1
てれびうむろっく

#キマイラフューチャー #テレビウム・ロック! #テレビウム #システム・フラワーズ

タグの編集

 現在は作者のみ編集可能です。
 🔒公式タグは編集できません。

🔒
#キマイラフューチャー
🔒
#テレビウム・ロック!
🔒
#テレビウム
🔒
#システム・フラワーズ


0




「皆、大変よ」
 何時になく慌てた様子で猟兵たちに呼びかける瑠璃凰花・未来(神避の熾天使・f13139)。
「キマイラフューチャーでよくわからない出来事が発生してるそうなの」
 そう告げる未来。いや、そう告げられても猟兵達はなおのことわからないだろう。
 その証拠に、猟兵達は頭の上にクエスチョンマークを浮かべている。
「……ああ、ごめんなさい。ちょっと落ち着くわ」
 そう言って、一度後ろを振り向くと、すーはーと、何度か大きく深呼吸する。
 そうして振り返り、改めて皆に向き直った。
「……端的に告げると、テレビウム達の顔に鍵マークが浮かび上がる現象が発生してるそうなの」
 曰く、普段どおりの顔のテレビウムも普通にいるらしく、何が原因でそうなっているかはわからないらしい。鍵マークが浮かび上がるテレビウムたちに共通点があるかと言えばそうでもないようだ。
「それに加えて、厄介なことにその鍵マークを映すテレビウムたちが怪人たちに襲われるという事件があちこちで多発し始めてるの」
 一体怪人たちは何を目的に鍵マークを浮かべるテレビウムたちを襲うのか。まるでそれは、鍵マークに何らかの意味があっての行動にも見えなくはない。
「キマイラフューチャーに長く住むテレビウムの人なら何か知ってるかもしれないけど……でもその前に、まずは怪人たちに襲われるテレビウムたちを救い出す必要があるわね」
 救い出せれば、テレビウムたちから話を聞くことが出来るだろう。
「私が予知した範囲で確認したのは、大群で押し寄せる蜂と忍者ね。……いや、蜂もどきと忍者もどきかしら?」
 首を傾げる未来。
 どうやら、蜂の容姿を持つ人型の怪人たちと、忍者の衣装を身に纏う全然忍者らしくない怪人たちがテレビウムたちを襲っているようだ。
 どちらも集団で襲ってくるため、それを想定した戦いの準備が必要となるだろう。
「やり方はあなた達に任せるわ。倒しちゃうでも撤退させるでも。とにかく、テレビウムたちを守ることが最優先よ。敵も集団だし、守る対象も集団だからそこそこ難易度は高いでしょうけど……皆なら問題なくこなせると思うわ」
 対多数の対策さえしっかりしてれば、守るのは安易だろう。
「テレビウムを守りきったら、忘れずに鍵マークのことも聞いてきてくれると嬉しいわね。戦い続きで疲れると思うけど……皆の健闘を祈るわ」
 そう言って、水晶玉に力を込めると、転送の魔法陣を展開した。


るっこい
 はいどうも、まさか11作目で連続キマフュ依頼になるとは思っても見なかった新人マスターるっこいです。
 期間限定依頼且つ、クリア速度が求められる依頼ということで、この依頼においては速筆モードでお送りしたいと思います。
 受け取ったプレイングは他の方のプレイングをまたず、可能な限りその日~翌日までにリプレイ返却出来るよう立ち回ろうかと考えていますので、よろしくお願いします。
 ただし、本業絡みで急な予定など入った場合など、その限りでないことは予めご了承いただければと思います。

 では、各章解説……と行きたいところですが、解説することがあまりないので、簡潔に。
 1章では大群の蜂もどき、2章では多数の忍者もどきとの戦闘となります。守る対象として常にテレビウム達がいることはお忘れなきよう。隙あらば怪人たちはテレビウムを狙うかと思われますのでご注意ください。
 3章では何が起きるか全くわからない状態です。章間描写を設けますので、その都度確認の方はよろしくお願いいたします。

●プレイングについて
 同行者の方がいる場合は1行目にお相手さんのお名前とID、もしくはグループ名をお書きください。お名前の場合はフルネームでなくて構いません。
 絡み歓迎、アドリブ歓迎、連携歓迎の方、字数に余裕があればお書きいただけると助かります。ステシでもOKです。とてもとても書きやすくなります。
 また省略文字もご利用いただけます。詳しくはマスターページを御覧くださいませ。

 では、皆様の素敵なプレイングお待ちしております。よろしくお願いいたします。
43




第1章 集団戦 『働き蜂戦闘員』

POW   :    御槍奉公
【槍】で対象を攻撃する。攻撃力、命中率、攻撃回数のどれを重視するか選べる。
SPD   :    飛行モード
空中をレベル回まで蹴ってジャンプできる。
WIZ   :    数で圧す
自身が戦闘で瀕死になると【さらなる増援】が召喚される。それは高い戦闘力を持ち、自身と同じ攻撃手段で戦う。

イラスト:森乃ゴリラ

👑7
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​

種別『集団戦』のルール
 記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

バーソロミュー・スケルトン
M
謎の鍵マークのう。
宝の鍵とかだったら面白いんじゃがな!

鍵の謎を調べるためにも、とりあえずは雑魚どもを蹴散らしてやるわい。
ぶんぶん飛び回る蜂モドキなぞ、クイックドロウですべて撃ち落としてくれるわ!
【先制攻撃】、【2回攻撃】を駆使して近づかれる前に数を減らしつつ、
【存在感】を発揮してテレビウム共に手を出されないよう注意を引きつけるとしようかのう。


シン・ドレッドノート
アドリブ・連携OK。
【SPD】

ふむ、テレビウムの皆さんに異変ですか。
さぞかしお困りでしょうから、速やかに原因究明と対策のお手伝いをさせていただきましょう。

とりあえず蜂の戦闘員退治ですね。
「ハンドレット・ガンズ、ターゲット・マルチロック!」
真紅銃と精霊石の銃を複製、テレビウムの方と襲い掛かろうとする蜂の間に複製した銃を割り込ませるように展開。自身もすぐに間に入り、閃光の魔盾のビームを展開してテレビウムの方をかばい、安全な所への避難を促します。

「そうはさせませんよ」
飛行モードに対しては頭上に展開した銃で迎撃。
瀕死になって増援を召喚されないよう、少しでも弱った敵は一斉射撃で一気にトドメをさしますね。


アリス・フェアリィハート
アドリブや他の方との絡みや連携も歓迎です

テレビウムさん達に
一体何が…
お顔に写ってる鍵は…?

ともあれ
テレビウムさん達を
助けなきゃです…!

『テレビウムさん、大丈夫ですか…!?今、助けます…!』

テレビウムさん達を守りつつ
敵さんに囲まれない様に
布陣し戦闘

自身の剣
『ヴォーパルソード』で
【属性攻撃】や【なぎ払い】
【2回攻撃】での時間差攻撃等の剣戟や
剣からの【衝撃波】や【誘導弾】等の遠距離攻撃で攻撃

纏めて攻撃出来そうなら
UC使用
(テレビウムさんや味方を巻き込まない様注意)

敵さんの攻撃は
【第六感】【見切り】【残像】
【オーラ防御】等で
防御や回避

戦闘後
鍵の事で
【情報収集】

『テレビウムさん…お顔のその鍵は一体…?』



「ぶんぶーん!!!」
 猟兵たちが転送されたその場所では、ちょうど蜂たちが現れた所だったようだ。
「か、怪人だー!?」
「怪人!? うわあああ助けてくれー!」
 怪人を見つけた一人が声を上げる。それを聞いたテレビウム達は、大慌てで逃げていく。もちろんその中には、鍵マークを浮かべる多数のテレビウム達の姿も。
 現れた蜂怪人たちは鍵マークが画面に映るテレビウムたちへ迷いなく迫っていく。
 キマイラ達も何人か見られ、怪人と聞いて逃げていったが、怪人たちは逃げていくキマイラには見向きすらしない。
 それを見た転送された3人の猟兵は、黙って見過ごす訳にはいかないと駆け出す。
「ハンドレット・ガンズ、ターゲット・マルチロック!」
 走りながら高らかに《乱舞する弾丸の嵐》を宣言し、複製した真紅銃と精霊石の銃を素早く蜂怪人とテレビウム達の間に展開、撹乱しながら、自らも躊躇いなくその間に割って入るシン・ドレッドノート(真紅の奇術師・f05130)。
 既に彼の周囲には、閃光の魔盾による光のフィールドを全方位に展開されていた。
「ぶーん!」
 放たれた銃撃を避けるべく回避行動を取る蜂怪人たち。70を超える銃の嵐に何体かの蜂怪人は蜂の巣にされた。蜂が蜂の巣にされては笑うものも笑えないだろう。
 しかし、蜂怪人達は決して少なくはない。その銃撃の嵐を抜けてくる個体も中にはおり、シンへ突撃を仕掛けてくるものもいれば、テレビウムたちへ迫るものも何体かいた。最も、シンを狙った突撃は魔盾に阻まれたが。
「皆さん、大丈夫ですか……!? 今、助けます……!」
 アリス・フェアリィハート(猟兵の国のアリス・f01939)は、飛び込むと同時に、蜂に向かってヴォーパルソードを振るう。
「ぶんぶん!!!」
 振るわれるヴォーパルソードを槍で受ける怪人。
 同時に、迸る雷光。その一閃はアリスの剣戟を槍で受けた怪人の頭を吹き飛ばした。
 いや、厳密には雷光ではない。そう見える銃撃だ。
 それは、続いてきたバーソロミュー・スケルトン(ウォーマシンの宇宙海賊・f03437)の《クイックドロウ》によるもの。
「ぶんぶん飛び回る蜂モドキなぞ、わしの早撃ちですべて撃ち落としてくれるわ!」
「た、助かった……ありが――」
「お礼は後でも大丈夫です、この場は危険ですので、避難を」
 テレビウムの言葉を遮り、そう促すシン。
 その横では、別のテレビウムたちの何人かが嬉々とした表情でバーソロミューの周囲に集まっていた。
「わー、凄い、かっこいい!!!」
「ははは、ありがたい言葉じゃが、この場に居ては巻き込まれるぞ!」
 そう言いながら、バーソロミューは繰り返し《クイックドロウ》を放ち、テレビウムたちに近づく蜂怪人へ牽制、或いは撃ち抜いて見せる。
 テレビウムたちをも引きつけるほどの圧倒的存在感と、そして見た目のインパクト。それは怪人達に襲われていることを忘れさせるほどのものらしい。
「は、そうだった!」
 現状を再認識したテレビウム達はその場から安全かつ迅速に離れていく。
 どうやら、現状を忘れたことで落ち着きを取り戻したようだ。猟兵が来たという安心感もあるのだろう。避難する者の中には、率先して避難誘導を促す人もいた。
「ぶんぶんぶーん!!!」
 怒っているのか、蜂怪人たちはその動きをより機敏なものにする。蜂は怒ると羽音を鳴らして襲ってくると言うが、彼らのその言葉はそれを模してるのだろうか。
 圧倒的存在感を前にして、こいつらを倒さねばテレビウムたちをどうこうすることは不可能だろうと考えたのか、シンの銃撃の嵐を抜けた幾つかの個体は、空へ舞い上がり迷いなくバーソロミューへと迫る。
「ははは、そうじゃ、わしらを倒さねばテレビウム達を手に掛けるなど夢のまた夢じゃぞ!」
 迫ってくる蜂たちに臆することはない。高らかに笑いながら、バーソロミューは次々と撃ち落としていく。
 その中には、撃ち抜かれるのではなく切り裂かれて落ちる個体も幾つかあった。
「私も遠距離攻撃はできますよ!」
 それは、唯一遠距離攻撃を持たないと思われたアリス。目にも留まらぬ白銀色の閃きが、虚空を描く。
 怪人からしてみれば予想もしていなかった攻撃なのだろう。為す術もなく吹き飛ばされ、或いはその体に切り傷を残しながら落とされた。
 その隙を突いてか、近くに居た他の個体に狙われることとなるが、残像を残しながら伏せ込み、すれ違いざまに直接斬りつける。アリスを狙った個体も、あえなく倒された。
「ぶーん!!!」
 この中で一番やっかいなのはやはりシン。敵が展開する数に物を言わせた戦闘に、出掛かりから弾幕と言う形で合わせて来たのだ。シンさえ突破してしまえば、他二人はどうとでもなると考えたのだろう。その身を犠牲にして他の蜂怪人をシンに突撃させるという行動を取るものが現れ始めた。
「そうはさせませんよ」
 しかしそれも叶うわけがない。纏めて単一の操作をしているわけではなく、一丁一丁、バラバラに操作できるのだ。怪人が肉壁を作るというのなら、肉壁のない方向から攻撃するだけのことである。
 ましてや、飛行なんて以ての外だろう。銃を使う相手に飛行を行うなど、狙ってくださいと言ってるようなものだ。当然シンは、頭上に展開させた真紅銃と精霊石の銃による銃撃で飛び立ったその直後には撃ち落としていく。

 次々と出来上がる蜂怪人の亡骸。その数は、確かに減り始めていた――はずだった。
「気の所為かのう、敵の数が心なしか増えとる気がするんじゃが」
「……蜂さんですし、増援でも呼んでるのでしょうか?」
 疑問に感じたのか、バーソロミューが零した。それに対しアリスは冷静に考える。
 テレビウム達を庇ってから体感では結構な時間そうしているが、その数は一向に減る様子を見せない。どころか、増えているようにすら感じる。
「瀕死にさせないよう配慮していたつもりですが……どうやら、幾つか倒し損じがいるようです」
 二人の疑問に答えるシン。事前にその事を知り、備えていたのだが、敵も数が多い。いくら配慮していようと、銃撃が貫通するなどして瀕死になる個体は必ず出てくる状況だった。増えているように感じるのではなく、実際増えていたのだ。
「お二方、何か手はありませんか?」
 出掛かりから70を超える銃を念力で操っているシン。長時間維持は体力的な問題が出てくるのだろう。その額には汗が浮かんでいる。
「多勢に無勢じゃのう、一網打尽にできれば手早いのじゃが……」
「テレビウムさんたちは……」
 冷静に考えるバーソロミュー。一方で、アリスはシンの質問に答えるのではなく周囲を確認した。
 既にテレビウム達は離れた位置からこちらの様子を見ており、十分すぎるほどに離れている。
「あのくらい離れていてくれれば、行けそうです。お二人とも、気をつけてくださいね」
 そう言って、アリスは意識を集中する。
「ぶんぶんぶんぶーん!」
 なにかしてくる、それに気づいたのか、怪人たちがアリス目掛け襲いかかってくるがシンとバーソロミューがそれをさせない。
 手にしたヴォーパルソードが、鈴蘭を始めとした様々な花びらへと変化していく。
「――もの言う花たちの噂話は……あらゆる世界に広まっていくのです……」
 静かに告げられた言葉の後、突然花びらたちが嵐に襲われたかのように、蜂たちに襲いかかる。それは、辺り一帯に何らかの衝撃を伴ったもの。見るものの視界に映るのは、歪んだ世界。時空を歪ませるほどの力を持った嵐が、その場を襲ったのだ。
「ふぅ……ひとまず終わりましたね」
 嵐が収まってみれば、そこには既に怪人の姿はなく。無数の黒い靄が空へと登っていく様子が見て取れた。
 3人は頷くと、避難していたテレビウム達の元へ。
「すごかったぜ! ありがとなー!」
「いえいえ。……それよりテレビウムさん、そのお顔の鍵は一体……?」
 顔に鍵マークを映すテレビウムに聞くアリス。
「あーこれか……? 俺にもわからねーんだよなぁ。もしかしたらあの人なら……え?」
 言葉に詰まるテレビウム。まるでそれは、視界に何かが入って驚いたかのように。
「……あれは、新手ですか」
 そのテレビウムの様子を見て、視線の方向を見るシンが告げた。
「いくら来ようと、雑魚どもは蹴散らすだけじゃな」
 バーソロミューもまた、視界に入れたそれらを一瞥し、戦闘態勢に入るのだった。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​

ミルフィ・クロックラヴィット
【アリス・フェアリィハート(f01939)】姫様や
味方の皆様に
一礼しつつ
迅速に戦闘に参加

アドリブや他の方との絡みや連携も歓迎

ともかく
テレビウム様を
お護り致さねば…

『皆様、アリス姫様…遅ればせながら…ご助勢致しますわ…!』

テレビウム様達を守り
敵に囲まれぬ様布陣し戦闘

自身のアームドフォート
『アームドクロックワークス』での砲撃等を駆使
【誘導弾】と【一斉射撃】
【範囲攻撃】等を組み合わせ
対集団戦を意識し攻撃
一気にダメージを与える時は
UC使用
戦闘の際
テレビウム様や味方を巻き込まない様に

敵の攻撃は
【見切り】【残像】
【武器受け】等で防御・回避

戦闘後
落ち着いたら
【情報収集】

『何故お顔に鍵が…「あの人」とは…?』



 新手に対応する猟兵達のところへ、一人の猟兵が駆けてきた。
「皆様、アリス姫様……遅ればせながら、ご助勢致しますわ……!」
 ミルフィ・クロックラヴィット(ナイトオブホワイトラビット・f02229)は、先行した猟兵たちに一礼しながら、愛用の武装、アームドクロックワークスを展開する。
「テレビウム様方、必ずやお護り致します……!」
 そう言いながら、砲塔を操作し、蜂怪人たちへ砲撃をお見舞いする。
 それまでとは系統の異なる遠距離攻撃。放たれたのは銃撃ではなく砲撃だ。その威力は人間なら一撃ですらひとたまりもない。
 しかもそれが、ただ直線に飛んでくる攻撃ではなく。
「ぶんぶんー!!!」
 怒りを見せるように羽音を鳴らす、というより喋る蜂怪人たちは、その砲撃を回避する。
「ぶーん!?」
 回避しても安心はできない。それは、誘導性能を持っているためだ。
 狙った獲物は逃さないとばかりに、回避された砲弾は大きく旋回し、蜂怪人へと迫る。
 これをまた回避する蜂怪人。しかし、砲弾は執拗に追いかける。欠点があるとすれば、砲撃であるが故に動きが遅い――といっても常人の目で捕捉するのはまず不可能な速度ではあるが――ために回避は容易い点か。
「ぶんぶーん!」
 それを証明するかのように、狙われていない別の蜂怪人が砲弾へ突撃攻撃してきた。
 襲われる蜂怪人を救うための行動だったのだろうが、まさしく言葉通りの飛んで火に入る夏の虫。
 砲弾へそのような攻撃をすれば、炸裂するのは至極当然であり。庇った蜂怪人と狙われた蜂怪人ともども、周囲に居た複数の蜂怪人も巻き込んで吹き飛ぶ。
 しかし、その爆発を逃れ、爆風を利用して加速突撃してきた蜂怪人が居た。その手に持つ槍を連続突きしながら迫ってくる。
「見え透いた攻撃ですわね」
 だが、ミルフィからすればそれは端から折り込み済みだ。想定していたからこそ、見切るのは安易。常人がみれば残像すら見えるほどの素早い身のこなしでその槍を完全に受けきってみせると、蹴り飛ばして距離を開け、その場から身を引きつつ砲撃を放つ。
 カウンターの一撃を見舞われた蜂怪人はあえなく地面に転がる。
 それを気にする素振りもなく、ミルフィは蜂怪人たちへと一斉射撃を繰り返す。
「お気をつけくださいませ……その中には、誘導しない砲弾も紛れ込んでいますわ」
 いくつか一斉射撃を繰り返した後、誘導弾を避けるのでてんやわんやになる蜂怪人たちに告げる。
「ぶぶーん!?」
 ミルフィはいくつも誘導弾が飛ぶその中へ、敢えて誘導させず直線に飛ぶ砲弾を紛れ込ませていたのだ。
 蜂怪人たちが集中するその地点へと打ち込まれた直線の砲弾は、周囲を飛ぶ砲弾と連鎖爆発を引き起こし、一度に広い範囲を焼き払う。
 爆発で広い範囲を焼き払ったことで、多くの蜂怪人を瀕死に追い込んだミルフィ。それは、増援を呼ぶことに繋がる一撃だが――
「これで終わりにしますわ」
 アームドクロックワークスによる全砲門展開。それまでの一斉射撃とはまるで火力の違う一斉射撃、《フルバースト・マキシマム》が放たれる。
 その砲撃は別の蜂怪人に隠れるなどして増援を呼ぼうとしていた蜂怪人たちの行動を見事に阻害。周辺地形を軽く変形させるほどの脅威的な攻撃は、新手の蜂怪人達の半数以上を焼き払ったのだ。

 先行の猟兵たちと共に、改めてテレビウムたちへ鍵のことを質問するミルフィ。
「何故お顔に鍵が……『あの人』とは……?」
「この辺に住んでる長寿のテレビウムさんさー。怪人が現れたと聞いて歳にも見合わねぇ素早さで何処かに行っちまったが……ってなんだー?」
 あの人のことを告げるテレビウムが説明していると、唐突にその画面に映るマークが変化する。
「あら……このマーク、矢印……?」
「みてーだなぁ」
 と言いいながらキョロキョロすると、その画面に映る矢印も向きを変える。
「何だこりゃ、どっか指し示してんのか?」
 困惑するテレビウム。他のテレビウムもみてみれば、鍵マークを浮かべていたテレビウム達も矢印マークに変わっていた。
「お、おい、あれを見ろ!」
 と、そこに、突然別の一人のテレビウムがその場から離れた上空を指差す。
「あら……別のオブリビオンですの?」
 その方向を見て視界に入ったものを見て、ミルフィは困惑の表情を浮かべた。

成功 🔵​🔵​🔴​




第2章 集団戦 『紫御殿』

POW   :    仮面合身の術でござる!
無機物と合体し、自身の身長の2倍のロボに変形する。特に【男子がカッコいいと思うもの】と合体した時に最大の効果を発揮する。
SPD   :    仮面手裏剣の術でござる!
【懐】から【自動追尾する真っ白な仮面】を放ち、【相手の視界を塞ぐこと】により対象の動きを一時的に封じる。
WIZ   :    仮面狼群の術でござる!
【仮面を被った狼の群れを召喚、爪や牙】が命中した対象を切断する。

イラスト:りょうま

👑7
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​

種別『集団戦』のルール
 記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


 猟兵たちが見たのは、全身の殆どが紫色に染まる、忍装束姿のオブリビオン。わかりやすく言えば、そいつらは“忍”だ。
 やや高めのビルの上から、壁を伝って駆け下りてくる。どうやら、鍵マーク――いまは矢印マーク――を浮かべるテレビウムたちを狙っているようだ。
 しかしどうだろう。“忍”の姿をしているにもかかわらず、おびただしい数のオブリビオンが迫ってくる。
 猟兵達は思ったことだろう。『なぜお前ら、隠れない』と。
「もしかしたら、この矢印は怪人たちから逃してくれるものかもしれない、俺らはこれに従うことにするよ」
 そう言って、テレビウム達は半ば怪人から逃げるように、矢印にそって駆け出した。

 しかし、いまテレビウムたちにその行動をとってもらわれては、鍵マークの原因がわからなくなる。だが、既に行動に出られてる以上、止めるわけにも行かない。
 どうやら、テレビウムたちを追いかけつつ、彼らを守るために忍びたちを追い払う必要があるようだ。
メイプル・エヌエー
状況変化:確認
護衛対象の進行先に事件に関連するオブジェクトの存在する?

現時点での判断:不可
護衛対象の追跡及び敵対存在の排除を開始します。

地上走行型戦闘ドローン:25機
地上走行型護衛ドローン:25機
計50機を召喚します。

戦闘ドローンは基本的に敵死角から攻撃、敵攻撃を確認した場合迎撃して攻撃を未然に防ぎます。

護衛ドローンは敵攻撃に対し体当たりする事で攻撃を相殺、攻撃から護衛対象や他猟兵をを護ります。

護衛対象が足を止め掛けた場合は足を止めず逃げ続ける事様に発言します。


シン・ドレッドノート
アドリブ・連携OK
【SPD】

テレビウムの皆さんを追いかけながら襲ってくる忍を迎撃するため、『貴紅』に騎乗してテレビウムに並走します。

「そこっ!」
敵を発見次第、【雷光閃く閃光の弾丸】をクイックドロウで抜き撃ち、先制攻撃します。

「当たらなければどうということは!」
命中したら厄介な、仮面手裏剣を優先して撃ち落していきます。
狼群も召喚されたら攻撃前に直ぐ迎撃。
ロボに対しては、合体前に合体対象を先制攻撃で破壊します。

いずれも撃ち漏らした場合は『閃光の魔盾』でテレビウムをかばい、防御しつつ、接近してきた敵に対してはカウンターの零距離射撃を撃ち込みます。

「ところで、矢印はどっちに向かっているんですか?」


バーソロミュー・スケルトン
んん?テレビウム共は、どこに行くつもりじゃ?
追いかけつつ、追っ手を退けなきゃならんとは忙しくなりそうじゃな。

まあ、忍ばない忍なぞ、かっこうの的じゃろう。
狙い撃ってくれるわい。

テレビウム共を見失わない程度に後を追いつつ、
蜂の時と同じく【存在感】を発揮して敵を引きつけるぞい。
敵の攻撃はわしの黄金砲を盾代わりに【武器受け】して凌ぐのじゃ。

敵の注意を十分に引いて、集まってきたところを
フルバースト・マキシマムで一網打尽を狙うぞい。

逃げてるついでに長寿のテレビウムとやらを見つけられればいいんじゃが。
やたら素早いやつに目星をつけておこうかのう。


アリス・フェアリィハート
アドリブや他の方との絡みや連携も歓迎です

今度は
忍者さん達が狙ってきて…!?
テレビウムさんのお顔にも
矢印が現れて…

『その矢印の方向に向かえばいいんですね…?忍者さんは、私達が追い払います…!』

自身の剣
『ヴォーパルソード』で
【属性攻撃】【なぎ払い】等の剣戟や
剣からの【衝撃波】や【誘導弾】等の遠距離攻撃と
【吹き飛ばし】を組み合わせ
敵さんを追い払い
テレビウムさんを守りつつ
ご一緒に矢印の方向へ
向かいます

纏めて攻撃出来そうなら
UC使用
(テレビウムさんや味方を巻き込まない様注意)

敵さんの攻撃は
【第六感】【見切り】【残像】
【オーラ防御】等で
防御や回避

『テレビウムさんの矢印は…一体何を指してるんでしょうか…?』



「んん? テレビウム共は、どこに行くつもりじゃ?」
 額に手を当て遠くを見るような格好でテレビウム達を見るのはバーソロミュー・スケルトン(ウォーマシンの宇宙海賊・f03437)。
「またこれは……大変になりそうですね」
 一方で、走り去っていくテレビウム達を尻目に、忍びもどき達を見据えるシン・ドレッドノート(真紅の奇術師・f05130)。
「今度は忍者さん達が狙ってきて……テレビウムさんのお顔にも矢印が現れて……」
 次から次へと起きる事象にてんてこ舞いと言った様子のアリス・フェアリィハート(猟兵の国のアリス・f01939)。
「ええっと、とにかく、追いかけましょう……」
 ひとまず落ち着くために軽く深呼吸し、二人に告げる。
「ええ、そうですね」
「忙しくなりそうじゃな」
 アリスの言葉に同意する2人。走り去っていくテレビウム達を追いかけ、猟兵達は駆け出す。

 そんな中、別所からもうひとり、テレビウム達の様子を伺う者が居た。
「状況変化:確認」
 まるで機械のように言葉を口にする猟兵。
「護衛対象の進行先に事件に関連するオブジェクトの存在する? 現時点での判断:不可」
 質疑応答。いや、自問自答か。
 非常に独特な喋り方をして現状確認をしているのは、メイプル・エヌエー(N/A・f05343)。
「護衛対象の追跡及び敵対存在の排除を開始します」
 そう言って、メイプルはテレビウム達を追いかけるべく移動開始しながら、《エレクトロレギオン》によって2種類のドローンを展開する。
 その数はおびただしい数で迫る忍び達と比較すれば、決して多くはない。
 テレビウム達に追いついたドローン達はそれぞれ配置につく。半々に別れたドローン。どうやら、護衛と戦闘とで用途が異なるようだった。

 テレビウム達が走る速さは結構なものだ。普段から怪人達に襲われるが故に逃げ足が鍛えられているのだろう。しかし、猟兵達は大した苦労もなく彼らに追いつく。
 いくつもの戦いを乗り越えている分、猟兵達のほうが鍛えられているのだ。
 だがそれは、何も猟兵達だけではない。忍者もどき達もまた、その距離を詰め始めている。
「その矢印の方向に向かえばいいんですね……? 忍者さんは、私達が追い払います……!」
 最初に追いついたアリスは、忍者達の様子を確認しつつ、先程まで話していたテレビウムに確認する。
「そ、そうだぁー、ひぃ、ひぃ……た、頼むー」
 どうやらそのテレビウムはあまり体力が高くないようで、既に肩で息をしていた。いや、もしかしたら最初に全力で飛ばしすぎたのかもしれないが。
「お任せください……!」
 そう言ってアリスは走る速度を大きく緩めた。そうなれば、当然背後から迫る忍者達が近づく。
「テレビウムさん達は絶対守ります……!」
 必ず守るというその確固たる意志は、朧気な記憶の中に残る、今は亡き姉を思ってのことか。
 そう言いながら、足は止めず素早い剣戟を空に振るう。
「空振りしてるでござるな」
「お馬鹿でござるね」
「下手くそでござる」
 ずいぶん距離が縮んだためか、忍者達の罵倒が次々と飛んできた。だが、それも束の間。
「ぐあぁっ!?」
 一人が吹き飛ぶ。続くアリスの剣戟に、更に一人、また一人と吹き飛ばされていく。
「な、何でござる!?」
 それを見ていたいくつかの忍びもどき達は驚きを隠せない。追いかける足は決して止めないが、何をしたのか想像もつかないのだろう、アリスへと視線が集中していく。
「まぐれでござる、これでも食らうでござる!」
 そうして飛んできた、無数の手裏剣。雨あられと降り注ぐ手裏剣だが、どれもこれもがヘナヘナと飛んでくる。
「……下手はどっちでしょう?」
 その様子に困惑せざるを得ないアリス。ヘナヘナであるが故に、回避は容易く。いや、避ける必要すらなかった。
「はっ――」
 一瞬足を止めると共に、掛け声。それに合わせ、横一文字に大きく振るう。
 それまで見えなかった攻撃が、その時だけは見ることができただろう。放たれる白銀の一閃。
 まるでかまいたちのように飛来するそれは、へなへなの手裏剣を物ともせず弾き飛ばし、複数の忍者達にクリーンヒット。一度に十数体が空に舞い上がる。
 振るうと同時に駆け出しつつも、舞い上がった敵へ、再び最初の時と同じく衝撃波を小出しにして追撃する。
 そこへ突然、大爆発が起き、アリスによって舞い上がった怪人も含め、かなりの数が吹き飛んだ。
 見れば、それはあちこちで起きている。
「ガハハハッ! 忍ばない忍びなぞ、かっこうの的じゃ!」
 バーソロミューの黄金砲・ウィールカノンによる砲撃だ。
 アリスとは異なり、追いつくことはせず、見失わない程度の距離を保って駆けていた。
「わしを倒さぬ限り、テレビウム達に触れることすらできぬぞ!」
 そう言って更にいくつかの砲撃を放つ。
 次々と吹っ飛ばされていく怪人達。彼女らにその砲撃をどうこうする技術はない。
「こんのーでござるー!!!」
 自棄になったいくつかの忍者が捨て身でバーソロミューへと殺到する。
「甘っちょろいのう!」
 迫ってくる忍者達に、バーソロミューは引くこともなく、ただその黄金砲を前に突き出す。
 その巨大さは、そうするだけでバーソロミュー自信を守る巨大な盾となった。
「邪魔なのでござる!?」
 まさかそのような使い方をされるとは思ってなかったのだろう、怪人が奮った腕は、あえなく黄金砲に阻まれる。鐘を素手で殴ったような音があたりに響く。
「ガハハハッ!」
 それを高らかに笑い飛ばし、バーソロミューは大きく後方へ飛び引きながら砲撃を浴びせる。
 砲撃が生み出すエネルギーで離れてしまったテレビウム達との距離を詰めつつ、いくつかの砲撃を繰り返し放った。
 怪人達からすれば、アリスも十分に危険対象だが、バーソロミューが放つその圧倒的存在感と、砲撃という脅威を前に、大多数の怪人達はまずこいつをどうにかしなければまずいと考えたのだろう。
「ほう……?」
 突然、近くにあったあまり高さのないビルが倒壊する。その倒壊に巻き込まれた怪人達もいくつかいるようだが、問題はそこではない。
 そこから急に現れたのは、両手両足を持つ体長3m程はあろうかという巨大な塊。端的に言えばロボだろう。
『食らうでござるー!』
 スピーカーから発せられるその声。周囲にいる忍者怪人達は既にその場を撤退しており、巻き込まれる個体は居ない。
 狙う対象は、バーソロミューただ一人。
「ぬぅっ……!?」
 3mという巨体から放たれる単純なパンチ。単純だが、図体がでかいためにその威力は強力だ。
 黄金砲を盾にしてなんとか受けるも、宙に舞い上がる。
「ガハハハッ、やりおるのう! ならばこれをくれてやろう!」
 さすがは歴戦の老兵と言うべきか。受けると同時に軽く飛び引くことで身体に走る衝撃を軽減していたバーソロミューは、カウンターをお見舞いする。
「巨大な鉛玉の雨、くれてやるわい!」
 そう言って放たれた、全武装により一斉射撃、《フルバースト・マキシマム》。
 生み出された巨大なロボはあえなく爆ぜ飛び、ロボに巻き込まれないよう逃れたことで逆に密集することとなった忍者怪人達が一気に巻き込まれた。
『ぬあーでござるー!?』
 スピーカーから煩いほどの音量で聞こえてきた声。吹き飛んだロボ――既に瓦礫の山――は大きく後方に飛び、続いてくる忍者もどき達を犠牲にしながら地に落ちた。
 バーソロミューが砲弾という名の雨による忍者達の絶対数を減らしてる中、アリスはバーソロミューが逃した忍者の処理をしていた。最も、それだけでは抜け出してくる数の多さに対応しきれていなかったのだが。
「行くでござる!」
 というのも、アリスの周囲にはいくつかの仮面をかぶった狼の群れが迫っていたからだ。
 衝撃波を放つほど研ぎ澄ませたアリスの感覚を前に、その攻撃は大多数が当たらずに済んでいるが、危なかった局面は何度かあった。それをカバーしていたのは、周囲を飛ぶ25機のドローン。それは、メイプルが放ったドローンだ。
 アリスたちにはそれが何なのか、検討もつかなかったが、忍者達の動きを的確に妨害するものだった。ドローン達の妨害がなければ、圧倒的数を前に、アリスたちも無事では済まなかったと言えるだろう。
「私も続きます、気をつけて……!」
 バーソロミューが作った総崩れを見て、今がチャンスと悟ったアリス。
 ヴォーパルソードを両手で持ち、意識を集中。
「――もの言う花たちの噂話は……あらゆる世界に広まっていくのです……」
 剣先から零れ落ちるように花びらに変化していくヴォーパルソード。唐突に吹いた風がその花びらを運ぶ。
 やがてその風は苛烈さを増し、無数の忍者たちを巻き上げる。空を舞う花はまるでそれが武器であるかのように、空中に舞い上がった忍者たちを滅多打ちに斬りつけた。
 《フラワリーズ・フェイトストーム》の一撃が収まったその場所に、立っている忍びもどきの数はごく少数。
 バーソロミューと合わせて過半数を倒したのだった。

 一方、シンはメイプルが展開した25機のドローンと共に、防衛戦を展開していた。
 いつの間にか愛機である貴紅に乗り込んでおり、テレビウム達の側を離れずに来ている。
 アリスたちと共にしなかったのは、忍者もどきたちが忍びらしい動きを見せたためだ。
「そこっ!」
 建物の影から影へ、素早く移動する忍者もどきたち。
 その一瞬を決して見逃さない。それは、もはや達人でも見切るのでは難しいだろうと言える速度で抜き放たれた真紅銃と精霊石の銃による《雷光閃く刹那の弾丸》の一撃は、的確に忍びもどきを撃ち抜く。
 数はアリスたちが相対するもどき達と比較すれば、大して多くはない。
 メイプルのドローン達が展開する防衛網もあってか、今まで一人たりとも攻撃を通していない。
 そんな時、一人のテレビウムが遂にその足を止めた。アリスに話をかけられたテレビウムだ。
「現状の把握:完了。足だけは止めずに走り続けてください」
 何処から現れたのか。そのテレビウムへ、一人の猟兵が抑揚のない言葉で淡々と告げる。メイプルだ。
「す、すまねー……!」
 軽く息を整えたテレビウムは再び走り始める。だが、今にも足を縺れさせ倒れそうな状況。
「長くは持ちませんね……」
 その様子を見て呟くシン。そこで、妙な行動を取る忍びが視界に入る。
「くらうでござるー!」
 腰のポーチに手を入れた忍びが、素早い手付きで何かを投げはなった。
「当たらなければどうということは!」
 予備動作を確認していたのが功を奏した。再び雷光が如き素早さで抜き放たれた銃撃により、飛んできた仮面は地に落ちる。
 その時、その地を嵐が襲った。
「これは……先程の」
 超広範囲を巻き上げ、忍び達を滅多打ちにするその様子は、やや離れたその位置からでもしっかり見て取れる。
「これなら、保たせる必要もなさそうですね」
 そう判断を下しながら、シンはまた目についた隠れる忍びを銃撃で撃ち抜く。
 メイプルも同様の判断をくだしたようで、一人頷いていたのだった。

 結局その後、バテてしまったテレビウムが進んだ距離は10mもなく、アリスたちが追いついてしまう状況となった。
 最も、忍び達も既に数えられるほどしかおらず、4人で協力して残党処理。最後に黒い靄を見送る形で忍びたちとの戦いは幕を閉じた。

「ところで、矢印はどっちに向かっているんですか?」
 戦いを終えたシンが、バテてしまって大の字に寝転がっているテレビウムに尋ねる。
「あー、あっちだー……」
 バテきったテレビウムは、指をさす。別に刺さなくても、その顔に映る矢印は指を指す方向と同じ方向なのだが。
「テレビウムさんの矢印は……一体何を指しているんでしょうか?」
 テレビウムを見つめて疑問を浮かべるアリス。
「何を、と言うよりは、何処かを示してるように見えるがのう?」
 矢印の方向を辿り、その先を見つめるバーソロミュー。
「現状を確認:完了。目的地を示してる様です」
 同様にメイプルもその先を見ていた。
 その先には、既にいくつかのテレビウムたちが集まっている。
「おお、見失ったと思ったが、だいぶ近くだったんじゃな」
 そこには、やたらすばしっこかったテレビウムの姿も確認できた。
 バテたテレビウムを運び、4人でやってきたそこは。
「……なんでしょう?」
「特に変わったところはないような気がします……」
「何なんじゃろうな、この矢印」
「私も判断しかねます」
 何の変哲もない場所。他の場所と変わったところなど特にない。ただただ開けた場所が、そこにはあったのだった。
「お、おい、誰だよ、ここなら怪人に襲われないって言ったやつ!」
 疑問符を浮かべる猟兵達を余所に、一人のテレビウムが怯えた声でそんな事を告げた。
 そのテレビウムが見ている方向をみれば、そこには。こちらに向かってくる一体の怪人の姿が見えた。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​




第3章 ボス戦 『暗黒面『斬裂の支配者ロード・リッパー』』

POW   :    魂を蝕む触手の群れ
【暗黒面 】の感情を与える事に成功した対象に、召喚した【蠢く蒼の触手のかたまり】から、高命中力の【魂を蝕む触手の一撃】を飛ばす。
SPD   :    シンクロ・ザ・ネメシス
【暗黒面の感情で塗潰す事により支配した 】【一般人のイケメンな猫耳キマイラ男子の体に】【斬裂の支配者 ロード・リッパーの身体能力】を宿し超強化する。強力だが、自身は呪縛、流血、毒のいずれかの代償を受ける。
WIZ   :    次はどんな子にしようかなぁ?猫耳は外せないよね。
対象のユーベルコードに対し【支配していたイケメンな猫耳キマイラ 】を放ち、相殺する。事前にそれを見ていれば成功率が上がる。

イラスト:夜月蓮華

👑7
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主はティアー・ロードです。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


「ったーく、彼奴等ほんと使えねーな、数だけじゃねーか!」
 文句をたれながら向かってくるのは、猫耳をもつすばしっこいキマイラ。
 やはりテレビウム達を狙っていることに変わりはないようだ。
「な、なんだー!?」
「光るぅー!」
「まぶしーぞあっちいけー!」
 その敵を見据え、次なる戦いに備えようとしていると、後ろから上がる声。
 振り向いてみれば、テレビウム達が光っていた。眩しいくらいに。
 またこの場も危険になるから避難してくれと、一人の猟兵が告げる。
「む、無理だー、動けねー!」
「俺も、俺も!」
「た、助けてー!」
 どうやら、身動きが一切取れないらしい。
「へっへ、こりゃチャンスじゃねーか!」
 どうやら耳が良いらしい。テレビウムが動けないならこの任務は達成だと言わんばかりにほくそ笑む。
 その事実が知られてしまった以上、引きつけると言う行為は成功しないだろう。姑息そうな見た目からしても、あの手この手を使ってテレビウムを殺そうとするのは間違いない。

 一人の猟兵が気づいた。よく見ると、テレビウムの画面に、小さく14m55sと表示されている様子が。
 それは、14m54sとカウントダウンを開始していることに気づく。
 15分の防衛戦か。誰かが呟いた。
 テレビウムたちの数は総数20人ほど。果たして、一人も傷つけることなく、15分間守り切ることが出来るのか。
 ボスを倒すか、15分防衛しきるかは猟兵達の自由だ。猟兵達の防衛戦が始まろうとしていた。
澪織・梅
悪い感情を駆使して手段を選ばない…
…良いでしょう、それならこっちは唐揚げを持ち出すまでの事、唐揚面に堕ちて貰いましょうか!

敵に【目立たない】方向から肉薄してから警棒の攻撃でテレビウムのいない方向へ【吹き飛ばし】てからの【マヒ攻撃】で動きを止め、丹念に唐揚げについて語ります。
「まず最初に唐揚げとは(中略)そして唐揚げの(中略)さらに(略)しかも(略)(略)(略)(略)」

もし唐揚げについての事がテレビウムの皆さんに聞こえてお腹が空いてそうだったら【投擲】と【戦闘技術】を駆使して口へ正確に唐揚げを投げます。
テレビウムの皆さんが唐揚げに満足する事で感情を暗黒面に堕とすことを防ぎます。


アリス・フェアリィハート
アドリブや他の方との絡みや連携も歓迎です

貴方が何を企んでるかは
知れませんけど…
貴方を倒し
テレビウムさんを守ります!

基本
ボスを倒す方向
(15分防衛の方針多数ならそれに従う)

『ヴォーパルソード』に
【破魔】を込め【属性攻撃】や
【2回攻撃】での時間差攻撃
【なぎ払い】等の剣戟や
剣からの【衝撃波】、
剣の光焔の【誘導弾】等の
遠距離攻撃
大打撃を与える際には
UC使用
(他の方の攻撃と別方向から放つ等相殺されない様タイミング等注意)
等で攻撃
テレビウムさんを守りつつ
戦闘

敵の攻撃は
【第六感】【見切り】【残像】
【オーラ防御】等で
回避・防御

『貴方は何故…テレビウムさんを狙うんですか…!?』

戦闘後
テレビウムさん達の
安否を確認


シン・ドレッドノート
アドリブ連携OK
【SPD】

テレビウム達の前に立ち、攻撃される前に敵の攻撃を封じます!
派手に攻撃してくれる方が居ると信じて、私は確実にヒットさせるようにしていきましょう。
「貫け、真紅の衝撃!」
先制攻撃で精霊石の銃からフェイントの射撃を行いつつ、敵の行動の直前の隙を狙って真紅銃から【真紅の狙撃手】による紅い光弾を3連射。敵の攻撃を封じます。

全ての攻撃を封じるまで、【真紅の狙撃手】による攻撃を継続。

テレビウムを狙った攻撃に対しては、閃光の魔盾のビームを展開してかばうと共に、カウンターの射撃を撃ち込みます。

「…で、結局何だったんでしょうね、この騒ぎは?」
テレビウムの様子を見て要因を推理してみますね。


バーソロミュー・スケルトン
M
う~む、テレビウム共が動けなくなっちまったのは、ちと厄介じゃな。
まあ、ちょうど偉そうなやつも出てきおったし、ここで決着を付けようじゃねぇか。

ちょうど、さっきの忍びにやられたお返しでもしてやろうかのう。
本当のデカさってのを見せてやるわい。
巨大海賊兵装を使い、わしをそのまま5m超にしたロボになるぞい。

この巨体で壁となりつつ、
圧倒的なパワーで叩き潰してやるのじゃ。
ガハハハッ!


メイプル・エヌエー
状況変化:把握
敵対存在:認識
護衛対象は行動不能…非常に戦闘が困難であると判断します。

当ユニットは護衛対象の防衛に専念します、
戦闘は皆様にお任せします。

地上走行型護衛ドローン:70機
地上走行型戦闘ドローン:15機
計85機を召喚します

護衛ドローンは護衛対象の防衛に専念し、攻撃に対して体当たり等で護衛対象を庇います。

戦闘ドローンは常に敵を囲うようなフォーメーションを取り、敵の集中を削ぎ【時間稼ぎ】します。

ドローンでは守りきれない場合は当ユニットが身を呈して守ります、
正面戦闘は不得手ではありますが、盾代わりにはなれます。

アドリブ・連携歓迎



「貴方が何を企んでるかは知れませんけど……貴方を倒し、テレビウムさんを守ります!」
 テレビウムの元へ行かせないと、ヴォーパルソードを振るい衝撃波を放つ。
「へっ、そんなちんけな攻撃で何が出来るってんだよ!」
 近いならともかく、その距離はそこそこ離れていた。見えない攻撃だが、アリス・フェアリィハート(猟兵の国のアリス・f01939)が振るう攻撃先を予測してか素早い身のこなしでその攻撃を躱し、止まらず迫る。
「一人ではありませんよ……!」
 その行動に合わせて精霊石の銃による先制攻撃を仕掛けるシン・ドレッドノート(真紅の奇術師・f05130)。
「危なっ!?」
 それを受けて怪人は身を引くことで躱す。一時的とは言え、テレビウム達への接近を阻止した。
「うっぜーな!」
 シンのその一撃を鬱陶しく思ってか、獰猛な笑みを浮かべ一歩踏み込む。常人ならざる力によるものか、その地面は軽く割れた。
 しかし、シンが先に放ったのは所謂陽動。敵の隙を生み出させる目的の一撃だ。当てるつもりはなく、寧ろ当たれば儲け、その程度の攻撃でしかない。
 では、本命は。
「貫け、真紅の衝撃!」
 虚空を閃く3つの紅い光。
「ぬぉっ!?」
 踏み込んでいた方向へ飛び出すことなく、慌てて横っ飛びに躱す怪人。
 だが、全てを回避出来なかった。それもそうだろう、シンが狙ったのは起点となる足。その場所は、どんなに機敏な動きをするものであっても、体全体の中では、最も行動が遅れる場所だ。
「ちぃっ……!」
 舌打ちする怪人。それもそうだろう、踏み込み肉薄しようとしたその体は既に、己のユーベルコードの代償を受けている。長くは保たないのだ。
 最も、そのユーベルコードを使わずとも、怪人には時間が残されていない。だからこその代償を顧みない行動だったのだろうが。
 横っ飛びに飛んだことで出来た大きな隙を突いたのは、《巨大海賊兵装》によって、自身という無機物を用い巨大化したバーソロミュー・スケルトン(ウォーマシンの宇宙海賊・f03437)。その体躯、実に5m。
「ぐあっ!?」
 その体躯から繰り出される、単純だが巨体故に強烈な拳による一撃は、怪人に悲鳴を上げさせる。
(「テレビウム共が動けなくなっちまったのは、ちと厄介じゃが……まあ、ちょうど偉そうなやつも出てきおったし、ここで決着を付けようじゃねぇか」)
 そう思考しながら、十数メートルは吹っ飛んだ怪人を見据える。
「状況変化:把握、敵対存在:認識。護衛対象は行動不能……非常に戦闘が困難であると判断します」
 現状の状況を淡々と告げるメイプル・エヌエー(N/A・f05343)。
「当ユニットは護衛対象の防衛に専念します、戦闘は皆様にお任せします」
 どうやら、テレビウム達の徹底防衛を選んだようだ。
 《エレクトロレギオン》を用い、総数三桁に及ばない程度のドローンを召喚させると、約8割のドローンをテレビウム達の周囲に展開、残りを怪人の下へと向かわせる。
「ケヒヒ……やってくれんじゃねーか……!」
 獰猛な笑みを浮かべる怪人。しかしその声は、苛立ってる様子を伺わせる声音だ。
 その理由は、既に周囲に展開されているドローンの存在故か、それとも、それまでテレビウム達に触れることが出来ず、猟兵達に完全に阻害されてるが故か。
 怪人の身体は既にボロボロ。先の代償を伴うユーベルコードを駆使したこともあってか、身体がついていっていないように見える。
「貴方は何故……テレビウムさんを狙うんですか……!?」
 疑問に思ったか、アリスが声を上げて問う。
「あぁ? 教えるかよんなもん。死んだって教えねーな」
 ケヒヒと笑う怪人。その言葉には、絶対の意志が感じられた。拷問したところで吐くことはないだろう。
「あーあ、こいつはもうだめだなぁ……お気に入りだったんだけどよ?」
 そんなボロボロの身体とは裏腹にその行動はそんな事を感じさせないほどにスムーズだ。まるで痛みを感じていないというような。
「まぁそれはいいや……てめぇらに教えてやるよ、ダークサイドってやつをよ」
 そう言って、怪人は再び大きく踏み込む。
「させると思いますか!」
 しかし、シンを始め、それを黙って見ている猟兵たちではない。
 テレビウム達はメイプルのドローンとバーソロミューの巨体という壁が立ちはだかり、既に怪人にはどうすることも出来ないだろう。
 ――そのはずだった。
 シンが銃撃を放つより、ドローン達が行動を阻害するよりも。バーソロミューの強烈な一撃や、アリスの衝撃波もくぐり抜け、圧倒的な“速さ”を持って肉薄してきた彼の狙いは、やはりあくまでもテレビウム達。
 それは、ドローンやバーソロミュー越しに行われていた。
「ひっ!?」
 いくつかのテレビウムが声を上げる。視界に入れれば、それだけでいい。
 一般人が見ればそれだけで怯えてしまうほどの狂気に満ちたその笑み。
「そぅら!」
 次の瞬間、怪人はその手を振りおろした。
 恐怖という感情を糧に召喚したのだろう、巨大な蒼く染まる触手の塊が、無数の触手を放つ。暗黒面の感情、それは様々な負の感情を示すらしい。最も大きな糧となるのは怒りに連なる感情だろうが、悲しみや恐怖といった感情も糧に出来るようだ。
「いけません――」
「っ――」
 それは、一つ一つの細かさがあるが故に、バーソロミューの巨体をすり抜け、ドローン達もすり抜けようと迫る。その数はドローンの数を優に勝っており、守りきれないことは明白だった。危険に気づいたシンとメイプルが、それぞれ己の身を呈してテレビウム達を庇おうと飛び込んでいく。
「あがっ!?」
 だが、触手達がテレビウムに到達するよりも早く、それは起きた。
 突然テレビウム達から離れる形で怪人を再度吹き飛ばされていく怪人。
 何が起きたか一瞬わからなかったが、一瞬でも触手の動きが止まったのは幸運だったと言えるだろう。おかげでテレビウムはもちろん、シンもメイプルも無傷のままだ。
「ふんっ!」
 召喚された触手の塊は、バーソロミューがその巨体を用いて文字通りぺちゃんこに潰す。
 一方、吹き飛ばされた怪人の近くには、それまで見なかった猟兵の姿が確認できた。
「悪い感情を駆使して手段を選ばない……良いでしょう、それならこっちは唐揚げを持ち出すまでの事、唐揚面に堕ちて貰いましょうか!」
「唐揚面ってなんだよ!?」
 地面に転がった怪人のキレの良いツッコミが飛ぶ。
 それに追いつき、その体に身体が痺れて動かなくなる何かを打ち込んだその猟兵。澪織・梅(謎照らす光となりて・f02562)だ。
「まず最初に唐揚げとは鶏肉を始めとした食材に小麦粉や片栗粉を――」
「いや聞いてねぇよ!?」
 怪人が痺れて動けなくなったのをいいことに、唐揚げ事を語り始める梅。
「そして唐揚げの美味しさはそのサクサク感や――」
「サクサク感とかどうでもいいわっ!」
 それは、他の猟兵達も思わず追撃を忘れて呆然と立ち尽くしてしまうほど。
「さらにその香ばしさは――」
「なるほどな、うまそうじゃねーかってちげーよ!?」
 唐揚面とはそれ即ち、聞くもの全てを唐揚げの虜にする事……なのかもしれない。梅にとって《唐揚げ、それは宇宙の真理》なのだろう。
「しかも――」
「もういいわっ! くっそこんなに腹が減ったのは初めてだぞ!」
「でしたらどうぞ、この唐揚げを食べてください」
 用意周到である。いつの間に作って何処にそんな物を用意していたというのか。
「お、おう、ありが――」
「――はっ!? 皆さんも唐揚げを欲している様子、是非食べてください!」
 と言って怪人が受け取ろうとしたそれをそのまま、よだれを垂らしてしまっているテレビウム達の口へ正確に投擲。
「うま、なんだこれ、うまっ!?」
「唐揚げ好きの唐揚げ好きによる唐揚げ好きのための唐揚げ……!」
「頬が落ちちゃうぅ……」
 大絶賛のテレビウム達。すっかり恐怖という暗黒面の感情は消え去ってしまったようだ。
「くれるんじゃねーのかよ!?」
 一方で既の所でお預けを喰らった怪人はたまらず突っ込んでいた。
「残念ですが慈悲はありませんね」
 その横から、我を取り戻したシンが残り2発の《真紅の狙撃手》を零距離で撃ち込む。
「しまっ……!?」
 気づいたときには時すでに遅し。
「……どうやら、離れたほうが良さそうですね」
 ユーベルコードを封じ、既に空腹感からなのかマヒによるものなのかわからないが身動きの取れない怪人。梅の語りだけで実に10分程は経過しており、もう勝利は同然だったが、身動きが取れないとわかっていて黙っているほど、猟兵達はお人好しでもないらしい。
 シンの言葉を受け、梅も頷いてその場を離れる。
「――是は、不思議の国の不思議な戦い――受けて下さい、ヴォーパルの剣閃……!!」
 アリスは二人が離れたことを確認すると、ヴォーパルソードに溜めていた光焔の奔流を、一気に放った。
「ぬああああやめてくれええええええ!!!!」
 声を上げる怪人。しかし全く動くことの出来ないその体に、一閃は無慈悲に襲いかかった。
 光焔の奔流が収まったその場所には、肩から斜めに真っ二つに切り裂かれた怪人の姿が。
「ちっきしょぉ……また新たな身体を見つけ……ぐあっ!?」
 まだ喋る怪人を見てか、その上からバーソロミューがトドメの拳。
「ガハハハッ! ヒーローマスクだってのはとっくに割れてるんじゃよ!」
 そう、彼の正体はヒーローマスク。だからこそ、ボロボロの身体をまるで機械のように操ることが出来たのだ。それは、自身の体ではないのだから。

 残りの3分程を周囲の安全確認などをしながら待っていると、ようやくテレビウム達の光が収まる。
「……で、結局何だったんでしょうね、この騒ぎは?」
 光が収まり、鍵も消えたテレビウム達の様子を見て考察するシン。
 しかし、何も起きない。
「何も起きませんね……?」
「一体、何だったのでしょう……?」
 周囲を見回すアリス。梅も首を傾げ、疑問符を浮かべていた。
「状況変化:認識不能。どういうことでしょうか?」
「何も起きないならそれでいいと思うがのう?」
 何も起きない様子に淡々と状況を告げるメイプル。バーソロミューは現状が変わらないのならと呟く。
 と、その時。辺り一帯に警報音が鳴り響く。
 何事かと周囲を見回す猟兵達。
「システム・フラワーズより緊急救援要請、システム・フラワーズより緊急救援要請」
 響き渡るのは機械音声。その音源は、周囲の建造物。まるで喋っているように聞こえる。
「全自動物資供給機構『システム・フラワーズ』に、侵入者あり」
「システム・フラワーズってなんだ!?」
 鍵のことすら知らないテレビウム達が騒ぐ。
「テレビウム・ロックの解除数が多ければ多いほど、開放されるメンテナンスルートは増加する。至急の救援を請う」
 告げられた言葉に、猟兵達の疑問は潰えない。
 ひとまず今回の依頼は完遂したが、どうやら、この事件はここでは終わらなそうであった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2019年04月28日


挿絵イラスト