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テレビウム・ロック!~あなたたちなんなんですか!?

#キマイラフューチャー #テレビウム・ロック! #テレビウム #システム・フラワーズ

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●かぎをうつすもの
「たーーーすーーーけーーーてーーー!!」
『『『待て、待つのだ!!!』』』
 いつも賑やかキマイラフューチャー、けれど助けてとは不穏な響き。一体何が起きているのか。
 おもちゃ箱をひっくり返したような街並みが続く大通りを、一人のテレビウムが全力疾走していく。その表情は――「鍵」だ。テレビウムの顔に相当するテレビ画面には、鍵のような映像が映っていた。
 そしてそんなテレビウムを猛追する一団があった。怪人だ。アルパカマッスルの――しかも大群だ。皆して筋骨隆々にして黒光り、何故か皆全力で鍵のテレビウムを追っていた。
 街行くキマイラたちもこれには振り返って見送るしかなく、内心で鍵のテレビウムの無事を祈るばかりであった。

●かぎをすくうもの
「突然の話にも関わらずお集まり頂き恐れ入る、いや、こういう事もあるのだな」
 普段はあらかじめ準備を整えてから猟兵たちを呼び立てるニコ・ベルクシュタイン(虹の未来視・f00324)も、突如降って湧いた予知に驚きを隠しきれない様子。
 それでもニコは、常のように一礼すると今回の依頼についての説明を始めた。グリモアベースの風景は、多くの猟兵たちが見慣れたポップな世界に変わっている。
「キマイラフューチャーに住むテレビウム達の顔……テレビ画面というべきか、其処に「鍵のような映像」が突如映し出されるという事態が起きている。そして、その状態になったテレビウムは、例外なく怪人……オブリビオンに狙われるのだ」
 迫るオブリビオンを蹴散らし、テレビウムを助けてあげて欲しい。そういうことになる。

「俺が予知した救出対象のテレビウムの名前は『デビ』というらしい。まだ子供で、放っておけばすぐに捕まってしまうだろう。皆には早急な対処を願いたい次第」
 こげ茶色の服を着た、一見地味なテレビウムが補助のホロモニタに映し出される。その顔……画面には、確かに「鍵」に見える映像が表示されていた。

「俺の方でも適切な場所への転送など尽力はする、とにかくオブリビオンの好きにさせる訳には行かない、手間を掛けるがよろしくお願いする」
 ニコはそう言うと、虹色の星型のグリモアを起動させて転移の準備を始めた。


かやぬま
●ごあいさつ
 初めまして、こんにちは。かやぬまと申します。
 キマイラフューチャーで同時多発している事件「鍵の画面のテレビウム」を、皆様のお力でどうか助けてあげて下さい。
 第1章と第2章ではそれぞれ異なるオブリビオンとの集団戦を、第3章では敵のボスとの戦いをお願いすることとなります。最初の刺客はアルパカマッスルブラザーズですが、以後の敵の正体は順次明らかになっていきます。まあ何にせよ全員ぶっ飛ばしていただければオッケーです!

●ごちゅうい
 今回のシナリオに限りまして、プレイングの採用方法を
 「ある程度集まった段階で随時執筆、有難くも多数のご参加を頂戴した場合は抽選」
 という形で承りたく思います。恐れ入りますが、ご了承下さい。
 (完結に速度を要求されるシステムの都合上、今回のみ試験的に設定致しました)

 それでは、皆様のプレイングをお待ちしております。私も頑張ります!
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第1章 集団戦 『量産怪人アルパカマッスルブラザーズ』

POW   :    ポージング
自身の【逞しい肉体の誇示】の為に敢えて不利な行動をすると、身体能力が増大する。
SPD   :    ポージング
自身の【躍動する肉体の誇示】の為に敢えて不利な行動をすると、身体能力が増大する。
WIZ   :    ポージング
自身の【洗練された肉体の誇示】の為に敢えて不利な行動をすると、身体能力が増大する。

イラスト:ヤマトイヌル

👑7
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​

種別『集団戦』のルール
 記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


●だいいちのしかく
 テレビウムの少年・デビは、訳も分からないままひたすら街を疾走していた。
 突然自分の顔に謎の映像が表示され、突然謎のマッチョ集団に取り囲まれて。
 そんなの逃げるに決まってる。でも、いよいよもって息が苦しい。

(なんで、どうしてこんな……)

 本当は画面に泣きそうな顔を表示させたい、だが無情にもデビの顔は鍵のまま。

(なんなんだよぉ、コレ!)

 デビが頭を抱えて天を仰いだその時。
『何だお前たち、邪魔だ!』
『そのテレビウムは我々が預かる』
『邪魔立てするならば……我々の筋肉が相手だ!』
(な……何!?)
 自分を追ってきていたマッチョ集団が、誰かに食ってかかる声がして、デビは思わず足を止め振り返る。
 そこには――キマイラフューチャーの住人なら誰もが知っている、ヒーロー。

 猟兵たちが、自分をかばうように立ちはだかる姿があった。

(アルパカマッスルブラザーズはいっぱいいます、蹴散らしてやりましょう!)
月夜・玲
こう、深刻な事態な筈なのに絵面がなんかこう…ね?
まあ真面目にお仕事はするけどさ…
初っ端こいつ等はインパクト強いなあ

さて、デビくんだっけ大丈夫かな?怪我は無い?
おねーさんが来たからにはまあ多分、きっと大丈夫なんじゃないかな?
とりあえずあのマッチョ共蹴散らして来るから、ちょっと離れててね

●戦闘
《RE》IncarnationとBlue Birdを抜剣
各ガジェットから両剣にエネルギーを供給
【エナジー開放】を使用
2振りの剣による『2回攻撃』で広域連続してエネルギー放射でマッチョを黒焦げにしてやろう
使用後は再チャージして可能な限り敵を減らしていこう

こっちもカッコいいポーズで対抗!なんてね

●アドリブ等歓迎


満月・双葉
さて、謎の行動をしていますが、やはりこれは……流石マッスル。真似したくない。

攻撃は視力、暗視、聞き耳、野生の勘、第六感等感覚をフル活用して見切るかオラトリオベールでオーラ防御します

相手の命を見極め弱いところを見られれば、鎧無視攻撃を行い、鎧を破壊することで他の猟兵の攻撃も通りやすくするように動いてみます
攻撃は武器の投擲と銃による射撃をスナイパーで精度を上げて行い、近接に入り込まれれば、大根による串刺し攻撃からの傷口を抉る2回攻撃か、置物による殴打の気絶攻撃を行います

筋肉による保護も、筋肉の切れ目のところに入れられれば…等医術の知識も活用して見ましょう…ママの医学書盗み読みしておいてよか…寒っ


真守・有栖
なーるほど?
まっっったく分からないわね……!
この賢狼たる私を以てしても閃かぬなんて……これはとっっっても一大事だわ!?

けれど、お任せあれ!
この俊狼たる私が上手いことあーしてこーして、かちゃり!よっ

そこの少年……!待たせたわね!
この勇狼たる私が……そうだわ! 

わほん!あ、そこの筋肉たち!もうちょっと待ってなさい!いい?お約束は大切よ?

才色兼狼な一匹狼とはこの私……!
銀の刃狼!わふわふしるばぁーがお相手するわ……!

わぅう……!いいわね。これ。すっっっごくいいわ!
こないだ教わってきた甲斐があったわね!
尻尾ぶんぶん。初っ端から全開よ……!
襲いかかる筋肉たちを薙刀でしゅばっと成敗!どんどん来なさい……!


ツーユウ・ナン
(サムライエンパイア出身でこの世界へは初来訪)
ここも未来世界のひとつと聞いたが、何ともどぎついというか、派手な色が目につくのう。ともあれ、大きな事件の兆しとあれば放ってもおけぬ。

・怪人がデビに手を伸ばした所に割って入って手首を捻り上げ、空いた脇腹に靠撃【吹き飛ばし】「哼フン!」
大そうな図体をして童の捕り物とは情けないのう。
折角じゃ、わしが相手をしてやろう。【挑発】

◆徒手武術――『UC』対象
攻撃を【見切り】避け、化勁により捌き受け流し~
・擒拿【グラップル】で極め、体勢を崩す、投げる
・【カウンター】で『頂肘』
・踏込み『突き』
・胸への『双掌打』
「哈ハッ!」
⇒デビが捕まらないよう留意【かばう】


荒谷・つかさ
……なにあれ。なにあれ。
いえ、筋肉は評価するけど。
あの筋肉で子供追い回すって。
まあ、怪人だからそういうものなのかしら。
(つかさはかんがえるのをやめた)

まず優先すべきは追われてる子の安全確保。
なるべく巻き込まない位置に避難、不可能なら私がおぶる等して常に保護。
私の筋力なら、子供背負って戦うくらいは余裕ですし。

その後、迫り来るアルパカの群れに対し【轟烈鬼神熱破】を拡散モードで放射。
私の燃え盛る魂の炎を浴びて、いつまで余裕こいてポージングしていられるのか、見ものね。
それでも頑張ってる奴が居れば、今度は収束モードでピンポイントに急所(顔面、溝尾、股間等)を狙い撃ちして攻撃するわね。


レッグ・ワート
仕様の内か外かもわからないのは厄介だな。とまれお疲れさん。何が起こってるのかは俺らも知らないが、一先ず面以外の調子は整えとこうな。

俺は落ち着くまでの話し相手兼護衛でも。不安そうならバイクに乗せていつでも出れる体でいるわ。その場で猟兵応援するようないつものタフなノリなら突出しない程度に放っといて、行き過ぎたら糸ひっかけて回収するぜ。一応不意打ち対策にドローン飛ばして上から場の情報収集、ソナーも使っとけば陰対策にはなるか。
後はまあ複製で鉄骨増やして遠隔操作で加速つけて垂直めにぶつけたり横に払ったりだよ。もし一本はどうにかなるっていうなら数本纏めていく。近くに来たら手持ちの鉄骨で思いっきりぶん殴る。



●ひーろーけんざん
 逃げるテレビウムの少年・デビと追うアルパカマッスルブラザーズとの間合いが絶妙に開いたタイミングで、ちょうど割って入るように次々と転送されてきた猟兵たち。事前に事情は聞かされてはいたが、やはり実際その目で見ると、その光景はかなり強烈なものであった。

「こう、深刻な事態な筈なのに絵面がなんかこう……ね?」
「……なにあれ。なにあれ。いえ、筋肉は評価するけど」
「するんだ」
 黒と青を基調とした、メカニカルな装備も凛々しい月夜・玲(頂の探究者・f01605)と、白と赤で彩られ、戦巫女の装いが良く似合う荒谷・つかさ(風剣と炎拳の羅刹巫女・f02032)とが、眼前の光景について所感を述べた。

「まあ真面目にお仕事はするけどさ……初っ端こいつ等はインパクト強いなあ」
「あの筋肉で子供追い回すって。まあ、怪人だからそういうものなのかしら」
(「あ、この人考えるの止めたな」)
 言葉を交わしつつも、玲とつかさが同時に見やったのはデビの方だった。二人とも何はともあれデビの安全を確保することが第一だと考えていたのだ。
 ちなみに当のデビはひとまずの窮地を逃れたことだけは理解できているようだが、突然の事態が起こりすぎて半ば思考が停止してしまっているようだった。

「……さて、デビくんだっけ大丈夫かな? 怪我は無い?」
「……っ!(こくこく)」
 玲がそっと近付き片膝をついて目線をデビと同じ所まで落とすと、努めて優しく声を掛ける。それが功を奏したか、デビは全力で首肯して玲の言葉に応じる。その顔には鍵の映像。しっかり固定されてしまっているようだ。
「おねーさんが来たからにはまあ多分、きっと大丈夫なんじゃないかな? とりあえずあのマッチョ共蹴散らして来るから、ちょっと離れててね」
 そう言って玲がどこか安全な場所はないだろうかと目を凝らし、つかさが何ならデビ一人背負って戦っても問題ないと提案したその時だった。

「――仕様の内か外かもわからないのは厄介だな。とまれお疲れさん」
 ずいと現れたのは、一目でそれと分かる「仕様」をしたウォーマシンの男性――レッグ・ワート(脚・f02517)だった。体長257.7cmを誇る堂々たるスペックのボディを揺すりつつ、レッグは先程玲がそうしたように可能な限りデビと目線を合わせようと善処しながら、言葉を続けた。
「何が起こってるのかは俺らも知らないが、一先ず面以外の調子は整えとこうな」
 そう言ってデビの頭をポンポンと二度軽く叩いてやると、言われた通りどうにもならない鍵の顔以外はどうにか落ち着いたのか、デビはトテトテとレッグの足元に近付き。

「……たすけて」
 そう言って、レッグの脚にキュッとしがみついたのだった。
「お願い、できるかしら?」
「おう、俺は落ち着くまでの話し相手兼護衛でも。状況次第でバイクに乗せていつでも出れる体でいるわ」
 つかさがレッグに問うと、あっという間に話がついた。
「一応不意打ち対策にドローン飛ばして上から戦場の情報収集と、ソナーも使っとけば、まあ対策としては」
「万全だね、それじゃデビのことは任せるよ」
 そう言って玲は片手をひらひらさせつつ、いよいよアルパカマッスルブラザーズの方へと向き直る。筋肉たちは強行突破も辞さぬ構えで、しかし時折ポージングを決めながら猟兵たちの方へとにじり寄って来る。
 こうして、猟兵たちと筋肉たちとの戦いの幕が切って落とされた。

●きんにくたちをなぎたおせ
「さて、謎の行動をしていますが、やはりこれは……」
 一連のアルパカマッスルブラザーズの挙動を眺めていた満月・双葉(星のカケラ・f01681)は、ゆっくりと大きく首を振った。
「……流石マッスル。真似したくない」
『何たる! 筋肉の素晴らしさを理解できぬとは!』
『これは肉体言語で分からせてやらねば』
『覚悟せよ!』
 何事も力づくでというのは、確かに双葉が言う通り真似したくない要素かも知れない。しかしいわゆる脳筋であるアルパカマッスルブラザーズたちに通じる道理でもなく、まずはお前からだとばかりに双葉めがけて筋肉たちが襲い掛かる!

(筋肉による保護も、筋肉の切れ目のところに入れられれば……)
 顔面こそアルパカのものだが、首から下は色々な意味で立派な人間のカタチをしている敵を見据え、医術的な観点から云々かんぬん。双葉には切り札である「生命を視る」魔眼がある、それで相手の「生命」を見極め、弱いところを見破るやその箇所を――「筋肉」という名の敵の「鎧」を、兄がかつて愛用していた銃で撃ち、破壊していく。
(おや、効いている。……ママの医学書盗み読みしておいて良かっ……寒っ)
 ここまで思って、不意に怖気に襲われる双葉。ママ、恐るべしである。

『ぐわっ! とっ、飛び道具とは卑怯な』
『そうだ、拳で語り合ってこその戦い!』
『間合いを詰めてしまえば! 怯むな、行くぞ!』
 難を逃れた筋肉軍団が、数に任せて双葉に接近戦を仕掛けるべく殺到した。対する双葉が仕方ありませんねとばかりに禍々しい気配に満ちた大根を構えた、その時――。

「なーるほど? まっっったく分からないわね……! この賢狼たる私を以てしても閃かぬなんて……これはとっっっても一大事だわ!?」
『な、何者だ!』
『新手か!? これだから猟兵は!』
『一人見たら十人はいると思えという話は本当だったか!』
 そんな話あったんですか怖いですね! でもあながち間違ってないのが怖いですね!
 アルパカマッスルブラザーズは、新手の声に律儀に向き直る。その先には、どーんと腰に両手をあてて立ちはだかる真守・有栖(月喰の巫女・f15177)の姿があった。
 有栖はビシリと筋肉たちを指差すと、レッグにかくまわれているデビをチラリと見つつ威勢よく言い放つ。
「けれど、お任せあれ! この俊狼たる私が上手いことあーしてこーして、かちゃり! よっ」
 かちゃり、とは恐らく「解錠する=事件を解決する」ことの比喩であろう。

「そこの少年……! 待たせたわね! この勇狼たる私が……そうだわ!」
 有栖が何やら名案を思いついたという風に、一旦言葉を切る。もういいですか動いてもという風に、無意識に取っていたポージングを解こうとする筋肉たち。
「わほん! あ、そこの筋肉たち! もうちょっと待ってなさい!」
 止められた。筋肉たちは何故律儀に待ってしまうのか。筋肉は裏切らないからか。
「いい? お約束は大切よ? ……才色兼狼な一匹狼とはこの私……! 銀の刃狼! 『わふわふしるばぁー』がお相手するわ……!」

 いい子に有栖の名乗りを聞き届けた筋肉たちがどよめく。
『わ、わふわふしるばぁー……だと……!?』
『リングネームか何かかな?』
『と、とにかく強そうだ……油断するな!』
 アルパカマッスルブラザーズの反応に、満足げにうんうんとうなづきながら薙刀を構える有栖。もしかしなくてもコレ、某ヒーローズアースで良くある「ヒーローネームの名乗り」ですよね?
「わぅう……! いいわね。これ。すっっっごくいいわ! こないだ教わってきた甲斐があったわね!」
 アッやっぱりヒーローネームだった。ちゃんと聞いてもらえて良かったですね!
 尻尾ぶんぶん、初っ端から全開の有栖は、いよいよ本当に襲いかかってきた筋肉たちを薙刀でバッサバッサと斬り伏せていくのだった。

 時折隙を突かれそうになる有栖は、双葉が背後から馬の置物で思い切り後頭部を殴りつけてぶちのめしフォローする。
「どんなに肉体を鍛えようとも、頭部ばかりはどうしようもないでしょう」
 馬の置物って殴打武器でしたっけとか、そもそもどうやって持ち歩いているんですかとか、そういうことは全て横に置きつつ、次の獲物を探す双葉さんであった。

●てれびうむをししゅせよ
 ワンテンポ遅れて転送されてきた筋骨隆々の龍の美女がひとり、名をツーユウ・ナン(粋酔たる女用心棒・f04066)という。サムライエンパイア出身のツーユウはキマイラフューチャー初来訪、見るもの全てが珍しく、思わず周囲を見回し嘆息する。
(ここも未来世界のひとつと聞いたが、何ともどぎついというか、派手な色が目につくのう)
 そして耳に入ってくる大立ち回り(薙刀とか馬の置物とか大根とか)の音を聞きつけると、己の使命を果たすべくそちらに向き直った。
「……ともあれ、大きな事件の兆しとあれば、放ってもおけぬ」
 さて自分も、と集団戦の真っ只中に自身も身を投じようと一歩踏み出したその時。

(「追加のお仲間か、早速で悪いがちと助けてくれ。こっちに一体来てる」)
「な、何と面妖な。頭上から人の声がするだと? ……あれか!」
 ツーユウの頭上から降ってきた音声の正体は、先刻レッグが飛ばした情報収集用ドローンだった。脳筋にそんな知恵があったのかと思ってしまうが、混戦に紛れて抜け出したアルパカマッスルブラザーズの一体が、猟兵たちをかいくぐって後方に控えていたレッグ――正確にはレッグがかくまっているデビを狙って単騎特攻をしてきたのだ。

『その子供さえいれば……!』
「……ッ!」
「哼(フン)!」
『ぐわあーっ!』
 筋肉怪人がレッグを無視する勢いでデビに迫り、強引に手を伸ばしたその時だった。間一髪間に合ったツーユウが間に割って入るとアルパカマッスルの鍛え上げられているはずの手首を、文字通り赤子の手をひねるかのようにひねり上げ、空いた脇腹に靠撃――平たく言えば体当たりである――を喰らわせたのだ。豪快に吹っ飛んでいく筋肉怪人。

「大そうな図体をして童の捕り物とは情けないのう。折角じゃ、わしが相手をしてやろう」
 道路脇の消火栓にアルパカマッスルが激突し、コンコンされたものかと勘違いした消火栓が――何も出さなかった。キマイラフューチャーの常識である「そこらのものをコンコンすれば何かしら出てくる」現象が起きなかったことに、それを知るものであれば多少なりとも驚愕しただろう。
 しかし偶然にもそれを知らなかったツーユウは、特にそのことに気付くことなくアルパカマッスルを掌をクイクイして挑発する。

『お、おのれ……! その鍛え上げられた肉体、相手にとって不足なァし!』
 心なしか一撃喰らった側のアルパカマッスルのテンションが上がっている気がするのは気のせいだろうか。正々堂々と呼ぶにふさわしい正面からの突撃でツーユウに迫る!
「甘い、甘いのう。そのような生半可な攻撃、止まって見えてかなわんわ」
 アルパカマッスル渾身の右ストレートを悠々と見切ってかわしたツーユウは、伸びたアルパカマッスルの腕を化勁によりさばき受け流す。
 それで放り投げるかと思いきや、何と擒拿(きんな)で筋肉怪人の巨躯を極めたではないか! これは痛い! アルパカマッスルの体勢が崩れたところを今度こそ本当にぶん投げるツーユウは実に涼しい顔をしている。

『貴様、ただ鍛えているだけでなく、武人としても中々とは……!』
「阿呆、逆じゃ。鍛えたらこうなったと、何故思い至らぬ」
 うおおおおと再び挑みかかる筋肉怪人のみぞおちにカウンターの頂肘(ちょうちゅう)を入れると、ニ、三歩よろめき後退した筋肉怪人のボディに鋭い突きを放つ。
「哈(ハッ)!!」
『おう……っ!!』
 突きを喰らって思わず胸を開いてしまったアルパカマッスルの、そのがら空きになった胸部目がけて――全力の双掌打を叩き込んだ。何とも言えぬうめき声と共に仰向けに倒れ込むアルパカマッスル。彼は、勇敢ではあったが、なにぶん相手が悪かった。

「まずは一体、しかしまだまだ数がおるのじゃな」
 そう言いながら周囲を油断なく見渡すツーユウの元に、レッグとデビがやって来た。
「……ありがとう、おねえさん」
「助かったわ、ありがとうな。急に来られたんで、俺の「攻撃方法」じゃ、ちと対処しきれそうになかったんでね」
 ツーユウに小さく頭を下げてお礼を言うデビに、何故か鉄骨を――そう、鉄骨を担いだレッグがいよいよ出番かと筋肉の集団を眺める。
「わしが見ていてやろう、次は頼むぞ」
「……あんま頼られたくないんだけどな、しょうがないか」

 やれやれというジェスチャーをしてみせながら、デビの背中をそっと押してツーユウの方に向かわせると、レッグは担いでいた鉄骨をいかなる原理か宙に浮かせる。そしてユーベルコード【複製(コピー)】を発動させ、その鉄骨を大量に、言葉通り「複製」してみせたのだ。
『鉄骨が……!?』
『そ、それをどうするつもりだ!』
「言わせるとか野暮だな、こうするんだよ、っと」
 ユーベルコードで複製された鉄骨は、一本一本が念力で自由自在に動かせる。思い切り加速をつけて垂直にぶつけたり、横殴りに払ったり、これが答えだとばかりに次々とアルパカマッスルブラザーズ目がけて叩き込んでいく。
 それでもやはり鉄骨の雨をかいくぐってくる猛者はいるもので、レッグの眼前に一体、左フックで迫る筋肉怪人が!
「よっこらしょ」
『がふっ!!』
 ……筋肉怪人が、レッグが手にしていた鉄骨で思いっきりぶん殴られて、卒倒した。
 それを見守っていたデビが、声もなく小さく拍手をしていた。

●とどめをさせー!
 いくら肉体を鍛えに鍛えているとはいっても、それで戦上手になれるかとはまた別問題である。それは、ここまでの猟兵たちの活躍で充分に証明されたことである。
「さて、ちゃっちゃと片付けますか」
 玲は「《RE》Incarnation」と「Blue Bird」、二振りの剣を抜き放つと、「System[Imitation sacred treasure]」の名を持つガジェットからそれらにエネルギーを供給。充分に満たされたと確認するや剣の切っ先をそれぞれ筋肉軍団の残党に向けて――。
「【エナジー開放(エナジーバースト)】!」
『ぐわあああああ!!!』
『ぎゃあああああ!!!』
「おかわりもあるぞ、なんちゃってね」
『ひいいいいいい!!!』
 高威力のエネルギーを、二振りの剣を巧みに動かしつつ広域に放射して、アルパカマッスルブラザーズを殲滅せんと浴びせかける。しかもエネルギーはガジェットから何度でも再チャージできるので、玲が言っていることはあながち間違いではないのだ。

(こっちもカッコいいポーズで対抗! なんてね)
 誰に見せるつもりでもなく、ただの気まぐれでふと身体をひねってただでさえカッコいい武装を構えて二振りの剣を縦横にクロスさせてみせる玲の姿を、たまたま同じく残党を処理しようと動いていたつかさに、ガッツリ見られた。
(――見られた!)
 イイエワタシナニモミテマセン、というジェスチャーをするつかさ。残念ながら……フォローになってないと思います……。

『うおおおお、突撃じゃああああ!!!』
『我々のうち、誰か一人でもあの子供を奪取すれば!!!』
『我々の勝利だあああああ!!!』
「……まだあきらめないとは大したものね、いいわ。相手をしてあげる」
 つかさが迫り来るアルパカマッスルの群れに向けて、す、と両手をかざす。
「我が心、動かざること水鏡の如く……されど、我が魂は烈火の如く! 【轟烈鬼神熱破(オウガ・ヒートウェイブ)】!!」
 詠唱と共に発動したユーベルコードは、つかさの両手の間から拡散する魂の炎の波動を放ち、筋肉たちを呑み込んだ。

『う、うおおおおお! 熱い!!』
『心頭滅却しても熱い!!』
(私の燃え盛る魂の炎を浴びて、いつまで余裕こいてポージングしていられるものか、見ものね)
 両手からの波動を放ち続けながら様子を見るつかさは、己が放った炎の中に、それでも頑張っている一人の猛者を見出した。見出してしまった。
『フンヌウウウウウウウ!!!!!』
「……」
 つかさの波動は拡散状のものと、もう一つ収束した状態でも放つことができる。イメージとしてはお風呂掃除の時などに使うスプレーの切り替えのような……などと表現したら怒られるだろうか。
 ともあれ、つかさは無言で頑張っている猛者に狙いを定め、ブーメランパンツ越しに存在を主張する人体の急所のひとつ目がけて――狙い撃った。
『アアアアアアアアアア!!!!!』
 その瞬間、顔を覆うものもいたとかいないとか。
 とにかく、こうしてアルパカマッスルブラザーズ最後の一体も無事排除され、ひとまずの危機を切り抜けることに成功したのだった。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​




第2章 集団戦 『アキクサさま』

POW   :    ぽかぽかの風
【召喚したヒーターの熱風】で対象を攻撃する。攻撃力、命中率、攻撃回数のどれを重視するか選べる。
SPD   :    どっちが本物?
【もう一羽のアキクサさま】が現れ、協力してくれる。それは、自身からレベルの二乗m半径の範囲を移動できる。
WIZ   :    究極の平和主義
全身を【スーパーもふもふモード】に変える。あらゆる攻撃に対しほぼ無敵になるが、自身は全く動けない。

イラスト:橡こりす

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種別『集団戦』のルール
 記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


●だいにのしかく
 猟兵たちの救援によって、辛くもマッチョ軍団の魔の手から逃れることに成功した鍵のテレビウム少年・デビ。
 猟兵たちが詳しい事情を聞こうとしたその瞬間、デビの顔の鍵に動きが起きた。

「えっ、えっ、僕なにもしてない……また、顔が勝手に……」

 その場の誰もが困惑する中、デビの顔の鍵は街の公園を指し示す。
「……ここに行け、ということかな?」
 猟兵たちの中から声が上がり、首肯する者が続く。
 デビも困惑がおさまらないものの、自分に起きているこの異常事態を何とかするには、もはや行動するより他にはないのだと、幼いながらに悟ったようだった。

「……わかった、僕、公園に行く……!?」

 すっくと立ち上がったデビは、しかしさらなる異変を感じ取り身をすくめる。

『ぴっぴっ、ぴー!』
『ぴっぴぴー』
『ぴぃぴぃ、ぴー!』

 そこには何と、大量のもふもふ桃色のアキクサインコ型オブリビオン(重要)がいるではないか!
 桃色は夕日に紛れるための保護色!? マジかよ策士じゃん!!
 そんな訳で次なる刺客はお鳥様だ! 全力で公園目がけてダッシュしながら、アキクサさま(かわいい)(でもオブリビオン)の追撃を振り払おう!

 ※もちろん、全部倒しちゃっても構いませんよッ!!
満月・双葉
もふもふだっ!倒そう。

目を使い、相手の弱いところを探り当て、鎧無視攻撃をし、羽を毟り(鎧破壊?)他の猟兵の方々の攻撃も通りやすくしてみましょう。
もふもふに物理は聞にくいかも知れませんので、虹瞳による生命力吸収攻撃を中心に攻撃を展開
相手が飛べるかは分かりませんが、その方が有利となれば羽で飛び立ち空中戦を展開

それにしてももふもふか…はっ、まさかこいつら動けない?!折角だから…お姉ちゃんに攻撃は任せて、もふもふしてから倒(フルートで殴打される)
フルートは殴打武器じゃない!吹けよ!

敵の攻撃は視力、暗視、聞き耳、野生の勘、第六感、とあらゆる感覚を駆使して見切るか、オラトリオベールが防ぎます(オーラ防御)


真守・有栖
もふもふと争わねばならぬとは……!
わぅう……覚悟を、決めるわ。

デビ。行きなさい……!
此処は非情の戦士、六番目の狼たる私が引き受けるわ……!さぁ、皆と一緒に早く!

少年に背を向け、追ってくる群れを足止めするわ。

わおーん!と神霊体になり、先頭のもふもふを薙刀で成敗……!
もふっと攻撃が弾かれたら、すかさずもふもふを確保。
片手でもふりながら、刃の切っ先を突き付け人質……もふじちにするわ!

動くな……!
このお鳥様がどうなってもいいのかしら?
えぇ、抵抗するのなら延々とひったすらもふり続けるわよ!?
わっふっふ……!私の執拗なもふりにこの一羽はいつまで堪えられるかしらね!

心を狼にした私は甘くないわよ……!がるるっ


月夜・玲
いや……うん、やり辛い!
マッチョ共よりある意味つよい!
ヤバいね……なんてこうどなさくせんなんだ……
我々の気を和ませて反撃の手を鈍らせよう等と!
とりあえず公園に行けば勝ちなんだし、程々に蹴散らして移動しよう
そうしよう
良心の呵責で心が潰れてしまう前に!

●戦闘
【高速演算】を起動
目に見える範囲のアキクサさまに対して衝撃波で『なぎ払い』!
こう手加減風味な衝撃波で、やんわり進む道だけ開けるような気持ちを込めて!
いやUDCだから倒さないといけないんだけどね!でもね!ね!
データも取りたいけどでもね!

とりあえず走れデビくん
死んでも良いから、いや良くないけどとっとと走って突破して
私の良心は限界だ!

●アドリブ等歓迎


荒谷・つかさ
次から次へと、今度は何が――
(もふもふの群れを目にして)
――そうね、きまふー(※キマイラフューチャーの略)ね。
(つかさはふたたびかんがえるのをやめた)

デビの警護は仲間に任せ、私は鳥の群れに突撃
風迅刀による属性攻撃の風の刃を放ったり、直接切り払ったりでばっさばっさと薙ぎ倒す
いい感じに囲まれたら【荒谷流乱闘術奥義・明王乱舞】発動
装備している「風迅刀」以外の五振りの剣と鉄塊ハンマー、あと無数の丸太を召喚して範囲内の鳥を一網打尽にする

ともあれ邪魔するなら蹴散らして……
(ねっぷうもわぁ)
……暑いわッ!
もう春先だっていうのにまだヒーター出してるとか何考えてんのよ!?
冬になってから出直してきなさいッ!


ツーユウ・ナン
あれは、桃色の丸い……なんじゃろう?
成鳥にしては丸すぎるし、雛鳥にしては保護色をしておらんし、
オブリビオンというには長閑過ぎるが……

!? 今のは、攻撃か?
(戸惑いながらもデビを守りながら移動する事に)
追撃を【見切り】ながら、必要なら【かばう】。

『UC』
1.【気合い】を込めて氣弾を飛ばす「呀ヤーッ!」
2.引き出した鎖で敵をそのまま素早く【早業】ぐるぐる巻きにする
3.独楽回しの様に、敵の群れに投げながら鎖を一気に引き抜く【怪力】
4.どうなる?

……さ、行こうか。


レッグ・ワート
え、バイクで走るの駄目?

使うけども。先ずはデビに小声で狙い伝えながら救護パックの布被せる。ドローンで上から敵仲間の位置や道把握しながら公園まで逃げ足だ。鳥が集ったら小道でデビを他の奴にパス。なるたけ穏便に渡したいけど急げば若干手荒になるんで頑張れ男子。公園行くって自分から言えたんだ、大丈夫だよ。
後は布をデビいる風に糸諸々で整えて短期囮。いや悪いな鳥、ってかこれ鳥か?しかも俺かわいいとかわからんから、やわでかいボールにしか見え無いんだけども。とりま合流もしないとだ。防具改造と同値以下の各耐性を火炎耐性に変換統合。ブレードエピダミスで捌いていくよ。

……そういやさっきのコンコン機械、壊れてたのかね。



●もふもふだ! どうする!?
 先程の筋肉軍団とはガラリと毛色の変わった敵――そう、敵である――を前にして、猟兵たちはどうするか。魅惑のもふもふの前に屈し、守るべきものを差し出してしまうのか? それとも、あくまでも抗うのか?
 デビ少年が不安そうに猟兵たちの顔を見上げた、その時だった。

「もふもふと争わねばならぬとは……! わぅう……覚悟を、決めるわ」
「次から次へと、今度は何が――(もふもふの群れを目にして)――そうね、きまふーね」
 真守・有栖(月喰の巫女・f15177)が悲壮な覚悟を決めた顔で、荒谷・つかさ(風剣と炎拳の羅刹巫女・f02032)はハイライトの消えた目で(アッこれまた考えるの止めたな)それぞれデビをかばうように立つ。

「デビ。行きなさい……!」
「な、なんか名前がいっぱいあるおおかみのおねえさん」
「此処は非情の戦士、六番目の狼たる私が引き受けるわ……! さぁ、皆と一緒に早く!」
「また名前ふえたー!?」
 この非常事態の連続での衝撃でか、ついにツッコミの技能を身に着けてしまったデビに背を向けると、有栖は追ってくる群れを足止めすべく駆け出す。

「デビの警護は任せてもいいかしら?」
「良かろう、引き受けた。……しかしあれは、桃色の丸い……なんじゃろう?」
 つかさの呼びかけに応じたツーユウ・ナン(粋酔たる女用心棒・f04066)は、どうしてもアキクサさまの存在を上手く自分の中に落とし込むことができずにいた。

 デビをかばうように公園の方向へと移動しつつ、ツーユウは思案する。
(成鳥にしては丸すぎるし、雛鳥にしては保護色をしておらんし、オブリビオンというには長閑すぎるが……)
 疑問は尽きぬが、今は逃げねば。歩調を合わせ二人で公園へと向かおうとしたツーユウとデビの前に、宇宙バイクにまたがったレッグ・ワート(脚・f02517)がジャッと音を立てて停止する。
「え、バイクで走るの駄目?」
「おぬし、早駆けが出来るのか。ならば、頼んでもよいかのう?」
 言いつつ既にツーユウはデビの両脇に手を入れるとひょいと持ち上げ(その時ツーユウは「見た目より意外と重い」と感じたそうな。顔面テレビだからね、仕方ないね!)、レッグの方に引き渡していた。
 はいはい、という風にデビを受け取ったレッグはデビに小声で何やら耳打ちをすると、おもむろに搭載されていた救護パックの布をかぶせた。
「そいじゃ、公園まで逃げ足だ。よろしく頼むぜ」
 まるで荷物の運び屋のような体で宇宙バイクを発進させたレッグを見送ると、ツーユウもまたアキクサさまたちに向き直る。

 ――鍵のテレビウム防衛戦、第二戦目の開幕である。

●もふじちとかいうあたらしいがいねん
「わおーん!」
 遠吠えひとつ、ユーベルコード【巫覡載霊の舞】で自身を神霊体に変化させた有栖は、まずは先頭のもふもふを薙刀で成敗――したかに思われた。

 もふっ。

 何と、なぎなたの刃がそのもふもふでもふもふな胸毛によって弾かれてしまったのだ! 良かった、開幕早々袈裟斬りにされた可哀想なもふもふはいなかったんだ……。
 だが有栖はそれさえも織り込み済みであったのか、はたまた本能の赴くままか、おもむろに手近なアキクサさまをひっ捕まえる! 片手でもふりながら、なぎなたの刃の切っ先を突き付け――人質ならぬ「もふじち」に仕立て上げたのだ! アキクサさまたちの間に動揺の色が走る(イメージです)。

「動くな……! このお鳥様がどうなってもいいのかしら? えぇ、抵抗するのなら延々とひったすらもふり続けるわよ!?」
『ぴぴっぴ……!(ひ、ひどい!)』
『ぴっ、ぴー……(なんたるげどう)』
『ぴぴー!!(た、たすけて!)』
 有栖たち猟兵サイドには何を言っているのかさっぱりだが、抗議の声を上げているんだなー的な雰囲気はだいたい伝わってくる。
「わっふっふ……! 私の執拗なもふりに、この一羽はいつまで堪えられるかしらね!」
 そう言いながらも片手でもふり続けるのを止めない有栖さん。
(心を狼にした私は甘くないわよ……! がるるっ)
 内心そんなことを思いつつ、アキクサさまたちの動きを止めるのに見事成功したのだった。

(あれは完全に個人の趣味なんじゃないかしら……まあ、おかげで鳥の動きが止まったから良しとしましょう)
 つかさはこれを好機と見て、もふじちに気を取られている集団に果敢にも突っ込んでいく!
『ぴぴぴっ!?(き、きしゅうこうげきだー!)』
『ぴぃ、ぴぃ!!(やはりりょうへい、ひきょうなりー)』
『ぴーーっ(くるぞー)』
 どよめくアキクサさま目がけて、挨拶代わりの「風迅刀」。放たれた風の刃は容赦なくアキクサさまの桃色の羽毛を散らす。手近な個体は直接バッサリと斬り払い、次々と数を減らしていく。さっき有栖の一撃がもふんと弾かれたのは何だったのかという程ズバズバ斬られていくので、当のつかさ本人もちょっとだけいぶかしむ程である。

『ぴっぴ!(よし、かこんだぞ)』
『ぴぴー(みんなでせーのでいくぞ)』

 気付けば四方八方を桃色の塊に囲まれたつかさ。しかしそれこそがつかさの狙いだった。完全に――得意の間合いだ。
「巻き込まれるのが嫌ならば、近づかないことよ……。【荒谷流乱闘術奥義・明王乱舞(ミョウオウ・アサルト)】!!」
 「零式・改二」をはじめとした五振りの剣と「流星」の銘持つ鉄塊ハンマー、それに無数の丸太を召喚して――丸太!? ま、まあいいやとにかく手持ちの武装のほとんどを舞い踊らせて、半径37m内に存在する全てのアキクサさまを、文字通り一網打尽にしてしまった。

「ともあれ邪魔するなら蹴散らして……」
 もう蹴散らしてます、と地の文さんが言おうと思ったその時。

 ねっぷうもわぁ。

 数だけはとにかく多いアキクサさま軍団、難を逃れた個体がぽっかぽかの風をえいえいっとつかさに向けて吹きかけていた。
「……暑いわッ!」
 ずんばらりとアキクサさまの羽毛を散らす(比喩表現)つかさ。
「もう春先だっていうのにまだヒーター出してるとか何考えてんのよ!? 冬になってから出直してきなさいッ!」
 最後は普通に怒られたアキクサさまであった。

●つづくこうぼうせん
「もふもふだっ! 倒そう」
 何の躊躇いもなく倒すことを決めたー!? いやまあいいんですけど! そんな訳で満月・双葉(星のカケラ・f01681)の出陣である。
 いまだ有栖にもふじちに取られもふられ続けている哀れな個体と、それを何とか助けようと機を伺っている集団が双葉の目に入る。
(それにしてももふもふか……はっ、まさか今のこいつらは……動けない!?)
 気付いてしまったか。双葉は【死した片割れ(ミツキカナ)】を発動させると、双子の姉の霊を召喚する。
「折角だから……お姉ちゃんに攻撃は任せて、もふもふしてから倒痛い!?」
 邪念を察するどころかモロに聞かれて、双葉は姉が手にしていたフルートで思い切り後頭部を殴られた。お姉さんの表情は微笑んでこそいるが目が、目が笑っていない!
「フルートは殴打武器じゃない! 吹けよ!」
 痛む後頭部をさすりながら双葉がツッコむが、あなた普段馬の置物投げたり大根で敵の傷を抉ったりしてますよね的な。ああ、姉妹だから……そうか……。

 ちなみに双葉と姉との一連のやり取りは完全にアキクサさまから無視されていた。アキクサさまサイドからすれば、今仲間がもふじちに取られていて忙しいといった所か。
「……気を取り直して。もふもふに物理は効きにくいかも知れませんので」
 さすが双葉さん鋭い、「虹瞳」による生命力吸収の攻撃を主軸にして、自身に背を向けているアキクサさま軍団に向けて「生命を削り取る視線」を浴びせる。

『ぴっ……?(うっ……)』
『……ぴ……(か、からだにちからがはいらない)』
『ぴぴ……!(あいつだっ)』

 ようやく双葉の存在に気付いたアキクサさまたちの一部が応戦のため向かってくる。しかし、双葉と姉の前に来たは良いが、皆一様に固まったまま動かない。
 ならばと双葉が魔眼でもふもふの中に隠された生命の弱い部分を見抜き、そこを狙って攻撃をするも――弾かれる!
「これが……スーパーもふもふモード……」
 意気揚々と倒す宣言をしたはずの双葉は、仕方がないのでしばし姉と共にスーパーもふもふタイムを堪能するのだった。

●てれびうむをまもりぬけ!
「!? 今のは、攻撃か?」
 デビをレッグに託したツーユウは、四方八方から吹きかけられるぽっかぽかの熱風に戸惑いを隠せずにいた。だって得体の知れない生き物が突然ヒーター召喚して熱風吹きかけてきたらそりゃあどんなに歴戦の猛者でもビビりますよね。しょうがない!

『ぴっぴー(アキクサさまのすばらしさをしるがいい)』
『ぴぴっ(ちなみにわれわれはもうりっぱなおとなだ)』

「何を言っているのかさっぱりじゃが、これ以上好きにさせる訳にはいかんな」
 レッグとデビが走り去っていった道を通せんぼするように立ちはだかると、手近な個体に向けて【ドラゴニアン・チェイン】を放つ!
「呀(ヤーッ)!」
『ぴーっ(やーっ)』
 裂帛の気合と共に放たれた氣弾――ドラゴンオーラは見事一体のアキクサさまに命中、ツーユウとの間にオーラの鎖が発生する。反射的に逃げようとするアキクサさまよりもさらに早く、ツーユウは巧みに手元の鎖を繰り、アキクサさまを――鎖でぐるぐる巻きにしてしまったではないか。これはまるで……!?

(「独楽回しの様に、敵の群れに投げながら鎖を一気に引き抜いてみせたら……どうなる?」)

 ぐいっ。ツーユウの仕草こそ何気ないものだったが、込められた力は尋常ではなかった。ものすごい勢いでジャララララッと鎖が引き戻され、クルクルクルクル回転しながら勢いのついたアキクサさまは――群れの中に激突すると、たくさんの個体と共に派手に宙へと舞い上がった。まるでボウリングか何かのようだった。

「おうおう、派手に散ったものじゃのう……何っ!?」
 油断していた訳ではない。ただ、ちょっと勢いが良すぎただけだった。天高く舞い上がったアキクサさまのうち一体が、おもむろにツーユウの頭上から降ってきたのだ。
「おっと!」
 倒すべき敵を、思わず受け止めてしまった。ツーユウはすぐに拳を振り上げようとして――直接手に感じるもふもふの感触に、しばし固まってしまう。

(……これが、もふもふ……)
 なるほどこれに皆は魅了されるのか、と、しみじみ思うツーユウであった。
(このあとツーユウさんがおいしく……じゃなかった、きちんと倒しました)

●りょうしんのかしゃく
 月夜・玲(頂の探究者・f01605)は、レッグと共に追撃を振り払うべく先行して公園を目指す役割を担っていた。担いながら、煩悶としていた。
(いや……うん、やり辛い! マッチョ共よりある意味つよい!)
 多分この場の猟兵たちの中で、一番アキクサさまのもふもふパワーの影響をモロに受けちゃってるのがこちらの玲さんだと思われます。

(ヤバいね……なんてこうどなさくせんなんだ……我々の気を和ませて反撃の手を鈍らせよう等と!)
 それでも玲は心を鬼にして【高速演算】を起動、目に見える範囲のアキクサさまたちに対して衝撃波でなぎ払いを敢行していく。こう、手加減風味な衝撃波で、やんわり進む道だけ開けるような気持ちを込めて――!

(とりあえず公園に行けば勝ちなんだし、程々に蹴散らして移動しよう、そうしよう)
 ――良心の呵責で、心が潰れてしまう前に!

 玲が思いっきり苦悩している一方で、レッグが駆るバイクにも別のアキクサさまの集団が徐々に迫り来る。上空に飛ばしたドローンで近くにいる玲の位置や公園へのルートは把握しているが、このアキクサさまの数は、いよいよ強引に突っ切るには増えすぎてしまった。
 いよいよか、とレッグは思いつつ一歩前を先行して正面から迫るアキクサさまたちを気持ち手加減してるんだなー風味に薙ぎ払っている玲に向けて声を上げた。

「頼む!」
「ひゃっ!?」

 ――レッグに放り投げられながら、デビは逃走前にレッグから受けた耳打ちの内容を思い出す。
(「なるべく公園まで直接運べるように善処はするが、敵に囲まれてどうしようもなくなったら、別の仲間にお前を渡すからそのつもりでいてくれ」)
 救護パックの布がばさりと外れ、間一髪のところで玲がデビをキャッチする。それを見届けると、デビがいた場所に急ごしらえで布をそれっぽく整えて囮にするレッグ。

(なるたけ穏便に渡したかったけど、急げば若干手荒になるって伝えといたからいいか。頑張れ男子、公園行くって自分から言えたんだ、大丈夫だよ)
 内心でデビの無事を祈りながら、レッグはいよいよアキクサさまと対峙する。
「いや悪いな鳥、ってかこれ鳥か? しかも俺かわいいとかわからんから、やわでかいボールにしか見え無いんだけども」
 玲には特効かな? というくらい効いていたもふもふパワーが、レッグには無効であるというこの相性の妙。

「演算開始――【ブレードエピダミス】」
 いまだデビが移動したと気付かない個体もたくさんいる。囮につられて襲いかかってくるアキクサさまを、氷結耐性、呪詛耐性、電撃耐性、激痛耐性、毒耐性――これら全てを火炎耐性に変換統合し、フィルムに覆われた外殻で、斬る。斬る。斬って行く。
 桃色の羽毛を散らし次々と墜落していくアキクサさまを振り返りもせず、レッグは宇宙バイクを駆り、疾走する。そしてふと、先の戦闘で見た光景を思い出す。

(……そういやさっきのコンコン機械、壊れてたのかね)

 一方、デビを引き受けた玲は峰打ち風味の衝撃波で突破口を切り拓き続けていた。
(いやUDCだから倒さないといけないんだけどね! でもね! ね!)
 攻撃の瞬間はクッと顔を伏せ、なるべく羽毛が舞い散る様子を見ないように努めながら玲は駆ける、駆ける。
(データも取りたいけどでもね!!)
 アキクサさまにはひみつがいっぱい! データの取り甲斐もありそうですね!

 そうこうしているうちに、玲の努力が実を結んだか、遂に目的地の公園の入り口が見えてきたではないか。パッと顔を輝かせる玲とデビ。でも多分互いの表情の理由は異なっていると思われます。
 玲はいよいよデビの背中をバシンと叩き、叫んだ。
「とりあえず走れデビくん、死んでも良いから、いや良くないけどとっとと走って突破して!」
 ――私の良心は限界だ!
「う、うん、わかった! ありがとう、おねえさん」
 デビはデビなりの全力でトテトテと公園目指して疾走する。その背を追おうとするアキクサさまに遂に向き直り立ちふさがると、玲は――。

「うわああああああ!!!」
 こんなに心が潰れそうになるなんて。そんな気持ちが叫びとなって、アキクサさまを吹き飛ばす今回一番の威力の衝撃波を叩きつけたのだった。

『『『ピイイイィィィーーーーーーーーっ』』』

 ぶわあっと舞い上がり、蹴散らされるアキクサさま。
 そして、公園に駆け込むデビ。
 それを見届けた玲が見たものは――。

 まばゆい光に包まれる、デビの全身だった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​




第3章 ボス戦 『妹が大好きな怪人・マイホゥ』

POW   :    妹の願いを叶えぬ兄などいない!お兄ちゃん頑張るぞ
【妄想の元気系妹の激励 】【妄想の清楚系妹の声援】【妄想のツンデレ系妹の罵倒(?)】で自身を強化する。攻撃力、防御力、状態異常力のどれを重視するか選べる。
SPD   :    妹の何が良いかだと?これを見れば良さがわかるぞ
レベル×5本の【妹 】属性の【動画を再生するモニター付ドローン】を放つ。
WIZ   :    どんな妹が好みだい?言わなくてもわかっているさ
【頭部のタブレットPC 】から【対象が考える理想の妹の幻影】を放ち、【実体化した幻の妹とのふれあい】により対象の動きを一時的に封じる。

イラスト:因果

👑7
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主はフィン・スターニスです。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


●ごめんねこんなんがぼすで……
 公園に駆け込んだデビは、己の身体が突然光りだしたことに困惑を隠せずにいた。
 今まで起こったことで充分困惑しきったつもりだったのに、まだこんなことが起きるとは!
 次々と公園にたどり着いた猟兵たちも、この光景には息を呑む。

「どうした、デビ!」
「わかんない、勝手に……!」

 そこへ、謎めいた男の声がした。
『ボク自らが出ないといけないとはね……! かわいい妹系テレビウムだったら最の高だったのに、ボク、ショタ属性はないんだけどね……!』
 お前は何を言っているんだ。その場の誰もがそう思ったに違いない。
 声の主の方を見れば、そこには「妹萌」と書かれた自己主張の激しいTシャツに、顔面が(多分これがこいつの理想の妹像なんだろうなあという画像を映した)タブレットになった怪人が立っているではないか。

「デビ、逃げ……」
「う、うごけないんだ」
「何!?」
 デビが言う。自分が光っている間はここから動けないのだと。何故かはわからないが、そう感じるのだという。

「ならばここで決着をつけるしかないのか……」
「……じゅうご、ふん」
「デビ?」
「たぶん……15分くらい、すれば、おさまるから……ごめんなさい、それまで」

 皆まで言うなと猟兵たちがデビをそっと公園の遊具の陰に移動させ、怪人――『妹が大好きな怪人・マイホゥ』に向き直る。
 まったくもって、何故この怪人が派遣されてきたのかは不明だが、倒すべき相手であることだけは確かだ。

 ――猟兵の皆さん、やっちゃって下さい!!
ツーユウ・ナン
オブリビオンはその世界を映す鏡なのだとすれば、ここは享楽的で退廃的な気風なのか。
食っていく為にあくせく働いたり、貧困にあえぐ事もないならそれもいいだろうが、こうも機械に頼りきりでは、何かの間違いで動かなくなった時、果たして生きていけるのか心配になるのう。

生憎だが、わしはおぬしの趣味に付き合うつもりはない。
・突進から左右の揚げ突き連打
・捌いて掌底打
・腕を取って極め投げ【グラップル】
・反撃を【見切り】入身でかわして背面から靠撃
・体勢を崩した所へ踏込み突き→さらに重い震脚を鳴らして胸に頂心肘『UC』【鎧無視攻撃】
「哈ハッ!」



●むしろこれはおねしょたあんけんでは
「――オブリビオンはその世界を映す鏡なのだとすれば、ここは享楽的で退廃的な気風なのか」
 ツーユウ・ナン(粋酔たる女用心棒・f04066)の言は「キマイラフューチャー」という世界を的確に捉えていた。
「食っていく為にあくせく働いたり、貧困にあえぐ事もないならそれもいいだろうが、こうも機械に頼りきりでは……」
 ――何かの間違いで動かなくなった時、果たして生きていけるのか心配になるのう。
 自らの遍歴とこの世界の有り様との乖離の大きさに、思わずそんな思いを抱くツーユウはひとつため息をつく。

 同行の猟兵のひとりが言っていた。
『本来、この世界ではそこら辺の機械をコンコンと叩けば大抵のものはまかなえる』
 と。最初それを聞いた時は大いに驚いたツーユウだったが、今その「コンコンシステム」がどうやら上手く動作していないらしい。
 故に、眼前の奇っ怪な敵のことよりも、どうにもそちらに意識が行ってしまう。

『な~にをブツブツ言ってるのかな~? キミは……ちょっと妹にカテゴライズするには難しいジャンルかも知れないね~……。どちらかというと姉御好きに紹介したい案件なんだよな~……』
「……生憎だが、わしはおぬしの趣味に付き合うつもりはない」
 何だか失礼なことを言われているようなことだけは辛うじて理解したが、そもそもこのゲテモノのペースに乗ってやる義理もない。
 そう判断したツーユウは、きっぱり言い放つやおもむろに怪人目がけて突進する!

『妹の願いを叶えぬ兄などいない! お兄ちゃん頑張るぞ!』
 対する怪人はどこからともなく聞こえてきた激励、声援、そして罵倒の声に背中を押されて防御力を高めつつツーユウを迎え撃つ。
「む……!」
 左右の手の甲で連打するつもりで中段を突くコースで繰り出しながら、最後のところで上段へと飛ぶ揚げ突きを繰り出すも、何と怪人はそれを見切って両腕でガードをしてみせた。
(こやつ、ただの酔狂者という訳ではなさそうじゃな……!)
『はぁッ!!』
 怪人の右腕が鋭く突き出されると、間一髪、しかし最低限の動きでかわしたツーユウの結いた髪の先をかすめていく。
『ポニテはかわいいんだけどな!』
「腕を、出したな」
 ニヤリと笑うツーユウは怪人の伸び切った右腕をおもむろに掴むと、そのまま自分の腕で挟み込み全力で投げつけ、地面に叩きつけた。怪人の画面の映像が一瞬乱れる。

『や……やるな姉御系! 防御力を上げてなかったら即死だった!』
「それは残念じゃのう、そのまま死んでくれれば御の字じゃったものを」
 再び睨み合う両者、今度は怪人の方から仕掛けていく。助走をつけてからの、意外にも引き締まった脚での飛び蹴りを敢行したではないか!
「――温い」
 しかし、相手は歴戦の猛者であるツーユウ。こと攻撃を見切ることに関してはずば抜けて優れている。鋭い蹴りに対して自分の身体を入れ込んでいくような動きでかわして見せると、やむなく着地した怪人の背中に踏み込みからの一撃――靠撃をお見舞いする。
『おうふッ!?』
「まだまだ!」
 ツーユウの攻撃は止まらない、体勢を崩した怪人に追撃の踏み込み突きを喰らわせると、怪人は二、三歩よろめいた後思わず片膝をつく。そこへツーユウの重い震脚がズシンと鳴らされ、怪人は衝撃で軽く宙を舞う。

「――貰ったぞ」
『何ッ……!?』

 飛び上がらせられた衝撃で思わず開いてしまった両手。当然胸元もがら空きだ。そこを狙い、全ての守りをも無視するツーユウの右肘が鋭く繰り出され――頂心肘(ちょうしんちゅう)と呼ばれる技が炸裂した。
「哈(ハッ)!!」
『ぐは……ッ!!』
 思いっきり吹き飛ばされ、公園のジャングルジムに激突する怪人。どこからともなく少女の声でがんばれ、がんばれ的な音声が聞こえてくる中、ツーユウは悠々と怪人に向けて背を向ける。

「何じゃ、少しはやるかと思ったが、拍子抜けじゃの」
 いやいやあなたが強すぎるんです、という無言のツッコミが実は周囲から入っていたのだが、当然ツーユウがそれに気付くはずもなく。
「後は任せるぞ、わしはデビの護衛に回る」
 そう言うと、常に気を配っていたテレビウムの少年の方へと向かっていった。

成功 🔵​🔵​🔴​

月夜・玲
よっし、これは遠慮しなくても良い系ボス!
むしろぶん殴り推奨?みたいな
ストレス発散チャンス!
あ、デビくんしんぱいだなー
よし、ノルマ終了
とりあえずこいつボコろう、そうしよう

●戦闘
デビくんは…退避させてるから大丈夫か
じゃあ遠慮なくいくよ!

《RE》IncarnationとBlue Bird以外の装備品を全てパージ
身軽になった体で【I.S.T.起動】を発動
加速し、高速戦闘で敵を翻弄するよ
『忍び足』で接近しつつ、二刀流による『2回攻撃』で敵にアタック
ヒットアンドアウェイで攻撃しながら敵を追い詰めていくよ

ドローンは『なぎ払い』で切り落とす
いや、興味ないし
妹萌え?とかじゃないんだよね
そーいうの他所でやってよ



●あきらさんはぎりぎりいけそうなきがする
 ジャングルジムの前でお兄ちゃん頑張るよなどと独り言を言いながらプルプルと立ち上がる怪人を見て、月夜・玲(頂の探究者・f01605)はニヤリと笑んだ。
「よっし、これは遠慮しなくても良い系ボス! むしろぶん殴り推奨? みたいな、ストレス発散チャンス!」
 玲さん日頃からそんなにストレスを溜めていらっしゃるんですか……と一瞬不安になる発言ですが、大丈夫ですか?
「あ、デビくんしんぱいだなー」
 棒読みじゃないですかヤダー!
「よし、ノルマ終了。とりあえずこいつボコろう、そうしよう」
 切り替えはやーい! これには怪人もびっくりだよ!!
『つ……次の相手はメカニック系……メカに強い系妹っていうのもいいよね!』
「ホントにボコるわ」
 やりすぎると指の関節が太くなるという都市伝説もものともせずに、玲は両の指をポキポキと良い音を立てて鳴らすと、その殺る気を明らかにしてみせた。

(デビくんは……退避させてるから大丈夫か)
 ちらりと遊具の方を見やると、猟兵もついていてくれている。何だかんだで、本気で心配していたのだ。玲さん優しい。
「――じゃあ、遠慮なくいくよ!」
『応ッ! 妹の良さを存分にわからせて差し上げようッ!!』
 怪人の戦う理由がブレてる気がするがそれはさて置き、玲は装備している数々の武装のうち「《RE》Incarnation」と「Blue Bird」以外を全てパージ(切り離す)。身軽になった身体でユーベルコードを解放する!

「Imitation sacred treasure……今こそその力を此処に!」
 【I.S.T.起動(アイエスティーキドウ)】により高速戦闘が可能となった玲は、その機動力を活かして怪人の周囲を縦横無尽に飛び回り、翻弄する。
『み……見えない! むしろ残像で無数に見えるまである! 妹が増えるのは……歓迎光臨ッ!!』
(ダメだこいつ早く何とかしないと)
 玲は内心呆れ返りつつ、怪人に忍び足で接近すると二振りの剣による連撃でおもむろに斬りつける!
『ギャーッ!?』
「自分でもびっくりする程綺麗に入った!?」
 ズバンと十字の傷跡をこさえた怪人が悲鳴を上げ、あまりの手応えの良さに玲も言葉を漏らす。だが慢心はすまいとヒットアンドアウェイでもう一度アタック、徐々に怪人を追い詰めていく。

『妹の何が良いかだと? これを見れば良さがわかるぞ!』
「と、突然何を……はっ」
 おもむろに怪人が空を覆い尽くさんばかりの数のモニター付ドローンを飛ばす。モニターには様々な属性の妹をアピールする動画が次々と再生され、さながら布教――いや、ここまで来るともはや洗脳の域でグイグイ見せつけてくるではないか。
 しかし! クールな玲さんは動じない! 愛剣「《RE》Incarnation」で横薙ぎに斬り払い、もう片方の手にある「Blue Bird」では剣の柄で容赦なく叩き割る。

『なっ、何てことをするんだい! 尊い妹動画を……』
「いや、興味ないし」
 バッサリである。取り付く島もないとはこういうことを言うのか。
「妹萌え? とかじゃないんだよね。そーいうの、他所でやってよ」

 大量のモニター付きドローンの最後の一機を斬り捨てると、爆発を背に冷静に言い放つ玲。爆風になびく長髪は美しく、怪人はただ見惚れるだけであった。

『メカ系妹……』
「やめんか!!」
 怪人の身体に、十字の傷跡がひとつ増えた。

大成功 🔵​🔵​🔵​

満月・双葉
出てきていた姉と一体化するように真の姿に変化する(黒いやつ)スピードが上がる。魔力の扱いが上手くなる。ちょっと胸がでかくなる。姉は消える。
羽は消えるが、魔力で空中に足場を作り跳び回る事で空中戦を展開する
暗殺の要領を駆使しつつ早業で動き回り残像で翻弄し、自分の攻撃が当たらなくても隙を作らせ他の猟兵の攻撃が当たりやすくなるように計らう

ユーベルコードを主軸にし、勝手に宙に浮いて動き回る色んな武器の投擲をスナイパーで精度を上げて行うと共に、見つけた弱いところを魔力で作り出した刀(全力魔法)で切り付ける生命力吸収攻撃を行う
虹瞳による生命力吸収攻撃も継続する

僕は妹…ですけど…そんなに良いもんですか…?


レッグ・ワート
鍵面が何かもまだわかってないのに十五分とは随分具体的な数字が出てきたもんだ。オーケイ、もたせよう。お前が頑張る間は俺らも頑張るわ。

意外としっかり筋肉ありそうなんだよなあ……。とまれ複製で鉄骨のコピーして操作。デビや仲間に近づく怪人の胴や脛払ったり、逆上がり補助器、だっけ?UDCアースでたまにみるやつ、まあそんな感じに並べてさ、その上で待機させといた鉄骨で殴り飛ばしたり。あんま運動得意じゃなさそうなら普通に並べて壁にするのも、円筒状に閉じ込めるの狙うのもありかね。後は怪人の跳べそうな間隔で並べて空への緩い螺旋階段作って、もしノって来たらどんどん上へ回していってそこそこの高さに行ったら落とすわ。



●がちのいもうととめかのおにいちゃんと
 レッグ・ワート(脚・f02517)は「定めた対象を状況から『逃がす』助けを行う」ことを行動理念とするウォーマシンである。
 事件発生から一貫してレッグは今回の対象であるデビを守り、逃がすことに最も重きを置いて行動してきた。
 最後の障害は意外にも頓痴気な相手ではあるが、気は抜くまい。
(鍵面が何かもまだわかってないのに十五分とは、随分具体的な数字が出てきたもんだ)
 これはいわゆるメタ情報では? と思考回路の片隅でいぶかしみながらも、レッグは仕事の総仕上げにかかる。
「……オーケイ、もたせよう。お前が頑張る間は俺らも頑張るわ」
 デビに背を向けたまま腕部を動かす――人間で言えば手をひらひらさせる動作だ。
 それを受けたデビは、光り続ける身体でレッグに手を振り返した。

 一方の満月・双葉(星のカケラ・f01681)は、先の戦いで召喚した姉の霊と一体化するように「真の姿」へと変化していた。
 長い黒髪のツインテールに青い瞳、左脚側に深く入ったスリットが印象的な黒い衣装をした姿となった双葉は、曰く――。
「スピードが上がります、魔力の扱いも上手くなりますね。あとちょっと胸が大きくなります、あと姉は消えます」
 そこは同化するとかもっとマイルドな表現にして差し上げませんかと思わなくもないが、そういうことらしい。

 双葉が姉と同化を果たし、真の姿を解放したことで、それを見た怪人が反応しない訳がなかった。
『くくく黒髪ツインテ系妹!!!』
「確かに僕は妹……ですけど……そんなに良いもんですか……?」
『しかも僕っ子!!! ああ~~尊いんじゃあ~~』
「はぁ……」
 テンションダダ上がりの怪人とは対照的に、気のない返事を返すしかない双葉。その隣ではレッグが冷静に怪人を観察していた。
「意外としっかり筋肉ありそうなんだよなあ……」
 手持ちの鉄骨を【複製】で大量にコピーして迎撃の準備を整える。

『ハッ、もしかしてあのテレビウムも実は男装の僕っ子の可能性が微レ存!?』
「ないわ」
『うぐッふ!?』
 ゴイン。良い音を立ててレッグの鉄骨のうち一本が、デビの元に(目的はともかく)向かおうとした怪人の胴に思い切りめり込んだ。おまけだとばかりにお留守になっていた脛にも一本、なぎ払うようにぶつけてやる。あえなく転がる怪人。
(あ、こりゃああんまり運動得意って訳じゃなさそうね)
 そう判断したレッグは、転がった怪人を中心に円を描くように鉄骨をガガガッと突き刺し、簡易的な牢獄風に仕上げると、怪人を閉じ込めてやった。

『な、何て絶妙な間隔の鉄骨! 頭がギリギリ通らない!』
「そりゃあ、そういう風に立てたからね」
『なんということをしてくれたのでしょう!』
 匠の技とでも言いたいのだろうか、ともあれ身動きが取れなくなった怪人に、魔力で空中に足場を作り跳び回ることで宙を舞うことができるようになった双葉が迫る。
「……【命採(イノチトリ)】」
『ぐああああ!? な、何だかガチのマジで寿命が縮まるような間隔ゥゥゥ!!!』
 生命を視る魔眼を持つ双葉のユーベルコードは、生命力を削ぎ落とす矢を放つ攻撃を行うことができる。怪人の寿命がいかほどのものかは計り知れぬが、体感できる程の恐ろしさなのだろう。

「やられっぱなしも何だろ、お前。ちょっと行ってみたら?」
『何ですと?』
 ふと何かを思いついたレッグが念じると、怪人を囲っていた鉄骨が次々と宙を舞い、何と双葉の元へと続く螺旋階段のようなカタチを取ったではないか!
『兄者……!!』
「誰が兄者だ気持ち悪いな、ほれ、さっさと行きなよ」
 そう言いつつ、レッグの目線は双葉の方へ。人間で言うところの目配せだ。宙にたたずむ双葉は意図を汲んだのか、わざとその場を動かず待ち受ける。

『ふっふっふ、小生意気なレディだね……もしかして小悪魔系っていうかホントの悪魔なんじゃないかって思ったよボカぁ……!』
 鉄骨の螺旋階段を一歩一歩踏みしめながら登っていく怪人。そして、怪人が双葉に手が届くという場所まで来たその時だった。

「はい、そこまでー」
『うおおおおお!!?』
 レッグがパンと手を叩いた、ような動作をした。同時に、螺旋階段を形成していた鉄骨が一斉にバラバラと浮遊力を失い重力に引かれるままに落ちていく。
 当然、足場を失った怪人も運命を共にする。そのまま地に墜ちるがままにさせても良かったのだが、折角のチャンスだからと双葉が動く。
「聞けばあなたは妹の良さを分からしめる動画を見せてくれるそうじゃないですか、ひとつ私にも見せてくれませんか?」
『いいい今ちょっと忙しいいいい』
「そんなことを言わないで、ほら」
 落ちていく怪人の周りを器用に俊敏に飛び回りながら双葉が迫る。ここまで来るともはや煽りの域ではなかろうか。言いつつ魔眼で見出した生命の弱い所――怪人の場合は顔面と胴体の接点――つまり首を、魔力で作り出した刀で斬りつけると同時に、生命力の吸収まで行ってしまう欲張りさん仕様である。

『ギャアアアアアアまた何か死に一歩近付いた気がするうううううう!?』
「まだまだありますよ、あなたが映像を出すまで止めません」
「……あちらさん、ノリノリだねえ……」
 大根やら馬の置物やら、何やら禍々しい剣まで様々な武器を投擲してグサグサと怪人に刺している双葉を地上から眺めながら、俺ももっと鉄骨でやりたいことあったのになー的な顔をするレッグであった。ごめんねレッグさん! いい仕事をありがとう!!

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

亜儀流野・珠
今まで見てきたオブリビオンの中でも危険度高い奴だなこれ!
知っているぞ。趣味の範囲外であっても急に目覚める事もあるものだ!デビには近付かせんぞ!

妹…妹か。もし突然大勢の妹たちができたらどうだ?
皆元気で我先にとお前と遊びたがる!
走り寄ってくる!飛び掛かってくる!
押し寄せる!斬る!薙ぐ!燃やす!
楽しそうじゃないか…!「千珠魂」…行け、「俺たち」よ!
妹にしては少しばかり数が多いかもな!
俺自身はデビの近くに居よう。
デビは動けないからな。念の為の防衛だ!

俺の理想の妹は…この「俺たち」かもな!何せ俺だ!気が合う!



●ひとりのおにいちゃんにたくさんのいもうとがいて(ry
『ああ……辛い……肉体的にも精神的にも辛い……! 今こそ、今こそボクは妹という癒やしを欲する……ッ!!』
「今まで見てきたオブリビオンの中でも危険度高い奴だなこれ!」
 ここまでの猟兵たちの基本的に怪人のノリを無視する方針の容赦無い攻撃で、かなりヤバいところまで追い詰められている怪人。ここで妹成分を要求するのは当然といえよう。そして亜儀流野・珠(狐の恩返し・f01686)の指摘もまた的を射ていた。

「知っているぞ。趣味の範囲外であっても急に目覚める事もあるものだ! デビには近付かせんぞ!」
 お、お詳しいですね珠さん?
『このボクがショタに……? ハハッまさか! だが……見た目が理想の妹ならばあるいは……』
「やっぱダメだコイツ!」
 絶対にデビは渡せない、そう決意を新たにした珠であった。

「妹……妹か。もし突然大勢の妹たちができたら、どうだ?」
『……何ですと』
 珠の突然の発言に、怪人がピクリと反応する。しない訳がない。
「皆元気で我先にとお前と遊びたがる!」
『ウッヒョウ!!』
「走り寄ってくる! 飛び掛かってくる!」
『カモンベイベッ』
「押し寄せる! 斬る! 薙ぐ! 燃やす! 楽しそうじゃないか……!」
『えっ』
 ちょっと待って今不穏な単語が、と怪人が問う間もなく、珠はユーベルコード【千珠魂(センジュコン)】を発動させた。

「……行け、『俺たち』よ!」
『ウッヒャアアアアアアア!!!!!???』
 その数実にガチな話をすると165体、小型の戦闘用である珠の分身がワッと召喚され、口上で珠が述べた通り、いっせいに怪人にまとわりついていく。
 怪人は、狐属性の可愛い妹(?)たちに群がられて、事実上の攻撃をされているにも関わらず、あまりにもご褒美すぎて反撃ができない! ダメだこいつ!

(俺自身はデビの近くに居よう。デビは動けないからな、念の為の防衛だ!)
 そうですね、念には念をってヤツですね! 大丈夫、分かってます!

 ワーキャー言っている怪人とちっちゃい珠たちの様子を見やりながら、珠はふと思う。
(俺の理想の妹は……この『俺たち』かもな! 何せ俺だ! 気が合う!)
 なるほど確かに。めっちゃ納得しました。

大成功 🔵​🔵​🔵​

荒谷・つかさ
妹?
今お前妹って言った?
妹についてだったら、私も一家言あるわよ?
(めっちゃ乗り気)

私の妹ね、ひかるって言うんだけど、もうね、すごく可愛くて。
銀糸のようなサラサラの髪にぷにっとした瑞々しい肌、瑪瑙のような瞳。
そんなお人形さんみたいな愛らしさで、性格はまるで子犬のようなのよ。
私を見つけるとすぐ飛びついてきて、撫でてーってにこにこしてるの。マジ天使だわ。

……等々、早口で捲し立てて妹トークに引きずり込むわ。
向こうのトークも相槌打ちながら最後まで聞いて、それに対して

でもそれって妄想の妹よね?

と、言葉の刃……言わば「舌鋒」で【剣刃一閃】して斬り捨てるわ(ぇ
15分持たせればいいなら、こういう手もアリよね?



●いもうとがちぜいがあらわれた!
 ちっちゃくてかわいい、でもちょっと(どころじゃない)やんちゃな妹軍団からようやく解放された怪人は、まろび出た先で仁王立ちしていた荒谷・つかさ(超弩級シスコンお姉ちゃん純情派・f02032)と鉢合わせた。鉢合わせてしまった。
 ……ちょっと待ってつかささん、まさかこの瞬間のために称号変えてプレイング送ってきてません? 地の文夜更かしし過ぎで疲れてるんですかね!?

「妹?」
『イエス、妹』
「今お前妹って言った? 妹についてだったら、私も一家言あるわよ?」
 つかさはめっちゃ乗り気だった。遂に巡り合えた理解者に感動する間も与えず、つかさのマシンガントークが始まった。始まってしまった。

「私の妹ね、ひかるって言うんだけど、もうね、すごく可愛くて。銀糸のようなサラサラの髪にぷにっとした瑞々しい肌、瑪瑙のような瞳。そんなお人形さんみたいな愛らしさで、性格はまるで子犬のようなのよ。私を見つけるとすぐ飛びついてきて、撫でてーってにこにこしてるの。マジ天使だわ」
『なんと!!! リアル妹持ちでござるか!!! 裏山!!!』
「ふふ、羨ましいでしょう。お前も妹ガチ勢の端くれなら、妹トークのひとつくらい余裕よね?」
『無論にて!! ボクは欲張りボーイだから理想の妹は一人に絞りきれないッ!! キミの妹のような素直ガールはもちろん、逆に素直になれないツンデレ系も、ドジっ娘も、みんなみんな大好きさぁ!! どれか一人でも本当にボクの前に現れてくれた暁には――』
 今度は怪人のマシンガントークのターンだ! 省略するのは決して人様に聞かせられないような内容だからではなく、単純に尺の問題だ! すまんな!! 怪人の名誉のために一応申し上げておくと、内容は至って健全だ!!

 互いに早口でまくし立てるスタイルでトークバトルを展開するつかさと怪人。怪人の話を相槌を打ちながら最後まで聞いていたつかさは、それに対して、言った。言ってしまった。

「――でも、それって妄想の妹よね?」
『ぐッふうううぅぅぅぅぅ!!!!!』

 言葉の刃……いわば「舌鋒」での【剣刃一閃】は、強烈だった。
 リアル妹を持つつかさ――いわば持つ者にバッサリと斬り捨てられた持たざる者――怪人は、盛大に呻きながら卒倒するのみであった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

真守・有栖
英雄(ひーろー)は遅れて参上するものよ!
良き感じな機を見計らって、薙刀でずばっ!と乱入……!
けっっっっっして!!
もふもふをたーぷりと堪能していたからではないわ!!!(羽毛まみれ)

もふぢからに満ちた今の私に敵などいな……

ふん。なーるほど?(じぃっ)
今度は妹力(いもうとぢから)を競え、と?そーゆーことね!
受けて立つわ……!

ちょっと!お兄ちゃん……!
まーた外で人様に迷惑かけて……何やってるのよ!?
あんな小さい子を追っかけ回して、恥ずかしくないわけ?まったく……!

そ・れ・と・!……いい加減に訳の分かんない妹語りは止めてくんない?

な、何でって……


……だって。妹なら私がいるじゃん(ぼそっ


斬り………!!!!



●いいゆめ……みせてやるよ……
(英雄(ひーろー)は遅れて参上するものよ!)
 真守・有栖(月喰の巫女・f15177)は全速力で公園に駆け込んできた。鳥の羽毛を盛大に散らしながら。
 良き感じな機を見計らって薙刀でずばっ! と乱入……する予定だったが、有栖が目にしたのは泡を吹いて仰向けに倒れている怪人の姿。すわ手遅れだったかと思うも、じきに怪人はよろよろと起き上がる。ああ良かった、まだ出番あったわ的な。
 でも何でこんな大遅刻したんです?
(遅刻じゃないわ、機を見計らっていたのよ! けっっっっっして!! もふもふをたーっぷりと堪能していたからではないわ!!!)
 アッハイわかりました。だから羽毛まみれなんですね。

「そう、もふぢからに満ちた今の私に敵などいな……」
『……ほ、豊満な妹……』
「ふん。なーるほど?」
 足元もおぼつかぬ程に弱りきった怪人をじぃっと見据え、有栖は一人納得する。
「今度は妹力(いもうとぢから)を競え、と? そーゆーことね! 受けて立つわ……!」
 身体の羽毛をぱしぱしと払うと、わふんと咳払いひとつ、怪人に向き直る有栖。

「ちょっと! お兄ちゃん……!」
『ホワッ!!?』
 突如眼前の美少女から念願の「お兄ちゃん」呼ばわりをされ、思わず奇声を発する怪人。これは夢か!? 今までが散々だったから、神様が夢を見せてくれているのか!?
「まーた外で人様に迷惑かけて……何やってるのよ!? あんな小さい子を追っかけ回して、恥ずかしくないわけ? まったく……!」
『ご、ごめんよマイシスター……でも、これには深い事情があって』
 有栖は下から覗き込むような姿勢で、人差し指を立てて怪人にズズイと迫る。
「そ・れ・と! ……いい加減に訳の分かんない妹語りは止めてくんない?」
『ガーン! マイシスター、キミまでボクの熱い思いの邪魔を……何故なんだい……』
 すっかり有栖をマイシスター呼ばわりの怪人も、さすがに現実に引き戻されそうになった、その時である。

「な、何でって……」
 急にモジモジし始める有栖。それに普通にどうしたのかと反応する怪人。

「……だって。妹なら私がいるじゃん(ぼそっ)」
『エンダアアアアアアアアアアアアアアア!!!!!!』

 天を仰いでガッツポーズを取る妹が大好きな怪人・マイホゥ。遂に、遂に彼に、ガチの妹が――!?

「斬り……!!!!」
『イヤアアアアアアアアアアアアアアアア!!!!!!』
 隙だらけにも程があった怪人を、有栖は一刀両断した。

●いっけんらくちゃくとおもいきや
 怪人が倒されるとほぼ同時に、デビの身体から放たれていた光もおさまり、顔に映っていた鍵の映像も消え去った。
 これで解決か、と安堵する猟兵たちとデビの耳に、まるで周囲の建造物がしゃべったかのような音声が飛び込んできたではないか。

「システム・フラワーズより緊急救援要請」
「全自動物資供給機構『システム・フラワーズ』に、侵入者あり」
「テレビウム・ロックの解除数が多ければ多いほど、開放されるメンテナンスルートは増加する。至急の救援を請う」

「システム・フラワーズ……?」
「もしかして、コンコンシステムが機能しなかったのも、この事件が関係してるっていうの……?」

 新たな謎を残しつつ、こうしてひとつの事件は解決したのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2019年04月24日


挿絵イラスト