テレビウム・ロック!~そいつがキーアイテムだな!よこせ
キマイラフューチャー世界、都市部の某所。
この都市は、ポップでサイバー、様々なカルチャーがごった煮しており忙しない。
路上モニターや電光掲示板があちこちで点灯し、夜も明るく煌びやかだがどこもかしこも主張が激しい。ここに定住する住民もまた、街の光と同様に明るく陽気なキマイラが大部分を占めている。
既に旧人類の影はなく、陽気な住民たちは自分が危険な事件に巻き込まれるなどとは、まったく考えもしないのである。
「それでさ~……どうかした?」
「いやいやいや突っ込み待ちかよ!お前顔がカギになってるぞ。前見えるのかそれ?」
道行くテレビウムとキマイラの二人組が顔を突き合わせて異変を感じ始めた。
指摘を受けたテレビウムは、コイツ突然なに言ってんだと訝し気な表情をした…つもりでいた。
しかし、その表情を向けた相手の奥、ショーウィンドウに映る自分の顔には紛れもない『カギ』マーク。
「何だコレ!?どうなってるんだ!」
「自分でやったんじゃないのかよ!?」
顔を突き合わせていた二人がようやく事態を飲み込む。
「おいおい何だかオカシイぞ。ここで顔が変なのは俺だけみたいだ!クソ、変な顔はお前だけで十分なのによー。」
「うるせー!それより誰か機械に詳しそうな奴探してくるからお前はこの広場で待ってろよ!」
込み上げる不安を覆い隠すようにお互い軽口を叩きつつも、この事態にどう対処するため友人キマイラは持ち前の脚で飛び出していく。
自分はただの一般人、どうにもできない、する術を持たない。
どこに逃げ出すということもなく、ひとまずテレビウムは異変に怯えて広場へと身を寄せて事態の進展を待つことにしたようだ。
その集団を路地の影から怪しい頭を光らせて見つめる者、そしてその後ろに控えるこれまた怪しい頭の集団が目を光らせた。
「でゅふふ、あれが噂のキーアイテムですな。ぜ~ったい拙者が頂くでござるよ~!さぁ行くのです怪人軍団!デュクシーっとあいつらを攫ってくだされ!」
「キー!キー!」
「キキー!」
「っていうのを予知したよ!詳細はよくわかんないけど顔がカギになったテレビウムが狙われてるみたい!皆の力を貸して!」
よほど急いでいるのか、明石・真多子(軟体魔忍マダコ・f00079)は依頼の詳細を省くとすぐさまグリモアを光らせて、テレビウムのいる広場へと送るのであった。
ペプシ派
久しぶりにOPを作成してみましたペプシ派です!
こちらは期間限定イベントの『テレビウム・ロック!』シナリオです。
第一章。
まずは広場で待つテレビウムを怪人軍団から守ってください。方法は怪人をぶっ飛ばす!これだけ!
ちなみに弱いので基本苦戦しません。ですが苦戦描写がプレイング入っていれば苦戦描写します。
第二章。
別の弱い追手が大量に来ます。目的はテレビウム優先のようで猟兵は相手にされません。追い付かれない様に罠や範囲攻撃等で足止めを狙ってみましょう。
第三章。
ボス戦です。ちょっと強いくらいを想定しています。ただし、テレビウムが身動き取れなくなるので、そこをどう対処するか入れてもらえると成功しやすいです。
第1章 集団戦
『大頭頭ズ』
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POW : x形拳
【様々な生物や機械、自然現象等を模した拳法】で対象を攻撃する。攻撃力、命中率、攻撃回数のどれを重視するか選べる。
SPD : i極拳
【健康体操のようにも見える連続した攻撃動作】を発動する。超高速連続攻撃が可能だが、回避されても中止できない。
WIZ : n卦掌
完全な脱力状態でユーベルコードを受けると、それを無効化して【大地の中を走る気の流れの噴出点(龍穴)】から排出する。失敗すると被害は2倍。
イラスト:ケーダ
👑7
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
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種別『集団戦』のルール
記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
レイ・アイオライト
謎のカギの映像……何かあるのは違いないわよね。
テレビウムの一般人の周囲に鋼糸と影の結界を構築しておくわね。(『オーラ防御』)
襲いかかってくるオブリビオンは【斬空ノ型・虚断】で攻撃、近づくことさえも許さない、殺気と迅風の刃で頭の被り物を一刀両断よ。
他の猟兵の攻撃に怯んだ敵の背後に回り込んで『暗殺』も可能ならしてみるわね。
「カギに目移りしてるんじゃないわよ。こんなに簡単に背後を取れるなんてね」
テレビウムの一般人には一応声かけておくわね。
「後ろに下がってなさい、あたしがアンタを守るわ」
(アドリブ・共闘歓迎です)
メンカル・プルモーサ
……ん、見つけた…といってもあれは目立つ……
テレビウムと怪人軍団に割って入る……そして【空より降りたる静謐の魔剣】で多数の敵に打ち込んで片っ端から凍らせていく……
…なんだかキーアイテムがどうとか言ってるけど……鍵だけに…というだけではなさそう……
複数確保すると何かあるのかな……解除方法含めて調べてみたいけど……この怪人たち、一人一人は大したことないけどとにかく数が多い……
落ち着けるようになるまで怪人を倒していかないとか……【夜飛び唄うは虎鶫】も召喚、援護射撃をさせて殲滅速度を上げていくよ……
それにしてもほんと、なんだろうねあれ……
友人のキマイラを待つ『カギ』顔のテレビウム。
彼は今、不安を胸に広場のベンチに腰掛けて空に浮かぶ広告表示をぼんやりと眺めていた。
怪しく光る無数の眼光が自分を捉えているとも知らずに…
時を同じくして、急かすグリモア猟兵に誘われた猟兵達が広場へと転移され始めていた。
その中で先ず現れたのは飛空戦艦ワンダレイの誇る先鋭、レイ・アイオライト(潜影の暗殺者・f12771)とメンカル・プルモーサ(トリニティ・ウィッチ・f08301)の二人であった。
二人の出現で広場にいた住人たちはざわつき始める。猟兵の出現は怪人と出現と同義であるからだ。
しかし、彼らにとってはそれだけではない。これからド派手なバトルを生ライブの特等席、しかも無料で観戦できてしまう一大イベントでもあるのだ!
そんなキマイラフューチャーの住人達は、すぐさま事態を飲み込むと一定の距離を空けて自分たちの特等席を陣取り釘付けとなった。
自分の異変で、心ここに在らずといった状態の件のテレビウムを除いて…
転移が完了した二人の猟兵はグリモア猟兵の足りない状況説明を補うため、慣れた連携で作業を分担し状況確認へと移っていく。
「ふぅ…。まったく急いでるとはいえ、もう少し状況を説明してほしいものね。」
愚痴というより、しょうがない子だと呆れ気味にこぼしてレイが周囲を見渡す。
この広場に自分たちが転移した瞬間から、我先にと距離を置いていくキマイラフューチャーの住人達。その中に動こうとしないテレビウムを目に止めるのに少しの時間もいらなかった。
ぼんやりと空中広告を見上げるその顔には紛れも無い『カギ』のマーク。
「あの子が保護対象ね。確かにカギのマークが浮かんでるわ。」
「……今回のオブリビオンの情報は…確か怪しい奴…つまりいつも通り……」
与えられた情報に対し、不満を言うわけでもなく着実に状況を整理していくメンカル。
この広場に転移しても何も事件が起こっていないところを見るに、怪人達はこれから襲ってくるのだろう。
それならば保護対象のいるこの広場を見張っているのでは、と推測したメンカルが路地の方へ視線を移すとすぐに推理が確信へと変わった。
本人たちは真面目に隠れているのであろうが、こちらの様子を伺おうと大きな頭を覗かせる一際怪しい被り物の集団が目につく。
「……ん、見つけた…といってもあれは目立つ……もしかして…罠?」
そのあまりに間抜けすぎる光景に、メンカルは素直に結果を受け取るべきかと困惑の表情を見せた。
「キキー?キーキキー!?キー!」
お互いの情報を確認していると、ついに怪しい影が猟兵に気付き姿を現す。
甲高い奇声を上げて遠くから威嚇するその様は明らかな敵対行動。
二人の猟兵がやはり来るかと身構える間もなく、無数の中華風被り物軍団が雪崩れ込むように広場を目指し猛進していた。
「ッ!!間抜けな奴らかと思ってたけど意外と行動が早いわね!メンカル、あたしは保護対象の方を面倒見るからそっちお願い!あたしもすぐ行くわ!」
「……わかった、任せて……」
数に物を言わせた無策の突撃。ちまちまと攻撃したのでは切りがないだろう。
「……だから…ここは…!!」
メンカルが呪文を唱えると、杖から青白い光の円が広がっていく。大きく円が膨れていくにつれて内側へ光の線が紡がれていき、力を持つ言葉が描かれた。
雪崩れ込もうとしていた怪人達が、何事かと頭上に浮かぶ巨大な光のサインを見上げて足を止める。その瞬間に怪人達の命運は尽きた。
空に浮かぶ青光の魔法陣の底から無数の切っ先が顔を出す。被り物達の目と刃の光の《目が合った》。
そう怪人達は直感したのだ。狙われている、狩られると、背筋の凍りつく殺意をその死の宣告を指す指先から。
「……片っ端から凍らせる……」
その言葉と共に杖を振り下ろすと、魔剣は頷くように獲物へと降り注いでいく。
「キー!!」
「キキー!?」
「ギッ…」
言葉なく倒れていくもの、辛うじて致命傷を避けてたが痛みに叫ぶもの、仲間を盾にするもの達で阿鼻叫喚となった広場前には統率は既になく、勢いは潰えていた。
「……この怪人たち、一人一人は大したことないけどとにかく数が多い…撃ち漏らしがいるかも……」
「ななな、なんだこの騒ぎ!?」
広場前の喧騒にようやく気が付いた『カギ』顔のテレビウムが泡を喰っていた。顔が正常なら目を白黒させていたことだろう。
「大丈夫、仲間の猟兵がアンタを守ってくれているの。それにあたしもね。安心して、あたしがアンタを守るわ。」
パニックで暴れそうだったテレビウムをレイが落ち着かせると、籠手の先から超硬鋼糸を伸ばして有刺鉄線のように周囲へ張り巡らせていく。さらにその上に、レイから湧き出る不透過の黒い靄が覆っていき、テレビウムを護る結界を構築した。
「いい?ここにいれば地上の敵なんか怖くないはず、動かないでよ。」
黒い靄に少し怯え気味だったテレビウムにそう念押しで言い残すと、レイは黒い靄を飛び越えて相棒の待つ戦地へと姿を消した。
無数の魔剣が地に生える広場前。先ほどの大規模魔法による被害はさらに広がっていた。
魔剣を覆うように冷気の煙を撒きながら氷の刃が方々へと伸びていたのだ。
幸運にも致命傷を逃れた者でさえ氷の刃に喉を裂かれ、息は凍り、心臓の鼓動が刻む時を固めた。
この太陽の光が乱反射する銀世界では、怪人達に右も左もない。最悪なことに、一度引いて態勢を立て直そうにも仲間の位置すらわからない。
「キキー!?キキキ?」
「キー!」
怪人達が声と耳を頼りにヨタヨタと身を寄せようとするが、何かがオカシイ。
先ほどから声が一つ二つと消えている気がするのだ。気のせいか、ドサりと人ほどの大きさの物が倒れる音もする。
この銀世界から出なければ、あの魔法使いも手出しできないのではないのか?
そんな疑問が浮かんだ瞬間、怪人の頭は地に落ちた。その目が最後に映したのは逆さに映る女の両脚。
「アンタ達、目に頼り過ぎよ。こんなに簡単に背後を取れるなんてね。」
物言わぬ被り物を見下ろしてレイが呟く。
暗殺者としての業なのか気を当てて位置を探り、メンカルの撃ち漏らしを淡々と始末していたのだ。
首の落ちた身体が地に伏せるころには、既にレイの姿は音もなく消えていた。
この冷気の霧は敵の隠れ蓑では決してない。ここは闇に潜む者の狩場、独壇場なのだ。
「ふぅ、霧が晴れたわね。メンカルはお疲れ様、撃ち漏らしは大した数じゃなかったわ。」
「……ん、レイもありがとう…そういえば…なんだかキーアイテムがどうとか言ってるけど、なんだろうねあれ……」
「近くで見たけどよく分からなかったわ。でも、あの謎のカギの映像……何かあるのは違いないわよね。」
広場でお互いに労い合い、情報を整理する猟兵達。
しかし、口にした謎が解明するのはまだ先になるようだ。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
ネムネ・ロムネ
出ましたですね?大頭えっと…なんて読むんです?
そんなことはどーでもいいのですよ
とりあえずこれをどうぞ、です(バズーカの引き金クイッ)
なんという事ですかね
燃え盛る無機物
逃げ惑うキマイラさんたち
テレビウムさんの画面には鍵
群がるオブリビオン
なんだか体操してるオブリビオン
街は大パニックじゃねーですか
ネムも混ぜるのです
みんな落ち着くのですよー(拳銃の銃聲)
暴力はやめるのですー(手榴弾の爆裂音)
平和的に話し合いましょー(バズーカ砲の着弾音)
チッ…(ガトリングガンが駆動する回転音)
ちょっとそこうるせーですよ(ガトリングガンの銃撃音)
レトロ・ブラウン
迫害ナどと!!!
テレビウムの迫害なドと!!!!
絶対に許しまセンよ!!!!!
【嘗て在った夢想の残滓】!31mの強化外骨格!!!
さァ来ナさい怪人共!一匹一匹踏み潰シて(【踏みつけ】)てヤる!
逃げるナ!フックショット!【ロープワーク】でぐルぐる巻きにしテとっ捕まえてヤリます!後でなんでコんなコとをシたのか教えてモラいますヨ!
もう二度ト!モう二度とボクは同胞が傷ツくのを指を咥エて見てイるのはゴメンです!!!
うぅぅおおおぉぉぉぉ!!!!!
第一陣を見事に退けた猟兵達。
しかし、弱いが数だけは無駄に誇る被り物怪人達の猛攻は終わりではなかったのだ。
路地の向こうから土煙と奇声を上げて怪人軍団が攻め寄せる。
だがそれに合わせて、事前の予知による交代で転移の光が広場に灯った。
現れたのはネムネ・ロムネ(移植された心・f04456)とレトロ・ブラウン(ダイヤルテレビウム・f07843)の生身を持たぬ二人組。
「あっちの方に見えるのが怪人ですね?名前はえっと…キーしか言わないから分かんねぇです。ま、そんなことはどーでもいいのですよ。とりあえずこれをどうぞ、です。」
広場に降り立つや否や、敵(と思われる)集団を捕捉するネムネ。
挨拶代わりに受け取れと言わんばかりに“交渉道具”を取り出し始めた。
ネムネと同じほどの丈の長い鉄筒。補助固定具をサッと組み立て筒の先端を集団へと向けてトリガーを引く。
その瞬間、“交渉道具”が口火を切った。
言葉の代わりに火薬の詰まった粗品を贈呈。これ以上ない素晴らしい交渉の滑り出しだろう。
怪人達との距離があるため、相手の反応が言葉では伝わってこない。
しかし、その身で受け取った怪人達は飛び上がって喜んでいる。
感動のあまりその場に蹲る者まで出る程だ。
これには、普段感情を表に出さないネムネも心なしか満足そうである。
ネムネの“交渉道具”が後方へ巻き起こした燃焼ガスの煙が消え去ると、レトロテレビ頭のテレビウムが顔を光らせ姿を現した。
レトロの顔はとある理由で笑顔で固定されている。しかしだからといって、感情まで笑顔で固定されているわけではない。とりわけ今日は…
「迫害ナどと!!!テレビウムの迫害なドと!!!!絶対に許しまセンよ!!!!!」
グリモア猟兵からテレビウムが狙われているという話を聞いて、我先にと出撃を立候補したのは彼だった。
その様子は周りの猟兵達が慌ててなだめさせたほどである。
ようやく出撃できたことで、彼の怒りは再び臨界値へと近づいていた。
「最初カら全力でス!来てクださイ強化外骨格!!」
呼びかけに応じた強化外骨格が召喚されると、ワイヤーのついたフックショットを伸ばして搭乗口へ飛び込んでいく。
「さァ来ナさい怪人共!一匹一匹踏み潰シてヤる!」
遠方では、先ほどの爆撃のより態勢を崩していた怪人達がようやく立ち直したところであったが、突如として現れた巨人の出現に再び腰を落として泣き叫ぶ。
身の丈30mを超える巨人の脚からしてみればたったの数歩の距離。
逃げる隙さえ与えずレトロの巨躯が襲い掛かった。
その脚はアスファルトの地を割り、怪人達を虫ケラの如く踏み潰す。
脚を滑らせ地を平らせば、埃のように吹き飛んでいく。
それっと跳躍すれば、着地の衝撃で皆浮き上がり道路下へ瓦礫と共に沈んでいく。
怒れる巨人は張り付いた笑顔で、容赦の欠片もなく目につく敵をなぎ払った。
「もう二度ト!モう二度とボクは同胞が傷ツくのを指を咥エて見てイるのはゴメンです!!!うぅぅおおおぉぉぉぉ!!!!!」
「なんという事ですかね。燃え盛る無機物。逃げ惑うキマイラさんたち。テレビウムさんの画面には鍵。群がるオブリビオン。それに激怒する笑顔のテレビウムさん。街は大パニックじゃねーですか。ネムも混ぜるのです。」
ネムネの砲撃でいきなり始まった大喧騒。
このままでは美味しい所を持っていかれそうだと直感したネムネも、ここぞとばかりに手持ちの“交渉道具”をありったけ取り出し始めた。
「みんな落ち着くのですよー。」
スカートの内から取り出したリボルバーを狙いも付けずリズミカルに乱射。数だけはいる怪人達へまばらに命中し負傷させていく。
「暴力はやめるのですー。」
両手に持った手榴弾のピンを口で同時に引き抜くと、雑に前方へ放り投げる。着弾地は爆風で吹き飛び、蹲った者は巨人に踏まれた。
「平和的に話し合いましょー。」
先ほど固定していた長筒に再装填したらそのまま速射。先ほども聞いた発射音に反応した怪人達が逃げ惑うも、無残に爆死。
「チッ…。ちょっとそこうるせーですよ。」
おおよそ生身ならば保持できそうにない重量感のあるガトリングを抱えて、もれなく斉射。適当に横なぎされる射線にいた者達は、悲鳴を上げるか血飛沫を上げて地に伏していく。
笑顔で暴れる巨人。悪ノリする武器庫少女。ここは戦地か地獄か、あまりの恐怖に身体が辛うじて動く怪人達が逃げ出そうと踵を返す。
無論そんなことを怒りの巨人が許すわけがなかった。
強化外骨格の爪先が開くと、勢いよく対人用フック付きワイヤーが放たれる。そのままスナップを効かせて脚を捻ると、逃げ出した怪人達を根こそぎ絡め取った。
「逃がスと思っテいるンですカ!」
脚を後ろに振りワイヤーを引き寄せると、そのまま巨人が踏み潰す。
目につく敵を全て潰し、息を切らしてレトロはようやく動きを止めた。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
一郷・亞衿
出たな変なお面!ちっちゃい頃何か知らんけど家の押入れにあってすごい怖かった想い出あったりして見た目が何となく苦手なんだよお前らぁーッ!
……まあその辺の個人的な事情はさておき、今やるべきことはテレビウムくんの保護だよね、うん。
気弾やら羅漢銭やらの遠距離攻撃をしてくる可能性はもしかしたらあるかもだけど、相手が拳法で戦うってんなら基本的には近づかなきゃ良いよね。
『怪奇現象:騒霊』で遠距離から敵を攻撃!その辺にいる霊に協力を仰いで、面をぶん殴ったり取り外したりして貰おう。
この世には、見えないものもいるんだよ。ほら、君の後ろの暗闇に……
……あ、周りにWIZ技使う人がいたら龍穴にだけは注意しとかないとね。
エダ・サルファー
こらー!罪無きテレビウムをいじめてるんじゃなーい!
いや、本当に罪が無いかとか本当にいじめてるのかとか詳しいことは知らんけど。
まあどうせオブリビオンが悪いんだろうから、猟兵らしくオブリビオンをぶっ飛ばすのみ!
さて、怪人たちも格闘タイプのようなので、こっちも近寄って片っ端から格闘戦を挑むよ!
とにかく殴って蹴って投げて極めてくれるわー!
なかなか距離が詰められない場合は、遠当てで遠くからはっ倒すよ!
あと狙われてるらしいテレビウムの人を守るためにも、彼に近寄ってくる相手を優先的に狙ってぶっ飛ばすよ!
鍵のマークが浮かんでる彼は不安な様子だし、少なくとも身の安全は猟兵が守るから、心配しないでと伝えておこう。
シキ・ラジル
あれ?どうして鍵なんて映してるの?
しかも訳わかんないのに追われてるし!?
まってて、今助けるよー!
さてさてそこの頭でっかちども!アタシの音を聞いているけーっ!
UCを発動後、サウンドウェポンを起動
「歌唱」と「楽器演奏」の「パフォーマンス」をみんなに披露するよ!楽しんでもらえたら、みんなからもらったいいねをパワーに変えて「衝撃波」で一気に「なぎ払う」!
うーん?敵の拳法?なんだか知らないけど「第六感」でやばいって思ったら「見切り」で避けてみるね。むむむ、その動き怪しい!
二度の殲滅を果たした猟兵達。
ただし、その代償に周囲のインフラは壊滅し住民たちは恐怖に怯えていた。
破壊者達が姿を消して無残な街並みだけが残ったのを見計らってか、怪人達はしつこく第三陣を駆り出した。
対して猟兵側も交代要員の転移のためにグリモアの光が広場の一角を包み込んだ。
光から飛び出すのは一郷・亞衿(奇譚綴り・f00351)、エダ・サルファー(格闘聖職者・f05398)、シキ・ラジル(揺蕩う雷歌・f11241)の三人娘だ。
「さて、ここが現場だね…て、うわぁ…何これオブリビオンが暴れたせい?」
どうみてもただの女学生な見た目の一郷が、先の大参事によって破壊された広場前の惨事に思わず目を逸らした。
「それより、例のテレビウムは無事!?…のようだね、良かった!あなたのことは引き続き私達猟兵が守るから安心してね!」
エダは広場で頭を抱えて座り込むテレビウムを見つけると、たたっと駆け寄りその慎ましやかな胸を張って保護対象を落ち着かせた。
「どれどれ?本当にカギマークだ!ねえどうしてカギなんて映してるの?しかもメチャクチャ狙われてるみたいだし!?でもその前にキミのことを助ける方が先だよね!ちょっとここで待ってて!」
エダの頭の上からぴょこんと顔を覗かせ、珍しさへの好奇心を隠そうともしないシキが口を挟む。
しかしそれでも彼女たちは猟兵。見た目や姿を問わず弱きを助ける使命を背負う者として、今まさに襲い来る脅威へと向かい合った。
路地(だった場所)の奥から瓦礫を乗り越える怪人達が姿を見せた。
組体操や人間梯子等のまるで雑技団のような器用な連携により、瓦礫はほとんど足止めとして効果が無いようである。このままでは数で攻められ囲まれることは、考えるまでもなく明白だろう。
そのような寄ってたかって押し寄せる怪人達に、エダが怒り声を投げかける。
「こらー!罪無きテレビウムをいじめるんじゃなーい!いや、本当に罪が無いかとか本当にいじめてるのかとか詳しいことは知らんけど(ごにょごにょ)。まあこの酷い現場状況から言って、どうせあなた達が悪いんだろうから猟兵らしくぶっ飛ばすのみ!」
多少の誤解を交えつつも、拳を突き出し宣戦布告。さっと目線を流し相手の動きを注視する。
瓦礫を乗り越える身のこなし、軽やかに徒手空拳で舞い進む姿、奴らは間違いなく格闘タイプ。接近するまで攻撃する術を持たないのだろう。
対するこちらも同じく格闘主体の同タイプ。しかし彼らと違うのは、こちらにはドワーフ仕込みの必殺拳があるということだ。
ドワーフ力を拳に溜めて、ふんと拳を空振りする。
気迫こそは凄いが、ロケットパンチやエネルギー弾のような派手さを期待していたシキがポカンとした顔で見つめていた。
何やってるの?そうシキが口にしようとした瞬間、拳の先にいた怪人が衝撃音と共に吹き飛び後方の瓦礫へ突き刺さる。
「はぇ~~!!何事!?」
「ふふ、見た目でわかるような衝撃波を真っ直ぐ飛ばしてるわけじゃないんだよ。“直接”衝撃を伝える…これぞドワーフ式遠当て!」
横でオーバーリアクション気味に騒ぐシキに、エダが笑いかけて技を説明する。
その摩訶不思議な拳に目を輝かせて、シキがスゴイスゴイと飛び跳ね回っていた。
囲まれる前に討つ、近付く前に討つ、先手必勝の攻撃により組体操や人間梯子をしていた怪人達、さらには瓦礫の裏に潜む者すら順に崩され落ちていく。
エダの拳により瓦礫の足止めが大きく機能し始め、広場へ近づく怪人たちの数を大きく減らすことに成功した。
しかし、それでも敵の数は多い。エダ一人ですべてを止めきることは出来ず、瓦礫を乗り越えて来た一団がまばらに広場へ脚を踏み入れる。
「キー!」
「キキー!」
ついに数の理を活かせる範囲にまで接近を許す猟兵達。そして、じりじりと距離を詰め包囲網を作っていく怪人達。状況は一変、優勢になった怪人達の士気が上がるのが一際甲高い奇声から感じられた。
「おおっと!会場のオーディエンスがようやく出揃ったみたいだね!アタシの生ライブを観れるチャンスなんてそうそうないからね!そこの頭でっかちども!全身全霊のアタシの音を聞いていけーっ!」
シキがぴょんと跳び上がると、足元からスピーカーがせり上がる。
さらにスピーカーのサイドからはライブ中継用のドローンが次々射出され、全周囲対応生配信が開始された。
そのままシキがカメラに向けてウィンクすると、空中で実体化したサウンドウェポンと浮遊マイクがシキの周りをクルリと回り、喜ぶように自らその手に収まる。
そして靴の爪先をコツコツ、ワンツースリーと叩いていくとスピーカーがその身を震わせ前奏を口ずさむ。
溢れる音に身を揺らしリズムを取ると、スピーカーのチョイスに合わせるようにシキがギターを奏で始めた。
「キキ!?」
「キ?キキー♪」
何事かと警戒していた怪人達だが、どう見ても敵意の無いその少女を見て好機だと言わんばかりに飛び掛かる。
「ダメダメ!ライブ中はお触り禁止だよ!」
指で×を作ったシキがサウンドウェポンにシャウトする。その瞬間スピーカーから音の衝撃が飛び出した。空気を震わす指向性の衝撃は、怪人達の意識を飛ばし跳ね返す。
「飛び入り対バン何でもオッケー!さぁドンドン盛り上がっていこー!」
どれだけの勢いをつけても抜けられぬ音の壁に、怪人達は立ち往生。
指向性であることを突き、脇を抜けようにもエダの拳が逃がさない。
地上のルートが防がれていようと怪人達は諦めない。
正面が駄目なら上がある。謎の雑技パワーで人間遠投を行い、次々に音の壁を超えていく。
なにぶん数だけはいるものだから、全体の数割ほどでも届けば御の字だ。
遂に公園侵入を成し遂げた怪人達が、無防備に怯えるテレビウムへと歩を進めた。
「うわ、とうとう出たな変なお面!ちっちゃい頃何か知らんけど家の押入れにあってすごい怖かった想い出あったりして見た目が何となく苦手なんだよお前らぁーッ!……まあその辺の個人的な事情はさておき、今やるべきことはテレビウムくんの保護だよね、うん。」
二人の猟兵に前衛を任せて護衛に回り、待っている間に『月刊△─』を読み耽っていた一郷が顔を上げて叫んだ。
幼少期のトラウマを想起させるその容姿に一瞬狼狽したが、前衛の二人が目に映りすぐさま自分の使命を思い出して立ち上がる。
しかし、怪人達からしてみればそんなことは関係ない。ここまで接近出来れば確実に格闘間合いに入ったのだ。これ以上邪魔される前に、と構えをとって飛び掛かる。
「ふうん、相手が拳法で戦うってんなら基本的には近づかせなきゃ良いよね。音楽に込もった思いのおかげか、いい感じの霊も集まったし丁度良かったよ。」
いったい何が見えているのかいないのか、周囲の何もない空間へ向けて数度の身振り手振りを行っている。
今更何が来ようと怖くない、この間合いで外すわけがないと確信する怪人達。
しかし外すどころか何時までたっても拳は少女に当たらない。いや、そうではなかった。正確には怪人達が動かなかったのだ。
飛び掛かった姿勢のまま、時を切り取ったかのように空中に留まっていることに気が付いた他の怪人達がざわめく。
一郷が再び虚空に向かって合図を送ると、空中で固定されていた怪人達の関節が曲がってはいけない方向へミシミシと回転してその場に転がる。まるで無邪気な子供の遊び終わった人形のように。その非現実的な光景に怪人達は戦慄した。
見えない力による未知の攻撃、どこから襲われるのかもわからぬ恐怖、仲間たちが皆怯えているのが張り詰めた空気で伝わってくる。
「ねえ。この世には、目には見えないものもいるんだよ。ほら、君の後ろの暗闇に……」
片目を手で覆った一郷が、もう片方の手で怪人達の後方を指差した。
唾を飲み込み、思わず後ろを振り返る怪人達。見てはいけないのだと分かっている。観れば終わりだと知っている。理解してはいけないのだと直感している。
それなのに、怪人達は振り返ることを拒むことは出来なかったのだ。
なぜなら皆、見えない万力のような力に頭を鷲掴みにされていたからだ。
広場には壊れた玩具のように転がる無数の怪人達の骸が散在していた。
猟兵の活躍により『カギ』顔のテレビウムには傷一つ無く、怯えてはいるものの一先ず怪人達の猛攻は乗り切れたのだろう。
前衛の二人も戻り、敵の増援が無いことも確認できた。
しかしあれほどにしつこかった敵なのだ、これで終わりではないだろう。
猟兵達がお互いを労うと次の戦いに向けて各々準備を始めた。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
第2章 集団戦
『働き蜂戦闘員』
|
POW : 御槍奉公
【槍】で対象を攻撃する。攻撃力、命中率、攻撃回数のどれを重視するか選べる。
SPD : 飛行モード
空中をレベル回まで蹴ってジャンプできる。
WIZ : 数で圧す
自身が戦闘で瀕死になると【さらなる増援】が召喚される。それは高い戦闘力を持ち、自身と同じ攻撃手段で戦う。
イラスト:森乃ゴリラ
👑7
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
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種別『集団戦』のルール
記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
よほど怖い思いをしたのか、両手で目(顔?)を覆っていたテレビウム。
猟兵達が心配して顔を覗こうとすると、テレビウムが急に面を上げて立ち上がる。
「イカナクチャ…。」
テレビウムの顔に映っていた『カギ』が先ほどとは様子が違っていた。
カギの先端がまるでコンパスのように揺れているのだ。
驚く猟兵達を置いて、人が変わったようによたよたとカギの示す方向へとテレビウムが歩きだす。
一体彼はどこへ行こうというのか、猟兵達には知る由も無かった。
「ぐぅぬぬぬ、あれだけいた怪人が手も足も出ないとは…っておほ!キーアイテムが動き出しましたぞ!これはチャンス!さぁ次の怪人さん達、今度こそキーアイテムを攫うのです!拙者は例の場所で待っているのでここでドロンしますぞ!」
呼びかけに応じるように、黄色い怪人達が口をガチガチと鳴らし飛び立った。
メンカル・プルモーサ
…今度は蜂の戦闘員か……やっぱり数が多い…
テレビウムの後を追いつつ…遅発連動術式【クロノス】を使って
オブリビオンが踏むと爆発する術式や【尽きること無き暴食の大火】が発動する印、周囲を巻き込んでしびれさせる術式等をあちこちに仕掛けていく……
……それでもテレビウムを追って近寄ってくる戦闘員はなるべく多くを視界に納めて【世界鎮める妙なる調べ】で眠らせて足止め……
眠ってるうちにまた術式のトラップを多数設置してテレビウムの後を追う……これを繰り返して数を減らしつつ移動する……
戦闘員の数が少なくなってきたら【精霊の騒乱】で一掃を試みるよ……
……それにしても、何処に向かっているんだろう……
一郷・亞衿
さっきのとは別の方向で見た目が怖い!
それにしてもすごい数だ……なるべくまとめて何とかしたい所かも。
相手は空を飛んだりするみたいだし、ここはひとつ自滅を誘ってみようかな?
『創作怪談:くねくね』を使用して、白っぽくて激しく蠕動する謎の怪異“くねくね”を召喚。空を蹴って向かってくる戦闘員の意識を混濁させて、そのまま墜落させちゃおう。
……問題としては、相手を問わず無差別に害を為すタイプの怪異なんだよね、これ。
移動中だしさっきよりかはギャラリーの数減ってるとは思うけど、一般の方々に被害が出るとヤバいから長時間顕現させるのは避ける方向で。一瞬平衡感覚バグらせるだけでもある程度は駆除できるだろうしさ。
突然人が変わったように歩き出した『カギ』顔のテレビウム。
そのあまりの様子の変貌ぶりに、見守る猟兵達は慌てて後を追いかけ出す。
まだ彼が狙われている理由が明らかではない。
ここで放っておくわけにはいかないと、彼らの無意識の正義感が駆り立てたのだ。
しかし、その正義感は間違いではなかった。
しばらくも進まないうちに、街の方々から虫の羽音、むしろヘリのような空を震わす振動音が周囲を包み込んだ。
異音に気付いた猟兵、メンカル・プルモーサ(トリニティ・ウィッチ・f08301)と一郷・亞衿(奇譚綴り・f00351)が立ち並ぶビルの間を見通すように顔を上げる。
そこには、こちらを伺っているのか隙間を縫うように物陰から物陰へと移動する黄色い影。
「…今度は蜂の戦闘員か……やっぱり数が多い…」
センサ付の眼鏡をクイと直し、新たな敵を的確に見抜くメンカル。
「さっきのとは別の方向で見た目が怖い!それにしてもすごい数だ……なるべくまとめて何とかしたい所かも。」
マスクで隠していても分かるほど、顔をしかめて嫌悪感を示す一郷。
ざっと見ただけでもかなりの量のハチ怪人が潜伏していると予測した二人。
顔を見合わせ頷くと、手分けして数を減らすためにテレビウムを挟むように背中合わせで臨戦態勢をとることにしたようだ。
「……追ってくるなら、好都合……」
追跡者への有効打、それは先行するからこそ仕掛けられるトラップ類だろう。
しかし、敵は塀を越えビルを跨ぐ羽持ち達、進行ルートの多さから設置個所の選定も容易ではない。
だが既に周囲の地形はセンサ付き眼鏡でマッピングし大体頭に叩き込んだ。
腕を捲り、取り付けられた小型コンピュータと睨み合うと、そのまま頭に描く情報を慣れた手つきで打ちこんでいく。
「……ルート予測完了…こっち側の7割は足止めできる……」
小型コンピュータの演算結果による最適解を導き出すと、すぐさま杖を振りかざし術式を組んでいく。
特定数の、接近した、敵意を持つ、と条件を設定するたび杖の装飾が揺れ、印が結ばれ固着する。
一度作れば後は早いもので、次々とテレビウムを追いかけながら街道の空中へと設置していく。
その術式は、空中で一度青白く光るとスゥっと輝きを失い不可視となった。
しばらく直線だった街道にようやく曲がり角が見えたかという頃合い、ついに痺れを切らした怪人達が壁を蹴り空を蹴り舞い迫る。
その黒い瞳に映すのはテレビウムだけのようで、サイドに控える猟兵達を見向きもする様子がない突進ぶり。
しかし、その狙いが逆にメンカルの予測情報の正確性を高める結果となった。
怪人達が手にした槍を掲げようとした瞬間、仕掛けられていた遅発連動術式【クロノス】が再び青白い光を灯し空を舞う者達を捉える。
瞬間、街道から音が消え、目も眩むような白一色の世界に包まれる。
遅れてくる爆風と轟音を背に、乱れる髪を押さえるメンカル。
振り向かなくても結果は分かる。そこには、今だ燻る炎に包まれた無数の怪人達が転がっているはずだ。
そして、仲間が壁になったことで被害を免れた怪人が、僅かにだが残っていることも無駄に大きい羽音から把握できている。
「……やっと全員見えた、これで一網打尽……」
テレビウムの後ろに追い着くと身体を反転し振り返る。
奴らの眼は、このテレビウムに釘付け、ぞろぞろと後ろから追いかけて来る。こんどはそこを利用するのだ。
先程、爆風にかき消されながらも短い詠唱は済んでいる。
杖を両手で握り正面の怪人達を捉えると、魔法陣が宙に現れる。
視認されていた怪人達の眼に同様の魔法陣が浮かび輝くと、急に意識を失ったように地へ落ちていく。
その光景は冬を越せなかった蜂のように儚げにあっけないものだった。
「……それにしても、このテレビウム何処に向かっているんだろう……」
「さてと、相手は空を飛んだりするみたいだし、ここはひとつ自滅を誘ってみようかな?」
息苦しくはないのか、マスクをしながらも小走りでテレビウムを追いかける一郷。
方々で聞こえてくる羽音、ビルの隙間から代わる代わる姿を現す黄色い怪人達を目にした一郷が考えをめぐらす。
背にしたもう一人の猟兵から、今回の怪人の特性はある程度共有している。
奴らは猟兵や住民達などに目もくれずテレビウムを狙うらしく、まともにやりあってもあの数で来られては取りこぼしが出るだろう。
それならば、逆にテレビウムに集中していることを利用できるのではないか?先ほどの呟きは、この考えに至ったために出て来た言葉ある。
一郷の頭の中には数多の怪異情報が蓄えてあり、それが彼女の力にもなっている。
その中で、今回の作戦で使えそうな怪異が浮かび上がった。
「……問題としては、相手を問わず無差別に害を為すタイプの怪異なんだよね、これ。」
頭の中で漂う怪異、その被害を想像すると気が重くなり良心が痛む。
強力な怪異はそれだけ制御し切れない力、デメリットも持ち合わせるのだ。
「流石に移動してると言っても、ここ(キマイラフューチャ)の住人がこの騒ぎを見過ごすわけないし…あ~やっぱりどんどん野次馬が…」
騒ぎ、お祭り、炎上問わず気になり出したら怖いもの知らずなエンタメ住民性が足枷となり、一般住民への被害が懸念される。
どうしたものかと悩む暇もなく、ビルの合間の暗闇から一斉にハチ怪人まで飛び出してきた。
もう被害を考慮してる場合じゃない、そう諦めかけた時、一郷の背後で爆音と目も眩むような光が周囲を包んだ。メンカル側のトラップが作動したようだ。
その強烈な閃光は、背を向けていた一郷を除きデバガメ根性の住民達から一時的に視界を奪っている様子。
これを好機と見た一郷は、間髪入れずに件の怪異を呼び出した。
テレビウムの背中で付き添うように激しく蠕動する白っぽい謎の怪異。
一郷ですらソレが何者であるか、深く理解はしていない。むしろするわけにはいかなかった。だからこそ呼び出した後も視界に入れず、何かがいるという感覚だけを肌で感じ取り、前だけを向き走り続けていた。
しかし、ハチ怪人達はそんなことは露程も知らず、テレビウム、そしてその背に張り付く白いもやのような怪異を目に捉えて近付いている。
怪人達がテレビウムを攫おうと空から近付いた瞬間、いきなり羽を止めて地面へと転がり出した。
それだけではない、投げようと手にしていた槍を自らの首へと突き刺す、隣の仲間へ噛みつき急所を毟り出す、ふらふらと地に伏しひたすらガチガチと口を慣らす出すなど様々な奇行におよびだしたのだ。
これも全て【創作怪談:くねくね】の姿を視認し、“それ”が何者であるかを理解してしまったからである。
一郷はくねくねが何をしているのか知らない。しかし背後で行われた奇行による同士討ちの惨劇音だけが耳に入り、その悍ましい光景を想像し鳥肌を立てる。
全くもって怪異とは恐ろしい。だからこそ興味深い。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
ネムネ・ロムネ
※アドリブ連携大歓迎
交渉完了です(達成感)
ん。どこいくの?
何かに乗っ取られてんじゃねーです?これ
まぁ、着いて行けばわかる筈ですね
テレビウムを護衛するように彼の後ろをネムも着いて行くのですよ
空から黄色い影
お出迎えでしょーか
やっほー(後方確認の後バズーカで迎撃【誘導弾】)
流石にちょっと情報がたりねーですね
一匹くらい翅を落としてお話を聞けないですかね
火器で撃ち落としを狙ってみるのですよ
もし鹵獲に成功したら少しお話してみましょう
はろー
お仕事お疲れ様です
誰の命令で動いてるんです?
本当の狙いはなんですか?
なんで彼らを狙うの?
もし情報が入らないなら残念ですが交渉は決裂という事で
骸の海にお帰り頂くのです
エダ・サルファー
むむ?どこかへ向かおうとしてる?
理由はわからないけど、とりあえず追っかけないと。
……んで、さっきと同じように怪人軍団が襲いかかってくるのね……。
今取り込み中なんだから、邪魔してんじゃないよ!
こちらとしては、テレビウムの彼に怪人を近づけたくないんだよね。
そして、この蜂っぽい怪人の攻撃手段は槍を使った近距離戦闘っぽい。
であれば、近寄られる前に迎撃するのが良さそうだね。
ならば、射程に入り次第聖職者式猫騙しでぶっ飛ばす!
ここから先、簡単に近づけると思うなよ!
あ、近づかれちゃったら普通に殴ってぶっ飛ばすよ。
レイ・アイオライト
【SPD判定】
次から次へとオブリビオンが現れるわね……それに、カギの様子が違う……テレビウムの様子もおかしいし、何がなんだか分からないわ。
……今は考えてる余裕はないわね。テレビウムを護衛しながらってなると、色々と制限されちゃいそう。
空中戦で挑まれるなら、あたしは【交錯ノ魔絲】で『範囲攻撃』『暗殺』よ。飛び交うオブリビオンたちを鋼糸の結界で行動を阻害する。
一箇所に集めたら鋼糸を一気に引き絞って毒の鋼糸を敵に食い込ませるわ。(『毒使い』)
落ちてきたところを『魔刀・篠突ク雨』で追撃、完膚なきまでに叩きのめす。
とりあえず、カギの示す方向に向かいましょうか。
ようやく目につく怪人を全て倒した猟兵達。
しかし、そんなことは気にしないとばかりに、猟兵を置いてテレビウムはなおも進み続ける。
黙って行かせるわけにもいかず、その背を追って先ほどの猟兵達とは別のチームが彼の追跡に向かった。
「むむ?どこかへ向かおうとしてるんだろう?理由はわからないけど、とりあえず追っかけないと。みんな急ごう!」
いつの間にか先行していたテレビウムを見つけると、エダ・サルファー(格闘聖職者・f05398)は他の猟兵に声を掛けて先導するように駆け寄っていく。
「そうね。次から次へと新しいオブリビオンが現れているもの……カギの様子が違うようだし……テレビウムの様子もおかしい、何がなんだか分からないわ。……でも今は考えてる余裕はないわね。テレビウムを護衛しながらってなると、色々と制限されちゃいそう。」
エダの掛け声に頷くレイ・アイオライト(潜影の暗殺者・f12771)。色々思う所はあれども、まずは目の前の任務を遂行せねばとエダの後ろを追従する。
「ん。みんなどこいくの?あれ、もしかしてあのテレビウム何かに乗っ取られてんじゃねーです?これ。まぁ、着いて行けばわかる筈ですね。」
とりあえず流れに乗って着いてきたものの、交渉(暴れる)に夢中で事件などそっちのけであったネムネ・ロムネ(移植された心・f04456)。テレビウムの様子がおかしいようなので、このまま流れに乗って依頼を進めることに。
「……んで、さっきと同じように怪人軍団が襲いかかってくるのね……。今取り込み中なんだから、邪魔してんじゃないよ!」
エダがテレビウムに追い付くと、前方よりハチ怪人が群れをなして飛んできているのが、そのあまりの数から嫌でも目に付いた。
こちらは猟兵が3人もいるとはいえ、敵は目視できている前方だけではなく、さらに左右からも気配を感じている。
先ほどの公園とは違い、多方面から数で来られるのは流石に少々分が悪い。
「こちらとしては、テレビウムの彼に怪人を近づけたくないんだよね。」
苦笑いでそうこぼす。まだ数百mは距離があるとはいえ、こちらも相手も向かい合って進んでいる以上、接敵は時間の問題だろう。
早急に対処を考えなければと状況を整理する。
こちらは素手。そして見たところ相手の得物は槍。
すると向こうは近接攻撃で来るのか…否、あの形状なら投げ槍として使うことも想定できる。
であれば、近寄られる前に迎撃するのが最良だろう。
ならば先ほど公園で披露したドワーフの秘儀を使うか、しかしそれでは面制圧力が足りないだろう。あれはどうしても点の攻撃になる。
しかしだからと言って、もう手が尽きたわけではない。
こちらはドワーフであると同時に聖職者だ。
「まだ奥の手があるってこと!さあ、聞いて驚け!!」
エダが勢いをつけてテレビウムを追い越すように前へ飛び出すと、怪人軍団に向けて空中で手を叩く。
パンという音…で表現していいものではなかった。それはもはや形容することの出来ない音、衝撃波とも呼ばれる音の壁が向かい来る数多の敵をはじき返し、鼓膜を破り、地に伏せた。
「ここから先、簡単に近づけると思うなよ!」
どれだけ敵が来ようとも、絶対に守り抜くという強い意思。
その慈愛の心と祈りを込めればただの猫だましも絶対障壁として機能し、その手で弱者を救う力となり得るのだ。
「エダの方は大丈夫そうね。ならあたしはこっちを任せてもらうわ。」
一人飛び出し、率先して前方の守備にあたる仲間を確認し、レイは自分も続かなければと左から迫り来る伏兵達と対峙する。
茂みの中、木の影、ビルの窓、果てはビルの上から姿を現し一斉に飛翔する怪人達。
「そう、空中戦を挑もうってこと…」
敵の作戦を瞬時に読み取ると、懐から小瓶を取り出し細工する。
レイの怪しい怪しい動きに反応したのか、上空のハチ怪人達が手にした槍を構えて一斉突撃をしてきた。
それを待っていたとばかりに、レイが懐から手を離すと大きく腕を広げて大空を仰いだ。
傍目には、レイが為す術もなく身を挺してテレビウムの肉壁になろうとしてると映っただろう。
しかし、実際はそうではなかった。むしろ一本たりとも槍の切先はレイへと届かなかったのである。
そして怪人達はあれだけの勢いをつけていたにも関わらず、皆空中で不自然に動きを止めていた。否、吊るされていた。
勢いを利用された透明な鋼糸のトラップ。それが身体中に深く食い込み血が滴る。
それだけではない、裂けた傷から鋼糸に塗られた毒が入り込み、怪人達の神経を麻痺させていたのだ。
「いくらでも掛かって来なさい。単純なあんたたちでは見破ることも出来ないでしょうけど。」
前方の空には黄色い影。左の空にも黄色い影。右の空にも黄色い影。
どこを見ても視界から消えることのない怪人の群れ。
「…これはお出迎えでしょーか?」
とぼけた調子で状況をぼんやりと認識するネムネ。
しかし、仲間の猟兵達が颯爽と飛び出していったのを見て、流れに乗っておこうかと自分も準備をする。
「アイサツは大事です。よいしょ(ピピピッピー)やっほー。」
ネムネ式対オブリビオン用挨拶をぶちかます。
今回はいつもよりちょっぴり豪華に多段式誘導ミサイルをご用意。
より広い爆破範囲と効率的な面制圧、そして確実に敵を逃がさない圧倒的殺意が魅力のプチセレブリティウェポンをチョイス。
都会的なキマイラフューチャーの街並みに見劣りしない迫力で差を付けました。
「敵が多いと綺麗な花火が咲くのです。」
値段分の元は取れたと満足気に微笑むネムネ。
「でも流石にちょっと情報がたりねーですね。ネムネだけ置いて行かれてる感あるのです。一匹くらい翅を落としてお話を聞けないですかね。」
このまま花火大会もいいが、綺麗に木っ端みじんに散っていく怪人達を見てネムネが新しい花器を取り出した。
一度お高いのを使ったのだし今日は無礼講。両手にガトリングガンとスペアガトリングを保持して、上空の羽虫に向けて無数の銃口を光らせる。
こんなものを両手に持って狙いが付けられるのか?勿論答えは否。
当然とてつもない回転と反動により、両手は行ったり来たりと上空を滅多打ち状態であった。
それでも上空を埋めていた怪人達が埃でも払うようにパラパラと墜ちていく。
これだけの数がいるのだから一匹くらい羽だけ散ったやつがでるはず。だからこれで問題ないのだ。周囲のビルや信号などまで破壊しなければだが。
銃身が焼け付き、むせる臭いが辺りを包むころには綺麗さっぱり害虫駆除は終わっていた。
ネムネが山と積まれた怪人の残骸の中から、まだ息のあるものを蹴り起こすと尋問を開始する。
尋問形式は古き良き、額にピストルを突き付けるクラシックスタイルだ。
「はろー。お仕事お疲れ様です。誰の命令で動いてるんです?本当の狙いはなんですか?なんで彼らを狙うのです?」
しかしその答えはガチガチとハチの口を鳴らすだけのものであった。
期待外れの答えに、尋問は終了。協力してくれたオブリビオンには骸の海にお帰り頂いた。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
第3章 ボス戦
『妹が大好きな怪人・マイホゥ』
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POW : 妹の願いを叶えぬ兄などいない!お兄ちゃん頑張るぞ
【妄想の元気系妹の激励 】【妄想の清楚系妹の声援】【妄想のツンデレ系妹の罵倒(?)】で自身を強化する。攻撃力、防御力、状態異常力のどれを重視するか選べる。
SPD : 妹の何が良いかだと?これを見れば良さがわかるぞ
レベル×5本の【妹 】属性の【動画を再生するモニター付ドローン】を放つ。
WIZ : どんな妹が好みだい?言わなくてもわかっているさ
【頭部のタブレットPC 】から【対象が考える理想の妹の幻影】を放ち、【実体化した幻の妹とのふれあい】により対象の動きを一時的に封じる。
イラスト:因果
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種別『ボス戦』のルール
記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※このボスの宿敵主は
「フィン・スターニス」です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
猟兵達の身体を張った護衛により、虚ろに歩くテレビウムがようやく脚を止めた。
目の前には街の屋外ライブステージ。顔の『カギ』はなおもそのステージ上、背面の大スクリーンを指示している。
しかし、ここまで足を運んだところでこのライブ会場にはスタッフの影もなく、何か起こるわけでもなく静寂が場を支配していた。
突然、静寂を切り裂くようにテレビウムが叫んだかと思うと、全身が眩く輝き出した。
そしてそれに合わせるように、会場の背面スクリーンが起動し映像が映される。
「お兄ちゃ~ん大変大変!お兄ちゃんのお友達がみ~んなやられちゃったみたい!このままじゃ私が永遠にお兄ちゃんと会えなくなっちゃう!」
画面の中でほろほろと涙を流し、しなをつくってわざとらしく泣きまねをしていた。
「ぬお~~~!可愛い可愛い俺の妹を泣かせるのはお前らか~!」
とう!と掛け声を出しながら会場の上から落ちてくるタブレット頭の怪人。
「可憐な少女を泣かせる悪め!可愛い妹を現実世界にアンロックするキーアイテムのために俺は絶対に負けん!」
「頑張ってお兄ちゃん!このボーナスステージは15分だよ!その間はキーアイテムが動かないから絶対ゲットしてね!」
二人の世界に入りながらも、聞き捨てならない台詞を吐く二人。
どうやら今から15分もの間、テレビウムは発光し続け動けないようだ。
ケイ・エルビス
★アドリブ連携等大歓迎!
腕時計のストップウォッチをスタートさせて
制限時間を意識しながら
行動
【心情】
妹か・・オレ、
一人っ子だったからな。
ああ、オレだって
欲しかったさ!
無邪気で元気で無垢で
オレにだけなついてる
可愛い妹がさあ!
【戦闘】
激しく妹攻撃に葛藤しながらも
◆野生の勘
◆見切り
◆武器受け
で心と身体の急所を
避けながら
◆気合いの入った
UCキラー・チューンによる読みにくいリズムの
連続攻撃に
◆カウンター
◆フェイント
を交えて戦うぜ
チャンスがあれば
積極的に
◆気合い
◆怪力
◆グラップル
で掴んで敵を
地面に叩きつけた後
投げ飛ばすよ
仲間やテレビウムがピンチになったら
鞭で◆咄嗟の一撃
◆かばう
「へぇ、15分もオレのステージを用意してくれてるんだな。」
きぃ、という音もたてず慎重に扉を開けて外の音を入れていた。
野外ステージの裏手、スタッフルームで息を殺して中の様子を伺う影。
ミリタリージャケットの袖を捲り、ブランドの腕時計をドアの隙間の木漏れ日に覗かせる。
色々と多機能で重宝しているこの腕時計、タイマーくらいは標準装備だ。今より15分後にアラームを設定する。
しかしこのアラームが鳴ることはないだろう。これはあくまでも戒めなのだ。
「オレは運び屋兼何でも屋だぜ、仕事はいつもスピード解決がモットーさ。」
誰に向けたものでもなくそう呟くと、彼-ケイ・エルビス(ミッドナイト・ラン・f06706)は颯爽と扉を蹴破り飛び出していく。
「でゅっふふ!可愛い妹のサポートがある以上、俺は無敵!!キーアイテムはいただくなりぃ!!」
「残念だったな!そうは問屋が卸さないぜ!」
ステージから飛び降りテレビウムを今にも強襲せんと構えていた怪人が、突然の後方からの横やりのつんのめる。
「知ってるか?ヒーローは遅れてやってくるんだぜ、こんな風にな!」
突然の来訪者に慌てふためく怪人の隙を突き、瞬時に間を詰めて接近するケイ。
ステージ内に流れる妹ちゃんのBGMに合わせたリズミカルな攻撃を正面からぶつける。
散々聞きなれたこのリズム、流石の怪人もすぐに流れを掴みケイの猛攻へなんとか追い付く。
「へぇ、ちょっとは骨があるじゃないか。それも可愛い妹のためってことか。だがオレだって欲しかったさ、本当に無邪気で元気で無垢で自分にだけなつくようなゲームみたいな妹がいたらな…いい加減、これで目を覚ませ!」
ケイの怒号と共に連打のリズムが急に変わる。しかしそれでいて不規則ではない。
いわゆる裏打ちのリズム。表のリズムに慣れ過ぎていた怪人にとってそれは、いくら身体の反応が追い付いていても頭の処理が追い付かない。
ケイの連打が急所に数発叩き込まれると、怪人が姿勢を崩す。その一瞬を逃さずさらに間合いを詰めて相手に掴みかかると、崩した態勢を抱き込むように後ろに引いて放り投げた。
ケイ渾身の巴投げ、放り投げられた怪人は頭から地面に突っ込んでいた。
「地面とのキスは強烈だろ。ちょっとは目が覚めたかい?」
大成功
🔵🔵🔵
エダ・サルファー
私テレビウムじゃないからよくわからんのだけど、光り続けるのって疲れたりしないのかね?
まあ、身体の自由が効かない状態ってのがすでにしんどいというか、大変だと思うので。
せめてこういう変な怪人の相手は、私らが引き受けておくべきだよねぇ。
しかしこのタブレット怪人、妹らしき何かにそそのかされているのか、そもそも妹らしき何かもこいつの妄想なのか、どっちなんだろ?
そもそも、モニターの向こうの子を現実世界に出すのが良いこととは限らないのでは。
まあいいや!どっちでも倒すだけだし!
ちゃっちゃと近づいて近接格闘で戦うよ!
私の聖拳突きで、妹ともども骸の海に帰りやがれ!
あのテレビウムの彼には近づけさせないっての!
護衛のためにテレビウムに付き添い、この屋外ステージに来た猟兵達。
そして、突然光り出したテレビウムにエダ・サルファー(格闘聖職者・f05398)が驚きの声を上げた。
「眩しい!!こ、今度はなに!?」
全身が眩く輝くテレビウムの光が、エダの眼鏡を白く反射させて視界を奪う。
待っていたとばかりに現れた怪人とその妹(?)が、テレビウムが動けないことなどの説明を勝手にしてくれたので状況がなんとか掴めた。
「でも私テレビウムじゃないからよくわからんのだけど、光り続けるのって疲れたりしないのかね?」
発光の際、明らかに苦しそうな叫びも出していた。彼のことを思うのであれば一刻も早く解放してあげたいと願うエダ。
「ただでさえこんな状態で大変なのに、怪人の相手までさせるわけにはいかないよね。あっちの始末は私が引き受けるから、苦しいだろうけどここで待っててね!」
聞こえているかは分からないが、依然眩く輝くテレビウムに声を掛けるとステージ上へと躍り出た。
ステージ上では、既に他の猟兵の手により地面と熱烈な接吻中の怪人がいた。
「お兄ちゃんしっかりして!わたしのお兄ちゃんはこんなことで挫けないもん!」
バックスクリーンから響く妹ちゃんの声が怪人の耳に届くと、痙攣していた怪人が急に元気を取り戻して頭を上げた。
「でゅふ!勿論だとも!俺はお兄ちゃんだから、可愛いお前の前では絶対に負けな…い?」
妹の言葉に応えるように勢いよく上げた頭。しかし、その視線の先には拳をベキべきと鳴らし自分を見下すエダの姿。
「どひぃ!?ちょ、ちょっとタンマですぞ…ぶへぇ!!」
怪人が何か言っているようだが、お構いなしに顎を蹴り上げて吹き飛ばす。
エダからしてみれば、苦しむテレビウムを救うためにも一刻も早くコイツを始末したいのだ。
それにしてもこのタブレット怪人、妹らしき何かにそそのかされているのか、そもそも妹らしき何かもこいつの妄想なのか。
あの妹らしき存在が声援を送ると、怪人は負傷状態であっても再び戦闘出来るようになっていた。
エダはあの妹と呼ばれている存在から、何か底知れぬ不気味さを感じとる。
もしあの妹が言うように、テレビウムのカギの力でこちらの世界に来てしまったら良くないことが起こるのではないかと。
「まぁ後の細かいことは考えても仕方ないよね!ここで倒しちゃえばいいだけだし!」
雑念は拳を鈍らせる。パンと顔を叩き気合いを入れると、よろよろと起き上がる怪人に再び視線を戻した。
「頑張って~お兄ちゃ~ん!」
「でゅふ!可愛いお前と現実世界で会うまでお兄ちゃんは不滅ですぞ!」
妹の言葉で再度怪人が立ち直ると、拳を掲げてエダに飛び掛かってきた。
上段から振り下ろされる巨躯の拳。ドワーフという小柄な種族のエダにとって、この質量差での格闘戦は本来相当不利な状況である。
しかし、振り下ろされる拳をエダが掴むと、あえて自分の方へグイと引き寄せる。
受け止めるだろうと思っていた怪人が、エダの予想外な行動に体勢を崩した。それがエダの狙いであった。
「そんなに妹とイチャつきたいなら骸の海でやりやがれ!くらえ必殺!聖拳突きぃっ!」
飛び込み勢いをつけた相手の運動エネルギー。それを逆に利用し、右腕を怪人のみぞおちへと綺麗に叩きこむ。
あまりの衝撃に声を発する息すら吐けず、怪人がバックスクリーンの下まで吹き飛んだ。
気を失ったのか、頭のタブレットは真っ黒に染まっている。
「私達がいる限り、テレビウムの彼には近づけさせないっての!」
大成功
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レイ・アイオライト
【SPD判定】
妹、妹って……そんなに妹がいいの?よく分からないんだけど……ともかく、相手を絶望させるには、『妹』をどうにかすればいいのよね?
鋼糸の檻で行動を阻害、周辺の影に『目立たない』ように潜伏、【翻ル凶星】で相手のユーベルコードを封じるわよ。
妹なしの兄になった気分はどう?殺り合うっていうなら相手になるわよ。
バックスクリーンまで吹き飛んだ怪人。
今は気を失ったことで猟兵達から敵意無しと判断されたのか、皆発光が止まらないテレビウムを心配そうに見つめて囲んでいた。
しかし、先の戦闘をステージの影から見守るレイ・アイオライト(潜影の暗殺者・f12771)は尚も怪人から目を離さなかった。
まだ微かだが息がある。暗殺者として、息の根が止まるまでは決して安心することが出来なかったのだ。
それにしても、あの怪人が余程執着しているのか何度も口にする妹という言葉。
「妹、妹って……そんなに妹がいいの?よく分からないんだけど……」
暗殺者として生きるレイにとって肉親とは枷、己を縛り覚悟を鈍らせる妨げである。
闇に潜む者としての、時として冷徹で無情な判断をすることに慣れているからこそ、特別その言葉に思うところは無かった。
しかし、相手がその言葉に執着しているというのであれば話は違う。
暗殺とは相手の隙を突くこと。妹、その言葉の繋がりを上手く利用できれば相手の隙を作ることが出来るに違いないと算段を立てる。
「ともかく、相手を絶望させるには、『妹』をどうにかすればいいのよね?」
「お兄ちゃん!お兄ちゃんどうしたの!?しっかりして!!」
「お兄ちゃんなら立てるよ!頑張って!!」
「お兄ちゃん、頑張れ!お兄ちゃん、頑張れ!」
どこから湧いて出たのか、複数のディスプレイ付きドローンが怪人の周りに群がる。
各々独立して違う言葉を投げかけては、気を失った怪人に激励を投げかけていた。
「ぐぬ…ぐぬぬ!!お兄ちゃんふっかーつ!!!」
妹たちに囲まれてデレデレと気持ち悪い仕草を取りながら、わざとらしく怪人が立ち上がった。
「…やっぱり『妹』がアイツの力の源で間違いなさそうね。」
立ち直った怪人に気が付かない仲間の猟兵達に代わり、レイが真っ先に反応した。
ステージの影に潜み籠手から鋼糸を出すと、網のようにドローンへ被せて次々墜としていく。
「ぬわぁ~~!!可愛い俺の妹達よー!!」
余程のショックであったのか、膝をついてドローンの残骸を前にさめざめ泣きだした怪人。
狙い通り隙だらけとなった怪人をレイが確認すると、死角から暗剣を投擲し影を縫い付ける。
トスと自分の後ろに何かが刺さる音、それに反応し怪人が振り返る。しかしこれもレイの狙った視線誘導であった。
既に死角を取りながら三方へと結界の印は結んでいる。そして今、最後の印がこれで結べた。
レイが念を込めると、怪人の四方を囲むように雷撃が漂う。
しかし、閃光に囲まれ周囲が照らされはずが、何かがおかしい。明るくなるどころか闇が辺りを包み込むのだ。
「なんじゃこりゃー!おお、可愛い妹よー!お兄ちゃんにその可愛い顔を見せておくれー!お兄ちゃん寂しいよぅ!!」
あれだけ謎の自信に満ちていた怪人が、視界を遮られた瞬間から急にしおらしくなっていく。
やはり妹がいなければ怪人は取るに足らない相手のようだ。予想が確信に変わってもなお、レイは決して油断しない。
慎重に闇に乗じて怪人の背後へと回ると、暗殺者として鍛えた自慢の脚を使って怪人の背中へ不意打ちの蹴りをぶちかます。
怪人がよろめき前へ倒れ込むと、そこには闇に隠されていた電撃の檻。
「アバババババババババババ!!」
全身が焼け付き、人肉の焦げる不快な臭いが立ち込める。
「妹なしの兄になった気分はどう?まだ殺り合うっていうなら相手になるわよ。」
大成功
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ネムネ・ロムネ
なぁーにが「お 兄 ち ゃ 〜 ん」ですか
きめーんですよ
15分?
そんなにいらねーのですよ
5分で終わらせてやるのです
弾薬は既に撃ち尽くしました
砲身は焼け付いてこれ以上の使用は無理っぽいですね
手榴弾も尽きましたです
ん。
いいでしょー
ネムが直接説得してやるのです
(UC発動)
かかってきやがれ、ですよ
※アドリブ連携大歓迎
妹?
まさかとは思いますけど、この「妹」とは貴方の想像上の存在に過ぎないのではねーですか?
貴方のびょーきは悪化してるのです
今すぐネムの(物理的)治療を受けるのです
怪人を撃破したら見届けさせて頂くのです
この一連の騒動の顛末を
屋外ステージ上では黒い靄が、怪人の感電音と叫び声と共に晴れていく。
テレビウムを護衛するためステージから離れていた猟兵達も、ようやくその音でステージ上の異変に気が付いた。
晴れたステージには、いまだ不快な臭いが燻る怪人だけ。痙攣している様子から、まだしぶとく生きているようだ。
「いやぁーー!!お兄ちゃんしっかりして!!私のために頑張って!!」
「ごぶ、げほ!だ、大丈夫だ可愛い妹よ!お兄ちゃんは可愛いお前の前では無敵ですぞ~!!!」
妹の掛け声ある限り、ゾンビのように何度も立ち上がる怪人。
流石の猟兵達もその生命力に引いているようだ。
そんな二人の世界に浸る怪人達を見てネムネ・ロムネ(移植された心・f04456)が本心を隠そうともせず呟く。
「なぁーにが『お 兄 ち ゃ 〜 ん』ですか。きめーんですよ。どう考えてもあんなの絵じゃないですか。」
ネムネがじとりと軽蔑の視線を向けるが、当の本人たちは気にする様子もない。
「それにしても本当にテレビウムが発光しっぱなしなのです。あの気色悪い怪人達が言うように15分はこのままなんです?」
流石に気分が悪くなりそうなので、視線をテレビウムに戻していたネムネ。
相変わらず衰退しない光に目を細めて、心配そうに声を掛ける。
しかし、アイツらが言い出したことで発光しているのだとしたら、退治すれば発光も止まるのでは?
そう思いつくと、ネムネは再びあの寒い兄弟愛ごっこを続ける怪人達を睨む。
「15分?そんなにいらねーのですよ。5分で終わらせてやるのです。」
少しでも早く彼を助けようと、ネムネが決意を胸に得物の確認を行い始める。
怪人達の作戦通りなのか、既にここまでの戦闘で相当の弾薬と武器を消耗している。
「弾薬は既に撃ち尽くしました。砲身は焼け付いてこれ以上の使用は無理っぽいですね。手榴弾も尽きましたです。でもそれだけです。なんの問題もねーですよ。」
んしょ、とステージ上によじ登るネムネ。武装も持たないその姿は、誰が見ても無力な少女にしか見えないだろう。
「んん!?なんですかな、また邪魔者というけですかな?ま~可愛い女の子のお話ということなら、聞いてあげないこともないですぞ~!でゅふ!」
顔が人間的なものなら、さぞ下卑た表情をしているのであろうタブレット頭の怪人が、壇上に上がってきたネムネを舐めまわすように視線を這わす。
「ん。いいでしょー。ネムが直接説得してやるのです」
怪人の提案に乗るようにネムネが答えると、全身が光に包まれガジェットスーツに包まれた。
その形状は、全体的にネコを模したようなデザインになっており、猫耳、尻尾、肉球グローブなどの愛嬌重視な見た目となっていた。
「はう!なんですかなその姿!?じ、実に興味深いですぞ!!ものは相談でござるがお兄ちゃんとゆっくりお話しでも…」
「んぁ。ごちゃごちゃ煩いし、ジロジロ見てんじゃねーです。かかってきやがれ、ですよ。」
ネムネの愛くるしい見た目に心奪われたのか、挑発されてもまごまごと一向にかかってくる気配のない怪人。
そんな姿を見てか、バックスクリーンに映る妹ちゃんも不機嫌そうに頬を膨らませている。
ネムネとしては少しでも早くテレビウムを解放したい。そんな苛立ちから、待っていられないと自分の方から相手の懐へと飛び込んでいく。
振りかぶる肉球アーム。どう見ても弱そうだ、油断した怪人はそんなことを思いながら、当たったら頭でも撫でてやろうなどと舐め切っている。
しかし、振り下ろされる瞬間、肉球の先から鋭く長い爪がジャキリと姿を見せる。
「え、ちょっ!?ぎゃひ~~~!!」
鮮血を撒き散らす袈裟斬りがノーガードの怪人を切り裂く。
裂かれた胸を押さえ膝をついて蹲る怪人。爪の先からポタポタと血を滴らせて、怪人を見下ろすネムネがさらに口撃する。肉体・精神両方をずたずたに引き裂くつもりだ。
「まさかとは思いますけど、あの『妹』とは貴方の想像上の存在に過ぎないのではねーですか?だってそうでしょう。こんなに傷付いているのに貴方を護ろうともしねーんですよ?貴方は頭のびょーきなのです。さっさと頭の治療を受けるか今すぐ死んで詫びるのです。」
一時ではあるがネムネに浮気していたことが敗因であった。いつもの声援が怪人へ送られることはなく、精神的に痛い所を突かれた怪人が返す言葉も無く子供のようにむせび泣いていた。
大成功
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メンカル・プルモーサ
……自分の世界に入ってる……というかあれ、何者かが煽ってる…?
…とにかく、15分間足止めするか、倒すか、か…いや、15分後どうなるか判らないから倒した方が良い…
…あと、私も妹だし妹も居るから言うけど…正直妹ってそう言うのとはちょっとだいぶ違う……
…まあいいや……取り合えずドローンを【空より降りたる静謐の魔剣】で撃ち落として……
…後は…どうにか背面スクリーンを黙らせたい…被害無く壊せるなら壊して…そうじゃ無いならハッキングでどうにか出来ないか試す…
…まあ、あれが居なくなっても妄想でどうにかするのだろうけど…それは【尽きる事なき暴食の大火】で燃やし尽くす方向で……
完全に意気消沈した怪人へ、ぺっと唾を吐き捨て去って行った猟兵。
ほとんど自業自得ではあるのだが。
しかし、それでも愛想を尽かすことはないのか、嫉妬していたバックスクリーンの妹ちゃんが怪人へ声援を投げかける。
「も~お兄ちゃんは私がいないと本当にダメダメなんだから!もう他の子に気を取られちゃメッだよ?」
「でへへ…勿論だとも世界一、いや宇宙一可愛い妹よ!お兄ちゃん復活!!」
相変わらず妹の応援一つで完治する生命力。その光景を見ていた猟兵達が、こいつは本当に倒せるのかとざわつき出した。
「……自分達の世界に入ってる……というかあれ、何者かが煽ってる…?」
壇上でまたイチャつきだした怪人達を呆れ気味に見つめるメンカル・プルモーサ(トリニティ・ウィッチ・f08301)。
それにしたってしぶとすぎる。まるで時間を稼いでいるかのようでさえある。
「…とにかく、15分間足止めするか、倒すか、か…いや、15分後どうなるか判らないから倒した方が良い……いや、もしかして…本当に時間を稼ぐことが目的だとしたら…不味いね……」
あの剽軽な態度はこちらを煽る作戦なのだとしたら…無論あのタブレット頭の方は本当に剽軽なのだろう。しかし、先ほどから戦いを見ていると後ろに映る『妹』が怪しい。
15分という時間制限もアレが言っただけにすぎない。我々は既にアレの術中に嵌められていたのではないか?
そのな不安がメンカルの心中に渦巻いた。そしてそれは決して無視できないifの話だろう。
あの妹への妨害を試してみる必要がある。
「…それにしても、私も妹だし妹も居るけど…正直妹ってそう言うのとはちょっとだいぶ違う……」
「…まあいいや……取り合えず、邪魔な方の動きを止めて……」
おもむろにメンカルが杖を掲げると、ステージ上空に青白い円が浮かび上がる。
すると、公園でも披露した切先が現れ怪人の周りを囲むように突き刺さっていく。
「ぎえ~~!危なっ!!おいそこの失礼な眼鏡女子、いきなり危ないです…ぞぉ!?」
突然の不意打ちに文句を言っている最中から、ステージに突き刺さった刃から凍てつく氷が地を這い怪人の脚を固定する。
これで邪魔者はいなくなった。後は本命のバックスクリーンに映るアレをどうにかするだけだ。
恐らく物理的な破壊は効果がないだろう。先ほど見せたドローンは全て別個体のような振る舞いだった。
ならば、あのスクリーンにハッキングして細工を施せないか。メンカルが周囲を見渡すと、最初に猟兵が飛び出してきたドアが目に入る。
バックスクリーン横の部屋、もしやあそこは制御室に繋がっているのではと、メンカルが鋭い考察をして目立たぬように駆け出した。
幸いドアは蹴破られており、ほとんど目立たず飛び込むことが出来た。
睨んだ通り、中に入ると隣に『制御室』と書かれたプレートが下がっている。
生憎、制御室への扉は電子ロックされていたが、封印解除術式【ルーナル】を用いて易々とアンロックする。
電子制御が主流の時代は、メンカルにとってはむしろありがたいくらいなのだ。
そのまま制御盤に触れると、あっという間にシステムを掌握する。
「……これで、あのしぶとい怪人も……」
ステージ上では脚が凍り付き、身動きの取れない怪人がもがいていた。
「ぐぬ、脚が抜けん!!おお、俺の可愛い妹よ!お兄ちゃんを励ましてくれー!!」
「(ザザッ)クスクス、そんなことすら出来ないの?(ザザザ)お兄ちゃんダサーイ!(ザザ)見損なったー!」
「ごふっ!!う、嘘でござろう?俺の可愛い妹は絶対そんなこと言わない…言うわけないですぞ!!」
期待して見つめたスクリーンからは、多少ノイズが入っているがいつもと同じ妹のはずだった。
しかし、その口から出て来た言葉に、思わず心臓を鷲掴まれたような痛みが走る。
いつもであれば、声援によりどんな状況からも立ち直ってきた怪人。
だが、今は逆に地獄の底に突き落とされたような気分になり、吐き気が催している。
「お兄ちゃんメンタルゴミ過ぎ~!それで頼れる兄貴面してるとかキモイんだけど!」
「ごふっっ!!」
スクリーンから飛び出る言葉が次々と怪人に突き刺さり、今までにないダメージを与えていく。
これも全てメンカルの作戦。スクリーンの映像はそのままに、声だけを変換しているのだ。絶対的な信頼関係を逆手に取り、怪人の存在意義の否定によるダメージを狙ったのだ。
「……あなた達の関係は歪……ここまでじゃないけど…本当の兄妹って、もっと本音を言い合える関係だと思う……」
大成功
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一郷・亞衿
動けない彼に怪人を近付かせないよう、威圧目的で[軍用鉄線鋏]をぶん回すとして……理想の妹かあ。年下の家族はいなかったしちょっと憧れあったんだよね、妹。
おっ、なかなか可愛いじゃん?写真撮ろう写真。お兄さんと他の妹さんたちもご一緒にー。視線くださーい。
はい、チーズ──なんてなぁ!
『ナイトクローラー』!カメラの閃光を浴びて消え去るがいい!
いやまあ弟妹に憧れがあったってのはマジなんだけどさ、呑気なこと言ってる場合でも無いしね。
怪人の“理想の妹”では無いにせよ、妹に貴賎なし。<だまし討ち>で消滅させたら多少は精神的動揺を誘えそうな気がする!
脆そうな感じの頭してるし、隙あらば鋏で顔面ぶん殴ってやろうっと。
ステージ上では、今も最愛の妹による口撃が続いていた。
その言葉一つ一つが怪人に刺さり、その度に悲痛な叫びがステージに響き渡る。
「うわぁ…中々エグイ作戦だね…それにしても理想の妹かあ。年下の家族はいなかったしちょっと憧れあったんだよね、妹。」
悲惨な兄妹の掛け合いが目の前で行われているせいか、自分がお姉さんとして色々と世話を焼く風景を妄想して現実逃避する一郷・亞衿(奇譚綴り・f00351)。
また何か言われたのか、怪人が一際大きい叫び声でようやく我に返る。
しかし、怪人の様子がおかしいことに気が付いたのか、スクリーンの妹が声を出さずに怒った仕草をする。
すると、スクリーン横の扉から黒い煙が噴き出した。
「も~!私に悪戯するなんて許さないんだからね!ぷんぷん!!」
先ほどまでノイズ混じりだった妹の声が、すっかり元の戻っている。
どうやら妹がスクリーンの制御を取り戻したようだ。
「お兄ちゃんごめんね!今までの言葉はぜ~んぶ嘘だよ!私はお兄ちゃん大好きなんだから!」
「おお、おお~!!やはりか!やはりか!!お兄ちゃんは信じていたよ!」
あれだけ苦しんでいた怪人が再び元気を取り戻す。
「あちゃ~。あの妹、やっぱりクセモノみたいだね。下手な悪霊より質が悪い。」
だからといってどうしたものか。アレがいる限りこのいたちごっこはエンドレスに続くだろう。
怪人本人は瀕死に追い込んでも回復する。妹は物理的に破壊しても消える気配はない。かといって、ハッキングも長くは続かない。
コミカルな見た目に反して相当な強さを見せる怪人達。
そうこうしてるうちに、テレビウムが発光してそろそろ15分経過してしまう。実際にこのまま光り続けるとどうなってしまうのか不明な以上、早期に決着を着けたいところだ。
しかし、ここまでの猟兵の活躍により勝ち筋はある程度見えて来ている。
あの『妹』は現実に顕現したがっている。つまり現実世界に存在できない存在なのではないか。
だからこそ、物理的にでも電子的にでもない、恐らく自分にしか出来ないやり方でアレを消滅させることが出来るはず。
一郷は自身の持てる知識から、何か確信めいたものを胸に抱いていた。
「最愛の可愛い妹よ!これで俺たちはまた仲直りでござるな!でゅふふ!!」
「本当に!?お兄ちゃん優しい!大好き!!」
「さぁもうすぐ可愛いお前を現実世界に呼んであげるからね!お兄ちゃん一生懸命頑張るぞい!」
屋外ステージのド真ん中で繰り広げられる二人の世界。
そこへずかずかと一郷が割って入っていく。
「やぁやぁお二人さん、仲直りしたの?喧嘩がこっちまで聞こえていたよ。」
敵意のないような仕草で、自然な空気を装い近付く。
「お、おたく分かります?いやぁ~可愛い妹の口から信じられない言葉が出たときは驚きましたぞ。ですがすっかりこの通り!!」
幸せオーラ満開の怪人がホラとバックスクリーンに映る妹へ振り返る。
「おっ、なかなか可愛いじゃん?写真撮ろう写真、仲直り記念にさ。お兄さんと妹さんご一緒にー。こっち視線くださーい。」
キマイラフューチャーでは珍しいフラッシュ内蔵型の古いフィルムカメラを手にしていた一郷が、幸せオーラにつけこみスクリーンの妹を捉えられるように事を運ぶ。
「はい、チーズ──」
パシャリ、とフラッシュがたかれる。この世界では珍しい光量に思わず目を閉じた怪人。眩む目を開けて擦ると、後ろを振り返り妹へ声を掛けた。
「うひょ~眩しい!大丈夫でござったか可愛い妹よ!!」
しかしスクリーンは黒く反射するのみで、そこには誰も映ってはいなかった。
怪人にはそのことが理解できず、固まる。最愛の妹は何処へ?
「ど、どこへ…どこへいった可愛い妹よ!お兄ちゃんはココにいますぞー!!」
「無駄だよ。ソイツはもういない。このカメラは物事の本来あるべき姿を映すんだ。つまり、この世に存在なんかしていないアンタの『妹』ってのもそう。本来『存在していない』って姿に戻っただけ。」
取り乱し妹を探す怪人を一郷が止める。怪人の拠り所、そして恐らくこの怪人の存在意義の消失。
それを含めて既に決着は着いたのだ。
「…う、…そだ……」
一郷の言葉に対し否定しようと言葉をひねり出すが、怪人も既に妹を失ったことは理解していた。
心にぽっかりと穴が空いたような感覚が、彼の平衡感覚を奪っていたからだ。
ふらふらと膝から崩れ落ち、空虚になったタブレット画面を空に向けて座り込む。
その姿はまるで、自ら首を差し出すかのような哀愁が漂せた。
これで今度こそ本当にお終いだろう。
トドメの刺そうと一郷が軍用鉄線鋏を手に近付く。
振り上げたハサミを鈍器のように振り下ろすと、怪人の顔、タブレット画面を思いっきり叩き割った。
怪人が消滅すると、テレビウムの光が納まる。
駆け寄った猟兵達が顔を覗くと、『カギ』は既に消えていた。
すると同時に、沈黙していたバックスクリーンが突然光りだし、音を発する。
まさかまだ生きているのかと身構える猟兵達。
しかし聞こえてくる声は、散々聴いたあの声ではなかった。
「システム・フラワーズより緊急救援要請」
「全自動物資供給機構『システム・フラワーズ』に、侵入者あり」
「テレビウム・ロックの解除数が多ければ多いほど、開放されるメンテナンスルートは増加する。至急の救援を請う」
大成功
🔵🔵🔵