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テレビウム・ロック! ~ヒロインはとっても大変ですの!

#キマイラフューチャー #テレビウム・ロック! #テレビウム #システム・フラワーズ

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●お嬢様大ピンチ!
 近未来的、はたまた前衛的な建物が立ち並ぶキマイラフューチャーの某リゾート都市。
 そこへ、唐突に暗い影が差し込んだ。
 テレビウムの顔に鍵のような映像が浮かぶ謎の事件。それを追うオブリビオン。
 果たしてこの世界で、何が起ころうとしているのか――。

「助けてくださいですの~!!」
 ライラ、という名のごくごく普通のテレビウムの少女。怪人を倒すヒーロー――猟兵達の動きを日々チェックして、活躍があれば素直に喜ぶ、単なる一ファン。
 それがまさか、怪人に追われるヒロイン役になるなんて。
 全ては、顔に映ってしまったこの鍵の像のせい。
 前触れはなかった。ある時急に映りだし、それからは急転直下、今に至る。
「その命、貰い受けるでござる!!」
 紫の装束に身を包む女忍者達がライラを狙う。召喚された狼の群れの爪は――間一髪、路地へ転がり込んだライラの背後で空を切る。
「ヒーロー様! ヒーロー様~!! どこにいらっしゃいますの~!?」
 ライラの悲壮な叫びが、キマイラフューチャーに木霊する。

●ヒーロー出動?
「皆さん! 『キマイラフューチャー』でテレビウムが襲われる事件が多発しています!! 急ぎ救出に動いてください!」
 ロザリア・ムーンドロップ(薔薇十字と月夜の雫・f00270)は珍しく焦っていた。それほどに切迫した事態、ということなのだろう。
「あぁ!! すみません! えぇっと、概要、概要ですね……テレビウムの顔に鍵のようなものが映り、オブリビオンに襲われる、という事件が起こっていることは、ご存知の方も多いかもしれません! 同じような『悪夢』を私も見てしまったので、力を貸して頂きたいんです!」
 『ぐりもあのーと』をめくる手つきに落ち着きがなく、ロザリアはそのまま早口でまくし立てる。
「場所はとある都市にある路地ですね! 狙われているテレビウムの、ライラさんという女の子が逃げ込んだ場所になります! 皆さんのことは路地の両脇にある建物の屋上へ転送しますので、そこから現場へ飛び込んでライラさんを救出してください! ライラさんを追うのは『紫御殿』と呼ばれる女忍者の集団ですね! 地上を走って追いかけているようですので、うまくやれば先手を取れるかもしれませんね!」
 ライラと紫御殿達は路地に入ったタイミングで少し離れており、普通に割って入ることも可能。うまくタイミングを計れば先手を取る襲撃なども可能なのかもしれない。
「この事件が何を意味しているのかはまだわかりませんが、キマイラフューチャーにとって何か大変なことに繋がっている気がします! 一刻も早い事件解決が必要かと思いますので、宜しくお願いします!!」


沙雪海都
 QKK(急に期間限定シナリオフレームが来たので)。沙雪海都(さゆきかいと)です。
 キマイラフューチャーの波に乗ります。通常より少々短いお付き合いかなと思いますが、宜しくお願い致します。

●本シナリオについて
 戦闘、戦闘&戦闘の戦闘尽くしシナリオです。
 皆さんには建物の上から飛び降りて現場に到着して頂きます。
 皆さんは猟兵です。なんやかんやで何とかなります。

 猟兵が上を取っている分だけ利はあるのですが、オブリビオンはライラの命を最優先に狙っていますので、猟兵が目の前にいなければ、ひたすらライラを狙い続けます。
 そうなってしまうと数の優位性でオブリビオンに押し切られますので、奇襲等はファーストアタック程度に留め、地上でライラを守りましょう。

 二章以降の展開は各章冒頭にて提示致します。

 それでは、皆様のプレイングをお待ちしております。
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第1章 集団戦 『紫御殿』

POW   :    仮面合身の術でござる!
無機物と合体し、自身の身長の2倍のロボに変形する。特に【男子がカッコいいと思うもの】と合体した時に最大の効果を発揮する。
SPD   :    仮面手裏剣の術でござる!
【懐】から【自動追尾する真っ白な仮面】を放ち、【相手の視界を塞ぐこと】により対象の動きを一時的に封じる。
WIZ   :    仮面狼群の術でござる!
【仮面を被った狼の群れを召喚、爪や牙】が命中した対象を切断する。

イラスト:りょうま

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🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『集団戦』のルール
 記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

チコル・フワッフル
ユーリ・ヴォルフと行動
★アドリブ、他猟兵との絡みも歓迎!

助けを呼ぶ声あらば、即参上!
それが私達、イェーガー!!
行こう、ユーリ。あいつらを蹴散らすよ!

建物の上から【聞き耳】でタイミングを伺い、ユーリと共にライラと敵の間に割り込むように飛び降りる!
どうしてライラを狙うの?この鍵は一体、何なの!?
少しでも情報が得られればいいんだけど……。

とにかくライラが最優先!
ユーリと協力してライラを背に守り、向かってくる敵には【シーブズ・ギャンビット】で攻撃!
もし目が塞がれたら【聞き耳】と【野生の勘】を頼りに敵の位置を探り、ダガーで応戦するよ。
キマイラの力、舐めないでよねっ!
遠くの敵にはダガーの【投擲】で攻撃!


ユーリ・ヴォルフ
チコル・フワッフルと行動
アドリブ共闘大歓迎!

鍵付きのテレビニウムを生かしておけない理由があるというのか?
ともあれライラを守るぞ!
猟兵をヒーローに見立ててくれているのであれば尚更だ
ヒロインを救うのだ!

チコルと合わせて飛び込み布陣
カッコいいものと合体?
私は竜がカッコいいと思うが…置物でもあれば先手を打って破壊しよう

【メギドフレイム】を放射状に放ち狩り尽くす
抜けられ危なければライラを『庇う』
彼女に指一本触れさせはしない!

ライラに映し出された鍵とは何なのだ?キマイラFに危険が迫っているのだろうか
鍵…つまりライラ達の生存が、この世界を維持するカギなのだろうか?
ここはチコルの故郷だ
ご家族もいる…守らねば!


エメラ・アーヴェスピア
本当に一斉に映ったわよね
幸いか不幸か単純な事件で助かるわ
お陰で幾つかの事件に関われそうよ

それじゃあ仕事を始めましょう
ふふっ…いい位置ね、私は下りない方が良い援護になりそう
『出撃の時だ我が精兵達よ』!
【地形の利用】をした配置…両脇の屋上に35体をずらっと配置して待機
ドローンを打ち上げて視界を確保、機体やコンタクトと同期

同僚さん達の突入と同時に装備させている魔導蒸気ライフルで【援護射撃】開始よ!
人手が足りないのならその後、私と兵の半数が降下
そこから降下した機体の半数と私がライラさんの護衛をしつつ援護射撃
もう半数は銃剣を着剣、突撃なさい!

まだまだ忙しくなるわ、手早く片付けましょう

※アドリブ・絡み歓迎



●ヒーロー参上!
「ヒーロー様! ヒーロー様~!! どこにいらっしゃいますの~!?」
 路地に響き渡る叫び声。ヒーローの登場を待ち望む少女の元へ颯爽と現れるのは、もちろん――。

「助けを呼ぶ声あらば、即参上! それが私達、イェーガー!!」
 チコル・フワッフル(もふもふウサキツネ・f09826)が転送されて開口一番、前口上を言い放つ。眼下には逃げるテレビウム、ライラと追う紫御殿達。
「行こう、ユーリ。あいつらを蹴散らすよ!」
「任せろ! 私達猟兵をヒーローに見立ててくれるのであれば、尚更助けないわけにはいかない! ヒロインを救うのだ!」
 ユーリ・ヴォルフ(叛逆の炎・f07045)もまた、いたいけな少女の声に応えるべく、闘志を燃やしていた。
「エメラ、援護はお願いね!」
「えぇ、任せて。ここはいい位置だから、下りない方がいい援護ができそうね」
 チコルとユーリの背後に控えるエメラ・アーヴェスピア(歩く魔導蒸気兵器庫・f03904)は屋上の様子を確認しながら準備を整える。自分が居る場所と、その向かい側の建物。高さはほぼ同じ。
『出撃の時だ、我が精兵達よ!』
 エメラの号令で、屋上へ次々に現れる戦闘用魔導蒸気兵。その数、ずらりと三十五体。路地を両側から挟み、銃口を一斉に下方へ向ける様はまさに壮観。
 最後にドローンを打ち上げ、路地内の視界をしっかり確保する。
「よし、今だね!」
 ライラの動きと紫御殿の動きを足音の大きさ、そして方向で把握し、チコルがタイミングを見計らって屋上から飛んだ。ほぼ同時、ユーリも背の翼を大きく開き、飛び立っていく。
 そして開戦の合図と言わんばかりに、
「さぁ出番よ! 勝利の為に! 一斉掃射!!」
 魔導蒸気兵が装備する魔導蒸気ライフルが一斉に火を噴いた。チコルとユーリの降下を察知した紫御殿が空を見上げた瞬間、視界に広がる灼熱の流れ星。先頭を行く紫御殿から順にハチの巣にされ、倒れていく。
「多くの事件が起こっているけど、幸か不幸か敵の狙いが単純で助かるわ」
 複数の事件に関わっていれば、自ずと対処法も見えてくる。初撃を綺麗に決めたエメラは、さらに現れる後続の紫御殿へ、魔導蒸気兵を指揮し照準を定めさせる。
 エメラの銃弾が降り注ぐ中、チコルとユーリは行く手を遮るように紫御殿の前で着地した。
「まさか……ヒーロー様ですの!?」
「そうだよ! ライラ、絶対守るからね!」
「ああ、私達が来たからには、もう大丈夫だ!」
 倒れた紫御殿を乗り越えて、路地に雪崩れ込んでくる新たな紫御殿。装束の中に手を伸ばし、懐から真っ白な仮面を取り出しチコルへ放った。まるで生き物のように、仮面は正面を向いたままチコルを自動追尾する。
「こんなのっ……!」
 取り付こうと仮面はチコルの顔を狙い、周囲を飛び回る。そこへチコルはダガーを取り出し、接近してきたものから鋭い一閃を浴びせ、真っ二つに切り裂き地面に落とす。
「私には、効かないよっ!」
 新たな仮面を取り出そうとした、一瞬の隙を見逃さない。相手の領域に踏み込んでダガーを真上から一振り。敵が身に付ける仮面も、装束も、纏めて体を両断した。
「どうしてライラを狙うの? この鍵は一体、何なの!?」
「教える義理などないでござる!」
 紫御殿達の目論見は分からぬまま。何か情報を得られれば、と考えていたチコルだったが、この様子では何があろうと口を割ることはないと判断し、撃破に全力を注ぐことにした。
 幾度かの攻防。紫御殿達が押され始めている。
「うぐぐ、ならば、仮面合身の術で――」
「させん!!」
 紫御殿の次なる動きを察知したユーリが先制して炎の剣を放つ。それは紫御殿達の間をすり抜けて、路地を出た表通りの反対側、観光の一環にでも作られたオブジェクトに命中、粉砕していった。
 紫御殿が戦闘中にも関わらず視線を向けた先。当然、何か理由があるはず。ユーリは先んじて危険の芽を摘み、紫御殿の攻撃手を潰す。
「これで何もできまい。灼熱の炎を食らえ!」
 ユーリは新たな剣を生成し、放射状に目の前へ並べていく。燃え盛る炎で景色が揺らめき、紫御殿にとってはそこが地獄のように見えていただろう。
 打つ手無く、一旦退こうかと後ずさったところへ、ユーリの炎の剣が襲い掛かる。紫御殿達の体へ突き刺さると切り口から延焼し全身が炎に包まれ、黒塊となって悶え苦しむ形のまま地面へ崩れていった。
 エメラの援護射撃にチコルとユーリの奮闘もあり、紫御殿は急激に数を減らしていく。ドローンから路地全体を俯瞰しているエメラは、その入り口、表通りとの接続点へ視点を移して。
「……もう追撃はなさそうかしら? でも……きっとまだまだ忙しくなるでしょうし、手早く片付けるのが賢明ね」
 路地の中では、ユーリが放つ炎の剣の延焼により完成した炎の檻に囚われ動けない最後の紫御殿達へ、チコルが遠い間合いからダガーを飛ばし、動けぬ的を一つ一つ確実に射抜いていた。
 もはや反撃の様子もないが、敵は確実に滅しておかねばならない。
「照準、合わせ!」
 エメラの号令で一斉に銃口は炎の中心、紫御殿達が固まる一帯へ。
「集中砲火!」
 ズドン、と右十八、左十七、計三十五門から繰り出された砲火の衝撃は建物をも揺り動かす。密に放たれた銃弾は紫御殿達の急所を悉く撃ち抜いて、焼けた地面へと沈めていった。

 一つ仕事を終え、エメラも魔導蒸気兵を引き上げてライラの元へ下りてくる。
「ヒーロー様! 感謝致しますの!!」
 ライラは頭をぺこぺこ下げて感謝の意を示すが、その顔には依然として鍵が映し出されたまま。
「しかし、ライラに映し出された鍵とは何なのだ? キマイラフューチャーに危険が迫っているのだろうか」
 意味があることは確かなのだろうが、それがどういったものなのか、現段階ではユーリにも判断がつかない。
 だが、一つわかっていることがある。この世界は、彼が何よりも大切に想っている、チコルの故郷。
(もし、ライラのような、鍵が映し出されたテレビウムが、文字通りこの世界を維持する『カギ』なのであれば……ここにはチコルのご家族もいる。何としても……守らねば!)
 この事件の先に何があろうとも退かない決意を、ユーリは改めて固めていた。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​




第2章 集団戦 『邪悪な仮面』

POW   :    怪光線
レベル×5本の【闇】属性の【光線】を放つ。
SPD   :    闇影の鎖
【自身の影】が命中した対象にルールを宣告し、破ったらダメージを与える。簡単に守れるルールほど威力が高い。
WIZ   :    暗黒の力
予め【邪悪なオーラを纏う】事で、その時間に応じて戦闘力を増強する。ただし動きが見破られやすくなる為当てにくい。

イラスト:夜月蓮華

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種別『集団戦』のルール
 記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


●鍵の導き
 紫御殿の襲撃からテレビウム、ライラを守り抜いた猟兵達。彼女の顔に映し出された鍵が意味するものは――そんなことを考えていた矢先、鍵が顔の中でぶるぶると動き出す。
「な……何が起きてますの!?」
 狼狽えるライラ。鍵はぎゅんと縮み、それから新たに顔に現れた幾何学的な地図の、光る一点を指し示す。
「ここは……街の広場ですの! ここに、何かあるんですの……?」
 どうしてライラの鍵が場所を指し示したのか。理由は不明だが、鍵の謎を解き明かす何かが掴めるのかもしれない。
 猟兵達はライラと共に、鍵が示した場所へ向かおうとしたが――。

 表通りに出てみると、ライラを狙う新たなオブリビオンの集団。
 謎の仮面が飛来し、その命を脅かす。
 広場までは表通りをひたすら突き進むだけ。移動に関してあまり複雑には考えなくてもよさそうだが、敵は地上、空中、どちらからでも攻撃を仕掛けられる存在。
 ライラを守り抜くのは一筋縄ではないかもしれない。
 猟兵達は果たしてライラを護衛しつつ、広場まで辿り着くことができるだろうか。
ヴィゼア・パズル
ふむ、警護とあらば助太刀しよう
広場までの道を切り拓くのなら…この方法しかあるまい?

【WIZ】使用 絡みアドリブ歓迎

【地形を利用、敵を盾にする】事で攻撃回避し【カウンター】にて【なぎ払い・範囲攻撃】を併用。一度に複数体へ【マヒ、二回、属性、範囲攻撃】の【鎧砕き、全力魔法】を叩き込む
連携が可能であれば合わせよう。

全く、シューティングゲームが上手くなりそうだ。……丁度平らな相手だ。……フロゥラ、競争だ。…より、多く仕留めた方が勝ちだぞ?



●攪乱
 開けた大通りは遮る物もなく、広場までの道のりも、ただ向かうだけでは絶好の的となってしまう。
「ふむ……警護とあらば助太刀しよう。広場までの道を切り拓くのなら…この方法しかあるまい?」
 その道中、合流したヴィゼア・パズル(風詠う猟犬・f00024)はテレビウムのライラを連れ、大通りを大きく蛇行しながら進んでいく。
 一見すれば無駄な動きが多いようにも見えるが、ライラを狙ってやってきた邪悪な仮面もまたライラ、そしてヴィゼアを追跡するように大通りの中を激しく動き回る。邪悪なオーラを纏いながら、仮面の中にはめ込まれた目玉を光らせ、ヴィゼアへと光線を放とうと狙いをつけるが。

 ――ビィィィィン!!

 邪悪な仮面から光線が放たれた瞬間、別の邪悪な仮面が同じようにヴィゼアへ狙いをつけようと大通り内を横切って、背後の仮面が撃ち出した光線の射線に入り、射抜かれた。
 大きく開け過ぎた場所、という大通りの特性を逆手に取り、ヴィゼアは自身の動きで敵陣をかき乱すことにより、同士討ちが発生してしまう不安定な状況を作り出していた。
 感情を察することはできないが、仲間の仮面を図らずも撃ってしまった仮面の動きが止まり、その動揺らしきものが他の仮面へも伝播する。
 気が付けば、敵に踊らされていた――それが現実。
 当然、全てを理解するにはもう遅い。風の精霊、フロゥラの加護を受け、ヴィゼアの周囲に激しい旋風が巻き起こる。ヴィゼアの持つ全ての力をそこへ注ぎ、自身の体の何倍にも立ち上がらせて。
『傘すら貫く雨を与えん』
 鎌鼬の属性を備えた旋風を両腕で操り、視界に収められる全ての仮面へ向けて薙ぎ払うように放つ。宙を駆け抜ける中で細かく凝縮した二つの旋風は、数多の高気圧弾へと変化して仮面の中央の目玉に飛び込んだ。ハンマーを叩きつけられたかのような衝撃に、込められた麻痺の力も加わって仮面の目から光が失われていく。重力に引かれて地面へ落ちると、がしゃりと砕けて動かなくなった。
「全く、シューティングゲームが上手くなりそうだ」
 敵勢力、第一陣を撃破しライラを連れるヴィゼアへと、第二陣が侵略者の如く上空へ溢れ、二人を不気味な眼光で見下ろしている。
「……丁度平らな相手だ。……フロゥラ、競争だ。……より、多く仕留めた方が勝ちだぞ?」
 狙いもつけやすく、丁度いい標的。依頼の最中にある種の娯楽を見出せるのも、その実力故の心の余裕か。
 ヴィゼアは傍らの精霊に語り掛け、新たな敵を前に不敵に笑っていた。

成功 🔵​🔵​🔴​

エメラ・アーヴェスピア
…この子は街の広場なのね
それなら、早く送っていきましょう
鍵を使ってしまえば、追ってくることもなくなるのではないかしら?

それじゃあ、護衛しつつ急ぎましょうか
猟犬、ライラさんを乗せてあげなさい、盾も回すから護衛は任せたわよ。
相手に行動をさせては危険だわ、出来るだけ素早く片付けましょう
『我が砲音は嵐の如く』!狙うは空中から来る仮面!
地上の同僚さんを撃たず、そちらの方面の敵を一掃できるから私が担当した方が早いわ!
相手の影がこちらに来る前に、大量の光線を撃たれる前に、【一斉発射】で片付けなさい!
それでもライラさんによって来ようとする奴は私のガトリングガンに攻撃命令、撃ち落とすわ

※アドリブ・絡み歓迎



●地上にて空を制圧する者
 ある猟兵が攻撃に重きを置けば、別の猟兵がライラの護衛に回る。
 役割を分担し、時に交代しながら、猟兵達は広場を目指す。
「この子は街の広場なのね……行き先がわかれば、後は早く送っていくだけね」
 ライラの身を託されたエメラが付き添いながら大通りを走る。
 全ての事件が全く同時に起こっているわけではない。先に発覚した事件を手掛かりに、エメラは今ライラが置かれている状況を察していた。
 ライラがオブリビオンに狙われる理由は、間違いなく彼女の顔に映し出された鍵にある。
(……なら、鍵を使ってしまえば、追ってくることもなくなるのではないかしら?)
 至極単純な、一つの解決策。
 ただ、ライラの顔にある鍵は取り出せるものではないし、合致する鍵穴も見当がつかない。
 今は鍵が導くままに、広場へ向かっていくしかない。
「猟犬、ライラさんを乗せてあげなさい、盾も回すから護衛は任せたわよ」
 『魔導蒸気猟犬』にライラを任せる。そして『浮遊型魔導蒸気盾』の護衛対象を猟犬に設定し、走らせた。
 エメラは体を反転させ、邪悪な仮面と対峙する。
『我が砲音は嵐の如く!』
 上空にいる仮面を見据え、浮遊型魔導蒸気ガトリング砲を多数展開。空へ伸びる砲身が隙なく仮面を狙っている。
 先行して繰り広げられていた戦いの最中、仮面が起こした同士討ち。同じようなことを自分の力で起こしてしまうかもしれない、と危惧し、エメラは率先して手が届きにくい上空の敵を相手取る。
 銃器を操る彼女にとっては、それが最も都合がよかった。
 上空の仮面の瞳が闇色に輝く。禍々しい力の片鱗。攻撃の気配を感じ取り、
「撃たれる前に……撃ち落とすわ!」
 ガトリング砲が一斉に開放され、地上から空へ撃ち出された弾丸のスコールが上空の仮面達を激しく撃ち、穿ち、呑み込んで跳ね飛ばしていく。光線の発射もままならなくなった仮面は弾丸の衝突の勢いでくるくる回転しながら宙に踊り、穴だらけの姿で地上へ墜落した。
「まだまだ! 『お片付け』はこれからよ!!」
 ライラへは近づけさせまいと、エメラは追撃の銃口を新たな仮面へ向け、攻撃命令を出すのだった。

成功 🔵​🔵​🔴​

チコル・フワッフル
ユーリ・ヴォルフと行動
★アドリブ、他猟兵との絡みも歓迎!

ライラが無事でよかった!
……んん?今度は画面に地図?
ここに何があるんだろう?
確かめる為にも、あの仮面を何とかしないとだね!

敵がいろんな方向から攻めてくるなら……これでどう!?
ライラ、じっとしててね!
持っていたダガーを大量の花弁に変え、【橙の花嵐】を巻き起こしてライラを守るように花弁の渦を作ろう。
ライラに近寄る仮面は切り裂かれちゃえ!

花弁が届かない敵には、ユーリと私で対応するね。
ユーリの炎はやっぱり凄いね、私も頑張る!
【聞き耳】と【野生の勘】を使って仮面の攻撃を読み、【見切り】や【ジャンプ】で躱しながらダガーで一閃!
綺麗に割ってあげるよ!


ユーリ・ヴォルフ
チコル・フワッフルと

四方八方敵だらけだな
逆に言えば撃てば当たるということ
目に入りにくい上空に気にかけながらメギドフレイムをはなつ!上を取ったからと勝ったつもりでいられては困るな!

勿論ライラを守る布陣
光線は相殺できるだろうか?狙っていくぞ!
いざとなれば庇う
オーラ防御で弾き、激痛耐性で耐える

迫られたら属性攻撃・風で竜巻を起こし吹き飛ばす!

怖いだろうな、ライラ
だが猟兵が…ヒーロー達が付いている
私も、チコルもだ
正義は勝つ。という言葉は知っているだろうか?ヒーローの為の言葉だ!

勝てる!だから大丈夫!ここを切り抜けて、より良い未来を掴み取るぞ!と全力で励ますぞ!



●猟兵は世界のヒーロー
 猟兵達は仮面の大部分を押し留めていたが、それでもなお、掻い潜ってライラへと迫る仮面があった。猟兵達の射程よりも遥か上を抜け、また道を外れ、裏の通りから死角を狙って。
 ともかく、異常なまでの執念を見せて、ライラという存在を追跡する。
「ライラが無事でよかったけど、ここに何があるんだろう? ……って、確かめるためにも、まずは仮面を何とかしないとだね!」
「四方八方敵だらけだが……勝機はある――いや、掴んでみせる!」
 回り込んできた仮面は前方にも現れ、チコルとユーリの行く手を遮る。ライラの安全は別の猟兵が仕掛けた盾が機能しており、今のところは担保されているが、包囲に近い今の状況を懸念し、チコルはさらに身を守る術を上乗せしていく。
「ライラ、じっとしててね! 花よ! 全てを切り刻め!」
 手にしたダガーを放り投げ、キツネノカミソリの花びらへと変化させてライラとその乗り物を頭から覆っていく。それからライラを中心に、螺旋を描くように動かして橙の花嵐を巻き起こした。
 邪悪なオーラを湛えた仮面が、花嵐を突き破ろうと突進してくるが、
「ライラに近寄る仮面は切り裂かれちゃえ!」
 チコルは花嵐の密度を変化させると、仮面の前に重厚な壁を作り、突破を防いで切り刻んだ。
「この状況なら、撃てば当たるということか」
 周囲、そして上空を確認。どの方向に目を向けても、不気味な仮面が視界に現れる。ならば、とユーリは炎を全方位へ展開し、
『内に眠りし竜の焔よ。我が剣となりて、敵を穿ち焼き尽くせ!』
 炎から突き出した剣がミサイルの如く、あらゆる方向の仮面に向かって撃ち出されていく。
 標的はその瞳。放たれた闇色の光線は剣の切っ先に当たり、高密度のエネルギーが周囲へと拡散、消滅。
 だが、炎の剣は勢いが衰えぬまま、力の源、不気味な眼球を貫き、焼き尽くす。空中でぶるぶると震えながら焼かれた仮面は、ある時ふっと動かなくなり、地面へカランと落下する。
 ユーリとチコル、二人でライラを守る布陣を構成するが。
 目の前を、横を、背後を、炎が走る。ユーリはふと、ライラの様子を気に掛けた。
「……ライラ、怖いか?」
「こ、怖くなどは……」
 気丈に振る舞っていたかったが、自分の心に嘘はつけない。俯いてしまうライラへ、ユーリは優しく声をかける。
「怖くていいんだ。こんなの、普通なら誰だって怖い。だが、今は猟兵が……ヒーロー達がついている。私も、チコルもだ」
「そうだよ! だから、安心してていいんだよ!!」
「…………」
 投げかけられた言葉は温かく、ライラの中で勇気に変わる。
 ユーリやチコル、それに他の猟兵達――ヒーローと一緒なら、きっと大丈夫。
 顔を上げれば、それを待っていたと、ユーリとチコル、二人して笑ってみせた。
「正義は勝つ。という言葉は知っているだろうか? ヒーローの為の言葉だ!」
「ヒーローは、絶対に負けないんだよ!!」
 ライラへ向けた約束。そして、自分達へ向けた決意。ユーリは残る仮面達へ、属性の力を込めた風を巻き起こす。
「おおおぉぉっ!!」
 一筋の流れが爆発的に成長し、竜巻となった。仮面達を宙からはぎ取り、巻き込んで地上に引き落としていく。
 ただ、仮面達もただでは転がらない。竜巻の中で制御を失ったと見るや、特攻覚悟でオーラを溜め込む。竜巻の勢いに乗り襲い掛かることができれば僥倖。機を狙うが――。
「危ないことしようとしてるよね!? だったら、綺麗に割ってあげるよ!」
 竜巻の表層に出ようとしていた仮面達を、チコルが外から次々にダガーで斬りつける。高速回転する仮面の音を聞き、的確に刃を当てて一撃必殺。真っ二つになった仮面は竜巻から弾き出されて地面に叩きつけられた。
「これで……最後っ!」
 かち合った視線を消すように、チコルは全力で仮面へ一閃。刃は滑らかに仮面の中を滑り、振り抜かれた後ろで割れた仮面が弾け飛んだ。
「……よし! このまま、一気に突っ切るぞ!」
 追っ手はもうない。やがて後方で仮面達を迎撃していた他の猟兵とも合流して。

 猟兵達はライラを連れて目的の場所、街の広場へと駆け込んだ。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​




第3章 ボス戦 『翡翠葛』

POW   :    蹂躙せし牙デルフィニウム
自身の身長の2倍の【牙を持つ、仮面を被った巨大怪獣】を召喚し騎乗する。互いの戦闘力を強化し、生命力を共有する。
SPD   :    狂い躍るロベリア
見えない【高性能トラップを展開、誘導するよう攻撃】を放ち、遠距離の対象を攻撃する。遠隔地の物を掴んで動かしたり、精密に操作する事も可能。
WIZ   :    蒼き閃光ブルースター
対象のユーベルコードの弱点を指摘し、実際に実証してみせると、【その強化版で攻撃、追撃の蒼い閃光】が出現してそれを180秒封じる。

イラスト:佐倉弥美

👑7
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種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は宇冠・由です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


●動き出す鍵の力
 ライラの顔に映し出された鍵が示した街の広場。何があるかと思えば――何もない。
 キマイラフューチャーに住む人々にとっては、いつもと変わらぬ広場だった。
 だが、広場に辿り着いたライラの身に突然の異変。眩い光を放ち始めたのだ。
「ななななっ……なんですの~~~!?」
 跳んで回って。驚きでじたばた動き回るライラだが、光が収まる気配はない。
 猟兵達も様子を見ているしかなかったが、光に誘われ、更なるオブリビオンがやってくる。
「ここまで来てしまっていましたか。いけません、いけませんね……」
 猫の手を持つ謎の少女。翡翠葛と呼ばれるその少女は。
「その光が収まるまでは……十五分程。その前に、殺してしまいましょう」
 明確な敵意を向けて、にゃん、と翡翠葛は気取った振る舞いを見せた。

 ライラが放つ光は、何かしら、オブリビオンにとって良くない兆候なのか。
 謎は増えるばかりだが、猟兵達がすべきは一つ。光が収まるまでライラを守り切り、この襲撃者を撃破するしかない。
 鍵はこの広場を示した。この場所であることが重要なのだろう。故に、移動することはできない。
 敵からの逃走は図れない。ならば猟兵達にできるのは、ここで迎え撃つことだけだ。
エメラ・アーヴェスピア
そして始まるは防衛戦…と言う訳ね
猟兵としてしっかりと護らせてもらうわ
何が起きるのか確認する為にも、ね

私の立ち位置はライラさんの近くで護衛に徹するとして…
攻撃用のUC、こういう防衛戦には『陣地』を張りたかったのだけど…
弱点、明確な上に強化版出されると非常に厳しい事になるのよね…
だから逆に相手の行動を利用できる行動は…これね
『我が砲火は未来の為に』!
召喚するのは大型の重砲(攻撃力重視)、同僚さんの【援護射撃】よ
その大きくなった的、撃ちぬいてあげるわ
ただ、隙を見せるようならば…一瞬でも『この場は既に我が陣地』を呼び出して一斉砲撃をしてやるわ
さぁ、勝負よ

※アドリブ・絡み歓迎


ユーリ・ヴォルフ
チコル・フワッフルと行動
アドリブ共闘大歓迎!

15分間守りきれば良いのだな。先が見えたな
ライラに近づかせはしない
あと少しだ。やり遂げるぞ、チコル!

巨大怪獣か、厄介だな
突進してきたら、ライラを抱えジャンプからの飛行で躱す
チコル!避けろ!
そのまま頭上からメギドフレイムを叩きつける!

飛行し続けても的になりかねない
足場の良い場所に着地し再度チコルと協力して盾となり前へ出る
吹き飛ばしで軌道を逸らし
足をめがけ鎧無視攻撃からの串刺しを繰り出す

際どければオーラ防御と激痛耐性で庇う
ライラを傷つけさせはしない
ヒーローは期待を裏切らないものだ
守るべき人がいる時こそ燃え滾る!
負ける気がしないな
貴様達の力はそんなものか!


チコル・フワッフル
ユーリ・ヴォルフと行動
★アドリブ、他猟兵との絡みも歓迎!

わわっ!ライラ、大丈夫!?
痛いとか苦しいって感じじゃないのなら、ちょっと安心かも。
了解だよ、ユーリっ!あと少しで謎が解けるかもしれないしね。
ライラは絶対に守る!

厄介な攻撃をしてくるオブリビオンだね……!
敵の攻撃には【野生の勘】を駆使しながら【ダッシュ】や【ジャンプ】で回避を試みるよ。

手強い相手だけど、ユーリと一緒なら……!
ユーリが前に出たタイミングで真の姿を解放。
髪や尻尾の先に花を咲かせ、【橙の花嵐】を操って敵の背後からの攻撃を狙う!
私の花弁はとっても痛いよっ!

技を封じられたら、ダガーを構え【捨て身の一撃】。
ヒーローは、絶対に諦めない!!



●一難去って
「わわっ! ライラ、大丈夫!?」
「とっ、とりあえず大丈夫ですの! びっくりしただけですの~!!」
 翡翠葛の登場により場の空気が引き締まり、ライラも猟兵達の陰に隠れながら落ち着きを取り戻しつつあった。
「痛いとか苦しいって感じじゃないのなら、ちょっと安心かも」
 ライラの身を案じながら、チコルは珍しくキッと眼を釣り上げ、翡翠葛を睨みつける。
「始まるは防衛戦……と言う訳ね」
「十五分守り切る……先が見えたな。ライラに近づかせはしない」
 エメラとユーリも揃い、翡翠葛へと立ちはだかる壁となる。小さいライラは完全に見えなくなってしまい、翡翠葛が目的を遂行するには目の前の猟兵達を倒さなければならない。
「邪魔ですねえ、ええ、邪魔ですね。まずは、あなた達から倒してしまいましょう」
 肉球が見える右腕を猟兵に向けて突き出し、宣戦布告。
「あと少しだ。やり遂げるぞ、チコル! エメラ!」
「了解だよ、ユーリっ! あと少しで謎が解けるかもしれないしね! ライラは絶対に守る!」
「ええ。猟兵としてしっかりと護らせてもらうわ。何が起きるのか確認する為にも、ね!」
 戦いの火蓋が切られた。前に出たのはユーリ、そしてチコル。エメラは戦いの中でライラの守りが手薄にならぬよう、後方に控えて戦況を見る。
「来て下さい、蹂躙せし牙デルフィニウム!」
 翡翠葛の前に、映像が読み込まれるかのように足元から現れ召喚されたのは、牙を持つ、仮面を被った二足歩行の巨大怪獣、デルフィニウム。翡翠葛の二倍ほどの高さを持つ全体像を出現させると、翡翠葛は跳び上がりその頭上に着地した。
 仮面の下に感情を感じさせない瞳がギラリと光り、ぐぐっとチコルを見下ろしてくる。
「……っ!」
 圧倒されるチコルへ、怪獣は地面ごと根こそぎ掘り起こすように腕を振り下ろしてきた。チコルの周囲を包む影がその襲来を告げる。刹那、風が変わるのを感じ、チコルは後方へ跳んだ。眼前を太い腕が浚っていく。
「巨大怪獣か……厄介だな」
 チコルを逃した怪獣が、次はユーリに狙いを定めた。巨体を揺らし、太い脚で地面を抉っての突進攻撃。重戦車が迫るほどの威圧感の中、ユーリは一歩も引くことなく、翼を広げ、飛んだ。
 存在するものを全て弾き出す質量が眼下を通過し、搔き乱された風の奔流にユーリは危うくバランスを崩しそうになる。
(ライラを任せられたのは……運がよかったな)
 オブリビオンからライラを守る――その一心で、ユーリはライラを抱えながらオブリビオンに立ち向かうことも考えていたが。
 ライラは今、エメラの護衛で翡翠葛の脅威から離されている。
 だからこそ、出せる全力。
「チコル! 避けろ!」
 ユーリの声にチコルがパッと跳び退いて、空間にぽつんと翡翠葛と怪獣が取り残される。
『内に眠りし竜の焔よ。我が剣となりて、敵を穿ち焼き尽くせ!』
 具現化した竜の焔が渦を巻きながら一つに合わさり、巨大な炎の剣となる。柄を握る動作、振り上げる動作。ユーリの動きに合わせて剣は宙に動き出し、縦一閃。怪獣の背を斬り裂いた。
「……っ! デルフィニウム! 後ろです!」
 生命力を共有しているが故に、怪獣に与えられるダメージがそのまま翡翠葛へと伝わっていく。手痛い一撃を受けて、翡翠葛は空を飛ぶユーリへと反撃の牙を剥く。
(こういう防衛戦には、『陣地』を張りたかったのだけど……)
 ライラの護衛に徹しつつ、エメラは手を探る。攻撃用に備えているユーベルコードは数あるが、翡翠葛が持つ『敵の弱点を看破』することで威力を発揮するユーベルコードとは相性が悪いように感じていた。
 それは、エメラが自身の力の良さも悪さも、全てを知り尽くしているからこそ。力に驕っていては思わぬところで足元を掬われてしまう。
 弱点にも目を向けて研鑽を積んだエメラが、敵の、そして自身の性質から導き出した答えは。
『我が砲火は未来の為に!』
 宙に描かれる形は浮遊型魔導蒸気砲。様々な種類の砲を召喚できるが、エメラがこの場で選んだのは大口径を持つ重砲、攻撃力重視だ。
「その大きくなった的、撃ちぬいてあげるわ!」
 響く爆音。重砲が吐き出した砲弾は怪獣の巨体へ着弾し、ぐしゃりと体格を歪ませた。各個撃破のために狙いを絞ろうとしていたところへ別の角度から攻撃を受けてしまい、翡翠葛の集中が途切れてしまう。
「あちこちから……邪魔ですね……!」
 怪獣に騎乗する翡翠葛が不快の色を露にする。ギリギリと奥歯を噛み締めながら、怪獣を操りエメラを正面に捉える。
 重砲ではあるが浮遊型。機動性はそれなりにある。翡翠葛の意識を引きつけながらエメラは移動砲撃を繰り出し牽制。その隙を埋めるように、ユーリは空から、チコルは地上を回り込んで、エメラと入れ替わりでライラの護衛についた。
「ライラ、もう少しの辛抱だ」
 未だ光りを放つライラ。戦いの外にはいるが、目の前では、それこそ映画のスクリーンくらいでしかお目にかかれないような怪獣大戦争が繰り広げられている。
 ここまで喚きも騒ぎもせず、猟兵達を信じ続けるライラを背に庇いながら、
「ヒーローは期待を裏切らないものだ。守るべき人がいる時こそ……燃え滾る!」
 新たな炎の剣を手に取るユーリにチコルが並んだ。
「ヒーローは、絶対に諦めない!!」
 ライラのヒーローとして、彼女を守る。それは一人では難しいかもしれないが、今は隣にユーリがいる。
 チコルは真の姿を解放し、ダガーを散らして花びらを纏った。姿の変化に合わせて、チコルの髪と尻尾の先に花が咲く。
 エメラが翡翠葛を振り回し、ユーリとチコル、二人に向けられた怪獣の背中からは焼け焦げた煙が立ち昇る。
「負ける気がしないな。貴様達の力はそんなものか!」
 叫び、ユーリが前に出る。携えた炎の剣を、今度は斬るのではなく、突く――巨体を支える足を狙い、渾身の串刺しを繰り出した。
 刺さった炎は刺創から溢れて足を焼く。
「私の花弁はとっても痛いよっ!」
 立て続けに、チコルが橙の花嵐を起こし、怪獣の背中へぶつけていく。旋回する花びらが無数の刃と化して傷ついた背中を猛烈に切り刻み、ついに怪獣の足が崩れる。
 騎乗していた翡翠葛も怪獣の頭上で両手をついて、襲い来る痛みに苦しんでいた。
「こ……これくらいで……」
 油が切れたかのように、怪獣の動きはぎこちなく、鈍い。これ以上の無い隙に、エメラが動いた。
「さぁ、勝負よ」
 浮遊型魔導蒸気砲の召喚を解除し、次に呼び出すは小型の戦闘用魔導蒸気砲台。実に百八十基の金色の砲台がずらりと並び、翡翠葛とその怪獣を射程に収めていた。
「そんなもの、蹴散らして……!」
「できるかしら? ……いくわよ、一斉砲撃!!」
 怪獣が一歩、踏み出す。同時に一音。時間差なく、一律に放たれる百八十発の砲弾は、怪獣の巨体、その全てを塗り潰すようにありとあらゆる箇所へ命中した。
 屹立した怪獣は不動。エメラの猛攻すら、耐え凌いだか――と思われたが。
 さらさら、頭のてっぺんが崩れてくると、後は一気に召喚物の怪獣も、翡翠葛自身も力を失い、消滅していった。

 猟兵達がライラを守り切った。そして輝き始めてから十五分。光がすっとライラの中へと吸い込まれるように収まっていくと、ライラの顔に映っていた鍵もいつの間にか消えていた。
 何が起こるか――固唾を呑んで見守る猟兵達へ、謎の声が響いてくる。
 それはあたかも周囲の構造物が喋っているかのように、どこからともなく。

「システム・フラワーズより緊急救援要請」
「全自動物資供給機構『システム・フラワーズ』に、侵入者あり」
「テレビウム・ロックの解除数が多ければ多いほど、開放されるメンテナンスルートは増加する。至急の救援を請う」

 システムエラーを告げるような、形式的な文言。だが、それは確実に、キマイラフューチャーに迫る危機を猟兵達へと知らせていた。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2019年04月21日


挿絵イラスト