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嗚呼あこがれの筋肉……!

#ヒーローズアース

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#ヒーローズアース


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●シャープネス・スカルは苦悩する
「なぜ……なぜ勝てないんだ……ッ!?」
 摩天楼の谷間で、傷だらけのヒーローは嘆いた。
 ヒーローの名は、シャープネス・スカル。骨ばった細身の長身、少しばかり長すぎる手足、マスクの上からもわかる骸骨めいた骨格。テーマカラーは黒と白。
 ヒーローとしては少々規格外の、ともすればヴィランと見紛うような容姿だが、彼は彼で実績のあるヒーローだった。地道な災害救助活動、小物のヴィランの駆除、実力のある怪人を見事討ち果たしたことも何度かある。
 ……だが。彼には絶対に勝てない敵がいた。
「けけけっ、情けねぇ格好だなぁヒーローさんよ!」
 暗く汚らしい裏通りで対峙するその敵は、マスキュラー・モブ。名実ともに、暴徒と化した一般市民に毛が生えた程度の、低級ヴィランに過ぎない。
 ただし、スカルにとっては致命的なことに、筋骨隆々たる大男でもあった。
「あんな奴、大した実力もないとわかっているのに……どうして、どうしてっ……筋肉モリモリっていうだけでいきなり勝てなくなるんだ……ッッッ!」
 いっそう深い嘆きを吐き出したその瞬間、真横のビル壁が内側から唐突に突き破られた。
「しまっ――」
 飛び散る瓦礫の中を突進してくるのは、マスキュラー・モブなど比較にならぬほど威厳に満ちた……やはり筋骨隆々とした大男。
(「また、筋肉、か…………ッ」)
 筋肉に覆われた(ように見える機械の)硬い拳に横殴りにされながら、スカルの意識は薄れていった。

●グリモアベース:ゲネ
「ヒーロー救援要請だ、手を貸してくれ!」
 ゲネ・ストレイ(フリーダムダイバー・f14843)は声を張り上げ、猟兵たちを召集した。
 ホロモニターに映し出されるのは、アメリカンなヒーローズアースの街並み。
「現地のヒーロー、シャープネス・スカルがオブリビオンに殺される予知だ。諸君はこの凶行を阻止し、スカルと共闘して敵の軍勢を撃退してくれ!」
 敵はジャスティストルーパーの群れ。不届きなとことに、ヒーローとヴィランの戦いに横入りしてくるつもりらしい。
 スカルはそこそこの実力者なので、オブリビオン相手にもそれなりに戦えるはずだ。
 が、痩身のスカルは、どうも筋肉に対して並々ならぬコンプレックスを抱いているようで、体躯に恵まれた敵を相手に実力を出せるかどうかは不安なところでもある。
「スカルの力がなくとも、諸君ならば問題なく敵群を排除できるはずだが……そうやって勝てたら勝てたで、スカルはベッコベコに凹むんだろうなぁ、メンタル的に」
 ゲネは苦笑しつつ、転送術式をモニターに展開した。
「勝利後のケアは諸君らに任せるが、できたら肉でも食わせて励ましてやってくれ。では、ユーベルコードを確認し次第、ヒーローの世界へ出発だ!」


そらばる
 ヒーローズアースより、ヒーロー救援要請です。
 一章は集団戦。ビルとビルの谷間の薄暗い道での戦いになります。
 シャープネス・スカルはこの戦いでは基本へっぽこですが、猟兵の行動によっては何かしらアクションするかもしれません。役に立つとは限りません。
 二章はスカルを励ます会的な何か、三章は強敵との戦いになります。

 執筆の進捗や各章の締め切りなどは、マスターの自己紹介ページに記載しているスレッドの方で呟いております。目安にお使いください。
 それでは、皆さんの自由なプレイングをお待ちしています!
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第1章 集団戦 『ジャスティストルーパー』

POW   :    フォールン・ジャスティス
全身を【機械部分から放出されるエネルギー】で覆い、自身の【戦闘を通じて収集した敵のデータ】に比例した戦闘力増強と、最大でレベル×100km/hに達する飛翔能力を得る。
SPD   :    イミテーション・ラッシュ
【ジャスティス・ワンが得意とした拳の連打】を発動する。超高速連続攻撃が可能だが、回避されても中止できない。
WIZ   :    マシン・ヴェンジャンス
全身を【機械装甲】で覆い、自身が敵から受けた【物理的な損傷】に比例した戦闘力増強と、生命力吸収能力を得る。

イラスト:もりさわともひろ

👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『集団戦』のルール
 記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

ミスト・ペルメオス
【SPD】
何だか特徴的な方のようですが…救援は望むところです。
ミスト・ペルメオス、これより作戦を開始します!

専用のデバイスを用いて敵の数や能力、周囲の地形などの情報を可能な限り収集しつつ作戦に臨む。
接敵と同時に念動力を全開。自身の攻撃精度を補正したり、敵の動きを見切るのに活かす。
アナイアレイターMk.6やゾル・アームドによる射撃戦を展開しつつ、敵が超高速連続攻撃を仕掛けてくるのに合わせて【ハイマニューバ】起動。
高速戦闘に移行し、常に高速で動き回って敵の攻撃の回避、或いはサイキック・フィールドやカイアス・ブレイカーでの防御を試みる。
同時に攻撃の手も緩めないようにする。

※他の方との共闘等、歓迎です


緋月・透乃
ここでも勇敢なヒーローがピンチだね。うーむ、ひょろひょろとマッチョ?
相手が一人ではオブリビオン達も張り合いがないだろうし、私にも付き合ってもらうよ!楽しい戦闘にしたいね!

敵は機械とはいえなかなか逞しくて力が強そうだね。
それなら、こっちも【重透勢】で怪力とタフネスにまかせた戦い方をするよ!
真正面から敵へ突撃して渾身の一撃を狙っていくよ!
敵に攻撃されても強化された防御力と気合いで耐えつつ、攻撃を続けるよ!

それにしても、シャープネス・スカルは本当に細いね。
私より軽いんじゃないかな?(透乃は体重65kgくらい)



 対峙しあうヒーロー『シャープネス・スカル』と、低級ヴィラン『マスキュラー・モブ』。
「ここでも勇敢なヒーローがピンチだね。うーむ、ひょろひょろとマッチョ?」
 緋月・透乃(もぐもぐ好戦娘・f02760)は駆け付けたビルの屋上から二人を見下ろし、実際に目の当たりにした奇妙な取り合わせに首を傾けた。
「何だか特徴的な方のようですが……救援は望むところです。ミスト・ペルメオス、これより作戦を開始します!」
 同じく屋上に駆け付けるや、ミスト・ペルメオス(新米猟兵・f05377)は専用デバイスを立ち上げた。展開した画面に、周辺の地形や敵性存在などの情報が瞬時にして表示されていく。
「敵複数接近……! 第一個体との接触まで、3、2、1――0!」
 スカルの真横の壁が飛び散った。瓦礫を押しのけ現れる、一体のジャスティストルーパー。
 スカルを狙い振りかぶられた頑健な拳の前には、しかし屋上より降り立った透乃が立ちはだかる。
「機械とはいえなかなか逞しいし、力が強そうだね……それならこっちも、ごり押しでいっちゃうよ!」
 頭頂部付近に、ピンッ、と一本立つアホ毛。侮るなかれ、それは強化の合図である。
 ジャスティストルーパーの拳は止まることなく振り下ろされる。超重量の鉄拳の連打。しかしそれを、透乃は気合いと強化されたタフネスですべて受けきってなお、余裕の笑みを浮かべている。
『……敵性体増加。全戦力投入』
 心というものを感じさせない機械的な声色で、ジャスティストルーパーが呟いた。
 と同時に、耳に届く風切り音。エネルギーを全身に纏うジャスティストルーパーが複数、空からスカルめがけて急接近してくる……!
 ――それを遮るように、響き渡る銃声。
「そちらの動きは把握しています。近寄らせませんよ」
 ミストのアナイアレイターMk.6とゾル・アームドが火を噴き、絶え間ない銃撃で飛翔するジャスティストルーパーたちを空中に釘付けにしていく。全開にした念動力で補強された銃撃は、決して敵を撃ち漏らさない。
(「――行くぞッ」)
 背後からの敵の接近を察知し、ミストは高度な戦術プログラムを起動して高速機動戦へと移行した。
 常に高速で動き回り、打ち付けられる拳の連撃を回避していく。息をつかせず重ねられる突撃に対しては、カイアス・ブレイカーの刃で受け止め、サイキック・フィールドのオーラで弾き飛ばす。敵の連携にも決して隙を見せず、攻撃の手も緩めはしない。
「なん……なんだ……」
 ……頭上で目まぐるしく展開する戦闘と、盾の如く敵前に立ち塞がる女性の姿に、シャープネス・スカルはようやく唖然とした声を絞り出した。
「あんたたちは一体……?」
 訊ねられ、顔半分だけスカルを振り返る透乃。答える代わりに、至極素直な感想を零す。
「それにしても、シャープネス・スカルは本当に細いね。私より軽いんじゃないかな?」
「……な、なんだと!?」
「ま、そういう世間話は後でね」
 透乃は油断なく視線を辺りに滑らせた。その仕草に気付き、スカルも息を呑んで青くなる。
「き……っ、筋肉がまた増えた……ッッ」
 薄暗い通りには、いつの間にやらさらなるジャスティストルーパーの増援が集結しつつあった。
 その数、十体以上。
「く……なぜこんなに……というかマスキュラー・モブの奴もいなくなってるし! 逃げたかアイツ……!」
 ギリリと歯を食いしばりつつも、スカルの構えはどこか及び腰だ。やはり一人で戦えというのは無茶だろう。
「この大人数で相手が一人ではあんたたちも張り合いがないよね? だから、私にも付き合ってもらうよ!」
 気を吐くや否や、透乃は最初の一体に真正面から突撃を仕掛けた。
「――お互い、楽しい戦闘にしよう!」
 怪力まかせの渾身の一撃が激突し、敵の外骨格を激しく揺るがす。
 力と力のぶつかり合いが辺りを震撼させ、衝撃を突き抜けた瞬間、機械の装甲が砕け散る音が響き渡った。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

六島・椋
筋肉が何だ。筋肉だろうがいずれは骨になるだろ
……何、そういう事ではないと
まあいい。骨であるならば、助ける理由になる

【目立たない】よう道の上のビルの隙間や物陰に、
からくり糸を使った【ロープワーク】で潜む

タイミングを見計らい
エスタ(f01818)に気をとられている奴らを上から【暗殺】
攻撃時はダガーと骨格人形たちで【早業・二回攻撃】
降りた後も必要があれば【ロープワーク】や人形とのコンビネーションで上に逃げ、
【騙し討ち・フェイント】に使ったり攻撃を避けたり
更に危なそうな攻撃は福音で回避

なあスカル
君の得意な事はなんだ
筋力では確かに負けようが
奴等にできず、君にできることが何かあるんじゃないのか

一人称:自分


エスタシュ・ロックドア
俺が助けに入ったらスカルの折っちゃいけねぇもんを折りそうな気がする
ので、強力な助っ人を連れてきたぜ
椋(f01816)、行くか

シンディーちゃんに【騎乗】【運転】【操縦】【ダッシュ】
敵に突っ込んで轢き潰すぜ
駆け抜けたら飛び降りて、シンディーちゃんは自走に任せて離脱させる
バイクで暴れるにゃ狭い路地だからな、こっからはフリントの出番だ
『羅刹旋風』でフリントを振り回し【怪力】【なぎ払い】【吹き飛ばし】
ビルの谷間で敵が複数とくりゃ、これでも何体かは当たんだろ
そんで、【存在感】で椋がギリギリまで気付かれねぇように大暴れだ
敵の攻撃にゃ【第六感】【カウンター】で対応な

スカルの相手は椋に任す
俺ぁ戦闘に夢中だからな



「クソッ……クソクソクソ! なんでよりによって筋肉……!」
 戦場のさなか、防戦一方で苦悩するシャープネス・スカルの悪態を聞きつけ、六島・椋(ナチュラルボーンラヴァー・f01816)は納得がいかないとばかりに呟く。
「筋肉が何だ。筋肉だろうがいずれは骨になるだろ」
「いや、そういうことじゃねぇだろ」
 エスタシュ・ロックドア(ブレイジングオービット・f01818)は軽く肩をすくめてツッコミを入れた。
 意外そうに目を瞬く椋。
「……何、違うのか。…… まあいい。骨であるならば、助ける理由になる」
「頼りにしてるぜ助っ人。なんせ、俺が助けに入ったらスカルの折っちゃいけねぇもんを折りそうな気がするからな」
 言いつつ、エスタシュは鍛え上げられた肉体を翻し、バイクのシンディーちゃんに跨った。
「行くか」
「ああ」
 短い言葉をかわすや、エスタシュはシンディーちゃんを急発進させビル陰から飛び出した。
 直線を突っ走るシンディーちゃん。エンジン音に気付き振り向くジャスティストルーパーどもに突っ込み、派手に轢き潰しながら、燧石の名を持つ鉄塊剣を抜き放ち、大きく振り回し始める。
「やっぱバイクで暴れるにゃ狭いな……あとは自力で離脱してくれよシンディーちゃん!」
 自走モードに任せてシンディーちゃんから飛び降りるや、エスタシュは十分に遠心力を乗せた鉄塊剣を、怪力まかせにぶん回した。ビルの谷間で密集気味だったジャスティストルーパーたちが、逃げる間もなく薙ぎ払いに巻き込まれ、次々に吹き飛ばされていく。
『さらなる敵性体を確認。排除する』
 機械的に反撃してくるジャスティストルーパー。その拳を第六感で避け、エスタシュは重い一撃をお返しする。
「この程度か? オラオラ、もっと来いよ!」
 ことさらに声を張り上げ、存在感を誇示しながら大暴れするエスタシュ。
 その頭上から、気配を消してじっと見定めるような視線があった。
 ビルとビルの間に張り巡らせたからくり糸の上に立つ、椋である。
「……そろそろか」
 呟き、椋は一切の無駄を排した動作で糸の上から降りた。エスタシュに気を取られている敵の背後に降り立つや、手元で翻したダガーで頸椎と心臓部を素早く刺し貫く。
 ガガッ……電子ノイズをうめき声代わりに倒れ込む数体のジャスティストルーパー。その背後には椋の操る骨格人形たちが一体ずつ立っていた。
 シャープネス・スカルは対峙していた敵勢が突如崩れたのを目前にして、唖然と声を上げる。
「ほ、骨の人形……? あんたも味方なのか?」
「……ふむ」
 なんと答えたものか、と少し思案しかけた椋を、敵の拳が襲う。
 椋は即座にからくり糸を引いた。自在に動く人形たちのコンビネーション。主を守り、足場となり、瞬く間に椋をジャスティストルーパーたちの頭上へと押し戻す。
 ――からくり糸の上に復帰した椋の背後から、迫りくる影。
「ッ、危ない――!」
 椋の回避は、スカルの警告が鼓膜を揺らすより速かった。まるで10秒先の未来でも見てきたかのように、飛翔からの突撃を繰り出すジャスティストルーパーを躱し、すれ違うその一瞬のうちに敵の急所にナイフを突き立てる。
 空中で失速した機械の巨躯は、そのままビルの壁に突っ込み、ぴくりとも動かなくなった。
「なあスカル。君の得意な事はなんだ」
 椋はスカルの傍らに降り立ち、戦闘に夢中になって次々と敵をなぎ倒しているエスタシュの様子に目をやりつつ、淡々と訊ねた。
 戸惑うスカル。
「いきなりなんなんだ……得意なこと、って言われても……」
「筋力では確かに負けようが、奴等にできず、君にできることが何かあるんじゃないのか」
「それは……」
 スカルは即答できぬまま、いまだ混沌とした戦場に視線を彷徨わせた。何かの答えを探すように。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

ナイツ・ディン
筋肉は偉大。だがしかし悲しいことに俺は小さいからな、別方面から殴り合いしてやろう。(なおPOWは普通に高い)
エアライド・ディロを起動、ディロに乗って(騎乗、空中戦)高速で飛び回るぞ。相手の攻撃は見切りや武器受けで流して背後から一気に貫いていこう。一撃離脱、ヒットアンドアウェイ。薄暗くても暗視と視力でバッチリ。
筋肉だけじゃ俺を捉えることはできないぜ?
ディロも暴れまわって楽しそうである。『その程度の脆弱さでは我が力には届かぬぞ!』と吠えつつ飛び回わり、爪で裂いたりしている。

考えてみたらディロみたいな竜種って鱗に覆われてるからわかりにくいけど筋肉すごいよな……


テラ・ウィンディア
ヒーロー…英雄…つまり勇者がピンチだってんなら助けなければいけないな!

(スカルの前に降り立つちびっこ

おれはテラ・ウィンディア!竜騎士だ!援護に来たぞ!

(言いながらも戦闘知識で冷徹に周辺の陣形と敵の動きの把握に努め

属性攻撃
炎を剣太刀槍に付与

ちっこいからって弱いと思うなよ!

槍での串刺しでの猛攻
更に敵の攻撃は見切りと第六感と残像を利用して回避
早業で太刀と剣に持ち替えての連続斬撃

密集陣形を捕捉すればグラビティブラストで殲滅!

スカルが戦うならその動きを見据え息を合わせて攻撃

おれもスタイルいいのは憧れるけどさ

憧れるだけで手に入れられるわけでもない
勝てる訳でもない

ならば…「挑む」までだ!!!



 テラ・ウィンディア(炎玉の竜騎士・f04499)は走った。
 助けを必要としている者のいる、戦場へ。
「ヒーロー……英雄……つまり勇者がピンチだってんなら助けなければいけないな!」
 激しい戦闘の繰り広げられるその頭上を小さな体が跳躍し、スカルの前に敢然と降り立った!
「おれはテラ・ウィンディア! 竜騎士だ! 援護に来たぞ!」
「は……」
 突如ちびっこに背に庇われることになったスカルは、驚きやらなんやらでもはや言葉もない。
 しかし大見得を切る間にも、テラの眼差しは敵の陣形や動きを見定め、冷徹に状況を把握していた。
 機械的に動くジャスティストルーパーたちにも、陣営全体に疲弊が蔓延し始めている。しかし機械装甲による躯体増強で持ちこたえている個体も複数。
 そして何より、機械であるがゆえに、限界が目前にあろうとも戦い続けることを決して躊躇しない。
 その殺気に応えるように、テラは剣太刀槍に炎を纏わせた。
「そっちがその気ならこちらも全力でいく……ちっこいからって弱いと思うなよ!」
 燃え盛る槍を手に地を蹴り、前へ! 抉るように突き出した穂先が機械の肉体を串刺しにする!
 殴り掛かってくる拳の連打は残像を残して躱し、目にも止まらぬ早業で太刀と剣に持ち替えて反撃。テラの猛攻がいよいよジャスティストルーパーたちを追い詰め始めた。
 本隊の危機に、ビルの上で空中戦を演じてきたジャスティストルーパーたちは救援に向かおうと隙を狙うが、猟兵はそれを許さない。
「筋肉は偉大。それは認める」
 怖じることなく敵前に全身をさらしながら、ナイツ・ディン(竜呼びの針・f00509)は潔く己とは縁遠いものの価値を容認した。
「だがしかし悲しいことに俺は小さいからな、一味違う方法で殴り合いをしてやろう」
 ドラゴンランスの真の力を起動するや、摩天楼に紅い飛竜が顕現する。
「大空を駆けよ!」
『竜の背に乗ること、誇りに思え!』
 ナイツを背に乗せ、紅き飛竜『ディロ』は空を駆けた。高速で飛びまわる翼が攻撃を素早く躱し、敵の背後から一気に貫く!
 すぐさま翼を翻し、離脱すると同時に次の標的へ。次々と敵を破壊し、打ち落としていく。
「筋肉だけじゃ俺を捉えることはできないぜ?」
 ディロも暴れまわって楽しそうである。『その程度の脆弱さでは我が力には届かぬぞ!』とばかりに吠えつつ、敵と敵の間を飛び回っては、牙を剥き、爪で裂き、存分に飛竜の力を発揮している。
「考えてみたら、ディロみたいな竜種って鱗に覆われてるからわかりにくいけど、筋肉すごいよな……」
 ディロの見事な戦いっぷりと、躍動する肉体に惚れ惚れと見入るナイツ。
 その視界の端に、地上へ急降下していく敵影が閃く。
「おっと、逃がすか――!」
 すかさず追いかけ急降下。明るい日差しの下から、唐突にビル間の影へと放り込まれようとも、類まれな視力と暗視能力はものともしない。
「そのまま貫け、ディロ!!」
 咆哮と共に閃いた飛竜の爪が敵の背部に食い込み、テラに襲い掛からんとしていたジャスティストルーパーを自重で押しつぶした。
 直感的に後方に退き難を逃れたテラは、ヒュウッ、と軽く口笛を鳴らした。
「派手にやるなぁ。――でも、まだまだこれからだ!」
 燃え盛る槍が、太刀が、剣が。竜の鋭い爪が、強力な尾が。機械の兵隊たちを存分に蹂躙していく。
「――クソ……ッ! このままでいられるか……!」
 小さな悪態と共に、唐突に長細い人影が敵前に飛び出した。シャープネス・スカルだ。
「おいおい、無茶……するなとは言えないか」
「大丈夫だ、フォローする!」
 ナイツとテラはすかさずスカルに合わせて動く。
 スカルは鋭利な骨の如き投擲武器を無数に敵群に打ち付けながら、ワイヤーロープを投げて敵一体の身体を縛りつけた。骨手裏剣は軽すぎ、筋肉に弾かれる。ロープは敵の膂力にあえなく千切られる。なるほど相性の悪さは抜群だ。
 しかしそれでも、スカルの作った隙は、猟兵にとっては十分な勝機だった。
「おれもスタイルいいのは憧れるけどさ。憧れるだけで手に入れられるわけでもない。勝てる訳でもない」
 呟くテラの掌が、エネルギーに輝く。
「ならば……『挑む』までだ!!!」
 突き出された掌から放たれた重力波砲が、スカルが作り出した密集陣形を薙ぎ払った。

 路地の戦いは激しさを増し、やがて数多の機械の残骸で埋め尽くされた頃、ようやく静けさを取り戻したのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​




第2章 日常 『モーレツ!BBQ天国』

POW   :    とにかく大量の肉を焼いてガッツリ食って食って食いまくる!

SPD   :    食事の合間に、みんなと談笑したりフォークダンス踊ったりして交流を深めよう。

WIZ   :    食事はバランスも大事!サイドメニューのサラダやデザートも楽しみたいね!

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種別『日常』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


●大通り:BBQ会場
 大通りのあちこちから、ジュージューと肉の焼けるいい匂いが漂ってくる。
 様々な商店の連なる通りは、今日は歩行者天国。街をあげてのバーベキュー大会真っ最中! 牛ステーキはもちろん、串焼き、フライドチキン、ターキーに豚の丸焼きまで、なんでもござれの肉天国! あ、野菜も隅っこのほうに少々。
 どうやらその準備中にせこい盗みを働いたマスキュラー・モブを、駆けつけたシャープネス・スカルが追い詰めたのが例の路地だったようだ。……まあ、結果は知っての通りだが。

 商店街の人々は、マスキュラー・モブを追い払ってくれたスカルに感謝を惜しまない。是非是非バーベキューに参加していってくれと懇願する。
 スカルは馬鹿正直に、モブは倒せなかった、悪漢どもを倒してくれたのは猟兵たちだ、と言って辞去しようとしたが、猟兵たちが半ば遮り引き留めた。

「結果的に誰が倒したかはともかく、アンタが駆け付けてくれたおかげで厄介な奴が追っ払えたんだ。礼くらいはさせてくれ」
 気のいい街の人々にそう言われて、スカルも渋々バーベキューに参加した。
 といっても、隅のほうで不景気な顔をして、もそもそとまずそうに野菜ばかり食べている。もともと食にあまり執着がないうえ、落ち込んでいると肉が喉を通らない、ということらしい。
 先程の戦いで筋肉にまるで歯が立たなかったことが、相当堪えているようだ。

 非常に面倒くさい状態のスカルを、さて、どう慰めてやるべきか。
 そしてバーベキューをどうめいっぱい楽しんでやろうか。
 かくて猟兵たちは、肉々しき肉天国に立ち向かうのであった。
テラ・ウィンディア
おにくー♪おにくーーおっにっくー!
(めちゃくちゃ嬉しそうに色々なお肉(お野菜もね)を食べてる御嬢さん

豚肉も牛肉も鳥肉も美味しいな!(食べてるお肉についてはアドリブ歓迎

ってスカルは食べないのか?
勇者たるもの食べれる時にしっかりと食べて英気を養わないといけないぞ
ええと東洋では食べるのも修行って言ってたな

っとお肉が苦手なら…じゃじゃーん!(しおおにぎり差し出す。どれ程の物かはステシのアイテム参照

(できれば一緒に食べようと

スカルはスピード特化なのか?
力で勝てないなら…相手の力を利用するのもいいかもな

おれも…無謀に突っ込んで滅茶苦茶にやられた事があってさ(黒騎士アンヘルとの戦いを思い出し苦い顔


緋月・透乃
やったー!バーベキューだー!
たくさん食べるよー!
目標はこの場にある全種類の食べ物と飲み物を食べること!フードファイターとしての実力を存分に見せつけちゃうよ!
食べ物はどれも美味しそうだけれど、全体的にはUDCアースに似ているのかな?
ヒーローズアース特有の食べ物も何かあると嬉しいね。大食いで注目を集めて、食べ物情報を色々聞いてみよう!
(スカルのことは気にせずひたすら食べます)



●大食い娘、肉を喰らう!
「おにくー♪ おにくーーおっにっくー!」
「やったー! バーベキューだー! たくさん食べるよー!」
 肉の焼ける匂いでいっぱいの通りに、テラ・ウィンディア(炎玉の竜騎士・f04499)と緋月・透乃(もぐもぐ好戦娘・f02760)、二人の食いしん坊娘は目を輝かせた。
「目標! 全種類の食べ物と飲み物を制覇! フードファイターとしての実力を存分に見せつけちゃうよ!」
 透乃は堂々と宣言し、各店舗が展開するブースに手当たり次第に突撃していった。
「おぉ~どれも美味しそ~! やっぱり全体的にUDCアースの食べ物に似てるねぇ」
 じゅうじゅう肉汁溢れるステーキに、BBQソースで食べる薄切り肉、タレに付け込んだものを焼いたブリスケットと、バーベキューでは定番の肉が溢れんばかり。さらに鳥肉は焼いたもの、揚げたもの、蒸したもの、色とりどり。豚もステーキ状に焼いたものやフランクフルト、薄く茹でたしゃぶしゃぶ風まで。もはやBBQという形式も超えて、多種多様な肉料理の博覧会である。
 めちゃくちゃ嬉しそうに色々な肉料理(と時々野菜)を頬張っていく年頃の娘二名。
「豚肉も牛肉も鳥肉も美味しいな! あ、丸焼き! 食えるのかそれ、食っていいの!?」
 会場中心にどどーん!と据えられた豚の丸焼きに、より一層目を輝かせ、果敢にチャレンジするテラ。
「うー目移りするよーどれも美味しいよう。あれっ、それ変わってるね? え、『ヒーローズミート』? ……要するにメーカー産の合成肉? 「これを食べれば明日から君もヒーローだ! ただし原材料は企業秘密☆」……? な、なにそれヤバイ、めっちゃ怪しいけどめっちゃくちゃ気になる……食べるべきか食べざるべきか――食べる以外の選択肢あるわけなしッ!!」
 透乃は落ち込んでる奴がいたことなどさっぱり忘れて、もぐもぐもぐもぐもぐもぐもぐもぐもぐもぐ、ひたすら肉食。現地人からの情報収集も抜かりなく、本気でこの場の全種類を制覇する勢いである。
「……ってスカルは食べないのか?」
 たまたま通りかかった会場の隅で、シャープネス・スカルの煤けた不景気ヅラを見かけ、テラは声をかけた。
「勇者たるもの食べれる時にしっかりと食べて英気を養わないといけないぞ。ええと、東洋では食べるのも修行って言ってたな」
「……。理屈はわかる」
 スカルはフォークを手に持った紙皿の上に横たえ、盛大な溜息をついた。
「しかし肉を食うような気分じゃなくてな……」
「ふーん。っとお肉が苦手なら……じゃじゃーん!」
 テラがどこからともなく取り出したのは、なんの変哲もないシンプルなにぎりめしである。
「……なんだそれは?」
「しおおにぎり! お米を握ったやつだ」
「コメ……まあ、それなら」
 スカルはにぎりめしを受け取り、一口咀嚼した。一瞬にして顔色が劇的に変わり、目が限界までかっ開く。
「…………ッッッ、う、うま……っ!?」
「だろー」
 天にも昇る美味さを誇るにぎりめしを必死に貪るスカル。
 傍らで、テラももう一つ持参していたにぎりめしにぱくつきながら、何気なく話しかける。
「スカルはスピード特化なのか?」
「……まぁ、得意分野だな。あとは飛び道具と投げ縄と……どれも、大して役に立ちゃしないが」
「力で勝てないなら……相手の力を利用するのもいいかもな」
「……相手の?」
 思いがけない言葉をオウム返しにするスカル。
「おれも……無謀に突っ込んで滅茶苦茶にやられた事があってさ」
 黒騎士アンヘル……強敵との戦いを想い出し、テラは苦い表情を浮かべる。
 その時、BBQ会場の中心がわっと歓声に包まれた。
「すっげーなぁ、お嬢ちゃん! 全種類制覇だって!?」
「惚れ惚れする食べっぷりだねぇ。うちのブースのお肉もぜひ食べてっておくれよ!」
「はっはっは、任せたまえ、まだまだ行けるよー! もっと肉持ってこーい!」
「ぐぬ……このままでは肉屋としての沽券が……っ。こうしちゃおれん、肉を追加だッ!」
 ……どうやら透乃が早くも本懐を果たしたようである。
「おっと、おれも肉食わなきゃ。お前もその気になったらこいよ!」
 勢いよく会場にとってかえすテラを、スカルは何かに思いめぐらすように、ぼんやりと見送った。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

ミスト・ペルメオス
【WIZ】

ほんもののおにくが、こんなにたくさんッ…。
しかしお肉ばっかりというのも何ですから、程ほどに楽しみますか。
(出身の都合上、本物のお肉は食べなれていない。嫌いではないし美味しいとも思うけれど)

(肉料理と野菜となるべくバランスよく食べつつ、シャープネス・スカルをフォローしてみる)
どうも、先程ぶりです。
…ええと、そうですね。ひとまず何とかなったのですから、今だけはこれで良しとしませんか?

思うところはあるのでしょうけれど、今は街の皆さんにいただいた美味しいご飯を食べるのを優先しませんか?
反省とかそういうのは後で良いと思います。
折角作っていただいた料理なんです。しっかり食べて、楽しみましょう?


ナイツ・ディン
【SPD】
食事をしつつコミュ力を使って、付近の人からシャープネス・スカルの評判とか聞いてみるか。一回だけ守ったからってこんな感じに祭り騒ぎになることもなかろうし。ベテランヒーローらしいしな。いっそ動物と話す能力を使ってそのへんの奴等に聞くのもありか。……俺は獲物じゃないからな?(30cmの妖精並の感想)

別に無理に肉を喰う必要もないぞ?美味しく喰える分だけ喰えばいい。
無理に筋肉つけたりしたら動き方が変わって弱体しかねないし。筋肉だけですべて決まるなら俺とか何回死んでるんだ?

なお一角の肉の山をほぼ生焼け状態で齧っているドラゴン(ディロ)がいるのは見なかったことにする。エサ代浮いてタスカルナー。



●無理せずほどほどに
 どこを向いても、肉、肉、肉。ありあまるばかりの、肉!
 そんな光景に、ミスト・ペルメオス(新米猟兵・f05377)は感動を覚えていた。
「ほんもののおにくが、こんなにたくさんッ……」
 なにせその出自ゆえに、本物の肉は見慣れない上に食べ慣れていない。ミストは勧められるままに炙り肉に口をつけた。
「これが本物の……とても美味しいですね!」
「そうかい、じゃんじゃん食べてってくれよ!」
「はい。あ、そちらの野菜もお願いします」
 肉ばかり、というのもよろしくないだろう、とミストは肉料理と野菜とをバランスよく、ほどほどに楽しんだ。
 一方、ナイツ・ディン(竜呼びの針・f00509)も体に見合った無理のない食事を摂りながら、人々とのコミュニケーションに勤しんだ。
「これだけ大掛かりな祭りとなると、シャープネス・スカルのために急遽開いた祝勝会……ってわけじゃないんだよな?」
「ああそうだ、祭り自体は前々からやるつもりでいたんだよ。その準備中に出やがったのがあの筋肉略奪暴徒野郎ってわけさ」
 方々巡ってスカルの評判を聞いてみると、華のあるタイプではなく、正直なところ地味で印象の薄いヒーロー、という見解が圧倒的多数だった。しかしやるべきことは堅実にやっているようで、『いぶし銀のヒーロー』と評価する声もある。
 ナイツはさらに、食べ物の匂いにつられて会場周りに集まってきた動物たちにも訊き回ってみた。
「……俺は獲物じゃないからな?」
 体長30cmの妖精の姿に目を輝かせる猫や鳥たちをなだめて聞きだせば、返ってきた反応は概ね人々と同じ。
 ただ、実際に活躍を目撃したり助けられた動物たちはことのほか多く、すこぶる評判が良かった。
『年末の大火事で、まだ喋れないようなちっちゃい女の子を助けてるとこ見たよ! でも間が悪いから、街の人間は誰も活躍を見てなかったのよねぇ』
『その火事知ってる! うちのかーちゃんと弟たちが危うく逃げ遅れるところだったんだけど、スカルが逃げ道つくってくれたって!』
 ……人の見ていないところで地味かつ地道に善行を積んでいる、ということらしい。
「ふむ。なるほど……」
 呟きつつ目を上げたナイツの視線の先では、にぎりめしを平らげてどことなく手持無沙汰にしているスカルに、ミストが話しかけるところだった。
「どうも、先程ぶりです」
「……ああ。さっきは悪かったな」
「え?」
「俺はろくに戦力にならなかった」
 相変わらず引きずりまくっている様子のスカル。
 ミストは言葉を探しつつ、根気よく話しかける。
「……ええと、そうですね。ひとまず何とかなったのですから、今だけはこれで良しとしませんか?」
「…………」
「思うところはあるのでしょうけれど、今は街の皆さんにいただいた美味しいご飯を食べるのを優先しませんか?」
「……しかし肉はな……」
 街の人々の輪に入れば、まず間違いなく肉を勧められる。それを断るのも場が白ける。……などとしちめんどくさいことを考えているらしい。
「別に無理に肉を喰う必要もないぞ? 美味しく喰える分だけ喰えばいい」
 二人の会話に、ナイツは小さな体で飛び込んだ。
「無理に筋肉つけたりしたら動き方が変わって弱体しかねないし。筋肉だけですべて決まるなら俺とか何回死んでるんだ?」
「まあ……それは一理あるだろうが……『あれ』は明らかにあんたの戦力だろう?」
 と、スカルが指さすのは、会場の一角で山と積まれた肉を、ほぼ生焼け状態で貪り齧っているドラゴンのディロである。
 しかしナイツは見なかったふりを決め込むつもりらしい。
「ナンノコトカナー、エサ代浮いてタスカルナー」
「いいのかそれで……」
「いいじゃないですか。ほら、お肉以外の料理も増えてきましたよ」
 微笑むミスト。指差す先では、どうやら肉だけではもの足りないと考えた者もいたらしく、業務用の器具で巨大パエリアやら巨大ピザやらが調理され始めていた。
「……もう本当になんでもありだな……」
「ええ、お祭りですから。だから、反省とかそういうのは後で良いと思います」
「…………」
「折角作っていただいた料理なんです。しっかり食べて、楽しみましょう?」
 スカルは大きくひとつため息を落とすと、寄りかかっていた壁からようやく体を離した。
「……そうだな。沈んでいるのが馬鹿馬鹿しくなってきた」
 会場の中央へのろのろと歩み寄るスカルを、人々の笑顔が出迎える。
 スカルを送り出した二人は、その背を微笑ましく見守った。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

エスタシュ・ロックドア
再び椋(f01816)とつるんで来てるぜ
BBQか、こりゃぁ食うしかねぇよな!

とりあえず手当たり次第目に付いた肉から買って齧り付く
流石に出禁喰らう程食い漁ったりはしねぇがな
そこはちゃんと弁えてらぁ
……おい椋、ちゃんと食う量加減しろよ

なんだ椋、やんのか力比べ
(勝利)ははっ、そりゃー羅刹たるもの簡単に負けらんねぇよ
あー、牛串うめー(注意が逸れてからの激痛)エ゛ッ!?
いだだだだだっ!
な、なんっ、オボロちゃん何してんの!?
つーか椋なにさせてんだ!?
人が肉食ってる時にあだだだだ折れる折れる折れる!
おいこら食うのは俺を解放してからにしろや!


六島・椋
人形たちを連れてエスタ(f01818)と
以前の食べ放題はみんな出禁にされてしまったからな
久しぶりに腹いっぱい食べよう
ええと、じゃあその辺の全部持ってきてくれ

よう伊達男(スカル)。得意なことは思い当たったか
そんなにすぐ出ることでもないか
自分も力が強いわけじゃない
我が友人のクソ膂力に勝てやしない
(腕相撲開始からの負け)

ほらな
しかし、自分が彼に勝てないわけじゃない
自分は骨格にはそれなりに詳しいし(【医術】)
素早く動くのも得意だ。だから
(エスタにオボロが【早業】で関節技をかける)
こういう勝ち方もできる
筋肉達磨だろうが、骨を持つものは、関節からは逃げられん
まあ参考の一つにでも、だ

次はその辺の肉の山を頼む



●腕相撲と関節技
「BBQか、こりゃぁ食うしかねぇよな!」
 腕が鳴る、とばかりに声を上げ、エスタシュ・ロックドア(ブレイジングオービット・f01818)は目についた肉に、手当たり次第、片っ端から齧りついていく。
 その見た目に恥じぬ豪快、かつ実は出禁を食らわない程度に弁えた食べっぷりは、街の人に大好評。
 一方、人形たちを引き連れている傍らの六島・椋(ナチュラルボーンラヴァー・f01816)はといえば、
「ええと、じゃあその辺の全部持ってきてくれ」
 その見た目に反した豪胆な注文に始まり、エスタシュに負けずとも劣らぬ……むしろ上回る勢いの大食漢ぶりに、街の人々も驚きを隠せない。
「以前の食べ放題はみんな出禁にされてしまったからな。今日は久しぶりに腹いっぱい食べよう」
「……おい椋、ちゃんと食う量加減しろよ」
 結果、大飯食らいの屈強な大男が、一見不健康にも見える女性の大飯食らいをたしなめるという、奇妙な一幕が展開された。
 街の人々はそれを面白がり、これも食えあれも食えと、放っておいても次々に多種多様な肉が運ばれてくるようになった。二人はこれ幸いと会場中央のテーブルに居付き、やってくる肉をとにかく食べて食べて食べ尽くしていく。
「……とんでもないな」
 呆れたような声に振り返ると、シャープネス・スカルがマスク越しにも明らかにドン引きした視線で二人の様子を見守っていた。
「一体どういう胃袋してんだよ……そろそろ主催者の顔色も悪くなってきてるぞ」
「うおマジか、少しセーブしねぇと……」
「よう伊達男。得意なことは思い当たったか」
 慌てるエスタシュとは対照的に、椋はお構いなしに口の中の肉を嚥下して訊ね返した。
 スカルは言葉を返さず、苦々しく顔を歪めるばかり。
 相変わらず悩み深そうな様子だが、スカルから話しかけてくるというのは大いなる前進だろう。手元のプレートを見れば、控えめに盛り付けられたパエリアの隅に、炙り肉が二、三枚、そっと添えられている。少しでも肉を食べてみようという気分にはなったようだ。
 答えを返せないスカルに、椋は軽く肩をすくめた。
「そんなにすぐ出ることでもないか。自分も力が強いわけじゃない。我が友人のクソ膂力に勝てやしない」
「なんだ椋、やんのか力比べ」
 話題に上るや否や、それが決定事項のように、エスタシュはザラザラと食器を避けてテーブル上にスペースを作った。
 突如始まる腕相撲。ミチミチと筋肉の悲鳴が聞こえてくるような、本気の試合だ。
 両者のぶつかり合いは初めこそ拮抗して見えたが、椋の全力が頂点に達したその瞬間、エスタシュはにやりと笑ってその手をあっけなく押し倒した。固唾を呑んで見守っていた見物人の歓声が上がる。
 負けた椋はしかし涼しい顔で、スカルに全力を出し切って赤くなった手を見せた。
「ほらな」
「ははっ、そりゃー羅刹たるもの簡単に負けらんねぇよ」
 気をよくして食事に戻るエスタシュ。
「しかし、自分が彼に勝てないわけじゃない。自分は骨格にはそれなりに詳しいし、素早く動くのも得意だ。……だから」
 椋が、す、と目を細めると、人体骨格人形のオボロがゆらりとエスタシュの背後ににじり寄った。
「あー、牛串うめー――エ゛ッ!?」
 完全に肉に意識が行ってからの、激痛。骨格人形による関節技が、エスタシュ相手に見事に決まっているのである。
「いだだだだだっ! な、なんっ、オボロちゃん何してんの!? つーか椋なにさせてんだ!? 人が肉食ってる時にあだだだだ折れる折れる折れる!」
 逃げようともがこうにも、骨を愛し、医術にも精通する椋の操る骨格人形が、それを許すはずもない。
「こういう勝ち方もできる。筋肉達磨だろうが、骨を持つものは、関節からは逃げられん。まあ参考の一つにでも、だ」
 椋はやはり涼しい顔で淡々と解説を付け加えると、
「次はその辺の肉の山を頼む」
 オボロとエスタシュを放置して再び肉に喰らいつき始めた。
「おいこら食うのは俺を解放してからにしろや!」
 騒ぐエスタシュ、変わらず肉を貪る椋、笑う群衆。
 ……賑々しい喧騒の中で、スカルは一人、形のない何かに焦点を絞るように目を細める。

 ――その瞬間、けたたましい轟音が会場中に轟き渡った。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​




第3章 ボス戦 『ビッグパワー』

POW   :    ビッグパワーナックル
単純で重い【渾身の力を籠めた拳】の一撃を叩きつける。直撃地点の周辺地形は破壊される。
SPD   :    バリアブルマッスル
自身の肉体を【異常なまでに柔軟な筋肉】に変え、レベルmまで伸びる強い伸縮性と、任意の速度で戻る弾力性を付与する。
WIZ   :    バイオレントフォース
全身を【筋肉を鋼の如く硬化させ、強化するオーラ】で覆い、自身が敵から受けた【負傷と、傷つけられたプライド】に比例した戦闘力増強と、生命力吸収能力を得る。

イラスト:かげよし

👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠山田・二十五郎です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


●BBQ会場:大筋肉と小筋肉の襲撃
「キャーーーーー!!」
 会場に響く、絹を裂くような悲鳴。
 と同時に、中央に飾り立てられた豚の丸焼きが、筋骨隆々とした拳に握りつぶされた。

「ハッハァ! こいつァいい。安いクズ肉でもこれだけありゃァ、俺様のビッグボディの足しにはなるだろう」
 わしづかみにされて原型を失った肉を口に運び、野卑に貪るのは、全身に硬質な筋肉をまとった尋常ならざる体格の大男。

 オブリビオン『ビッグパワー』だ。

 そのあまりの筋肉……もとい常人の倍はあろうかという巨体に気が遠くなりかけたスカルは、あっ、と声を上げて正気に戻った。
「あいつ、暴徒野郎……!」
 ビッグパワーの傍らで揉み手擦り手でへいこらしている、常人サイズの筋肉男は、間違いなくマスキュラー・モブである。

 モブはスカルに気付くと、あからさまに嘲笑した。
「ビッグパワー様、ヒーローがいましたよ。チンケな骨野郎ですがね!」
「ほう……貴様まさか、俺様にあの貧弱野郎の相手をしろとでも言うつもりか?」
「滅相もございません! あの程度、オレが片づけます! ビッグパワー様にはお好きなように振る舞っていただければ……!」

 再び対峙するスカルとモブ。
 ビッグパワーは面白そうに鼻を鳴らすと、会場中に視線を馳せた。
 その目は、逃げ惑う人々の中に紛れ込んでいる猟兵たちを、確実に捉えている。
「あァ……こっちのほうが骨がありそうだなァオイ……!」
 盛り上がる筋肉、放たれる殺気。

 ビッグパワーの前に駆け付けた猟兵たちに、一瞥をくれるスカル。
 その目は語っていた。――マスキュラー・モブの相手は自分一人に任せろ、と。

 そう、この場で猟兵が抑えるべきは、オブリビオンだ。
 すっかり人気の絶えたBBQ会場で、猟兵とビッグパワーとの戦いが今始まる……!
テラ・ウィンディア
うわーでっけーな(お肉とおにぎりもぐもぐしながら見上げる小娘。スカルよりも更に遥かにちまい

お前もヒーローなのか?

【戦闘知識】で敵の動きを見据

おれはお前より筋肉無いかもしれないけどお前には負けないぞ!

【属性攻撃】で武器と脚に炎付与

太刀と剣で切り刻み

【見切り】で動きを見据え強烈な攻撃の時に合わせて【早業】で槍に切りあえ相手の力さえ利用する形で【串刺し】に
(寧ろスカルにも見せつけるように)

【見切り・残像・第六感】で可能な限り回避を試み【空中戦】で多角的に猛攻

見下ろす形に飛び

パワーを出せるのは筋肉だけじゃないぞ!

スピードと勢いがあればお前らにも負けないからな!(メテオブラスト炸裂!【踏み付け】も添えて



●小さな体で巨体を制す
「うわーでっけーな」
 緊迫した会場に、奇妙にのんきな声が上がった。
 お肉とおにぎりをもぐもぐしながら、ビッグパワーの巨体見上げる小娘。スカルよりも更に、遥かにちまい、テラ・ウィンディア(炎玉の竜騎士・f04499)である。
「お前もヒーローなのか?」
「ヒィーロォー? ……がはっ! ハーッハッハッハ!!」
 ビッグパワーは顔を抑え、空を仰いで笑い出した。
「俺様がヒーローに見えるってか! どこに目がついてんだこのチビはよォ!」
 暴力的に分厚い拳が握られる。
「俺様はビッグパワー! 貴様らの敵――ヴィラン様さぁっ!」
 ――なんの予備動作もなく拳が振り下ろされ、大地を穿った。遅れたように轟音が響き、会場の地面に巨大な亀裂を走らせる――!
 めくり上がり弾け飛ぶ、数多のアスファルトの破片。
 その中に紛れた人影を見取り、ビッグパワーは凶悪な笑みを凍らせた。
 テラはビッグパワーの動きをしかと見据え、拳を的確に回避したのだ!
「おれはお前より筋肉無いかもしれないけどお前には負けないぞ!」
 炎に燃え盛る太刀と剣が、ビッグパワーの右腕を斬り刻む――!
 しかし、その傷はまだ浅い。
「ぬぅ……はっはっは、かゆいかゆい!」
 絶え間なく拳を繰り出してくるビッグパワー。かすめる衝撃さえ重いその拳を、テラは炎を付与した脚で、残像を残して巧みに身を躱しながら、巨体の動きをじっと見定めた。
「――ここだっ!」
 指を絡めて一塊となった両拳がテラを芯に捉えようとしたその瞬間、テラもまたその拳を捉えた。早業で繰り出された槍が、頭上から打ち付けられようとする攻撃に真っ向から突きつけられる――!
「ぐぬ……っ!」
 振り下ろす勢いを止めることができなかったビッグパワーは、燃え盛る槍に左手首を刺し貫かれていた。
(「見てるか、スカル……!」)
 離れた場所で己の戦いを繰り広げているであろうヒーローを意識しながら、テラはすぐさま身を翻し、激昂するビッグパワーの追撃から逃れる。
「貴様ァッ!」
「パワーを出せるのは筋肉だけじゃないぞ!」
 小さな体が高々と、敵の巨体を見下ろさんばかりに跳躍する。
「スピードと勢いがあればお前らにも負けないからな!」
 超重力を纏った踵落としが、ビッグパワーの脳天に突き刺さった!
「ぐがぁっ……!」
 骨を揺さぶる衝撃に、たたらを踏むように一歩押し込められるビッグパワー。
 その眼差しは、屈辱に燃えていた。

成功 🔵​🔵​🔴​

ナイツ・ディン
「俺なら一握りでやられそうだな。ま、させる気は無いけどな」
『槍の状態で受けるなよ?我が折れるとは思わんが、貴様が吹き飛ぶと面倒だ。』
飛び回りながら牽制し、見切りや第六感で攻撃を躱す。流石に防御したら死ぬからな、地上ダッシュも織り交ぜて相手をイライラさせるとしよう。
「小さくて捕まえられねーか?自慢の筋肉も型なしだな!」
「ま、そんな自慢の筋肉も――竜には勝てねーけどな。」
程々に時間を稼げたら【竜化の騎士】を使う。
『本物の火力(パワー)を見せてやろう!』
真正面から激痛耐性で強引に押さえ込み、竜の本能のままにカウンターや咄嗟の一撃で殴りつける。筋肉を無敵の鎧とか言い張るなら爪で串刺しや鎧無視攻撃だ。


緋月・透乃
おおー、ずいぶんでかくてごつい奴だねぇ。力もありそうで強そうだ。こりゃ戦い甲斐がありそうだね!
そっちの筋力と私の怪力、どっちが強いか勝負だよ!

使う武器は重戦斧【緋月】。
真っ正面から立ち向かって、怪力と気合いの籠った攻撃を仕掛けていくよ!
頑丈そうだから一撃の威力重視だね。
敵の攻撃は気合いで見切って避ける、こっちの攻撃を当てて相殺、といった対処をしていくよ。
敵のユーベルコードには【被刃滅墜衝】で耐えて反撃するよ!

怪力はでかくて筋肉のある奴だけのものではないってことを教えてあげるよ!



●斧と竜
「おおー、ずいぶんでかくてごつい奴だねぇ。力もありそうで強そうだ。こりゃ戦い甲斐がありそうだね!」
「俺なら一握りでやられそうだな。ま、させる気は無いけどな」
 敵の巨体を見上げ、各々に感嘆の声を上げる緋月・透乃(もぐもぐ好戦娘・f02760)とナイツ・ディン(竜呼びの針・f00509)。しかし両者とも、放たれる言葉には自信が満ちている。
 苛立ちも露わに、ビッグパワーが剣呑な視線を翻す。
「あァ!? なンかほざいたかチビどもよォ!」
「言った言った! そっちの筋力と私の怪力、どっちが強いか勝負だよ!」
 透乃は重戦斧【緋月】を軽々と構えると、真っ向から飛び込んだ! 高々と跳躍し、漲る気合いを乗せた怪力で緋月を振り下ろす!
「チィ……ッ!」
 咄嗟に構えた腕を重々しい一撃に打ち据えられ、ビッグパワーは顔を歪めると共に、強烈な反撃を繰り出してきた!
「――当たるかぁッ!」
 素早く重い拳を、透乃は動体視力と気合いで避ける。拳と斧の激突が繰り返されていく……
「あれに正面から入っていくのは無理だな……」
『槍の状態で受けるなよ? 我が折れるとは思わんが、貴様が吹き飛ぶと面倒だ』
 激しいぶつかり合いを見下ろし呟くナイツに、紅竜『ディロ』は皮肉げに翼をはためかせた。
 ――と、その時、透乃の一撃がビッグパワーの拳をはじき返し相殺してのけた!
 互いの攻撃の反動で両者に間に距離が生じたその瞬間を逃さず、休む時間を与えまいと、ナイツはビッグパワーの周囲を飛び回りながら牽制していく。
「なんだ、クソッ、この羽虫が……ッ」
「小さくて捕まえられねーか? 自慢の筋肉も形無しだな!」
 直感を働かせつつ、注意深く敵の動きを見ながら、ナイツは重圧感のある拳をことごとく躱してみせた。ビッグパワーの腕は妖精の小さな身体を捕らえられずに空を虚しく切るばかり。時に足元をちょこまかと走り抜けて見せれば、敵の苛立ちはいや増していく。
「……クソがァッ!」
 巨大な足がナイツを踏み潰すことなく地面を大きく抉った。
「ま、そんな自慢の筋肉も――竜には勝てねーけどな」
 敵の激昂を見て取り、ナイツはディロの名を呼んだ。
「ディロ、本気で行くぞ!」
『我に喰われるなよ小童!』
 紅竜がナイツの全身を内に取り込み、巨大な竜と成していく……!
『本物の火力(パワー)を見せてやろう!』
「おいおいおい、ドラゴンだァ? ……チッ、どうせ見かけ倒しだろうがよ!」
 逆に見上げる立場となったビッグパワーは面白くなさそうに吐き捨てると、お構いなしに竜に殴り掛かった。
 竜は強烈な拳を避けも防ぎもしない。真正面から全ての痛みを耐え抜き、本能のままに爪や牙の反撃を返していく。
「ぐはッ! クソ、ちんたらやってられねェか……!」
 強烈な爪の攻撃と竜の耐久力に内心舌を巻き、ビッグパワーは拳に全身全霊の力を込め、大きく振りかぶった!
「沈みやがれェッ!!」
 ガッ……! 鈍い音、硬い手応え。
 しかしその威力は、想定を遥かに下回っている。
 いや、それ以前に、拳はドラゴンの表皮にさえ届いていない――
「な……にィ!?」
「――怪力はでかくて筋肉のある奴だけのものではないってことを教えてあげるよ!」
 構えた斧で見事に拳を受け止めきった透乃が、笑顔でビッグパワーを見上げていた。
「お返しいるよねっ! 被刃滅墜衝!!」
 【緋月】から繰り出される大振りな反撃が、ビッグパワーを幹竹割に斬り捨てる――!
「ガッ――」
 血反吐を吐き、大きくのけ反るビッグパワー。その巨体を、竜の尾が容赦なく薙ぎ払う!
 筋肉の塊が弾丸のように弾き出され、残骸となった豚の丸焼きに激突した。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

駒鳥・了
肉の匂いに誘われてオレちゃん乱入!
ってかBBQ会場で暴れるとか許されざるだよ勿体ないじゃん!

筋肉ごん太体形て死角が多そうだね!
ってうわああ拳が付いてくる!近距離専門じゃないのか!
しょーがないUC発動だ!
距離を取って高速移動で逃げつつ翻弄するよ
他の子を狙ってそうならわざと目の端に映ってみたり
で、ほどよく伸びてるてる筋肉を、UCを載せた両手のナイフで斬撃!
伸びた筋肉なんて切りやすいもんねー
斬撃から発した衝撃波は本人へ届け!
当たれば儲けもの!

さんざ遠距離翻弄した後に最後に懐に切り込んじゃお
だまし討ち上手くいくかな!
戦闘ってさ、センス勝負なんだよ
ねー骨のおにーさん?

共闘とかアドリブは歓迎するんだよ!


ミスト・ペルメオス
【POW】

了解です、シャープネス・スカル。共に健闘を。
――来いッ、ブラックバードッ!

スカルにモブ達の相手を任せ、自らは機械鎧を呼び寄せて乗り込み戦闘に移行する。
ビッグパワーの凄まじい巨躯から繰り出される攻撃に警戒すべきなのは言うまでもなく。
念動力を機体の制御や敵の動きの見切りに活用しつつ【オープンファイア】。
市街地への被害拡大はなるべく避けたいところだが、威力重視で攻撃を仕掛ける。
スラスターを駆使して三次元の機動で迫り、ビームブレードで接近戦を…
と見せかけてフェイント。
敵の一撃を躱すか防ぎ、その直後に可変速ビームキャノン/対機動兵器モードでのカウンターを叩き込む。

※他の方との共闘等、歓迎です



●知略の罠
(「了解です、シャープネス・スカル。共に健闘を」)
 スカルの一瞥に胸中で応えて、ミスト・ペルメオス(新米猟兵・f05377)は高らかに呼ばわる!
「――来いッ、ブラックバードッ!」
 速やかに召喚されたのは、制式機を思わせる機械鎧。その内部に乗り込み、ミストは決然と敵を見据えた。
 視線の先で、瓦礫の山を押しのけながらビッグパワーが立ち上がる。頭に覆いかぶさってきた豚の丸焼きの残骸を忌々しげに振り捨てながら、ビッグパワーは猟兵たちを睨みまわした。
「チッ、まだ増えやがるか……」
「――肉の匂いに誘われてオレちゃん乱入!」
 高らかに宣言しながら駆け付けた駒鳥・了(Who Killed・f17343)は、憤然と腰に手を当てた。
「ってかBBQ会場で暴れるとか許されざるだよ勿体ないじゃん!」
「あーしかもうるせェときた。こちとらイラついてんだ、その口塞いでやらァ!」
 ビッグパワーが軽く差し出した両手を力強く握り締めたその瞬間、全身の筋肉がボンッと音を立てて膨張した。
「おおー。筋肉ごん太体形て死角が多そうだね! ――って」
 のんきに揶揄していた了は思わず目を真ん丸にした。膨張したように見えたビッグパワーの筋肉が大きく波打ち、異常な柔軟性を発揮しながら急速に伸び迫ってきたのだ!
「うわああ拳が付いてくる! 近距離専門じゃないのか!」
「危険です、警戒を!」
 了は大慌てで、ミストは冷静に、正反対へと散開した。しかし伸びる両拳は左右に分かれた二人をそれぞれにしつこく追跡する。
「しょーがない、ユーベルコード発動だ!」
 了は駆け抜けながら妖剣を解放した。妖刀の怨念に強化された全身が寿命と引き換えに高速を手に入れ、ぐん――っ、と速度を増して会場中を縦横無尽に疾駆する!
「クソ、ちょこまかと……!」
「ほらほらこっちこっち!」
 拳から十分に距離をとりつつ、了はちらちらとビッグパワーの視界に映っては逃げ、翻弄していく。分かれて別々の猟兵を追跡していた両腕は、やがて了一人を捕らえることに専念し始めた。
 念動力で柔軟な拳の動きを見切り、見事な制御で機体を操りながら伸びる拳から逃れ切ったミストは、自身への追跡が途切れたことを知り、すぐさま機械鎧を翻して武装を展開した。
「……市街地への被害拡大はなるべく避けたいところですが……」
 呟きつつも、ミストは迷いなく『威力重視』を選択し、ビームブレードを携えて敵へと急速接近した!
「なんだ特攻かァ!?」
 ビッグパワーは即座に反応し、右拳を再度ミストへと振り分けた。しかしミストはスラスターを駆使してことごとくこれを避け、三次元的な機動でビッグパワーを翻弄していく。
「さって、ほどよく伸びてきたかなッ」
 韋駄天の如きスピードを維持しながら、了は両手にナイフを翻し、伸びきった腕に容赦のない斬撃を浴びせた!
「何ィ!? ――ガハァッ!!」
 ざっくりと斬り刻まれた両腕から鮮血が噴き出し、さらに斬撃に乗った衝撃波がビッグパワー本体をも打ち据えた!
 的中に、了は歓声を上げる。
「ビンゴ! 伸びきった筋肉ほど切りやすいものはないってね!」
「てめェら……俺様をおちょくんじゃねェ――ッ!」
 怒り狂ったビッグパワーは、伸縮する腕を血を噴き出したまま激しく暴れさせ始めた! でたらめにのたうつ腕が猟兵たちを牽制する……!
「――無駄です」
 あたかも鞭の如き動きを、しかしミストは全て見切り、素早く回避しながらビームブレードを振りかぶった!
「ク……ッ、させるかァ!!」
 ブレードが振り下ろされるのを待たずに、ビッグパワーは一瞬にして右腕を元に戻すと、接近するミストに向けて強烈な拳を繰り出す……!
 ――が、それは罠。
 攻撃を予期していたミストは、敵の視界から掻き消えるように沈み込み、即座に二門の砲口を輝かせた……!
 と同時に、衝撃波での攻撃に徹していた了も動く。最後の駄目押しの衝撃波を叩き込むや、だまし討ちの如くビッグパワーの懐に飛び込んだ!
「な……っ」
「戦闘ってさ、センス勝負なんだよ」
 目を剥くビッグパワーの胸部をナイフが鋭く斬り刻み、
「――砲撃、開始」
 ミストのビームキャノンが巨体を至近距離から撃ち抜く――!
 白光、爆発。
 巻き込まれぬように後方に離脱し、了は宿敵との戦闘に没頭しているヒーローに、小さくウインクを送った。
「ねー骨のおにーさん?」
 スカルとモブとの戦いはいまだ続いている。
 そして、猟兵の戦いも、また。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

エスタシュ・ロックドア
スカルにゃ助太刀は要らねぇか
ったく、祭をぶち壊しやがって無粋にも程があらぁ
椋(f01816)、やるぜ
とっとと片付けてバーベキューの続きだ……奢らねぇからな

とんでもねぇ筋肉量だが、
なーに見た目以上の膂力は羅刹の十八番よ
真っ向勝負でぶち当たるぜ
【存在感】を放ちつつ【怪力】でフリントをぶん回し敵に斬りかかって【なぎ払い】【吹き飛ばし】
飛ばねぇならそのまま鍔迫り合い的に力勝負だ
敵がこっちを力で押しつぶす事に傾注したら、
『群青業火』発動
至近距離でバーベキューにしてやらぁ
椋が背後から奇襲掛けたら、またフリントで畳み掛けるぜ
飯の怨みは怖ぇぞ

敵の攻撃は【第六感】【カウンター】
手首をフリントで斬り上げるか


六島・椋
そのようだな
もう少し食べていたかったが、骨休めもいったんこの辺りまでか
何だ、次は君のおごりかエスタ(f01818)
ああその前に……グッドラックだ、スカル

うぅわ、筋肉と筋肉の戦い暑苦しいな
間に入ったら骨煎餅間違いなしだ
エスタの攻撃に紛れるようにして、
【目立たない】動きで人形たちと死角へ潜み、隙をついて【早業・暗殺】
【医術】による人体への知識で急所を狙う
そうそう仕留めきれないだろうし、
以降は簡単には見切られないよう、
【騙し討ち・フェイント・二回攻撃】をランダムに混ぜて攻撃を仕掛ける
こちらへの危険な攻撃は絶望の福音で回避
……奴の伸びる筋肉を【ロープワーク・早業】でその辺に結びつけられたら面白いんだが



●数と知と力
 決意を秘めたシャープネス・スカルの一瞥に、エスタシュ・ロックドア(ブレイジングオービット・f01818)はにやりと笑った。
「スカルにゃ助太刀は要らねぇか」
「そのようだな」
 骨格人形たちを引き連れ、頷く六島・椋(ナチュラルボーンラヴァー・f01816)。
「もう少し食べていたかったが、骨休めもいったんこの辺りまでか」
「ったく、祭をぶち壊しやがって無粋にも程があらぁ。椋、やるぜ。とっとと片付けてバーベキューの続きだ」
「何だ、次は君のおごりかエスタ」
「……奢らねぇからな。いいから目の前に集中しやがれ」
「ああその前に……グッドラックだ、スカル」
 すでにこちらを見る余裕もないスカルに静かなエールを送り、二人は戦うべき敵と対峙する。
 マスキュラー・モブなど腕一本にもならない巨体のオブリビオン、ビッグパワー。 
「――クソがァァァァ!! てめェら全員千切り潰す――!!」
 全身をオーラで強化しながら荒く肩で息をつくビッグパワー。その怒りはすでに頂点に達している。
「とんでもねぇ筋肉量だが、なーに見た目以上の膂力は羅刹の十八番よ」
 エスタシュは敵の勘気に怯むことなく、威風堂々たる気迫を纏い、巨体へと真っ向から突撃を仕掛けた。
「――おらよっ!」
 類まれなる怪力が大剣を振り回し、ただの薙ぎ払いが凄まじい威力の衝撃となってビッグパワーを襲う!
「ぬ……ぐぅぅぅ……がぁッ!」
 ビッグパワーは両腕で受け止めたが、巨体はじりじりと背後へ押し込まれた。最後には何もかもを吹き飛ばそうとする力に耐えきれずに、両腕の構えを弾かれてしまう。
 エスタシュは口の端を持ち上げた。
「意外と見かけ倒しだな、えぇ?」
「貴様ァッ!」
「おお、やるかよ」
 たちまち大剣と拳の鍔迫り合いに突入する二人。
「うぅわ、筋肉と筋肉の戦い暑苦しいな」
 間に入ったら骨煎餅間違いなしだ、とこっそり耳に届く椋のぼやきもお構いなしに、拳と大剣は激突を繰り返す。ビッグパワーの血走った目は、エスタシュ以外のものを捉えていない。
「そろそろだな――バーベキューにしてやらぁ!」
 エスタシュは振り下ろされる巨大な拳を直感的に避け、敵の手首を切り上げると、すかさず己の全身の傷跡から地獄の業火を解き放った!
「ぐあ……っ」
 群青色の炎に巻かれ、大きくのけ反るビッグパワー。
 ――その瞬間、死角から一斉に飛び出す骨格人形たち!
「何――!?」
 完全に虚を衝かれたビッグパワーを、人形たちが的確に急所をついて襲い掛かった!
「があっ! ぐ、くそ、このッ!」
 ビッグパワーは全力で暴れ、人形たちを振り払う。が、ある者はしつこく縋り付き、ある者は素直に振り払われたかと思いきやすぐさま身を翻し、人形たちは駄目押しの攻撃をしっかりと加えていく。
「――ッ! 使い手はてめェかァッ――!!」
 激昂するビッグパワーの目が、人形たちの後方に椋の姿を捉えた――瞬間、伸縮性を得て拳が伸び迫る!
「……右か」
 その呟きが椋の口許から零れ落ちたのは、拳が伸ばされる直前。
 まるで10秒先の未来を見てきたかのように、椋はあっさりと延びる拳を躱し――それどころか伸びた腕をうまく捕らえて、巧みなロープワークと目にもとまらぬ早業で建物の柱に括り付けた!
「んな……ッ」
「こういったものは得意分野でね」
 肩をすくめる椋。その視線の先には、ビッグパワーの背後で気力を漲らせる相棒の姿がある。
「飯の怨みは怖ぇぞ」
「しま――っ」
 ビッグパワーは振り返りかけた姿勢のまま、大剣が己に振り下ろされる瞬間を目撃した。
 ――会場を揺るがす、凄まじい轟音と衝撃。
 全てが終わったそこには、アスファルトに深々とめり込むようにして、巨体のオブリビオンが絶命していた。

●筋肉がなくとも
 猟兵とオブリビオンの死闘の傍らで、彼らもまた死力を尽くした戦いを繰り広げていた。
「なんなんだコイツ……さっきまでのヘタレとは別人――どわっ!」
 ぼやきながら会場を駆け抜けるマスキュラー・モブを襲う骨手裏剣!
 モブは紙一重で躱すが、連続して襲い来る手裏剣に次第に退路を絞られ、追い詰められていく。
「クソッ」
 モブは大きく跳躍し、ピザ屋の看板の上に退避した。見渡せば、対岸の商店の看板の上を駆け抜けるシャープネス・スカルの姿が目に入る。
「――いやがった! 逃げてんじゃねぇぞオラァッ!」
 対岸に向けて大きく跳躍するモブ。
 その瞬間、スカルは無言で横手にワイヤーを放った。
「どこを狙っ――!?」
 ワイヤーが絡みついたのは、モブの太い首。
 普段のスカルの力ならば簡単に引きちぎられていただろう。だが、宙に浮いた状態のモブは咄嗟に対処できない。
 そして、ワイヤーの片側は、あらかじめビルのバルコニーに括り付けられていた。
 勢いのつきすぎたモブの身体は止まることなく、その移動エネルギーがワイヤーを締め付け――
「か、はっ……」
 マスキュラー・モブは白目を剥いてあっけなく昏倒した。
「……なんと言われようとかまわんさ。俺の得意分野は、スピード、飛び道具、投げ縄……」
 スカルは首を締め切る前にワイヤーを切り、泡を吹いているモブの身体を地面に下ろした。
「人体の構造を知れば、勝機はある。力で勝てないなら、相手の力を利用すればいい」
 誰の助けも借りずにヒーローとしての役目を終えて、シャープネス・スカルは猟兵たちを振り返った。
「敵が筋肉かどうかはどうでもいい。俺は俺でできることをする。……そうだろう?」
 マスクから覗ける口許が頼もしく微笑む。
 もう、筋肉に怯えていた情けないヒーローの姿はどこにもなかった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2019年05月02日


挿絵イラスト