テレビウム・ロック!~あれ、玄関のカギ閉めたっけ?
●……あれ?
玄関のカギ閉めたっけ?
もしかして窓も開けっぱなしじゃない?
コンコンして出した本も、ちゃんと仕舞ってないような気がする。
――そんなことを気にしていたからではないと思うけれど、ふと鏡を見たら、顔が鍵になっていた。
「えっ……ええっ!?」
ぺた、と手で顔……というか、画面を撫でてみるが、表示に全く変化はないようで。
「これは、やっぱり……カギ閉め忘れたってことかなぁ……!」
今日のお出かけの予定は延期に決めて、踵を返し、走り出した。
でもこんな時に限って、何か黄色と黒のしましま怪人が行く手を塞ぐように向かってきて――。
「やめてください! うちに! うちに帰らなきゃいけないんです!!!」
●テレビウム救助作戦
「何かおかしなことになったねぇ」
ここ最近で見た予知の様子を説明し、オブシダン・ソード(黒耀石の剣・f00250)はそう溜息を吐いた。
対象となる世界はキマイラフューチャー。そこに住まうテレビウム達の顔に、『鍵のような映像』が浮かび上がる者が出てきている。
原因は不明、本人の体調等に問題はないようだが、何故かその個体は怪人に狙われてしまう傾向にあるようだ。
「そういうわけで、君達にはこのテレビウムのログナ君を助けてもらいたいんだ」
ぺら、とオブシダンが写真を差し出す。そこには黄色いボディの、まだ若い……と思われるテレビウムが映っていた。
彼は現在蜂型の怪人に追われているようで、捕まってしまうのも時間の問題と言う危機的状況にあるという。
「君達を彼の近くに転移させるから、とにかくまずは安全を確保してくれるかな。鍵の謎についても調査を進めたいところだけど、このままじゃ落ち着けないからね」
彼なりに急いではいるのだろう、グリモアを顕現した彼は、すぐに転移の準備に入る。
「ちょっと不明な事が多いのは申し訳ないんだけどね、君達ならきっと大丈夫さ」
任せたよ。そう言って、オブシダンは一同を送り出した。
つじ
キマイラフューチャーにて、テレビウムの顔に浮かんだ鍵の謎を追え! という感じのシナリオになります。三章とも戦闘の構成になりますのでご準備ください。
第一章は一般テレビウムのログナ君の傍に転移したところからスタートです。絶賛追い詰められているので速やかに助けてあげてください。
二章以降、順に状況は動きますが、全部戦闘はあります。イカとロボが出てきます。
また、今回は早期決着を目指しますので、成功数が基準値を超えたらなるべく早く次の章に移る形にしていきます。ご了承ください。
それでは、よろしくお願いいたします。
第1章 集団戦
『働き蜂戦闘員』
|
POW : 御槍奉公
【槍】で対象を攻撃する。攻撃力、命中率、攻撃回数のどれを重視するか選べる。
SPD : 飛行モード
空中をレベル回まで蹴ってジャンプできる。
WIZ : 数で圧す
自身が戦闘で瀕死になると【さらなる増援】が召喚される。それは高い戦闘力を持ち、自身と同じ攻撃手段で戦う。
イラスト:森乃ゴリラ
|
種別『集団戦』のルール
記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
フィン・スターニス
いったい何が起きているのでしょうか?
原因は気になりますが、まずは襲われている方を守らないとですね。
ログナさんと合流できたら、
避難を優先させたいですが、
彼を狙う数も多いです。
一旦落ち着くまで、影の庭園を発動させ、
そこに隠れていて貰えないか提案してみましょう。
戦闘は、薙刀でのなぎ払いでの範囲攻撃と、
急所を狙ってのマヒ攻撃を中心にします。
敵からの攻撃は、第六感と見切りを駆使して回避重視で、
タイミング次第でカウンターで迎撃を行います。
六道・紫音
状況は理解した、ならば迅速に事を成すとしよう。
我が剣の速さ、見るがいい!
・行動
「下がれログナ!ここは引き受ける!」
【抜刀覚醒】を発動して敵中へ飛翔し『残像』を伴い翻弄しながら『怪力』のままに剛剣を神速の『早業』で振るう、その太刀筋は『鎧無視攻撃』となり全ての斬撃を『二回攻撃』を繰り出す。
「空を駆けられるのはお前達の特権ではない」
敵の攻撃は『第六感』と『見切り』で見極め『武器受け』で切り払い回避し、残心のまま即座に『カウンター』で攻勢に転じる。
「そんな動きで俺を捉えられるものか!」
派手に立ち回ればログナが狙われる事もないだろう、必ず守りきらねばな。
※アドリブ歓迎
浮世・綾華
あら、ホントに鍵だ
そんなに急いでどうしたんだ?
家の鍵?なるほどおっちょこちょい
いいか?鍵の確認はちゃんとしなきゃだぞ
鍵は大事にしなさい
まあいい、大丈夫だ
俺たちが守ってやる
鍵はあとだあと
命にはかえらんねえだろ?
咎力封じで捕縛を狙い
攻撃は絡繰ル指で複製した黒鍵刀を操って
フェイントやカウンターを駆使
敵を盾にしたりもしつつ
仲間がいれば相手の動きをよく観察して
此方から合わせるように動いてやる
一応見失わないように黒猫のヒカゲをログナにくっつけとくか
目は多い方がいいだろ
万が一攻撃が向かうようなら対処もできるように留意
ケドほんとあの鍵の映像ってなんなんだろ
こいつら追い払えばわかんのかネ
●救助隊
「や、やめて! 通してください! 僕はどうしても帰らないと……!」
抵抗する動きを見せながらも、テレビウムのログナはぶんぶんと飛び回る怪人に気圧されて、どんどん細い路地へと追い詰められていってしまう。
「だ、誰か助けてー!」
働き蜂戦闘員達の槍が周囲に突き立てられ、ついに逃げ場がなくなった、その時。
「下がれログナ! ここは引き受ける!」
剣閃が走り、ログナの周りの槍だけを撫で斬りにした。
「あ、ありがとうございます……!」
礼を言うログナに頷いて返し、刀を振るった六道・紫音(剣聖・f01807)が進み出る。ただものでは無い気配に、働き蜂戦闘員達は一斉に飛び上がって距離を取った。
しかし彼等が様子を窺う暇はない。剣を抜いた紫音から距離を取りたいのなら、その程度では全く足りないだろう。
「空を駆けられるのはお前達の特権ではない。剣を極めた者の強さ……見せてやろう」
抜刀覚醒。吹き出すような剣気を伴い、剣聖が飛翔する。
走る斬撃と共に蜂がばらばらと落ちてくる。呆気に取られるようにそれを見送っていたログナだったが、やがて我に返って逃げ道を探し始めた。
「あら、ホントに鍵になってんだな」
「いったい何が起きているのでしょうか?」
そこに、浮世・綾華(❂美しき晴天❂・f01194)とフィン・スターニス(七彩龍の巫女・f00208)も合流する。
「わっ、ど、どうも」
「ああ、そんなに急いでどうしたんだ?」
テレビウムの身長は綾華の膝程度しかない。目線を合わせる、というより画面を覗くようにした彼に、ログナは困ったような様子で訴える。
「う、うちの鍵を閉め忘れたまま出てきちゃって」
「なるほど、おっちょこちょいだな」
ふむ、と綾華が頷く。別にその辺りに口を挟むタイプではないが、鍵のヤドリガミとしては言っておかねばならない事もある。
「いいか?鍵の確認はちゃんとしなきゃだぞ。鍵は大事にしなさい」
「は、はい」
「よし。とはいえそれは後回しだ。命にはかえらんねえだろ?」
そう言い含めて、綾華は立ち上がって黒鍵刀を構えた。……念のため、ログナには視界を共有した黒猫を伴わせようかと一度振り向いたが。
「どうでしょう、一旦落ち着くまで、こちらに隠れていてはもらえませんか?」
フィンが小さな光を灯すと、生じた彼女の影に、扉が現れる。
「え、こちらってどこです? お? おおお~」
不思議体験に対する全く緊張感のない歓声と共に、ログナはその中へと吸い込まれていった。中は緑豊かな庭園になっている、不自由は感じないだろう。
「コレをこうして――さて、それじゃ行くか」
綾華の手で複製された黒鍵刀が、列を成して宙に浮かぶ。前線では紫音が八面六臂の戦いぶりを見せているが、敵の数も多い。剣聖を迂回してこちらに向かってきた戦闘員達を迎え撃つように、綾華とフィンは前に出た。
突き込まれる槍の合間を見切り、何でもないように進んでフィンが薙刀を振るう。腕を伸ばした数体をまとめてなぎ払い、一歩離れた相手にはマヒ効果を込めた突きで急所を狙う。
こうして回避重視で戦うのは彼女だけではない。フェイントどころか掴み取った別の敵を盾にして凌ぎ、綾華もまたまとめて敵を落としていく。
この戦闘員は槍で戦うのみではなく、瀕死になると仲間を呼ぶという特徴もあるのだが。
「させねえけどな」
手枷に猿轡に拘束ロープ。咎力封じでそれを無効化して、綾華が動けなくなった敵を蹴り転がす。個体数は、確実に減ってきていた。
空中を刃が二度走り、羽を失った戦闘員が墜落していく。残心姿勢の紫音へ、別の戦闘員達が殺到するが――槍は見切られ、切り払われ、一つも彼に届かぬまま。
「そんな動きで俺を捉えられるものか!」
「やるもんだな、あんた」
念動力で操った黒鍵刀で、彼を援護し、綾華が労うように言う。空を飛びまわり派手に戦うのは、敵の狙いを集めて他に行かぬようにする意味合いもあるはずだ。
「さ、もう一息だ」
「ああ、すぐに終わらせる」
刃が閃き、もはや残り少なくなった戦闘員を、逃すことなく切り裂いていった。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
第2章 集団戦
『ゲソフレイム』
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POW : 汚物は消毒でゲソーッ!
【松明に油を吹き付け発射した火炎放射】が命中した対象を燃やす。放たれた【油の】炎は、延焼分も含め自身が任意に消去可能。
SPD : 俺色に染めてやるでゲソーッ!
レベル分の1秒で【ベタベタするイカスミ】を発射できる。
WIZ : 見るがいい、これが俺の変身ゲソーッ!
対象の攻撃を軽減する【激情体】に変身しつつ、【右腕に装備された火炎放射器】で攻撃する。ただし、解除するまで毎秒寿命を削る。
イラスト:ケーダ
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種別『集団戦』のルール
記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
●殲滅成功
ほどなく働き蜂戦闘員は全滅し、猟兵達はひとところに集まった。フィンの展開した影の庭園から出てきたログナの様子を窺うためだ。
「助けてくれて、本当にありがとうございました」
「ああ、無事で何よりだ」
紫音が頷き返して、そのテレビウムの画面を注視する。相変わらず映っているのは鍵らしき映像……なのだが。
「すいません、先程言った通り、僕はうちに帰らなくてはいけないので……」
「あ、ああ」
玄関の鍵が気になる、と述べるログナの顔を見ながら、心ここにあらずという顔で綾華が頷いた。
……画面に映った鍵の向きが、先程と変わっている。
「ちなみに、ログナさんの家はどちらに?」
「ええと、丁度あっちの方です」
フィンの問いに対して、そう言って指差された方角は、映像の鍵で先端が向けられている方向とほぼ一致している。
「……送っていった方が良さそうだな」
「ああ、また怪人が出るかもしれないし、な」
紫音と綾華が調子を合わせる。何だこれ。どういうことだ? 考えたところで今は答えは出ないだろう。とりあえずは、この『道案内』に従ってみるより他にないのかも知れない。
「そんな、大丈夫ですよ。そんな日に何度も怪人に狙われるなんて――」
「見ぃぃぃつけたゲソーッ!!!」
「うわっ」
ほんとに出てきた。
●鍵の示す方へ
現れたのは怪人ゲソフレイムの群れ。足の先から火炎を吹き出すイカ型怪人である。そして、鋭いその眼がログナを狙っているのは明らかだ。
「そんな、僕はうちに帰りたいだけなのにー!?」
鍵の謎を解くためにも、迫り来る怪人を退けつつ、このテレビウムを鍵の指す場所まで連れて行く必要がある。
戦い、そして護衛はもとより……『ログナの家』と『鍵の示す場所』が一致しているとかいう奇跡は多分起きない。分かれ道まで来たとき、このとにかく家に帰りたがっているテレビウムをうまく誘導できれば、よりスムーズに事を運べるだろうか。
「待つでゲソーッ!」
「逃がさないでゲソーッ!」
「邪魔する奴は火だるまにしてやるゲソーッ!」
うるさいなこの怪人。
フィン・スターニス
蜂の次は烏賊ですか。
ログナさんを、早く家に帰してあげたいのですが、
数が多いのが厄介ですね。
災い蝕む黒の闇を使い、能力と行動を封じましょう。
効果時間は僅かの間ですが、
その間に他の方と協力し、
数を減らせるだけ減らしましょう。
薙刀でのなぎ払いによる範囲攻撃を中心に、
可能な限り複数体を同時に攻撃。
2回攻撃で、手数も増やしましょう。
これだけのオブリビオンが狙ってくるだなんて、
あの鍵のマークは、何なのでしょうか?
無理だとは思いますが、
この烏賊達に聞いたら答えてくれますかね?
六道・紫音
次から次へと、我らの道を阻むか…ならば容赦はしない。
・行動
「俺が道を斬り拓く、奴らに邪魔させん」
『残像』を伴いながら『ダッシュ』で一足飛びに駆ける《縮地》にて、炎を避けながら刀の間合いまで素早く距離を詰める。
「炎ごと斬り裂く!」
『鎧無視効果』で弱点を狙い『怪力』を発揮して膂力を高め『捨て身の一撃』により全神経を攻撃に集中し『早業』で極限まで剣速を早めた【陸之太刀《絶佳》】を『二回攻撃』で連続発動し剣風で炎を吹き飛ばしつつ『第六感』で正確に位置を『見切り』捕捉したイカモドキを同時に斬り捨てる。
「鍵の示す先に何があるのか…必ず辿り着かねば!」
※アドリブ歓迎
浮世・綾華
うわ、ゲソゲソ喋るイカだ
うっさ。黙んねーとイカ焼きにして食っちまうぞ
酒の肴な?
火に火は効かないってことある?
…イカ焼き、試してもいっかな?
食うつもりはないが冗談めかして口にしつつ
一回鬼火を向かわせてみる
うん、良い香り
でも見た目が旨くなさそーだわ
ダメでもダメじゃなくてもお次は花びら
範囲攻撃で広域に展開すりゃ
こっちの動きの目眩ましになんだろ
攻撃はフェイントでかわす
イカ焼きを盾にしたら焦げる?
それともイカ墨料理?
ログナは黒猫で追跡
分かれ道に来たら
次はそっちから怪人が来るって別の仲間から情報が入った
遠回りになるかもだケドこっちから行った方がいい
急いてはことを仕損じる…わかんねーか
急がば回れっつーだろ?
●くコ:彡
「蜂の次は烏賊ですかログナさんを、早く家に帰してあげたいのですが……」
「次から次へと、我らの道を阻むか……ならば容赦はしない」
迫る敵の数を把握し、思わずつぶやいたフィンの横で、紫音の刀の鯉口が切られる。踏み込む一歩は強く、速く。残像すら生じさせながら接敵し、居合の要領で刃を閃かせる。足の一つと、その向こうの胴体。まとめて両断されたその個体はあえなくその場に崩れ落ちた。
「俺が道を斬り拓く、奴らに邪魔はさせん」
「な、なにするんゲソッ!」
「ええいこっち来るなゲソーッ!」
掲げられた無数の松明がキマイラフューチャーの街を照らす。続けて放たれた炎を見切って、紫音はその群れへと飛び込んでいった。
「あー、うっさ。黙んねーとイカ焼きにして食っちまうぞ」
酒の肴な? と綾華は襲い来る集団に脅しをかける。
「はーッ、炎を操る我々を焼くなんて、無理な話ゲソーッ!」
「そんな理屈あるか?」
試してやろう、と綾華は手の内の刃を無数の鬼火に変えて、放った。
「ゲ、ゲソーッ!?」
「うん、良い香り。でも見た目が旨くなさそーだわ」
ものの見事に焼け焦げた怪人達を見下ろした綾華に、復讐を誓った別のゲソフレイム達が襲い掛かる。そちらを迎え撃ったのは薙刀の一閃、フィンの範囲攻撃により先頭の何体かが脱落するが、それでも彼等は止まらない。
「汚物は消毒でゲソーッ!」
「俺色に染めてやるでゲソーッ!」
彼等の攻撃の起点は足の間にある、口。この怪人は含んだ油やイカスミを吹き出し、動けぬ相手を火だるまにする戦い方を得意とするのだ。
「第一から第七まで、全封印解除。黒の魔力は、災いが放つ昏き光を蝕む闇となる――」
災い蝕む黒の闇。なんかフィンの手から闇が吹き出し、生じた結界の影響でオブリビオン達が揃って機能不全を起こす。
「げほっ、げほっ、あっ……飲み込んじゃったでゲソ……」
「墨の出が悪い……もう年でゲソかねぇ……」
「さ、今の内に数を減らせるだけ減らしましょう」
「お、おう」
怪人に与える慈悲などない。
薙刀に続き、綾華の放つ花びらの嵐。猟兵達の振るう範囲攻撃は、果実を収穫するように、雑草を刈り取るように、オブリビオンを薙ぎ払っていく。
戦いながらも、彼等は目的地に向かって移動していく。一点問題があるとするなら、先頭を走るテレビウム、ログナの目的地が猟兵達のそれと若干食い違っていることだろうか。
彼の(自分では確認できない)鍵の示す方向と、彼の家の方角が決定的に食い違ったそこで、戦闘をフィンたちに任せた綾華が声をかけた。
「待てログナ、次はそっちから怪人が来るって別の仲間から情報が入った。遠回りになるかもだケドこっちから行った方がいい」
「は、はい、でも窓も開けっぱなしだったような気がして……もしも雨が降ってきたら……」
「気持ちは分からんでもないが、急いてはことを仕損じる……あー、急がば回れっつーだろ?」
「回る……?」
「違う、その場で回るわけじゃなくてだな」
思ったよりも混乱しているな、と綾華は次の手を考える。突然連続で怪人に追われて、このテレビウムも混乱の極みにあるのだろう。
「そうだ、もしかしたら電源を切り忘れた自動コンコンツールでお菓子の洪水ができてるかも――!」
こいつ、おっちょこちょいだと思っていたが、もしやただの心配性か?
「そうは言ってもな、ああいう怪人に家の前で遭遇してみろ、どうなるか――」
「か。火事に!!!?」
よし、食いついた。何にせよそろそろ先導が必要だろうか。回り込もうとする怪人を牽制しつつ、綾華は画面の表示に従ってテレビウムを目的の方向へと連れて行った。
一方、フィンによる拘束効果が切れたところで、ゲソフレイム達はこれまでの鬱憤を晴らすようにいきり立った。
「うおおおおよくもやってくれたでゲソね!」
「見るがいい、これが俺の変身ゲソーッ!!」
最初から赤みがかっていたボディが深紅に染まる。もはや松明とかで取り繕うのをやめたらしく、その手には火炎放射器が握られていた。
「危ないですね……!」
四方から浴びせかけられる炎を第六感で見切り、フィンが後退。それでも決め手を欠く、ように見えたが。
「その程度でどうにかなると思ったか? ……陸之太刀《絶佳》!」
極限まで登り詰めた剣閃はその刃を飛ばす。紫音の一太刀が風を、衝撃波を巻き起こし、炎ごと赤いゲソフレイム達を一文字に切り裂いた。
「げ、げそ……ッ」
大した抵抗もできぬまま、彼等はまとめて力尽きた。
「……ひとまずは、これで全てか」
合流しよう、と言う紫音にフィンが頷いて返す。消えていく怪人の姿を眺めて、彼女は一つ呟いた。
「これだけのオブリビオンが狙ってくるだなんて、あの鍵のマークは、何なのでしょうか?」
怪人達ならば答えを知っていただろうか。――いや、仮に知っていたとしても正直に話すかと言うと怪しい上に、持っている答えが本当に正しいかも分からない。詮無い話だ。
やはり一番確実なのは、自らの目で確かめることだろう。
「鍵の示す先に何があるのか……必ず辿り着かねば!」
そう言って、紫音は足を急がせた。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
第3章 ボス戦
『マルチプル・アースムーバー』
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POW : タイヘン キケンデスノデ チカヅカナイデクダサイ
【放り投げた瓦礫や、ドリルの一撃など】が命中した対象にダメージを与えるが、外れても地形【を瓦礫の山に変え】、その上に立つ自身の戦闘力を高める。
SPD : シャリョウガ トオリマス ゴチュウイクダサイ
【ブルドーザー形態による猛烈突進攻撃】を発動する。超高速連続攻撃が可能だが、回避されても中止できない。
WIZ : ゴメイワクヲ オカケシテオリマス
【排気マフラー】から【環境に厳しい有害物質たっぷりの黒煙】を放ち、【強烈な粘膜刺激と視界の悪化】により対象の動きを一時的に封じる。
イラスト:おおゆき
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種別『ボス戦』のルール
記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※このボスの宿敵主は
「💠グァンデ・アォ」です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
●光の生まれる場所
回り道と称してテレビウムを誘導し、猟兵達はついにその場所、住宅街の小さな公園に至る。
「あれ、どうしたんですか皆さん、僕は泥棒に入られる前にうちのカギを――」
ログナの画面に映った鍵がついに真下を向き、その先端が消える。
「え、なに? わわっ――」
途端、テレビウムの身体が眩い光を放ち始めた。
「あ、画面が切り替わりましたね」
フィンがその顔を覗き込むと、先程まで表示されていた鍵の上に、実行状態を示すようなプロセスバーが表示されていた。同様に、綾華もそれを見て頷く。
「ここで立ち止まってれば良さそうだな」
「あ、あのう――」
おずおずと声を上げるテレビウムに、できるだけ視線を合わせるようにして、紫音が口を開いた。
「黙っていてすまなかったな、だが、恐らくはこれを終えればその『鍵』の役目は終わるはずだ」
そうすれば、きっと顔も元に戻る。
今の様に怪人に狙われ続ける状態では家には帰りづらいだろう、と言葉を続けた、そこで。
「タイヘン キケンデスノデ チカヅカナイデクダサイ」
ずどん、と。機械的なアナウンスと共にそれ――重機から変形したような黄色い巨体、『マルチプル・アースムーバー』が立ち上がった。
「ついに大物のお出まし――」
「うわぁぁー、僕の家がーーーーーー!?」
吹き飛んでいく屋根の形を見て、テレビウムが悲鳴を上げる。今の登場シーンで粉砕されたやつがそうらしい。
「……」
綾華がそっと様子を窺うと、現実を受け止めきれないのか、ログナはその場でがっくりとくず折れていた。
……彼には悪いが、とりあえずはこれで、ログナが勝手に動き回る事はないだろう。
テレビウムの画面の鍵に表示されたプロセスバーが、ゆっくりと伸びていく。これが終わるまではざっと15分程かかるだろう。待つ必要がある以上、邪魔なあの巨大オブリビオンは、ここで倒してしまうべきか。
地響きと共に近づいてくる相手に、猟兵達は各々に武器を構え直した。
浮世・綾華
この鍵が何をさしてんのか――
気になるが今はこいつからどうにかしねーとな
…それにしてもでけえ
こいつを倒しちまわないと他もログナの家みたいになっちまう
今は何を言って慰めても無駄かもしれんが
ログナの頭をぽんぽん
じっとしてろよ?
お前のことだけはちゃんと守るから
生きてりゃどうにでもなるよ
怪人が暴れる世界だ
それなりの救済処置とか仕組みだってあんだろきっと
(後で送り届けてやるか)
巫覡載霊の舞でいく
攻撃をフェイントでかわしつつ
多少はかすっても軽減されっから気にせずに攻撃チャンスを狙う
近づいたところで見切ってカウンター
ごちゅうい?――注意すんのはお前の方だろ
仲間の支援には咎力封じを
捕縛してる間によろしく
フィン・スターニス
プロセスバーが何を示すか不明ではありますが、
完了までに、このオブリビオンを倒しておきたいですね。
何が起こるかわかりませんし。
迷惑な方は、早急に骸の海へ帰って貰いましょう。
七災魔装を発動した後、
オーラ防御で四肢を重視して守り、
空中戦とグラップルによる近接格闘攻撃を行います。
動きを見切り、装甲の隙間等の脆そうな場所を優先して狙いましょう。
敵の攻撃は、回避を重視。
タイミングが合えば積極的にカウンターで迎撃します。
もし、敵がログナさんを狙う様であれば、かばいます。
ところで、壊れた家、どうしましょうか?
直せる所があれば、私もお手伝いしますね。
六道・紫音
大変危険?何を言っているかは知らんが、貴様がオブリビオンで我らの邪魔をするならば…斬るだけだ。
・行動
「巨体、力は強い、しかし精度には欠ける…ならば!」
刀で相手の遠距離攻撃を斬り払い『武器受け』しながら『ダッシュ』で一足飛びに刀の間合いまで素早く距離を詰め、隙の大きい攻撃を誘発し『第六感』と『見切り』で見極めて『残像』で躱し、即座に『カウンター』で攻勢に転じる。
「この一刀で終わらせる、受けよ!我が剣!」
『鎧無視効果』で弱点を狙い『怪力』を発揮して膂力を高め『捨て身の一撃』により全神経を攻撃に集中し『早業』で極限まで剣速を早めた【壱之太刀《斬鋼》】を『二回攻撃』で連続発動して斬る。
※アドリブ歓迎
●解体
「……それにしてもでけえ。こいつを倒しちまわないと他もログナの家みたいになっちまうな」
地響き上げて迫り来る巨体を見ながらの綾華の言葉に、フィンは何でもない事の様に頷く。
「何が起こるかわかりませんし、完了までに、このオブリビオンを倒しておきたいですね」
憂いを残しておく意味は無い、状況を可能な限り安全に。そうすると、耐え忍ぶよりは仕留めてしまうのが最良だ。
「タイヘン キケンデスノデ――」
「大変危険? 何を言っているかは知らんが……」
壊れたように繰り返されるアナウンスに、紫音もまた抜刀しながら、応える。
「貴様がオブリビオンで我らの邪魔をするならば……斬るだけだ」
「ええ、迷惑な方は、早急に骸の海へ帰って貰いましょう」
第一から第七まで、全ての封印を解除。光がフィンの身体を包み込む。七災魔装を身に付けたフィンはオーラで各所を固めながらすさまじい速度で飛翔した。
他の猟兵達の後を追おうとしたところで、綾華が一度思いとどまる。振り向けば、がっくりと地面に両手を突いたログナの姿が。
「あー……」
失意のどん底に居るであろう彼に、この言葉が届くかは定かでないが。
「ここでじっとしてろよ? お前のことだけはちゃんと守るから」
「ぼ、僕の……うちは……」
「それはまぁ……守れなかったけどな」
苦笑しながら屈みこんで、小さなその頭をぽんぽんと叩いてやる。
「なに、生きてりゃどうにでもなるよ。対怪人保障とかあんだろ、きっと」
「ううう……」
生憎画面が鍵になっているので表情は読めないが、多分泣いているのだろう。せめてもの慰めに、とにかくもう一度ぽんと頭を叩いて、綾華は敵へと向かっていった。
「チカヅカナイデクダサイ チカヅカナイデクダサイ キケンデス」
ドリルアームが振り下ろされ、地面が深く深く、削り取られる。破壊力に全てをかけたような一撃を躱して、一跳び分だけ後退した紫音はすぐさま反撃に転じた。
「巨体、力は強い、しかし精度には欠ける……か」
確かめるような一太刀が、鋼の腕に擦れて甲高い音を響かせる。続けて振るわれるショベルの一撃は、フィンが両手で受け流した。
「脆いところを……!」
アームの付け根に狙いを定めて、素手による一撃。骨に当たる部分に歪みを生じさせる。
「力がある分大雑把、ってところか」
巫覡載霊の舞で神霊体へと姿を変え、前に出た綾華が小さく笑う。一撃食らっただけでも致命傷になりかねないが、動きさえ読めれば御しやすくはある。薙刀から放つ衝撃波で斬りつけながら、フェイントを駆使して空振りを誘えば――。
「見切った」
残影を生じさせる速度で迫る紫音が、宝刀《皇月》に命を吹き込む。放たれるは、防御を捨てた神速の斬撃。
「壱之太刀……斬鋼!」
目にも止まらぬ速さで刃が三度走り、ドリルを備えた巨大なアームがものの見事に解体される。
「!?!?!?」
片側の大質量を切り離され、オブリビオンはバランスを崩しながらも残った腕を振るう。けれどそんな動きは、簡単に予想できるもの。
「遅いですね」
カウンターの要領で、フィンがその腕に一撃を加える。既に歪んでいた『手首』が捩じ切れ、オブリビオンはその場に倒れ込んでしまう。
「シャリョウ、ガ シャリョウガ トオリマス ゴチュウイクダサイ」
だがアームはなくともその巨体がある。重厚な音色と共にブルドーザーに変形し、その巨体は前進を試みる。その走行の途上にあるものは、全て轢いてしまえば良いという強引な一手。
「は、ごちゅうい?」
ひらりと、敵の猛進を掠めるように綾華が跳んだ。
「――注意すんのはお前の方だろ」
空中で、薙刀が三日月を描く。刃の延長線上を衝撃波が薙いで、オブリビオンのキャタピラを一つ、機能不全に持ち込んだ。
片輪を失っても、動き出したブルドーザーは急には止まれない。がりがりとボディで地面を激しく擦り、自壊しながら曲がっていく巨体の前に、再度紫音が立った。
「この一刀で終わらせる、受けよ! 我が剣!」
胴体に三つ、斬影が走る。鍔鳴りの音が一つ鳴って、巨体はバラバラに崩れ去った。
●アンロック
「オブリビオンの襲撃は一段落したようだな」
「そろそろ、時間のようです」
脱力して転がっているログナのところに、猟兵達が戻ってくる。紫音とフィンが確認したところ、シークバーはほぼ画面の端まで来ていた。
「うう……僕がうちのカギをちゃんと閉めていれば、こんなことには……」
「いやー、変わんなかったと思うぞ?」
まだ言ってるのか、と苦笑する綾華の前で、ついにテレビウムの発光が終わった。画面から鍵が消えて、ほろりと涙をこぼしたような顔が表示される。
「――テレビウム・ロックの解除を確認。メンテナンスルートを追加開放」
どこからか、声が響いた。耳で聞く限りでは、出所は特定できない。強いて言うならば、この公園自体から音が発せられているような――。
「繰り返す。システム・フラワーズより緊急救援要請。
全自動物資供給機構『システム・フラワーズ』に、侵入者あり。テレビウム・ロックを解除し、より多くのメンテナンスルートを開放せよ。至急の救援を請う。繰り返す――」
システムメッセージと思しき音声が数回流れ、消える。後には、元に戻ったテレビウムだけが残されていた。
「……それだけですか?」
「ああ、でも何か重要そうな事言ってたと思うぞ」
拍子抜けしたように言うフィンに、綾華がそう返す。何にせよ、今すぐここでどうこう、という話ではないらしい。
「このログナと、同じようなテレビウムを、できるだけ救ってやれと言う事か」
紫音が顎に手を遣り、思考する。存外に話の規模が大きい。持ち帰って、他の猟兵と情報を突き合わせる必要があるだろう。
……となると、あとは。
「ところで、壊れた家、どうしましょうか?」
フィンの問いにようやく現実に立ち返ったか、不貞寝状態だったログナがのろのろと立ち上がる。
「使える荷物を拾って、新しいおうちを探します……」
「ああ、それがいい」
どういう制度だか知らないがちゃんと調べるんだぞ、と付け加えて、綾華もそれに頷いた。
「何にせよ、無事で何よりだ」
紫音の言葉に、テレビウムは慌てて居住まいを正す。
「お、おかげさまで! とにかく体は無事でした。皆さん、助けてくれてありがとうございます!」
そう言って、ログナが頭を下げる。
画面に表示されていた泣き顔が、前向きな笑顔に変わった。
キマイラフューチャーを取り巻く状況は、まだ断片しか分からない。だが今日開いたこの『鍵』は、必ず猟兵達の助けになるだろう。
大成功
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最終結果:成功
完成日:2019年04月21日
宿敵
『マルチプル・アースムーバー』
を撃破!
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