ロッキング・オブ・テレビジョン!
●あるキマイラフューチャーの一画、テレビウムが集う街にて。
「あれ、何か……」
ブゥン……ザザッ……。
顔文字を映していたテレビ画面が、突如砂嵐に変わる。砂嵐は数秒経つごとにモザイクの荒が細かくなり、やがて鮮明な映像を映し出す。
そこに映し出されたのは、白い鍵。ドットで描かれたソレに画面を支配されたテレビウムは首を傾げ、故障したのではないか?と考えた。
だが、その考えは隣にいたテレビウムを見て変わる。
「……キミも?」
「アナタも映ってる!」
「ボクの画面にも……」
友達のテレビウムの画面にも、そこにいたテレビウムの画面にも、すぐそばを通り過ぎようとしたテレビウムの画面にも、白いドットの鍵が映っている。
あまりにも奇妙な光景。そして自分もその光景の一端となっていることにどっと恐怖感がこみ上げる。一体どうしてこの鍵が映し出されたのかわからない。集団で洗脳にかけられたかのような不安。
それは、別の方向から現れた。
「──怪人だ!」
●グリモアベースにて。
パタパタとサイズの合わない靴を鳴らしてやってきたのは、ブラックタールの少女エール・アブス(好奇心旺盛な泥人形・f07961)。
彼女はブリーフィングルームに集合した猟兵たちを一瞥すると、モニターを点け淡々と今回の事件の概要を語り始めた。
「キマイラフューチャーで事件が起きたみたい。詳しく説明すると、鍵?みたいな映像が浮かび上がったテレビウムたちを、怪人が追ってるみたいなんだ」
モニターに映し出されたのは、ドットで描かれた白い"鍵のような映像"に顔(テレビの画面)を支配され、全力で何かから逃げている五人のテレビウム。そしてその何かとは、『ウコンソフトクリーム』……という名前らしい怪人の集団。
「この場所はテレビウムがいっぱいいる街なんだけど、走って逃げてるテレビウムたちの顔があんな風になっちゃったみたい。それで、ウコンソフトクリームの集団がタイミングよく出てきて……もしかして鍵のような映像と関係あるかも?」
しかし、その前にやるべきことは一つ。まずは怪人に追われたテレビウムを保護し、ウコンソフトクリームの集団を退治すること。考察はその後だ。
エールは体内からグリモアを取り出し開く。
そこから先はキマイラフューチャーの世界。七色にネオンの輝くサイバーパンク。人という種が絶滅した、混血と電脳の人々が跋扈する楽園。
「まずはあのテレビウムたちを助けてあげてね。それから、あの鍵について調べてね」
もしかしたら、大きな事件になるかも。
泥人形の少女はそう警告をすると、グリモアを拡張し猟兵たちを招いた。
天味
どうも天味です。
今回の舞台はキマイラフューチャー。内容は、『テレビウム・ロック!』という期間限定シナリオ。シナリオクリア数によって展開が変化するかも?そんなゲリライベントに便乗した形となります。
第一章では、自称『ウコンソフトクリーム』怪人を退治。
第二章では、集団戦。
第三章にてボス戦が行われます。
今回のシナリオはゲリラということもあり、第一、二章はどちらもサクサク進行します。
そして第三章では戦闘にギミックが追加されます。プレイング内容によっては、大失敗もあります。説明は第三章冒頭にて行われるので、楽しみにしていただけると幸いです。
それでは、皆様の熱いプレイングをお待ちしております。
第1章 集団戦
『自称『ウコンソフトクリーム』怪人』
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POW : たべられません
【硬化させた頭部を回転させること】による超高速かつ大威力の一撃を放つ。ただし、自身から30cm以内の対象にしか使えない。
SPD : それじゃないプリ!!
【自分を排泄物扱いした相手に連続攻撃】を発動する。超高速連続攻撃が可能だが、回避されても中止できない。
WIZ : 芳醇な香り
【頭部】から【奇妙なニオイ】を放ち、【困惑】により対象の動きを一時的に封じる。
イラスト:笹にゃ うらら
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種別『集団戦』のルール
記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
本山・葵
・戦闘前
「こんな出会いでなければ、名前にコンプレックスのあるもの同士で
一緒に飲んでみたいっすけど、今回はしょうがないっすね」
・距離をとり、UCで怪人の集団をまとめて攻撃する
「遠距離から一掃させてもらうっす!」
使用技能:スナイパー1、誘導弾1、マヒ攻撃1
・鍵の映るテレビウムに共通点がないか事情聴取
「鍵が映るテレビウムさんと映らないテレビウムさんは
何が違うんすかね?」
「よかったらプロフィールとか教えてほしいっす」
使用技能:コミュ力1
アドリブ、協力歓迎
スターリィ・ゲイジー
※絡みおっけー
この世界は賑やかなのが良いのであって、騒動は御免じゃのう
それにしてもウコンソフトクリームってなんじゃこりゃ、そういうのもあるのかの?
ひとまずはテレビウム達の安全確保じゃな
パニックでバラバラの方向に向かっては守りづらくなる
頭の中に入れておいたこの辺の地図から、ややこしくない逃走ルートを構築して…
その先の高い建物でも指示して、あっちが安全だから纏まって逃げるように猟兵として誘導するのじゃ
襲撃対象が纏まっていれば、当然向こうも集まってくるじゃろう
そこを一網打尽といきたいが、何か…直接戦うのは危険な予感がする。いろんな意味で
UCで錯乱状態にし同士討ちをさせ、そのうちに逃げとくかの
「ほいほーい、こっちじゃー!」
いち早く現場に駆け付けた猟兵の少女、スターリィ・ゲイジー(ほしをみあげるスターリィ・f06804)は、五人のテレビウムたちを引いて狭い路地を駆ける。
キマイラフューチャーはどこへ行っても開発された土地。ビル群が殆どを覆い、少し探せばリゾート地やアーケード街があり、上下左右に目を凝らせば電脳掲示板が並ぶ。人工の迷路と言えるような世界だ。
しかし、スターリィにとって、ここは何度も訪れた地。地図は頭の中にできている。
「待つんだプリィー!」
「ソイツらを大人しく渡すのだプリー!」
五人のテレビウム──ブラウン管テレビをそのまま頭に被ったような種族の彼らだが、彼らの顔には鍵のような映像が映っており、普段使う顔文字や文字で表情を変えることができなくなっている。
そして、その五人だけを執拗に追い回すのが──背後にいるウ〇……自称『ウコンソフトクリーム』怪人。その集団だ。
「お前今ウ〇コって言ったプリか!?絶対許さんプリィ!!」
「言ってねぇのじゃーーー!!」
ウコンソフトクリームは名の通りソフトクリームの見た目をしており、まさに
「それ以上は言わせないプぶっふゥッ!?」
突如、それは起こった。
ウコンソフトクリームの集団、その先頭に立っていたウコンソフトクリームの一体が、内側から弾けるように爆散したのだ。
飛び散るウコン味のクリーム。珍妙な口調で喋る口は上唇と下唇とで分かれ、綺麗なとぐろを巻いていた頭部はザクロと化した。持っていた木の棒は慣性に従って宙を舞い、トイレットペーパーは地面に転がり白いラインを引く。──まさに即死というべきか。
無残な死に様に、リーダーの後ろについていたウコンソフトクリームたちは絶叫した。
「り、リーダーァァァァァァ!!」
もちろん、突如リーダーが爆散したのは、偶発的に起きた自然現象でも、定められた運命に則って起きた事故でもない。
「こんな出会いでなければ、名前にコンプレックスのあるもの同士で一緒に飲んでみたいっすけど……今回はしょうがないっすね」
赤いフレームのメガネをかけた猟兵、本山・葵(ユートレマジャポニカ・f03389)は残念そうに、しかしどこか吹っ切れたようにビルの屋上でメガネの位置を調整した。
彼女もまた、ウコンソフトクリームと同じ名前を間違われやすい者の一人。そして同じ黄色がパーソナルカラーということもあってか、彼らにどこか親近感を持っていた。だが、こうして猟兵たちの敵となってしまった以上、共にコンプレックスを語り合うことはもう叶わない。
「にしても、えぐいっすね……ソフトクリームにレーザー当てたら爆発するって」
ビッ!!と、メガネが輝く。
先ほど放たれた『眼鏡レーザー』によりリーダーを失ったウコンソフトクリームたち。呆然と立つ彼らに、葵は狙いを定め光を収束する。
狙いはもちろん、残りのウコンソフトクリームたち。
メガネのレンズ吸収された光は、スポットライトのようにウコンソフトクリームたちに照らされる。日光よりも神々しく、命の輝きを美しく魅せる光。それは瞬く間にウコンソフトクリームたちの本体ともいえるとぐろをドロドロに溶かし、一掃していった。
「……ま、いつか機会はあるっすね」
「お、追ってこない?」
「疲れたぁ……」
「足が、もう動かない……」
しばらくして。先導を行っていたスターリィ、ウコンソフトクリームの狙撃を担った葵は、合流ポイントである空き地に着いていた。
保護された五人のテレビウムは、長いこと走っていたためか腰を下ろしぐったりしている。
「案外簡単に終わったのう」
「……問題の方は解決してなさそうっすけど」
近くにあったブロックに腰をかけたスターリィは、ビルの壁にすがる葵と共に五人のテレビウムを見る。
鍵のような映像。それが、五人のテレビウムの顔面に映し出されたものだ。最初に発見されたテレビウムは白いドットで描かれていたが、一人ははバーコードのようなゼブラ調の鍵。もう一人は幾何学的な線で作られた鍵。残りはくっきりと輪郭が描かれた鍵だったり、UDCアースの古民家で使われるような鍵がカラーで映っていたりと、鍵そのものの特徴に統一感はない。
問題は、鍵のような映像を映し出している五人に、特に共通点はないということだ。
「白鍵の子とゼブラ鍵の子は友達だったらしいっす。けど、他の三人とは初対面。できれば鍵の映ってないテレビウムさんと比べてみたかったけど、この状況じゃ無理っすね」
「状況が状況じゃ、仕方なかろう。それに、あのウコンソフトクリームの集団……まだ残ってる気がするんじゃ」
野生の勘じゃが。
スターリィは肩をすくめると、五人のテレビウムたちの方へ告げる。これからワタシたちとは以外の猟兵が来るので、その猟兵の指示に従うこと。そして、次のポイントに移動すること。
深まる謎は今のままでは解決できない。そして、まだ脅威は去っていない。二人は次に来る猟兵にバトンを渡した。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
オクタ・ゴート
此度の事件、早々に解決せねばなりませんね。私も死力を尽くすと致しましょう。
【影に潜む汚泥の鞭】で生命力吸収を行いつつ、怪力を以て薙ぎ払い。人々へは決して近付けさせません。かばいながら、テレビウムの皆様が避難なさるまでの時間を稼げればいいのですが……。
オブリビオンには無論容赦など致しません。力溜めを行い捨て身の一撃でことごとくを粉砕致しましょう。硬化した頭部には鎧砕き、傷があるならば傷口を抉る。私の鞭は中距離でも使用可能、決して近付けさせはしません。
とはいえ――万が一相手の射程に入ってしまったのならば、人々に被害が出ぬように心がけ覚悟を決めて受けましょうか。
【判定POW:改変共闘歓迎】
「さ、こちらです」
キマイラの猟兵の少女から貰った地図を手に、オクタ・ゴート(八本足の黒山羊・f05708)は五人のテレビウムと共に路地を歩いていた。
オクタもまた、ここキマイラフューチャーには何度も訪れたことがあり、この世界の仕組みやおおまかな地形は把握済みだ。しかしどこへ行っても人工の迷路なのがこの世界、キマイラフューチャーだ。ふと気づけば迷うことは日常茶飯事。そして今は保護すべきテレビウムたちを連れている。
『あのウコンソフトクリームの集団……まだ残ってる気がするんじゃ』
(彼女の勘が正しければ、今頃彼らは私たちを探しているところでしょう。急ぎたいところですが……)
チラリとオクタは後ろへ目をやる。鍵のような映像に顔面を支配されたテレビウムたち五人は疲れた様子で歩いており、走れるような体力は残っていなさそうに見える。
先に来た二人の猟兵に保護されるまで、ずっと追いかけられ走りっぱなしだったのだ。今は歩くのも辛いだろう。
「もうすぐ次の合流地点に着きます。あと一分程度ですので──おや?」
「そうはさせないプリィ!」
次の角を曲がり、まっすぐ行けば合流地点に着くという時に現れた。
自称『ウコンソフトクリーム』怪人。彼はぜぇぜぇと息を切らし、オクタたちの前に立ちはばかる。
「よくも仲間を蒸発させてくれたプリね……今度はこのウコンソフトクリーム主力部隊がお相手するプリ!」
『プリィ!!』
その数十体。リーダーらしき戦闘のウコンソフトクリームは少々サイズが大きく、ちょっと硬そうな木の棒を持って残り九体のウコンソフトクリームを率いている。
オクタは訝しげにリーダーを観察しつつ、テレビウムたちに下がるよう手で指示した。
「皆様、ここは私におまかせください」
リーダーが主力部隊を名乗り上げたということは、やはり彼女の勘は正しかったのだろう。であれば、討たれたウコンソフトクリームたちは第二部隊か、それとも陽動だったか……どちらにせよすべきことは変わらない。
オクタは、ウコンソフトクリームの前で一礼を行う。
「──お客様がお通りになります」
刹那、部隊の最後尾にいたウコンソフトクリームが、見えない何かに殴られ宙を舞う。きりもみをしながらそれは空中分解し、自慢のソフトクリーム部分は落下と共に液体に変化していった。
種も仕掛けもない。『影に潜む汚泥の鞭(インビジブル・ウィップ)』は的確に、かつ圧倒的な力でウコンソフトクリームの主力部隊を一体ずつ削ってゆく。
「何がおきぶっふェェェ!!」
「相ぼォおッ!?」
「き、気を付けるプリ!もしかしたら遠隔こうげキぃんッ!?」
それはさながら洪水が起き吹き飛ばされたマンホールの如く、次々にウコンソフトクリームたちはかんしゃく玉と化し炸裂する。
ただ一人、一体何が起きているのか理解できぬまま、後ろを見つめるリーダーを置いて。かぐわしいウコンの風と無残に街を穢すソフトクリームの嵐の中、リーダーは何もできなかった。
そして気づいた時には、リーダーの真後ろにオクタはいた。
ずいっと山羊の骸骨の頭を近づけ、赤い目を光らせながら。オクタはリーダーに話しかけた。
「あなた方はオブリビオン、私たち猟兵が討つべき"敵"です。しかし此度の事件は少々謎が多い──よろしければ、何か情報を頂きたい所存です」
一人残されたウコンソフトクリーム主力部隊のリーダー。
彼に、拒否権はなかった。
大成功
🔵🔵🔵
第2章 集団戦
『紫御殿』
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POW : 仮面合身の術でござる!
無機物と合体し、自身の身長の2倍のロボに変形する。特に【男子がカッコいいと思うもの】と合体した時に最大の効果を発揮する。
SPD : 仮面手裏剣の術でござる!
【懐】から【自動追尾する真っ白な仮面】を放ち、【相手の視界を塞ぐこと】により対象の動きを一時的に封じる。
WIZ : 仮面狼群の術でござる!
【仮面を被った狼の群れを召喚、爪や牙】が命中した対象を切断する。
イラスト:りょうま
👑7
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴🔴🔴
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種別『集団戦』のルール
記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
ウコンソフトクリームたちから得られた情報は、「鍵のような映像を映すテレビウムを確保する」こと。それだけだった。他に目新しい情報はなく、全てを洗いざらい話した彼らは、猟兵の手によって骸の海へと還っていった。
合流地点に着き休憩をするテレビウムたち。ここで、猟兵たちはあることに気づく。
テレビウムが映している鍵、その先端が五人とも同じ方向を向いていたのだ。上下左右と頭を動かしても、先端が示す方向は変わらない。
──この方向に従って進めということだろうか?
映像は相変わらず映ったまま。ほんの些細な変化は、鍵の映像が特定の方向を指すようになっただけ。しかし、そのほんの些細な変化こそが、求めていた一握りの情報だ。
本山・葵
・襲撃を警戒しながら鍵の指す方を目指す
「鍵の指す方を調べてみた方がよさそうっすね。
テレビウムさん達にご協力いただきたいっす。
敵よりも先に原因にたどりついちゃえば、
襲われる理由もなくなるかもしれないっすよ」
使用技能:コミュ力、野生の勘
・UCで分身した眼鏡で仮面を防ぐ
「避けられないなら当たりに行って被害を最小限にするっす」
「忍法変わり身の術、なんちゃって」
・ブラスターで攻撃
「自慢の愛銃をおみまいするっす!」
使用技能:早業、誘導弾、スナイパー
・グルメツールでけん制
「見た目に騙されると痛い目を見るっすよ」
使用技能:投擲、念動力、鎧無視攻撃、串刺し
アドリブ、共闘歓迎
スターリィ・ゲイジー
※絡みおっけい
この映ってるのが本当の鍵なら、差し込める鍵穴もあって、使って消滅させるんかの
鍵、必死に探し求める、ときたら何かお宝の気配じゃな!
テレビウム達と一緒に、鍵の指す方向へ向かうのじゃ
近くまで行けば自動で反応するか、指す向きが荒ぶるかで分かるじゃろ
あ、メガネビームの人と飴の人(いたら)よ。さっきは助かったのじゃ
敵はさっきのに比べて強そうなのも出てきたのう
守るにおいて、無勢に多勢とされては厄介じゃ
こちらも数を増やして守りを固めよう
スプライトはテレビウム達の周りで防衛する分を10体ほど残し、残りは狼にぶつけて相殺
また撃ちあう前に【二回攻撃】の分でスプライトの再展開をし、本体を落とすのじゃ
黒曜・鵺
ふうむ、クノイチさんですか。暗殺や斥候といったものは私もなじみ深いのですが、どうも彼女らはそれとはまた違うようですね。それでは、私なりの忍術をやってみましょうか。
無機物と合体しての巨大化。そうなれば、合体する間に多少の時間はありますか。「念動力」で彼女らが求めるものとは違う無機物を少し混ぜておきます。つまり、気づかれないように弱点を仕込んでおく、ということですね。
仕込むことが出来たら液状化して「目立たない」ようにロボの死角へ移動して隙をうかがいます。一瞬の隙、それさえあれば私には十分。
「暗殺」を使っての【サイコアーツ・エンド】で仕込んでおいた弱点を一突きにしてロボを、クノイチさんを仕留めます。
オクタ・ゴート
何かを指し示すように一方を刺し続ける鍵……何かの暗示でしょうか。興味深くはありますが、今は彼らの安全こそが最優先。
殺気を第六感で感知、もし敵が来たのならばテレビウムの方々を庇いつつ迎撃致しましょう。獣相手ならば、この技が効率がいい。
【油の沼より出ずる者ども】を使用。蛸の触手で絡めとり、兵隊は防御を。油で滑り、爪も牙もそうそう効果を為さないでしょうし、同時に撒き散らされる油の臭いは過敏な嗅覚には応えるでしょう。
油に程よくまみれたのならば、炎の属性攻撃で纏めて燃やしましょうか。
「彼らに手出しはさせません、決して」
【判定WIZ 改変共闘歓迎】
「……喋らなくなったっすね」
ビルに囲まれた路地の中。本山・葵(ユートレマジャポニカ・f03389)はゆっくりと後ろを付いて行くテレビウムたちを見る。
「疲れた」や「もう歩きたくない」など彼らは訴えていたが、鍵が示す方向へ向かってゆく内に、口数が減り歩き方が軍隊のようにぴったりと揃っている。
さも本物のロボットとなったように、ただひたすら鍵の示す方向へ歩く何かと化していた。
「お宝の気配!と思うたが……ちょいと違うかのう」
「興味深くはありますが、今は彼らの安全こそが最優先。今はただ進みましょう」
彼らの後ろにいるのは、スターリィ・ゲイジー(ほしをみあげるスターリィ・f06804)とオクタ・ゴート(八本足の黒山羊・f05708)。共に殿を担っていた。
三人の猟兵は五人のテレビウムと共に歩く。
「このまま目的地に着けばいいんじゃが──」
「──そうはいかないようです」
「え、マジすか」
歩きながら、いち早く殺気に気づいたオクタは地面からぬらりとしたタールの触手を召喚し、襲い掛かってきたものを絡めとる。
『油の沼より出ずる者ども(コール・タール・オブリビオン)』。それは全身からタールを滴らせる蛸のような異形。いつの間にか出来ていたタールピットから生えたソレは、女シノビの体に巻き付きべっとりとタールを塗りつけていた。
濃い油の臭い。それに身を隠すように、沼から異形と同じくタールを纏う兵隊が這い出てくる。
「遅れましたが、臭いに敏感な方はどうかお気を付けて」
「警告が遅すぎるのじゃ!それと、一体だけではないぞ!」
背後だけではない。正面、左右から女シノビ──グリモアベースにあった情報を参照するに、『紫御殿』と呼ばれる者。のっぺりとした白い仮面と紫の忍装束が特徴的な彼女たちは、得意のチームワークを生かし全方向から攻めてきた。
対し、スターリィは両手から光の玉を数個放つ。それは宙に浮く機雷にして、彼女のユーベルコード『Starlight sprite』。スターリィの手から放たれた光は、半分ほどテレビウムたちを守るように対空し、それ以外は襲いかかる紫御殿らへ突撃した。
同時とも言えるタイミングで、連続的に爆発が起こる。光の玉に直撃した大半の紫御殿は落下し、タールの兵隊たちに体を組まれ無力化する。しかし、光の玉に直撃してもなお動く紫御殿がいた。
たった一人流星を切り抜けた忍は、まっすぐにスターリィへクナイを向ける。さらに忍の隣には同じ白の仮面を被った狼が数体召喚されており、狼は爪や牙を鋭利に伸ばし彼女を斬りかからんと地面を駆けていた。
「させるか!」
瞬時に対応したのは、熱線銃(ブラスター)をクイックドロウした葵だった。テレビウム、オクタ、他様々な召喚されたものが視界を遮る中、彼女は的確に照準を定め、コンマ1秒の世界の中で引き金を二回引いた。神速で放たれたビームは紫御殿の両脇にいた狼を焼き焦がし、内側から蒸発させ消し炭になった。
一瞬の中、召喚した狼を倒され動揺を見せた紫御殿。それでもスターリィだけはとクナイを向けた時、背後にそびえ立つタールの触手が、彼女に叩きつけられた。重く、まるで石が割れるような音が響いた。
粘度が高く、重い液体の中へ沈められた彼女は、そのうちオクタの持つ兵隊の一人に成りえるだろう。
しばらくの静寂。奇襲は、僅か数秒で片付いた。にもかかわらず、スターリィはどこか訝し気に前方を見据える。
「……えっと、まだありそうな感じっすか?」
「んむ、そうじゃの」
ズシン、ズシン──。
周囲が振動し、タールの異形に捕縛された紫御殿たちが狼狽える。燃やして処理を行おうとしていたオクタは作業を中断し、兵隊に紫御殿たちを任せ前を向く。
地面が揺れていながらも全くの動揺を見せず鍵の示す方向を向く五人のテレビウム。一体何が起きているのか、未だに音の正体が掴めなかった葵もつられて正面を向き、理解した。
そこにいたのは、様々な機械やコンクリートブロックを纏い4メートルほどの大きさになった、ロボットの紫御殿がいた。
身に纏っているのは、室外機や電子掲示板の一部、中にはドローンの脚や装甲まで混じっていた。その辺にあったガラクタから生まれたからくり人形とも言えるだろう。
「ふむ、そう来ましたか」
「そう来ましたじゃないっすよ!」
オクタは紫御殿の捕縛を行っており、スターリィは行動可能な光の玉を失っている。残された葵は、ロボットとなった紫御殿に対しどうするか考えていた。『錬成カミヤドリ』で眼鏡を複製しデコイを作り迂回ルートを探すか、熱線銃を量産し足の一点に集中してダウンを狙うか、それとも……
考えている間にも、ロボット紫御殿は歩みを止めず近づいてくる。
「そうだ、グルメツールを錬成すればまだ!」
すぐさま、葵は箸やナイフ、フォークスプーン等が詰められた食器を取り出し、『錬成カミヤドリ』を発動し量産。周囲にグルメツールが転がり、それらは念力で葵を囲むように宙に浮く。
しかし、投げようと構えたその時、ロボット紫御殿が身に着けていた仮面が突如発射される。
「のわぁっ!?」
視界を塞ぐように、さもキスを迫るかのように発射された白い仮面。驚愕し咄嗟に宙に浮かせたグルメツールを投擲した時、彼女は見た。
もう一体、何かロボットのようなものが頭上を跳び越えたのを。
「──チェストォッ!!」
それはロボット紫御殿と同じような、無機物と機械で構成されたものだった。違う点があるとすれば、それらを継ぎ合せるように藤色にも近い黒の粘液が付いていたことだろうか。
凛とした顔立ちのロボットは、彼女の腹部へ向けて掌底を放つ。手のひらから伝わった衝撃は彼女の胴を伝い、四肢まで振動させヒビを入れる。一瞬、だが一秒にも思える長い時間が経った後、ロボット紫御殿は勢いよく吹っ飛んだ。
「おぁ…………んじゃ、あれは」
目を丸くし感嘆を漏らすスターリィに反応し、掌底のポーズをとったままだったロボットが振り向き、全身を構成するガラクタをパージした。
「お待たせしました!ただ今より、私も参戦します!」
ボロボロと落ちるガラクタの中から出てきたのは、ロボットを支えていた黒い液体。それは人の形となり、麗しく洗礼されたボディを作り一人の青年となる。
ブラックタールの猟兵、黒曜・鵺(影渡り・f10896)は軽やかに挨拶をした。
成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴🔴🔴
第3章 ボス戦
『闇落ち怪人ヤミナベー』
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POW : 怨嗟の叫びを上げる食材達
【材料になった食材 】の霊を召喚する。これは【汁による毒】や【臭いによる麻痺】で攻撃する能力を持つ。
SPD : ショートケーキ・ギャンビット
【毒々しい色の汁を吸ったショートケーキ 】による素早い一撃を放つ。また、【無理矢理食べさせる】等で身軽になれば、更に加速する。
WIZ : ジャッジメント・出し汁具材
【何故か生えている目玉 】を向けた対象に、【催眠で蛍光色の出し汁一杯の食材を食させる】でダメージを与える。命中率が高い。
イラスト:鋼鉄ヤロウ
👑7
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
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種別『ボス戦』のルール
記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※このボスの宿敵主は
「カイム・クローバー」です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
猟兵たちが合流を果たし、そして奇襲をあしらいつつも、五人のテレビウムたちの画面に映る鍵が、地面の真下を向く場所にたどり着いた。
たどり着いた場所は、テレビウムたちが集まる区画から離れ、キマイラやその他の種族も歩く繁華街の一画。人気があまりない路地とはいえ、それを除けばごく普通の場所。何かあるとすれば、パンパンに溜まったゴミ袋が散乱しているということだけだろうか。
──突如、五人のテレビウムが一斉に光りだす。
眩い光を放ち、そのまま爆発してしまいそうなほどガタガタと体を震わせるテレビウムたち。何事かと問い詰めようとした時、最悪なタイミングでそれは来た。
「ミタナ、ミタナ、ミタナ……!!」
グチャッ、グチャッと水音を立てながら近づいてきたのは、一体のオブリビオン。巨大なバケツに四本の脚を生やしたソレは、溢れかけのヘドロに浮かんでいた目で発光するテレビウムたちを見据えていた。
ウコンソフトクリーム、紫御殿。彼らを刺客としテレビウムを確保しようとしていたのは、このオブリビオンの仕業なのだろう。
鍵を追う者『闇落ち怪人ヤミナベー』は、猟兵たちに向けて咆哮を上げた。
(※ここから、五人のテレビウムたちは"15分間行動不可能"になります。そして、オブリビオン『闇落ち怪人ヤミナベー』の狙いは全てテレビウムへ向けられます。
そのため、ヤミナベーの攻撃からテレビウムを守りつつ、ヤミナベーを倒すことが求められます。プレイングの内容次第では、大失敗もあり得るかもしれません。
執拗にテレビウムを狙うオブリビオン。それらに対抗するには、どうすればいいか。猟兵たちの勇ましいプレイングをお待ちしております)
本山・葵
・UCでテレビウムの立体映像を出してオトリにする
「木を隠すなら森の中っすよ!」
・技能:念動力でものを動かして音を立てて怪人の気をそらして本物のテレビウムを守る
・目玉を向けられるより前に、目玉を狙って攻撃してジャッジメント・出し汁具材に対抗する
「食事的にもバトル的にも絶対に食らいたくないっすね」
使用技能:早業、スナイパー、誘導弾、野生の勘、マヒ攻撃
アドリブ、共闘歓迎
スターリィ・ゲイジー
※絡みおっけえ
これ闇鍋っていうか生ゴ…マズいのだけは確かじゃな
私の料理で浄化したいところじゃが、作ってる余裕が無いのう
ひとまず、テレビウムの光を少し借りるぞ
手鏡で光を反射させて敵を幻惑【催眠術】【目潰し】して意識を逸らすのじゃ(メガネの人も似た作戦ならタイミングをずらす)
鍵はあっちじゃ、こっちはただの壁じゃから向こうに行くが良い
時間を稼いでる間に…お主らも光がダダ漏れだと目立つ
厚手の布か袋でもかぶせて目立たないようにしておこうか
あとは魔法地面を抉るなり周囲の物を拝借して、塹壕代わりにでもするかの
何人かはこれで何とかなるじゃろ。すまぬが他は任せる!
やる事やったら後は被害が出る前に疾く倒すだけじゃ
オクタ・ゴート
「邪魔はさせません……骸の海へと還りなさい」
テレビウムの皆様が何をしようとしているのかはわかりませんが……やることは変わりません。ただこの身を賭して守るのみ。
【燃える汚泥の鞭】の属性攻撃により、テレビウムの皆様の周りを炎の壁で覆います。燃焼した炎は我が意のまま……彼らを傷付ける事はありません。
鞭は全て迎撃の為に用います。霊の攻撃、飛んでくるショートケーキ、不愉快な出汁、その全てを跳ねのけられたならば時間稼ぎには役立つでしょう。
反撃の隙が生まれたのならば、肉薄し怪力の捨て身の一撃を叩き込みます。無論、私以上に効果的に立ち回れる方がいらっしゃるのならば、そちらにお任せいたします。
【改変連携歓迎】
紅月・知夏
鍵案件のお手伝いに来たんだけど、ちょっと守る対象が多くて大変そうね。力技(WIZ)でお手伝いさせてもらうわ
鈴蘭の嵐を、攻撃対象発生をオブリビオンとそこから発生する物に設定して使用するわ!持ってる武器になる物全部花弁にかえておけば花弁の層が厚くて目くらましになるでしょうし、取り出す食材もテレビウムさん達に届く前に破壊できると思うわ
あとはオーラの防御を纏って自分を守りつつ、オラトリオで空も飛べない事はないから空中戦の技術を使って戦場の上側から様子を確認するわ
もし花弁で打ち漏らしたものを見つけたら、全力魔法で衝撃波を発生させて個別につぶしていくわね
全員助かるように祈りながら全力を尽くすわ
「闇鍋っていうか生ゴ……マズいのだけは確かじゃな」
スターリィ・ゲイジー(ほしをみあげるスターリィ・f06804)は冷静に状況を観察しつつ、顔をしかめ前方にいるオブリビオンに手鏡を向けた。
「皆、目を瞑っておれ!」
オブリビオン『闇落ち怪人ヤミナベー』には目がある。ヘドロにも似た何かに漬け込まれたおぞましい目だが、それらがしっかりと後ろにいるテレビウムたちを見ているのなら、それは目として機能しているのだろう。
ならば有効なはずだ。手鏡から放たれた赤と青、緑の光が入り混じった閃光『Sunset gate』を放つ。光の三原色が際立っているのは、発光するテレビウムの顔面を利用しているからだ。
UDCアースの一部の人々は、その光景をポリゴンショックと呼ぶだろう。
「!?」
網膜を焼き払うような、連続的に色彩を変えるフラッシュ。目を瞑る行動が遅れたヤミナベーは、思い切りそれを喰らう。痛みがないはずなのに、槍が突き刺さったかのように目を動かすことができない。
ヘドロのまぶたを開くことができず、ヤミナベーはその場に蹲る。
そのチャンスを、オクタ・ゴート(八本足の黒山羊・f05708)は逃さなかった。
「ふゥ──ッ!!」
ヤミナベーの足元、バケツの胴の真下に潜り込み、オクタは拳にタールを纏いそれを燃焼させる。
呼吸を止め燃え上がる右手をギリギリまで引き、そしてバケツの裏面へ拳による刺突を放った。
『燃える汚泥の鞭(ダーティー・ウィップ)』。ヤミナベーが悲鳴を上げる。底を貫通し放たれた黒炎は一瞬で肉体とも言えるヘドロを沸騰させ、捨て身の一撃を放ったオクタから染み出す黒い体液に侵食され悶え苦しむ。
目を封じられ、その次には内臓を燃やされる。その次は何が来るのか。恐ろしい想像をしてしまったヤミナベーは、狂いそうになる思考を払い真下にいるであろうオクタへ向けてヒップドロップを行う。
ズゥン!!と、街が振動する。四本の脚を使い力強く落とされたバケツは地面に大きなヒビを入れ、土煙で辺りを覆う。ヒップドロップの際漏れたヘドロはそのまま自律的に蠢き、それらは食材にされた怨嗟の叫びを上げながら歪な脚を生やし立ち上がった。
蒸発が収まり、ヤミナベーはようやく目を開くことができるようになった。ちょうど土煙も晴れ、眷属の召喚も終えた。反撃のために、ヤミナベーは真っ先に回復した目の一つをヘドロの表面に浮かせる。
──そこには、鈴蘭の吹雪が舞う森林があった。
「助かりました。まさか、あの瞬間をくぐり抜けてくるとは」
「あなたこそ。まさか捨て身だったと言うんじゃないでしょうね?」
オラトリオの小さな女性、紅月・知夏(蔓桔梗の漂流者・f02536)はオクタを脇に抱え青空を飛ぶ。辺り一面に舞う鈴蘭の花びらは、知夏のユーベルコード『鈴蘭の嵐』によるものだ。オブリビオンの攻撃……先ほどの土煙を花びらにし、さらに持っている武器をも花びらにして全体にばら撒いた。花びらはヤミナベーやその眷属を惑わす自然の障壁になり、彼らの動きを止める。
知夏はその隙を見て、テレビウムたちがいる場所、湖畔へ降り立つ。
「それはいいとして、この森は何よ」
「それは自分のユーベルコードっす」
鈴蘭の嵐をより美しく魅せるため、ではなく、この森は偶然タイミングが合ってできたものだ。本山・葵(ユートレマジャポニカ・f03389)のユーベルコード『幻灯の百器徒然袋(ゲントウノヒャッキツレヅレブクロ)』が見せる立体映像は、木々や草の一本一本が本当に生きているかのように見せる。とてもメガネのレンズから放たれた映像とは思えない美しい世界を展開していた。
ふふんと自慢する葵の隣には、眩しそうに厚手の布を被せようとしているスターリィがいた。
「これ被せてもええかの……」
「やめるっす!テレビウムさんたちの光が出力元なんすから!」
「……しばらくは大丈夫そうね」
二人のやり取りに一息ついた知夏は、抱えられたままのオクタを降ろし再度空へ飛び立つ。
偽の湖畔に降ろされたオクタは、顎に手を当て考える。
「さて、あのオブリビオンですが……いかがいたしましょうか」
オクタの問いに、布を掴んで引っ張り合いをしていた二人が振り向く。
今の状況は、葵と知夏が発動したユーベルコードによりヤミナベーの動きを止めているが、単に行動を阻害しているだけ。唯一、オクタが放った一撃でヤミナベーは負傷状態だが、決定打となるものはまだ誰も撃っていない。
実のところ、葵はこの通り森を展開しヤミナベーの攻撃を阻害。スターリィはフラッシュで意識逸らし。オクタはあの一撃に使ったユーベルコードでテレビウムたちを守る防壁を作るつもりだった。そして、残る知夏も鈴蘭の嵐を用いた妨害を考えていた。
要するに、考えていたことも偶然被り、ヤミナベーを倒すまでに至っていないのである!
「一応、このままテレビウムさんたちの光が収まるまで待つのもアリだと思うっす」
メガネを光らせ、葵は冷静にヤミナベーがいるであろう方向に顔を向けて言う。鍵がこの場所を指し発光し始めたのなら、きっとその鍵は何かを開けている最中なのだろう。数分、もしくは数時間経てば発光は終わる。それが葵の見解だった。
「それなら、これはいつまで続くんじゃ?まさかアレを倒すまで光り続けるとは言うまい。それにこの状態をいつまで保てる」
対してスターリィはヤミナベーのいる場所を指さし言い放つ。彼女の言う通り、テレビウムたちの発光がいつ終わるのかはわからない。そして、ヤミナベーがいつこの景色が映像だと理解するのかもわからない。
さらに言えば、ユーベルコードも無限に効果が続くわけではない。今も力を使い続ける葵は、スターリィの発言に少したじろいだ。
「なら、提案があるわ」
話を聞いていたのか、三人の間に知夏が降りてくる。
いつの間にか舞い散る鈴蘭の花びらの数が少なくなっており、彼女の頬には汗が滲んでいた。
「上から見ていたけど、待っても動かないから来ちゃったわ。アレをどうするか考えてるのよね?」
「えぇ、そうです」
知夏の問いにオクタが答える。
「もう一度私のユーベルコードを使えば、あの闇鍋のオブリビオンを確実に屠ることができます。しかし、オブリビオンとはいえ統率の取れた小オブリビオンを使役するほどには知識があるようです。二度同じ手法は通用しないでしょう」
逆に言えば、二回目で倒すことができる。そう知夏に告げると、彼女はうんうんと頷き考えをまとめる。
彼女は三人に、さっそく考え付いた作戦を説明した。
この森は偽物だ。
そう感づいたのは、鈴蘭の花びらが減って数分経った頃だった。目を開けばいきなり森林の中というのもおかしな話だったが、リアリティのある立体映像にまんまと騙されていた。
「コレハ、ウソダ。オマエタチ、サガセ」
360度周りが木々に囲まれているが、木々の壁のどれかが、おそらく猟兵たちとテレビウムたちが隠れている場所だろう。それ以外は来た道か建物のはずだ。ヘドロの中から回復した眼球を浮かせ、目を凝らす。
あった。どれも同じように見える木々の壁だが、一つだけ光が僅かに強く白っぽく見えるものがある。それが恐らく、探していたテレビウムたちがいる場所だ。
すぐさま、ヤミナベーは生み出した眷属たちへそちらに向かうよう指示する。ドロドロの液体が体を引きずりながら、森林の映像を踏みその奥へと進んでゆく。その一体と視界を共有し、映像の木々の壁を越えた先を見る。
そこには、メガネを強く光らせ熱線銃を手にした葵がいた。
テレビウムたちはいない。彼女一人だけ。そして、彼女が作りだした森が消えた。
「引っかかったっすね!」
葵がいた場所は、ヤミナベーが来た道。つまりテレビウムたちがいた場所と反対方向。まんまと騙されたのだ。
理解し激高したヤミナベーは、バケツの体を傾け本体たるヘドロを垂れ流しながら目玉を葵に向ける。『ジャッジメント・出し汁具材』。瞳に映った対象に催眠をかけ、自身を食べさせるためだ。まずは今使っている目玉を向ける。次にもう一つの目玉を、そして念のためにしっかりと回復させた残りの目玉を向ける。これで彼女は確実に催眠にかかり、汚穢の汁を啜るだろう。
だが、これが命取りになった。
「させんのじゃ!」
「させないわよ!」
上空、そして葵の後ろから、鈴蘭の花びらと手鏡の反射光が、そして葵の熱線銃から放たれたビームが、それぞれヤミナベー本体から浮き出た目玉に直撃した。
「ヴアアアアアアアアアアアアアアアアア!!!!」
目玉を焼き焦がす一寸のビーム。網膜を突き刺すRBG色の極光、物理的に突き刺さる無数の鈴蘭の花びら。
オブリビオンとして生きてきた中で、味わったことのない拷問だ。ヤミナベーは三つの目を同時に封じられ、尻もちをついて悶える。
「成功じゃな。知夏もナイス指示じゃった」
「褒めるのなら葵さんにしてあげなさい。あの子が作戦の要だったもの」
上空から降りてきた知夏と葵の後ろにいたスターリィは、奥で布を被されたテレビウムたちを一瞥する。
葵とスターリィは、ヤミナベーが顔を向けていた場所の反対側へ。ヤミナベーが来た道の方へ移動。知夏はテレビウムたちがいる場所に待機していた。
テレビウムたちのいる場所から離れることで映像のリアリティが薄れ、ヤミナベーはこの景色が嘘だと理解する。そして、ヤミナベーは必ずテレビウムたちがいる場所を探す。この時、葵はヤミナベーが気づくようにわざと木々の壁の一つを発光させ、逆方向に向くよう仕向けた。スターリィは葵の背面にくっつき葵一人でいるように見せかけ、葵が発見された瞬間に知夏がテレビウムたちに布を被せすぐに上昇する。
森林の映像が解除されれば、ヤミナベーは騙されたことに気づき怒り出す。その怒りこそが、知夏が狙っていたものだ。攻撃するために目玉を出したタイミングで姿を現し、同時に攻撃する。知夏が編み出した作戦は成功し、見事にヤミナベーの目は予備を含めた三つが潰れた。
「と、とりあえずメシマズ回避っすね」
嬉しそうな女性三人の声を他所に、ヤミナベーは何も見えなくなった世界の中手足を使いもがく。
そうだ。眷属は何をやっている。ヤミナベーは目を体内に押し込み防御態勢を取りながら、葵がいる場所に向かわせた眷属に視界を繋ぐ……が、できない。どの眷属も、本体と意思が繋がらない。
いつの間にか全滅している。
「荼毘には火を、旧き過去には葬送を」
冷徹な男性の声が体に響き渡る。
見えずとも、何かが来るのが理解できる。強い殺気と、熱を持った猟兵が。内臓攻撃を放ったあの山羊の悍ましい何かが!!
ヤミナベーは逃げようと四本ある脚を動かしながら、消えてしまった眷属がどこに行ったのかを知ってしまった。アレは自分たちと同じ不定形の何か。そして侵食したアレの一部からは、どこか親近感を覚えていた。
アレも自分たちと同じオブリビオンではないのか。
「骸の海へと還りなさい」
ただ一言、男の声が響いた次の瞬間には、ヘドロの体が気化していた。
ヤミナベーを倒してから数分後のことだった。
テレビウムたちの発光が収まり、顔面に映っていた鍵がどんどん小さくなってゆく。それは米粒のような小ささになり、やがて1ピクセルにも満たない光となって消えた。数秒後、テレビウムたちの顔面にかわいらしい顔が映る。
「……ん、あれ?」
「ここは、どこだ?」
「確か、猟兵たちと歩いていたら……」
五人のテレビウムは、辺りを見渡したり、体に何か異常がないか確かめたりしていた。
「……ロボット化した辺りの記憶がないようじゃな?」
「そうみたいね」
スターリィと知夏は、葵とオクタに事後処理を任せテレビウムたちの様子を見ていた。今のところ特に問題はなさそうで、テレビウムたちも鍵のような映像に支配されたことを気にすることなく、元の生活に戻ろうとしていた。
その時だった。
『システム・フラワーズより緊急救援要請』
「「!?」」
周囲の建造物がまるで喋ったかのように、機械音声が流れる。
スターリィと知夏はすぐに身構え、作業をしていた葵とオクタもまた手を止め辺りを見渡す。
『全自動物資供給機構『システム・フラワーズ』に、侵入者あり』
『テレビウム・ロックの解除数が多ければ多いほど、開放されるメンテナンスルートは増加する。至急の救援を請う』
「な、なんなんすか!?」
「私にも、一体何が……?」
要請を最後に、機械音声は止まった。
それは始まりなのか、それとも終わりなのか。今はまだ分からない。
"システム・フラワーズ"。その単語だけが、四人の猟兵の頭の中に残った。
大成功
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最終結果:成功
完成日:2019年04月30日
宿敵
『闇落ち怪人ヤミナベー』
を撃破!
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