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テレビウム・ロック!~ヒーロー大好き少年を襲った不幸~

#キマイラフューチャー #テレビウム・ロック! #テレビウム #システム・フラワーズ

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●異変は突然に
 テレビウムの少年、リルイの朝は早い。起きたらまず窓を開け、新鮮な空気を部屋に取り込む。そして朝食の準備をしつつ、端末を起動。確認するのはニュースサイト。そこには日々新しいイベントや事件が載っている。
「おお! 昨日もあの人達大活躍だったんだー!」
 リルイが真っ先にチェックしたのは謎のヒーロー猟兵の記事。いつの頃からか現れては、怪人というよくわからない悪い奴らをやっつけている。中には自分と同じテレビウムなんかもいるが、とにかくカッコいい。彼は猟兵が大好きだった。
 特に最近、数名の猟兵を『推し』として追いかけていたリルイ。どうやら昨日もそのうちの何人かは大活躍をしていたようだ。
 部屋の壁をコンコンと叩いて新鮮なレタスを取り出し。お店で買っておいたトマトと共に盛り付ける。同じく買っておいた食パンをトースターにいれて、焼きあがるまでに推しの活躍動画を観ようとした所で、異変に気付いた。
「え、あ、あれれ!? なんだこれ!?」
 テレビウムはその顔が液晶テレビになっている種族だ。それは普段表情の様なアニメーションを映すが、本人の任意で動画を再生することも出来る。今もその能力を用いろうとしたのだが、再生出来ない。そればかりか、画面には常に同じものが映し出されて変化させられないのだ。
「これ……鍵?」
 呆然と呟くリルイの言葉通り、彼の顔である液晶テレビの画面には鍵の様な映像が映し出されていた。
「え、え、なにこれ、なんかの病気……? え、どうしたらいいんだろう」
 生まれて初めての事態に困惑するリルイに、さらなる不幸が襲い掛かる。ブーン、という羽音が聞こえてきたと思ったその瞬間、部屋の壁が破壊され、黄色い集団がなだれ込んできたのだ。
「ブンブーン、見つけたぞ、ロックされたテレビウムだ」
「う、うわあああ、怪人だあああ!!?」
 ブンブンとうるさい羽音を鳴らすのは、蜂の姿をした怪人の集団だった。怪人達はリルイの顔を確認し、そこに鍵のような映像があることを認めると、手にしていた槍を構えて彼に飛びかかった。
 不幸続きのリルイに、ようやくそこで僅かに幸運がもたらされた。怪人とリルイの間にあった物、食卓テーブルの上に置かれたトースターが、チンと小気味よい音を立ててアツアツ焼きたてのトーストを吐きだしたのだ。それは本当に偶然にも、一番先頭にいた怪人の顔に直撃した。
「あっつっ! ブーン!」
 無論、そんなもので怪人が傷つくことは無い。だが、熱いのは怪人でも変わらない、ほんのわずかに怯んだその怪人は、すぐに怒り力任せに食卓テーブルを薙ぎ払う。
「うわああぁっ!?」
 吹き飛ぶテーブルに巻き込まれる形で、リルイは後方に飛ばされ、そのまま開けていた窓を通り過ぎて、家の外へと転がり出る。それが彼に持たされた二度目の幸運。だが、その幸運も流石にここまで。直ぐに怪人達が飛び出してきて襲われることだろう。
「た、助けて、助けてぇー!!」
 そんな絶対絶命のリルイが、その脳裏に浮かべていたのは、彼の推し、ヒーローたる猟兵達の姿だった。

●テレビウム・ロックの謎
「至急キマイラフューチャーへ赴き、テレビウムを助けてくれる猟兵の方はおられますか?」
 グリモアベース、数多の世界で起きる事件を解決する為に猟兵達が忙しく行きかうこの世界の片隅で、また一人のグリモア猟兵が声を上げた。真月・真白(真っ白な頁・f10636)である。
 テレビウム? それってもしかして……と数名の猟兵が、真白の言葉に興味を持ちやってくる。
「ありがとうございます。えぇ、先日から確認されている『鍵の様な映像を映すようになったテレビウム』の事件です」
 集まってくれた猟兵達に感謝を述べた真白は、己の本体である本を開き語りだす。
 人類が高度な文明を築いて去ってしまった世界、キマイラフューチャー。残された超文明の遺産によって、そこでは楽しく賑やかな生活が営まれていた。
 テレビウムという種族もまた、この世界で暮らす一般的な存在である。そんな彼らの中で、最近突然自分の顔である液晶テレビに『鍵の様な映像』が出てくる者達が現れた。
 さらに不可思議な事に、どこからかその存在を察知した怪人達がそのテレビウムを襲うのだ。勿論、これまでも怪人はキマイラフューチャーの人々を襲ってきた、しかし今回は特に『鍵の様な映像』の出たテレビウムを探して狙って追いかける執拗さを見せる。
「今の所、何故そのような映像が出てきたのか、それが何を意味するのか、何故怪人が執拗に狙うのかは不明です。ですが、怪人……つまりオブリビオンが関わる以上、何らかの事態が進行している可能性は高い。なにより、放置すればテレビウム達が危険です」
 故に猟兵の出番だ。鍵の様な映像の出たテレビウムを怪人の魔の手から助け出し、可能であれば共にその謎を解き明かしてほしい。
「あなた方に助けていただきたいのは、リルイという名の少年です」
 年の頃は12.3歳ほどだろうか。猟兵達の事が大好きで、最近特に推しにしている者達がいるらしい。猟兵の指示ならば、よほどの物でなければ従ってくれるだろう。
「『鍵の様な映像』……それが何を意味するのかはまだわかりませんが、『物語』は新たな頁へと進んだのかもしれません。どうか、彼の少年の『物語』に悲劇という結末が書き加えられる事を阻止してください。よろしくお願いします」
 本を閉じた真白は猟兵達に頭を下げると、すぐに転送の準備に入るのだった。


えむむーん
 閲覧頂きありがとうございます。えむむーんと申します。

●特記事項
 これは期間限定のシナリオとなります、【4月30日(火)朝8:30までに完結した成功シナリオ数】によって何か影響があるようです。
 そのため、このシナリオでは執筆速度を重視させていただきます。シナリオの成功数を満たした場合に残っているプレイングがあった場合には、特に問題の無い内容でも却下させていただく可能性が高い事をご了承ください。

●シナリオの概要
 集団戦、集団戦、ボス戦と続くシナリオフレームです。
 『鍵の様な映像』が顔に出てしまったテレビウムが、怪人の集団に狙われます。まずは絶体絶命のテレビウムを助け出し、襲撃者たちを倒してください。
 その後はテレビウムと共にある目的地へと向かいます。その間にも新たな怪人集団が追撃をしてくるので撃退してください。
 目的地ではボスとの戦闘になります。

 登場する怪人は三種類。
 『働き蜂戦闘員』
 物量と速度、そして空中戦闘を得意とした怪人達です。

 『???』
 詳細不明。ただ、炎系統の能力を持っているようです。

 『???』
 詳細不明。かなりパワフルなようです。

●救出対象、テレビウムの少年リルイに関して
 12.3歳ほどの少年です。多くのキマイラフューチャーの住民同様に、彼も猟兵を何処からか現れた謎のヒーローとして慕っています。
 さらに、最近『推し』になった猟兵達がいるとのこと。特にMSの方では設定しておりませんので、もしもリルイの推しになりたい! という参加者がいらっしゃれば、プレイングにその旨を描いて頂ければ、よほど問題が無い限りは採用させていただきます。
 推しは複数いるようなので何人でもOKです。

●合わせ描写に関して
 示し合わせてプレイングを書かれる場合は、それぞれ【お相手のお名前とID】を明記し、なるべく近いタイミングで送って頂けると助かります。
 それ以外の場合でも私の独断でシーン内で絡ませるかもしれません。お嫌な方はお手数ですがプレイングの中に【絡みNG】と明記していただけるとありがたいです。

 それでは皆さまのプレイングをおまちしております、よろしくお願いします!
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第1章 集団戦 『働き蜂戦闘員』

POW   :    御槍奉公
【槍】で対象を攻撃する。攻撃力、命中率、攻撃回数のどれを重視するか選べる。
SPD   :    飛行モード
空中をレベル回まで蹴ってジャンプできる。
WIZ   :    数で圧す
自身が戦闘で瀕死になると【さらなる増援】が召喚される。それは高い戦闘力を持ち、自身と同じ攻撃手段で戦う。

イラスト:森乃ゴリラ

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🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『集団戦』のルール
 記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

ショコ・ライラ
はいよーっ

等と緩やかに返事をしながら

「助けて」という《呼び声に応じて》、(声のテンションと裏腹に)全速力で空から登場
駆けつけざまに【クイックドロウ】、蜂をキャノンで撃ち抜く

よく頑張ったね、もう大丈夫。チョコ食べる?(ポーチから差し出す)
…ん、私のこと知ってるの?おお、それは嬉しいね

…さて
蜂の攻撃は【勇気】をもってギリギリまで観察し【見切り】
【残像】と共に回避、即【カウンター】で【クイックドロウ】
こんな敵の攻撃、ヒーローには効かないんだって所を見せてあげるんだ

どれだけ増援が来たって一緒
助けを求める声に応えることこそが、ヒーローとしての矜持

それがある限り――私は負けない

(アドリブ歓迎、推し希望)


黒影・兵庫
虫でありながら秩序を乱すとは反乱分子共め!
これ以上の好き勝手はさせないぞ!
せんせー!『衝撃波』で弾き飛ばした後【サモニング・ガイスト】の炎で攻撃を行いリルイ君が逃げる時間を作るので、ユーベルコードの制御お願いしますね!


ミーナ・ヴァンスタイン
リルイの推しだったら嬉しいわね。

【暗殺】【先制攻撃】リルイの周囲の敵を【スナイパー】で正確に【断罪弾】で排除するわ。
「……邪魔よ」
そして【ダッシュ】【ジャンプ】で敵陣を飛び越え、リルイの前に着地し守るように立ち塞がるわ。
「助けに来たわ。そのまま後ろに居て頂戴」
「大丈夫。すぐに終わらせるわ」
二丁拳銃を使い【2回攻撃】【範囲攻撃】【一斉発射】
【破魔】【属性攻撃】の【断罪弾】で一掃するわ。
「主よ、永遠の安息を――せめて、これからは安らかに」

敵の攻撃は【視力】【聞き耳】【第六感】で【見切り】【礼儀作法】【ダンス】で華麗に回避し【カウンター】【グラップル】の【怪力】【鎧砕き】の蹴りを放つ
「視えてるわよ」



●不幸な少年に訪れる幸運
「た、助けて、助けてぇー!!」
「はいよーっ」
 眼前に迫る鋭く痛そうな槍の群れ、必死の叫びをあげたリルイの耳に緩やかな応答が、周囲のうるさい羽音の中ではっきりと届く。
 その直後、いくつかの事が同時に起きた。赤銅色の風が巻き起こり、一筋の閃光が走り一体の働き蜂戦闘員が吹き飛ばされる。同時に何処からともなく光弾が複数飛来し、働き蜂戦闘員達が地面に崩れ落ちる。そして今度は黒い影が目の前に飛び込んできた。さらに背後では激しい衝突音が響く。
「よく頑張ったね、もう大丈夫。チョコ食べる?」
「助けに来たわ。そのまま後ろに居て頂戴」
「虫でありながら秩序を乱すとは反乱分子共め! これ以上の好き勝手はさせないぞ!」
「あ、え、え……?」
 横と正面と背後から聞こえた三者三様の声、チョコレートの甘い香りが漂い始める中で、リルイは困惑していた。
 果たして何が起きたのか、少し時間を巻き戻してみよう。

●駆けつけるヒーロー
 最初にグリモア猟兵によってキマイラフューチャーに転送されたのは三人。真っ先に動いたのはショコ・ライラ(そこにちょこんとショコライラ・f17060)だった。
 日頃はあまり覇気をみせない、春紫苑の如き少女、だが今はその青い瞳を鋭く細める。視線の先には、部屋の窓から転げ落ちた一人のテレビウム。
「それじゃ、いくねー」
 淡々とした言葉、しかしそれとは裏腹にその行動は迅速だった。チョコレートの甘い香りを残し風となったショコは一瞬で距離を詰めると跳躍。リルイの悲鳴に返事をしながら彼の側へと着地する。すぐさまリボルバー型のビームキャノンを抜き瞬く間に発砲。大出力のビームが働き蜂戦闘員を焼くのだった。
 走り去るショコに次いで動いたのはミーナ・ヴァンスタイン(暗闇の聖女・f00319)だ。彼女もまた銃を抜くが、それはショコと異なりその場からだった。突然の乱入者となるであろうショコに敵が注目するその瞬間を狙っての狙撃を行うつもりなのだ。
 「……邪魔よ」
 ミーナの銃から放たれた弾丸もまた実体のない光の弾丸だ。だがそれはショコのレーザーとは異なる。光の精霊から供給された魔力で作られた弾丸なのだ。空気抵抗も減衰もない、一切の物理法則を無視したそれは瞬く間に数体の働き蜂戦闘員の額を貫き、過去の幻へと還した。
 先制攻撃の為には離れている方が良い。だが、一度戦端が開かれてしまえば救出対象から離れたままなのは問題がある。故にミーナの次の行動はショコに追随する形となった。つまり、駆け出して、その勢いのままに飛翔する。まだ残っている敵を飛び越えリルイの前に着地し、彼を守るべく立ちふさがったのだ。
 一方、黒影・兵庫(不惑の尖兵・f17150)は怒っていた。虫と文字通り一心同体に生きる彼にとって、働き蜂戦闘員のあり様は到底許せるものではなかったのだ。なるほど、働き蜂というくらいだ、その名の通り滅私奉公に努めているのだろう、それはまだよい。だが、その結果やっている事は何だ? 一人の少年の家を襲撃したばかりか、無力な彼を集団で害そうとしているではないか。品行方正でもなければ公明正大でもない! 脳に埋め込まれた教導虫なる寄生虫によって教え込まれた、正しきモノとはかけ離れたその行為を止めるべく彼もまた駆け出した。異能による身体強化ではなく生身のそれであったため、その到着は他二名よりも遅かったが何の問題も無い。リルイにとって背後側にいた働き蜂戦闘員へ、走りこんできたその勢いを乗せて手の中の媒介道具を突きだす。強い意志が込められた物品から激しい衝撃波が噴き出し戦闘員を壁へと叩きつける。
 かくして、無力な一人の少年を狙う怪人達から彼を守るように、三人の猟兵が割って入ったのだ。

●守るべきものの為に
 リルイは信じられない物を見る様に、自分にチョコを差し出す女性を見ていた。
「よく頑張ったね、もう大丈夫。チョコ食べる?」
「い、猟兵の、ショコさん……?」
「……ん、私のこと知ってるの? おお、それは嬉しいね」
「は、はい! いつも動画で見て、うわぁっ!?」
 日々憧れていた推しの一人に出会えた事で、ついつい状況を忘れて夢中になってしまったリルイに向かって働き蜂戦闘員の槍が迫る。しかしそれは隣で全神経を敵に集中させていたミーナによって華麗にそらされ、お返しとばかりにカウンター気味の強烈な蹴りが叩き込まれる。
「あなたは、ミーナさん!?」
「わたしの事も知っているの? だったら嬉しいわね」
 スカートの乱れを直しながら微笑むミーナの、まるで全てを見通すかのような漆黒の瞳に見詰められドキリとするリルイ。そんな彼の肩に背後から手を置いたのは兵庫だった。
「ええせんせー、リルイ君が無事で何よりです。さて、まずは彼が逃げる時間を稼ぎたいですが」
 脳内の教導虫に話しかけながら思案する兵庫。リルイは彼の事は知らなかった。だがこの業況で彼が何者かを推測するのはたやすかった。彼もまた猟兵なのだ。
「ブーンブブーン!! おのれ猟兵共! 邪魔をするなブーン!」
「どこへ逃がそうと、我らが地の果てまで追い詰めるブーン!」
 現れた猟兵達に怒りを燃やす働き蜂戦闘員。さらなる増援を呼び、数で圧そうとする。
「ひっ!」
 自らに向けられる無数の敵意、今まで経験した事のないそれに怯えるリルイ。そんな彼の手を優しく包んだのはショコだった。
「大丈夫、どれだけ増援が来たって一緒」
 普段と変わらない声色で綴られるその言葉、自然と震えの収まる手の中には先ほど渡されたチョコレートが一つ。
「……いつも心にチョコレート」
「そこにちょこんとショコライラ」
 動画で以前みた彼女の決め台詞らしきものの一つ。それを思わず口にするリルイと、嬉しそうに続きを口ずさむショコ。
「大丈夫。すぐに終わらせるわ」
 ミーナもまたリルイを安心させんと、二丁拳銃を構えて微笑む。
「せんせー! リルイ君が逃げる時間を作るので、ユーベルコードの制御お願いしますね!」
 兵庫はリルイを逃がすつもりでいた。増援によって今すぐそれは難しそうな状況。であればこの反乱分子共の数を減らしつつ、突破口が出来るまで彼を守り抜く必要がある。脳内の教導虫に異能の発動を請う兵庫の傍に、古代戦士の霊が出現し炎を噴き上げる。
「――私のチョコが甘いうちは、君の好きにはさせないぜ?」
 銃口を働き蜂戦闘員に向けたショコのその言葉が、戦いの始まりを告げる鐘の音となった。

●猟兵(ヒーロー)
 結論から言えば、戦いは猟兵の圧勝に終わった。
 物量差による、三人ではカバーしきれない部分は、兵庫が呼びだした霊と、それが放つ炎による牽制でカバーし、働き蜂戦闘員がリルイに近づくことを許さない。兵庫自身もまた己が武器と衝撃波で、攻めあぐねる戦闘員を着実に潰していく。
「主よ、永遠の安息を――せめて、これからは安らかに」
 死者を冒涜する行為を嫌うミーナにとって、オブリビオンという存在そのものもまたそうであるのか。彼女の口が紡ぐのは祈りの言葉だった。その言葉と共に両手の二丁拳銃から無数の光弾が周囲へ放たれる。破魔の力を宿すその弾丸はすさまじい破壊力でもって働き蜂戦闘員たちを一掃していく。
「……さて」
 ショコもまた働き蜂戦闘員と対峙していた、突き出される槍に動じる様子も無く、それを観察し続ける。鋭い穂先が彼女の白い肌に突き刺さった、と思われたがそれは高速回避した彼女の残像。攻撃した戦闘員はそれに気づく間もなく撃ち返されて絶命する。
 ショコはそうやって、ギリギリの所に身をさらしながら戦い続ける。それは一見、危険を楽しんでいるかのようにもみえるが、否。
「(こんな攻撃、ヒーローには効かないんだって所を見せてあげるんだ)」
 どれだけ増援がきても一緒、助けを求める声に応えることこそが、ヒーローとしての矜持。
 それがある限り――私は負けない。
 背中に注がれる少年の熱い視線を感じながら、彼女はさらに加速していく。
 助けを求める声に応えるこそこそヒーローの矜持、それはここに集った猟兵全員にも共通するものだっただろう。そもそもが、グリモア猟兵の助けに応じなければ今、この時、この瞬間に立ち会ってはいないのだ。故に猟兵(ヒーロー)達が負ける道理はなかったのである。

●鍵は鍵穴を求める
「ブ、ブブブーン……口惜しい……だが、ロックされたテレビウムがいる限り、貴様らに安息はない。すぐに、次の追手が……」
 最後の一体の恨み言を聞き思案する猟兵達。このままではまたすぐにリルイが危険にさらされるだろう。根本的な解決には、謎の鍵の様な映像をどうにかする必要があるのか。
「わ、わわ、なにこれ!?」
 そんな時リルイが驚きの声を上げる。何かあったかと彼を案ずる猟兵達がみたのは、リルイの顔に浮かび上がった新たな映像……地図だった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​




第2章 集団戦 『ゲソフレイム』

POW   :    汚物は消毒でゲソーッ!
【松明に油を吹き付け発射した火炎放射】が命中した対象を燃やす。放たれた【油の】炎は、延焼分も含め自身が任意に消去可能。
SPD   :    俺色に染めてやるでゲソーッ!
レベル分の1秒で【ベタベタするイカスミ】を発射できる。
WIZ   :    見るがいい、これが俺の変身ゲソーッ!
対象の攻撃を軽減する【激情体】に変身しつつ、【右腕に装備された火炎放射器】で攻撃する。ただし、解除するまで毎秒寿命を削る。

イラスト:ケーダ

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種別『集団戦』のルール
 記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


●鍵穴を求めて
「これ、あそこかも……」
 顔である液晶テレビに突然『鍵の様な映像』が映ってしまったテレビウムの少年リルイ。
 それが原因で怪人に襲われるという不幸に見舞われた彼は、推しを含む猟兵達によって助け出される幸運を得た。
 一度目の襲撃は終わったが、すぐに再襲撃があるだろう。どうやって事態を解決すべきか、そう悩んでいた所で変化は起きた。彼の顔に、鍵と共に在る場所を示す地図が浮かび上がったのだ。
 それはこのリルイの家から徒歩圏内のやや離れた場所にある、とある駅だった建物だ。今は使い方やメンテナンスの方法がわからないため、ただの廃墟として捨て置かれている、特に変わった所の無い街の一角。何故その場所が指し示されたのかは全く分からないが、地図上ではその場所に鍵穴のようなマークが浮かんでいた。
「あの駅まで行け、ってことなのかな……?」
 首をかしげるリルイに、猟兵達も確証は得られないものの同意する。このままここに居ても再び襲撃に逢うだけだ、相手が何らかの手段でリルイを感知しているなば、道中でも襲撃されるだろうが、同じ襲撃されるのであれば、事態が動く可能性を選ぶべきだ。
 その考えにリルイもまた同意する。かくして猟兵達はリルイを守りながら目的地である廃駅を目指す事となった。
 道中はなんらかの怪人の襲撃があるだろう。その場である程度倒す、戦いながら振り切って逃走するなど、様々な方法で対処しながらリルイを目的地まで守り切らねばならないだろう。
ミーナ・ヴァンスタイン
アドリブやアレンジ歓迎よ。

敵に追いつかれるとマズいわ。リルイは【優しく】【怪力】で片手で抱きかかえましょう。
「ちょっと苦しいかもしれないけれど、ガマンしてね?」
「落ちないようにしっかり抱き着いててね?」
恥しそうなら、つい【誘惑】したくなるけど【手を繋ぐ】
「ふふっ♪男の子だもんね?」
「大丈夫。これは仕方ない事なんだから気にしないで、ね?」

【ダッシュ】【使い魔召喚】で黒猫や蝙蝠たちで敵の位置を確認するわ。
「来るわよ。みんな、気を付けて」
リルイを左腕に抱えているので、右手のバニッシャーを使った【破魔】【属性攻撃】【薙ぎ払う】わ

敵の攻撃は【見切り】回避や魔力で生み出した【残像】の囮で【おびき寄せ】る。


黒影・兵庫
最優先はリルイくんの身の安全を確保すること。
道中の敵は俺が引き受ければいいけど、リルイくんの
守りが手薄になってしまうな・・・。

え、問題ないってどういうことです?せんせー

戦績が認められて、強襲兵の指揮権を賜った?
その誘導灯型合金破砕警棒で指揮をとれって・・・

せんせーっ!俺っ・・・!

え?後にしろ?す、すみません・・・

では早速【蝗害】発動!

強襲兵のみなさん!半分はリルイくんの保護を!
もう半分は上空で敵が待ち伏せしていないか監視してください!
敵が現れたら『衝撃波』と『範囲攻撃』で敵の気を引くので
上空の皆さんは敵の死角から強襲してください!
守る方の皆さんは安全な場所までリルイくんを連れて行ってください!


ショコ・ライラ
ん、知ってるところ?
それなら話は早い。一緒に行こう
大丈夫、リルイくん。リルイくんのことは私達が守るさ

オブリビオンを倒すよりもリルイくんを守ることが最優先
他にも頼れる仲間はいるからね
ヒーローは孤独じゃないのさ

私は多少【火炎耐性】あるけど
延焼を考えると、リルイくんを【かばう】為に食らうわけにはイカないね
何よりチョコが溶けるじゃないか。そんな愚は犯しません

《FoP》…次の動きを予測できるなら、どれだけ速く墨を撃たれようが関係ない
全て【見切り】、【フェイント】を交えながら回避して【カウンター】の【クイックドロウ】
伸びる攻撃の手を払い除けるようにキャノンを撃ち込む
リルイくんには墨の一滴も浴びせるものか



●逃亡劇の始まりは気恥ずかしさと共に
「ん、知ってるところ? それなら話は早い。一緒にいこう」
 リルイから話を聞いたショコはそういって残りの二人を見る。ミーナと兵庫は首肯する。
「敵に追いつかれるとマズいわ。リルイさん、ちょっといいかしら?」
「わ、わわわ」
 ミーナはリルイを招き寄せると、その細腕に見合わぬ力強さで彼を抱きかかえる。
「ちょっと苦しいかもしれないけれど、ガマンしてね?」
「そ、そんな事無いです」
「あと、落ちないようにしっかり抱き着いててね?」
「え、えええ!?」
 孤児院で子供達の面倒をみている彼女の、力強いが優しくもあるその抱きかかえはリルイの事をきちんと考えたもので、苦しさは全くなかった。ただ、ミーナはただでさえ憧れの推しであり、更に美しい女性である。少年にとって何とも言えず気恥ずかしいものであった。
 鍵の映像と地図のせいで表情こそうかがえないが、リルイのそんな内心はミーナにはすっかりお見通しだった。ついつい悪い事も考えてしまう彼女だったが、そこはぐっと我慢。リルイの手を取り繋ぐ。
「ふふっ♪男の子だもんね? 大丈夫。これは仕方ない事なんだから気にしないで、ね?」
 もはや言葉を発する事も出来ずに、こくこくと小刻みに首を縦に振りながらミーナの手を握り返すリルイだった。
「最優先はリルイくんの身の安全を優先すること。道中の敵は俺が引き受ければいいけど、リルイくんの守りが手薄になってしまうな……」
 ミーナとリルイのやり取りを横目でみながら兵庫は頭を悩ませていた。彼女がリルイを連れて移動するのならば、自分は追手の足止めに徹すればいい。、しかし、完全に防ぎきれないのならば守り手はチョコだけになってしまう。手数が足りない。腕を組んで悩んでいたそんな時だ。
「え、問題ないってどういうことです? せんせー」
 不意に兵庫が虚空に向かって語りだした。先ほどの戦闘中でも度々みられた脳内に寄生した教導虫『せんせー』なる存在との語らいだ。他の猟兵とリルイは不思議そうな顔をしながらも邪魔することなく見守る。
「戦績が認められて、強襲兵の指揮権を賜った? その誘導灯型合金破砕警棒で指揮をとれって……」
 兵庫は驚いた顔で叫ぶと、わなわなと全身を震えさせる。いったい何事かと覗き込んだショコがみたものは、感動に打ち震える兵庫の顔だった。
「まぁよくわからないけれど、大丈夫、リルイくん。リルイくんのことは私達が守るさ」
 彼もいっぱしの猟兵なのだ、大丈夫だろうと判断したショコは、ミーナが抱きかかえ胸中のリルイに笑いかけた。
「せんせーっ!俺っ……! え?後にしろ?す、すみません……」

●守り抜くことこそがヒーローの矜持
 かくして猟兵達は昼前の街中を疾走する。他の住民を巻き込むのを防ぐ為に、なるべく人通りのなく、かつ襲撃者に対応しやすい広い場所を……その選択は中々に難しかったが、地元民であるリルイのアドバイスで一行は進んでいく。
「来るわよ。みんな、気を付けて」
 事前に使い魔である黒猫や蝙蝠達を召喚し索敵を行っていたミーナ。その使い魔達が新たな怪人の接近を報告してきた。
「では早速、蝗害発動!」
 脳内の教導虫によって与えられた新たな異能を引き出す兵庫。何処からともなく大量の羽虫が終結する。
「強襲兵のみなさーん! こちらでーす! 半分はリルイくんの保護を! もう半分は上空で敵が待ち伏せしていないか監視してください!」
 兵庫の指示に従い羽虫達は二手にわかれる。一隊が上空へと舞い上がり、残りは一行の周囲を守るように広がる。
 そうしているうちに何と言えぬ香ばしい香りが漂い始める。
「ゲーソゲソゲソ! 猟兵共! 逃げるなゲソー! そのテレビウムをよこせゲソー!」
 果たして現れたのは、イカの集団であった。無論ただのイカではない。十本の触手の内二本に煌々と燃え盛る松明を掲げた怪人、その名をゲソフレイムという。香ばしい匂いを漂わせてはいるが、決して焼きイカなどではないと、本人(?)は主張している。
「ぬうう、あくまで逃げるというならば! 無理やりにでも足を止めてやるでゲソ! 俺色に染めてやるでゲソー!」
 フレイムゲソの一体がベタベタするイカスミを放射する。黒い粘液は流線を描きながら、リルイを抱きかかえたミーナを覆い被ろうとするかのように降りかからんとする。
 しかしそれはショコのビームキャノンが放った閃光の一撃により蒸発する。
「ぬぐぐ、小癪ゲソ! おい、お前らもやっちまうゲソ!」「「「ゲソソー!!」」」
 再びのイカスミ、しかも今度は複数のフレイムゲソがタイミングをずらしてはなってきた。複雑な軌道を描く黒粘液の波。しかしそれすらもショコは全てを焼き払う。先に被弾するタイミングのものから的確に狙い撃ち、一切被害を与えない。
「ゲソォ!? そんなバカなゲソ!」
「だーめ。全部わかっちゃうよ……次の動きを予測できるなら、どれだけ速く墨を撃たれようが関係ない。リルイくんには墨の一滴も浴びせるものか」
 相変わらずの淡々とした口調のショコ、しかしその言葉に込められた感情は強い。鋭い嗅覚を持つ彼女は、ほんの僅かな香りの違いを瞬時に嗅ぎ分ける事ができる。その異能とも呼ぶべき感覚を以て、襲い来るイカスミが、どの方向からどのタイミングで飛んでくるのかを全て嗅ぎ切った。故に、どれだけ速く撃たれようが関係ないのである。
「流石、ねっ!」
 自信満々の作戦を完全に潰され、思わず呆然としてしまったフレイムゲソ達のその一瞬の隙を突いたのはミーナだった。リルイを左腕に抱きかかえたまま、右手のパニッシャーで、精霊の力を宿した破魔の光弾を連射し薙ぎ払う。
「ゲッソー!?」
 完全に不意打ちの状態となった連射攻撃は、複数のフレイムゲソを次々に撃ち抜き倒していく。
「チクショー!!! もう許さんゲソ!! ブチ切れたゲソ!! 見るがいい、これが俺の変身ゲソーッ!」
 生き残ったフレイムゲソは怒りのままにその姿を変えていく。細くなり回避精度を上げ、詰まった分強固になって攻撃を軽減する激情体だ。さらに右腕(と主張する触手)に火炎放射器を装備し、激しい火炎を吹き出した。
「私は多少は火炎に対して耐性あるけど、延焼を考えるとリルイくんをかばう為に食らうわけにはイカないね」
 働き蜂戦闘員の槍と違い、火炎放射攻撃は攻撃面積が広い。直撃しなくても熱によるダメージもあると考えれば、猟兵達が負ける要素は無くてもリルイの体が心配だ。それにフレイムゲソは激情体になってから、みるみるうちに赤い顔を青ざめていっている。恐らくあれは命を削るタイプの異能だ、オブリビオンを見逃すわけにはいかないが、あのままなら一々相手をしなくても全滅するだろう。
 ならば、ここは逃げ切りの一手だ。猟兵達の結論はそれだった。ヒーローとしてなによりもリルイの身の安全を優先したのだ。
「何よりチョコが溶けるじゃないか。そんな愚は犯しません」

●ヒーローは決して孤独ではない
 さて、ではどう振り切るか、となったときに名乗りだしたのはミーナだった。
「私が魔力で残像を作るわ。それでおびき寄せて、あの怪人達にはそっちを追ってもらいましょう」
「でしたら俺だけはそちらについていきますよ。急に攻撃をしなくなれば怪しまれるかもしれませんし、偽物だとばれた時に、あいつらが自滅するまで俺が引き受けます。守る方の皆さんは、安全な場所までリルイくんを連れて行ってください!」
「そ、そんな! 一人で残るなんて!」
「ふ、俺は一人ではありませんよ」
 びっくりして心配そうにしているリルイに、兵庫は優しく笑いかけ、己の頭を指さす。
「ここにせんせーがおりますし、なにより今は強襲兵の皆さんも一緒なのです」
「兵庫さん……」
「わかったよ。オブリビオンを倒すよりもリルイくんを守る事が最優先。ヒーローは孤独じゃないのさ。そっちは頼れる仲間に任せるね。」
「ヒーロー……」
 ショコの言葉に力強くうなずく兵庫。その様子を見ていたリルイの中で、新たな推しのヒーローが誕生した瞬間だった。
 かくして作戦は始まった。兵庫が指揮する羽虫が一同を取り囲み、フレイムゲソの視界から隠す。その瞬間にミーナが魔力で残像を作り出し、別の方向へ走りださせる。
「うおおお、待て待てゲソソソ!!」「げ、ゲソぉ……そろそろやべぇかもゲソ」「あいつらを仕留めるまでは止まれないゲソー!」
 もしもフレイムゲソが冷静ならば、逃げる一行とは別行動をする羽虫の塊がある事を、なにより自分達が謎の方法で感知していたリルイの存在がそちらに無い事も気づいたはずだ、しかし、彼らは今まさに命を削っている。その焦りが彼らを盲目にしていた。
「よーし、いきましょう、せんせー、強襲兵のみなさん!」
 残像の中の唯一の本物である兵庫は、衝撃波を多方面に飛ばして複数のフレイムゲソを吹き飛ばす。さらに羽虫へ支持を飛ばしてフレイムゲソへ殺到させ攻撃を加えていく。お返しとばかりに吹き付けられる火炎放射は巧みに避けつつ、見当違いの方向へ誘導していくのだった。

●逃亡劇の終わりは光の中で
 そうして、遂にリルイを連れた猟兵達は、地図で示された廃駅へとたどり着いた。人気が無い事を覗けば特に変哲の無い場所だ。一体ここに何があるというのか。
「う、うわわ。なんだこれー!?」
 前触れも無くリルイの体が光りはじめたのはその時だった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​




第3章 ボス戦 『機関車怪人』

POW   :    トレイン・フリーク
【時刻表】【鉄道模型】【鉄道写真】で自身を強化する。攻撃力、防御力、状態異常力のどれを重視するか選べる。
SPD   :    出発進行!
自身の身長の2倍の【蒸気機関車】を召喚し騎乗する。互いの戦闘力を強化し、生命力を共有する。
WIZ   :    アクシデントクラッシュ
対象の攻撃を軽減する【高速走行モード】に変身しつつ、【煙を噴き上げながらの体当たり】で攻撃する。ただし、解除するまで毎秒寿命を削る。

イラスト:来賀晴一

👑7
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠山田・二十五郎です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


●廃駅発、あの世行特別便
 光を放ち始めたテレビウムのリルイ。それに驚いた猟兵達は彼を取り囲む。
「これって……タイマー?」
 彼の顔である液晶テレビには新たな変化が起きていた。事件の発端である『鍵の様な映像』は依然そのままに、一行をこの地まで導くことになった地図は消えていた。そして新たに現れたのは数字。『14:54』……『14:53』……『14:52』。
 徐々に減っていくのは秒数か、恐らくは15分から始まった謎のカウント。さらにリルイの体には異変が起こる。
「う、動けない、動けないよ!?」
 まるで体が石像になったかのように、一切の動く意思が封じられていた。試しに猟兵が動かそうとしてみても、まるで地面から生えているかのように動かせない。
「これは……カウントが0になるまでこのままということ?」
 異常事態の情報を総合して考えた結論はそれだった。この目的地で15分間発光することで何がおきるのかはわからないままだが。
「シュッシュッシュッ、ポー!!」
 不意に駅構内から奇声が飛び出した。やがて駅から現れたのは、全身金属で頭から煙を吐く一体の怪人だった。
「追いついたシュシュ、まさかそのロックされたテレビウムの目的地が駅だったとは、因縁を感じるシュシュ。ともかく、ここが貴様らの終着駅だシュ!」
 今度の怪人は一体のみだ、だが、その強さは先の二度の集団怪人達の比ではないと感じられる。リルイを連れて逃げる事はできない。15分後に何が起きるかはわからないが、リルイを守りながらこの怪人を撃破するしかない。
ショコ・ライラ
ふふふ。何だか本気っぽい感じの敵が出てきたじゃないの
リルイくん、ここらで一発…声援でも送っておくれよ

‪‬‪──‬よし

その《呼び声に応じて》戦うならば。

怖い思いをしているであろうリルイくんを【鼓舞】するように
“ヒーローがカッコよく助けてくれたんだぜ!”って思い出になってくれるように
余裕綽々の【パフォーマンス】を演じながら

攻撃を【見切り】、高速移動には高速飛行で応戦
いつもと変わらない、【カウンター】の【クイックドロウ】

蒸気機関車の突撃からリルイくんを【かばう】のは…
正面から受け止めるのは厳しい、かっ?…でも

私は意外と力(POW)あるんだぜ…?
…っりゃああっ!!

おっと…ふふ、ちょっと本気出しちゃった


黒影・兵庫
ここが終着駅なら、電車のお前は車庫に帰れよ。いや、汽車だから博物館に帰れのほうが合ってるか?

アイツ、見るからに硬くて重そうで真正面からぶつかれば間違いなく俺はペシャンコですね、せんせー。

でも回避はリルイ君を危険にさらすので論外。

なので動けないようにする、ですね?せんせー。

強襲兵のみなさーん!半分はアイツの視界と聴覚を奪うために顔の周りを大音量で飛び回ってください!
後はアイツの下半身の関節部分を噛砕してください!
俺はアイツの足元を『衝撃波』と『範囲攻撃』で凸凹にして『地形の利用』でアイツがバランスを崩したら
転倒させて、起き上がれないように『衝撃波』を打ち続けます!
リルイ君には指一本触れさせない!


ミーナ・ヴァンスタイン
安心させるように彼に【優しく】微笑みます。
「大丈夫よ、リルイ君。わたし達が必ず守りぬいて見せるわ」
二丁拳銃で【スナイパー】【クイックドロウ】【破魔】【2回攻撃】
「あの機動力と馬力は厄介ね」
「動力か可動部にダメージを与えましょうか」

リルイ君から敵の注意を逸らすように【挑発】射撃し【おびき寄せ】るわ。
「あら、わたしから逃げるなんて酷いわね?」
突撃して来たら【視力】【見切り】から【怪力】【グラップル】【カウンター】【断罪撃】敵の勢いを利用して上空に投げ飛ばす。
「油断したわね?」
水晶短剣を【封印を解く】【武器改造】で大鎌に変形、ジャンプし【空中戦】で【鎧砕き】の一閃。
「終着駅になるのはあなたの方よ?」



●決戦
「シュポポポー!!」
 煙を噴き上げながら機関車怪人が突撃をしてくる。重厚な鋼の体に加えられるすさまじい速度は、驚異的な破壊エネルギーとなって動けないリルイへと襲い掛かる。
 先ほどの逃亡劇の際に兵庫によってもたらされた強襲兵の、リルイの護衛につかせた者達が自動的に反応し、機関車怪人へと飛びかかる。そこにショコとミーナの攻撃も加わり、機関車怪人の突撃は僅かに軌道をそらされ。リルイのすぐ横を通り過ぎて、周囲の看板や像をなぎ倒しながら倉庫へ突っ込んでいき、倉庫が崩壊する。。
「ひ、ひぃ……!」
 鋼の肉体が高加速することで生みだされる恐るべき破壊エネルギー。それが引き起こす惨劇を目の当たりにし、そしてそれが本来自分に向けられていたものである事実に悲鳴を漏らすリルイ。
「大丈夫よ、リルイ君。わたし達が必ず守り抜いて見せるわ」
「ミーナさん……」
 ミーナはそんなリルイを安心させるように優しく微笑む。
 そしてミーナを見つめるリルイの肩に手が置かれる。
「ここが終着駅なら、電車のお前は車庫に帰れよ。いや、汽車だから博物館に帰れのほうが合ってるか?」
「! 兵庫さん!」
「遅くなって申し訳ない、リルイ君」
 それはリルイを無事に逃がすために一時的に別行動をとった猟兵の兵庫だった。激戦があった事を感じさせるように、その衣服は所々焦げていたり焼失しているようだが、大きな怪我を負っていたり苦しんでいる様子はない。
 自分を守る為に残ってくれた兵庫の無事な帰還に、歓喜の色が混じった声をあげるリルイだったが、瓦礫と化した倉庫だった残骸の中から機関車怪人が再び姿を見せると、先ほどの恐怖がぶりかえしてきて硬直してしまう。
「ふふふ。何だか本気っぽい感じの敵が出てきたじゃないの」
 ショコはリルイの前に立ち、その怪人の姿を彼から隠す。
「リルイくん、ここらで一発……声援でも送っておくれよ」
 それは普段と全く変わらぬ声色。何一つ気負ってもいないように思わせる立ち振る舞いだった。もちろんショコの内心はそうではないだろう。油断が出来る相手ではないことはわかっているはずだ。それでも、怖い思いをしているであろうリルイを鼓舞するように、彼の中で今日の出来事が“ヒーローがカッコよく助けてくれたんだぜ!”と自慢したくなるような思いでになってくれるように、あえて余裕綽々を装ったパフォーマンスをしてみせているのだ。
「ショコさん……うん! ミーナさん! 兵庫さん! ショコさん! みんな、頑張れ! 僕の大好きな、猟兵(ヒーロー)達! がんばれー!!」
「……よし。その《呼び声に応じて》戦うならば」
「シュポポポポー!!」
 二度目の突撃、リルイに迫りくる暴威の鉄塊に対して、全身をチョコレートの甘い香りに包んだショコは、一歩も引かず真正面に仁王立ち。
「ショコさん!」
 そしてくる激突の時。激しい衝突音と共にショコに想像を絶する衝撃が叩きつけられる。足が踏みしめる大地の舗装は砕け、めり込み、後ろに押し出される。
「(やっぱり正面から受け止めるのは厳しい、かっ?……でも)」
全身を激痛が駆け巡る。腕が折れそうに、膝を屈しそうになる。でも、それでも。
「が、頑張れ、頑張れ、ショコさん!」
「シュポー! 愚か者シュッ! 貴様もろとも吹き飛ばしてくれ……な、なにぃっ!?」
「私は意外と力あるんだぜ……? ……っりゃああっ!!」
 一歩、また一歩、ショコは機関車怪人を押し返し始める。その事実に動揺した機関車怪人の隙をついたショコは、思い切り突き飛ばす。
「おっと……ふふ、ちょっと本気出しちゃった」
「うおおおお!? あ、ありえんシュポ! 何かの間違いだシュポー!!」
 自分に言い聞かせるように喚く機関車怪人は、再び煙を噴き上げながら体当たりしようと突撃してくる。ただし、ショコを避けるように大きく迂回してだ。
「いやぁショコさん凄いな。しかし、アイツ、見るからに硬くて重そうで、真正面からぶつかれば間違いなく俺はペシャンコですね、せんせー」
 仲間のやってのけた行為に驚きながらも、兵庫は冷静に自己分析する。自身は彼女の様に肉体を強化する手立てはない。であれば彼女と同じようにあの突撃を真正面から受け止め押し返すなどは無理だ。では、回避するか?
「でも回避はリルイ君を危険にさらすので論外」
 そう、論外だ、となれば取れるアプローチは一つしかない。
「なので動けないようにする、ですね?せんせー」
 一方、リルイを中心に背中合わせにもう一方を守っていたミーナも同じ結論にいたっていた。
「あの機動力と馬力は厄介ね。動力か可動部にダメージを与えましょうか」
 二人はそれぞれ相手の発した言葉を耳にした。顔を向き合わせる兵庫とミーナ。視線の交錯。その一瞬で、お互いが詳細まではわからずとも大体同じ事をやろうと考えているのが共有できた。細かい作戦のすり合わせは不要、それだけで十分。
 最初に動いたのは兵庫だ。
「強襲兵のみなさーん! 半分はアイツの視界と聴覚を奪うために顔の周りを大音量で飛び回ってください!」
 兵庫の指示を受けて強襲兵の羽虫達は、機関車怪人の頭を包むように飛び交う。
「ぬおおお、うるさいシュポー!」
 羽虫を振り払おうと機関車怪人はその場でじたばたともがく。するとその腕に光弾が当たる。
「シュポ!? もう一人の猟兵シュポか、小癪な!」
 多少の痛みはあるが大事はない、だが、うっとおしい。しつこく着弾する攻撃に、機関車怪人はミーナの意図を感じ取っていた。
「あら、わたしから逃げるなんて酷いわね?」
 彼女のそんな言葉は羽音に邪魔され届かない、けれど、この攻撃の執拗さが十分に意味を伝えてくる。
「ええい、いい加減にするシュポー!!」
 羽虫にたかられながら機関車怪人はミーナの攻撃が飛んでくる方へ駆けだした。
「(猟兵共はテレビウムのガキを守ろうとするはず。この邪魔な虫共のせいで前が見えないシュポが、この声の方に突撃すれば、それはテレビウムのガキがいる方ということでもあるのだシュポ! 馬鹿め猟兵シュポ!)」
 勿論、ミーナがそれを考えていないわけがない。先ほどの逃走劇では、リルイを守る為に兵庫が彼から離れて敵を引き付けた。ならば今度は自分が同じ事をする番だ。リルイから注意を引き付けるために挑発するような射撃を繰り返した。リルイから離れた場所からだ。そして羽虫達によって視界を防がれた機関車怪人は自分がおびき寄せられている事に全く気付いていない。
「残りの強襲兵のみなさーん! アイツの下半身の関節部位を噛砕してください!」
 兵庫の指示で飛び出した残りの羽虫達は、その進化によって鋼すら噛砕可能となった恐るべきあぎとを開いて襲い掛かる。
「さらに、これだー!」
 複数の衝撃波を撃ち出し、機関車怪人の足元を凸凹にする。
「し、しまったシュポー!」
 足へのダメージと視界不良が祟り、見事凸凹になった地面に足を取られてバランスを崩す機関車怪人。ミーナへ向けて腕を突きだすような恰好で、慣性に任せて飛んでいく。
 そんな無様な恰好の機関車怪人に対して、ミーナは。
「……せぇいっ!!」
 その腕を掴むと、くるりと回り機関車怪人に背を向ける形で、その胸の中に滑り込むように身を躍らせる。そのままもう片方の腕を機関車怪人の脇の下に通して、気合の声と共に投げ飛ばしてみせたのだ。幾つかの世界において存在する格闘技の技。即ち、一本背負いである。もっとも、本来のその技は最後まで腕を掴み続けて床に倒す技だ。今回ミーナは遠心力が最大限にかかった状況で腕を離し、機関車怪人の肉体を空高く放り投げたのだ。
 絡繰りはこうだ、バランスを崩した機関車怪人の腕をミーナは掴んだ。その時既にある異能をその手に宿していた。高濃度の魔力を籠めて光り輝くその拳は、敵の異能を相殺するものであった。そうしてただ吹き飛んでくるだけの存在と化した機関車怪人を、彼女はそのまま投げ飛ばしたというわけである。
「油断したわね?」
 空中に投げ出された機関車怪人にそういうと、ミーナは懐から一振りの水晶で出来た短剣を取り出した。そしてそれに施された封印を解除する。生きた魔剣は限定的にその枷を解かれ、大鎌へと姿を変ずる。それを伴ってミーナも空中へと跳び上がる。
 それに合わせたのはショコと兵庫だ。
 ショコは素早い抜き撃ちでビームキャノンを。兵庫は衝撃波を、大地から切り離された機関車怪人へと浴びせかける。
「私のチョコが甘いうちは、君の好きにはさせないぜ?」
「リルイ君には指一本触れさせない!」
「ぐおおおおシュポー!!」
 絶え間ない連続攻撃に体を欠けさせへこませ、見るも無残な姿になる機関車怪人。最期に見たのは、自らを刈り取るべく振るわれる大鎌の刃だった。
「終着駅になるのはあなたの方よ?」
 大鎌の鎧すら砕くほどの一閃で真っ二つになった機関車怪人は、そのまま空中で爆散し果てるのだった。

●テレビウム・ロック
 そうしてリルイを狙う最後の怪人が倒され、リルイの顔に表示されたカウントもまたやがて『0:00』となる。その瞬間彼から発せられていた光は消え失せた。
「わ、元に戻った!」
 さらにカウントの数字ばかりか、全ての発端となった『鍵のような映像』すらも消えていて、猟兵達は初めてリルイの本来の表情を見る事ができた。
「うわああん、みんなありがとう!」
「よかったわね」
 孤児院の子供達にするように、抱き寄せて背中を撫でてやるミーナ。するとリルイのお腹から元気の良い腹の虫の鳴き声が響く。
「そういえば、朝から何も食べてないや」
 時刻は既に昼にさしかかろうかとしている。騒動が朝食を準備していた時に始まったせいで、リルイは今日はまだショコから貰ったチョコ以外何も食べていなかったのだ。
「ん、それじゃチョコをもういっこあげよう。でもちゃんとご飯も食べないとだね」
「そ、それじゃあお礼もかねてごちそうさせてください! い、一緒にご飯食べにいきましょう!」
 恐怖の怪人達もいなくなれば、後は憧れのヒーローである猟兵達だけだ、こんなビックチャンスは逃すものかと必死である。
「そうですねせんせー。この世界ではあちこちから色々な物が出てくるそうですから、ごちそうになってもリルイ君の生活を圧迫することは少ないですよね」
 そうしてリルイが猟兵達と共に廃駅を去ろうとした、その時だった。
『システム・フラワーズより緊急救援要請』
『全自動物資供給機構『システム・フラワーズ』に、侵入者あり』
『テレビウム・ロックの解除数が多ければ多いほど、開放されるメンテナンスルートは増加する。至急の救援を請う』
 不意に、周囲から謎の音声が発せられたのだ。
「え、いまのって……?」
 びっくりした顔で猟兵達に問うリルイだったが、猟兵達とてこんな現象は初めて見聞きする。彼の疑問に答えられるものはいない。
「テレビウム・ロックと言っていたわね。怪人達も同じことを言っていたわ」
「リルイ君の顔にこの場所が表示されたからここまで来たわけですし、今回の件に関係する何かでしょうか、せんせー」
「……何がおきているのかは、わかんないけど。助けを呼ぶ声があれば、いつだって私たちは駆けつけるさ」
 自分を守ってくれたヒーローの頼もしい言葉に、リルイの不安は吹き飛んだのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2019年04月29日


挿絵イラスト