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桜花迷宮のエチュード

#アルダワ魔法学園

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#アルダワ魔法学園


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 ――こつ、こつ、こつと。規則正しい靴音が石畳に響いて、ふわり揺れるのは真新しい学園の制服。
「……ここが、アルダワ魔法学園。災魔が巣食う地下迷宮の上に建てられた、僕たちの学び舎」
 銀の髪を揺らした少年が、ゆっくりと頭上を見上げれば――彼の隣でそっと手を繋いでいた少女も、おずおずと言った様子で魔法学園に視線を向ける。
「災魔と戦う……それが私たちの使命。皆の役に立つ、それが私たちのあるべき姿、なのですね」
 少女の精緻な相貌はまるで、隣の少年と鏡映しのよう。そう――中性的で、愛らしい人形を思わせる姿と言うのは、間違ってはいない。彼女たちはミレナリィドール。魔導蒸気文明の生み出した、知性を有する人型機械人形なのだ。
「そうだ、オーロ。その為に、僕たちは鍛錬を積んで来たんだから、頑張らないと」
「……アルジェント、ええ、分かっています。皆様の足を引っ張らないように、まずは『こんぱ』と言う儀式を完遂しましょうね!」
 と――オーロ、と呼ばれた少女人形の瞳が、其処で何かを捉えたのか、ぱちりと瞬きをする。
「気のせい、でしょうか……」
 桜の花びらが、ふわりと目の前を過ぎったような気がしたけれど。まぼろしだろうと頷いた彼女は、アルジェントの後に続いて学園の門をくぐっていったのだった。

「春、それは出会いの季節……ですの!」
 うっとりとした表情で、ちまっこい手を胸に当ててときめいているのは、レイン・ドロップ(みずたま・f14853)。とは言え、小柄なテレビウムのこと――彼女の頭の上に乗っかっている、けろちゃん(水の精霊)が喋っているように見えるのはご愛敬と言うもの。
「そんな訳で、アルダワ魔法学園にも新入生がやって来たようなのですわ。とは言え、災魔と戦い迷宮に挑む学生さん達ですの……歓迎会もひとすじなわではいかないのですわ!」
 ばーん、とドヤ顔を近づけて胸を張るレイン曰く、新しく学園に入学した生徒には『迷宮新歓コンパ』なるイベントがならわしとしてあるらしい。
「これは、歓迎パーティをした後で迷宮探索を行うと言うもので、アルダワのおりえんてーしょんも兼ねているのですわ」
 ――とは言え、未だ実戦経験も乏しい新入生だ。貴重な戦闘要員が無事であるに越したことはない。そんな訳で、今回転校生である猟兵たちに、新歓コンパの付き添い依頼が来たらしい。
「歓迎パーティは、迷宮の安全なフロアで行うそうですのよ。春にだけ、迷宮の何処かに咲く桜の木……其処で誓った言葉は絶対のものになる、なんて噂もありましてよ」
 ろまんちっくですわね! とうきうきなレインだが、この桜の木の下での歓迎会となるようだ。今回の新歓コンパに参加する新入生はふたり――ミレナリィドールの双子で、アルジェントとオーロの兄妹だと言う。
「このお二人は、基礎的な戦闘訓練は積んで来たようですけど、今までお友達と触れ合う機会が無かったみたいですの……。ですから、皆様のお力で『チームワーク』とか『友情』などを教えてあげるのも良いですわね!」
 さて、歓迎パーティが終わった後は、その足で地下迷宮の冒険を行うことになる。新歓コンパと言うこともあって、そこまで危険な区域では無いようだが――災魔、つまりオブリビオンの群れが最後に待ち受けているので、気を抜かずに進みたい。
「どうやら、災魔たちは対となる存在……相利共生の関係にあるみたいですの。其処には仲間意識とか、そんな感情は存在しないみたいですけど、それを友情の力でぶっ飛ばすのも素敵ですわよね!」
 むっふっふ、と燃える展開を想像して怪しい笑い声を響かせるレインであるが――猟兵の皆であれば、余裕をもって対処出来そうなレベルだ。だとすれば、このコンパを利用して、新入生たちに経験を積ませてあげるのも悪くはない。
「それでは、皆様の活躍に期待しておりますわ! 頑張って来てくださいましね」
 ――グリモアの輝きが導く先は、迷宮の何処かにあると言う伝説の桜の木。其処で皆は、何を誓って迷宮に挑むのだろう。


柚烏
 柚烏と申します。新生活が始まった方も、そろそろ落ち着いている頃かと思いますが、今回はアルダワ魔法学園での依頼になります。新入生の皆さんを歓迎する『迷宮新歓コンパ』のお誘い、一緒になってわいわい楽しむ感じで参加して下されば幸いです。

 コンパの流れは以下の通りです。
 第1章:日常『伝説の桜の樹の下で』
 第2章:冒険『駆け抜けろ巨大歯車』
 第3章:集団戦『『吸血鬼アルマ』と『受肉のフラジール』』

●新入生について
 15歳くらいの、ミレナリィドールの双子です。兄がアルジェント(マジックナイト)、妹がオーロ(精霊術士)です。瞳の色以外はそっくりで、災魔と戦うために学園へやって来ました。しかし今まで友達と呼べるような存在は、近くには居なかったようです。ふたりとも性格は真面目で、ちょっと融通が利かないところがあるかもしれません。

●プレイング受付につきまして
 お手数かけますが、マスターページやツイッターで告知を行いますので、そちらを一度ご確認の上、送って頂けますと助かります。此方のスケジュールの都合などで、新しい章に進んだ場合でも、プレイング受付までにお時間を頂く場合があります。

 第1章のプレイング受付は『4月26日 朝8:30~』に受け付けたいと思います。
 ゆっくりめのペースで運営していく予定です。難易度的には簡単な依頼で、新入生でも対処出来そうなレベルの冒険となりますので、初心者さん大歓迎です。それではよろしくお願いします。
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第1章 日常 『伝説の桜の樹の下で』

POW   :    愛を誓う

SPD   :    友情を誓う

WIZ   :    永遠を誓う

👑5
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『日常』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

四葉・蛍輝
自身もアルダワ魔法学園には来たばかりで慣れない部分もあるが、少しでも手助けできればで参加。
「俺も以前に優しくしてもらって今があるから。誰かに同じようにできたら、って」
基本無表情(まだ表情を作るのは苦手)のため、怖がらせないようできるだけ穏やかに喋れるよう心懸ける。
せっかくなので甘いものでもで
カップケーキを持参して兄妹や他参加者に配ったりできればと。


三嶋・友
桜の樹の下で兄妹に話しかけよう
はじめまして、私は三嶋友
実は、私…
オーロさん…貴女が、好きですッ!!

…なーんて!
あはは、冗談だって、そんな冷たい目で見ないでよー!
このシチュ、ギャルゲプレイヤーとしては乗らざるを得ないというか
相手を敢えてオーロさんにしたのは一応うっかり本気にとられないようにって配慮なんだよ!
どう?楽しんでる?
ここの桜の樹、面白い噂があるみたいだよ
此処で誓った言葉は絶対の物になるんだってさ
二人は何か誓いたい事ってある?
あっはは、真面目だなあ
良い事だとは思うけど、折角浪漫のある噂なんだし
もうちょっと肩の力を抜いてもいいんじゃない?
私?
…何だと思う?
正解はコンパの後で!なんてね♪



 刻一刻とその姿を変えていく、アルダワの地下迷宮――転移によって辿り着いたそのフロアは、春の季節をそっと詰め込んだような、箱庭のような場所だった。
「……桜の花が、地下に咲いているんだね」
 翠の瞳に映し出される光景に、思わず見入っているのは四葉・蛍輝(蛍火・f17592)。そんな彼の頬を撫でていくのは、優しい春の微風だ。どうやら迷宮内部だと言うのに、風も生まれているらしい――頭上には、陽光を思わせる照明が灯されており、まるで地上の何処かに迷い込んでしまったようだった。
 ――成程、新入生を歓迎する場所としては、相応しいのかも知れない。自身もアルダワ魔法学園にやって来て間もない蛍輝は、少しでも手助けが出来ればとの想いでお花見の会場へ歩を進めていく。
「初めまして、学園へようこそ。俺もまだ、慣れない部分もあるけど、力になれたらと思っているよ」
 そうして伝説の桜の木の下で、落ち着かない様子でそわそわしている、双子の新入生――アルジェントとオーロを見つけた蛍輝は、ふたりを怖がらせないよう、できるだけ穏やかな声音で声を掛けた。
「あ、どうぞよろしくお願いします。えっと、先輩……になるのでしょうか」
 銀の瞳を瞬きさせて、堅苦しさの抜けない様子で挨拶を返すのは、兄のアルジェント。敬語とかは要らないよ、とかぶりを振る蛍輝だったが、表情が上手く顔に出ない為に身構えられてしまっているのではと考えを巡らせる。
「そうだ、これを――」
 と、其処で蛍輝が取り出したのは、ふんわり香ばしい匂いを漂わせるカップケーキだった。折角なので甘いものを、と思って持参してきたものだが、それを目にしたアルジェントのまなざしが、ふっと和らぐ。
「ああ、いい匂い……甘いもの、好きなんです。いや、好き、なんだ……?」
 何とか敬語を使わないように、とたどたどしく礼を述べる新入生の少年は、其処で蛍輝の種族に――自分と同じミレナリィドールであることに気づいたようだった。
「ああ、俺も以前に優しくしてもらって今があるから。誰かに同じようにできたら、って」
 ――何も分からないままだった自分に、親身に接してくれた恩人が居たこと。身体に刻まれた文字から今の名前をつけてくれた、そのひとのように――自分も誰かに優しく出来るようなひとでありたいと、蛍輝は願う。
「なるほど、誰かに優しく……」
 ふむふむ、と真面目な表情で頷いているアルジェントであったが、妹のオーロは未だ人見知りが抜けていないようだ。と――双子の兄の背に隠れたままの彼女へ、その時、桜の木を震わせる熱い叫びが木霊した。
「実は、私……オーロさん……貴女が、好きですッ!!」
「……っ!?」
 びくん、と金の瞳を丸くして跳び上がったオーロの元へ、すっと手を差し伸べたのは三嶋・友(孤蝶ノ騎士・f00546)。はじめまして――と自己紹介をしつつ爽やかに微笑む彼女の姿は、一見クールそうに見えつつも何処か悪戯っぽさが見え隠れしている。
「……なーんて! あはは、冗談だって、そんな冷たい目で見ないでよー!」
 ――そして、一転して破顔した友は、未だ驚いたままのオーロに理由を述べると、ふと何かを懐かしむように桜の大樹を見上げた。
「このシチュ、ギャルゲプレイヤーとしては乗らざるを得ないというか……。相手を敢えてオーロさんにしたのは、一応うっかり本気にとられないようにって配慮なんだよ!」
「ぎゃるげ……初めて聞く言葉です」
「……そうするのが礼儀なのかな。なら、俺もアルジェントさんに告白をするべきかな?」
 そんな友の言葉には、オーロに加えて蛍輝も頷いている様子。ああ、無表情なので本気なのか冗談なのか区別がつかない――ともあれ、いきなり新歓コンパがカオスになりそうだったので、咄嗟に話題を変えることにした友である。
「どう? 楽しんでる? ここの桜の樹、面白い噂があるみたいだよ」
 此処で誓った言葉は、絶対の物になる――新たな学園生活のはじまりに向けて、何か誓いたいことはあるのかなと、蛍輝から頂いたカップケーキを口にしつつ友が問う。
「絶対のものになる誓い、ですか……。ああ、こんなことなら『こんぱ』に赴く前に、真剣に考えておくべきでした……!」
「あっはは、真面目だなあ」
「でも、それだけの強制力のある誓約なら、違えた時の禍も大きいかも知れないね」
 が、蛍輝も真面目にオーロへ助言を行うのを見て、もしや自分のいい加減さの方が間違っているのか――と、友は考え込んだ。そうか、伝説の桜の木って、実は物凄いゲッシュが課せられるのかも知れない。
「……良い事だとは思うけど、折角浪漫のある噂なんだし、もうちょっと肩の力を抜いてもいいんじゃない?」
 ――しかし、今回の冒険は『迷宮新歓コンパ』なのだ。わいわい楽しんでなんぼなのだ! そんな訳なので友は、風に舞う桜の花びらを、そっと指先で摘まんでウインクを決めた。
「私? ……何だと思う? 正解はコンパの後で! なんてね♪」

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

レイン・フォレスト
【アイビス】で参加
新入生かあ……僕も新入生みたいなもんだけどね
この世界、初めて来たよ

地下迷宮が珍しくて思わずキョロキョロ
地下なのに花が咲くってどう言う仕組みなんだろうね
と興味津々でフィリアに話し掛けた後、自分の役目を思い出し咳払い

っと、ごめん、自己紹介まだだった
アルジェントとオーロだね、どうぞよろしく
同じくらいの歳だし、友人になれると嬉しいよ

友情って何かなんて僕もよく分からない
色んな事…楽しみも苦しみも共有して
協力していける関係って事なのかなとは思うんだけど

まあ
とりあえず、この綺麗な花を一緒に楽しみながら話そうよ

……って、フィリア!?
花かけるのやめてくれって(笑いながら花をひとつかみお返し)


フィリア・セイアッド
アイビス」で参加
桜の木を見つけて目を輝かせる
見て、レイン!なんて立派な桜…
そうね、私も不思議
まるで魔法の庭のよう
レインに続いてご挨拶
フィリアと言います なかよくしてくださいね
今日はよろしくお願いします
ぺこりと頭をさげて 恥ずかしそうな微笑みを

友だち?友だちは…そうね、一緒にいると嬉しくて
ひとりでは無理な事も がんばろうと思えるの
家族とか兄妹とかと似ているようで ちょっと違う
ええと うまく説明できていないわね、ごめんなさい
お友だちができたら ふたりにもきっとわかるわ

綺麗な花弁を沢山集め レインや双子さんが余所見をしている時にえいっと頭から花吹雪
返礼に笑いながら だってとても綺麗なんだもの、と



「見て、レイン! なんて立派な桜……」
 地下迷宮へと足を踏み入れた、フィリア・セイアッド(白花の翼・f05316)が目にしたものは、地上でもなかなかお目に掛かれないであろう、見事な桜の大樹だった。
 風が連れてくる花びらや、燦々と降り注ぐ光に照らされた、淡い色彩の濃淡も――此処が地下であることを忘れてしまいそうなほど。
「ああ……春に相応しい、見事なものだね」
 きらきらと瞳を輝かせて桜に見入っているフィリアに頷き、レイン・フォレスト(新月のような・f04730)もまた、彼女の隣でゆっくりと桜の木を見上げている。
 ――時折風に乗って聞こえてくる、笑いさざめく声は新入生たちのものだろうか。吐息をひとつ零したレインはやがて、地下迷宮の物珍しさに、思わずと言った様子で紅の瞳を巡らせた。
「……僕も新入生みたいなもんだけどね。この世界、初めて来たよ」
 災魔を封印した迷宮の上に、魔法学園が建てられたそうだが――地下のフロアにこうして桜の木が根を下ろしている光景を見れば、その仕組みに興味も湧くと言うものだ。
「しかし、地下なのに花が咲くってどう言う仕組みなんだろうね」
「そうね、私も不思議。……まるで魔法の庭のよう」
 こうなればじっくり観察したいところだが、其処で自分の役目を思い出したレインは、こほんと咳払い――それから、歓迎会に参加している双子の新入生へ向けて自己紹介をする。
「っと、ごめん。アルジェントとオーロだね、どうぞよろしく」
「あ、私はフィリアと言います。なかよくしてくださいね」
 同じくらいの歳だし、友人になれると嬉しい――そう言って凛々しく礼をするレインに続き、フィリアもぺこりと頭を下げて、はにかむように微笑んだ。そんなふたりの間に漂う、親密な雰囲気に緊張もほぐれたのだろう。何処か眩しそうなまなざしを向けるアルジェントが、友達と呼ばれる関係とは一体どんなものなのかと、真っ直ぐに問う。
「友情って何か、なんて僕もよく分からないよ。それでも、色んな事……楽しみも苦しみも共有して、協力していける関係って事なのかなとは思うんだけど」
 ――感情を言葉で、理屈で語るのは難しいことだとレインは思ったが、それでも自分なりの想いをふたりに伝えることにして。
「友だち? 友だちは……そうね、一緒にいると嬉しくて。ひとりでは無理な事も、がんばろうと思える存在なの」
 一方で穏やかに微笑み、純白の翼を揺らすフィリアが囁くのは――隣に居ることが自然で、心がふっと軽くなるようなひとのこと。けれどそれは、家族とか兄妹とかと似ているようで、ちょっと違う関係なのだと続ける。
「ええと……うまく説明できていないわね、ごめんなさい。でも、お友だちができたら、ふたりにもきっとわかるわ」
 ――お友達、出来るといいな。真剣な表情で顔を見合わせるアルジェントとオーロへ、「大丈夫」と言うように頷いたレインは、頭上に広がる満開の桜を見上げて柔らかな声音で誘う。
「まあ……とりあえず、この綺麗な花を一緒に楽しみながら話そうよ」
 そうして、彼女に釣られて双子たちも桜の木をゆっくり見上げたところで――綺麗な花びらを両手いっぱいに集めたフィリアが、えいっとばかりに花吹雪のシャワーを降らせた。
「……って、フィリア!? 花かけるのやめてくれって」
「だって、とても綺麗なんだもの」
 漆黒の髪を彩る桜の雨に笑いながら、レインも花びらを一掴みしてフィリアにお返しをする。そんなふたりの様子を見つめるオーロたちの胸にも、何やらくすぐったいような幸せな気持ちが溢れていって。
「一緒に居ると、嬉しい……かぁ」
 ――呟きは花びらと共に、迷宮の風に乗って舞い上がっていった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

リル・ルリ
■櫻宵(f02768
アドリブ等歓迎

伝説の桜
言葉が絶対になるというなら
誓うことはきまってる

櫻宵…僕の櫻の言葉にゆるり微笑んで手招きされれば彼の元へ游ぎ
黙っていれば桜の精霊のようだよ?
なんて

照れたりそわついたりしている櫻宵を綺麗だなぁとじっと見つめ

多分考えてることは同じ
そういえばしっかり伝えてなかった

あのね
僕の櫻
だいすきだよ
世界で一番大切で愛しいよ
あいしているよ
僕に恋を、愛をおしえてくれたひと
君と恋人になりたい
これからずっと君のために歌わせて
愛の歌を

一息にいえばあとから照れがくる
櫻の言葉に微笑んで胸に飛び込んで
ねぇ
桜の花弁の数だけ
好きって言って

僕の櫻
君が散らないようにずっと守ると誓う
隣で歌わせてね


誘名・櫻宵
🌸リル(f10762
アドリブ等歓迎

新歓コンパ賑やかね

伝説の桜
こうしてるとあたし
桜の乙女にしか見えないわよね!
興味深そうに桜のまわりを游ぐ可愛くて美しいあたしの人魚を手招き

伝説の桜の木といえば、告白……
見つめてくるリルを見つめ返す

告白
愛は告げたし告げられたのだけど
その『次』のことばを伝えてなかった気がする

あのね
リィ…

……?!
あたしから言いたかったのにー!
付き合いましょう
これで晴れて
正しく恋人同士

心よりお慕い申し上げる
あいしてると抱きとめた人魚に囁いて
可愛い我儘いうリィを撫でる

何度でも
病める時も健やかなる時も
永遠でも誓うわ
あなたへの愛と幸福を

あたしの愛しい人魚
泡になんてさせないわ
ずっと一緒にいて



 新歓コンパの賑わいに目を細めつつ、誘名・櫻宵(屠櫻・f02768)はそろりと桜の木に寄り添って、歳経た幹に手を伸ばした。
「伝説の桜……ね」
 花あかりを思わせる淡墨の髪に、ひらりと舞う桜の花びらが彩を加えていく中――桜の化身の如き美貌の龍人は、蕩けるような甘い声でうっとりと囁く。
「ふふ、こうしてるとあたし、桜の乙女にしか見えないわよね!」
 ――その声音は、れっきとした男性のものであることはさておいて。桜の乙女、もとい桜のオネェである櫻宵は、地下迷宮に咲く桜の周りを興味深そうに泳ぐ人魚の少年を、ちょいちょいと手招きした。
「櫻宵……黙っていれば桜の精霊のようだよ?」
 淡い桜色の海に、月光ヴェールの尾鰭が揺らめいて――可愛くて美しいあたしの人魚、と呼ばれしリル・ルリ(瑠璃迷宮・f10762)が、そっと顔を覗かせる。
(「……伝説の桜。言葉が絶対になるというなら、誓うことはきまってる」)
 口にした自身の言葉を受けて、照れたりそわついたりしている櫻宵を綺麗だなと思いながら、じっと見つめ合うリル達が想うのは、伝説の桜の木に纏わる謂れのこと。
(「そう、伝説の桜の木といえば、告白……」)
 ――愛は告げたし告げられたのだけど、その『次』のことばを伝えてなかった気がする。そんな期待と不安に櫻宵の瞳が揺れる中で、傍らのリルは凪いだ湖面を思わせる瞳に、確かな決意を込めて――『僕の櫻』の為に言の葉を紡ごうと、喉を震わせた。
(「多分考えてることは同じ。そういえば、しっかり伝えてなかったから」)
 あのね――と微かに重なるふたりの声。しかしリルの方が、決意のぶんだけ僅かに早い。
「あのね、僕の櫻。……だいすきだよ。世界で一番大切で愛しいよ。あいしているよ」
 ――僕に恋を、愛をおしえてくれたひと。玻璃の水槽越しに伸ばした手と手が、確かな熱を伴って触れ合うように。人魚の歌声は淡墨桜の枝を震わせ、さざ波の如く花びらを舞い上がらせていく。
「君と恋人になりたい。これからずっと君のために歌わせて。……愛の歌を」
 一息に想いを告げれば、あとから照れがきた。桜色に染まるリルの頬を冷ますように、伸ばされた櫻宵の手もじわりと熱い。
「……?! あたしから言いたかったのにー!」
 付き合いましょう、これで晴れて正しく恋人同士――早口で勢い込んで想いを伝える彼もまた、照れているのだろう。櫻宵の言葉に微笑み、胸に飛び込んだリルにはその表情を確かめることは出来なかったけれど。
「……ねぇ。桜の花弁の数だけ、好きって言って」
「心よりお慕い申し上げる。……あいしてる」
 ――秘色の髪を優しい指先が撫でると同時、リルの元へ降り注いでいくのは、伝説の桜に誓われし愛と永遠。
「何度でも、病める時も健やかなる時も、永遠でも誓うわ。あなたへの愛と幸福を」
 ああ、あたしの愛しい人魚。泡になんてさせないわ、ずっと一緒にいて。切なる願いを口ずさむ櫻宵に、確りと頷いたリルもまた、色褪せることのない誓いを桜の下で交わす。
「僕の櫻――君が散らないように、ずっと守ると誓う。これからもずっと、君の隣で歌わせてね」

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

リンセ・ノーチェ
アドリブ・絡み歓迎
サヴァー(f02271)さんと
「僕が入学したのは…数年前くらいかぁ」
学園で初めて出会った去年、言ったかな
「…そう、でしょうか?なら、嬉しいな
僕も友達作るの、苦手だから…」
デバイスを大切に持ってくれてて嬉しい

今日の主役、兄妹の心が少しわかる
温かい歓迎にどう応えて良いかわからないっていうか
彼女の言葉には少し罰が悪くてえへへと苦笑
「あの頃…僕、ひとりで良いや、って思ってた」
…そんなことなかった
ふたりで世界を渡り戦えば心強く優しい絆は宝物
兄妹も、自然に気づいてくれたら素敵だ
「…ね。サヴァーさん。僕たち、後ろで演奏してましょうか」
言葉下手な僕達の一番の歓迎表現
返事不要の優しさ、皆に届け


サヴァー・リェス
アドリブ・絡み歓迎

リンセ(f01331)と
そう、覚えてる…頷く
「声…掛けてくれて、助かった」
世界を流れ辿り着いた此処で
私は、何をどうするかわからず
色々、教えて貰った
このシンフォニックデバイスもその1つ
大切、よ

彼の想い、少しわかる
「あたたかい、気持ち…応えるの、難しいことも…ある」
でも
「リンセ、応え、期待していないから
私は…応えたいと、思った」
あの時の彼の瞳は、今よりごく僅か暗い彩りだったけれど
何も求めない静かな心の温度は、心地良かった
…ふたり猟兵として戦い絆は強く優しく…更に広がり
…想い、わかるの
「そう、ね…気づいてくれても、くれなくても…良い」
彼の楽器に合わせて歓迎を歌えば
桜花びらの影も輝く



 ふわり――迷宮に吹く優しい春の風が、リンセ・ノーチェ(野原と詩と・f01331)の灰白の毛並みを揺らしていく。踊る桜の花びらのくすぐったさに、ぴくりと髭を動かしつつ、愛らしい少年猫は今までのことを思い返していた。
「僕が入学したのは……数年前くらいかぁ」
 流離いの果てに、辿り着いた魔法学園――其処でリンセが出会った、サヴァー・リェス(揺蕩ウ月梟・f02271)もまた、梟の翼を風に舞わせながら懐かしそうに目を細めている。
「声……掛けてくれて、助かった」
 ――ふたりが初めて会ったのは、去年のこと。世界を渡り、漂流するようにして辿り着いた此の地で、サヴァーは途方に暮れていたように思う。何をどうするのかも分からずにいた時、其処で声を掛けてくれたのがリンセだった。
「……うん、言ったかな」
「そう、覚えてる……色々、リンセからは……教えて、貰った」
 ほっそりとしたサヴァーの指先が撫でるのは、虹水晶が煌めく小さな木杖――それは歌声を世界に響かせる、アルダワの魔導蒸気文明が生み出したデバイスだ。
「……そう、でしょうか? なら、嬉しいな。それも、大切に持ってくれてて嬉しい」
 大切、よ――と。白銀の月を思わせるサヴァーの瞳が、リンセの色違いの瞳と優しく交わる中で。きっと自分は、あてどなく揺蕩う彼女に己の姿を重ねていたのかもしれないと、リンセは想う。
(「僕も友達作るの、苦手だから……」)
 だから、今日の新歓コンパに誘われた兄妹の心が、少しは分かるのだ。温かい歓迎に、どう応えて良いかわからないっていうか――そう言って控えめな様子で、歓迎会を見守るリンセの姿に、サヴァーはそっと頷いた。
「……ええ。あたたかい、気持ち……応えるの、難しいことも……ある」
 ――その気持ちに見合うだけのものを、果たして自分は返せるのかと言う不安も。でも、とサヴァーは、出会った頃の記憶を大切に取り出すようにして、ゆるりと小首を傾げる。
「リンセ、応え、期待していないから。私は……応えたいと、思った」
 あの時のリンセの瞳は、今よりごく僅かに暗い彩りを宿していたけれど――何も求めない静かな心の温度は、サヴァーにとって心地良かった。
(「あの頃は……僕、ひとりで良いや、って思ってた。けれど、……そんなことなかったんだ」)
 そんな彼女の言葉に、ちょっぴり罰が悪そうに苦笑したリンセは「ねぇ」とサヴァーを見上げて、小さなパンフルートを取り出す。
「サヴァーさん。僕たち、後ろで演奏してましょうか」
 不器用で言葉下手な自分たちの、一番の歓迎はきっとそれだから。返事も要らない優しさが、皆に届くことを願うリンセに、頷くサヴァーも虹水晶の杖を手にして歌声を響かせていった。
「そう、ね……気づいてくれても、くれなくても……良い」
 ああ、ふたりで世界を渡り戦えば、心強く優しい絆は宝物になる――兄妹たちも、それに気づいてくれたら素敵だと思いながら。
(「……ふたり、猟兵として戦い、絆は強く優しく……更に広がり……想い、わかるの」)
 仄かに桜の花びらが輝く幻想を紡ぎながら、リンセとサヴァーの旋律が共鳴し、いつしか世界を震わせていく。
(「――ねぇ、僕らのうた、どこまで届きますか」)

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

エスパルダ・メア
悪友のライオット(f16281)と

新入生の双子を見つけたら、初めましての挨拶は気楽に手を振って
人の身の楽しみ方、見せてやろうぜライオット!

じゃあやるか、鬼ごっこババ抜き!

※カードは2枚。ババを引かせたら全力で逃げて次を引かないようにする。掴まったら引いて、先に上がったほうが勝ち。物理手段は問わない。

桜見ながらってのも乙なもんだな
今日は負けねえぞ、悪友
思い切り走って跳ぶが、他の花見は邪魔しねえよ

っしゃあ捕まえた!はいハズレー、お前が鬼な!
食欲旺盛、引っかけにはすぐ引っ掛かるが脚はオレのが速い

…ぶ、ははっ!
やっぱ動き回る遊びってのは楽しいな、ライオット

勝負の行方はお任せ
アドリブ歓迎


ライオット・シヴァルレガリア
悪友のエスパルダ(f16282)と

まずは新入生さんに挨拶をしようか
困ったことがあればいつでも声をかけてね、と伝えて

ああ、僕はいつでもいいよ
始めようか

※ルールはエスパルダのプレイング準拠

僕も簡単にやられるつもりはないよ
でも周りの皆の迷惑にはならないように気を付けないとね

エスパルダに背を向けないように、牽制しながら動こうか
身体能力では敵わない分、頭を使わないとね

あそこに空飛ぶ桜餅が!
と無関係の方向を指差して、彼がよそ見した隙にジョーカーを手札へ滑り込ませよう
桜餅は空を飛ばないよ、エスパルダ

僕も楽しかった
やっぱり君は最高の友達だ

勝負の行方はお任せ
アドリブ歓迎



 桜花綻ぶ地下迷宮の宴に、爽やかな風が新たな出会いを運んでくる。気楽な仕草で軽く手を振り、新入生の双子へ挨拶をする、エスパルダ・メア(ラピエル・f16282)に続き――ライオット・シヴァルレガリア(ファランクス・f16281)はふわりと気さくな笑みを浮かべて、彼らに助力を申し出た。
「これから宜しく。困ったことがあれば、いつでも声をかけてね」
「と、そんな訳で……まずは、人の身の楽しみ方、見せてやろうぜライオット!」
 ――一見して普通のひとに見えるが、ふたりは器物に魂が宿ったヤドリガミだ。同じひとを模した存在として、ミレナリィドールの双子に何かを伝えられたら、と――そんな想いもあるけれど、今は悪友と過ごす賑やかなひと時を、思う存分楽しむとしよう。
「じゃあやるか、鬼ごっこババ抜き!」
「……ああ、僕はいつでもいいよ。始めようか」
 早速カードを取り出し、シャッフルを行うエスパルダに頷くと、ライオットは笑顔を絶やさぬまま――けれど、其処に不敵さを滲ませて悠然と構える。
 ちなみに『鬼ごっこババ抜き』なる遊戯に用いるカードは2枚。ババを引かせたら全力で逃げて、次を引かないようにする。そうして掴まったら引いて、先に上がったほうが勝ちだ。――なお、物理手段は問わないと言う、結構バイオレンスなルールも存在する。
「っと、桜見ながらってのも乙なもんだな。今日は負けねえぞ、悪友」
「ふふ、僕も簡単にやられるつもりはないよ」
 そうして始まったふたりの勝負は、一見和やかな様子を見せつつも――水面下では静かに火花を散らして、追うもの追われるものの立場を慎重に見極めると言う、独特の緊張感が漂っていた。
(「身体能力では敵わない分、僕は頭を使わないとね」)
 ――そうして、互いにカードを引いていく中で、ライオットが静かに勝負に出る。エスパルダに背を向けないように、牽制を行いつつもじりじりと後退し――突如、彼は明後日の方向を指さして、大声で叫んだのだ。
「あ、あそこに空飛ぶ桜餅が!」
「……え、マジか!」
 その指さす方向を咄嗟に見つめ、エスパルダが余所見をした隙を狙って、ライオットは己の持っていたジョーカーを彼の手札へと滑り込ませる。
「桜餅は空を飛ばないよ、エスパルダ!」
 そのまま逃げの態勢に移ったライオットに僅かに遅れ、エスパルダも桜の迷宮を駆け出して――いつしかふたりは、草原が広がるフロアを縦横に飛び回っていった。
「っしゃあ捕まえた! はいハズレー、お前が鬼な!」
 ――結局、食べ物の恨みが強かったのか。持ち前の脚力でライオットに追いついたエスパルダは、彼の首根っこを掴んで、にやりと不敵に笑う。
「君の食欲を利用したつもりだったんだけど……」
「引っ掛かったが、オレの食欲を甘く見たな」
 そうして、暫し見つめ合ったふたりはやがて――相好を崩して、無邪気に笑い声を響かせた。
「……ぶ、ははっ! やっぱ動き回る遊びってのは楽しいな、ライオット」
「僕も楽しかった、やっぱり君は最高の友達だ」
 ――やがて勝負の行方は、エスパルダに軍配があがって。ライオットは彼に、桜餅を奢ることになったとか、ならなかったとか。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

筧・清史郎
伊織(f03578)と

新歓こんぱ…ふむ、新入生と交友を深める趣旨だな
迷宮に咲く桜、双子や伊織と堪能しよう

双子に声掛け
「俺は筧・清史郎という。よろしく頼む」(微笑み
「そう緊張しなくても大丈夫だ。一緒に花見でもどうだ?」
(仰々しい重箱には手製の可愛い狐お稲荷さんやタコさんウインナーやひよこゆで卵が)
「甘味は好きか?俺は甘い物が好きだ」
花見には団子は必須だな(デザートに花見団子出しつつ
伊織の兎さん林檎も可愛らしいな(興味津々

桜への誓いか
俺は…そうだな
では、これから挑む迷宮を皆で無事に攻略する事を誓おうか
…伊織?(笑う伊織に首傾け

二人で誓いか、それも良いな
では二人の友情を…俺も、この桜に誓おう(微笑み


呉羽・伊織
清史郎(f00502)と

コンパ、面白げな文化だよな
桜も自国とまた違う風情で味わい深い

(味わいといや弁当にも期待しつつ、双子に名乗り挨拶し)
実は自分も転校間もなくてさ
是非仲良くして貰えると嬉しーなって

んで良けりゃ早速一緒に花も団子も満喫しない?
清史郎のは見目も味も絶品だぜ
あ、オレはそのー…兎林檎ぐらいしか!
(早速目移りしつつ、甘味まで有難く美味しく頂き!)

(伝説に肖るなら
皆でコンパを満喫&完遂する――
と思った矢先に清史郎と被って笑い)
発想が同じでつい!

同じ序でに、折角だし何か一緒に――改めて友情とか誓う?
この縁にゃ常々感謝してるし、永いモンになりゃ幸い

(俺は軽薄だし柄でもない
けど今日は特別に!)



 故郷より遥か遠くの、異なる世界に広がる地下迷宮――其処に花咲かせる見事な桜の木を見上げて、筧・清史郎(ヤドリガミの剣豪・f00502)は「ふむ」と感慨深げに頷いた。
「新歓こんぱ……か。新入生と交友を深める趣旨だな」
「ああ、面白げな文化だよな」
 精緻な美貌から、ゆるく言の葉を吐き出す呉羽・伊織(翳・f03578)も、清史郎に頷きを返すと――自国のものとはまた違った風情の桜を堪能し、紅の瞳を興味深そうに細めている。
「さて、先ずは挨拶をしようか。……俺は筧・清史郎という。よろしく頼む」
 ――悠然とした佇まいながらも、双子に微笑む清史郎の物腰は柔らかだ。しかし年上の先輩と言うこともあり、双子の兄妹たちは失礼が無いようにと意識し過ぎているのか、その動きはぎこちない。
「そう緊張しなくても大丈夫だ。一緒に花見でもどうだ?」
「そうそう、実は自分も転校間もなくてさ。是非仲良くして貰えると嬉しーなって」
 そんな彼らの緊張を解すべく、清史郎に続き伊織も気さくに声を掛けて。やがて持参して来た仰々しい重箱の蓋を、清史郎が開けると――。
「わぁ……すごい……!」
 中から顔を覗かせたのは、可愛い狐のお稲荷さんやタコさんウインナー、ひよこのゆで卵など――彼お手製の愛らしい料理の数々であり、妹のオーロなどは早速きらきらと目を輝かせていた。
「こんなに可愛く、凝った料理があるんですね……。初めて見ました……」
「清史郎のは、見目も味も絶品だぜ」
 見た目にもこだわる料理、と言うものを目の当たりにしたオーロへ、伊織がゆで卵を差し出して勧めるが――彼女は可愛すぎて食べられないとばかりに、真剣な様子でひよこ卵と向き合っている。
「えっと、その……最初はもう少し、シンプルなものから挑戦してもいいですか?」
「あ、オレはそのー……兎林檎ぐらいしか!」
 縋るようなまなざしで見つめられた伊織は、気まずそうに目を逸らし、タコさんウインナーをぱくりと口にして誤魔化した。――が、「兎さんの林檎が作れるんですね!」と、オーロは興奮した様子だ。
「……甘味は好きか? 俺は甘い物が好きだ」
 そうして花も団子も満喫するべく、食後のお茶請けに清史郎が取り出したのは、色合いも豊かな花見団子。これには、甘いものが好きだと言うアルジェントがそろそろと手を出し、その上品な甘さにしみじみと幸せを噛み締めているようだった。
「やっぱり、花見には団子がつきものだな」
「うむ、伊織の兎さん林檎も可愛らしい」
 団子に目移りした伊織が、ひとつ有難く頂戴する中――清史郎も彼が切った林檎を一齧りして、その爽やかな酸味を堪能している。やがてお腹も満たされれば、いよいよ伝説の桜の木への誓いの時間だ。
「……桜への誓いか。俺は……そうだな。では、これから挑む迷宮を、皆で無事に攻略する事を誓おうか」
 ――桜の幹の前に立ち、清史郎がそう告げると。何故か隣の伊織が、肩を震わせて笑っていた。
「……伊織?」
「い、いや……発想が同じでつい!」
 伝説に肖るのなら、皆でコンパを満喫して完遂することを誓おうかと、思っていた矢先だったのだと伊織は言う。それでも折角だし、何か一緒に――改めて友情でも誓おうかと尋ねる彼へ、清史郎はふと想いを巡らせてから静かに頷いた。
「二人で誓いか、それも良いな」
「この縁にゃ常々感謝してるし、永いモンになりゃ幸いだ」
 ――柄じゃないと言う自覚はあるが、今日は特別だ。同じヤドリガミとして魂を宿した者同士、鮮やかに咲いて散っていく桜に誓いを立てるのも、悪くはないだろう。そう呟いた伊織に頷き、清史郎もまた微笑みを浮かべつつ、淡い花びらへと手を伸ばす。
「では二人の友情を……俺も、この桜に誓おう」

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

ピリカ・コルテット
★シュガーちゃん(f02321)と一緒に

コンパだねっ!私達もワイワイ楽しんじゃおう~♪
美味しいもの食べたり記念写真撮ったり、
ガールズトークに花咲かせたり!
恋かぁ~、私は気になる子にアタック中だったりっ☆

伝説の桜の樹もすごく楽しみ!ご立派なんでしょうねえ。
桜満開な時期に生まれ、桜竜の力を借りて戦う私にとって、
とっても大好きで縁の深い特別な樹です!

願いはシュガーちゃんと同じで、
私達がこれからも一層仲良く、また一緒に訪れられますように!って

それから樹にも、沢山の願いを聞いてくれてありがとう、貴方もお元気で
と声をかけたいなっ
アドリブ大歓迎です!


シュガー・ラビット
ピリカちゃんと同行
口調プレ アドリブ大歓迎

【目的】
ピリカちゃんと新歓コンパを全力で楽しむ

【行動】

「よ〜し!今日はめいっぱい楽しんじゃおうね、ピリカちゃん♪」

せっかく遊びに来たんだし、思い出は撮っておかないと。ほら、ピリカちゃんも写ろ写ろ!って感じで 新歓の様子とか、可愛いお団子と桜の写真とか、ピリカちゃんとSNSに載せる用のツーショットとか 撮っちゃうよ!

そのあとは美味しいお弁当食べて楽しいお話をいっぱいするよ!桜の木の下の噂とか、軽い恋バナとかね♪

たくさん楽しい時間を過ごしたら、またこうして過ごせるように、桜に誓うの

「今日みたいな楽しい時間をまた、ピリカちゃんと一緒に過ごせますように」って!



 目一杯に枝を伸ばした桜の木に、ふわりと咲き綻ぶ花たちのように――狐の耳をぴこーんと揺らしたピリカ・コルテット(Crazy*Sunshine・f04804)は、今日一日を素敵な思い出にしようと、喧噪の中に飛び込んで行く。
「新歓コンパだねっ! 私達もワイワイ楽しんじゃおう~♪」
「よ~し! 今日はめいっぱい楽しんじゃおうね、ピリカちゃん♪」
 ――純白のふわふわロップイヤーを、頷くように動かしつつ。シュガー・ラビット(白くて小さなふわふわ☘️・f02321)はそんなピリカに微笑むと、早速カメラを取り出して、和やかな新歓コンパの様子をファインダー越しに収めていった。
「せっかく遊びに来たんだし、思い出は撮っておかないと。ほら、ピリカちゃんも写ろ写ろ!」
 満開の桜を、皆と打ち解けてきた新入生たちを――それから可愛いお団子の写真や、シュガーの大切な狐さんのぬいぐるみも。
「じゃあ今度は、SNSに載せる用のツーショット、撮ろう?」
「とびっきり可愛いポーズでね♪ はい、おしゃんてぃー!」
 そうして、おっきなリボンに手を添えたピリカと、春色メイクでばっちり決めたシュガーが揃ってポーズを決めて、記念撮影を終えると――今度は、甘味を堪能しつつのガールズトークへ突入だ。
「と言う訳で、伝説の桜の木の下での話題と言えば……恋バナだよね?」
 お団子片手に、深みのある金の瞳を潤ませつつシュガーが話題を振れば「恋かぁ~」と、まんざらでもない様子でピリカが頬を緩ませる。
「……私は気になる子にアタック中だったりっ☆」
「え、それ本当、ピリカちゃん? わたしの知ってる人だったり?」
 まさかの想い人あり発言に、シュガーが勢い込んで前のめりになれば――意味深に微笑むピリカは「さあ、どうかなあ」とはぐらかすようにして、桜の木の下へと駆けて行った。
「わぁ、近づくと壮大さが良く分かるねっ♪ ……本当に、ご立派な御姿」
 やがて降り注ぐ桜の花びらを、そっと受け止めたピリカは――天真爛漫な表情を一瞬引っ込めて、真剣な様子で祈りを捧げる。
(「桜が咲き誇る季節に、私は生まれたから――」)
 ――そんな縁もあるからだろうか。桜竜の加護を受けて戦う彼女にとって、桜は特別でとっても大好きな樹なのだ。
「たくさんの楽しい時間を、ありがとう。どうか今日みたいな楽しい時間をまた、ピリカちゃんと一緒に過ごせますように……」
 気が付けば追いついたシュガーが、天使の腰翼を風に揺らして、桜の木と誓いを交わしていた。そう、ピリカの願いもシュガーと同じ――自分達がこれからも一層仲良く、また一緒に此処を訪れられますようにと、桜へ変わらぬ友情を誓う。
 ――伝説の桜の木の下で、誓った言葉は絶対のものになる。一体どれ程の生徒たちが、地下迷宮へと降り立ち桜の元へと向かったのか――ピリカたちに知る術は無かったけれど。
(「今まで沢山の願いを聞いてくれてありがとう。……どうか貴方も、お元気で」)

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

東雲・咲夜
母から教え込まれた礼儀作法は癖のようなもの
背筋はしゃきりと
嫋やかに辞儀を捧げば
一路に送る視線は温容たる微笑みに溶かして

はじめまして
アルくんにオーロちゃんやね
どうぞよろしゅうお頼申します

ふふ…素敵なお名前やね
金と銀はまるで対や
うちも双子なんやけど
弟が月で、うちが夜
なんや親近感が湧きますね

異なる世界の桜も
絢爛の陰に儚い佇まいで人々の情緒を揺さぶること
…同じ桜の誼です
うちの誓いもどうか聴き届けておくれやす

幹に寄り添い詠うは秘めたる情調

うちは此の虞で誰かを傷つける事は致しまへん
慳貪な願いは水面より更なる下へ沈め、密かに
唯…大好きなひとがわろてくれはったら
其れこそがうちの倖せやから

深く、堅く誓います――



 母から教え込まれた礼儀作法は、癖のようなもの――しゃきりと背筋を伸ばして、咲き誇る桜の木の下に立つ東雲・咲夜(桜歌の巫女・f00865)の姿はまるで、桜花の精が宴に誘われたかのよう。
「……はじめまして、アルくんにオーロちゃんやね。どうぞよろしゅうお頼申します」
 嫋やかに辞儀を捧げばさらさらと、桜銀の髪が白雪の肌へと、まるで春の訪れを告げるように滑り落ちていった。それは人形のよう、と例えるには余りにも温もりと慈愛に満ちた相貌であり――新入生の双子たちは、そんな彼女の佇まいに憧憬を抱いたのかも知れない。
「ふふ……素敵なお名前やね。金と銀はまるで対や」
「その、双子として造られたので……名前も、其処から」
 ――色違いの瞳の他は、鏡に映したように良く似たふたり。髪型や制服が、少年と少女の区別をつけているようだったが、中性的な風貌はひととは少し異質な、無機質な美を纏っていた。
「うちも双子なんやけど……弟が月で、うちが夜。なんや親近感が湧きますね」
 そんなアルジェントとオーロを見つめる、咲夜のまなざしは、あくまで清らでいて優しいもので。それは温容たる微笑みと混ざり合って、花綻ぶような春の気配を迷宮に齎していく。
「咲夜さん、のきょうだいも……似ていますか?」
「うーん……弟、えっくんはうちと雰囲気は違う、かも知れまへん」
 髪や、瞳の色は自分と同じだけれど――ちょっぴり鋭さを持った、けれど穏やかな中に情熱を秘めたような、かけがえのない存在なのだと咲夜は告げた。
「不思議ですね……双子って、似ているようでやっぱり、ちょっとずつ違う」
「ふふ、アルくんとオーロちゃんも、今回の探索でお互いのこと、もっと知れるとええね」
 ――そう言って微笑む、咲夜が見上げるのは異世界に根を下ろす桜の大樹。ああ、この桜もまた、絢爛の陰に儚い佇まいで、人々の情緒を揺さぶっているのだろう。
(「……同じ桜の誼です。うちの誓いも、どうか聴き届けておくれやす」)
 そっと瞳を閉じて、歳経た幹に寄り添って。桜の乙女が詠うのは、己の心に秘めたる情調だった。
(「うちは此の虞で、誰かを傷つける事は致しまへん」)
 ――受け入れて欲しいと言う願いや、何かを深く求めること。それは、孤独を怖れる気持ちの裏返し。
 けれど時に自分のその想いが、大切な誰かの心を傷つけてしまう可能性もあるのだと――吐息を零した咲夜は、慳貪な願いを水面より更に下へと沈め、密かに誓いを捧げるのだ。
(「唯……大好きなひとがわろてくれはったら。其れこそが、うちの倖せやから」)
 だから、この伝説の桜の木に。深く、堅く誓います――。

大成功 🔵​🔵​🔵​




第2章 冒険 『駆け抜けろ巨大歯車』

POW   :    気合で歯車の回転を乗り越える。

SPD   :    素早く走り抜ける。

WIZ   :    上手く進む方法を考える。

👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『冒険』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


 伝説の桜の樹の下で――新入生を囲む、和やかな歓迎会が幕を降ろすと、次はいよいよ地下迷宮の冒険へと舞台が移る。
 ――其処は見上げるように大きな桜の木を軸として、幾多の巨大歯車が連なる迷宮だった。軋む歯車は、回転を続けながらゆっくりと噛み合い――そして或る刻を境に、回転が早まったり遅くなったり。場合によっては逆回転に変わる箇所もあるようだ。
「……もしかして、リズムのようなものが、あるのかも」
 よくよく耳を澄ませてみれば、歯車の音は一定の旋律を奏でているようでもあり、その流れに乗って踊るように歯車を乗り越えていくのが良いだろうか。
 ――とは言え、連なり回る巨大歯車を足場に、桜の木の頂上目指して登っていくのは骨が折れることだろう。時には誰かと手を取り合い、円舞曲を踊るようにリズムを刻んで。噛み合う歯車に巻き込まれないよう、注意して進まなければならない。
 此の迷宮に咲く桜は随分と歳経た様子で、花びらが舞う所々は、既に葉桜となっているようだ。そんな思い思いに広がる枝や、階層のように連なる歯車の所為で、翼を用いての飛行は危険が大きく、避けた方が無難だろう。
「さあ……一気に駆け抜けようか。桜の天辺、歯車の天蓋目指して」

 ――双子の新入生、アルジェントとオーロを導くようにして、奏でられる歯車のエチュード。その担い手となった猟兵たちは花びらが舞う中、ゆっくりと一歩を踏み出していった。
リンセ・ノーチェ
アドリブ・連携歓迎

サヴァー(f02271)さんと
アルジェントとオーロが緊張してたら微笑み【手をつなぐ】
バディペットのフォルテも励ますよう喉を鳴らす
「大丈夫。訓練してきたんだもの」
【聞き耳】も使い迷宮が奏でる音楽を聴き取り
サヴァーさんと迷宮を切り抜ける為のステップを完成させ
可能なら彼女の記した紙を見てアルジェント達と予行練習
僕はステップを覚えやすいよう特徴を簡単な曲にしてパンフルートで奏でる
「途中で崩れてしまっても、慌てないで…音楽は、慌てないのがコツだよ」
二人の先行となり真似のしやすい手本を見せる様に、無駄なく分かり易い動きで行くね
コードで夜鷹を呼び迷い易いポイントに位置させ目印になって貰うよ


サヴァー・リェス
アドリブ・連携歓迎

リンセ(f01331)と
リンセとフォルテがアルジェント達に笑む
…優しい気分
笑顔は下手だからしないけれど私も頷く
「迷宮は、歌っているから…心を楽に、受け取れば…平気」
【第六感】も導くまま迷宮の機構と音を注意深く観察し聞き
切り抜ける為のステップをリンセと完成させる
可能なら紙に分かり易く記号的に描き…少し、練習
リンセの楽に合わせステップを刻んでみせる

私はリンセに続くアルジェントとオーロの後に続く
二人を注意深く見守り…困っている時は的確に優しく指示を
踏み外しても【念動力】で少しは支えて安全圏に戻してあげられる
…落ちてしまうなら追いかけ【オーラ防御】で守る
翼のある私、ない人より適役、よ


四葉・蛍輝
双子と一緒に行動できれば。
他にも一緒に行動できる方がいれば一緒に。アドリブも歓迎です。

「無理せず、気をつけて進もうね」
双子をフォローしつつ上を目指す。
巨大歯車の動き、音を観察、観測、分析。UCミレナリオリフレクションの応用な感じで。
「このタイミングかな」
歯車の動きに合わせて移動。コツが掴めたら双子にも教えつつ進んでいくよ。
正確に動くのは俺たちの得意分野じゃないかな。
「次はアルジェントさん、オーロさんがやってみようか」
何かあればすぐフォローに動くけどきっと2人はすぐ要領を掴むよね。
上手くできたらその調子、と声をかけてハイタッチで褒めよう。



 ――ごぅん、ごぅんと荘厳な鐘の音を思わせる、巨大歯車の奏でる音色が辺りに木霊する中で。迷宮を支える柱の如き桜の大樹からは、時折ひらひらと花びらが降り注いで、探索者たちを歯車の天辺へと誘う。
「随分と、大掛かりな仕掛けだね……でも」
 桜の根があちこちから顔を覗かせる、石造りの床を器用に飛び越えながら、四葉・蛍輝(蛍火・f17592)は緊張で顔を強ばらせている双子の新入生――アルジェントとオーロへ、励ますように声を掛けた。
「無理せず、気をつけて進もうね」
「……はい!」
 お互いに、知性を有する機械人形だと言うこともあるからだろうか。精緻であるが故に、無機質な美貌が際立つ蛍輝――その穏やかな声音から、アルジェント達は己を案じてくれる気持ちを、確りと感じ取ったらしい。
「あ、良かったら手を繋いでいこうか」
 ふんわり微笑み、愛らしい猫の手を伸ばすリンセ・ノーチェ(野原と詩と・f01331)もまた、双子たちの緊張を察したひとり。そうしてリンセの肩で羽を休める、相棒のフォルテが励ますように喉を鳴らすと――その小さなヒポグリフの姿にときめいたオーロは、金の瞳を輝かせて手を伸ばした。
「わ、わ……リンセさんの手、ふかふかで肉球がぷにぷにしてます……!」
「ちょ、ちょっと、恥ずかしい……かな?」
 あくまで真剣な表情のまま、オーロはリンセと手を繋いで迷宮へ挑むつもりのようだが、猫妖精の可愛らしさにすっかり夢中のよう。一応同年代で、彼女の先輩でもあるリンセは少々戸惑っていたが――そんな賑やかな彼らの様子を見れば、サヴァー・リェス(揺蕩ウ月梟・f02271)の胸にもあたたかなものが満ちていく。
(「……何だか、優しい気分」)
 ――笑顔を作るのは下手だから、頷くに留めておいたけれど。ふと目が合った蛍輝も同じ気持ちだったのか、同意するようにこくりと頷いていた。
 と、程よく緊張が解れた所で、一行は噛み合う歯車の迷宮へと向き合い、彼らが奏でる音楽に耳を澄ませる。
「迷宮は、歌っているから……心を楽に、受け取れば……平気」
 露草の絡まる銀の髪を、何処からか生まれてくる風に遊ばせながら――サヴァーはそっと目を閉じて、己の心が導くままに迷宮の四方に意識を向けた。
「うん、大丈夫。訓練してきたんだもの」
 ――迷宮の機構、そして音。ぴんと猫耳を立てて歯車の音を聞き取るリンセも、一定の旋律に応じて回転する歯車の変化を、身体全体で覚えようとステップを踏んでいるようだ。
「良かったら、俺にも協力させて。……このタイミングでは、こうかな」
 更に蛍輝が、観察と観測に分析を加えていき――正確に相殺を行う術の応用も用い、よりステップの精度を高めていく。その様子を確認したサヴァーは、双子たちにも分かりやすいように記号を交えて、紙に詳細を書き込んでいった。
「わぁ、凄い……歯車の動きと、対処する為のステップを、聞き取るだけで此処まで再現出来るなんて」
「正確に動くのは、俺たちの得意分野だと思うから。後は少し練習をしてから、進んでいこう」
 サヴァーの書いた譜面をしげしげと見つめるアルジェントに、碧玉の瞳を細めた蛍輝が告げて。こうして、迷宮を切り抜ける為のステップを完成させた一行は、無慈悲に回り続ける巨大歯車の階層に挑むことになった。
「途中で崩れてしまっても、慌てないで……音楽は、慌てないのがコツだよ」
 ――皆を導くように、リンセのパンフルートが奏でるのは、切なげでありながらも限りなく優しい音色。ステップの合図を教える旋律に、サヴァーが軽やかに応えてみせたのを確認した後、リンセはお手本を見せるようにしてひらりと、軋む歯車を次々に飛び越えていった。
(「真似し易いように、無駄なく分かり易い動きで……」)
 そんなリンセの後に続く蛍輝は、彼の動きを参考に早速コツを掴んだ様子。何かあったら手を貸せそうだと軽く頷いてから、双子に向けて手招きをする。
「さて、次はアルジェントさん、オーロさんがやってみようか」
「は、はい……!」
 ――と、不安に揺れるオーロの瞳が捉えたのは、小さな星々の光を纏う、闇色の夜鷹の姿だった。それはリンセが召喚し、目印にと飛ばしたもので――星の輝きを宿す鳥は鈍色の迷宮の中で凛然と、旅人の標となるように羽ばたいていた。
(「夜鷹、よたか、星になんかならないで――」)
 流星の尾を引くように、オーロの髪がさらさらと宙を舞う中で。その足は確りと、歯車の動きを読んで上へ上へと向かう。
(「僕のそばに、いておくれ」)
 一方、続くアルジェントを注意深く見守るサヴァーは、彼が張り出した桜の枝に気を取られたのに気づくと――直ぐに念動力を発動して、踏み外しそうになった彼の足を安全な場所へと運んでいった。
「あ、ありがとうございます……!」
「翼のある私……ない人より適役、よ」
 もし落下してしまったら、追いかけて守ろうと決めていたサヴァーは、アルジェントの礼にそっと梟の翼を揺らして応える。こうしてあたたかい気持ちを貰うのは、少しくすぐったかったけれど――「ああ」と続けて彼が零した言葉に、サヴァーはそっと息を呑んだ。
「桜の木の下で、聴こえて来たうたと同じ……だから、頑張れそうです……!」
 ――手を取り合い、やがて絆は強く優しく紡がれ、かけがえのない宝物へと変わっていく。やがて歯車を駆け抜け一息吐いた所で、蛍輝は無事に難所を切り抜けた双子たちと、軽くハイタッチを交わした。
「要領を掴んできたみたいだね、その調子だよ」
 はにかむように微笑んだアルジェントとオーロの姿は、恩人と出会った頃の自分のよう――きっとこうして、優しさは受け継がれていくのだろうと、蛍輝は思った。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

レイン・フォレスト
【アイビス】で参加

すごいな、この歯車
こう言う機械物、割と好きなんだよね
ちょっとワクワクする

「聞き耳」を使って歯車の回転音を聞き取る
これが巨大な楽器だと思えば、上手く「楽器演奏」するみたいに音を掴めないかな

リズムや逆回転になる時の一瞬の間に気をつけて
少し登ってはフィリアに手を差し出して
「フィリア、こっち、大丈夫そうだよ」

彼女の歌のリズムが歯車とかみ合って上手くいった、と思ったら
一瞬の間が開いた方へ向かうフィリアの手を掴んで引っ張る
フィリア、そっちは危ないよ、ダメだ

まあ、突然リズム変わるからね、ここ
もし歯車を止めることが可能になったら
あっちにも後で行ってみようか
今はとりあえずゴールを目指そう


フィリア・セイアッド
「アイビス」で参加
螺旋階段みたい
ふふ お姫様が降りてきそう
アルジェントさんもオーロさんも 気をつけてね?

【WIZ】を選択
優しい音楽にも聞こえる歯車のリズムに
つられたように笑顔になって
オルゴールの中にいるみたいね
うん リズムに気をつければちゃんと前に進めそう
軽い足取りで上っていく友人に一歩遅れて
レイン待って …あら、この辺りはもう葉桜に…
ほんわか周りの景色を眺めていると 
逆回転の歯車に連れられて違う場所に行きそうに
慌てたレインに手を引かれて目をぱちくり
?さっきまでこの歯車であっていたのに
不思議ね?と首をこてん
迎えにきてくれてありがとう と笑った後は
余所見はせずリズムと歯車の向きを見て上へ進む



 天を衝くような桜の大樹へ、複雑に絡まり合い階層を形成する巨大歯車。その、不協和音を奏でる事無く、整然とひとつの機構として成り立つ様子を見たレイン・フォレスト(新月のような・f04730)は「すごいな」と呟き、微かに口の端を上げる。
「……こう言う機械物、割と好きなんだよね。ちょっとワクワクする」
「ええ、まるで螺旋階段みたい。……ふふ お姫様が降りてきそう」
 レインの隣で、うっとりと春空の瞳を和らげるフィリア・セイアッド(白花の翼・f05316)もまた、無機と有機が織り成す迷宮の光景に見惚れているようだ。しかし、此処からが冒険の本番だと気合を入れ直し、双子の新入生たちに優しく声を掛けた。
「アルジェントさんもオーロさんも、気をつけてね?」
「はい! 皆さんの動きを見て、頑張って進みますね」
 ――双子たちは今までの道程を経て、その顔つきも確りしたものになりつつある。そんな中で一行は、歯車の途切れた、踊り場を思わせる石造りの足場で小休止しつつ――これからの難所を攻略するべく、真剣な様子で顔を突き合わせていた。
「うーん……これが巨大な楽器だと思えば、演奏するみたいに音を掴めそうだけど」
 歯車の回転する音に耳を澄ませ、一定の旋律を聞き取ろうとしているのはレイン。思案するように呟く彼女は無意識に、コインの飾りがついた漆黒のチョーカーを指で撫でているようだ。
「ふふ……まるで、オルゴールの中にいるみたいね」
「! それだ、フィリア!」
 と、身に着けていれば、勘が冴えると言うチョーカーのジンクスが早速発揮されたのか――優しい音色に笑顔を浮かべるフィリアの言葉に、思わずレインは力強く頷いていた。そう――この歯車迷宮を、巨大なひとつのオルゴールに見立て、リズムに合わせて回転する歯車を見極めていけば。
「そうだ……一見無関係に見える歯車でも、音楽で繋がっている筈だから」
 ――テンポに合わせて加速したり、減速したり。逆回転になる時の一瞬に気をつければ、上手く登っていけそうだ。最初はリズムを確かめるようにしてそろりと、少し歯車を飛び越えたレインは、其処で確かな手応えを感じたようで――直ぐにフィリアへ手を差し出し、凛とした相貌に笑みを浮かべた。
「フィリア、こっち、大丈夫そうだよ」
「……うん、リズムに気をつければちゃんと前に進めそう」
 手と手が触れ合う中、フィリアも花綻ぶような笑みを返して。しかし、軽やかな足取りで上手く足場を乗り越えていく友人には、どうしても一歩遅れてしまう。
「レイン待って……あら、この辺りはもう葉桜に……」
「……って、フィリア、そっちは危ないよ、ダメだ」
 歯車の間から、切れ切れに覗く桜の枝――淡い紅と緑の葉が混ざり合う、そのあわいをほんわりとフィリアが眺めていると。突如降り立った歯車が逆回転を始め、そのまま彼女は全く違う場所へ連れて行かれそうになる。
 ――その直前、その手を掴んで引っ張ってくれたのはレインだった。
「? さっきまでこの歯車であっていたのに、不思議ね?」
「まあ、突然リズム変わるからね、ここ」
 こてん、と首を傾げて瞳をぱちくりさせるフィリアの前には、慌てた様子で手を取るレインの姿があって。自分の身を案じてくれたその友人の様子に、フィリアは人懐っこい笑みを浮かべつつ礼を述べた。
「迎えにきてくれてありがとう、レイン」
「まあ、もし歯車を止められるなら、あっちの方にも後で行ってみようか」
 ――だから今は、余所見はせずにリズムと歯車の向きを見て、上へ。フィリアの紡ぐ優しい歌声を伴に、桜の天辺目指して、駆けて行こう。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

リル・ルリ
■櫻宵/f02768
アドリブ等歓迎

わぁ、ここに登るのか
すごいけれど
飛ぶと危ないなら僕
移動手段がない

尾鰭だから
浮力を封じれれば陸上で、自力で移動事すらできない
なんて役立たずだと肩を落とす

櫻宵の言葉に顏を煌めかせ
頼もしさに微笑む
君が抱いて登ってくれるというなら
僕は、君が足を踏み外さないよう、歯車のリズムを読んで歌としてリズムを刻もう
落ちないようしっかり櫻宵の首に腕回して掴まって
危ない時は「氷楔の歌」で凍らせわずかでも動きを止めてみる
櫻宵は、不器用だからな
僕がしっかりしなきゃ!

跳ねる度に
上へ上がる度に
心が踊る
まだ見ぬ桜の上の光景に――

ねぇ、櫻!
もっと高く、はやく!登ってみせて!
僕ももっと、歌うから!


誘名・櫻宵
🌸リル/f10762
アドリブ等歓迎

恋人同士
なんかむずがゆいわね
恋人初の共同作業、かしら?

それにしてもすごい歯車だわ
リィの可愛い尾鰭が巻き込まれないか心配だし……もう!気にしないの!
リィ、あたしが抱っこしていってあげる!

あなたは歌って頂戴
歯車のリズムを、聴き分けて導いて
得意でしょ?

愛しの人魚を抱え彼の歌に合わせ剣舞を舞うようにダッシュで駆け抜けましょう!
それでも登れなさそうな所は空中戦でジャンプして「鶱華」で駆け抜けるわ
ああでも桜は傷つけたくないから気をつけなきゃね
しっかりつかまってるのよ、リィ!
何があってもあなただけは守ってみせるからね!

桜の天辺は一体どうなっているのかしら!
楽しみね、リィ!



 伝説の桜の木の下で、永遠の誓いを交わしたふたり――誘名・櫻宵(屠櫻・f02768)と、リル・ルリ(瑠璃迷宮・f10762)が共に挑むのは、噛み合う歯車が音楽を奏でる地下迷宮だ。
(「恋人同士……なんかむずがゆいわね」)
 桜の花びらの数だけ、好きだと言葉を重ねていった直後のこと。だとするとこれが、恋人初の共同作業となるのだろう。嗚呼、共同作業――其は何と甘美な響きであることか。
「ここを登って行くのか……櫻宵、どうしたの?」
「はっ、いいえ何でもないわリィ! ……それにしてもすごい歯車だわ」
 うっとりと頬を桜色に染めていた櫻宵であったが、此方を心配そうに覗き込んでいるリルの姿を見て、慌てて気合を入れ直す。
「そう、リィの可愛い尾鰭が巻き込まれないか、心配なのよ!」
「うん……飛ぶと危ないなら、僕……」
 ――キマイラであるリルの姿は、尾鰭が揺らめくお伽噺の人魚のよう。普段は、浮力でゆらゆら宙を泳ぐように移動しているものの、此処では歯車と桜の大樹が空間を狭めており、自由に空を舞うとはいかないだろう。
「……浮力を封じられれば陸上で、自力で移動することすらできない」
 なんて役立たずだ、と肩を落とすリルの姿は、今にも儚く消えてしまいそうな程で――途端に、櫻宵の胸が張り裂けそうになる。けれど、桜に誓ったではないか。泡になんてさせない、ずっと一緒に居て、と。
「もう! 気にしないの! リィ、あたしが抱っこしていってあげる!」
 ――だから櫻宵は、花霞にけぶる瞳をきゅっと引き締めて、華奢なリルの身体を姫抱きにした。
「だから、あなたは歌って頂戴。歯車のリズムを、聴き分けて導いて……得意でしょ?」
 そして続く言葉に、ぱっと顔を煌めかせたリルは、頼もしい櫻宵の姿に微笑んで――お姫様抱っこは少々気恥ずかしかったけれど――落ちないように確りと、彼の首に腕を回して掴まった。
(「ああ、君が抱いて登ってくれるというなら、僕は」)
 ――軽やかに跳躍する櫻宵の姿は、リルを抱きかかえているとは思えないほど。そうして桜の根を飛び越えて、歯車の元へと着地をすれば――ごぅん、ごぅんと一定の韻を刻むその音色を、瞬く間にリルが読み取って歌にしていく。
(「……君が足を踏み外さないよう、リズムを刻もう」)
 あおあおと茂る葉桜の枝を、玲瓏たる歌声がゆっくりと震わせていくと、愛しの人魚を抱えた桜の龍人は舞うように歯車の群れを駆け抜けていって。硝子の音色が、導くようにきらきらと輝きを増す中で――櫻宵の呼ぶ花嵐が吹き荒れ、直後彼は一息に歯車の連なりを飛び越えていた。
「ああ、でも桜は傷つけたくないから気をつけなきゃ――って!」
 しかし其処で、足場の近くに桜の新芽があったことに気づいた櫻宵が、態勢を崩しそうになる。傾ぐ身体が歯車に巻き込まれそうになったその時、氷華の月下美人が咲き乱れて歯車を凍らせた。
「櫻宵は、不器用だからな……僕がしっかりしなきゃ!」
「あら、頼もしいわリィ。ええ、一緒に……しっかりつかまってるのよ!」
 リルの紡ぐ氷楔の歌で、咄嗟の危機を乗り越えた櫻宵は、彼を抱きしめる手に力を込める。そう、何があっても、あなただけは守ってみせるから――ふたりの呼吸が重なり合っていく中、口ずさむ歯車の歌は、螺旋を描くようにして上へ上へ。
(「跳ねる度に、上へ上がる度に、心が踊る」)
 ――まだ見ぬ桜の上の光景に、次第に近づきつつあることを感じ取ったリルは、興奮した様子で櫻宵に呼びかけた。
「ねぇ、櫻! もっと高く、はやく! 登ってみせて! 僕ももっと、歌うから!」
「ええ、任せて頂戴! 桜の天辺は一体どうなっているのかしら! 楽しみね、リィ!」

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

ピリカ・コルテット
シュガーちゃんと同行
アドリブ大歓迎!

これ、てっぺんまで登るんだね……。
地下に来て木登りって、何だか不思議!
とは言え登り切らないと何も進まないよねっ!
シュガーちゃんと力を合わせて頑張ろう~!

戦闘もなさそうだし、歯車渡りに専念しながら進みます!
歯車のリズムや規則性、その変化にも注目して常に先を読みつつ
故郷の山登りなら慣れた物だけれど、こういうタイプは慎重に慎重にっ

シュガーちゃんに追いつけるよう適度に急ぎながら
瞬間的なスピードが必要な時は、【桜剣解放】の力を使っちゃおう!
競争も楽しいけど、足を滑らせたり歯車の罠にかかったりしない様に、注意しながら進もうねっ!

お互い上手に助け合いながら進めるといいなっ


シュガー・ラビット
ピリカちゃんと同行
アドリブ大歓迎

【目的】ピリカちゃんと力を合わせて迷宮を進んでいくよ!

【心情】
わー!いろんな速度で回る歯車がいっぱいっ!楽しそう〜♪

こういうエリアは任せて!
うさぎのキマイラだから、運動神経には自信があるんだよ〜。

程よくピリカちゃんのサポートが出来たらいいなっ!

【行動】

「ピリカちゃん、どっちが先に歯車を渡り切るか競走しようよ!」

私は歯車を楽しく渡って行くためにお茶目な提案をしていくよ!

それぞれの速度で回る歯車…。
しっかり観察して、ステップ踏んでいきたいねっ

ぴょんぴょんぴょーん♪って、きゃあ!?

(歯車を渡る中で2人にハプニングが起こるとたいへん美味しいです…!よろしくお願いします)



 わー! と複雑に噛み合う歯車の迷宮を前に、シュガー・ラビット(白くて小さなふわふわ☘️・f02321)のおっとりした歓声が、冒険のはじまりを告げる。
「いろんな速度で回る歯車がいっぱいっ! 楽しそう~♪」
「でもこれ、てっぺんまで登るんだね……」
 重なり合って幾つもの階層を形成する巨大歯車は、その流れを滞らせること無く、ひとつの音楽を奏でていた。しかし、天辺までの道程は遠く――マイペースが信条のピリカ・コルテット(Crazy*Sunshine・f04804)は、急き立てられるように進まねばならない現実に、へにょりと狐耳を伏せて溜息を吐く。
「とは言え、登り切らないと何も進まないよねっ! シュガーちゃんと力を合わせて頑張ろう~!」
「うんうん、その意気だよ、ピリカちゃん♪ こう言うエリアならわたしに任せて!」
 けれど、シュガーの励ましもあって元気を取り戻したピリカは、狐耳をぴこーんと立てて拳を握りしめて。そんな彼女のサポートが出来ればと、シュガーも頬に手を当てて、にっこり微笑みながら歯車の元へと駆けて行った。
「うん、邪魔をする敵は居なさそうだし、歯車を渡るのに専念出来そう」
「あ……じゃあ、ピリカちゃん。どっちが先に歯車を渡り切るか、競走しようよ!」
 そうして桜の大樹を柱に、螺旋階段のように組み合わさっている歯車を見上げて――シュガーが提案したのは、迷宮を楽しく攻略する為の、お茶目なスパイスだ。
「競争……うう、緊張するけど、頑張るっ!」
 ――落ち着いて慎重に、と考えていたピリカは、突然のタイムアタック要素に身体を強ばらせていたけど。しかしシュガーは自分を案じて、急ぐ楽しさのことも考えてくれたのだろう。たぶん。
「えへへ、運動神経には自信があるんだよ~」
 そう言って、ひらりと身を翻したシュガーは、兎の耳と尾を愛らしく揺らして――まるでピリカを導くようにして、歯車の足場をぴょんぴょんと飛び越えていった。
(「それぞれの速度で、回る歯車……しっかり観察しなきゃ」)
 踊るようにステップを踏むシュガーに続いて、ピリカも先を読むように意識をしつつ、歯車の動きに合わせて跳躍を繰り返す。そのリズムや規則性、一定の間隔で変化する回転――故郷での山登りなら慣れているけれど、こうしたギミックがあるものは、慎重第一だ。
(「それにしても、地下に来て木登りって……何だか不思議!」)
 ――歯車と桜の木が織り成す風景も、可愛い白うさぎを追いかけ迷宮を駆けのぼっていく状況も、何だか童話の世界に迷い込んでしまったかのよう。そんな風に考えると、この追いかけっこもわくわくしてきて――ピリカはシュガーとの距離を詰めるべく、妖刀を翳して桜竜の加護を纏うことにした。
「よし、プリム、いっくよーっ♪」
 春を呼び桜花舞う中で、瞬間的に加速したピリカは一気に、シュガーの後ろへ肉薄したのだが――勢いがつき過ぎていたようだ。
「ぴょんぴょんぴょーん♪ って、きゃあ!?」
「わ、わあ、シュガーちゃん避けてー!」
 優雅に歯車を駆けるシュガーと衝突したピリカは、そのまま彼女と密着し、あろうことか噛み合う歯車の間に滑り落ちてぎゅうぎゅうと抱き合うような恰好になっていた。
「う、ピリカちゃんって、スタイルいいなぁ……じゃなくて!」
「ご、ごめんね! ……ふぅ」
 ちょっぴり恥ずかしいハプニングもあったが、どうにか歯車の隙間から脱出したふたりは、どきどきと高鳴る胸を押さえつつ気合を入れ直す。
「……競争も楽しいけど、足を滑らせたり歯車の罠にかかったりしない様に、注意しながら進もうねっ!」
 ――そう、こんな風に時折笑いながら。お互い上手に助け合いながら、進んでいけるといい。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

エスパルダ・メア
悪友のライオット(f16281)と

探索の始まりってことは、ここからが本番な
奢って貰った桜餅を美味そうに飲み込んだら、新入生二人とそれから歯車を見て

なあお二人さん、できないことがあるときってどうする?
オレはこうする

なあ王子ー
オレこれ無理だわ、リズム感とか一切ねえわ、助けてプリーズ

王子は悪友を茶化して呼ぶときのあだ名
だってなんか王子っぽいだろ

了解、任せとけ
ライオットがくれるタイミングに頼って、道はオレが見定める
――右、右、左、前。跳ぶぜライオット。せーの!
ダンスって、と呆れ顔
割と発想は突飛だよなお前
オレ踊れてたか?そりゃお前のお陰

無事渡ったらハイタッチ
助かったぜ、相棒


ライオット・シヴァルレガリア
悪友のエスパルダ(f16282)と

ダンジョンの探索か
冒険の始まりのようでワクワクしてしまうね
新入生2人のお手本になれるように頑張るよ

エスパルダが新入生にかけた言葉を聞けば、すぐに彼の意図を察して
……分かった、エスパルダ
僕がリズムを教えるよ
その代わり、進路は君が決めて欲しい

歯車の刻むリズムをメトロノームのように声で伝えて、彼の助けになろう
エスパルダからジャンプの合図があれば跳んで、彼に合わせて進んでいくよ
やっぱりダンスは楽しいね
こんなにスリルのあるダンスは初めてだ

ステップを踏むのは得意なんだ
君のダンスもなかなか素敵だったよ

無事に渡り終えたら、相棒とハイタッチを



 ――うららかな春を閉じこめた、桜舞う迷宮でのひと時が過ぎて。次に足を踏み入れたフロアでは、春の名残を微かに漂わせる、葉桜となった大樹と巨大な歯車がライオット・シヴァルレガリア(ファランクス・f16281)達を出迎えた。
「ダンジョンの探索か……冒険の始まりのようで、ワクワクしてしまうね」
「ああ、ここからが本番だな……むぐむぐ」
 柔らかな笑顔を浮かべつつ、歯車の奏でる重厚な音楽に耳を傾けるライオットに頷き、エスパルダ・メア(ラピエル・f16282)は餡子たっぷりの桜餅を美味しそうに頬張っている。
「って……まだ食べてたんだ、エスパルダ」
 勝負のご褒美に悪友から奢って貰ったそれを、幸せそうに飲み込んだ後で――エスパルダは不敵なまなざしで、新入生の双子と迷宮の歯車を、順に見つめながら告げた。
「なあお二人さん、できないことがあるときってどうする?」
「「え?」」
 ――急に話を振られたアルジェントとオーロが、顔を見合わせて首を傾げていると。エスパルダは「オレはこうする」とばかりに、ライオットの方を振り向いて大仰に肩を竦めたのだった。
「なあ王子ー。オレこれ無理だわ、リズム感とか一切ねえわ、助けてプリーズ」
「お、王子……?」
 と、双子たちは、ライオットが王子と呼ばれたことの方に注目したらしい。ああ、と苦笑したエスパルダは、彼を茶化して呼ぶ時のあだ名なのだと言って、悪友を指さした。
「……だってなんか王子っぽいだろ」
 ――長身に金髪碧眼、そして優雅な物腰のライオットは確かに、お伽噺に登場する王子様のようだ。別に、本当に何処かの王族だと言う訳ではないのだけれど――そう前置きして彼は、脇道に逸れてしまった話の軌道修正を試みる。
 そう、自分たちが新入生たちのお手本になれるように頑張らないと。そしてライオットは、エスパルダが「オレには無理」と言った意図を直ぐに察して、ゆっくりと頷いた。
「……分かった、エスパルダ。僕がリズムを教えるよ。その代わり、進路は君が決めて欲しい」
「了解、任せとけ」
 ――ふたりが頷きを交わすと同時、辺りに漂う空気が一変する。まるで戦場の中を、互いに背中を預けながら駆け抜けていくかのような、高揚感に満たされていく。
(「歯車の刻むリズムを、メトロノームのように刻んで。……声で伝えて」)
 無情に回り続ける歯車の間隔、その回転が切り替わる瞬間を捉えたライオットが、鋭く叫んだ。
「――右」
 相棒の、エスパルダの助けとなるべく紡がれた合図に沿って、見定める道――そんなライオットの送ってくれたタイミングを頼りに、エスパルダは紙一重の絶妙な位置取りで、歯車の難所を次々に攻略していく。
「右、左、前――」
「よし、跳ぶぜライオット。せーの!」
 ――そして青の瞳が交差する中、合図と同時にふたりは跳んだ。鈍色の歯車に時折過ぎる、鮮やかな葉桜を視界の端に過ぎらせて、見事に息の合った着地を決めたライオットは、隣の悪友に爽やかな笑みを見せる。
「やっぱりダンスは楽しいね。こんなにスリルのあるダンスは、初めてだ」
「ダンスって……割と発想は突飛だよな、お前」
 呆れ顔で返したエスパルダは、けれど無事に渡り終えたことへ感謝しつつハイタッチを決めて。こうして自分に足りない――出来ない部分を補ってくれる相棒の大切さが、双子たちにも伝われば良いと願っていた。
「ステップを踏むのは得意なんだ。君のダンスもなかなか素敵だったよ」
「オレ踊れてたか? ……そりゃお前のお陰だな」
 ――いつかこうして、遠慮せずに何でも言い合える存在が、彼らにも出来るように、と。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

ヴォルフ・ヴュンシェン
同行者:マリアドール・シュシュ(f03102)
呼称:マリア

「音に注意した方が良さそうか」
マリアと一緒に助け合いながら目指す
音を聞き、また目視で歯車の速さを都度確認
【ダッシュ】で駆け抜けたり、
「エスコート役としてはあまり上品ではないが」
場合によってはマリアを抱えて走るし、段差がある箇所は先行し、マリアをフォローする
マリアの能力が重要な箇所は彼女を頼る
「俺もこの世界の生まれではあるんだけど、やっぱりまだ知らないことは沢山ある」
この迷宮もサクラも知らなかった

途中休憩は挟む
「適度に休まないと集中力落ちて危険だからな」
休憩中はマリアと上を見上げてのんびり話す
「上は見晴らし良さそうだ
マリアは高い所平気?」


マリアドール・シュシュ
ヴォルフ◆f13504と
アドリブ◎

迷宮内の桜を見るのも、歯車の迷宮を往くのも初めて!(星芒の眸が煌く
まぁヴォルフも?
ならば初めてを沢山紡ぎましょう
ええ、よーく耳を澄まして上へ上へと進むのよ(ヴォルフの髪についた花弁を抓み

歯車の回転確認しどのルートが危険度が低いか考える(情報収集
ヴォルフの気遣いに感謝し歯車にトンっと乗る(ドレスが広がる
リズムに合わせ口遊む
ヴォルフに手差し出し踊る様に上る(歌唱・パフォーマンス

足滑らせるもヴォルフに抱えられ事無き得る
休憩中は歯車に座り足をぱたぱた

ヴォルフは頼りになるのよ
状況もよく見ているし
マリアは高い場所も大好きよ!
そこから眺める景色も、この空気も(天高く手伸ばし



 魔法学園の地下に広がる、広大な迷宮――刻一刻と姿を変えると言われる其処へ、優雅に一歩を踏み出したのはマリアドール・シュシュ(蜜華の晶・f03102)だ。
「まぁ……不思議!」
 ――自然と機械が絡まり合って空へと延びていく、幻想的な風景。それを目にした少女の星芒の眸がきらきらと煌き、レースで彩られた夜空色のドレスが豊かに波打つ。
「迷宮内の桜を見るのも、歯車の迷宮を往くのも初めて!」
「ああ、俺もこの世界の生まれではあるんだけど、やっぱりまだ知らないことは沢山ある」
 無邪気に微笑むマリアドールを見守る、ヴォルフ・ヴュンシェン(願う者・f13504)がゆっくりと頷くが、そのまなざしには微かな翳りが差していた。
「……この迷宮もサクラも、知らなかったな」
「まぁ、ヴォルフも?」
 ――そうして、無意識に腹部を押さえていた手をそっと離すと、ヴォルフの目の前には此方を見上げるマリアドールの姿があって。
「ならば初めてを、沢山紡ぎましょう」
 りぃんと澄んだ鈴の音を思わせる彼女の声が、過去に沈みかけたヴォルフをすくい上げていくと――ふたりは共に助け合いながら、歯車の迷宮へと挑む決意を新たにした。
「さて……先ずは、音に注意した方が良さそうか」
「ええ、よーく耳を澄まして上へ上へと進むのよ」
 ――巨大な歯車が奏でる、荘厳な音色に耳を澄ませ。歯車の回る速度を、目視で確認して。そうして、どのルートを進めば一番危険度が低いのかを、ふたり一緒に考えていく中で、マリアドールの指先がヴォルフの髪に落ちた花びらを抓む。
「桜の花びら……何だか、マリア達を誘っているみたいね」
「ああ、未だ花をつけている個所も、所々にあるようだが……」
 囁くふたりがふと顔を上げると、はらはらと花びらが舞い降りて来て――その道程を見つめる瞳が、ぱっと輝きを増した。
「ね、ヴォルフ、この道を行ってみない?」
「……そうだな。エスコート役としては、あまり上品ではないが、良かったら」
 最初の難所を上手く越えられれば、後はわりあい進み易そうだと判断したヴォルフが、そっと手を差し伸べてくれる中で。彼の気遣いに感謝したマリアドールは、ドレスをふわりと広げて、とんと軽やかに歯車の上へと足を乗せた。
「宜しくね、ヴォルフ。……リズムを掴むのは任せて」
 直後――マリアドールを抱えたヴォルフは、複数の歯車で形成された足場を一気に駆け抜け、回転のタイミングを見極めて段差を飛び越える。
(「ここで、加速……そして、逆回転」)
 ――歯車が切り替わる合図を知らせるのは、マリアドールが口遊む澄んだ旋律。やがて踊るようにヴォルフの腕から飛び出した少女は、此処からは一緒に行こうと誘いの手を差し伸べた。
「きゃ……っ!」
 途中、足を滑らせそうにもなったけれど、ヴォルフに抱えられ事なきを得たりして――そうして、休憩地点まで辿り着いたマリアドールは動かない歯車の上に座り、足をぱたぱたさせて寛ぐことにする。
「適度に休まないと、集中力落ちて危険だからな」
「そうね……でも、ヴォルフは頼りになるのよ。状況もよく見ているし」
 そんなのんびりとした会話を楽しみながら、時折上を見上げ、未だ見ぬ天上の光景に想いを馳せたりするのも、また楽しいひと時だ。
「……上は見晴らし良さそうだ。マリアは高い所平気?」
「ええ、マリアは高い場所も大好きよ! そこから眺める景色も、この空気も」
 そう言って、天高く手を伸ばしたマリアドールの元へ、再びはらりと桜の花びらが舞い降りてくる。――ああ、この歯車を越えた先には、どんな光景が広がっているのだろうと、目を細めてヴォルフは吐息を零した。
(「ただ今は願い、前に進む……それだけだ」)

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

小鳥遊・散夜
姉・咲夜(f00865)と共に

数在る桜花に佇んでいたとしても
此の瞳に彼女が映れば一目で判る
咲夜…此処に居たのね
愛おしい姉、桜色の頬に指を滑らせる
一人で危険な場所へ行っては駄目よ
貴方という存在は此の世にたった一人だけなのだから

翼が不可ならば地道に登っていくしかない
音感の良い私達なら大丈夫
歯車の刻まれる速度から拍子を捉え
次の足場へ軽やかに跳ねる
姉の跳躍する姿は小動物のようで可愛らしい

途中邪魔な枝葉を刀で落とそうとするも
咲夜に止められ鞘へと戻す
そうね…あなたの言う通りだわ

常に彼女のか細い指を握り先導
転倒しそうになれば腕を引き、腰を引き寄せ
貴方は昔からよく転ぶのだから気をつけて
さあ…頂上までもう一息よ


東雲・咲夜
ちるちゃん(f04665)と

振り向けば美しい黒髪に深紅の双眸
あや……ちるちゃん?
頬に触れる手はいつもと変わらず優しくて
思わず瞳を細めてしまいます
心配させて堪忍え…せやけど、来てくれはって嬉しい

木登りは随分昔きりやから自信あらへんけど
あ…ちるちゃん、枝を折るんはやめておくれやす
桜は適期以外に切らはると病気になりやすいから
出来れば傷つけとうないの
気ぃつこてくれはっておおきに

歯車が歌ってはると思えばなんや楽しゅうて
ダンスの要領で軽やかに足を運び、飛び越えます
せやけど運動神経がええ訳とちゃいますから
つんのめってしもたらちるちゃんに支えられ

近づいたお顔がお人形さんみたいに美しゅうて
なんや顔が熱いです…!



 ――足を踏み入れた其処は、桜花と歯車が織り成す幻想迷宮。葉桜へと変わりつつある大樹の枝に、時折過ぎる淡い花びらを目で追いながらも、小鳥遊・散夜(椿舞の巫女・f04665)の瞳は確りと、愛しき姉の姿を捉えていた。
(「……数在る桜花に佇んでいたとしても、此の瞳に彼女が映れば一目で判る」)
 今まさに、巨大な歯車へ挑もうとしている後ろ姿――春の風にそよぐようにして揺れる、桜銀糸の髪に誘われるように、散夜の細い指先がゆっくりと伸ばされていく。
「咲夜……此処に居たのね」
「あや……ちるちゃん?」
 自分を呼ぶ静かな声に、咄嗟に振り向いた東雲・咲夜(桜歌の巫女・f00865)の――その柔らかな桜色の頬へ、ぷにりと散夜の指が滑っていって。いつもと変わらない優しい手の感触に、思わず咲夜が目を細めると、しっかり者の妹は深紅の双眸を瞬かせて、きっぱりとした口調で彼女に告げた。
「一人で危険な場所へ行っては駄目よ。……貴方という存在は、此の世にたった一人だけなのだから」
「心配させて堪忍え……せやけど、来てくれはって嬉しい」
 それはぽやぽやした所のある咲夜へ、自分の身を大切にして欲しいと願う一心での忠告だったが――素直に感謝を口にされると、どうにもくすぐったい。無垢な咲夜の微笑みに、ふわりと釣られそうになる己を律しつつ、散夜は迷宮に連なる歯車へと向き直る。
「……と、これを登っていけばいいのね。翼が不可ならば、地道にいくしかないけれど」
「木登りは、随分昔きりやから自信あらへんけど……」
 ――そう言えば咲夜は、幼い頃はお転婆な所もあったか。それでも、音感の良い私達なら大丈夫だと散夜は頷いて、一定のリズムで回る歯車の足場へ向けて一息に跳躍した。
(「歯車の刻まれる速度……其処から拍子を捉えて」)
 剣舞を披露するように、足運びにも気を遣いつつ――散夜のまなざしは次の足場を確りと見据え、軽やかに跳ねる。そんな凛然とした佇まいの散夜とは反対に、姉の咲夜がぴょこぴょこと跳躍を繰り返す様は、まるで小動物のように可愛らしい。
「……ここの枝葉は、邪魔ね」
 そんな中で、飛ぶ際に袖を引っかけてしまいそうな桜の枝を見つけた散夜は、霊刀を一閃させて斬り落とそうとしたものの――。
「あ……ちるちゃん、枝を折るんはやめておくれやす」
 きっぱりとした咲夜の制止する声を聞くと同時、素早く刀を鞘へと戻した。
「桜は、適期以外に切らはると病気になりやすいから……出来れば傷つけとうないの」
「そう、ね……あなたの言う通りだわ」
 気ぃつこてくれはって、おおきに――そう言って、はんなりとした笑みを見せる咲夜の手を握り、桜と椿の姉妹は踊るように歯車を飛び越えていく。
(「歯車が歌ってはると思えば、なんや楽しゅうて」)
 地下迷宮の中でも、立派に聳える桜に敬意を抱きながら、神楽を捧げるように咲夜が舞った。――しかし、運動神経自体は、そう良い訳ではないと言うのが彼女の弁だ。段差に足を引っかけ躓きそうになったりもしたが、其処ではすかさず散夜が腕を引いてくれた。
「ああ、貴方は昔からよく転ぶのだから気をつけて」
「わ、すんまへん……ちるちゃん」
 ――腰を引き寄せられて抱えられ、飛び込んできた散夜の相貌は、人形のように美しくて。何やら熱を持ってきた咲夜の顔を、涼しげな散夜の声が優しく撫でていく。
「さあ……頂上までもう一息よ」

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

呉羽・伊織
清史郎(f00502)と

改めて見上げると壮観だな
こりゃ天辺からの光景も楽しみだ

双子もまた一緒に
エスコートはお任せあれ!(緊張和らぐように笑いかけ)
桜の加護もあるとなれば百人力
満喫完遂とも誓ったからにゃ、成し遂げてみせるとも!

そーいや清史郎は円舞とかどう?
不束なりに頑張るつもりだケドも
そんじゃいざって時は手取り足取り頼もーか(頼りにしてると笑い返し)

折角の舞台――花舞う景色や歯車の旋律も楽しみつつ進めるよーに、ちょいと下調べを
聞き耳立て細やかな音まで拾い、歯車の動きも観察
緩やかに進める経路がないか情報収集

フォローは清史郎と合わせ然り気無く
双子の力伸ばすように

力合わせた先の光景は、きっと一段と――


筧・清史郎
伊織(f03578)と

桜を愛でる時は、大抵見上げてばかりだからな
天辺では新鮮な景色が楽しめるかもしれん
だが、余所見して足元を掬われぬよう、油断せず参ろうか
「誓いが絶対になる伝説の桜に約束したからな。胸を張って参ろう」(双子に笑み

舞は嗜んではいるが、伊織に遅れを取らぬよう心して参らねばな(微笑み
二人手を取り合い円舞というのも、悪くはないかもしれんぞ?(くすりと
見切りで歯車のリズム等を上手く掴み、経路選択も慎重に

双子には、己の力で成した喜びを知って欲しい故に
基本見守り、フォローはさり気なく
前向きな声掛けは常に
「なかなか順調だな、この調子で参ろう」

さて、この桜色を昇りつめた先には、何が待っているのか



「改めて見上げると、壮観だな」
 白磁の肌を滑り落ちる黒髪を無造作にかき上げて、呉羽・伊織(翳・f03578)は地下迷宮に根を下ろす、桜の大樹を視界に収めていた。
「ああ……桜を愛でる時は、大抵見上げてばかりだからな」
 その隣で雅やかに微笑む、筧・清史郎(ヤドリガミの剣豪・f00502)もまた吐息を零しつつ――絡繰仕掛けの歯車が階となる、遥かな頭上へと瞳を凝らす。
「ふむ、天辺では新鮮な景色が楽しめるかもしれん」
 だなぁ、と未だ見ぬ光景に想いを馳せる伊織は、双子の新入生たちに笑みを向けると、彼らの緊張が和らぐように胸を叩いてみせた。
「また一緒に、エスコートはオレ達にお任せあれ!」
「……だが、余所見して足元を掬われぬよう、油断せず参ろうか」
 先程の歓迎会で、伝説の桜の樹に誓ったように。これから挑む迷宮を、皆で無事に攻略出来るように――桜の加護もあるとなれば百人力だ、と不敵に笑う伊織へ、清史郎も桜花散らす扇を、ぱちりと鳴らして同意する。
「誓いが絶対になる、伝説の桜に約束したからな。胸を張って挑むとしよう」
 ――そう、満喫完遂とも誓ったからには、成し遂げてみせる。そうして、桜の幹を取り巻くようにして噛み合う歯車へと目を向けたふたりは、刻む旋律に耳を傾けながら軽い調子でステップを踏んだ。
「そーいや、清史郎は円舞とかどう? オレは不束なりに頑張るつもりだケドも」
「舞は嗜んではいるが……伊織に遅れを取らぬよう、心して参らねばな」
 ああ、何となく得意そうな気はしてた――優美な微笑みを浮かべる清史郎に、納得した様子でそう応えた伊織は、迷宮の下調べを行いつつ更に言の葉を綴っていく。
「そんじゃ、いざって時は手取り足取り頼もーか」
「分かった。だが、二人手を取り合い円舞というのも、悪くはないかもしれんぞ?」
「じゃあ、頼りにするから宜しくな?」
 ――くすくすと笑いさざめく声はまるで、木々の葉擦れの音のよう。折角のこの舞台――花舞う景色や、歯車の旋律も楽しみながら進めればと願う伊織は、細やかな音もひとつひとつ拾って吟味して、迷宮攻略の足掛かりにしていった。
「歯車の動き……も見て、緩やかに進めそうな経路は、こっちか」
 やがて、清史郎と伊織が共に導き出した道程を、双子に指し示すと――彼らは慎重に、見守られていることに安堵しながら、回る歯車を順に飛び越えていく。
「よし、いい感じだ。……勢いをつけて一気に行った方が、タイミングも取りやすいからな」
 ――何かあったら、すぐに助けられるように待機しつつも、フォローはあくまでさり気なく。双子の力を伸ばすよう、前向きな声掛けを行うことも忘れない。
「なかなか順調だな、この調子で参ろう」
 彼ら双子には、己の力で成した喜びを知って欲しいから――優しく背中を押すような清史郎たちの声に励まされ、アルジェントとオーロの顔にもいつしか笑顔の花が咲いていく。
「……ふふ、何だかこうして皆で一緒に進むのって、楽しいですね」
 更に天辺からはひらひらと、彼らを誘うように桜の花びらが舞い降りて、歯車の上での円舞へ彩を加えていった。ほら、共に手を取り合ってエチュードを導いて行けば、紡がれる縁はより深く――色褪せない友情へと姿を変えていくから。
「さて、この桜色を昇りつめた先には、何が待っているのか」
 力合わせた先の光景は、きっと一段と――伊織と清史郎の円舞曲は、まだまだ続いていく。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

三嶋・友
わお
巨大歯車とかまさしくスチームパンク!
そこに桜と旋律まで加わればまさに浪漫の嵐って感じ?
リズムに合わせてダッシュにジャンプに…って、なんかアクションゲームやってるような気分かも!
まあ残機はゼロだから失敗は出来ないんだけどね!

双子の事はそっと見守りながら進んでいくよ
落ちそうになったら受け止めてあげられるように
風の魔法でふわっと援護してみたりね
アルジェントさんはマジックナイト、オーロさんは精霊術士なんだっけ
魔法が役立つのは戦闘だけじゃないよ
色々応用を考えてみるのも楽しいかも!
二人だったらあそこまでの最短、どう動く?

油断は禁物だけど、心の余裕って大事だからね
楽しめるところは楽しんで行っちゃおう♪



 わお、と地下迷宮に聳える歯車と桜の螺旋階段を見上げ、思わず歓声を零したのは三嶋・友(孤蝶ノ騎士・f00546)。その葉桜を震わせ、空へと舞い上がらんばかりの高揚感に――アルジェントとオーロの双子も、何やらそわそわして友の様子を見つめている。
「巨大歯車とか、まさしくスチームパンク! そこに桜と旋律まで加われば、まさに浪漫の嵐って感じ?」
「浪漫の嵐……ですか。成程、桜は浪漫」
 ――例えば歌劇を題材に、心を鋼鉄に武装した乙女たちの戦いが、華やかに繰り広げられたりなんかもして。そんな感じのゲームが友の世界にはあったようなのだが、アルダワ以外の世界を知らないふたりには、二次元萌え(燃え)の概念はちょっと難しいようだ。
「それに、リズムに合わせてダッシュにジャンプに……って、なんかアクションゲームやってるような気分かも! まあ残機はゼロだから、失敗は出来ないんだけどね!」
「ふふ、何だか友さんが話しているのを聞いていると、こっちまで楽しくなってきます」
 あくしょんげーむ、と言うのはどんな感じなのか分からないけれど面白そうですねと、微笑むオーロ。一方のアルジェントは、残機とは一体何なのかと真剣に考えている様子である。
「……はっ、ついついゲームのことを熱く語っちゃったよ。うう、語れそうな人にだけ振るって決めてたのに!」
 うああ、と思わず頭を抱える友であったが、此処でいつまでも悶絶している訳にはいかない。双子たちをそっと見守ると決めたではないか――そんな訳で、直ぐに気を取り直した彼女は、魔力を込めた宝石を握りしめつつ歯車に挑んでいく。
「えっと……アルジェントさんはマジックナイト、オーロさんは精霊術士なんだっけ」
「はい、友さんも魔術を扱うんですよね?」
「うん。でもね、魔法が役立つのは戦闘だけじゃないよ。色々応用を考えてみるのも楽しいかも……っと!」
 と、其処で――ほんの僅か、姿勢を崩して歯車に足を取られそうになったオーロを、友が紡ぐ風の魔法がふわりと受け止めた。直後、宙を掻く筈だった足は確りと足場を捉え、双子はそのまま無事に歯車を飛び越えていく。
「ありがとうございます、助かりました……!」
「……無事で良かった! さて、二人だったらあそこまでの最短、どう動く?」
 ――微笑む友の指先は、歯車の群れが途切れた石の床を指し示していて。直ぐにアルジェントとオーロは気持ちを切り替え、精霊や魔法を使って上手く工夫が出来ないかと、あれこれ相談を始めたようだった。
「油断は禁物だけど、心の余裕って大事だからね。楽しめるところは、楽しんで行っちゃおう♪」

大成功 🔵​🔵​🔵​




第3章 集団戦 『『吸血鬼アルマ』と『受肉のフラジール』』

POW   :    Necrosis
【アルマに対して恐怖】の感情を与える事に成功した対象に、召喚した【浮遊する巨大な目玉】から、高命中力の【生物の体組織を壊死される光線】を飛ばす。
SPD   :    獄
【フラジールの胸の空洞】から【無数の手枷、足枷、鎖】を放ち、【SPDの数値が低い者から順に追尾すること】により対象の動きを一時的に封じる。
WIZ   :    こうやって狩りをしているの
【フラジールが捕らえた対象にアルマの拳】による超高速かつ大威力の一撃を放つ。ただし、自身から30cm以内の対象にしか使えない。

イラスト:春都ふゆ

👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『集団戦』のルール
 記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


 桜の大樹を取り巻く巨大歯車を、まるで螺旋階段を登るように駆け上がっていくと――やがて一行は、桜の天辺に設えられた、歯車の天盤へと辿り着いた。
 巨大な円形闘技場の如きその光景を、更に天へと延びようとする桜の枝が取り巻いていたが、見ればそのあちこちは朽ちて枯れ、切なげに花びらが歯車の床に散らばっている。

 ――くすくす、くすくす。

 その元凶は、直ぐに判明した。出口と思しき扉の前にゆらゆらと立ち塞がる、愛らしき少女と無慈悲な異形の群れ――『吸血鬼アルマ』と『受肉のフラジール』たちだ。
 血を啜る少女と、肉を喰らう人形。相利共生の関係にあるふたりは、ただ互いに利益を求めて共に行動しているに過ぎない。其処に特別な感情は存在せず――だからこそ、想いの強さで打ち勝つことも可能な筈だ。
 ――迷宮のはじまり、伝説の桜の樹の下での誓いを経て、歯車を駆け抜けて。紡がれていったエチュードも、間もなく終わりを迎える。
「見せてやろう……手を取り合い此処までやって来た、自分たちの力を」
 ――隣に立つ誰かとの、絆の強さを。
リンセ・ノーチェ
【Folklore】皆で戦う
アドリブ・連携歓迎

アルジェント、オーロ、蛍輝さん…この場の皆
今日も一杯出会えたなって心あったかい
サヴァーさんと瞳交わせば同じ気持ち
うん
負けない、負けられない
「アルジェント、オーロ…見ていて
一緒に過ごした時間、大切な想い
絶対、力になっていくから」
UC使えば出会った皆が力を貸してくれる
一人ひとりに戦う力がなくても関係ない
僕が皆の心を戦う力に変え敵に挑む
精霊銃とロッドで【フェイント】混ぜ【二回攻撃】を撃ち込んでく
惹きつけては攻撃が届かぬ様【見切り】退って銃を撃つ
ミスしても慌てない、僕はひとりじゃない
ほら、サヴァーさんが…ユーンさんも!
「有難う、ふたりとも!」
うん、勝つよ!


サヴァー・リェス
【Folklore】の皆で
アドリブ・連携歓迎

気づかれなくとも構わないうた…伝わっていた
…嬉しい
リンセと瞳交わせば同じ想い
「リンセ、アルジェント、オーロ…皆も…気を、つけて
…私、助ける、けれど、自分の力も…信じて」
敵陣に散っていく皆を後衛で見送る
…私、護る
絶対に、護る
敵の的にならないよう移動しつつ
主にリンセの立ち向かう敵の攻撃をUCで相殺し続ける
アルジェントとオーロも不慣れだろうから目を配り
UCや【オーラ防御】で護る
【第六感】も頼りに、今、誰が一番私の力を必要としているか見極め適切な助力を

間に合わない…思った、時
ああ…この光は
「ユーン…ありがとう」
嘘のような奇跡はきっと必然
負ける事は、ありえない


ユーン・オルタンシア
【Folklore】皆様と
アドリブ・連携歓迎

友の様子を見に来てみれば危急の様子
UCを素早く撃ち必要ならソードで攻撃を受け止め盾になるか
弓による【援護射撃】で助太刀を
「お疲れ様です、リンセ、サヴァー
そちらがアルジェントにオーロですね
ユーンと申します
さぁ、気を引き締めて参りましょう
私の事はお気遣いなく
存分に力振るわれて下さいませ」

サヴァーと同じく後衛で敵に捕捉されぬ様移動しつつ【援護射撃】
弓つがえるより有効な時はソードによる【属性攻撃】
聖なる光の属性で斬り断ちましょう
敵攻撃は【見切り】回避しつつ

舞踏するより確かに互いの律動を感じ
エチュードは立派なコンチェルトへと
皆様とフィナーレまで駆け抜けましょう


四葉・蛍輝
最後まで双子のフォローをできればと。
他の方との共闘、アドリブ歓迎です。

舞い散る桜の花弁をそっと手に取り(何か今回の思い出になるものを2人に残してあげたいな)と思い花弁を大事に保管する。
(とはいえ、まずは敵を倒すことからだね)と意識を戦闘に集中させる。
「2人なら大丈夫だよ。俺たちもしっかりフォローするから全力で行こう」
2人を安心させるように背中にそっと手を置いて。
「それでは、始めようか」
「ーー対象認証(ロック)ーー」
今回は双子や、他の人達のサポートに回る。
相手の動きをよく見て『ミレナリオ・リフレクション』で皆に攻撃が当たらないように。
攻撃だけじゃない動きも今後の参考になればと。



 舞い散る桜花に導かれ、手を取り合いながら歯車の螺旋階段を駆け上がっていって――辿り着いたのは桜の天辺に広がる、巨大な歯車の円形闘技場。
(「ああ、今日も一杯出会えたな……」)
 迷宮の終わりに待ち受ける、少女と人形のオブリビオン達と対峙しつつも、リンセ・ノーチェ(野原と詩と虹のかげ・f01331)の心は不思議とあたたかかった。
(「アルジェントにオーロ、蛍輝さん……。そして、この場に居る猟兵の皆」)
 リンセの隣には、この冒険を通してちょっぴり逞しくなった、新入生の双子――アルジェントとオーロ、そして共に迷宮を攻略した仲間である、四葉・蛍輝(蛍火・f17592)の姿がある。
 最初は、無表情を崩さない蛍輝へ、冷たい印象を抱いてしまいそうにもなったが――今は違った。人形のような美貌は、ただ己の感情が面に表れないだけのこと。彼はひたむきに、誰かへ優しくしたいと思っており――今も、双子たちを最後までフォローしようと、静かに決意をしているようだった。
「……桜の花びらも、此処で見納めだね」
 はらはらと、春の名残のように降り注ぐ一片をそっと手に取った蛍輝は、その花びらを大切に懐へと仕舞う。それも、何か今回の思い出になるものを、双子たちに残してあげたいと願う一心でのことだ。
(「とは言え、まずは敵を倒すことからだ」)
 ――意識は直ぐに戦闘へ。そんな中でサヴァー・リェス(揺蕩ウ月梟・f02271)は、歯車迷宮でアルジェントの零した言葉を思い出し、微かに瞳を細める。
(「気づかれなくとも、構わないうた……伝わっていた」)
 そのことが彼女には嬉しくて、リンセと瞳を交わせば彼も同じ想いであるらしく、力強く頷いてくれた。最初の一歩を踏み出すのは、とても勇気が要ることだけど――こうして出会い、ゆっくり互いを知っていく時間は、何時しかきらきらと輝く宝石のような、自分にとっての大切な宝物になっていく。
 ――だから、そう。負けない、負けられないのだと、リンセは幻の猫を召喚し、大切な者たちの傍へそっと寄り添わせた。
「アルジェント、オーロ……見ていて。一緒に過ごした時間、大切な想い……それは絶対、力になっていくから」
「ああ、ふたりなら大丈夫だよ。俺たちもしっかりフォローするから、全力で行こう」
 初めて行う本格的な戦闘を前に、双子たちの武器を持つ手は震えていたけれど。蛍輝はそんなふたりを安心させるように、背中にそっと手を置いて――精霊が宿る鍵の力を解放する。
「……それでは、始めようか」
「リンセ……それに皆も………気を、つけて」
 敵陣に向けて散っていく仲間たちと、それを迎え撃つオブリビオン――『吸血鬼アルマ』と『受肉のフラジール』の群れ。その様子を後方で見送るサヴァーは、支援に徹するべく、世界を震わせる歌を紡いでいった。
「……私、助ける、けれど、自分の力も……信じて」
 ――そうだ、一人ひとりに戦う力がなくても関係ない。出会った皆が、力を貸してくれる。無事を願い、隣の幻猫に触れるその温もりが、果敢に戦うリンセに力を与えてくれる。
「負けられない……僕が皆の心を戦う力に変えて、敵に挑む……!」
 直後、リンセが構える精霊銃と硝子のペンからは、巧みなフェイントを織り交ぜた魔法が放たれて――極光と月虹の精霊が円舞曲を踊るように、押し寄せる災魔の勢いを削いでいった。
「――対象認証(ロック)――」
 一方で、蛍輝は長杖と化した鍵を手に、迫るアルマの拳を正確に模倣――そのまま、高威力の一撃を相殺して仲間の窮地を救う。
(「相手の動きをよく見て、皆に攻撃が当たらないようにしないと」)
 そうして敵が怯んだ隙に、アルジェントは魔力で自身を強化し、オーロは精霊の制御を行い、辺りに嵐を呼んで足止めを行っているようだった。しかし――その嵐の檻を掻い潜ったアルマが、リンセの懐に飛び込んで強烈な拳の一撃を見舞おうとする。
「……外した?!」
 そんな中、間合いを取ろうと少女を狙った弾丸は、僅かに逸れて――リンセと肉薄したアルマが、狩りを行うべく拳を振り上げた、その直後。
「友の様子を見に来てみれば、危急の様子――」
 穏やかな木漏れ日を思わせる、優しい声が桜花を震わせると同時、その声音に似合わぬ苛烈な裁きの光が、リンセに襲い掛かる災魔たちを一気に撃ち抜いた。
「お疲れ様です、リンセ、サヴァー……。そしてそちらが、アルジェントにオーロですね」
 ――護りの蜃気楼も間に合わない、とサヴァーが絶望に囚われそうになった時。その懐かしい光と声は、正に彼女にとっての福音となったのだ。
「ああ……この光は……。ユーン……ありがとう」
「間に合ったようで、何よりです。さぁ、気を引き締めて参りましょう」
 あくまで優雅な態度を崩さぬまま、ユーン・オルタンシア(森の声を聴く・f09146)は軽く自己紹介を済ませると、皆の盾となるべく敵陣に躍り出る。
「……私の事はお気遣いなく。存分に力振るわれて下さいませ」
 そうして、災魔の攻撃を相殺する蛍輝に頷きつつ――澄み渡る刀身を閃かせたユーンは、聖なる光を込めた斬撃で、少女と人形の繋がりを一気に断ち切っていった。
(「そう……嘘のような奇跡は、きっと必然……負ける事は、ありえない……」)
 窮地に駆けつけてくれた友人を見つめる、サヴァーの瞳に希望の灯がともり、その鋭い囁きは銀色の蜃気楼を織り上げて、仲間たちに襲い掛かる凶刃を相殺する。
「……私、護る。絶対に、護る」
 ――己の身を絶えず苛む、大切な何かを手放してしまったのだと言う罪の意識。それを振り払うように、サヴァーは一心に歌い続け――そんな彼女やユーンが、確りと自分たちを支えてくれているのだと感じつつ、リンセは落ち着いて魔法弾の狙いを定めていった。
(「ミスしても慌てない、僕はひとりじゃない……!」)
 ――そう。舞踏するより確かに、互いの律動を感じながら。エチュードは何時しか、立派なコンチェルトへと姿を変えていく。
「さあ、皆様とフィナーレまで駆け抜けましょう」
「有難う、ユーンさん! ……うん、勝つよ!」

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

ヴォルフ・ヴュンシェン
同行:マリアドール(f03102)
呼称:マリア

「仲良しさんだな」(目だけ笑ってないにっこり)
マリアへ顔を向け、
「負けてられないな?」(心からにっこり)

前衛
マリアのマヒが効くまでBlauで応戦
槍の長さを生かし、30cm以内の接近戦を行わず【怪力】で【串刺し】を狙う
マリアに攻撃されないことを念頭にしつつ、その動き、移動・動作音はよく観察、自身の【第六感】にも頼りつつ攻撃は見切って回避か【オーラ防御】で軽減

動きが鈍ったら【ゲベート・レークヴィエム】
可能なら【目潰し】するが、極論当たればいい
「ではデュオといこうか、マリア?」
マリアと連係し彼女の攻撃のすぐ後に【ゲベート・レークヴィエム】
徹底的にやる


マリアドール・シュシュ
ヴォルフ◆f13504と
アドリブ◎

朽ちた桜に表情曇らせ敵の群れを見据える
隣に立つヴォルフを見上げ静かに祈り捧ぐ
(もう少し、この物語を紡ぎたかった…なんて言ったら罰が当たってしまうの
機会はまた訪れるわ
きっと)

休息を取ったお陰で万全の態勢で挑めるのよ!
行きましょう
終焉の輪舞曲を響かせるわ(嫋やかに

後衛
敵の射程距離範囲内に入らない様に注意
竪琴で麻痺の糸が絡む終幕の旋律を優しく哀しげに奏でる(楽器演奏・マヒ攻撃・おびき寄せ
隙を作りヴォルフが攻撃しやすい様に

高速詠唱で【透白色の奏】使用
ボス一点集中
攻撃は休めず確実に当てる
トンと踵鳴らし最後はイノセントの言ノ葉(こえ)で世界を唄う

ええ、見せつけちゃうのよ!



 ――高い所が大好きなのだと、無垢な微笑みを浮かべて夢を語っていた、マリアドール・シュシュ(蜜華の晶・f03102)。この歯車を越えた先には、どんな光景が待っているのかと――ヴォルフ・ヴュンシェン(願う者・f13504)もそんな彼女と共に、微かな期待を抱いていたのだ。
「……これ、は……」
 しかし――桜の天辺に辿り着いたふたりを待っていたのは、朽ちた桜の枝と災魔の群れ。彼らによって枯死させられた枝の下、儚く散った花びらが何とも痛ましかった。
(「……此処が、迷宮の終わり」)
 そんな桜の姿に、表情を曇らせたマリアドールはゆっくりと敵の姿を見据え――それから、隣に立つヴォルフを見上げながら静かに祈りを捧げる。
(「もう少し、この物語を紡ぎたかった……なんて言ったら罰が当たってしまうの」)
 機会はまた、訪れる――きっと。少女の愛らしい星芒の瞳に宿る、確かな決意の煌めきを見て取ったヴォルフは、晴れやかな笑みで敵群に視線を移した。
「仲良しさんだな」
 けれど、そのまなざしは笑っておらず、研ぎ澄まされた刃を思わせる。共生し合う災魔――アルマとフラジールを捉えたマリアドールもまた、形だけの優美な笑みを浮かべて、そっとヴォルフの手を握りしめた。
「マリアとヴォルフもね。……休息を取ったお陰で、万全の態勢で挑めるのよ!」
 ――そのぬくもりを確かめ、ふたりで駆け抜けて来た道程を思い返していたのだろう。マリアドールへと顔を向けたヴォルフは、心からの笑みを湛えて彼女にこう囁いたのだ。
「負けてられないな?」
「……勿論よ。行きましょう、終焉の輪舞曲を響かせるわ」
 仕草はあくまでも嫋やかに――ドレスの裾を抓んで一礼をしたマリアドールは、黄金律の竪琴をつま弾き終幕をうたう。
 ――無邪気な華水晶はいつしか、絶対零度の瞬きへと変じていて。麻痺の糸を絡ませていく旋律は、優しくも哀しげに、アルマとフラジール双方の動きを鈍らせていった。
(「……少しでも、隙を。ヴォルフが攻撃しやすいように」)
 狩りを行おうとするアルマの拳が、マリアドールに狙いを定めるも、其処へ立ち塞がるのはヴォルフだ。相手の射程に入らないよう、竜騎士の槍を手に災魔と渡り合う彼は、その膂力を活かして一気に串刺しを見舞っていく。
(「マリアが攻撃されないように、俺が前に出る」)
 ――互いを案じつつも、己の立ち位置に相応しい行動を即座に実行する、マリアドールとヴォルフ。敵の攻撃を紙一重で躱す騎士と、間髪を入れずに攻撃を行う歌姫の即興曲は、やがて盛大なフィナーレを迎える。
「ではデュオといこうか、マリア?」
「ええ、見せつけちゃうのよ!」
 高速詠唱で紡ぐうたは、愛と光に満ちた透白色の奏。トンと踵を鳴らせばそれは、創造の言ノ葉へと変じて世界を唄い上げて――其処へヴォルフの厳かな詠唱が、更なる音色を加えていった。
「……祈り歌うは生の歌。祈り願うは還の歌。祈り誓うは滅の歌」
 ――そう、徹底的にやる。生きろ、と託された最期の言葉を胸に、雷纏う水晶の槍の雨が災魔に降り注ぎ、その身を塵へと変えていく。
「我らに生を、敵には滅を――!」

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

ライオット・シヴァルレガリア
悪友のエスパルダ(f16282)と

そうだね。ギブアンドテイクの関係もなかなか楽しいものだよ

傷は僕が【生まれながらの光】で癒すから、君は遠慮なく突撃しておいで
彼の本体であるアイスレイピアを手に、先行したエスパルダをサポートするように動くよ
レイピアが傷付かないように、『氷属性』の魔法で遠距離から攻撃しようか
彼の死角から敵が迫っていれば、声をかけて知らせよう

エスパルダが後ろに退がれば、氷雪嵐霜を乗せたアイスレイピアで刺突攻撃を仕掛けよう

敵の動きが止まれば、とどめは新入生さんにお願いしようか
後は任せたよ、とウィンクを送って


エスパルダ・メア
悪友のライオット(f16281)と

まずは【氷雪嵐霜】で足元一面凍らせておくか
心配すんな、滑らねえよ、動けねえだけで

利害の一致、ねえ
まあそれが全部悪いとは言わねえよ
何せオレらも最初はそのクチだ、なあライオット?

全力で突っ込む、あとは任せたぜ

悪友の盾を内包した大きな盾、ガーディアで『シールドバッシュ』
肉薄すれば盾でぶん殴る
怪我は任せて、良いところで一度後退
ライオットと並び立てばあいつの盾とオレの細剣を合わせて、氷の属性攻撃に更に氷雪嵐霜を重ねる

動きを封じられたなら
――とどめは任せたぜ、新入生!

アドリブ歓迎



「……利害の一致、ねえ」
 ゆらゆらと、まるで操り人形のように此方へ向かって来るオブリビオン達――その『吸血鬼アルマ』と『受肉のフラジール』の進軍に備えて、エスパルダ・メア(ラピエル・f16282)は凍てつく嵐を呼ぶ。
「心配すんな、滑らねえよ……動けねえだけで」
 氷雪嵐霜――ジャックフロストの力で、忽ちの内に凍り付いた足場を爪先で突きつつ、彼は意味ありげな様子でくつくつと笑った。
「まあ、それが全部悪いとは言わねえよ。何せオレらも最初はそのクチだ……なあライオット?」
 ――そうだね、と。振り向いたエスパルダに、完璧な笑顔で頷いたライオット・シヴァルレガリア(ファランクス・f16281)は、蒼銀の細剣を手に一歩を踏み出す。
「ギブアンドテイクの関係も、なかなか楽しいものだよ」
 並び立つふたりは、悪友であり共犯者だった。互いの自由を守り通そうと、手を組み硝子の檻を抜け出して――そうして今は、こんな風に誰かの世話を焼き、喧嘩を売ったりする日々だ。
「……全力で突っ込む、あとは任せたぜ」
「分かった。傷は僕が癒すから、君は遠慮なく突撃しておいで」
 そう言ってエスパルダが構える、蒼銀の大盾を見遣ったライオットは「余り手荒に扱わないように」と付け足しつつ。しかし、盾が鈍器として扱われることには、すっかり慣れた様子だった。
「行くぞ……!」
 直後――氷面を蹴るようにして加速したエスパルダを援護するように、ライオットの細剣が魔法の氷柱を撃ち出す。そうして手にした得物を、傷つかないよう繊細に扱う友人とは正反対に、エスパルダは肉薄したアルマとフラジールを大盾で纏めてぶん殴っていた。
「次!」
「エスパルダ、死角から来る!」
 固い氷面目掛けて、吹き飛ばされた敵を見届けるよりも先に、新たな災魔がエスパルダに迫る。しかし其処で、鋭いライオットの声が危機を知らせ、エスパルダは間一髪でアルマの拳の直撃を免れた。
「よし、一旦後退。ライオット、行け!」
「やれやれ……人使いも荒いな、君は」
 そして――溜息を吐きつつも、ライオットは聖なる光での治癒を手早く行ってくれて。位置を入れ替えるその瞬間、ふたりは其々の携えた武器を重ね合わせていた。
「友たる剣よ、盾よ。全てを氷原に包め――」
 ふたりの本性は、器物が魂を宿したヤドリガミ。其々の本体を互いに預け、武器として用いる――それは、自分の生死を相手へ委ねることに等しい。相手のことを信じ抜く覚悟がなければ、到底出来ぬことだった。
 ――だから、だろうか。氷雪嵐霜が吹き荒れる中で、煌めく蒼銀の剣は何処までも美しく。蒼銀の盾は何処までも頼もしく、アルジェントとオーロの目に焼き付いたのだ。
「敵の動きが止まった、か……じゃあ、後は任せたよ」
 やがて、氷の彫像と化したアルマとフラジールを満足そうに見つめたライオットは、固唾を呑んで戦いを見守っていた双子へウィンクを送る。
 自分たちも、こんな風に鮮やかな連携を決められるのだろうか――そんな不安に揺れる彼らの背を押したのは、豪快なエスパルダの声だった。
「さぁ――とどめは任せたぜ、新入生!」

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

フィリア・セイアッド
「アイビス」で参加
ああ 折角の桜なのに
悲しそうに眉を下げ 枯れた枝を見つめて
想いを誓う桜の木を荒らしたくはないわ
ちゃんとオブリビオンを追い払わないと、ね

「WIZ」を選択
レイン 無理はしないで
前へ駆け出していく友人へ 心配そうに声をかけて
菫のライアを構え 聞こえてくる歯車のリズムに合わせ歌を歌う
かちりとはまった歯車のように 気持ちを併せて
枝を支える幹のように 未来をつなぐ花のように
仲間と、誰かと 心を繋ぐよう
一緒なら きっと平気
鼓舞の歌を響かせて
敵の攻撃をよく見て 第六感も使い回避
アルジェントさんとオーロさんへの攻撃はオーラ防御で盾に
傷ついた仲間は 春女神への賛歌で回復を 


レイン・フォレスト
【アイビス】で参加

枝が枯れてきてる……
そうだね、このままでは桜がダメになってしまうかもしれない
桜を守る為にも、こいつは倒してしまわないと

【SPD】
さて、これはどっちから攻撃したものか
銃を握りしめて瞬時に思考を巡らして
やっぱり最初はこっちかな

『受肉のフラジール』に狙いを付けて走り出す
大丈夫、無理なんてしないよ
フィリアに怒られたくないからね
と笑って見せて

敵にこちらを狙わせないように撹乱しようとジグザクに走り
【ブレイジング】で人形に連続で弾丸を喰らわせる

吸血鬼の少女とあの人形は友達ではないんだな
だからこの桜に集った者が羨ましくてこんな事をするんだろうか
だけど
それでは僕らには絶対勝てない
思い知るといい



 オルゴールのような迷宮が奏でる、優しい旋律を口ずさんでいた、フィリア・セイアッド(白花の翼・f05316)。時に、大切な友人――レイン・フォレスト(新月のような・f04730)に助けられ、桜の天辺目指して弾む足取りで駆け上っていったけれど。
「ああ……折角の桜なのに」
 辿り着いた頂上で、枯れゆく枝葉を目の当たりにしたフィリアは、悲しそうに眉を下げて――やがて地面に散らばる花びらに、そっと視線を落とした。
「枝が枯れてきてる……。そうだね、このままでは桜がダメになってしまうかもしれない」
 鋭いまなざしを向けるレインの行く手には、迷宮に巣食うオブリビオンである『吸血鬼アルマ』と『受肉のフラジール』の集団が迫っていて。彼らによって桜が侵食されていく気配を悟ったフィリアもまた、毅然とした態度で顔を上げ、戦う決意を固めたようだった。
「想いを誓う桜の木を、荒らしたくはないわ。……ちゃんとオブリビオンを追い払わないと、ね」
「うん。桜を守る為にも、こいつは倒してしまわないと」
 友人の言葉に頷きながらも、レインは素早く愛銃を構えて狙いを定め――さて、どっちから攻撃したものか、と独り言ちる。しかし、その思考も一瞬のことだ。
「……やっぱり、最初はこっちかな」
 銃口は、少女の背後に居る人形――フラジールに向けられて。直後、自身を狙うレイン目掛けて、フラジールの胸から次々に幾多の枷が放たれていった。
「レイン、無理はしないで」
 それを引き付けるようにして、咄嗟に前へ駆け出していく友人に向かい、心配そうに投げかけられるのはフィリアの声。――きっとレインは、自分が巻き込まれないことも計算して、敵の懐へ飛び込んで行った筈だから。
「大丈夫、無理なんてしないよ。フィリアに怒られたくないからね」
 そんな己を案じるフィリアの声に、軽口を叩いて笑ったレインは、直ぐに真剣な表情になり――撹乱を狙った稲妻の軌道で、敵陣の中を駆け抜けていった。
(「レイン、どうか無事で……」)
 飛び込んで来た獲物に、色めき立つ災魔たち――その凶手から友人を守るべく、フィリアは菫のライアを小脇に抱えて、神秘の歌を紡ぐ。
 ――今も聞こえてくる、迷宮の歯車のリズムに合わせるように。気持ちを併せるのはそう、かちりとはまった歯車のように。
「僕たちも、援護します!」
 突出したレインに続き、魔法剣を構えたアルジェントが駆け出し、双子の妹であるオーロは、フィリアと共に後方から精霊での支援を行おうとしていた。
(「枝を支える幹のように、未来をつなぐ花のように……」)
 ――降りしきれ春の陽射しよ。清らに咲ける花のため、なお踏み耐える根のために。フィリアのうたう春女神への賛歌は、災魔の攻撃に晒されるレインとアルジェントを癒し、奮い立たせていって。更に光輝く青晶花の首飾りが、祈りと共に加護を齎していく。
(「仲間と、誰かと……心を繋ぐように。一緒なら、きっと平気だから」)
 その、あたたかなフィリアの想いを受け止めたレインは、尚も襲い掛かる鎖と枷を躱しつつ――人形のフラジール目掛け、素早い連射を叩き込んでいった。
「逃がさない――」
 それは、彼女の育ての親から仕込まれた射撃術であり、握りしめた拳銃もまた、大切な形見の品だった。そうだ――こうして想いは受け継がれ、レインは今、大切な友人たちと共に戦っている。
「でも……吸血鬼の少女と、あの人形は友達ではないんだな」
 銃弾を一気に叩き込まれ、砕け散ったフラジールの存在など気にする素振りも無く、片割れの少女――アルマはふらふらと、血を啜ろうとレインに襲い掛かる。しかし、片割れを失った今、その動きは精彩を欠いていた。
「だから、この桜に集った者が羨ましくて、こんな事をするんだろうか。……だけど」
 フィリア、そして双子たち――彼らの想いを受け止めたレインの銃口が、ぴたりと少女の眉間を捉えて。
「それでは、僕らには絶対勝てない……思い知るといい」
 ――直後、乾いた銃声が辺りに響き渡った。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

リル・ルリ
■櫻宵/f02768
アドリブ等歓迎

わぁ、頂上!
櫻宵に掴まったまま声をあげる
游ぐのもいいけど…抱っこされるのは
どきどきして……楽しかった
嗚呼
伝説の桜が散らされる、なんて
木に誓った願いも散らされるようで嫌だ
…こいびと、は
入刀?をするものなの?よくわからないけど、斬ることはわかったよ

なら僕は歌い守ろうか
とびきりの剣舞を舞ってくれ
【歌唱】活かし歌うのは『愛の歌』
鼓舞をのせて君に合わせて響かせる
僕を庇うなら、君ごとオーラ防御(水泡)で覆うよ
君に刃が届きそうならば『魅惑の歌』で蕩かし止める
ほら、行っておいで
綺麗な華を咲かせておいで

僕の櫻は僕が守るんだ
桜の下でそう誓ったんだから
僕達の絆は
君達になんて負けない


誘名・櫻宵
🌸リル/f10762
アドリブ等歓迎

着いたわ王子様!
大丈夫?とリィを案じ瞳を瞬く
桜の頂きに―あら桜が散って
全く…醜く雅を解さぬ傀儡ね
ケーキ入刀ならぬ災魔入刀ね
綺麗に首を刎ねて
あなたに贈るわ

リィはあたしが守る
頼もしい王子様!
前へでて、合わせ奏でる『愛華』
愛しいあなたの為ならば
刀に宿す呪詛
衝撃波纏わせなぎ払い
リルへの攻撃は庇い守り咄嗟の一撃を加え
怪力のせて傷を抉るよう何度も斬る
あたしの人魚の歌は最高ね
攻撃は見切りで躱す
歌にのって剣舞を舞うわ
あたし達息ぴったりね!
リィが動きをとめてくれたら踏みこみ絶華を放つ
フィナーレはとびきり美しく!

リルを守ると誓ったの
リルの為なら何処までだって強くなれるんだから!



「着いたわ王子様!」
「……わぁ、頂上!」
 うつくしき人魚の少年を両手で抱きしめたまま、桜龍の守り人は一気に歯車の階段を駆け上がる。ゆっくりと重なっていく鼓動を、心地良く感じながら――リル・ルリ(想愛アクアリウム・f10762)は、一気に広がった空へ思わず歓声を上げていた。
「大丈夫?」
 ――と、其処で。ずっと自分に掴まったままだった、リルの様子を案じた誘名・櫻宵(屠櫻・f02768)が、桜色の瞳を心配そうに瞬かせる。
「游ぐのもいいけど……抱っこされるのは、どきどきして……楽しかった」
「もう、リィったら……嬉しいことを言ってくれるじゃない!」
 そう言って自分の首に手を回したまま、愛らしく頷いたリルの姿に、櫻宵は思わず舞い上がってしまったのだが――直後、辿り着いた桜の頂の惨状を見て、微かに眉を顰めた。
「あら、桜が散って……。全く……醜く雅を解さぬ傀儡ね」
 春の名残を留めた桜は、今や無残に枯れ果て――散った花びらが辺りへ、ただ静かに降り積もるばかり。その枯死を引き起こした元凶であるオブリビオン、アルマとフラジール達は、新たな獲物を見つけゆっくりと此方へ歩を進めてきていた。
(「嗚呼……伝説の桜が散らされる、なんて」)
 ――きっとこの桜の大樹は、伝説の桜の大元であったのだろう。木に誓った願いも散らされるようで嫌だ、とリルが思わずきつく手を握りしめると、其処へ優しく櫻宵の手が重ねられた。
「さあ、ケーキ入刀ならぬ災魔入刀ね。……綺麗に首を刎ねて、あなたに贈るわ」
「………こいびと、は」
 入刀? をするものなの? とリルが問えば、櫻宵は「初めての共同作業なのよ」とうっとり微笑んで答えを返す。成程――恋人同士と言うのは、色々な共同作業を行うものらしい。
「……よくわからないけど、斬ることはわかったよ」
 此方へ近づいて来る災魔の群れを、薄花桜の瞳で一瞥したリルは、櫻宵の腕を飛び出してふわりと宙を泳ぐ。そんな愛しい存在を守るように、櫻宵は前へ――愛華に誓いを乗せつつ、血桜の太刀を構えた。
「リィはあたしが守る――頼もしい王子様!」
「なら僕は、歌い守ろうか――とびきりの剣舞を舞ってくれ」
 ああ、病める時も、健やかなる時も――あなたを守りましょう。合わせ奏でる調べは愛をうたい、心を奮い立たせて。愛しいあなたの為なればと、櫻宵は刃に呪詛を宿すことも厭わない。
「あたしの人魚の歌は最高ね!」
 一息に薙ぎ払えば、忽ち衝撃波が生まれて災魔を吹き飛ばし――刹那に咲く血桜の中で、櫻宵は嫣然と笑う。背後のリルを狙うのであれば己の身を盾に庇い、愛しき存在に手を出したことを後悔させて。怪力に乗せて刻んだ傷を抉るようにして、何度も斬りつけた。
「ほら、行っておいで。……綺麗な華を咲かせておいで」
 ――僕を庇うのなら、君ごと水泡で覆うから。君に刃が届きそうならば、身も心も虜にする歌で止めてみせるから。
 泡にならない人魚は――リルは、もう見世物のように歌う存在なんかじゃない。大切なひとの為に、その歌声を響かせるのだと、決めたのだ。
(「そう……僕の櫻は、僕が守るんだ。桜の下でそう誓ったんだから」)
「ああ、あたし達って息ぴったりね!」
 歌に乗せて剣舞を繰り出す櫻宵の動きが、其処で不意に止まり――一呼吸の後、神速の踏み込みで災魔に肉薄した彼は、不可視の剣戟を放ってとびきり美しいフィナーレを告げる。
「リィを守ると誓ったの。リィの為なら、何処までだって強くなれるんだから!」
 ――そう、僕達の絆は、君達になんて負けない。これからもずっと、一緒に。だから、だからもっと。
「……教えて、君のこと。君の歌を、歌わせて」

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

東雲・咲夜
ちるちゃん(f04665)と

嗚呼、桜が…
朽木と成り始めた桜を仰ぐ
新入生さんらはご無事やろか

ちるちゃんの信頼に応えるべく
彼女への攻撃はうちがオーラで防ぎます
任せておくれやす

突如顕現する神鏡に紺青の燦めきを写し
大神の助力を此処に願い奉る

ちるちゃんを縛する脅威は
氷の杭で地に縫い付けて
暗涙の如く流れ落ちた桜の花弁達
力を貸しておくれやす
風の《花漣》と清遊宛ら踊りましょう
破魔を籠めた花霞の目眩ましよ

ちるちゃん、怪我はあらへん?
嗚呼、よかったぁ…ほんまひやひやしました

散りゆく命は等しきもの
祈りを捧げるんは
存在を忘れへん事への誓い
…さ、アルくんとオーロちゃんの様子を見に行きまひょか
勿論、桜の樹の治療も、です


小鳥遊・散夜
姉・咲夜(f00865)と共に

咲夜、下がって

目玉から放たれる光線の行先
桜の枝葉を蝕む様はまるで毒
…成程。元凶は其れね
回避すれば桜に当たる
咲夜、援護をお願い

全身を包む光は温かく
愛する貴女の真心のよう
私が護るわ。たとえ此の身が朽ちようとも
覚悟はよろしくて?

危険を察知し天へ飛翔するも絡め捕られれば
決して冷静さを損なわず
…無駄よ、巫女は二人
緩んだ間に火の剣を形成し鎖を断つ

一瞬の隙を逃がさず
紅月と舞うが如く斬り掛かる
反撃には残像を追わせ
其の背と言わずとも急所を意識
袈裟斬りからの斬り上げの二回攻撃

祈る姉を見守り
何故敵にまで情けを掛けられるのかしら
…いいえ、水の様に澄んだ貴女の心を守れたら
私は其れで良いのよ



 歌う歯車を飛び越えて、思い思いに枝を伸ばす桜の樹は、傷付けないように気をつけて――そうして頂上に辿り着いた、東雲・咲夜(桜歌の巫女・f00865)が目にしたものは、無残な朽木となり始めた桜の姿だった。
「嗚呼、桜が……」
 瑞々しい藍眸に滲む涙もそのままに、天を仰ぐ咲夜は新入生たちの無事を祈って辺りを見回すが――。
「咲夜、下がって」
 直後――鋭い声と共に、小鳥遊・散夜(椿舞の巫女・f04665)が、咲夜の細腕を掴んで引き寄せる。
「ちるちゃん?!」
「……成程。元凶は其れね」
 ――僅かに足元を掠めたのは、巨大な目玉が放った光線で。迷宮を彷徨う災魔が、桜の枝葉を蝕んでいく様を目の当たりにした散夜は、微かに瞑目してから冷静に告げた。
「まるで毒ね……回避すれば桜に当たる」
 ならば、と椿の巫女が下した決断は、破魔の霊刀を構えて敵の懐へ飛び込んで行くこと。援護をお願い――そう言って大切な姉へそっと視線を巡らせれば、彼女は信頼に応えるべく確りと頷いてくれていた。
「任せておくれやす、うちがちるちゃんを護ります」
 ――三貴神、我らが太陽、高天原より恵み照らし下さりませ。高らかに響く祝詞と共に、顕現するのは神々しい煌めきを放つ神鏡であり。其処に紺青の燦めきを写し、大神の助力を咲夜が願い奉ると――忽ち散夜の全身を、温かな光が包み込んでいた。
(「ああ、まるで愛する貴女の真心のよう」)
 咲夜の加護を得た散夜は、そのまま真っ直ぐに災魔たち――アルマとフラジールの元へと斬り込んでいく。私が護るわと口にすれば、言霊の力が自身を奮い立たせてくれるようだった。
「たとえ此の身が朽ちようとも。……覚悟はよろしくて?」
「ッ!!」
 その時――少女アルマの瞳がぎらりと光り、その背後に巨大な目玉が召喚される。危険を察知した散夜は、咄嗟に天へ向かって翼を広げるも、続く人形フラジールの放った枷がその身を拘束した。
 ――にやり、と嗜虐の笑みを浮かべる災魔たち。しかし自由を奪われてもなお、決して散夜は冷静さを損なったりはしない。
「……無駄よ、巫女は二人」
 その紅の瞳に映るのは、呪縛に囚われた彼女を救おうと、風水の神霊を操る咲夜の姿。指先ひとつで生まれた氷の杭が、災魔を地に縫い付けると――暗涙の如く流れ落ちた桜の花弁達が、ふわり風に舞って破魔の力を帯びた花霞へと変わる。
「どうか、力を貸しておくれやす……って、ちるちゃん、怪我はあらへん?」
 そんな咲夜の援護によって、拘束が緩んだ間に鎖を断った散夜は、微かに表情を和らげこくりと頷いて。焔を纏う剣を構えたまま、彼女は一瞬の隙を逃さずに災魔目掛けて斬りかかった。
(「翼は空へ、願いは天へ――」)
 ――深紅の弧を描く太刀筋は、まるで紅月。残像と共に、剣舞を奉じるが如く踊る散夜は、愛する者への想いを力に力強く羽ばたいていく。やがて袈裟斬りからの斬り上げが、災魔の首を椿のように刈り取ると――少女と人形の災魔は、塵のように跡形もなく消滅していった。
「嗚呼、よかったぁ……ほんまひやひやしました」
 そう言って自分の元へ駆け寄った咲夜が、地面に跪いて祈りを捧げ始めたのを見て、散夜は不思議そうに首を傾げる。
「……何故、敵にまで情けを掛けられるのかしら」
「散りゆく命は等しきもの……祈りを捧げるんは、存在を忘れへん事への誓いなの」
 はんなりと微笑み、早速双子たちの様子や桜の樹を気にかけている咲夜――そんな姉の背中に向かって、ぽつりと散夜は独り言ちた。
「……いいえ、水の様に澄んだ貴女の心を守れたら、私は其れで良いのよ」

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

ピリカ・コルテット
シュガーちゃんと同行
アドリブ大歓迎!

わわっ、なんだかいかにも悪さしそうなペア……!

きっと人形の鎖の拘束攻撃を起点にしてくるかもだから、
速さ中心の技はなるべく使わない方がいいよねっ。

という訳で必殺の『わたしですよ』をメインに採用☆
吸血鬼さんの30cm以内には極力入らない様に距離を保ちつつ、
【全力魔法】を乗せた眩しいフラッシュで攻めていこうかなっ!

フロントをシュガーちゃんにお願いする形になるので、
何かあった時にはすぐに私も前へ出て交代出来るように!
やむを得ず敵の攻撃を受ける場合は【武器受け】で鞘で受け流すっ!

わたしですよで敵の気を引きつつ、お互いカバーし合いたいな~!
友情の力を見せ付けちゃおう♪


シュガー・ラビット
ピリカちゃんと同行
アドリブ大歓迎

【目的】
方針1:持ち前の身体能力を生かして、敵の体力をゴリゴリ削っていくよ!

方針2:お互いがピンチな時に片方が隙を作り、息を合わせたカバーで攻撃を繋げてくよ!

【行動】
私は、キャロット☆ストライカーで(捨て身の一撃)(吹き飛ばし)(鎧砕き)を併用した突撃を行うよ!

今回、敵の攻撃を避けるために高速で攻撃しては離れて、攻撃を繰り返して敵にダメージを蓄積させるスタイルだよ!

敵の動きが鈍くなったら、ユーベルコード【にくきゅうパンチ!】でどーん!

捕まりかけた時は、キャンディ☆ボム(マヒ攻撃 範囲攻撃)を利用してなんとか逃げ切るよ!最悪自分の飛行能力でなんとか脱出頑張ります!



 歯車の階段を追いかけっこするように、愛らしい狐と白兎の少女がぴょんぴょん跳ねて――いつしか、仲良く手を繋いだふたりは、桜の天辺に揃ってゴールをする。
「わわっ、なんだかいかにも悪さしそうなペア……!」
 しかし、出口の扉に立ちはだかる災魔たち――『吸血鬼アルマ』と『受肉のフラジール』の姿を前に、ピリカ・コルテット(Crazy*Sunshine・f04804)は狐耳をぴこんと立てて戦闘態勢を取った。
「今までは競争だったけど……今度は協力だね♪」
 おっとりとした物腰はそのままに、シュガー・ラビット(白くて小さなふわふわ☘️・f02321)もうさぎの耳をふわりと揺らし、何時でも飛び込んでいけるように身構えている。
「うん、きっと……人形の鎖で拘束するのを、起点にしてくるかもだから」
「速さ中心の技は、避けた方がいいんだよね?」
 人形のフラジールの胸に、ぽっかり空いた空洞を指さしたピリカに頷き、シュガーも頬に手を当てつつ考えを巡らせて――やがて「よし!」と合図を送ったふたりは、お伽噺の悪役めいた災魔目掛けて、一気に斬り込んでいった。
「はーい、わたしですよーっ♪」
 ――先ず動いたのは、ピリカ。笑顔で両手を掲げる、とっておきのポーズを彼女が決めると、突然の眩しい光が災魔を襲う。
「キャロット☆ストライカー、Go!」
 直後、その輝きを背負って、シュガーが乗りこなすニンジン型の宇宙バイクが唸りをあげた。魔法少女が乗っていても安心の、可愛いビジュアルなのだが――その突進力は強烈の一言だ。
「えっと、良い子は真似しちゃ駄目なんだよ♪」
 そして爆走するバイクは捨て身の一撃を繰り出し、装甲ごと破壊する勢いのぶちかましで、少女と人形を彼方へ吹き飛ばしたのだった。
「とと、シュガーちゃん、新手が来るよっ!」
 ――しかし、安心するのは未だ早い。尚も災魔たちは此方へ群がってきており、突進を終えて方向転換を行うシュガーに、アルマの拳が迫る。
「やむを得ない、よね……っ!」
 前衛をシュガーに託す形となっていた為に、何かあった時は直ぐ、自分も前へ出られるようにしていたピリカが、其処で動いた。桜竜の麗翼を象った、妖刀の鞘――それを手にアルマの剛腕を受け流すと、間に態勢を整えたシュガーが、色とりどりのキャンディ☆ボムを投擲して追撃を防ぐ。
「ありがとう、ピリカちゃん!」
「お互いカバーし合いたいって思っていたし、友情の力を見せ付けちゃおう♪」
 ――さあ、ここからは反撃の時間だ。持ち前の身体能力を活かしたシュガーが、一撃離脱戦法でゴリゴリと敵の体力を削っていき、合間にピリカは華麗にポーズを決めて、生じた隙を上手く埋めていく。
「くらえーっ! にくきゅうぱーんち!」
 やがて敵の動きが鈍くなったところで、シュガーの肉球パンチが炸裂した。もふっとぷにぷにな肉球から生じる、もふもふぱわー――その力の前に、アルマとフラジールは揃って撃沈していったのである――。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

呉羽・伊織
清史郎(f00502)と双子と最後まで!

嗚呼、折角の花にとんだ水差してくれたな
花に嵐の例えも――なんて言葉もあるが
此処でサヨナラすんのは奴らだけにしよーか

双子の力と絆も信じてる
頼りにしてるとも!

戦闘では双子の力が活きるよう援護を
妖剣解放の高速移動利用しつつ
攻撃面は清史郎と反対から早業でフェイントや、衝撃波で目潰しを狙う
防御面はフラジール警戒担い、接近許さねーよう残像や見切りで翻弄、獄の気配ありゃ衝撃波で武器落とし図る

俺も昔は淡白な関係を好んでたってのに――参ったな、もう戻れそうにない
背中任せられる相手がいるってのは、良いモンだな

さて誓い果たした後は改めて
良き友人達と楽しく打上げと行こうか!


筧・清史郎
伊織(f03578)と双子と参ろう

桜の樹の天辺からの景色を楽しみにしていたが
とんだ無粋な輩がいたものだな
さあ、此処まで共に手を取り合ってきた皆で、最後まで事を成し遂げようか

戦闘では双子の支援と安全を最優先
双子の盾になりつつ、伊織と反対の立ち位置から【百華桜乱の舞】の衝撃を
アルマの拳も、残像を駆使し見切り、扇で確りと受け止めよう
双子には身を挺してでも、決して手は出させない

桜に誓ったからな
迷宮の攻略と、そして伊織との友情をな
背中を任せられる頼もしい友とならば、きっとどんな事でも成し得ることができるだろう

事を成した後
双子には、よく頑張った有難うと、労いの言葉を
伊織にも、桜の景色を共に堪能しつつ感謝を



「……桜の樹の天辺からの景色を、楽しみにしていたが」
 桜と歯車に導かれた、地下迷宮の冒険――その果てに辿り着いた光景を目にして、筧・清史郎(ヤドリガミの剣豪・f00502)はやるせない様子で吐息を零す。
「とんだ無粋な輩がいたものだな」
「嗚呼、折角の花にとんだ水差してくれたな……」
 其処に広がるのは無残に花を散らされ、朽ちていく桜の姿。その――災魔たちによって浸食されていった、嘗てのうつくしき姿を偲び、呉羽・伊織(翳・f03578)のまなざしは剣呑な光を帯びていた。
「花に嵐の例えも――なんて言葉もあるが、此処でサヨナラすんのは奴らだけにしよーか」
 しかし、次の瞬間には普段通りのへらりとした態度を取り戻すと、伊織はアルジェントとオーロの双子へ、気さくな笑みを向ける。
「さあ……此処まで共に手を取り合ってきた皆で、最後まで事を成し遂げようか」
 更に、物腰柔らかな清史郎が、優雅な笑みを浮かべれば――頼もしいふたりと肩を並べて戦うことに安堵したのか、双子の貌にもいつしか笑みが広がっていた。
「何だか……こんな事を言うのは失礼かもしれませんが、楽しい、です……」
 歓迎会を経て、歯車の迷宮を乗り越え――今こうして災魔を迎え撃つ。その過程で双子は、随分と彼らに打ち解けていった。
「うん、冒険が終わってしまうのが、惜しいくらいだ」
 お弁当、可愛くて美味しかったなあ――そんな呟きを零しつつ精霊を召喚するオーロに、アルジェントは魔法剣を構えて一歩前に出る。
「……キミ達双子の力と絆も信じてる。頼りにしてるとも!」
「はい……っ!」
 そんな彼らに檄を送る伊織は、清史郎と共に援護を行うことを決めていた。双子たちの力が活きるよう、彼らの安全を最優先しつつ――やはり最後は、皆揃って笑顔で迎えたかったから。
「さて、と――行くか」
 冷ややかなる黒刀、烏羽――その死を運ぶ妖剣の力を解放した伊織は、溢れる怨念を纏って一気に戦場を駆け抜ける。すれ違いざまに斬りつけ、生じた衝撃波で目潰しを狙いつつ、その反対側からは清史郎が巧みに距離を詰めて扇を振るった。
「絶対に、接近は許さねー」
「ああ、双子には身を挺してでも、決して手は出させない」
 鎖と枷を飛ばすフラジールの攻撃を、残像を生みつつ伊織が上手く見切って躱す一方で、清史郎の方はアルマが放つ拳を悠然と、手にした扇で受け止めて流している。
(「桜に誓ったからな。迷宮の攻略と……そして伊織との友情をな」)
 ――皆で無事に完遂を、そして縁が導く友情を。百華桜乱の舞を繰り出す清史郎は、蒼き桜を纏う神霊体となり――その扇の一振りは桜吹雪を伴って、災魔を滅する風を呼び起こした。
(「ああ、俺も昔は淡白な関係を好んでたってのに――参ったな」)
 もう戻れそうにないと呟く伊織の相貌は、言葉とは裏腹に、酷く晴れやかなものだ。何故ならば、分かるからだ――友の鼓動が、想いが。
 ――自分を信じて、一緒に戦ってくれているのだと言うことが。
「……背中を任せられる頼もしい友とならば、きっとどんな事でも成し得ることができるだろう」
 こんな風にてらいなく、真っ直ぐな気持ちをぶつけてくれる相手など、ひとの身であれ百年の時を経ても巡り逢えるかどうか――だから伊織は背中越しに、清史郎に向けてこう呟いていた。
「ああ……背中任せられる相手がいるってのは、良いモンだな」
 ――誓いを果たすのは、間もなくのこと。事を為せば労いと感謝を、そして良き友人達と楽しく打上げと行こう。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

三嶋・友
さってと!新歓コンパもいよいよフィナーレ
無事に終了させなくっちゃね!

大丈夫
二人なら十分戦える
それに、二人だけじゃないからね
私…はまぁ、ともかくとして
頼りになる猟兵さんがいっぱいいるんだから!安心して全力を尽くせば良いよ

風の魔力で防御力を強化
積極的に突っ込んで敵を引き付け、双子が攻撃出来る隙を作ってみる

万が一危なくなった時は身を挺して庇う
愛の告白をした身としては、しっかり守らないとね?なんちゃって

出来れば止めは二人に
向こうの連携なんて上辺だけ
本物の連携攻撃ってのを見せてやろうよ!

あ、そうそ
私の誓いだけどね
『コンパを無事に楽しく完遂させて、双子の友人の最高の笑顔を見る事』なんだけど
…果たせたかな?



 ――さあ、迷宮新歓コンパもいよいよフィナーレだ。無事に終了させなくちゃね、と意気込む三嶋・友(孤蝶ノ騎士・f00546)は、戦いに挑む双子たちに声を掛けた。
「大丈夫、二人なら十分戦える。それに、二人だけじゃないからね」
 私……はまぁ、ともかくとして。そう言ってぽりぽり頭を掻く友だったが、魔力を込めた宝石を操る手つきは慣れたものだ。
「だって、頼りになる猟兵さんがいっぱいいるんだから! 安心して全力を尽くせば良いよ」
 こんな風に、ちょっとおどけてみせるのも、此方の緊張を解してくれようとしているから――伝説の桜の木の下で出会い、巨大な歯車を乗り越えていく内に、アルジェントとオーロは友の気遣いが如何に得難いものであるかを、はっきりと理解していったようだった。
「さ、私に続いて攻撃してみて」
 そう言って、風の魔力で護りを強化した彼女は、積極的に突っ込んで敵を引き付け、双子たちが攻撃出来る隙を作ろうと奮闘している。
「友、さん……! 一人じゃなくて、僕も!」
 其処へ飛び出したアルジェントが、炎の魔力を宿した剣で災魔に斬りかかり――後方からはオーロが、桜の竜巻を呼んで、アルマの拳を逸らそうと懸命に制御を行っていた。
「あはは、愛の告白をした身としては、しっかり守らないとね? ……なんちゃって」
「あ、あのっ……! 私も、友さんのことが好きですっ!」
 ――と、万が一の際は身を挺して庇う覚悟を決めていた友へ、いきなりオーロの告白が飛んで。思わずぽかんと口を開けた友だったが、更にアルジェントも競うように、凛と声を張り上げていたのだった。
「あ、僕も! 此処の桜は散っちゃってますけど、好きです! 誓います!」
「ちょ、ちょっと待って! これ、まさかのハーレムエンド……?」
 あたふたとしつつも、アルマとフラジールの攻撃を掻い潜る友に向けて、ふたりは意気込んで告げる。今日の新歓コンパはとっても楽しくて、こんな冒険をもっとしてみたくて――その為に、自分たちは守られるだけじゃなくて、今よりも強くならなきゃいけないけど。
「こんな風に、今度は一緒に……同じ仲間として、アルダワの地下迷宮を冒険したいから!」
「また、学園に来てください……私たち、頑張って勉強しますから。もっと頼りになるようになって、待ってます!」
 ――ああ、だったら、止めは二人に。向こうの連携なんて上辺だけで、本物の連携攻撃ってのを見せてやろう。
「……あ、そうそ、私の誓いだけどね」
 アルジェントの魔法剣と、オーロの精霊術――紡がれるエチュードが災魔を滅し、フィナーレとなって桜の木々を揺らしたその時。何処か楽しそうな友の声が響いた。
「『コンパを無事に楽しく完遂させて、双子の友人の最高の笑顔を見る事』なんだけど……果たせたかな?」

大成功 🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2019年05月19日


挿絵イラスト