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更生中ヒーローの憂鬱

#ヒーローズアース

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#ヒーローズアース


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「貴様のような虫けらがヒーローなどと、世も末だな。」
 そう言い放つのは、如何にもヒーローといった雰囲気を纏った男。
 白銀の甲冑に身を包み、煌びやかな外見をとしている。

 しかしその言動は、決してヒーローに許されるものでは無かった。
 少なくとも、少年が知っているヒーローは決して口にしないだろう。
「五月蝿ぇな!俺の知っているヒーローってのは、ガキが悪さしてたら殴ってでも止める男だ!だがな……テメェみたいな、大量殺人鬼じゃねぇ!」

 少年は抗う。
 まだヒーローとも呼べない半端者だが、己が信念に従って圧倒的強者に。


「正義を理由に暴力を正当化するやつってのは、ロクでも無いねぇ。」
 そう苦々しげに話すのは、中御門・千歳(死際の死霊術士・f12285)だ。
 千歳によれば事件が起こるのはヒーローズアース。
 そこで過去ヒーローであったオブリビオンが暴れるというのだ。
 そのオブリビオンはどんな小さな罪でも許さず、ヴィランやそれこそヒーローや一般人すら殺して回る様子が予知された。

「事件起こしているヴィランどももロクでも無いけどね、人間、更生のチャンスってのは与えられるべきだとあたしゃ思うねぇ。」
 猟兵達には、まずは現地のヒーローと共にヴィラン事件の解決に当たって欲しい。
 放っておけばヴィラン達はオブリビオンに皆殺しにされてしまうだろう。
 犯罪者とはいえ、彼らは即死刑とされるほどの者ばかりでは無いのだ。

「そういえば、現地のヒーローにもオブリビオンに狙われそうな奴らもいるのさ。ちと気にしてやっておくれ。」
 増え続けるヴィラン犯罪に対抗するため、更生中の元ヴィランのヒーロー見習いも事件解決に駆り出されているようだ。
 彼らは保護観察中の身、必ずバディと呼ばれるヒーローと共に行動し、事件解決に当たっているという。
 だがしかし、事件を引き起こすオブリビオンにとってはヴィランと何ら変わらず、悪として処分されるだろう。

「まずはヴィラン事件解決を宜しく頼むよ。皆、気をつけて行っておいで。」


きみはる
●ご挨拶
 お世話になります、きみはるです。
 テレビウム依頼も気になりますが、ヒーローズアース依頼の続編を出させて頂きました。
 至らないことだらけですが、宜しくお願い致します。

●依頼について
 一章二章では、まずはヴィラン犯罪解決に励んで下さい。
 現地ヒーローと協力をしてもいいですし、しなくても構いません。
 ただし、三章のボス戦では、ヒーローNPCは最初ちょろっと出て撤退します。
 共闘はできませんので、ご注意下さい。

●ヒーローNPC
『パンサーマスク』
 中堅ベテランヒーロー。体を硬質化させて殴るUCを操る。
 シャドウファルコンのバディとして、更生を見守る。

『シャドウファルコン』
 元ヴィランだが更生プログラムの一環として、ヒーロー見習い活動に従事中。
 黒い炎を操るUCを使う。
 ヴィラン時代は もっと長い名前を名乗っていたが、ヒーローネームとしては却下され現在の名前に。

●執筆タイミングについて
 長期休暇もあり、執筆タイミングが流動的です。
 コメントを適時足しますので、投げて頂く前にはMSページを一読頂けますと幸いです。
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第1章 冒険 『劇場型ヴィラン犯罪』

POW   :    圧倒的な力を見せつけて、市民を安心させると共にヴィランを撃破します。

SPD   :    事件をスピード解決して、最短の時間でヴィランを撃破します。

WIZ   :    明晰な頭脳で作戦を考案し、被害を最小限に抑えつつヴィランを撃破します。

👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​

種別『冒険』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。



 俺の名前はシャドウファルコン、見習いヒーローだ。
 つい最近までちょっくら悪さをしててな……更生プログラムつって、ヒーローの監視を受けながらヒーロー活動をやらされてる。
 本当はもっと「宵闇に浮かぶ」とか「堕天した」とか色々と付けた方がクールだと思うんだが、長すぎるとか言われて却下されちまった。
 まぁ、こうしていることで塀の中から早めに出られたんだから、文句も言ってられないんだけどな。
 さてと、俺の相棒(バディ)が偉そうに呼んでやがる。
 今日の仕事は銀行強盗の立て籠もり犯の逮捕だ。
 俺の華麗なるヒーロー初活動を飾ってくるぜ。

 SNSの書き込みを終えた少年は行く。
 力を得た若者に有りがちな特別感から暴れ、器物破損事件を起こした少年が。
 人命を脅かさない程度には分別のある少年だったが、未だ自分が特別だという優越感からは覚めてはいなかった。

 少年は知る。
 世界には……いや、少年の世界の外側には、少年など足元にも及ばない強者がゴロゴロといることに。
マクベス・メインクーン
ザッフィーロ(f06826)と参加

ヒーローを手伝うのはやぶさかじゃねぇし、流石に更生って言って殺すのはちげーだろ、って事で
今日は更生のプロを呼んできた、ザッフィーロよろしくな〜っ

まずは【動物と話す】で猫達に頼んで【情報収集】して悪い事してるヴィランの動きを掴んで、なるべく早めに被害防ぎにいくぜ
はい、ザッフィーロは猫に気を取られんなよ〜

ヴィランは魔装銃に氷属性付与して撃ち足や攻撃手段を凍らせて動きを封じるぜ
ヴィラン確保はヒーローの仕事でもあるし任せるぜ

ヒーロー達に何か危険が迫ってたら【野生の勘】で察知して風の精霊の力で防壁を作って守るぜ


ザッフィーロ・アドラツィオーネ
マクベスf15930と
改心し望む者には赦しは与えられるべきだと思う故…殺して回る事が正義という者には共感出来んな
…更生のプロ…には否定を
洗脳ならば得意だが…

マクベスは猫と話せるのだったか。羨ましい限りだ
故に情報はマクベスに任せ猫と戯…嘘だ。俺も手伝うに決まって居るだろう?
『地形の利用』を使い成るべく得た情報の元にマクベスと最短距離で移動を
『聞き耳』と『第六感』で移動中も情報の収拾や警戒は欠かさんでおこう

ヴィランに出会ったらメイスで『気絶攻撃』【赦しの秘跡】で操り他に何か情報がないか聞き出しヒーローへ引渡す
ヒーローの危機を目撃したら『盾受け』で『かば』いに行こう
…少しでも役にたてれば良いのだがな




 シャドウファルコンは、困惑していた。
 目の前にいるのは、少年と男性。
 相棒のパンサーマスクから援軍として紹介された猟兵達のうち二人だ。

 そのうちの一人、帽子を被った自分と同年代と思われる少年――マクベス・メインクーン(ツッコミを宿命づけられた少年・f15930)がしゃがんだ先には、何匹もの猫がみゃあみゃあと可愛らしく声をあげながら群がっていた。
 何を遊んでいるんだと声を荒あげたくなるのを躊躇するほど、真剣な顔で“会話”している。
 もう一人の青年――ザッフィーロ・アドラツィオーネ(赦しの指輪・f06826)に到っては、いかにも出来そうな切れ目の男だが、それが台無しになるほどに只々猫と戯れているではないか。

「よっし、警備が手薄な位置がだいたいわかったぜ」
 そう言い切るマクベスに対し、とっさに否定しようと口を開くが……相棒のパンサーマスクに肩を掴まれて静止される。
「彼ら猟兵に対しては、常識を捨てるんだ」
 そう真剣な顔で言い切られると、何も言えなくなってしまう。

「後はマクベスに任せ猫と戯れ……」
「はい、ザッフィーロも行くぞー」
「嘘だ。俺も手伝うに決まって居るだろう?」
 コントのような会話を交わしながらマクベスに引きずられて行くザッフィーロを見ると、やはり口に出さずにはいられない。
「ホントかよ……」

 少年の呟きは静かに木霊した。


 猟兵達が侵入した場所には、見張りのヴィランが一人。
 事前に情報があった犯行グループの総数から考えれば、間違いなく比較的手薄な場所だろう。
 さてと、どう隙を作ったものかとシャドウファルコンが思案していると、示し合わせたようにマクベスとザッフィーロが駆け出した。

「っ!」
 ヴィランが声を上げようとした瞬間、その口を塞ぐように放たれたのはマクベスの放った精霊弾。
 彼が両手に握る魔装銃『ファフニール』と『リンドブルム』からそれぞれ放たれた氷弾がヴィランの口を塞ぐと共に、懐に伸ばされた手を固めていた。
 続いて肉薄したザッフィーロが振るうのはメイス。
 仕込まれた鎖が展開されると鞭のように先端の重りが伸び、ヴィランの側頭部を直撃することで鮮やかに昏倒させた。

「は、早ぇ……」
 先ほどまでの浮ついた雰囲気は微塵も感じられず、歴戦のヒーロー以上の動きを見せる二人。
 猟兵を見たらどんな見た目をしていても格上と思え……そうパンサーマスクに言われた言葉が腑に落ちた。
 ザッフィーロが気絶したヴィランへと謎の光を放った後、起き上がったヴィランがスラスラと情報を吐いていく。
 態度を急変させたヴィランの目には、狂気が宿っていた。
「さっすが、更生のプロ。ザッフィーロだぜ」
 まるでホラー映画のような光景を何でも無いかのように茶化すマクベスもまた、只者では無いのだろう。
「更生のプロ、では無い。洗脳ならば得意だが……」

 そう言い放つザッフィーロを見る少年の目には恐怖が浮かんでいた。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

キャロライン・ブラック
信念を掲げるのは結構なことですけれど
己だけは例外のような行動は、あまり、美しいと申し上げられませんわ

ですから、早々にお止めしたく存じますが
優先すべきは人の命ですものね

さて、まずわたくしはサポートに回りましょう
銀行とやらがどのような構造かもわかりかねますし……
どうやら、担当のヒーロー方も見知らぬ仲でもないようですから

立てこもりなら、人質がいらっしゃるのでしょう?
でしたら、そちらは私にお任せくださいまし

突入後は公孫樹の黄を人質の当たりに放ち、素早くお守りいたしますわ
その後、マニュアル操作に切り替え攪乱と防護に徹しましょう

どうぞ、大胆に行動してくださいまし
相手方がもう悪さをできないと思う程に、ね?




 猟兵とヒーローは駆ける。
 一人、また一人と道中で警邏をしていたヴィランを無力化し、人質が集められた部屋へと奇襲をかけたのだ。

「なっ、ヒーローどもだ! 畜生っ!」
 建物への侵入を事前に察知出来ていなかったヴィラン達へと、ヒーローや猟兵達が飛び掛かる。
 途端に辺りは乱戦状態へと陥った。
「いっくぜぇ、シャドウフレイムッ!」
 いの一番に飛び出したシャドウファルコンは構えた両手から炎を噴き出し、人質近くのヴィランの一人を吹き飛ばす。
 それを横目に見たもう一人のヴィランは咄嗟に人質へと腕を向けた。
 しかしその先には、人質を守るように宙に貼り付いた銀杏の葉を模した黄色い塗料――キャロライン・ブラック(色彩のコレクター・f01443)が放ったユーベルコードにより作られた壁に覆われていた。

 奇妙なオブジェへと反射的にユーベルコードを放つヴィラン。
 宙に生み出された氷の刃が雨のように人質へと降り注ぐ。
 しかしその全てが、キャロラインの銀杏の葉に撃ち落とされていた。
「それはわたくしの好きな色、公孫樹の黄ですの。ちなみに、こんな事も出来ましてよ?」
 大きく広がった銀杏の葉が、嵐のように部屋中を吹き荒れる。
 その一枚一枚が的確にヴィランの視界を遮り、あっという間に乱戦は収束していった。

「勝手に先行するなんて何をやっているんだっ!彼女がいなかったら人質に被害も出ていたんだぞ!」
 戦闘が終結すると、先行した事を責められるシャドウファルコン。
 俺だってやれると反射的に異を唱える少年に対し、キャロラインは戒めの言葉をかける。
「周りのヴィランをご覧になって?己だけは例外のような行動は、あまり、美しいと申し上げられませんわ」

 しかし少年の目には明確な“不満”の意思が宿っていた。

大成功 🔵​🔵​🔵​

フィランサ・ロセウス
パンサーマスクのおじさま、健在のようで嬉しいわ❤
おやおや~?一緒にいる子も何だか見覚えある気がする!
確か月夜のダークエンジェル?みたいな名前だったような?
今は違う名前?まあスネに傷を持つ者同士、仲良くしましょ❤

まずは銀行強盗ね
裏口や通気口のような別ルートがあればそこから、
無理なら味方が注意を引いている間に【目立たない】ように
侵入して人質に紛れ込むわ(難しければ物陰待機)
様子を伺い、隙を見せたらすかさず咎力封じを放って拘束!
「ねえねえ、知ってる?
人には200本以上の骨があるんですって!
だから…2~3本くらい折れても問題ないと思わない?」
死なせちゃダメだから、ちゃんと『説得』して投降してもらうよ




「お前ら、暴れるんじゃないぞ!」
 部屋に飛び込んだヴィランは、銃口を人質に向け、威嚇する。
 他の仲間は捕縛された。
 念のため別の場所に確保していた、銀行で地位の高い人質を盾にして逃げなければならない。
 逃げやすいよう、人質達の中から出来るだけ小柄な人質を選び、いざ連れ出そうとしたタイミングで嫌な予感が頭をよぎった。
(こんな子供みたいな人質いたか?)
 そう不審に思った瞬間、ヴィランの全身は拘束具に被われた。

 人質に紛れ込んでいた猟兵の名前はフィランサ・ロセウス(危険な好意・f16445)
 猟兵仲間からこの人質が集められた小部屋の情報を得ていたフィランサは、人質に被害が及ばないよう、待機していたのだ。
「ねえねえ、知ってる?人には200本以上の骨があるんですって! だから……2~3本くらい折れても問題ないと思わない?」
 そう嗜虐の笑みを浮かべるフィランサに対し、拘束具を噛まされたヴィランはモゴモゴと声を上げることしか出来なかった。

 フィランサが制圧を終えると、他の制圧を終えたヒーロー達が駆け込んできた。
「なんだよ、こっちの部屋ももう終わってんのか」
 真っ先に飛び込んだ後にそう言い放つシャドウファルコンに対し、パンサーマスクが叱責を飛ばす。
「良いかげんにしろ、お前の実力で個人行動は危険だと言っているだろう!」
 不満が溜まっている様子のシャドウファルコンは、相棒の指導を真面目に聞いている様子は無かった。

「なんだよ、こんなガキですら個人行動してるってのに……ぁがっ!」
 そう侮蔑の表情を浮かべるシャドウファルコンは、それ以上言葉を続けられないでいた。
 満面の笑みを浮かべるフィランサが、シャドウファルコンの顔面を鷲掴みにすると、人間離れした怪力で軽々と持ち上げたからだ。
「フィランサさん……」
 そうマスクの下の声色で声をかけるパンサーマスクに言われると、満面の笑みで素直に離すフィランサ。
 しかしその後にシャドウファルコンに向けた笑顔は、明確に見下したものだった。
「まぁスネに傷を持つ者同士、仲良くしましょ❤」

 どこか、心の折れる音が聞こえた。

成功 🔵​🔵​🔴​




第2章 冒険 『航空機ハイジャック』

POW   :    ヴィランを片付けて、物理的に航空機を不時着させる。

SPD   :    ヴィランを片付けて、航空機を自ら操縦して不時着させる。

WIZ   :    ヴィランを片付けて、近場の不時着ポイントを探して操縦士をサポートする。

👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​

種別『冒険』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。



 知ってるか?
 最近猟兵ってやつらが熱いらしい。
 そいつらはヒーローでもヴィランでもないのに、ヒーローの手伝いをしたり、またヴィランとは違う悪とも戦っているらしいぜ。
 まぁ、ヒーローやってる猟兵ってのもいるらしいってのが、また複雑なんだけどな。
 俺はこれまで、そこそこやる方とは思ってたけど、その猟兵の奴等を知ると、いかに自分がチンケかって教えられた。
 どいつもこいつも、トップヒーローより強ぇんじゃねぇかと思うくらいの奴等がゴロゴロ居やがる。
 それこそ、俺と同年代や年下でもだ。
 嫌になるぜ。
 でも、腐っちゃいられねぇ。
 俺のヒーロー活動は、始まったばかりなんだからな。
 さぁ、今日の事件は航空機のハイジャック。
 今から相棒と一緒に政府のチャーター機でアプローチだ。
 皆、無事事件解決されることを、祈っててくれ。

 SNSに呟いた少年は眼下の飛行機を見つめる。
 回りに立つ、今ネットで話題に挙げた強者たちとの事件解決を、心強く思いながら、少し憂鬱に思いながら……
キャロライン・ブラック
少々、出過ぎた真似をしてしまったかしら……
こうして手伝うことはあれど、わたくし達はあくまで来訪者
重く責任を取ることはできませんのに

せめて、人々を護るために力よりも大切なものがあると
気づいて頂けると良いのですけれど……

ひとまずわたくしは突入後、コックピットを占領いたしましょうか
ヴィランが自棄になって、墜落させようとしたら困りますもの

ヴィランに気づかれても厄介ですから
先日の銀行同様、静かに、速やかに占領いたしますわ

占領後は公孫樹の黄にオートで守らせ
シャドウファルコンさまのご指示に従いましょう

どうか自信を持ってくださいませ
わたくしは、他でもない
シャドウファルコンさまを頼りにしているのですから




 キャロライン・ブラック(色彩のコレクター・f01443)は憂う。
 ハイジャック機への突入を前に、悩みの表情を見せる少年を。
(少々、出過ぎた真似をしてしまったかしら……)
 勇気と蛮勇を履き違え、己を特別と妄信する少年。
 まるで初陣で戦死する新兵のように見え、ついつい苦言を呈してしまったが……言い過ぎてしまったかと、繊細な彼女は思い悩んでいた。

 ふと小さく声をかけられ思考の渦から意識を戻せば、彼女の憂い顔に気付いたパンサーマスクが穏やかな微笑を向けていた。
「あまり気にしないで下さい、キャロラインさん。彼は今……自分の理想が崩れ、常識外の現実を突きつけられ、それを受け入れ切れていないんです。」
 でも……と言葉を変えそうとするキャロラインに対し、無言で首を振るパンサーマスク。
 その表情は、己が子を前にするかのような、慈愛に満ちた表情をしていた。
「うちの相棒(バディ)はそんなにヤワじゃないですよ……それにね、ああしてスマホ弄ってる余裕があるうちは大丈夫ですよ。」

 あっけらかんと笑うパンサーマスクと憂いを浮かべるシャドウファルコンを眺め、キャロラインはどうしたものかと思い悩むのであった。


 猟兵とヒーロー達はハイジャック機へと潜入した。
 潜入用のユーベルコードを持っていたが為に随伴したヒーローの一人が、自分の仕事は終えたとばかりに大きく息を吐く。
 一行の潜入は露見していない。
 であれば、確保されている乗客は一先ず大丈夫だろう。
 先ずは操縦室の確保を優先するのであった。

 操縦室の前には銃を向けられた操縦士を見張るように数人のヴィラン。
 突如現れたヒーロー達により発生したヴィランの混乱が収まらぬうちに、静かに、そして素早くヴィランを押さえつける。
 反射的に放たれた銃弾や異能は、キャロラインの操る銀杏の葉が鮮やかに、そして正確に受け止めていた。

 狭い室内で炎を吐き出さず、共にヴィラン確保へと泥臭く挑んだシャドウファルコンに対し、それで良いとばかりにパンサーマスクは笑顔で背中を叩く。
 痛そうに、恨めしそうに非難の視線を向ける様子を見ると、キャロラインはこの二人であれば大丈夫だと温かい気持ちが胸の内を満たすのを感じた。
 穏やかな視線を向けるキャロラインを訝し気に眺めるシャドウファルコンに対し、思わず彼女は言葉をかけた。

「どうか自信を持ってくださいませ」

成功 🔵​🔵​🔴​

フィランサ・ロセウス
ヒーローは力を持たない者の為に力を振るい、人々に希望をもたらす…らしいよ?
私は自分の好きにするだけだけど、
シャドウファルコンがそういう存在になろうとしているなら、
彼の事もパンサーマスクと同じくらい好きになれそう!

さて、それじゃあ私は後ろから攻めようかな
通路は狭いし人質も多いから、
最初はなるべく見つからないように
物陰や乗客に紛れてこっそり倒していくね
気付かれたらすぐにクロックアップ・スピードを発動、撃たれる前に懐に潜り込んで制圧するよ
できれば誰かを締め上げて、
ハイジャックの目的とか情報を聞き出せたらいいね




 フィランサ・ロセウス(危険な好意・f16445)は駆ける。
 まだまだヒーローとしては半人前な少年を思い浮かべながら。
 己はヒーローとは違い、好きに生きる存在。
 だが、己と同じく元ヴィランである少年が、力を持たない者の為に力を振るい、人々に希望をもたらすヒーローと成ろうとしているならば……彼のことも、敬愛するパンサーマスクと同じく、“好き”になれるかもしれない。
 そうなれば良いなとフィランサは考えながらも、突入時のシャドウファルコンの変化を見て、彼女は“そう”なれるような予感を感じた。

 フィランサは、メンテナンス通路を利用して航空機の最後尾へと移動した。
 操縦室を確保した後、先頭から客席へと向かったヒーローや猟兵達と挟み撃ちにする作戦だ。
 どうやらもう一方でも戦闘が始まった様子。
 航空機の内部が慌ただしくなってきた……フィランサが最後尾から後方の客室を覗き込めば、ヴィラン達は先頭の方へ移動していくのが目に入った。
 体勢を低くし、最後尾のヴィランへと近づいていく。
 僅かな気配を察知して振り返ろうとするヴィラン――だがもう遅い、振り返るよりも“指を鳴らす”方が速いのだ。

 室内に響く指の音。
 振り返ろうとしたヴィランは違和感を確信に変え、振り返りつつも銃口を向ける。
 だが、その動きはまるで遅い。
 高速戦闘モードに入ったフィランサにとって、世界は遅く感じるのだ。
 ゆっくりと振り返るヴィランの顔が、驚愕に塗り替わる様を眺め笑顔が零れる。
 相手が引き金を引くその前には、その指先は彼女の手に握り込まれていた。
「残念でした!」
 フィランサの拳を叩きこまれたヴィランは、苦悶の声を漏らしながら地面に伏す。
 あくまで確保を求められるヴィランは“好き”に出来ないのが不満であるが、後の説教を回避する為に我慢せねばなるまい。

 制圧したヴィランを押さえつけながら様子を伺うフィランサ……残りのヴィランは前方へ移動したようだ。
 さてどうしたものかと思案していると、足元のヴィランが声を漏らす。
「残念……なのは、お前らだ。こうやってヒーローにやられた時の備えが、あるのさ」
 聞き捨てならないセリフの詳細を吐かせようと再び手を伸ばすフィランサ。
 しかし、その手が辿り着く前に、旅客機を轟音と大きな振動が襲った。

 乗客の悲鳴が響き渡る。
 どうやら、一筋縄ではいかないようだ。

大成功 🔵​🔵​🔵​

マクベス・メインクーン
ザッフィーロ(f06826)と参加
ハイジャックか、すっげぇ定番だな
どっちかというとヴィランより飛行機不時着させるほうが難しそうだわ
まっ、ヒーローの兄ちゃんたちもよろしくなっ!

機内じゃ派手な事できないしな、乗客を守りつつ
ヴィランにはUCで雷【属性攻撃】で痺れさせて動けなくするか
ザッフィーロはあんまやりすぎるなよ~
後は無事に飛行機を着陸させればミッションコンプリートって感じか
操縦士のサポートはザッフィーロに任した
ヒーローさん達は乗客をよろしく

オレは【全力魔法】で風の精霊『ガルーダ』を使役して
飛行機全体のバランス支援する
流石にずっとは続かねぇから
気流が乱れた時とか着地の時とかに衝撃を和らげるな


ザッフィーロ・アドラツィオーネ
マクベスf15930と
wiz
絡繰りが飛ぶという事実だけで恐ろしいというに襲撃だと…?
かような恐ろしい事は止めねばならん
そして落ちん事を祈ろう

機内ではヒーローと協力し乗客を護りつつメイスで『気絶攻撃』後【赦しの秘跡】にて洗脳、戦力としてヴィランを取り込もう
敵の数を減らし味方を増やす、定石だろう?
後は事前の『情報収集』と『地形の利用』を使い安全に着陸できる場所を示せるよう、操縦士のサポートを出来ればと思う
いざとなればマクベスのフォローがあるだろう故安心だが
なるべくこの世界の者の手で、己らで出来ると思わせてやりたいだろう?
全てが終った後、怪我人が居たら後ほど『医術』で応急手当を
もう大丈夫故、安心しろ




 機内は阿鼻叫喚に包まれていた。
 座席へと蹲り、必死に被害を避けようとする乗客たち。
 そして、通路を逃げ惑う“ヴィラン”たち。
 逃げ惑うヴィランを追うのは、虚ろな目をし、狂ったように襲い掛かる仲間であるはずのヴィランたちだ。

 始まりは操縦室にいた数人。
 しかし、その数人が取り押さえられ、一人、また一人と洗脳されていき、敵へと変わっていく様に、もはやヴィラン達はパニックに陥っていた。
「絡繰りが飛ぶという事実だけで恐ろしいというに……襲撃などと恐ろしい事を」
 そう呟きながらまた一人ヴィランを洗脳していくザッフィーロ・アドラツィオーネ(赦しの指輪・f06826)を見て、ヒーロー達は“お前が恐ろしい”と心を一つにした。
「まっ、ヒーローの兄ちゃんたちもよろしくなっ!」
 呆然としたヒーロー達に対し、マクベス・メインクーン(ツッコミを宿命づけられた少年・f15930)は声をかける。
 我に返ったヒーロー達は乗客の保護へと奔走するのだった。

「畜生っ!」
 刃物を握り、人質を取ろうとヴィランの一人が乗客へと手を伸ばす。
 しかしそのその掌をマクベスの精霊弾が貫いた。
 マクベスが操る魔装銃に込められし精霊の力は雷――閃光と共にヴィランへと命中した雷撃が、体内を迸る。
 ゆっくりと刃物を取りこぼしたヴィランは動きを止め、そのまま崩れ落ちた。

 最後の一人が、まるでゾンビ映画のように洗脳されたヴィラン達に集られ、地面に縫い付けられている。
 しかしその目は、まだ死んではいなかった。
「こうなったら奥の手だっ!」
 握り込まれた“何か”を押すヴィラン――突如、航空機を轟音と共に大きな振動が襲う。
 乗客の悲鳴が響き渡る。
 外を見れば、航空機のエンジンの一つが火を噴いているのが見てとれた。

「こりゃぁ、ヴィランより飛行機不時着させるほうが難しそうだわ」
 順調であったはずの制圧作戦。
 しかし突如現れた困難に、思わずマクベスから愚痴がこぼれる。
 そうは言いながらも無視は出来ない。
 一同は操縦室へと駆け込むのであった。


「機首を右手へ……不時着出来そうな大きな川がある。街への被害は避けられるだろう」
 事前に頭に叩き込んでいた地図情報から、安全に着陸できる場所を指示するザッフィーロ。
 サポートを受けた操縦士たちも、その場所であれば行けそうだと同意する。
 しかし運命の悪戯か――安心した一行の耳へと再び入る爆音。
 元々火をあげていたエンジンが、本格的に停止したようだ。
 操縦士が精一杯コントロールするものの、航空機はゆっくりと傾いていった。

「オレの魔法でバランスはとれるけど、流石にずっとは続かねぇからな……」
 精霊の力にも限りがある。
 この巨大な鉄の塊を、着陸までの間支え続けるのは限界があるとマクベスは感じた。
「俺達がやるっ!」
 緊急事態に対し、シャドウファルコンを始めこれまで静かに推移を見守っていたヒーロー達が機外へと踊り出た。
 炎を噴出し機体を支えるシャドウファルコンに続き、様々なヒーローが各々の力で航空機を支えていく。
 一人一人の力は不足していても、皆の力が合わさりることで航空機は墜落では無く着陸へと体勢を整えていった。

 しかし機外は轟音響く風の中。
 互いに連絡が取れないヒーロー達は必至に支えるが、互いの連携には限界があった。
 バランスを取り切れない機体の不安定な挙動に狼狽する操縦士に対し、ザッフィーロが落ち着かせるように声をかける。
「大丈夫故、安心しろ……マクベスのフォローがある」
 その言葉を聞きながら、マクベスは風の精霊『ガルーダ』を召喚する。
 水面までかかる時間を鑑みれば、正直際どいラインだが……仲間の信頼には答えなければならない。
 風の中から現れた碧の鳥――ガルーダが機体の周りを旋回する。
 巻き起こす風が少しづつ、機体全体のバランスを取っていく。

 ヒーローと、そして猟兵皆の力を合わせ、ゆっくりと着水していった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​




第3章 ボス戦 『レオバルト』

POW   :    修羅剣鬼の構え
【大剣を構える】事で【高速戦闘モード】に変身し、スピードと反応速度が爆発的に増大する。ただし、解除するまで毎秒寿命を削る。
SPD   :    超遠隔操作術
技能名「【テレキネシス】」の技能レベルを「自分のレベル×10」に変更して使用する。
WIZ   :    光剣一刀両断
自身からレベルm半径内の無機物を【巨大な光の剣】に変換し、操作する。解除すると無機物は元に戻る。

イラスト:小日向 マキナ

👑11
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種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主はミルフィ・リンドブラッドです。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。



 航空機は無事着水した。
 周囲にサイレンの音が響き渡り、ヒーロー達は慌ただしく救出活動を開始する。
 しかしその場に、突如鎧姿の男が現れた。
 ヒーローの一人かと、駆け寄ろうとする乗客。
 しかし男は、その乗客へと刃を振るう。
「危ないっ!」
 男の凶行に気付き、乗客へと飛び掛かるパンサーマスク。
 そのとっさの動きは乗客を助けたものの、凶刃はパンサーマスクの背を大きく斬り裂いていた。

「テメェ、何してんだっ!」
 怒鳴り声を挙げながらパンサーマスクを庇う位置に立つシャドウファルコンに対し、男は何でも無いかのように口を開く。
「街へと水をまき散らし、飛び跳ねた部品が建物も傷つけている……これは器物損害だ。それにこの衝撃で魚が……生物がいくら死んだと思う?総じて死罪、客も、ヴィランも、貴様らヒーローもだ」
 己が正義であることが揺るがぬかのように淡々と狂った台詞を吐く男を前に、シャドウファルコンは一歩も引かない。
「テメェの方が犯罪者だろうがっ!」
 対してその姿を眺める男の視線は、路傍の石を眺めるかの如く。
「言葉に対し力が足りん……貴様のような虫けらがヒーローなどと、世も末だな。」
  
 シャドウファルコン――元ヴィランの、まだヒーローとも呼べない半端者の少年は、眼前の男との力量差を肌で感じていた。
 だが、引くことは出来ない。
 背後の男の命を、そして彼が憧れるヒーロー像を守る為に。
「五月蝿ぇな!俺の知っているヒーローってのは、ガキが悪さしてたら殴ってでも止める男だ!だがな……テメェみたいな、大量殺人鬼じゃねぇ!」

 少年は気づいた――その少年の想いに応えるように、現れる者達がいることに。
キャロライン・ブラック
よくぞおっしゃってくださいました、シャドウファルコンさま
今の貴方は格好の良い、ヒーローに相応しい姿かと

そして、ごめん遊ばせ
実は少々心配していたのですけれど……無用な心配でしたわ
お詫びという訳ではございませんが、後はお任せくださいませ

さて、敵は近接戦闘に優れ、光剣やテレキネシスで射程も十分
さらには周囲の人全てが攻撃対象となりうると、厄介ですわね

やはり、公孫樹の黄で守るのが最適でしょうか
皆様の服に手早く塗り、自動で守らせます

そして、わたくしの腕にも塗り、盾代わりといたしましょう
距離を詰め、出来る限り相手の意識をこちらに向けますわ

力など他から持ってくれば良いのです
良き言葉は、人を惹きつけるのですから


フィランサ・ロセウス
あーあ、せっかく正義のためにお仕事したのに死罪だって。
世も末だな!
でもでも、私達のやった事が悪事だったとして
「それを全部見ていながら食い止めなかった」あなたに正義面する資格はあるのかしら?むしろ同罪じゃない?
まあ、何と答えようとする事はひとつ
貴方がオブリビオンで、私のお気に入りのヒーローを壊そうとしたからね!
というわけでここは任せて、シャドウファルコン!

ダーク・ヴェンジャンスを発動して接近戦を挑む
私が傷つく程身体能力が強化されるから、
光の剣に斬られようと構いはしないわ
貴方が壊れるまで好きで好きでたまらないこのキモチをぶつけてあげる!
(この“好き”は憎悪の感情)



「よくぞおっしゃってくださいました、シャドウファルコンさま」
 恐怖を抑え、勇気を以って強敵の前に立ちはだかる少年の下へ、二人の少女が現れた。
 その一人――キャロライン・ブラック(色彩のコレクター・f01443)は、もう大丈夫だと、シャドウファルコンへと笑顔を向ける。
「今の貴方は格好の良い、ヒーローに相応しい姿かと……後はお任せくださいませ」
 その視線は先ほどまであった不安や心配といった表情は無く、彼を一人のヒーローとして認めた尊敬の眼差しだ。
「すまねぇ」
 その言葉を受けたシャドウファルコンは小さく感謝の言葉を述べると、負傷したパンサーマスクを担ぐと、乗客の手を引いて撤退した。

「あーあ、せっかく正義のためにお仕事したのに死罪だって。世も末だな!」
 もう一人――フィランサ・ロセウス(危険な好意・f16445)は鎧姿の男へと語り掛ける。
 口にした言葉は飄々としたものだったが笑う口元に対しその視線は厳しく、シャドウファルコンへと向かう男の視線を遮るように立つ。
 問えば本人は認めないだろうが、シャドウファルコンとすれ違う際に“ここは任せて”と呟いた彼女の行動は、彼らが無事に撤退出来るようにという配慮だろう。
 フィランサは言葉を続ける。
「でもでも、私達のやった事が悪事だったとして……“それを全部見ていながら食い止めなかった”あなたに正義面する資格はあるのかしら?むしろ同罪じゃない?」

 彼女の挑発に対し、男はまるで意に介した様子は無い。
 まるで自分が正しいことを疑う余地が無いかのようだ。
「我が名はレオバルト……あやつらのような紛い物では無く、真のヒーローだ」
 鎧姿の男――レオバルトは大剣をぞんざいに振るうと腕を突き出す。
「貴様らに教えてやろう、 勝者が正義だということを。貴様らの死をもってしてな!」
 瞬間――周囲の空気が爆発した。
 レオバルトが放ったのはテレキネシス……しかし、猟兵達が知るものとは桁違いの強さだ。
 レオバルトを中心にクレーターが出来上がる。
 そしてその爆発は河川敷の石を吹き飛ばし、周囲に甚大な被害を発生させる“はず”だった。

「黄色く、眩く、世界を覆う、イチョウの色。ひらひら踊る、木の葉のように、舞い散る準備はよろしくて?」
 爆発の土煙が晴れた後、現れたのは吹き飛ばされた数多の石を受け止めた黄色い銀杏の葉。
 周囲へ結界を張るかの如く戦場をドーム状に覆っているそれは、キャロラインのユーベルコードによって生み出されたものだ。
 彼女が続けて振るう杖から新たに生み出されたその葉は、身を守るように全身に貼り付いていく。
「貴方は許さない!貴方がオブリビオンで、私のお気に入りのヒーローを壊そうとしたからね!」
 土煙に紛れ、挟み撃つ位置へと移動していたフィランサが駆けだす。
 彼女を覆う漆黒の粘膜は彼女自身の血を吸う度に彼女を強化するユーベルコード――『ダーク・ヴェンジャンス』だ。

「無謀だな……見の程を知れ」
 レオバルトが腕を振るえば、地面の石が光の剣へと姿を変える。
 数えきれないほどに増えた光の剣は滝のようにフィランサへと降り注ぐ。
 光の剣が頬を、肩を、腕を、足を斬り裂く。
 その身の血を吸うほど強化されるフィランサであれど、波状攻撃により先に肉体が限界を迎える……はずだった。
「なっ!」
 首筋へと光の剣を振るいながら勝利を確信していたレオバルトは、気づけば眼前へと肉薄していたフィランサに驚愕する。
「貴方が壊れるまで、好きで好きでたまらないこのキモチをぶつけてあげる!」
 憎悪に瞳を燃やしたフィランサが、巨大なシリンジを振り回す。
 レオバルトが傷つく度に傷を癒す彼女を見つめ、レオバルトは気づいた。
 彼女の全身を覆う粘膜により目立たなかったが、首筋や腹といった急所を守るように黄色い葉が彼女を覆っていることを。

「で、あるならばっ!」
 波状攻撃では無く、一点に力を集中し粉砕する。
 フィランサの脳天を粉砕すべく大剣を振るうレオバルトは――予想外の方向からの衝撃に体を傾けた。
 視線を逸らせば、キャロラインが両手に握った杖をレオバルドへと叩きつけているではないか。
 ダメージは皆無。
 だが、見るからに接近戦を得意としない彼女がこの死合に身を投げることは、どれほどの勇気が必要であろうか。
「貴方は、ヒーローを名乗るのに相応しくありません!」
 そう叫ぶ彼女に対しとっさに拳を振るおうとしたレオバルドは、腹部に鋭い痛みと熱を感じた。
 視線を向ければ、銀色に輝く筒が己が身体を貫いているではないか。
「……ごふっ」
 口から血を吐き出す彼が目にしたのは、己が血に体を染め……嗤う少女であった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

マクベス・メインクーン
ザッフィーロ(f06826)と参加
さっすがヒーロー!良いこと言うじゃねぇか
やっぱヒーローはそうじゃねぇとな!
けど、コイツの相手はオレたち猟兵が引き受けるぜっ

サポートはザッフィーロに任せて攻撃主体でいくぜ
『サラマンダー』から力を借りて魔装銃で炎【属性攻撃】
火球を撃ち出して攻撃するぜ
【フェイント】で攻撃タイミングをずらしながら
【2回攻撃】で畳み掛けにいく

敵のUCで攻撃されたら【オーラ防御】でガードしつつ
やられた振りして【だまし討ち】だ
UCを使用して即座に敵に接敵して【零距離射撃】するぜ
オレはヒーローじゃねぇからな
悪ぃが綺麗な戦いなんてしてやんねぇよ


ザッフィーロ・アドラツィオーネ
マクベスf15930と
ヒーローという物は未だ良く分からぬが良き行いをする者の事を言うのだろう?
己の意思を持ち正しく在らんとする者を助ける事に躊躇わぬわけはないからな
…マクベス、準備はいいか?

俺は後衛にてマクベスのフォローを
『高速詠唱』を唱え【穢れの影】にて敵の足止めをしつつマクベスの攻撃が当たりやすくなるよう立ち回ろう
近づいてきた敵にはメイスにて『範囲攻撃』と『吹き飛ばし』を繰り出し間合いを取ろう
己やマクベス、ヒーローにダメージが大きな攻撃が直撃しそうな場合には『盾受け』と『武器受け』にて『かば』い『カウンター』を繰り出そう
ヒーロー達に怪我はないだろうか?
少しでも助けになれたならば何よりだ




「……マクベス、準備はいいか?」
 乗員救助の最中に爆発音を聞きつけ、援軍へと駆けつけたザッフィーロ・アドラツィオーネ(赦しの指輪・f06826)とマクベス・メインクーン(ツッコミを宿命づけられた少年・f15930)
 既に戦闘へと突入している仲間の猟兵達を確認すると、事態をすぐさま把握し戦場へと飛び込んでいく。
「よっしゃぁ、行くぜぇ!」
 両手に構える魔装銃へと炎の精霊の力を込めるマクベス。
 彼の持つ双銃は赫灼たるオーラを纏い、猛火の如き火球を吐き出した。

「笑止!」
 溢れだす腹部からの出血をサイコキネシスで押さえながらも、火球を避けるべく身を翻すレオバルト――しかし、その足を止めるべく、漆黒の闇が襲い掛かる。
「赦しを求めぬ者には何も出来ぬ……生きる限り纏わり積もる人の子の穢れを今返そう」
 マクベスとタイミングを合わせ、ザッフィーロが素早く放ったのは『穢れの影』
 彼がこれまで聖職者として赦し、その身に溜めてきた人々の罪と穢れが影の手として顕現し、敵の身を拘束せんと蠢く。
「猪口才なっ!」
 再び周囲の無機物を光の剣へと変え、竜巻のように己が周囲へ纏わせるレオバルト。
 足を止めんと纏わるつく影を切り払い、次々と放たれる火球を撃ち落とす。
 高速で放たれ続ける攻撃に慣れ、迎撃が安定して来た頃――迎撃の隙間を縫った一撃がレオバルトを直撃した。
「馬鹿みたいに続けるか、っての!」
 二人のコンビネーションによる連続攻撃が、単調となり続けられたのは隙を生み出す為。
 連続して放たれた攻撃をあえて続けた後にタイミングをずらことにより、フェイントがより効果的となるのだ。
 爆炎と煙が晴れた後に現れた敵は、ダメージが見えるものの未だ健在。
 しかしその目には、当初の余裕と侮蔑は消えていた。

「少々侮っていたようだな……ならば貴様らに、奥の手を見せてやろう」
 大剣を肩に担ぎ、左手を猟兵達へと向ける――その型の名は『修羅剣鬼の構え』
 己が寿命と引き換えに、爆発的な身体能力を発揮する彼の奥の手だ。
 土煙を上げながら高速で移動し、マクベスへと剣を振るう。
 マクベスは咄嗟にオーラの盾を発生させるものの砕かれ、二度、三度と地面に叩きつけられながら後方へと吹き飛ばされていった。
「マクベスッ!」
 追撃せんと駆けだすレオバルトに対し、ザッフィーロがメイスを振るう。
 仕込み鎖が滑り出し、敵をけん制するべく大きく薙ぐ。
 勢いづいた重い一撃は大剣に防がれたものの、大きく後方へと吹き飛ばすことに成功した。

 後方へと吹き飛ばされたレオバルトは、すぐさま地を蹴る。
 大剣が振るわれ、突かれ、薙ぎ払われる。
 まるで小枝かのように素早く、そして複雑に振り回されるその大剣――驚異的膂力により振り回される圧倒的質量が、岩をも砕き鉄をも斬り裂く威力で降りかかる。
 防御に秀でたザッフィーロであろうと、直撃を受ければ無事では済まない。
 しかし彼は……その武器で、そしてその不可視の盾で、決して正面から受けず妙技を以っていなし続けた。
 猟兵でなければ、目で追うことも難しい高速攻撃。
 その猛攻を、ザッフィーロはいなし、牽制を交えることで時間を稼ぎ続ける。

「ちぃっ!」
 負けはしないが、倒しきるには時間がかかる。
 そう判断したレオバルトは、サイコキネシスで上げた土煙を用いてザッフィーロを抜く。
 焦るザッフィーロを尻目に駆けるレオバルト。
 地に伏すマクベスは、未だダメージから立ち直っていない。
 彼を中心に広がる血の池が、その状況が演技では無いことを確信させる。
 殺った!――そう確信したレオバルトが目にしたのは、眼前へと肉薄し、双銃を構えるマクベスだった。
「喰らえェ!」
 精霊の力をその身に宿し、放たれたのは超強化された強力な一撃。
 その一撃が、完全な虚を突き零距離から放たれた。
 鎧が砕かれ、その身を撃ち抜かれたレオバルトが膝をつき、地に伏していく。
 ゆっくりと光を失っていく彼の目は、流血が自身の与えた傷によるものでは無いことに気付いた。

「オレはヒーローじゃねぇからな。悪ぃが綺麗な戦いなんてしてやんねぇよ」

 果たしてその言葉は、彼の耳に届いたのか。
 過去から蘇り、狂ったヒーローは……ゆっくりと呼吸を止めた。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2019年05月12日


挿絵イラスト