●キマイラフューチャー:水族館
「ええええぇぇ!? ぼくの顔が鍵になってるぅぅぅーーー!?」
水族館巡りが趣味のテレビウムのビウビウは、大型水槽に映り込んだ自分の顔に素っ頓狂な絶叫を上げた。
顔があるべきところに顔がない。あるのは、一本の鍵らしき映像だ。
混乱を爆発させてあわあわしているビウビウの背後から、忍び寄る影。
「――みーつけたぁ♪」
「はひゃ!?」
突如目の前にぬっと現れた白い影に、跳ね上がるビウビウ。
だがよく見れば、それは白いイルカだった。
「……あ、なーんだベルーガかぁ。……ん? この水槽、ベルーガのじゃない、よね……?」
だがもっとよく見れば、それは水槽の中にいるのではなく、水槽のガラスに映る鏡像であった。
そろり……と振り返ってみれば、そこにいたのは宙に浮かぶ、やけに愛らしいベルーガ。
なぜか傍らに浮かんでいる『何について調べますか?』の吹き出しが、一瞬にして書き換わる。
――『鍵を手に入れる方法』と。
「鍵……ってまさか……っ」
ベルーガの愛らしい顔が、凶悪な笑顔に歪む。と同時に、宙を泳ぎ次々と集まってくるイルカの魚影。
「び……び……びぎゃああああああぁぁぁぁぁ……!!」
切羽詰まりまくったテレビウムの悲鳴が、水族館中をこだました。
●グリモアベース:ゲネ
「キマイラフューチャーのテレビウムのピンチだ! 猟兵諸君、ぜひとも集まってくれ!」
ゲネ・ストレイ(フリーダムダイバー・f14843)は忙しなくホロモニターを展開すると、招集に応じた猟兵たちに情報を提供していった。
一般人のテレビウム、ビウビウ。
彼の顔面、すなわちテレビ画面に、突如として『鍵のような映像』が映り込むという謎の現象が発生。
それを皮切りに、どこからともなく出現した複数の種類の怪人が次々とビウビウを襲い出す……という諸々が謎の予知である。
「正直、『鍵』の正体や怪人どもの目的はさっぱりわかっていない。が、もちろんテレビウムの危機を放ってはおけないだろう?」
可及的速やかに現地に向かい、ビウビウを怪人たちの脅威から守り抜く。それが猟兵たちへの依頼だ。
「私のカンだと、この事件、なるはやで片づけたほうがよさそうだ。ビウビウを助けるため、そして謎を解くためにも、護衛をよろしく頼むよ!」
モニターに展開する転送術式がまばゆく輝き、猟兵たちをキマイラフューチャーへと誘うのだった。
そらばる
キマイラフューチャーより救援要請です。
画面に鍵のような映像が浮かび上がったテレビウムを護衛してください!
一章は集団戦。水族館の屋内から始まります。
二章は別の怪人と集団戦、三章は強敵戦。徐々に場所を移していく構成になります。
執筆の進捗や各章の締め切りなどは、マスターの自己紹介ページに記載しているスレッドの方で呟いております。目安にお使いください。
それでは、皆さんの自由なプレイングをお待ちしています!
第1章 集団戦
『何も答えてくれないベルーガ』
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POW : おまえを消す方法
【全て消すモード】に変化し、超攻撃力と超耐久力を得る。ただし理性を失い、速く動く物を無差別攻撃し続ける。
SPD : ベルーガに乗った中年
【ベルーガの調教師】を召喚し、自身を操らせる事で戦闘力が向上する。
WIZ : ベルーガがせめてきたぞ
戦闘用の、自身と同じ強さの【熱線銃装備の軍用ベルーガ】と【ガトリングガン装備の軍用ベルーガ】を召喚する。ただし自身は戦えず、自身が傷を受けると解除。
イラスト:ケーダ
|
種別『集団戦』のルール
記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
フィロメーラ・アステール
「そこまでだー!」
これ以上、お前たちの好きには……!
ちょっと数多くない?!
しかも増える!
だが後ろがガラ空きだぜ!
【錬成されし対の双星】を発動!
あたしの能力を模した分身を召喚!
その【迷彩】効果のもつ隠密性を利用して、敵本体を狙う!
【残像】のスピードで次々に【踏みつけ】を繰り出すことで、ダメージを与えて召喚を解除!
【空中戦】の機動力で【ダンス】の如くリズミカルに、次々と攻撃を繰り出すぞ!
あたし自身は【オーラ防御】を展開しビウビウごと守りを固める!
【気合い】を入れて耐えつつ、仲間の到着を待つぞ!
●妖精参上!
水槽の前で震えるテレビウムのビウビウ、それを取り囲んでいくシロイルカこと『何も答えてくれないベルーガ』の群れ。
そしてそこに吹き付ける勇ましい運命の風!
「そこまでだー!」
敢然と声を上げ現れたのは、愛らしいフェアリー、フィロメーラ・アステール(SSR妖精:流れ星フィロ・f07828)である!
「これ以上、お前たちの好きには……! ……ちょっと数多くない?!」
景気よく見得を切ったはいいが、思った以上の敵の数に目を剥くフィロメーラ。
「しかも増える!」
さらなる魚影がビウビウめがけて続々と泳ぎ寄り、さらに分身を増殖させていく。フィロメーラ含め、周囲の他の存在には見向きもしない。
「だが後ろがガラ空きだぜ!」
フィロメーラは錬成されし対の双星を発動! 能力をそのまま模したフィロメーラ自身の分身を召喚! その迷彩効果による隠密性を活かし、敵本体を狙う!
クァッ!? クカァ! キャイッ!
残像を生み出すスピードで、宙に浮かぶベルーガたちを踏みつけにしていく分身。素早く空中を跳んで回り、あたかもダンスを踊っているかの如くリズミカルに、次々イルカたちを鳴かせていく!
「クァ~~……邪魔するなッ!」
頭を強かに踏みつけられた先頭のベルーガが、青筋立てて分身を振り返った。その吹き出しが『おまえを消す方法』に書き換わるや否や、愛らしかったはずの瞳が凶悪な赤に輝き、理性を失って分身へ突進を仕掛けてくる……!
――が、残念、空振り! 召喚を解除された分身は不意に掻き消え、思いっきり尾を打ち付けようとしたベルーガの身体は、勢いよく宙で大回転して目を回してしまう。
分身がベルーガたちをおちょくって……もとい、注意を引き付けダメージを重ねている隙に、フィロメーラはビウビウの傍らに駆け付けた。
「だ、だ、誰ぇ……?」
怯え切っているビウビウに、フィロメーラは胸を張って答える。
「『怪人をやっつけるめちゃくちゃカッコいいヒーロー』――つまり猟兵だ!」
「ほほぅ……さっきのムカツクやつはおまえの分身クァーーーーッ!」
パパパパパッ。全てのベルーガの吹き出しが『ベルーガがせめてきたぞ』に書き換わった!
怒涛の如く数を増すベルーガたち。熱線銃とガトリングガンの銃口が、無防備なビウビウとそれを庇って立ち塞がるフィロメーラに一斉に火を噴いた!
「こんなもの、気合いで乗り切る……!」
オーラ防御を全開にして、フィロメーラは降り注ぐ集中砲火を耐える……
仲間たちが必ず駆け付けてくれることを、信じて……!
大成功
🔵🔵🔵
仁科・恭介
【二本の刀】
叢雲源次がキマイラは初めてとのことで同行。
「なるほど。迅速に行動ですか」
保護対象が危ないため【携帯食料】を食みつつ急行する。
とりあえず「ビウビウ」が危ないという事で確保優先で行動。
【ダッシュ】で「ビウビウ」とベルーガの間に入り、【学習力】を駆使して安心して戦えるような位置取りする。
「やる気満々だね」とテンションを借りてUCにより細胞を強化。
「少し怖い思いさせるかもしれないが、これでも食べててね」と【携帯食料】を渡す。
「ビウビウ」に近づくベルーガは【ダッシュ】と【残像】により攪乱させつつ斬る。
「お前の強化と私の強化どっちが上か勝負しようか」
「後ろは大丈夫だから思いっきりやればいい。」
叢雲・源次
合プレ【二本の刀】
方針 SPD
グリモアベースからの依頼の内容…やけにキマイラフューチャーが増加しているようだが、どうやらテレビウムが狙われているらしい…
『鍵』の真意はとかく、その依頼承ろう。
キマイラは初めてだが幸い同行者もいる。よろしく頼む、仁科恭介。
なるはや、と言っていたな…兵は神速を尊ぶ。
行くぞ仁科、障害は迅速に排除する。
狙うべくは…召還されしベルーガに乗った中年。
その気勢を絶つ。
【ダッシュ】【早業】にて高速で踏み込み『電磁抜刀』
更に隙を生じさせぬ【二回攻撃】で仕留めにかかる
それにしてもこのベルーガ…愛らしいのだが何故か消さねばならぬという使命感に駆られる。何故か。
●二本の刀
グリモアベースからの依頼の内容にキマイラフューチャー関係のものが激増している。それもどうやら、テレビウムが狙われている事案ばかりであるらしい……。
それを知った叢雲・源次(炎獄機関・f14403)は、今回の依頼を受けることに決めた。
「『鍵』の真意はさておき、その依頼承ろう」
キマイラフューチャーに向かうのは初めてだったが、幸い頼もしい同行者もいた。
「なるはや、と言っていたな……兵は神速を尊ぶ。行くぞ仁科、障害は迅速に排除する」
「なるほど。迅速に行動ですか。……承知した」
端的に答えた仁科・恭介(観察する人・f14065)は、携帯食料をかじりながら、源次と共に現場の水族館に急いだ。
大慌てで避難していく人の流れを逆行し、やがてたどりついたのは水族館のメインとも言える大水槽の前。
水槽の中を泳ぎ回っていたはずの多種多様な魚たちは、外の不穏さを悟ってかなりを潜め、代わりに、数多のベルーガたちが水槽の外側で暴虐の限りをつくしている。
「――対象発見」
「よし、確保を優先する」
二人はわき目もふらず疾駆した。
恭介は恐怖に縮こまったままのビウビウを背にして、ベルーガとの間に割り込み、戦いの経験から学んだ絶妙な間合いに位置取る。
「なっ、またクァ!? 面倒だなぁ!」
「そこをどけ! 邪魔をするならひどいぞ!」
「やる気満々だね」
一斉に自身を向いた殺気に、恭介は小さく笑った。と同時に、肉体が淡く光を帯びる。
敵群の高まったテンションと、胃に放り込んだ食料が、恭介の全身の細胞を活性化させたのだ。
「お前の強化と私の強化、どっちが上か勝負しようか」
「にゃにおう!?」
挑発めいた恭介の言葉にカッと血を上らせたベルーガの背上では、なぜか場に不釣り合いな汚いオッサン……もとい中年男性がイキリ散らしている。
「ええい、新しい敵だろうと、おまえたちに不可能はない! それっ、それっ、そうだ! いい動きだぞぅ!」
吹き出しには『ベルーガに乗った中年』の文字。どうやらベルーガ自ら召喚した調教師を背に乗せ、その指導によって動きや能力を底上げしているらしい。
人馬一体となり、激しくキレのある動きで恭介に襲い掛からんとするその背後に、電光が閃く。
「……その気勢、削がせてもらおう」
「へっ!?」
中年とベルーガが同時に振り返った瞬間、目にも止まらぬ早業で踏み込んだ源次の刃が鋭い剣閃を描いた。
「ぐ……っ」
中年の胸を斬り裂く一閃。
敵が動きだすのを許さず、さらに一閃。隙を生じぬ二連撃。
「――うぎゃああああぁぁぁ!」
三枚おろしに切断され、調教師は汚い悲鳴を上げながらかき消えた。
「な、なんてことを……!」
「ひ、ヒト殺しぃぃ!」
同様の広がるベルーガたち――すなわちいつもキマイラたちを襲っているオブリビオンども――の世迷い事に耳を貸すことなく、源次は次々と『ベルーガに乗った中年』を切り伏せていく。
呆然と戦場を見つめ、ビウビウは目の前の恭介を見上げて問いかけた。
「あ、あなたたちも……?」
「猟兵だ。少し怖い思いさせるかもしれないが、これでも食べててね」
なだめるように恭介が手渡した携帯食料を、ビウビウはおずおずと受け取った。
和らいだ恭介の表情は、一瞬にして引き締まった。
「――隙ありッ!!」
中年を乗せていないベルーガたちが、お構いなしにビウビウと恭介を狙って襲いかかってくる!
――しかしその鼻先で、恭介の姿が陽炎の如き残像を描いて掻き消えた。
「クァッ!? ど、どこに――グハァッ」
虚をつかれきょろきょろするベルーガの背後を、実像を結んだ恭介の刃が襲い斬り捨てる。
「クァ……この!」
「も、もういない……いや後ろ!」
「こいつ逃げてばっかり――キャイィ!」
消えては現れ、現れては斬りつけ……恭介の残像と攻撃がベルーガたちをひっかきまわし、ビウビウに近づかせない。
「それにしてもこのベルーガ……愛らしいのだが何故か消さねばならぬという使命感に駆られる。何故か」
ぼやきながら片っ端から中年をたたっ斬る源次。
「なら、容赦はいらないな。後ろは大丈夫だから思いっきりやればいい」
ベルーガを存分に攪乱し、ビウビウの身の安全を確保する恭介。
二人のコンビネーションが、ベルーガたちを着実に叩き伏せていった。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
龍ヶ崎・紅音
アドリブ・絡み歓迎
【POW】
大丈夫?助けにきたよ!!
「黒焔竜剣」による炎【属性攻撃】の【なぎ払い】を中心として、軍用ベルーガ召喚元である"武装していないベルーガ"や戦闘力を向上させる"調教師のおじさん"に狙いを定めてホムラの【槍投げ】で【串刺し】にするよ
(だいたいは小さい竜の姿で応戦するが、この時は槍の姿に変身)
[全てを消すモード]になったベルーガには私の【怪力】と少しの【力溜め】から繰り出す【鎧砕き】のような重い【捨て身の一撃】を放つよ(UC『グラウンドクラッシャー』演出)
防御には「黒焔竜剣」での【武器受け】をしながら、仲間やピウピウを【勇気】を与えるように【気合い】で【かばう】よ
●竜人タイフーン
猟兵とベルーガ入り乱れる戦場に、さらに駆け付ける一人と一匹。
「――いた! あそこだね!」
勇ましい駆け足で滑り込んだ龍ヶ崎・紅音(天真爛漫竜娘・f08944)は、その勢いのまま武骨な巨大剣・黒焔竜剣でベルーガどもを薙ぎ払った。黒い炎がうねり、激しく敵群を焼き払う!
「あぢぢっあぢっ!」
「キューィ、キュキューッ!」
たちまち陣形を崩すベルーガの群れ。召喚されていた軍用ベルーガたちが次々に消え、強化の効果も一時的に薄まる。
「狙うは本体……と、調教師のおじさん!」
紅音は白銀の小さな飛竜『ホムラ』を一瞬にして焔槍形態へと変え、全身全霊の力で一直線に投擲した。
「キュギュ――」
「ぐお……っ」
ベルーガの鳴き声と中年男性の呻き声が重なった。
天井付近まで高々と舞い上がっていたベルーガが、焔槍によって調教師ごと串刺しにされ、水泡の如く霧散したのだ。
「よし、この調子で――ッ、まずい!」
再度巨大剣を薙ぎ払おうとして、紅音は急遽身を翻し、全力で疾駆した。飛竜の姿に戻ったホムラが援護する。
向かう先には、ビウビウへと突進しようとする魚影。
「――させないよ!」
ベルーガの頭突きと黒焔竜剣が激突する。紙一重で滑り込ませた全身に、突進の衝撃がのしかかる――!
紅音は歯を食いしばり、懸命に踏ん張り……気合いの叫びを上げながら敵を跳ねのけた!
と同時に、軽く全身に力を溜め、怪力を乗せた捨て身の一撃を繰り出した。地形を抉るほどの衝撃が、敵の表皮を破り、深々と骨を砕く!
「ギュェェエエェェェ――!!」
甲高い悲鳴を上げ、散っていくベルーガ。
「あ……あ、あ……」
悲鳴にならない呻きを漏らすビウビウを、紅音は肩で息をつきながら振り返る。
「大丈夫? 助けにきたよ!!」
戦いの余波に舞い上がる銀髪、生命力に輝く赤い瞳。
一種独特な迫力を宿す紅音の姿に見蕩れたように、ビウビウはこくこくと頷き返した。
大成功
🔵🔵🔵
ユキ・コシイ
『可及的速やかに』【ボクらがきたよー!】
怪人現れるところに猟兵あり。
そのテレビウムくんは、わたしが…私達が守る。
正味の所、なんで彼を狙うのか…尋ねたいところですが、答えてくれないでしょうね。だってベルーガだし。
…しかし、水族館は水槽というデリケートなオブジェがたくさんあるフィールド。派手に暴れるのはちょっと…危ないかも
だったらここは、このユーベルコードを歌いましょう。
歌うは【Cradle Song】。海色の水面に揺蕩うような調べで、眠りを誘う子守唄―
水族館に相応しい、落ち着いた一曲で…ベルーガ達を眠りに誘いましょう。
動きが鈍ればあとはみんなで煮るなり焼くなり、スタンドマイクで殴るなり…です。
●人形師は海色を歌う
駆け付けた者が、ここにまた一人。
……いや、一人と二体、だ。
『可及的速やかに』
【ボクらがきたよー!】
戦場に滑り込んだユキ・コシイ(失われた時代の歌い手・f00919)の両手で、腹話術人形の『ナノ山さん』と【テレ彦くん】が威勢よく啖呵を切った。
「クァァ~~~……この忙しい時にまたクァぁ……!」
手近なベルーガたちが身を翻し、いきり立つ。
「……怪人現れるところに猟兵あり」
囁くような声音で呟き、ユキはまっすぐに敵群を見据えた。
「そのテレビウムくんは、わたしが……私達が守る」
「んぬぅぅ、生意気な奴ッ」
「お人形遊び好きの女の子一人、何ができるクァ!」
侮るような言葉を吐きながら、ベルーガたちは目を赤くして突撃してくる――!
しかしユキの眼差しに映っていたのは、その背後に広がる全面ガラスの大水槽だった。
(「……デリケートなオブジェがたくさん。派手に暴れるのはちょっと……危ないかも。……だったら、ここは」)
「いま一時だけはすべてを忘れ、私の胸で眠りなさい――」
ユキは歌う。まるで別人のような声量と歌唱力が紡ぎ出すのは、Cradle Song。海色の水面に揺蕩うような調べで、眠りを誘う子守唄――
「クァ……」
「ふぁぁ……なんだクァおかしいぞ……」
「どうしたんだぞ……いきなり……ね……む……クァー……」
静けさの似合う水族館に相応しい、落ち着いた曲に、ベルーガたちは強烈な眠気を喚起され、次々に寝息を立て始めた。
「……正味の所、なんで彼を狙うのか……尋ねたいところですが、答えてくれないでしょうね。だってベルーガだし」
歌唱を終えて、ユキは仲間たちを振り返る。
「ですので、あとはみんなで煮るなり焼くなり、スタンドマイクで殴るなり……です」
その手にはもちろん、スタンドマイクがしっかりと握られていた。
クァッ、クゲッ、ガキュッ、キュィィ~~~ッ。
水族館にベルーガたちの悲鳴が連鎖する。
かくて『何も答えてくれないベルーガ』の群れは猟兵の手によって一体残らず撃破され、ビウビウの身の安全は、ひとまず確保されたのであった。
大成功
🔵🔵🔵
第2章 集団戦
『ゲソフレイム』
|
POW : 汚物は消毒でゲソーッ!
【松明に油を吹き付け発射した火炎放射】が命中した対象を燃やす。放たれた【油の】炎は、延焼分も含め自身が任意に消去可能。
SPD : 俺色に染めてやるでゲソーッ!
レベル分の1秒で【ベタベタするイカスミ】を発射できる。
WIZ : 見るがいい、これが俺の変身ゲソーッ!
対象の攻撃を軽減する【激情体】に変身しつつ、【右腕に装備された火炎放射器】で攻撃する。ただし、解除するまで毎秒寿命を削る。
イラスト:ケーダ
👑7
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
|
種別『集団戦』のルール
記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
●水族館:第二の刺客
『何も答えてくれないベルーガ』の群れを完膚なきまでに退け、猟兵たちはあらためてビウビウと対面することになった。
「あ、あの……助けてくれて本当にありがとうございま――したッ!?」
表情がわからないなりに、はにかんだ様子で頭を下げたビウビウの画面の鍵が、突如暴れ出した。
まるで風見鶏のような激しい回転を繰り返したのち、ビシッ、と静止。
その先端は、一定の方向を向いて固定されている。ビウビウが顔の向きを変えても鍵はその動きについてこず、常に同じ方角を指し示しているのだ。
「なんでだろう……そっちに行かなきゃいけない気がする……」
熱に浮かされたようにビウビウが呟いた、その時。
「ゲゲゲ! 鍵はどこでゲソーッ?」
響き渡る、品のない大声。
次にわらわらと現れたのは、茹で上がったわけでもないのに全身真っ赤なイカの大群。
「ゲゲゲゲ! 見つけたでゲソーッ!」
「邪魔な奴らもいるでゲソ!」
「かまわんゲソ! 汚物は消毒でゲソーッ!」
……暑苦しい上にやたらとやかましい。
「またぁ!?」
猟兵に促され、駆け出すビウビウ。
「ビウェェェェェェェン! もう、海産物が嫌いになっちゃうよぉぉぉーーーー!」
水族館好きとして切実な嘆きの声を上げながら、ビウビウは鍵の示す方角へとひた走る。
猟兵たちは敵の追撃を振り払いながら、ビウビウの目指す場所へ、共に向かうのだ!
フィロメーラ・アステール
「みんなが来てくれて助かったー!」
このまま鍵の謎へ一直線だ!
その前に……ビウビウの心がピンチ!
見た目に騙されるなー! って、難しいか!
【はじまりを刻む地の新星】を使う!
水は無機物! 水を操って【空中戦】だ!
水だって水族館の仲間!
水族館を愛するビウビウのためなら頑張ってくれる!
あたしの【第六感】がそう囁いている!
ついでに色々な海産物に変形!
海の仲間がビウビウを【鼓舞】するぜ!
油火災に水を使うのは、よくないが……!
魔力生命体に変換したことで、ただの水じゃなくなった!
包み込めば酸素遮断と冷却を同時に行い、鎮火もできるはず!
あ、水槽や魚に悪影響の出ない水場を使うぞ!
使ってないショー用のプールとかかな?
龍ヶ崎・紅音
アドリブ・絡み歓迎
【POW】
こうも水族館でいかとベルーガに襲われたら、トラウマになりそうだけど、相手がオブリビオンだからあんまり気にしない方がいいんじゃないかな…?
ともかく、向かってくるならそっちもわたしの焔で燃やし尽くしちゃうからね
いかたちが放つ炎を【火炎耐性】と【気合い】で耐えて、間合いを詰めてそこから【力溜め】の【捨て身の一撃】、『煉獄黒焔斬』で【なぎ払い】するよ
あっ、言っとくけど"ただの黒い焔"と思わないでね
その焔はどんな者でも呑み込み焼き尽くす、いやゆる炎と闇の複合【属性攻撃】だから強がらないほうがいいと思うよ
ホムラは、ビウビウを【かばう】ことができる位置で援護をお願いするね
「みんなが来てくれて助かったー! このまま鍵の謎へ一直線だ!」
仲間を得て、フィロメーラ・アステール(SSR妖精:流れ星フィロ・f07828)は一層テンションを上げる。
が、猟兵たちの先をとてとて走りながらビウェェェンと泣きじゃくっているビウビウは、心がピンチの様子である。
フィロメーラは頬を掻いた。
「あーイカだもんなー。見た目に騙されるなー! って、難しいか!」
「こうも立て続けに水族館でいかとベルーガに襲われたら、そりゃトラウマにもなりそうだけど……」
龍ヶ崎・紅音(天真爛漫竜娘・f08944)もどうにかなだめようとビウビウに言葉をかける。
「相手がオブリビオンだからあんまり気にしない方がいいんじゃないかな……?」
「びううぅ……うん、うん、今は逃げるぅぅぅ……」
まあ、まったく気にしないというのも難しそうだが、素直なビウビウはとにかく鍵の示す方向へ一生懸命手足を動かしている。
ならば、猟兵がやるべきことは、火炎放射をまき散らしながら追ってくるゲソフレイムどもを払い除けるのみ。
「ゲゲゲ、消毒ぅー消毒消毒ぅー、汚物は消毒でゲソーッ!」
「ホムラ! くるよ!」
ビウビウに向けて一直線に伸びてくる炎の帯を、紅音はホムラと共に身を挺して防いだ。火炎は彼女にとっても十八番。この程度なら気合いで耐え抜ける……!
「ゲゲゲ……案外しぶといでゲソ――はっ!?」
松明に油を吹きつけていたゲソフレイムが一匹、息を呑んで空を仰いだ。
上空、逆光の中に浮かび上がるのは、煌めくフェアリーのシルエット!
「水だって水族館の仲間! 水族館を愛するビウビウのためなら頑張ってくれる! あたしの【第六感】が、そう囁いている!」
フィロメーラが高らかに宣言したその瞬間、前方で激しい水音が上がった。
今の時間は使われていないショー用のプールから、水が逆巻き空中に立ち昇っているのだ!
「下を向くなビウビウ! 海の仲間たちが励ましに来てくれたぜ!」
「えっ? ……ふわああぁ……!」
フィロメーラに叱咤され、顔を上げたビウビウの見上げる先で、プールの水が次々と多種多様な海洋生物の姿を象り始めた。
壮大に群れ泳ぐ魚群、ぴょんぴょんはね飛ぶ色とりどりのヒトデたち、ロケットみたいに泳ぐペンギン、優美な軌跡を描くマンタ、雄大にして優しげなジンベイザメ、何を考えているのかわからないマンボウ……
水族館でおなじみの生き物たちが、一斉にゲソフレイムたちに襲い掛かる!
フィロメーラは胸を張る。
「油火災に水を使うのは、よくないが……! 魔力生命体に変換したことで、ただの水じゃなくなった!」
「ゲゲゲ、ゲソーーーッ!」
水はゲソフレイムたちの松明や火炎放射器を包み込み、酸素を奪って冷却し、炎を完全に鎮火してしまう。
「ゲゲゲゲ! 火を奪われたでゲソー! 炎が使えないでゲソーッ!」
「落ち着くゲソ! 下がって墨でも吐いてるでゲソ! ゲソたちの火はまだ燃え尽きていないでゲソ!」
敵は戦列を目まぐるしく入れ替わりながら、墨やら炎やらを吐きつけてくる。
しかしそこにも、紅音が果敢に立ち塞がる。
「まだ向かってくるなら、そっちもわたしの焔で燃やし尽くしちゃうからね」
激しい攻撃に耐えながらも間合いを詰め、己が身を顧みぬ渾身の力で、愛剣を振り抜く――!
「この呪われた焔の斬撃を受けられるかな!!」
放たれた斬撃は漆黒の炎となり、数体のゲソフレイムを薙ぎ払った。
「ゲゲゲ! 火に強いゲソたちに炎なんて……」
「あっ、言っとくけど『ただの黒い焔』と思わないでね。その焔はどんな者でも呑み込み焼き尽くす、いわゆる炎と闇の複合【属性攻撃】だから。強がらないほうがいいと思うよ」
「……ゲゲゲェーーーー!?」
禍々しい漆黒の炎はゲソフレイムの全身を余さず包み込み、より火勢を増して燃え上がった!
情けない複数の絶叫と炎が過ぎ去ったあとには、こんがり香ばしく黒々とした塊になったゲソフレイムたちの死体が、辺りに点々と転がったのだった。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
叢雲・源次
合プレ【二本の刀】
どうやら、オブリビオンの狙いは文字通りの『鍵』らしい
ビウビウと言ったか、彼?彼女?まぁどちらでも、とにかくビウビウそのものが鍵であるが故に狙われている。のであれば一向に逃げて貰って構わない。逃げるビウビウを護衛しつつ戦う者がいるのなら、俺達はそれを追うオブリビオンを追撃する。つまり、挟み討ちの形になるな。
・POW
烏賊…今度はイカか。しかも炎を使うとはまた面妖な…
それならば、お前の炎と俺の蒼き煉獄…どちらが上か試してみるか
(右眼から溢れる蒼い炎が自身の周囲に渦巻く)
【見切り】【早業】で炎を回避しながら【力溜め】
その後【ダッシュ】で急接近し『蒼炎結界』
「炎上注意だ、悪く思え」
仁科・恭介
※アドリブ、連携歓迎
【二本の刀】
UC譲渡対象:ビウビウ
依頼は怪人達の脅威からビウビウを守ること
乗りかかった舟だ
源次君が挟み撃ちを考えてるみたいなので…後から追いかけますか
「鴨葱は知ってるけどイカが火を持ってくるとはね」
「しかし彼か彼女か分からないけど難儀だね…敵イカだし」
POW
ビウビウ達を見失わない様【吸血】本能でビウビウの血の匂いを【学習力】で覚えておこう
ビウビウ達を先行させ追いかける怪人達を挟撃
【目立たない】ように気配を消し、【ダッシュ】で間合いを詰め目の間を狙う
挟撃の際にビウビウが危なくなったのを見かけたら、UCで防御した【汚物は】を簒奪し、ビウビウへ譲渡
「油断した。が、見事なゲソ焼き」
ビウェェェンと泣きながら逃げ惑うビウビウ。
ゲゲゲと笑いながら追うゲソフレイム。
……そして、さらにその後方から忍び寄るのは、【二本の刀】。
「烏賊……今度はイカか。しかも炎を使うとはまた面妖な……」
「鴨葱は知ってるけどイカが火を持ってくるとはね」
敵に悟られぬよう背後から追いかけながら、叢雲・源次(炎獄機関・f14403)と仁科・恭介(観察する人・f14065)は各々に呟いた。
しかしオブリビオンの狙いはどうやら文字通りの『鍵』らしい、と源次は確信する。
ビウビウそのものが鍵であるがゆえに狙われている。のであれば、逃げて貰って一向に構わない。
ビウビウを護衛する猟兵がいるならば、源次たちはそれを追うオブリビオンを背後から挟撃にするまでのこと。
「それならば、お前たち炎と俺の蒼き煉獄……どちらが上か試してみるか」
源次の右眼から蒼い炎が溢れ、自身の周囲に渦巻いていく……
「ゲゲ! 後ろからも敵でゲソ!?」
「敵襲でゲソ! 迎撃ーッ迎撃ーッ!」
しんがりのゲソフレイムたちが慌てて声を上げながら炎を吐きつけてくる。しかし源次は炎の軌道を完璧に見切り、素早く炎を回避しながら力を溜めた。
「ゲゲゲェ……ちょこまかと!」
苛立ちに、ゲソフレイムの火炎放射の軌道が乱れる。
その隙をついて、源次は一気に距離を詰める!
「炎上注意だ、悪く思え」
吹き荒れる蒼き煉獄の炎が、津波の如く後列のゲソフレイムたちを呑み込んでいく――!
「ゲ、ゲゲゲゲーーーーッ」
蒼い炎の中でイカ足がにょろにょろと激しく踊る。
「ゲゲゲ……火に強いゲソたちがまさか炎で負けるとは――ゲソッ!?」
焦げ焦げに焼け出されつつもなんとか一命をとりとめたゲソフレイムの眉間が、瞬時にして刃に貫かれた。
気配を消し接敵した恭介の一撃だ。
「ゲッ……いつの間に――!?」
驚くゲソフレイムたちが体勢を立て直す隙を与えず、恭介は次々に敵を斬撃に伏していく。
「しかし彼か彼女か分からないけど難儀だね……敵イカだし」
そういえば案内人は『彼』と呼んでいたかな、と、敵を斬り払いながらぼやいたその時。
「――っきゃう!」
聴覚に飛び込んできた聞き慣れぬ悲鳴と、同時に強まった血の匂いに、恭介は躊躇なく身を翻した。
「依頼は怪人達の脅威からビウビウを守ること……乗りかかった舟だ」
恭介の吸血本能は一度覚えた血の匂いを忘れない。鼻腔に感じる臭気を辿り、瞬く間にビウビウの元へ――
「ゲゲゲ、追い詰めたゲソ! ――汚物は消毒でゲソーッ!」
「――――!」
ゲソフレイムの下品な声を聞いた瞬間、恭介は反射的に放射される炎の軌道に身を投じた。強烈な熱が全身を攻め立てる……!
「……あ、ぁぁ……」
前のめりにけつまずいていたビウビウが、目の前で炎に巻かれるその姿に、絶望的な呻きを漏らした。
……だが。
「受けてみて……完全に理解した」
「ゲソッ!?」
「その技はいただく!」
炎が退いたそこに立っていた恭介には、傷一つなかった。
恭介はこけたままのビウビウを背に庇ったまま、視線だけでちらりと見やった。
「無事だね?」
「う……うん。膝をすりむいちゃっただけ……」
「なら、これを使って」
「え? ――ビゥッ!?」
恭介からビウビウに譲渡されたのは、ゲソフレイムから簒奪したユーベルコードの力。
突如としてビウビウの手元から照射された炎が、ゲソフレイムを焼き尽くす――!
「ゲッソォォォォ――!!」
己の炎で焼き焦がされ、ゲソフレイムはピクピクと痙攣しながらばったり倒れた。
「……なっ、ななな……いまの、なにが……!?」
「油断した。が、見事なゲソ焼き」
混乱きわまるビウビウに、恭介は柔和に笑いかけて見せた。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
第3章 ボス戦
『怪人アルパカマッスル』
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POW : ポージング
自身の【肉体美の誇示】の為に敢えて不利な行動をすると、身体能力が増大する。
SPD : 鋼の筋肉
全身を【力ませて筋肉を鋼の如き硬度】に変える。あらゆる攻撃に対しほぼ無敵になるが、自身は全く動けない。
WIZ : つぶらな瞳
【つぶらな瞳で見つめること】により、レベルの二乗mまでの視認している対象を、【瞳から放たれるビーム】で攻撃する。
イラスト:ヤマトイヌル
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種別『ボス戦』のルール
記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※このボスの宿敵主は
「ニィ・ハンブルビー」です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
●動物園:輝く鍵とマッスルなアルパカ
猟兵の活躍によってゲソフレイムの集団を振り払い、一行は水族館からの脱出を果たした。
「や、やっと逃げれたぁ……」
ぜぇはぁ息を切らしてビウビウが到着したのは、一転、なんの変哲もない動物園であった。
ここはオブリビオンの影もなく、至って平和な様子。
動物たちがのんびりと過ごしている様子に、ビウビウはなごみつつも遠い目になっている。
「……しばらく動物園に改宗しようかな……」
なんとも切ない呟きで見つめる先には、檻の中のアルパカたち。もっしゃもっしゃとエサを咀嚼し、つぶらな瞳も愛らしい……あいら、しい……?
……首から下が人間のボディビルダーの体形をしたアルパカを、愛らしいと言っていいのやら……。
はい、『怪人アルパカマッスル』の登場です。
アルパカマッスルはもっしゃもっしゃと咀嚼したエサを嚥下すると、ちょっと照れ臭そうに視線を逸らした。
「そんなに見つめられたら照れるぜ……」
……これはひどい。ビウビウはもはや言葉もない。
傷心をさらに追い打ちされたかと慌てた猟兵たちは、しかしすぐに、様子が尋常でないことに気付いた。
ビウビウは完全にその場で棒立ちになっている。意識がない――?
――ビカァ!!
その時、突如画面の鍵がまばゆく輝きだした!
「おお、それそれ。それが欲しかったんだぜ」
アルパカマッスルはのっそりと柵をまたいで檻の外に出てくる。
鍵の光は収まる様子がない。ビウビウはぴくりとも動かない。
どうやら、この場から動かすこともできないようだ……。
この光がどれほど長く続くかわからないが、ビウビウを守り抜かなければ……!
「さあ……そいつを渡してもらおう……かッ」
むぅんと湯気たっぷりにマッスルポーズを決めるアルパカ。
ビウビウを守りながら、おもろ不気味な怪人アルパカマッスルをぶち倒そう!
フィロメーラ・アステール
「むむむ、肉体には自信があるようだな!」
しかし、その自信が命取り!
残された弱点を突いて突破口を開くぜ!
【星の遊び場】を使うぞ!
【全力魔法】で光【属性攻撃】の太陽光を照射!
ビームが出される前に【目潰し】を仕掛けよう!
見つめようとしている状態なら、瞳は無防備同然なはず!
うまく決まったら【スライディング】で足払い!
ヤツは見た感じ、上半身のほうがデカい!
つまり重心のバランスが悪く、足腰の鍛錬が弱いかも!
あたしとは体格差がヤバいけど!
【衝撃波】を纏って【吹き飛ばし】を仕掛ける勢いで行けば、耐えるのは難しいんじゃないかな?
スキを作れたら、後は仲間達に任せて【オーラ防御】を準備しつつ、ビウビウを護衛するぜ!
●足元がお留守だぞ!
「むむむ、肉体には自信があるようだな!」
隆々と盛り上がるアルパカマッスルのポージングを食い入るように見つめ、フィロメーラ・アステール(SSR妖精:流れ星フィロ・f07828)は唸った。
「しかし、その自信が命取り!」
フィロメーラには見えているのだ、明らかなる敵の弱点が!
アルパカマッスルのつぶらな瞳が、ビウビウを見つめてエネルギーを帯び始めた。
しかしフィロメーラはビームの照射に先んじて、全力で光の魔力を編み上げ太陽光を照射する!
「あたしにまかせろー! バリバリ!」
「やめて! ――ぬごぉぉぉぉぉ!?」
条件反射的に定型句を返した瞬間、つぶらな瞳に直撃する太陽光!
アルパカマッスルは目を抑えて激しく身悶えているぞ!
「まだまだぁ!」
フィロメーラはすかさず全身で飛び込んだ! 留守になった足元に、ダイレクトスライディング足払い!
「目が、目がぁぁ……あっ?」
アルパカマッスルの屈強な身体が、あろうことかぐらついた。
全体が逆三角形のフォルムを成すアルパカマッスルの肉体は、重心のバランスが実はあまりよろしくない。
さりとてフェアリーの身体とボディビルダー体形では体格差がヤバイはずだが……
「あああぁぁぁぁぁー……っ」
衝撃波を身に纏ったフィロメーラのスライディングは、存外な勢いでアルパカマッスルの屈強な身体を吹っ飛ばした! ドップラー効果気味に遠のいていく情けない声。
「なんだ、思った以上に足腰の鍛錬が足りてないな!」
ずざざざ……と砂埃を上げながら地面を滑っていく敵の姿を得意げに見送ると、フィロメーラは羽を翻した。
「さあスキは作ったぜ、あとは任せた! ビウビウの護衛はあたしに任せな!」
棒立ちのビウビウを背にして、小さな身体で毅然と空中に仁王立ちするフィロメーラの頼もしい言葉が、仲間たちの背を送り出すのだった。
大成功
🔵🔵🔵
仁科・恭介
【二本の刀】
なるほど、見事な筋肉だ
だが、カーフのカモシカが鳴いている
これは本物を見せないとだめだね
POW
アルパカマッスルの筋肉に闘志を燃やす
アルパカマッスルの肉体美誇示に対するテンションと【携帯食料】を糧に全身の筋肉を活性化
「さて、どっちの筋肉が素晴らしいか…勝負しようじゃないか」
刀を鞘に納めて真紅に変わった瞳で見つめる
呼吸を合わせて【ダッシュ】で加速し【残像】が残るくらいの勢いで【鎧無視攻撃】を乗せた右ストレートを叩き込む
殴り返されたら受けよう
それが【礼儀作法】というものだ
「良いパンチだね。じゃ、次は私だな」
それに、源次君の準備を整えるまで【目立たない】ようにしないとね
「さて、そろそろかな」
叢雲・源次
【二本の刀】
それにしても……キマイラフューチャーのオブリビオンはその…なんとも言えぬ、面妖な。
しかし、容貌で圧倒出来るほど猟兵は甘くは無い。
その肉体と精神、共に斬る。
方針
・POW
敵の容貌からして、典型的なパワータイプ…なればこそ一撃が大きい筈…取る手段は、一つ
先制は仁科に任せ敵を観察、じり…と間合いを保ちつつ攻撃を誘う
決断は済ませた、後はそれに賭ける。【覚悟】【力溜め】
相手の一撃に合わせた後の先【見切り】【カウンター】【早業】
『電磁抜刀』
その肉体を断つ…!!【鎧砕き】
消え去る前に一つだけ言っておきたい事がある。
何故、水族館でアルパカなのか。来世はホエール仮面にでもなるがいい。
●拳と刃
「ぬぅん……無粋な真似、をッ」
結構な距離を吹っ飛ばされておきながら、アルパカマッスルは砂煙の中で悠然と立ち上がり、またしてもマッスルポーズをとってみせた。
「なるほど、見事な筋肉だ」
仁科・恭介(観察する人・f14065)はじっくりと敵の筋肉を観察する。
「だが、カーフのカモシカが鳴いている。これは本物を見せないとだめだね」
呟きつつ、携帯食料を咀嚼する。その眼差しは、これまで以上の闘志に燃えていた。
肉体美誇示に執着する敵のテンションと、胃に放り込んだ食料が糧となり、恭介の全身もまたその筋肉を活性化させていく……
「さて、どっちの筋肉が素晴らしいか……勝負しようじゃないか」
恭介は刀を納め、真紅に変貌した瞳で、アルパカマッスルをひたと見つめた。呼吸を、ひとつ。
――次の瞬間、その身体は弾かれるように飛び出した。残像を残すほどの加速。
敵との距離はほんの一呼吸のうちに詰められ、シンプルな、しかし鎧をも砕く右ストレートがアルパカマッスルの左頬を抉る!
「ごふう!! ……ぐ、ぐぬぅぅぅぅん……お返しだ、ぜッ」
一撃にして意識を飛ばしかけながらも、アルパカマッスルは意地の右ストレートを打ち返した!
が、恭介は避けることなく甘んじてそれを受ける。それが礼儀作法というものだ。
左頬を襲う、頬骨を砕かんばかりの衝撃――!
恭介はしかし、怯むことなく笑う。
「良いパンチだね。じゃ、次は私だな」
さらに打ち返した拳は見事なシックスパックに深々と突き刺さった。つぶらな目を剥き、えずくアルパカ。
さながらボクシングの真剣試合を思わせる肉弾戦を、複雑に見つめる目線が一つ。
「それにしても……キマイラフューチャーのオブリビオンはその……なんとも言えぬ、面妖な」
叢雲・源次(炎獄機関・f14403)は慣れない状況に気後れを覚えつつも、冷静な眼差しで敵を観察する。
「しかし、容貌で圧倒出来るほど猟兵は甘くは無い。その肉体と精神、共に斬る」
(「敵の容貌からして、典型的なパワータイプ……なればこそ一撃が大きい筈……取る手段は、一つ」)
源次の纏う空気が変わった様子を察し、十分に時間は稼いだだろう、と恭介は小さく呟く。
「さて、そろそろかな」
「ぬぅんっ!」
同時に返されたアルパカマッスルの右ストレートが、恭介の身体を引きはがすように押し込んだ。
が、恭介が退いたその場には、いつの間にか源次が佇んでいる。
「どうした……かかってこないの、かッ」
ポージングを決めるアルパカマッスルには答えず、源次はじり……と絶妙の間合いを保ち、密かに力を溜めつつ敵の攻撃を誘う。
(「決断は済ませた……後はそれに賭ける」)
「ならば……こちらからゆくぞ――ッ!」
狙い通り、痺れを切らしたアルパカマッスルが動いた。十分に強化された拳が源次に襲い掛かる――!
「一つだけ言っておきたい事がある」
ぽつりと呟く源次。
「貴様の最大の敗因は、動物園などで待ち構えていたこと……水族館で他の怪人どもと合わせて襲ってくれば、勝機の一つもあっただろう」
次の瞬間、源次の身体は流水の如き滑らかな動きでアルパカマッスルの拳をすり抜けた。
「来世はホエール仮面にでもなるがいい」
素早い抜刀、白刃の一閃!
「その肉体を断つ……!!」
鋭い斬撃が、分厚い筋肉を真一文字に斬り裂いた――。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
アーサー・ツヴァイク
※飛び入りだがアドリブ共闘大歓迎
今度の相手はテメエか、筋肉野郎!
まずは大型バイク・ライドランに【騎乗】した状態で筋肉野郎に向かって突進。これ以上テレビウム君には近づけさせないぜ!
出来れば最初の突進で【吹き飛ばし】を狙いたいが…まあどっちでも次の手だ!
ライドランを槍形態に変えて…相手に向かって【エクスプローシブ・ドラゴンライド】だ!
こいつで木っ端微塵になればよし。まだ生きていたとしても、光の鎖で縛っちまえばもうポージングは出来ないだろうぜ!
龍ヶ崎・紅音
アドリブ・絡み歓迎
【POW】
えっと、あれを見て意識を失ったってことはないよね…?
とりあえず、ビユビユを守らなきゃ
焔【属性攻撃】を中心に
ポージングしている隙に足に対して【なぎ払い】で態勢を崩して、【力溜め】てからの自分の【怪力】に全力で込めた【鎧砕き】の一撃『グラウンドクラッシャー』でその肉の鎧を破壊するよ
もちろん、ホムラと一緒にビユビユを【武器受け】で【かばう】ことも忘れずにね
●バイクと焔
「ぬ、ぁ……さすがに堪える、ぜッ」
アルパカマッスルはよろめき、肩で息をしながら、小休止とばかりにポージングの種類を変えた。カチコチ無敵の鋼の筋肉へと変じようとした――次の瞬間。
突如動物園に轟いたのは、バイクのエンジン音、そして高らかな喝破!
「今度の相手はテメエか、筋肉野郎!」
大型バイク『ライドラン』に騎乗したアーサー・ツヴァイク(ドーンブレイカー・f03446)が敵前に飛び出した! 直進するバイクは、回転数を上げてお構いなしにアルパカマッスルへと突進する!
「これ以上テレビウム君には近づけさせないぜ!」
ドゴォ! っと激しい音を立てて吹き飛ばされるアルパカマッスル。
「ぬぇっ!? ……ぐ、ぬぅん……なかなかやる、なッ」
が、まるでめげることなく、立ち上がって即座にポージング。
その淡々と異様な姿に、龍ヶ崎・紅音(天真爛漫竜娘・f08944)は顔をひきつらせた。
「えっと、あれを見て意識を失ったってことはないよね……?」
敵の姿を見れば見るほど、気絶しても仕方がないという気になってくるが……事はそう単純ではないらしいことを、光に飽和したビウビウのテレビ画面が告げている。
「とりあえず、ビユビユ……じゃない、ビウビウを守らなきゃ」
気持ちを切り替え、性懲りもなくポージングしている敵の足元を、黒い焔で薙ぎ払う!
「……ぬぁっ!? あつ、あつつっ」
一拍遅れたようなリアクションで、たたらを踏み始めるアルパカマッスル。
紅音はすかさずその懐に駆け込んだ。
「はぁぁぁぁぁッ!!」
限界まで溜めた力を、武器に乗せて解き放つ!
「ぬぅっ、まずい!」
アルパカマッスルは咄嗟に、再度肉体を硬化させようとしたが、時すでに遅し。
紅音の怪力より繰り出される重くシンプルな一撃が、強化された肉の鎧を破壊する!
「がはぁ――っ! ……ぬ、ぬぅん、やってくれるぜ……」
大きくのけ反りながらも、アルパカマッスルは瞳をエネルギーに輝かせた。
はっと息を呑む紅音。
「――ホムラ!」
咄嗟に相棒の名を呼びながら、割り込ませた刃がつぶらな瞳のビームの半分を弾いた。
が、もう半分はビウビウへと直進し――着弾する直前、白銀の飛竜によって余さず防がれた。
紅音とホムラはビウビウを背に、アルパカマッスルを威圧する。
「あなたの攻撃は、あの子には届かせないよ!」
「さすがだな! 俺も負けてられないぜ……!」
次の手だ!と、アーサーはライドランでさらに疾駆する。
「【Select……DRIVE ACTION!】行くぜ、ライドラン!」
ライドランは光に溶け、瞬く間に槍の形へと変形していく……!
「……俺たちの一撃……受けてみやがれ!!」
バイクのスピードを乗せて放たれた槍が、敵を貫き、大爆発を巻き起こした――!
「ぬ、ぬぅぅぅん……身体が、重いんだ、ぜ……ッ」
光の鎖に絡みつかれながら、アルパカマッスルの肉体は爆散した。
●『システム・フラワーズ』
十五分ほど戦い続けていただろうか。
敵を撃破し、ビウビウの元に駆け寄った猟兵たちの目の前で、画面の光が唐突にやんだ。
「あれ……僕……」
そこには鍵の映像もすでになく、ビウビウの愛らしい素顔がぱちくりと目を瞬いていた。
と同時に、どこからともなく機械音声めいた声が辺りに響き渡った。
動物たちの檻や小屋、売店の建物など、まるで周囲の建造物が口をきいたかのような、奇妙な響き。
「システム・フラワーズより緊急救援要請」
「全自動物資供給機構『システム・フラワーズ』に、侵入者あり」
「テレビウム・ロックの解除数が多ければ多いほど、開放されるメンテナンスルートは増加する。至急の救援を請う」
端的なアナウンスが終わると、辺りはあっけなく静まり返った。
どうやら、この事件にはまだまだ裏がありそうだ……。
「なんか……よくわからないけど大変そう、ですね」
ビウビウは困ったように首を傾げつつ、猟兵たちを労った。
「水族館はしばらくいいやって感じですけど……でも結局、またいつか行きたくなっちゃうんだと思います。海の生き物が好きだって気持ちはまだ残ってるから。……皆さんが守ってくれたおかげです、本当にありがとうございました!」
ビウビウは丁寧に頭を下げたのち、やさしくはにかんだ。
かくて小さなテレビウムに笑顔で見送られ、猟兵たちは新たな事件を求めて旅立つのであった。
大成功
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