ラン!ラン!!ラン!!!
●破られる平穏
ある日。ある場所のキマイラフューチャー。人類が滅んだ?世界。何があろうと食料は沢山あり、皆がめいめい楽しくアーティスト活動をして過ごす世界。
最近はオブリビオンやら居るけれど、それでもなお、「ヒーロー達」がなんやかんやしてくれて、だからこそ一般的なテレビウムの彼も、今日はどんな廃材アートを作ろうかとゴミの山の前で能天気な思案に暮れているところだった。そこに僅かに刺す違和感。
「あれぇ?」
顔が、何か何時もと違う?自分の顔は自分で見れない。だからこそ、近くにあった鏡に自分の顔を写す。
「・・・・・・なにこれなにこれー!!!!!」
平和な世界、だからこそ刺激にも飢えている。なんと、なんと自分の顔に鍵のような映像が浮かんでるではないか!!!
これは楽しい!今までになかった事だ!自分の事なのに自分の事が分からない。さて、この驚きを、まずは誰に話してやろう?ワクワクしながら辺りを見回せば、わらわらと溢れかえるのはイソギンチャクの怪人だった。
「どうしてどうしてー!?」
オブリビオンに襲われる理由なんてない・・・、どうにか逃げようとも多勢に無勢。憐れ、ただのテレビウムは怪人の群れに捕まるのであった。
●鍵を守れ
「という事があるらしいの」
扇子をぴしゃりと閉じて、アイリ・ガング―ルはグリモアベースで君たちに笑いかけた。
「実はキマイラフューチャーでの、今テレビウム達の顔に鍵のような画像が浮かび上がる予知が発生しておる。同時多発的にの。勿論すべてのテレビウムに画像が浮かび上がっているわけではないようじゃ。だが、一つ確かな事として、鍵の浮かび上がったテレビウムは把握している限り、必ずオブリビオンの襲撃を受けるという予知が出ておるのじゃ」
だからそれを阻止して欲しい、との事。
「みどもが予知したテレビウムの所へ送るから阻止頼むぞ。相手はイソギンチャク怪人じゃ。触手を振り回してきたり、体も伸縮性と弾力性に長けておる。麻痺毒も飛ばしてくるようじゃ。一体一体は弱いが数が多い。なおかつテレビウムも防衛する必要があるからの。努々気を付けるのじゃ」
そしてもう一つ、とアイリは補足する。
「で、防衛してもらったら次は謎の解明じゃの。どうして鍵の映像が浮かび上がったのか、探ってみて欲しい。やり方は任せるからの。同時多発的な予知じゃ。大きな事件に繋がる可能性もある。くれぐれも、頼んだぞ」
そういってアイリは頭を下げた。
みども
みどもです。よろしくお願いします。リプレイは随時お待ちしております。テレビウムのヒーローになりましょう!
第1章 集団戦
『イソギンチャク怪人』
|
POW : テンタクル・テンペスト
予め【触手を振り回しておく】事で、その時間に応じて戦闘力を増強する。ただし動きが見破られやすくなる為当てにくい。
SPD : ウネウネ・アネモネ
自身の肉体を【ウネウネモード】に変え、レベルmまで伸びる強い伸縮性と、任意の速度で戻る弾力性を付与する。
WIZ : ポイゾナス・ポリプ
【頭部】から【毒針のついた触手】を放ち、【麻痺毒】により対象の動きを一時的に封じる。
イラスト:伊藤あいはち
👑7
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴🔴
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種別『集団戦』のルール
記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
クリスティーヌ・エスポワール
……テレビウムに鍵?
あの種族自体、よく分かんないけど、その彼らに鍵が浮かんで、それをオブリビオンが狙うってことは、鍵自体に価値があるの?
そもそも、何でテレビウム……ああもう、追いついちゃったじゃない!
仕方ない、考察は後にするわ!
「さっさと倒れて、私に考察の時間をちょうだい!」
UC【始まりの言葉は鎖となる】で周囲の空間をワイヤーフレームに上書き、「鎖」で怪人に対して【先制攻撃】【2回攻撃】で一気に叩き据えに行くわ!
「余計なテクスチャがないから、体が軽い……!」
強化後は『エギュイーユ』の取り回しの良さを生かして【時間稼ぎ】【目潰し】で怪人の動きを止め、他の猟兵をサポート
「よし、決めちゃって!」
「どうしてどうしてー!?」
「そんなの私が知りたいわよ!」
雲霞の如くに押し寄せてくるイソギンチャク星人を前にしたテレビウムの声に、しかし応える声が一つ、確かにあった。
まずテレビウムを救うために彼の前にまず現れたのはクリスティーヌ・エスポワール。しかし彼女のには一つ不満があった。
「ああもう!!考察する時間がないじゃないのよぉ!!!」
テレビウムとかいう訳の分からぬ種族に浮かんだ鍵。それを狙うオブリビオン。つまりそれはテレビウムに浮かんだ鍵自体に価値があるという事?そもそもが何でテレビウムに・・・?そんな思考も、テレビウムの前に降り立った今はいったん中断。
「考察の時間が、欲しいのよ!」
何せオブリビオン、イソギンチャク星人、あまりにも数が多い。
さらに辺りは瓦礫も多い。どこから出てくるか分かったものじゃない。
「まずは余計なものを取り除かないと・・・」
ある程度自前のサイコガン、《エギュイーユ》で撃ち払おうともやはり瓦礫が車線の邪魔をする。故に取り出すは緑の01記号で構成された鎖。
「おお!お姉ちゃんまさかヒーロー!?凄い凄い!」
「そういうのはヒーローズアースでやって頂戴!そうだけれども!」
事態を飲み込み切れてないないテレビウムが、それでもクリスティーヌの取り出したそれを見て歓声を上げる。ヒーローじゃなくて猟兵、訂正したくともする暇もない。
「さぁ!電脳世界のはじまりの言葉、0と1……世界を支える言葉の力、受けなさい!」
言葉と共に01の鎖を周囲辺り構わず振るっていく。ユーベルコード、《始まりの言葉は鎖となる/オリジヌ・シェーヌ》だ。幸いまだまだ距離はある。だからこそ【先制攻撃】出来ており、攻撃の手数も多く取れている。だからこそまずは向かって来るイソギンチャク星人の群れを、その麻痺毒の針を持った触手の群れごと、01の鎖で薙ぎ払えた。
そうして眼前のイソギンチャク星人を薙ぎ払った後には、01ワイヤーフレームで構成された世界が広がる。
「よし、世界が簡単になった。テクスチャ少ないと処理が楽でいいわ」
「うおー!!!なんかインスピレーション浮かぶ―!」
「本当に能天気ね・・・!」
とりあえず薙ぎ払った。周囲もワイヤーフレームに変換したから瓦礫のような遮蔽も意味を成さない。
だが、それでもまだこの場を脱するには足りない。
薙ぎ払った先鋒を乗り越え、後から後から毒の触手が本体が、被害を気にせず突っ込んでくる。
自分に有利な場所を構築できたからこそ、エギュイーユによる【目潰し】と【時間稼ぎ】は確かに成功している。だからまだ四面楚歌の状況であってもまだ、持ちこたえている。しかしあくまで時間稼ぎだ。だからこそ、
「はやく…!来なさいよ。私が抑えきれなくなる前に・・・!」
願った。あと、考察する時間も結構、望んだ。
成功
🔵🔵🔴
黒川・闇慈
「ふうむ、鍵……鍵ですか。なんとも意味深ですねえ。クックック」
【行動】
wizで対抗です。
何はともあれ、狙われたテレビウムを守らねばなりませんか。
身を挺して庇うようなフィジカルは私にはありませんし、ひたすら射撃戦で迎撃するといたしましょう。
高速詠唱、属性攻撃の技能を活用し、氷獄槍軍を使用します。
テレビウムに近付くオブリビオンを優先的に狙いつつ、とにかく槍の物量で撃って撃って撃ちまくるといたしましょう。
「一体何の前触れなのか……興味深いことです。クックック」
【連携・組み合わせ・アドリブ歓迎】
「ふうむ、鍵……鍵ですか。なんとも意味深ですねえ。クックック」
次に降り立ったのは存在総てが意味深な男、黒川・闇慈だ。なるほど。先に降り立った猟兵の活躍のお蔭だろう。まだまだ敵は遠くに居る。
その事実に少し、息を吐く。そもそもが身を挺して庇うようなフィジカルはない。
「これは楽だ。鴨を撃てばよいのですから」
なるほどまだまだ敵は遠い。しかし相手の物量もさるもの。まるで軍勢のよう。
「ならば私もここに軍を」
闇慈の瞳が一番近くまで来ているイソギンチャクの集団へと向かう。
「クックックッ・・・」
ツと、まるで指揮者のように右手が差し向けられ
「さぁ、参りましょうか。『其は底。地獄の第九圏。煉獄へと至る未知。嘆きの川』」
ゆったりとした口運び。されど紡がれる詠唱はまるで矢のように疾く。これこそが【高速詠唱】。
たとえその力が強かろうとも、『長々とした呪文を唱える際に大きな隙が出来る』という魔術の欠点を克服した闇慈の技術。事実朗々と唱えているのは闇慈の中だけで、現実では迫りくる毒触手よりも早く、その呪文(ことば)は完成する。
「『生あるものよ。裏切りを恐れるな。汝がそれを成したなら、死後の安息は氷獄にて約束される。体は凍え、魂の灯は消える永劫が、汝の罪を迎え入れるだろう」
言葉と共に生成されていく無数の魔方陣が、ついにイソギンチャク星人たちへ差し向けられた。
「『我は此処に言葉を紡ぎ、今ひとたび、ルチフェルがもたらす氷の恩寵をこの世に顕現せしめん』」
言葉は鋭く刃のようで、敵を見定める手は引き絞られた弓のようで。
「さぁ!『全ての命に冷たき慈悲を。一切全てを貫き駆けよ!!!』」
そして呪文(ことば)が成り、歪んだ現実は完成する。
「《氷獄槍軍/コキュートス・ファランクス》!!!!!!」
放たれるは氷出てきた槍の軍勢。それをマシンガンのように只管連射する。
放たれた触手は砕け、地面に縫い止められ、外れた槍はそこから地面を侵食し、凍った地面は怪人たちを縫い止めた。
縫い止められたならもはや逃げる術はなく、槍の軍勢にただ、その身を差し出すばかりだ。
「クックックッ・・・これはこれは、楽な仕事です」
とはいえ、自分が縫い止められる場所にも限度がある。事実、じりじりと槍の射程範囲外から敵は迫ってきている。だが大丈夫だろう。猟兵は、自分達だけではない。
「それにしても、一体何の前触れなのか……興味深いことです。クックック」
それを知るには、まずは此処を切り抜けねば。闇慈は再び、槍を打ち出す魔方陣へと魔力を込めた。
成功
🔵🔵🔴
月宮・ユイ
鍵が映るね…何か受信でもしているのかしら
まぁ、考察は後にして今はしっかりと護りましょう
”視力・暗視・聞き耳・第六感”
感覚強化、周辺環境や戦況、敵”見切り、情報収集。知識”の蓄積更新利用。
〔ステラ〕+〔ケイオス〕槍剣:剣とも使える程の刃持つ槍
”高速詠唱・早業・属性/範囲攻撃”<静寂雪原>
他の仲間を邪魔しない範囲で周辺一帯を”生命力吸収・吸血の呪詛”も込めた氷雪で覆い、雪による行動阻害や氷で”串刺し”
”怪力・念動力・誘導弾・2回攻撃”
槍剣の増殖複製を”投擲”、投擲後氷雪に追加変換。
喰らい吸った力は味方へ防御膜張り”耐性”強化付与や長期戦見越し回復へ
「雪の下で眠りなさい…」
連携アドリブ歓迎
「あら、これは嬉しい誤算ね。場が整ってるなんて」
クリスティーヌ・エスポワールが分かりやすくし、黒川 闇慈が氷により形作られた槍の軍勢でイソギンチャク星人を推しとどめている中、月宮・ユイはこの場に降り立った。
「おお!またヒーローが!!すげぇすげぇ!」
丁度テレビウムの傍らに降り立ったからだろう。彼がまた楽し気に話かけてくる。
イソギンチャク星人が大挙して現れた当初は、恐ろしい予感にただただ疑問の声を上げていた彼も、現れる『ヒーロー』達の活躍によって今は、歓迎すべき非日常としてそれを受け入れていた。
(また能天気な……)
知らず、溜息をつく。呆れるほかない。ちらと目を向けてみれば、確かに顔の部分に鍵の画像。
(何か受信でもしているのかしら。まぁ、考察は後にして今はしっかりと護りましょう。)
果たすべきことがある。ならばこの能天気さもまた、守るべきそれだろう。
しゃがみこみ、テレビウムと目線を合わせる。
「ちょっといいかしら?」
「何々?ヒーロー」
「おまじないよ」
体。命の場所が熱を持ち、少し気持ちが熱くなる。それを抑え、『おまじない』として頭を撫でやる。これで刻印の加護が僅かながら宿ったであろうと立ち上がり、前へと進む。鍵の謎を解き明かすにせよ、まずはこの場を切り抜ける必要があるからだ。
「ありがとうヒーロー!名前は?」
「ルナライトよ」
彼が余りにそう言うものだから、彼女も笑ってそう応えた。
「さぁ・・・行くわよ『マキナ』」
《イエス、マスター》
言葉と共にユイの電脳空間に一つの棺桶がが浮かび上がる。
「『ウロボロス』アクティブ」
《オーダー》
言葉と共に、宝珠が電脳より現実へと形を成し、ユイの傍で対空。敵対するものと周囲の情報を収集していく。
「なるほど、イソギンチャク怪人ね」
迫りくるは麻痺毒の触手群れ。まずはその先鋒をまるで舞うかのように優雅な身の振りこなしで避け、両手を広げる。
「おいで、『ステラ』、『ケイオス』ユニゾン」
《レディ》《私をご所望かしら?》
そうして現れるは武装を創生する星の如き核、星剣『ステラ』、そしてそれを喰らい、混ざり合うのはドラゴン、『ケイオス』だ。二者は混ざり、絡み合い、やがて優美な装飾を持つ槍剣となる。
「無駄よ」
もう『ウロボロス』は情報を収集し終えている。迫りくる触手の大軍を槍剣で撃ち払い、切り落とし、だがそのままでは迫りくる本体をどうしようもない。
(『氷獄槍軍/コキュートス・ファランクス』・・・か)
奇しくも似ている。既にダンスを踊っている相手がいるのなら、自分もそのテンポに合わせるべきだろう。
「『マキナ』、コキュートス、アイドリング。ユーハブ」
《アイハブ。保管庫接続正常。知覚・処理能力強化。》
従者は主人の求めに即座に応じた。瞬時、ユイの世界が広がる。
《無限連鎖増幅術式起動・・・・・・共有同調。対象・効果指定・・・・・・領域形勢》
電脳領域にてあらかじめ無限連鎖増幅(コピー&ペースト)された術式陣が現実を侵食してゆき、触手の群れを切り裂くユイの背後に無数に表れていく。
《生命力吸収・吸血用術式、【静寂雪原/コキュートス】、アイドリング。術式起動詞(スペル)の詠唱待機。ユーハブ》
青白く術式陣が輝く。今か今かと弦の引き絞られた弓のように。ためらう事はない。
「アイハブ。さぁ・・・『詩人の遺した詞(ことば)をここに。人よ、裏切りを恐れよ。ひとたびそれを成したのならば、主は汝を見限り、ルチフェルこそが汝を愛し、深淵へと迎え入れるであろう。」
呪文(ことば)が紡がれていく。声を発しているのはユイ一人の筈なのに、不思議と重なり聞こえるそれ。本来なら隙の大きい呪文の詠唱が高速でなされていく。
高速詠唱。今この場所で別の男が人の業にて成すそれを、ユイは電子精霊『マキナ』の力を借りて電脳の業にて成す。
「『深淵とは即ち氷獄。愛とは即ち氷の抱擁。永劫溶け得ぬそれが、汝の身を、心を無限に苛み、やがて魂は砕け散る』」
呪文を唱えながら槍剣を投てき。空中にて増殖複製。
「『裏切りを知らぬ無垢なる者よ、汝の魂が砕けぬよう、どうか裏切りに耳を貸さぬ事を。されど人は罪深きもの、いつか裏切りが汝の耳に囁くだろう』」
そうして投擲され、複製されたそれが氷へと属性変換され、氷の槍として矢のようにイソギンチャク怪人へと降りかかる。
「『故に私は願う。どうか無垢は無垢であれ。無垢が無垢で居られるのなら、世界よ、止まれ』」
そうして槍の軍勢が『弾着』。
「『それすら望めぬのなら、せめて……雪の下で暖かく眠りなさい……!』《静寂雪原:生命力吸収・吸血/コキュートス》ッ……!」
瞬間、『弾着』した場所が爆発し、雪の華が開いた。そうして辺り一面雪が降り注ぎながら、イソギンチャク怪人たちが凍って行く。
その様を見ながら、ユイはいつの間にか手に戻っていた槍剣を同じ要領で投てき、複製し投げていく。眼前のイソギンチャク怪人がみるみる凍って砕けてゆき、不思議と雪が降り積もる場所はその熱を受け取ったかのように暖かい。今戦場は、暖かい雪が降っていた。これこそがユイの術式。敵から奪った力を、味方の力へとすることの出来る静寂雪原。
(さて、とりあえず後の人への助けも済んだ。とりあえず、今は目の前のこいつらに集中しましょうか)
倒せども倒せども迫りくるイソギンチャク怪人。数を減らしているにも関わらず、徐々に徐々に、包囲網は狭まっていた。
成功
🔵🔵🔴
アウル・トールフォレスト
初めてのキマイラフューチャー…何もかもが目新しく映って…楽しそう…
あ、そうだよね。テレビウムさんを守らなきゃ。
頑張るよ!
【過剰成長・生物超過】が発動。だって、とっても楽しそうな場所だもの。
勝手に大きくもなるよ!
後は、どうにでも。振り回している間に近づいて、攻撃するよ。
爪も、拳も、わたしは強いよ!(ダッシュ、怪力、なぎ払い、衝撃波、範囲攻撃)
ウネウネしても、蔓を伸ばして捕まえてみる。
毒は気にしないよ。だって…とっても小さいんだもの。
大丈夫、ちゃんと守ってあげるからね。
だから安心して、ね…?(テレビウムに向かって)
(※好きにお任せします)
雨宮・いつき
お顔に鍵の模様…鍵といえば封じる物、あるいは解き放つ物の象徴ですよね
あまり良い兆候のようには思えませんが…いえ、これ以上考えるのは後回しにしましょう
まずはテレビウムの方を助けるのが先決です!
近くまで来ている敵を雷撃符による【マヒ攻撃】で動きを鈍らせ、
起爆符の攻撃による【衝撃波】で吹き飛ばしてまずは距離を稼ぎ、
派手にドンパチ鳴らして敵の注意をテレビウムから僕の方へと惹き付けます
そうしたら敵の集団の進路に雷の火線と爆風を放って動きを誘導
一箇所に沢山集めたところで封魔鉄鎖を放ち、まとめて捕まえます!
動きさえ止めれば【力を溜め】る余裕も生まれる
目一杯の霊力を込めた雷撃符でトドメです!(【全力魔法】)
兎乃・零時
アドリブ諸々歓迎
テレビの人に鍵かー、なんでだろうな?
俺様さっぱりだ…あ、あの怪人を倒せば良いんだな!!
よし行くぜパル!まずは助けてから考えよ!
■戦闘
テレビの人、早くこっちに…――ひぃ!?待って怪人数多いし動き速い気がするし早くほらー!
守りやすいよう【手を繋ぐ】風に呼びかけ近づきながら戦闘開始!
事前にパルはUCで呼んでおく
パルには【学習力・属性攻撃・誘導弾・オーラ防御・拠点防御】を駆使してもらって攻撃を主にしつつ俺様達の防衛も頼む感じ
俺様は【逃げ足・目立たない】でテレビの人を連れて頑張って避けつつ、
隙を見て一体ずつに【全力魔法】…魔力の塊をビームっぽいのを放つ!
【勇気・気合】を振り絞って頑張る!
シャイア・アルカミレーウス
突然現れた鍵、鍵といえば宝箱。つまり冒険の時間だね!故郷の危機でもあるし、勇者的に張り切っていこう!
(pow)
僕は守るのは得意だからテレビウムくんの護衛をしていようか。
【勇者の心得】で防御を強化して「盾受け・武器受け・かばう」でテレビウムくんをガードするよ!
「勇者の心得その4!勝って帰るまでが冒険、皆いのちをだいじに!」
攻撃できそうなら遠距離から魔法弾で他の猟兵くんを援護しよう!
「視力・一斉発射」で誤射しないように気を付けて大胆に弾幕を張ろう!
【連携・組み合わせ・アドリブ歓迎】
「わぁ!凄いや!キマイラフューチャーってこんなに天気がいいのに雪が降るんだね!しかも寒くないのに。それどころか触ると暖かくて元気が出て来るよ!!!アハハハハハ!楽しいなぁ!!!」
膠着した状況、テレビウムの前に大きな音を立てて蔦で覆われた一角のバイオモンスター、 アウル・トールフォレストが降り立った。
「ムムム、そんなことはない筈だよ。こんな日に雪が降るなんて・・・いや、これはもしかして何か原因が?お宝だけじゃない新たな冒険の気配!?勇者的に気になるよこれは!」
どこだどこだ。きょろきょろと辺りを見回すのはシャイア・アルカミレーウスだ。
「何を言ってるんですか、二人共。これ、先に来てた人のユーベルコードですよ。いくら何でもこんな場所でこんな状況に雪が降るわけないじゃないですか。けれど、このユーベルコード、確かに力が湧いてくる・・・それに雪も積もってる筈なのに、足を取られる事もない。それに僕の術式も通しやすい・・・不思議ですね」
そう言って地面の雪を触って確かめるのは雨宮・いつき。興味深そうに妖狐の耳がぴくぴくと震える。
「こんどはすげぇデカいヒーローに小さいヒーローにキマイラのヒーローかー。何々?何するの?」
「僕は妖狐ですよ!?」
すかさずいつきがツッコミを入れた。
「フフフー。何をするだってぇ?」
つっこみを入れるいつきの隣、楽しそうにテレビウムの言葉に抑えきれない喜びを言葉に乗せながら、アウルはおもむろに正面。他の猟兵達の活躍で押しとどめられているイソギンチャク怪人へと向かっていく。
ああ、楽しい。深い木々が取り囲む森の中で暮らしていたアウルにとって、今見渡す限りの全てが真新しかった。
色とりどりの積み重なった『大きな箱』によく分からないガラクタ。空に半透明の人が浮かんでいるかと思えば、そこかしこに色の塊が形を変え浮かんでいる。何より今まで行った事のあるUDCアースと似た街並みながら、こっちの方が色とりどりの色があって、それに空に沢山いろんなものが浮かんでいる。
それどころか雪が暖かい事もあるんて、今ここに来て初めて知った。いつきの言葉は大きな興味の前に完全にどこかに飛んでいた。
けれど守るべきテレビウムさんの事はちゃんと覚えていて、だからこそその言葉に応えた。
「何をするなんて、楽しんで守るに決まってるよ!」
既に安心しきったテレビウムのそれを守るという使命感と、未知へのワクワクが矛盾せずに心で混ざり合う。
そうなれば目の前のヘタれた花に手足が生えた変なのの群れも、興味が深い。何をしてくるんだろう?どうしよう?おや、触手を振り回し始めたぞ?
ワクワク、ワクワク。胸の鼓動が早くなる。そして鼓動の速さと共に、アウルの体もまた大きくなってゆく。
「たーのしー!!!」
《過剰成長・生物超過/バイオミック・オーバーロード》。それがアウルの持つユーベルコードだった。【楽しみ】の感情を爆発させて身体の大きさと戦闘能力を肥大化させるそれは、今やただでさえ大きかったアウルの体を倍程までにしていた。
そしてそれを迎え撃つはイソギンチャク怪人の《テンタクル・テンペスト》予め触手を振り回す事でより強く触手で打ち据えるその技は、隙が大きい故に避けられやすいものだった。
けれど大きくなったアウルには、そもそも避ける必要のないものだった。
「あはー」
喜びのまま、爪を、拳を振るう。それが打ち据える触手の群れとかち合えば、むしろ抵抗すら出来ずに触手の群れが押し負け、吹き飛ばされた。
「わたしは、強いよ!」
そうして触手を薙ぎ払い、イソギンチャク怪人そのものを薙ぎ払っていく。今まで波のように押し寄せていた怪人。そこに一つ、穴が空こうとしていた。
「ふぅ・・・よかった。ちゃんと役割を果たしてくれて」
均衡が崩れ、そこに穴が開く。イソギンチャク怪人の包囲網をいい加減抜ける必要がある。そうでないと鍵の謎も解き明かせない。
鍵だ。封じるものを解き放つものの象徴であるそれが、封じられたものが不吉なものでないとは限らないのだ。しかし何れにせよそれは今ここで悩むべき所ではない。かぶりを振り、背後に控えるテレビウムとシャイアへと振り向き、言葉を掛ける。
「それでは、僕が引きつけますから、後はお願いしますね」
そう言って、いつきが進み出ていく。目指す場所はアウルの進んで空いた穴。それを塞ぎつつこちらに向かって来ようとする怪人の一団に、
「させませんよ」
電撃符を叩き込んだ。
「うんうん!任されよ!いつきちゃん!勇者にお任せ!・・・よし、テレビウムちゃん!」
「あれあれ?どったの?」
勇者の声をこてん、と首を傾げるテレビウム。その愛らしさに頬を緩めながら、シャイアはテレビウムの画面に映る鍵を見た。
「君に鍵が映った。鍵があるなら宝箱もある!宝箱があるなら探しにいかないと。勇者的にね!つまりは冒険さ!どうだい?一緒に冒険、してくれないかい?」
そう言って微笑みかける。
「やた!冒険!!・・・でも」
冒険、その言葉に一瞬楽し気な声を上げたテレビウムはしかし、イソギンチャク怪人の群れを見て俯いた。そう、冒険の為にはこの場所を離れなければならない。 それはつまり、イソギンチャク怪人の群れを突破する必要があるという事で。
一般人であるテレビウムにとって、オブリビオンの群れに突っ込んでいくのはちょっと、いや少し、うそうそかなり、とても、めちゃくちゃ怖い事だった。
「大丈夫だよテレビウムちゃん!僕が守るから!」
「でも・・・・・・ほんとに?」
勇者の自信に満ち溢れた声に、けれどまだテレビウムは俯いて。
「ほんとほんと。もしかして僕だけじゃ物足りないかい?キミは中々欲張りだね!でも大丈夫。キミを守るのは僕だけじゃない・・・そうだろ?」
そう言って背後にあるガラクタの山にシャミアが振り向けば。
「う・・・そう、そうだよ!言っておくけど別に2回目の依頼でいきなりこんな沢山の怪人に囲まれてビビってるわけじゃないからな!わけじゃないぞ!ただ単にちょっと出るタイミングが無かっただけなんだからな!」
そう言って虚勢を貼るかのように杖を握りしめながらガラクタの山の影から出てきたのは、兎乃零時だった。
万全の態勢を整える為に家族から送られた自立型全自動防御式神、紙兎パルは既に召喚され、横に控えている。
「ヒーロー・・・・・・震えてるぞ?寒いのか?」
「寒くなんてないやい!」
ギュッと杖を握る。まだ依頼に慣れていない兎乃にとって、オブリビオンの群れに突っ込んでいくのはちょっと、いや少し、うそうそかなり、怖い事だった。ならそもそも来なければいい。
けれどここに来たのは、怖いからと逃げれば、目指す所になんてたどり着けないから。
「ほら!行くぞ!テレビウム!」
だからそう、ギュッと杖を握った反対側の反対側の手を差し出す。
「・・・・・・テレビウムじゃないぞ。キャルだぞ」
そうしてテレビウムはめちゃくちゃ怖いけれども、かなり怖がってる男の子の手を握った。
「よし!それじゃあキャルちゃん!に零時ちゃん!行こう!」
大きな安心より、小さな勇気が心動かすときもある。その事実そのものに嬉しくなって、シャイアは元気よく手を上げた。
「『勇者の心得その4!勝って帰るまでが冒険、皆いのちをだいじに!』だよ!」
そうして勇者と少年とキャル御一行は、並んでイソギンチャク怪人の群れへ走った。
「動き出しましたね!」
雷撃符でイソギンチャク怪人の群れを痺れさせ、そして起爆符で吹き飛ばす事で、注意を引きつけると同時に、塞がれようとしたアウルが開いた道を維持するのがいつきの役割だった。
そして今、鍵たるテレビウムを連れてシャイアと零時が駆けてくる。ならば今こそ。
「いきますよ!」
そう言って地面に霊符を張り付ける。霊符から雪が積もった地面を辿り、敵の一軍。丁度アウルの真後ろまで、地面に術式陣を広げていく。
(やっぱり)
味方の援護の力なのだろう。この雪が積もる場所、普段の地面より圧倒的に術式の『通り』が良い。想定していたより広範囲まで術式陣を広げる事だ出来た。そうして広げ切った術式陣を前に、いつきは印を結び、
「封魔厄除、急々如律令!」
術式陣から鎖が飛び上がり、イソギンチャク怪人たちを縛ろうとする。もしその鎖が物理的なものならば、アウルの暴力を少しでも緩和するために、《ウネウネ・アネモネ》を使って伸縮性と弾力性を増した怪人たちを捕える事は叶わなかっただろう。
しかし、
「術式、解放……さあ、大人しく捕まってください!」
《金行・封魔鉄鎖/チェーンバインド》はユーベルコードによって生み出された超常の鎖だ。だからこそ、イソギンチャク怪人たちの動きも一時的に封じる事が出来る。
「気を付けてくださいね!」
とはいえ一時的なものだ。その隙を逃がさないように、鍵のテレビウム、キャルの一団が駆け抜けていく。
「いつきちゃんも!気を付けて!」
声をかけるのはシャイアだ。
「危なくなったら無理はしないでね!『勇者の心得その1!泣かないめげない諦めない!危なくなったらすたこら逃げる!!!』だよ!」
そう言いながらシャイアはいつきへと手を振ってイソギンチャク怪人の群れが割れて出来たアウルまでの道を駆けてゆく。
「それは勿論です・・・・・・よっ!」
魔鎖の領域拡大。拘束されているイソギンチャク怪人を乗り越えて襲い掛かろうとするイソギンチャク怪人もまた同じように拘束していく。
そうしてついに、道を切り開くアウルへと、3人はたどり着いた。ならば好機。魔鎖で拘束している間に貯めていた力を雷撃符に流し込み、
「これで終いです!!!!」
一気にイソギンチャク怪人の群れを吹き飛ばした。しかしそれでもなお、残りのイソギンチャク怪人の群れはテレビウムの方向へと向かっていく。
つまりそれは今しがたまで相対していたいつきへと背を向けるという事で。
「こうも入れ食いとは・・・でも僕を完全に無視してテレビウムの彼を追う・・・やはりこれだけ重要なら守らないと・・・!」
そうして出来上がるのはいつき視点からは追撃戦だ。背を向けているから入れ食い状態。雷撃符で吹き飛ばしているそしてこれまでの猟兵達の成果だろう。イソギンチャク怪人の群れの密度も、確かに減っていた。
「たのしー!」
「ひぃ!?楽しくないぞ!!!」
前方、ただただ楽し気にイソギンチャク怪人の群れを引き裂いて進むアウルとは裏腹に、零時はただただ必死だった。紙兎ロペが傍らに居てくれるから比較的影響はないだろうと今はテレビウムのキャルを抱え、後ろ手に迫り来るイソギンチャク怪人の群れの一体へ魔力の塊をビームっぽくして撃ち倒す。
「よ、よし!一体倒したぞ・・・!」
その傍らでロペが持ち前の拠点防衛能力と学習能力を生かして誘導弾で迫り来る触手の群れを撃退していた。
「ヒーローよりちっさいののほうが凄いぞ」
「う、煩いな守ってやってるのは俺様だぞ!?」
「アハハハ!元気なのは何よりさ!」
事態は進行していた。今現在、4人は矢のようにイソギンチャク怪人の群れを突き進んでいた。矢の先端たるアウルが突き進み、左右に紙兎ロペとシャイアが配置され追いすがるイソギンチャク怪人の群れを捌く。そして中央、キャルを抱えた零時が少しずつ敵を討ち倒していた。
敵の数は多い。未だにイソギンチャク怪人の触手の群れは襲い掛かってきて、捌くのにも一苦労だ。けれど確実に、その数は減っている。それに加えて、
「あ!!見えてきたよ!怪人の居ない所!」
背が3階建てのビルにも迫ろうというアウルが嬉しそうに声を上げる。そう、4人はイソギンチャク怪人の群れを突破しようとしていた。
「やっと!やっとかこん畜生!」
額に浮かんだ汗もぬぐわず、零時はテレビウムを抱え、ビームを打ち出し突っ走る。その様を横目で見て、シャイアは人知れず微笑んだ。
(これほどうれしい事もございませんわね)
そう、本当はこれだけの群れ、シャイアだって怖いのだ。まだまだ見習い勇者でしかない。けれど、男の子が勇気を見せたのだ。ここで怯えては
(勇者の名が廃りますもの!)
「よーし、あとちょっとだ!頑張ろう!【勇者の心得/ブレイブリー・デフォルト】!!!!」
声を上げ、『自分の望んだ勇者の姿』を思い描く。それは絵本の中の誰かであったり、臆病な男の子が手を差し伸ばす姿であったり。憧れは胸にある。それが胸にあるのなら、心と体はこんなにも燃え上がる・・・!
「さぁ来るといいよ!」
大きく振り回した触手の群れが迫り来る。それを盾で逸らし、ルーンソードで薙ぎ払い、その一切を零時まで届かせない。
そうしてアウルが進み、ロペとシャイアが守り、零時がキャルを抱えつつちょこちょこと打ち倒し、そしてついには・・・
「抜けたよっ!!!!!!!」
それまで一面イソギンチャク怪人の群れだった視界が一気に開ける。群れを抜けたのだ。
進むスピードも一気に上がり、走り抜ける。そうすれば見る見るうちに群れを引き離し、とりあえずは後方を警戒していたシャイアの視界にも怪人の姿が消えた。
「ゼッ・・・ゼッ・・・と、とりあえず逃げれたって事でいいのか?」
肩で息をしている零時が問いかける。
「うーん、そうかもしれないけどイソギンチャク怪人の追撃はあるだろうから、まだ気は抜けない・・・・・・」
シャイアがそう応えた瞬間、爆音。そして吹き飛んでいるイソギンチャク怪人達が見えた。
「かなと思ったけど大丈夫みたいだね。一端休憩しよう」
そうして一同は一端止まった。
「およ?」
「ん?どうしたんだよキャル」
何やら疑問の声を上げるキャルを見れば、テレビウムの顔に都市の地図が示され、そしてとある地点に鍵のマークが浮かび上がった。
「これは・・・・・・」
「お宝だね!」
神妙な顔をする零時にかぶせるようにシャイアが声を上げる。クエストの小目的はクリア。そして次のヒントが出されたのだ。ならば行かない理由はない。
「ここからまだそれなりに距離があるね。急ごう」
「なになに?今度はどこにいくのー?」
アウルの無邪気な問いかけに、シャイアは確信をもって答えた。
「お宝の場所さ!」
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
アオイ・ブルームーン
敵が目の前なら理由は二の次。大事なのはなにもしなければ理不尽に襲われるヒトが増えるってこと。……ダメね、見過ごす理由はない。
UC:スイッチスタンス・ルナティックデイズを発動。高機動で翻弄して【咄嗟の一撃】を【暗殺】技能で急所狙ってチープガンでありったけ叩き込んでやるわ。
麻痺毒とかとか、あんたの触手はウザいけど、触れなきゃなんも意味ないわね!
……にしても鍵ねぇ。コンピューターロック……パスワードとかいるのかしら
アステル・シキョウ
【pow対抗】
・キャラ視点
テレビウムに鍵の……どう言う事だ?
「俺様が知るかよ、まぁ丁度いいじゃねえか。俺様達はあいつら狙って現れるオブリビオンを狩ればよ」
……確かに対象のテレビウムを見つければ守れて敵を狩れて言うことなしだな。よし、行くか。
・行動
街中で鍵のテレビウムを探し、見つけ次第アイテムの【カースドライバー】とUC【変身-noctune-】で『仮面ファイターノクターン』に変身します。
その後は大鎌型の【呪具『ニエ』】を使い【なぎ払い】や【怪力】で怪人を蹴散らしていきます。
アドリブや絡み等はおまかせ致します。
―――それは、シャイアが爆発を見る少し前。
幾ら群れから抜け出そうともイソギンチャク怪人の群れはテレビウム、キャルの捜索の追走をあきらめたわけではない。当初よりその数を大幅に減らそうとも、群れを抜けられようとも、それでもなお追いすがる。
それは彼女に頼まれたから。彼女から諭されたから。今のこの世界を壊し、繁栄に至る為の道筋が、そのテレビウムに隠されていると知ったから。
だから追え。追え。追って捕えるのだ。怪人の群れはただ、欲望のままに走ってゆく。
「悪いが〈知らねぇけどよ〉」
「悪いけど」
そしてその二つの影と3つの声は、ちょうど狭路に入るその手間に現れた。
単なる『障害』だ。その影を飲み込もうとすれば、
「ニエ〈おうよ!〉」
「理不尽ね貴方達!」
黒き鎌が翻り、レールガンの閃光が走り、怪人達を吹き飛ばした。
「「〈通すわけにはいかない〈ねぇ〉な(わね1)」」
三つの声が唱和する。そしてその声に、怪人達は今までの方針を変えた。テレビウムの襲撃の前に、目の前の障害を排除する事にしたのだ。
今までも猟兵達の活躍によって怪人達は散々っぱらに打ちのめされて来た。
数は未だ多くとも、これ以上減らされてはかなわない。事ここに至って、損害は無視できるものではなく、だからこそイソギンチャク怪人達は、テレビウムに追いすがる事を一端中止し、まず目の前の『障害』を排除する事にした。
「そうだ。それでいい。テレビウムを追うにはここを通るしかない。〈いいねいいね!ボーナスタイムだ!狩には丁度いい〉」
金紅異色の瞳を持つ男、アステル・キキョウはじりじりと距離を詰めるイソギンチャク怪人達にも全く臆することなく、相棒たる大鎌でありその身に宿すもう一つの人格である『ニエ』と共に敵を睨みつける。
「そういう事。許せないわよね。理不尽に襲われる人がいるなんて」
それこそがアステルの隣に居る少女、月見山・葵がこの場に居る理由だった。それにしてもまさか世界を渡る事が出来るなんて。ヴィジランテどころの騒ぎではなかった。けれど少女が成すべきことは変わらない。
理不尽に立ち向かう、悪を倒すヒーローであるために。その祈りの為にここにいる。
「アステルさん、でいいのかしらね?私が攪乱するから、お願い」
「ああ、頼むよ〈へっ!精々俺たちの攻撃に巻き込まれないように気を付けるんだなぁ!〉やめろニエ」
そうしてそれぞれ、二対一組の男に少女が1人。自身が自身である証明を取り出す。未だに敵は警戒して近寄ってこない。
葵は手に月のタロットカードを持ち、アステルの腰にはいつの間にか特徴的なバックルを備えたベルト《カースドライバー》が巻かれていた。
「グレイ?」
『はい。葵様。どうか淑女らしく品位ある行いを』
少女にまとわりつく外套が応え、それに少女は笑いかける。
「さて、どうかしらね?《スイッチスタンス》」
掛け声と共に、握ったタロットが針となり、それを首に刺しこむ。
「月の瞬きはいつも気分次第。あなたの気分はルナティック!さあ、狂気の夜を始めましょう?」
言うが否や、葵の体にボディースーツがまとわりつき、そして各部に装甲が組み上がって行く。そう、月見山・葵は強化人間。そしてこの装いを纏ったならば、
「気分で光り輝いても、変わらぬ煌めきは其処にある。アオイ・ブルームーンが、理不尽を赦さないわ!」
そこにはヒーロー、アオイ・ブルームーンが居るのだ。
「行くわよ!《ルナティックデイズ》」
言うが否や高速軌道モードになったアオイは縦横無尽に怪人の間を駆け抜ける。 攻撃を受け流す為だろう。怪人達は高い弾力性と伸縮性を持った体にその身を変えていた。
「おあいにく様!」
そしてそれを逆手に取り、反動で怪人の間を飛び回る。もはや触手が捉えらえるスピードではなく、それどころか
「そこ!」
アオイのチープガンが怪人を撃ち貫き、確実に数を減らしていった。
アオイの変身と同時、アステルもまたその身を変えようとしていた。
「いくぞ〈おうよ!〉・・・変身〈トランス〉!!」
叫ぶと同時、眼前『ニエ』持って行き石突を地面に突き立てる。そうすればニエから黒々とした靄がアステルの体にまとわりつき、
《夜想!》
それを抑え込むかのようにアステルの体の周囲を赤いラインが体の右側から走り、
《幻想!》
同じく左手側からも赤いラインが走ってゆく。
《ノクターン!ノ・ク・ターン!!!!!!!》
赤いラインが走ってゆくのと並行して、アステルを包み込む黒々とした靄が凝固し、鎧武者のようにアステルを装甲する。
《moderato!!》
そしてその黒を抑えるかのように、鎧の各部に周囲に走った赤いラインがはめ込まれ、完成を知らせるかのように赤い複眼が光った。
これこそがアステルの戦闘形態。ニエの力を十全に使い、子供の頃に憧れた正義のヒーローであるための姿。
「〈ふん、仮面ファイターノクターン・・・・・・〉」
「俺様は俺様のやり方で正義を執行するぜ!!!〈俺達・・・だろ?〉」
一瞬の後、眼前の目の前に突き立った大鎌を手に取り、イソギンチャク怪人への群れへと向かっていった。
「ムン!」
ノクターンが鎌を振るえば敵は吹き飛び、
「喰らいなさい!」
ブルームーンが撃ち込めば敵は崩れて行った。
確実に数は減らしている。このままいけば遠からずここにいるすべての怪人が二人によって倒される事だろう。しかしそれでは
「〈ニエ!そう時間はかけていられないぞ!〉わぁってるっての!オラァ!!!」
大鎌を振るいながら苛立たし気にニエはこたえた。そう、あくまでこいつらは障害。本当は鍵の謎の解明なのだ。その鍵を求めての大規模な襲撃。
イソギンチャク怪人だけがテレビウムを狙ってるとするならばいいが、同時多発的に発生したテレビウムの異常に、多種多様な怪人が迫っているのだ。襲撃がこれだけとは限らない。ならば加勢するためにも時間はかけていられない。
「ブルームーン!面白いもの見せてやらぁ!〈その代わり時間を稼いでくれ!〉」
「分かった!!」
《まぁ!淑女を盾にして!なんと風上にも置けない方々!!》
ブルームーンとノクターン。今までほぼ同じ戦場に戦線を気付いていた二人が位置を変えた。ブルームーンが前に出て、ノクターンが後ろに下がる形だ。それを見て『グレイ』が非難の声を上げる。
「違うよグレイ」
しかしそれに否と答えたのはブルームーンだ。
「戦いの場に女も男もない・・・これは、任せてくれたんだ!」
その信頼が嬉しい。かつて理不尽に抗う力を持たなかった少女には。同じ理不尽に立ち向かう力を持つ者の信頼が嬉しかった。
だからそれに応える。
「いくよ!『ラビットハッチ!』」
単純に正面戦力が半分になったのだ。迫り来る圧も上がってる。だからこそそれをどうにかするとっておき。腰に添えつけられた携行式小型ミサイルポッドからミサイルを撃ち敵を吹き飛ばす。
そうしたなら混乱したところに突っ込んでいき、そして今までと同じように攪乱だ。もうこうなってしまえばノクターンに構う暇などなく、イソギンチャク怪人は麻痺毒のある触手を振り上げ、どうにかブルームーンを捕まえようと躍起になる。
「あんた達の触手はウザいけど、触れなきゃなんも意味ないわね!」
しかし高速起動モードのブルームーンを捕える事など出来はせず、触手は空しく空を切るばかりだ。
そうしてイソギンチャク怪人達は、致命的な隙を作り出した。
「カースドライバー!」
《エクスドライブ!》
ブルームーンが作り出してくれた隙を無為にしない為に、ノクターンは一端大鎌から手を放し、腰のカースドライバーに手を当てる。そうすれば赤いオーラが鎌にまとわりつき、また地面にもカースドライバーに刻印された紋章が浮かび上がる。
「いくぜ!裁きの時間だ!〈スリーカウント!!!〉」
半身になり、右足にエネルギーが収束していく。
《ワン!》
収束したのを見計らってノクターンが走り出す。
《ツー!!》
飛び上がり、ノクターン自身から放たれる実体が無い五線がイソギンチャク怪人達を捕える。
《スリー!!!》
「〈ブルームーン!離れろ!〉」
アステルの声に従い、離れる。入れ替わるように上空からイソギンチャク怪人達の元へ、右足を中心に赤黒いオーラを纏ったノクターンが急降下してきて、
《カデンツァ!》
「俺様達で、〈「幕引きの一撃をくれてやる!!!」〉」
着弾。ニエとアステルの声が響き渡り、大爆発を起こした。
そうして起った土煙が晴れれば、そこには倒れ伏すイソギンチャク怪人達と、ただ一人佇むノクターンが居た。
「これは凄いわね」
賛辞。ひとまず区切りだ。ブルームーンは僅かに肩の力を抜いた。
「へん!すげぇだろ俺様はよ!〈馬鹿言うなニエ。ブルームーンが引きつけたからだろう。そもそも、他の猟兵も数を減らしていたからこそだしな〉・・・へいへい」
「さて、とりあえずここは片付いたし、テレビウムの方に合流しましょう」
「〈そうだな。なにより〉」
2人して道の先を見やる。
「〈まだまだ障害はありそうだ〉」
不穏な騒がしい気配は消えていない。どうやら脅威は、イソギンチャク怪人だけではないようだった。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
第2章 集団戦
『ジョン・ドゥ・キャット』
|
POW : キャスパリーグの災禍
【凶事を呼び込む巨大な怪猫】に変化し、超攻撃力と超耐久力を得る。ただし理性を失い、速く動く物を無差別攻撃し続ける。
SPD : ボイオティアの眼
【額に、全てを見透かす大山猫の目を開眼して】対象の攻撃を予想し、回避する。
WIZ : ウルタールの猫葬列
【殺されて死んだ、無残な姿の猫たち】の霊を召喚する。これは【爪】や【牙】で攻撃する能力を持つ。
イラスト:ハレのちハレタ
👑7
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴
|
種別『集団戦』のルール
記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
「憎い・・・憎い・・・」
彼らは、憎しみで溢れていた。野良猫が悪戯に殺された。心なき主人に飢え死ぬまで餌を貰えなかった。車に轢かれた。バイクに惹かれた。衛生状態が悪くなるからと根絶やしにされた。
彼らは猫。勝手な都合で殺された猫。その成れの果て。どれでもあってどれでもない、〈ジョン・ドゥ・キャット/憎しみの仔猫〉。
そして憎しみは今、この場所で。姫に諭された彼らは見やる。逃げ去るテレビウムを。あれをどうにか捕まえれば、それはこの世界の亡びに繋がるのだからと。
さぁ憎い。憎いからこそ滅ぼそう。そこに理念も理屈も条理もなく。だって僕らの死にだって、理念も理屈も条理もありは、しなかったのだから。
―――――――――――――――――――――――――――――――――――――
2章はテレビウムを追っかけてくるジョン・ドゥキャットからの追撃を振りきるシナリオです。大事なのはスピード。早く駆け抜けてテレビウム、キャルの示した場所までたどり着け!!!
なので、特殊ルールとして、
【テレビウムと同行し守るプレイングの場合、SPDによる判定ないしユーベルコード使用に+判定】となります。速さ大事。
そういう感じでお願いします。
黒川・闇慈
「恨みを持った亡者というのは人だろうと動物だろうと厄介、ということですねえ。クックック」
【行動】
wizで対抗です。
さて、キャルさんにはいずれ追いつくとして、まずはオブリビオンの足止めと参りましょう。
高速詠唱、属性攻撃の技能を活用して風獄刃軍を使用します。ジョンドゥ・キャットを竜巻に巻き込んで動きを封じるといたしましょうか。
猫葬列の攻撃には激痛耐性、呪詛耐性、覚悟の技能をもって対抗しましょう。
「貴方の恨みはさぞ深いのでしょうが、残念ながら私には念仏を唱えることができませんので。こちらの呪文を進呈いたしましょう。クックック」
【連携・組み合わせ・アドリブ歓迎】
クリスティーヌ・エスポワール
ああ、また来た!
これは全部終わらせないと考察も解析もできないわね……
仕方ない、覚悟を決めるわ!
「マテリアライズ、バトル・インテリジェンス!」
ドローン装着!
戦闘パターンはカンフーを選択
自動操縦で上空に待機してる『De108E』にスキャンさせ、地形などの情報を【情報収集】
それを活かして、敵の攻撃を椅子やテーブル、ゴミ箱等で受け止め
向かってくるオブリビオンを、三角跳びやパイプでの大車輪などで【空中戦】【2回攻撃】を仕掛け攻撃
砂やらで【目潰し】等々、思いつく限りのカンフーアクションで守り抜くわ!
ボイオティアの瞳対策に、自分自身の攻撃を入れるのも忘れない!
「武器も使うのがカンフーよ!」(銃撃)
「恨みを持った亡者というのは人だろうと動物だろうと厄介、ということですねえ。クックック」
残るイソギンチャク怪人の残党も処理し、キャルを抱いて先に目的地へと向かった者達から遅れて、それを追うようにコツコツとゆったりとした歩みで歩く黒衣の男が1人。黒川・闇慈だ。
顎に手を当て、なにやら思い悩むように思案し1人、言葉を紡ぐ。
「とはいえ、ここまでの規模、存在を持つとは。これは即ち死霊術が霊的、魔的にも等価交換から逸脱しているという事では・・・?いえ、むしろ骸の海より力を取り出しているといった方が確実・・・?」
そうして思索の海に沈んでいる男には、だかこそ周囲から迫る影と、男を狙う爪には全く無頓着だった。
迫り来る影、ジョン・ドゥ・キャット。シャツに短パンをはいて二足で動く異形の猫。その憎しみの視線から放たれる殺意の爪。それが今。黒川の背を引き裂こうとして、
「《マテリアライズ、バトル・インテリジェンス!》」
甲高い音。《テクノドレス EspR-011》がその機能を十全に発揮して、硬化した袖が爪を弾いたのだ。そして闇慈へと向かった爪を弾いたクリスティーヌ・エスポワールは怒りの表情を露わに、傍らに立つ闇慈へと声を掛けた。
「私が考察も解析もする時間がないっていうのに何やっているのよ貴方は!!!」
「クックックッ。これはこれはエスポワールさん。本日はお日柄もよく」
「喧嘩売ってのかし・・・らっ!」
鋭い音。また爪を弾いた。
そう、周囲にはジョンドゥ・キャットの群れ。どうやらやはり、テレビウムを狙っての動きらしいが、キャット自体の特性として生ある者への恨みが狙いを分散させているらしい。本来テレビウムへ向かうはずの者たちも、こちらを狙て血走った眼を走らせている。
(憎い・・・憎い・・・)
猫たちの声なき声。それが唱和し、キャットだけではない、まるで幻影のように殺されて死んだ、無残な姿の猫たちも増えていく。【ウルタールの猫葬列】だ。
敵の数が増える。その様を上空に滞空させた早期警戒型銀河帝国戦闘機、《De108E デルタ・アイ》から情報として受け取ったエスポワールはさらに顔を厳しくさせる。
「増えたのだけれど」
「クックックッ。それはそれは。運が良い。その分だけ先に行く者たちの負担が減る」
「その分私の負担が増えるのだけれど!?」
そしてそのまま闇慈を掴んで遠く、地面が柔らかい場所へと投げ飛ばした。
「・・・おや?」
そして一瞬後、闇慈の居た場所を再び爪が空を切る。そのまま襲い掛かってきたキャットを蹴り倒し、今しがた闇慈を投げた場所に向かう。
「受け身くらい取れてるでしょうね」
相手は全てを見透かす【ボイオティアの眼】を使っているのだ。上空から情報収集してないと危なかった。それくらいこちらに悟らせずに攻撃を仕掛けてくる。
しかし全てを見透かすといっても、それで見透かす事が出来るのは猫の世界の範囲内だ。
天空より見下ろす目などは想像の範疇を越えており、だからこそデルタ・アイの情報に従ってドローンのカンフーモードで体を操作しているエスポワールの動きは、相手には見透かす事の出来ないものだった。
そして今しがた蹴り飛ばしたことが合図となったのだろう。キャットが一斉に襲い掛かってくる。それを避け、飛び越して進んでいく。
それでもなお、数の多さと動きの俊敏さでもって爪がこちらを捕えようとするなら、鉄パイプやゴミ箱を駆使してそれを受け止め、蹴り倒し、殴り飛ばす。
そうして少しして、大量のキャットを背に引き連れ、闇慈を投げた場所へ向かってみれば、
「クックックッ・・・痛覚への体制には自信があります」
尻もちをついた闇慈が居た。
「自信があります、じゃないわよ・・・!」
手をひっつかんで立たせ、仲間の方向へ合流しようと走り出す。
「エスポワールさん、私は肉体労働派ではないのだが」
走り、闇慈が一つ、抗議をした。
「なかろうが走りなさい!」
「仕方ありませんねぇ」
そして併走。エスポワールの仕事に一つ加わった。飛び、跳ね進み、ゴミ箱やパイプを使って自分の身を守る。そして闇慈へと爪が迫るものなら、
「カンフー!!!!!!」
叫びと共に銃声一つ。キャットの額を打ち抜いていた。
「カンフー・・・?」
「武器も使うのがカンフーだけど?」
有無を言わさない声だった。
「カンフー・・・いえ、それよりエスポワールさん。どうですか、上から見て。私達で引きつけは出来ていますか?」
その言葉にエスポワールは一瞬中空を見て
「ええ・・・とりあえず今私達はテレビウムを抱えた組みの方向に向かってる。で、ある程度距離があるからね。今現在あちらへ向かおうとしていたグループと、テレビウム組の後方の塊がこっちに引きつけられてるわ・・・あなたにお願いされた状態だけれど」
「クックックッ・・・。それは重畳。ありがとうございましたエスポワールさん。それでは本格的に足止め、参りましょうか。恨みがたとえ深かろうと、私には念仏など唱えられませんのでね」
一息。空気を肺へと送り、そうして闇慈は言葉を紡ぐ。
「『風よ、やがては万物を砂へと還す無慈悲なる鎌よ。今ひとたびこの地にてそのひと振りを我に授けよ』」
走りつつも言葉は鋭く、そして早く。エスポワールを除いた周囲に魔力の吹き溜まりが出来る。
「『汝は暴虐たる神性。御伽噺にて悪として語られし者。』」
そうして魔力の吹き溜まりが明確な意思を持って逆巻き、そしてそれが風を起こし、かまいたちを作らんとしていた。
「『悪たるものと、暴虐たる者とされた嘆きに狂い、叫ぶのだ』」
そしてついに、魔術の全容が姿を現す。かまいたちの群れ。死の刃。
「さぁ、『吹き荒れよ絶叫せし刃。命を逃さぬ致死の風。一切全てを切り刻め・・・!』」
呪文(ことば)が紡がれ、現実が捻じ曲がる。すなわち、
「《風獄刃軍/テンペスト・センチネル》・・・!」
轟音。何かを削り飛ばすような音が無数に重なり、砂埃が巻き上がる。
「クックックッ・・・お粗末様」
そうして砂埃が晴れた後には、もはや闇慈とエスポワールが残るのみだった」。
「どうですか?エスポワールさん」
「ええ・・・周囲一帯は殲滅完了。お疲れ様ね・・・ちょっと納得いかないけど」
脱力するような様も見たのだ。少しエスポワールは肩を落とした。それに頓着せず、闇慈は前を向く。
「ならば急ぎましょうか」
「そうね。この調子なら、目的地では合流できるでしょう。ルートを策定したわ。急ぐわよ」
そうして二人は走り出した。まだ鍵の秘密は明らかになっていない。ならばそこに、考察の余地はあるのだ。
成功
🔵🔵🔵🔵🔴🔴
アオイ・ブルームーン
※アドリブ、連携等歓迎です。
そんな眼をしたってっ……あんたね、理不尽に殺されたからってそっちに廻っちゃあダメだって解らないの!?
あの子(テレビウム)と同行するわ。万が一にでも手出しなんかさせないって!
グレイ、フルムーンで行く!【一斉発射】使うから弾薬の確保お願い!
ラビットハッチ展開!ミサイルで目眩ましをして……本命はムーンシャインの一斉射!
これを抜けてくる相手には携行式ガトリングガンでの【零距離射撃】を食らわせてやるわ。
――悪いけど今のあんた達は理不尽そのものよ。
シャイア・アルカミレーウス
ヌルヌルの次はモフモフの群れ!?あいにくだけど今はノーサンキューだよ!
(pow)
引き続きキャルちゃんの護衛だ!
「盾受け・武器受け・かばう」で守っていこう!
見たところ、かばったりする時に一番厄介なのは「ボイオティアの眼」だねこれは。だから対策を立てよう!
【トリニティ・エンハンス】で風の魔力を使って攻撃力を強化するよ!
風の魔力と「力溜め」を合わせて全力で翼を羽ばたいて、砂埃で「目潰し」攻撃をしよう!
羽ばたいた勢いのままキャルちゃんを連れて一気に引き離そう!
ふーはっはっは!勇者たるものとんずらする為の手はたくさん持っているものなのだよ!
【連携・組み合わせ・アドリブ歓迎】
月宮・ユイ
やりにくい相手…
執拗な追跡。相手にとって余程重要なのね
画像が変わる…今も何らかの影響は受けているキャルさんの安全確認等調査する為にも指定地点目指しましょう
安全性と移動力の確保を
<人型変異>
”学習力”にてこれまで各世界で”情報収集した知識”からも検索
キャルさんを背に乗せて移動できる大きさにサイズ変更可能な九尾の狐に変化。
<”念動/怪力・ダッシュ・ジャンプ・クライミング・地形の利用”
”オーラ防御”で防御力上げ、尻尾を付与能力で武器や盾とし”かばう”様に”武器/盾受け”
鞭の如く攻撃”衝撃波加え範囲攻撃のなぎ払いで吹き飛ばし、マヒ/気絶攻撃・生命力吸収の呪詛”も乗せ行動阻害狙う
連携アドリブ歓迎
アウル・トールフォレスト
お宝探し…!すっごい楽しみ!
でも今度は猫さん達が邪魔しに来るみたい…
急いでいかなきゃね!
前章での【過剰成長・生物超過】で巨大化したままに、
お宝の場所まで走るよ。凸凹な所でも関係なく飛んだり跳ねたりで急ぐ(ダッシュ、クライミング、野生の勘、地形の利用)
皆がいいなら、わたしの上に乗ると良いよ。
同時に【戴冠。百獣支配】も発動。
オブリビオンの子には、わたしの声はあまり聞かないみたいだけど…
足止めくらにはなると思うの。
邪魔をしないで…ね?(恐怖を与える、誘惑、動物と話す、動物使い)
それでも痛いことをしてくるなら、わたしも容赦しないから(怪力、踏みつけ、衝撃波、範囲攻撃)
(※好きにお任せします)
雨宮・いつき
ようやく皆さんに追いつけました…と思ったら、またしても追っ手ですね
しかもあれは化け猫の類でしょうか
数が多くて足も速い、おまけに渦巻く怨念の気配…相当しつこい手合いですよ、あれは
完全に包囲される前に素早く振り切りましょう
お顔の地図に示された場所へ向かうんですよね?
情報が少ない現状、謎を解く手掛かりがあるかもしれないなら行ってみる価値はあります
僕もキャルさんに同行しますよ
出来るだけ最短距離を走って…途中で道幅が狭くなっている経路を選びましょう
僕の術で道を流砂にして大穴を開けたり、返しの付いた巨大な岩壁で道を防いだり、
曲がり角に動体に反応して爆発する起爆符を仕掛けたりして追っ手を足止めします
兎乃・零時
アドリブ諸々歓迎
地図と鍵……お宝だな、これ…!
なんだろ、魔導書とかあんのかな?(わくわく
勿論キャルと一緒に行くとも!
【手を繋ぐ】とか抱えた方が速いんなら勿論そうするぜ
(手が届く範囲じゃないと俺様もパルも届かなくなっちまうかもだしな…!)
意地でもお前を守って見せるさ!
【ダッシュ・逃げ足】も忘れない
あの猫はっや!早いしなんかめっちゃにらんでない!?気のせい!?
追ってくる猫に追われない様に
紙兎のパルには【オーラ防御・拠点防御】で道を防いだり、【学習力・属性攻撃・誘導弾・生命力吸収】で足止めして貰う!
それと隙があったら俺様は【全力魔法】で魔力をどばーと出して牽制だ…!
【気合、勇気】捻りだしていくぜ…!
アレクシス・アルトマイア
皆さんのサポートを行っていきましょう。
スピードならばお任せくださいませ。
護衛のお仕事もまた従者の務め。
私が来たからには
キャルくん……キャルちゃん?に傷一つ、つけられるものとは思わないでください。
なんて、ウィンクでもして和ませたりしましょうか。
猫さん
ああ、猫さん。
いけません、いけませんよ
やり返すのは、やり返すのは、良いのですが…
復讐ならば、良いのですが。
条理がないのは、復讐ではありません
それは、遂げられない呪いです
それでは、憎しみが増すばかり
想いを果たせるときは来ない
【星に祈りを、夜に終りを】を用います
過去にすでに終わってしまって
救われることがないのなら
せめて祈りを込めて
その憎しみを殺しましょう
アステル・シキョウ
・キャラ視点
んで、皆行っちまったがどうすんだアステル。
「……ニエ、俺達はあのジョンとか言うのを追うぞ」
目的地目指した方が良いんじゃねぇのか?
「あのジョンって奴も目的地目指してるから問題は無いさ。それに……」
それに?
「何かを追いながら追われる立場って言うのは、物凄く不利な立ち位置なんだよ」
はっ面白ぇ!んじゃあ狩りと行くかぁ!!
・行動
引き続きノクターンに変身したまま
UCを使い、バイクで【運転】【ダッシュ】【追跡】でジョンを追走します
そして呪具『ニエ』で【なぎ払い】による攻撃
役割としてはジョンの足止め
ジョンが無視して進むならダメージを与え、こっちの相手をしてキャル達への追跡の手が止まるなら御の字
「うぉぉぉぉおおお!いい加減にしろよ!!」
すぐ横で甲高い音。鍵のテレビウム。キャルを抱えて走る兎乃・零時は抗議の叫びをあげた。
襲い掛かってきたキャットの爪を、紙兎パルが障壁を張って防いだのだ。
先ほどのイソギンチャク怪人。その襲撃を防いで地図が指示した場所へと進んでいけば、今度はジョン・ドゥ・キャットの襲撃だ。しかも何やら、
「めっちゃにらんでくるんだけれどこいつら!!!」
二足歩行に服を着て、やけに荒んだ猫の群れが襲い掛かってくる。幸い先ほどのように周囲360度を囲まている訳ではない。前に道はあって、左右から左右後方から無数に湧き出ているだけだ。
だから今も、
「あはー!!!楽しいけれど、痛い事をしてくるなら・・・容赦はしないよ!」
零時から右手側。少し離れた場所で、楽しいという感情を爆発させ、その背丈を大きくしたままのアウル・トールフォレストが、キャットの群れを踏みつけて吹き飛ばしていていた。額の瞳が総てを見透かそうとも関係ない力、そして大きさ。
もし仮に今キャットと同じ視点を得たなら、彼らの瞳には『叶わないから逃げるべきだ』と見えていたことを知るだろう。けれど憎しみが原動力の彼らに逃げるという選択肢はない。だからこそ当然の帰結として、森の主に吹き飛ばされていた。
またもう一方、アウルと逆側の横道からキャットの群れが出てくれば、
「はいどうぞ!」
すぐさまシャイア・アルカミレーウスがキャットの群れを引きつけ、盾で弾き飛ばす。
そうすれば弾き飛ばされた先、そこには零時の紙兎パルが生命吸収の術式を発動させて待ち構えており構えている。術式で打ち抜く準備は万端だ。
けれどそれは額の第三の目を開いたキャットたちも把握している事。このままでは空中で受け身を取られて避けられる。
だから勇者は一声、
「風よ!」
風の魔力をその小さな翼にため込んで全力で羽ばたき、大きな風を起こした。
そうすれば砂埃が巻き上がり、だからこそ砂が目に入ってキャットは第三の瞳すら閉じた。ならば当然の帰結として、
「「「「「「「「「「「「「「ムギャ!?」」」」」」」」」」」」」
横道から湧き出したキャットの群れはパルの術式の閃光を避ける事など出来ずに直撃、無力化された。
「はい塞ぎますよ」
そして軽い口調で巨大な岩が降ってきてその横道からそれ以上の侵入を防ぐ。雨宮・いつきの《土行・伊吹神楽/ブルーティッシュ・ヴァイパー》だ。
完璧な連携だった。ともすればパルと自分のそれよりも。
「どうしたレイジ?目にゴミが入ったのか?」
「泣いとらんわぁ!!!!」
八つ当たりにビームを放つ。こちらに追いすがるキャットの一団の内一体を迎え撃ち、群れから脱落させる。けれど当然まだまだ群れは追いすがってきて、だからこそ
「させませんよ!荒ぶる山神の力の断片……お見せ致しましょう!」
いつきが零時に近寄ってきて小石と起爆符を投げる。小石はキャットの目の前で一瞬にして巨石となり、其処に起爆符が張り付く。そして起爆符が爆発すれば、
「「「「「「「「「「「ミィ”!?」」」」」」」」」」」」
一瞬で簡易的な小岩の散弾が出来上がる。今しがた追いすがってきていた一団は先鋒がそれで撃破され、後続は岩の散弾に足止めされる。勢いがついていたからであろう。さながら玉突き事故の様相を呈していた。
「これで少しは後ろから追いすがってくる一団からの追跡には間隔が空くはずです。」
「・・・・・・えげつないな」
零時はちょっと引いた。
「な、なにを言いますか!あれは恐らく化け猫の類。おまけに渦巻く怨念の気配もするとなれば相当しつこい手合いですよ。これくらいしておかないと、足止めなんて出来はしません」
「確かに」
事実左右、アウルとシャイナが抑えている方向からは依然としてキャットが襲い掛かってきている。
それでも今ひと時、後方からの追手が止んでいるのは、少し精神的にも楽になる要素だった。零時は深く息を吐く。
「レイジ・・・キャル、重いか?」
「重くはないぞ!いやー!楽しみだなお宝!魔導書とかかなやっぱり!俺様ワクワクだ!!」
そうやって心を再び奮い立たせて走りだす。
「男の子ね」
いつのまにか横にいた少女が、いきなり話しかけてきた。
「うわぁ!?なんだお前!?!!?!?」
「どなたです!?」
気配を感じず、そこに忽然と現れたかのような少女に、いつきも厳しく誰何の声をあげる。
「あ!!ルナライト!」
警戒する二人をよそに、零時に抱えられたキャルは嬉しそうに声をあげた。
「ん?知ってるのかキャル?」
「うん。レイジ達より先に来て雪を降らせてくれたんだぞ」
つまりは猟兵。仲間だ。なるほど。自分たちはキャルを連れ出して移動したグループだから、先に来てイソギンチャク怪人を殲滅したのなら、顔を合わせるタイミングが無かったのだろうと理解した。
「そういう事。月宮・ユイよ」
「そうでしたか、すみません。雨宮いつきです。先ほどは雪にて援護、感謝いたします」
「ん」
一つ。頷くだけで答えた。
「なんにせよさらなる機動力の確保ね」
そしてユイがこう切り出した。
「まずはキャルさんの安全確認の為に目的地点につくまでが肝心でしょう・・・私が運ぶわ。キャルさん」
そういって零時が抱え上げているキャルに目を向ける。
「やだ。零時がいいぞ」
「・・・そう」
今度は零時へと目をやり
「ならあなた毎運ぶから乗って」
「俺様が何に乗れって言うんだよ?」
「私に」
「へやぁ!?」
これには会話の流れを見守っていたいつきもさすがに慌てた。
「いえいえ、その、幾らなんでも抱えるのは無理があるのでは?」
後方、道をせき止めた方からもぽつぽつと気配が増えている。そろそろ、再び後ろからの追跡も再開されるだろう。
「問題ないわ。『マキナ』」
〈イエス。マスター〉
電子音性が応え、電脳空間の情報が検索される。
〈共鳴・保管庫接続正常、能力強化。対象情報取得…全情報適用。レディ〉
「《人型変異/トランス》」
静かな声を一つ。すると瞬時に、ユイの姿かたちが立派な毛並みを持つ大きな九尾に早変わりした。ちょうど人ひとり、何かを抱えて乗り込めるような大きさだ。
「九尾ですか?まさかユイさん、狐になれるという事は、妖狐だったとは」
同族の気配が全くしなかった。里より出でてまだ少し。なるほど、耳と尻尾の無い妖狐が居る。世界は広い。いつきは深くうなずいた。
「違うわ。そういうユーベルコードよ」
「まさかそういうユーベルコードとは」
いつきはさらに深くうなずいた。
「これで分かったでしょう?乗りなさい」
そうして静かに零時へ声を掛ける。
「いや・・・でも」
それでも女の子なのだ。乗るのには躊躇する。
そうやって中央でなになやら押し問答している事に気付いたのだろう。左右からシャイアにアウルが近寄ってくる。
「おや、新し仲間かい!うんうん、それも冒険の醍醐味!」
とシャイアが嬉しそうに声をかけ、
「わー、狐さんだ。【よろしくね?】」
アウルも声を掛ける。
「ユイよ。よろしく」
二人の言葉にこともなげにそうユイが返せば、
「・・・うん!」
アウルの笑みがより一層濃くなった。
そして皆で走りながら、左右からの襲撃に対処しながら再びポジショニングの相談だ。
「なるほど。そういう事なら、みんなわたしの背中に乗ればいいよー」
事もなげにアウルはそういう。それが一番早いでしょ?蔦に塗れた森の主は、綺麗な声でそういった。
「いや、それは駄目だ」
即座に否定するのはシャイアだ。
「確かに皆を運んでくれるのは便利だ。護りやすいしね。けれど僕たちが背に乗った時、代わりに一番的になるのはアウルちゃんだ。勇者的にそれは、かっこ悪いな」
毅然とした態度。その言葉にアウルは、ただ気の抜けたように、嬉しそうに、そっかー、と答えた。
「そうそう、そういう事だよアウルちゃん。やっぱりかっこよくないとね!」
「ならあなた達は先ほどと変わらず、左右を対応してくれるのね?」
「そういう事だね!」
「がんばるよー」
言葉と共に二人共左右から襲い掛かる敵の対処に再び注力していく。そうして、いつきと零時。それにユイが残る。
「乗って」
「・・・分かったよ。ほら。キャル」
「おろ?」
そうして零時はキャルだけを乗せた。
「なんだなんだ?レイジはキャルが嫌いになったのか?」
「ち、違うぞ!ただ、キャルはそこに乗せてもらって俺様のかっこいい活躍を見るといい!!」
「パルより弱いのにか?」
「弱いのは余計だからな!?」
そう、たとえそうだとしても、女の子の背に乗るのはかっこ悪い。男の子は、そう思っただけだ。
「男の子だね」
ユイが微笑む。目的地への道筋は、半分を切っていた。
「まだ来るねー」
今度はかけっこ。そういう楽しみを旨にどうにかその大きさを維持して走っているアウルが、すこし辟易とした風に呟いた。
あれから少し時間がたち、段々と目的地は近付いている。キャルを九尾に変じたユイへと乗せた事で全体のスピードは確かに上がり、今は左右からの襲撃もなく、後方から来る散発的な襲撃のみになった。
とはいえ、完全に振り切れているわけではない。目的地には着々と近付いている。もうそろそろ振りきらないと、結局目的についた途端、キャットの群れに襲われる事になる。
「今現在出せる最大のスピードでこれなのよ。何か、無いのかしら?」
九尾の姿で走りながらユイが周囲の面子に声を掛ける。
「そうだね、僕としてはあるにはある。一時的にスピードを上げる事は可能だ」
「私は多分一瞬?かな。完全に足止め出来るよー」
シャイアとアウルがそれぞれ応える。
「あるんだったら早くやってくれよな!?」
零時が抗議の声をあげながらまた後ろから襲撃をかけて来たキャットの1体を打ちのめす。散発的な攻撃になってる現在、1体1体遠距離から攻撃できる零時の攻撃が、むしろメインになっていた。
「うーん、やりたいのはやまやまなんだけれど、問題はそれで本当に引き離しきれるか、って所なんだよね。だからアウルちゃんの方にも協力してもらうんだけれど・・・」
「やっぱりオブリビオンの子だからかな・・・私の声をあまり聞いてくれないみたいなの。だから、実際声を掛けてみてどれだけ足止めになるか・・・・・・」
「つまるところあと一手必要という事ですね」
二人の言葉にいつきは思案する。一手。例えばもっと皆の進みを早める事が出来るかもしくは、もっと確実に足止めが出来るような・・・・・・
「お困りのようですね?」
いつのまにか横にいた少女が、いきなり話しかけてきた。
「うわぁ!?またかよ!?」
零時がまたもや大げさすぎる位に驚き、少女へと杖を向ける。
「アレクさん!?」
驚きの声をあげたのはいつきだった。そう、彼は知っている。アレクシス・アルトマイア。銀髪に目隠しをした少女。
「はい、いつぞやのお鍋を食べた以来ですかね?」
そういって、アレクは微笑みかけた。
後発組だった彼女は、まず状況を確認した。そのうえでテレビウム組と合流する事が第一だとして、《星に祈りを、夜に終りを/ナイト・ウォーカー》を使用。第六感を全開にして、この場所までやって来たらしい。
「そして今はどうにかキャットを引き離す為にあと一手必要である・・・と。それならその一手、私が請け負いましょう」
「本当にできるのかこの人?」
いきなり現れた少女。それも二度目だ。零時が懐疑的な声をあげる。
「フフフ、まさか天丼になってしまうとは。その分は働きにて」
大丈夫ですよ、という風にキャルへとウィンク。
「小首かしげてどうしたんだヒーロー」
しかし、めかくしに、かくされてしまった!!!!
「あら」
フワリ、少しアレクの顔が赤くなった。
「さて」
遊びの時間はここまでだ、という風にアレクがキャットの集団へと顔を向ける。 そしてピクリ、何かに気付いたように顔を上げ、ふわりと微笑んだ。
「いいタイミングです。いきますよ皆さん」
めいめいがその声に頷き、アレクのカウントが始まった。
「スリー」
アウルが大きな息を吸った。いつきは油断なく後方を警戒している。
「ツー」
シャイアの翼が大きく羽ばたき、たっぷりの空気と、そして魔力が蓄えられる。
「ワン」
そしてユイが足に力を入れ、零時は杖をぎゅっと握りしめた。
「ゼロ」
言葉と同時、アレクの姿が一団から消えるのと、アウルの咆哮が響くのは同時だった。
「【邪魔をするな】」
それは聲にして百獣の主である証。黒き森の角冠によってもたらされる絶対命令権。
すなわちそれこそが【戴冠・百獣支配/ドミネーション・ビーストキング】。アレクの持つ獣への命令権。
通常であればその声を聞いた獣は須らく畏怖によってアレクの命じたままとなる・・・はずだった。けれど彼らはオブリビオン。元が獣であるが故に効力は発揮されているけれど、あくまで枷になる程度だ。
しかしそれで、十分だった。テレビウム達を追っていてスピードが上がっている状態でつんのめれば、
「「「「「ミ”ャー!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?」」」」」
つんのめった前方に押し込まれて、後方もまたつんのめる。急停止だ。
「やったよ!」
「そうですね。けど!」
嬉しそうなアウルの声に以前警戒するいつきの声が重なった。そう、これがもっとスピードが遅くて、そして追いかけてくる数も少ないのならよかったのだろう。 しかし現実として相応のスピードで走っていた一団の先頭が急停止し、後方がつんのめった結果として、
「ほらきたほらきたほらきたぞ・・・!」
零時が焦った声をあげる。そう、津波のようなものだ。止まった前方にスピードの乗った後方が押し上げられて、波のように空に打ち上げられ、むしろこちらへ覆いかぶさろうとする形となっていた。
「ハハハ!よしきた!生憎今は、もふもふの群れはノーサンキューだからね!」
言うが否や、シャイアが全力で翼をはためかせる。やっている事は先ほどと同じ、風の魔力を込めた羽ばたきだ。それを《トリニティ・エンハンス》で限界まで強化して、シャイアたちへの追い風を起こす。スピードがさらに速まり、覆いかぶさろうとする波の圏内から逃げ去ろうする。
「ふーはっはっは!勇者たるものとんずらする為の手はたくさん持っているものなのだよ!」
「まだトンずら出来てないぞぉ!!!」
スピードは上がっている。けれどまだ範囲内から逃げる事が出来たわけではない。零時は涙目になりながら必死こいて1体づつ打ち落としているし、、いつきもまた、小石を巨石にして迎撃していた。ユイは言葉すらなく只管距離を稼ごうと必死だ。だから、
「頼みますよ、アレクさん・・・!」
空の上の彼女へと、いつきは声をかけた。
「頼まれました」
上空、キャットたちが打ちあがった更に上。少女は其処にいた。《スカイウォーク》に銀糸、《ロストクレイドル》を利用しての曲芸のような飛び上がり。
そのまま体をひねり、空に背を向けて猫たちを見る。
(ああ、猫さん。それは、それはいけません)
瞬時、両手に二挺の拳銃が握られる。《フィア》と《スクリーム》。それを猫たちへと照準する。
(復讐ならば、良いのですが。条理がないのは、復讐ではありません。それでは憎しみが増すばかり。その憎しみを晴らすことが出来ないのなら、今ひとたび、それそのものを殺しましょう。眠りなさい)
「《閨への囁き/スウィートウィスパー》」
囁きが紡がれ、祈るように撃鉄は落ち、鎮魂の銃声が鳴り響いた。
(とかっこよく決めてはみたものの・・・・・・)
両手に持つ銃は依然、視界を埋め尽くす猫の波を打ち落としている。そしてテレビウムを逃がしている他の者たちも、波から逃れようと必死だ。けれどどうやら、予想より猫たちの数が多く、予想より猫たちのスピードが速かった。
このままだと、作戦は失敗。策に溺れてあわや猫の大軍に飲まれてしまう。そのような未来予測を一番状況の見える上空から落下しながら確認しつつ、けれどアレクは笑って見せた。
(さぁ、出番ですよ)
その絶望的な波を裂く者が、猫たちを割って迫っていた。
「おいおいおい!!マジで入れ食いじゃねぇかアステル!!〈だから言ったろう、ニエ〉」
イソギンチャク怪人の群れを殲滅して、仮面ファイターノクターンは〈riding【deathchaser】/ライディング・デスチェイサー〉にて相棒たる大鎌、ニエの一部を赤と黒で構成された鋭角的なモンスターバイクへと変形させ、それに乗り
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
第3章 ボス戦
『アンマリス・リアルハート』
|
POW : 歌は自信があるぞ、聞いていけ!
【わりと壊滅的な歌声】を放ち、自身からレベルm半径内の全員を高威力で無差別攻撃する。
SPD : ダンスは教養、出来て当然だ!
【躍りながら振り回す剣】が命中した対象を切断する。
WIZ : 私はちゃんとできてる!間違ってるのはそっちだ!
【現実をみないだだっ子モード】に変化し、超攻撃力と超耐久力を得る。ただし理性を失い、速く動く物を無差別攻撃し続ける。
イラスト:さとみ
👑7
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴🔴🔴🔴
|
種別『ボス戦』のルール
記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※このボスの宿敵主は
「💠アンノット・リアルハート」です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
【2章続き】
「おいおいおい!!マジで入れ食いじゃねぇかアステル!!〈だから言ったろう、ニエ〉」
イソギンチャク怪人の群れを殲滅して、仮面ファイターノクターンは〈riding【deathchaser】/ライディング・デスチェイサー〉にて相棒たる大鎌、ニエの一部を赤と黒で構成された鋭角的なモンスターバイクへと変形させ、それに乗り込み、背にアオイ・ブルームーンを乗せてジョン・ドゥ・キャットの群れを追いかけていた。
「〈何かを追って追われる立場は、不利なんだよ!〉」
アステルの言葉の通り、いざジョン・ドゥ・キャットの群れを補足。
後ろから前へ前へと大鎌を振り回しながら、憎しみの獣たちを刈り取って行く。前方へと注意を向けていたからだろう。面白いように刈り取れる。
薙ぎ払い、削り飛ばす。
「お前らもかつては無辜の、悲劇の魂だったんだろうがよ・・・」
ノクターンの鎌が縦横無尽に翻り、ニエが静かに口を開く。目の前のテレビウム達を追っていたジョン・ドゥ・キャットの群れの後方は大混乱だ。
「それでもオブリビオンとして蘇って人に害成す以上!もう罪人なんだよお前らはよぉ!なぁアステル!〈テンション上げるのは良いが急ぐぞ、ニエ〉」
目の前の群れに猛るニエを、アステルは冷静にいさめた。
「〈乗り心地はどうだ?ブルームーン〉」
そう、搭乗者はノクターン一人ではない。先ほど共に戦ったブルームーンもまた、搭乗していた。エネルギー推進式サブマシンガン、〈ムーンシャイン〉を辺り一面に打ち込みながらアステルの言葉にこたえる。
「そりゃ最悪よ!こらだけ周りに理不尽があるんだから!」
「そりゃ最高だなぁ!!!」
ニエの楽し気な言葉が返ってくる。群れ成す罪人にテンションをあげるノクターンとは裏腹に、ブルームーンの胸には悲しみと怒りが渦巻いていた。キャットへと照準を向ける度、目にするのは棄てられ、虐げられた者特有の濡れた瞳。そしてそれを憎悪が覆っている。
「あんたたちねぇ・・・もう手遅れなのよ!!!」
引き金を引く。これだけ周囲に群がっていれば相手が総てを見通す目を持っていようとどこかしらに弾は当たり、その度に猫が骸の海へと還って行く。
「そんな眼をしたって、理不尽に殺されたからってそっちに廻っちゃ、ダメだって分からなかったの!?」
それはブルームーンの救いたいものでもあったはずだ。傲慢だとは分かっている。けれどもしかすると自分が救えたかもしれないものたちの群れに、彼女は引き金を引いていた。
そうして二人してキャットを蹴散らしながら前々へと進んでいき、そろそろ先頭が見えてくる頃だろう。
そう思った瞬間、
「【邪魔をするな】」
言葉と共に先頭のキャットたちがつんのめり、爆発したかのように集団ごと波打った。
「お?おお?ありゃまた楽しいパーティーが始まってんじゃねぇか!もう乗るしかねぇぞ!〈分かってる!!!ブルームーン、掴まれ!!!〉」
そう言うとつんのめったキャットの群れを台にして、他のキャットたちと同様にブルームーンとノクターンを乗せたモンスターマシーンも飛び上がる。
上空、下を見てばこの「キャットの波」の前方、まだこの波に巻かれる位置に、テレビウム達が必死に逃げているのが見えた。
「おい!アステル!〈分かってる!!出来るか?ブルームーン!?〉」
「当たり前よ!どうにかこいつらより先に下に降りて!」
「いいぜ!ただ俺たちも飛び上がって影響で群れの中だ!ここを無理やり突破するんだから怪我はかく・・・・・・」
瞬間、銃声の多重奏が響く。見れば地面へと降りるルートだけ綺麗にキャットが骸の海へと還され、今この瞬間穴が出来ていた。
「んな!?」
「さぁさぁ早く。急いでください」
見ればいつの間にかノクターンのモンスターマシン、その最後尾に銀髪の少女、アレクがちょこんと座っていた。
「ああ!?アレクシスかよ〈久しぶりだな!〉」
見知った顔に対する喜びの声にアレクはフラフラと手を振る事で答え。
「さぁ、ニエアス。急いでください」
「わあってる!お前ら!俺様達から振り落とされるな!」
ノクターンの言葉と同時、モンスターマシンの爆音が響き、自分たちより下に位置するキャットを轢いて道の代わりにしていって一気にキャットの群れの中を抜け出す。そのままの勢いで地面へと驀進。
そしてブルームーンは中空でシートを蹴り、中へと踊り出した。
「かませ!出来るんだろ!!!〈頼んだぞブルームーン!!!〉」
仲間の言葉を受けて、地面を背にして空を見上げる。一面キャットたちであふれている。
「グレイ!!フルムーンで行く!」
〈了解。スイッチスタンス・フルムーンカーペンターズ〉
言葉と同時、腕、腰、肩、脚部等様々な場所に装備された小型のミサイルポットが展開。ミサイルを発射する。
爆散。中空に放り出されたキャットたちはもはや逃げる所の話ではない。
「まだまだぁ!!!」
ミサイルが打ち尽くされてなお、まだまだ脅威は去っていない。だからこそ、両手に持ったムーンシャインでの一斉掃射。骸の海へと還って行く。けれどまだ、それでもなお、もはや空から降りそそがんとするキャットの雨はやまない。
だからこそ、
「世界の気分はフルムーン。グレイ、次の弾薬を寄越しなさい!!!」
ユーベルコードによって複製された弾丸が自動装填される。一斉射。ニ斉射。三斉射。雨がやまないように銃弾もやまない!
「ああああああああああ!!!!!!!!!」
そうして打って打って打ち尽くして、地面にぶつかる直前、先に地面に着していたノクターンがモンスターマシンをクッションにして受け止める。
「・・・キャットは!?」
「やるじゃねぇかよ〈大丈夫だ〉」
見れば、雨は止んでいた。テレビウムと主に逃げていた一団もはるか先。ジョン・ドゥ・キャットの群れも崩壊していた。
ノクターンにブルームーン、それにアレクも含めて一息つく。
「とりあえずニエアス、行きましょう」
「ああ、そうだな〈もう終着点はすぐ先だ〉」
このバイクの性能をもってすれば追いつくのもすぐだろう。ノクターンは、一路キャルたちへと向かって、バイクを走らせた。
―――――――――――――――――――――――――――――――――――――
キュマイラフューチャーの都市のとある場所、君たちが付いたのはそこだった。
「あ・・・ああ!」
場所に着くなり、キャルのテレビが光だし、そうしてその場から動かなくなる。
待っていればいいのだろうか、一同がシアンに暮れていると、其処に現れる影が一つ。
「もう!何してくれるんだ貴様らは!」
黒いドレスを羽織った少女が1人。何やら非常に怒って君たちへと声をかけてくる。
「ジョン・ドゥ・キャットも壊滅してしまった・・・本当だったらここで、『亡国のお姫様の緊急配信!お姫様総てを手に入れる!?』に出演して猫要素で同接を稼ぐ切り札だったのに・・・!」
あの憎しみ濡れた二足歩行の猫を見て「猫可愛い」となるやつはそうはいない。けれどお姫様はそういう事に頓着する性格ではなかった。
「仕方がない!私だけで配信だ!・・・さぁ☆行くわよ☆!亡国のお姫様、アンマリス・リアルハート!!!今日の配信は・・・『お姫様、キュマイラヒューチャーを頂く!?』よ!」
そうしてオブリビオンが襲い掛かってくる。どうにか撃退して、君たちがここに誘われた意味を知るのだ!!!
クリスティーヌ・エスポワール
あー、その……(なにか痛々しいものを見る目)
ここまで、曲りなりともシリアスだったのに、最後がこれ?
やっぱりキマイラフューチャーなのね……
何でもいいから、さっさと倒してこの状況の考察と分析をさせてもらうわ!
「レギオン、密集陣形!あの勘違いお姫様には早急にご退場願うわよ!」
密集陣形を斜行気味に組ませ、一斉に【早業】で【先制攻撃】【2回攻撃】!
「亡国のお姫様なんて、大抵革命軍兵士に捕まって終わってるわ!街をほっつき歩いて動画配信してるなんて聞いたことないわよ!」
他猟兵と歩調を合わせつつ攻撃よ!
だだっ子モードになったら、10体だけ温存させたレギオンを【空中戦】【時間稼ぎ】【目潰し】で囮にするわ
「あー、その……(なにか痛々しいものを見る目)」
まずは痛ましい沈黙があった。
「ま、曲がりなりにもシリアスだったでしょう・・・・・・?」
そうだった筈なのだ。しかし最後の最後。テレビウムのキャルを襲おうと出て来た存在は、今何やらお姫様のような服を着て、カメラを三脚で立てて何やら一生懸命カメラに向かって話している。
その様を見て、流石にクリスティーヌ・エスポワールは肩を落とした。
とはいえこいつを排除しないかぎりは考察も分析も出来たものではない。再び顔を上げ、
「《エレクトロレギオン》!!」
言葉を発する。そうすればクリスティーヌの周囲に集まるのは集団戦法を得意とする戦闘機械兵器群だ。おのおのに小銃や高速振動剣などをコンパクトに装備している其れらを、斜行気味に密集じんけいで組ませ、
「進軍(アヘッド!!!)」
言葉と同時、いまだにカメラに向かってなにやら必死に話しているオブリビオン、アンマリス・リアルハートへと突っ込ませる。
「キャア☆怖い!怖いわぁ♡わたくしを狙って猟兵が襲い掛かってくるのよ・・・うう・・・可哀そうなわたくし・・・どうか応援のために・・・拡散して・・・それで視聴者数を、ちょうだい!!!」
キャルン☆と効果音でも飛び出しそうなぶりっ子ぶり。そのままくるくると回っていっちょ前に攻撃だけは避けなさる。
カチンと来た。
「亡国のお姫様なんて、大抵革命軍兵士に捕まって終わってるわ!」
予備を除いた全力攻撃。相手が配信だなんだろうがこっちは関係ない。これで決める・・・!
「なんで?なんで虐めるのっ?んぎゃー!!!!」
「そもそも間違ってるのよ貴方は!!街をほっつき歩いて動画配信してるなんて聞いたことないわよ!」
言ってやる。銃や刃がオブリビオンを刺し貫き、自称亡国の姫が倒れ伏す。
「どうよ!?」
とはいえ相手は消え去っていない。つまりはまだ、存在を保っている事。ならば、
「・・・くないもん」
ほら来た。クリスティーヌは警戒した。
「わたくし亡国のお姫様だもん!!!間違ってないもん!!!!祖国復興の為に配信してるだけだもん!!!!」
瞬間、倒れ伏したリアルハートの姿がぶれ、そして気付けばリアルハートを取り囲んでいた戦闘機械群が両断されている。
そしていつの間にかオブリビオンの手には、剣が握られていた。
(やっぱり・・・!)
こうなる事は予測が付いていた。だからこそ予備として自身の周囲に待機させていた戦闘兵器を、時間稼ぎとして使う。
「あっ!いたっ!痛い!目っ!目がっ!目にあたってる!」
空中からの目潰し。そもそも残っているのが予備でしかない為有効なダメージは与えられていない。けれども、隙は出来る。
「皆、今よ!」
本確定な開戦の狼煙が、その声で上がった。
成功
🔵🔵🔴
黒川・闇慈
「ここではオブリビオンまで動画配信勢なのですか……世も末ですねえ。クックック」
【行動】
wizで対抗です。
さて、せっかく動画を配信されてるようですし、ひとつ派手な爆炎で動画映えするような光景をお届けいたしましょうか。
属性攻撃、高速詠唱、全力魔法の技能を活用し炎獄砲軍を使用しオブリビオンを攻撃します。
炎!爆発!様々な映画やドラマで派手な演出に使われていますし、これは鉄板の演出ですよ。
え?爆炎と粉塵で何がなんだか分からない?おやおや、どうも火薬の量を間違えてしまったようですねえ(すっとぼけ)
【連携・組み合わせ・アドリブ歓迎】
アレクシス・アルトマイア
何という残念なお姫様でしょうか。
ええ、ええ、そういう方を影から支え、導いていくというのも、楽しそうではありますが…
どうやら必要なのは、お仕置きのようですね。
ダンスをご所望でしたら、お付き合い致しましょう。
【宵の華】で貴女にふさわしい踊りを、教えて差し上げましょう。
駄々っ子を上手にいなすことも、従者には求められてしまうのですね
ええ、ええ。私、そういうのも、とても得意です。
鋼糸で囮を素早く操ったり、短剣や武器を囮にしたり致しましょうか。
はい、とてもお上手ですよ。
そういえば、鍵を追ってきたのでしたね。
一体何が起こっているのでしょうか…
キャルくんの身体に問題はないか、少し気がかりですね。
「何という残念なお姫様でしょうか」
ただ目潰しをされ、闇雲に剣を振り回すリアルハートの背後。まるで初めからそこにいたかのように、気配無く銀髪の少女がいた。
少女、アレクシス・アルトマイアは静かにナイフをリアルハートの剣を持つ右手へと奔らせた。
「なによ!?」
しかし相手もさるもの。今の今まで目潰しされていたというのに、すぐさま反応してそれを防ぐ。
「お嬢様、一手ダンスのご教授をさせて頂こうかと」
「《宵の華/シャル・ウィ・ダンス》?」
目隠しをした少女は、そう口ずさんで姫を誘った。そして再びナイフが走る。四肢を切り裂く四連撃。当たればそのまま喉笛を一直線に切り裂く一撃を放つこの技を、しかし
「お姫様であるわたくしにダンスのご教授なんていらないわよ!」
しかしそれはまた、リアルハートの剣に防がれた。金属音が四連続で響き渡る。
「あらあら、ダンスのお誘いを無下に断るとは・・・」
口元で微笑んで見せ、ナイフのギアが上がる。
奇しくもお互いに銀の髪を持つ少女たちが翻す銀閃。撃ち合うそれがまるで音楽のように奏でられ、
「クックックッ。ここではオブリビオンまで動画配信勢なのですか……世も末ですねえ」
その銀閃の舞を見やる黒川・闇慈が呆れたように呟き、手に持つ携帯端末へと目を落とした。
「しかし流石はアレクシスさんですね。生放送にアレクシスさんが映ってから、視聴者数がうなぎのぼりですよ」
事実少女は目隠しをしているとはいえ、いや。しているからこそ美しかった。だからこそだろう。今、リアルハートのライブ配信者にはちゃくちゃくと視聴者が増えていた。
「え!?なんだと!?それは本当か?」
思わず素がでてリアルハートが闇慈に聞き返す。明らかな隙。
「お仕置きですよ!
ダンスの相手を見ないのなら、それはマナー違反だ。下から急角度でナイフできりあげようとするも、
「うるさいな!そんな事より視聴者だろうが!?」
喜びの力が勝ったらしい無理やり振り下ろした剣が迎撃。むしろ手に持つナイフを弾かれた。
「取った!」
「と思ったのなら残念。だだっ子のお相手は得意ですので」
そのまま後ろへと飛び、右手を翻す。すると弾き飛ばしたナイフが軌道を変え、リアルハートの顔面へとへと飛んでいく。見れば右手から鋼糸が伸び、ナイフの柄に結び付けられていた。
「ひゃ!?」
完全に不意打ちのそれを無理な体勢ながらなんとか避け、しかしだからこそさらに軌道を変えたナイフに結び付いた鋼糸、《ロストクレイドル》がリアルハート中心に円を描いて巻き付く事を避ける事が出来なかった。
「な!?これは、ほど、ほどけぇ!」
「なるほど。その男勝りな口調が地・・・と」
これはお仕置きですねぇ。ほっこりとアレクは笑う。
「そういう訳で闇慈さん、お願いします」
「くっくっくっ。アレクさんを主に持つ人は、苦労しますね」
それにただ微笑みで返された。それをしり目に闇慈もまた行動を開始する。
ちらりとリアルハートが設置したカメラに目をやる。
「さて、せっかく動画を配信されてるようですし、ひとつ派手な爆炎で動画映えするような光景をお届けいたしましょうか」
そうして広く両手を広げ、男は世界に謳い始める。
「『炎よあれ。それは生命と破壊の象徴』」
さて、どのように演出したものか。男は思案する。眼前、アレクの手によって縛られて逃げられ亡くなっているリアルハートはただじたばたと暴れてどうにか拘束から逃れようとしていた。
「『炎は熱を生み出し、熱は鼓動を生み出す。さりとて過ぎれば灰へと還らん』」
リアルハートの周囲に魔方陣が発生し、それぞれが照準を彼女へとむけて行った。依然として動画視聴者数はうなぎのぼりだ。
動画配信サイトには『おお!ついに自称お姫様芸人が芸人の自覚を持ったぞ!』『だからって爆発魔法チャレンジは流石に草wwwww』等々、暖かいコメントにもあふれていた。
一方のリアルハートはもう全力で抜け出そうと必死。だが今この一瞬で抜け出せるような甘い拘束をアレクが赦しはしなかった。
「いやはや、なんとも。いまこの瞬間が一番人気とは皮肉な者です・・・『そして今この場。戦場にては炎よ汝は灰をもたらすものなり』」
嗤いながら、闇慈は高速で呪文を紡いでいく。全力を込めた炎の魔力が魔方陣へと充填されてゆく。
「『戦場を満たすは灼炎の王威よ、一切全て灰に帰せ』さぁ!最大級の演出をどうぞ!!!《炎獄砲軍/インフェルノ・アーティラリ》!!!!」
瞬間、魔方陣から炎が中心にいるリアルハートへ向けて放たれ、大爆発が起きた。その余波で、当然の事としてカメラも破損し、生配信は強制終了していた。
「おやおや、これはどうも、火薬の量を間違えてしまったようですねえ」
すっとぼけた事を言いながら吹き飛ばされたリアルハートを見送る。まだ健在だが、着実にダメージは与えたのだから大丈夫だろう。仲間は多い。ひとまずは。自分たちのやるべき事はやったのだ。闇慈は一つ、肩を下ろした。
成功
🔵🔵🔵🔵🔴🔴
雨宮・いつき
総てを手に入れる、とは
口振りから察するにキャルさんに何が起こったのかを知っているようですね
…ノリの良さそうな性格に見えますし、「視聴者に分かりやすい配信をしてこそ一人前ですよ」といった具合に、
言葉巧みに事件の全容を話させるよう誘導してみましょう
情報を教えて頂けるなら感謝はしますが…それはそれ
怪人や化け猫をけしかけた狼藉を許すわけにはいきません
速く動く物を優先して狙うなら、走りながら起爆符を放ちこちらへ気を引きます
ダンスは教養、出来て当然…と仰いましたね
ならば一曲お相手願いましょうか、姫様
攻撃を舞踏の演出として取り込んで躱しながら、雷撃符の【マヒ攻撃】と稲荷符の【生命力吸収】で体力を削り取ります
アオイ・ブルームーン
【アドリブ、連携等大歓迎です】
ふざけないで。何してくれるはこっちの台詞よ! あの子たちだってほんとは……、あんたみたいな理不尽の塊みたいな女に渡すものなんか何にも無い!
高速機動は逆にまずい……? ナイフを使うわ、グレイ。被弾したらごめんね!
スイッチスタンス、クレッセントレイニーデイ……さっきの言葉は訂正しましょうオヒメサマ。輝かしい光の雨をくれてやるわ。あんたには勿体無いだろうけど、月光に散る姿は映えるわよ、きっとね!
「うっ・・・うっ・・・酷い。酷いぞ・・・」
プスプス所々煙を出しながら、リアルハートが四つん這いになりながらさめざめと涙を流していた。無理もない。うなぎのぼりだった視聴者数を稼いでいた配信は強制停止。そのうえで爆風に紛れてカメラも大破。踏んだり蹴ったりだった。
「それは仕方ありませんよ」
呆れたように声をかけるのは雨宮・いつきだ。和装に妖狐の少年は、ただただ優し気に声をかける。
「なにせそもそも、視聴者に分かりやすい配信を心がけていないと、人は振り返りませんよ」
「・・・わかりやすい?」
深くうなずく。
「ええ。『お姫様、キュマイラヒューチャーを頂く!?』なんて言ったって視聴者には伝わりません。だから本当だったら元々もっといた筈の視聴者がいなかったのです!」
力説。その言葉に衝撃を受けたのか、リアルハートの表情は驚愕だった。自称お姫様は騙されやすい。
「そ、そうだったのか!?」
「ええ!ですから、教えてください。何をするつもりだったのですか?」
「そ・・・・・・それは、テレビウムのロック解除でシステムに侵入して・・・ってぇ!何を言わせるんだ!!!」
気付いたのだろう。突然立ち上がり、いつの間にか右手に持っていたを振るってくる。
「っと!」
間一髪で避けるも、
「・・・!」
右腕が浅く切り裂かれていた。血が流れる。
「なるほど。どうやらお強いようだ」
そこかしこに怪我を負いながらもまだまだ健在。
「なら、一曲踊って頂きましょう」
剣が振るわれ、軽やかに避ける。そうして始まるのは舞だ。驚くほど静かなそれ。先ほどのアレクとリアルハートの舞はお互いに刃を持ち、それを打ち合わせていたが故に音楽が奏でられていた。
しかし今この時、刃を振るうのはリアルハートのみであるが故に、舞を彩るのはただ刃の振るわれる風切り音のみである。
(なるほど速い)
攻撃が通らない事に対して焦れているのだろう。リアルハートの刃を振るうスピードが上がって行く。
(いや、これは・・・)
《水行・夢想鸞舞/フェイクイリュージョン》、水が流れる如くに身を委ね、その流れに相手の動きすら取り込むというその舞の真骨頂を見せながら、いつきはブツブツとリアルハートが呟くのを効いた。
「うそだ・・・当たらないなんておかしい。おかしいもん。わたし間違ってないもん」
思わず微笑みが浮かぶ。なるほど、未だに有効打を与えられないという現実を見ない駄々っ子モードに入る事で攻撃力を増しているのか。これは、中々厄介な。
ならば仕方ない。駄々っ子には現実を見てもらおう。
「アオイさん!」
叫び、相手が刃を振るいきった一瞬、いつきは円の動きで近付きながら、相手の体に思いっきり張り手を叩き込んだ。手を放せばそこには雷撃符。いままで舞にて回避に徹していたいつきの、明確な攻撃だった。
しかし叩きつけるという動きそのものは水の流れを乱す事となる。振るいきった刃が戻ってきて、いつきの胴に叩きつけられんとする。
思いっきり倒れて回避するも、今度は迫り来る脚。思いっきり蹴り飛ばされる。
「きついです・・・ね!」
吹き飛ばされた先、どうにか受け身を取りながら、いつきは引きはがされる前に符の効果を発揮した。
「ギッ!」
生命力吸収の力を付与された電撃が走り、リアルハートの体が崩れ落ちる。
「さっきから聞いていれば・・・何してくれるだの私悪くないだの!あんたにくれてやるものなんか何もないのよ!!」
叫びながら突貫していくのはブルームーンだ。相手はいつきの作り出した隙を逃さず走り寄って行く。
「高機動は逆に迎撃されるとまずい。グレイ!ナイフを使うわ!」
(了解。スイッチスタンス・クレッセントレイニーデイ〉
ブルームーンの纏う意志ある外套が応え、ブルームーンは手に持つナイフ、〈クレッセントムーン〉を頭上に放り投げた。
「私の気分はクレッセント、光の雨を浴びなさい!」
言葉と共に宙へと放り投げたナイフが無数の光刃へと分裂。本体のナイフを再び手にキャッチし、光刃を放ち、自身もナイフで斬りかかる。
「やだ・・・うそだ。二度も同じ手に・・・同じ状況で。やだ!わたくし頑張ってるもん!頑張ってるなら、間違ってるのはそっちだもん!!!」
先ほどと同じにかかる自分。その【現実を直視しない】事が彼女に力を与えた。 力の入らない体を無理やり動かして光刃を打ち払い、
「はぁ!!!」
迫り来るブルームーンへと刺突。
「っ!」
両者の影が重なりあった。
「・・・ごめんグレイ。被弾した」
リアルハートの胸へとナイフを突き刺しながらブルームーンはこたえた。体をひねり、直撃は避けていたとしても、外套の一部は切り裂かれている。
致命傷だ。
「あ・・・ああ!いや、いやだ!いやだぁぁぁぁぁぁあああああああ!!!!!」
叫び。事ここにいたっては消滅の危機だ。現実を直視しない事で与えられる力は最大限。
ブルームーンを吹き飛ばし、当初の予定であるテレビウム、キャルの元へと走ってゆく。
「皆、頼むわよ!!」
受け身を取りながら、声を掛ける。理不尽に、奪わせるわけにはいかないのだ。
成功
🔵🔵🔵🔵🔴🔴
アウル・トールフォレスト
今度は光りだした…ここがお宝の場所?
けど、まだ邪魔する人がいるみたい。お姫様までいるなんて、やっぱりここは面白い場所だね
でも、キャルちゃんを虐めるなら容赦しないよ
言ったよね?わたし、守ってあげるって
【深緑、底知れぬ恐怖を育め】を発動
今まで以上に、高く、大きく…森はどこまでも広がっていく
小さなお姫様、押し潰してあげる…逃げちゃダメ…(恐怖を与える、力溜め、怪力、範囲攻撃、衝撃波)
攻撃には特に気にしないよ…ふふ…
羽虫でさえもう少しうるさいよ?(破魔、オーラ防御、呪詛耐性)
お姫様のおともだちも、楽しそうだけど…
やっぱり、ダメ
今は、キャルちゃんが大事だもの
だから、また今度…ね?
(※好きにお任せします)
月宮・ユイ
キャルさんの状態も心配ですが、先にこの危ないお姫様への対処が必要ね
まるで世界が手に入るとでも言いたげで…
やはり何かの封を開き手を出せる様にする為の鍵なのかしら?
[ステラ]浮遊する大盾複数創生
”念動力”で操り動けなくなっているキャルさん守れる立ち位置に。
”視力・聞き耳・第六感”
敵や戦場等の”情報収集。学習力基に知識”の蓄積更新、行動最適化。
”誘導弾・高速詠唱・早業・2回攻撃”<不死鳥>
敵喰らい味方癒す選別の炎を鳥に変え舞わせる
数が減れば追加し、増えれば合体して強化。時には囮としても使う。
例え散らされても”生命力吸収の呪詛”も宿した火の粉として残り、吸い上げた力で増殖再生する。
連携アドリブ歓迎
「来たねぇ。吹き飛ばれてたけど大丈夫かな、ブルームーンちゃん」
胸にナイフを突き刺されるという致命傷を負って完全に現実を見失ったリアルハートが突撃してくる。
それを目にして呑気な声をあげるのはアウル・トールフォレストだ。
「受け身も取れていたしこっちに声をかけて来た位だから大丈夫でしょう」
静かにそれに応対するのは月宮・ユイ。
「凄いね。小さなお姫様までいるなんて。面白い所だね、ここは」
けれど
「キャルちゃんを虐めるつもりなら、容赦はしないから。・・・・・・いくね、ユイちゃん」
頷き一つ。そしてアウルはリアルハートへと向かっていく。
「やだやだやだやだやだやだやだやだやぁぁぁぁぁぁ!!!!!!!!!!!」
現実を拒む駄々っ子の声。それはもはや物理的な圧力すら伴っており、その叫びにアウルは吹き飛ばされそうになる。
「すご・・・いね。まるで、台風が来たみたいだ」
これはいけない。これではいけない。
「これじゃぁ、今のわたしじゃ物足りない・・・よね」
そうして瞳が金に輝くや否や、アウルを包む布の隙間から蔦が広がゆき、そしてアウル自身もまた大きくなってゆく。
「あはははー。広がるよ。広がるんだー。森だから。わたしが森だから、たくさんたくさん。広がるの」
そこにいるのは黒き森の主。《深緑、底知れぬ恐怖を育め/スケアリーロード・フワワ》。その瞳は炎。その声は洪水。その爪は嵐。
地面を見ろ。大地を踏みしめている事に安堵せよ。そうしたなら仰ぎ見ろ。森の木々は貴様の頭上遙か高くまで伸びあがり、お前を包み込むのだ。さぁ恐怖しろ。 黒き王は、其処に居るのだ。
声が響く。自称お姫様の駄々っ子声。先ほどよりはるか巨大になったアウルはそれを受け止め、けれど
「羽虫でさえもう少しうるさいよ?」
もはや気にするものでもなかった。そして蔦の群れがお姫様へと殺到し、
「押し潰してあげる…逃げちゃダメ…」
その上からアウルが覆いかぶさった。
爆音。そして衝撃。一瞬、二瞬、そしてもっと。少しばかりの静寂が辺りを包む。
「あれ・・・押しつぶせてない?」
言葉と同時、アウル本体から少し離れて、けれど蔦の絡まり合った場所が切り裂かれて、リアルハートが飛び出してくる。
「あはは。運がいいねぇ」
でも逃がさないから、捕食者の笑みだ。
腕が振るわれ、それに蔦の海も追従する。
「・・・・・・!!!!!!!!!」
余裕なく、言葉なくただ黙々とリアルハートは腕を避け蔦を切り裂いていく。たとえ蔦を切ろうととも、後から後から生えてくるはずのそれを、驚くべき毎に、
「うそ!?切り裂いて行ってる!?」
まさかの事態に隙が出来た。そして蔦を切り裂き、一気にアウルに肉薄し、刃を突き立てようとするも、
「マキナ」
〈イエス〉
瞬間、星剣『ステラ』によって複製創出された大盾がアウルとリアルハートの両者を分かち、剣を防いだ。
「尋常じゃない生命力ね。いえ・・・ユーベルコードとこの危機的な状況がかみ合い過ぎているのか・・・」
『ウロボロス』に収集させた情報がそれを指し示す。これが防衛戦じゃないならいくらでもやりようはある。逃げて消耗を待って終わりだ。しかし今は、テレビウムのキャルを守っているのだ。自分たちは逃げられず、そしてリアルハートはとりあえず突破してキャルの所までたどり着ければいい。厄介だった。
「それにしても尋常じゃない位の必死さに世界を手に入れるって言葉。やはり何かの封を開くための鍵なのかしら?」
疑問は尽きない。されど今は、
「アウル、熱くは無いから安心しなさい。燃えないから・・・フェニックス全行程略。緊急稼働」
〈共鳴・保管庫接続正常、知覚・処理能力強化。無限連環具現化術式起動・・・〉
時間は取って入れられない。
対象を見据え、ユイの背後に魔方陣が多重起動する。
〈概念制御、効果・対象指定、具現〉
「・・・舞え」
マキナの言葉を以て、浄化の炎が鳥の形を取って、アウルとリアルハートへ襲い掛かる。
「わわわっ!?炎!?」
森の主たるアウルは、唯々驚いて思わずよけようとするも
「あれ?熱くない・・・?それどろこか力が湧いてくる・・・?・・・わー。凄い!さっきの雪みたいだね!」
一瞬で順応し大盾の向こう、いる筈のリアルハートへと蔦を伸ばす。
「ああああああああああ!!!!!!!!!」
一方リアルハートは炎なんて喰らってタダで済むものではない。故に音程もなにもない、叫びの声をあげ、何とかそれをかき消そうとした。
しかし術式で作られた炎の鳥はかきけされることなく、リアルハートを直撃する。
「・・・・・・!!!!」
力は吸い取られ、失われていく。けれど、それでもまだまだ、『駄々っ子』は終わらない。
現実が辛ければ辛い程、現実逃避もまた深度を深める。
先ほどより力強い蔦が大盾を越えて迫ってくる。在り得ない。ありえる筈がない。なにせ、『自分の目の前にはもうテレビウムが居る』のだから。そうして蔦の瀑布が、リアルハートを覆いつくした。
仕留めた。蔦に覆われたリアルハートを見て、ユイは一人、息を吐いた。
しかし次の瞬間、ゾワリとした悪寒。〈ウロボロス〉はまだ敵のデータを収集し続けており、今なお出力に関してだけは上がっている。
危機感を感じてユイは剣を作り出すと同時、先ほどの焼き直しのようにリアルハートを覆いつくしていた蔦が切り裂かれた。しかし今度はまるで爆発するかのような勢い。
影が翻る。ほとんど勘の域で、ユイは剣を前に置いた。
甲高い音。眼前のリアルハートが振るった剣をどうにかユイは防いでいた。
鍔迫り合いの中、眼前の相手を見る。そこかしこを炎に巻かれ、目は虚ろ。胸から血を流し、満身創痍だ。そしてこちらは力を吸い取っている側である。にも拘わらず、力は拮抗していた。
「いい加減に・・・!」
仮にもこれだけの数の猟兵の前に立った一人で現れた存在という事なのだろうが、それにしたってしぶとい。苛立ちが腹に溜まる。
「ユイちゃん!避けて!」
言葉と共にユイの眼前、リアルハートの背後から大きな手が迫り来る。
今まで拮抗していた鍔迫り合いを、あえて力を抜いて負ける。そのまま後ろへしりもちをつく前に受け身を取り、体全体のばねを使ってユイはアウルの攻撃を避け、もはや現実など見えていないリアルハートは攻撃をもろに喰らった。
吹き飛ばされ、しかしなおもリアルハートは立ち上がる。みれば左手は折れており、剣も片手で持つような状態だ。正しく満身創痍。
しかし運もよかった。弾き飛ばされたお陰て、ユイとアウルから距離が離れた。 そのまま閃光のような勢いで、テレビウムの元へ向かっていく。距離的に、アウルとユイでは間に合わない。
「ああ!もう!しつこすぎるよー!!!」
けれどそれでも焦りはなく、けれど珍しくアウルは怒りをあらわにしつつ、追いかける。
「でもあれだけ削りきったから、もう本当に時間の問題よ」
だから直接テレビウムを守る3人ならいけるだろう。ユイは得られたデータをもとに、冷静にそう答えた。
成功
🔵🔵🔵🔵🔴🔴
アステル・シキョウ
・キャラ視点
「まぁ目的地には着けた訳だが……」
なんだぁ……?あの見るからにイタイ女は。
「俺が知るか、言ってる事から察するにさっきのジョンとか言うのもあいつの差し金だろうな。……ようは黒幕って事だろう」
はっ、まぁそう言う事ならさっさとやっちまうか?なぁアステル
「あぁ、敵だったがジョンみたいな性質の奴を利用する輩だ。やるぞ、ニエ」
・行動
引き続きノクターンに変身したまま
大鎌形態の【呪具『ニエ』】を手に戦います
相手がWIZ技を使用した場合、【deathchaser】をニエの一部なのを利用し自動運転で囮に使い、その隙に必殺技であるUC『華技-cadenza-』を打ち込みます。
兎乃・零時
アドリブ絡み歓迎
ばかめ!お前は何も手に入らねぇぜ!
そう、俺様はいづれ全世界最強の魔術師になる男…姫様だとしても負けられねぇ…!(コワイ
今は俺様がこの中で一番弱い!
その俺様に負ける様じゃ、一生かけても不可能だぜ!
【パフォーマンス】で姫の敵意が俺に来る様試みる
キャルにケガさせたくねぇしな!
【覚悟・勇気・気合い】を抱く
パル
キャルを中心に【迷彩・オーラ防御・拠点防御】で守護
【学習力・生命力吸収・属性攻撃・誘導弾・スナイパー・野生の勘】駆使し【援護射撃】
俺様
【ダッシュ・逃げ足】で魔力を溜め
掌の代りに杖でUC使用
今までのはただのビーム
これから撃つのは本気の本気!
千%オーバーの【全力魔法】(凄いビーム)だ!
シャイア・アルカミレーウス
あいにくだけどここからの配信は「猟兵一行、わがまま姫退治」の時間だよ!姫だからって勇者に優しくしてもらえると思わないでよ!
(pow)
今度の戦闘で怖いのはキャルちゃんが攻撃に巻き込まれることかな。挑発とかを駆使してキャルちゃんから離れたところで戦おう!
挑発の仕方だけど……これでどうだろう?(歌声に対して、その辺を叩いたら出てきた0点の札を掲げる)
もし釣れたら目の敵にされそうだから「盾受け・武器受け」で凌ごう。「守護者の奇襲逆襲」でカウンターを狙っていくけど、危なくなったら「無敵城塞」で耐えるよ!
君は間違ってるね。姫はどちらかと言えば与える側!最終的に全てを手に入れるのは勇者か魔王なんだよ!
(不味いですわね・・・・・)
片手で剣を持ち迫り来るリアルハート。その姿を見てシャイア・アルカミレーウスは冷や汗をかいた。これだけ満身創痍になりながらもテレビウムを求めるその姿はまさしく、
(勇気・・・・・・いいえ、単なる執着ですわ!)
そんな執着に勇者が負ける訳には行かない。
まずは現状でも出来るだけキャルから距離を話す外ない。
だから前に出て、
「あぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁああああああああ!!!!!!!」
もはや歌ですらない音の咆哮をまともに喰らった。
盾を構え、やり過ごす。
「ははぁん!!!その程度かい!?君の力は!」
挑発してみる。全く効果がない。
(でしたら)
必要なものを念じてその辺を叩く。そうして出て来た0点の看板を掲げ
「今の歌!そんなんじゃ誰の心にも響かないよ!」
言ってみた。瞬間、テレビウムへと向かっていた進みが鋭角的に軌道修正されて、こちらに突っ込んでくる。振るわれた刃を看板で受け止め、即座に断ち切られ、柄だけになる。ニ撃目、振るわれたそれはどうにか盾で受け止めた。
「それにしても単純・・・!」
シャイアとしてもまさかだったのだ。これだけ現実が見えてない状態で煽ったとして、果たして乗ってくる可能性は低いと見ていた。しかし事実として乗ってきた。
逆説的に、壊滅的な歌声とはいえ本人はそれだけ自信があったのだろう。そう思うと少し不憫ではあるが、
「どうやらキミがこの騒動を引き起こしたのなら、許す事は出来ないね。姫だからって勇者に守ってくれるなんて思わないでよ・・・ねっ!」
炎に巻かれた自称姫の刃が押し込まれる。どうにか拮抗しているが、それはつまりどちらにも決め手が欠けているという事で、
「おいアステル、なんだコイツ。ゾンビかなにかか?〈黒幕だろう〉」
リアルハートの横っ面から鎌が叩きつけられた。仮面ファイターノクターンだ。1対1で決め手に欠けるなら、猟兵達こそが有利だった。
後ずさり、ノクターンとシャイアの二人を油断なく虚ろな眼で見据え、そして剣にて襲い掛かってくる。
「はん!ここまでボロボロだろうが、お前がイソギンチャク怪人やジョンを焚きつけたんだろう?〈特にジョンみたいな性質のやつを利用するのは赦せないな〉」
鎌を振るい、ノクターンは燃え盛るリアルハートを切り裂いていく。反面、相手が攻撃してくるなら、
「残念!僕がいるよ!」
シャイアの〈無敵城塞〉が総てをはじき返す。戦況は、有利に推移していた。もはや勝ちは揺るがない。そんな状況だった。
(いいんだろうか・・・俺様は)
ギュッと杖を握って、戦う二人を見つめる。一番キャルがなついていのだから傍にいてやるべきだと主張され、今この時、兎乃・零時は戦場から取り残されていた。
確かに事実だ。自分があそこにいたって何らやる事はない。仮面ファイターノクターンの鎌さばきはかっこよく、疾く、力強い動きで着実にアンマリス・リアルハートを追いつめている。
対して勇者シャイアの動きは堅実だ。ノクターンと並び、ノクターンの攻撃の間隙を盾で埋め、たとえノクターンの攻撃の後に隙を見出してリアルハートが攻撃しようとも、その悉くをとどめている。それどころか盾が時折変形し、カウンターすら行っていた。
もう後は二人に任せればいいんじゃないか。気が抜けそうになる。けれど、
(違う。それは違うんだ。かっこいい俺様じゃない)
だから、どうなるかは分からないけれど、零時はその両手に魔力を貯め始めた。
そしてその判断が、キャルの命を助ける事となる。
(ああ。やだ。なぜ)
もはやはっきりとした意識も無い中、反射で剣を振るいながらアンマリス・リアルハートは思う。
そう、今。本来なら自分は焚きつけたイソギンチャク怪人とジョン・ドゥ・キャットを引き連れて、ライブ配信で視聴者を獲得しまくり、ついでにシステム・フラワーズへの道を手に入れる事が出来たはずなのに・・・
しかし現実は悉く猟兵に阻まれて、もはや自分はこのまま負ける。負けて、そして還るのだ。骸の海へ。
いくら現実から逃避しようと、リアルハートの速さよりも現実の速さの方が結局は早い。何時しか追いつかれる。
(もう、やだ)
嫌なのだ。成し遂げたい事が成し遂げられないのは。
(それならいっそ)
すべて亡くなってしまえばいい。自然と余分な力が抜けた。体は切り裂かれ、刃は防がれるけれども。
至極自然に、袈裟懸けに刃を振るうふりをしたアンマリス・リアルハートは、振り上げた剣をオーバースローでテレビウム、キャルにめがけて投げつけた。
「まずっ!?」
「零時ちゃん!!!」
二人して完全に虚を突かれた。まさかここに来ていきなりテレビウムを排除する方向に向かうとは。万が一に備えて、零時には待機させている。だがこのスピード、果たして何か出来るか、最悪に備えて二人は思わず振り返る。
明確な隙。動くならここに置いて他ない。リアルハートが二人を通り抜けた。
完全なミス。このままでは。焦りが一瞬二人を包み、
「ぶっとべ――――ッ!!」
叫びと共に光が放たれ、迫り来る剣を消滅させ、リアルハートを吹き飛ばした。
見ればキャルの手前、両手を前に突き出した零時が居る。剣とキャルの間に割り込み、念のためと両手に貯めていた魔力を使って、零時に出来る全力、《Overflowing magic/スゴイビーム》を放ち、剣を消滅させてリアルハートを吹き飛ばしたのだ。
静寂。自分の出来る限りの魔力を圧縮して放ったレイジが全力を出した証拠として、彼のあらい息遣いをする音のみが聞こえる。
「は・・・・・・・はは」
「はははは・・・・・・・はは」
「だ―――――――ッはッはッはッ!ば、ばかめ!お前は何も手に入らねぇぜ!」
尻もちを突き、目の端に涙を貯めながら零時は大笑いする。よかった。本当によかった。
剣が迫ってきた時、何も考えずに飛び出して、そうして守ったのだ。もし守れてなかったら、自分とキャルは串刺しだ。それを思うとなおも足はガクガクと震える。けれど自分は生きている。
「そう、俺様はいづれ全世界最強の魔術師になる男…姫様だとしても負けられねぇ…!」
ボロボロ涙をこぼしながら、指をさして大笑いで言ってやる。
「今は俺様がこの中で一番弱い!その俺様に負ける様じゃ、一生かけても不可能だぜ!」
「いいや、きみは間違ってる。弱くなんかないよ」
再びテレビウムの所へ向かおうとするリアルハートを下から掬いあげるようなシードバッシュで転ばしながら、シャイアは零時の言葉を否定する。護ったもの。それを勇者という。
「そしてリアルハート、君も間違ってるね。姫はどちらかと言えば与える側!最終的に全てを手に入れるのは勇者か魔王なんだよ!」
だから求めるばかりだった君は、今ここで負けるんだ。勇者はそう宣言して、翼から風の魔力を含んだ風を引き起こし、その場に縫い止めた。
「ニエアスちゃん!頼んだ!!!」
「ノクターンって言え〈ノクターンって呼べ〉!」
奇しくも二人の意見が一致し、
「いくぞアステル!〈ああニエ!〉」
「カースドライバー!」
《エクスドライブ!》
ノクターンが一端大鎌から手を放し、腰のカースドライバーに手を当てる。そうすれば鎌が黒いオーラとなり、カースドライバーに吸収される。そして半身の構えを取れば、地面にカースドライバーに刻印された紋章が浮かび上がる。
「〈裁きの時間だ。罪状は、お前の魂に聞け〉スリーカウント!!!」
半身になり、右足にエネルギーが収束していく。
《ワン!》
収束したのを見計らってノクターンが走り出す。
《ツー!!》
飛び上がり、ノクターン自身から放たれる実体が無い五線がアンマリス・リアルハートを捕える。
《スリー!!!》
五線にとらわれたリアルハートへ、右足を中心に赤黒いオーラを纏ったノクターンが急降下してきて、
「俺様達で、〈「幕引きの一撃をくれてやる!!!」〉」
〈華技-cadenza-/カデンツァ!!!!!!!!!!!!!!〉
爆発。
そうして爆発の後、煙が晴れればそこにはもはやアンマリス・リアルハートは居らず、ただ仮面ファイターノクターンのみが、佇んでいた。
アンマリス・リアルハートを撃破したのと、キャルのテレビから光が消えるのは、同時だった。
「キャル!?」
中空に浮いたキャルが落ちる寸前、零時が下敷きになり、クッションになる。
「レイジ・・・なんでキャルの下にいるんだ?ダサいぞ?」
「ダサいは余計だ!」
キレた。しかし漫才もそれ以上は続かなかった。周囲の建物全てがしゃべったかのように、声が聞こえてきたからだ。
「システム・フラワーズより緊急救援要請」
「全自動物質供給機構『システム・フラワーズ』に侵入者あり」
「テレビウム・ロックの解除数が多ければ多い程、解放されるメンテナンスルートは増加する。至急の救援を請う」
キマイラフューチャーの騒動は、まだまだ始まったばかりだった。
大成功
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最終結果:成功
完成日:2019年04月28日
宿敵
『アンマリス・リアルハート』
を撃破!
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