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そして廻るは

#ダークセイヴァー

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#ダークセイヴァー


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●運命の輪
 窓の無いこの牢に閉じ込められてから、いくつ陽が落ち、そして昇ったのだろう。
 此処は暗くて、肌寒い。
 だけど神はわたし達を見捨てない筈。いつか、きっと光が射し込んでくる筈――。

●星
「集まってくれてありがとう。ダークセイヴァー世界で事件が起きることを予知したんだ。解決をお願いしてもいいかな?」
 グリモアベースの片隅で、集まった猟兵達を前に白い長髪の少女が淡々と口を開いた。
「ああ、自己紹介をしていないね。私は鈴・月華(リン・ユエファ)というよ。以後お見知りおきを。別に憶えていなくてもいいけど」

 月華は淡々としたまま、白い手帳を開いて話を続ける。
「ある村がヴァンパイアの支配下にあるんだ。村人達は人質を取られて、逆らえなくてね。だからまず君達には、人質に取られている人を助け出して欲しい。だけどそれだけじゃ解決にはならないから、村を支配しているヴァンパイアを倒してきて」
 ああ、そうそう囚われている人の事なんだけれど……と、月華は思い出したように手帳のページを捲る。
「人質として囚われているのは、リアンさんという女の人。リアンさんは村の教会の、たった一人の修道女でね。誰にでも優しくて清廉なそのさまから、村の住人達に慕われて人望が厚いんだ。だけど平穏だったある時に、ヴァンパイアがリアンさんを攫った」
 人質にするならば、村の中で最も人望がある者を選ぶが道理。人望が無いものを人質にしても、誰も従わない。
「まあ、その後は。リアンさんの命を担保にヴァンパイアが村に圧政を敷いているってトコだよ」
 月華はそう言い切ると、ぱたんと手帳を閉じて肩を竦めた。

「リアンさんが囚われている地下牢の場所は解っているから、その近くまで転移できるよ。村からは少し離れているんだけれど……転移したその後は君たちの行動次第だね」
 月華は考える様に視線を数秒地面に落としてから、また猟兵達を見つめ直す。
「大丈夫、君達なら良い結果を出せるよ。それじゃあ、いってらっしゃい」
 そしてちゃんと帰ってきてねと、聞こえぬ様に最後に零して。


雪月キリカ
 タロットでは。
 星の正位置は希望、可能性。
 逆位置は混乱、失望。
 運命の輪の正位置はチャンス来たる、大きな変動。
 逆位置はアクシデント、挫折。
 という意味合いを持つそうですね。

 はじめまして、雪月(ゆづき)キリカと申します。初めての依頼をお送りします。
 まずは人質を救出し、運命の輪を動かしてください。

 タロットを正位置にするも、逆位置にするも。全ては猟兵の皆様次第です。
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第1章 冒険 『拷問地下牢』

POW   :    正面突破で拷問地下牢を破壊して重要人物を救出する

SPD   :    鍵を盗み出すなどして秘密裏に重要人物を救出する

WIZ   :    牢番や拷問吏を騙して重要人物を救出する

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種別『冒険』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


月華が転移を行った先は、森の中にある寂れた洋館の付近だった。曰く、この洋館の地下牢に、人質が囚われているという。
 転移された猟兵達はそれぞれ、行動に移り始める。
須藤・莉亜
「さてと、上手いこと騙せれば良いんだけどね。」

血統覚醒を使いヴァンパイアになりすまし、正面から堂々と入っていく。

「美味しそうな血の人がいるってここの友達に聞いたんだけど。案内してくれる?」

上手いこと救出対象に出会えたら、とっととズラかろうかな。

「あなたが捕まった人?ならとっとと逃げようか」


騙しきれなかった場合はひと暴れして注意を引きつけよう。

「あー、やっぱこうなっちゃうよねぇ。」

他の猟兵の人たちが対象を救出して、移動中の場合も注意を引くことにする。



●星・正位置
「さてと、上手いこと騙せれば良いんだけどね」
 耳飾りを揺らし、正面扉から正々堂々と侵入を試みるは莉亜(メランコリッパー・f00277)。
「美味しそうな血の人がいるってここの友達に聞いたんだけど。案内してくれる?」
 フードを目深に被った二人の門番に話しかけ、牢まで通させようとする。
 あらかじめ血統覚醒を使い瞳を深紅へと変え、ヴァンパイアに成りすますも。見慣れぬ青年の突然の訪問は、門番達に不信感を与えてしまったようだった。
「此の館を守護する我等、己が務めに忠実であるのみ。友は存在せず」
「何故、此処に人間が居ると知っている。さては貴様、人質の女を取り返しに来たのか……?」
 懐からナイフを取り出し、莉亜へ向け敵意を顕わにする門番達。タダで追い返すつもりは無いらしい。
「あー、やっぱこうなっちゃうよねぇ……」
 こうなってしまったなら敢えてひと暴れし、他の猟兵達が行動しやすくなるよう敵の注意を引くだけだと切り替える。莉亜は白い大鎌を手にし、迎え撃つ体勢をとった。

苦戦 🔵​🔴​🔴​

ライ・アインス
WIZを使用します。

自分の身体を透明化させて莉亜さんの後をつけて来たことにしても良いでしょうか。

莉亜さんが注意を引いてくださっている間に門番を後ろから斬ります。

後は鍵を探して、リアンさんを救出する事が出来たら、リアンさんを抱えて透明化させ、脱出します。門番の死体は見つかったら厄介なことになりそうなので、喰べてしまいましょう。
リアンさんに見られないように死体も透明化させた上で食べます。

ライは顔を隠していて表情も見えず、話すことも出来ませんが、話しかければ頷いたりする事は出来ます。



門番達が不審者を排除しようと、行動を起こそうとしたその時。
 片方の門番が突然、背から鮮血を吹き出し事切れた。
 その様を目にしたもう片方の門番は、何が起こったのか理解できずに狼狽える。だがその門番もまた、同じように背から鮮血を吹き出し事切れる。 
 それはSiegfrieds Tarn Cappeを使用し、己を透明化させたライ(サイボーグの咎人殺し・f07320)が、門番達を背後から斬り裂いたからだった。
 敵を排したライは透明化を解除し姿を現したが、顔に布の袋を被っている為、表情を窺い知ることはできない。
 そしてライは何も言わず門を指差す。邪魔者は排したから、先に進めると表しているのだろう。
 その場に居合わせていた猟兵達は、礼を述べ先に進み始める。
 ライはその場にしばらく立ち尽くしていたが、他者の気配が無くなったことを確認すると、門番の死体へ向かい歩き出す。
 ライにしか出来ない後処理をする為に。

成功 🔵​🔵​🔴​

レイチェル・ケイトリン
秘密裡に救出するね。

救出するほかの猟兵さんといっしょに行動します。
わたしが得意な念動力でこそこそうごいたりしておてつだいします。
鍵を盗み出すのに遠隔操作したり、離れたとこで物音を立てたり、
できることはあると思うから。
あんまり戦力になれないと思うけど、正面突破ももちろんお手伝いするよ。

リアンさんのとこへは、わたしが得意な念動力で木や土をもってって
ユーベルコード「ダミークラフト」を使ってリアンさんの偽物を
いそいでつくって死んじゃったみたいに偽装してから脱出するね。

人質が逃げたらおっかけるけど、人質が死んじゃったらかくすよね。

いうこときかせにくくなるだけだから。

これがわたしの「秘密裡の救出」だよ。


キア・レイス
この世界で人質はよくある事だな、予知で生きているのがわかった分、珍しい方か。
せっかく生きているのなら、生きて返した方がいいだろう、村のその後のためにも。

潜入をして静かに救出を目指す。
自動拳銃に減音器を取り付けてから、正面からは入らずクライミング技能で窓やバルコニーから入る。
明かりには頼らず視力と暗視で暗がりに紛れつつ聞き耳をたてて忍び足、とりあえず人質のいる牢まで向かう。

着いたら牢周辺の警備は自動拳銃で制圧、「すぐに出してやるから大きな音は出すな」とリアンに忠告し後に続く猟兵が鍵を持ってくるまで周囲を警戒する。
ただ、鍵開けに使える技術と装備のツールナイフがあるため、開けれそうなら解錠を試みる。


シャルル・デュホォン
「幾ら人質とはいえ、女性をこんな所に閉じ込めるのは良くないと思わないかい?シャルロット」

人形のシャルロットに同意を求める様に話掛けて、こっそり鍵を拝借しに行くよ。もちろん、人の気配を察知する為に気を張りながら。

鍵を入手出来たら牢番の隙をついて気絶でもさせておこうか。で、その後に素早く救出しようか。


フォルター・ユングフラウ
ふむ、修道女か…我とは相容れぬ道を歩む者だな。
が、悪鬼が神の僕を救うというのも中々面白いではないか。

我は、【WIZ】を活かして動く。
牢の鍵を所持している可能性のある牢番や拷問吏を、誘惑や催眠術、言いくるめを駆使して木偶にする…という想定だな。
鍵を所持していれば、それで良し。
所持していなければ、UC:ヴィーゲンリードを使うとしよう。
誘惑で堕ちていれば、67分は我の傀儡とする事が出来る。
鍵を持って来させる事に加え、知る限りの情報も吐かせてみるのも良いかもしれぬな。
事が済めば、縛って物陰にでも転がしておくとしよう。


舞音・ミケ
リアン、どんな人なんだろう。
地下…寒いよね。早く助けないとね。

相手のところに乗り込むんだし、慎重に。騙し討ちの方向で。
誰かいたら物陰に隠れて、小さく音を立てて。
近くに来たらサイキックブラストの電撃で不意打ち。しびれててもらうよ。
不意打ちできなさそうな状況だったら、ばっと飛び込んで電撃。ジャンプ力には自信あるよ。
少し雑でも、スピード重視。早く助けないとだしね。

牢に着いたら、リアンの安全確保優先しながら助けて連れ出すよ。
人質が人質じゃなくなったら、何かされるかもしれないし。

リアンが寒そうだったら私の服(布)、着てもいいよ。



「ふむ、修道女か…我とは相容れぬ道を歩む者だな。が、悪鬼が神の僕を救うというのも中々面白いではないか」
 ドレスと漆黒の髪を揺らし、鍵を持っている可能性のある者を探すフォルター(嗜虐の乙女・f07891)。は、偶々一人で行動をしていた牢番に目を付ける。
 牢番を催眠と生来の美貌を以て誘惑し、陥落をさせるも。牢の鍵は所持していない様子で。
 であれば傀儡にし鍵を持ってこさせるが良しと、彼女は心壊す揺籃歌を使用する。
『我にその身を、その心を委ねよ。背徳の悦びに震え、絶頂させてやろう』
 身と心を捕らえられた牢番は、主人たる彼女の命に喜び従う。身を翻し急ぎ鍵を取りに向かい、数分後には彼女の手に鍵を握らせた。
「何処かに修道女が居るのだろう?何処に居るか、教えて貰おうか」
 牢番はあなた様の為なら何でもと、リアンが囚われている牢の場所からその道筋までを詳しく語り出す。
 鍵と有力な情報を得て満足気に笑んだ彼女は、用済みとなった牢番を麻縄で縛り上げ物陰に転がしたのだった。

 一方、その頃。
 正面からではなく、クライミング技術を駆使しバルコニーから洋館内へと潜入したキア(所有者から逃げだしたお人形・f02604)。
(この世界で人質はよくある事だな、予知で生きているのがわかった分、珍しい方か。せっかく生きているのなら、生きて返した方がいいだろう、村のその後のためにも)
 キアは胸中でそう独り言ち、自動拳銃に減音器を取り付け感覚を研ぎ澄ませる。
 そして彼女は銀髪と黒のゴシックドレスを揺らし、暗がりに紛れ牢へと続く道を探し始めた。


(リアン、どんな人なんだろう。地下……寒いよね。早く助けないとね)
 そんなことを考えながら、ミケ(キマイラのサイキッカー・f01267)はリアンの囚われている牢の近くまで辿り着いた。
 だが、牢には牢番が存在するのが常。
 リアンの牢は牢番が複数常駐していて守りが堅く、一人で真正面からの突破は無謀に近い。
 物陰でどうしたものかと思案したミケは、途中合流したレイチェル(心の力・f09500)と共に、騙し討ちで牢番を排する作戦を取ることにした。
 
 牢から少し離れた場所で、カツン、と物音が鳴る。それを聞き不審に思った一人の牢番は、その原因を探る為に音がした方向へ向かう。
 それはレイチェルが牢番を誘き寄せる為に念動力で起こしたもので。それに誘き寄せられた牢番は、物陰に隠れていたミケからサイキックブラストを叩きつけられる。
 身体に流れる高圧電流の負荷に耐え切れず、意識を失いその場に崩れ落ちる牢番。だが少しばかり、方法が雑だったのかもしれない。
 他の牢番が複数人でミケらのいる方へと向かってきてしまったのだ。
 ――あ、まずいかも。
 二人がそう思った矢先、星が輝く。
 
 少しだけ話は戻り。
 牢へ続く道を順調に進んできたキアは、小さな物音と、その後に続いた何かが倒れる音を聞き取る。それはミケらが起こした音で。
 牢番達はそちらに気を取られ、リアンの牢からは意識が離れた。その好機をキアは見逃さない。静かに、急ぎリアンの牢へと近づく。
「あの、あなたは……」
 問いかけようとしてきたリアンに対し、キアは己の唇に人差し指を当てる。
「すぐに出してやるから大きな音は出すな」
 彼女は自動拳銃を再装填し、牢番達の意識がまだ己に向いていない内に制圧にかかった。

 そしてキアにより残りの牢番達は制圧され、窮地から出したミケとレイチェル。
 ホッとしたのも束の間、ミケが失神させた牢番が薄ぼんやりと意識を取り戻し始め。
 牢番はゆらりと立ち上がろうとしたが、背後からまたも攻撃をくらい前のめりで倒れる。
 牢番をまたも昏倒させたのは金髪緑目の青年。
 それは一見すると女性にも見えるシャルル(気分屋なトゥイードール・f02552)で。彼は人形のシャルロットに同意を求めるように話し掛ける。
「幾ら人質とはいえ、女性をこんな所に閉じ込めるのは良くないと思わないかい?シャルロット」
 そこにタイミング良くフォルターが現れ、入手していた鍵をシャルルに放り投げる。彼は中空に舞う鍵をとらえて、開錠した扉を紳士的な所作で開いた。

 はじめは事情が呑み込めず戸惑っていたが、おずおずと牢から出るリアン。余りにも酷い事はされていはいない様だが、修道服だけでは寒かったのだろう。顔色は余り良いとは言えない。それを見たミケは己のマントにも、ローブにも見える布をリアンの肩に掛ける。
「ありがとうございます……えと、あなた方は一体……?」
 布を掛けられ、礼を述べるリアン。そしてほんの少し不安が入り混じった瞳で猟兵達を見やる。
「わたし達は、あなたを助けに来たの。怪しいひとじゃないから安心して?」
 優しくリアンに微笑みかけ、不安を拭い去ろうとするレイチェル。それを見たリアンは、嘘ではないと判断したのだろう。瞳を閉じて安心したように胸を撫で下ろす。

 その後、レイチェルはダミークラフトを駆使しリアンの偽装死体を作成。牢の異変に気付いた他の者がそれを見た時、死亡確認や隠滅で多少の時間稼ぎが出来るだろう。
 猟兵達はリアンを連れ、急ぎ洋館を後にした。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​




第2章 冒険 『炎からの救出』

POW   :    力づくで人を救助、避難させる

SPD   :    走り回って避難を助けたり、安全な場所を探す

WIZ   :    知恵や魔法を使い、火災の犯人の手がかりを捜す

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種別『冒険』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


●運命の輪・逆位置
 リアンを連れ、村へ向かうべく洋館を後にした猟兵達。
 しかし向かう最中異変に気付く。村の方角から煙が上がっているのだ。
 そして村へ近づく度に、予想は確信へと変わる。
 村は何者かの手により火を放たれ燃え上がっていた。
「どうして……なんで……神はわたし達を見放したのですか……?」
 放心してその場に崩れ落ちるリアン。
 だがまだ炎は完全には回っていない。急ぎ行動を起こせば、逆さの星は正しく昇りだすだろう。
フォルター・ユングフラウ
貴様の神とやらの事はわからぬが、一つだけ言える。
衆生を導く修道女である貴様が心折れかけてどうする。
神が見放そうとするのならば、後ろ髪を掴んで力尽くで振り向かせれば良いだけの事。
諦めるな。

…ふん、柄にも無い事を言ってしまったな。
まぁ良い、【WIZ】を活かし仕掛人を探ろう。
手段は、UC:ヴィーダーゲンガー。
我と五感を共有する146の腕を、村へと疾らせよう。
仕掛人捜索が第一にせよ、逃げ遅れた者共も見かけるだろう。
その場合は、近くの猟兵に知らせるなりしておこう。
火災に動揺せず、右往左往する事も無く移動する者がいれば…腕を複数送り、重点的に追跡させよう。


亜儀流野・珠
一刻を争う。呆けてる暇は無いぞ、リアン!
俺は【ライオンライド】でライオンを喚び騎乗、駆け回り逃げ遅れた人間の救出と安全確認をする!
手が空いた奴、助け出された怪我の無い奴は消火を頼む!
俺も手が空いたら消火に回ろう。

俺の好きな人間達になんて事を・・・
罰のつもりか?ヤケでも起こしたか?
出て来い放火犯、俺が蹴り飛ばしてやる!



「一刻を争う。呆けてる暇は無いぞ、リアン!」
 リアンへと喝を入れる珠(狐の恩返し・f01686)は、喚び出した黄金の獅子に騎乗し、銀髪とそれを結うリボンを靡かせ燃え盛る村へ駆け出す。
「貴様の神とやらの事はわからぬが、一つだけ言える。衆生を導く修道女である貴様が心折れかけてどうする。神が見放そうとするのならば、後ろ髪を掴んで力尽くで振り向かせれば良いだけの事。――諦めるな」
 珠の後を追うように、フォルター(嗜虐の乙女・f07891)はリアンを見ることなくそう言うと、同じく村へと向かう。
(そう、ですね。私もしっかりしないと。今の私では村の人たちに不安を与えてしまうわ)
 猟兵達の後ろ姿を見送りながら、向けられた言葉に見え隠れした気遣いをリアンはしっかり感じていた。

 燃え盛る村の中で、フォルターは柄にも無いことを言ってしまったなと、一人小さく嗤う。
『立ち塞がりし者に、遍く死の抱擁を。拒むな、慣れれば心地良きものだ』
 彼女は己と五感を共有する146本の腐り爛れた腕を召喚。
 村に火を放った仕掛け人を見つけるべく、それらを村中を疾巡らせる。
 仕掛け人を捜索する途中に要救助者を見つけたなら、他の猟兵に知らせて要救助者探しに無駄が無いようにも務める。
 そしてその最中、一本の腕が炎の中で悠々と歩いている存在を見つける。他の場所を巡っていた腕もその存在へと向かわせて、意識を集中し追跡を開始する。

 村を駆け巡る珠の赤い瞳は、火を放った者への怒りに燃えていた。
(俺の好きな人間達になんて事を……罰のつもりか?ヤケでも起こしたか? 出て来い放火犯、俺が蹴り飛ばしてやる!)
 だが今は人命と安全が第一だと軽く首を振ると、逃げ遅れた者が居ないか捜索する。
「手が空いた奴、怪我の無い奴は消火を頼む!」
 途中、無事な村人を見つけたなら、そう指示を出し消火の人手を確保。
 他の猟兵の手引きにより要救助者を素早く見つけては、自力で歩ける者は安全な場所まで誘導し、歩けぬ者は己の獅子に乗せて移送をする。
「さあ、狐の恩返しの始まりだ!」
 少しずつ。しかし着々と、村人の避難は進んでいくのだった。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

須藤・莉亜
「急げばまだ間に合うかな?」

首なし馬に騎乗して、安全な場所を探してみよう。ちょっとくらいの炎なら無視して突っ込む。

安全な場所を見つけられたら、逃げ遅れた人たちをそっちに誘導できれば良いな。

「さ、もうちょっと頑張ってね?」
あと、首ないけどこの馬はいい奴だから安心して?



「……急げばまだ間に合うかな?」
 別の場所で、村の方角から立ち昇る煙を見た莉亜(メランコリッパー・f00277)がぼんやりとそう独り言ち。
『一走り行こうか』
 そう発すれば、首の無い馬が傍らに現れて。その馬に騎乗し疾駆する。
 多少の炎は涼しい顔して気にも留めず、首元の血色の石を揺らして村の中でも安全そうな場所を探す。
 その途中、一人で泣きながら歩いていた少年を見つける。おそらく親と逸れたのだろう。
 少しだけ思案してから馬から降りて少年へと歩み寄り、無言で頭を撫でてやる。
 泣きじゃくっていた少年は、人が来た事と撫でられた事で安心したのか、啜り泣く程度には落ち着きを取り戻して莉亜を見上げる。
「多分、会えると思うから」
 莉亜はそう言い少年を抱きかかえ、首無し馬へとまた騎乗する。
「さ、もうちょっと頑張ってね? ……あと、首ないけどこの馬はいい奴だから安心して?」

 少年を抱え駆け巡る最中。村の東に、小さいがしっかりとした石造りの教会を見つけ。
 おそらくリアンの教会だろう。まだ火の手は回っていない。教会の前には広場があり、避難してきたであろう村人達がその場に身を寄せ合っていた。
 炎の上がっている位置と現在の風向きから、此方にその手が伸びるのにはまだ時間がかかるだろうと莉亜は判断。
 少年をその場に居た村人に預けると、他の猟兵達にこの場所を伝えるべく、また駆け出した。

大成功 🔵​🔵​🔵​

レイチェル・ケイトリン
かみさまはしらないけど、ヤドリガミのわたしはみはなしたりなんかしないよ。

ちからづくでがんばるよ。
わたしだと力って、得意な念動力技能でつかうサイコキネシスなんだけどね。

たくさんの土をもちあげて火をていねいにけしていくよ。

サイコキネシスは精密な操作ができるものね。

もえてくずれそうなおうちもしっかりささえて、なかの人をやさしくだしてあげる。

くずれちゃっていたらもちあげるよ。

ほかの猟兵さんたちともいっしょにうごいて、わたしの力がひつようなとこをおしえてもらったりもするよ。

わたしの力は心の力。

たすけてあげたいってきもちが、いまのわたしの心なんだから。


舞音・ミケ
嫌な臭いがすると思ったら…。
まずは救助とかが必要なら手伝ってから、この騒ぎの原因を探す。
村の人に話を聞いたり。高い所から見渡してみたり。
まだ破壊が続いてるなら止めに行かないと。
「布」が無いから寒いけど。暖まるのは全部終わってから。
人手や戦力が必要になったらサモニングガイストして手伝ってもらう。


キア・レイス
救命救急についての知識は特に持っていない、できることはなんとか火の手を食い止めることだろうか。

救助者がいないことを確認でき次第、装備のカノン砲を持ち出し火元の家屋に向かって発射、直撃や爆風を使っての爆風消化を試みる。
周囲の建物に燃え移りそうなら、その建物も攻撃し破壊して燃えるものを無くす破壊消化もしないといけないだろう。

可愛そうだが、更なる被害を食い止めるためだ。
村人たちから糾弾されてしまうかもしれないが…
全て燃えてしまうよりかは良いと信じる。



避難誘導や仕掛け人探しに動く猟兵達を見たキア(所有者から逃げだしたお人形・f02604)は、火の手を食い止めることで己の役割を果たそうとする。
 彼女が選択した方法は破壊消火だ。燃えるものを無くす事で炎の延焼を防ぐ方法で、水だけでは炎を消す事が難しい場合に用いられる。
 (可哀想だが、更なる被害を食い止めるためだ)
 村人たちから糾弾されてしまうかもしれない。けれども、命を含む全てが燃え尽くされるよりは良いと信じて、キアは身体にカノン砲を装着する。
 
 行動前には周囲の安全と、家屋内部に要救助者が存在しないか確認する為に辺りを見回したキアは、一つの燃える家屋へと焦点をあてる。
 その中をよく目を凝らせば、そこには逃げ遅れた親子が取り残されていた。燃え崩れた瓦礫が逃げ道を塞いでしまい、身動きを取りたくとも取れぬ様子だった。
 キアはレイチェル(心の力・f09500)に協力を仰ぎ、念動力による瓦礫の撤去を指示。
「かみさまはしらないけど、ヤドリガミのわたしはみはなしたりなんかしないよ」
 指示を受けた彼女は、炎の中で祈るように手を組み合わせる親子を見てそう呟き。
 得意の念動力で瓦礫を動かし、崩れ落ちそうな瓦礫は支えて、しっかりと道を作ってゆく。
(わたしの力は心の力。たすけてあげたいってきもちが、いまのわたしの心なんだから)
 レイチェルは心に更に想いを込めて、ふわりと親子を浮かせて優しく助け出す。
 助け出された親子は、何が起こったのか直ぐには理解できなかったようだ。だが少し離れた場で青い瞳の娘が優しく微笑みかけているのを見て、直感的にこの娘に助け出されたのだと理解。一礼した後に何処かへ駆け出していった。

 要救助者が救助されたことを確認したキアは、身体に装着した二門のカノン砲の銃口を、火元には近いが未だ燃えていない家屋へと向ける。
 周囲に村人が居ないか今一度確認し、発砲。その反作用により身体のバランスを崩しそうになるが、持ち堪える。
 重き弾丸の直撃を受けた家屋は、轟音と共に崩れゆく。
 キアはその爆風により乱れる髪を整える間を作ること無く、また別の家屋へと狙いを定めて延焼の広がりを抑え。
 そして最後に火元となる家屋へと弾丸を撃ち込む。それでもまだ燃え残る炎にはレイチェルが念動力で多量の土をかけ、丁寧に消火。
 炎の魔手は、猟兵達によりその勢いを削がれゆく。


(嫌な匂いがすると思ったら……)
 ミケ(キマイラのサイキッカー・f01267)は物が燃える時に発せられる焦げ臭さに眉根を寄せる。
 彼女はこの火事騒ぎの原因を突き止めるべく、村を奔走していた。
 己が纏っていた「布」をリアンに貸し出してしまった為に少々寒いが、暖まるのは騒ぎの原因を突き止めてからだ。
 途中で会った村人に、怪しいものを見なかったか話を聞くも。皆、己と家族の身の安全が第一で、他者の事まで中々気を回せないのだろう。有力な情報は掴めない。
 ならば高い場所から村を見渡し、怪しきものが居ないか探す事にしようと決めるミケ。
 ぐるり周囲を見渡せば、高くそびえる針葉樹が目に入った。それに向かい駆け、猫のようによじ登る。

 ふと、村の西のある一角に目を向ける。それはなんとなくであったが、そこに居る何かを目にした。
 ミケは「それ」と、目が合った気がした。野生の勘が「それ」は危険だと警告する。
 「それ」は待ち構えるように、その場に佇んでいて。
 「それ」はその場から逃げ出すことは無いと、直感的に思った。
 
 「それ」の存在を他の猟兵達にも伝える為に、ミケは飛び降りて駆け出すのだった。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​




第3章 ボス戦 『ヴァンパイア』

POW   :    クルーエルオーダー
【血で書いた誓約書】が命中した対象にルールを宣告し、破ったらダメージを与える。簡単に守れるルールほど威力が高い。
SPD   :    マサクゥルブレイド
自身が装備する【豪奢な刀剣】をレベル×1個複製し、念力で全てばらばらに操作する。
WIZ   :    サモンシャドウバット
【影の蝙蝠】を召喚する。それは極めて発見され難く、自身と五感を共有し、指定した対象を追跡する。
👑17
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種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠山田・二十五郎です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


●シャッフル
 村の西。全てが燃え尽きてしまったその区域で猟兵達を待ち構えていたのはヴァンパイアだった。
 リアンを攫い、村に圧政を敷いていたヴァンパイアだろう。
「我が名はヘルゲ。逃げ出した修道女様を、村を燃やし尽くす事で絶望の底に叩き込もうと計画していたのだが……どうやらそれを邪魔する輩がうろちょろしているらしい。それは貴様らだろう?」
 ヴァンパイア……ヘルゲは描いていたシナリオ通りに行かなかった事に不満げな様子で。
「だがしかし、貴様らを血祭りに上げれば、修道女様はさぞお悲しみになるだろう。その顔を見るのが楽しみだ!」
 ヘルゲは歪んだ笑みを猟兵達へ向けそう告げる。
 ヘルゲを倒しそれを阻止する為に、猟兵達は其々、迎え撃つ体勢を取り始める。
フォルター・ユングフラウ
貴様の気色悪い笑顔を見るのは、件の修道女も願い下げだろう。
…が、血祭りをするというのは大いに賛成だ。
我らの血でなく、貴様の血だがな。

我も夜の一族の血を引く者、奴の攻撃方法は我にも馴染み深いものだ。
攻撃予兆を見逃さぬ様にしつつ、【WIZ】を活かして攻め立てる。
我の攻撃には呪詛が込められている、これでじわじわいたぶって愉しんでやろう。
更に、複数の黒の血玉より解放した使い魔を奴に纏わりつかせ、吸血や生命力吸収で傷の回復を行いたいところだ。
UCはアップグルントを使う。
当てても外れても、我には有利でしかない。
あえて外し、行動阻害と自己強化を行うのも良いかもしれぬな。



「貴様の気色悪い笑顔を見るのは、件の修道女も願い下げだろう……が、血祭りをするというのは大いに賛成だ」
 フォルター(嗜虐の乙女・f07891)は片手のロンググローブを外しながら、ヴァンパイアを鋭く見据え。
「それは我らの血でなく、貴様の血だがな」
 血祭りにされるよりも、する方が得意な彼女は、露わになった己の手首に刃物を当てる。
『貴様が沈むのは、この霧よりもなお暗き場所。絶望に迷い、逝け』
 そう言い終わると同時に、一気に切り裂く。しかし、噴出した血液はヴァンパイアから放たれた影の蝙蝠により遮られてしまう。
「そんな行為で我に傷を付けられると思ったのか。それとも気が触れたのか?」
 フォルターを一笑するヴァンパイア。だが、直後に己の異変に気付く。身体の自由が利かなくなったのだ。片膝をつき、忌々しげに彼女を睨みつける。
「貴様、一体何を……! それに何だこの霧は……!」
 ヴァンパイアの周囲には黒霧が発生していた。それは地面に飛び散ったフォルターの血液から生じた、呪詛の篭められた黒霧だった。
 目論見通りに事が運び、満足気に笑むフォルターは召喚した黒の玉座に座す。
「じわじわ甚振って愉しんでやろう」
 そして嗜虐的な笑みを浮かべる。ヴァンパイアはその笑みに初めて恐怖を覚えた。
 フォルターはヴァンパイアへと指を向ける。その指には豪奢な赤鉄鉱の指輪がはまっていた。
 それには彼女の使い魔たる蝙蝠が封じられている。彼女の命により指輪から解放された蝙蝠達は、一斉にヴァンパイアへと群がる。
「貴様……許されるなどと思うな……!」
 蝙蝠達に血液を奪われながら、ヴァンパイアはギリ、と歯軋りをした。

成功 🔵​🔵​🔴​

レイチェル・ケイトリン
……これって「ほーかまはいみふめいなきょーじゅつをつづけており」
っていうんだよね。どうでもいいよね、そんなの。

えと、ほかの猟兵さんたちのうしろで
念動力と吹き飛ばしの技能でパイロキネシスをつかって
爆発する炎で敵を攻撃してふっとばしてくね。

遠隔操作には対象の状況把握が必要。

ふっとばせばそんなことできないし、
ふっとばせなくてもフェイント技能で牽制すれば
集中できないよね。

敵からの攻撃も爆炎で燃やしてふっとばしてふせぐよ。
ほかの猟兵さんへの攻撃も、かばう技能もつかって
燃やしてふっとばしてふせぐよ。

へんな紙をつかったあとに命令しようとしたら
それもふっとばして、いわせないよ。

どうせまともなこといわないしね。


舞音・ミケ
村を支配するんじゃなかったの?燃やしちゃうの?
…………(考え込む)
リアンの事がそんなに気になるの?
あげないよ。

距離を置いて相手をじーっと観察。黒猫の霊を放って不意を突いてみよう。
不意打ちできれば隙を作れて仲間の助けになるよね。ねこ、がんばって。
自分は聞き耳、野生の勘、第六感…をフルに使って不意打ちに備えるよ。
何かに襲われたら召喚媒介具の「丸い石」で殴る。石、便利。

散らかしたら片付けないと。壊したら直さないと。
村の復興手伝ってくれる?


亜儀流野・珠
そうか、犯人はお前か。
絶望の底?残念だったな、リアンは強いぞ?この状況でもすぐに立ち直ってみせた。
人間は強い。見誤ったなヘルゲよ。
この村にお前は必要無い、退場して貰おうか!

奥義・千珠魂!俺たち、召喚だ!
数え切れない程の俺だ。小さくて可愛いだろ?
もし蝙蝠が襲ってきても数で圧倒しながら本体を目指す!
奴に近付けたら広がって狐火斉射だ!
必要そうなら村人や仲間を「俺たち」で補助しよう。



「村を支配するんじゃなかったの? 燃やしちゃうの?」
 ミケ(キマイラのサイキッカー・f01267)はじとりとした視線をヴァンパイアに向ける。
「支配するも、滅ぼすも、それは我の勝手だろう。何がおかしい。それにアレを攫ったのは、その方が都合が良いと思ったからに過ぎぬ」
 群がっていた蝙蝠を辛くも振り払いつつ、問いに答えるヴァンパイア。それを聞いてミケは無言で暫し考えた後、口を開いた。
「……リアンの事がそんなに気になるの? あげないよ」
「貴様は一体どんな結論に達したというのだ」
 どうやら夜の支配者は、突っ込まずにはいられなかったらしい。
「そうか、犯人はお前か」
 珠(狐の恩返し・f01686)は、じろりとヴァンパイアを睨みつける。
「絶望の底?残念だったな、リアンは強いぞ? この状況でもすぐに立ち直ってみせた……人間は強い。見誤ったなヘルゲよ」
「フン。小娘が随分と生意気な口を利く」
「……これって『ほーかまはいみふめいなきょーじゅつをつづけており』っていうんだよね。どうでもいいよね、そんなの」
 呆れたような視線をヴァンパイアに向けるレイチェル(心の力・f09500)は、ヴァンパイアへ向け加速した炎を複数放つ。
 ヴァンパイアは咄嗟に影の蝙蝠達を喚び出し、己の身を庇おうとするも、全てを防ぎ切れずに被弾する。
「小娘どもが生意気に…!!」
 身を焼かれ、吹き飛ばされ地を転がるヴァンパイアは、苦し紛れにまたもや影の蝙蝠達を猟兵達へ向け放つ。
「どうせまともなこといわないしね……『これはわたしの心の炎』」
 溜息をつきながらも、蝙蝠達から味方を庇うべくレイチェルは次から次へと炎を向ける。同じ手を二度も喰らうかと言わんばかりにヴァンパイアは蝙蝠達を集中的に炎へと向かわせた。
 だが、それこそがレイチェルの狙いだった。
『おいかけて』
 ヴァンパイアに問い掛けをしていた際に、ミケは密かに黒猫の霊を放っていたのだ。ヴァンパイアの意識が炎へと向いている隙に、黒猫の霊はヴァンパイアとの距離を殆ど詰めていた。
「ねこ、がんばって」
 ミケの命を受けた黒猫の霊は高く飛び上がり、 標的たるヴァンパイアの顔面へ爪を喰い込ませ、強引に引っ掻く。
「畜生風情が猪口才な事をしてくれる!!」
 顔面に走る鋭い痛みに顔を歪ませながらも、黒猫の霊を引き剥がし地面に叩きつけるヴァンパイア。
 それにより黒猫の霊は消滅。消滅を見届けたミケは「おつかれさま」と小さく呟いた。

「黒猫の仇は俺が討つ! 奥義・千珠魂!『俺たち、召喚』だ!」
 黒猫と入れ替わるように、珠が七十五もの小さな己の分身を召喚。
「小さくて可愛いだろ?」
 それを合図として、小さな珠達は一斉にヴァンパイアへと向かい突撃を始める。
「小賢しい真似をするな!!」
 多数には多数で対抗せんと、ヴァンパイアは影の蝙蝠達をを珠の分身達にに向けるが、レイチェルの炎がその数を削ぐ。
 それでも何体かの珠は蝙蝠と相打ちになる。
 だが仲間の助けが無ければ、もっと圧倒されていただろうと思う珠。
 その時、死角から蝙蝠の一体が珠へ向かっていた。
 「あ、危ない」
 不意にそう発したミケは珠に迫っていた蝙蝠を、召喚媒介具である丸い石で殴り落とす。
 野生の勘と第六感をフルに働かせていた結果、珠に迫っていた危機を感知出来たのだ。
 レイチェルとミケの助けに珠は礼を述べ。未だ残る己の分身達と共にヴァンパイアへと一気に詰め寄り、取り囲む。
 そして一斉に狐火を放った。炎は容赦無しにヴァンパイアの身を焼く。
「がぁあああああああ!!」
 堪らずに地に膝を付き、苦悶の叫びを上げるヴァンパイア。
「この村にお前は必要無い、退場して貰おうか!」
 珠はヴァンパイアに向けてびしりと指差し、堂々と宣言したのだった。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​

須藤・莉亜
「おお、いい啖呵。僕もちょっと張り切っちゃおうかな。」

ちょっと離れてーと、周りに声をかけてから、眷属の腐蝕竜さんを召喚。
腐蝕竜さんには噛みつき、体当たり、爪での引っ掻き、尻尾での薙ぎ払いなんかで攻撃してもらう。
僕は彼の攻撃で隙ができたところを大鎌で攻撃して行こうかな。
【傷口をえぐる】で敵の傷口を広げられるように頑張る。

敵の反撃が来たら腐蝕竜さんの後ろに隠れて回避してみる。

チャンスがあれば、腐蝕竜さんに敵を押さえつけてもらって【吸血】を狙おう。
「意外とレアなヴァンパイアの血、是非味わいたいね。」



「おお、いい啖呵。僕もちょっと張り切っちゃおうかな」
 触発され、やる気を出す莉亜(メランコリッパー・f00277)はちょっと離れてー、と周囲の猟兵達に喚起。
 そして猟兵達が離れたことを確認した彼は、白い大鎌の柄で地面を突き言い放つ。
『全部食べちゃって?』
 その呼びかけに、地の底から何かが応える。
 音を立てながら地を裂き現れたそれは、20メートルはあろう、眼窩に光の無い腐蝕竜(ドラゴンゾンビ)だった。腐り爛れた表皮からは肉が見え、所によっては骨が露出。翼も糜爛し所々に穴が開いている。
「それ如きに怯む我ではない!! 串刺しになるがいい!!」
 ヴァンパイアは己の所持していた深紅の剣を数多に複製し、それらを莉亜へと目掛け飛ばすも。
 既に負っているダメージの影響で集中が欠けて精密な操作が出来ず、莉亜には軽々と躱されてしまう。そして腐蝕竜の後ろに隠れられてしまった。
「おー、怖い怖い」
 腐蝕竜の背後からひょこりと顔をのぞかせて嘯く莉亜。一方の腐蝕竜は、ヴァンパイアが不快であったのだろう。無慈悲に尾を振り、ヴァンパイアを薙ぎ払う。
「がっ……!」
 吹き飛ばされ、燃え残りの家屋の壁に叩きつけられ、それでもヴァンパイアは身を立て直そうとするも。
 白い大鎌……血飲み子を掲げた莉亜は差し迫り、容赦なく斬撃を加える。
 薙ぎ払われた時点で負った傷へと重ねられたその斬撃は、深くダメージを与えた。そこに追い討ちをかける様に、腐食竜が脚でヴァンパイアを押さえつける。
 動けぬヴァンパイアをじぃ、と見た莉亜は、思いついたように口を開いた。
「意外とレアなヴァンパイアの血、是非味わいたいね」
 好い機会は逃したら、次がいつになるかは時の運だ。その答えに至った莉亜の行動は早かった。
 身動きが取れぬを良いことに、ヴァンパイアの首筋へと牙を突き立て、血を啜る。ヴァンパイアが何かを喚いているが、マイペースに吸血を続ける莉亜。やがて口を離し、彼はぽつりとその味を評した。
「……年季の入った赤ワインかな?」

大成功 🔵​🔵​🔵​

渡・冥
人質を取って従わせようとしたり。
その人質が逃げれば村に当たり。
支配者たるには色々と足りてないね?
しかも村に火を放った自分自身が火に焼かれてると。
ピンチだね。どうするんだい?神にでも祈ってみるかい?

…とか言いたいのを抑えて。なるべく近付いてから攻撃したいから黙ってこっそり接近。
顔を隠し。なるべく死角から。静かに素早く。
少しでも混乱させる為に見付かって話し掛けられても無視して突っ込む。

狙うは足止め。
最大限に近付いたら【サイキックブラスト】の電撃を叩き込むよ。
近付けず威力が落ちてもこちらに攻撃してる分、隙はできるだろうし。
その場合は適度な距離で攪乱するよ。

皆、後は頼んだよ(少しふらふらしながら)



 その影で、一人の漆黒が動き出していた。
 
 言いたいことは山ほどある。
 人質を取って従わせようとしたり、その人質が逃げれば村に当たり。
 村に火を放てば、今度は自身が炎に焼かれれ。
 ――このヴァンパイア。支配者たるには、色々と自覚が足りていない。
 喉元まで出て来た言葉の数々はぐっと抑え、死角からヴァンパイアへと音もなく近づくその漆黒は冥(黒魔・f00873)。
 ヴァンパイアが死角から迫る漆黒に気付いた時は、その両手は既に脇腹に伸びていて。
 蝙蝠が召喚されるよりも速く、冥はサイキックブラストを叩き込む。両掌からヴァンパイアへと直に流される電撃は、その体内に熱傷を負わせる。
「忌々しいその手を退けろ!!」
(どうするんだい? 神にでも祈ってみるかい?)
 ヴァンパイアが喚くも、冥は無視。けれど胸中ではそう思いながら、無言で電撃を浴びせ続ける。
 電撃により筋肉は麻痺し、思うように動かないことに苛立ちを見せるヴァンパイアは冥に殺気を向けるも、彼は全く意に介していない様子であった。
 今なら反撃もままならないと踏み、肩口まである髪を揺らしてのそりとヴァンパイアから離れる。
「皆、後は頼んだよ」
 眠たげに冥はそう言った後、ふらふらとしながら一旦前線から身を引く。元々精神力は強いほうではないからか、長期戦は不向きの様だ。
 そして、それがこの戦闘で冥が初めて発した言葉だった。
 ヴァンパイアは満身創痍。そろそろ限界は、近い。

大成功 🔵​🔵​🔵​

シャルル・デュホォン
真の姿解放(現状では変化無し)。

はぁ…。趣味悪いねぇー、アンタ。…気が変わった。ねぇ、痛いのは好き?それとも嫌い?ま、答えたところでどうもしないけど。

…絶望に抗う人間を絶望の底に陥れることが出来ると思うな。
…絶望の底に落ちるのはアンタ、ただ1人だよ。

相手の攻撃を避けたり人形(シャルロット)で受け流したりしつつ、一撃一撃を的確に叩き込む。ある程度避けたら

「かの有名なヴァンパイア様も大したことないねー?」

といった感じで煽って、相手が怒ればこっちのものだよ。

すかさずオリジナルUC発動。

アンタのせいで苦しんだ人達の怒り、悲しみ。それらは復讐の糧となる。…アンタが幾ら怒りを覚えても、彼等には敵わないよ。


レイチェル・ケイトリン
つづけるね。

念動力と吹き飛ばしとかばうの技能でパイロキネシスをつかって
敵も敵の攻撃もをふっとばして、剣を操作できなくして、
へんな紙はもやして、敵の命令もふっとばしていわせない。

ただ、気になるからみんなにいうね。

「これ、ほんとに領主なのかな。手下の放火魔なんじゃない?」って。

「ヴァンパイアってふつう、じぶんはえらそうにいえにいて、
配下におつかいさせるよね。もうすこしあたまいいとおもうし」

「そろそろおやぶんに泣きつきたくって、にげだすんじゃないかな」

「みんな、にがしちゃだめだよ!」って。

ほんとの領主かもしれないけど、『ほこりたかくしぬまでたたかう』ってかんじにもみえないし。

にがせないよね。



「はぁ……」
 シャルル(気分屋なトゥイードール・f02552)は橄欖石色の瞳でヴァンパイアを見据え、ため息を吐く。その瞳には、何の感情も映ってはいない。
「趣味悪いねぇー、アンタ。 ……気が変わった。ねぇ、痛いのは好き? それとも嫌い? ま、答えたところでどうもしないけど」
「これ、ほんとに領主なのかな。手下の放火魔なんじゃない?」
 レイチェル(心の力・f09500)はヴァンパイアに疑いの眼差しを向けながら、言葉を続ける。
「ヴァンパイアってふつう、じぶんはえらそうにいえにいて、配下におつかいさせるよね。もうすこし、あたまいいとおもうし」
「小娘が知ったような口を利くな!! 貴様らの所為で狂いだしたのだ!!」
 半ばヤケを起こしながら、影の蝙蝠達をレイチェルに向けるヴァンパイア。それらを彼女は炎球で吹き飛ばし相殺。シャルルはその隙に詠唱をする。
『廻れ、廻れ、時の中。辿り着く地に我等が敵が。己の感情放ちて喰らえ、汝の前には獲物のみ。我等が創りし復讐と狂気の宴、しかとご覧あれ』
 その語りに応え中空から現れるのは、巨大な翠緑色の単眼をし、触手に取り巻かれた、旧き支配者の化身だった。
 ヴァンパイアはもう形振り構っていられないのだろう。シャルル目掛け影の蝙蝠達を向かわせるも。シャルルは己の絡繰り人形『シャルロット』で攻撃を受けたかのように思わせて、受け流す。
「かの有名なヴァンパイア様も大したことないねー?」
「黙れ小僧!! 我を愚弄するな!!」
 シャルルがけらりと笑い挑発すれば、ヴァンパイアは彼に怒りを向ける。それを受けシャルルは、先刻までの表情を冷徹なものに一変させた。
「アンタのせいで苦しんだ人達の怒り、悲しみ。それらは復讐の糧となる。 ……アンタが幾ら怒りを覚えても、彼等には敵わないよ」
 向けられた怒りが引き金となり、旧き支配者の化身の無邪気な触手は、子供が玩具を見つけた時のようにヴァンパイアへと伸び、その身体をぎりぎりと締上げる。

 消耗が激しく、勝ち目も薄い。己の状況を鑑み、一旦退くという選択肢がヴァンパイアの脳裏を過ぎるも。それを見透かしたかのようにレイチェルは言葉を投げる。
「そろそろおやぶんに泣きつきたくって、にげだすんじゃないかな」
 加えて仮に、本当の領主だとしても。レイチェルにはこのヴァンパイアは、誇り高く、死ぬまで戦うというようには見えなかったのだ。
 退くという図星を指され、つい彼女に反発心と怒りを向けてしまうヴァンパイア。だが怒りの感情に取りつかれ、正常な判断が出来ない状態では、相手の思う壺で。
「みんな、にがしちゃだめだよ!」
 レイチェルに呼応するように、シャルルは頷き。
「……絶望に抗う人間を、絶望の底に陥れることが出来ると思うな。絶望の底に落ちるのはアンタ、ただ一人だよ」
 古き支配者の化身は棄てるように、ヴァンパイアを地べたに放り投げる。
「にがせないよね」
 それを見てレイチェルは冷たく言うと、転がるヴァンパイアへ最大火力の炎球を放つ。
 力の入らぬその身では、彼女の心の炎からは逃れられない。逃れることが、出来ない。
 起き上がり、背を向ける間も無く炎に呑まれ。
 断末魔すらも呑み込んだその炎球が燃え尽きた後。
 そこには何も残っていなかった。


 暴君なき後、リアンが猟兵達の元へと駆け寄り、礼とこれから少しずつ、村人達と共に村を立て直す旨を伝える。そして彼女は最後に猟兵達へ向けて、このように述べた。
「大丈夫です。生きてさえいれば、何度だってやり直せるのですから」

 猟兵達の活躍により星は正しき位置へと昇り、運命の輪は未来へ向けて廻り出すのだった。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​



最終結果:成功

完成日:2019年01月14日


挿絵イラスト