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テレビウム・ロック!~窓と魚介と銀の鍵

#キマイラフューチャー #テレビウム・ロック! #テレビウム #システム・フラワーズ

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●ああ! Windowに! Windowに!
 これは罠だと確信して、灰色のテレビウムが廃墟を逃げ惑う。
 急いで逃げろ! 落ち着いて逃げろ!
 自身が正気でいられる内に!

『一体これは何じゃらほい』
 突如自身のモニタに映された鍵の様なイメージ。テレビウムのふぐたんはその異常について、しかし意外な程落ち着き払った様子で割れた鏡越しにそれを眺めていた。
『どうも名状し難い不具合か出来事に巻き込まれてる気がするなう』
 そんな姿を自撮りで撮影し配信。本来なら“水辺の廃墟で邪神探検なう”を撮影する予定だったが、到着するや否やいきなり自身が変な状態になってしまう。だが、よく分からない不思議な事はいいね! につながるんじゃないかと軽く考えていた。今までは。
『探し物は何でしょう』
『見つけてしまったのでしょう』
『何という事でしょう』
『もしかして――』
 不意に奇妙な合唱が聞こえ、鏡に映った白い海洋生物らしき群が、背後から自身目掛けて殺到してくる。それらは一様に死んだ魚の目をしているイルカめいたクリーチャー。傍らには意味ありげな吹き出しと、それに描かれた青い文字とリンク線が。
『もしやクリックしたら最後、青い画面になってしまう奴じゃ』
 クリーチャーの吹き出しには“鍵について”と一言。触れれば最後、きっと何かに捧げられてしまう! 慌てて逃げるふぐたん、そしてそれを追うクリーチャーの群を遠めに視て、志郎の予知は終わった。

●這い寄るよく分からないリアル
「実際、よく分からないんだよなぁ……」
 グリモアベースの寂れた会議室で虻須・志郎(第四の蜘蛛・f00103)は、自身が視た予知について訝しげに説明を始める。
「一応、これはUDCアースの事件じゃない。キマイラフューチャーでの出来事だ」
 キマイラフューチャー? と一部の猟兵から質問が飛ぶ。
「そう、キマイラフューチャー。何やら一斉に似た様な予知が見られてるみたいだし、どうしちまったんだか……」
 こういった予知が発現した事は余り無い。あったとしても精々数人規模、ここまで大掛かりに同じ様な内容を見た事は、一部の例外を除いて無い。
「……。話を戻そう。キマイラフューチャーのテレビウム達の顔に、突如“鍵のような映像”が浮かび上がって、それが浮かんだテレビウムを怪人達が襲っている」
 そんな事件が多発しているのだ、と付け加えて。
「俺が視たのは“ふぐたん”って名前の灰色のテレビウムが、突然自身の画面に鍵が浮かび上がって、そして襲われるって内容だ」
 そのテレビウムは普段から“邪神ハンター”を自称して、怪奇レポみたいな動画を上げていたらしい。そしたら突然、自身が怪奇現象に巻き込まれたという事だ。
「先ずは襲われている“ふぐたん”の救助を。完了したらその――鍵について、調べて貰えないか?」
 手段は問わない、安全と究明が最優先だと付け加えて。相変わらず乱暴な依頼だなぁと集った猟兵達が愚痴る。
「言うな、俺だって分かるなら伝えたい所だよ。それに大体いつも嫌な予感しかしないんだが、今回のはその中でもとびきりだ」
 そのとびきりってのは例外の事か、と集った猟兵が尋ねる。
「――これが例外のきっかけじゃない事を祈っている所だ。よろしく頼む」
 そういって志郎はグリモアから、廃墟への道を作った。
 それでも皆なら、猟兵なら何とかしてくれると信じて。


ブラツ
 こんにちは、ブラツです。
 今回はキマイラフューチャーよりお送りします。
 以下、まとめになります。

●重要情報
 今回のシナリオの第2章と第3章は、幕間で追加情報があります。
 恐れ入りますが、第2章と第3章は追加情報の発表後にプレイングをお願いします。
 また、今回は比較的早めに各リプレイをお返しするつもりです。
 それぞれ主だった締切りは設けませんが、何卒ご了承頂ければ幸いです。

●作戦目的
 第1章:テレビウム“ふぐたん”の救助(戦闘あり)
 第2章:テレビウム“ふぐたん”と謎の解明(戦闘あり)
 第3章:不明敵勢力との交戦(戦闘あり)

●背景情報
 『テレビウム“ふぐたん”』
 人類滅亡前の名状し難いホラーに嵌って怪奇系動画を投稿しているテレビウム。
 突然自身に発生した“銀の鍵”めいたイメージに内心戸惑っている。

 以上になります。
 もしアドリブや連携を希望される場合は、文頭に●とご記載下さい。
 よろしくお願い致します。
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第1章 集団戦 『何も答えてくれないベルーガ』

POW   :    おまえを消す方法
【全て消すモード】に変化し、超攻撃力と超耐久力を得る。ただし理性を失い、速く動く物を無差別攻撃し続ける。
SPD   :    ベルーガに乗った中年
【ベルーガの調教師】を召喚し、自身を操らせる事で戦闘力が向上する。
WIZ   :    ベルーガがせめてきたぞ
戦闘用の、自身と同じ強さの【熱線銃装備の軍用ベルーガ】と【ガトリングガン装備の軍用ベルーガ】を召喚する。ただし自身は戦えず、自身が傷を受けると解除。

イラスト:ケーダ

👑7
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『集団戦』のルール
 記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

ジーマ・アヴェスター

こんな見た目だが向こう側ではない。まだまだ正気の世界の住人だ。
ふたぐん…ふぐたん?の護衛は任せてくれ

【SPD】
ふぐたんの前に立ち、守りに入る。【盾受け】からの【カウンター】をメインに張り付こう。

遠距離攻撃は…盾を地面に突き立て耐えるしかないな。【力溜め】しつつ隙を見よう。
…手数に負けるようなら【時間稼ぎ】で逃すしかないな?


チャンスがあればパイルバンカーで打ち抜く。
妙に腹の立つ顔に風穴を開けてやるぜ。
電子の深海に帰るといい!


大豪傑・麗刃
わけわからない状況に加え、わけわからない敵が出てきたのだ!わたしも日ごろからわけわからないとかよく言われるが、ここまでではないのだ!
それはともかく!わけわからない相手への対処法はただひとつ。

斬るのだ。

右手に刀、左手に脇差(と呼ぶにはちょっと大きすぎる剣)を持ち、剣刃一閃!二刀流なので二閃!2回攻撃あるから四閃!これで敵を斬りまくって刺身にしてやるのだ。食えそうにはないけど。
全て消すモードとやらに対抗するためにあんまり早く動かない。敵の攻撃は最小限の動きでかわすと。これで目標にならない気がするのだ。あと調教師とやらも軍用ペルーガとやらも斬って捨てればいいのだ。



●狂気もどき
『何について調べますか?』
『こっち来るなー!』
 薄暗い廃墟の中、ペタペタフワフワとテレビウムを追うベルーガ。一見ほのぼのとした光景だが、テレビウムのモニタには異様な鍵のイメージが。そしてベルーガの双眸は大きく開かれ、つぶらな瞳とは形容出来ない、それこそ海の猛獣めいた恐ろしさを醸し出していた。
『何について調べますか?』
『鍵ですか?』
『鍵はここですか?』
『では鍵を攫いましょう』
 そうしよう、そうしようと大合唱。何も答えてくれないベルーガは己の目的を果たさんと、灰色のテレビウムをぐるりと取り囲んだ。
『止め、て…………』
 最早逃げること適わず、その場にへたり込んでしまったテレビウムは、諦めて頭を垂れた――その時。

 空間が歪む。そこには静かに広がるオーロラめいた光のカーテンが。
『あれ……。お迎え、かな?』
 否、それは迎えに非ず。
 光の中より二つの影が現れる。それは魔導蒸気機構を纏いし黒きモノ、ジーマ・アヴェスター(姿持たぬ粘体・f11882)と、非凡なる戦の天才にして至上の変態、大豪傑・麗刃(変態武人・f01156)。
「――ふたぐん……ふぐたん、だな?」
「全く、わけわからない状況に加え、わけわからない敵が出てきたのだ!」
 それは世界の埒外に対抗する唯一の存在。
「わたしも日ごろからわけわからないとかよく言われるが、ここまでではないのだ!」
「大丈夫、こんな見た目だが向こう側ではない。まだまだ正気の世界の住人だ」
 彼らは猟兵、正気を持って狂気を制す、あるいは狂気を超えて正義を成す、唯一無二のヒーローなのだから。

『え、これってマジヤバな展開なんじゃ』
 テレビウム――ふぐたんは突如現れた猟兵に驚きと興奮を隠せない。
『猟兵です』
『猟兵です』
『猟兵……。もしかして』
『もしかして【戦闘】』
 対するベルーガは現れた猟兵に対して敵意を剥き出しにする。
「ふぐたんの護衛は任せてくれ」
 ジーマはガチャリと『蒸気槍壁』を、己とふぐたんの前に構えた。
「承知したのだ。こんなわけわからない相手への対処法はただひとつ」
 斬るのだ。麗刃は『サムライブレイド』と脇差――『バスタードソード』の二刀流でベルーガ軍団に対峙する。
『本当に、本物の猟兵――!』
「そうだ、だから安心するといい」
 さあ行くぞ、主にあの男が。迫る白いヤツを見据えて、ジーマは盾を握る手に力を込めた。

 全て消すモードとやらに対抗するためにあんまり早く動かない。敵の攻撃は最小限の動きでかわす。言うは易し、行うは難し。だが達人にとっては日常の茶飯の如し。
 ゆらり、ゆらりと切先を地に這わせながら近づいてくる麗刃に、ベルーガ達は何も出来ない。それもその筈、自身の呼吸よりも遅い麗刃ののたりとした動きに、文字通りついていく事が出来なかった。
 気が付けば麗刃はいつの間にかベルーガの背後へ。そして、一閃。
 右手の返し、ふわりと跳ね上げられた剣筋が滑らかなベルーガの肌に一筋の赤い線を引く。響く絶叫、のたうち回る1頭のベルーガ。瞬間、発狂した様に【おまえを消す方法】に目覚めたベルーガの群が、仲間へと一斉に襲い掛かる。
 狂った様に跳ねるベルーガを見て、すたすたと徒歩で近付く麗刃は静かに己の間合いを詰める。手にした二刀、達人の連撃、即ち【剣刃四閃】――舞う様に放たれた刃の軌道が、音も無く辺りに鮮血の花弁を撒き散らした。
「あっさりと刺身にしてやったのだ。食えそうにはないけど」
 ブンと血振りを済ませて、流れるような所作で刀を納める。この程度では猟兵を止める事など出来ないのだ。『スーパーな感じの赤いマント』を翻して、麗刃はふぐたんの元へ戻ろうとした。

『凄い――5匹のベルーガが3分も経たずに』
「オイそれ以上はやめろ」
 ちょっと落ち着けと窘めるジーマ。目の前で繰り広げられた鮮やか手並みに更に興奮したふぐたんは、戻って来る麗刃に駆け寄ろうとした。だが敵は集団、これで終わった訳ではない。
『ヒャァァッハァァァァァァ!!!!』
 突如、世紀末めいた奇声が当たりに轟く。そう、【ベルーガに乗った中年】はモヒカンだった。最近は組織の高齢化も著しい、などという話では決してないが、モヒカンを担いだベルーガの群が新たに、廃墟の外から大挙してやって来たのだ。
 急いでふぐたんを盾の影へと隠すジーマ。流石のモヒカンはスロットルを緩めることなく特攻を仕掛けてくる。だが哀れ、目の前の麗刃をそのまま轢こうとしたベルーガとモヒカンは通過も出来ぬまま、刹那の居合抜きで揃って両断されてしまう。
 しかし麗刃を避けた1頭のベルーガとモヒカンはそのまま、ふぐたんとジーマの元へ。
「フン――来るなら来い、まさか俺が只の盾持ちだなんて」
 思ってはいないだろうな? そんなジーマの意図も知らずにヒャッハァと気合を出してベルーガは眼前の盾を飛び越えんと迫ってきた。
「馬鹿め、そこは俺の――間合いだ!」
 盾を飛び越えようと跳躍したベルーガの白い腹に、ジーマの『複合式パイルバンカー』が蒸気を噴いた。溜め込んだ蒸気魔導の威力が爆ぜて、飛び出た鉄槍がモヒカンごとベルーガを貫いた。
「電子の深海に帰るといい!」
 カシュンと、ガイドレールに引き戻された鉄槍に再び力が込められ、爆ぜる。その妙に腹の立つ顔に風穴を開けて、ベルーガの第二陣もここに果てたのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

ロバート・ブレイズ
「貴様が邪神以外の予知を観るとは珍妙な。兎角。私も救出に向かうべき」
自らに寄生体を埋め込み、巨躯の怪物と化して戦闘
己が動くよりも寄生体に任せた方が正確に『救出対象』を守りながら殴れる筈だ
可能ならば怪人に接近して鉄塊剣と拳で鎧(肉)を砕く。同時に恐怖を与える事で動きを鈍らせよう
「クカカッ――邪どもの眷属と同等とは。世界はやはり広く、厄介な忘却の集合体よ。私の脳髄も其方側ならば良かったものを。続きは骸の海で願う。貴様等に質問するのは『我々の還る』空間よ!」


テン・オクトー
●テレビウムさんとは今まで接点がなかなか無かったんだよね。鍵が表示されるのはまずい事なの?ここはボクの常識が追いつかない不思議だらけの世界だから何が起こっているのか見当もつかないや。
でも、追われているなら助けないとね。
POW
ふぐたんを追うベルーガに【円月輪】をピシピシ投げ【おびき寄せ】。【オーラ防御、盾受け】等であまり動かないよう耐え数まとめるよう努力してから【UC】を打ち込み、からの【範囲攻撃、衝撃波】。ふぐたんを逃すための【時間稼ぎ】できたらいいな。

ふぐたんさんこんにちは。
…えっと、表情が読めないや。大丈夫かな?



●ねこはいます
『こんな、こんな事って』
 矢張り人類が残した災いに触れるべきでは無かったのだろうか。そんな事をしなければ、自身にこんなシステムエラーめいた異常が起こる事も無かったのだろうか。
 先程の戦いの後、最早安全になったと勘違いして駆けだした己が馬鹿だった。しかし悔やんでも遅い。既にふぐたんは新しいベルーガの群に目をつけられた。そしてイルカは肉食なのだ。ギラリとその牙を覗かせながら、忌々しい白の群は変わらずふぐたんを探している。
『もう、駄目なのかな……』
『そうですね』
 不意に目の前に白い塊が。思わず後ずさるふぐたんに尚も迫る白――ベルーガが、鋭利な牙を覗かせて詠う様に呟いた。気が付けば周囲に続々と集まるベルーガの群。
『駄目ですね』
『鍵はどこですか』
『鍵はここですね』
『鍵を取りますね』
「否」
 ぶおんと黒の碑が振るわれて。吹き飛ばされる白、ふぐたんの目の前には再び二つの別の影が。
「虻須め、邪神以外の予知を観るとは珍妙な。兎角。私も救出に向かうべきか」
「ふぐたんさんこんにちは」
 ロバート・ブレイズ(シャドウ・f00135)とテン・オクトー(ケットシーのシャーマン・f03824)、別の世界で邪神と呼ばれるそれらと縁深い彼等は、さも当然の様に己の得物を手に取って居並んだ。
『あ、アナタも猟兵――』
 再び助けられた高揚と恐怖。しかし先程の者とは違う異様な気配を察して、恐る恐るその正体を尋ねる。
「然り」
 その問い掛けに静かに頷く冒涜翁。
『アナタも――』
「ねこです」
「猟兵だよ!」
 ロバートの意外な回答――いや、この場においてそれが事実であれば、どれほど頼もしき事か。ともあれ、ねこと呼ばれたオクトーがぷんすかと憤慨しつつ、答えを改めた。

「さて、戯れ事は此処まで」
 ずんと、地獄の炎を吐き出す漆黒を地面に突きつけて、ロバートは辺りを囲むベルーガの群を一瞥する。
「クカカッ――邪どもの眷属と同等とは」
 普段相手にしている連中――邪神と呼ばれるUDCの類とは異なり、されど同等の本質を司るそれらは、紛う事無く猟兵の敵。
「世界はやはり広く、厄介な忘却の集合体よ」
 故に『立ち去って』もらおう。寄生体が冒涜翁を包み込んで――【闇堕ち】たその姿が、ベルーガ達に恐怖を与える。
 ベルーガ達から見えたそれは、幾分か大きく、幾分か禍々しく、そして事実、そうであった。居竦んだ白は黒の――混沌の化身の暴力に抗う術はない。
「私の脳髄も其方側ならば良かったものを」
 続きは骸の海で願う。『どうして』と問うベルーガ。『もしかして』と提示するベルーガ。鉄塊剣と青き拳の連弾が止めどなく暴力の協奏曲を奏で続けて。
「貴様等に質問するのは『我々の還る』空間よ!」
 答えられるならば応えよ、骸のシ者め。ぐちゃりと、爆ぜた肉が踏みしめられる音が響いた。

「テレビウムさんとは今まで接点がなかなか無かったんだよね」
 とてとてと、暴れまわるご老体を囮に逃げるオクトーとふぐたん。おかげでベルーガの第三波からは無事に逃げ果せられた。
『そうなの? これでも結構メジャーだと思うんだけど』
 テレビウム自体はそれなりの数がいるというのにと少し不満げな、しかし相も変わらず、顔面のモニターには銀色めいた鍵のイメージが表示されるだけのふぐたん。
「……えっと、表情が読めないや。大丈夫かな?」
 オクトーが知っているテレビウムは、モニター状の顔に喜怒哀楽の表情が見える筈。眼前のふぐたんにはそれが、無い。
『大丈夫だよ、今は鍵しか映ってないけど――』
 それ以外は本当に、特におかしな気分とかじゃないんだと必死の説明をするふぐたん。それは本当に何でもない事を祈る切実さが滲み出て。
「鍵が表示されるのはまずい事なの?」
 ここはボクの常識が追いつかない不思議だらけの世界だから――何が起こっているのか見当もつかないや、と。オクトーはキョトンとした表情でふぐたんに尋ねる。
『鍵……。こんな事、本当に初めてなんだ。それよりも』
 どうして君達は僕を助けてくれるの? 見ず知らずの鍵が表示されてるだけのテレビウムなのに。
「追われているなら、助けないとね」
 それを当然の事の様に返すオクトー。猟兵とはそういうものなのだと暗に示して。
『そっか……そうなんだ……』
 ようやく猟兵がヒーローだって言われている本当の意味が理解出来た。安堵の声色を示してオクトーに伝えた、その時。
『テレビウムを検出しました』
『ねこを検出しました』
『対象の脅威度は低』
『鍵を取りますね』
「やってごらんよ」
 ぶおんと、いつの間にかオクトーの手から鋭い『円月輪』が放たれる。弧を描く様な滑らかな軌道を取って、円月輪はベルーガの群を縦横無尽に飛び回った。
『あぶないです』
『でも当たりません』
「じゃあこっちは、どうかな!」
 円月輪は囮、旋回する円月輪を避けようと密集したベルーガ、その陣形が命取りだ。
 得意の『フレイル』を大きく振りかぶって跳躍。上空から飛来したオクトーの【グラウンドクラッシャー】が、有無を言わさず地形ごとベルーガの群を木っ端みじんに吹き飛ばす。
「イルカよりマグロの方が恐ろしかったな」
『――君、凄いね』
 意外な実力を見せつけられたふぐたんは素直に感心した。これが猟兵の実力、姿形じゃない恐るべき威力を。

「鍵は健在か」
 ふらりとロバートが姿を現して。血塗れの黒い碑を担ぎ、その拳も赤く染まっている。
「矢張り……。ねこが鍵を守ったか」
 クカカとその結果に満足した様にふぐたんへ近寄り、じっくりとモニターに映る鍵を眺めた。
「……これは窮極へ至る門には通じない」
 それはふぐたんが望んでいた鍵の役目。本人の希望は外れたが、ならばこの形になったのは自身の所為なのかとロバートへ問う。
「然り、銀は貴様が『そうあれかし』と望んだ故の贈り物」
 その鍵の本質はそういったものではない。
『そっか――邪神ハンターなんてふざけ半分でやってたから、僕は襲われたのかな』
 思い出すだけでも悍ましい。血走った眼と鋭い牙。ああ! 油断しては僕は彼らの餌となる!
「その恐怖、ゆめゆめ忘るる事なかれ」
 ロバートはそれだけ伝えると、その場を後にしようとした。
「あのー……何か、変じゃない?」
 オクトーが不意に、ふぐたんの画面を改めてまじまじと覗く。よく見ればモニタに立体的な方位磁石めいたイメージが、追加で鍵の真上に表示されていた。
 そしてモニタの下段には、方位磁石に対応した様な目的地の方位らしきアルファベットが。
「フム、これは標……。」
 方位磁石と目的地、そこまでふぐたんを連れて行けば良いという事かと判断したロバート。
「標? じゃあこの場所に向かえば」
「然り。ただ、何事も無く進めるとは」
 思わない事だ。ふと廃墟の外を眺めれば、何やら触手めいた無数の影が蠢く姿が目に映る。
 未知なる門を標に求めて、戦いの第二幕が始まった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​




第2章 集団戦 『イソギンチャク怪人』

POW   :    テンタクル・テンペスト
予め【触手を振り回しておく】事で、その時間に応じて戦闘力を増強する。ただし動きが見破られやすくなる為当てにくい。
SPD   :    ウネウネ・アネモネ
自身の肉体を【ウネウネモード】に変え、レベルmまで伸びる強い伸縮性と、任意の速度で戻る弾力性を付与する。
WIZ   :    ポイゾナス・ポリプ
【頭部】から【毒針のついた触手】を放ち、【麻痺毒】により対象の動きを一時的に封じる。

イラスト:伊藤あいはち

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種別『集団戦』のルール
 記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


●呼ぶ声が聞こえる
『鍵……』
『鍵……』
 廃墟の外を彷徨う触手めいた怪人達も、ベルーガと同じく鍵を狙っている様だった。
『でも、ここを出ないと目的地には届かないよ』
 それでもやるしかない。
 少し怖いけど、ずっとここに隠れている訳にもいかないし。
 行く手を塞ぐ怪人達を排して、モニターが指し示す場所へ向かおう。
 そうすれば、この鍵の正体が分かるかもしれない。
大豪傑・麗刃
わたしがハナを切るのだ。イソギンチャックだかお口チャックだか知らないけど、わたしが大立ち回って連中の目を引いてやるので、テレビマガジンくんはその隙に他のみんなと進むのだ。

なにせわたしの存在感は半端ないのだ。
それに加えてさらに目立つにはこれなのだ。

はあああああああ(それっぽい気合で力を溜める)

(スーパー変態人発動)

これだけ光ってればいやでも敵の目はこちらに向くはずなのだ!
あとは右手に刀と脇差(と呼ぶには大きすぎる剣)を両方、左手に斧を持ち、当たるを幸いに斬りまくるだけなのだ!
触手振り回すなんて自ら隙を作ってるようなものなのだ。達人同士(??)の戦闘ではその一瞬が致命的なので問答無用でつぶすのだ。



●武人の誇り
「わたしがハナを切るのだ」
 ぬらり、ぬらりと近寄るイソギンチャク怪人の群に一人の漢が立つ。
「イソギンチャックだかお口チャックだか知らないけど、わたしが大立ち回って連中の目を引いてやるので、テレビマガジンくんはその隙に他のみんなと進むのだ」
 テレビウムだよ! というツッコミもどこ吹く風、大豪傑・麗刃(変態武人・f01156)は傍らのテレビウムにそう告げると、抜刀して駆けだした。
 道は示されているし仲間もいる。であれば、ここは怪人を引き付け一刻も早く目的の場所へ向かうべき、と。それに敵を引き付けるとは我が意を得たり。
 なにせわたしの存在感は半端ないのだ。それに加えてさらに目立つにはこれなのだ。
「はあああああああ!!!!!!」
 気合を入れ髪を逆立て全身を金色に光らせた【スーパー変態人】がそこにはあった。
『鍵……』
『黄金の、鍵……』
『黄金……』
 余りにも圧倒的な存在感、しかし気圧される所かイソギンチャク怪人は、その金色の変態に一斉に群がる。それは鍵と誤認したからか、あるいはそれ以上の脅威と判断した為か。
「そうだ、こっちへくるのだ」
 ギラリと麗刃の『サムライブレイド』が妖しく煌く。戦いの第二幕が、切って落とされた瞬間である。

 四体のイソギンチャク怪人が触手をブンブン振り回しながら麗刃を取り囲む。その勢い、触れれば首が両断されかねない程だ。だがそんな分かり易い動きをしては、達人の間合いに入る事すら敵わない。
 ぬらり、と振り回された触手が一つ伸びきろうとした刹那、それはあっけなく両断される。神速の返し技、如何に勢いがあろうと、早かろうと、出端さえ分かれば挫くのは容易い。
 ばたん、とその場に断たれた触手が落ちる。地面でのたうち回るそれを踏み込みの要領で潰し、伸ばした腕が怪人の急所を捉えた。
 片手突き、最速にして至難の技。故に放たれれば最後、達人の一撃は確実に相手の命を奪う。
 音も無く放たれた必死の一撃。その刃が手元に戻された時には、眼前の怪人は絶命し地に伏せていた。
『黄金、黄金……!』
 しかし立ち込める金色の闘気に当てられ、残りの怪人が狂った様に触手を伸ばす。それこそが好機、くるりと返した麗刃の右の手の内にはいつの間にか『バスタードソード』が。
 そして左の手には『バトルアックス』を持って。変則の片手二刀流に重ねて一つ、三つの刃が竹蜻蛉の様に宙を舞って。
 一回り、旋風を巻き起こした麗刃の周囲には、無残にも円を描く様に触手だった残骸が綺麗に並んで落ちた。
「触手振り回すなんて、自ら隙を作ってるようなものなのだ」
 その一瞬が致命的。決死の一撃を全て躱され、呆然と立ち竦んだ隙を逃す達人では無い。投擲されたバトルアックスが一体の頭部をかち割り、眼前で立ち止まる一体の心臓をバスタードソードが貫く。
「問答無用でつぶすのだ」
 最後の一人、振り向き様に放たれたサムライブレイドの一閃がその胴体を両断する。四体の怪人は3分どころか、ものの数十秒で全て退治された。
「しかしテレビくんは大丈夫だろうか」
 すらりと己の得物を仕舞った麗刃は一足早くここを抜けたテレビウムに思いを馳せる。怪人は恐らく、これだけではないと感じた故に。

『あの人、大丈夫かな?』
 一人怪人に立ち向かう麗刃を横目に、ふぐたんは他の猟兵と共に駆けだした。しかしこの場は彼に任せて、示された場所へと早く駆けださなければ。
 這い寄る影を後にして、ふぐたん達は先へ進むのであった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

テン・オクトー
●指し示す場所かあ。嫌な予感しかしないけれど行く以外にはなさそうだね。目的地への道標でもあるふぐたんの安全を優先しつつ突破頑張るよ。
SPD
選択UCでテレビウムに変装してみるね。ふぐたんがちょっと可愛いなと思ったからとかなんとかもあるかもしれない。ふぐたんソックリカラーのハリボテテレビウム。さあ!【手をつなぐ】で突破するよ!おおお、頭が重いねえ。

イソギンチャクさんウネウネ伸びるの〜!?
囮とか出来たらいいな。【ダッシュ、時間稼ぎ、おびき寄せ】。ふぐたんを守りきれなさそうなら、囮を頑張ってふぐたんは仲間に託すよ。
囮出来なくなったら変装解いて武器で攻撃して数減らすよ。



●深刻なワーム汚染
「指し示す場所かあ。嫌な予感しかしないけれど行く以外にはなさそうだね」
 とてとてとテン・オクトー(ケットシーのシャーマン・f03824)は、ふぐたんと手を繋ぎ廃墟を後にして駆ける。ふぐたんが指し示す場所はここからそう遠くは無い。
 目的地への道標でもあるふぐたんの安全を優先しつつ、突破を頑張ろう。誓いを新たにオクトーは、自ら前に出て行く道の安全を確認した。
「――って、早速いるじゃないか」
 ちっとも安全じゃなかった。廃墟の曲がり角を抜けたその先には、ウネウネと蠢く奇怪な怪人が揃って待ち伏せている。
『どうしよう、ここを抜けなきゃ行けないよ……』
「大丈夫、ここは任せて」
 少し遠回りになっちゃうけど目的地には行ける筈だよ、とふぐたんを励ますオクトー。今度は自分がふぐたんを守る番だ、ちょっと怖いけど。
『――絶対、負けないでね!』
 ふぐたんの熱い声援を受けて頷くオクトー。大丈夫、触手は慣れてる。それも本場の奴を何度も相手にしてるんだ。
 紛い物如きに遅れは取らないと、ふぐたんの後ろ姿を見送って己の力を開放した。

『鍵……』
『鍵……』
 ふらふらと辺りを徘徊するイソギンチャク怪人。びたん、びたんと歩む度に不快な臭いと粘液を撒き散らしながら、徐々に物影のオクトーの方へ迫っていた。
『か……ぎ……』
「かぎです」
 怪人の目の前にはテレビウム? が。
『か…………?』
 大丈夫だろうか、この【ガジェットショータイム】の張りぼてで変装したふぐたんは、バレないだろうか。
 ちょっと可愛いと思って勢いで召喚したはいいものの、こんなに動きにくいなんて……。オクトーは頭の重い張りぼての中で冷や汗をかきながら、じゃらりと得意の得物をこっそり取り出した。
「かぎです」
『か……ね……こ?』
「ねこです……ハッ!」
 ねこはいません。てれびうむです。取り繕うも今更遅く、いつの間にか周囲にはおびき寄せられた怪人が、徒党を成してオクトーを取り囲んでいた。でもまあ、これで十分に時間は稼いだ。
『ねこはいいです。鍵……』
「――よろしくおねがいします」
 問答無用。ぶぅんと『フレイル』が地を這う様に、取り囲む怪人の足元を直撃する。その威力に慄いた怪人達が一様に距離を取って、ウネウネと己の触手を物凄い速さで蠢かせ始めた。

「イソギンチャクさんウネウネ伸びるの〜!?」
 だったらこれだ! ぶるぶると震えながら伸ばされる触手の群を紙一重で躱しつつ、オクトーは手にした『円月輪』をぶうんと投げ放った。軟体生物はフレイルで潰すにはコアを狙わないと――ならば先ずは、鬱陶しいのを先に無くそう。
 風を切って弧を描きながら、迫る触手の群を両断する円月輪。鋭利な外縁が触手に触れる度、問答無用で真っ二つに。伸びきった分強度も無い触手ではそれを受ける事すらままならない。。すらりとオクトーの手元に戻った頃には、体液を撒き散らしながら悶絶する怪人達が出来上がっていた。
「ここまでやれば、後は一体ずつ」
 ぷちっと。火の属性を纏わせたフレイルの絨毯爆撃が、辺りに焦げ臭い臭いを放ちながら怪人を地に沈めていく。

「――大分片付いたね」
 怪人達の物言わぬ骸を眺めながら、オクトーはふぐたんの安否を想う。無事に目標に辿り着けたかな……?

成功 🔵​🔵​🔴​

ロバート・ブレイズ
「冒涜すべき存在は超越性だと理解せよ。鍵が在るならば門も聳える。遍く異常は悉く嘲笑されるべきだ。俺も含めて」
冒涜王発動
自らを普遍的無意識の領域、即ち精神的な『空間』と同化させ、不可視の存在と化す。その状態で身を伸縮。対象の魂だけを取り込む
恐怖を与えた状態で空の肉体をぶん殴る
鉄塊剣で叩き潰し、魂の戻る『場所』を殺す
奴等に相応しいのは骸の海だけだ
「我が国への招待状だ。受け取るが好い。門は鍵の必要性を見失い、我が空間は無限の魂の廃園。クカカッ――王に総てを捧げるのだ。呼び声を聞いたならば喚ぶ音を魅せるのだ。貴様等」



●月に吼える
 ふぐたんの鍵は今もなおモニタの中で点滅を続け、走る挙動に合わせて座標を示す矢印がくるりくるりと向きを変える。
『はあ、はあ……』
 ここまでの道のりは猟兵さんが助けてくれた。あと少し、あと少しで行くべき場所へ辿り着く。
 遠回りになってしまったけれど、行くべき場所――海岸まであと少し。潮風が運ぶ海の匂いがセンサを刺激し、心を躍らせる。目的地まであと僅かだと。
 あと僅か、海岸の手前には蠢く眷属の紛い物、触手を纏う怪人達が。
『また、ここまで来て』
 ふぐたんは今度こそ絶望した。もう誰もいない、助けてくれる者は。
 にゅるりと、冒涜的なその触手が伸びて。ふぐたんに気づいた怪人達がのそり、のそりと近付いてくる。
「邪神ハンターを名乗るならば心に刻め」
 影が、ふぐたんの足元から声が聞こえる。
「冒涜すべき存在は超越性だと理解せよ」
 ゆらりと、現れたのはロバート・ブレイズ(Floating Horror・f00135)。紛い物ではない生粋の影狩人。
「鍵が在るならば門も聳える」
 一歩【冒涜王】が前に出る。ぐにゃりと景色が歪んだ気がした。
『門が――聳える?』
「遍く異常は悉く嘲笑されるべきだ」
 俺も含めて。門に至る前に邪魔をするというならば、これを持って還そう――今は声だけが聞こえる。冒涜王は虚空へと『溶けた』。

「我が国への招待状だ。受け取るが好い」
 その声を聞いた有象無象の怪人達はばたんと『魂が抜けた』様にその場へ倒れこむ。
『え、一体何が……』
 これも消えてしまった猟兵さんがやった事なの? ふぐたんは辺りをきょろきょろと見渡すが、相変わらず声以外は聞こえない。
「門は鍵の必要性を見失い、我が空間は無限の魂の廃園」
 その声は何かを嘲笑う様なじっとりとした声色で、冒涜的な宣告を続ける。
「クカカッ――王に総てを捧げるのだ。呼び声を聞いたならば喚ぶ音を魅せるのだ。貴様等」
 その貴様等は、呼び声を聞いたであろう怪人達は突如痙攣した様に全身を地面に打ち付ける。バンバンと激しい音が響き、中には脆い組織が崩れて体液を散らす者までいた。
「奴等に相応しいのは骸の海だけだ」
 その声に振り返ったふぐたんは、いつの間にか姿を現したロバートと目が合う。
「後は魂の戻る『場所』を殺すだけ。それだけで」
 終わる。ロバートが手にした黒い碑が『立ち去れ』と炎を吐いて。それに重ねられた漆黒の暴力が吐瀉物を散らす様な音を撒きながら、一つ、一つ丁寧に鏖殺していった。

 戦いは終わり、今度こそ完全に怪人の消滅を確認したものの、大分時間が経過してしまった。
 辺りが徐々に昏い色へ染まっていき、空には歪な月が昇る。
『あ……あの……』
 怪人が焦げ付いた地面は異様な臭気を放っている。その中をロバートと共に歩むふぐたんは、今度こそ目も合わせられずに質問をする。
『門が、聳えるって、一体』
「それはこの先、辿り着いた地が証明してくれよう」
 辿り着いた地、示された座標。そこは灯台。漆黒の大海を照らしていたであろう、文明の名残だった。
「そして――クカカッ、まだやるというのか! いいだろう、貴様らの全霊を持って我々を冒涜し凌辱し犯しつくして魅せろ!」
 やれるものならばな。水平線に突如起き上がった白波に向かい、冒涜王は蠢く怪異を再び嘲笑するのだった。

成功 🔵​🔵​🔴​




第3章 ボス戦 『海神ポセ男』

POW   :    ヒッポカムポスわっしょい
自身の身長の2倍の【金色のたてがみをもつ海馬の引く馬車 】を召喚し騎乗する。互いの戦闘力を強化し、生命力を共有する。
SPD   :    クロノス激おこ
【触手の先】を向けた対象に、【麻痺状態にする電撃】でダメージを与える。命中率が高い。
WIZ   :    アムピトリテさまさま
【毒を持つ蟹足】で対象を攻撃する。攻撃力、命中率、攻撃回数のどれを重視するか選べる。

イラスト:阿賀之上

👑7
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主はレド・ダークライトです。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


●きけ、わだつみのさけびを
 水平線の向こうから、波を破って巨大な怪異が――それはある種、邪神めいた――姿を現す。
『死せる〓〓〓〓〓、夢見るままに待ちいたり』
 聞き取りやすい、聞き覚えがある様な、無いような呪文を口にして。
『いあ、いあ』
 不意にふぐたんの身体が、突如光を帯びて輝き始める。
 大丈夫か? 尋ねる猟兵に対しての返事は無い。
『いあ、〓〓〓〓〓』
 その輝きを見て、邪神めいた怪異が再び声を荒げながら岸へと近づいて。

 ふぐたんのモニターには新たに【データ受信中:残り約15分】の文字が。
 どうやらこの場から動く事は難しいみたいだ。
 猟兵達は一旦ふぐたんを担いで灯台から離れる。
 怪異はもう近い。ぬらりと巨大な触手を岸辺に這わせて、その巨大な姿がすっくと立ちあがる。

『究極へ至る鍵、渡して貰おうか』
 その究極が何を示すかは分からない。だが今は、この冒涜的な邪神かぶれを屠らなければ、ふぐたんの命が危険に晒されてしまう。
 最後の戦いが始まった。
大豪傑・麗刃
……ふう。
やっと追いついた、と思ったら、まだ敵がいたのだ!?
しかもテレビガイドくんも妙な事になっているし。
もうわけわからないのだ!!わけわからないから腹立ってきたのだ!

わたしは超怒ったのだ~~!!

(スーパー変態人2発動)

んでテレビウムくんを守りながら戦う感じで。まあ、敵がテレビウムくんに手を出せないぐらいに激しく攻撃し倒して圧倒すれば、守ってるのと同じような感じになるであろう。
右手に刀と剣両方、左手に斧は同じだけど、今度は赤いマントを翻し、超高速移動で敵に斬りかかるのだ!馬車とかに乗られてもまあ、速度で上回れば翻弄しながら斬りまくればたぶん相手はそのうち倒れるのだ!



●侠気乱舞
「……ふう、やっと追いついた――と思ったら」
 大豪傑・麗刃(変態武人・f01156)はふぐたんらの待つ灯台へと急ぎ駆け付けた。
 戦いは終わっておらず、海を割って現れた邪神めいた巨大なクリーチャーが、ふぐたんの鍵を狙ってじわじわとにじり寄っていたのだ。
「まだ敵がいたのだ!? しかもテレビガイドくんも妙な事になっているし」
 それは先程までのイソギンチャク怪人以上の禍々しい気を放ちながら、軟体生物の様な脚を這わせて、立ち上がったその頭頂はおよそ4m程。
 間一髪灯台から離れて避難させられたふぐたんは、鍵の映っているモニターが何やら煌々と輝いている。先程までこんな事は無かった。
「もう、わけわからないのだ!!」
 いきなり呼ばれてみれば何者かに襲われるテレビウムがいて。
「わけわからないから腹立ってきたのだ!」
 そのテレビウムはなんか画面に変なモノが映っていて、挙句の果てに示された場所に来てみれば、まだ厄介な事が続いている。
「わたしは超怒ったのだ~~!!」
 もうこんな戦いはさっさと終わらせたいのだ! その思いが【スーパー変態人2】を発動させる。
 全身を包み込んだ金色の『スーパーナントカ人っぽい感じのアレ』が更に勢いを増し、『新たに身に着けたオーラ』たる青白い火花が周囲に迸る。
「テレビウムくんは守るのだ、そしてお前は」
 斬り伏せる。右手には『サムライブレイド』と『バスタードソード』を順手逆手で握り締め、左手には『バトルアックス』、抜かれた三つの刃を器用に振るって、麗刃は飛び立った。

『これはいけない、いけないこれは』
 邪神めいた外見の割に弱気な呟きを放つクリーチャー。海神は麗刃の怒りの刃から逃げようと、上陸して早々に【ヒッポカムポスわっしょい】――巨大な『金色のたてがみをもつ海馬の引く馬車』を召喚した。
「何がいけないだ。いけないのは」
 お前だ! 随分とシリアスみのある外見をして、曰くありげなセリフを呟く。そういうのが一番困るのだ。お前を終わらせて早くお笑いに戻るのだ。
 そんなものに乗らせてなるかと、麗刃は躊躇いもせず戦斧を投擲する。紫電を纏って投げ放たれたそれを、召喚されたての馬車は躱す事もままならない。
「これで終わりではないのだ!」
 深々と戦斧が突き刺さった海馬は玉砕。まともに動く事もままならず、海神は高速で接近する飛翔体――麗刃の怒りの刃をもろに受けてしまう。線を描く様な切っ先の軌道が伸びた触脚を音も無く断ち、振り回された大剣の一撃が海神の脳天を揺らす。
 そもそも生命力を共有していた海馬が倒れた事により海神も相応の深手を負っている。併せて断たれた数本の触脚がびたん、びたんと周りでのたうち、先に海へ還っていった。麗刃の先制攻撃はそれ程までに圧倒的だった。
「テレビウムくんは渡さんのだ、さあ来い」
 お前なんかバラして刺身にしてやるのだ。食べないけど。
 上空で『スーパーな感じの赤いマント』を翻し、麗刃は眼下のクリーチャーを睨むのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

ロバート・ブレイズ
「クカカッ――何だ。貴様は窮極の門へと。虚空へと。虹色の球体。滑稽な時空と呼ばれる餓鬼と戯れるのか。ならば先に俺を覗き込むが好い。我こそは浮き上がる恐怖。這い寄る混沌。冒涜の王だと理解せよ」
真の姿を解放し闇堕ち発動
自身の肉体に漆黒の毒、膨張する七色の流動体、沸騰する心臓を宿す。如何なる呪いでも毒物でも力と変えて嘲笑するのだ
交戦時、接敵する際に情報収集。対象の弱点を見破る
其処にトラウマと称される拳を叩き込み、恐怖を与える
此処には怪物が存在するのだ。此処には王が存在するのだ
――が存在するのだ
「貴様は貴様に否定を齎さねば成らぬ。俺が俺を哄笑するが如く、我々は真実『滅ぼされた』のだ」



●狂育的指導
「クカカッ――何だ」
 哄笑を上げるロバート・ブレイズ(Floating Horror・f00135)は、目の前で斬り伏せられた海神を見て問いかける。
「貴様は窮極の門へと。虚空へと。虹色の球体。滑稽な時空と呼ばれる餓鬼と戯れるのか」
『は?』
 貴様こそ何を言っているのだ、と首を傾げる海神は、ぶるぶると体を震わせながら密やかに自身の再生を行っていた。
『究極の門へ至る鍵はテレビウムにあり! しかしてその虹色は虚空に消えた意識の時空を漂うのみ』
 それが海神に与えられた役割。純粋な邪神ではない海神はそれっぽく返答しつつも、それ以上の事が出来ない。だが。
『故に我は真なる恐怖を、狂気を彼の地に呼び起さん。それこそが我が望み』
 それこそ邪神めいた海神が望む、この世界での自身の役割。もう雰囲気邪神だなんて言わせない、我こそが邪神だと胸を張れるように。
「ならば先に俺を覗き込むが好い」
 頭を振って嘶く海神に再び、ロバートが問う。果たしてお前にそれが出来るのか、と。
「我こそは浮き上がる恐怖」
 じゃり、とロバートが一歩前へ。その力強い発声が海神の心に黒い影を落とす。
「這い寄る混沌。冒涜の王だと理解せよ」
 にゅる、と生えかかった触脚が見える。これが奴の『手段』か。ならば。
『貴様がその名の通りであるならば――我に示してみせよ』
 海神はらしからぬ表情でロバートを覗き込む。然り、と頷くロバート。

 しかし心せよ、汝が深淵を覗く時、深淵も汝を覗いているという事を。
 【闇堕ち】た灼滅者が嘲笑する。

「愉悦」
 浮かんだハート状の紋様が、沸騰する心臓を形作って。
「恍惚」
 その影は心を抉る七色の流動する輝きとなって。
「冒涜」
 そして漆黒の毒は想念の弾丸へと姿を変える。
「至極――憶する事在らず」
 此処には怪物が存在するのだ。
「総てに大いなる否を宣告せよ」
 此処には王が存在するのだ。
 ――が存在するのだ!

 現れた深淵――【真の姿】は、三つの眼に炎を宿し、両腕が揺らめく色彩を放つ。樹木の様な身体から生える三つ又の根の脚がのそりと蠢き、肥大化した闇色の頭部が打ち震える海神を向き、灼熱がぎろりと睨みを利かせる。
 それは恐怖だ。生えかけの触脚は哀れ、既に知られてしまったその手段は、漆黒の弾丸が無残にも砕き散らす。
 それは狂気だ。震える細胞が裂け目より荒れ狂う雷光を放って。しかし恐怖に狂う手元でそれは当たらない。
 それは絶望だ。のそり、のそりと歩み寄られた王の、揺らめく虹色の鉄槌が恐怖という裁きを下す。

「貴様は貴様に否定を齎さねば成らぬ」
 最早邪神めいたそれの正気は、勝機はここに失われたも同然。ロバートの語り掛けに刻々と首を振るだけ。
「俺が俺を哄笑するが如く、我々は真実『滅ぼされた』のだ」
 骸の海から来たる過去は既に滅ぼされたもの。故に否定せよと。しかしその声はもう、届かない。

大成功 🔵​🔵​🔵​

ウィーリィ・チゥシャン
ここが終点みたいだな。
緯度47度9分南、経度126度43分西の海の底とか言われたらどうしようかって思ってたけど、思ったより近かったな。
さておき。
間に合ったみたいだし、加勢させてもらうぜ!
「行くぜ! このシーフード野郎!」

頻発しているテレビウム事件、共通しているのはテレビウム自身は事情を知らず、ただガイドとして使われているだけという事。
だから、巻き込まれただけの無関係な彼らを元の暮らしに戻してやりたい。

電撃を躱しながら敵に接近し、そして蟹足が迫ってきたところで『カウンター』+『二回攻撃』を叩き込み、同時に『神火の竈』で奴を炎に包む。
「纏えよ火! 紅蓮の炎!!」


テン・オクトー
●15分!?究極へ至るの究極とは?一体何が起きちゃうの?ふぐたんにとって悪い事が起きそうだよね。最悪の場合…
考えている暇はないね、ボクに出来る事は15分以内に目の前の敵を倒すこと!

WIZ
【先制攻撃、高速詠唱】でUCを使うよ。にしてもなんでこうウネウネしてるのによく出会うんだろう。鈍器だけでなく切断武器持っててよかった。
必要そうなら【毒耐性、オーラ防御】も使用。

ふぐたんは大丈夫かな?
受信止まった?ボクとても心配だよ。



●嘆く海神、謳う灯台
 ふぐたんが謎の発光を始めてから既に12分が経過していた。海神もその殆どが無力化され、死骸めいた虚ろな様相で海岸に佇んでいる。
「究極へ至るの究極とは? 一体何が起きちゃうの?」
 しかしいくら問いかけてもふぐたんは答えない。このままだと、ふぐたんにとって悪い事が起きそうだよね、とテン・オクトー(ケットシーのシャーマン・f03824)は最悪を予想する。
 そしてその最悪は形となった。先の戦いで心身共に喪失しかけた海神が、にゅるりとその巨体を起こしたのだ。
「――考えている暇はないね」
 ボクに出来る事はあと3分間ふぐたんを守るか、目の前の敵を倒すこと! スラリと『円月輪』を手に取って、オクトーは巨影と対峙した。

「いあいあ……いあ……」
 最初の頃とはうって変わって、何者かに怯えた様に竦む海神は、それでも尚ふぐたんを狙って歩みを進める。それは鍵への執念か、オブリビオンの本能か。
「弱ってる、ならば先手必勝だよ!」
 オクトーの『虚ろなランタン』がゆらりと【サモニング・ガイスト】――火を放ち、先祖の英霊を召喚する。
 英霊も眼前の巨影を見るや、先んじて竜巻を放って海神の動きを抑えに入る。幾ら手負いとは言え、ケットシーからしてみれば10倍近い大きさの巨体だ。圧し掛かられるだけで潰されてしまいかねない。
 放たれた竜巻は残った蟹脚を振るおうとした海神を取り囲む様に、渦巻く鋭い風の刃で四方をぐるぐると回りながら迫る。既に歩行で使っていた触脚は悉くが潰されて、再生する事もままならず動けない。それに追い打ちをかける様に英霊が放った竜巻によって、海へ飛び込む事すら許されない。最早竜巻が消えるのを待つ他、逃げる道も無いのだ。
「うーん……これで動きは止められたけど、竜巻が消えたら逃げられちゃうか……」
 あるいはこっちへ迫って来るか。出来る事ならお帰り願いたい。ふぐたんの目が覚めるまで残り1分――その時、海神が遂に動いた。

 現れたのは一本の触脚だ。全ての脚を再生させる事は叶わないと踏んだのか、たった一本のか細い触脚が地面を穿って突き進み、いきなり地中から姿を現し、直接ふぐたんを狙ったのだ。
「しまった! あっちはもう誰もいない!」
「大丈夫だ! 間に合ったみたいだし――加勢させてもらうぜ!」
 不意に覚えの無い声が聞こえた。飛び込む影、一人の猟兵が触脚の前に立ち塞がったのだ。
「緯度47度9分南、経度126度43分西の海の底とか言われたらどうしようかって思ってたけど」
 ウィーリィ・チゥシャン(鉄鍋のウィーリィ・f04298)はその手の『三昧真火刀』と『天霊大包丁』に炎の魔力を込めながら言葉を続ける。
「ここが終点みたいだな。思ったより近くて良かった!」
 ふぐたんの目前、急にその速度を増した触脚の突撃を正面から刃で受け止め、焦がす。
「行くぜ! このシーフード野郎!」
 その熱を耐えられず跳ね上がった海神の触脚は、それでも尚高空からふぐたん目掛けて飛び掛かる。しかしそれもウィーリィが振るった両の包丁が容易く両断し、刃先から迸る炎が海神を焼き尽くさんと逆に迫る。

『いあ……いあ……』
 虚ろな表情でその炎を防がんと、海神は再生したてのその脚を三度削ぎ落す。しかしそれだけでは終わらない。竜巻に囲われ動けない海神目掛けて、ウィーリィが駆けだしたのだ。炎を纏った包丁が海神を捌かんと更に加速する。
『……嫌』
 意を決した海神、最早なりふり構ってられぬと竜巻を抜けるべくその身を海に向かって投げだした。このままでは我は死んでしまう。それだけは、それだけはもう嫌だ。死を否定するのだ。
「逃がすかよ! ここで終わらせてやる!」
 海神へ飛び掛かるウィーリィ。竜巻を抜けたボロボロの身体目掛けて、炎の包丁がその刃先を突き立てる。しかしその身を守らんと振るわれた海神の蟹脚がウィーリィのいる場所へ振るわれた。
「そう来るだろう――分かってたぜ!」
 それこそが海神の最後の一撃となった。あらかじめ予測していた軌道に飛んできた蟹脚に返す刃を突き立てたウィーリィ。一本、二本と容赦の無い攻撃が海神の蟹脚を焼き落とす。更に止めの炎が――【神火の竈】が今度こそ海神の全身を炎に包んだのだ。
「纏えよ火! 紅蓮の炎!!」
 発動した強火が海神の全身を舐める様に燃え広がっていく。残りの竜巻がその勢いを更に押し上げて、地獄めいた真紅の渦が海神を飲み込んだ。
『ヴォォォォォォォォ…………』
 嘆く様な音が轟き、やがて消える。それは最早神に非ず、獣に非ず、ただの燃え残った残滓。炎が消えた後、そこにあるモノは骸へ還った海神の跡だけであった。

「これで終わった……ふぐたんは大丈夫かな?」
 オクトーは海神の消滅を確認すると、改めてふぐたんの元へと駆けだした。
 見れば表示されているカウントが0秒になり、発光も収まった。モニターに映っていた鍵の映像も無くなり、どうやら元に戻った様子だった。
 すると突然、目的地だった朽ちた灯台から、何者かの声が聞こえてくる。

『システム・フラワーズより緊急救援要請』
『全自動物資供給機構『システム・フラワーズ』に、侵入者あり』
『テレビウム・ロックの解除数が多ければ多いほど、開放されるメンテナンスルートは増加する。至急の救援を請う』

 そこまででメッセージは途絶えた。今まで聞いた事の無い、この世界には似つかわしくない緊張感のある言葉。
「頻発しているテレビウム事件、共通しているのはテレビウム自身は事情を知らず、ただガイドとして使われているだけ」
 オクトーの元へウィーリィが来る。だから巻き込まれただけの無関係な彼らを、元の暮らしに戻してやりたいという一心で、ここまで戦ってきたのだという。
「じゃあ、これでふぐたんはもう大丈夫なのかな?」
 小首をかしげてふぐたんを見やるオクトー。本当にこれで終わりなのかな? ボクとても心配だよ。

 世界を蝕む謎の悪意に、猟兵達はどう立ち向かうのか。
 開かれた門が示す道には果たして何があるというのか。
 その答えはまだ誰も、持っていなかった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2019年04月30日
宿敵 『海神ポセ男』 を撃破!


挿絵イラスト