鍵が表示されたばっかりに!
●平和な自然公園にて
ある長閑な春の一日であった。テレビウムの少年は大きな自然公園で友人のキマイラと散歩を楽しんでいた。二人は少し休憩をしようとベンチに座り、ジュースを飲みながら談笑を始める。
「そういえばさー、この間面白い動画見つけたんだ」
「へー、どんなの?」
「今見せるよー」
テレビウムの少年は自分の顔であるモニターに動画配信サイトを写し出す。動画は盛り上がりを見せ、いよいよクライマックスで物語の真相がわかるその時だ。
「え?」
「ん?」
「いや、なんか変な鍵みたいなのが表示されてる」
そこに映し出されたのは動画のクライマックスではなく鍵のマークだった。
「え?何これ?」
「えーー!いいところだったのに!」
そんな会話をしていると、突如公園の池から現れるベルーガ。この池って海水なの?とそんなわけがない疑問を抱いているうちに、飛び出てきた大量の白イルカ達が二人へと迫ってくる。
『何について調べますか?』
「え、これ消す方法?」
『お前を消す方法……?』
「違う!この鍵のマークを……」
そう弁明しても時すでに遅く、イルカ達の目がギラリと光る。
『消えるのは貴様らだ』
「「う、うわああーーーーーー!」」
ただならぬ様子に二人は逃げ出した。しかしこれでは捕まるのも時間の問題だろう。
平和な自然公園にテレビウムとキマイラの悲鳴が木霊した。
●グリモアベース
「皆さん集まりましたかー?キマイラフューチャーで、なんだか突然テレビウムの顔に鍵マークが表示される事件についてはもう知ってますよね?」
まぁ知らないにしても今知ってください!はい!知りましたね!とグリモア猟兵の零落・一六八(水槽の中の夢・f00429)は手を叩く。
「ボクが予知したのもその一件ですね。平和にすごしているテレビウムの少年にこの現象が起きるようなんです」
なので皆さんには今からその少年の居る自然公園へ行って欲しいと言う事だった。
お友達のキマイラくんも居るのでその子もついでに助けてやって欲しい。
「すぐ近くに転移するんですが、なにやら白いイルカみたいな怪人に追われてるらしいんですよねー」
ま、皆さんなら楽勝でしょ。派手にぶちかましてきてください。そういいながらグリモアを出現させる。
「正直ボクにもわからないことだらけなので、ま、現地に行って成り行きに任せれば多分なんとかなりますって!よろしくお願いしますね!」
大丈夫、大丈夫、やってみれば何とかなりますよ。と無責任なことをいいながら一六八は猟兵達を送り出すのであった。
山野芋子
乗るしかないこのビッグウェーブに。
そんなわけでこんにちは山野芋子です。
今回はテレビウムの少年を怪人から救ってください。
その先のことはグリモア猟兵の言ってたとおり成り行きに任せれば何とかなります。多分。シナリオの性質上、30日より前の完結を目指しているためできる限り早いペースの返却の予定です。そのため、できる限りがんばりますがキャパ以上の場合はプレイングをお返しする可能性も少しあります。
それでは皆さんのプレイングお待ちしております。
第1章 集団戦
『何も答えてくれないベルーガ』
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POW : おまえを消す方法
【全て消すモード】に変化し、超攻撃力と超耐久力を得る。ただし理性を失い、速く動く物を無差別攻撃し続ける。
SPD : ベルーガに乗った中年
【ベルーガの調教師】を召喚し、自身を操らせる事で戦闘力が向上する。
WIZ : ベルーガがせめてきたぞ
戦闘用の、自身と同じ強さの【熱線銃装備の軍用ベルーガ】と【ガトリングガン装備の軍用ベルーガ】を召喚する。ただし自身は戦えず、自身が傷を受けると解除。
イラスト:ケーダ
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種別『集団戦』のルール
記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
ボアネル・ゼブダイ
「まったく、物騒極まりない水棲哺乳類共だな
とっとと北極海辺りに放り込んでおきたい所だが、今回の襲撃は謎が多い…慎重に動かなくてはならんだろう」
まずは襲われた少年達を逃がさなくてはな
ベルーガ達に【殺気】を放ちこちらへと意識を向ける
その隙に彼らに安全圏まで逃げるよう指示
それでもなお少年達を狙う奴らがいれば
【見切り】で先手を取ってまとめて【串刺し】にする
「…愛護団体に怒られそうだな…」
そして【従順たる悪意】を発動
召喚された【軍用ベルーガ】達を撹乱しつつ
本体を私のフランマ・スフリスで攻撃
【早業】と【2回攻撃】を組み合わせて戦力を削り敵を殲滅していこう
「こちらもあえて言ってやろう、―消えるのは貴様等だ」
●白イルカの群れ
転移が完了するとベルーガ達と少年との間に、さらりと流れる美しい銀髪を靡かせボアネル・ゼブダイ(Livin' On A Prayer・f07146)が現れた。
突然現れた猟兵に少年達もベルーガも視線が釘付けになる。
「まったく、物騒極まりない水棲哺乳類共だな」
ボアネルがベルーガへとフランマ・スフリスを構える。その手に握られた十字架の剣は黄金に輝き目の前の悪徳を焼き尽くそうと炎を上げていた。
赤い瞳から滲み出す殺気に、ベルーガ達は放置することのできない敵としてボアネルへと意識を向けていた。
「もたついている暇はない、今すぐ逃げるんだ」
投げかけられた声にそれが自分達を逃がすための行動であると気づいた少年達は一度頷くとそのまま全力で走り始めた。
二人を追おうとするベルーガにその動きを瞬時に察知しその十字架を突立てた。キュウっと可愛い子ぶった悲鳴を上げながベルーガの内の1匹が消滅していく。
「……愛護団体に怒られそうだな……」
ポツリと呟いたその感想も最もだが今はそんなことは言っていられない。
『何を調べますか?』
「とっとと北極海辺りに放り込んでおきたい所だが」
今回の襲撃はわからないことばかりだ。テレビウムに表示された鍵のことも、怪人達がなぜそれを追うのかも。
謎の多い事件に、慎重に動くべきかと冷静に判断する。とはいえ、目の前の敵達をどうするか考えるべきだ。
『つまり我々を消す方法ですか?―――消えるのは貴様等だ』
仲間が死んだことや呟かれた独り言にベルーガはボアネルのことを排除するべき敵と判断したのだろう。手っ取り早く母数を増やすべく、ベルーガの周囲にガトリングガンや熱線銃装備の装備した軍用ベルーガが召還されていく。数の暴力で押し切るつもりだ。
「数に頼るか。ならばこちらも数で対抗するとしよう」
―――暗く深き闇に蠢く邪悪で矮小なる者共よ、我が元に集い、我が意に従え!
詠唱と共に周囲に黒く耳の尖った小さな使い魔が小さな槍をこれまた小さな体で手にしたインプが現れる。それらは一斉にベルーガへと襲い掛かった。
インプ達はベルーガの放つ弾丸が掠めると途端に消滅するが、先ほど宣言したとおり数は力であった。消えた先から突き立てられる槍、そしてそちらの相手に気を取られてる間にボアネルは動くことができる。
軍用ベルーガを召還し、動くことのできないベルーガ本体へとボアネル本人が接近すると、その燃え上がる十字架を白い体へと突き立てた。
「こちらもあえて言ってやろう、―――消えるのは貴様等だ」
自分達を消すという言葉にベルーガは過敏に反応するようだったが、ベルーガが再び何かをするよりも先に、十字架の炎は白いイルカを燃やし尽くす。その攻撃の横をサッと駆け抜けていくベルーガ。猟兵に勝てるとも思っていないのか仲間を犠牲に進むことを選んだのだろう。
戦っているのは自分一人ではない。残りは他の猟兵に任せるとしよう。そうしてボアネルは目の前に残ったベルーガ達の相手を続けるのであった。
大成功
🔵🔵🔵
サンディ・ノックス
話を聞かないタイプ、いや、話が理解できないタイプだね
俺そういう馬鹿嫌いだから、さくっとやっちゃおう!
笑顔を浮かべ内心で毒吐いて戦闘はじめるよ
敵が多いし少年達の保護のため
ユーベルコード、解放・夜陰を可能な限り多数の敵に撃ちこむ
「お前たちじゃ束になっても俺には勝てないよ」とか
「『なにについて調べますか?』そりゃ、お前を消す方法」のお約束とか発言して敵を【おびき寄せ】る
それでも少年達を狙う熱心な敵には水晶を追加プレゼント、そのまま倒してしまおう
軍用ベルーガ召喚は淡々と召喚主を攻撃して解除
「飛び攻撃使う相手に無駄だよ、やっぱり馬鹿だね」
体力消耗は【生命力吸収】して補う
このイルカにも生命力くらいあるよね
●公園は綺麗に利用してください
全ての進行を抑えきれず仕留め損ねたベルーガ達が少年達へと迫っていた。
『何について調べますか?』
『何について調べますか?』
同じ質問ばかりを繰り返し水生生物とは思えない速度で陸を駆けてゆく。今度こそ追いつかれると少年達の瞳に恐怖が浮かぶ。片方は表示されているのはそもそも鍵だけれども。
―――その刹那、迫っていたベルーガの顔面に漆黒の水晶が突き刺さった。
弾道の元を辿るとニコニコと笑顔を浮かべたサンディ・ノックス(闇剣のサフィルス・f03274)がそこにいた。発言はともかく顔だけは愛嬌のあるベルーガに情け容赦は一切なく無慈悲に水晶が突き刺さる。
『何について調べますか?』
「それしか言えないのかな?」
同じ質問ばかりして、どんな回答を送っても自分を消す方法を質問をしたと思い込む。こちらが何を言ったとしてもそうとしか受け取らない、話を聞かないどころか話が理解できないタイプ。
にこっと人の良さそうな笑みを浮かべながらも、その奥には嘲笑のようなものが含まれていた。そういう馬鹿はさくっと殺っちゃうに限る。だって話をしても無駄なんだから。
「馬鹿はまとめて消えればいいよ」
聞き間違いでもなんでもなくはっきりと煽ったサンディの言葉に反応し、ベルーガ達が攻撃対象としてサンディへと狙いを定めた。軍用ベルーガを召還を開始するが、その召還が完了するよりも早く、黒い水晶がベルーガ本体の脳天を貫いた。
「飛び攻撃使う相手に無駄だよ、やっぱり馬鹿だね」
召還を行っても無駄だむしろ動けなくなっている隙に殺られるとやっと理解したようだ。ならばと言わんばかりにベルーガ達の瞳が赤く光り、目の前の全てを消そうと己を強化して直接サンディへと襲いかかった。
「お前たちじゃ束になっても俺には勝てないよ」
単調な攻撃にサンディはその場で手を翳した。悪意を源に生み出された闇の魔力の結晶体が周囲にひとつふたつと構築されていき、ベルーガの大群へと手を向けると、その動きに合わせ浮遊していた結晶が弾丸のように発射される。
無数の結晶が漆黒の雨のようにベルーガを貫いていく。どんなに強化され動きが速くなっていても豪雨の如く降り注ぐそれを避けるのは不可能だった。小さくても堅く高速で発射されるそれの威力は、ひとつひとつが当たり所によっては致命傷になりえる。
「『なにについて調べますか?』だっけ?せっかくだから答えてあげるよ。そりゃ、お前を消す方法」
調べなくても消せるけど。為す術もないベルーガ達を嘲笑すると再び結晶で貫いた。かなりの数を片付けた。一体一体は大して強くもない相手だ。しかし、怪人は倒す先から沸いてくる。全てを倒しきるにはもう少し時間がかかりそうだ。
少年達を追うベルーガを容赦なく排除し逃げ道を作りながら、サンディは公園を荒らす白いゴミの大掃除に勤しむのであった。
大成功
🔵🔵🔵
佐久間・嶺滋
懐かしいな、うざったいサポートマスコット。
まさかこんな形で暴れまわってるとはな。
まぁ、お約束だから調べておこうか。
「お前を消す方法が、知りたい」
【敵を盾にする】ことで熱線やガトリングから遮蔽としつつ、
【マヒ攻撃】【呪詛】【目潰し】を乗せた【サイキックブラスト】で範囲を制圧しよう。
それでも足りないなら怯んでる個体から【暗殺】。
スタミナ補填で【生命力吸収】も忘れずに。
「なら質問を変えよう」
「お前達を『同士討ち』させる方法、だ」
※アドリブ連携歓迎
●お約束の質問
少年達の避難経路を確保しながらも、かなりの数を一掃しても沸いて出てくるベルーガ達の前へと佐久間・嶺滋(想葬の黒影・f00774)が立ちふさがる。
『何について調べますか?』
ぞろぞろと迫ってくるそれ等が、道を空けろといわんばかりに武装したベルーガが召還されていく。
「懐かしいな、うざったいサポートマスコット」
まさかこんな形で暴れ回ってるとはな。とベルーガ達を一瞥する。育ってきた場所によっては目の前のベルーガが何なのかがわからなかっただろうが、現役大学生である嶺滋にとっては見覚えのあるものだった。軍事用ベルーガが行く手を阻む嶺滋へと照準を合わせる。
召還により動きの止まっている一体のベルーガへと影が伸びていきそれを嶺滋の元へと引き寄せる。一斉掃射されたガトリングの弾丸の雨、砂埃の中現れたのは無残に蜂の巣になったベルーガであった。
まぁ、お約束だから調べておこうか。
「お前を消す方法が、知りたい」
『消えるのは貴様等だ』
その声に反応するとベルーガ達の目の色が変わった。途端に動きが素早くなり一斉に嶺滋へと襲い掛かる。囲い込み、逃げる場所を与えないように四方八方から突撃してくる。
逃げ場はない、だからこそ逃げるでもなく、両の腕を左右へ翳す。バチバチ閃光が腕を走り抜けたと思うと直後に真っ白な光りに包まれ、同時に響き渡る雷のような轟音。光りが収まると、周囲のベルーガ達はバチッバチバチッと電気を帯び完全に動きが止まっていた。電脳世界のマスコットだとしても正しく水生生物だったとしても電撃はよく効いたことだろう。
攻撃を免れたベルーガも、光りによって焼きついた視界はまだ景色を捉えるまで回復していない。そのわずかな隙に苦無型の武器、影葬楔を気配もなくベルーガの背後に周り突き立てた。
「なら質問を変えよう」
離れた位置から銃口がこちらへと向く、発砲のタイミングに合わせ麻痺で動きが止まっていたベルーガを投げつける。
「お前達を『同士討ち』させる方法、だ」
質問の回答などなくてもその術を嶺滋は知っていてすでに実行をしているわけだが。救助対象の少年達は何とか付近から離れることができたのだろう。ならば遠慮なくやれるわけだ。
翳した嶺滋の手から再び雷のような電撃が放たれ、再び周囲は光りに包まれた。
大成功
🔵🔵🔵
榛・琴莉
モニターに鍵…一体どこの鍵なんでしょう。
電脳世界のとか?
…ちょっとErnest、レンズに鍵を出さないでください。
遊ぶのは仕事が終わってからお願いします。
今は演算結果を。
少年たちを庇える位置でベルーガとの間に割って入り、Haroldで手近なベルーガを引っ叩きます。
合わせてガスマスクの【存在感】で意識をこちらに。
何が知りたいかと聞かれれば、
「貴方達の目的」
答えては貰えなそうですけど。
熱線銃もガトリングも装備していないのが本体ですね。
動けないなら、予測は角度くらいで良いでしょう。
UCで敵付近の地面を撃って【串刺し】、少年たちが逃げるまで【時間稼ぎ】。
「出来る限りは抑えます。まだ、走れますね?」
●
相も変わらずベルーガ達は沸いて出てくるが最初の頃の勢いと比べかなり出現のペースが落ちているようだった。Ernestの演算により、現在の各猟兵の点在地と少年達の避難経路を予測した結果、少年達の逃げ道を確保するには丁度この辺りへと先回りするのが最適だろうと榛・琴莉(ブライニクル・f01205)が待ち構えていた。
「モニターに鍵……一体どこの鍵なんでしょう。電脳世界のとか?」
傍から見れば琴莉が独り言を呟いているように見えるが、それに反応するようにポンッという電子音と共にレンズには鍵が表示されていた。現在の状況に対するジョークのつもりなのだろう。
「遊ぶのは仕事が終わってからお願いします」
少し遊んでいる様子のAIを諌めると、丁度逃げて来た少年達が見えてくる。先ほどから助けてくれている人の仲間だろうと気づいた少年達は安堵を浮かべ琴莉に駆け寄る。
「どうぞあちらのほうに」
「「ありがとう!」」
すでに演算済みであった最も逃げるのに適した経路へと先導する、その背後に続いてくるベルーガ達へ小さなUDCの群れが襲う。
ほとんどは鳥に近い形をしていたが、一部の作りが適当だったのはご愛嬌。ベチンべチンとベルーガ達にぶつかりその動きを阻む。ベルーガ達はその攻撃を振り払うと行く手を阻み、ガスマスクによってとんでもない存在感を放っている琴莉にもお決まりの質問を投げかける。
『何について調べますか?』
「貴方達の目的」
『目的?それは貴様等を消すことだ』
答えがあると思わなかったが、それは恐らくこの怪人としての目的であり、質問の本質をつく解答ではないだろう。ベルーガ達は答えと同時に周囲に武装したベルーガを召還する。
「やはり聞いても無駄ですか」
予想通りの答えに呟くと、演算で攻撃を予測し回避しながら、武装するベルーガに混じり武器を所有していないベルーガに狙いを定める。
守るように軍事用ベルーガが立ちふさがっているが、その隙間と隙間の地面を緻密な計算によって狙いを定めると引き金を引いた。
ベルーガ達の胴の隙間を飛びまっすぐに地面に着弾した刹那、武装していないベルーガの胴体に氷が突き刺さっていた。それと同時に周囲に居たベルーガ達が消滅する。
「まだ、走れますね?」
少年達はその言葉に頷いて全力で走る。足止めした猟兵達のおかげでベルーガ達もかなり数が減っている。この様子であれば全部片付けることも可能だろう。Ernestも演算の結果いけると判断したのかレンズには『GO!』と映し出されていた。
「Ernestもそう思いますか」
ならばと、ダンッ!ダンッ!ダンッ!と連続して弾丸を放つ。的確に適切な間隔でベルーガの間の地面を狙って着弾したそれは、氷柱のように地面から飛び出しベルーガ達を貫くのだった。
大成功
🔵🔵🔵
第2章 集団戦
『自称『ウコンソフトクリーム』怪人』
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POW : たべられません
【硬化させた頭部を回転させること】による超高速かつ大威力の一撃を放つ。ただし、自身から30cm以内の対象にしか使えない。
SPD : それじゃないプリ!!
【自分を排泄物扱いした相手に連続攻撃】を発動する。超高速連続攻撃が可能だが、回避されても中止できない。
WIZ : 芳醇な香り
【頭部】から【奇妙なニオイ】を放ち、【困惑】により対象の動きを一時的に封じる。
イラスト:笹にゃ うらら
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種別『集団戦』のルール
記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
●指し示す先
僅かに残っていたベルーガを倒しながら、猟兵達は少年達と合流する。ベルーガは大方片付いたようだ。
「こ、怖かったあ……」
「助けてくれてありがとう」
やっと落ち着いて、自分達を助けてくれた猟兵達に改めてお礼を言う。状況を整理しながら、何か知っていることがないか少年達に尋ねる者もいたかも知れないが、少年達も何がなんなのかわからない様子だった。何でもいいから気づいたことはないかと尋ねると、少し思案したあと、キマイラの少年が、あ、と声を上げる。
「そういえば逃げている時に気づいたんだけど、こいつの鍵、どっか指してるみたいなんだ」
「え?そうなの?」
鍵を映し出してる本人が驚いていたが、その画面をよく見てみると、鍵がコンパスの様にテレビウムの向く方向に合わせて動き、常に同じ方向を指し示しているようだった。さらには先ほどまで逃げていて気づかなかったが、よく見てみると地図アプリやナビのように『100メートル先花壇の横の道へ右折』とご丁寧に説明まで表示されていたのだ。
一体それが何処を指し示しているのかはわからないが、今はそれしか頼りになる情報はない。行ってみる価値はあるだろう。猟兵達と少年は鍵の指し示す方へと向かうことにした。
しかし物事はそう簡単には進まない。向かう先に待ち構えるように空から大量のうん……うこんソフトクリーム怪人が降ってくる。
「此処は通さないプリ!」
目の前の怪人達を少年達を守りながら退治し、なんとか道を切り開き、鍵の指し示す場所へとたどり着かなければならないようだ。猟兵達は再び戦闘態勢に入るのだった。
ボアネル・ゼブダイ
「鍵が指し示す先か…恐らくそこに今回の騒動の大元があるのだろうが…まずはこの怪人共を片付けるのが先か」
同行してる少年達を傷つけぬように立ち回らねば
風属性の【憎悪する薔薇】を発動
強力な爆風で【芳醇な香り】を散らしつつ敵集団をまとめて吹き飛ばす
重ねるように敵陣が崩れた場所へコ・イ・ヌールの刀身を伸ばし【なぎ払い】で【範囲攻撃】を行う
「しかし、名前も姿も色々とギリギリな怪人だな…」
攻撃を行う際も少年達に常に気を配り、彼らに攻撃が及ばぬように注意をし、場合によっては攻撃を代わりに受ける
「心配しなくて良い、お前達は我々が必ず守る」
他の猟兵がいれば積極的に連携を取り、お互いを補助しつつ戦う
榛・琴莉
姿形だけなら、まだ誤解の可能性もありましたが…
持ち物で完全にアウトです。
何故そのような姿に…いえ、人様の好みに口を出すのは野暮ですね。
どんな姿であれ、オブリビオン相手にやることは一つですし。
…にしても、なんか気が抜けますねー。
アサルトライフルで掃射、【範囲攻撃】で牽制してあちらの意識をこちら、猟兵に向けます。
出来る限り距離を取り、相手の射程外で戦っていきたいですね。
接近されたらHaroldに【なぎ払い】で吹っ飛ばしてもらいましょう。
攻撃には【オーラ防御】【激痛耐性】で対抗し、UCで反撃します。
「せめて、その語尾やめません?」
少年たちが巻き込まれそうなら【かばう】。
サンディ・ノックス
ふーん…俺たちはその先に用事があるから倒すよ
通せんぼしているのはそっちだ、文句はないね?
あぁ、なぜ通せんぼするのか教えてくれるなら命だけは助けてあげようかなぁ?
(敵が理由を話すとは思ってないし、そもそも助ける気もない)
攻撃力を重視したユーベルコード、解放・宵で斬っていく
一撃で倒せなくても攻撃後は敵の攻撃に備え一度距離を取る
敵の攻撃を少年たちが受けそうな場合はかばったり
敵を【吹き飛ばし】たり
フック付ワイヤーで絡め取った別の敵を盾に使ったりして守る
※アドリブ、連携歓迎
敵に興味がないので容姿には無反応
●駆け抜けろ
「鍵が指し示す先か…恐らくそこに今回の騒動の大元があるのだろうが……」
鍵の示す方向には怪人が次々に落ちてきて立ち塞がっていく。この怪人達を倒さなければ進むことはできないだろう。
「……まずはこの怪人共を片付けるのが先か」
ボアネルは光の剣コ・イ・ヌールを抜き怪人達へと向けた。その横で琴莉がアサルトライフルを構える。
「しかし、名前も姿も色々とギリギリな怪人だな……」
「姿形だけなら、まだ誤解の可能性もありましたが……」
ウコンソフトクリーム怪人のその手に握られているのはトイレットペーパーと木の枝という、ソフトクリームとは無縁のアイテムだった。完全に持ち物がアウトである。
「何故そのような姿に……」
怪人って確か旧人類がと考えるとどうしてそんな頭部になってしまったのだろうか。突っ込みたい気持ちは山々だったが、人様の好みに口を出すのは野暮ですね。とそれについては考えることをやめた。
「此処は通さないプリー!」
「ふーん、退く気はないって事だね?」
だが鍵が示すのはその先だ。ならば目の前の敵を排除する以外ない。サンディは黒剣を構える。
「……にしても、なんか気が抜けますねー」
「プリプリー!」
「せめて、その語尾やめません?」
琴莉がぽつりと呟いた。その見た目もそうだが、語尾でプリプリ言っているのもなんだか緊張感を失ってしまうし、あれを連想してしまう。とはいえオブリビオン相手にやることは一つだ。
猟兵達が退かないことを感じ取ったのか怪人達は集団を成し、その芳醇な香りを放つ。これウコンの匂いだ。しかしその香りが届くことはなかった。
日の光りを反射した美しい銀髪がふわりと靡き始める。血色の双眸で敵を見据え、爆ぜろ。と静かに呟くと、途端に突風が吹き上がった。
激しい風に怪人の放った香りは吹き飛ばされ、同時に怪人達は猟兵達に近づくことができなくなる。
その風の勢いに乗ってサンディが暗夜の剣を突き刺した。
「通せんぼしているのはそっちだ、文句はないね?」
どうして邪魔をするか答えるなら命だけは助けてあげようかなぁ?怪人に尋ねるが答える様子はない。はじめから問いの回答も期待していなければ本当に助けるつもりはなく答えの変わりに攻撃を放たれるその前に漆黒の剣が突き刺さる。
サンディの攻撃は容赦も躊躇いもない、敵がどんな見た目をしていようが興味もなければいちいち反応するようなことでもない。ただシンプルに邪魔だから倒す。それだけだ。
敵がその攻撃で怯んでいるところにボアネルが光の剣でなぎ払う。僅かに開いた道へと少年達を連れて駆けていく。
背後から追ってくる怪人には琴莉のライフルの弾丸が的確に一人一人の脳天を貫いていった。ライフルならば接近してしまえと怪人の一人が頭部を硬化させドリルのように回転させながら突っ込んでいく。鳥が羽ばたいた。そして怪人へとぶつかりその回転を止める。そうしている間に銃身が氷結していく、それは腕まで及んだが、固定され、強化された重い弾丸がライフルから放たれた。怪人はひとたまりもなく頭部が吹っ飛び、胴体のコーンだけが空しく地面に転がった。
琴莉が怪人を倒している隙に、今だ!といわんばかりに怪人が少年達へとぶんぶんと木の枝を振り回す。絵面は情けないが、オブリビオンの攻撃である。一般人である少年達がその攻撃をまともに食らったなら無事ではすまないだろう。少年達がギュッと目を瞑り攻撃に構えるが、いつまでもその衝撃は襲ってこない。恐る恐る目を開くと目の前にボアネルが滑り込み、枝が腕へと食い込んでいた。見た目とは裏腹に鈍器のような音とダメージだった。
「心配しなくて良い、お前達は我々が必ず守る」
「あ、ありがと……」
でもお兄さんがと心配する声に余裕な笑みを返し、ボアネルは敵へと切り込んでいく。その姿に自分達もがんばらなければと少年達は奮起して猟兵達が開いた道を駆けていく。
再び攻撃が放たれても猟兵達を信じて駆けていく。その攻撃が当たる前に怪人が飛んできて同士討ちすることとなった。サンディがワイヤーで捕らえた怪人をぶつけたのだ。
少年が走ればその一点を切り開く、徐々にだが確実に鍵の示す場所へと近づいていった。
気づけば公園内にあるスポーツ施設へとたどり着く、鍵のナビゲートには『200m先 目的地です』と書かれていた。目的の場所まであともう少し。
その影響もあってか怪人達の数も増えているようだった。あともう一息だ。
ボアネルの剣が広範囲の敵をなぎ払い、サンディが黒剣を突き刺し確実にしとめていく。
背後から追ってくる敵は琴莉の弾丸が貫き、少年達に近づくことを許さない。
目的地までへの距離が1メートル、2メートルと減っていき、目的地であろうテニスコートに転がり込み敵が追えぬようフェンスの扉を閉めると、勢い余った怪人達がビタンビタンとフェンスにぶつかる。
そしてテニスコートに着いた瞬間『目的地に辿り着きました』と切り替わったと思うと、鍵の表示されていた少年が突如光り始めたのだった。
大成功
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第3章 ボス戦
『安西九郎・来伝・ペディア』
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POW : これぞ明代の武将、天仁須(てにす)の爆炎投法よ!
【テニスラケット】から【球状の爆弾】を放ち、【着弾時の爆発】により対象の動きを一時的に封じる。
SPD : これぞ宋の侠客、春空琉(はる・くうる)の斬撃走法
自身に【謎の魔力】をまとい、高速移動と【移動の際の衝撃派】の放射を可能とする。ただし、戦闘終了まで毎秒寿命を削る。
WIZ : あれは○○闘法!知っている(つもりな)のか来伝!
対象のユーベルコードを防御すると、それを【亜行参紗行伍のページに写し】、1度だけ借用できる。戦闘終了後解除される。
イラスト:笹本ユーリ
👑7
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種別『ボス戦』のルール
記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※このボスの宿敵主は
「💠水貝・雁之助」です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
●防衛戦線
猟兵と少年達がテニスコートへと辿り着くと、突如テレビウムの少年が光り始めた。話しかけても返事はなく、動くこともできずその場所に静止している。画面には『ロック解除まで残り15分』と表示されていた。どうやら光りが収まるまで此処で待たなければならないようだ。
しかしそれを怪人が許してくれるはずもない。スパーン!とサーブのような音とともにボールのようなものがコートへと打ち込まれる。地面にぶつかるとそれは大きな音を立てて爆発した。
「あー!はずれちゃった……」
次こそはと再び爆弾を高く飛ばしラケットを構える。
「亜行参紗行伍、武将、天仁須の爆炎投法受けて見なさい!」
そして怪人は振り下ろし爆弾のサーブを放つのであった。
光っているテレビウムの少年はしばらくここを動くことはできない。ならばその間怪人達から少年達を守り時間を稼ぐしかなさそうだ。成り行きまかせで此処まできたが、もしかするとこの光りが収まれば何かわかるかもしれない。ともかく今は目の前の怪人をどうにかしなければならない。息つく暇もなくテレビウム防衛戦線が開始するのであった。
ボアネル・ゼブダイ
「いよいよ大詰めと言うことか…しかしこうまで横槍が入るとはな
この鍵は奴らにとって何か重大なものと見える」
ともあれここまで来たのだ
この少年達には最後まで手出しはさせんさ
【闇夜の眷属】を発動
少年達の周りを守るように蝙蝠達を配置する
「天仁須…なんとなく聞いたことはある…かつて太古の巨大生物達を絶滅させた一因となった禁じられたスポーツだったか…」
ではこちらもアストロ仕込みの技を見せてやろう
燃えるフランマ・スフリスを構え一本足打法で迎え撃ち、爆炎投法で投げた玉を【見切り】【早業】【カウンター】でそのまま相手に打ち返す
命中したら畳みかけるように蝙蝠達を放ち更に追撃を行う
空振りした場合は蝙蝠達で爆弾を受ける
亜儀流野・珠
弱くはないようだが…何か胡散臭い奴だな?
まあ少年達よ安心しろ!俺達が守ってやる!
テニスか!体を動かすのは俺も好きだが爆弾使うのは頂けんな!
木槌「砕」…俺のラケットはこれだ!
球が来たら打ち返す!
もし打って爆発してしまっても直撃食らうよりはいいだろう!
打てずに爆発食らいそうなら砕を前に突き出し壁代わりにして防御だ!
しかし球ばかり打ってても決着はつかんよな!お前自身もこのラケットの威力味わうがいい!
攻撃をかいくぐり接近、砕で殴り掛かるぞ!
相手が素早くて当たらなさそうなら…奥義「大薙ぎ」だ!
【怪力】による巨大ラケット(砕)の【なぎ払い】だ!避けられまい!
●天仁須の極意
「いよいよ大詰めと言うことか……」
ザワっとテニスコートに風が吹く。猟兵達はネットを挟んで怪人と対峙していた。
「しかしこうまで横槍が入るとはな、この鍵は奴らにとって何か重大なものと見える」
怪人を前にボアネルと亜儀流野・珠(狐の恩返し・f01686)が立ちふさがる。
ボアネルは動けない状態の少年達を守るように蝙蝠を配置した。怪人達の目的や鍵が何であれ、善良な一般人を襲っているのは見過ごすことはできない。
「この少年達には最後まで手出しはさせんさ」
「少年達よ安心しろ!俺達が守ってやる!」
最後まで少年達を守り抜くと強く誓う、それはこの場に居る猟兵達も同じだった。
「いいわ!なら見せてあげる!これが亜行参紗行伍に記述されていた明代の武将、天仁須の爆炎投法よ!」
「……何か胡散臭い奴だな?」
あ行三、さ行五……。
「つまりうそってことか?」
気づいてしまった珠がはっきりとその事実を言ってしまう。
「天仁須……なんとなく聞いたことはある……かつて太古の巨大生物達を絶滅させた一因となった禁じられたスポーツだったか……」
「そうなのか?俺の知ってるテニスじゃないな!」
真面目な顔をしたボアネルがそれらしいことを本気なのか冗談なのかわからないことを言い始め、珠は少なくても自分の知っているものと違うと首をかしげるがすぐにどっちでもいいかと納得する。
そうこうしている内に高く投げられた爆弾、ラケットを勢い良く振る怪人。スパーン!という小気味いい音と共に放たれるサーブ。
「テニスだか天仁須だか知らないが爆弾使うのは頂けんな!」
銀色の髪と共に朱色のリボンがひらりと揺れる。巨大な木槌を振り上げその爆弾を打ち返す。砕という名の通りに爆弾すらも砕いてしまう懸念もあったが、それは綺麗な直線を描いて怪人へと飛んでいった。
打ち返すとは思っていなかった怪人が慌てて横に飛び爆弾を打ち返す。
「こちらもアストロ仕込みの技を見せてやろう」
しかしそれもフランマ・スフリスによって打ち返される。ボアネルによって調整されたそれは燃え上がることもなく権杖の姿で、今回ばかりはラケットの代用品として使用したようだ。
敵が爆弾を返すことを完全に見切ると、一本足打法で迎え撃つ。あくまで怪人が狙っているのはテレビウムの少年であり、無意識に爆弾の軌道もそのような意識が乗っているようだった。だからこそ、余計に打たれた後飛んでいく先を予測しやすいというのもあった。さらには怪人が一人に対してこちらは二人で打ち返しているわけだ。どんなに天仁須慣れしている怪人であっても、例え怪人を狙い打ち返していたとしても、手が回らなくなるのも時間の問題だった。
「しまった……っ!」
激しいラリーが続いた末に木槌の激しいスマッシュが決まる。怪人のラケットが虚空を叩き、そして爆弾はそれをすり抜け、緑色の地面へと叩きつけられた。
「きゃあッ!」
瞬間、鳴り響く轟音と吹き上がる爆風。怪人は吹き飛ばされ転倒しかけた足が一歩二歩と後退しよろめく。
風向きが変わった。できた隙を見逃してやるほど猟兵達も甘くは無い。怪人が次の攻撃へと移るよりも早く黒い蝙蝠の群れが怪人を襲う。ボアネルの召還した闇夜の眷属達が群れを成して牙を剥いた。
攻撃の直撃を免れ、ぱらぱらと手に持った本を捲る。これは!とページを開くと怪人は同じ様に蝙蝠を召還する。ボアネルの眷属に同じような蝙蝠を差し向け、打ち消そうという動きへと変わる。怪人もどうにかして形勢逆転したいという意図があったのだろう。しかしボアネルはそれに動揺する様子もない。視界の隅で動く仲間の気配を感じていたからだ。
ふわり、朱色のリボンが揺れる。手に持つ木槌はぐんぐんと一回り二回りとその大きさを増していく。小柄の珠よりも巨大になったその木槌を軽々しく振るう。今度はボールではなく怪人に容赦のないスマッシュが放たれた。
「吹き飛べ!」
蝙蝠に気を取られていた怪人は突如飛び出してきた相手に対応する事ができない。避けることも叶わぬまま砕の直撃を食らい、フェンスへと叩きつけられる。
よろりと立ち上がろうとする怪人に追い討ちのように蝙蝠が牙を剥く。黒い大群が止むと、その中からよろよろと立ち上がろうとする怪人の姿があった。
かなりのダメージを与えたが、今まで追いかけてきた怪人よりもタフなようだ。多少よろめきながらもラケットを杖代わりに立ち上がる。
「少しはやるようね……!」
口の端からこぼれた血を拭いながら怪人が呟く。その瞳にはまだ戦う意思は消えていなかった。怪人はぱらぱらと本のページを捲り始めた。まだまだ防衛戦は続いていく。怪人を倒すかその時間が来るまでは。
――テレビウム・ロック解除まで残り7分。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
榛・琴莉
ロック解除と言うのは、少年に表示された鍵でということでしょうか?
「15分…結構かかりますね」
見た感じ、デジタルのようですが…
Ernestにざっと確認してもらって、可能であれば【ハッキング】【鍵開け】で解除の手伝いを。
下手に手を出さないようが良さそうなら防衛に。
ただのボールならまだしも、爆弾とは…彼らも巻き込みかねませんね。
飛んで来るボールは【スナイパー】で撃ち落とします。
落とせないなら【武器受け】しつつ【かばう】まで。爆発には【オーラ防御】【激痛耐性】で対抗。
「すみませんHarold、耐えて下さい」
大丈夫ですって弾けても戻るでしょう、貴方。
防御最優先ですが、隙があればUCを撃ち込んでやります。
サンディ・ノックス
受けてみなさいって言われて受けるほど俺は優しくないよ?
その服装見てるとなぜかイラッとするから覚悟してね
苛立つのは昔の知人を思い出すからという勝手な理由
覚悟しろと言うものの殺意をむき出しにするわけではなく
暗夜の剣を短剣から長剣サイズに変形させて爆弾を打ち返すだけ
「これ、いらないから返すね」
「それっぽい言葉を使って格好つけるのが好きなの?中身がないって自己紹介してるみたい」
くすくす笑いながら言って挑発に乗るタイプか判断
乗るならバカにしながら保護対象から離れる
乗らないならいつでも保護対象を庇える立ち位置で戦う
その本は技を借用する媒体なの?手放してもらおうかな
解放・宵は攻撃回数を重視
本を狙い畳み掛ける
●システム・フラワーズ
「残り7分、……結構かかりますね」
琴莉はErnestと声をかける。解除の手伝いが可能であればと考えたが、指示をして間もなくバツマークが表示される。時間がかかるという意味なのか、下手に手を加えないほうがいいという意味なのか。どちらにせよ解除の補助を試みるよりも残りの時間は防衛に割いたほうが効率的という演算結果が出たのだろう。
ならば防衛に集中しようとErnestを戦闘の演算へと回す。その直後怪人も動き出した。
「だったらこれならどう?」
爆弾を複数連続でラケットで打ちつける。それに対して琴莉が即座に軌道を計算し正確にライフルの引き金を引いていく。弾丸の当たった爆弾は空中で爆発し、大きな音と爆風とともに破片が飛び散る。まっすぐに飛んでいく破片に鳥が羽ばたいてぶつかって行く、ざっくりと深く突き刺さるそれに思わず鳥の形が崩れた。
「すみませんHarold、耐えて下さい」
大丈夫ですって弾けても戻るでしょう、貴方。琴莉はそちらのことはHaroldに任せて爆弾を打ち落とすことに集中する。しかし爆弾の猛撃は減るどころか増えていった。さすがに全てを打ち落としきれない。
「ふふ!これならどう!?受けてみなさい!これぞ連続爆炎法!」
「そう言われて受けてやるほど俺は優しくないよ?」
前に躍り出たサンディが短剣を抜いたと思うと、間合いの足りないそれを振るった。それは爆弾に当たる頃には刀身を伸ばし、打ち落としきれなかった爆弾を怪人へと打ち返していた。
「これいらないから返すね」
素早く剣の向きを切り返し、さらにまたひとつ打ち返す。うっすらとした笑みを浮かべているサンディだったが、記憶の中でちらつく影と似た服装をした敵に内心苛立ちを感じていた。だからと言ってその感情に囚われるわけでもなく、至って冷静に現状を把握し大局を見極めていた。表示されている時間は残り3分。短いようで長い時間だ。
「それっぽい言葉を使って格好つけるのが好きなの?」
鼻で笑い、嘲笑を浮かべ、馬鹿にしたような声で怪人に言い放つ。
「なんですって!?」
流石に怪人も聞き捨てならなかったのかムッとした様子で言い返す。
「いい?亜行参紗行伍はすごいのよ!格好つけてるんじゃなくて実際にかっこいいの!」
ムキになって言い返す怪人をくすくすと笑うのは挑発するための演技なのか、簡単につれた馬鹿な怪人の単純さに笑いがこぼれたのか。
「中身がないって自己紹介してるみたい」
「黙って聞いてれば!」
かかった。サンディは少年達から距離をとるように走り出す。怒りに任せて放たれる怪人の爆弾。標的は気づけばサンディへと移っていた。
「怒るってことは自覚あるんだよね?」
「うるさい!」
スパーンと爆弾を放つ。何度も、何度も、数を打てば一発ぐらい当たるだろうと怒りに任せた実に単調な攻撃を。単調すぎてあくびが出そうだよ。小さく声に出した後、暗夜の剣を握り直す。
高速で振るわれた剣は同時にいくつもの軌道を残し、的確に全ての爆弾を打ち返しながらサンディは怪人との距離を詰める。
爆弾の回避に気を取られていた怪人の背後で不意に銃声が2回鳴り響く。怪人がそれが何事なのか理解するよりも先に、その肩口には氷の槍が突き刺さっていた。
琴莉のErnestによって回避するポイントを予測されていたのだ。少年達の防衛に徹していたが現状を演算したところ、今なら倒すことも可能だと判断したのだ。ならば倒してしまってもいいでしょうと。
突き刺さった槍に驚いた怪人の動きが一瞬止まる。
「こうなったら春空琉の斬撃走法……っ」
「その本は技を借用する媒体なの?手放してもらおうかな」
怪人は慌てて本のページを捲り始めたが、すでにサンディが目の前に迫ってきていた。
剣を振り上げ、手から離れた宙に浮いた瞬間に、軌道を切り返し切り刻む。
それは怪人からしてみればサンディが目前に迫ったと思ったら空中で本が破壊されたかの様に見えただろう。それほどまでに一瞬の出来事であった。
「しまっ……」
「さて、仕上げといきましょうか」
そして響く銃声、無防備になり逃げることも出来なくなった怪人を鋭い氷が貫いた。そして胴体の中心を貫かれた怪人はもう動くことは出来ないようだった。
怪人の姿は徐々に透けていき、空へと還っていく。偶然にも怪人が消えた直後にテレビウムの少年の光も収まっていた。
―――戦いは終わったのだろうか?
猟兵達が警戒を緩めず周囲の様子を伺っていると、突如、放送のような声が鳴り響いた。
「システム・フラワーズより緊急救援要請」
それはまるで周囲の木々や建物が語りかけているかのように。
「全自動物資供給機構『システム・フラワーズ』に、侵入者あり」
どこかからの救援要請のような内容だ。だが聞きなれない言葉が耳に入る。『システム・フラワーズ』何が起きているかは不明だが、侵入者というからには穏やかな話ではない。
「テレビウム・ロックの解除数が多ければ多いほど、開放されるメンテナンスルートは増加する。至急の救援を請う」
全てが終わり詳しいことはわからないままだが、様子を見るに此処にあるひとつは解除できたのだろう。少なくても一度戻り状況を整理する必要がありそうだ。少年達に挨拶を交わし猟兵達は帰還していくのだった。
大成功
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