ついて腰を下ろしていた猟兵たちの前に、アルマ・デストラクタが悠々と姿を表した。

「召喚された邪神の討伐、確認しました。これで今回の教団の企みは潰えたと言っていいでしょう。この世界の住人として、お礼を言わせて下さい」

 言いながらも、アルマは無表情のまま。
 礼と労いもそこそこにアルマが取り出したのは、サンタクロースの衣装。 

「では、改めて皆様には配達業者の代行をお願いしますね。企業にはUDCの方から話を通してありますので、遠慮せずにどうぞ。仕分けでもオペレーターでも好きな仕事を選んでください」

 邪神との戦いで疲れ切った猟兵たちにも遠慮なく仕事を割り振るグリモア猟兵は、上がる文句も聞く耳持たず。

 UDCアースのクリスマスは、始まったばかりだ。
レイチェル・ケイトリン
念動力とサイコキネシスで仕分けのおてつだいします。

というか、いろいろうごかしちゃったのわたしだもの。
おかたづけしないとね。

でも、そのまえにへんなことされてないか、ないとおもうけど、
ねんのため、アルマさんにかくにんします。

すてきなプレゼント、あけてみたらなかに邪神のタマゴが
いれられちゃってた……とかイヤすぎるものね。

はいたつのひとたちもおきゃくさんからあずかっただいじなものは
ちゃんとみてくれるとはおもうけど、あぶないことについては
わたしがまずみてあげないといけないしね。

それがすんだら、ちゃんということきいてどんどんうごかすよ。

いそいでとどけてあげられるようにしないとねっ!


木霊・ウタ
POW
衣装に着替え仕分け

荷物一つ一つが
家族や友達、自分の大切な人達に対する想いのカタチなんだよな
急ぎつつ丁寧に扱うぜ

未来は人の命でできている
今を生きる人達が未来を築いてくんだ
Xマスに誰かを思いやる気持ちが
その気持ちに触れて嬉しく楽しく過ごす事が
未来を創る何よりの原動力だろ

正に猟兵に相応しい任務だ
頑張ろうぜ
;コミュ力&手をつなぐ&優しさ

全ての集配完了後
ちょいとだけ集荷施設を貸してもらって
臨時のXマスパーティと洒落こもうぜ

簡単な総菜や飲み物
ケーキで盛り上がるぜ
よければアルマも一緒にな

Xマスソングを奏で歌うぜ
俺達自身が今を楽しまなきゃな
メリーXマス!
:コミュ力&手をつなぐ&優しさ&パフォ&演奏&歌唱



配達業者の倉庫。邪教団によって記憶や認識を狂わされていたセンターの職員たちは我に返り、配送が遅れている現実を認識すると大慌てで作業を始めていた。
 その一角に積み上げられた荷物の傍らで、協力者である猟兵たちが作業していた。

「アルマさん、どう……?」
「……はい、この荷物も問題ありませんね。お願いします」

 UDCアースのサイボーグでもあるグリモア猟兵・アルマが倉庫に積み上げられていた荷物をサイバーアイで精査する。
 邪教団の手が入っていないと確認された荷物は、レイチェルが念動力で動かし、配達先や時間帯に合わせて仕分けていく。
 仕分けられた荷物は職員や猟兵の手で次々とトラックに積み込まれ、一秒を争うようにトラックが配送センターを出発して行った。

「……この調子では、教団もまだ荷物に手を付けていないのでは?検査はしなくても」
「だめ。すてきなプレゼント、あけてみたらなかに邪神のタマゴがいれられちゃってた……とかイヤすぎるもの」

 幼気な口調ながら、その点に関してレイチェルは譲らない。断るわけにも行かず、アルマは荷物の検査に戻った。

「ああ、荷物の一つ一つが、送り主の大切な人への想いのカタチなんだ。丁寧に扱わねえとな」

 レイチェルに同意する木霊・ウタは、勧められた通りサンタクロースの衣装に着替えて荷物の検査と仕分けを担当していた。
 本当に邪神に関連する物品が荷物に混ぜられていた場合、普通の職員に対処は難しい。
 その検査が担当できるのは猟兵だけだった。

「しかし凄えな。念動力を使ってるにしても、一度にこんな荷物を仕分けれるとは……」
「もともと、荷物をうごかしちゃったのはわたしだもの。自分でかたづけないと」

 最初に戦場となった大倉庫の荷物に、大きな被害は無い。多少箱が変形したものは有れど、配送会社で対応できる範囲だった。

「っし、俺も負けてられないな。……そうだ。その前に一つ頼みがあるんだが」

 レイチェルの頑張る姿に自分も奮起して仕事に戻ろうとしたウタは、ふと思い出したようにアルマを呼び止めた。

「この仕事が終わったらさ、猟兵たち皆で臨時のクリスマスパーティーをしないか?ここのスペースを借りてさ」

 ウタのその提案に、レイチェルも手を挙げて賛成する。

「うん、配達のみんなもたいへんだろうし、わたしたちでケーキかってこよう」
「ああ、折角のクリスマスだからな。俺たち自身も楽しまねえと」

 2人の提案に、少し考えてからアルマも頷いて。

「わかりました。では職員の方と交渉してきますね。配達より先にこちらが終わりますし、準備はその後になりますが」

「よしっ!そうと決まれば、俺たちがまず仕事を終わらせねえとな!」
「うん、わたしもがんばるね」

 レイチェルとウタは改めてモチベーションを上げると、再び仕分けの作業に戻るのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

リリスフィア・スターライト
喜んでクリスマスの配送を手伝うね。
人手も多い方がいいしオルタナティブ・ダブルで
別人格の子も呼び出して配達するよ。
仲良くサンタ服を着るよ。
金髪ショートカットと銀髪ツインテールの
2人少女が並んでみんなにプレゼントするね。

「メリークリスマスだな。これがプレゼントだ。」(金髪の子)
「メリークリスマスね♪これがプレゼントよ。」(銀髪の子)


リステル・クローズエデン
【SPD】で配達の手伝いをします。
「はじめに言われていたことですからね。」
サンタの衣装に着替え(スカートではなくズボン)
「あっ。一応、普通に運転はできますから。」
(問題があるならば、他の配達の方の手伝いをします。)

配達時には『礼儀作法2、コミュ力3』を使い。
予定から遅れている場合は、その旨を謝罪しつつも
確実に仕事を終わらせます。
「つぎは、こっちであっていましたね。」



「メリークリスマスだな。これがプレゼントだ」
「メリークリスマスね♪これがプレゼントよ」

 とある一軒家の玄関先。
 プレゼントを待ちわびていた小さな子供が玄関を開けると、そこにはそっくりな顔の2人のサンタクロースが居た。
 突然の事に眼を白黒させる子供を、プレゼントの配送サービスを注文していたその両親はニコニコと見守っている。

「はい、どうぞ」
「中は見てのお楽しみよ♪」

 金髪のサンタと銀髪のサンタは、楽しげな笑顔で包装されたプレゼントを子どもに手渡すと、後ろの両親に一礼してその家を後にする。

 2人のサンタの正体は、ユーベルコードで『もうひとりの自分』を呼び出したリリスフィア・スターライト。金のショートカットで強気な性格の『リリス』と、銀のツインテールのお淑やかな少女、『フィア』。2人で1人のサンタクロースは、協力して次々と荷物を配達していった。

「あ、お疲れ様です。そちらの方はどうでしたか?」

 配送トラックの運転席から2人に呼びかけたのはリステル・クローズエデン。
 リステルは邪神と戦った時とは打って変わった様子で、他の猟兵たちと一緒にサンタの衣装を着ていた。衣装については「はじめに言われていたことですからね」との事だが、その姿でプレゼントを配達する様子は、端からは楽しげに見えた。

 そんなリステルは、リリスフィアと同じ様に荷物を届け、先にトラックに戻ってきた所だった。

「ああ、荷物の受け取り先ははプレゼントを待っている子どもだったみたいだ」
「うん、サンタさんが来てすごく驚いてたよ!この衣装を借りた甲斐があったね!」
「ふふっ、2人とも似合ってますし、お客さんにも喜んでもらえたみたいで良かったです」

 トラックに乗り込んだ2人にそう言って笑いかけると、軽く溜息を吐くリステル。

「リステルさんも凄く似合ってるよ」
「それで、どうしたんだ?」

 2人の問いかけに、次の伝票を眺めながら答えるリステル。

「いえ、やっぱり配達予定が遅れちゃってるみたいで……。一応こちらからも謝罪しておきましたけど、職員さんも大変ですね」

 そう言って気を取り直すと、リステルはハンドルを握ってリリスフィアに声を掛ける。

「さて、次の行き先はこっちですね。少し急ぎましょうか」
「ああ、運転は頼むぞ」
「うん!頑張ろうね!」

 3人のサンタは、プレゼントを待つ次の人の所へと向かっていった。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

夜乃・瞳
わたしは配達担当で頑張るのです。

赤い、ミニスカサンタ服を身にまとい頑張るのです。

取り敢えず、亜空間コンテナに詰め込めるだけ荷物を詰め込んで、宇宙バイクにまたがり、ガンガン荷物を配っていくのですよ。

「あの荷物がなくならない限り、私の荷物も届かないのですよ」

しかし、このときわたしは気付いていなかったのです

わたしが荷物を配っている限り、わたしの荷物を受け取れる人が誰も居ないということに


化野・那由他
こんな忙しい日に災難ね。お手伝いさせてもらいましょう。
WIZでオペレーターとして、配達する方々を支援します。
サンタ服なんて雰囲気出ていいわね。アルマさんから衣装を受け取って着てみましょう。残業、できるだけしないよう効率的に配っていきましょうか。あ、もし配達の人員が足りなさそうなら、配達のお手伝いしますね。

「そちらの住宅地に配達先が密集しています。まずはそこから届けて行きましょう」
など、地図を見ながら、皆さんをサポートします。トラブル時にも連携が取り合えるよう、状況判断の上、連絡を密に。
「サンタさんやトナカイの支援をしているみたいでやり甲斐がありますね」

※アドリブ歓迎です。



「そちらの住宅地に配達先が密集しています。まずはそこから届けて行きましょう」

 集配施設の一角にある、オペレーターたちが詰めている一室。サンタ衣装の女性、化野・那由他が配達を担当する猟兵たちと連絡を取っていた。
 仕分けの際に作られたリストと、配達者たちからの完了報告を照らし合わせて、この後の配達スケジュールを組んでいく。

「うん、このペースなら日付の指定のがある荷物は今日中に間に合うはず」

 目元に掛かった黒髪をかき上げて、一息。
 この調子なら残業も必要なそうだ。

「それにしてもこの仕事、サンタさんやトナカイの支援をしているみたいでやり甲斐がありますね」

 折角だからと自分もサンタクロースの衣装を借りたが、思ったより気分が盛り上がるものだ。
 そう言えばこの後、猟兵たちでパーティーも企画していると聞いたし、私も参加させてもらおうか……。

「よし、そうと決まれば残りの仕事も頑張って……」

 その時、オペレーター室の電話が一斉に鳴り出した。
 職員の1人が対応すれば、その間に別の電話が鳴り出して。
 電話口から漏れる声から察するに、クレームや問い合わせの様子。

(ああ……やっぱりそう言う電話もありますよね)

 などと考えているうちに、那由他の使っているデスクの電話が鳴り出して。
「すみません!対応お願いします!」
「……え?私?……え?」

 そういう時に限って、他の配送センターからのトラックが到着、手続きをしてくれとオペレーター室に運転手がやって来る。
 多くの職員が配達に出払っている現状、正規の職員が必死に働いても、間の悪いことに人手が必要な事態が重なってしまう。
 結果、正規の手続きなどわからない那由他まで対処に駆り出される始末。
 配達が順調に進む一方で、オペレーターたちも息をつく暇もなく働く羽目になっていた。

「ちょっと、これは聞いてないです……!」





 一方で、こちらは自前の宇宙バイクに跨がり配達を続ける、ミレナリィドールの夜乃・瞳。
 UDCアースの常識では考えられないような大きさのバイクを、ミニスカサンタ服の小さな女の子が乗り回している光景にも人々は気づいていない。
 それが猟兵の特性ではあるが、傍から見れば奇妙な光景だった。

「ふう、これで一件、終了なのです」

 瞳は自分の能力をフルに使い、亜空間コンテナを利用して一度に大量の荷物を運んでいた。
 今も一件の配達を終え、オペレーターに報告した所なのだが……。

『え?ちょ、ちょっと待ってくださいね、今電話の方が……。ああ、す、すみません!お待たせしました!』
「……あっちはあっちで忙しいみたいですね」

 返ってくるのは悲鳴のような慌てぶり。あちらの対応が終わるまでは自分で次の配達先を考える必要がありそうだ。

「よし、次はあちらの区域を回りましょう」

 素早くそう決めると、愛用のバイクを走らせる。表情は変えないながらも、瞳は小さな体に見合わぬ精力的な働きぶりを見せていた。
 彼女がやる気を出しているのは勿論、配達を待つ人々のため……だけでは無い。

(あの荷物がなくならない限り、私の荷物も届かないのですよ)

 早く終わらせて、自分の荷物を待とう。そう決意を固めた彼女の耳に、別の配達員と通話していた那由他の声が届く。

『え?時間指定のお荷物、お客様がご自宅に不在ですか?ええと、宛名は……夜乃さん?』

「……。……あ、しまったのです……」






 そうして日が暮れた後。
 疲れた体を引きずって配送センターに戻った配達担当の猟兵たちを出迎えたのは、大きなクリスマスケーキと、色とりどりの様々な料理。
 ウタが企画したパーティーは、配送業者の人たちも料理などを差し入れてくれて。

 サンタクロース姿の猟兵たちは、各々がクリスマスソングを歌ったり、料理に舌鼓を打ったり。
 疲れ果ててはしゃぐ余裕のない者も居れば、センターに戻ってきた自分の荷物を引き取りに席を外す者もいる。

 この結末は、この場所を占拠していた邪神たちを放置していれば訪れなかっただろう。
 UDCアースのクリスマス・イヴは更けていく……。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​



最終結果:成功

完成日:2019年01月08日


挿絵イラスト