#ヒーローズアース
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● 真実の探求者
「はっはっはっ…!」
現代的なカメラを手に、なにかから逃げるように一人の女性が走る。顔には何かを得た歓喜と、そして今にも失いそうな恐怖が入り混じっていた。
「特種…だけど、どうしよう!早く…ヒーローに、知らせ」
眩いほどの光が彼女の視線を覆いつくす。
その先の言葉が紡がれることはなかった。
● パンデミックを阻止しろ!
「正義や悪などと、実に下らんな。」
ティア・ドラグノン、グリモア猟兵の少女が呟きながら現れ、猟兵達の前に立つ。
「予知だ、聞け。」
簡潔にそして高圧的に言葉を放つ。よもや依頼へ初の参加者がいるとは思えないが、十分な説明を受けられるか早くも不安を感じる。
「新世界、ヒーローズアースとやらだろう。意思の感じられない群衆が殺し合いをしていた。まさしく地獄絵図というやつだな。」
興味なさげに危機的状態の予知を流していく。不安が一杯になった。
「洗脳とやらだろう、其れの原因の予知もしている。穴倉に潜む魔術師とその取り巻きを制圧しろ。」
??――――渡された資料に目を落とせば、とある施設にて悪の科学者によって催眠電波を発する装置が作られた、それを守るヴィラン共々殺さないように装置を破壊しよう、と書いてある。資料をつくったのは恐らく別の真っ当な人なのだろう。可哀想に。
「道中貴様らを導く者も現れる。所詮はただの人、本来ならば半ばで命を落とす者だが、この事件の【協力者】となるだろう。精々上手く使うことだ。」
普通の人間と出会えることに安堵を覚える者がいる中、ティアは言葉をさらに紡ぐ。
「奇襲的に貴様らを送り込む。真の敵、オブリビオン共が勘づく前に為し終えるのが最善だろう。だが、当然ながら貴様らの帰還を悠長に待つほど容易な敵ではなかろう。」
この事件の裏に潜む、オブリビオンの存在までは感知できた。どのタイミングでくるかは不明慮だが、現れないわけがない。悪とはそういうものだ。
「気を付けるがいい。
この世界だからこそ、正義や悪などに縛られぬ真の意志こそが、貴様らにとっての脅威になるだろう。」
気だるげな説明を続けていたティアの、その瞳が鋭くなって猟兵達を見据える。高い声色に反して地に響くような声は、唾を飲み込む音と共に流れ落ちる。
声援の代わりに送られたその言葉を背に、猟兵達は転移していく。正義と悪に満ちた世界へと。
汚い忍者
お久しぶりですパートⅡ。
なんとまさかの純シリアス依頼をやろうと思っています、汚い忍者です。
といっても暗い話にはならないかと思いますが、ブラックジョークこそあれどアメコミ!て感じにはならないかもしれません。
一章ではヴィランたちが守る装置をぶっ壊しましょう。
ぶっ壊したらヴィランたちを殺さない程度に制圧ですね。先に制圧してもいいかもしれません、お任せします。
ヴィラン自体は特に強い要素はないので無双しちゃってください。
二章以降はオブリビオン達との戦いになります。
強かったりあっさり勝てたりいろいろあると思いますが、好きに戦ってください。ヒーローと悪役は戦いが華ですから。
三章はボス戦となります。
めちゃくちゃ強く描写します。おおよそ無策では判定をかなり厳しめになります。
的確、とまでは言わずとも相手の長所に対して対抗する必要はでてきます。
協力や周囲のために動くこともまた必要になるかと思います。
長くなりましたが、初めてのタイプの依頼なので緊張しながらも楽しく書けたらいいなと思っています。プレイングお待ちしております。
第1章 冒険
『悪の科学者の催眠装置』
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POW : 強行突破し装置を破壊する
SPD : 素早く装置に接近し破壊する
WIZ : 頭脳プレーで装置を破壊する
👑11
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
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種別『冒険』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
「あ、は、はい!私は記者のアーレイと言います!なんだか怪しげな集団が出入りしてるっていう事件のにおいを嗅ぎつけまして。正直独占したいんですけどちょっと怖いから、着いてきて貰えるのでしたらご案内しますよ!」
なんとも危機感のない口調と興奮具合だが、転送されてきた猟兵達を同業者か何かと勘違いしながら、まくしたてる。冷静さのなさは若さ故か。
「なんだかみなさん腕っぷしも強そうですからね!頼りにしていますよ!」
無邪気なほどの明るさを引き連れて、猟兵達はアジトへと潜り込んでいく。
黒川・闇慈
「催眠電波、ですか。なんともレトロな響きですが、侮るわけにもいきませんねえ。クックック」
【行動】
wizで行動です。
呪詛、高速詠唱の技能を用いてUCを使用します。
ヴィランに対しては呪爪……というかがしゃどくろの手加減した打撃で対応します。殺してしまうといけませんからね。
ヴィランがある程度制圧できたら、催眠電波の発生装置に呪力砲撃を叩き込みましょうか。ヴィランを巻き込まないように注意いたしましょう。
「催眠電波……やっていることは古い特撮じみていますが、まさか現実になるとは。世の中は驚きで満ちていますねえ」
【連携・組み合わせ・アドリブ歓迎】
六代目・松座衛門
「『普通の』ヴィランはお呼びじゃねぇ!退け!」
隠密行動は一切考えず、催眠装置を守るヴィランの集団へ人形「暁闇」と共に突撃する!
「来るなら容赦しないぞ!」
自分は多節棍「双爪丸」を振り回し、「暁闇」には、UC「手繰り討ち」で、近くのヴィランを引き寄せては地面に抑えつけたり、【敵を盾にして】、無力化しつつ、催眠装置へ接近する。
「これでどうだ⁉︎」
催眠装置に近づけたら、再びUC「手繰り討ち」を発動! 装置のアンテナやコード類に糸を絡ませて思いっきり引き抜いたり、「暁闇」の鋭い爪を突き立てたり、破壊の限りを尽くす!
アドリブ、連携歓迎
フォルク・リア
アーレイに
「ああ、じゃあ案内をよろしく頼むよ。
ヴィランもいるようだから注意して行こうか。」
あまり言いすぎても効果が無いと思いやんわり。
アジト潜入時は周辺を警戒して
身を隠しつつ敵に見つからない様に進入。
扉に入る時や分岐路では特にい注意し
物音をよく聞いて先に敵がいない事を確認してから進む。
敵に発見されるか、対処しなくては
確実に見つかる所に敵がいる時は
拘束する闇の黒鎖で捕縛、気絶攻撃で倒す。
催眠装置の近くに辿り着いたら
速攻を心掛け接近、
拘束する闇の黒鎖で周辺のヴィランを纏めて拘束。
その間に装置を破壊。
アーレイの様子は常に注意して
催眠にかかっていそうなら声をかけて正気を
保たせるか。装置から離れさせる。
ルパート・ブラックスミス
【POW】
専用トライクに【騎乗】。
他に記者アーレイ氏の護衛につく猟兵がいない場合は後部座席に乗せよう。
「特等席だ。命を賭して特種とやらを求めるなら乗るがいい」
雑魚には構ってられん。狙いは装置一点だ。
トライクを突撃形態、UC【荒狂い破滅齎す戦車】に変形。
さらにトライクが内蔵する鉛を使い、青く燃える鉛の翼を巨大化(【武器改造】)し展開。
アーレイ氏を乗せてる場合はついでに後部座席を保護するように鉛で覆う。
ヴィランたちを翼からの熱風(【属性攻撃】)で【吹き飛ばし】つつ装置に向かって突撃。
破壊に至らずとも他の猟兵たちの為の突破口になるはずだ。
亡霊騎士が騒々しく告げよう。地獄になるのは、此処だけだ。
●□×
富波・壱子
まずは日常用の人格のまま参加
協力者っていうのはアーレイさんのことでいいのかな?他の人のことかもしれないしちょっとだけ気をつけておこうかな
ヴィランとの交戦が始まったら戦闘は他の猟兵に任せて、ユーベルコードで影の子供達を呼び出して手伝いをお願いするよ
お願いしたいことは3つ
猟兵が無力化したヴィラン達が逃げたり暴れたりしないよう縛り上げること
縛ってずっとここに転がしたままだともしオブリビオンが襲来してきたとき危ないから、安全な場所まで運び出すこと
アーレイさんが一人で動き回ったり危ないことをしようとしたらわたしと一緒に止めること。流れ弾とかからも守ってあげてね
それじゃみんなで手分けしてこなしてね。ゴー!
ヴィクティム・ウィンターミュート
●□
ハッハー!いいねぇ、イカれたサイエンティストの馬鹿げた装置を壊せって?ストリート・ランでもよくあるような話じゃねーの。ニューロンめちゃくちゃにして殺し合いだぁ?んなもうん通すわけねーだろ!
人の自由意思を奪うクソ野郎が一番嫌いなんだぜ、俺は
この俺相手にテクノロジー使うなんざ、いい度胸だ
ユーベルコードで演算能力拡張
装置を見つけたら【ハッキング】で無力化する
んで、そうだな…装置が複数ある場合は…
装置それぞれがスタンドアローンで動いてるなら個別に対処
もし連結して出力を補填しあったり、同一の動力からエネルギーを得てるなら…
そのラインにウイルスを仕込めば、複数が一度に落ちるかもしれねーな
試してみよう
● 虎穴に入らずんば虎子を得ず
彼女の名前はアーレイ・ナトリス。白い肌に金の髪、ほどほどなボディの平均的なヒーローアースの一般人である。
ちょーっとばかし、とは本人談、大がつくほどのヒーロー好きでもある。当然ヒーローを追う為に記者となったのは言うまでもなく。
しかし現実は非常、この世界におけるヒーロー事業のほとんどは大手企業が独占しているのが現状。愛の強さ故に危険とみなされた彼女は、小さな企業に属することを余儀なくされた。アーレイにとって大きな特種は、今や命よりも重いものと化していた。
――彼女の話はさておき。協力者と無事合流した猟兵たちは、アーレイと共にヴィランたちのアジトへと向かう事となった。
都心部の少し離れ、放置された廃ビルの地下深くへと君達は訪れる。
「ああ、じゃあ案内をよろしく頼むよ。ヴィランもいるようだから注意して行こうか。」
フードを深くかぶった青年、フォルク・リアはやわらかい口調でアーレイへ注意喚起を送る。
「はい!潜入捜査ってやつですね。」
意気込みアーレイの前に、排気音と共に青く輝く車体が入り込む。
「特等席だ。命を賭して特種とやらを求めるなら乗るがいい」
薄暗い甲冑鎧が太陽の光を浴びて鈍く輝く、ルパート・ブラックスミスはトライク(三輪バイク)の運転席に乗りながら、後部座席を指さす。
「えっ……潜入捜査じゃ。」
彼女は直後に知る、バイクの速度で走る人間が居ることを、彼らは隠密行動(しょうめんとっぱ)が得意であることを。
「はぁはぁはぁ…!ビルの地下に、バイクで突入するって…!」
元白い顔を更に白くさせながら、震える声で甲冑にしがみつく。もう既に理解は限界を超え始めていた。
「おっと、この辺りで少し離脱するぜ。やりたいことがある、俺は俺なりに動かせてもらうからさ。」
ヴィクティム・ウィンターミュートはアジトに潜入して半ば、そう言って分かれると姿をかき消す。
「ヴィクティム殿と、リア殿も別行動か。いやしかし、そういった役割も大事だろう、自分らが引き付けることで動きやすくなろう。」
「わ、私としてもどちらかというと別行動したくなってぇぇえええ。」
バイクのマフラーがふかされ、悲鳴を置き去りに更に奥へ突入していく。
● 嵐の爪
廃ビルの地下、そこは大きな広場となっており、そこら中にヴィラン達が屯している。
「なんだてめぇらごらぁああ!!」
ヴィランが、突如突入してきた猟兵達に即座に怒りと殺気をぶつける。ヒーローとの闘争を経てこうしたことに慣れているヴィラン故か反応が早い。
「『普通の』ヴィランはお呼びじゃねぇ!退け!」
張り合う様に怒鳴るのは六代目・松座衛門、等身大の操り人形[暁闇]と共に戦火へと降りていく。
「いくぞ、暁闇、双爪丸!!!」
双の先端に鈎爪のついた多節棍が敵を打ち、叩き伏せ、爪が引きずりながら寄せる。
「さぁ、こいつでどうだ、撃ってこれるか!?」
ヴィランを盾にしながら突き進む、だがしかしそこはヴィラン。容赦なく仲間ごと遠距離攻撃を仕掛ける。
「おいおい容赦ないな!」
ボコボコにされていくヴィラン、顔が腫れあがってやがる……。
流石にこれで手元のヴィランが死なれても困る。仕方なく松座衛門は手の糸を引くと、[暁闇]がその身で攻撃を受け止める。まるで巨大な壁のように動じないその姿にヴィラン達がたじろぐ。
「てめぇらの攻撃じゃこいつは壊せないぜ。」
おかげで十分接近できた、思ったより敵が多いが――――
「そんならこうすっかな!」
伸縮自在の棍が伸びる、先端の鈎爪がヴィランを掴み、さらにリーチが伸びる。
[暁闇]の爪がヴィランを掴み、その体躯へと更に糸が伸びる。
一網打尽。伸びた棍が薙ぎ払われる、操り人形もまたその勢いに合わせて暴れまわる、台風のような勢いでヴィラン達の意識を刈り取る大味な一撃。
「ちっと、散らばせすぎたか……おっ。」
床に伸びたヴィランたちを、小さな影の子が回収していく。他の猟兵の技か。
「こいつはいい、気軽に暴れられるぜ。」
笑みを浮かべながら、まだ足りないと棍を振るう。
● 猪突猛進
「さて。殺すわけにはいきませんが、ヴィランの皆さんには逃げてもらっても困りますので。」
突入口、すなわち出口にもなるこの場を塞ぐように巨大なガシャ髑髏が生み出される。それを操り乗りこなすのは黒川・闇慈。
その技の名を集積怨霊使役術式。彼が呼び寄せる必要もないほどにこの空間には行き場のなき死霊が漂っていた。彼らの仕業かこの廃ビルで何かがあったのか、どちらにせよ。
「少しは痛い目を見ていただきませんとね?」
がしゃ髑髏の巨大な手がヴィラン達を押しつぶしいく、爪は立てぬように慎重に。
手で虫を払うように薙ぎ、敵の攻撃は強固な呪詛の守りを突破することはない。蹂躙という言葉がそこにはあった。
「見事だ、黒川殿。それに、松座衛門殿もな。」
その隙を突くように、ルパートとアーレイを乗せたバイクが手薄になった広場を抜けて、駆け抜けていく。
「あっ、ちょっ、えぇぇえええ!?」
「案ずるな。鉛で保護してある、そのあたりで隠れているよりずっと安全だろう。」
アーレイは思った、あ、この甲冑の人は天然だ。
「装置はあの扉の奥か。スピードをあげる、口を開いては舌を噛むぞ。」
厳重に保護されている様子だが、ヴィランの数や露骨に巨大な扉は存在を示す証拠にしかならない。ギアをあげる、タイヤが地面に火花を散らしながら進んでいく。
「いやいやいやいや無理ですよー!?」
「では、私が道を開きましょう。」
闇慈の言葉に共鳴するように、がしゃ髑髏の口が開く、そこには骨で出来た禍々しい砲台の姿だ。
「呪力砲撃―――えぇ大丈夫です、手加減致しますよ。本当です。」
真偽は問えないが、呪砲はまるで爆撃の如く、ヴィラン達と扉ごと吹き飛ばしていく。
「きゃぁあああああーー!?」
そのまま爆煙を越え、扉の奥へと突入する。視界が開けると、広間ほどではないにせよ十分大きな部屋に一杯の装置が
「古い特撮じみていますが、実物が出来上がるとは……。世の中は驚きで満ちていますねえ」
がしゃ髑髏から遠めに眺めるそれに、闇慈は苦笑いを浮かべる。
「やはりここにもヴィラン達はいるか。」
さて、道は開けたがアーレイを乗せている以上、無理はできない。後は他の者に任せる他あるまい。ルパートはバイクを降り、一人剣を構える。騎士の如く。
● 優しき心得、秘めたる戦意
広場での交戦が激しくになるにつれ、忙しなさを強要される者がいた。
長い銀髪を揺らしながら、振動で揺れる帽子を手で押さえながらあっちへこっちへと走り回る女性。
富波・壱子という名前のスレンダーな美少女は、活発に元気に動いていた。
「みんな。ちゃんとお願い守って動くんだよ!わたしも手伝うからね!」
声をかけるのは、自らが生み出した影法師の少年少女たち。彼らは戦闘の余波に巻き込まれないようパタパタと動き回りながら役割を全うしている。
「こういうサポートも必要だよね。アーレイさんも守ってあげなきゃだし、力になってあげたい!」
その意気込みを通じて、影法師たちにも気合いが入る。
戦闘によって倒れたヴィラン達を縛って、巻き込まれないように端へ寄せている。他にもアーレイを見守る役目もお願いしたが、甲冑鎧の猟兵さんが守ってくれている、安心……でいいのだろうか。
「というか、みんなの倒すペースが速すぎて手が一杯一杯だよ…!」
よしよし、と影法師達の働き具合に満足、味方の猟兵たちの活躍にも満足し、一息突こうとしたタイミングでその背後から隠れていたヴィランが迫る。
「わわ…!―――ッ。」
気配には気づいたが避けるには間に合わない、咄嗟に腰に備えられた刀剣【カイナ】へと手を伸ばし、ドクンと胸が高鳴る。何かの意志が繋がり入り込むように、その目つきが変わりそうになった瞬間。
ガチャンッ!
ヴィランの背後から黒色の鎖が伸び、その体を拘束される。
「あー……。」
ぽかり、鞘で隙だらけの頭部を叩き、気絶させる。どうやら誰かが助けてくれたようだ。この鎖は確か―――あのフードの彼が身に着けていたもののはずだ。
「ありがとう―――。よーし、この人も持ってちゃって!」
影法師の一人が引きずりながら持っていく。――ぱぁん、と緩んだ気を頬を叩くことで元に戻す。サポートが助けてもらってばかりではいけない。
「わたしが皆を助けるんだ。」
強い意志と共に、腰に備えてあるホルスターから銃を取り出す。この先では戦いは避けられないやもしれない。その為の覚悟は完了した。
猟兵達が広場の先、催眠装置のある部屋へと突入していくのが見える。影法師の何体かを引き連れ、壱子も遅れまいと走った。
● 全てを欺け
慌ただしい戦場にて、身を隠しながら慎重に進む影が一つ。
「結果的に俺が隠遁できてるのはプラスかな?」
影―――フォルクは別行動にて、目立つ他の猟兵の代わりに隠密へと特化して動いていた。
つい先ほどもヴィランから狙われた少女をユーベルコードを用いて手を貸した、こういった裏方に徹するのも悪くはない。
気づけば広場のヴィラン達は数を減らし、扉の奥にある催眠装置の場所へと向かった。
「催眠装置…!? こんな都心部でそんなものを使ったら……。」
部屋にいたアーレイが声を荒げる。その声の先には白衣を纏ったマッドサイエンティストと呼ぶに相応しき男がいた。
「そうだ!ヒーローは一般人を排除することはできない!圧倒的な数での前には無力、いずれ催眠は世界全土に広がり、人類は恐怖の底に落ちるのだ!!」
狂気の叫びを発しながら声高に丁寧な説明をしてくれる。よほど計画に自信があるのだろう。
猟兵とヴィラン含め、睨む合うように対峙している状態だ――――なるほど、好都合。
「【拘束する闇の黒鎖】」
不意を突くように、フォルクの用いた黒鎖が巻きつく様に広がり、研究者含めてヴィランを一斉に捕縛する。
「なぁっ!?」
ヴィラン達が抵抗するが、この鎖はただ肉体を縛るだけに非ず。徐々に抵抗の意志を失い、その魂すらも束縛して脱力させる。
「バカげた計画はこの辺りにしておくんだな。装置の発動もさせない、ここで終わりだ。」
鎖を手に、影から現れたフォルクが言い放つ。
全てのヴィランを封じた今、研究者の目論見は潰えた―――ように見えた。
「は、ははは!無駄だ。」
脱力するヴィラン達とは異なり、研究者はまるで効いてないとばかりに笑みを浮かべる。
「この装置があるのはここだけではない、貴様たちはまんまと誘き寄せられたにすぎないのだ!私がいなくなろうと計画は完遂されるのだ!!」
高笑いと共に、勝ちを誇る。己が命すら捨て駒にした博打がまんまと嵌ったとばかり笑う。
「―――――あぁ、それならもう全部動かなくなったぜ。」
声が響く。視界にいる誰でもない。その声を認識すると同時に、それは装置の前にスッと現れた。否、ずっとそこに居たことに気が付いた。
「ど、どういうことだ…。はったりならば止せ。これ以外の装置は遠くに設置してあるんだ!」
"認識阻害"を解除したヴィクティムが全員の驚き顔を見て、ニヤリと笑みを浮かべる。
「他の装置と全部一緒くたにしたのが失敗だったな。大方、一斉発動させるための連結だろうが、ウォールが甘すぎだ。」
装置に接続されたヴィクティムの腕にある携帯端末から声が響く。
『──ウィルス送信完了。対象、八点の遠方にある装置の機能停止を確認、全データのロスト完了。』
「……はっ。」
「ハッハー!いいねぇ……人の自由意思を奪うイカれたサイエンティストが、絶望に堕ちる顔ってのも悪くない。
てめぇこそがニューロンに落ちた気分はどうだ?」
圧倒的なハッキング技術、全員の視線を集めた中で、パネルに文字が羅列していき削除されていく。
「あぁ、クソ野郎でも技術だけは一流だったよ。創造するってのはそれだけ凄いことだ真似できない。
―――――だが、破壊するときは一瞬だ。」
ヴゥン、鈍い音と共に装置の電源が落ちる。もう二度と起動することはない。その事実に、研究者は膝を折る。この世界の刑務所に送られ、金銭支援も受けれない彼にはもう、悪事を働く事はできないだろう。
「あはは。ヒーローが出るまでもなく解決しちゃったわね。でも、すごーい事件を未然に解決できて、よかった。」
アーレイが笑みを浮かべる。警戒していた猟兵達もその朗らかな様子に笑みを返す。彼女は純粋な、一般人だったのだ。
「でも、あなた達はヒーローじゃないわよね。その強さや技術………あなた達が噂の猟―――。」
ビルが振動する。爆発音と共に、地下へ流れ込む足音。
「来たか。」
ヴィクティムが呟き、彼女たちの元へ移動する。こそこそ隠れる時間は終わりを告げたようだ。
ヴィラン達だけの問題ならば、いずれヒーローが解決していただろう。それがこのヒーローアースでの理。
猟兵が出た以上、当然それに対する悪が現れる。オブリビオン、この世界の癌となりうる存在が。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
第2章 集団戦
『オブリビオンソルジャー』
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POW : バトル・アクション
【準備しておいた集団での連携攻撃作戦】を発動する。超高速連続攻撃が可能だが、回避されても中止できない。
SPD : デンジャラス・スローイング
【仲間達に全力で投げてもらう】事で【特攻モード】に変身し、スピードと反応速度が爆発的に増大する。ただし、解除するまで毎秒寿命を削る。
WIZ : サポート・リクエスト
戦闘力のない【情報伝達用撮影ドローン】を召喚する。自身が活躍や苦戦をする度、【後方部隊から届く援助物資】によって武器や防具がパワーアップする。
イラスト:森乃ゴリラ
👑11
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種別『集団戦』のルール
記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
君達は無事、装置の破壊に成功した。
敵の罠すら超えての見事な仕事だった―――だが、敵の罠自体はこれで終わりではない。閉鎖空間の中、多量のオブリビオン達が廃ビルへと殺到していく。君達はアーレイを、そしてヴィラン達をも失わずに退けなければならないのだ。
幸いヴィランは動けず巻き込まれない位置に、アーレイも君達の傍にいる。大事なのは確実にオブリビオン達の進行を止める事。正面でのぶつかり合いとなる。
「……似たような…ヴィラン?あっ、でも気を付けてください!」
アーレイが叫ぶ、ヒーローをそして同時にヴィランも見続けた彼女の目がとあることに気が付く。オブリビオンの多くはやられ役の数だけの敵だ。その中に幾人か、"強者"の一歩手前までたどり着いた戦闘員が存在している。
君達は守りを固めて殺到する多量の敵を倒してもいいし、攻め込んで危険な戦闘員を狙いに行ってもいい。
猟兵達の防衛戦が始まる。
富波・壱子
●□
そろそろみんながヴィラン達を運び終えた頃かな?
今度は私も戦うよ。危ないからアーレイさんは下がってて
それじゃ、いってくるね
笑顔で軽く手を振って挨拶してから、指でなぞるように首のチョーカーに触れ戦闘人格へと交代
敵部隊の接近を確認。これより迎撃に移ります
二丁拳銃による射撃で前に出る味方の援護をします
強敵との戦闘は他の猟兵に任せ実力の劣る者を重点的に狙い、敵の数を減らすことを重視。弱い者から順に殺します
敵後方部隊からの援助物資到着を察知したらユーベルコード発動。瞬間移動によるヒットアンドアウェイで物資の奪取を試みます
こちらでも有効活用できる物であればそのまま使用
少しお借りします。あなた達が死ぬまで
● 銀の蝶は舞いて刺す
戦闘員たちが流れ込んでくる。目的は不明だがタイミングの良さを鑑みるに仕組まれていた罠だったのだろう。
「あ、あれはヴィラン……?」
「ううん。近いけど少し違うよ、あれはわたし達の敵。」
アーレイの姿を隠すように、壱子が前に立つ。
「アーレイさん、ここで待っててね。みんなが守ってくれるから。」
じきに雪崩れ込んでくるオブリビオン達。その強さや脅威はヴィラン達とは比べ物にならない。下手に動かれては守ることも難しい。
「壱子さん……。」
終始混乱気味だったアーレイ。ヴィラン達を軽々と制圧した集団の異様な強さ、その中でも、彼女にとって富波・壱子は、己に近い存在だと感じていた。
「それじゃ、いってくるね。」
壱子は明るく元気な笑顔を見せる、だが僅かな雰囲気の違いを感じる。強い意志の秘められた表情。
「大丈夫。誰も通させないから。」
少しだけ遠くなったその背中は、彼女の好きなヒーロー達と同じ背中に見えた。
壱子の指が、首のチョーカーに触れる。何かの合図のように、優しく撫でるとそこにはもう先ほどまでの彼女は居なかった。光なき目で敵を見据える。
「……状況把握完了、これより目標の殲滅を開始します。」
二丁拳銃【ビーチェ】【ブレッサー】の名を持つ異形の銃を構え、風を残してその姿がかき消える。続いて聞こえる発砲音。
「一つ、二つ、三、四。」
悲鳴と銃声に紛れて、冷徹無比な声が混じる。
「くそっ!!は、はやイーッ!!」
「囲め囲め!数で抑えグワァァー!!」
美しき銀の蝶を捕らえることはできない。次々に倒れる戦闘員、銃弾は一発一発が既存の物を遥かに凌駕する威力で跳びまわる。
「ひ、卑怯だぞ!その剣で戦え!!」
接近戦に特化した戦闘員が叫び、次の瞬間には銃弾で穿たれる。
「あなた達に見せる刃ではありません。この弾丸一発ですら勿体ないのです。」
もはや聞こえぬ相手に言葉だけを残して消える。確実に、力のない敵、弱い敵、数だけの輩を排除していく。作業のようなその動きは非情の兵士と呼ぶに相応しかった
「……後方部隊、もうドローンを飛ばしているのですね。…ならば好都合。」
そうして戦っていく内に、徐々に奥へ奥へと、後方部隊を捉える場所へとたどり着く。ここまでくれば敵はいない、補給されようとしている物資へ狙いを定めて、壱子は駆け出そうとした。
「蛮行、それ以上は許さぬぞ。」
刹那、意識の外から現れたソレは、壱子の側面へ潜り込み、揚打―――アッパーカットの軌道で拳が腹部へ叩き込まれる。
「――――かはっ…!!」
もろに一撃を食らい、文字通り、吹き飛ぶほどの衝撃。
「……ほう。今の数瞬で反撃するか。」
近くの壁へ激突する壱子と、仰け反る戦闘員。蹴りを食らった頬に触れ、立ち上がる壱子を睨む。
「見事。だが、例え我らが悪に与する者とて、力なき者のみを狙う非道は見過ごせぬ。」
「戯言ですね。争いにおいて手段を選ぶ方が愚行では。」
一線を画した力に対して、平和ボケな発言に怒りを覚える。そもそも―――
「このような包囲作戦をしておいてどの口が言うのですか…!」
威嚇の銃撃。戦闘員は銃弾を拳で叩き落していく。やはり明らかに他の戦闘員とは力量が違う。壱子自身の速さが突出していたせいか、周囲に味方も見えない。
「……初志貫徹、私は戦わない。」
壱子は銃弾を連射しながら駆け出す。オブリビオンは銃弾をかわし、叩き落とす最中に何かに気づく、が防戦一方で身動きが取れない。
「―――!おのれ、貴様…!」
壱子はそのまま、後方部隊の波へと潜り込んだ。
蜘蛛の子を散らすように掃けていくオブリビオン達を尻目に、取り残された物資を漁る。
「少しお借りします、あなた達が死ぬまで、ですが。」
ひと先ず殲滅は後回し、あの強者をどうにかするまでの間だが、優先事項は履き違えない。
まず見つけた応急手当の薬を躊躇わずに使用。危険物をわざわざ紛れ込ませないだろうとの判断は功を制し、腹部の痛みが引いていくのを感じる。その間にも視界が広がっていき、強化戦闘員が向かってくるのが見える。
「問題ありませんよ、良いものがありましたので。」
担いだのは巨大な銃砲、その名をグレネードランチャー。
――――こんなものを使われていたらたまったものではなかったが、この場面においては好都合だった。腕は自然と動く、少女の知識かあるいはまた別の記憶か定かではないが、扱える。
「スマートに処理させてもらいます。」
爆音、技術も駆け引きもなにもない無慈悲で無情な一撃。利便性皆無の代物だが、威力は折り紙付きだ。爆発跡を見る気にもならない。
「……さすがに、張り切りすぎましたかね。」
後方部隊は退避してしまったが、壱子は深追いせずに仲間の元へ戻る。
いまだ強化戦闘員は潜んでいる、脅威を知らせなくては。
成功
🔵🔵🔴
ルパート・ブラックスミス
「トライクから出るな。貴殿の護りは自分が担う」
トライクはアーレイ殿のいる後部座席を鉛で保護し(【武器改造】【物を隠す】【かばう】)後方待機、
UC【燃ゆる貴き血鉛】を起動、装備に燃える鉛を纏わせる。
アーレイ殿の護りを放棄はできん。
前線は他猟兵に任せ、自分はその援護と前線を突破した敵を【怪力】と炎を込めた大剣で【なぎ払い】をかける防衛線を担う。
援護については青い翼からの熱風(【属性攻撃】)での【吹き飛ばし】、短剣の【投擲】と纏わせた炎による炎上。
これらで敵の連携を乱し、アーレイ殿の言う敵の中の強い個体を【おびき寄せ】孤立させる。
強い個体の識別や【情報収集】が出来たなら他の猟兵に伝え警戒を促そう
●□
● 鉛の騎士は歪まない
「トライクから出るな。貴殿の護りは自分が担う」
ルパートは、トライク自体を壁にするように、後部座席を鉛の防壁で保護をし、背景と一体化させる。その存在を隠すように。
その上で、自身も後方で剣を構えて待機をする。構えた剣や鎧には青い炎が広がる、ヴィランの時には出さなかった戦闘形態だ。
「ど、どうなってるのかしら……。ヴィランは倒したんじゃないの…?」
「心配なされるな。……慢心もできぬが、幸いこちらの戦力は十分だ。」
前方では人が変わったように戦う壱子や他にも先ほどのヴィランを制圧した面々が戦っている。危うい場面も見えない。
「だが、先ほどアーレイ殿が言っていた言葉が気になる、あれは……むっ。」
さすがの数の差か、戦闘員たちがその数を減らしながらも迫ってくる。
「この先は通さんよ。自分が居る限りな。」
一閃。大剣から薙ぎ払われる炎の剣撃が、迫る戦闘員を一掃する。燃え上る熱量に、戦闘員たちも近づけない。自ら火に飛び込むと同意なのだから。
「……減らせど減らせど、今だ数は膨大か。ならば。」
懐に手を忍ばせ、投擲向けの短剣を取り出すと青い炎が着火する。
それを飛行するドローンへと投擲する。カッという鈍い音と同時に炎が爆発し、火の粉が飛び散る。
「ドローンが爆発したぞ!」
「熱イーッ!?」
「物資を避難させろー!炎が燃え移るぞー!」
一手にて、混乱を極めさせる。追撃を与えようと、その鎧から零れる蒼い炎が翼を象り、圧倒的熱量が吹き上がる。翼が風を起こし、火が風に乗り、風は火を炎にする。熱風が敵陣へと襲いかかった。
「……あれは。」
熱風が前方の戦闘員を飲み込み、後方部隊へと広がろうとした時。
斬ッ! 一閃、ソレは圧によって風と炎を吹き飛ばして散らす。炎が消え、開けた視界の先には剣を構えた戦闘員が一人。
「否。」
あれは違う。視ればわかる、ルパートの鎧に眼球があるかはわからないが、鎧の奥の炎が警戒心を表すように揺れる。あの戦闘員は格が違う。
「アーレイ殿、あれが…?」
「は、はい。ヴィランにも時折現れるんですが、強いヴィランに従う力のない者達の中から時折『ネームド化』と呼ばれる変貌を遂げる者がいるんです。多分"成り掛けて"ます」
なるほど、と納得して頷く。あれがそうなのだろう。
「ヒーローに負けて生き延びたり、あるいは勝ったりすることで何かに目覚めて強くなる……その時の雰囲気に凄く似てます、気を付けてください!」
様々なヒーローを見てきた、即ち同じだけヴィランも観てきたのだ。その観察眼は互いに認めていた。
「猶更逃すわけにはいかんな。」
負けていけないのは当然、逃しては強力なオブリビオンと化す。覚悟を決め、剣を構える。
幸いなのは、あれが孤立していることだろう。周囲をせん滅しおびき寄せたおかげで対等に戦える。
「鎧の猟兵よ、我がツルギ……受けてみよ!!」
炎に焼かれることすら躊躇せず、剣を持つ強化戦闘員は斬撃を放つ。それは重く、鋭く。達人と呼ぶに相応しい腕前だった。
「貴殿、それほど腕前がありながら闇に堕ちたのか。」
だが、それを受け止めるルパートもまた、堅く強靭。
「元より闇に堕ちし者。我らはヒーロー等という体裁だけの正義でなく、ヴィランという悪を支持し、手を貸すのだ。」
「貴殿らのそれは支持などではない。利用し、踏みにじるための足場にしているに過ぎん。」
「それが、悪というものだ!!!」
気迫の乗った振り下ろしの剣閃。受け止めたルパートの足場がひび割れるほどの衝撃。
「―――我が剣は刃なれど重く固き鎧なり…!」
動じず。床が割れようとルパートに折れるモノはなにもない。
上位に立ち、押し込もうと意固地になった戦闘員は一瞬反応が遅れる。
「腕前は見事、だが武具は二流品だったようだな。」
鉛滴る大剣は、見目ではわからないほどの高熱を秘めていた。また、鉛は僅かにその刀身を変形させ相手の剣と密着し、離さない。
「貴様――!?」
必死になり剣を引こうとするが遅い、既に接着した剣は抜けず体制の崩れたつば座り合いの上位が入れ替わる。一瞬、僅かな時間もなく戦闘員の剣が熱と圧力によってパキンと折れる。
「貴殿が羽ばたく前に斬れた事、我が誇りとしよう。」
「……見事…っ!」
剣を失った戦闘員に成す術などなく、その身が熱に斬り裂かれる。
「……ふぅ…。」
息の代わりに微量の炎を吹き出す。人の身ならば多量の汗をかいていただろう。
「情報の共有をしなくては、二人以上に襲われてはひとたまりもない。」
様々な力を使うことで消耗した体を休めるためにも、ルパートは身を引きアーレイの元へ戻った。
成功
🔵🔵🔴
フォルク・リア
あまり敵陣に攻め込まず
全体を見まわして物陰や死角、背後に注意。
敵の行動や攻撃対象をよく観察、把握して防衛線を張り
特にアーレイへの攻撃は注意して出来るだけ守る。
生命を喰らう漆黒の息吹を発動して
主に近づいてくる敵に花びらを集中して向け
それ以上接近させない。
また、花びらの届く範囲に撮影用ドローンがあったら
様子を撮影されない様に攻撃したり、
花びらで戦闘を隠して妨害。
支援物資を取りに行こうとする敵や
それを装備した敵は優先的に攻撃。
「戦いは数。とは言うがあまり調子に乗らない方が良いな。
ただ多いだけの敵なら此方も慣れている。」
と言いつつ、敵のダメージの受け方も見て
一体ずつ慎重に仕留めていく。
黒川・闇慈
「守る対象が多いですねえ……なんとも大変な仕事です。クックック」
【行動】
wizで行動です。
私は魔術師ですし、前に突っ込むよりもここで相手を迎え撃つ方がよいでしょう。
属性攻撃、高速詠唱の技能を活用し氷獄槍軍を使用します。
氷の槍を大量に展開して広範囲に攻撃しましょうか。また、相手のドローンが援助物資を運んできたら優先的に撃ち落としましょう。補給もなくいつまで戦えるか、見せていただきましょうか。
「戦闘員の相手をするのは特撮のお約束とはいえ、こう数が多いと辟易するものですねえ……」
【連携・組み合わせ・アドリブ歓迎】
● 咲き誇る氷華
アーレイを守る騎士がルパートであるならば、護衛の如く後衛にて敵を迎え撃つ二人の魔術師は近衛兵とでも呼ぶべきか。
フォルク・リアは隠密を止めて防衛戦に徹する。前を抑える猟兵達をカバーするために術を唱えていく。範囲は広く、決して進行させない為の術。
「ユーベルコード……【生命を喰らう漆黒の息吹】」
術が完成すると、彼を中心に広く、大量の花弁が舞う。舞い散る桜のごとく―――だがその花は色濃く染まっていた。触れたものの命をも奪う死の花。
一人の戦闘員が気づかず肩にそれが触れた途端、膝から崩れ落ち倒れる。
「…! 気を付けろ、この花弁に触れると吸われるぞ!!」
「吸われるってなにが!?」
「生命力的な何かが……うわあああああ!!」
阿鼻叫喚、猟兵の味方を避けて降り注いでも尚、圧倒的な物量を逆手に花弁が戦闘員たちを地に伏せる。
「数だけ揃えてこれでは無様だな。戦いは数。とはいえただ多いだけでは烏合の衆。多数の対処ならば此方も慣れている。」
ゆっくりと無防備に歩く、近づける者は誰もいない。仮に居てもすぐに立ち向かうことはできなくなるだろう。
――――圧倒的、と思いきや状況は変化を迎える。
「ほう、あれは。」
気づいた瞬間、発砲音と同時に顔の横に小さな物体が通り過ぎていく。フードがめくれそうになるが、腕でそっと抑え、発砲音の方を向く。
「銃か。」
増援と共に、武装を携えた部隊が突入してくる。雑兵が減ったことで慌てて用意したのだろう。
「遠くなると舞う花弁が減るし、ああも散開されてると少し困るな。」
手がないわけではないが、周囲を押しとどめている花弁を解除するのは勿体ない。どうしたものかと迷っていると、もう一人の魔術師が歩を進める。
「遠距離攻撃ですか、少し厄介というべきか。私が対処致しますよ。」
黒川・闇慈、先の戦いでがしゃ髑髏を召喚し大暴れしていた彼だが今は後続に控えていた。得意のがしゃ髑髏は仕舞う。制圧には向いているが、さすがに目立ちすぎて的にもなってしまう。
「やりようは他にもありますからねぇ。」
闇慈の手元に魔法陣が生み出される。唱えるのは広範囲かつ遠くの敵を狙える術。
「氷獄の槍は慈悲なく遍く敵を貫く。」
術の名を【氷獄槍軍】。
短縮された詠唱を紡ぐと、無数に展開された魔法陣から数百の氷槍が放たれる。
「炎の次は氷かぁ!!」
「気を付けろ、触れたら氷像になるぞ!」
「撃ち落とせぇ!」
そういえば、別の場所で戦火に炎を広げた鎧の騎士が居るのを思い出し、邪魔しないよう精密にコントロールしながら降り注いでいく。
「冷やしてあげますよ。永久に、ですが。」
当たれば凍結、銃で受けても意味はなし、避けても地面は徐々に凍り付いていく。氷の槍は支援を受けた後方部隊すら容易く壊滅させていく。
「前へどうぞ、道は私が開きますので。」
「感謝する、黒川。もう少しで俺の花弁も届くからな。」
追い打ちをかけるかのように花弁が降り注ぐ。彼らを対処できなかったのが、戦闘員たちの大きな敗因となるだろう。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
六代目・松座衛門
「何か気づいたのか? アーレイ!?」
アーレイから違和感を感じる『オブリビオンソルジャー』の情報を聞き出し、そのソルジャーがいる集団へ、人形「暁闇」と共に攻め込む!
「さっきのヴィランとは、連携の質が違うな! でも、連携が精密なほど、タイミングを乱せば!」
UC「錬成カミヤドリ」で複数の器物「十字形の操作板」を召喚、操作し、「バトル・アクション」なら足元、「デンジャラス・スローイング」なら投擲役の腕や目、「サポート・リクエスト」ならドローンの動力部へ当てることで、連携を崩そう!
「隙あり! 演目「疾風」!」
連携が乱れた隙を見計らって、アーレイが指摘したソルジャーへUC「疾風」を喰らわせる!
●□
ヴィクティム・ウィンターミュート
●□
さて、いっちょ防衛戦といこうじゃねーか
面倒くさい仕事は端役に任せて、主役様はどうぞ、気兼ねなく活躍してくれ
お前らが戦ってくれるほど、鍛冶師にデータが集まるのさ
まずはユーベルコードを展開
奴らに救援物資を届けさせないことに徹する
【ハッキング】でドローンを掌握
撮影した映像を【毒使い】で作った視覚浸食型の電子映像ウィルスに差し替えて、後方部隊とやらの無力化を試み、【時間稼ぎ】
そうしてる内に、俺の『鍛冶師』が強化武装を作り始めるだろうさ
前線張ってる連中にそいつを配布して戦力増強
時間をかければかけるほど、いい武装が出来るぜ?
舞台じゃ端役だが、小道具、脚本、演技指導
何だって出来るのがこの俺さ
● 嵐の前
「何か気づいたのか? アーレイ!?」
松座衛門の問いにアーレイは頷きながら語った。
戦闘員たちの中にネームド候補と呼ばれる一際強力なオブリビオンがいるとの話だ。それを共に横で話を聞いていた少年、ヴィクティムが肩をすくませる。
「おいおい、こいつら端役の自覚あんのかよ。英雄方に一蹴されるのが役目だろうが。」
「その英雄ってのは自分たちのことか?他人事だが、ヴィクティムも猟兵じゃないか。」
松座衛門の問いにヴィクティムは再度肩をすくませて笑みを浮かべた。会話はそれで打ち切られる、戦闘員たちが流れ込んできたのだ。
「期待されてるんだろうか。…いや、自分は自分のやれることをしよう、[暁闇]!」
松座衛門は再び人形、[暁闇]と共に先陣を駆けていく。数の利、そしてアーレイの言っていた強者を放ってはおけない。
「鬼猟流、演目をとくとご覧あれ!!」
まさに一掃。松座衛門が多節棍を振るえば敵は吹き飛び、[暁闇]が腕を振るえば地面に突き刺さる人柱が増える。数合わせのやつらなぞ敵ではない、地力と手数が違うのだ。
「やばイーッ!あいつ強いぞ!」
「イーッくぞお前ら!」
【デンジャラス・スローイング】
戦闘員の一人が仲間の足を掴む。そのままスイングすると、まるで竜巻のように力の奔流が渦となり膨れ上がっていく。
「そいつはやらせないな!」
【錬成カミヤドリ】
召喚した操作盤を手に操る。十字形のそれらが巧みに動き、戦闘員たちの足元を掬いあげ、手元を狂わせる。
「良い連携だな、質がいい。でも、それが仇となるんだ!」
投げられた戦闘員はあらぬ方向へ、残った者達も突如足元から飛んできた無数の操作板にたじたじになっている。その隙を[暁闇]で蹂躙していく。
「よし!あとはドローンも……。」
「おっと、そういうのは俺みたいな端役の役目だ。あんたは主役同士で戦うべきだ。」
後方部隊のドローンへと狙いを定めた瞬間、煙を吹きながら落ちていく。まだ何もしていない、では―――声の先に居たヴィクティムは楽しそうに手元のドローンを弄んでいた。
「解析完了、と。」
「ドローン落としてくれた誰かさんはマジサンキューってな。」
「おっと後続への救援もシャットアウトだ。」
ただ落ちているドローンをカチャカチャと弄りながら呟いているだけに見える。だが、彼の言葉に続き後続部隊から悲鳴があがる、まるで唐突にホラーな画像が映ったかのような悲鳴だ。
「ハッハー、こういうじみーーで面倒な作業は俺に任せて、気兼ねなく活躍してくれよ。ほら、相手方もようやく御出ましだ。」
ヴィクティムが、松座衛門へと言葉を投げかけると同時に、威圧感のある存在が迫ってくる。なるほど、あれがアーレイの言っていた…。
「期待は重いが、やってやろうじゃないか…!」
強者の持つのもまた棒、如意棒によく似たシンプルかつ強固な武器。松座衛門の持つ多節棍とぶつかり、弾き合う。
「くっ……!」
「甘いわ!!」
棒術は互角、だが僅かな疲労の積み重ねが僅かな差をつくる。差を埋めようと放った多節による翻弄、それを絡めとりながら強者の棒が叩き返す。
「しまった!」
手から零れ墜ちる多節棍。[暁闇]に拾わせるが、間に合わない。強者の棒が迫る。
「使いな、英雄。」
視界の端、ヴィクティムの手からベストな位置に何かが投げ渡される。それは棍、今手放したばかりによく似た武器。何故か―――それを考える前に手が自然と棍を振るった。不意を突かれた戦闘員は弾かれた棒に引っ張られ、たたらを踏む。
「使い捨てだが、悪くない性能だ。保障するぜ。」
その言葉を置き去りに、嵐が吹き荒ぶ。
「[暁闇]!二人で決めるぞ、鬼猟流・演目[疾風]!!」
多節棍を握った人形と共に松座衛門は疾風の如く畳みかける。隙を見せた戦闘員が防ぐことは叶わず、夥しい打撃をその身に受けて崩れ落ちる。
「ひゅー、良い攻撃だぜ兄さん。」
その様子を見ていたヴィクティムは感心するように呟き、その言葉と共に松座衛門の持っていた武器が崩れる。
「……助かったよ、良い武器だった。」
「そいつはどうも。さて、粗方片付いたが、どうにも嫌な気配が消えさらねぇ。」
残党となった戦闘員たちからざわめきが聞こえた。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
第3章 ボス戦
『『アイギスの娘』ケイ・ランドエイル』
|
POW : 神は不可侵なり
対象のユーベルコードに対し【盾から純白の光】を放ち、相殺する。事前にそれを見ていれば成功率が上がる。
SPD : 我は光なり
全身を【光り輝く幻影】に変える。あらゆる攻撃に対しほぼ無敵になるが、自身は全く動けない。
WIZ : 汝の敵は汝なり
対象のユーベルコードを防御すると、それを【再現する対象の鏡像を召喚し】、1度だけ借用できる。戦闘終了後解除される。
イラスト:かなめ
👑11
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
|
種別『ボス戦』のルール
記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※このボスの宿敵主は
「💠神楽火・綺里枝」です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
● 神罰の光
「あ、あいつら強いぞ……この数でかかれば倒せるんじゃなかったのか!?」
「追い込んだ我々が追い詰められているではないか!」
残った戦闘員たちのざわめきが広がる。困惑、畏怖、ジリジリと後退していく中、ざわめきが一層強くなる。それは一転して歓喜の声。
「救世主様だ!」
現れたのはその背丈と同等の盾を手に持った女性。異様なその姿が受け入れられている。
「救世主様!もう一度我らに天啓をお授けください!」
歓声をあげる一般戦闘員、そしてネームド化を迎えた強化戦闘員達が盾の少女へ
「もはや他の戦闘員共では歯が立ちませぬ、我々と共に、彼奴らを滅しましょう!」
「あぁ…。あなた達はもう用済みです。」
光――――その手に持つ盾から放たれた光が戦闘員を飲み込み、一瞬で消滅させた。歓声が止まる。静寂が包み込む。
「う、うぁああああ!!」
何かを悟った戦闘員の一人が慌てて逃げ出す。周囲もそれに続こうとして足音が消える。
「逃がしはしませんよ。一人たりとも。」
光の壁。廃ビルを囲んだ白く眩い輝きが、逃げ出そうとした者達を飲み込み、消滅させた。残った僅かな後続部隊は絶望に沈む。
「……そんな、生きてるなんて…。」
「知ってるのかアーレイ!?」
一人の猟兵が問いかける、震えた声でアーレイが頷く。
「盾の聖女とも呼ばれる……かつて大戦で多くの人々を救ったヒーロー、『アイギスの娘』ケイ・ランドエイル…です。」
ヒーロー、だがその気配、力はオブリビオンのそれだ。
「死んだと報道されて……でも、あの盾、姿……忘れない。私の大好きな…ヒーロー。」
涙を流しながらアーレイが膝から崩れ落ちる。彼女の知るヒーロー、だがそれは見目だけだ。
「猟兵、ですね。ご苦労様でした。…もう少し拮抗すると思いましたが、後はあなた方を静粛するのみです。」
「あんたは…正義の味方じゃないのか?」
「正義や悪など、くだらないです。"争いを途絶えさせる"、これは粛清です。」
大切なものが欠けたヒーローが、その大盾を構えた。
ルパート・ブラックスミス
★●□
本物気取りのモドキが。
貴様が掲げるそれは善悪を超えた信念ではない、善悪の天秤も抱えていられない狭量だ。
真の姿を展開し炎吹き【挑発】的に真正面から突撃。
既に見せた大剣も短剣も炎も阻まれるだろう。
なら、それらを【フェイント】にUC【理異ならす凍炎】で炎を反転させた氷結【属性攻撃】、死角から凍る鉛の氷柱で【串刺し】だ。
味方が付け入る隙になれば尚良し。
それと飽くまでアーレイ殿から攻撃を【かばう】のを意識して戦う。
柄ではないが…その姿が彼女の心折るならば、自分が正しき"かつての貴殿"を代行しよう。
騎士とは己を捧げ他を護り乱を治める者。
今、我が背には護るべき者がいる故に。騎士ルパートは貴様を止める。
● 熱く燃え、固く凍る
―――打ちひしがれる彼女に、どんな言葉をかければいいのだろうか。
「アーレイ殿……。」
漆黒の鎧、ルパートは続く言葉が見つからず、ただ庇う様に"敵"とアーレイの間に立つ。
常に彼女の身を案じ、傍で守ってきた。だが所詮は短い付き合い、鎧の中の炎が一瞬揺らぐ。
「―――否。」
言葉はかけない。歩を進めるルパートの背を、アーレイは力なく見上げた。それでいい。言葉なくとも伝えられることはある。
「貴方から望みますか、現世という真の地獄からの脱却を。」
慈愛の中に、それ以上の空虚をにじませた視線がオブリビオン、ケイ・ランドエイルから注がれる。
「黙れ。」
ルパートはツルギを抜き、その大剣を殺気と共に敵へ向ける。怒りに呼応するように、鎧の隙間から青き炎が噴き出す。とめどなく溢れる炎は剣に纏い翼となって広がる。ルパートがその鎧に秘めていた真の姿が解放される。
「怒りは争いを生む。鎮めてあげましょう、その炎を。」
片や盾を、片や剣を両手に、距離を詰めたのは剣―――ルパートが鎧を疾走させる。
「蒼炎の太刀!!」
大剣から伸びた青の炎が刃を象り振り払う。実体のない炎は物理的な防御をすり抜けてその身を焼き尽くす、大盾への真っ当な攻略法だ。
「"神は不可侵なり"」
盾から純白の光が放たれる。危険な光、有象無象のオブリビオンを消滅せしめた光だ。
「―――!!炎が…!」
盾へと迫った炎が光りに飲まれてかき消させる、光もまた飲み込むことで消滅するが剣は物理的な攻撃として大盾にその切っ先が防がれる。鈍い音をあげながらも盾は微塵も揺らがない。
そこで、ルパートは気づく。自身の鎧の一部が僅かだが削り取られていることに。炎を飲み込んだ光が、僅かに残ってかすっていた。
「(かすっただけでこの威力…。)」
「あ、あの神盾の光は……ただ攻撃を飲み込むだけだったのに……。」
アーレイの声がか細く後方から聞こえる。オブリビオンになったことでその正義の象徴は、凶悪さを開花させたようだ。
「我が神の光は、あらゆるものを食み、万物を消滅させる光。」
大盾が再び光を纏う。触れている切っ先が溶けるように光に包まれ――――――
「貴様が掲げるそれは信念ですらいない。」
ルパートに纏う炎が鎮まる。諦めか、否!
「【理異ならす凍炎】」
光の進行が止まる。溶けようとしていた剣はより強固な守りを得て、触れている大盾の輝きを覆うのは氷。
「――善悪の天秤も抱えていられない狭量だ。」
燃え滾る怒りを超越し、冷え切った心が淡々と言葉を吐き捨て、体を動かす。
大盾はその大きさ故に、氷結が地面へと接して固定させる。強引に引きはがすまでの刹那、僅かな時間を持ってルパートは適切に攻め立てる。
「これ以上、アーレイ殿の憧憬を汚すな。貴殿は氷獄へ眠れ!!」
側面へ回り込み一閃、氷結の力を最大に発揮した一撃は対象を瞬時に凍り付かせる。
「"我は光なり"」
剣閃は重たい何かに阻まれ、氷結がかき消される。ケイ・ランドエイルはその全身から光を放って攻撃を防いだ。
「我が光、神盾でのみ扱えると思いましたか?」
眩い光は盾を解氷させる。優勢を崩され、ルパートは再度氷を纏いながら呟く。
「一筋縄ではいかんか。」
大成功
🔵🔵🔵
ヴィクティム・ウィンターミュート
●□
へぇ、かつては伝説的なヒーローだったってわけかい
それが今じゃ、オブリビオンで?
妄執に囚われちまってるか
悪ィけど、死人が未練がましく「現在」を侵しにくるもんじゃあねえぜ
ここで消えやがれ!
幻影になって攻撃をやり過ごされてもめんどくせえ
UC起動、使用プログラムは…あぁ、掘削用プログラムか
元々は地下から侵入の為に、どんな物質だろうと瞬間的に掘削と埋め立てができるものだ
幻影になって無敵になる?なら地中に堕としてやる
奴が無敵になった瞬間【早業】で直下を【破壊工作】で掘削
さぁどうする?
出てこないと埋めるぜ?
動けないんじゃ、"争いを途絶えさせる"なんてできねえなぁ?
お前が無敵になる度に、俺はこうするぜ?
富波・壱子
●□×
一番被害の少ないであろうアーレイの側に位置取り、味方が戦闘している間にUCによる未来予知を繰り返し標的との戦闘を何度もシミュレーション。敵の攻撃を回避しダメージを与えられるパターンを探ります
途中で味方がどれだけ傷ついても眉一つ動かしません。狙い澄ました攻撃を命中させることだけ考えます
あなたが誰であるかを知りません。私はこの世界の人間ではありません
何が正義であるかを知りません。あなたと戦うのは善の為でも悪の為でもなく、単なる依頼の遂行です
そこにいるアーレイが、あなたをどう思っているかを知りません。例えどう思っていたとしても、躊躇いなく殺します
解析完了。今はもう、あなたのことを知っています
黒川・闇慈
「正義や悪などどうでも良いというのは私のような胡散臭い人間ならいざ知らず、ヒーローの言葉としては不適切ですねえ。今の貴女に言っても詮無きことかもしれませんが。クックック」
【行動】
wizで対抗です。
さてさて、こちらのUCを再現はできても威力や精度はいかほどなのでしょうねえ。ここは乱打戦に持ち込みましょうか。
属性攻撃、全力魔法、高速詠唱の技能を活用し、氷獄槍軍を使用します。
相手が同じUCを使うならば、同じUCをより強く、より速く使用することで対抗いたしましょう。
「魔術師でない者が魔術師に魔術で対抗する。いやはや愚の骨頂というものですねえ。クックック」
【アドリブ歓迎】
● いずれ氷が解けるように。
黒鉄の騎士が苦渋の声をあげたと同時に、戦いに転機が訪れる。
地面に亀裂が入る、亀裂は瞬く間にケイ・ランドエイルの足場を飲み込み沈んでいく。無敵の術は全てを拒絶するが、自身の真下だけは例外だ。
「…!!」
気づけばその足元からは固いものを削る音、何かが凄まじい速さで地面を掘っていたのがわかる。
「妄執に囚われちまうと足元までお留守になるのかよ元伝説のヒーローさんよ。」
下半身の埋まったケイ・ランドエルを見下ろす男、ヴィクティムが何かの装置を手に言葉を吐き捨てる。
「そら抜けだせよ。だが足を止めた瞬間、掬いあげてやるからよ。それともそのまま埋めてやろうか?」
暗に先の技の対策はしたと言葉と視線を叩きつける。
「卑劣な。好戦的なその態度、滅せねばなりませんね。」
光が穴から溢れ出す、触れてはいけない光から離れるために後方へ下がる。
「甲冑の兄さん、今のうちに下がってな。あいつは一人でやりあっていい相手じゃない。」
「かたじけない。」
傍にいたルパートが氷の力を抑え、傷だらけの鎧を引きずるようにアーレイの元へ向かう。時間は稼げたがその代償として殺意の籠る視線を受ける。
「触れると消滅する光、対策はわかるが……苦手な部類だな、どうしたものか。」
悩ましげに指をこめかみに当てる、無理をする場面か否か考え込んでいると、第三者の足音が近づく。その美しい横顔はヴィクティムにとっても見知ったもので―――。
「……ヴィクティム、居たのですか。」
ただ一転、ケイ・ランドエイルだけを見ていた壱子が接近してようやく気付いたヴィクティムに一言をかける。
「おいおい、目立たないのは本望だが俺は最初から居……ってあぁ、今は"そっち"か。」
短いやりとりで何かを納得したようにヴィクティムが頷く。もう既に壱子の視線は彼を向いてはいない。この淡白さ、普段の壱子にはない様子から以前に見た"別の壱子"である事を即座に察する。
「解析は完了しました。私が前を、あなたが後ろを、構いませんね?」
「はっ、勝率をあげるためにか?嫌いじゃないぜ、そういう思考。」
壱子が前に出る。構えたのは一振りの刀剣のみ。ただそれだけで十分だと言わんばかりに。
「先ほどの甲冑の方が奮闘してもらったおかげで、もう見えてます。」
「戯言を。」
神盾から光が溢れる。放出型の光は地面を削り空間を削り壱子へ迫る。
―――――斬ッ!!!
削り取られた空間に光が満ちる。拡散した粒子、光だった何かはただ一刀の斬撃にて打ちはらわれた。
「……その光、相反する力を持って物体を消滅させていますね。つまり、相応の衝撃を与えれば自然と消える。」
言うは易し、だが散らばる光が肌へ触れれば取り返しのつかないことになるのは想像に難くない。
「正気ですか。先ほどの者のように鎧があるならばとかく。」
「彼はあの場において最適な人選と働きでした。しかし、種されわかれば面積は薄く、素早ければ尚よし。」
ともに冷徹に判断を下し、感情のなき討論の間にも光と刃はぶつかり合い。その素早さを持ってケイ・ランドエルを足止めしている。
「いやいや。光を斬るなんて芸当、波の技術と度胸じゃできやしねぇよ。俺があれをやろうと思えばどんだけ覚悟がいるんだか。」
指先が僅かに狂えば光に飲まれる――そんな状況で尚、壱子の切っ先に迷いはなく。恐怖程度では指先の震えを起こす事がない。スイッチの入った彼女ならばの芸当か、ヴィクティムがそう考えているとケイ・ランドエイルに異変が訪れる。
「駄目、これでは、止められない。まだ、まだ足りない…!」
光が溢れる。盾からではなく全身からかつてないほどの光が。
「おっと、そいつはさせねぇよ!」
即座に地面に設置していた工作機が地面を抉り穴を開けようとして、反応がなくなる。穴は開けた、開けた、が!
「……おいおい、クソッタレ!地面ごと消滅させやがった!」
地面をも飲み込み、すべてを拒絶する光は重力すら否定する。僅かに浮かび全身から光を放ち続けるケイ・ランドエルに二人は
「光広がってきてるが…どうする?解析は完了したんだろ?」
「……本来あり得ない出力ですから。規格外はもう一度見直さないといけません。」
無表情だが少しだけ顔を逸らす姿は普段の彼女を彷彿とさせる―――そんな事を考えている間にも光は迫り、どうしたものかと思考が急ピッチで動き始めと同時に気づく。
冷気が世界を覆っている。
「――――氷は効くのでしょう?」
稼いだ時間に意味が生まれる。巨大な魔法陣を背に、一人の青年――闇慈が存在感を露わにした。
「…!?」
空中に浮かびケイ・ランドエルの服に霜が生まれ、次第にその肉体が氷に包まれていく。その氷結には光の影響がない、何故か。
「あなたの体、正確にはその表面には光が影響していない。先んじて戦ってもらったルパートさんのおかげでわかったことですがね…クックック―――おや。」
愉快な表情で見る闇慈に対して、ケイ・ランドエルは対抗を行う。彼女の放っていた光が人型へと変化し、それは闇慈を象る。
「……魔術師に魔術で対抗する。愚の骨頂というものですねぇ。」
クックッと笑いながら闇慈は氷と同時に術を奏でる。
「魔術師もまた、世界に災厄を齎すもの。滅ぼさねばなりません。」
「正義や悪などとは無縁な私だからこそ言いますが、それは貴女のようなヒーローが言ってはいけないことですよ。」
氷が、炎が、地面から突き出す鋭利な岩が、ぶつかり合い消滅し合う。
「…さて、私が引き受けておきます。後はお任せしましたよ。」
もはや全身を氷に包まれ、光を放つことはできず、力任せに拘束を解こうとするのを抑えているのみ。
闇慈の言葉を受け、ヴィクティムと壱子は無言でうなずき合う。
壱子は刀剣を、ヴィクティムは短刀を構え、一息に間合いを詰める。
「あ……」
後方にいたアーレイから零れるように息が漏れる。二振りの斬撃は氷ごとケイ・ランドエルの身を穿った。
「……あぁ…また……守れなかった……。」
焦点の合わぬ視線で、ケイ・ランドエルは崩れ落ちる。その身は自身が消滅させた地面へ墜ち、粒子となって消えていく。
「……貴女は、私を守ってくれましたよ……。」
アーレイはふらふらと、穴へと近づき涙を落とす。その体を落ちぬよう、壱子が慈しむような表情で支える。
● 夢は一歩先へ。
「アーレイ殿。」
誰も声をかけれぬその姿に、ルパートが膝をつき視線を合わせる。言葉はない、ただじっと兜の中、見えぬ眼を合わせ。
「……。えぇ、大丈夫。私、決めたわ。」
蹲っていた姿勢を起き上がらせる。
「今回の事件……ううん、それだけじゃない。あなた達が戦っているオブリビオンってやつらの事、記事にする。」
赤くなった跡だけが残り、その表情には強い意思が瞳に宿る。
「危険ですよ?えぇ、今回のようなことが恐らく今後もあるはずです。」
「……えぇ。むしろ他の人に任せるわけにはいかないわ。その時は、また守ってくれるかしら?」
面を食らったような表情で闇慈が微笑む。
「クックック、それなら構いませんよ。きっとその時は、猟兵の皆さんが守ってくれるはずです。」
「わ、わたし!わたしも守るよアーレイ!」
「えぇ、ありがとう壱子、嬉しいわ。だから申し訳なさそうな顔はしなくて大丈夫よ?」
声をかけれず、罪悪感で胸を締め付けられていた壱子が振り絞るようにいった言葉を、柔らかく受け止める。
「う、うん……。ありがとう…ごめんね。」
「貴女が謝るようなことはないわ。いいのよ、大丈夫。壱子のおかげで、私の憧れが汚れずに済んだんだもの。」
優しく慰め合うように抱きしめ合う。
「女の友情ってやつかね。美しくて、輪に入るタイミング逃しちまったよ」
ヴィクティムが一人離れたところで小型PCのようなものを弄る。
――――おっと、なにをしているかって?なぁに、ちょっとしたおせっかいさ。
直にアーレイは大きな仕事を成すことになるだろう。その折に、どこからか助力や情報操作が入っても不自然ではないはずだ。そうだろう?
大成功
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