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未開の大地を切り開こう④~世界を穿つ穴~

#アックス&ウィザーズ

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#アックス&ウィザーズ


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●高飛び準備中。
「クソ!、まさかあのミノウが倒されるとは…アイツにはまだまだ働いてもらうつもりだったと言うのにっ!」
「か、カルロス様、落ち着いてください!」
「落ち着いてなどいられるか!、ここから離れねばならなくなったのだぞ!、『永遠の楽園』から最も近きこの地を!!」
「し、しかし…今、奴らに捕まってしまったら、それこそ我らが『永遠の楽園』に入る好機を失ってしまうのです!」
「…解っている、次の取引で最後だ、次からは新天地で一から販売ルートを立ち上げねばな…」
「最期の奴隷船は3日後に到着する予定です…取引が完了し次第…」
「ああ、その船でこの街をたつ…捕まってたまるか、楽園はすぐそこなのだ!」

●グリモアベースにて。
「と、言う訳で…例の北の地に奴隷を売りつけていたクローズ商会が、次の取引を最後にして逃げ出そうと計画中なのじゃ」
 オブリビオンに対して奴隷を売り払う等と言う、人類への、世界への裏切りとも言える行為を繰り返していたクローズ商会であったが、開拓村の自警団と、港街『モジャーポート』の警備隊との合同調査によって追い詰められ、今まさに国外へ逃げ出そうとしているのだ。
「無論、逃がさぬ…最後の取引に使われる『奴隷船』の所在も既に抑えておる、お主らはこれに乗り込み、そのまま『モジャーポート』向かい取引現場を抑えて、クローズ商会会長『カルロス・クローズ』及び、取引に来たオブリビオンどもを捉えて欲しい」
 オブリビオン…とは言っても、お使いに来ている程度の存在なので猟兵ならばまず負ける事はないだろう。
「負ける事はないと思うが、決して逃がさぬようにな…逃げ延びて『北』へ帰られると、『北』の連中にわしらの存在が知れ渡ってしまう恐れがあるのじゃ」
 むしろ、雑魚故に猟兵と知れば、逃げ出す事を優先するであろう。
「船の方は船員は人間だけじゃし、所詮は雇われの小悪党じゃから脅せば言う事を聞くじゃろうし、買収も可能じゃろうな…じゃが、それよりも…」
 バレたらすぐに尻尾切りが出来るように違法業者を雇っている様だが、それ故に簡単に寝返る様な連中が奴隷船の船員らしが、そんな船員よりも重要なのは奴隷たちであるらしい。
「奴らは、先のミノタウロスの様なモンスターに依頼して村を滅ぼし、生き残りを奴隷として売りはらうなんて真似をしていたようじゃが、その滅ぼされた村がドワーフの村じゃったらしくての…」
 現在、開拓村は急成長を遂げてはいるが、金属加工と言う分野おいては何の技術もない…故に、その手の技術にめっぽう強いドワーフという人材を招けるのならば招きたいのだ。
「目的は勿論、クローズ商会を潰し、奴隷販売ルートを潰す事じゃが…余裕があったら、村への勧誘等も頼みたいのぉ」
 精錬や鍛冶等は勿論、様々な『職人』が居るドワーフ達、村に招きたい技術者を勧誘することは村の発展において大きなアドバンテージとなるであろう。
「では、奴隷船が出航する街に転送するのじゃ…どうにかして船に乗り込み、この悪しき取引を叩き潰すのじゃ!」


マカロニ男爵
 キャンペーンの4回目です、先ずは奴隷船に乗り込み、取引現場を抑えて叩きつぶしちゃってください。
 今回の流れは…。

 1章:奴隷船に乗り込み、取引現場を押さえて潰す、序でに『職人』を勧誘。
 2章:村の東にあると言う謎の縦穴、ここに金属資源あるので探査&開拓パート。
 3章:縦穴に住まうドラゴンを退治して、鉱山として使えるようにする。

 と、なっております。

 キャンペーンシナリオですが、参加キャラの固定などはございませんので、どなたでもお気軽にご参加ください。
 開拓ルールや、詳細はマスターページに記載しております。
 (https://tw6.jp/scenario/master/show?master_id=msf0019617)

●③終了時点での村のステータス。
 【防衛:26】。
 【経済:33】。
 【文化:56】。

●村スキル。
 製紙Lv6 料理Lv6 情報伝達Lv6 乳製品Lv5 自警団Lv5 布加工Lv4 基本戦術Lv4 拠点防衛Lv3 衛生Lv3 防壁Lv3 リンゴLv3 医療Lv3 冒険者Lv3 温泉宿Lv3 商業Lv3 識字率Lv3 教育Lv3 サーカスLv2 濠Lv2 物見櫓Lv2 農業Lv2 団結Lv2 ミニスラ浄化槽Lv1 土嚢Lv1 逆境Lv2 小麦Lv1 オリーブLv2 調味料Lv2 弓兵Lv2 牛Lv2 アルパカLv2 鳩Lv2 ワニLv2 ロリコンLv2 集会所Lv1 避難所Lv1 羊Lv1 ヤギLv1 ゾウLv1 ガチョウLv1 建設技術Lv1 肥料Lv1 地図Lv1 牧場Lv1 綿花Lv1 火炎瓶Lv1 罠作成Lv1 火計Lv1 積極攻撃Lv1 不屈Lv1 財政管理Lv1 酒造Lv1 アイドルLv1。

●ファンタジー動物。
 黒古臭虫Lv1 氷雪鶏Lv1 牛キノコLv1 風魚Lv1 ヒーリングフィッシュLv1 アラームバードLv1 ユニコーンラビットLv1。
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第1章 冒険 『奴隷船の行く先は』

POW   :    奴隷のふりをして船に乗り込み、村人の解放に奔走する。

SPD   :    誰にも見つからぬよう隠密行動をとり、船内部の情報を収集する。

WIZ   :    奴隷商のふりをして船に乗り込み、取引先の情報を探る。

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種別『冒険』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

キキ・ニイミ
(…ボクは元々動物園の動物だった。ボクは皆から凄く大事にして貰ったし動物園の皆は大好きだけど…でも…ボクもある意味では奴隷と同じなのかな?)

何馬鹿な事考えてるんだ、ボクは!
依頼に集中しないと!

『てぶくろ』で連携。

【ゲームデバイス】で具現化した奴隷服に<早着替え>し、遥さんと一緒に奴隷のふりをして船に乗り込む(その後は別行動で)。
【チャーミングアタック】と、<学習力>で覚えた【ロリコン】の知識を駆使して船員を<誘惑、挑発>し、情報を引き出したり、可能なら<操縦>で操ってみる。

その後も≪ゲームデバイス≫からのメールで遥さんの≪スマホ≫に連絡しながら、<失せ者探し、救助活動>で村人さん達を探すよ。


如月・遥
『てぶくろ』で連携。

村をモンスターに襲わせて、そこで捕まえた村人達を奴隷にするだなんて許せない連中だね。
絶対に見逃すわけにはいかない。

私も奴隷のふりをして(キキの≪ゲームデバイス≫で私の分も具現化してもらう)船に乗り込み、キキと手分けして船内を探索してみよう。
<コミュ力>で船員達からそれとなく情報を引き出しつつ、可能なら<催眠術>での<操縦>を試みる。
その一方で【幽体離脱】で生霊に船内を回らせて<情報収集>。
その情報を≪スマホ≫からキキの≪ゲームデバイス≫にメール送信したり、<撮影>した映像を送ったりして連絡を取り合いながら、村人達を<救助活動、失せ物探し>で探し出すよ。


モルツクルス・ゼーレヴェックス
「どもども!この船が北に向かうって小耳に挟んだんすけど!」
冒険者装う【礼儀作法】と【コミュ力】で乗せてほしいと頼む
袖の下も躊躇わない
船に乗ったら早速ドワーフを含む奴隷達を探す
船の船員見咎められ誤魔化せないなら【睡眠雲】を【高速詠唱】で眠ってもらう
「はっはっは!天使見参っす!」
助けに来たヤツはとことん明るくあるべきっす
絶望沈んだ彼らが希望を感じられるように
「ぶっちゃけ助けに来たっす。もう安心するっすよ!……自分で言うのもなんっすけど、こんなバカっぽい悪党はないっす!」
きっとお腹減ってるっすよね
【超光霊糖】を皆に振る舞う
必要なら、そして可能なら【世界運営】から物資を提供

敵はチョコ(物理)で一網打尽


アララギ・イチイ
潜入ミッションかぁ、苦手なのよねぇ(溜息

船員を買収するわぁ
【変換術・ユーベルコンバージョン】で買収、口止め料(依頼後に成功報酬有)の高価な貴金属類を作り出して、それを渡す様な感じねぇ

で、買収した船員に、私を奴隷扱いで奴隷船に放り込む様に指示よぉ
念の為、奴隷らしい格好に【変装】しておくわぁ

船に乗り込んだら【召喚・ニンジャ~】で忍者を召喚、取引場所や証拠の品を集めさせておくわぁ
情報が集まったら、取引現場に乗り込んで、一人も逃さない様に忍者と協力して包囲よぉ

奴隷ごっこしている最中に【コミュ力】ドワーフの職人と交流して、上記の成功後に良い開拓の村があるのよ、貴方も来ないぃ?、って感じで勧誘してみるわぁ


敷島・初瀬
「船ごと消毒したいであります(*´Д`)ハァハァ」
発作が出てますがここは我慢であります。

スニークミッションに挑むので今回はギリースーツにナイフの蛇ごっこ、段ボールは無いので樽の底を抜いて代用であります。
基本は樽の中に入ったまま移動し敵をやり過ごし、排除する際は物を投げて音を出し注意を引き背後に回って喉を掻っ切り、死体は入ってた樽かそこらの樽に放り込むであります。

情報収集は船の構造と奴隷の位置と数の確認を重点的に、そのついでに船のボートや船内の至る所に爆弾を取り付け奴隷救出後の後始末や逃げられそうになった際に爆破できるようにして置くであります。

(アドリブ、絡み大歓迎です) 


ティエル・ティエリエル
「もう!奴隷の売買なんて絶対絶対ダメなんだから!」
密猟者によく狙われるフェアリー族ということもあり、奴隷商人相手には怒り心頭!絶対逃がさないよ!

背中の翅で羽ばたいて、こっそりと甲板に忍び込むよ☆
隙を見て【破壊工作】で帆やロープなんかを切り裂いて出航の邪魔をしちゃうね♪
その後は船内に浸入、小さな身体を利用して物陰から物陰に移動しながら奴隷商人達を探すよ!

勧誘する『職人』は武器を作れる職人さんがいいかも!
自警団の人の武器作ってもらってパワーアップだよ!クロベルのお友達になってくれるような子だとさらにいいな~

※アドリブや他の方との連携も大歓迎です


トリテレイア・ゼロナイン
奴隷商人達に悪事のツケを払わせる時が来たようですね
ですが万が一にもオブリビオンを取り逃がすわけにはいきません、はてさてどうしたものか……

取引現場を抑えるのは他の方に任せ、逃走防止に重点を置いて行動
モジャーポートの警備隊に協力してもらい、奴隷船の近くの逃走経路に使えそうな道に事前にUCの発振器を設置していきます
外見は壁ではなく杭なので一味の警戒を煽ることは無いはずですが念には念を
●破壊工作の知識で目立たない様に設置

作戦決行時には電磁障壁を展開し、陸路での逃走を防止
海に飛び込もうとする無謀な方は●スナイパー技能での射撃で阻止

奴隷達には「北」の惨状を説明し、解放に力をお借りしたいと説得します


レイチェル・ケイトリン
船にのりこむひとたちのバックアップするね。

ほかの猟兵さんたちにおっかけられてにげだすとき、オブリビオンが水にとびこもうとするかもしれないよね。

もぐられちゃうとこまるから、船のそとでまちかまえて、「念動力」で熱運動を止めるユーベルコード「絶対零度」で動きを止めて、水に飛び込まれても氷の浮力でうかびあがらせるの。


ドワーフさんたちについては、これがはじめてとはおもえないんだよね。

もう北におくられちゃったドワーフさんたちもいるんじゃないかなって。

前に撮った写真やクローズ商会の記録をみて、「北につかまっちゃってるドワーフさんたち」の情報をおしえてあげるの。

ドワーフさんたちには知る権利があるとおもうもの。


トリガー・シックス
『インターセプター』の光学迷彩で姿を消し、【忍び足】で足音も消して移動し、船内に侵入して隠れる。
クローズに会ったら【恐怖を与える】程の冷たい【殺気】を向けながら表情を変えることなく『メメント・モリ』を向ける。
呼び掛けにも答えず、無言、無表情で胸に銃口を向け続ける。

それはあの時、邪神との戦いで見せたのと同じ感情。
それは奪いし者達への怒りと犠牲者達への悲しみなのか。
無言のまま、引き金を引き、足を撃つ。
「……今は殺さない」
そう、今は……何れは殺ると宣告している。

数日間、音信不通でギリギリで飛び乗ったらしい。
怒るのは……

※アドリブ、絡みOK


エルーゼ・フーシェン
奴隷になりすまして船に乗り込むわ。
ドワーフたちと会えたら、開拓村について話してみる。
北にいる人たちを助け出すにも協力してもらいたいし、帰るべき場所もないなら尚更放っておけないから。
【誘惑】で船員を引き込んでおこう。何かの役に立つかもしれないから。
取引が始まったらオブリビオンを捕えないと!
『最後の願望』でリヴェンを呼び出してサイキック能力で逃げられない様にしてやろう!
「ほんと、どこに行ったのかしら……」
デートすっぽかして……行方も分からなくなって……。
叱ってやるんだから!色々あるだろうけど、受け入れるくらいできるわよ!

※アドリブ、他の猟兵との絡みOK


メタ・フレン
その奴隷のドワーフ達の中には女性もいるんですかね?
ドワーフの女性は成人しても背が低くて童顔の、いわゆる『合法ロリ』が多いと聞きます。
丁度私とクロベルだけでは【アイドル】活動にも限界があると感じていたところです。
これを機にドワーフの女性達をスカウトし、芸能プロダクション設立を検討してみましょう。
これで【ロリコン】共からの搾取が更に捗る筈…!

まあそれも奴隷達を救出しない事には話になりません。
【バトルキャラクターズ】でスパイや忍者のキャラを出し、全員に光学<迷彩>を施して船内に潜入させ、<情報収集>。
<失せ物探し>で奴隷達を探し、救出後は取引現場を押さえ悪党共を<ロープワーク>で確保します。


二天堂・たま
ドワーフか…。職人達がいれば、ミノタウロスに破られた城壁を堅固に出来るな。
竜骨と弦を用いた大型の弩を作り、迎撃兵器も作れるかもしれん。
開拓村は北のモンスター地帯との防衛ラインだ。突破されればモジャーポートも壊滅、船を出す事も出来なくなる。

さて…最後の取引となればかなりの人数が囚われているし、奴隷の居場所も一か所ではないだろう。
UC:親指チックを複数召喚、奴隷のいる箇所に潜入させよう。
相棒と居場所の交代と、UC:妖精の里の中に奴隷たちを収容を繰り返せば奴隷の確保は可能だ。
コミュ力を活かして勧誘し、協力を渋るようなら多少のいいくるめは必要かもしれん。
開拓村なら生活には困らんぞ。飯も酒も、宿もある。


空雷・闘真
闘真は船内に忍び込んで隠密行動を取る事にした。
先日ユニコーンラビットを捕獲する際に習得した、気配を消す方法を試してみたかったのである。

<目立たない>よう<忍び足>を使い、僅かな音も立てないように<ダッシュ>。
【空雷流奥義・天】で船内にいる者達の『気』を察知し、見つかりそうになったら天井まで<ジャンプ>して、そのまま≪神如き握力≫による<クライミング>でへばりついてやり過ごす。
そして<聞き耳>を立てながら<情報収集>。

そうして誰とも戦わず、静かにこの任務を終える。
それが今回の闘真の目的だった。

(コソコソ隠れるなど、性には合わんと思っていたが…)

意外な手応えを感じてる事に、闘真は思わず苦笑した。


秋山・軍犬
日持ちのしそうな
飲料・チーズ・パン・干し肉
干し果物・その他(料理)(村人&軍犬産)
をUC【深夜の夫婦漫才】ジョン&ナンシーに
持たせて自分の中に送還しておく

んで奴隷として奴隷船にGo
監視の目を盗み再びジョン&ナンシー召喚
奴隷さん達に美味い飯で
体力と元気を取り戻してもらう&護衛。

…ドワーフの勧誘?
酒はねーっすよ?バレるバレる
開拓村になら…あ~、なんなら後で仕込むっすかね?

で…カルロス達っすけど
戦力的には問題ねっすけど
一人も逃がせないって…頑張って限界超えて音速で…

え?んな簡単に限界超えられるかって?
大丈夫この…アルパカステーキ黒古臭風味があればね!

でも作戦ガバガバだからアドリブ&他者と共闘歓迎な。



●船員の買収工作
「どもども!この船が北に向かうって小耳に挟んだんすけど!」
「そこの船員さん、ちょっとお話いいかしらぁ?」
 冒険者を装う、モルツクルスとアララギは積荷作業を行っている船員に声をかける。
 船員は怪訝そうにするものの、モルツクルスのノリと、アララギの話術に丸め込まれて話を聞く事になったが、それは予想外の申し出であった。
「あ?、奴隷として乗せてくれだぁ?」
「ええ、これでお願いできないかしらぁ?」
「こ、こいつは…う、うーん、嬢ちゃんも物好きだな、趣味にしても倒錯過ぎだぜぇ?、本当にいいんだな?」
「ええ、お願いよぉ」
 アララギの【変換術・ユーベルコンバージョン】によって作られた金貨を握らされ、怪しみながらも船員はアララギとモルツクルスを船に乗せようとしていた…が。

「待ちな、って言うか待て、アホかお前、どう考えても怪しすぎるだろう!?」
「げげっ、キャプテン!?、で、でも金貨が10枚だぜ!?、それに別にクローズ商会なんて裏切たって…」
「あほ、そのクローズ商会の連中だったらどうすんだって話なんだよ!」
 船員の上司と思われる男から、待ったがかかった…簡単に買収された船員に比べると頭が回るようだが…おかしい、警戒すべき対象に官憲ではなく、クローズ商会の名が真っ先に上がっているのだ。

「…とは言っても、クローズ商会の奴らなら買収などしないで普通に入り込むか…」
「ちょっと、妙な反応っすね…もしかしてクローズ商会と揉めてるんっすか?」
「………」
 黙秘、だが…その反応でだいたい察する、簡単に買収された船員もだが、明らかにクローズ商会に対して悪感情を抱いているのだ。
「……こちらの目的も話すっすから、ちょっと話を聞かせてもらっても良いっすかね?」
「…ちっ、嫌な予感しかしないが、これも好機かもな、わかった…こっちに付いてこい」
 苦虫を噛み潰した様な顔のままキャプテンと呼ばれた男はそう答え、人気の無い場所へモルツクルスとアララギを連れて行く。

「…そうか、最後の取引か、どうも最近は何か焦っているとは思ってはいたが…」
「じゃ、じゃあ!、俺らもやっとこの仕事からオサラバだな!」
「ああ、オサラバだろうな…俺達に全部の罪を着せてドロンだろうよ」
「そ、そんなぁ…」
 彼等は、元々は零細の海運業者であったが、クローズ商会の買収工作によって会社を乗っ取られ、更には娘まで人質に取られ、非合法の品を運ぶ裏稼業をやらされているらしい…イザとなったら罪を被せて尻尾切りにされる、そんな予感を感じながら。
「で、どうやら、その日が来ちまったようだな…」
「そうみたいねぇ、じゃあさ、船に乗せて貰う代わりに、船内のクローズ商会の手を探って、尻尾切りを防いであげるってのはどうかしらぁ?」
「そうっすね、娘さんの方も自分達が救出するっすよ!」
「いや、これが最後の取引となると、娘はもう…」
 キャプテンは辛そうに肩を落とす…、向こうはもう、こちらを切る気で居るのならば必要のなくなった人質など、既に始末している可能性が高いのだ。
「希望は捨てちゃダメっすよ、例えそうだったとしても、最後まで助けるよう努力させてもらうっす!」
「私達はどのみち、クローズ商会の金や人の動きは全部追わないといけないしねぇ…例え断ってもやらせて貰うわよぉ」
「それは有難いが、大丈夫か?、奴隷としてとなると、当然自由も奪われるぞ?」
「そこは大丈夫っすよ、色々手があるっすから…それに、他の仲間は既に紛れ込んでるそうっすし」
「「え?」」
「私は潜入って苦手なのよぉ、で、こういう手段を取ったんだけど…」
「お陰で有益な情報を獲れたっすね、何より船員の中に協力者が出来たのが何よりっすよ」
 笑顔で返すモルツクルスとアララギに困惑する船員とキャプテン…特にキャプテンの方はクローズ商会の動きに警戒したりなど、割と真剣に周囲を探っていた筈なのに、既に侵入されていると告げられてしまったのだ。
「そ、そうか、それは頼もしくて何よりだが…恐らく、俺達も出航時には操船業務以外の行動には制限がかけられるだろう…協力と言われてもなぁ」
「OKOK、寧ろ好都合っすよ、それはキャプテン殿達が強制させられている証拠にもなるっすからね!」
「船内を自由に動ける奴らが怪しいって事ねぇ、情報感謝だわぁ」
 自分としては、厳しい状態だと告げているのに、ポジティブな答えしか返してこない二人に苦笑いをするしかない…自分達の命運はこの二人と、その仲間にかかっているのだ…コレが実力に裏付けられた自身だと信じる事にする。
「っと、あ!、おい、さっきの金貨は返却しろ!、逆にこっちが頼む状態になったんだぞ!」
「ええ~、う、ううぅ、残念だけど、仕方ねぇ…」
「あ、それ、魔術で作った偽物だから別にいいわよぉ、ほら…」
 キャプテンに促され、金貨を返却しようとした船員であったが、その金貨が目の前で土塊となって崩れ落ちた。
「ええ!?、さっきまで明らかに金の重さと手触りだったのに!?」
「只の悪党だったらそのまま騙してたけど、そう言う事情なら贋金を使わせるわけにも行かないからねぇ…それじゃ、奴隷部屋まで案内してねぇ」
「は、ははは…分かった、案内しよう」
 ちょっとの接触だけで、完全に手玉に取られている状態でもはや笑うしかない、しかし、それ故に頼もしくもあると、キャプテンは奴隷の中に二人をこっそりと混ぜながら思うのであった。

●第一の奴隷部屋
「あ、遥さんからのメールだ、どれどれ…」
 『ゲームデバイス』から呼び出した奴隷服を身に包み、既に船に侵入していたキキは、同じ方法で侵入している如月から受け取ったメールを読むと、同じ部屋に収容されたモルツクルスから聞いた情報が書かれていた。
「ふむふむ、奴隷部屋は全部で4つ、私達が居るこの部屋と、如月とモルツクルスがいる部屋、で、アララギはここに居ないから、この二つ以外の部屋に居るみたいね」
 キキと同部屋だったエルーゼにもその情報が伝わる、どうやら四つの内、三つには既に猟兵が侵入に成功しているようだ…出来る事ならば、四つの部屋全てに猟兵を配置して奴隷達の安全を確保しておきたい所だ。
「うん、あと一部屋抑えれば…だけど」
「…なるほど、運送会社の人は人質を取られて無理矢理働かされいるのね…」
 今、自分を見張っている船員はどちら側なのか、それを聞き出して敵味方を確り区別付けておきたいし、運送会社側の人間にはこちらの目的を伝えて協力をして貰った方が、この後の仕事がやりやすくなるであろう。

「ねぇ、少し話を聞きたいんだけど…」
「あん?、何だ自分が何処に売られるかとかか?、それは俺も……」
 エルーゼは見張りの船員に話しかけると、船員は軽くあしらおうとするが、エルーゼの方を振り向いて固まる…美しい容貌に加え、その豊満な胸元をチラッとだけ魅せられただけで、自然と生唾を飲み込み、誘惑されてしまったのだ。
「あら?、知らないの?、自分の船の商品だと言うのに…」
「え、いや…もう、この船はもう、俺達の物じゃなくって…って、い、いや、そのだな!?」
(凄いエルーゼさん!、あっという間に情報を聞き出しちゃった、あの人は運送会社側の人なんだね…よし、ボクも…)
 軽い誘惑と、話術だけで情報を引き出したエルーゼを見て、キキは自分も続こうと意を決した時…エルーゼが話しかけた船員とは服装が違う…少し豪勢な服を着た男が、こちらに向かってズカズカと歩み寄ってきた。
「奴隷とくっちゃべってサボってんじゃねえぞ!、この役立たず!」
「す、すいません!、ベネッセさん!」
「あら、少し話しかけてただけじゃない」
「やかましい、奴隷の分際で俺様に口を挟むな…うん?」
 ベネッセと呼ばれた男が、エルーゼとキキに目を向けると、いやらしく口元を歪ませ、じっくりと二人を眺める。
((こ、こいつの視線は…))
 二人とも察した、この男に恐らくエルーゼの誘惑は効かない、そのいやらしい視線はエルーゼにではなく、キキに注がれているのだ…。
(こ、この人の目…村の一部の人達と似てる、確か『ロリコン』って人達だよね、だとしたら、ボクの出番だ!)
「ぼ、ボクがどうかしたのかな?…え、えっと…おにぃちゃん…?」
「はうあっ!?」
 キキは村のロリコン達の視線から学習してしまった、この手の嗜好の持ち主が喜びそうな、しぐさや言動を活かしながら、ユーベルコード【チャーミングアタック】を発動させる。
 よれよれの奴隷服、その隙間から少女の膨らみかけが見えそうで見えない、そんな様子に鼻の下を伸ばしながら、ベネッセはキキをガン見するのだ。
(う…村の人達ともなんか違う、凄く嫌な感じ…でも、情報の為にも我慢しなくちゃ!)
 その遠慮な欲望丸出しの視線は、村のロリコンどもとは違う、村の者達はロリコンではあっても、恩人である猟兵や、村の仲間であるクロベルなどを傷付けるような真似をよしとはしないが、この男は違う…キキの、奴隷の人格など一切考慮に入れていないのだから。
「ほほう、中々の上物じゃねぇか…あのガキを買った後に金が余ったら、お前も『ペット』として飼ってやるのもアリかもなぁ?」
「っ!!?」
 ベネッセの下品な言動が、キキの心に突き刺さる…『ペット』、『飼う』…その言語だけを切り抜けば、元々は自分もそうであった『動物園の動物達』も同じなのである…と言う事実に気が付いてしまったからだ。
(…ボクは元々動物園の動物だった。ボクは皆から凄く大事にして貰ったし動物園の皆は大好きだけど…でも…ボクもある意味では奴隷と同じなのかな?)
 否、断じて否だと叫びたい…が、動物と飼育員が対等の関係とは言い難く、『女神の涙』人間の体と、知恵を手に入れた事により、どうしても理解してしまう…動物は、仲間達は少なくとも管理されている側であったという事を。
「おやぁ?、どうした…今更顔を青くしてぇ?」
 そんなキキの内心など知らず、ベネッセは下卑た笑みを浮かべながらキキの事を覗き込む…この男はロリコンであると同時に嗜虐趣味でもあるのだろうか、怯える様子(勘違いだが)を見てニヤニヤと機嫌を良くするのだ。

「…キキ、大丈夫?」
 おそらくはクローズ商会側のベネッセから情報を得るのは、趣味から外れてしまっているエルーゼには難しい…しかし、キキの様子がおかしい、あの手の下品な外道を相手するのは初めてなのかと、エルーゼは心配して小声で声をかける。
「え!?、あ…うん、大丈夫…だよ!」
 脳裏に浮かんでしまった疑念を振り払うように、キキは笑顔でそう返したが…やはり、エルーゼには無理をしているように映るし…ベネッセにとってもそう映ったのだろう。
「ほっほぉ~、本当に大丈夫なのかねぇ?、お前の様な子供は労働力にもならないし、買う奴は『玩具』目的が大半だぁ、俺が買うんだったらやらしく…おおっと優しくしてやるんだがなぁ、最低でも一年は楽しみたいからさぁ」
(最低だこいつ…)
 エルーゼはこっそり隠し持っていた『ゲンドゥル』の柄を思わず強く握りしめる…今はまだ動く時ではないと理解しているが、あまりの悪辣さに、切り捨ててしまいたいと言う衝動に駆られるのだ。

「か、買うって、おにぃちゃんは売る方じゃないの?」
「ん?、ああ勿論、我らがクローズ商会としては売る方だとも、だが個人で買うのは自由なのだよ…と、おい!、お前はあっちを見回っていろ!」
「え?、あ、はい?」
 しかし、気を取り直したキキは臆さずに情報を引き出そうとする、そんなキキを見て…更に脅したくなったのか、ベネッセは薄気味悪い笑みを浮かべた後、船員に怒鳴りつけてこの場を離れさせる、そして…。
「へっ、無理して強がっている様だから、一つ教えてやるよ…どんなに強がってもな、『金』と『力』がある奴には勝てないのさ…」
「……そ、そんな事!」
 ベネッセの言葉にキキは気が付く、相手は言葉で自分を脅したいのだと…そして、船員を離したという事は運送会社側に知らせてはいけない話で、自分を脅そうとしている事を…故に、キキは無理して強がるフリをした、これもキキの学習力のなせる機転であろう。
「今、出て行ったウスノロの上司…この船を操舵してる船長はなぁ、最初は『海の男の誇り』とかほざいてこの仕事を断ってたんだよ、でも『金』がないからなぁ、会社は買収され、『力』も無いから…娘も今回奴隷として売られちまうんだよ、この船が目的地についたら、目の前で娘が売られ、自分は違法操業の罪で縛り首!…ふへへへ、ざまぁねぇな、カッコつけた癖にそんな惨めな末路よ!」
「……っ!?」
 キキとエルーゼはその言葉に思わず顔を伏せる。
「へへへ、理解できたか?、じゃあ二度と生意気な口を利くなよ、クソガキが!」
「きゃっ!?」
 脅しが効いたと思い、気を良くしたベネッセはキキを蹴り飛ばしながらも、上機嫌に去っていく…エルーゼとキキはその様子を下を見ながら見送っていく。

「だ、大丈夫かい、お嬢ちゃん…」
「まったく、なんて奴だ…」
 その様子に、ベネッセが去ってから周りのドワーフ達も心配の声をかけてくれる…が、エルーゼとキキが顔を伏せているのは怯えている訳ではなく…
「ふふふ、あははっ!、思いっきり喋っちゃったわね、今のアホ!」
「うん、ボクもここまで上手く行くとは思わなかったよ!」
 ドワーフ達の心配とは裏腹に、明るく笑う二人…そう、こちらの狙い通り間抜けにも重大な情報を漏らし、しかも現時点ではキャプテンの娘が生きていると言うグッドニュースを与えてくれた馬鹿に、思わず笑みを浮かべそうになったので、慌てて顔を伏せて誤魔化していたのだ。
「え、ええ?、お嬢ちゃん達…一体…」
「ああ、ごめんなさい、私達…」
「ボク達、みんなを助けに来たんだよ!」
 怯えてるかと思った二人が急に笑い出し、慌てるドワーフ達にエルーゼとキキは笑顔でそう伝えるのだった。

●第二の奴隷部屋
「グッドニュースよモルツクルスさん、キキがやってくれた見たい!」
 キキとエルーゼによって得た情報は、メールによって如月に届けられ…離れた相棒の手柄を誇るようにそれをモルツクルスに伝える。
「それは最高のニュースっすね、この船に乗せてたら流石にキャプテン殿が気が付きそうっすし、娘さんは現地でとらえられているんっすかねぇ?」
「ええ、おそらくわね…モジャーポートにもう少し近づいたら、現地にいるトリテレイアさんに連絡しておきます」
「さて、そうなるといよいよ…この部屋以外の制圧っすねぇ…」
 モルツクルスの言葉通り、この部屋の制圧は既にほぼ完了していた…見張りの船員はいるのだが、如月の催眠術によって『異常なし』と定期的に報告するだけのBOTと化してる為、二人が堂々と相談をしていても気に留める者が居ない。

「いや、話を聞いた時は半信半疑じゃったが…本当にあっさりと話が進んでいくんじゃな…」
「はっはっは、だから言ったでしょ、助けに来たって…こんなアホそうな悪党はそうは居ないっすから、余裕っすよ!」
「本当よねぇ…」
 モルツクルスの指摘通り、クローズ商会の手口は大胆だが、かなり穴だらけである…いくら罪を着させる為とはいえ、信用関係が出来ていないキャプテン等の運送会社を重大な仕事に混ぜているのだ、迂闊と言うか…恐らく、自分の計画が100%うまく行く事しか考えられないタイプなのだろう。
 飼育員の外にUDCエージェントとしての顔を持つ如月も同意見だった、UDCアースの邪教集団もこんなに分かりやすい奴らばかりなら苦労はしないのに…と思ってしまうほどである。

「…いま、私の『生霊』が、メタさんの【バトルキャラクター】と接触したわ、向こうにも情報は伝えておくわね」
「メタさんと、アララギさんは同室でしたっすね、他はどうなんっすかね?」
「うーん、それがね…どうも、他の猟兵は皆、同じ部屋に行っちゃってるみたいで…秋山さんも、二天堂さんも、アララギさんも同じ部屋らしいわ」
「となると、最後の部屋は侵入組に任せるしかないっすかね」
 奴隷として紛れ込んだ、如月、モルツクルス、キキ、エルーゼ、秋山、二天堂、メタ、アララギの八人以外にも侵入している猟兵が居るのだが…。
「はやく、接触してくれないかしらね?」
 奴隷組同士は如月の【幽体離脱】の生霊、メタの【バトルキャラクターズ】に迷彩を施した者、そしてアララギの【召喚・ニンジャフォース】の忍者を介して秘密裏に連絡を取れるのだが…奴隷として侵入した者以外は、発見されないようにする為に奴隷組との連絡は向こうから接触して来た時のみとしているのだ。
「連絡と言えば…トリガーさんはどうなんっすかね?」
「来てる…とは思うけど、エルーゼさんとのデートまですっぽかしての数日間の音信不通…心配よね」
「潜入のプロっすから、大丈夫だとは思うんっすけど…」
「また、エルーゼさんが拗ねちゃうわよね」
「それっすよね!」
 数日間連絡がない事よりも、恋人との約束をすっぽかした事を心配されるトリガーであった。

●第三の奴隷部屋
「と言う訳で、わたしと契約して合法ロリアイドルになってよ」
「え、ええっと?」
 奴隷船とは…と疑問に思うぐらい呑気な勧誘を行っているのは、メタ…彼女はクロベルと自分だけのアイドル活動に限界を感じ、種族的に永遠のロリであるドワーフを勧誘し、芸能プロダクションの設立を目指しているのだ!…何が、彼女をそこまで駆り立てるのかは分からないが、多分、面白そうだからであろう。

「お、このビーフジャーキー旨いのぉ、酒が欲しくなるわい」
「酒はねーっすよ?、バレるバレる…それと、それはアルパカジャーキーっすよ」
「なんと、アルパカをジャーキーにしたのか!…毛以外にも食用として価値があるとはのぉ」
「酒、何とか持って来ましょうか?、船員用…てか、クローズ商会用のが積んであるので」
「お、マジか!、はよ持って来い!」
「いやいや、まだダメっすよ、制圧が済んでからっす!」
 ドワーフに食料を渡しながら談笑をしているのは秋山…しかも、その輪に既に船員まで混じっている、この部屋は、先程の情報により海運会社側を味方に付ける所まで成功しているのだ。

「しかし、ベネッセの野郎…まさか、お嬢にまで手を出すとは…」
「でも、お陰で無事が確定して良かったじゃない…後は助けるだけよぉ」
「あの野郎は、何時も人気者だったキャプテンに嫉妬してたからなぁ…とは言え、悪趣味な話だぜ」
「やれやれ、男の嫉妬とは醜いものだ…」
 アララギと二天堂は、船員からキャプテンとベネッセの因縁話を聞いていた…ベネッセがクローズ商会に入る前は、若手の船乗りとして評価され、けっこうモテていたキャプテンに嫉妬し続けていたらしい。

「ふむふむ、なるほどであります…リア充爆破の暗黒面にとらわれてしまったようでありますな」
「え?」
「た、樽が喋ったぁぁぁ!!?」
 そんな会話をしていたら、近くにあった樽から声を聞こえて、思わずビビる船員たちであったが…
「「「「あ、やっと来た」」」」
 侵入組からの接触を待っていた奴隷組は、やっと来たかと言う感じで樽…の中に居る敷島の方を見るのであった。

「なるほど、なるほど…じゃあ、最後の部屋さえ抑えれば制圧は完了何でありますね」
「いや、直ぐには制圧はしない方がよいであろう」
「ええ~?、何ででありますかぁ?」
「こいつら、アホだからな…ギリギリまで泳がせておいた方が情報を得られるやもしれん、何、ドワーフ達の安全なら大丈夫だ、相棒達を各部屋にこっそり配置してくれれば、後はワシがワープして、各部屋のドワーフ達を【妖精の里(ホームタウン)】で収容してしまえば安全は確保できるのだ」
「それに、カルロスをベネッセに迎えさせないと、警戒して出てこない可能性もあるからねぇ…面倒だけど、取引が始まるまでは上手く行ってるって錯覚させておいた方が良いと思うのよぉ」
「ちぇ…船ごと消毒を我慢して、待ちに待った狩の時間かと思ったのでありますが…」
「狩はもう少し待ちましょう、最大の獲物はカルロスなのですから」
「そうっすね、それに現地にはオブリビオンも居るっす、こいつらは確実に全滅させなきゃいけないっすし」
「ぬぅ、なら仕方が無いでありますね」
 相変わらず、過激な敷島を周囲が宥める…こんな性格の敷島ではあるが、傭兵として任務を遂行すると言う意思だけは確かなので、任務に支障をきたすと判断した時はわがままを引っ込めるのだ。
「じゃあ、自分は侵入組に情報を伝えて来るであります、二天堂殿…」
「うむ、相棒を預けるぞ、うまく設置を頼むのだ」
 こうして、侵入組と接触を果たし…制圧はしないまま、ドワーフ達の安全を確保するために猟兵達は動き出すのだった。

●第四の奴隷部屋
「と、言う訳で…ギリギリまで泳がしつつ、二天堂殿のユーベルコードで安全を確保する事に決まったであります」
「了解☆、じゃあ僕は到着まで帆の方に潜んでおくね!」
「ティエル殿、逃がさぬ為に取引が始まった時点で帆を切り裂く予定だそうでありますが…この船だけは生かしておいて貰えないでありますかね?」
「へ?、どうして?」
「そうする事で、お掃除が楽ちんなのでありますよ!」
「ああ、なるほどな…この船を『ちりとり』にするわけか」
「そう言う事であります」
「ええー、どういう事なのよー!?」
 敷島の提案に首をかしげるティエルと、その意味を理解する闘真…『ちりとり』を使って掃除をする機会はお姫様には中々なかったのが原因かも知れない。
「まぁ、そうする事で逃がしにくくなるって事だ」
「後は、本番でのお楽しみであります」
「むー、分かったよ~、本番でどうなるか楽しみにしておくよ」
「さて、敷島は『ちりとり』の準備もあるだろうし、俺が最後の部屋に二天堂のヒヨコを置きに行くとするか」
「任せたでありますよ闘真殿、しかし、殴り合いとかないでありますが、よろしいのでありますか?」
「性に合わぬ…と思っていたが、隠密行動も案外手ごたえがあってな、今回は交戦せずに任務をやり切って見せようと思っているのだ」
 闘真は、先日ユニコーンラビットを捕まえた時に気が付いた、戦いにならぬ存在でも、賢明に生きようとして行う、警戒…野生の勘とも言えるソレと相対すると、意外な手ごたえが帰って来るという事を。

(とは言え、こいつらでは温かったな…)
 と、闘真は苦笑いをする、ユーベルコード【空雷流奥義・天】でクローズ商会の手の者の『意』と『気』を感じ取れば直ぐに理解する、弛んでいると…周囲の者を奴隷だと、買収を受けた格下だと思い、侮っているのであろう…それが、弛みとなって警戒心が弱まっているのだ。
「まったく、味方の方が警戒心が強いとはな…」
 逆に海運会社側の船員達の警戒はかなり厳しい、彼らにはこちらの情報が伝わっており、何時でも反旗を翻してやろうと、気を窺っているのだ、その張り詰め方はかなりのものだ。
(見つかって…まぁ、問題が無いわけでもない…説明している間に敵にバレる危険もある、故に…)
 闘真は彼らも、この隠密修業の相手にする事に決めた、音もなく、目立たず行動し、『意』や『気』を先読みする闘真にすら気が付きそうになる、そんな時は『神の如き握力』で天井にしがみ付きやり過ごす。
(フフ、今のは危なかったな、中々やるじゃないか…さて)
 他の部屋とは違い、絶望の『意』を感じる最後の部屋…この中のドワーフは猟兵とも会えず、情報もないまま暗い闇に沈んでいるのであろう…が、今、彼らの心を励ますために姿を見せる訳にもいかない、闘真はそっと静かに、誰にも気が付かれる事なくヒヨコを部屋に置いた。
(救いはすぐに来る、それまでは耐えて貰うぜ…)
 任務を終えた闘真は、彼らの心の安寧が訪れる事を願いつつ、静かに部屋を去るのであった。

●取引現場にて
「レイチェル様、船からの連絡が…」
 船も接近してきて、如月のスマホが通じるようになったトリテレイアに、奴隷船の情報が送られて来た。
「船長さんの娘さんが人質で、しかも今回の取引で売られそう?…酷い話だね」
「全くです、彼等はどこまで罪を重ねるつもりなのでしょうか?」
「償わせる…には、あまりにもやり過ぎたよね」
 クローズ商会の悪徳さに怒りを通り越して呆れすらも覚える二人、キャプテンの娘の場所も既に目星がついている、船とは別の『商品』の動きも監視済み、妖精型偵察ロボを持つトリテレイアと、念動力を応用した様々な偵察法を持つレイチェルの目からソレが逃れられるはずは無かったのだ。
「まもなく、船が着きます…皆様、準備の方を!」
「「「はっ!」」」
 トリテレイアの言葉と共に機敏に走り出す自警団と、モジャーポートの警備隊の面々…クローズ商会の包囲網は既に完成しているのだ。
「奴隷商人達に悪事のツケを払わせる時が来たようです、一人も逃しませんよ」
 取引現場となるであろう港を一望できる位置に立ち、狙撃銃を構えながら呟く白き機械騎士…剣でも盾でもなく、銃を即座に構えるあたり、騎士道の通じぬ外道だと既に判断している様だ。―そして、日が沈み、暗い夜の港に一隻の船が訪れようとしている…。

「さぁさぁ、皆様…本日は一時休業前の特別セールでございます!、役立つ技術を持つドワーフを多く含む、普段の倍の数の奴隷を用意させて頂きました!」
 もうすぐ辿り着く奴隷船を前に、クローズ商会会長のカルロスは『客』に対して両手を広げながら今回の『商品』をアピールする…そして『客』は人間などではなく、ゴブリンやレッサーデーモンなど、下級ではあるもののモンスター、即ちオブリビオン達であった。

「カルロス様~、『商品』を届けに参ったですぞ~」
「おお、ベネッサ!、お客様達がお待ちだ、早く取引を開始するぞ」
「ははっ!!」
 奴隷船が到着し次第、早々に取引を始めようとするカルロス、彼はこのまま夜逃げもするつもりなのだから僅かな時間も惜しいのである…が、奴隷を連れに向かった筈のベネッセが中々奴隷を連れてこない。
「どうした、何をしているベネッセ!!」
「そ、そ、そ…そんな馬鹿な…奴隷が居ない!?」
「何だとっ!?」
 しかし、奴隷が居るはずだった船内に奴隷が一人もいない、それどころか何時の間にか、クローズ商会以外の船員達の姿も消えているのだ。

「そこまでだ!、カルロス・クローズ!!」
 カルロス達が異変に気が付くと同時に、取引現場の周辺に無数の松明が灯される…そして現れたのはこの町の警備隊、そして開拓村から応援に来ているウォール達自警団であった。
「なぁ!?、ば、馬鹿な…なぜ今日が取引だと分かった!?、ベネッセぇ、貴様はぁ!!?」
「ひぃぃぃ、し、知りませぬ、知りませぬぞぉ!?」
 包囲されている事を知ったカルロスは、バレたのをベネッセの失跡だと想い、激昂するが…実際はグリモア猟兵の予知と言う彼らの知る由もない捜査網に引っかかってしまっただけである。
 そんな風に慌てるクローズ商会の者であったが、『客』達はまだ余裕そうに見える。
「ふん、失態だなクローズ…」
「たかが、人間の軍勢、俺達ならば問題はないが…この始末、自分の手で取るがいい…」
 などと、大物ぶった言動を放つゴブリンやらレッサーデーモンの、下級モンスター達であったが…そんな彼等も。

「いや、お前らもここで死ぬっすよ」
「なっ!?、はや…ぐぎゃああっ!!」
 恐ろしい速度で飛び掛かる影…秋山の一撃にてゴブリンが一体、即死する…その姿を見て、モンスターは、オブリビオンは、本能的に気が付いてしまう。

「い、い、い、猟兵(イェーガー)だあぁっ!!?」
「くそ、俺達では勝てん、逃げるぞ!!」
 秋山の姿を確認するや、否や即座に逃亡にかかるモンスター達、威張り腐っていた彼等だが、本国に帰れば下っ端も良いところである…故に猟兵と戦って勝てるなどと微塵にも思っていないのだ。
「逃がさねぇっすよ!!」
「ぐぎゃあ!?」
「ぎゃあ!?」
 しかし、秋山は音速にまで達した速度で、即座に追いつき、一匹、また一匹と屠っていく…これは秋山の限界を超えた速度であるが、ユーベルコード【フードスペシャリテ・フルコースゴールデン】の効果、そして黒古臭虫のスパイスによってパワーアップした、アルパカステーキの美味によってこれだけのパフォーマンスを発揮しているのだ!

「くそ、海だ、海に飛びこ…がっ!?」
 海に飛び込もうとしたゴブリンが狙撃されて死亡、遠方よりトリテレイアの狙撃が命中したのだ。
「どけ、人間めが…って、あいたぁ!?」
 そして、トリテレイアのユーベルコード【攻勢電磁障壁発振器射出ユニット】によって、電磁シールドで逃走経路は塞がれ、更に一般人である警備隊や自警団が守られているのだ。
 さらに言えば、自警団は先日ゴブリンとの戦争を終えたばかり、この援護があれば下級モンスターを相手に十二分に戦う事も出来る…たかが人間の警備ならばと侮ったオブリビオン達は、成す術もなく処理されていったのだ。

「くそ、あいつの娘を人質にして…」
 そんな中、船ではなく現地からの『商品』であるキャプテンの娘を人質にしようと、ベネッセはそちらの方へ駆けつけようとするが…。
「させんぞ、ベネッセ!」
「きさまぁ!、へ、へへ…お前も、娘もぶち殺してやるぜぇ!!」
 それを阻止しようとするキャプテンに対し、ベネッセは隠し持っていたボウガンを向ける。
「ふん、そんな飛び道具に頼るなんてな、どうやら俺とやり合うのが怖いようだな」
「な、何だとぉ!?」
「そうじゃないと言うのなら…来いよ、ベネッセ!、ボウガン何か捨ててかかって来い!」
「な、なめんじゃねぇ!、ボウガン何か居るか…野郎、ぶっ殺してや…うぎゃ!?」
 キャプテンの挑発に乗ってボウガンを捨ててキャプテンに挑もうとしたベネッセだったが、そんな茶番には付き合っていられないメタのロープワークによって捉えられてしまう。
「いや、敷島の嬢ちゃんの言うとおりに挑発したが、まさか、本当に武器を捨てるとは…」
「私もビックリです、この名前だったらきっとそうするとか言ってましたが…あの人、マジで意味が解りません」
 敷島の謎理論による茶番も挟まれたが、キャプテンの娘の無事も確保が出来たようである。

「畜生、船の帆が切られてやがる!?」
「こっちの船もダメだ…う、海が凍ってる!?」
 乗ってきた船に逃げ込んだオブリビオン達も出向できずに足止めを食らっている、ティエルが既に帆を切り裂いており、動けぬ船、そしてレイチェルのユーベルコード【絶対零度】によって海ごと凍り付いて動けなくなってしまった船…これらに足止めを食らってしまった者達は…
「リヴェン、やっちゃって!」
「ふふふ、ジャパニーズニンジャの実力を見せてもらうわよぉ」
 エルーゼの【最後の願望】によって呼び出された『リヴェン』のサイキック攻撃によって始末されたり、アララギの【召喚・ニンジャフォース】に暗殺されたりなど、待ち伏せを受けて一方的に倒されていくのだ。

「お、おい!、あの船は無事だぞ!」
「奴隷を連れて来る筈だった船か!、よしアレに乗り込むぞ!」
「ま、待ってくれ、私も乗せてくれぇ!!」
 そんな中、一隻だけ無事に見える奴隷船にモンスター達は乗り込もうと皆で走り出す、カルロスもまた、船の方へ駆けだそうとするが…。

「ひ、ひぎゃあ!?…いだい、いだいよぉぉぉ!!!?」
 カルロスの目の前に急に現れた人影と共に鳴り響く銃声…それに遅れて、響くのはカルロスの無様な悲鳴、カルロスは膝を撃ち抜かれたのだ。
「……今は殺さない」
 カルロスの目の前に現れたのは、味方とも数日間連絡を取らなかったトリガーであった、彼はギリギリのタイミングで光学迷彩を纏い、この瞬間まで姿を現す事無く隠れ続けていたのだ。
「ひ、あ…ひ…」
 カルロスは動けない、膝を撃ち抜かれたと言う事もあるが、それ以上にトリガーの殺気が凄まじいからだ…『今は殺さない』と言う言葉は後で殺すと言う意味の裏返し、その事を身をもって痛感するほど、凍てつく殺気が、カルロスの体を止めるのだった。

「あ、船が出向しちゃうね~」
 そんなトリガーとカルロスを他所に、ティエルがモンスターが乗り込んだ船が出向してしまう事を指摘する…が、慌てている様子はない…ティエルも空から見て『ちりとり』の意味を理解したのだ、即ち…
「いい塩梅であります、やっぱり汚物は纏めて消毒するに限るでありますよ」
 そう、逃げ道を一つだけ用意する事で、一網打尽にしようと言う作戦なのだ…そして、今まさにモンスター達を乗せた奴隷船は敷島の満面の笑顔と共にスイッチが押されて――爆ぜたのだ。
「いやぁ、綺麗でありますなぁ」
「お、俺の船がぁぁぁ!!!?」
 念願の船ごと消毒が出来てホッコリする敷島、そしてその光景に泣き叫ぶベネッセ…こうして、奴隷船をめぐる大捕物は終結したのであった。

●ドワーフ達との宴
「いやぁ、助かったわい、ありがとう!」
「そして、酒じゃ、酒!、皆の無事を祝って…」
「「「カンパーイ!」」」
 捕物を終え、拘留などは自警団と警備隊に任せて、ドワーフ達と無事を祝う猟兵達。

「改めて聞くけど、アイドル活動に興味はありませんか?」
「え、えっと…私達の体系じゃ人間には…」
「寧ろ、そこにこそ需要があるのです!!」
「え、ええぇ?」
 メタの勧誘にたじろぎつつも、少し興味がありそうなドワーフの娘達…この中の何人かは話に乗ってくれるかもしれない。

「なるほどのぉ、他の仲間は…」
「うん、『北』に攫われてしまった可能性がたかい、かも…」
「解放するべく、皆様の力を貸していただけると嬉しいのですが…」
「あい、分かった!、助けたくれた恩に応えなくちゃドワーフが廃る!」
「しかも、仲間まで助けてくれようなんて、ありがてぇ…俺達の『腕』を預けるに値する!」
「モンスターにわし達の技術を利用されるなんて我慢できんわい、全力をもって手伝わせてくれ!」
 レイチェルがとった写真を見せて、事情を説明すれば、多くのドワーフは力を貸すと言ってくれた。

「この村が防衛の要となるのだ、出来る限り頑丈な防壁が欲しい」
「大工仕事も任しておきな、ただ…金属資源が欲しいな」
 二天堂の提案には、そう答えるドワーフ達、そう…村には金属資源がまるで足りないのだ…。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​




第2章 冒険 『謎の縦穴の調査』

POW   :    地形を無視してガンガン下に降りる。

SPD   :    外周を回りながら降りれる道を降りる。

WIZ   :    ロープや梯子を使って安全に降りる。

👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​

種別『冒険』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


「鉱石資源自体は発見されているのじゃ…ただ、今まで加工する技術が無かったのとのぉ…」
 グリモアベースに帰った猟兵は、既に鉱石が取れる場所自体は発見されていたと言う事実を知る…そして、技術もドワーフ達の流入によって解消するのだが…最後に大きな問題がある。
「村の東に、正体不明の謎の縦穴がある…そこには幾つかの鉱脈、しかもミスリル銀の鉱脈すら存在すると言われておるのじゃが…」
 その穴にはドラゴンが住む、しかも鉱石を食らい、その鉱物に武器化して使うと言う能力を持つドラゴンが…そう、ミスリル銀の存在と言うのは、そのドラゴンがミスリルをも使って来た事から、逆算的に割り出された話なのだ。

「そのドラゴンも問題なのじゃが、あの縦穴には遺跡の様な物もあってな…それがワシが予知で見て、そして捕らえ垂れたカルロスが証言した『永遠の楽園』たる記述…それと同様の単語が古代文字で刻まれた石碑が有ったりなど…色々調べたい事もあるのじゃ…」
 鉱石の発掘に使う前に、それもどの様なものか確りと調べて貰いたいと、花子は告げる…、ドラゴンは穴の最下層に住むらしい、猟兵達はドラゴンを目指しつつも、先ずは穴の調査をしながら、遺跡や鉱脈などを探して貰いたいとの事。

「それと並行して、新たにドワーフが介入した事により、村の開拓も捗るじゃろう…村を発展させるアイデアがあったらそれも出して欲しいのじゃ」
 やがて『北』と事を構えなければならないであろう、金属資源の確保とともに、ッ村の発展も進めていかねばならない、色々と忙しいが頑張って貰いたい。

※と言う訳で、2章は開拓パート&縦穴の調査です、調査が進めば底に住むドラゴンが出てきます。
 開拓パートのルールはマスターページに記載されております。
メタ・フレン
『文化』

さてドワーフの女性達を<言いくるめ>、【アイドル】にスカウト出来たら、いよいよ芸能プロダクション設立です!
その狼煙として、これまでのようなバトルキャラクターズの真似ではなく、我がプロダクション独自の楽曲と踊りに挑戦してみます。

とは言え、私もクロベルも新人さん達も、作詞作曲振付なんて当然出来ません。
そこで注目したいのが【冒険者】です!
収穫祭の時に私達のダンスを見てくれた踊り子さんを始め、芸能に通じた冒険者は他にも居る筈。
【ロリコン】共から巻き上げた資金で踊り子さんをダンス顧問に雇い入れ、作詞作曲が出来る冒険者にオリジナル曲の作成を委託してみましょう。
新たな雇用も生み出せて一石二鳥ですよ!



●アックス&ウィザーズとアイドル
「私をダンスの講師に?」
 ドワーフの娘達を言いくるめて、数名ほどスカウトに成功したメタであったが…メタもクロベルも、当然、新人のドワーフ達も、作詞作曲に振り付けなど、そういった事は出来ない。
 故にメタは、収穫祭で自分達の演目を興味深そうに見ていた、プロの踊り子だと思われる冒険者に顧問としての指導をお願いにしに来たのだ。
「うーん、前に収穫祭で見せてくれた歌と踊りよね…アレを教えるのは無理ね」
「え?、無理ですか?」
 プロの踊り子であるはずの冒険者はキッパリと『無理』と断言し…そして、意外そうな反応を返すメタに続けて言葉を伝える。
「だってアレは…おそらくだけど、私達の『文化』から完全に切り離されたモノでしょう?、歌にしろ、踊りにしろ…昔から積み重ねた伝統があって、そこから色々な変化や進化を果たした歴史があるのよ…でも、アレは違う、そう言いた流れを一切組まない、なのに楽曲として完成している…要するに、私達とは異なる『文化』、『文明』の歌と踊りでしょ?、それを教えるのは流石に無理よ」
「あ……」
 その話を聞いてメタも理解する、UDCアースならばある程度の共通項もあったであろうが、アックス&ウィザーズとキマイラフューチャーでは文化が違いすぎるのだ。
 平安時代では太めな女性が魅力的とされていた様に、文化の差異というのは極めて大きい…同じ歌と踊りと言っても、文化が違えば全然違うものになる…それなのに教えろと言うのは、サムライエンパイアの琵琶法師からエレキギターを教わるぐらい無茶な要求なのである。

「まぁ、気持ちは分かるわよ…全く新しい音楽を見つけたらならそれを広めたいと言う気持ちは…私も、貴方達の舞台は本当に興味深く見せてもらったし、勉強にもなったわ」
「うう、このままでは、芸能プロダクションの計画が…」
「うーん、げーのープロダクション?ってのは良く分からないけど…劇場を作って流行らせたいって感じかしら?」
「はい、そういった感じです」
「となると、益々この事がネックになるわね、私達みたいな本職でも戸惑うのですもの…一般のお客さんには明らかに新しすぎるわ」
「なるほど、どうしてもイマイチな反応に感じてしまう理由は其処ですか」
「そうよ、今回みたいなケースじゃなくても、新しい事への挑戦に目が眩んで客の目線になれず失敗する同業者も結構いるからねぇ…」
「客の目線ですか…なるほど、ロリコンどもに少女は受けるって言うのは間違って無いと思うんですが」
「あー、確かにこの村、ちょっと怖い意味での子供好きが多いわね…まぁ、そこは売りとしてはそんなに間違ってないけど、肝心要の基本的な所で…もっと『流行』を意識すべきじゃないかしら?」
「なるほど!」
 某アイドルゲームにお手も重要な要素である『流行』は現実の芸能においても欠かせない要素である、それは完全に異文化であるアックス&ウィザーズ…所謂ファンタジー世界でも変わらない、吟遊詩人もその土地で、その時期に人気のある英雄の歌を歌うものなのだ。

(我々に欠けていた物はそれだったのですね…確かにそうです、エロ画像を探してる奴に有名画家の裸婦や、春画を渡した所で『いや、そうじゃなくて…』って反応されるでしょう、逆に江戸時代で春画を使ってる人にアニメ絵のエロ画像を渡しても喜ばれないでしょう、アニメに慣れていない、見てない人によってはアニメ絵は気持ち悪く思える事もあるようですから!)
 踊り子の冒険者の言葉を噛み砕き、ちょっとアレな例えを出しながらも、現状のアイドルグループの弱点を心で理解したメタであったが…そうなってくると、尚の事、目の前の冒険者を引き入れなければならない。
 一見しただけで異文化の音楽と看破し、こちらの音楽に尚且つ興味を持ちながらも、冷静に欠点を見抜き、プロとして客の視線をも考慮できる人材…自分達をこっちの文化に寄せる為には欠く事の出来ない存在であろう。

「それならば、今の私達の『音楽』をこちらの文化に沿えるように、流行に乗れるように指導して頂けませんでしょうか?」
「え?、それだと…元の音楽から大分変わっちゃう恐れがあるけど、大丈夫なの?」
「私達にとって、一番大事な事は音楽という文化が根付き、それを皆が楽しめる様になる事ですから!」
 そして皆(ロリコン)から、お金を搾り取るという裏目的もあるが、今は伏せておく。
「うん、それならば大丈夫よ、私も正直、異文化の歌と踊りを勉強して自分の芸の肥やしにしたいしね」
「では、よろしくお願いします…えっと、そう言えばお名前は?」
「カティアよ、よろしくね劇団長さん!」
 そんな裏目的を知ってか知らぬか…冒険者の踊り子ことカティアは顧問役を快く引き受けてくれるのであった。
 カティアによって、こちらの文化に寄せられたアイドル…それは、こちらで好まれる『英雄譚』などの要素も加わり、一つの物語を華やかに歌いあげ、踊りとパフォーマンスでシーンを再現すると言う歌劇的な要素が加わったものと変化していった。

「ところでカティアさん、例のあの縦穴についての伝承とか聞いた事ないですかね?」
「うーん、この辺りで穴と言ったら、ゴウモウガ・モジャー最後の冒険と言われている『世界を穿つ穴』だけど、世界を穿つ穴があって、それをモジャーが塞いだって事しか伝わってないから、唄にする詩人も居ないわねぇ」
「そうですか…」
 確かに大穴ではあるが、世界を穿つと言うのは些か大げさにも思える…それ以上の情報は、やはりあの穴に入って調べてみるしかないようだ。


 【文化】が2上がった。
 村スキル『劇場Lv1』、『音楽Lv1』、『ダンスLv1』を獲得。
 『アイドルLv1→2』、『ロリコンLv2→Lv3』に上がった。

成功 🔵​🔵​🔴​

レイチェル・ケイトリン
地縛鎖をつかって大地の情報を吸い上げるね。
広い範囲を対象にできるようにとってもながい特別製だけど、わたしの念動力なら操作できるから。

それからデジタルカメラも縦穴で飛ばして撮影するよ。

それで情報収集した結果をコミュ力でみんなにおしらせしながらすすむね。

そして、崩れそうなあぶないところをささえるのもわたしの役目。
必要なら地形の利用やトンネル掘り、拠点防衛の工夫もつかってみんなの安全を確保するよ。


村の開拓は【文化】
この鉱山の開発で技術や資産を蓄積していくようにおねがいするの。
そのため、わたしの力での協力はもちろんだけど、アラームバードもつれてきて、落盤やガス、出水、爆発とかの危険を警告してもらうね。


モルツクルス・ゼーレヴェックス
遺跡調査結果が出るまでは【教育】
【自己複製】で三人がかり
「「「お勉強の時間っす!」」」
特に成績がいい生徒達を集めて少し【技能】特別指導

「上手いこと褒めて自信つけてあげるっす」
先生になりたい人には【コミュ力】つまり教え方を指導

「自分も楽しむのが大事っす」
働きたい役人志望には【礼儀作法】や【世界知識】伝授

「情熱っす!好きにやりゃいいんす!」
研究や創作したいなら【学習力】って具合に

遺跡から調査結果きたら分析っす
「「「すみませんが、皆さん、協力してほしいっす」」」
ここで手に入る情報は村の今後を左右する可能性がある
上手く知識層の誇りを持たせてあげたい
上手く褒めて
「クロベル先生お願いするっす!」
実際頼れる


アララギ・イチイ
この縦穴は今後は鉱物採取する場所になるのよねぇ?
なら、鉱物採取し易い様に改造しながら下りましょうかぁ

【変換術~】で無機物を最下層で暴れても壊れない様に頑丈な物質、かつ強固な固定方法で足場を作り、安全に下りていくわぁ
ただ無差別に無機物を変換すると遺跡を壊す可能性があるから、変換する前に確認して変換しておくわぁ

周囲の鉱物は【情報収集】で観察、鉱物ぽい物を回収し、その場所をマッピングして進んでいくわぁ

村の開拓に関してはぁ……そうねぇ、大量製造するなら、単位(mやkgなど)とかの統一規格を定めた方が良さそうねぇ、標準化した計量の仕組みと工法が成立すれば製造分野で役立ちそうだわぁ(仲間や村人と要相談だが


トリテレイア・ゼロナイン
【経済】
開拓村を『北』への攻略拠点とする為にも、人員と必要物資等を効率良く集められる体制を整えねばなりませんね
ドワーフ達の造る商品を元手に新しい【商業】ルートの開拓を行い、それを目当てに集まる人々が逗留する【温泉宿】を更に発展させます
宿を一時の拠点とする【冒険者】達も集まるでしょう

縦穴の調査にはUCの電磁バリアを一時的な床や足場に使用することで、効率よく下に降り、後の調査の為の足場の建設に役立てます

調査の前に電子頭脳に叩き込んだ●世界知識で遺跡の調査や碑文の解読は試みますが、一夜漬けでどれほど解読できるか……

調査中には予期せぬ事故や事態なども予想できます
【アラームバード】を連れていきましょう



●本格的な商業へ
「すまないな、助けて貰ったばかりか新しい仕事まで用意してもらって…」
「いえ、こちらとしても商業ルートの開拓を考えておりましたので」
 カルロスが逮捕された後、海運会社は強要させられていたと認められ罪からは逃れられるも…船を失った彼らは仕事をする事が出来ない…故にキャプテンとその部下は、開拓村の物資を運送する隊商としての事業を始める事となったのだ。
「海から陸への転換は大変でしょうね」
「何、客の荷物を運ぶと言う点では変わらねぇ、それに商人や他の海運にもある程度はツテがあるからな、ゼロからのスタートというわけでもないさ」
 事実、彼が隊商を始めてからは…今まで以上に多くの取引が始まり、受注の多さに工房の作業員たちも嬉しい悲鳴を上げている…のだが。
「だが、ちとな…この村は正直『運送』に関しては弱いな…これだけ様々な家畜が居るのに、『馬』が居ないのが惜しいぜ」
「『ゾウ』も運送は出来るのですが、彼等は防衛の要ですしね」
 商売を始めるにあたっての弱点…それは輸送に優れた動物がゾウしかいない点である。
 ゾウは馬以上にパワフルで足も早い方なのだが…彼等には繁殖力が弱いという弱点もある…繁殖が不可能と言うわけでもないのだが、野生では生態系の頂点に立ち、寿命も人間並みの彼らは子供を産む数が根本的に少ないのだ。
 そして、それをゾウ騎兵として運用しているのだから、民間用に回せる数はどうしても限られてしまう。
 車が発明されるまで『馬』が移動手段の主であり、その車のパワーを評価するのに『馬力』等と言う単位を使われているのにも意味が有る…馬は単体ではゾウにパワーや運送量で劣るかもしれないが、そう言った面の総合力を考慮すればやはり優れた経済動物なのだ。
「ウチも陸運を始めたばかりで、馬の数が全然足りないから…ある程度稼げたら買い足すつもりだが、そちらの村でも買うか?、ツテでいい牧場を紹介は出来るぜ?」
「そうですね、検討してみます」
 トリテレイアの手によって、本格的な商業がいよいよ開始され、冒険者の増加も見込んで温泉宿も増築されたが…商品や宿は兎も角、それ以外のインフラに関してはまだまだ課題が多そうである。

●学術都市への第一歩
「「「お勉強の時間っす!」」」
 モルツクルスは【自己複製】のよって3人に分裂をしながら、新たに街に加わったドワーフの技師を含む者達に対して様々な教育を行った。そして、その中から成績が良い者をピックアップし…
「上手いこと褒めて自信つけてあげるっす」
 教師になりたがってる者には、モノを教えるコツとしてのコミュニケーションのやり方などを見つけさせる。
「自分も楽しむのが大事っす」
 役人を目指す者は『世界知識』や『礼儀作法』を教え、他所へ派遣させても恥ずかしくない村の代表としての教育を施す。
「情熱っす!好きにやりゃいいんす!」
 研究や創作を極めたいものには学習の仕方のコツや、ノウハウの積ませ方を教えていく…のだが。
「やっぱ、この分野が一番多いっすね…」
 この村は製紙と布加工が得意な者たちが多く居て、新たに入ってきたドワーフ達も職人集団である…故に、研究と創作の分野には多くのものが集まった。

「ふむふむ、紙に書いて試作の記録をのぉ…この辺りは体で覚えておったわい」
「弟子に教えるとき便利かもな、口で言ってゲンコツを落とすより分かり易いかもしれん」
「しかし、苦労して技を憶える行程も大事じゃぞ、上面だけ覚えた奴が怪我をして痛い目見るってのは良くあるもんじゃ」
「その辺りはバランスを見ながらっすねぇ…それと、失敗…特に怪我などの事故が起きた場合はそれを記録して、対策も考えなきゃっすね」
「うむ、痛い目みて覚えるのもいいが、一回目の痛い目で死んじまったら成長出来んしの」
 職人気質な性質を残しつつも、筆記でノウハウを蓄積する事にも興味を向けるドワーフ達…彼等は決して馬鹿ではない、考えない者に高度な技術を治める事などは出来ないのだ…ただ、こだわりが強すぎて一つの分野にその知識が偏りすぎる傾向はあるが。

「その痛い目で死んじゃうって話だけど、今後、縦穴で採掘するノウハウも抑えておくべきだと思うよ、鉱山は色々と危ないと思うの」
「そうじゃな嬢ちゃん、確かに採掘は危険を伴う作業じゃ…そちらも並行して進めんとな」
「嬢ちゃんが持ってきた『アラームバード』は是非とも使うべきじゃろうな、鉱山は掘っていたら毒ガスやら出るわ、イキナリ崩落するわと、危険な事故が起きる可能性が常に付きまとうしのぉ」
 レイチェルの提案にドワーフ達は云々と首を縦に振り頷く、鉱山のある街には必ず居る、とまで言われる彼等ほど採掘の怖さを知っている種族はそうは居ないのだ。

「よし、では採掘中にアラームバードが鳴いたら、作業は中断し安全確保と危険の調査じゃな」
「そうじゃの、だいたい3フィート間隔で小さな穴でも開けて調査かのぉ?」
「うん?、フィートって何ヤードですか?」
「大体、斧一本分じゃろう?」
「いや、わしは斧槍を使っておるから、いまいちピンと来ないぞ!?」
 しかし、いざ紙に書こうとしたら、各々で普段使っている単位が違う為に混乱が訪れた…村の者もそうだが、ドワーフ達も必ずしも同一の村出身と言う訳ではない…MKS単位系の用に統一された単位系が作られていないアックス&ウィザーズでは住む場所によって、距離や重さを表す単位が変わると言う事はよくある事なのだ。

「うーん、やっぱり皆で相談して単位は統一した方がよさそうねぇ」
「確かにそうっすね、これだと折角書いても、読んだ人が分からないとかありそうっすよ」
「でも、どうしよう?、どれに統一するのがいいのかな?」
 このままではマズイ…が、単位の統一などは時間をかけて慣らしていかないとそうそう出来るような事ではない、しかし採掘を始めるまでに、安全確保のノウハウまではある程度完成させておきたいのだが…

「あ、あの…ご主人様」
「クロベル殿、どうしたっすか?」
「単位の事でしたら、私も困っていたので…取り敢えず、他の単位に換算できる早見表的な物を作ってみたのですが…」
「おお、仕事が早いっすね!」
「ドワーフの皆様から色々教えてもらった時に、これで困ってしまいましたので」
「おおう、コイツは分かりやすい、流石は嬢ちゃんだ!」
 本質的には製紙職人と言う技術者であり、学者肌であるクロベルは、『ロリコン』とは違う理由でドワーフのオジサン達とも仲が良い…と言うのも、仕事に誠実な職人はドワーフの間では尊ばれるし、自身の持つ『秘伝』とも言うべき製紙技術を惜しげもなく周りに教え、村全体の技術を底上げしつつ、自身も更なる高みへ進むために直向きに研究する姿が、職人達の胸を撃ったのだ。
 ドワーフ達が学問に対して前向きな姿勢で挑むのは、実はそんなクロベルの影響も大きいところなのだ…若干十歳の少女であるが、既にドワーフ衆からは一目置かている存在でなのである。

「じゃあ、単位の統一はおいおい進めるとして、先ずはこの早見表を利用して安全マニュアルをつくりましょうねぇ」
「結局、単位は統一するつもりなのか?」
「ええ、今回の件以外でも…使う単位は一緒の方が何かと都合がいいのよぉ、やがて大きな工房を作って、商品を大量に製造しようって時に、工房内で食い違ったら不便でしょう?」
「まぁ、確かにそうじゃのぉ…」
 その後、とりあえずの問題は早見表で誤魔化しながらも、アララギの指導のもと、村では統一された単位が規定され…最初は不慣れで不便そうだった村の者達も次第に受け入れ、製造業のみならず、学業や研究などの効率化に大きく役立つ事となった。

「さてと、じゃあ、私達はそろそろ行くわねぇ」
「私達が、先ずは調査の為の足場を作ってくるから…」
「はいっす、自分は遺跡の分析チームを作るっすよ…チームリーダーは、クロベル先生お願いするっす!」
「ええっ!?、わ、私ですか!?」
「最近はこっそり古代言語の解読まで覚えたようっすし、この村の知識人だったら、大体みんなクロベル殿の実力は知るところっすしね」
「はい、子供相手に負けを認める…のは、お恥ずかしいですが、実際にクロベルちゃんが一番でしょうね」
「わしらも異存はない、それにワシ等からみたら、嬢ちゃんは同族の女も同じぐらいにしか見えんからな!」
「で、では頑張らせて頂きます!…メタ様からはアイドル活動の休暇を貰いに行かなくちゃ…」
 こうして、モルツクルスの音頭の下、クロベルを中心とした遺跡分析チームが発足した、皆が発見した遺物は彼等が解析してくれるであろう。

●先ずは地固め!
「レイチェル様、如何でしょうか?」
「うん、底の方もだいたい同じ構造みたい…らせん状に道が掘ってあって、所々に横穴があって…」
 レイチェルは【サイコキネシス】で飛ばした『高機能超小型デジタルカメラ』で穴の内部を撮影し、『念動力操作型地縛鎖』を用いて穴の地形情報を集めていた。
「螺旋の道は補強が必要そうねぇ…長年の歳月で経年劣化が激しいわぁ」
「崩れているところは、私の電磁バリアで補強しましょう」
「なら、それを足場にもう少し頑丈な作りに変えないとねぇ、やっぱり居るんでしょう?」
「うん、底に蠢く巨大な生体反応があった…凄い力を感じる…」
 この縦穴に住むドラゴン…鉱石を喰らい自身の力にするという特性を持ち、ミスリル鉱石を食べてしまっている事が確認されている存在だ…ミスリルは極めて丈夫な金属である上に、魔法防御力もある金属…そんな物を取り込んだドラゴンだ、生半可な相手ではないだろう。
「では地固めと参りましょう、行きます!」
 トリテレイアのユーベルコード【攻勢電磁障壁発振器射出ユニット】が形成する電磁シールドが、所々崩れた螺旋の道を補強していく、其処へ…。
「うーん、どんな形状にしようかしらねぇ?どんな大きさにしようかしらぁ?どんな物質にしようかしらぁ?」
 更にその上からアララギのユーベルコード【変換術・ユーベルコンバージョン】で極めて頑丈な材質で道を変換しながら補強していく。
「レイチェルは地縛鎖で周囲を確認しててねぇ、うっかり遺跡まで変換しちゃったら大変だしねぇ」
「うん、わかったよ…あ、アララギさん、そこはこういう構造にした方が良いかも」
「なるほど、ここをこれで支えれば、揺れにも強くなるわね」
 こうして、三人は鉱脈探しや遺跡調査をやりやすくする為の足場作りを順調に進めていく。

「でも、この穴…どうやって掘ったんだろう?」
 そんな中、ずっと穴の地形情報を探っていたレイチェルが、ふとそんな疑問を口にした。
「どうやってって…そもそも人の手で行われた事なのでしょうか?」
 これ程のサイズの穴をこの時代の技術で掘る事が出来るのかと、トリテレイアがレイチェルの問いかけに、更に疑問をぶつけてみるが…
「うーん、自然に出来るかな?…だって、この縦穴…ほぼ『真円』だよ、しかも上も下も直径に殆ど差がないし」
「「え?」」
 確かに、自然だとは言い難い構造の穴だが…それを実現するには技術的にはより大変となった…と言うよりも普通に掘っては不可能であろう…このサイズのシールドマシンでも用意しない限り、UDCアースの技術でも無理であろう。
「そうなると…『魔法』かしらねぇ?」
「このサイズの穴を開ける魔法ですか…それはそれで…」
 途方もなく、大掛かりな魔術であろう…この地で戦ってきた猟兵も、オブリビオンもこんな大穴を穿つ攻撃を繰り出した事などないのだから。
 そんな疑問を抱きながらも、三人は足場を完成させ、調査と発掘の礎を築いたのだ…その作業の間に発見された遺跡の一部を持ち帰り、それを解析させた結果…

『穴を掘らねば、『永遠の楽園』に至るまで、もっと深く、もっと大きく…』

 と書かれていた、この穴を開けた者の日記の様なものらしいが…『永遠の楽園』とやらが、地面の奥底にあるとでも言うのだろうか?


 【経済】が2上がった。
 【文化】が4上がった。
 村スキル『統一単位Lv1』、『役所Lv1』を手に入れた
『教育Lv3→4』、『商業Lv3→4』、『温泉宿Lv3→4』、『冒険者Lv3→4』に上がった。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​

別府・トモエ
「テニスプレイヤー、別府・トモエ見参!」
縦穴に突っ込んで探索!
【ダッシュ】【ジャンプ】【スライディング】駆使して
そんな忙しなくして分かるのかって?
分かるんだなぁテニスなら!
【仰観俯察の極み】とは!
全国区プレイヤーにのみ許された無我の境地の奥!感覚と思考の極み!
全ての感覚を極めてまずは遺跡を探す
特に【視力】には自信があるよ
「遺跡発見!とりゃー!」
高校の授業で鍛えた番書力でガンガン書き写すよ
紙が沢山有るっていいね

さぁて頼まれてるものも探さないと
【硝石】と【硫黄】ねえ、ちろっと見本みせてもらったし探してみせるよ
地面から振動の違いから、埋まってる物違いも分かるのだ

「おっと、この先ドラゴン注意かなあ」


トール・テスカコアトル
「……フルバースト・マキシマム」
ドッカンドッカン
郊外の原っぱにドワーフさん達集めて【大砲】って物を見せたげる
「いい?これと……これをちっちゃくした【銃】を目指して頑張ろー」
おー
先ずは【火薬】造りだね
【硫黄】と【硝石】と【木炭】混ぜたら出来るんだってさ
「慎重にやってね……危ない実験はトールがやる」
これでも身体は丈夫なんだ
変身すれば宇宙戦艦の主砲も耐える
「とっても怖いけど……だからこそ強くなるのがトール」
火薬が出来たらいよいよ大砲砲だねトールのアームドフォートを貸してあげるから参考にするといいよ
銃を作るなら、村の木工職人さん達にも協力してもらおうか
「……初めての共同作業……ううん、物騒だねえ……」



「テニスプレイヤー、別府・トモエ見参!」
 別府・トモエは物凄い勢いで縦穴へと飛び込み、スライディングやらジャンプなどを駆使して、アクロバティックに縦穴を下っていく。
 この様な勢いで駆け抜けて、調査が出来るかどうかと言う心配は必要ない、何故なら彼女は全国区のテニスプレイヤーなのだから!
 全国レベルともなればユーベルコード【仰観俯察の極み】によって、あらゆる感覚が研ぎ澄まされ、高速の情報処理を可能とする…コレが出来ないテニスプレイヤーなど、全国大会に出たら高速すぎるテニスボールに対応できず、ボールが直撃し、2F観客席まで吹っ飛ばされKO負けをくらう事になるだろう…全国の壁は分厚いのだ。

「頼まれたものは…『硫黄』は見つけたんだけど…うーーん…」
 別府はトールから黒色火薬の原料である『硫黄』と『硝石』の採掘を頼まれていたのだが…『硫黄』は兎も角、硝石が見つからない…如何に感覚を研ぎ澄まそうとも、最初からないものを見つける事はできないのだ。
 なぜ、硝石が見つからないか…それは、この土地が水源豊富で森である事に起因している…『硝石』の元である硝酸カリウムは水溶性であり、雨に濡れれば深層へと拡散してしまう性質がある他に、植物の根から吸収されてしまう性質があるのだ。
 故に硝石が作られる地形は、草木が無く、雨に当たらないが、有機物が豊富にある環境と言う場所に限定されてしまう…少なくとも縦穴の表層でこの条件を満たせる地形は存在しないのだ。

「うーん、中々見つからないなぁ…硝石、テニスで作れないかなぁ?」
 いくら全国レベルのテニスプレイヤーでもそれは難しい、硫黄ならテニスボールが黄色いからいけるかもしれないが…などと、筋金入りのテニス馬鹿の別府は考える…彼女がやっていたのは本当にテニスなのだろうか?

「これ以上潜ったら、ドラゴン注意だよね…うん?、あれは?」
 これ以上潜ってしまったら、例のドラゴンと鉢合わせになりそうといったところで…横穴の中に硝石を見つける事が出来たのだ、そして…硝石の周りには生物の骨と思わしき物が散乱していた。

「……なるほど、横穴の中に死体があって、それが『硝石丘』の様になったみたいだね」
 そんな入手の経緯を聞いて、火薬の原料を依頼していたトール・テスカコアトルは硝石が作られた経緯を推定する…『硝石丘』は風通しの良い小屋などに窒素を含む木の葉や石灰石・糞尿・塵芥を土と混ぜて積み上げ、定期的に尿をかけて硝石を析出させると言う人工的な『硝石』の作り方である。
「えー?、人工的に作れるなら探してこなくても良かったんじゃ…」
「……いえ、硝石丘で硝石が取れるようになるのに5年はかかる…それでは『北』との備えに間に合わない」
「そっか…う~ん、これで足りそう?」
「…当面は大丈夫、長期戦になったら分からないけど…でも」
「でも?…どうかしたの?」
「いえ、死体から偶発的に算出された割に量が多くて…何年前の死体かは分からないけど、随分積み上げたものだと…」
「ああ、あの横穴には一杯死体があったって事になるんだね」
「うん、正に死体の山と呼べるレベルだったと思う」
 めでたく『硝石』を見つける事は出来たが…その出自の事を考えると、嫌な予感は拭えない…そう感じる二人であった。

「……フルバースト・マキシマム」
 しかし、これで火薬が作れるようになったのだからと…トールはドワーフ達を集めて、自作した大砲を作りドッカンドッカンと発射してみせた。
「いい?これと……これをちっちゃくした『銃』を目指して頑張ろー」
「ほっほぉ、これが噂に聞く銃なんじゃな…火薬ちゅー物体は良く分からんが、構造自体は単純じゃのぉ」
 大砲や銃の構造は単純だが、精密さを求められる…粗雑な部品で作られた銃はジャムを起こすし、十全の威力を発揮する事もないだろう…だけど、ドワーフ達ならば其処は問題なく作れたのだが…。

「火薬作るよ、『硫黄』と『硝石』と『木炭』を混ぜると出来上がるんだって」
「なんか、錬金術師の調合みたいじゃのぉ」
「爆発せんよな?、これ…」
「するよ」
「「「するの!?」」」
 当然、火薬だから作業を誤れば爆発する…トールは淡々と説明しているが、中々にデンジャーな作業なのである。
「慎重にやってね……危ない実験はトールがやる」
 危険な作業はトールが受け持ち、火薬作りは進んでいく…やり慣れた金属加工に比べておっかなびっくりで頼りないものの、それでも流石はドワーフ、段々と火薬は作れるようになっていった。
「仕上げは砲弾制作だよ、それと銃の方は使い回しが良い様に、木材のパーツを加えて作るからね」
「そういう作業なら任せんしゃい!」
 金属加工も、木材加工もドワーフにとってはお手の物、おっかない火薬のときに比べ、急に元気になったドワーフ達は凄いペースで砲弾と銃床等の作り方を覚えていく。
 こうして、アックス&ウィザーズでは希少な『銃』が、この辺境の開拓村に爆誕するのであった。


 ・【文化】が4上がった。
 ・村スキル『銃Lv1』『火薬Lv1』『硫黄Lv1』『硝石Lv1』を獲得。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

鳴猫・又三郎
「酒にゃドワーフ諸君、酒にゃ」
新参者で気苦労も多いにゃろうし酒は大事にゃ
わしが呑みたいだけなのは内緒にゃ
「林檎酒は良いのがあるけどやっぱりここは麦酒にゃろ」
ここにはいい【麦】があるにゃあ
飲兵衛ドワーフども農夫を集めてプロジェクト【麦酒】発足にゃ
基本はドワーフや他の飲兵衛に任せて【猫の見えざる手】でお手伝いにゃ不届きものにはお仕置きにゃ

「大体形になったかにゃ……ここからにゃ。蒸留器を造ってほしいにゃドワーフ諸君」
【火酒】別名ウィスキーにはそれが必要にゃ
「にゃあに最初から上手くいくにゃんて思ってにゃいにゃ……いっくらドワーフでもにゃあ、難しいだろうにゃあ」
とかプライド刺激する【言いくるめ】
にゃあ


二天堂・たま
縦穴を通って調査や発掘か…。先に使用したUCがここでも役立つな。

UC:妖精の里で「収納」(人員とか資材)
UC:親指チックで「場所交代」(五感を共有してるから呼ばれれば分かる)
で、大人数の移動と運搬はかなり楽になるだろう。

ワタシ自身は村の調理場をメインに仕事して『場所交代』で食事などを届けよう。
ワタシが村にいれば帰還も不足した道具を届ける事も出来る。

前回造った醸造所も気になるな。
撹拌の仕方や発酵具合を確かめたいところだ。
文字を読める者も増えたし、失敗しやすい点をメモして“コツ”を共有するといいぞ。
仕事終わりに飲む酒は格別らしい。ドワーフ達も喜ぶと思うぞ。



●仕事上がりに飲みたくて
「うむ、物資を届けに来たぞ」
「有難うございます、二天堂さん…あ、こちらが発掘したものなります」
「これは、中々に大量だな…では、運ぶとしよう、交代する者も荷物と一緒に中に入るがいいぞ」
 二天堂はユーベルコード【親指チック(スニーキング)】で呼び出したヒヨコが持つ、場所の入れ替えの能力で、村と縦穴の中を行き来し、同じくユーベルコード【妖精の里】に物資や交代人員を入れて移動する事により、発掘作業のサポートを行っていた…そのお陰で、移動や運送に係る時間が大幅に削減され、遺跡の調査も、採掘も効率よく進んでいる。

「ふぅ~、ひと仕事を終えた後は一杯やりたいぜ」
「そう言えば、醸造所が増築されるらしいなぁ…新しい酒も作られるようになるかも知れんぞ!」
 作業を終えた村人達は仕事の後の酒を欲する…仕事上がりの一杯とは、どのような世界においてもやはり格別なものなのだろう、村人も、新参のドワーフも、下戸の者以外は仕事終わりは大体こんな感じなのだ。

「ふむ、醸造所の増築か…醸造の様子を確認しておきたかったし、少し見に行ってみるか」
 そんな村人の会話から、自分が教えたリンゴ酒の調子でも見に行こうかと軽い気持ちで醸造所に向かったのだが…
「な、なんだこれは!?」
「新しくできた蒸溜器にゃ」
 醸造所には、いつの間にか巨大な蒸溜器が出来上がっていた…これが出来上がった経緯には、もう一人のケットシーである、鳴猫とドワーフ達のやり取りが起因となっていた…。

 時が遡ること、三日前…
「酒にゃドワーフ諸君、酒にゃ」
 自分も飲みたいがために、ドワーフ達を集めて麦酒作りを始めた鳴猫であったが、それは上手くいった、と言うよりも行き過ぎた、何故ならば…。
「はっはっは、ワシ等にかかればこんなもんよ!」
「シードルも悪くはないがの、やっぱエールもなければなぁ!」
「許可が貰えなかったら、ワシらだけで勝手に作っておったところじゃわい!」
 流石は、飲兵衛と名高い種族であるドワーフの職人達…酒に賭ける情熱は凄まじく、『麦酒』の醸造所はあっさりと完成したのだ…が、あっさり過ぎて少々時間が余ってしまった。

「大体形になったかにゃ……ここからにゃ。蒸留器を造ってほしいにゃドワーフ諸君」
 想像以上に早く麦酒が作れるようになったので、鳴猫はそのまま次の段階…『火酒』、即ちウィスキーを作るために蒸留器の制作まで提案したのだ。
「じょ、蒸留器じゃと?、アレは蒸気を通すパイプの形を完成させるのが面倒じゃぞ?」
 醸造のみでなく、蒸留までやるとなると、沸かすための竈、蒸留するためのパイプなど…醸造よりも多くの設備が必要になる…それを、既にひと仕事終えた後に追加でやるのは流石にと…ドワーフ達も顔を顰めたのだが…

「流石に、いきなり蒸留器は上手く出来ないかにゃぁ~、流石のドワーフでも無理なんじゃにゃ~」
 そんなドワーフ達の職人プライドを刺激する『無理』とか『上手く出来ない』と言うワードを散りばめながら、ドワーフ達を挑発するように、蒸留器製造へと誘おうとした、鳴猫であったが…これが功を奏し過ぎたのだ。
「あぁん!?、ドワーフをなめんじゃねぇよ!」
「蒸留器なんざ、朝飯前だっての!、おい、若い衆を連れてこい!」
「おう!、と言うかわし等も『火酒』飲みたいしな!」
 村に来たドワーフ達が総出で蒸留器を作り始めてしまったのである。その結果、二天堂が見上げているような立派すぎる蒸留器が完成したのだ。

「わぁ、凄いじゃないですか!、こんな施設があっという間に!」
「はっはっは、そうじゃろう!そうじゃろう!」
「お前さん方も仕事上がりじゃろう?、どうじゃ?、新しく作った麦酒で一杯やるっていうのは!」
「良いんですか!?」
「おうよ、仕事上がりの宴を断るドワーフなんざ居ないぜ!」
「火酒の方は蒸溜と熟成に時間がかかるから、まだ出来てはおらんがな!」
「火酒も作ってるんですか、良いですね、完成したらまた…」
「おう!、その時も派手に騒ぐぞい!」
 まだこの村に来たばかりのドワーフ達だが、酒の力で元から住んでいた村人達ともあっという間に打ち解けていく。
「随分仲が良くなったみたいだね、じゃあ折角だから調理場でツマミでも作るとするよ」
「やった、二天堂さんの料理が食べられる!」
「ツマミはありがたいのぉ!」
「わしも同伴させてもらうにゃ」
 こうして、作ったばかりの麦酒と、二天堂の料理を楽しみながら…村人達とドワーフは絆を深めるのだった。

●その後…。
「ぷはぁ~!!、やっぱエールは良いねぇ!」
「ツマミも旨いし、この村でもう少し活動していこうかな?」
 麦酒と、二天堂が作ったツマミは冒険者達にも人気で、この村に留まる冒険者の数も増えたようだ。


・【文化】が2上がった。
・【経済】が2上がった。
・村スキル:『シードルLv1』『麦酒Lv1』『火酒Lv1』『蒸溜器Lv1』を獲得
・『酒造Lv1→Lv3』『冒険者Lv4→5』に上がった

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

戦場外院・晶
この村は発展著しい
そしてこれからも急激に発展するでしょう
ならば足場を固めるべきかと
村長、各産業やドワーフのまとめ役、ウォール様などに【集会所】へお集まり頂き
「【役所】を作ってはどうかと愚考します」
ペロペロ
今この村は新しい仕事に溢れています畑、製紙、金属加工、人が足りません
呼び、迎え、増えましょうが
「確実に混乱、揉め事が起きましょう……ペロペロ」
そこで【役所】です
村人を記録する【戸籍】
揉め事を処理する【調停】
犯罪を検証し罰する【裁判】
そういった絶対必要な諸々に繋げるためにも
「先ずは皆さんで色々擦り合わせるべきかと」
合議制が妥当なところでしょうかペロペロ
村の規則等を見直し、次の発展に備えましょう



「『役所』を作ってはどうかと愚考します」
 戦場外院は『集会所』に村長やドワーフの代表、そして各産業の代表や、自警団を代表してウォールなど、この村の主要人物を集めて『役所』を作る提案を行った。

「今この村は新しい仕事に溢れています畑、製紙、金属加工、人が足りません」
 …ぺろぺろ
「そうなると、この村は新たな人材をどんどんと呼び込んでいかなくてはならないでしょう」
 …ぺろぺろ
「その結果、確実に混乱、揉め事が起きましょう……」
 …ぺろぺろ
(((なんでこの人、ずっときな粉を舐めてるの!?)))
 重要人物を招いての大事なプレゼン、話している事ももっともなのだが…戦場外院がそれを、延々ときな粉を舐めながら行っている事に戸惑う一同…。
 しかしこれは戦場外院のユーベルコード【きなこペロペロ、智慧もりもり(グッドナイス・キナコ)】、舐めていれば智恵を得られる凄いきな粉なのだ!
 …もっとも、こう言ったプレゼンだと、前日に台本やら資料やらを揃る時に智恵が必要であった、今の場面で舐め続ける意味があるのかは謎であるが。

「役人となりますと、読み書きは勿論…外来への対応やら出来ませんといけませんし、算術も必須となりますが…」
「人材の教育に関してはモルツクルスさんが勧めております、至って順調だという話ですよ」
 そう、役人と言うのはかなりの教養を必要とする職業である…が、今まで進めてきた教育が功を奏し、そのレベルに達する者が現れるレベルまで、この村の教育水準は上がってきているのだ。

「ですので、役所を作り、戸籍の管理やら、揉め事の調停…それと、裁判ですか…そう言えばこの村の規則はどうなっているのです?」
「この村は基本的にモジャーポートと同じ法を敷いてるのぉ、そう決めたと言うより、何となくでそうしているだけじゃが…」
 今までは法律などを確りと規定する機関も余裕もなかったが…村が大きくなるとそういった物も必要となっていくであろう。

「先ずは皆さんで色々擦り合わせるべきかと」
 こうして、村の代表者同士の連日の会議が始まり、この村に基本的な法律が作られ、役所が建設される事となった。
 面倒だと思う村人も多かったが、これによって新参との余計なトラブルは回避され、この村がより大きく発展する最初の礎が築かれたのだ。


・【文化】が2上がった
・村スキル『役所Lv1』、『秩序Lv1』、『治安Lv1』を獲得

成功 🔵​🔵​🔴​

秋山・軍犬
経済
ドワーフさんに
挽肉機や燻製器や圧力鍋など作成可能か
料理とメカニック知識を提供し相談
な感じで開拓パート終了…そして

軍犬「…楽しい探索の時間だよ~(棒)」

ジョン&ナンシー「テンション低ぅい!?」

軍犬のやる気の無さに手伝いで召喚した
【深夜の夫婦漫才】のジョン&ナンシーも思わずビックリ

軍犬「…鉱石は食えないんダヨー?」

ジョン「このやる気の無さ…どうするナンシー?」

ナンシー「えっと…た、食べれる鉱石とかあるかも?(ないわ~)」

軍犬「そ れ だッ!!」

そう此処はファンタジー世界A&W
既存の常識はポイなのだ!食える鉱石も…!
ヒャア!我慢できねえ!フードファイトの時間だ!

…うんまあ鉱石は見つかりそうかな?



「という訳で、こういう感じの物を作って欲しいっすよ」
「お、おう…燻製器ってのはすぐ出来ると思うが、圧力鍋と挽肉機ってのは時間をくれ…」
「…無理そうっすか?」
「馬鹿いえ、ドワーフの職人がこの程度で根を上げるか!…ただ、仕組みが分かっても初めて作る品じゃからな、ちゃんと動作する様にしっかり試作を重ねたいのじゃ!」
 秋山は新たな調理器具を作り、この村の料理のレパートリーを増やそうと…ドワーフの鍋職人に相談を持ちかけていた。
 しかし、圧力鍋など初めて作る器具は、流石のドワーフでも試作を必要とするらしい…が、決して無理とは言わないようだ。
「時間がかかるのは仕方がないっすよ、よろしく頼めるっすか?」
「おうよ、面白そうな仕事じゃねぇか!、バッチリ仕上げてやらぁ!」
 と、そんな感じでドワーフとの相談は無事成功し、この村には新しい調理器具の数々が生まれていくであろう。

「よし、それじゃ…」
 ドワーフとの相談を終え、秋山はユーベルコード【深夜の夫婦漫才】を使用し、謎のハイテンションカップル、ジョン&ナンシーを召喚する…これから行う調査を手伝わせるためだ…が。

「…楽しい探索の時間だよ~(棒)」
「「「テンション低ぅい!?」」」
 秋山のあまりのテンションの低さに、ジョン&ナンシーと先程まで相談していたドワーフのおっさんも思わずビックリした。
「…鉱石は食えないんダヨー?」
 ローテンションの理由はやはりそれ、『~っす』と言う口調すら死に絶える程の惨状にジョンとナンシーの頬から冷や汗が流れる。

「このやる気の無さ…どうするナンシー?」
「えっと…た、食べれる鉱石とかあるかも?(ないわ~)」
「そ れ だッ!!」
 あまりのどうしようもの無さに、ナンシーが誤魔化すように行ったテキトーな話に、秋山は思いっきり食いついたのだ。
 ここは、ファンタジー世界、既存の常識が通じない事は、前に手に入ったファンタジーな動物達が証明してくれている…ならば食べられる鉱石もあるはずだ!

「え、あるの?」
 と、ナンシーが地の文にツッコミを入れてくる、流石は謎のカップルの片割れ、第四の壁にだって容赦はない…が、この疑問にドワーフのおっさんが答えてくれる。

「いや、岩塩とかあるじゃろ…」
「「「あ…」」」
 そう、現実世界では唯一とも言えるが、食用の鉱石『岩塩』が存在する…結局はただの塩だが、塩を侮るような者はフードファイターにはなれない、何故ならば塩こそが料理の基本、味の基本であるからだ。

「他には食えそうな鉱石ってないんっすかね?」
「食えると言っても岩塩同様に調味目的で、単体では食い辛い奴ばかりじゃが…『コンソメロック』と呼ばれる石をしばらく煮込むと、スープになるから、料理が苦手な冒険者などには人気じゃな」
「ひゃっほー!、マジであったよ!」
「やったわジョン、これで探索も捗りそうよ!」
「そうだねナンシー、それもなんかインスタント感覚で使いやすそうだ!」
 『コンソメロック』はこの世界の岩塩の一種だが、旨味成分を大量に含む反面、塩分が大分なくなってしまった結果、煮込むだけでスープになると言うお手軽な存在らしい。

 こうしてテンションを取り戻した秋山はユーベルコード【フードスペシャリテ・フルコースモード】までも使用して、猛然の勢いで探索を始めた。
 結果的に『コンソメロック』を探すついでに『銅鉱脈』まで発見し、村では銅が手に入るようになったようだ。
「『銅』も熱伝導率が良くて調理に向いた金属っすからね、抑えておくっすよ」


・【経済】が2上がった
・村スキル『調理器具Lv1』、『コンソメロックLv1』、『塩Lv1』、『銅Lv1』を獲得した。

成功 🔵​🔵​🔴​

敷島・初瀬
「ワニさん達もうすぐ北から色んなお肉が届くであります」
日課の餌やりを終えてから村の開発を行うであります。


鉱石が手に入っても加工する場所が無ければ意味が無いので『高炉』等の鍛冶関係の施設を作るであります。

水車を動力にする鞴を用い燃料が木炭の高炉なら中世レベルの技術でも作れるのでドワーフにも相談して設計し出来るだけ高性能に仕上げるであります(燃料がコークスとか蒸気機関とか無茶は言わないであります)、自警団も馬車馬の様に扱き使って建造を急ぐであります。

(アドリブ、絡み大歓迎です) 



「ワニさん達もうすぐ北から色んなお肉が届くであります」
 敷島は日課のワニへの餌やりを行いながら、ニコニコとそのような事を呟く。
 一見、ペット想いの可愛らしい光景に見えるかも知れない、だが、敷島は敷島である…こうやって餌をやってる最中も、生きた汚物をここへ叩き込みたいなぁとか考えているのだ。
「そう言えば、カルロスの奴はモジャーポートの方で処刑になるそうでありますね」
「はい、奴はやりすぎました…村を滅ぼし、人間をモンスターに売り払うなどと言う悪逆な行為が明るみに出たのですから」
 そんな敷島の脇で、ウォールが敷島の問いに答える…自分達の間だけで処刑するには、カルロスは重罪を犯しすぎたのだ…彼の犯行に対して『国家』まで動きを見せ、その処刑に立ち会う事となったのだ。

「事態が事態であります、国家に恩を売るためにも、ワニさん達のエサにするのはぐっと我慢でありますよ…もっとも、取り調べでボロボロになったでありますがね」
「私としては、当然の報いかと…」
 敷島とて馬鹿ではない、最終的な勝利の為ならば汚物を処刑する愉悦を我慢することは出来る…彼女は単にちょっと?過激派なだけなのだ。
 カルロスの顛末はお上に任せ、敷島もまた次の戦争を勝利で収めるべく、その準備に取り掛かる。

「そろそろ『鉄』が手に入るであります、それに備えての準備として『高炉』を始めとする施設を作ろうと思うでありますが、専門家の意見が聞きたいであります」
 敷島が進めるのは『製鉄』の為のインフラ準備、それを可能な限り高性能な物にするためにドワーフ達の意見を集めると、様々な意見が出てくる。

「水車式の鞴の他に、人力のも備えてもらいたい…微妙な火力調整で鉄の出来はだいぶ変わるからな」
「なるほど、その辺りは流石に職人でありますね…では、ここをこうして」
「あと、ここじゃな…ここに拡張スペースを残しておいた方が言いのじゃ、炎の魔力を持つ『炎晶石』が手に入ったら、より高熱を出す高炉に改造できるからな」
「そうじゃな、しかもミスリル鉱脈が見つかるのかもしれんのじゃろう?、あれの加工まで考えると『炎晶石』を使った炉じゃないと、とてもじゃないが加工できんわい」
「あー、でも鉄は鉄で使うでありますし…二つ用意するありますかね?」
「む?、そりゃ二つあった方が便利じゃが…二つは流石に大変じゃろ?」
「そこは大丈夫であります、自警団を酷使すればどうにかなるでありますよ」
「それ、大丈夫じゃない気がするんじゃが…」
 ドワーフの懸念は当たった…が、それは敷島の予定の内だった…最近、自警団が連勝してて弛んでるような気がしたから、ちょっと重労働で喝を入れてやろうと考えていたからである。

「さあ、馬車馬の様に働くであります!、敵は待ってくれないでありますよ!」
「ひぃ!、ひぃ!!」
 ピラミッド建設中の奴隷でももっと待遇は良かったであろう、過酷な労働の嵐が自警団に吹き荒れる…それでも手を抜かぬように、敷島は愉悦…じゃない、心を鬼して鞭を振るい自警団達を突き動かすのだ。
 かくして、ブラック自警団の頑張りによって、製鉄用の『高炉』と将来的にはミスリルなどの魔力のある鉱石を加工するための『魔力高炉』が完成したのだった。


・【文化】が2上がった。
・村スキル『鉄Lv1』、『金属加工Lv1』、『魔法金属加工Lv1』を獲得。
・『逆境Lv2→3』、『建設技術Lv1→2』に上がった。

成功 🔵​🔵​🔴​

如月・遥
『文化』

開拓が進むのは嬉しいけど、やっぱり環境破壊が心配ね。
人が増える程、環境への影響も深刻になる。
『環境アセスメント』による<情報収集>だけじゃなく、村の人達への啓発(【教育】)もしていかないと。

そこで私が開拓村周辺の自然の中で体験した事を、【製紙、情報伝達、識字率】で、『シートン動物記』のような物語仕立ての本にして『出版』してみるよ。
けど私に文才はないから、執筆をコウリスさんに頼んでみよう。
一度コウリスさんと近くの森を探険して、彼女にも自然を体験させてみるね。

その探険にキキ(f12329)も誘ってみよう…
あの娘、先日の奴隷救出から様子が変だし。
大自然に触れる事でまた元気になって欲しいけど…


キキ・ニイミ
『経済』

ダメだ…
どうしても遥さん(f12408)の顔をまともに見れない…
遥さんがボクを凄く大事に思ってくれてるのは分かってる。
けど…それでもボクと遥さんは対等じゃないんだ…

ボクは遥さんが大好きだ。
だからこそこんな悩み、遥さんにだけは言えない。
ボクは…どうすればいい…?

今は縦穴調査に集中しよう。
≪キツネ耳≫で磁場を感知しながら、<野生の勘>と<第六感>による<失せ物探し>で鉱脈を探そう。
鉱脈を見つけたら【バトルキャラクターズ】で出した動物のサイを<操縦>して、その突進で岩盤を破壊する。
その瓦礫を<念動力>で片付けながら、時間の許す限り鉱脈探しを続けるよ。

何かしてないと、頭が変になりそうだから…



●キキの悩み
「……」
 キキは無言で遺跡、そして鉱脈の在処を探り続ける…集中している、と言うより集中しようとしていると言った方が正しいか、胸の中に渦巻く疑念に蓋をするように作業だけを意識して没頭する。
「見つけた…行って!」
 ユーベルコード【バトルキャラクターズ】で呼び出したサイが壁に激突して岩盤を崩すと、黒っぽい塊が露出する…どうやら『石炭』の様だ。
「今日はここまでかな?」
 『石炭』を見つけた所で村へ戻る、遺跡の発掘もかなり量が取れた…それを分析チームに届ける帰路で、蓋をした感情がまた、頭の中を駆け巡ってくる…。

(遥さんがボクを凄く大事に思ってくれてるのは分かってる…、けど…それでもボクと遥さんは対等じゃないんだ…)
 ベネッセの言葉から感じてしまった、人と動物との壁、飼育員と動物という立場の違い…飼育されている動物と奴隷との違いは?、如月と自分の関係は一体何なのだろうか?…様々な疑念が心に浮かび、答えがないまま宙に浮かぶ。
(ボクは遥さんが大好きだ…だからこそこんな悩み、遥さんにだけは言えない、ボクは…どうすればいい…?)
 村に辿り付き、積荷を分析チームに渡しても、心の荷は降りない…ズシンと胸の中にお守りを置かれたような苦しさに、答えを見い出せないままキキは項垂れる。

「キキ様、どうかなさいましたか?」
「あ、……ううん、大丈夫だよ!、ちょっとだけ疲れちゃっただけ!」
「お辛いようでしたら、確りと休んでくださいね?」
「うん…大丈夫だよ…」
 その様子をクロベルに心配されたが、この悩みはクロベルにもちょっと言いにくい…『元奴隷』である彼女なら、この問に何らかの答えを持っているかも知れないが…聞くには気が引ける問題である、特に、今のように立場の違いに苦しむキキならば、より一層、聞きにくい話題となるであろう。

「あ、キキ様…先程、如月様からの伝言がありまして…」
「…え?」
 一人で悩むキキに伝言を伝えるクロベル…どうやら、如月に心配をかけてしまっていた様で…『自然』の中でやる仕事を手伝って貰えないかと言う誘いが届いたのだ。
(正直、どう顔を合わせて良いか分からない…けど、心配して貰ってるのに、無視はダメだよね?)
 気持ちは複雑だが『遥さんは大好き』である事だけは曲げたくない、それなのにその如月の気持ちを拒む様な真似はしたくはない…少し怖さを覚えるものの、キキはその誘いを受ける事にした。

●大切なものは?
「デュヒヒヒ…、それじゃよろしくお願いしますね、如月さん、キキちゃん!」
「はい、よろしくお願いするわ、コウリスさん」
「う、うん、宜しく…」
 如月と二人の仕事だと思ったら、妙齢で美人だが笑い声が残念だと村で評判のコウリスさん(26歳・作家)も一緒であった。
「コウリスさんには色々と自然と触れ合って、その体験を元に執筆をして貰いたいの…こう、皆にもっと、自然の素晴らしさとか、それを守る意義とかを知って欲しくて」
「なるほど、なるほど、分かりました~、普段書いてるジャンルとは違いますけど、頑張らせて頂きますわ」
 出来れば、『シートン動物記』の様な…読めば、自然の大切さ理解し、これからさらに開発が進み、人が増えたとしても、周辺の環境が守っていこうと思える、そんな物語を期待されて、コウリスは同行をするようだ。

「えっと、遥さん…ボクはどうすれば良いのかな?」
「え、えっと、キキは……コウリスさんのインスピレーションが働くように、色々説明してあげて?」
「う、うん…分かったよ」
 自然や動物についての解説だったら、キキよりも如月の方が得意であるのだが…取り敢えず、元気を出して貰うために連れ出したとは言難いのか、如月は解説役をキキに任せた。
 キキも、そんな如月の様子を察して…自分が色々悩んでる事を気にかけてもらえて嬉しいとも思うけど、申し訳なさも感じてしまう…特にあの様な事を気にしてるキキにとって、こう言った気遣いは色々複雑に感じてしまうのだ。

「あらあら、それじゃあキキちゃん、色々と聞いちゃっていいかしら?」
「う、うん、コウリスさん、何でも聞いてよ!」
 また、あの嫌な思考に沈みそうになった所に、コウリスから声をかけられたキキはそれを振り払うように答える。
「あちらのカラスさんは、一体何をしているのでしょう?」
「えっと、木の棒を咥えてるね…それで木の穴をつついて…えっと、…あ!」
「え?、なんか大きい虫が取れた!?」
 コウリスが見つけたものは、カラスが釣りをする場面であった…UDCアースの一部地域のカラスは、木の穴に潜む幼虫を加えた木の棒で突き、挑発して噛み付かせた所を一気に引きずり出すと言う、まるで釣りの様な行動をする種がいる。
 このカラスも同じような習性を持っていたのであろう、予想外の光景にコウリスもキキも目を丸くする…如月も、その習性を持つカラスは知ってはいたが、珍しい物が見れたと、内心驚いていた。

「カラスが賢い鳥だってのは知ってたけど、これはちょっとビックリだね」
「私も実際にやってる所を見るのは初めてだったわ…」
「カラスって凄いのね、そうだわキキちゃん!、私達もやってみましょう!」
「ええっ!?」
 自分達が幼虫を獲ってどうするんだとも思ったが、確かに執筆の為の体験と考えれば間違っていないのかもしれない…と、高リスに同行してキキは木の棒を使った幼虫取りに挑んだ。

「う…予想以上に難しいわ、せっかく幼虫が居る穴を見つけたのに…」
「噛ませなきゃだから、もっと、こう…」
「嗚呼!、奥に逃げられてしまったわ…うう、私ってカラス以下なのね…」
「……(う…)」
 何気なく漏れた、コウリスの『カラス以下』という言葉…コウリスは人間であり、カラスは動物だから出た言葉…悪気は無い
のは分かっているが、つい、その言葉に反応して、キキは俯いてしまう。

「あら?、どうしたのキキちゃん」
「えっと…その…」
 虫取りに夢中になって、如月と離れた場所に来ていたからか…キキは悩みをボカす様にしながら、コウリスに訪ねてみた。

「やっぱり、動物と人って対等じゃないんだね…」
「え?、えっと…うーーーん、状況にもよるかもかしら?、例えば熊が私の頭を齧ってる状態だったら、熊の方が優位だし?」
「その状態、優位云々の前にコウリスさん死んでるよね!?」
「それもそうね!、うーん、さっきかたキキちゃんが悩んでたのって、もしかしてそう言った話だったのかな?」
「え!?、う、うん…」
 どうやら、如月だけでなくコウリスすらもキキの異常には気が付いていたようだ…いきなり、カラスの真似をして虫取りに誘ったりなども、それを気にしての行動だったのかもしれない。

「人と動物が対等かどうか…うーーーーん…、そこって別に『大切な事』じゃないんじゃないかしら?」
「え?、大切なことじゃない?」
「そう、だって…対等ではない関係なんて、世の中色々あるじゃない…例えば、主君と騎士とか、教師と生徒とか…それこそ、親と子だって、二人の関係は対等ではないわ…でも、この関係にだって強い絆は存在してるでしょう?」
「う、うん…」
「逆に対等の関係でもギスギスしてる事なんてしょっちゅうあるし…やっぱり大事なのは『愛』だと思うわ!」
「あ、愛!?」
「愛といっても恋愛感情だけじゃないわ、友愛、親愛…まぁ、色々よね…親子の間にも愛情ってあるでしょう?」
「う、うん…でも、人間同士と人間と動物とでは違っちゃうよね!?」
 自分も如月のことは大切に思っている、それが『愛』、恋人に限定しない意味であるのならばそれに間違いはない…でも、だから、二人の間を隔てる人と動物という関係が気になるのだ…が。
「同じよ」
 そんなキキの気持ちとは裏腹に、コウリスは迷う事なく断言してみせた。

「同じって、そんな事…」
「なら、如月さんをご覧なさいな…知ってると思うけど、彼女は何時も動物に対して愛情を向けているわよね?、今回の件だって、周囲の環境破壊を警戒してるのは、この辺りで暮らす動物達の事を思ってだし」
「うん…」
 それは知っている、自分を含め、仲間達は何時も愛情を向けられて来たのだから――。
「じゃあ、その『愛』は動物に向けられた物だがら、ダメかしら?、それだけで無意味で無価値なものに…」
「ならないよっ!!」
 続けて放たれるコウリスの言葉に、理屈ではなく、反射的にキキは叫んで否定した…でも、それが間違っているとは思えない…そんなキキの様子を見て、コウリスはちょっとウザいドヤ顔を浮かべる。

「でしょう?、だから、動物と人でも『愛』は本物なのよ…対等かどうかよりも、その事が大事だと私は思うわ」
「…………うん!」
 色々反論しようと思えば出来たかもしれない、でも、どんな反論を用意しても、如月が向けてくれた愛情を否定する事だけは出来ない、したくない……そう、結局の所、それが、その気持ちが一番『大切な物』だったのだから。

(なるほど…キキはそんな事で悩んでいたのね…)
 こっそりと、『生霊』で二人の様子を観察していた如月は、少し気恥ずかしそうにしながらも、嬉しく思う…コウリスの問い掛けを強く否定したキキの言葉…其処に確かな『愛』を向けられたと感じたからだ。
 例え立場が違っても、互いが確かに『愛』を向けあえているのならば、どんな理屈を用意してもその絆を汚す事など出来はしないのだ。

「うーん、しかし、そうねぇ…今のキキちゃんの話で、良い感じネタが降ってきたわ!」
「あ、執筆のネタが浮かんだんだね、どんなのかな?」
「実体験じゃなくって、創作物でも良いって話だし…いろんな動物が、不思議な力で人間ぽくなっちゃって、其処に動物の習性とか色んな要素を詰め込めば、動物や自然を身近に感じるお話になると思うのよ!」
((ちょ、それって!?))
 コウリスは単にキキの話から妄想しただけであったが、まるで『女神の涙』の効果を元にしたかのような物語『アニマルガールズ』はこうして綴られ、この開拓村で初めての出版物となった。
 如月の狙い通り、これによって村人達も自然や環境に関心を向けてくれるようになったのだが…。

「どうしよう遥さん…これ、思った以上にボク達のお話っぽいよ!?」
「う、うーん…一応、野生って違いはあるけど…執筆家の妄想力って凄いのね」
 教えても居ないのに『女神の涙』の効果を言い当てたかのような、コウリスの『アニマルガールズ』の内容に、キキと如月はちょぴりビビるのであった。


・【文化】が4上がった
・村スキル『環境保護Lv1』、『小説Lv1』、『石炭Lv1』を獲得。
・『衛生Lv3→4』、『識字率Lv3→4』に上がった。

*解析チームによって、遺跡の解読が進んだ。
『【青い炎】は直ぐに散ってしまう、だからそれを閉じ込める【炉】が必要だ』
『【青い炎】を凝縮すれば穴が開く、【世界】を穿つ穴が開く』
『私は憎む【死】を、必ずその結末が訪れる【世界】というシステムを…だから【穴】を開ける、【青い炎】で穴を開ける、【死】から解放された【永遠の楽園】へ至るまで…』

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

空雷・闘真
『経済』

以前から闘真には試してみたいことがあった。
農作物の成長を促進させる『ヒューレイオンの角』。
これに水の魔力を注ぎ込むことで、その効果は更に活性化されたという。

(もし俺が客にマッサージするときのように、【空雷流奥義・震】で『ヒューレイオンの角』に『気』を注ぎ込めば……)

闘真は<気合い、力溜め>で自身の体内の『気』を練り上げ、そのまま<手をつなぐ>ように『角』を優しく手に持つ。
そして『角』に己の『気』を注ぎ込まんと、<零距離射撃>で掌から直接『角』に向けて『気』を放つ!

(空雷流は活殺自在…この『角』を俺の手で更に活かしてやる!)



(もし俺が客にマッサージするときのように、【空雷流奥義・震】で『ヒューレイオンの角』に『気』を注ぎ込めば……)
 最近、活法の修行を再開し始めた闘真は、自身の奥義で『ヒューレイオンの角』をもっと活かせないかと考えていた。
「確か、水の魔力で活性化したんだったよな…」
 ならば、生命のエネルギーである『気』ならばどうか?、『ヒューレイオンの角』農作物の成長を促進させる効果を持つアイテム…それならば『気』とも相性が良いのでは?、と言う予測を立てたのだ。

「やってみるか、貴重品だしな…慎重に行うとしよう」
 闘真は『ヒューレイオンの角』を手を繋ぐように優しく握り…体内で練り上げた『気』を慎重に流し込んでいった。
(…っ!?、これは!!?)
 己の気を角に流し込み、角と一体となった事により気がついた事がある。
「これは…陰陽、どちらの『気』も内包してやがるな」
 植物の急成長と言うのは生命の育みであると同時に、急速に『死』、即ち生命の終わりに向かっていると言える…『ヒューレイオンの角』は『生』も『死』も内包した自然界の生命エネルギーの流れそのものを内包しているのだ。
「角に龍脈…自然そのものが宿ってやがるのか、なる程、確かにコイツは相当なブツだな」
 水の魔力で力を増したのも、恐らくはこの角がヒューレイオンの性質からして『森』の自然そのものだからであろう、となると他に力を与えられそうな属性は想像がつく、森を…木々を育む属性が有効であろう。

「俺の『気』を流してもある程度は活性化する様だが…」
 闘真自身の体から湧き上がる『気』を扱う…即ち『内気功』も有効だが、ここまで自然に近い『気』を持つ『ヒューレイオンの角』ならば、自然界に溢れる外なる『気』を扱う『外気功』で周辺の気脈と共鳴させ、連動させた方がより活性化するかもしれない。
(【空雷流奥義・天】で周囲の『気』を捉え、【空雷流奥義・龍】で『気』を取り込み、【空雷流奥義・震】で俺の『気』と合わせれば…)
 更なる活性をうがなす手段として、三種の奥義の併用という荒業を思いつくが…流石にコレをいきなりぶっつけ本番で行うほど闘真は愚かではない、先ずは練習がてら【空雷流奥義・天】で周囲の気を探ると…、こちらにクロベルが近づいてくる事を感じ取った。

「む?、どうした…この角に用があるのか?」
「あ、闘真様…その、遺跡の解析で…その『ヒューレイオン角』に関する記述が見つかりまして…」
 遺跡に書かれた、あの穴を開けた者の日記と思われる文章…現在の解読だけでも既に不穏すぎる内容であり、今回の騒動の原因に関わりそうな予感がするのだが…その文章にヒューレイオンの記述があったようだ。


『森の守護者の力は【世界】の力、【死】に向かう忌まわしき力…【青い炎】の祝福を穢し【永遠の楽園】を遠ざける』
『かの者は消さねばならぬ、【死】のルールに媚びへつらう、おぞましき存在なり』

「これは…『青い炎』にはこの角が有効って事…なのか?」
「は、はい!、そう…かもしれません、それで闘真様が、その角を調べていると聞きましたので…」
「ああ、色々と分かった所だぜ、『世界の力』とか『死に向かう』とか言うのも少し理解できるぜ、この角は自然そのものの力を持つ様だからな」
「自然そのもの…ですか?」
「ああ…しかし、そうと分かればもっと研究をしないとな…」
 『青い炎』と『北』の状況が無関係とも思えない、『ヒューレイオンの角』の強化は収穫のみならず、今後のオブリビオンとの戦いでも必要となるかもしれないのだ。


・【経済】が2上がった
・『ヒューレイオンの角Lv2→3』に上がった。
・情報:『ヒューレイオンの角』は森を育む属性で強化可能、自然と同調させても力を増す、『青い炎』の効果を打ち消せるかも?

成功 🔵​🔵​🔴​

トリガー・シックス
村長の頼みで縦穴の調査に赴く。遺跡を発見次第調べる。
穴には飛び降り、壁を蹴りながら侵入。

金属は『イケロスMA』の新しいバレルパーツ開発に必要になりそうだが任せて、遺跡の調査を行う。
【世界知識】で古代文字の解読を試みる。
他に何かないかも探索してみる。
「元素の結晶やエネルギーの結晶体があればいいのだが」
あればゲンドゥルの様な武器を作れるだろうし、何か支援武器の製作にも使えるかもしれない。

カルロスの件で聞かれたら何も答えず、冷たい笑みを浮かべる。
薄らと冷たい殺意を漂わせ、黒衣と合わさった姿は死神……。

※アドリブ、他の猟兵との絡みOK


エルーゼ・フーシェン
【防衛】
村で防衛力を上げるために行動するわ。
二刀剣士とかいれば強くなれると思うけど、まずは装備よね。
あと、自警団にも女子とかいればいいと思うけど、難しいかなあ。

とにかく、今はできることをしよう!
トリガー?もうしらない……。

※アドリブ、他の猟兵との絡みOK


ティエル・ティエリエル
「謎の縦穴!ううーん、すっごくロマン溢れる響きだね!しかも遺跡もあるなんてすごいすごい!」
冒険大好きティエルは村の近くにこんな冒険スポットが残っていたことに興奮が隠せないよ☆

何かあった時のために命綱にロープを身体に巻いたら、背中の翅で羽ばたいて飛び降りていくよ♪
壁を調べながら横穴がないかとか、遺跡や鉱脈がないか調べながらどんどん下に下りていくね♪
なんだかそれっぽい鉱石が見つかったら【フェアリーランド】の中にしまって持ち帰るよ☆

【防衛】
取れた鉱石を使ってドワーフの職人さんに武器防具を作ってもらい、自警団の人たちの装備をパワーアップだよ!

※アドリブや他の方との連携も大歓迎です


藤宮・華澄
猟兵になって早速異世界へ!
さて、兄さんを探さないと。どこにいるのか聞いてみよう!
特徴を聞いて回ればすぐ見つかりそう!黒い衣装に鋭い目つきだしねぇ。
猟兵の先輩もいるなら聞いてみようかな。そういえば慌ただしいね。
「うーん、わざと数か所に隙を作るとか?」
【防衛】になるか分からないけど、隙を見せて、集まったら一気に弓や攻撃手段で攻めるとか?
数か所作るのは分断も考えてだからね☆袋にしちゃえばいいよ!

「兄さんが約束破るとしたら……よっぽどだね」
その北の事で考えてるんだろうね。
あっ、ちなみに私はトリガー兄さんの義妹だからね!

※アドリブ、他の猟兵との絡みOK



●縦穴の探索と魔晶石
「謎の縦穴!ううーん、すっごくロマン溢れる響きだね!しかも遺跡もあるなんてすごいすごい!」
 村の近場に、この様なダンジョンがあると知ったティエルは興奮しながらトリガーに話しかける。
「ロマン…と呼ぶには、解読の内容が不穏すぎるがな…」
 そんなティエルに対して相変わらずクールに返答するトリガー。
 ティエルは命綱を付けながら背中の翅で羽ばたいて飛び降りていき、トリガーは壁を蹴りながら、縦穴を飛び降りていくと言う、とても垂直な移動方法で一気に中層までたどり着いた。

「そうだね~☆、あんな文章が見つかるんだったら、良く調べないと!」
 ティエルは好奇心と共に猟兵としての使命にも燃えていた…奴隷商人は捕まえたものの、依然として元凶である『北』には手を出せずにいる…そんな中、この遺跡には有用そうな情報があるのだから…。
 奴隷商人などの乱獲対象にされやすい、フェアリーのお姫様として今回の事件は捨て置くことが出来ないのだ。
「ああ…」
 短く一言だけで返したトリガーだが、その内心では彼もまた燃えている…先日見せたカルロスへの壮絶な殺意といい…この事態に対して相当な怒りを覚えているようだ…それは、彼としては珍しく、恋人との約束すらもすっぽかしてしまう程に。

「あ、居た!、マスター!、待ってよ~!、一緒に行こうよ~!」
「え?、マスター?」
「華澄?…それにエルーゼ…」
 そんな二人を後方から呼び止めたのは、藤宮・華澄…トリガーの実家である藤宮家の養子であり、トリガーの事を兄と呼び慕う新米猟兵…だが、今は作戦中なので『マスター』と読んでいるのだ。
 そして、そんな華澄を連れてきたのがエルーゼであるのだが…

(つーん)
「………」
 やっぱり、エルーゼは拗ねていた…それでも、華澄をトリガーの元へ案内してあげる優しさは見せたが、やっぱり拗ねていた。
「あー…やっぱり拗ねちゃってるよ、ちゃんと埋め合わせしないとダメだよ、トリガー」
「う、うむ…」
「もう、知りません!」
 そんな犬も食わぬ状態な二人に呆れながらも、ティエルは何とか仲直りを促そうとしてみるが…割とガチで拗ねちゃったみたいで、なかなか難しそうである。

「マスターが約束破るとしたら……よっぽどだよね、北はそんなにヤバイの?」
「急がねば…とは、思っているんだがな」
「うーん、気持ちは分かるけど、トリガーは焦り過ぎじゃないかな?…ボクも北の人達は早く助けたいけど、相手の規模が規模だよ…」
「…そうよ、恋人だけど、その前に私はトリガーの相棒でしょ?…それなのに、一人で行動しちゃってさ!」
「うっ…すまない」
 ティエルの指摘通り、『北』は単独行動では対処しきれない事態になっているのだ…一刻も早くどうにかするには、単独で頑張るよりも、仲間との連携を深めていく事が大事になってくるだろう。

「あれ?、あの石は宝石かな?…でも、こんなに沢山」
 そんな中、華澄が下に見える、色取り取りのキラキラしたものに気が付く…しかも、それは穴の底に夜空があるように見えるほど…正に星の数ほど大量に存在するのだ。

「うっそ、これ全部『魔晶石』だよ!、色んな属性の奴があるよ☆」
「え?『魔晶石』ってなんですか、ティエル先輩!」
「その名の通り、魔力が篭った晶石だよ!、魔力が濃い場所にある鉱石だけど…あ、ミスリルもそうだった!」
「それって…自警団が作ってた『魔力高炉』で使う『炎晶石』って奴の仲間かしら?」
「そうそう、赤いやつが『炎晶石』で、青いのが『水晶石』…って感じで、属性ごとの呼び名もあるね☆」
「となると、この穴の底には相当量の魔力があるという事か…しかし、これがあれば色々と防衛に役立つ物が作れそうだな」
「私の『ゲンドゥル』も似たような物を使ってるわね…自警団にも同じ物を装備させる事が出来るかしら?」
「え?、うーん、それはドワーフさん達に相談かな?」
 様々な用途に使えそうな『魔晶石』を四人は拾い集め、ティエルのユーベルコード【フェアリーランド】の壺の中に入れながら、更に下層へと向かっていき…やがて、この穴の主であるドラゴンの姿が見える所まで降りた。

「うわ…デカイ…」
「やっぱり、生えてるわねミスリル…他の金属も一杯…」
「流石に四人だけで攻略は厳しいな、一旦引くぞ」
「うん、一旦村に戻ろう☆」 
 底の方にうっすらと見えるドラゴンの姿…その巨体と、ミスリル銀の輝きは見ただけで圧倒的な力を感じる。
 見たところ、スピードは然程でもなさそうだが、ビッシリと生えたミスリルから見て、ウンザリするほど頑丈だと容易に推測できる…少なくともコイツは四人では倒しきれる相手ではないと、猟兵達は気がつかれる前に村へと撤退した。

●装備を整えよう
「ドワーフのおじさん!、自警団の皆の装備はどうかな?」
「おう、フェアリーの嬢ちゃん!…ご覧のとおり、鉄製の装備だったら、全員分揃えられたぜ!」
「あ、でも『炎晶石』って言うの見つけたわよ、これでミスリルを作れるのだったら…」
「おおう、あの穴は『魔晶石』まであったのか…じゃがのぉ、ミスリルは加工も難しいし、全員分揃えるとなるともっと設備を整えんとキツいじゃろうな」
 村に帰った一行は、ドワーフ達に収穫物を見せながら、自警団の装備強化について話し合う…現時点で鉄製の装備一式はそろたのだが…ミスリル装備で自警団全員を固めたかったら、もっとLvの高い施設が必要なようだし…ミスリルの鉱脈があるのは、ドラゴンの住処だ、やつを倒さない限りミスリルは手に入らないだろう。

「この魔晶石があれば、『ゲンドゥル』の様な装備を作れると思うのだが」
「うん?、そこの狐耳の嬢ちゃんみたいな武器かい?…そりゃまぁ、似たのは作れるとは思うが、ちとのぉ…」
「何か問題があるのかしら?」
「作れる…が、それみたいに魔力そのものを刃にするタイプの武器はじゃな…その強さが使い手の魔力に大きく影響されるのじゃ…嬢ちゃんが使う分には強いじゃろうけど…」
「そう言えば、ウォール達自警団が魔法を使うところ見た事ないね☆」
「魔力がほとんどなくても、魔晶石の力を借りれば刃を作れなくもないがのぉ…それだったら、魔晶石の力をミスリルの刀身に流したほうが強度も威力も高いじゃろうな」
 残念ながら『ケンドゥル』の様なタイプの武器は、使い手に相当な魔力量を要求し…それに満たない者が持っても、魔晶石の魔力で強化したミスリルソードの方が圧倒的に強いと言う事態になってしまうようだ…が、ここで華澄は嫌なことに気が付いてしまう。

「あれ?…って言う事は、ミスリルって魔晶石で強くなる?」
「おう、『炎晶石』でミスリルソードがファイアブレードになったりとか、所謂、一般的な『魔法剣』が出来上がるからのぉ」
 華澄の問に、ドワーフはあっけらかんと答えるが…それを聞いて、華澄の顔はますます青くなる。
「…という事は…あのドラゴン、多分…『魔晶石』も食っちゃってますよね?」
「…あ、それはちょっと…いえ、だいぶ厄介だわ!」
「ミスリルとドラゴンの組み合わせで既に厄介なのに、其処に更に『魔晶石』の魔力で強化されている可能性があるのか…」
「ひえっ、逃げて正解だったよ…それを踏まえた上で皆でかからないとマズイ相手だよ!」
 推定ではあるが、縦穴の底に住まうドラゴンは…ミスリルに『魔晶石』の様々な属性の魔力を込める能力を身につけてしまっているだろう…嫌な情報ではあるが、知らずに初見でそれをくらう事に比べればマシであろう。

「そう言えば装備品は男性向けばかりね、自警団に女性隊員はいないのかしら?」
「居らんな、嬢ちゃんみたいに戦える女ってのも居るには居るが、男に比べて圧倒的に少ないからのぉ…」
「募集に制限をかけていたりしない様だから、村が貼ってすれば現れるかもな」
「二刀剣士も居ないみたい…」
「二刀流は余り一般的ではない、習得すれば強みもあるが、習得が一刀に比べ困難だ…利き腕だけではなく、もう一方でも武器を扱えるようになるには相応の訓練が必要だからな」
 女性隊員も、二刀剣士も意図的に編成しようとすれば用意できるかもしれないが…自然の流れに任せていると中々現れない人材でもある様だ。

「まぁ、何にせよこれで自警団の皆のパワーアップだね!、ボク達も準備を整えてドラゴンを退治しに行こう☆」
「『底』がどうなっているか気になるしな…」
 猟兵達を待ち構えるのは、ミスリルと魔晶石を喰らった鉱石竜…それを見事打倒しこの穴の秘密を解き明かすべく、猟兵達は難敵への準備を始めるのだった。


・【防衛】が8上がった
・村スキル『魔晶石Lv1』『武器防具Lv3』を獲得
・『魔力高炉Lv1→2』『自警団Lv5→6』に上がった

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​




第3章 ボス戦 『合金竜オレイカルコス』

POW   :    合金武装の尾
単純で重い【合金によって武器化された尾】の一撃を叩きつける。直撃地点の周辺地形は破壊される。
SPD   :    例え、屍になろうとも金属は死なず
自身が戦闘で瀕死になると【完全合金製のドラゴン】が召喚される。それは高い戦闘力を持ち、自身と同じ攻撃手段で戦う。
WIZ   :    合金錬成武具の吐息
【合金で錬成した大量の武器によるブレス】を放ち、自身からレベルm半径内の全員を高威力で無差別攻撃する。

イラスト:クロジ

👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主はガングラン・ガーフィールドです。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


「グルルルルルル…」
 外敵の気配に唸り声を上げるドラゴン…『合金竜オレイカルコス』。
 しかし、此度の『合金』は普通の金属とは訳が違う、魔法金属『ミスリル』と更にそれに魔力を流し強化する『魔晶石』を食ってしまっているのだ…。
 この縦穴に眠る豊富な鉱石資源がそのままオレイカルコスの力となり、その暴威が猟兵達に牙をむく。
 しかし『北』を攻略するためにも、金属資源は手に入れねばならない…死力を尽くし、このミスリルの壁を打ち破るのだ!
レイチェル・ケイトリン
念動力と吹き飛ばしの技能で刹那の想いをつかって敵を攻撃してふっとばすね。

その攻撃もふっとばすし、ブレスの武器は武器落としの技能で叩き落とすよ。

しっぽが地形をくだいたら、その土とか石とか岩とかを即座にふっとばして目潰しするおしおきで「それはやっちゃだめ」って条件反射でしつけるね。

落盤とかも刹那の想いの念動力でふっとばして敵にぶつけるの。

とりあえず、このドラゴン、敵だしつよそうだし固そうだし、でも、ここでいちばんおっきな「鉱石」でもありそうだものね。

やっつけたあとで、背中のとげとげとかに魔力を与えたら、まわりの鉱石がよくできる力があるとかそういうことないかな……


秋山・軍犬
【本日のメニュー】
・アルパカステーキ黒古臭風味
・コンソメロックベースの野菜のミルク煮
・チーズのせパン
・飲み物はお好み

で、ドワーフさん達と飯を食いながら

●魔法金属の特性や弱点
●魔法金属の調理器具どう?
●合金竜って美味い?

など合金竜について情報収集

合金竜討伐作戦
戦闘力の無いジョン&ナンシーに
奇跡の再会『美食姫』で喚んだグルメ姫を護衛につけ…

「私も戦闘力のないような気がしない事も無い少女でケキよ?」

そうだね戦闘力ない(笑)っすね
…じゃ装備の強化×2よろしく!

で、合金竜が美味しい可能性を胸に限界を超えて
戦闘力強化して…強化×3×音速×圧力拳=
物理舐めんな魔法金属!!~ドワーフの知恵袋を添えて~…作戦!


トリガー・シックス
『再集結する部隊』を発動させ、重兵装のタイタン、後方支援役のレイダー、工作兵のストーム、狙撃手のホーク、斥候のレイを呼び出す(ホークとレイは女性)。
再び指揮官として動き、『イケロスMA』に徹甲榴散弾銃をセット、二人一組で行動する。
それぞれが徹甲弾を装填した対物狙撃銃、ヘビーアサルトライフル、ブラスタータイプセントリーガン、大型散弾砲で攻撃。
尾の一撃にはタイタンの爆発反応装甲盾、吐息にはレイダーに魔力トーチカで防御。
ストームは罠を使い、援護をメインで行う。
合金製ドラゴンにはタイタンに超高温火炎砲で攻撃させ、冷凍弾による砲撃で冷却を行う。

※アドリブ、絡みOK


エルーゼ・フーシェン
華澄と組んで行動する。
『ゲンドゥル』を抜き、【トリニティ・エンハンス】で攻撃力を上げて【二回攻撃】で斬りつける。
【ダッシュ】と【残像】で回避しつつ【カウンター】で斬りつける。
【全力魔法】で魔力を増加させ、真の姿になって一気に攻める。

心の中で分かっているが、認めたくない思いがある。
トリガーは兵士としての日常を選び、平穏な日常を捨てたのだと……。
(……あそこには、入れないな)


※アドリブ、他の猟兵との絡みOK


藤宮・華澄
『試作型元素光線銃』で援護を行い、負傷者の手当を行う。
隠れながら照射しつつ、他の人の援護を行う。
【戦備】で能力を上げ、【早業】でカートリッジを交換し、属性の変更を行う。

エルーゼに聞かれ、少し考えて「うーん、少し我を押しすぎな気も……」と答える。
「良かれと思って、相手を思って、とか逆に負担になったりして、悪化を招く事もあるから」
「傷痍軍人特有の問題だから……PTSDで溝ができる例もあるから……」
「えーと、難しいけど、しっかり理解していけばなんとか?」

※アドリブ、他の猟兵との絡みOK


モルツクルス・ゼーレヴェックス
5才クルスが相手をする
「じー……」
強敵だからね、本気も本気でいくよ
今回、味方が沢山いるから先ずは観察
【空中戦】で距離をとって遠距離攻撃は【オーラ防御】

【コミュ力】【情報収集】【学習力】でオレイカルコスの癖や性格まで含めた能力を知る

「……慎重に、でも臆病になる必要はないよ」
集めた情報を踏まえて味方を【鼓舞】この空間の【地形を利用】した指揮を執りたい

「残念だったね……君は何もやってない」
【高速詠唱】で【現象回帰】
重くても固くても強くても、何も出来ないなら巨大な鉱石と変わらない……そういう戦を目指す
「油断はしないよ……最大の術で封じてあげる」

集中して【パフォーマンス】を維持
……絶対勝つよ。天使だし



●合金竜の情報集め
「うんうん、岩塩が上手くアルパカ肉の旨みを引き出してるっすね」
「コンソメロックを使った、ミルク煮も乙じゃわい…野菜だけでもこうも上手くなるとはのぉ」
「この村のチーズは旨いのぉ、思わず酒が進んでしまうのじゃ」
 『アルパカステーキ黒古臭風味』、『コンソメロックベースの野菜のミルク煮』、『チーズのせパン』などなど、特産品を使った村の料理を並べながら、秋山はドワーフ達と食卓を囲んでいた。
 秋山はモリモリ食べまくり、ドワーフ達は飯を喰らいながら酒をガンガン飲んでいるが…別に宴会を開いてる訳ではない、合金竜オレイカルコスの弱点を聞く為にドワーフ達を呼び集めたのだ。

「で、合金竜の話じゃったか?」
「序でに、魔法金属の特性と弱点…あと、調理器具としてどうか教えてもらいたいっすね」
 魔法金属と言う単語を聞いた瞬間、ドワーフ衆はうーむと唸る、歯切れの悪い反応には理由があった。
「合金竜めがミスリルを取り込んだと言うのは頭が痛い自体じゃわい…ミスリルの特性つーのはのぉ、通常状態でも鋼よりも頑強で、魔法に対して抵抗力を持つ上に、錆びたりせんし、酸も殆ど受け付けん…しかも、熱にも強く加工に難儀するもんじゃ」
「うへぇ、聞いた限りじゃ弱点なさそうっすね…」
「ミスリルの弱点と言ったら、フライパンとか加熱用の調理器具に向かん事じゃな…通常状態でも微弱の魔法障壁で覆われておるから熱を防いでしまうんじゃよ」
「調理器具には、向かないんすね…」
「いやいや、熱を遮断する特性を活かせば…石窯をミスリルで覆えば、通常よりも遥かに高熱を出せるぞい…もっとも、ミスリルオーブンなんぞ、よっぽどグルメな王侯貴族か大富豪じゃないともっとらんがな」
「まぁ、その性質を使って炉を高温化させるのにワシ等はよう使っとるの、ミスリル製品を効率的に量産するにはミスリル炉が必要になってくるのだ、ミスリル製の魔力高炉ならば炎晶石の火力も上がるしのぉ」
 総合すると、ミスリルと言う金属は頑丈で、腐食や酸にも強く、熱を遮断し、魔法防御力まであるそうだ…そんな金属をドラゴンが使ってくる…と想像しただけで、金属に詳しいドワーフ達は頭が痛くなってくるのだ。

「とは言え、合金竜の側から見れば、弱点もありそうじゃがな」
「合金竜の側からっすか?」
「そうじゃ、奴はミスリル以外の様々な鉱石を食っておるじゃろう…故に先ずはミスリルじゃ無い箇所が狙い目になってくる」
「それと、ミスリルと他の金属の『合金』は色々あるんじゃが…そのどれもが、極めて高度な錬金術の技術が必要なんじゃよ…わしらの中でもユベルトぐらいしか、その技術を持っとらん程じゃ」
 と、ドワーフ達の視線が白鬚を蓄えた初老のドワーフに集まる…彼の名は『ユベルト』、この村に来たドワーフ達の中でも随一の鍛冶職人であり、代表者でもある。

「うむ、ワシがまだ駆け出しの頃の話じゃが…鉄鉱山に出た合金竜を軍が成敗した時は、『合金』が失敗した所を突いて倒したんじゃ…鉄と炭素を合わせれば『鋼鉄』になるのは知っておると思うが、炭素の量を誤れば脆くなってしまう…鉄と言う基本的な金属ですら、合金竜は脆い部分を作ってしまったのじゃ、ミスリルでも同じような弱点があるじゃろう」
「なるほど、『合金』と言っても常に強いわけじゃないんっすね」
「うむ、ミスリルは魔力を含んでおるため、光がなくても淡く光るのじゃが、合金に失敗すると輝くを失うし、光沢もくすんでしまうのじゃよ」
 合金竜の強度はどこも一定ではない、脆い『合金』を作ってしまった箇所は輝きを失う…これは合金竜を攻略する上で重要な情報となるであろう。

「それと、合金竜の弱点としてもう一つじゃ、奴はブレスとともに大量の武器を飛ばしてくる攻撃をやってくる…これは奴が持つ最大の攻撃であるとともに最大の弱点になるのじゃよ」
「最大の攻撃が最大の弱点っすか?」
「うむ、奴の体内には、ワシが『合金袋』と読んでる不思議な器官があってな、食った金属をその器官に詰め込んで、武器のブレスにしたり、体を守る鱗にしたりするんじゃが…ブレスを吐くと大量に金属を消費してしまうのじゃ」
「ブレスに限りがあるって事っすね」
「そうじゃ、それにまだ『金属』に余裕がある内は、ダメージを与えても合金の鱗を再生成されるから有効打が与えにくいんじゃよ…」
「折角、合金を破壊しても、また塞がっちゃうんっすね…」
「そう、じゃから奴を倒すには『金属』を消費させる、そして食べさせない事が重要なのじゃ…奴は吐いた武器を再度食って補充しようとするからのぉ」
「せこぉっ!?」
「まぁ、『反芻』みたいなもんじゃしくて、鉱石とかと違いこれだと消化が早いのじゃよ…吐いた武器を拾ったり、壊したり、毒を混ぜたりするのが有効じゃな」
 と言った合金竜の習性や情報を得て、仲間と情報を共有した秋山だが…まだ、最も重要な事を聞いていなかった。

「で、合金竜って味は美味しいんすか?」
「「「「はぁっ!?」」」」
 そう、秋山にとってそれが何よりも大事な事である…が、それを聞かれてもドワーフ達も困るのだ、何せドラゴン、簡単に倒せない相手だからこそ、食べた事ある者が少ない…この中で食べた事があるとすれば――。
「ユベルト、お主は食った事は?」
「話をした鉄鉱山の合金竜が宴会で振舞われた時食べてビックリしたんじゃが…味はエビっぽかったのぉ」
「エビィ!?」
「そうじゃ、皆してビックリしたもんじゃよ、エビやシャコに近い味じゃとは思わんかったからのぉ」
「それは驚きっす、でもエビって事は美味いって事っすね」
「まぁ、美味かったが…この合金竜はもっと旨い可能性があるのぉ…確か、羊なんかに塩気のある草を食わせると味が良くなるって聞いたのじゃが…奴は『岩塩』や『コンソメロック』を食ってるじゃろうしの」
「塩気のある草を…ああ、幻の羊とも言われている…これは期待ができそうっすよ!」
 また、エビも塩分濃度が濃い海水で養殖したものが旨みを増しているなどという事もあるので、この合金竜の味は期待できるかもしれない…と、秋山の胸に希望が灯ったのだ。

●合金竜の装甲を剥ぎ取れ!
「以上が、ドワーフ達からの情報っすよ!」
「…最後の情報、要るか?」
「要るよ兄さん!、だってドラゴンなのにエビの味とか気になるもん!」
「……」
 秋山が集めた情報を仲間と共有した際、生真面目なトリガーからそんな言葉が出たが、義妹の華澄は気になるから食べてみたい様子だ…そして、普段ならそれに便乗するであろうエルーゼだが…今は押し黙っている。
「秋山はフードファイターだからね、そう言った情報も力になるよ」
「あれ、モルツクルスさん、なんか普段と違わないっすか?」
 普段は秋山と似た口調のモルツクルスだが、今は5歳の姿となっている…合金竜が強敵だと思い、モルツクルスは真の姿を晒し本気の本気で挑んできているのだ。
「私は『合金袋』が気になるかな?、背中のトゲトゲが合金の元かと思ってたけど…」
「ああ、ユベルトさんの故郷じゃ、『合金袋』を刻んで鉱山に撒いたら、鉱石の産出量が増えたそうっすよ…細かい理屈は分からないっすけど」
「じゃあ、倒した後は『合金袋』はそうして、お肉はみんなで食べてみようね」
 レイチェルは合金竜の鉱石を操る能力に着目し、資源として活かせるか気にしていたが…どうやら、背中の突起よりも、内蔵の方に秘密があるようだ…しかし、合金竜を倒さねば、そんな話も皮算用である。

「僕は飛べるから、上空から敵の動きを監視しつつ援護をするよ」
 接敵前にモルツクルスは空を飛び、オレイカルコスの全身像を捉える…動きや癖、性格までもつぶさに観察し、的確な攻め方を割り出すために。
「了解した、ならば道は『俺達』が切り開こう…」
 その言葉と共にトリガーのユーベルコード【再集結する部隊(コール・オブ・エコー)】を発動させ、5人の亡き戦友…重兵装のタイタン、後方支援役のレイダー、工作兵のストーム、狙撃手のホーク、斥候のレイを呼び出す。
「先ずは、その強度を試してやろう」
 トリガーは『イケロスMA』に徹甲榴散弾銃をセットし、タイタンと共に前衛へと駆け出し射撃を行う…装甲が厚い相手に対して榴弾を撃ち込むのは、観察してるモルツクルスに敵の防御データーを見せるためでもある。
「グロロロロ…」
「榴弾では意味なしか、想定通りだな…各員、徹甲弾に切り替えろ」
 案の定、有効射程内であっても榴弾では、合金の鱗にぶつかりカキンカキンと音を鳴らしながら火花を散らすだけで終わってしまう…ミスリルの鱗でなくても、体長20mはゆうに超す巨体であるオレイカルコスの鱗は分厚く、散弾などまるで受け付けないのだ。

「グオオオオオオオオオオッ!!!」
「尾撃が来るぞ、防げ!」
 オレイカルコスの尾が析出したミスリルの刺に覆われる、それを防ごうと重装歩兵のタイタンが爆発反応装甲盾で受け止めるが…爆発すら意に介さない、根本的な威力が、強度が、質量が違い過ぎた…尾撃の一撃により、走行盾ごとタイタンが居た辺りの地形が砕け散り……
「させないよ!、いや、君は何もしていない…ニワトリ、コトリ、卵へ還れ。タマゴよタマゴ、明日に孵れ!」
 その瞬間、砕け散ったはずの地形が巻き戻っていく…モルツクルスのユーベルコード【現象回帰】が、オレイカルコスのお激が起こした破壊を巻き戻していく。
「グロロ?」
 破壊したはずのタイタンとその周辺が何事もなく残り、降り出したはずの尾が元の位置に戻されてオレイカルコスは若干戸惑うが、スグに気を取り直して、尾を刺で覆い始めた。

「それは回避して、普通の防御では受け止められない!」
「タイタン!、トーチカに避難しろ!…くぅっ!?」
 仕切り直しによて、受けるのは不可能だと察したトリガーは、レイダーに魔力トーチカを形成させタイタンを中へと避難させる…しかし、それで直撃は避けても、その余波の地形破壊だけで魔力トーチカが破壊されてしまう…何とか二人共生存したが、この破壊力は脅威の一言だ。

「それをやっちゃダメ」
「グロ!?」
 尾撃への反撃として、レイチェルは【刹那の想い】によって、体感時間を引き伸ばす事により、即座に精密な念動力による操作で、砕け散った岩や土を動かし目潰しを加えるが…ほぼ、効果が見られない。
「瞼だけでも、すごく硬い…」
 レイチェルは痛感する…精密さと速さを重視した攻撃ではダメージが見込めないと…そして土や岩を掘り、喰らい、土の中でオレイカルコスに目潰しはあまり効果がない、見えなくはないだろうが、基本的に光がない場所で生きているため、視力に頼ってないのだ。
「レイチェル、攻撃よりも守りに…敵の攻撃力は想像以上だよ」
「わかった…」
 だが、それでもレイチェルの念動力は強力且つ万能だ、【刹那の想い】も敵の攻撃から味方を守る為に発動するのならば十二分に有効である。
 例え強力無比なレイチェルの念動力すらパワー負けしてしまう強力なパワーであっても、先手を取れるのならば、念動力で味方を動かし攻撃を回避させる事は難しくはない。

「……慎重に、でも臆病になる必要はないよ」
 想像以上の攻撃力だが、レイチェルの【刹那の想い】で回避させ、それでもダメならば【現象回帰】で仕切り直す、この防衛網により即座に死ぬ確率はだいぶ下がったと言えよう。

「やはり、秋山の情報通り、脆弱点を狙い撃ちするしかないな…タイタンとレイダーは俺と共に榴弾で、ストームは罠で牽制しろ、ホークとレイは距離をとりつつ、脆弱点を対物狙撃銃で狙い撃て!」
 効かぬとはいえ、榴弾もオレイカルコスの気を引く事はできる…散弾でもいいから兎に角攻撃を当て続け、コチラに引きつけてる内に脆弱点を割り出し、狙撃すると言う作戦だ。
 榴弾やストームが仕掛けた地雷などはダメージは見込めないが、的確に脆弱点を徹甲弾命中させれば、合金の鱗を貫きダメージを重ねられる…動き回る故に中々うまくは行かないが、それでもダメージを与え、尚且つオレイカルコスの注意を仲間から引き離すことに成功した。

(……あそこには、入れないな)
 そんなトリガーを見て、エルーゼはその様な事を思ってしまう…
 エルーゼには心の中で分かっているが、認めたくない思いがある、それはトリガーは兵士としての日常を選び、平穏な日常を捨てたのだと…そう感じ取ってしまっている事だ。
「エルーゼ、今は気持ちを切り替えて…ね?」
 その事を相談されていた華澄は、エルーゼの内心を察しつつも今は行動を促す…エルーゼの抱える問題は難しい話で、華澄の見立てでが兄のソレは傷痍軍人特有のPTSDに近い、無理にどうこうしようとするより、きちんと理解してあげる事が寛容なのだ…それは時間がかかる事であろう。
「……うん、そうだね!」
 華澄の言葉に、エルーゼも気持ちを切り替える…トリガーの事を、愛する人を理解する、理解したい…その為には自身も戦場に飛び込むべきだろう…今は出来る事をやる、そう自分に言い聞かせる。

「華澄、ちょっといいかな?」
「うん?…え、それってかなり危険じゃない!?」
「それでも、多分効果はあると思う…援護頼める?」
「分かった、でもヤバイと思ったら即座に逃げてね…」
「うん、行くよ!」
 華澄と作戦の打ち合わせをした後、エルーゼは『ゲンドゥル』を携え真の姿を解放する、青から緋色に染まりつつある翼を羽ばたかせながら、飛ぶように素早く駆け抜けて行く。

「エルーゼ、尾撃が来るぞ下がれ!」
「大丈夫、ううん、それを狙っているのよ…華澄、お願い!」
「ええい、もうこうなったら行くよ!、生きて帰ってきてねエルーゼ!」
 危険すぎる尾撃の兆候に、トリガーは下がれと警告を発するが、エルーゼは逆に前へと加速する…そして、頼まれた援護を行うために華澄はユーベルコード【戦備(イクサソナエ)】を発動、隠し持っていたチョコレートを齧る、その甘味と苦味、そしてユーベルコードの効果によって、急速に集中力を高めて行く。

「其処だよっ!」
 華澄は『試作型元素光線銃』で、繰り出される尾を狙い撃つ…当然、光線などで止まる尾撃ではないが…火の元素をこめた元素光線銃は、尾のある一点…くすんで光沢がない箇所、即ち脆弱点に直撃し、その場で燃え上がったのだ。
「其処ねっ!」
 その援護によって斬るべき場所は分かった、後は残像を駆使し、尾撃を回避しつつ狙うのは『カウンター』…強烈無比な尾撃だからこそ、その力を利用した『カウンター』ならば威力が跳ね上がる、その一撃を脆弱点に打ち込めば…
「いけえええええええええぇっ!!!」
 唸るような轟音を上げる尾撃を全力の【トリニティエンハンス】を込めた『ゲンドゥル』の魔力の刃で迎え撃つ。

「きゃああああああああああああっ!!?」
「グオオオオオオオオオンッ!!?」
 オレイカルコスの尾とエルーゼの影が交差した後、『ゲンドゥル』の魔力の刃は砕け散り、オレイカルコスの尾からは鮮血が吹き上がる。
「あいたたた、脆弱点でも硬いわねぇ…でも、やってやったわ!」
「やったねエルーゼ!」
「…見事だ、それは真似できんな…」
 エルーゼと義妹の戦果をトリガーが褒める…トリガーが真似できないのは技量の問題ではなく武器の差…あほ一撃を耐えられる様な武器はまず存在しない、耐えられる武器があったとしたら繰り出した者が反動で壊れてしまうだろう。
 その点『ゲンドゥル』ならば、刃が砕け散った所でまた再生性すれば済むはなしなのである…エルーゼの腕は反動で思いっきり痺れはしたが、初めての有効なダメージを与えつつもこちらの戦力を落とさずに済んだのだ。

「やったねナンシー!、フォックスガールが決めてくれたよ!」
「でもジョン、ドワーフが言ってたように、このままでは鱗が再生してしまうわ」
「金属は消費させられたっすけど、やっぱり、ここでダメ押しをしてあの尾撃を封じたいっすね…ならば、ここは奥の手っすよ」
 秋山はあらかじめ召喚していたジョン&ナンシーの他に、新たにユーベルコード【奇跡の再会『美食姫』(ハーデンベルギア・グルメプリンセス)】を発動させ、自称戦闘力が無い気がしないでもない少女『グルメ姫』を召喚する。
「ケキキ♪、ケーキ味のドラゴンは居ないケキかね?」
「エビ味のドラゴンしかいないっすね、という訳で戦闘力のないジョン&ナンシーの護衛は頼んだっすよ」
「私も戦闘力のないような気がしない事も無い少女でケキよ?」
「そうだね戦闘力ない(笑)っすね、まぁ、そう言う建前は置いておいて、エビ味のドラゴン肉の為に力を貸してもらうっすよ!」
 ジョン&ナンシー、そして美食姫…この二つのユーベルコードは共に秋山自信を強化する効果であり、そのバフ効果をもらいながら、更に【フードスペシャリテ・フルコースゴールデン】のよって三重強化の一撃をもって尾を破壊しようという目論見なのだ。

「エビは大ぶりの方が旨いというしね!、味が期待出来るねナンシー!」
「伊勢海老なんて問題にならないレベルのサイズだものね!」
 妙なテンションでエビ味のドラゴンへの期待感を解説するジョン&ナンシーの言葉が秋山のフードファイター魂に火をつける。
「さて、村で作ったチーズケーキをいただくケキ」
「…え?、そう言えば原料的に作れなくはないっすけど、それを食ってどうするつもりっすか?」
「ケキキ【フードスペシャリティ・フルコースモード怪】で軍犬をぶん投げて加速させるでケキ、それじゃ行くでケキよ!」
「ちょ、お前、まだそれ使えるの!?、と言うか戦闘力無いって建前は…」
「問答無用ケキ!、何故なら…私達にとって新たなる食材の前には!」
「如何なる物も障害とならない!…わかった、行くっすよ!」
 『美食姫』がチーズケーキを食して、突如謎のパワーアップ、何故か秋山の【フードスペシャリティ・フルコースモード】に似ているが、きっと気のせいだろう。
 そして秋山の【フードスペシャリテ・フルコースゴールデン】の金色のオーラ、ジョン&ナンシーの援護、そして『美食姫』の腕力によって、秋山は音速をも超えて金色の弾丸となり…

「あ、じゃあ私も加速に協力するね」
「…え?、ちょ、レイチェルさんこれ以上の加速はっすね?」
「えい!」
 更に【刹那の想い】で音速で飛ぶ秋山の狙いを感知したレイチェルは、自身の念動力で秋山を更に加速させた…黄金のオーラの輝きの他に、空気との摩擦熱で光り輝きながら秋山はオレイカルコスの尾、エルーゼが切り込みを入れた地点へと突撃していく。

「ギャオオオオオオオオオンッ!!?」
「いってぇ~~~~~~!!」
 その衝撃にオレイカルコス(と秋山)の悲鳴が響き渡る、この一撃で尾の骨がイカれ、如何に尾を金属で覆っても全力で尾撃を振れぬダメージを与える事に成功したのだ。
(あ、マジでエビの味がするっす…肉質もプリプリっす……こいつ、絶対に食ってやるっすよ!)
 そして、失神寸前の反動ダメージを受けた秋山だが、それでもちゃっかり味見をしたオレイカルコスの肉は、生のエビの甘さに、獣肉の様なジューシさとコクを兼ね備えた味で、仄かに感じる塩味が深い旨みを引き立てていた。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​

ティエル・ティエリエル
「みた感じ、このドラゴンは飛べないよね♪それじゃあ、ボクは上からみんなの援護だよ♪」

背中の翅で飛び上がり、相手の死角から【空中戦】による急降下攻撃を加えつつ、敵の様子を【情報収集】を使って観察するね♪
色々な魔晶石を食べてるからどの属性で攻撃してくるか分からないけど、攻撃の直前にはきっと何か兆候があるよね!
炎の魔力が高まれば炎の、水の魔力が高まれば水の攻撃がくるはずだよ☆

それでも仲間が傷ついてきたら【小さな妖精の輪舞】でみんなの傷を癒して回るよ!

※アドリブや他の方との連携も大歓迎です


敷島・初瀬
「一応味方は巻き込まないよう善処するであります」
崩落で生き埋めにして火災起こして窒息死させる手も有るでありますが、やり過ぎると他の人にワニの餌にされるか埋められそうなので我慢するであります。


巻き込まない様に味方の動きを確認しながら縦穴内に爆弾を設置し、足元や天井を崩して動きを止めての攻撃、態勢の立て直し、他の人の為の時間稼ぎ等を状況から判断して狙っていくであります。

敵を観察し弱点を探し機会が来ればロケランから対戦車ロケット弾(【鎧無視攻撃】を使用)で狙撃するであります。

「今回は消毒出来ないのが残念であります」
(アドリブ、絡み大歓迎です)


空雷・闘真
「ふん…どれだけ頑丈だろうと所詮『外側』だけのこと…」

合金竜の話を聞いてから、闘真は複数の奥義を同時に使用する為の鍛錬を欠かさず行っていた。
【空雷流奥義・天】で周囲の『気』を捉え、【空雷流奥義・龍】で『気』を取り込み、【空雷流奥義・震】で自身の『気』と合わせる。

そしてそのまま【空雷流奥義・電】による超神速の踏み込みで、一気に間合いを詰めようと闘真は機を窺う。
ただし、今回放つのは拳ではなく掌底。
【天】【龍】【電】【震】、四つの奥義全ての同時使用。
極限まで高めた『気』を超神速からの掌底で敵の体内に直接送り込み、内部から破壊するつもりなのだ。

「空雷流は活殺自在…この言葉の本当の意味を教えてやろう」



「へへーん、こっちこっち~☆」
「グオオオオオオッ!!」
(やっぱり飛べないみたいだね、だけど…)
 ティエルの読み通り、オレイカルコスは空を飛ぶ事が出来ず、空中から自在に襲い掛かり、ヒット&ウェイを繰り返すティエルの動きに翻弄されて居たが…脆弱点を見切りレイピアを突き立てる程度では大した傷を与えられない。
(何か、強烈な一撃が必要だよね…私はそのサポートに徹しよう)
 とは言え、空中と言う地の利を得てる上に、オレイカルコスはティエルの動きに対処出来ていない…そもそもが土の中で生きる生物、対空戦と言うのを想定はしていないのであろう…となれば、比較的安全に攻められる自分が牽制しつつ、仲間の大きな一撃を当てるサポートをするのが良さそうだ。

「地面には潜らせないであります!」
「ギャン!?」
 オレイカルコスは地中で生きるドラゴン、故に地面に潜って潜伏したり、イキナリ下から襲って来るなど厄介な行動をとってくる…それに対処するのは敷島の役目となった。
 オレイカルコスが掘った坑道に爆弾を設置して潜り始めた同時に崩落させて動きを止めたり、穴を掘り始めたら、得意の焼夷弾を放り込んで穴の中から炙りだしたりと、妨害役として大活躍だ…しかし。
(ミスリルの耐熱性能が高すぎるでありますし、装甲の回復が想像以上に厄介でありますね)
 敷島の【精密射撃】によって、的確に脆弱点に対戦車ロケット弾を直撃させてダメージは与えているのだが、破壊した合金の鱗が直ぐに生え変わるので強固な守りを崩せない…脆弱点と言っても、劣化品とは言え金属で覆われているのだから深いダメージを与えるまでに至らないのだ。

「……」
 そんな中、闘真は自身の『気』を漲らせながらも…ただ静かに、深く、深く…その集中力を研ぎ澄ませていた。
(ティエル、敷島…そのまま頼むぜ)
 これより狙うは、闘真にとってもイチかバチかの大技、それ故に気を練る時間を稼いでくれている二人の働きも重要になってくる…前のグラドラゴ戦とは違い、自身の力のみならず、技も、知恵も、仲間の力も…使える物を全て使って勝ちに行く、その気概が無くては勝てぬ相手なのだ。
(先ずは…何、これは!?)
 そして、闘真は大技の第一段階である【空雷流奥義・天】を発動し、周囲の『気』と『意』を捉えた…が、オレイカルコスの様子がおかしい、オレイカルコスの敵意が二つに分裂し始めたのだ。

「気をつけろ!、敵『意』の数が増えた、なにか仕掛けてくるぞ!」
 闘真の呼びかけに身構える、ティエルと敷島、そしてティエルは上空から俯瞰してオレイカルコスの情報、特に魔力の兆候に注視していた為に異変に気がつく。
「魔晶石が体内に沈んでいってるよ!」
「魔法剣のブレスでも吐くつもりでありますか!?」
 最大の攻撃だと言われるブレスに警戒して、ティエルと敷島はオレイカルコスの正面に入らぬように身構えるが、おかしい…何もしてこないのだ…。

「これは…下だ、避けろ!」
「グオオオオオオオオオオオオッ!!」
「ひゃあっ!?、いつの間に地面の中に潜ったでありますかぁ!?」
 何もしてこない、と思ったらイキナリ地中から大口を開けて飛び出してきた…闘真の【空雷流奥義・天】によって、その動きを感知出来た為、敷島はかろうじで丸呑みされるのを免れた。

「ああっ!!、目の前のオレイカルコスは抜け殻だよ!?、脱皮したんだよ!」
「なんと、味がエビだとは聞いたでありますが、脱皮までするんでありますか!?」
「いや違う、抜け殻じゃない…まだ、そっちにも敵『意』が残っている!」
 ティエルは、動かなくなったオレイカルコスの腹の下に、地面に潜った時の物だと思われる『穴』を発見した…どうやら、合金の鱗を抜け殻の様に脱ぎ捨てつつ、地面に潜っていたようだ。
 しかし、奥義を発動している闘真は言う、抜け殻にも『意』があると、その指摘と同時に抜け殻の中で急速な魔力の高まりを感じるのだ。

「まさか、動く…抜け殻が動き出したであります!?」
「さっき沈んでいった魔晶石だよ、あれが動力となって動き始めたんだ!」
 魔力の高まりとともに、抜け殻のミスリル合金が怪しく光り出すと共に、空っぽだった体内に土で埋まっていき、もう一体の合金竜として起動を始めてしまうのだ。
 一体でも難敵のオレイカルコスが二体になってしまった、こんなにも頑丈な奴を二体も倒せるのか…一体の時でさえ、有効打撃を与えるのに苦心していたというのにだ。

「いや、内部の魔晶石が本体ならば、それを砕けば分身は倒せるはずだ」
「しかし、中身が土でも表面の殻は硬いでありますよ」
「ふん…どれだけ頑丈だろうと所詮『外側』だけのこと…内部から破壊する技を使えばいい」
「それ、闘真がずっと練習をしてた奴だよね?」
「ああ…その一撃を入れる為の隙を作って欲しい、出来るか?」
 闘真の申し出に、敷島とティエルは一瞬だけ顔を見合わせた後…
「任せてよ、二体になろうが空中でなら負けないよ!」
「止めるのは分身体の方でありますね、足止めは任せるであります!…だから…」
「ああ、一発ぶちかましてやるぜ」
 敷島とティエルは笑顔で承諾し、闘真は大技の成功を誓う…そして、二体の合金竜を相手に先ずは二人が立ち向かうのであった。

「初瀬!、右に!、そっちに行ったら囲まれちゃう!」
「ひええええっ!?、やっぱ二体相手はキツイでありますぅ!?」
 二体になる事で、囲んだりなど巨体を活かした攻撃バリエーションが増えてしまう…そうならないように上空からティエルが指示を出しながら、敷島に正しい逃走ルートを示すのだ。
「本体の方『炎』の魔力が高まってる、来るよ!」
「グオオオオオオオオオン!!」
「………ッ!!」
 二体の合金竜の爪が襲いかかる、本体の方はミスリルの爪に炎の魔力を宿し、抉った地面が赤く焼けるほどの熱を放つ…敷島は、それを何とかジャンプで避け、地面へと転がっていく。

「初瀬!?」
「大丈夫であります、これが自分の逃走経路……無闇に爆弾を仕掛けてた訳じゃないでありますよ!」
 転がる敷島を追いかける二体の合金竜…ティエルの心配をよそにその光景を見て、敷島の口角が愉悦を刻む、この進路こそ敷島が待ち望んでいた位置なのだと。
 そして、敷島がスイッチを押すと共に、オレイカルコスの真下、合金竜自身で掘った穴が仕掛けられた爆弾によって崩落し、二体の合金竜は崩落によって起きた地盤沈下によって足を取られ転んだのだ。

「闘真殿!」
「やっちゃえ、闘真!」
「任せろ、空雷流は活殺自在…この言葉の本当の意味を教えてやろう」
 二体とも重なり合うように転んだ合金竜…そのチャンスを前に闘真はリラックスをしていた…否、それどころではない…闘真は【空雷流奥義・龍】によって完全なる脱力状態になると共に、【空雷流奥義・天】で感じ取っていた周囲の『気』を自身に集めていたのだ。
「行くぞっ!!」
 膨大な『気』を取り込むと同時に、超神速の二重の踏み込みと共に【空雷流奥義・電】で一気に間合いをつめる、その速力は通常の【電】よりも数段速かった…完全なる脱力状態である【龍】からの【電】への流れ、そのテンションの振れ幅が雷光の如き早さを生むのだ。
「【天】【龍】【電】【震】!、『雷』となりて『空』を昇る天龍の咆哮を受けてみよ!」
 そして、放たれるのは【電】の拳ではなく掌底、【空雷流奥義・震】によって【電】の速力と【天】と【龍】で集めた膨大な『気』を『振動』に変えて、分身体の体内奥深くにある魔晶石のコアに叩き込んだのだ。
 縦穴の中で、落雷が落ちたかの様な轟音が鳴り響く…【震】の衝撃と振動で分身体は轟音と共に体内の土を吹き出しながら崩れ落ちた。

「…ぐぬぅ!」
「闘真、大丈夫!?、僕の翅の粉で治してあげるから!」
 しかし、四つの奥義の同時使用の反動はやはり大きい様で、闘真もまた膝をつく。
 ティエルはユーベルコード【小さな妖精の輪舞】で即座に闘真の傷を癒しつつ、撤退に備える…三人で分身体の撃破は十分すぎる戦果である。
「殿は自分が…あのサイズの抜け殻を倒したでありますから、敵も大分消耗したはずであります」
 抜け殻のサイズからして、敵もだいぶ金属を消費した筈だ、これでブレスまで使えば、あの厄介な装甲の再生力も落ちるであろう…そう、確信しながら三人は転送によってこの場を離脱した。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

メタ・フレン
どれだけミスリルや魔晶石を喰って頑丈になっていると言っても、こいつがドラゴンであることに変わりはない筈。
だったらわたしの【バトルキャラクターズ】の出番です!

RPGとかのドラゴンキラーやドラゴンスレイヤーみたいな竜特攻の武器を持ったゲームキャラを28人召喚。
彼らを合体させて最強のドラゴンスレイヤーを作り上げます。
念を入れて<武器改造、毒使い>で、ドラゴンスレイヤーの持つ武器に、ミノタウロス戦で使ったグラドラゴの毒を塗り付けておきます。
どれだけ無機物を取り込んでようと生物であることに変わりはないわけですから、毒も効果がある筈。

さあドラゴンスレイヤー!
竜の三枚おろしにしてやりなさい!


二天堂・たま
真の姿(ひよこの着ぐるみ)を開放

UC:親指チックの相棒をドラゴンの死角から懐に忍び込ませ、居場所交換→UC:ケットシーインパクトを狙おう。
ケットシーインパクトは物理的な破壊力が無い分、どれだけ強固な鎧に覆われても効果があると思うのだ。
それまで距離をおいて回避に専念だ。逃げ足、フェイント、残像、とにかく当たらなければどうということはない。

ブレスとして飛んできた合金製の武器、研磨すればすぐ使えるかもだ。
飛んでくる最中は難しくとも、そこらに刺さった者はUC:妖精の里でどしどし回収だ。逃げ場の確保にもなる。


トリテレイア・ゼロナイン
※アララギ様と共同

金属を食べるドラゴン、中々の硬さを誇りそうです
あれ? 私も金属の塊なので…いや、まさか…

アララギ様が大火力UCを使うので、その際の護衛と囮を担当

瞼で防がれるのを承知で目を●スナイパー技能で狙撃して注意を引きます
彼女に攻撃が及ばないようUCを使用し向上した能力頼りに●かばいつつ、囮を引き受けます
●怪力による●盾受け●武器受け、●見切りによる受け流しでひたすら耐えつつ、竜の足元にこっそり●破壊工作で作ったリモート爆弾を転がしておきます
準備が完了したら、爆弾を起爆。狙いは竜の足元の地面を崩すこと
同時にワイヤーアンカーでの●ロープワークで拘束、一瞬動きを封じ、彼女の一撃に繋げましょう


キキ・ニイミ
そうだよね、対等かどうかなんて…そんなの関係ないよね。
でも、だからこそ、ボクは二人の…『てぶくろ』の力を証明したい。
今までボクは基本後衛で、表で戦う事は少なかったけど…
今回ボクは前衛で戦うよ!

まずは遥さんの【サモニングティアーズ】で巨大化。
それから【アニプラズマショット】24個を出し、<オーラ防御>で『アニプラズマの炎』を纏って攻防力アップ。
更に【アニプラズマヒール】の光を<オーラ防御>で纏うことで、自動再生能力も付加。
そのまま竜と格闘して、皆が攻撃できるよう<時間稼ぎ>するよ。
<念動力>も使って竜の体をぶん投げて攻撃もしたいね。

ボクと遥さんの力、君にも見せてあげるよ!


如月・遥
『てぶくろ』で連携。

人間と動物の関係か。
そもそも動物園なんてもの自体が人間のエゴの産物だしね。
でも、だからこそ私は、動物を愛さなければならない。
そして動物達からの想いにも応えなければならない。

本当はキキに危険な事はさせたくはないけど…
でもあなたがそれを望むなら、私は全力でそれを応援し<鼓舞>するよ!

【サモニング・ティアーズ】は本来ティアーズを巨大化させて召喚するUCだけど…
これをこの場にいるキキに使用し巨大化させるよ!
キキが戦ってる間、私も【幽体離脱】で生霊を上空に飛ばし俯瞰の位置からも戦況を確認し、キキに指示を出すよ。
後は<フェイント、催眠術、だまし討ち>で敵を惑わし、キキをフォローするね。


アララギ・イチイ
※アララギorトリテレイア共闘

かなりの強度があるボスみたいねぇ
高威力のチャージ技を使用するからサポート(トリテレイア)よろしくねぇ

【主砲・対要塞~】を使用よぉ
ブーツのドリルを地面に突き刺して身体を固定、砲撃の為の(チャージ【力溜め】)を開始するわぁ
前衛の行動をトリテレイアに任せて、私はシールドプラネットの観測装置も併用して敵の【情報収集】、少しでも脆弱な部位を見極めるわぁ

最大チャージが完了したら、余波(射撃する自分も余波に巻き込まれる可能性があるので【オーラ防御】で対処)に巻き込まれそうな仲間に退避指示した後、トリテレイアの作戦で敵の動きを止まった瞬間を狙い、脆弱部位を【スナイパー】よぉ



「グルルルル……グルゥっ!?」
 喉を鳴らしながら、倒された『抜け殻』を喰らい金属を補充しようとしたオレイカルコスであったが、その『抜け殻』が目の前から突如として消えた。
「おっと、そいつはやれない…折角、あの3人が頑張ってくれた戦果だしな」
 オレイカルコスが金属を捕食する前に現れた第三陣、その内の一人、二天堂のユーベルコード【妖精の里】のよって、意志なき『抜け殻』は抵抗することなく収容された…これにより、オレイカルコスは膨大な量の金属を補充できないまま失う事になった。

「グガアアアアアアアアア!!」
 目の前の餌を奪われ、激怒したオレイカルコスはそのまま二天堂を噛み殺そうと、大口を開けて飛びかかる。
「させない、やれ『ドラゴンスレイヤー』!!」
「デュアッ!!」
「ギョオオンッ!!」
 しかし、メタに『ドラゴンスレイヤー』と呼ばれた巨人が、オレイカルコスの口内に鉄塊の様な巨大な剣を突き立て攻撃を阻止するとともに、オレイカルコスの口から、血飛沫が飛び散る…流石に、口内までは金属に覆われていないようだ。
「よし、そのまま三昧におろしてやりなさい!」
 怯んだオレイカルコスに対して、その巨大な剣を容赦なく振り下ろす『ドラゴンスレイヤー』、この巨人はメタの【バトルキャラクターズ】で召喚された、竜特攻のスキルや武器を持つ28体のゲームキャラクターを合体させた存在、正に『ドラゴンスレイヤー』と呼ぶべき対竜特化の戦士なのだ。

「ギャオオオオオオオッ!!」
 しかし、オレイカルコスも負けてはいない、頭から巨大なミスリルのを角をを生やし『ドラゴンスレイヤー』の剣を弾く…オレイカルコスは一撃を喰らい理解した、この巨人の攻撃力は侮れない事と、その剣には毒が塗られており、傷を負わされる事に神経毒に蝕まれ、体が痺れてしまうという事を…故に、全力で防御を取るのだ。

(精製した『グラドラゴ』の毒でも、簡単には麻痺してくれませんか…しかし、こちらを警戒してくれるなら、それはそれで良いでしょう)
 『ドラゴンスレイヤー』の毒も特攻効果も確かに働いている、が…それでも攻め崩せないのは、単純にオレイカルコスの地力が高すぎるからだ…メタの戦術自体は見事にハマっていると見るべきだろう、それにこちらは一人ではなく…トドメを刺す『切り札』はまだ伏せたままなのだ。

「メタの『ドラゴンスレイヤー』は善戦してるわ、それに毒も入れられたみたいだけど…でも、まだ足りないわ」
 如月は【幽体離脱】により、生霊を飛ばしてオレイカルコスを俯瞰し戦況を周囲に伝える。
「なら、その不足分をボクが埋めてくるよ…遥さんお願い!」
「キキ…分かったわ、でも気をつけてね!」
 不足分を埋める…それは、あの危険なオレイカルコスに対してキキが近接戦を挑むという事だ…今までのキキであったら、如月は止めていたであろう、だけど…
「少しでも危ないと思ったら、直ぐに引っ込むのよ!…でも、それでもやりたいと言うのなら、全力でサポートするわ!」
 飼育員として動物を愛し保護する気持ち、そしてそれ以上に、仲間としてキキを信頼し、応援する気持ちを込めて、如月はキキの背を押すように掌を当てて…ユーベルコード【サモニング・ティアーズ】を発動する。
 本来はティアーズを巨大化させて召喚するユーベルコードであるが、今はこの場にいるキキに使用し、召喚に当てるリソース分までキキの強化へ回すのだ。

「行ってくるよ、遥さん!」
 如月の【サモニング・ティアーズ】によってその体を巨大化させたキキは、『炎』と『光』のオーラを身にまとう、それぞれがユーベルコード【アニプラズマショット】の炎のオーラ、そして、回復の効果を持つ【アニプラズマヒール】の陽の光のオーラを自身に纏わせることにより、攻撃力と回復力、そしてオーラ防御による防御力を増大させたのだ。
「てぇぇーーーいっ!!」
「ギャオンッ!?」
 キキは【アニプラズマショット】のオーラを込めた踏み込みと共に、その爆発を推進力に変えながらオレイカルコスの横っ腹を思いっきり蹴り飛ばした。
 前衛としての経験が浅いとは思えぬ程の動き…キキは装備的にも格闘戦を行わなければならない為、自身の『学習能力』によって、素手のスペシャリストの猟兵の技を、自身が使える『アニプラズマ』などの能力を最大限に利用しながら模倣したのだ。
「ボクにはあんな凄い技は使えない、けど、『アニプラズマ』と遥さんから貰った力があるんだ!」
 正直に言えば少し怖い……、蹴った足が痺れるほどにオレイカルコスは固く、接触する事でそのパワーの強大さも実感できてしまう……だけど、だからこそオレイカルコスと言う脅威に対して、キキは証明したい、自分と如月の絆の強さは、この強敵にも負けないのだと。

「アララギ様、どうでしょうか?」
「敵は想定以上に強く、また頑丈よねぇ…悪いけど、まだまだチャージ時間は必要、それと成るべく大きな『脆弱点』を割り出したいわね」
「ならば、騎士の名にかけて、私がその瞬間までアララギ様を守り通しましょう!」
「頼んだわよぉ、このユーベルコードは強力だけど、チャージに時間がかかる上にその間は移動が出来ないのよぉ」
 オレイカルコスを倒すために猟兵達が用意した『切り札』、それはアララギが持つユーベルコード【主砲・対要塞用破城砲】である。
 このユーベルコードは自身の臓器を強力無比な魔力砲に変質させると言う凄まじい荒業だが、チャージに時間がかければかけるほど威力は増大する…そして、その間は移動も出来ないと言うリスクの為に味方が一丸となって時間を稼ぎ、オレイカルコスの隙を作ろうと奮闘しているのだ。

「脆弱点…となると、一回は例のブレスをしのがないとねぇ」
「このまま追い込めば使用してくるでしょう…問題はどう凌ぐかです…」
 自身の大型盾にミスリルアックスで切り込みを入れられたトリテレイアは、そのブレスの威力は自分の盾で防いでも防ぎきれないと推測できてしまう。
 何せ魔晶石によって魔法剣と化したミスリル製の武具は、一本だけでもスペースシップワールドの技術で作られた装甲盾を穿つ貫通力を持ち、しかも魔力によって炎やらなにやら、何かしらの属性攻撃まで引き起こすのだ、それが千本?、いや、下手すれば一万本以上飛んでくると考えれば、中々に絶望的な威力である。

「それにはワシとメタに案がある、しかし『ドラゴンスレイヤー』は無事では済むまいな、そうなったら、トリテレイア…君とキキとで、アイツの足を止め隙を作ってもらいたい」
「了解しました、しかし、どうやって…?」
「何、ちょうどいい『盾』が手に入ったからな、『ドラゴンスレイヤー』の巨体なら扱えるだろう」
「『盾』ねぇ…うん?、オレイカルコスの体内で急速に魔力が高まってるわね、どうやら直ぐにでも対応をしないと行けないみたいよぉ」
 その驚異のブレスに対して、メタと二天堂には策があるようだが…それを説明するまもなく、オレイカルコスにそのブレスを使用する兆候が現れたのだ。

「了解だ、しかし待ってくれ…作戦を成功させる為にはタイミングも重要でね………今だ!」
 オレイカルコスは壁を這い上がり、猟兵達全員が射線上に入る位置に移動すると、口を開き、急速に魔力を高めながら、殺意を猟兵達に向けた瞬間、二天堂の姿が消えた……否、親指サイズの小さなひよこと【親指チック】によって入れ替わったのだ。
「受けよ、我が奥義!」
「ぎゃお?」
 入れ替わった瞬間、二天堂はオレイカルコスの脇腹あたりに現れ【ケットシー・インパクト】をオレイカルコスに叩き込む。
 このユーベルコードは物理的な破壊力を持たず、肉球から放たれた衝撃波は『悪意』『殺意』を打ち消すのだ……流石に、この一撃でオレイカルコスが大人しくなってくれる等と言う事にはならないが、こちらに向けた『殺意』を緩めてしまう…その精神作用は魔力を行使する上では大きい。
 明確な意思もなく曖昧なまま魔力を行使すれば、その魔法はその精神を表すように霧散してしまう事も多い…分身体を作るときも魔晶石に『敵意』を込めた事を考えるに、オレイカルコスも『意』を根幹とした魔力を使うのであろう。

「これで、ブレスの威力は弱まった…さて、仕上げだ!」
「よし『ドラゴンスレイヤー』!、その『抜け殻』を盾にしろ!、キキはわたしと一緒に避難を!」
「うん!」
 そのまま二天堂は【妖精の里】にしまっていたミスリル製の『抜け殻』を『ドラゴンスレイヤー』射出し、効果範囲に居たキキとメタを【妖精の里】で回収する…二天堂は脇腹付近いるので、この三人はこれでブレスを浴びる心配が一切なくなった。

「ブレスが来ます、遥様は私の後ろに!」
「はい、トリテレイアさんも気をつけて!」
 そして放たれるオレイカルコスの【合金錬成武具の吐息】、開いた口からゲートの様な物が開かれ、魔晶石の魔力を帯びた『魔剣』の数々が切っ先をこちらに向けながら姿を現し、一斉に放たれる。
 爆撃、凍結、風刃…幾万もの魔法攻撃と、幾万ものミスリル製の投擲武器が飛び交う圧倒的な破壊の嵐は、自身と同等の防御能力を持つ『抜け殻』を砕き、『ドラゴンスレイヤー』をも貫き…その一部が残された三人の猟兵に襲いかかる。

「御伽噺に謳われる騎士たちよ。鋼のこの身、災禍を防ぐ守護の盾とならんことをここに誓わん!」
 その暴威にトリテレイアはユーベルコード【機械人形は守護騎士たらんと希う(オース・オブ・マシンナイツ)】を発動し、守護の誓約と共に自身の性能を極限まで高めていく。
「…くっ!?」
 しかし、ミスリル製の武具はトリテレイアの『重質量大型シールド』を容赦なく貫き、内部から魔法を炸裂させる事で盾を粉砕してしまう。
「まだ、ですよ!」
 しかし、極限まで性能を高めたトリテレイアは、飛び交う武器の軌道を見切り『儀礼用長剣』で叩き落とす。
「ぐぅ、まだまだぁっ!」
 しかし、その『儀礼用長剣』もミスリル武具の強度と射出速度の前に砕け散る、それでもトリテレイアは剣を砕いたミスリルランスを掴み、それで飛んでくる刀剣を次々と叩き落としていくのだ。

「……ブレスは止んだようですね、無事ですか、遥様、アララギ様」
「トリテレイアさんの方こそ大丈夫!?」
 【合金錬成武具の吐息】の恐ろしい威力は、『抜け殻』と『ドラゴンスレイヤー』の盾で守られていた場所以外が、数m以上掘削される程に凄まじく、それを凌いだトリテレイアも肩部装甲が貫かれ、他の場所にも裂傷が多く、内部機器も見えてしまう状態であった。

「おかげさまで大丈夫よぉ、そしてチャージも溜まったわぁ…後は」
「動きを止め、当てるだけですね」
「それと、大きな脆弱点も割り出さないとねぇ」
「そうですね、では参ります」
 そんな、満身創痍のトリテレイアにアララギはチャージ完了を告げる、それを聞きトリテレイアは倒れた『ドラゴンスレイヤー』の穴を埋めるべく前衛に駆けつけようとする。

「待って!…脆弱点ならもう見つけたわ!」
「遥様?、それは…」
「『腹部』よ、オレイカルコスは硬い割に動きは中々に機敏、あれは亀の甲羅みたいな構造じゃなくて、アルマジロみたいに腹部まで固くしてない動物の動きだったわ…実際に『生霊』で見に行ったけど、確かに鱗が小さく薄かったわ」
 亀のように腹部まで硬い甲羅で覆ってしまえば、動きはかなり制限されて鈍重になる…が、アルマジロ、或いはハリネズミの様に背のみに身を守る物を集中させている動物ならばそれなりに機敏に動ける、如月は飼育員としての知識と経験によって、オレイカルコスの動きから腹部の柔らかさを推察したのだ。

「キキ様、あれの弱点を遥様が特定しました…『腹部』です!」
「流石遥さん!…となると、あれをひっくり返さないとダメだね」
 そう、腹部の守りが弱いのは地を這う動物であるからなのだ…動けないアララギに地中から撃って貰うことが出来ない以上、他の猟兵でオレイカルコスをひっくり返さないと腹部は狙えない。

「兎に角、なんとか致しましょう…来ますよ、キキ様!」
「うん!」
「グオオオオオオオオオオンッ!!」
 虎の子のブレスを使用しても、巨人以外の誰ひとり殺せなかった苛立ちと共に、オレイカルコスは二人へ襲いかかる…吐き出した武器も二天堂の【妖精の里】で回収されてしまった怒りもあるだろう。

「こっちですよ!」
 そんなオレイカルコスの目に向かって、内蔵銃火器で狙撃を行うトリテレイア…瞼によって弾かれるも、狙い通り注意は引けている…オレイカルコスの注意が自分に言ってる間に、足元へこっそりとリモート爆弾を転がす。
(あいつをひっくり返す…投げる…でも、どうやって?)
 キキも念動力を使えるが、それだけであの巨体をひっくり返すのは難しい…どうすれば良いかとキキは頭を巡らせる、どんな時に自分は転ぶか、人ではない、四足歩行だったころを思い出して考える。
(必要なのは、勢いと…そして『滑る』って事だね)
 自分が転ぶ時、急に滑って踏ん張りが効かない時だ…これは二足でも同じだが、四足の場合はそれにかなりの勢いが必要となってくる…動物が勢いよく走る時は?、キキはオレイカルコスをよく観察して気が付く。

「トリテレイアさん!、そいつはその『槍』を狙ってるよ!」
「え?…そうか、この『槍』は…」
 それはトリテレイアがブレスを防ぐために掴んだミスリルランス、ドワーフの話によればオレイカルコスは自身が吐き出した武器を食べようとするのだから…それに食いつくのも頷ける話なのだ。

「ならば、こっちですよ!」
「グオオオオオオオオン!!」
 トリテレイアは『槍』をエサにしてオレイカルコスを爆弾を設置した箇所まで誘導する、案の定、エサに釣られてオレイカルコスは猛烈な勢いで走り出す…何せ、ブレスによってお腹の中が空っぽなのだ、相当に飢えている筈だ。

「今です!」
「ギャオン!?」
 トリテレイアはオレイカルコスの足元で爆弾を起爆させ、足元を崩しつまずかせる…そして、それと同時に…
「よし、『滑ろ』!」
 つまづいた前足を支えようと、踏ん張ろうとした後ろ足…それが踏んでいる地面の方をキキの『念動力』で動かす、オレイカルコスの巨体を動かせなくても、地面を動かし滑らせる事は可能なのだ。
「ギャオッ!?」
 踏ん張りも聞かず、オレイカルコスの身体は走った勢いのまま横転する、遂に腹を見せたのだ!

「今です、アララギ様!」
 トリテレイアは横転したオレイカルコスをワイヤーにて拘束し、その動きを一瞬だけ止める…その一瞬だけで十分なのだ。
「貰ったわよぉ!…あ、付近の連中は…」
「避難ならワシに任せるがいい」
 そして、二天堂の【妖精の里】にて射線上に居る味方は即座に回収され、二天堂自身も【親指チック】で安全地帯まで避難する、入れ替わったひよこもそれと同時に送還した。
「よし…じゃあ、これで終りよぉっ!!」
 砲撃の反動に備え、アララギの周りにはオーラの障壁が展開され、ブーツのドリルが地面を穿ちアララギの身体…【主砲・対要塞用破城砲】を放つ砲台を固定する。
 オレイカルコスを確実に倒すために、長い時間をかけてチャージした一撃は光の奔流となり轟音と共にオレイカルコスの腹部に着弾する、そのままオレイカルコスの腹を貫き、頑丈な背の鱗を内側から吹き飛ばし、散弾銃の飛び散るオレイカルコスの背の突起や鱗が、その威力で背後の壁を突き崩した。

「……復活はないようねぇ…」
 これまでの調査で、この縦穴は例の『青い炎』に関わる物だと判明している以上、それも警戒はしていたが…どうやらそれはないようだ。
「オレイカルコス自身は、たまたま現れた野良モンスターだったのですかね?」
「何にせよ、助かったよ…流石にコレを何度も繰り返して倒すのは大変だしね」
 【妖精の里】から出てきた猟兵達も、オレイカルコスの状態を見て安堵する…このタフネスを相手に連戦は流石の猟兵達でも御免こうむるだろう。

「おや、これはないかな?」
「これは石碑?、遺跡の一部も食べてたのかしら…」
「私の【主砲・対要塞用破城砲】の余波を受けても壊れてないなんて…相当強い魔法がかけられてるわね」
「それに筆跡が違いますね、これは書いた人物が違う?…しかも読めますよね、これ…」
 倒されたオレイカルコスの腹の中から、今までの物とは違う石碑が発見された…何らかの魔法で保護されているのか、アララギのユーベルコードでも壊れず、オレイカルコスによって消化される事もなかった石碑……しかも、これの内容は古代文字でありながら、魔法の効果なのか解析を必要とせず、普通に読めるようだ。

『これらが読める正しき者に『世界を穿つ穴』の真実を記す』
 と、書かれている石碑を読み解くと…猟兵しか知りえない世界を破滅させるもの、即ち『オブリビオン』と言う存在を利用した魔術と言う事が解る。
 最も、それは筆者が知りえない情報であるため、石碑の本文は推測に満ちて読みにくい物であるが…猟兵が知る『オブリビオン』に関する情報を合わせて要約すると以下のようになる。

 『世界を穿つ穴』とは世界、即ち『過去』を骸の海排出して『未来』に進むと言う、この世界のシステムに穴を穿つ事…即ちオブリビオンが骸の海から帰還しやすい空間を作ると言う事だ…それを『死の克服』だと盲信し、実践した魔術師が過去にいたらしい。
 その方法こそがこの穴であり、穴の中でモンスターを繁殖させ、オブリビオンの数を増やし…殺し合わせて、また増やす…要するに大量のオブリビオンに幾度も『現世』と『骸の海』を往復させる事により、世界のシステムの綻びを広げる…と言うものらしい。
 これで実際に世界に穴が開くかは不明だが、少なくとも瘴気が溜まりモンスターが発生しやすくなったり、死者がモンスターと化して動き出したり等と言う被害が出て、モンスター増加の原因となる為、危険な魔術である事は間違いないようだ。
 『青い炎』は魔術師が編み出した魔術で、死霊術士に近い魔術体系のようだ…『世界を穿つ穴』と『青い炎』で、死を克服した世界、それが『永遠の楽園』の正体なのだ。

「そして、この穴自体は筆者である、ゴーモウガ・モジャーが制圧し、魔術師を打倒したと…」
「となると、その魔術師がオブリビオンとして復活しちゃった…これが、今回の件の黒幕かしらねぇ?」
「恐らくは…そして『北』の現状は、この儀式をより大規模に行う為の物であるかと」
「他の遺跡も解読すれば、もう少し分かるかも知れないけど…悠長にはしていられないかもね」
 『ヒューレイオン』がなぜ邪魔なのか、逆を言えばそれを使えば有効な手段を得られるのかなど、まだ疑問点もあるものの、大まかな黒幕の目的は判明した。
 しかし、『北』を攻略するにはまだまだ戦力も情報も足りないであろう、危険すぎる魔術を阻止するべく猟兵達は決意を新たに村へと帰還するのであった。


・村スキル『ミスリルLv1』を獲得。
・二天堂が回収した大量の『ミスリル武器』のお陰で【経済】と【防衛】が5上がった。
・エビの味がするオレイカルコスは非常に美味しく、村の者と共に舌鼓を打ち『団結Lv2→3』に上がりましたが、合金竜にも色々いるらしいので、他の個体の味までは保証できません。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2019年05月03日


挿絵イラスト