ブレイジング・オーシャン
●海底より出でし暴威
青い空。白い雲。
どこまでも果てしなく広がる大海原。
その中心に揺蕩う一隻の帆船があった。
「おーし、網あげろーぃ!」
「大漁大漁ー!!」
甲板で、筋骨隆々の男たちが威勢のいい声を上げながら、側舷から垂らした網を引っ張り上げていく。
漁船だ。
確かな手ごたえと共に上がってくる網の中には、大小さまざまな魚がぴちぴちと水飛沫を撒き散らしている。
「今日はたくさん獲れましたね、先輩」
「あぁ、こんなにも獲れるのは珍しいな」
満足そうに船員が言葉を交わしながら、水槽に今日の成果を放り込んでいく。
手早く、それでいて、傷つけないように慎重に。水槽はすぐに満タン。
今日は大漁だ。船員たちの顔も晴れやかである。
その中で、一人だけ。船長と思しき男の顔は渋かった。
――何かが妙だ。
この辺りは海底火山の影響か、吹き出てくる化合物を求めてプランクトンが多く集まり、その分魚も集まり、漁場として成立している。
だが、それを抜きにしても、今日の漁獲量は『多すぎた』。
……それに。いつもに比べて、波が妙に荒れている。
そのせいで海中がかき回されて、漁獲量が増えた……と言うことは納得できるのだが、その割には風は穏やかだ。
まるで、海中で何かが大きく動いているかのような……。
「……おい、錨を上げろ。帰るぞ」
「えっ?でも次の網が……」
「早くしろ」
首をかしげる船員に有無を言わさず指示を出す。
こういう勘は馬鹿にならない。その船長の判断は正しかったが、同時に少し遅かった。
ずぅん。
足元から、何か重い音がした。
それと同時に、海面が大きく揺らぎ、それにあおられ船が揺れる。
いったい何が。
彼らが事態を飲み込むよりも早く。黒く巨大な何かが、漁船を中心から真っ二つに圧し折った。
衝撃で中空へと投げ出された船長が薄れゆく意識の中で見たものは、真紅の双眸を光らせ、漆黒の翼を広げた――。
●蒼海に炎が奔る
「……ドラゴンです」
アックス&ウィザーズの大海原を自身の後ろに投影させて、シャルロット・クリスティア(ファントム・バレット・f00330)が真剣な顔で告げる。
つられて、周囲の猟兵達の顔も自然と引き締まる。
当然だ。ドラゴンと言えばあの世界で最も有名なオブリビオンの一つと言えるが、それもその『強大さ』ゆえのこと。
生半可な準備で挑める相手ではないのだから。
「予知の情報と照らし合わせたところ、該当のドラゴンは『黒皇竜ディオバルス』と言うもののようです。元は群竜大陸で勇者に倒されたドラゴンの一頭とのこと……強力な炎を操る難敵です。手ごわいですよ」
それでは、と。ここまで説明したシャルが、改めて猟兵達の前に地図を広げてみせて。
「ディオバルスは、現在はアックス&ウィザーズの洋上……海底に潜んでいて、近くを通った船を襲っているようなのです。現在は海域を封鎖して被害を防いでいますが、放置していれば活動範囲を広げない保証はありません」
なので、捕捉した今のうちに叩きます。
そう言うとシャルは改めて猟兵達を見やって。
「ドラゴン討伐と言うことで、近隣の港の警備隊が武装船を数隻貸し出してくれることになりました。現場までは港からその船で向かい、戦闘も基本的には船上で行うことになります。海上での戦闘を想定した専用の船です、いくらドラゴンの攻撃とて、一撃二撃程度で沈むことは流石にない筈ですが……」
それでも、何十発と攻撃を受け続ければその保証はない。後方に救助の船団も控えてくれるらしいが、それを抜いても、広いとは言えない不安定な足場での戦い。
普段とはずいぶん勝手の違う戦いになることは間違いないだろう。
「本来、あの海域は穏やかな海らしいですし、調査の済んだ安全な無人島も幾つかあるらしいです。終わったら船の修理も要るでしょうし、帰る前に少しリフレッシュして行ってもいいかもしれませんね」
なので、その為にも無事の勝利を祈っています。どうか油断の無いようにお願いしますね。
そう言ってシャルは、支度をはじめる猟兵達に敬礼をしてみせた。
ふねこ
海開きにゃーちょっと早いですが。
どうも、実はカナヅチのふねこです。
キマフュな空気を読まずにいつも通りのドラゴン戦ですが、今回はちょっと場所を変えて。
例によって、更新タイミング等の大雑把な目安はマスター自己紹介にも随時書いていこうと思いますので、そちらもよろしければご確認くださいませ。
以下、補足情報になります。今回ちょっと多いです。
第一章第二章共に、船上でのバトルとなります。戦えるなら船を離れてもいいです。
第一章は現場に向かう途中で現れた炎の精霊とのバトル(冒頭若干書き足してからのプレイング描写になります)、第二章で現場に着いてディオバルス戦です。
・武装船について。
洋上戦を想定した戦闘用の船です。普段は帆で動きますが緊急用の魔導動力も積んでいます。
設置式の大砲と大型弩も積んでいます。使いたい方いればどうぞ。
猟兵数人とドラゴンが乗って殴り合いをする程度の広さはあります。敵のアウトレンジから攻撃できるほどは流石にないですが。
参加人数にもよりますが、2,3隻(+後方に描写外の救助部隊。シャルもそっちに乗船してます)を想定しています。こっちで適当に振り分けますので、「○○と一緒の船がいい!」とかでなければ振り分けは気にせず大丈夫です。
途中参加の方は『実は最初から乗ってた』でも『救助船に転送後戦場に移ってきた』でも。
第三章では近くの島で一休みです。
はぐれるといけないので島の奥や泊まっている船よりも沖合に出るのは禁止ですが、それを守っていればフラグメントに拘らず気楽にお過ごしください。
シャルも居るのでご用があれば参上しますが、何もなければ船酔いでダウンしています。
それでは、皆様のご参加お待ちしております。
第1章 集団戦
『炎の精霊』
|
POW : 炎の身体
【燃え盛る身体】が命中した対象にダメージを与えるが、外れても地形【に炎の傷跡が刻まれ】、その上に立つ自身の戦闘力を高める。
SPD : 空駆け
空中をレベル回まで蹴ってジャンプできる。
WIZ : 火喰い
予め【炎や高熱を吸収する】事で、その時間に応じて戦闘力を増強する。ただし動きが見破られやすくなる為当てにくい。
👑11
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴🔴🔴🔴🔴🔴🔴
|
種別『集団戦』のルール
記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
大成功 | 🔵🔵🔵 |
成功 | 🔵🔵🔴 |
苦戦 | 🔵🔴🔴 |
失敗 | 🔴🔴🔴 |
大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
●ざわめく海原
南海を往く、ドラゴン討伐の為に編成された武装船団。
それに乗り込み、甲板に立つ猟兵達の目に映ったその姿は、一面に広がる蒼い蒼い世界の中では異質に映ったことだろう。
陸上哺乳類の姿にも似た、赤々と燃える炎の精霊たち。
ふよふよと海上を揺蕩っていたそれらは、近づいてくる『命』と言う名の熱源を察知すると、あるものは水面を駆け、またあるものは低空を飛び。
その熱をも自らのものにせんと、猟兵達へと飛びかかってくる。
この辺りは、海底に火山が存在するらしい。
詳しいメカニズムは割愛するが、その活動の影響でこの海域は多くの魚が群れるのだそうだ。
今は活動を休止していた筈であったが、これもドラゴンの影響で活性化などしているのであろうか?
……とは言っても、そんな考察をしたところで、現れてしまったものはどうしようもない。
迎え撃ち、文字通り降りかかってくる火の粉を払うまで、である。
スフィーエ・シエルフィート
※アドリブ・連携OK
竜退治、いいねぇ
普段はそういう物語を見る方が好みだけど、偶には張ってみようか
さて、不安定な足場ならば逆に使わないまでさ
オラトリオの翼と、ジャンプと空中戦で飛翔しながら挑もうか
万一飛ばされそうになったら鞭をマストか何かに引っ掛けてロープワークで戻ろう
他に落ちそうになる猟兵クンが居たら鞭で救助活動さ
その上で敵は火を喰うようだね
なら私は氷の精霊銃の早業・クイックドロウ・二回攻撃の氷属性攻撃
ルーンサーベルの風も吹かせて固めてみよう
そうして固めたらここで英雄譚に憧れた少女『聖剣』を発動
サーベルの刀身に超金属の刃を纏わせるように搭載
巨大剣のようにして、一気に薙ぎ払おう
シャイア・アルカミレーウス
船が火事になったら大変なことになっちゃう!燃える前に敵を勇者的に鎮火させてもらうよ!
(pow)
熱を求めて近づいてきた炎の精霊かー。僕の盾、「火山の蓋」で上手いこと誘導できないかな?前の依頼で拾った「炎冠石」っていう炎の魔石を使ってるんだよねこれ。
というわけでタンク役ができないか試してみよう!
火山の蓋と「武器受け・盾受け・かばう」で敵の攻撃をひたすら凌ぐよ!壁してる間に他の人に攻撃してもらおう!
反撃できそうなら【守護者の奇襲逆襲】で逆襲だ!攻撃に合わせて盾に剣を生やして迎撃しよう!
鏡島・嵐
判定:【WIZ】
船の上での戦いか……いくら泳げるっつっても、海に落ちるんは勘弁だな。
正直どんなおっかねえヤツが出てくるんか想像もしたくねえけど……頑張るしかねえよな。
《二十五番目の錫の兵隊》を呼んで前線に突っ込ませて、おれはその後ろから〈援護射撃〉を撃ったり、他の仲間を〈鼓舞〉したりサポートに徹する。
後に大ボスが控えてるわけだし、〈フェイント〉や〈目潰し〉で相手の攻撃を妨害したり、タイミングを狂わせたりして被害を抑えるようにしてえな。
《兵隊》の放つ雷撃はこいつらに吸収されねえかな? 吸収されそうなら雷撃は控えて、銃撃と白兵戦を主体にして戦わせる。
勿論、他の味方とはきちんと連携するぞ。
「竜退治、いいねぇ」
きらきらと照りつける太陽の下、スフィーエ・シエルフィート(愛と混沌のストーリーテラー・f08782)は艶やかな黒髪を潮風になびかせて、思わず笑みをこぼしていた。
普段こそグリモア猟兵として……語り手、あるいは観客として眺めている側だとしても、たまにはこうして張ってみるのも悪くない。
だが、そこに行きつくまでには少々の障害が立ち塞がっているようで。
目の前に広がる、炎、炎、炎。
形も大きさも様々な精霊たちが今まさに船団へと牙を剥いている。
「後に控えてるんだから、あまり被害は出したくないよねぇ」
「そうだね、船が火事になったら大変なことになっちゃう……!」
甲板の中央に立ち、迫る精霊たちを見上げながらシャイア・アルカミレーウス(501番目の勇者?・f00501)が言葉を継ぐ。
元々戦闘用の船、数発の流れ弾程度で炎上するほどヤワではないが、ダメージが追々の戦いに響かないとは限らない。
そしてそれは、相手が強敵であるほどそのわずかな差が決め手になりかねないのだ。
「正直どんなおっかねえヤツが出てくるんか想像もしたくねえけど……」
鏡島・嵐(星読みの渡り鳥・f03812)は、そんな戦場を眺めて溜息を一つ。
いくら泳げるとは言っても、海に落ちるのは好ましくない。
そして、沈められたくなければ……。
「……頑張るしかねえよな」
そもそも船の上で逃げ道などとうに無くなっている。震える身体を奮い立たせて前を見やれば、精霊たちは今にも交戦圏内に飛び込んでくるところ。
「さぁ、来るよ!」
「よーしっ!」
スフィーエの一言に、シャイアがいの一番に飛び出していく。
その左腕に構えるのは、円形の盾……否、鍋の蓋。
いやしかし、ただの蓋と思うなかれ。炎の魔石を取り込み、融合したその蓋は十分に盾としての機能を果たしうる強靭なものだ。
そして、強い炎の魔力を内包するその盾は、熱を求めて近づいてきた炎の精霊にとっては喉から手が出るほど欲しい力に相違あるまい。
シャイアが買って出たのは、タンク役。
つまるところ、敵の攻撃を惹きつけ、受け止める防御担当だ。
その読みは正しかった。
船上で最も強い熱量……シャイア目掛けて、次々と精霊が殺到していく。
回避はしない。することができない。受け流すことすらもできない。
船への被害を最小限に抑えるには、攻撃のすべてを自らの手で押しとどめるほかない。
凌ぐ。
受け止める。
直接的なダメージこそ止められても、次々と押し寄せてくる精霊の熱が肌を炙り、そしてその中で精霊たちは融合するかのように熱量を上げていき、攻撃もより苛烈なものへと変わっていく。
「うわっ!?」
そしてその一撃は、華奢な少女を吹き飛ばすほどの勢いを持ち得、シャイアの身体を宙に舞わせ。
あわや海面へと真っ逆さまかと言うちょうどその時、何かがシャイアの足を掴み取った。
「無事かい?……そら、戻すよ!」
それは、スフィーエの操る鞭だった。
ふわりとオラトリオの翼をはためかせて身体を回し、その遠心力でシャイアを船の上へと放り戻す。
「うわわわっ!?」
シャイア自身もその状況への理解こそ追いついてはいた。
だが、急に吹っ飛ばされてさらに急に戻されてとなって、すぐに受け身が取れれば苦労はしないわけで。
甲板に落着したシャイア目掛けて、再び精霊が飛びかかってくる。
だが、その攻撃を阻むものはあった。
「悪い、待たせた!」
そこに立ちふさがっていたのは、銃剣を手にした何人もの兵士の霊。
シャーマンたる嵐の持つユーベルコード、『二十五番目の錫の兵隊(フェモテューヴェ)』
展開完了。陣形構築。
兵士たちに前線を張らせ、シャイアに体勢を立て直させる隙を生む。
そして、同じ轍を踏まないためのもう一手は空中から。
「火を喰うようなら、これはどうかな?」
撃ち込まれるのは氷の弾丸。
不安定な足場ならば使わなければいいと、早々に空中戦を決め込んだスフィーエからの狙撃。
熱を奪う極低温の精霊力は、炎の精霊には効果覿面だ。目に見えて、精霊の動きが鈍っていく。
「今だ!やれるぞ!」
嵐の操る霊たちから、そこに間髪入れずに叩き込まれる雷撃。
最早虫の息となった精霊はそれでもなお、熱を求めてシャイアへと迫る。
だが、そこまで弱まった攻撃で、充分に体勢の整ったシャイアの守りを抜く力があるわけもなく。
「迂闊な攻撃……」
シールドバッシュ。先の一撃とは真逆に、シャイアの盾が精霊の身体を仰け反らせ……
「……命取りってね!」
返す一撃。
ユーベルコードで盾を組み替えて生み出した刃が、精霊の身体を両断した。
成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴🔴
レッグ・ワート
海なあ。エンパイアで港見たきりだわ。…………サビそう。いやそんなやわじゃないけど。帰ったら洗浄かけるか。
先ずは厄介をどうにかしないとだ。防具改造と同値以下の各耐性を火炎耐性に変換統合。迷彩かけて飛ばしたドローンで敵側の動きや核、熱の情報収集にかかる。誰かしらが消火に動いてくれるならそいつ頼るし守るわ。
大物前に溶けて脆くなるのも困るんで一応鉄骨は複製しておく。そんで常に一本は手持ちにしてぶん殴り、他は浮かせて攻撃受けたり船外へ散らしていきたい。足場希望の奴がいるならそう動かすよ。多少早くても演算で間に合わすように頑張るさ。もし鉄骨が半端に溶けたり割かれた時は、投げたり操作して突き刺すのに使うぜ。
レギーナ・グラッブス
WIZ/船上で戦うのはあまり経験が無いので気を引き締めて参りましょう。今の内に大砲や大型弩の使い方や射角を確認しておきます。何となくですがUDCアース出身の方に見せて貰ったゲームに似た感じな気がします。矢と砲弾の置き場所と数は確認しておきましょう。余裕があるなら一度炎の精霊に使用して感覚を掴みたいところです。その後はジャッジメント・クルセイドを用い、確実に数を減らす事を試みます。火食いをしている個体は動きがわかりやすくなるようですのでじっくり動きを見極めて確実に回避できるよう無理な攻撃は控えます。近づかれたら杖で対処。魔法で強化しているので炎の精霊だろうと殴り倒せます。(他の方との掛け合い可)
がちゃがちゃ、がちゃがちゃ。
「UDCアース出身の方に見せて貰ったゲームに似た感じな気がします」
レギーナ・グラッブス(人形無骨・f03826)が、船に設置された大弩を触っていた。
船上での戦いなど、あまり何度も経験できるようなものではない。
このような固定装備も、身一つで機動力を生かした戦術を採ることが多い猟兵と言う身にしてみれば、見覚えこそあっても実際にそうそう触る機会は巡ってこないものだ。
「いけそうか?」
その横で、レッグ・ワート(脚・f02517)が様子を眺めつつ問いかける。
周囲には、幾つもの鉄骨がふよふよと滞空。レッグの持ち物を複製して、防御用に散らしてあるのである。
「大丈夫です。……そちらこそ、お身体は大丈夫ですか?」
「帰ったら洗浄かけるかー……」
答えるレッグの声はどことなくテンション低かった。
いくら旧式とは言えウォーマシンの身体が潮風でサビるほどヤワではないとは信じたいが、それを抜きにしてもなんだかべたついて気持ち悪かった。
まぁその辺はしばらく我慢するとして。
「先ずは厄介をどうにかしないとだ」
「ですね。一発撃ってみても?」
「あぁ」
他の面々が囮や牽制をやってくれているのと、周囲の鉄骨バリケードを警戒しているのかこちらへの攻めは緩やかだ。
この状況なら、試し撃ちをする程度の余裕ならある。
「3時の方向。……よし。そこから上に二度修正」
レッグが鉄骨に紛れさせて展開させたドローンからの情報を受け取り、情報として処理し、その上でレギーナに指示を出していく。
ガタガタと木の歯車が噛み合う音を響かせながら、レギーナは弩のハンドルを動かし、角度を調節。
精密射撃用に細かいメモリやコンパスは搭載されていた。言われたとおりに調整するのはさほど難しいことでもない。
「目標そのまま。合図したら撃て。…………、…………今」
ガコン。
合図に合わせてレギーナが横のレバーを引くと、張りつめていた弦が解き放たれ、巨大な矢が勢いよく飛ぶ。
緩やかな放物線を描き、風を切って高速で飛翔する矢は、過たず精霊の一体の胴体を正確に貫いていた。
「やはり、照準には少し時間がかかりますね」
ふぅ、と一息ついて手汗を拭うレギーナが言う。
やはり威力はあっても、そこそこ大掛かりな仕掛けである以上小回りはあまり聞かない。
素早く狙いをつけると言うよりも、向こうが照準内に入ってきたところをすかさず撃つような形の方が当てやすいのかもしれない。
調節機構のある弩でこれだ。大砲であったらよりその性質は顕著になってくるであろう。
「よし、慣らしはこれで十分でしょう。あまり前哨戦で無駄弾撃つのもあれですし」
「だな、迎撃と行くか」
次弾の発射準備だけ用意しておいて、レギーナは操作台からぴょんと跳び下りる。
そしてレッグと一つ頷きあって、向かってくる炎の精霊に、二人して指先と鉄骨を向けた。
成功
🔵🔵🔵🔵🔴🔴
バーソロミュー・スケルトン
ガハハハッ!普段は宙の海で暴れとるが、たまには水の海で暴れるのも一興じゃのう!
最初は船に乗っ取るじゃろうが、戦いが始まれば自前のスペースボートで飛び出すじゃろう。
わしのボートなら宇宙でも水上でも同じように軽快にかっ飛ばしてやるわい。
戦闘ではボートで縦横無尽に駆けつつ、クイックドロウで敵を撃ち落としてやるか。
精霊共がわしを熱源と感知するか知らんが、来るなら【零距離射撃】で向かい撃つ、
来ないなら【先制攻撃】で狙い撃つ、どのみち撃ち落とすことには変わらんな。
本番のドラゴン退治が待っとるからのう。
まずは軽く準備運動じゃな。
四軒屋・綴
《アドリブ改変絡み歓迎》
ふーむ……ドラゴンと言えば確かに火山、海底火山という知識がこの世界に広まったことで認識が……
どうでも良いなッ!先ずは火の粉を払うッ!物理的にッ!
先ずはユーベルコードッ!高らかに叫びつつ防御力重視の蒸気機関車系ヒーローに変身だッ!
しかし海か……脚部を改造すれば海上行動が……?まぁ物は試しだなッ!ダメなら大人しくしておこうッ!
何はともあれこちらの生命線は船ッ!両腕に『ジョークアームズ』を装備ッ!『ケムルシューター』と『アッツィーコウル』で弾幕を貼って近寄らせないッ!ついでに味方の援護だッ!
突破してくる敵には思いっきりジャンプッ!ラリアットでお帰り願おうッ!
エルト・ドーントレス
連携・アドリブ歓迎
POW選択
ドラゴン狩りかぁ
こいつから剥ぎ取りとかできるのかな
それも狩った後の話だし、まずは仕事に集中しますか
レッキスならホバー移動できるから海上戦闘も問題なし
もしもの時はUC守護擬精で足元を凍らせればいいだけだし、船に余計な損害を出さないように離れて戦うとしますか
というか水だらけの環境に炎の精霊が出てくるとか自殺行為でしょ
スルーアの流体操作で海水をたたきつけて消火してやろう
それで足りなきゃ海水の一部を凍らせて氷水をプレゼント
相手の攻撃に対しては火炎耐性があるし、追加装甲代わりに氷をまとって防御は万全
心配事があるとすれば、機体が潮まみれになることかなぁ
後始末とか考えたくない…
「ふーむ……ドラゴンと言えば確かに火山、海底火山という知識がこの世界に広まったことで認識が……」
ぶつぶつ。
蒸気機関車を思わせる、黒光りした重厚なボディを波に揺らし、四軒屋・綴(大騒動蒸煙活劇・f08164)は何やら考えに耽っていた。
オブリビオンは過去の記憶の産物。記憶が人によってつくられるのであれば、もしかすれば関連付けやすい場所にオブリビオンが発生しやすくなったりなんたらかんたら。
そんな綴に、大波が襲い掛かる。それはもう、左右からざばーんと。
「ハッハー!若いの、ぼさっとしてると獲物はみーんなわしが獲っちまうぞー!」
「そうそう、まずは仕事に集中集中」
両脇を抜けて、モーターボートのような船とメカニカルなパワードスーツが高速で前線へと向かっていく。
バーソロミュー・スケルトン(ウォーマシンの宇宙海賊・f03437)とエルト・ドーントレス(灰色猟兵・f14009)。
スペースシップワールド出身の二人であった。
「……うむ!細かいことはどうでも良いなッ!」
先ずは火の粉を払うッ!物理的にッ!
頭から被った海水を蒸気機関の熱で水蒸気へと変えながら、綴も二人の後を追う。
あえて武装船から離れ、自身の装備で精霊たちに洋上戦を挑む三人。
彼らのように水上行動が可能であればともかく、一般的には戦場となる武装船は生命線となる。
そうそう後れを取る猟兵達ではないであろうが、そうだとしても被害を受ける可能性は極力減らすに越したことは無い。
「ガハハハッ!普段は宙の海で暴れとるが、たまには水の海で暴れるのも一興じゃのう!」
その中で先陣を切るのは、船……スペースボートと称されるそれを駆るバーソロミューだ。
宇宙海賊も海賊である。縦横無尽に海を駆け抜ける戦いとなれば、テンションも否応なしに上がろうというもの。
そしてウォーマシンの身体と言えど、熱源には違いなく、周囲の精霊たちも先陣を突っ込んでくるバーソロミューに飛びかかっていき、それをカウンター気味に次々と熱線銃で撃ち抜いていく。
一方で残る二人も、装着した強化装備のホバー機構によって海面を走り、交戦圏内へと突入していく。
「……これはこれで波が立って意外と動きづらいなッ!」
「後始末、考えたくないなー……」
気流や戦闘の余波で上下する水面と巻き上がる水飛沫にボディは否応なしに潮水に晒される。
流石に、あまり気分の良いものではない。
「……だけど、それは向こうも同じ。水だらけの環境に炎の精霊が出てくるとか自殺行為でしょ!スルーア!」
だが、エルトはあえて疑似精霊プログラムを用い波をわざと起こし、炎の精霊に叩きつける。
じゅう、と海水が蒸発する音を立てながら、その中を突き抜けて牙を立てに来る精霊を山刀で両断するエルト。
「海水だけじゃ足りないか……」
「熱を奪われて弱体化はするようだがなッ!決定打には足りないのだろうッ!」
その後方で綴が石炭弾の弾幕を張ろうと両腕のガジェットを展開。
船には近づかせない。せめて自分たちの手の届く範囲は。
その決意と共に弾丸の嵐を撃ち放……とうとして。
「……ってことはこの高熱弾撃ったらやばいかなッ!」
「構うこたぁあるめぇ!奴が熱を喰うんだったらそれ以上の熱で喰い返すだけよォ!!」
「だったらいいかッ!!」
海賊船長が即座にゴーサインを出した。
撃ちだされる黒い弾丸が空を埋め、次々と精霊を貫いていく様にエルトはやれやれとため息をついて。
「まぁ、より強いエネルギーをぶつけるのは理に適ってるのかもしれないけど……」
だったら、こっちもより相手のエネルギーを奪うとしますか。
決定だとはなり得ないにしても、ある程度の有用性は見いだせたのだと、再び波を起こし、更に氷の疑似精霊も起動して更なる低温化。
そうやって熱を奪ってしまえば、もう彼らの射撃を止める手立てはない。
洋上を彩る一区画の乱戦は、三機の騎兵によって制圧されつつあった。
成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴🔴
リア・ファル
共闘・アドリブ歓迎
【心情】
ドラゴン退治の前に炎の精霊を退けなきゃね
【行動】
「ディープアイズ起動、対象をチェック開始」
対象の組成を分析、炎の内容を情報収集
内容に合わせて、氷魔法のコードをプログラミング
使えるモノは「コードライブラリ・デッキ」から引き出してソース利用しよう
「…っと完成、名付けて、『見よう見まねの凍結触媒弾(インスタンス・フリーズバレット)』だよ」
セブンカラーズに装填して、射撃開始!
と言ってもボクの腕前じゃ的が小さく早すぎて当らないか…
ならばUC【凪の潮騒】を使用
射手を狙うような危ない奴から止めよう
動きの止まった相手なら当てられる!
「本職程じゃないけど、キミたち相手には有効だろう?」
オリヴィア・ローゼンタール
これが海……すごいですね
川と違って向こう側が見えません
っと、のんびり眺めている暇はありませんね
【トリニティ・エンハンス】【破魔】で槍に聖水の力を纏って攻撃力強化
炎には水が有効……だと思うのですが、海で活動している精霊に通じるでしょうか?
肉弾戦を仕掛けてくるなら、その動きを【見切り】、タイミングを合わせて槍を叩き込む(カウンター)
獣の本能のままに襲い来るなら、動きの先読みは可能です
好きに駆け回られないよう、機動力(ダッシュ・ジャンプ・スライディング)で対抗する
上を取られると厄介ですからね
叩き落します!
聖水の加護(オーラ防御)と【火炎耐性】で防御
炎熱の扱いは心得ています
生半可な火力では通しませんよ
「これが海……すごいですね。川と違って向こう側が見えません」
船の縁に立ち、片手で日光を遮りながらオリヴィア・ローゼンタール(聖槍のクルースニク・f04296)はしげしげと目の前に広がる大海原を眺めていた。
海と言う概念は知っていても、実際に目の当たりにするのと話に聞くだけでは大きな差がある。
目にしたのは初めてなのだろうか、その表情は、そのスケールに何処か圧倒されているようにも見えた。
……だが、のんびり眺めてばかりもいられない。
「……こちらにも来ますね」
「うん、ドラゴン退治の前に炎の精霊を退けなきゃね」
隣に立つリア・ファル(三界の魔術師/トライオーシャン・ナビゲーター・f04685)と頷きあい、前を見据える。
こちらに向けて水面を駆けてくる何体もの炎の精霊たち。
別の船や海上でほかの猟兵達がすでに戦端を開いており、そこまで数が多いわけではないが、だからと言って向かってくるものを無視するわけにはいかない。
「炎には水が有効……だと思うのですが、海で活動している精霊に通じるでしょうか?」
「まったく効かないってわけじゃないと思うけど……」
オリヴィアの問いに、ディスプレイを目元に展開させて相手の組成を観察していたリアがうーんと唸る。
「……やっぱり、普通の炎とは違うみたいだね。水と言うより、低温に弱い感じかも」
「……となれば、やはり正攻法ですね」
有効であれば威力の増強に利用するだけするとして。
やはり基本は強力な一撃で吹き飛ばす。単純だが、これに限る。
オリヴィアが槍を構えるのと、射程圏内にまで近づいてきた精霊が飛びかかってくるのはほぼ同時。
リアを庇うように前に立ち、槍の柄でその牙を受け止め、振り抜いて距離を取らせれば続けて飛びかかってきた二体目をカウンター気味に串刺しにする。
「本能のままに襲い来るなら、動きの先読みは可能です」
その言葉に偽りは無し。
見た目通りの獣の如き俊敏さが相手であろうと、追いつけぬことは無い。
「だーけど、ちょっとボクの腕前じゃ当てづらいかなぁ……!」
一方でリアは、なかなか精霊たちに銃口を向けることが出来ずにいた。
射撃の心得があっても、ゆらゆらと波に揺れる船上で素早く駆け回る相手に狙いをつけるのは流石に難しいのは、致し方のないところではあるだろう。
「……だったら!」
マグナム銃を握る手とは別の、もう片方を翳す。
放たれるのは、共鳴波と呼ばれる空気の振動。
対象に合わせて調節されたそれは、その対象を一時的に『外界から切り離す』。
時間の流れに置き去りにされたかのように動きが止まる精霊。そうなれば、撃ち抜くのに何の問題もない。
「名付けて、『見よう見まねの凍結触媒弾(インスタンス・フリーズバレット)』だよ!」
すかさず、氷魔法を封入した弾丸を叩き込む。
実体の不明瞭な炎を包み込む氷。そこにもう一発入れてしまえば、炎ごと砕き散らす。
「本職程じゃないけど、キミたち相手には有効だろう?」
どうだと自慢気な笑みを作るリアに、オリヴィアも思わず表情を緩め。
「正面はお任せください。炎熱の扱いは心得ています、生半可な火力では通しませんよ」
「おっけー、死角や射手狙いの相手は任せて!」
清涼な水の加護を得た聖槍と、氷の弾丸を封入した銃。
冷え冷えとした二つの牙が、各々に次の獣に狙いを定めた。
成功
🔵🔵🔵🔵🔴🔴
エル・クーゴー
●WIZ
躯体番号L-95
船舶一隻の借用を申請します
加えて操船及び甲板戦闘用の乗組員を配置します
コール、ウイングキャット『マネギ』(羽生やしたデブ猫がマックス165体湧く)
L95式マニピュレーター、展開
【武器改造】フル稼働
船体には衝角(吹き飛ばし)、近距離制圧用側砲門列(一斉発射)、中距離狙撃用旋回砲(スナイパー)、遠距離迫撃用の臼砲(援護射撃)を搭載
加えてマネギ達には海賊ルックを施し操船技術及びふんいきの盤石化を図ります
当機は船首にて電脳世界を展開
海面状況や敵性の展開状況を観測・集約(情報収集)し適宜指示を発します
敵性を排撃すると共、問題海域への航行を開始します
『ワイルドハント号』、ヨーソロ
今回の作戦に用いられている武装船は一隻ではない。
当然だ。参加した猟兵を全員乗せるだけならともかく、その上で戦闘しようというのだ。一隻では狭くてかなわない。
そんなわけで、数隻+船から離れて洋上戦や空中戦を展開する猟兵によって炎の精霊との乱戦が始まっていたわけだが、その中で号砲を響かせるひときわ異彩を放つ船があった。
まず、規格がまったくもって違う。
衝角はともかくとして、側面にびっしり配置された砲門、旋回式の狙撃砲に迫撃臼砲。
明らかにアックス&ウィザーズの船としては仕様がおかしかった。
次に、船首に立つ一人のミレナリィドールの少女。
目元を覆うバイザーに蛍光緑のラインを走らせ、周辺に半透明のディスプレイをいくつも浮かべ、風や波、周囲の熱源情報などを表示させながら、周囲へとテキパキと指示を出していく。
そして、その周囲を駆けまわっている乗組員はと言うと……バンダナを頭に巻いて青白横縞のタンクトップを身に着けた(デブ)猫型ロボットであった。
ついでに言えば船首のミレナリィドール……エル・クーゴー(躯体番号L-95・f04770)も羽根のついた黒いバイコーン帽かぶってた。
「躯体番号L-95。船舶一隻の借用を申請します」
などと出発前に言いだして、適当な中古の船を(経費で)譲り受けて思いっきり武装を増設していた。
「敵性を排撃すると共、問題海域への航行を続行します」
『ワイルドハント号』、ヨーソロ。
淡々としたエルの号令に応えるかのように、これまた黒地に白い髑髏(猫耳付き)が描かれた大きな帆がばさりと風を孕んで音を立てる。
びしりと周囲のマネギ(デブ猫型戦闘兵器の愛称のこと)が敬礼を決め、うんうんと頷くエルの顔は無表情と言って差し支えなかったが、その様子を遠巻きに見ていた猟兵は、なんとなく彼女が楽しそうに見えたとか何とか後に語っていた。
成功
🔵🔵🔴
第2章 ボス戦
『黒皇竜ディオバルス』
|
POW : 黒皇竜の一撃
単純で重い【自身の爪や尻尾】の一撃を叩きつける。直撃地点の周辺地形は破壊される。
SPD : インフェルノ
【口から放つ「地獄の炎」】が命中した対象を燃やす。放たれた【紅蓮の】炎は、延焼分も含め自身が任意に消去可能。
WIZ : カタストロフィ・ノヴァ
【極大規模の球形の大爆発】を放ち、自身からレベルm半径内の全員を高威力で無差別攻撃する。
👑11
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴🔴🔴
|
種別『ボス戦』のルール
記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
大成功 | 🔵🔵🔵 |
成功 | 🔵🔵🔴 |
苦戦 | 🔵🔴🔴 |
失敗 | 🔴🔴🔴 |
大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※このボスの宿敵主は
「ノエル・スカーレット」です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
●黒き皇帝
炎の精霊を退け、船は南海を進んでいく。
天気は良い。青々と空は晴れ渡り、白い雲が自由気ままに流れていく。
上を見ればのどかなものだったが、海面の波だけはそれに反し、もう間もなく来たるであろう戦いを暗示するかのように、不穏に揺らめいていた。
――そして、その時は訪れる。
ぐらりと、船体が大きく傾いだ。
転ぶ者、手近な何かに掴まる者、反応は様々であったが、彼らは一様にそれを見た。
ぼこりと膨れ上がる海面。押し上げられ、ずるずると海面を流れ落ちる他の船。
膨れ上がった海が、弾けるように割れた。
海水が撒き散り、雨のように船に飛沫が降り注ぐ。
「……自ら我が領域に立ち入るか」
音を立てながら蒸発した海水が、靄となって白く立ち込める。
その中心から、ひどく低い――聞くだけでも圧を感じるほどの声がした。
轟。
重い音と共に空気が震え、靄がはじけ飛ぶ。
そこには、漆黒の翼を広げ所々をエメラルド色に輝かせた一体のドラゴンが、猟兵達を見据えていた。
エル・クーゴー
【ワイルドハント】
●POW
撃破目標を目視で確認しました
システム・ダイレクトリンク
ワイルドドライブ_RUN
・『ワイルドハント号』を駆り接敵
・【ワイルドドライブ】の銃砲火器群展開範囲を船体丸ごととして定義、搭載武装及び出力系統を強化(武器改造)
・敵攻撃の起点として「四肢・両翼・尾」の挙動を予め警戒
・一撃後に荒れる波頭やそれによる船体の揺れを常に先読みし操船
・中距離砲撃ざま接近(一斉発射+誘導弾)
・肉薄次第、衝角から突っ込むと共、武装船基本搭載の大型弩を接射(零距離射撃)、物九郎を送り出す
一時的接近に成功しました
>任務完了
帰投に向けた船体の維持の為、当機はこれより回避機動に専心します
マスター、武運を
白斑・物九郎
【ワイルドハント】
●POW
・『ワイルドハント号』に乗ってました
・エルの先読み操船には【野生の勘】で口出しを
・接近が果たされるまで自身は温存の所存
・衝角から突っ込みに行く段階で弩へ取り付き、接射される鏃伝いに竜の身へ直接登らん(ダッシュ+ジャンプ→怪力+クライミング)
俺めのモザイクは、晴れませんでしたけども――
ドラゴンのお手本みたいな威容と威厳、それはそれでなかなか素晴らしかったっスよ
デッドリーナイン、ナンバーナイン!
ワイルドドライブ!
・モザイクを巻き起こしつつ竜の眼窩周辺を足場に立ち回り攻撃を
・竜の視覚を妨げる狙い(目潰し)
・竜へ攻撃を加えた後に海へ落ちようが委細構わず
・是即ち【捨て身の一撃】
四軒屋・綴
《アドリブ絡み改変歓迎》
さてもまぁ、黒き厳に翡翠が覗く、絶景哉……とでも言いたいところだがッ!。
潔く船に陣取るとしようッ!船から打ち上げる分には誤射の可能性もあるまいッ!動き回って船への攻撃を受け止めつつ蒸気機関車型装備で弾幕を貼って味方の援護だッ!……とその前に、錨やら予備の鎖を集め繋げて一本の長い鎖にしておこう、後で使うからな。
敵が船を狙い近づいて来たら例の鎖を思いっきり振り回して敵に巻き付けるッ!そして引き寄せながらユーベルコード発動ッ!引き寄せられるのが俺なのか相手なのかはやってみなければわからないが……少なくとも一泡吹かせられる筈だッ!
「さて、後で怒られなければ良いが……」
バーソロミュー・スケルトン
ガハハハッ!こいつは相手にとって不足なしじゃな。
派手に暴れるぞい。
竜の攻撃で他の船がやられてもまずいしのう。
ここは囮になって攻撃を引き付けてやるか。
嵐纏海賊で雷をまとい、スペースボートの機動力を上げ、
さらに電撃による閃光の目くらましで、敵を翻弄してやろう。
限界を超えた出力はパーツが消耗するんであまり使いたくはないんじゃが、そうも言ってられんじゃろうな。
なに、竜の攻撃だろうが当たらなければ、どうということはないのじゃ。
「さてもまぁ、黒き厳に翡翠が覗く……」
絶景哉絶景哉。
漆黒の威容。禍々しくも力強い、ある種荘厳なその竜を見上げ、四軒屋・綴(大騒動蒸煙活劇・f08164)は腕組みしながらうんうんと頷き……
「……とでも言いたいところだがッ!」
キッと竜の巨体を見上げるその姿は、武装船の甲板上に。
精霊との乱戦ならばともかく、この戦いにおいてはこちらの方が戦い安いと踏んだ。
先手必勝。相手が上空、撃ち上げる分ならば他の船への誤射の心配も無し。
未だ上空に陣取るディオバルス目掛けて、両腕の蒸気機関型ガジェットを向ける。
黒煙弾、赤炭弾、全砲門オープン。――斉射。
濛々と煙を噴き上げながら、甲板上から高熱の弾幕が放たれる。
その巨体が爆煙に包まれる直前、ディオバルスが身構えるのが見えた。
恐らく、そう簡単に有効打とはならないだろう。だが、初手の足止め、それさえ成せれば今はそれで良い。
ばさりと翼をはためかせ、風圧で以て煙を薙ぎ払うディオバルス目掛けて、続けざまに熱線銃と砲弾が叩き込まれていく。
「ガハハハッ!こいつは相手にとって不足なしじゃな!」
「撃破目標への命中を確認しました。引き続き戦闘行動を続行します」
正面に陣取る武装船の両舷、左右から回り込むように突入していく二隻の船。
バーソロミュー・スケルトン(ウォーマシンの宇宙海賊・f03437)が操船するスペースボートと、エル・クーゴー(躯体番号L-95・f04770)が指揮を執る『ワイルドハント』の名を冠した改造船の二艘であった。
「小煩い事を……」
数に任せた弾幕に構わず、ディオバルスはその口を開く。
開かれた口内に、炎が踊るのが遠目にも見えた。
轟。
地獄の業火を思わせる煌々とした炎が撃ち降ろされる。向かう先は、バーソロミューのスペースボートだ。
「はっ!一番小さく御しやすいとでも思ったのだろうがのぅ!」
着弾点に巨大な水柱が上がり、水蒸気が巻き上がる。
それらをまとめて切り裂きながら、スペースボートが波間を駆ける。
自身の身体からエネルギーが供給されたスペースボートは、時折バチバチと不吉な音を立てながら、それでもなお疾走する。
出力の限界を無視した過剰なエネルギー供給。パーツの寿命を容赦なく縮める諸刃の剣だが、彼はそれをおくびにも出すことは無い。
囮になって攻撃を引き付け、翻弄する。
この程度の事でそれを成せるのであれば、直撃を貰うことに比べたら安いものだ。
回避を見て取ったディオバルスは、ならばと身を躍らせ、急降下。
遠隔攻撃で落とせないのならば直接叩き潰す腹積もりなのだろう。
見る見るうちに視界いっぱいに広がってくる黒い巨体。
その先端だけが血を浴びたかのように赤く染まった爪を振りかぶり、スペースボート目掛けて今まさに振り下ろされんとするその瞬間、横合いから何かが飛んだ。
「そうはさせんぞッ!」
それは鎖やら予備の錨やらを繋げて伸ばした、長い長い鎖。その伸びる先には綴が立っている。
一瞬、ディオバルスの腕が止まった。
そして、残る『嵐の王』が、その一瞬を見逃すはずもなかった。
「高度が下がったっスね……エル!」
「了解しました。右舷、全砲門斉射」
弧を描きながら最大船速で距離を狭めていくワイルドハント号。
今の今まで出番と引き換えに体力を温存していた船長(?)、白斑・物九郎(デッドリーナイン・f04631)
の号令のもと、右舷の砲がリズミカルに次々と発射音を轟かせながら火を吹いていく。
「……小癪な真似を……っ!」
「ぬぉぉッ!!」
横っ面からの砲撃を受け、そちらへ振り返りざまにディオバルスが大きく腕を振るう。
じゃらりと腕に巻きつけられた鎖が大きくしなり、綴の身体が宙を舞った。
「構やしませんわ!突っ込め!」
「弩砲、操舵以外のマネギとのデータリンクを中止。余剰リソースを魔力炉の制御に回します」
弧を描き薙ぎ払われる鎖。綴自身が叩きつけられることこそなかったものの、元が重量のあるパーツを在り合わせて作ったものだ。
高速で振り回されるそれは、ワイルドハント号のメインマストを圧し折るには十分な威力を誇る。
だが、それをも物ともせず、その船は水面すれすれをホバリングするディオバルスへと肉薄し……。
「弩砲発射用意。衝角による一撃と同時に発射します。衝撃に備えてください」
装甲罪で補強された船首がディオバルスの横腹を叩き、衝角が撃ち込まれ、それと同時に巨大矢が撃ちだされる。
大質量の衝撃と、矢が肩口を浅く抉っていく一撃に呻くディオバルスの耳元と頭上で、二人分の声がした。
「やってみなければわからないものだったが――」
「俺めのモザイクは、晴れませんでしたけども――」
――一泡吹かせられたようだなッ!
――ドラゴンのお手本みたいな威容と威厳、それはそれでなかなか素晴らしかったっスよ。
鎖の遠心力をもってして頭上を採った綴と、弩砲の一撃に乗って眼前に飛び込んできた物九郎。
狙うは、奇しくも同じ。
それほど体表が頑強であろうと、大半の生物が外界へ露出せねばならない唯一の臓器……すなわち、眼球。
眩く煌めく光刃を振りかぶり落ちる綴。
竜の肩を蹴り、鍵束を握り込んだ左手を振りかぶる物九郎。
二人の一撃が、ディオバルスの左眼を十文字に抉り取った。
成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴🔴🔴
ユナ・アンダーソン
ドラゴン……!
初めて見るけど凄い威容ね
オブリビオンじゃなきゃ話し合いの余地もあったのかな
でも、その余地はない
だから、ちょっと怖いけど退くわけにはいかない
いきましょう
救われぬものに救いを
祈りを捧げながらUCを発動し敵の動きを止めます
さぁ、私に身と心を委ねて
大丈夫、あなたの全てを赦してあげる
私が全て救ってあげる
だから安らかにお眠りなさい
無差別攻撃には範囲攻撃の応用で星者の光(オーラ防御)を広範囲に展開し
他の仲間と船をかばいます
痛みには慣れてる
ちょっとやそっとじゃ膝をついたりしないわ
アドリブで他の方との絡み歓迎
鏡島・嵐
判定:【WIZ】
……ッ! でけえ……なんだよこれ……。
でも、怖がってる場合じゃねえ……戦わねえと……!
(恐怖に呑まれそうな心を立て直すのに必死)
震える声で《大海の姫の恋歌》を起動。全力で味方の皆を治癒させる。
おれ自身も〈援護射撃〉や〈鼓舞〉で他の皆を支援する。
向こうの攻撃は〈フェイント〉や〈目潰し〉でタイミングや方向を狂わせられねえか試す。あんま暴れられて船をめちゃくちゃにされるのも極力避けてぇしな。
あとは〈第六感〉や〈見切り〉で回避。それでも避けられそうにねえなら〈火炎耐性〉で何とか持ちこたえてみせる。
オリヴィア・ローゼンタール
言葉を喋る……相当に高位のドラゴンのようですね
心してかかりましょう
【属性攻撃】で槍に聖なる炎を纏い、地獄の炎に対抗する
【神聖竜王の召喚】で虚空より白き翼の竜王を呼び出す
天来せよ、輝く翼の竜の王――!
船上を駆け巡り、帆柱などをジャンプやクライミングで利用して、空を舞う黒皇竜に迫る
爪や尻尾の一撃を見切り、タイミングを合わせて聖槍を叩き付けて逸らし、足場である船を壊されないように
怪力を以って聖槍を振るい、結晶や鱗を打ち砕く
硬い……!
ですが、我が聖槍に貫けぬものなし!
上空に逃げられないよう、神聖竜王に援護してもらう
爪牙による肉弾戦、地獄の炎や大爆発を破壊のブレスで相殺してもらう
今です! ブレスを!
レッグ・ワート
うっわ、話通りのえぐいのでた。……現役じゃないんだから縄張りも何も無く還ってくれないもんかな。とまれ仕事するか。
武装含めた船の仕様と船員の役割は、現場の海域前に改めて見るし教えて貰っとく。あと、敵の立回りや速度、仲間の位置の情報収集は余波に巻き込まれない程度のひきで飛ばした迷彩ドローンでやる。防具改造での各耐性の火炎耐性への変換も引き続きだ。
竜が出たら、俺は人命や船体のかばいやフォローしつつ支援方。複製した鉄骨を空中操作しての盾や足場の提供、敵の飛行や攻撃見切って妨害にかかるぜ。炎吐く前の口に鉄骨ぶち込んだり最中に数本纏めて頭や首ぶん殴ったり。いけるなら船の武装で撃つに良い誘導も狙いたいトコ。
ディオバルスの咆哮が空気を震わせる。
苦しげに捩った身を戻し、改めて猟兵達を見やるその顔。
潰された片目から黒ずんだ血を伝わせ、睨む残りひとつの紅眼は先以上の怒りの火を内に湛えているように見えた。
「(初めて見るけど凄い威容ね……!)」
ピリピリと、それだけで空気が張り詰め、体表が痺れるような感覚がする。
ユナ・アンダーソン(星骸のスティグマテイカ―・f02647)は、思わず自身の身を強張らせていた。
ただの暴力に留まらない、それを知性で制御するが故の威圧感。ドラゴンと言うのがいかに高位の存在であるかが伺えるようにも思えた。
もしオブリビオンでなかったら、話し合いの余地はあったのだろうか?
そんなことが頭をよぎるが、うぅんと緩く頭を振って。
例えば、少しでもわかりあうような、赦し合うことが出来ようものなら、自らの光を以てその炎を弱めることもできたかもしれない。
だが、そんな余地が存在しない以上、これは余計な考えだ。ただ、退けぬ戦いがそこにあるだけである。
むしろ、その光をこそかの竜は嫌うのか。
口から放たれる獄炎は、彼女も例外なくすべてを飲み込まんと船へと迫る。
「く……っ!!」
手を翳すユナから放たれる光は透明な壁となって炎を阻むが、はじけ飛んだ炎があちこちへと飛び、破片が縁や甲板を抉っていく。
「なんだよ、これ……!?」
「話通りのえぐいのでたな……!」
ユナが最前線で防いだおかげで、後ろに立っていた猟兵達は被害を免れていたものの、その衝撃は空気を通じて伝わるし、そうでなくとも余波を見ればその威力は疑うべくもない。
その様に鏡島・嵐(星読みの渡り鳥・f03812)は身体の震えを止められずにおり、レッグ・ワート(脚・f02517)もまた、表情こそ機械の身体で読み取れないものの、声色は渋い。
勇敢にも、猟兵は力を合わせ一撃を確かに入れてみせた。
だが、こんな強大な敵を相手に本当に勝てるのかと言う感情は、どうしても湧いてくる。
……それでも。
「怖がってる場合じゃねえ……戦わねえと……!」
いくら怖くても、いくら逃げ出したくても、それでも逃げて後悔するよりは。
今すぐにでも帰りたい、逃げ出したい臆病さを無理矢理に押し殺しながら、嵐は立ち続ける。
今、庇ってくれた彼女だって。相当な負荷がかかってもう一発耐えられるかどうかと言うところだろうに、膝をついたりなどしていない。
そんな嵐の意志を引き継ぐかのように、かたりと甲板を踏みしめる脚甲が小さく、しかしながらはっきりとした音を立てた。
オリヴィア・ローゼンタール(聖槍のクルースニク・f04296)。
邪を払う炎の徒が、聖槍を手に歩み出る。
「あまり何発もは受けていられなさそうですしね。打って出ます」
「あいよ。……となれば、とりま俺は支援に回るかね」
「えぇ。心してまいりましょう」
槍を構えるオリヴィアを見、レッグが申し出れば肩越しに頷きを返して。
「――ごちゃごちゃとッ!」
ディオバルスが身体を翻し、尾を薙ぐ。
鋭利な甲殻に覆われた尾が、甲板に幾重もの傷をつけながら猟兵へと迫る。
「伏せろっ!」
到底防ぎきれるものではない。恐怖で身体が強張っている嵐や、先の一撃で疲弊したユナでは回避もままならないのは目に見えている。
炎の精霊との闘いの時から周囲に巡らせていたレッグの鉄骨が飛ぶ。
そんなもので正面から受け止められるとは端から思っていない。
だがほんの少し。ジャンプ台さながらに受け流して浮かせる程度の事は不可能ではない。
猟兵達の頭上を黒い尾が通り過ぎる。
その瞬間には、オリヴィアが飛び出していた。
船の舳先へと真っ直ぐに駆け、跳躍。金色の槍の穂先に炎を纏わせ、勇躍する。
同じ炎なれど、地獄の火とは性質を真逆にする破邪の聖炎。
ディオバルスの返す一撃の裏拳とオリヴィアの槍が打ち合う。
ミシリ。
穂先が食い込み、ディオバルスの甲殻がひび割れる音がした。
パラパラと破片をこぼしながらも、人の身と竜の身体とでは質量そのものが絶対的に違う。
いくら怪力を誇れども、人の身に過ぎないオリヴィアの身体が弾き飛ばされ、宙を舞い……くるりと身を翻し、その先にあったレッグの鉄骨に降り立った。
各々の猟兵の位置はリアルタイムで把握している。その先に足場として鉄骨を移動させることは、彼の演算能力をもってすれば十分に可能だ。
「硬い……!流石に言葉を解するほどの高位のドラゴン、と言ったところですか……!」
その一撃の重みたるや相当のものだ。しかし、そんなオリヴィアを後押しするかのように、どこか哀しくも澄んだ歌声が聞こえてくる。
「大丈夫だ……!俺だって、戦える……!」
その声の主は、嵐に寄りそう人魚のもの。
震えながらも主の召喚に応じた人魚の歌声は、儚い泡沫のように痛みを彼方へ運び去る魔性のもの。
そして、ユナの光弾に嵐のスリング弾、レッグの鉄骨が次々と飛び、ディオバルスの追撃を許さない。
――大丈夫、まだ十分に戦える。
支援を受け、立ち上がるオリヴィア。
「小癪な……ッ!」
忌々しげに吐き捨てたディオバルスの口の奥で、再び地獄の炎が揺らめいているのが見えた。
だが、今度は猟兵側にも次の一手があった。
「天来せよ、輝く翼の竜の王――!」
オリヴィアが槍を掲げたその先。雲を引き裂いて上空より来たる白い影があった。
その影は、今まさに炎を吐き付けんと口を開いた黒竜を横合いから弾き飛ばし、その姿をはっきりと視認させる。
それは純白の、ディオバルスの姿とはまさに対照的な竜の霊であった。
「人間風情が、竜の力を使役するなどと――!」
「破壊の吐息で邪悪を打ち砕け――!」
射線に立ちふさがる白竜ごと焼き尽くすべく、ディオバルスが火を放つ。
相対するオリヴィアの白竜もまた、その口から熱線の如き一撃を放ち、撃ち合った一撃が轟音と共に爆発を巻き起こした。
波が立ち、空気が震え、爆煙が一帯を覆い尽くす。
煙が晴れた時には、ディオバルスは力尽き消えてゆく白竜の姿を見た。
だがその奥には、未だに猟兵の船が確りとそこに在った。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
リア・ファル
アドリブ・共闘歓迎
これがドラゴン…!
なるほど、幻想生物の権能を色々学ぶところがありそうだね
なんて強烈な一撃なんだ
船上だけで相手をしていたら危険だね
被害を最小限にするためにも、空中戦も仕掛けようか
此方を狙ってくれればしめたものさ
熱感知でブレスの気配があれば周囲に注意喚起
海に落ちそうな猟兵が居れば、アンカーやイルダーナで救助しよう
相手の「情報収集」がボクの基本戦術
翼、尾の付け根、眼球、頭部、口内など、
相手の柔らかい部位を算出
グラヴィティ・アンカーや麻痺弾などで動きを阻害していく
チャンスにはUC【天空を舞う星】を使用、
死角から頭部に高速機動で一撃離脱攻撃を重ねる
「フィールドによる体当たりだ!」
スフィーエ・シエルフィート
※アドリブ・連携オールOk
真の姿ねぇ…翼が烈しい金色に輝くぐらいかな
それはそれとして、これがドラゴンって奴か
柄にもなく武者震いだ。下手すりゃちびりそうだね
でも、物語って奴は最後に英雄が勝つモノと相場が決まってるからね
さて、まずはその目ん玉狙って炎の精霊銃を
開いた口を冷やすために氷の精霊銃を、それぞれスナイパーして連射してあげようか
怒って爪や尾を振るってきたら上等、来なかったら挑発さ
「You Scared(ビビってるぅ)?」
そして敢て(オーラ防御はしとくけど)攻撃を受けて追い詰められてみよう
そこで英雄譚に憧れた少女『逆転』を発動!
増大したパワーで跳躍し、脳天にサーベルで兜割を決めてあげよう
エルト・ドーントレス
連携・アドリブ歓迎
POW選択
ドラゴンの強みはその巨体に違わぬ頑強さと生命力
分厚い鱗をぶち破らないとろくにダメージも通らなそうだ
だったらこのヒールバンカーの出番かな
戦術としてはUC電撃進攻を使ったヒット&アウェイ
牽制射撃で攻撃を誘い、それを空中戦を駆使して掻い潜った後にヒールバンカーを撃ち込んで離脱
これを繰り返す
必要な電気エネルギーは雑魚との戦闘中にジェネレーターの余剰分を増幅してため込んでたのを使う
UC守護擬精の最後の一体アウロラはこの為に使ってたってわけ
あっちからしてみればうるさい羽虫に纏わりつかれてる気分なんだろうけど、いつまでそうやって偉そうにふんぞり返っていられるのかな
レギーナ・グラッブス
SPD/皆様と協力して竜の撃破を目指します。強敵でしょうが力を合せればきっと倒せるでしょう。とにかく動き回って直撃を避ける様に立ち回ります。海水を汲んだ桶を用意しておき甲板が延焼したら消火し船の破壊を防ぎます。可能なら炎を吐く直前に猿轡を使って自爆を狙ってみましょう。あとは一か所に立ち止まらずに動き回って大型弩や大砲に弾を充填しつつ、射程に入ったら発射します。他の方に攻撃するタイミングで邪魔したり、狙えるなら口の中とか狙ってみましょう。もし船が耐えられそうなら弩と船に結んだ拘束ロープで動きを止められそうか試してみましょう。他の方が攻撃するチャンスを作れれば儲けものです。(他の方との掛け合い可)
シャイア・アルカミレーウス
我が領域も何も海は誰のものでもないよ!船を襲ったことを反省させたげるからね!
(pow)真の姿を開放
ドラゴンが相手だ!全力で挑もう!
「全力魔法・力溜め」に真の力の開放を上乗せした【魔術師の咆哮】をぶつけるよ!動けなくなるくらい全力全霊全開放で行こう!
チャージ中は動けないから事前に魔力弾で「目潰し」か他の猟兵くんに協力をお願いしよう!
うぼぁー全部絞り出したよ動けない動きたくない……
※アドリブ・連携OK
ぐらり。船体が大きく傾いたのは、波のせいだ。決して船が沈む前兆ではない。
まだ、猟兵達は沈まない。
目に見えて小さな生命体たち。それらが乗るちっぽけな船の一つ二つをどうして今だ沈めることができないのか。
ディオバルスは苛立ちを募らせていた。
「我が領域を侵す不心得者が、よくも足掻く……!」
「我が領域も何も、海は誰のものでもないよ!」
シャイア・アルカミレーウス(501番目の勇者?・f00501)が言い返すが、それはこの世界に住む人間の理屈なのだろう。
竜種たるディオバルス……それも、過去から滲み出て今を浸食するオブリビオンと言う存在にとってすれば、それは果たして当てはまるものなのだろうか。
そうだとするならば……いや、そうだとしても。
『人』として、勇者として、やるべきことはただ一つ。
「船を襲ったことを反省させたげるからね!」
「頭に乗るなッ!!」
剣先を突き付けられたディオバルスが咆哮する。
ただそれだけの音の圧が、波を立てて船を揺らす。
「これがドラゴン…!なるほど、幻想生物の権能を色々学ぶところがありそうだね」
「柄にもなく武者震いだ。下手すりゃちびりそうだね」
スペースシップワールドの改造戦闘機『イルダーナ』を駆るリア・ファル(三界の魔術師/トライオーシャン・ナビゲーター・f04685)と、その翼を眩い金色に輝かせたスフィーエ・シエルフィート(愛と混沌のストーリーテラー・f08782)が思うままに感想をこぼす。
強敵であるという認識は誰もが共通で、事実その通りであることには疑いようがない。
しかし、勝てないかと問われれば、NOだ。
「強敵でしょうが、力を合せればきっと倒せるでしょう」
弩砲に矢弾を込めながらレギーナ・グラッブス(人形無骨・f03826)が呟く。
そう、決して勝てない相手ではない。
互いを補い合い、協力し合えば必ず勝てる。そう言う確信があった。
「ドラゴンの強みはその巨体に違わぬ頑強さと生命力……分厚い鱗をぶち破らないとろくにダメージも通らなそうだ」
「相手の「情報収集」がボクの基本戦術。任せといて!」
パワードスーツ『レッキス』を飛翔させディオバルスに迫るエルト・ドーントレス(灰色猟兵・f14009)に、リアが親指を上げてみせる。
スフィーエのような翼を持たぬ二人であるが、方や歪曲力場で機体ごと覆うことで、方や雷の疑似精霊による高出力を以てして、鋼鉄の相棒を飛翔させて空中戦に挑む。
空を駆け、ディオバルスと空中で相対する三人。
そして、船上からはレギーナが操作する弩からの巨大矢が飛ぶ。
射程内。それでも、巨体と言えど決して鈍重ではないディオバルスにとってすれば回避するのは決して難しいことではない。
再装填に時間がかかり、攻撃頻度の低い兵器であれば猶の事。
バレルロールさながらに身を翻し、矢が空を切っていく。
「ち……っ!」
レギーナの舌打ちが聞こえたわけではない。だが、その一撃を皮切りに応酬はにわかに激しさを増す。
接近を狙うスフィーエ目掛けてディオバルスの爪が唸り、それを交わした間隙にエルトのビームライフルが火を吹く。
ディオバルスが宙返りで火線から逃れれば、間髪を入れずにリアからアンカーショットが放たれさらに身を翻し、お返しと言わんばかりに薙ぎ払われる尻尾が猟兵達を引き剥がす。
「組成算出完了!データ・リンク!」
「OK、受け取った」
その間に宣言通りディオバルスをスキャニングしていたリアからの情報がエルトのパワードスーツにも送られてくる。
バイザーに重ねて表示されるそれは、言ってしまえば装甲圧……甲殻の薄い場所、柔らかい場所を示したものだ。
眼球、間接、内腿、翼膜……。頑強な甲殻を闇雲に攻撃しても効果は薄い。それが故に。
残ったディオバルスの眼を目掛けてスフィーエの精霊銃が吼える。
すでに片方の視力を失っている竜にとっては無視のできない一撃。その一撃に乗じ、リアとエルトが死角へ回り込んで、下方からディオバルスの四肢の内側へと飛び込んでいく。
無論、死角であり急所であるねらい目はディオバルス自身も理解しているようで、警戒は当然のようにされる。
苛立たしげに翼膜を羽ばたかせ身をよじり振り払う。そして迂闊に動きを止めようものなら、即座にレギーナの砲撃が襲う。
「羽虫共が……っ!」
「あぁ、羽虫だろうさ」
エルトが踵に装備されていたバンカーを、ディオバルスに蹴り込みざまに叩きつけつつ、笑う。
その一撃は打点をずらされ、甲殻を穿つには至らないが、防御に動作を割かせた。
積りに積もっていくディオバルスの苛立ちは、やがてついに頂点へと達する。
「貴様等ァァァァァァッ!!!!」
そこで狙いを周囲の『羽虫』でなく『船』に向けたのは、この竜が怒れてもなお悪辣であったからか。
すぐに防ぐ手立ては無かった。咄嗟に動こうにも、船上からも空中からも阻害の手は間に合わない。
ただ一人、その射線に自ら飛び込んでいったスフィーエを除いて。
空中で爆発が起こる。
はじけ飛び、散り散りになった小さな火の弾があれあられと水面と船を叩く。
「おい……っ!」
「……いや、大丈夫!船もスフィーエさんも!」
濛々と吹き上がる煙で視界がふさがれる中、それでもリアのセンサーはその奥の仲間がみな無事であるという事実を、確かに掴んで見せていた。
「……お楽しみの時間だよ、諸君」
さぁ、演じようか。追い詰められた英雄の華麗なる逆転劇をね――!
煙を裂き、黄金の翼が飛翔する。
ボロボロになりながらも、それでもなお強気な笑みを決して崩さないスフィーエの姿が、ディオバルスの顔に影を落とす。
急降下。一撃。
竜と比較してあまりにも小さなその身体のどこにそんな力があったのか。
サーベルの一撃が、顔を庇ったディオバルスの腕の甲殻を砕き割り、その上体を仰け反らせる。
「……偉そうにふんぞり返っていられる時間は終わりみたいだな」
勝った。
確信したエルトのつぶやきを肯定するかのように、船からもう一撃、矢が飛んだ。
頑強なロープでつながれた、拘束用の弩弾。
人の身ならまだしも、相応に頑強に設計された武装船に固定された弩からのそれは、一度捕まってしまえばそう簡単に振り払えるものではない。
ましてや、万全の状態ならともかく、傷つき体勢を崩した状態でどうして避けられようものか。
「捕まえました。……今ですよ」
「おっけー、任せといて!」
拘束という最大の仕事を成し、発射台から降りるレギーナが声をかけたのは、甲板の中央に陣取るシャイアであった。
両手に構えた剣先を真っ直ぐにディオバルスへと向け、紅の翼を太陽の下で輝かせながらしっかりと両足を踏みしめる。
パキリ、パキリと音を立てながら手先足先から蛇鱗が生じ、真っ直ぐに見据える金色の瞳は、真の力を解放した証。
見栄を切っておきながら今の今まで戦いに参加していなかったのは、すべてこの一撃のため。
掛け値なし。正真正銘、全力全霊全開放。
「魔術師の咆哮(ウィザードリィ・ブラストマギア)――!!!」
まるで大砲……いや、それすらも軽く凌駕しかねないほどの轟音を立て、限界まで圧縮、濃縮された魔力弾が剣先から撃ち出される。
目が眩むほどの輝きを放ちながら打ち上がるそれは、まるでもう一つ太陽が現出したかのよう。
身動きのできないディオバルスの腹へ、過たず。
その瞬間、一帯を光が包み込み、誰もが目を閉じた。
爆音、衝撃。そしてしばらく後の静寂。
すべての力を出し尽くし、その場で仰向けに大の字で倒れ込んだシャイアが目を開けた時に眼前に広がっていたのは、呑気に海を照りつける太陽と抜けるような青空。そして空で勝鬨を上げる幾人かの猟兵の姿だった。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
第3章 日常
『ボムって!ウォーターバトル!』
|
POW : 肉体や気合を駆使して遊ぶ!
SPD : 速さや技量を駆使して遊ぶ!
WIZ : 魔力や賢さを駆使して遊ぶ!
👑5
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴
|
種別『日常』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
大成功 | 🔵🔵🔵 |
成功 | 🔵🔵🔴 |
苦戦 | 🔵🔴🔴 |
失敗 | 🔴🔴🔴 |
大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
●うみはひろいなおおきいな
激闘を終えた猟兵達は、戦場近くの無人島の浜辺へと降り立っていた。
この辺りの海は漁場としても使われている都合上、周辺の調査も行き渡っている。
島に危険が無いのは確認済み。
無事に一隻の損失も出さずに作戦を終えたのは良いが、それでも船は無傷と言うわけにはいかない。
そこで、沖で水夫たちが応急修理を行っている間、功労者である猟兵はしばしの自由時間を与えられた、と言うわけである。
念のために木々の奥や停泊している武装船より沖合に行くのは避けるべきであろうが、目に見える範囲内でどう過ごすかは各々の自由だろう。何なら、上陸に使った小型のボートも必要なら使っても良い。
そんな浜辺から見える木々にはバスケットボール大の大きな実が生っていた。
水夫の一人が言うには、その実の中には大量の水が蓄えられており、衝撃を受けると破裂して水と一緒に種を撒き散らす。
なんでも、水辺に生えるその木の実をぶつけ合う、などというお祭りも地方によっては催されるのだとか。
お祭りの時期とは少し外れるが、そうした遊びに興じてみるのもまた一興だろう。
鏡島・嵐
ふぅ、なんとか無事に終わったな。
骨休めさせてもらえるなら、海で遊ぼう。
この辺は漁場にもなってるって話だし、せっかくだからボートを一隻借りて、入り江の辺りで泳ぐんを兼ねて素潜りでもしてみるか。
あんまり経験は無ぇけど、〈水泳〉と〈野生の勘〉を活かせばそれなりに様にはなる、と思う。
食うつもりは無ぇけど、面白い魚でも捕まえられればいいな。
……うん、やっぱ海はいいな。見てるだけで心が躍る。
レギーナ・グラッブス
無事討伐成功した事ですし、のんびり過ごすとしましょう。杖の先に仕掛けを付けた糸をつけてのんびり空と海を眺めながら釣りをしています。餌はその辺りの岩をひっくり返せば虫なり蟹なり何か見つかるでしょう。釣れたら嬉しいですが釣れなくても素晴らしい景色を楽しめれば十分です。山に籠る事が多いので海に行く事は少ないですから。きっと陽射しと潮風が心地よいでしょう。ちなみに素材的に錆びる事は無いので大丈夫です。食べられそうな魚が釣れたら串に刺して火を熾し塩焼きにしましょう。万が一、治療が必要な方がいるのであれば回復光か手持ちの薬で手当てをします。折角の機会に楽しめないのは残念でしょうから(他の方との掛け合い可)
視界いっぱいに広がる、透き通った蒼の世界。
時折、自身の呼気の泡が視界を横切るのを見て取りながら、鏡島・嵐(星読みの渡り鳥・f03812)は海中を満喫していた。
漁場にもなるというこの海域。流石に泳いでいるだけでは栄養のほどはわからないが、多種多様な魚介が自由気ままに泳ぎ回っている様は、豊かな生態系を感じさせるには十分だ。
特に嵐が今泳いでいる入り江は、海流も穏やかで流される心配もほぼ無く、ダイビングを楽しむ分にも都合がいい。
先ほどまで燃え盛る炎の精霊やらこれまた燃え盛る炎を操る巨大なドラゴンとの戦闘で神経をすり減らしていたのだ。
色鮮やかな海中の世界は、見ているだけでも心が躍り、癒されていくのを感じる。
捕まえようとすると器用にひょいひょいとすり抜けていく魚に苦笑しつつも、せっかくなので海底で貝をいくつか拝借していきつつ海面に戻れば、近くで揺れているボートの上から、レギーナ・グラッブス(人形無骨・f03826)が手を振っているのが見えた。
「どうですか、成果は?」
「流石に魚を取るのは難しいかなー」
ボートの縁に腕を引っ掛けて体重を預けつつ、嵐はボートの上に貝を放り、レギーナがそれを拾って海水を満たしたバケツの中に入れていく。
その中には魚も数匹泳いでいた。
「釣ったのか?」
「えぇ、後で貝も一緒に塩焼きでもしましょうか」
食うつもりはなかったけど、食べられるんかね?
どうでしょうね、後で水夫さんにでも聞いてみましょう。
そんな他愛ない会話を紡ぎながら、緩やかな波のうねりに身を任せてゆらゆら。
「……あ、駄目ですね。バレちゃいました」
不意にレギーナがそう言って釣り糸を巻き上げれば、そこにあったのは何もついていない釣り針。
もう一個のバケツに入れてあった(入り江の岩をひっくり返したらいっぱいいた)水棲の虫を針に刺して、もう一度海面に放り込む。
「それじゃ、俺はもうひと潜りしてくるわ」
「はい。しばらくここで釣っていますので、ごゆっくりどうぞ」
釣り糸とは反対側の海中に消えていく嵐を見送って、レギーナは空を見上げる。
眩しいほどの日差しの熱と、海の香りを孕んだ涼やかな風のバランスが肌に心地いい。
それなりに釣果があるのも嬉しいことだが、仮にそうでなかったとしても、普段山にこもることが多い身の上としては、五感で感じる海の景色そのものが新鮮で代え難いものに感じられた。
何人か錆とか心配している猟兵も見受けられたが、その心配のない自身の身体の構造にちょっと感謝……していたところで。
「……おや」
手にしていた釣竿が急に重くなる。
何か掛かったか。レギーナは釣竿を握る手に力を込め直した。
成功
🔵🔵🔵🔵🔴🔴
エルト・ドーントレス
連携・アドリブ歓迎
WIZ選択
何、この実?
乾燥とかに対応するために水分をため込む植物があるって話は聞いたことあるけど、これもその類なのかな
この世界なら航海中の水源として重宝するかも…って、破裂するんじゃ輸送するのは無理か…
でも氷漬けにすればワンチャンあるかもだし、船酔いでダウンしてる人とかに差し入れ名目で持って行ってみるかな
投げ合って遊ばないのかって?
まだ水かぶって涼むような季節でもないし、俺は遠慮しとくよ
それよか、木陰にハンモックでもかけてだらけてるほうがいいや
休めるときに休んどかなきゃ体持たないしね
オリヴィア・ローゼンタール
撃沈なし、いい成果ですね
さて、先ほどは見物している時間もありませんでしたが……
グリーブとストッキングを脱いで、波打ち際に足を浸して海を眺めます
眺めは雄大、冷たい海水が戦闘で火照った身体に気持ちいいです
泳いでみたい気分になりますが、この服では……いつかのお楽しみに取っておきましょうか
木の実投げをしていれば混ぜてもらいましょう
投擲は得意分野です
槍投げの要領で……あら? 力を入れすぎて投げる前に破裂……
適度に力を抜いて、着弾させられるように……っと、いい感じです
当てたり当てられたりして遊びます
リア・ファル
アドレブ・共闘歓迎
武装船やディオバルスのデータも解析整理終了っと
何していようかな?
木の実をぶつけ合うバトル?
へえ、面白そうだね、やってみようか
『シーズナルレイヤー』の早着替えで、レイヤー変更!
白のビキニパレオに!
タッグとかも面白そうだね、
シャルちゃんとか誰か居れば誘ってみようかな?
回避型前衛のつもりで動こうか
相変わらず相手の動きを学習、コース演算など実行して
回避、甘いボールは柔らかく正面で受け止める
チャンスがあれば、フェイントからのパスで
アタックを任せよう
楽しかったね、何か飲むかい?
食べ物もあるよ、お代は…頂くけどね!
四軒屋・綴
《アドリブ絡み改変歓迎》
……ドッセイッ!(何も考えず例の木に突っ張り)
グワーッ!!(そのまま落ちる木の実に巻き込まれて自爆。)
ふーむ、つまりこう、水分を溜めておくことで発芽までの水分を補える様になっているのだろうか……?
まぁとりあえず投げたり投げられたりすれば良いのだろうッ!適当に拾って投げるッ!そして受け止めら……れなグワーッ!!?
……そういえば鎖とかの件は謝っておいた方が良いのだろうか……いや、俺としてもあれはこう最適解として頑張ったわけではいすいませんでした手伝いますUCでッ!ついでにあの木の実について何か知ってたら教えて欲しいッ!やはり航海の間の水分補給的な使い方とかあるのかッ!?
岩場に腰掛けて、ささやかに打ち付ける波に脚を浸していると、激闘で火照った身体に気持ちいい。
ともに死線を潜った脚甲も今はお役御免。オリヴィア・ローゼンタール(聖槍のクルースニク・f04296)は、のんびりと雄大な海原を眺めていた。
視線の先には、数隻の武装船が佇んで、傷ついた船体を直しているところだ。
ダメージこそ受けているものの、視界に入ってくる船の数は、出発時と変わりなく。
撃沈ゼロ。戦果としては十二分と言って良いだろう。
水着でもあれば泳ぎたい気分だったのだが……と、少々勿体ない気分に浸っていたら。
「グワーッ!!」
何の前触れもなく、オリヴィアの背後から何かがぶつかるような大きな音と男の悲鳴。
トラブルかと表情を引き締めて振り返ってみれば。
「……綴さん?」
「うむ」
そこにいたのは、頭からびっしょり水浸しになった四軒屋・綴(大騒動蒸煙活劇・f08164)であった。
「何をしていたんですか?」
「いやなに、水夫さんに鎖とかの件を謝ったときに、『面白い木の実がある』と言う話を聞いてなッ!」
試しに幹にドスコイしてみたらこのザマだッ!とのこと。
ツッパリの振動で落ちた木の実が頭に直撃したらしい。
騒ぎを聞きつけてやってきたエルト・ドーントレス(灰色猟兵・f14009)とリア・ファル(三界の魔術師/トライオーシャン・ナビゲーター・f04685)も混ざって、その実を覗き込んでみる。
「……何、この実?」
「中に大量の水分が入ってて、衝撃を受けると破裂するんだって」
「ふーん……」
乾燥とかに対応するために水分をため込む植物があるという話は時々耳にすることがある。
もしかしたら、これもその類の一種なのかもしれない。
「つまりこう、水分を溜めておくことで発芽までの水分を補える様になっているのだろうか……?」
「種が干からびないようにしてるのかねぇ」
破裂した残骸を手に取ってまじまじと観察する綴とエルト。
異世界の生態系と言うものには、やはり多かれ少なかれ興味を惹かれるものなんだろうか。
そして、それを用いた特有の遊びとくれば……。
「へえ、面白そうだね、やってみようか!」
リアがいの一番に声をあげて、腕を挙げてくるりと身を翻してみれば、その姿は一瞬にして白のビキニパレオ姿に。
さすがはバーチャルキャラクター。データの書き換えで着替えも簡単。
「まぁとりあえず投げたり投げられたりすれば良いのだろうッ!任せろッ!」
「では、私も混ぜてもらいましょう」
綴とオリヴィアもそれに続いてそれぞれ木の実を手に取り始め。
「じゃあタッグでもやる?」
「あー……俺は遠慮しとくよ」
一方でエルトは辞退。ちょっと残念そうなリア。
とは言え、休めるときに休んどかなきゃ体持たないしねと言うエルトの主張も理解はできる。
精神的なリフレッシュも大事だが肉体的にも適度な休息は必要だ。無理強いすることはできない。
「それじゃあシャルちゃんでも誘って……」
「……それも無理そうだよ」
ほら、と親指で示すエルト。その先を見るリア。
……件のグリモア猟兵は、岩陰で口から虹色のモザイクを垂れ流していた。
「……あらー」
「ちょうど水ならあるし、差し入れ持って行っとくよ。皆で遊んでて」
「だったら二人でチームを組むと良い!俺が相手をしてやろうッ!」
エルトの言葉に甘えることにしつつ、ビシィ!とオリヴィアとリアに指を突き付ける綴。
「だったらボクは前衛やる!」
「では私は後衛に。投擲なら得意分野ですよ」
綴と向かい合うように陣形を組む女性陣。
ではさっそくと、槍投げにも似たフォームでオリヴィアが木の実手にした腕を振りかぶり……。
――ぱぁん!
「…………」
「……だ、大丈夫……?」
投げる前に手元で破裂した。どうも掴んだ手に力を込めすぎたらしい。
普段重宝する怪力技能がこんなところで仇になるとは。
「な、なかなか難しいですね……」
「だったら俺が手本を見せてやろう!」
眼鏡についた水を拭き取るオリヴィアに、綴が投擲。ちゃんと拭いて再装着するまで待っているあたり紳士。
「それはちょーっと甘いんじゃない?」
力を加減し過ぎたのか、ふわりと放物線を描く木の実を、リアが割り込んでキャッチ。
そして即座に反撃――と見せかけて。
「パス!」
「お任せくださいっ」
身を翻してオリヴィアにパス。
オリヴィアとて同じ轍は踏まず、今度こそ綴目掛けてアタック!
「グワーーッ!!?」
そんな綴の悲鳴と女性陣の笑い声を背中で聞きながら、エルトは手元の木の実に視線を落とす。
「破裂するんじゃ輸送するのは無理そうだよなぁ……」
航海中の水源として重宝しそうなものだが、活用しているのだとしたら、この世界の人はどのようにしているのだろうか?
「氷漬けにすればワンチャンあるかもだけど」
後で誰かに聞いてみるか、そんな事を思った。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
スフィーエ・シエルフィート
ああ、終わったよ
中々にしんどかったが、偶には気持ちいいものさ
さて南の島ならこれだ
ココナッツジュース!
木になっているのを鞭のロープワークで採ってから、くり抜いて飲もう
のんびり浜辺で波の音と水着の少年少女でも眺めながらゆったり過ごそうか
ところでシャルロット君はどうしているかな?
一応様子を見に行っておこう
船酔いで倒れているようだったら、ちょっと介抱してあげよう
といっても、膝枕ぐらいしかできないけどね?(クスッ)
元気ならそれに越したことはないけれど
後は一緒にココナッツジュースでも勧めてみようかな
「お疲れ様。今日の勝利と、君の瞳に乾杯……ってね」
ユナ・アンダーソン
釣りをするための道具一式を装備
シャルの仕事を労いつつ一緒に釣りをしないかと誘う
シャル、仕事お疲れ様
あら、辛そうね
医術4、救助活動4を用いて傷奪う星痕を使用しシャルの船酔いを奪う
激痛耐性16の応用で奪った船酔い感覚はシャットアウト
船酔いは病は気からの典型
慣れれば耐性が付くよ、個人差はあるけどね
あ、ついでに船酔い防止のお薬出しとくよ
市販のだけど
さて、元気になったなら遊びましょう!
せっかくだから一緒に釣りでもしない?
釣った魚の料理は任せて
アドリブで他の方との絡み歓迎
「あらシャル、お仕事お疲れさm……辛そうね?」
「もうお腹の中水しかないです……」
釣り道具を引っ提げて岩場にやってきたユナ・アンダーソン(星骸のスティグマテイカ―・f02647)であったが、そこにいたグリモア猟兵を見て思わずそんな感想が口から漏れていた。
水爆弾木の実(仮称)で水分補給した結果多少マシにはなっているものの、顔色青いのを見れば、そりゃまぁ、うん。
「ちょっとじっとしててね」
釣りはひとまず後回しにするとして、ふわりと手元から光を舞わせ。
傷や痛みを『奪う』、聖者の業。スティグマテイカーの名の所以とも言えるそれで、船酔いの苦しみを移し替える。
当然、酔いはユナの側に来るわけではあるが……。
「……大丈夫なんですか?」
「船酔いは病は気からの典型だからね」
個人差はあるけど、慣れれば耐性が付くよ……と言うユナの顔は割と平気そうで。
こと、こう言うものに関しては平気と思えば平気なんだろう。耐性持ちって凄い。
「船が嫌いって言うわけじゃなかったんですけどねー……」
「前線に立ってなくとも、緊張はするものさ。終わったときに疲れが出てしまったんだろう」
いく分顔色が良くなったシャルに投げかけられた声は、スフィーエ・シエルフィート(愛と混沌のストーリーテラー・f08782)のもの。
その手には、どこかで生ってたのをもぎ取ってきたらしいココナッツ……をくり抜いた採れたてジュース。
のんびり浜辺で波の音と水着の少年少女を眺めていたら二人を発見した次第。
同業として、グリモア猟兵と言う立場のプレッシャーも理解はできるのだろう。
もっとも、スフィーエ自身はその立場を一歩引いたものとして楽しんでいる節もあるが、自分は自分、他人は他人と言うことで。
「スフィーエさん。そちらもお疲れ様でした」
「ああ、終わったよ。中々にしんどかったが、偶には気持ちいいものさ」
口ではそう言うものの、その所作に余裕があるように見えるのは経験の差か、はたまた個人の性格の都合なのか。
「そちらのお嬢さんのおかげでだいぶ元気になったようだけど、介抱は要るかな?といっても、膝枕ぐらいしかできないけどね」
「はいはい、あまりからかわないの。……あ、一応ついでに船酔い防止のお薬出しとくよ。市販のだけど」
青かった顔を今度は赤くしてぶんぶん手を振って遠慮するシャルへ意地悪な笑みを向けるスフィーエを、ユナがやんわり窘めつつ。
「ふふ、残念。まぁ元気ならそれに越したことはないさ」
「まったくもう……。……さて、元気になったなら遊びましょう!せっかくだから一緒に釣りでもしない?」
「良いですね。では、少しお付き合いさせていただきましょうか」
そんなこんなで、ぽちゃんと投げ入れられる釣り餌みっつ。
かかるのを待つ合間、お供にとココナッツジュースを差し出してきたスフィーエが「今日の勝利と、君の瞳に乾杯」とかなんとか言ってまたシャルを慌てさせていたのはご愛敬。
成功
🔵🔵🔵🔵🔴🔴
白斑・物九郎
【ワイルドハント】
●やること
修理中のワイルドハント号の近場で昼寝
●シャルロット・クリスティア(f00330)を呼ぶ
(シャルを見掛けた所で声なんか掛ける)
ああ、今回はおたくの仕切りだったんですわな
『こないだ』ぶりっスね
そら、アルダワでMOFUMOFU相手に「援護射撃だ!」って言い張ってた――
(もしも何言ってんだこいつって顔されたら、寝たまんま【獣撃身・黒】ででかい黒猫に化けて見せる
そうです私があの時の化け猫です)
●スナイパーってこういうのが好きなんでしょう?
ってゆーかおたく、ホントは自分こそこーゆー武装船駆って弩とかブッぱなしたかったんじゃニャーですか?
なんなら搭載武装ちょっと試射してもいっスよ
エル・クーゴー
【ワイルドハント】
●やること
目標クリア
これよりワイルドハント号は臨時係留施設へ停泊、船体のリペアを開始します
・『マネギ』をマックス170体召喚(ドラゴン倒しててレベルが上がったのでちょっと頭数が増えた)、水夫さん達による船体修理のお手伝いをさせる
●スナイパーってこういうのが好きなんでしょう?
・物九郎がシャルに船の搭載武装を示したら、ホログラムウィンドウで搭載武装のリストと運用マニュアルとをスッ……と提示する
・なんならマネギが砲弾運んだりの周辺操作やるので即ブッぱなせますよっていうサービス付
・なお砲弾なんかはくだんの「水たっぷりの木の実」を改造した物なので(無駄に武器改造技能)、自然に優しいです
レッグ・ワート
終わった終わった。生体の面々もそうじゃない奴も全員お疲れさん。
自由時間って事なら俺は修理を手伝うぜ。基本作業は船員面子に任せて、要る物運んだり複製した鉄骨操作して足場の追加フォローといくさ。その時に、真水の補給場所があるなら教えて貰えると嬉しいね。風の分くらいなら後回しにもするが、直にぶっ被らされた海水はちょっとこう何とかしたい。救助船の方にいたっていうシャルロットの様子を聞けたら、救護パックの酔い止め預けるわ。まあ平気になってるかもだが。
例の実使って何かゲームするならドローンで点数出力しようか。人が足りないって事なら参加しても良いし。その時は表面積の少なさ活かしつつ糸網で掬って投げ返してこ。
調査済みとは言え、碌に整備もされていない無人島に港なんて物は無い。
上陸用のボートを繋げ止めておく程度の桟橋くらいならあるが、大型の船を接岸させるには少々無理がある。
そんなわけで、傷を負った武装船は『ここより沖には行っちゃダメ』と言う目印もかねて、ある程度の距離で錨を下ろし、海上で修繕作業を行っていた。
「……乗組員まで完全に機械化されてやがる」
『Nyaaaaa』
「鳴き声なのか電子音なのかはっきりしてくんねぇ?」
一番ダメージが酷そうな船の手伝いに乗り込んできたレッグ・ワート(脚・f02517)が見たものは、総勢170体の羽の生えた(海賊ルックの)猫型ロボット。
そう、エル・クーゴー(躯体番号L-95・f04770)指揮するワイルドハント号である。
本来の船員であったのだろう、タンクトップ姿の屈強な水夫に紛れて――むしろ割合的に水夫の方が少ない可能性すらあるが――機械猫が忙しなく動いている様は何ともミスマッチ。
「(……まぁ、それを言ったら俺もそうか)」
二メートル半の人型兵器。
ファンタジー世界につきものの、古代文明の遺跡から発掘された船とかそんなものであればもしかしたら雰囲気出たかもしれないが、生憎(エルの手でかなりの改造が施されているものの)時代相応の船である。
それで周囲の水夫たちは気にせず作業してるんだから猟兵パワーってすごい。
そんなレッグもまた、武器として使っていた鉄骨を足場代わりに使ってマネギ(※機械猫の呼称)のフォローに回っている。
甲板や船室なら良いとして、外側の海面近くとなると、洋上での作業は難しい。
遠隔操作の可能な追加の足場は有り難いものだった。
「ご協力、感謝します」
「気にすんな」
マネギから送られてきたデータを照らし合わせつつ、テキパキと指示を出し、あるいは足場を組んで作業を進めていく二人(二機?)。
そんなところへ、かけられる声が一つ。
「どうも、お二人とも。順調ですか?」
「……なんだ、シャルロット。もう平気なのか?」
「たはは……おかげさまで、だいぶ良くなりました」
ほぼほぼ回復したらしいシャルが一度様子を見に乗船していた。
やはり格闘戦と言う戦法を取っていたこともあり、グリモア猟兵としても気になるところなのだろう。
「メインマストの修繕は不可能ですが、魔力炉は無傷のため帰投に際しては問題ありません」
「外壁に関しても問題なしだな。浸水することはなさそうだ。……ところでシャルロット、どこか真水貰える場所知らねぇ?」
「木の実ならありますけど。エキスも混ざってるのか、結構おいしかったですよ?」「飲みたいわけじゃねーよ……」
差し出された水爆弾木の実に肩を落とすレッグ。そもそも飲食機能あるのかこの人。
波にもまれて直に浴びた海水を洗い落としたかったのだが、これはこれで別の意味でべたつきそう。
……いや、もしかしたらスポーツでぶつけあうくらいだし案外サラサラなのかもしれない。
「……ああ、今回はおたくの仕切りだったんですわな。『こないだ』ぶりっスね」
「?」
ボディの洗浄に行ったレッグと入れ替わりにシャルに掛けられる声。
声の方向を探してみれば、白いマダラとヘアピンだらけの黒髪に紅黒模様の猫耳一対、パッと見「招き猫を擬人化したみたいな」ナリとよく称される甚平姿。
邪魔にならない場所で寝っ転がり欠伸を一つ噛み殺し損ねながら、白斑・物九郎(デッドリーナイン・f04631)が、腕枕にしていない側の手をひらひら振っていた。
「こないだと言っても、以前の飛竜狩りはもう半年くらい前では?」
「んにゃ、それじゃなくてMOFUMOFU相手に「援護射撃だ!」って言い張ってた時の――」
「えっ」
シャルの顔が固まる。
ダメ押しにPON☆と効果音がつきそうな煙。次の瞬間そこにいたのはでかい黒猫。
そうです私があの時の化け猫です。何があったかは藍月MSのシナリオを見てみよう。
まぁその辺のことはシャルの絶叫と一緒に隅に置いておくとして。
「ってゆーかおたく、ホントは自分こそこーゆー武装船駆って弩とかブッぱなしたかったんじゃニャーですか?」
「はい?」
突然のことに目をぱちくりさせるシャル。
「なんなら搭載武装ちょっと試射してもいっスよ」
「えっ、えっ」
無駄に洗練された動きでスッ……と音もなくシャルの横につくエル。
広がる武装解説用のホログラムウィンドウ。
さらに言えばマネギも数体作業の手を止めて武装をステンバーイするサービスの充実っぷり。
ほらほらこう言うの好きなんでしょうスナイパー。YOU素直になっちゃいなよ。
「……良いんですか?」
頷く物九郎とエルとマネギ。
実際のところ、射撃武器の使いとして興味が無いと言われると嘘になる。
自分自身の立場を思って控えていたが、触らせてもらえるのであれば……。
金属の擦れ合う音を響かせて、大砲が旋回する。
空を見上げ、肌で感じる風に神経を集中させて。さらにその上で目標地点を見やる。
風よし、方向よし。
マネギが弾込めを終えたのをしっかり確認し、蓋をしてもう一度風向きを確認。
「それでは……撃(て)ーっ!!」
号令に合わせて、大砲に火を入れる。
ズドンと快音。
件の木の実を加工した、自然に優しい特製の弾丸が空高く放物線を描き……空中で炸裂して雨のように中の水分を撒き散らす。
弾けた水は、燦々と照らす太陽の光を目いっぱいに浴びて、それは一つの虹を作り出した。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵