テレビウム・ロック!~あの子に秘密で逃避行
●
「ん? んん? なあにこれ」
今日も賑やかなキマイラフューチャー。始まりは突然、とあるテレビウムの身に起こった。
ちかちかと画面が明滅したかと思うと、画面にノイズが走る。暫くザザっとノイズが続いて、画面に表れたのは鍵だった。
「えっ、やだ、なにこれー! なおらないよー!?」
鍵の画面が現れたテレビウムは、あわあわ慌てた様子で辺りを見回す。
テレビウムが状況を理解するよりはやく、それらは現れた。
―――怪人だ。
どこからか現れた怪人たちは、鍵の表れたテレビウムに向かって一直線。
「えっ、えっ、えーっ!?」
怪人たちは他の何にも目をくれず、テレビウムに襲い掛かる。急な出来事にテレビウムは―――。
「やだー! もしかしてワタシ、モテ期到来ー!?」
あ、思ったより余裕そうかもしれない。
●
「キマイラフューチャーは今日もお祭り騒ぎね!」
きゃらきゃら笑うメール・ラメール(砂糖と香辛料・f05874)だったが、どうも楽しい話じゃないのよね、と溜息ひとつ。
もう知ってると思うけれど、と前置きしてメールが話したのはテレビウムたちが襲われている事件のことだった。
鍵のような映像が出たテレビウムたちが怪人に襲われていること意外、詳しいことは分からないのと、メールは困り顔。
「でも、困っているなら助けなくちゃ、ね!」
メールの話によると、襲われているテレビウムはビビという女の子。
画面に鍵が出ている以外は、恋の話が好きなだけの普通のテレビウムだ。
「今は『紫御殿』という忍者みたいなオブリビオンに襲われているの、他にも来るかもしれないけれど―――」
まずは、紫御殿の脅威を取り除くことが最優先だ。
バッチリ助けてあげてね猟兵サン、とメールが手を振れば、グリモアがちかちかと輝いた。
「それじゃ、気を付けていってらっしゃーい!」
あまのいろは
あまのいろはです。キマイラフューチャーは今日もお祭り騒ぎですね!
キマイラフューチャーで、テレビウムを襲う謎の多い事件がおきました。
謎を解決するために、テレビウムを襲う怪人たちを倒してください。
襲われているテレビウムはビビ。恋の話が好きな女の子です。
今回は、届いた順に個別でのお返しが多くなると思います。
どなたかと一緒に参加する場合はお気をつけください。
それでは、猟兵の皆様のすてきなプレイングをお待ちしております。
第1章 集団戦
『紫御殿』
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POW : 仮面合身の術でござる!
無機物と合体し、自身の身長の2倍のロボに変形する。特に【男子がカッコいいと思うもの】と合体した時に最大の効果を発揮する。
SPD : 仮面手裏剣の術でござる!
【懐】から【自動追尾する真っ白な仮面】を放ち、【相手の視界を塞ぐこと】により対象の動きを一時的に封じる。
WIZ : 仮面狼群の術でござる!
【仮面を被った狼の群れを召喚、爪や牙】が命中した対象を切断する。
イラスト:りょうま
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種別『集団戦』のルール
記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
桑原・こがね
よーし、助けるぞー!
大丈夫?怪我とかしてない?
ちゃんと守るためにも目立たないとね!
戦う前に前口上!
人には知れぬ事情など
あるのか無いのか分からぬが
泣いて逃げ出すテレビウム
追いかけ回すは許しがたい!
これ以上やるならあたしを倒して行きなさい!
あたしを見ろォ!
おっ、男子がカッコいいと思うものと合体するの?
鎧兜とか?あたしも好きだけど!
体が大きいなら、懐に入り込んで食らわせてやるのが良いわね!
隙を見て一直線!体ごと飛び込んで突き刺し!
●
「やーめーてー!! なんなのー!?」
逃げるテレビウム。追う複数の怪人。
そして、その光景を記録に収めようと携帯デバイスを向けるキマイラたち。
逃げるテレビウムの名前はビビ。画面に謎の鍵が表示されたひとりだった。
「ひ、ひええっ、追いかけられるのは嬉しいけど、怪人じゃやだよー!」
彼女も必死で逃げてはいるが、怪人たちの数は多い。
ひとりは彼女を追い、もうひとりは先回りするように動き、彼女を追い詰めていく。
「ひゃ、ひゃわっ!?」
必死に逃げていた彼女だが、足がもつれて前のめりに転がってしまう。その隙を見逃さず、怪人の魔の手がビビに迫り―――
「あ、あわわわわ……。誰か助けてーっ!!」
助けを呼ぶ声が通りに響く。その声に呼応するように、ビビと怪人の間でちかりとなにかが光った。
「よーし、助けるぞー!」
ふわり。金の髪が揺らしながら、怪人との間に割って入るように転移して来たのは桑原・こがね(銀雷・f03679)。
こがねはビビを庇うように立つとビビに手を差し伸べる。ちいさな手が、こがねの手をそっと掴んだ。
「大丈夫? 怪我とかしてない?」
「あなたは……?」
「あたし? あたしは桑原こがね。あなたを助けにきたよ!」
こがねは人懐こい笑みを浮かべてにっと笑った。ビビを引き起こすと、怪人に向き直る。
「………貴様もしや、猟兵か……!!」
仮面を付けた忍者のような怪人―――――紫御殿が忌々しげな声を出した。
けれど、怪人とて引くつもりはない。ビビへ向かって紫御殿が掛けた。けれど、それをこがねは見逃さない。
「あたしを見ろォ!」
鯉口が鳴る。気付けば、襲い掛かろうとした紫御殿のひとりが倒れ伏していた。
こがねはそれに目もくれず、他の怪人たちへと見栄を切る。
「人には知れぬ事情など あるのか無いのか分からぬが
泣いて逃げ出すテレビウム 追いかけ回すは許しがたい!」
こがねの口上が決まれば、あちらこちらで歓声とシャッター音が響く。ビビも思わず嬉しそうに拍手を送っていた。
「これ以上やるならあたしを倒して行きなさい!」
行って、とビビに視線を送れば、ビビはまた走り出す。怪人とて、それを見ているだけではない。
「待て―――……逃がすものか!」
紫御殿のまわりに鎧兜が現れると、それらが次々と身体に組み込まれ、紫御殿の身体が巨大化していく。
「おっ、男子がカッコいいと思うものと合体するの? わあ、鎧兜? あたしも好きだけど!」
「バカにして……!! 貴様などひとひねりにしてくれる!!」
ぐぉっと紫御殿がこがねを押し潰すべく動き出した。
けれど、こがねは動じることはなく、巨大化した紫御殿に向き直ったままだ。あわや大惨事と、キマイラたちからも悲鳴が上がる。
こがねが刀を引き抜く。紫御殿から目は逸らさない。
こがねが何もせずに突っ込んだのであれば、彼女は紫御殿の手に捕らえられていただろう。
けれど、先ほどこがねが述べた口上、あれはただの口上ではなかった。
彼女のユーベルコード、轟雷。
目立つと言う、あえて不利な行動をすることで身体能力が増大する。
―――つまり。先ほどまでの、こがねと同じだと思ったら大間違いなのだ。
こがねは紫御殿の動きを見切ると、ひらりとかわす。そして、そのまま巨大化した懐に潜り込む。
「………な、に」
紫御殿にに向かって一突き。身体に切っ先がめり込む。
こがねがそのまま力いっぱい刀を押し込むと、紫御殿の巨大な身体を刀が貫いた。ピシリと紫御殿の仮面にヒビが入る。
「これ以上やるならあたしを倒していきなさいって言ったでしょ?」
壊れた鎧兜がバラバラになり落ちてくる。自身に降りかかる鎧兜の欠片を振り払うと、こがねは大胆不敵に笑うのだった。
大成功
🔵🔵🔵
天翳・緋雨
【アドリブOKです】
やあ、随分物騒なモテ期みたいだね。その怪人達と一緒に行くのはやめといた方がいいんじゃないかなー?
のほほんと言ってのけるとけに入り少女を狙わせない様に立ち回る
ユーベルコードは【陽炎】
こちらは短距離転移の術で術比べといきますか
『ダッシュ』『ジャンプ』『残像』『空中戦』『見切り』等を絡めた近距離転移で回避しつつ隙を狙う
好機と見たら『踏みつけ』『鎧無視攻撃』『カウンター』『属性攻撃』等を主軸に攻撃を叩き込み無力化していこう
(攻撃方法は電撃を纏った蹴りやサイコキャノンから放つ衝撃波)
パフォーマーの端くれなので『ダンス』『パフォーマンス』を組み込んだ魅せる立ち回りが出来るといいな!
●
怪人たちに追われていたビビは、路地裏に逃げ込んだ。ここならきっと来ないだろう。そう思った彼女ははあっと息を吐く。
「いったいなんだったの? もうへとへとだよ……」
猟兵が助けてくれて今はなんとか無事だが、落ち着いて考えようとしても訳が分からぬまま。
それにしても。助けてくれたひと、カッコよかったなあとビビは想いを馳せる。あんな物語のような出来事を目の前で見られたのなら、襲われたのも悪くなかったかもしれない。
ふふふとニヤつきながらそんなことを考えていると、ぐっと乱暴に肩を掴まれる。
(これは、もしかして、ワタシを心配してくれた誰かが―――!?)
ビビがばっと振り返る。けれど、そこにいたのは助けに来てくれた王子様、―――なんてことはなく。変わらず彼女を追いかけていた紫御殿のひとりだった。
「きゃー!!?」
慌てて距離を取ろうとするが、がっしり肩を掴まれて思うように動けない。それに、路地裏になんて入ってしまったから人の目もない。
このまま怪人の手に落ちてしまうのかと思った、その時だった。
「乱暴なのはよくないなあ」
のほほんとした声が聞こえた。ビビが、紫御殿が振り向けば、路地の入り口に立つ人影。
「やあ、その怪人達と一緒に行くのはやめといた方がいいんじゃないかなー?」
声の主は、天翳・緋雨(第三の瞳を持つ少年・f12072)だった。
「違うんです! ワタシ付いていこうと思っていたんじゃなくて……!!」
「分かってるよ。随分物騒なモテ期みたいだね」
紫御殿の仮面の下の表情は分からない。けれど、ビビの肩を握る力がぐっと強くなっているのが見ても分かる。
「邪魔するな、どけ!!」
言うが早いか、紫御殿が白い仮面を緋雨に向けて放つ。真っ直ぐ自身に向かってくる仮面を避けようと緋雨が動けば、くんっと仮面が軌道を変えた。
「おおっと!?」
仮面は対象を追尾する力を持っていた。緋雨は直撃を喰らう前に、なんとか紙一重のところで仮面を叩き落とす。
「………他愛無い、次!」
ひとつ、もうひとつと懐から仮面を取り出すと、緋雨に向かってそれを放る。
複数の仮面が緋雨を襲おうと飛ぶが―――ゆらり、緋雨の身体が真夏の陽炎のように揺らめいた。
「なっ!?」
カツンと、仮面と仮面がぶつかる渇いた音が響いて落ちた。先ほどまで立っていた場所に緋雨の姿は既にない。
「こっちだよ」
気付けば、緋雨は紫御殿の真横にいた。緋雨はビビの肩を掴む紫御殿の腕を掴むと、ぎりりと捩じ上げた。
―――ここじゃちょっと狭いかな。そう緋雨は呟くと、紫御殿を路地の外へと蹴り出した。
通りに飛び出した紫御殿が膝を付く。負けじと次の仮面を取り出すが、彼のユーベルコード、CODE【陽炎】は対象の動きを予知し、回避する技だ。
きっと何度繰り返しても結果は同じだろうと、緋雨は笑った。
「魅せてあげるよ。これでもパフォーマーの端くれなんだ」
成功
🔵🔵🔴
ケイ・エルビス
★連携アドリブ等大歓迎!
【攻撃と対策】
合身には
◆地形の利用を活かして
鞭で建造物等を利用して素早く
◆フェイント移動を多用して
回り込みアサルトライフルと
ブラスターで攻撃したり回避する
仮面手裏剣と狼群の術には
UCタリホーによる
◆範囲攻撃◆スナイパー
◆2回攻撃◆クイックドロウで
正確に派手に撃ち落とす
ビビちゃんやピンチの仲間に
攻撃されたら
◆かばう◆援護射撃で
サポートだぜ
緊急回避必要時は
UCカミガカリと
◆野性の勘◆見切りで対応だ
「どうした、もう終わりかい?
オレのダチの忍者はもっとスゲえんだけどな」
●
「ええい! ちょこまかと目障りでござる……!!」
ケイ・エルビス(ミッドナイト・ラン・f06706)の前には、仮面合身の術を使い巨大化した紫御殿の姿。
紫御殿は一思いに彼を捻り潰そうとするが、ケイは鞭を用いて建造物をあちらこちらとターザンロープのようにして飛び回っていた。
大きな身体では、素早く動くケイをなかなか捕らえることが出来ない。
「―――っ、う!?」
ふらりと紫御殿が仮面を抑えてよろめいた。十分に紫御殿から距離を取ったケイが、ブラスターで彼女の額を狙い打ったのだ。
「どうした、もう終わりかい? オレのダチの忍者はもっとスゲえんだけどな」
悔しそうな声が聞こえて。巨大化している紫御殿がばっと手を上げると、ケイを取り囲むように紫御殿が現れた。
「このまま、終わるわけにはいかぬ……!!」
力で敵わぬなら、数で―――。そう思ったのかもしれない。
遠くから眺めていたビビも、あまりの数に思わず息を呑んだ。
「危ない! 逃げて!!」
けれど、ケイは数を気にする様子はない。ビビに向かって自信の溢れた表情で笑いかけた。
「俺にはこれもあるからな! こいつで……決まりだぜ!!」
ケイの持つアサルトライフル―――キャプテン・ジャックが火を噴いた。
弾丸が雨あられのように紫御殿に降り注ぎ、ひとり、またひとりと紫御殿が姿を消していく。
「っく、この―――……かくなる上は!!!」
弾丸を受け傷ついた紫御殿が高く高く、飛び上がる。狙いはケイではなく、それを見守るビビだ。
「えっえっ、きゃー!!!?」
紫御殿の手が、ビビに伸ばされる。紫御殿の指先がビビに触れ、彼女の身体を掴もうとしたが、次の瞬間。紫御殿の身体がぐらりと傾く。
一筋の光が音もなく紫御殿の額を貫いたのだ。それは、ケイの持つブラスター放った一撃。
仮面が砕け、地面に落ちるよりはやく、紫御殿の身体が霧のように消えていく。
「大丈夫かい、ビビちゃん」
「え、あ、はいっ! 大丈夫です!」
ケイはビビに駆け寄ると、手を差し伸べる。ビビは伸ばされた手を恥ずかしそうにそっと掴むのだった。
成功
🔵🔵🔴
レネシャ・メサルティム
お祭り騒ぎ、なら派手に行きましょ
まず、ビビに近くに隠れてるよう伝える
逃げ回られると守り難いのよ
隠れていいから、止まっててくれない?
この世界って叩くと色々出てくるのよね?
何か武器になりそうなモノ、出てこないかしら
とそこら辺をコンコン
出て来たものをUC【サイコキネシス】で掴んで、敵にぶん投げる
(何が出るのかはお任せ)
何が出るにせよ、それが当たって一番痛そうな角度で投げるわね(イイ笑顔)
纏めて潰せる大きいのが出たら、巻き込みも狙うわ
そうね、テレビとか?
武器になりそうにないものでも、とりあえず投げときましょ
さすがに犬とか猫とかは投げられないけど
紫御殿達が合体出来ない、有機物を増やすのもありかしらね
●
ふわりと黒い翼がビビの視界を遮った。ビビはぱちくり瞬いてそれを見る。
長い金の髪に留まった黒い薔薇の髪飾りがからりと揺れている。まるで天使のような女性が、目の前に立っていた。
「隠れていていいから、止まっててくれない? 逃げ回られると守り難いのよ」
けれど、その女性――レネシャ・メサルティム(黒翼・f14243)の言葉に、ビビは思わずその場で直立。
もちろん脅したいわけではなかったのだけれど。彼女の端麗すぎる容姿が、冷たい雰囲気を与えたのかもしれない。
「聞きたいんだけど、この世界って叩くと色々出てくるのよね?」
「えっ、あっ、はい!」
キマイラフューチャーの世界の不思議。
どういう理屈かは分からないが、コンコンすると生活に必要なものは大概揃ってしまう。
「……そう、ありがとう」
レネシャはそれを確認すると近くの壁をコンコン叩く。
真っ赤なリンゴが出てきて彼女の手に収まった。リンゴを掴んだレネシャは、手当たり次第にあちらこちらをコンコンコン。
洋服にコップ、雑誌に人形―――…… いろんなものが叩かれるたびに飛び出してくる。レネシャの意図が分からず、ビビはレネシャを見詰める。
「あなたを守るための行動よ」
自身を見詰めるビビに向かって、レネシャは僅か微笑んで見せた。ビビの緊張が解けていく。
「そのテレビウムを渡してもらうでござる!!」
紫御殿が現れても、レネシャは変わらず近くをコンコン。電話にシャーペンと、いろんなものが現れて近くに落ちる。
「まったく、随分とせっかちね」
そう言いながらも近くをコンコン。ゴトリ、と大きな音を立てて、型の古い分厚いブラウン管のテレビが出てきた。
「あら、いいじゃない」
するりと細い指先をテレビに滑らせて、レネシャはうっとりと微笑んだ。
紫御殿ですら身惚れるような笑顔を浮かべたレネシャだったが、その後の行動は彼女の儚げな容姿からは想像できないものだった。
「お祭り騒ぎ、なら派手に行きましょ」
彼女の言葉とともに、ブラウン管のテレビがまるで重さなどないようにふわりと浮かび上がった。そして、誰かが理解するよりはやく、テレビが紫御殿に向かって飛んでいく。
そう、彼女は武器になりそうな物をコンコンして探していたのだ。
ゴッとえげつない音を立てて、テレビが紫御殿の顔にめり込む。ぶつかった勢いのまま、紫御殿が後ろに飛んだ。
「……ヒェッ」
守られているビビすらも、思わず顔を覆う。けれど、レネシャは笑顔のまま。次の獲物になりそうなものを探すと、またふわりとサイコキネシスを使って空に浮かべた。
彼女のお眼鏡に適った物品が次々に空へと浮かび上がる。電話にハサミ、ボトルにまな板。どれも当たったら痛そうなものばかりだ。
「あら」
レネシャが思わず手を止める。
「にゃー」
猫が浮いていた。
サイコキネシスであれもこれもと浮かせているうちに、思わず浮かせてしまったらしい。
「さすがにこれは駄目ね」
猫をそっと元の位置に戻せば、猫はてこてこ歩いて路地へと消えていった。レネシャはこほんと咳払い。
「さて、気を取り直して」
武器になりそうなものはまだまだあるのよ、とレネシャは薄く笑った。
近くにあるものが次々と浮かんで……、―――その後のことは、なんとも語り難い。
ただ分かっているのは、彼女の猛攻を受けて、紫御殿の姿はどこにも見当たらなくなったことだけだ。
「………助かったのかな……?」
付近の惨状からはそっと目を逸らしたビビが、レネシャに向かってぺこりとお辞儀。
ひとまずは、紫御殿の危機は退けることが出来たようだった。
―――――付近の惨状から目を逸らせば、の話だけれど。
「………あら、悪気はないのよ?」
大成功
🔵🔵🔵
第2章 集団戦
『大頭頭ズ』
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POW : x形拳
【様々な生物や機械、自然現象等を模した拳法】で対象を攻撃する。攻撃力、命中率、攻撃回数のどれを重視するか選べる。
SPD : i極拳
【健康体操のようにも見える連続した攻撃動作】を発動する。超高速連続攻撃が可能だが、回避されても中止できない。
WIZ : n卦掌
完全な脱力状態でユーベルコードを受けると、それを無効化して【大地の中を走る気の流れの噴出点(龍穴)】から排出する。失敗すると被害は2倍。
イラスト:ケーダ
👑7
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴🔴🔴🔴
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種別『集団戦』のルール
記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
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ザッ、ザザ――…… ザ……。ビビの顔の画面から、ノイズの走るおとが聞こえた。
「あれ? 画面の表示が……」
画面の表示が変わった。鍵が表れた時と同じように、ビビの意思ではないらしい。
「なんだろ、えっとこれ、地図……?」
不思議な記号の一箇所で、鍵がちかちかと明滅している。そこへ向かえということか。
けれど、猟兵たちに考える暇も与えず、新たな怪人は現れる。
今度は、大きな頭の被り物。やはりビビを狙っているようで、ビビに気付くと一目散に向かってきた。
「まって、あれすごくこわい!!!!」
大きさはもちろん、無表情な顔の迫力は満点。ビビの心からの叫びが通りに響いたのだった。
彼女の画面に映る場所にはなにがあるのだろう。まだそれは分からないが、猟兵たちは動き出すのだった。
ジャック・カラック
地図の印に向かって行けばいいんだよね
敵は僕がなんとかするから、道案内をお願いできるかい?
かわいい女の子を恐がらせるのは、感心しないね
せめてもう少し可愛げのある顔はなかったのかな……
まぁ、この顔だからこそ思いっきり倒せるんだけどね
被り物なら頭に向かって物を投げて、
被り物を回転させたらなにも見えなくなるんじゃないかな
幸い投げるものには困らないからね(壁コンコン
それに、体と頭のバランスの悪いなら
足下に攻撃されると困るよねぇ
それでバランスを崩せば一気に畳み掛けられるし
ダメなら足の間をくぐってかわして
背後を取らせてもらうよ
自分の画面が固定されるのって、
乗っ取られたみたいで不安になるし
早く解決させないとね
●
「地図の印に向かって行けばいいんだよね」
ジャック・カラック(ガラクタノホシ・f04652)がビビの顔を覗きこむ間にも、不気味な怪人、『大頭頭ズ』が迫ってきていた。ジャックはちらと怪人を一瞥する。
「敵は僕がなんとかするから、道案内をお願いできるかい?」
「任せてくださいっ!」
ビビはジャックに背中を任せて、鍵が示す場所へと向かって動き出した。怪人もビビの動きに合わせて進路を変える。
「きゃー!? やっぱりこっち来るー!?」
逃げるビビを追う怪人に、どこからか飛んできた靴が頭に命中した。大きな頭がからからと音を立てて回る。
「かわいい女の子を恐がらせるのは、感心しないね」
ジャックの手には、もう片方の靴が握られている。ジャックは近くの壁をコンコンして出てきた靴を、大頭頭ズに向けて放ったのだった。
ぐるりと頭が回った大頭頭ズは足を止めている。頭が回って前が見えなくなったようだ。
顔が回れば動けなくなるだろう、そう考えたジャックの狙い通りだった。
幸いここはキマイラフューチャー。コンコンすれば投げるものには困らない。
ビビの行く先で現れた怪人へ、ジャックはその場でコンコンして出てきたものを放っていく。見事に頭に命中すれば、怪人は僅かだが足を止めた。
―――それにしても。
なんの表情もない顔だと、ジャックは思う。顔に何かをぶつけられても、声ひとつ上げない。頭と身体のアンバランスさに加えて、その表情が不気味さに拍車を掛けている。
「せめて、もう少し可愛げのある顔はなかったのかな……」
ジャックの投げた本が、大頭頭ズからすこし逸れた。標的から外れた本は、彼らの頭に当たることなく地面にバサリと落ちた。怪人が距離を詰めてくる。
ならば、と。ジャックが次に目を付けたのは、足元だった。
素早く身を屈ませる。ジャックのちいさな身体が、彼らの足下をすり抜けることは難しくなかった。
足の下を抜けて、ジャックがするりと背後に回りこんだ。頭の大きい彼らは、自らの下に潜り込まれたことにすぐには気付けず、ジャックの姿を見失う。
「まぁ、この顔だからこそ思いっきり倒せるんだけどね」
彼らに気付かれる前に思いっきりジャックは手にしていたリモコンを投げ付けた。
超至近距離からのその攻撃を避けられるわけがない。大頭頭ズの頭がぐるぐると勢いよく回って、足元がふらつく。
それを見逃さず、ジャックはふらつく足元を蹴飛ばした。
ただでさえふらついていた大頭頭ズは体勢を持ち直すことが出来ない。派手な音をたてて、大頭頭ズのひとりが倒れる。
「自分の画面が固定されるのって、乗っ取られたみたいで不安になるし。早く解決させないとね」
地図の場所へと向かうビビの背中を見ながら、そう呟いたのだった。
成功
🔵🔵🔴
桑原・こがね
うわ、顔こわ。
さすがのあたしもあれはちょっとこわい。
まっとうな鬼の顔とかの方がまだ見れるわね。
そっちが拳法ならこっちは剣法!
二刀の技の冴え、見せてあげる!
さあ、一人も通さな……一人?人?うーん、やっぱりこわい。
さっさと倒そ!
ビビ、安心して。あたしたちが守るから!
そのかわり、後でその地図見せてね!
●
「うわ、顔こわ」
いろんなオブリビオンを見てきたこがねだが、大頭頭ズを見た彼女の感想もビビと同じだったらしい。
「さすがのあたしもあれはちょっとこわい。まっとうな鬼の顔とかの方がまだ見れるわね」
それでも、こがねの凛とした瞳は大頭頭ズから逸れることはない。真っ直ぐ彼らを見据えている。
「あたしを見ろォ! さあ、一人も通さな……一人? 人? うーん、やっぱりこわい」
こがねは、変わらずビビを守るように怪人とビビの間に割って入った。
顔がやっぱりちょっと怖いけど。それくらいのこと、彼女にとっては背を見せる理由にはならないのだ。
こがねの手に握られている刀身が、怪人たちを挑発するようにきらりと光った。
ビビを追っていた怪人のひとりが、その煌きに誘われるように足を止めた。こがねと相対すると、拳法の構えを取る。
「お?やる気になった? そっちが拳法ならこっちは剣法!」
ちきりとこがねの刀が鳴る。それを合図のように、怪人が動いた。
風を切るような音がして、こがねに向かって掌打が繰り出される。命中を高めたその一撃は、こがねの頬をかすった。チッっと短い音がして、こがねの頬がひりりと痛む。
ぬるりと生暖かい感触が頬を伝う。こがねはそれを親指で拭うと、にんまり笑った。
「もうおしまい? じゃあ、こっちの番だね。二刀の技の冴え、見せてあげる!」
―――剣刃一閃。
こがねの刀が、向かってくる怪人を一文字に切り裂いた。
そうして、返す刀で、もうひとり。一瞬にして、ふたりの怪人が切り捨てられ、地に倒れ伏した。
「すごいです……!!」
鮮やかな太刀捌きに、ビビが思わずほうと見惚れる。
「ビビ、安心して。あたしたちが守るから! そのかわり、後でその地図見せてね!」
背に守るビビをちらりと見ると、こがねが笑った。その間にもこがねの刀の切れ味は鈍らず、怪人たちを切り捨てていくのだった。
成功
🔵🔵🔴
ケイ・エルビス
★アドリブ連携等大歓迎!
装備してる
接近戦用の手袋と鞭
だけの身軽な状態になり
戦う
「1度カンフー使いと
戦ってみたかったんだ。
手加減無用でかかってきな!」
powとspd攻撃には
◆野生の勘
◆見切り
で回避したり
急所を避け
打点をずらして捌き
受け流す
◆気合いの入った
UCキラー・チューンによる連続攻撃に
◆カウンター
◆フェイント
を交え戦うぜ
敵がwizの技に入ったら
UCシークレット・エージェントの攻撃力のない
トカゲを召還し
敵の身体を這い回り
隙を作ってから
◆気合い
◆怪力
◆グラップル
で掴み投げ飛ばす
「ズルいなんて言わないよな?一丁上がりだぜ!」
ビビちゃんや仲間が
狙われたら
◆かばう
鞭を使い
◆咄嗟の一撃
●
ケイの姿は先ほどとは打って変わって、身軽なものとなっていた。
ブラスターやアサルトライフルなどの武器は置いて、近接戦闘に特化した手袋と鞭だけの装備にしたのだ。
「一度カンフー使いと戦ってみたかったんだ。手加減無用でかかってきな!」
姿かたちはコミカルでも、武人としての矜持は持ち合わせているのだろうか。挑発されれば、戦わずにビビを追うことを彼らはしない。ビビを追っていた怪人が、ケイへ向き直る。
ケイは持つ力すべてを使って、怪人の攻撃を次々と見切って、避けて、受け流していく。
そして、ケイにはもうひとつ秘策があった。
ユーベルコードを用いて呼び出したトカゲが、いつの間にか怪人へと近付き、その身体を這っている。
彼はそれを用いて怪人たちの隙を作り出そうとしていたのだ。―――しかし、ケイの狙いはすこし外れてしまう。
影で出来たトカゲ、確かにそれは発見されにくい。けれど、発見されにくい分、怪人たちがその存在に気付くことはなかった。
ケイの狙い通り、怪人の隙を作ることは叶わない。隙を作ることが出来る、そう思ったほんのすこしの油断が、ケイの動きを鈍らせる。
怪人がケイへと放った掌打が、ケイの腹部に直撃する。ぐっと息を吐くことすら出来ないほどの衝撃がケイを襲った。
「………げっ、ほ」
ケイの身体が後方へと投げ出された。
そのまま怪人の攻撃がケイを襲う―――と、思われたが、ケイに引き寄せられるように、くんっと怪人の頭が前へと引き寄せられて怪人がバランスを崩したのだ。
彼の頭に、ケイの手に持つ鞭が引っ掛かっていたのだ。
怪人から掌打を喰らったその瞬間。咄嗟の一撃により動いた鞭が、怪人の頭を捕らえていた。
「…………ズルいなんて言わないよな? 一丁上がりだぜ!」
ケイの呼吸はまだ整わない。けれど、チャンスを見逃す訳にはいかない。
ケイはそのまま鞭を思いっきり振るった。ぐんっと引っ張られて、怪人が前へと倒れこむ。
苦しくがあったが、なんとか怪人を倒すことに、ケイは成功したのであった。
苦戦
🔵🔴🔴
レネシャ・メサルティム
……本当に、悪気はなかったし
武器の現地調達は楽で良かったけれど
ご近所に迷惑をかけるのは本意じゃないのよ
それにしても……変な顔。
作り物なのはわかってるけれど。
そうね、こわいっていう、ビビの感想も頷けるのだけれど。
あの被り物の下、気になるわね
徐に刀を抜いて、被り物狙いで斬りかかる
UC【剣刃一閃】
もし止められたら迷わず刀から手を放し
掌から出したフォースセイバーで、二の太刀
敵が蹴ってくるなら、こっちも蹴り返すわ
ヒールで
地図、と言う事は、そこに行けって事でいいのかしら
罠じゃないといいけど、考えても仕方ないわね
ところでビビは、自分の顔に出てる地図見えてるのかしら?
叩いたら鏡出てきたりしないかしらね?
●
レネシャの見た目と乖離した戦い方があまりにも衝撃的だったのだろう。
なんとなくビビのレネシャへの態度が物理的にも心理的にも距離が開いている気がする。
「……本当に悪気はなかったし、ご近所に迷惑をかけるのは本意じゃないのよ」
自分のためにしてくれた行いであることはビビも分かっている。
けれど、やっぱり。彼女の見た目と戦い方の差に、頭が追いついていかないのだ。
今もこうして怪人から自分を守ろうとしてくれているのは分かるのだけれど、やっぱりちょっとハラハラしてしまう。
そんなビビの思いは気付かずに、レネシャは怪人を見据える。怪人の目はレネシャを映してはいるが、彼女を見ているかは分からない。
「それにしても……変な顔。作り物なのはわかってるけれど」
レネシャがおもむろに刀を抜く。こわい、というビビの感想にも頷けるけれど、それよりも好奇心が勝るのだ。
「あの被り物の下、気になるわね」
被り物を狙ってレネシャが切り掛かる。レネシャの狙いを本能的に理解したのか、怪人がその場を退く。顔の下を見せたくないらしい。
しかしレネシャも諦めない。怪人へ距離を詰め、もう一度、と切り掛かる。これなら、被り物を切れる―――そう思ったが、怪人はその剣筋を手で受け止めた。
怪人は被り者が壊されるくらいなら、身体を傷つけることを選んだのだ。
レネシャは刀から手を離して掌からフォースセイバーを取り出し、振るおうとする。
この距離なら、逃れられない。けれど、それはどちらも同じ。
レネシャより怪人の動きのほうが、すこしだけ早かった。レネシャのわき腹に衝撃が走る。
怪人の蹴りを喰らったレネシャはげほっと苦しそうに息を吐く。
「………痛いじゃないの」
レネシャの足がゆるりと持ち上がって、スリットから見える白い肌が更に顕わになる。
そして。次の瞬間には、怪人の身体に彼女のヒールが突き刺さっていた。それは、一切の迷いがない、鮮やかな動きだった。
「これで、お相子ね」
重い頭を支えきれず、頭から怪人が倒れた。また小さく、ビビのヒェっという驚く声が、聞こえた気がした。
「ところでビビは、自分の顔に出てる地図見えていたのかしら?」
目的地へ向かう道すがらレネシャが聞けば、ビビは首を傾げた。
「えっ? うーん? なんとなく分かるよ、なんとなくだけど。あ、もうすぐ!」
ビビがそこの曲がり角を曲がってすぐだよ、と指を差した。
彼女に促されるままに、猟兵たちが角を曲がれば、そこにあったのは、映画館だった。
気付けば怪人たちも姿を消している。うまく追っ手を煙に撒けたのだろう。
猟兵たちは、ビビを画面に出ていた謎の地図が示す場所へと、無事連れてくることが出来たのだった。
成功
🔵🔵🔴
第3章 ボス戦
『銀木犀』
|
POW : 頂戴
【予告状】が命中した対象にルールを宣告し、破ったらダメージを与える。簡単に守れるルールほど威力が高い。
SPD : 手刀
【残像さえ残る格闘術】による素早い一撃を放つ。また、【下駄を飛ばす】等で身軽になれば、更に加速する。
WIZ : 巾着切り
【スリ】による超高速かつ大威力の一撃を放つ。ただし、自身から30cm以内の対象にしか使えない。
イラスト:りょうま
👑7
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
|
種別『ボス戦』のルール
記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※このボスの宿敵主は
「宇冠・由」です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
●
無事目的地へと辿り着いたビビと猟兵たち。地図が示した場所は、映画館の前だった。
けれど、何も変わったことはない。何かがあるわけでもない。誰もが首を傾げた、その時だった。
「わっ、わっ、わー!!?」
ビビが悲鳴を上げる。彼女の画面がちかちかと激しい光を放ち始めたのだ。
今日いちにちでいろんなことがありすぎて、ビビの頭はもう真っ白なのだろう。
「うわーん! もうやだよー!」
パニックのように泣き叫ぶビビ。
けれど、怪人たちはお構いなしだ。彼女を気遣うこともなく、どこからかまた彼女を襲おうと現れる。
「おーっと、そこのテレビウム捕まえちゃうよ!」
どうやらしつこい追っ手は、もう彼ひとりだけのようだ。彼を倒すことが出来れば、きっとビビを襲う怪人たちはいなくなることだろう。
謎の鍵、謎の地図、そして謎の光。彼を倒せば、なにか分かるのだろうか。
亜儀流野・珠
泣くなビビ!大丈夫だ!
追手は子供…?が一人だけだし、俺たちは強いし、何の心配も無い!
そんなピカピカで動くと危ないからな。少しそこで座って待っててくれ!
さて子よ。中々すばしこいようだが俺も速さには自信があるぞ?
戦闘用扇「尾踊」を閉じた状態で持ち近接戦だ。
相手の攻撃をできる限り避けつつスパーンと叩いてやろう!
もし速さに押され始めたら奥義「風渡り」を使用だ!
地面しか蹴れないお前と上下左右どこでも自由に蹴れる俺!どちらが軽やかに動けるかは明白だろう!
周りを跳び回り隙を見て突っ込み!扇を巨大化させてズパーンだ!
疲れたか?扇いでやろうか?(扇を開く)
一振りごとに炎を吹くがな!
桑原・こがね
させないわよ!
ほら、もう泣いちゃってるじゃない、ひどいことして!
さあ来い!あたしを見ろ!
真の姿で本気出しちゃうんだから!
予告状なんて全部避け……るのは難しいかしらね!
どんなルールが来るか予想できないけど、変幻自在があたしの流儀!
刀を投げて、拳で殴って、投げ飛ばして、雷を叩き込む!
予告状で制約がついてもどれかはできるでしょ。
全部駄目だったら、相打ち覚悟でゴリ押し!負けるか!根性だ!
レネシャ・メサルティム
今度は泥棒?
次から次へと
まあ、これだけ派手に光ってたら見つかっちゃうわよね
本当に、テレビウムに何が起きているのかしらね?
本人も良く判ってないみたいだし
ビビにゆっくり落ち着いて考えさせてあげたいんだけど
その為には、泥棒にはさっさとお帰り願いましょう
さっき1回リンゴ出てきたし
近くで果物がでてくるといいんだけど
何か果物が出るまでコンコン
出てきた果実で【果婁邏天】
発動後はフォースセイバー中心の接近戦
予告状のルールは気せず破る
多分、こっちが戦いにくいルールを宣告してくるんでしょうけれど
そんなの気にして、どう戦おうって考えるの、面倒じゃない
破ったって死にはしないでしょ
簡単に縛られるほど安くないわよ?
久留米・圓太郎
よし!(別の事件で動けなかった)俺もようやく、テレビウム達の救援に動けるぜ!
先ずは、ビビの安全と落ち着かさせることが第一だ。
「俺達に任せろ!君のようなテレビウムは結構見てきたぜ」
「ネズミ姿の敵、だと?
俺は三毛猫のキマイラなんだよ。俺の郷里で好き勝手はもうさせないぜ!」
(猫耳ピクピク、尻尾フリフリ、猫由来の犬歯を見せつけるように、歯を剥いて笑いながら)
巾着切りは隣接しなきゃ使えないんだよな?なら俺はこれで行くぜ!
(ウィザード・ミサイル発動)
一つ一つの威力は劣るかもだが、160本の魔法の矢から逃げ切れると思う?
(ニヤニヤと、犬歯を見せながら)
飛びかかるだけしか能の無い、猫と思うな!
●
パニックになったビビをこがねが庇う。泣く彼女を見て、もう!とすこし起こった声を上げた。
「させないわよ! ほら、もう泣いちゃってるじゃない、ひどいことして!」
こがねは今までの姿と同じではなく―――今の彼女は、身体を覆うように銀の光がぱちぱちと弾けている。
それはこがねの真の姿。
―――雷神降臨。ばちりと弾ける銀の稲妻を纏った彼女は、その名の通り雷神のようだった。
「さあ来い! あたしを見ろ!」
近くで、こがねの纏う稲妻とは別の光がちかりと弾けて。光に導かれるように現れたのは、久留米・圓太郎(自称魔法使いの一番弟子・f00447)。
「よし! 俺もようやく、テレビウム達の救援に動けるぜ!」
別件の事件を引き受けていたためなかなか動くことができなかった彼だが、その事件を終えて駆けつけてくれたのだ。
「俺達に任せろ! 君のようなテレビウムは結構見てきたぜ」
彼は人懐っこい笑みを浮かべて、ビビを落ち着かせようと笑いかける。にししと笑う彼の口から、鋭い犬歯が覗く。
圓太郎は『銀木犀』に向き直るとぎらりと犬歯を光らせて、ビビに見せたものとは違う、相手を威嚇するような笑みを銀木犀へ向けた。
「俺は三毛猫のキマイラなんだよ。俺の郷里で好き勝手はもうさせないぜ!」
圓太郎の猫耳が相手の動きを警戒するかのようにぴくぴく動き、尻尾は獲物を狙うようにゆらりゆらりと揺れている。
ネズミに近い形の怪人だからだろうか。圓太郎に対して忌避意識は感じるらしい。銀木犀の口元が不愉快そうに歪んだ。
「今度は泥棒? 次から次へと」
怪人の姿を認めたレネシャはゆったりと首を傾げる。
まあ、これだけ派手に光ってたら見つかっちゃうわよね、と、まだ落ち着きを取り戻していないビビをちらと横目で見て言った。
「ビビにゆっくり落ち着いて考えさせてあげたいんだけど」
画面の光も収まらず、怪人が彼女を襲う今の状況では難しそうだ。
「その為には、泥棒にはさっさとお帰り願いましょう」
そう言いながら、レネシャはまたコンコンと近くの壁を軽く叩いている。
ことり、ごとりと、壁から出てきたものを見て、これは違うわと呟いた彼女は、お目当ての物が現れるまでコンコンを続けるのであった。
圓太郎の威嚇で足がすくんだ銀木犀だったが、いつまでも立ち止まっている訳がなかった。足に力を込めて、ビビに向かって素早く駆ける。
けれど、ビビとの間に白い影が銀木犀よりはやい動きで割って入ると、スパーンッという小気味のよい音が響いた。
額に衝撃を受けた銀木犀は何が起きたか分からず、ゴーグルの下の目をしろくろさせている。
「さて子よ。中々すばしこいようだが俺も速さには自信があるぞ?」
戦闘用扇「尾踊」を手にした亜儀流野・珠(狐の恩返し・f01686)が、にししと悪戯っぽく笑っていた。そう、珠は扇を使って、銀木犀の額を叩いたのだった。
「泣くなビビ!大丈夫だ! 追手は子供…?が一人だけだし、俺たちは強いし、何の心配も無い!」
そう言いながら、珠がぽんぽんと扇を開いたり閉じたりするたびに、くるくると扇の絵柄が変わる。
「そんなピカピカで動くと危ないからな。少しそこで座って待っててくれ!」
「………は、はい……!」
やっと落ち着きを取り戻したビビが、珠に言われた通りにすとんと腰を下ろす。珠は満足そうに微笑んだ。
「俺が近付けさせないから、安心してくれ。近付いてもさっきみたいにスパーンだ!」
「なにをー! 近付かないと何も出来ないだなんて思うなよ!」
銀木犀が懐から何かを取り出した。それは当たった相手の動きを制限する厄介な紙、予告状だ。それを猟兵たちに向かって放つ。
「予告状なんて全部避け……るのは難しいかしらね!」
こがねは自らに飛んできた避けきれなかった予告状を刀で切り落とす。ただの紙切れに戻ったそれが、ひらひらと落ちた。
「変幻自在があたしの流儀! 予告状で制約がついてもなにかはできるでしょ」
「そうね。そんなの気にして、どう戦おうって考えるの、面倒じゃない」
銀木犀が宣言したのは、武器禁止。あまりに大きな制約のため、威力は大きくはない。けれど、じわじわとでも体力を削られるのは面倒そうだ。
けれど、予告状に触れたにも関わらず、レネシャはフォースセイバーを手に銀木犀に切り掛かった。
「破ったって死にはしないでしょ」
レネシャの躊躇わない動きが予想外だったのだろうか。正面から彼女の斬撃を受けた銀木犀が苦しそうに呻く。
銀木犀が油断したこともあるが、レネシャは先ほど、コンコンして出てきた果実を口にしていた。
レネシャのユーベルコード、果婁邏天。戦闘中に食べた果実に応じて、翼の色と羽毛の量が変化し戦闘力が増加する。
つまり、今のレネシャの一撃は、普段よりも重いということだ。
予告状の制約によりじわじわと体力を削られても、それを上回る力で先に倒してしまえば問題ない。そう考えたのだ。
「食べた分のカロリーは消費しないとね。付き合って貰うわよ?」
簡単に縛られるほど安くはないわよ、と、レネシャがゆるりと笑った。
「いいこと言うね! あたしも負けてられない!」
飛んでくる予告状を切り捨てて、それでも避けきれない予告状によってひとつ、またひとつと、ちくちくとこがねの動きを縛っても、こがねは銀木犀突へとき進んでいく。
武器を禁止された―――刀を銀木犀へと放った。
投擲を禁止された―――拳で殴った。
予告状のルールを破るたび動きが鈍る。けれど、どれだけ傷を負っても、足を止める理由にはならないのだ。
「全部駄目になっても、相打ち覚悟でゴリ押し! 負けるか! 根性だ!」
銀木犀の身体にとんと手を触れたこがねがにっと笑う。
銀木犀が避けるよりはやく、銀の稲妻がばちりと弾けた。超至近距離で電撃を叩きこまれた銀木犀の身体が宙へと投げ出される。
空へ投げ出された銀木犀へと、とーんとんと軽やかな動きで珠が空中を蹴って迫る。
「―――跳ぶぞ!!」
珠の奥義、風渡り。空中を蹴って自由自在に動き回る様は、まるで空中に足場があるようだ。
「地面しか蹴れないお前と上下左右どこでも自由に蹴れる俺! そんな俺が今のお前を逃がすわけがないだろう!」
空中を蹴って銀木犀と同じ高さまで駆け寄った珠が扇を振り被れば、扇がぐぐぐと大きくなっていく。
片手に持てるサイズから両手で支えなければならないサイズにまで巨大化した扇を、珠が銀木犀へと振り下ろす。
ズパンと扇の大きさに負けないくらい大きな音がして。空中へ投げ出された銀木犀の身体が、また地へと叩き落される。
「……うぐっ!!」
あまりの衝撃に、銀木犀は声をあげることすら敵わない。地面に倒れたままの銀木犀の肺から、こひゅうと息が漏れた。
「疲れたか? 扇いでやろうか?」
とっと近くに降り立った珠が、大きくなったままの扇をばっと開いた。扇に描かれた絵は、絢爛豪華な梅の花。
「―――……一振りごとに炎を吹くがな!」
銀木犀の返事も待たず、扇をばさと振るう。激しい風と、それと同時に炎が巻き起こり、銀木犀に逃げる隙を与えない。
炎のなか、なんとか身体を起こした銀木犀が、ちりりと肺を焼く熱に耐えながらげほりと息を吐いて。揺らめく炎の向こうに見た人影は、圓太郎のものだった。
ニヤニヤと犬歯を見せつけて圓太郎が笑う。不穏な気配を感じた銀木犀の顔が引き攣った。
圓太郎がくい、と指先を空へと向けた。何があるのか。炎に包まれた銀木犀の目には、霞んでよく見えない。
「まあ焦るなって、すぐ分かるからさ」
炎が弱まる。彼が差す指の先。炎に隠れて見えなかった景色がはっきりとしていく。
炎の付いた矢が、浮いていた。ひとつふたつではない。銀木犀を取り囲むほどの数だ。
――――その数、160本。
「一つ一つの威力は劣るかもだが、これだけの魔法の矢から逃げ切れると思う?」
その言葉の意味を理解するよりもはやく、炎の矢が雨のように銀木犀へと降り注いだ。傷ついた銀木犀は、大量の矢を避けることは叶わない。
「飛びかかるだけしか能の無い、猫と思うな!」
次々と炎の矢で貫かれた銀木犀の耳には、もう音は届いていなかった。
消し炭のように焦げた身体がぐずりと崩れて倒れ込む。倒れた身体は地面にぶつかると同時に砕けて、風に浚われるように消えていった。
「……あっ、画面が」
怪人が消えるとビビの画面から放たれる光も勢いを無くしていく。そして、光がおさまると同時に鍵の映像もふっと消えた。ぱちりとビビが自分の頬に触れる。
「………戻った……」
「本当に、テレビウムに何が起きているのかしらね? 本人も良く判ってないみたいだし」
ほうと息を吐いたビビの顔を、レネシャが覗き込んで首を傾げる。―――その時だった。どこからか声が聞こえる。
「システム・フラワーズより緊急救援要請」
「全自動物資供給機構『システム・フラワーズ』に侵入者あり」
「テレビウム・ロックの解除数が多ければ多いほど、開放されるメンテナンスルートは増加する」
「至急の救援を請う。システム・フラワーズより緊急救援要請―――」
猟兵たちがばっと振り向くが、どこにも何の姿もない。まるで、建物から声がしたような―――。
「あ、あのっ」
辺りを見回していた猟兵たちに、おずおずとビビが声を掛ける。そして、ばっと勢いよく頭を下げた。
「ありがとうございました!」
また顔を上げたビビの画面には、おおきな花丸が現れていた。場の緊迫感に似合わない映像に、思わずぷっと吹き出してしまう。
テレビウムの画面に一斉表れた鍵、それを狙う怪人、謎の声。
まだまだ分からないことは多い。けれど、今こうして。ひとりのテレビウムの少女が守られたことは、確かだった。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵