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囚われの少女とゴブリン&バンディット

#アックス&ウィザーズ

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#アックス&ウィザーズ


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 アックス&ウィザーズにある都市国家ヘスティア、その近郊の森の中。

「いけない、すっかり暗くなってきてしまいましたわ。急いで街へ帰らなくては」
 シスター服を着た10代半ばの少女が、薬草が入った籠を手に持ち森を抜けようとしていた。少女の名前はマリア。街にある教会でシスター見習いをしている少女である。
「この薬草さえあれば、孤児院の子どもたちの病気も治るはずですわ」
 かろうじて夕日に照らされている獣道を、マリアは街に向かって足早に歩いていく。
 だが、その行く手を遮る人影があった。
「よう、お嬢ちゃん、こんなところを一人で歩いていると危ないぜぇ?」
「奴の『餌』を探して森まで来てみたが、こんな美少女と会えるなんてラッキーだな」
 マリアの前に表れたのは、山賊……この世界ではモンスターと同等の存在である悪人たちだった。
「さあ、お嬢ちゃん、俺達のアジトまで来てもらおうか」
「『餌』にしちまう前に、たっぷりと楽しませてもらうけどな」
 こうして、マリアは山賊たちによって連れ去られてしまったのだった。


「御主人様、お嬢様がた、お集まりいただき、どうもありがとうございます。今回の事件を担当します、執事のヘルメス・トリスメギストスと申します」
 モノクルをかけたエルフのウィザードの青年は、執事服に似た服で優雅に一礼する。
「さて、執事としては紅茶の一杯もお出しできないのは心苦しいのですが、予知の内容が急を要しますので、ご容赦ください」

 ヘルメスの予知によると、アックス&ウィザーズにある都市に住むシスター見習いの少女マリアが、付近を根城にする山賊たちに捕まってしまったのだという。
「厄介なことに、山賊たちはゴブリンと手を組んでいまして、マリア様はゴブリンと山賊のアジトになっている洞窟に連れ去られたようなのです」
 ゴブリンや山賊に囚われた少女の運命は想像に難くない。急いで助け出す必要があるだろう。

「マリア様は洞窟の最深部に捕らえられていますので、まずは洞窟を突破しないといけません。罠やゴブリンたちの妨害があるでしょうが、突破する方法は色々と考えられるかと」
 マリアを助け出せば、ゴブリンと手を組んでいる山賊たちとの戦いになる。山賊たちを撃破し、人々の脅威を取り除けば任務完了だ。
「ですが、山賊たちは奥の手を隠している可能性がありますので、ご注意くださいませ」

「それでは、紅茶を用意して、御主人様、お嬢様がたのお帰りをお待ちしております」
 そういうと、ヘルメスは丁寧にお辞儀をし、猟兵たちを洞窟の近くまで送り出したのだった。


高天原御雷
 こんにちは、高天原御雷です。
 今回の舞台は、ファンタジー世界アックス&ウィザーズです。
 ここで、山賊に捕らわれてしまったマリアという少女を助け出し、ついでに洞窟を拠点としているゴブリンや山賊たちを倒して人々の脅威を取り除いてください。
 一章では、罠やゴブリンに守られた洞窟を突破していただきます。
 二章で、洞窟最深部での山賊とのバトルになる予定です。
 皆さんのプレイングを楽しみにしていますので、どうぞお気楽にご参加ください。

 では、今回のヒロイン、マリアからご挨拶です。
「わたくしはシスター見習いのマリアと申します。孤児院の子どもたちが病気になってしまったため、森まで薬草を取りに行ったのですが、まさかこんなことになるなんて……。これも、神が与え給うた試練なのでしょうか……」
 聖印を握り、神に祈りを捧げるマリアであった。
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第1章 冒険 『ゴブリンの洞窟』

POW   :    見張りを倒したり、不意打ちを返り討ちにしたり

SPD   :    先導したり、罠を見つけたり

WIZ   :    敵の動きを予測したり、逆に罠にはめたり

👑11
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種別『冒険』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

アルトリウス・セレスタイト
中を見せてもらうか

潜伏して近付き、見張り交代のタイミングで界識を戻る者に貼り付けて内部の様子を探る
内部の見張りの配置や歩く際に気を向けている場所、内部の者の動きなど頭に叩き込んでおく
マリアの位置とそこまでの道筋も把握できれば尚良い

出来るだけ把握したら見張りの気を引いて潜入
適当な茂みなどあればロープでも使って離れた位置から揺らし、ロープはそのまま引いて回収
確認に動いた所を密やかに内部へ
目立たないように忍び足で、可能な限り急ぐ
確認できていなければマリアの位置確認優先

スルーできそうにない個体があれば静止で縛って密やかに始末
死体は目立たぬ暗がりに転がして、以後はより迅速に行動


ルクレイフェ・アニェージ
【WIZ】
「最低ね、どこの世界でも女はこういう扱いを受けるのかしら。
山賊もゴブリンも度し難い、殲滅せざるを得ないわ。」
同行するアダルベルトの顔を覗くわ、
彼はどういう気持ちで居るのかしら…って冷静じゃないわね。

このマリアと言う女にも正直言ってあきれます。
神が与え給うた試練??こんな勘違いを起こしているようなら
何度でも繰り返すのが目に見えているわ、救出したら説教よ。

もし、見張りを交代するゴブリンや移動中のゴブリンを発見したら
ユーベルコード【イッルジオーネ・サモンレーベン(人型)】を使用し、
追跡させて、自身が使い魔を通して見たものをアダルベルトに逐一伝えます。
罠の看破や洞窟の突破に役立つかしらね。


アダルベルト・ドゥオデキム
そういう種族のゴブリンはまだしも、ゴブリンと手を組んで人間を襲うだぁ…?
胸糞悪ぃ…一人残らずぶち殺してやる

俺ぁお嬢ちゃん(ルクレイフェ)と同行するぜ
頭使って考えるのはお嬢ちゃんに任せる
俺ぁ、今回は乱暴にいかせて貰うぜ

まずはお嬢ちゃんの用事が終わったら見張りから潰す
攻撃に移る前に血統覚醒で本気を出しておく
時間をかけて仲間を呼ばれねえように不意打ちで容赦なく乱暴に叩き殺す

中を把握したお嬢ちゃんに道順や敵の位置を聞きながら進むぜ
ま、敵も移動するだろうからあくまで参考程度だ

道中の敵も見張りと同じだ
手早く一切の躊躇なく殺す
殴る、叩きつける、踏み潰す
見た目より速やかに殺すこと重視だ
無駄に暴れる事ぁしねえぜ


リンセ・ノーチェ
サヴァー(f02271)さんと、他の皆と一緒に協力して進む
「マリアさんが、心配…きっと、心細い思いをしているよ。早く、助けましょう」
僕は素早さを活かすため、サヴァーさんや皆より先に…道の安全を確かめつつ、足音を潜めて進む。
見た目や音など道や壁、床の違和感で罠と気づけばサヴァーさんと罠解除を試み難しそうなら
「…待ってて…僕が、先に、行ってきます」
皆より先行して五感やスピード、【見切り】を活かして罠を回避する(凛と眼光光らせ、軽やかに)
罠が発動しきった後なら、皆も通れるよね。
敵は精霊銃で【2回攻撃】、【マヒ攻撃】を使って素早く無力化するよ。
悲鳴とかで、奥の相手に勘づかれない様に気をつけないと、ね。


北条・優希斗
 さらわれたシスターを救うために洞窟を突破する、か……。
 やれる事はやってみるさ。
 先ず、洞窟の周囲に見張りが立っていないかどうか、其れを確認。
 いたら見つからぬ様、静かに、速やかにかつ大胆に洞窟内に潜入。
 張子や敵の出現を促すであろう警鐘には特に注意。
 また、それ以外にも此方の侵入を察されるもの、傷を負わされる様な罠の探知を行いながら注意深く周囲を警戒しながら潜り込む。
 こういった作戦だったら、ゴブリン達の戦力を初めとする敵情視察が必要だろう。
 また、もし奥に向かっていくゴブリンが居たら、周囲にゴブリンがいない死角に身を潜めた状態で影の追跡者の召喚し、敵を追跡させて戦力を確認したい。 


サヴァー・リェス
リンセ(f01331)と…そして他の仲間達と…共に
他の世界で急ぎ調達叶うなら…筆記具を準備…
「ええ、リンセ…。少しでも早く、彼女を解放しましょう…」
見張りは…【誘惑】や【催眠術】で静かに見つめ…穏やかに眠らせる…
「わたしは、あなたのたいせつな。ねむれ、ねむれ…おだやかに」
洞窟で迷わぬよう…筆記具で地図を記し…覚えながら進む
少し先を見…床や壁、天井…見た感じ、聞こえる音…
違和感があれば、罠かも知れない…解除するか、リンセに先行して貰い回避し、進む
【第六感】も働かせ…罠の発動や敵を警戒…何かあれば【オーラ防御】で、守る…
傷は…ユーベルコードで…癒す
そう、ね…奥の敵に気づかれない様に…静かに、急ぐ…


カスミ・アナスタシア
本当にオスってやつはクズばかりね。
でもこのカスミ様が来たからにはもう安心よ。
ふふん、顔を洗って待ってなさい!(正しいことを言っているつもり)

とは言え洞窟っていうのは厄介ね。アタシの魔法は大概火を扱うから、今回は抑え気味にいきましょう。

【情報収集1】【忍び足1】
『サーチディストーション』を使用して『魔力伝播探査機』を複製、マジックソナーで周囲の状況と罠の有無を調べながら先導するわ。
当然こっちも見つからないようにしないとね。見つかっても面倒だし、何より不意打ちに有効だわ。

「さっさと終わらせて帰りましょ。こんなジメジメしたところ、このアタシには似合わないわ」

「火が使えないのは不便ね。ほんと嫌だわ」


シウ・ベルアート
影の追跡者の召喚を使用し、洞窟内のマリアを追跡させる。
発見され難いことを良い事にマリアを追跡させつつ、洞窟内の罠と中の構成を把握しておく。
(シャドウチェイサー通して洞窟内の地図を作っていく)
シャドウチェイサーを後追いする形でマリアを探す。
途中で敵に遭遇したら、予め把握しておいた罠の場所に誘導し、敵を罠にはめる。
罠発動の際は罠に対してウィザード・ミサイルを撃ち込み起動する。
(敵から見ると的を外している見えるが真の狙いは罠発動)

上手く決まったら「僕はキミ達よりずっとずる賢いんだよ」と決め台詞を放つ。
残った敵は他の猟兵と協力して倒す。
救出役にはシャドウチェイサーで得たマリアの大よその位置を伝える。


マスター・カオス
フハハハ…我が名はグランドフォースに導かれし、秘密結社オリュンポスが大幹部、マスター・カオス!!

洞窟は罠やゴブリンたちが多くいるとの事なので、手数が必要になってくる場面もありそうなので、ならば解除するよりも敢えて掛かったほうが手っ取り早いだろうとUCを用いて手数を増やし先導させます。

さぁ、『オリュンポス戦闘員』どもよ、ゴブリンや罠の露払いをその身をもって示すのだ!!


久遠・翔
影の追跡者の召喚を使って先導します。また、仕掛けられた罠やトラップなんかがないかを慎重に探し出して仲間に伝えるっす
敵がいるのであれば仲間にこの先に敵がいることを伝え、指で突撃カウントを数えてGO!のサイン出したりするっす…罠の再設置とかも困るし脱出の時も困るから可能な限り解除&回収していくっすよ


アリス・セカンドカラー
レビテーション(念動力、怪力、空中戦、ダッシュ)で浮遊移動。
罠は漢解除。サイコフィールド(念動力、オーラ防御、武器受け)を周囲に展開して身を守りつつ、テレキネシス(念動力、怪力、吹き飛ばし)で強引に破壊。
ゴブリンとの戦闘は、エナジードレイン(生命力吸収、盗み攻撃、範囲攻撃)で命を簒奪したり、グラビティプレス(念動力、怪力、属性攻撃、範囲攻撃)で圧殺を試みたり、ラブフェロモン(誘惑、催眠術、属性攻撃、範囲攻撃)をばら蒔いて同士討ち狙ったり。
さらに、テレキネシス(念動力、怪力、範囲攻撃)で持ち上げてインビジルテンタクルを肛門や口から体内に侵入させて内臓を掻き回してあげるわ。


大神・狼煙
WIZ


サンマを焼きます

めっちゃ煙が出るでしょうが、団扇で扇いでやれば、天井にぶつかり勝手に奥に進むはず

後はこれが奥まで行けば、向こうも何事かと偵察を出すはずです

そいつを隠れて見ていれば、罠を避けながら来るだろうから罠を看破でき、その偵察に来た少数を仕留めればいい

これを繰り返してじわじわと奥へ進みます

最終的に煙が充満したら骸の大蛇を呼んで突撃させ、罠を踏み抜かせながら出てきた偵察を轢きます

躱したところで、後に続く骸の騎士の餌食になるだけです

なお、少女は陵辱待ちで転がされている可能性が高く、煙は上に登るため、被害は受けにくいはず

同様の理由で、小柄であろうゴブリンだけ出てこないかなー、と分断を期待


桐府田・丈華
な「罪のないシスターさんを悪い奴らから助けてあげないとね!」
まずはゴブリン洞窟に潜入して内部の調査を行います
見つからないように慎重に進みながら道中の罠を探して解除して行きシスター救出した後脱出する時のルートを確保
(できるなら一部の罠を利用し脱出時の追っ手を足止めするように仕掛け直し)
見張りのゴブリンは倒すのは最低限にして大きな騒ぎにしないように注意 倒したゴブリンは見つからないように物陰に隠す
ある程度まで進んだら「洞窟に探検しに来て迷い込んだ子供」フリをして目立つ動きをしてわざと盗賊に捕まるように行動
捕まったら特に抵抗はせず拘束されて
内部、できればシスターと同じ所に連行されるように動きます



ゴブリンと山賊のアジトになっている洞窟。
 それは、花の咲き乱れた大きな岩山の各所に多数の穴が開いているという形状をしていた。
 その穴の一つ一つが出入り口になっていて内部に繋がっているのだろう。ゴブリンが出入りしたり、見張りのゴブリンが穴の前に立っていたりする。

 考えていたよりも複雑で広大な洞窟を前に、猟兵たちはいくつかのチームに別れて、手分けして洞窟探索をおこなうことにしたのだった。

●憤る二人
「最低ね、どこの世界でも女はこういう扱いを受けるのかしら。山賊もゴブリンも度し難い、殲滅せざるを得ないわ」
 人々……特に女性を狙う山賊やゴブリンに対して、激しい憤りを感じているのは、魔術師の少女、ルクレイフェ・B・アニェージ(キメラレイド・f01367)。
「ねえ、アダルベルトはどう思う?」
 彼女は、横を歩くダンピールの青年、アダルベルト・ドゥオデキム(ダンピールのクレリック・f00207)に問いかける。
「そういう種族のゴブリンはまだしも、ゴブリンと手を組んで人間を襲う山賊だぁ……? 胸糞悪ぃ、一人残らずぶち殺してやる」
 アダルベルトから返ってきたのは荒々しい言葉だった。普段は面倒事を避けて生きている、言ってしまえば駄目人間のアダルベルトが、これほど熱くなるのも珍しい。それほど、彼が怒りに燃えているということがルクレイフェには伝わってきた。
「どうやら、アダルベルトも私と同じ意見みたいね。いいわ、この洞窟に巣食うゴブリンも山賊も私達で全滅させちゃいましょ。そして、捕まってるマリアを助けて一言いわせてもらうわ」
「ああ、頭使って考えるのは、お嬢ちゃんに任せる。俺ぁ、今回は乱暴にいかせてもらうぜ」
 そう言うと、獰猛な笑みを浮かべ、牙を見せるアダルベルトだった。

 ルクレイフェとアダルベルトは足音を殺して洞窟内を進んでいく。洞窟の天井や壁面に生えた花がぼんやりと光を発しているため、灯りをつける必要もなく、目立たずに進むことができた。
「……いたわ」
 洞窟の曲がり角の先を伺ったルクレイフェが、洞窟の奥に向かっているゴブリンの姿を見つけた。
「仕事よレーベン、夜に潜む鴉の本領をお見せなさい。【混血魔導・擬似召喚八枷(イッルジオーネ・サモンレーベン)】」
 ルクレイフェの呪文詠唱とともに、朧な影のような使い魔が召喚される。
 使い魔は、ゴブリンのあとを音もなく追跡し始めた。その使い魔が見ている光景は、五感を共有しているルクレイフェにもはっきりと認識できる。
 追跡されているとは夢にも思っていないゴブリンは、罠が仕掛けられていない通路を選んで洞窟の奥へと進んでいく。時折、見張りのゴブリンが立っているが、見張りたちもルクレイフェの使い魔には気付かないようだった。そして、ゴブリンは、洞窟の奥の大扉の向こうへと消えていく。
「さすがに扉の向こうまでは追跡できないわね。けど、そこまでの道順や見張りの配置はわかったわ。あとはお願いね、アダルベルト」
「おう、任せな」
 ルクレイフェの指示通りに、二人は罠を避けつつ奥へと進む。
「この先に、見張りのゴブリンが二体いたわ」
「そんじゃ、仲間を呼ばれる前に速やかに排除するとしようか」
 アダルベルトの瞳が真紅に染まり、その身に禍々しいオーラを纏う。【血統覚醒】によるヴァンパイア化だ。
 ヴァンパイアの力を解放したことにより、普段の数倍の力を得たアダルベルトは、物陰から飛び出すと一瞬で見張りゴブリンとの距離を詰める。
『グゲッ?』
 突如、目の前に現れたアダルベルトの姿を見て、首を傾げるゴブリン。どうやら、突然の事態に理解が追いついていないようだ。
 状況を理解させてやる義理はないとばかりに、アダルベルトはゴブリンの首を握ると、そのまま片手で首の骨をへし折る。もう一方の手は、棒立ちになっているもう一体のゴブリンの頭に振り下ろし、それを粉々に打ち砕いた。
「へっ、てめぇらにはお似合いの最後だろ」
 一瞬で見張りを倒したアダルベルトの元に、ルクレイフェが駆け寄ってくる。
「アダルベルト……大丈夫?」
 アダルベルトの額にうっすらと浮かぶ汗をみて、心配そうに声をかける。【血統覚醒】によるヴァンパイア化は、アダルベルトの身体に大きな負担を強いる。そして、普段は狩りの対象としてるヴァンパイアになることは、精神にも負担をかけるに違いない。
「次のゴブリンは?」
「曲がり角の先に4体」
「なら、このまま行くぜ」
 アダルベルトの姿が角の向こうに消えたかと思うと、何かを折ったり、叩き潰したりする音が聞こえ、再び静かになる。
「まったく、無茶するんだから。私も負けられないわね」
 【混血魔導・擬似召喚八枷】を発動し、ルクレイフェも後に続くのだった。
 
●美女と野獣(猫)
「マリアさんが、心配…きっと、心細い思いをしているよ。早く、助けましょう」
 灰色と白の美しい毛並みをしたケットシーの少年、リンセ・ノーチェ(野原と詩と・f01331)が心配そうにいう。
「ええ、リンセ……。少しでも早く、彼女を解放しましょう……」
 応えるのはサヴァー・リェス(揺蕩ウ月梟・f02271)という美しいオラトリオの女性。
 二人は囚われのマリアを助けるために、洞窟へと足を踏み入れた。
「あれ? 意外と明るいんだね」
 壁や天井に生えた光る花を見て、リンセは不思議そうに首を傾げる。首をかしげるケットシー。可愛い。
「あまり……見たこと無い……花のようですが……」
 サヴァーも見慣れない花であるようだ。
「それじゃ、僕が先行して安全を確認します」
「はい……お気をつけて……」
 素早さを活かして、足音を潜めながらリンセが先行する。壁や床に罠がないか調べつつ、敵がいたらすぐに攻撃できるように精霊銃を構えて警戒しながら進んでいく。
 サヴァーは筆記具を取り出すと、リンセが安全を確認した道をマッピングしていく。
「サヴァーさん……」
 先行しているリンセの緊迫した声を聞き、サヴァーは瞬時に状況を理解する。
 リンセが覗き込む通路の先に、ゴブリンの見張りが立っていた。
「はい……ここは任せてください……」
 サヴァーは見張りのゴブリンにだけ届く程度の声で、歌を歌いだした。
「わたしは、あなたのたいせつな。ねむれ、ねむれ……おだやかに」
 それは、ただの歌ではない。サヴァーの誘惑や催眠術といった技能がこもった眠りの歌だ。
 歌を聞いたゴブリンが、ゆっくりと船を漕ぎ出す。
 その隙に、二人は居眠りした見張りゴブリンの脇を静かにすり抜けていったのだった。

「あー、どきどきしたー」
「私も……心臓がどきどき……してます」
 見張りゴブリンを通り抜け、角を曲がったところで、ほっと胸を撫で下ろす二人。
 山賊に捕らえられている人がいる状況で不謹慎かもしれないが、まるで遊園地のアトラクションを体験しているかのように、つい微笑み合ってしまう。
「さーて、次は何が出るかな?」
「リンセさん、あそこ……」
 サヴァーの第六感が、前方の洞窟の壁に違和感を感じさせた。
 それは、気をつけていなければ見つけられない程度の些細な違和感。だが、気付いてしまえば、不自然に壁が盛り上がっていることがわかる。
「今度は僕に任せてください」
 凛と眼光を光らせたリンセは、壁が盛り上がっている場所まで進む。
 すると、突如、壁だと思っていた箇所が開き、中からゴブリンが現れた! ゴブリンはリンセに向かって剣を振り上げ……
「やっぱり隠し扉だったねっ!」
 ゴブリンの攻撃を素早く見切ったリンセが飛び退きつつ、精霊銃を連射。麻痺効果のある銃弾によりゴブリンを麻痺させて沈黙させた。

 こうして、リンセとサヴァーも順調に洞窟探索を進めるのだった。

●男って……
「本当にオスってやつはクズばかりね。ね、あなたもそう思うでしょ?」
 ウィザードの少女、カスミ・アナスタシア(碧き魔女の系譜・f01691)が、一緒に洞窟探索している久遠・翔(性別迷子・f00042)に話しかける。
 ここはまだ洞窟に入ってすぐの場所でゴブリンの気配もない。変わっているのは、壁面と天井に生えている光る花くらいのものだろうか。
「え、えーと、男も人によるんじゃないっすかね?」
「ちょっとアンタ、女のくせに男の肩を持つわけ?」
 カスミに問い詰められ、しどろもどろになる翔。
 実は翔は男なのだが、呪いのために女になってしまったという経緯がある。そのため、心情的に男が全員クズだとは言いたくないのだった。
「と、当然、山賊どもがクズなのは認めるっすが……そ、それはともかく、カスミさん、距離近いっす」
 真っ赤になる翔。女性に免疫がないため、同年代の美少女であるカスミに詰め寄られて、もう心臓はバクバクである。
「変なの。アタシが近づいただけで真っ赤になるなんて、男みたい」
 『俺は男っすよ!』と言いたくなる翔だったが、そう軽々しく自分の秘密を言うわけにもいかず。
「あ、通路の先が見えてきたっすよ」
 翔は話題を変えるのが精一杯であった。

 通路の先は十字路になっていた。
「洞窟ってのは厄介ね。アタシの魔法は大概火を扱うから、今回は探索重視でいくわね。ちょっと待ってて」
 カスミが【サーチディストーション】の呪文を唱えると、『魔力伝播探査機』が1ダースほど複製された。
「これは周囲に魔力を伝播させて、状況を探知できる魔道具よ。あんまり細かいことまでは無理だけど、敵がいるかどうかくらいなら分かるわ」
 カスミの指示で、探査機が通路の先に飛び立とうとしたとき。
「そういうことなら、俺も役に立つっすよ」
 翔の前に現れたのは、陽炎のようにぼんやりした影。【影の追跡者の召喚】で呼び出されたシャドウチェイサーである。
「俺はこいつと五感を共有できるっす。探査機を追跡させれば、詳細な情報が得られるはずっす」
「へえ、アンタ、なかなかやるじゃない。ま、まあ、これもアタシの魔道具があればこそだけどねっ」
 こうして、周辺の罠や敵の探索をおこなうカスミと翔。
「どうやら、こっちの道の先に、大きな扉があるみたいっすね」
「よーし、ゴブリンと盗賊ども、顔を洗って待ってなさい!」
 探査機とシャドウチェイサーの情報を元に見張りのゴブリンを避けつつ、翔の先導で罠を解除しながら、二人は大扉へと向かったのだった。

●影使い
「どうやら洞窟の入り口に見張りがいるようだぜ」
 北条・優希斗(人間の妖剣士・f02283)の言葉に足を止めるアルトリウス・セレスタイト(原理の刻印・f01410)とシウ・ベルアート(人間の咎人殺し・f04914)。
 見れば、岩肌に開いた出入り口に、3体の見張りゴブリンの姿があった。
「これだと、見つからないように潜入するのは難しそうだぜ。他の入り口を探すか?」
 優希斗の言葉に、アルトリウスは首を横にふる。
「待て。どうやら、世界の原理は俺たちの味方のようだ」
 洞窟から別のゴブリンが3体出て来る。
「どうやら、ちょうど見張りの交代のタイミングだったみたいだね」
 思わぬチャンスに、シウは眼鏡を押し上げながら、不敵な笑みを浮かべた。

「「【影の追跡者の召喚】」」
 優希斗とシウは同時に陽炎のような影、シャドウチェイサーを呼び出した。召喚主と五感を共有できる影の追跡者である。
「なるほど、その術……俺の【界識】の『原理』と似た性質のようだな」
 アルトリウスも、世界の『原理』に干渉することで、周囲を捉える不可視の刻印を召喚する。
「考えていることは同じというわけだ」
 優希斗の言葉通り、三人とも、不可視の存在による洞窟内の調査をおこなうつもりだった。
 三人は、それぞれ別のゴブリンに追跡者を付け、洞窟内の様子を調べる。
「地図の作成は僕に任せてもらえるかい」
 シウは、自分のシャドウチェイサーが見た光景を元に地図を描きつつ、アルトリウス、優希斗の言葉からも地図に通路を描き込んでいく。こういう細かい作業はシウが得意とするもののようだ。
「3体のゴブリンのうち、一体は寝床に、もう一体は食料庫に向かったね」
 言いながら、地図に『寝床』『食料庫』と描き込んだシウ。
「残る一体、俺の影が追ったゴブリンは、大扉の中に入っていったぜ。残念ながらそれ以上は追えなかったがな」
 優希斗の言葉を聞き、シウは地図に『大扉』と描き入れた。
「このうち、マリアちゃんの居そうな場所は大扉の先かな」
 シウの言葉とともに、三人は立ち上がったのだった。
(それにしても、ゴブリンが向かった食料庫……中がほとんど空だったね)
 シウは地図に『食料庫(空)』と走り書きをするのだった。

「で、どうやって潜入する?」
 交代した見張り……3体のゴブリンを見て、優希斗が尋ねる。
「任せろ、俺に考えがある」
 アルトリウスは、見張りゴブリンたちから離れた茂みにロープを結びつけると、優希斗とシウが潜んでいる茂みに戻ってくる。
「では、行くぞ」
 ロープを勢いよく引っ張ると、茂みが大きな音を立てて揺れる。
 驚いた見張りゴブリンたちは顔を見合わせると、3体とも茂みの確認に向かった。
 その隙に、見張りのいなくなった入り口から洞窟内部に入る猟兵たちであった。

 洞窟内の入った三人の目に、壁と天井に咲く光る花が映る。
「さっき、影を通して見たけど、不思議な花だね」
「ああ、俺も見たことがない花だぜ」
 ウィザードのシウと探索者の優希斗が興味を示す。
「そんなに珍しい花なのか? そんなことより、大扉に向かうぞ」
 花に興味を示さなかったアルトリウスが二人を急かす。
「ああ、待ってくれ。ここは探索者である俺が先導するぜ」
 優希斗が先頭に立ち、罠を調べながら大扉を目指す。
「あれ? さっきのゴブリン、こっちの道を通ったけど、こっちの部屋を抜けた方が近道じゃ?」
 地図を見ながら歩いていたシウは、近道を通ろうと小部屋に入る。
「ちょっと待て! その部屋の中心の床を見てみろ。おそらく、その床を踏むと吊り天井が落ちてくるトラップ部屋だ」
「なるほど、だからさっきのゴブリンは、この部屋を通らなかったんだね」
 このように優希斗が罠を見つけるたびに、シウの地図に『トラップ』の文字が書き込まれていった。

「ちっ、どうやら、ここから先は強行突破しかないようだな」
 ゴブリンの群れが居座る部屋を覗いて、武器に手をかけるアルトリウス。
「20体くらいか……ちょっときついが、やるしかないか」
 優希斗も妖刀に手をかける。
「ちょっと待った、二人とも。僕に考えがあるんだ」
 シウは地図を覗き込みながら、二人に作戦を伝えた。


 ゴブリンたちは油断していた。
 ここは洞窟でも最深部に近い。警備のために配置されているが、そうそう外敵がやってくることはない。
 だが、その慢心は打ち破られることとなった。
「【静止】」
 どこからか、人間の声がしたかと思うと、ゴブリンの一体が身動きを封じられたのだ。
 そこに飛び込んでくる、刀を持った人間。その人間は、動けないゴブリンを一刀の元に斬り捨てた。
 ゴブリンたちは慌てて武器を取り、刀を持った人間に反撃しようとする。
 しかし、すでに人間は通路の奥に逃げた後だった。
 絶対に逃がすな。
 部隊長の命令が飛び、ゴブリンたちは人間を追って駆け出した。
 複雑な通路を何度も曲がり、自分たちのアジトだというのに、ここがどこだかわからなくなった頃。ようやく小部屋の奥に立つ人間に追いついた。
 バカめ、袋のネズミだ。
 ゴブリンたちは手に持った武器を振り上げながら、部屋に入り込み……
 刀を持った男がもう一つの出口から部屋を出た。
 代わりに部屋の外に現れたのは、杖を持ったひ弱そうな人間。
 そいつも殺せ!
 部隊長の声が上がると同時。
「【ウィザード・ミサイル】」
 人間が放った魔法に怯えるゴブリンたち。
 しかし、その魔法は地面に当たっただけだった。
 なんだ、初心者の魔術師か。そんなのは怖くない。
 そう思った瞬間。ゴブリンたちは落ちてきた天井に潰されて全滅していた。


「僕はキミ達よりずっとずる賢いんだよ……って、もう聞いてないか」
 決め台詞を言ったシウは、優希斗、アルトリウスとともに、大扉へと向かうのだった。

●サンマと仮面と触手
「よし、サンマを焼こう」
 大神・狼煙(コーヒー味・f06108)は、洞窟の入り口前におもむろに七輪を置いてサンマを焼き始めた。何で?!
 もくもくと出る煙を団扇で扇いで、洞窟の中へと煙を誘導する。
「G並みに繁殖力の強いゴブリンを倒すには、やっぱり煙で燻すのが一番ですよね」
 いや、ゴブリンの他に、さらわれたマリアや、洞窟探索中の猟兵たちが居るんですけどっ?!
「ちょっとやめてよね!」
 ここで狼煙に文句を言ってきたのは、アリス・セカンドカラー(腐敗の魔少女・f05202)。
「Gの話なんかしたら、食べ物が美味しくなくなるじゃない。あ、サンマひとつ貰うわね」
 ツッコミそっち?!
 美味しそうにサンマを食べるアリス。
 一方の狼煙は自信満々。
「これでゴブリンたちも何事かと偵察を出すはずです。その少数を仕留めていけば、じわじわと奥へ進めるはずです」
 なぜ出てくるのが少数だと思った?!
 サンマの煙が流れ込む入り口から、武装した大量のゴブリンたちが現れる。その数、100体くらい。
「フハハハ……我が名はグランドフォースに導かれし、秘密結社オリュンポスが大幹部、マスター・カオス!! なるほど、煙で燻り出すことによって、出てきた敵を一網打尽にしようという策だな。ならば、この私も手数で勝負するとしよう! さぁ、掛かれ! オリュンポスが誇る優秀な戦闘員の諸君よ!!」
 マスター・カオス(秘密結社オリュンポスの大幹部・f00535)が【オリュンポス戦闘員】を使用すると、16体の胸部に1と刻印された白い仮面と黒タイツ姿の戦闘員が現れる。
 突如現れた軍勢(?)を見たゴブリンたちは、武器を振り回しながら戦闘員たちと交戦状態に入った。
 戦力的には、ゴブリン一体と戦闘員一体が互角程度。このままでは6倍程度の数の差でカオスが召喚した戦闘員軍団が不利である。
「おっと、もう戦闘が始まってしまいましたか。煙が充満してからの予定でしたが、仕方ありません」
 こんがり焼けたサンマを綺麗に食べ終えた狼煙は、おもむろに立ち上がり、【リザレクト・オブリビオン】で死霊騎士と死霊蛇竜を召喚する。
 召喚された蛇竜はゴブリンの群れに突っ込み暴れまわってゴブリンを倒していく。
 召喚者を倒そうと狼煙に向かってくるゴブリンは、死霊騎士が片っ端から斬り捨てていっていた。
「あれ、もうサンマのおかわりないの?」
 サンマを食べるのに夢中になっていたアリスが顔を上げると、そこはゴブリンと戦闘員と蛇竜と死霊騎士の大混戦。
「ちょっと、わたしも混ぜてよね」
 サイキッカーのアリスは、ゴブリンの生命力を吸収したり、念動力による圧殺を試みたり、催眠で眠らせたり、誘惑で魅了したりといった超能力を駆使してゴブリンたちを屠っていく。
 そして、【インビジブルテンタクル】による見えない触手を放ち、ゴブリンの体内にねじ込むと、内臓を掻き回して無残に殺すのだった。

 劣勢を悟ったゴブリンたちは、半数以上の戦力を失い、洞窟内へと逃げ帰っていく。
 なお、この戦いにゴブリンの主力が出撃したため、洞窟内の警備が手薄となって、他の猟兵たちの探索が有利になっていたのだが、この三人はそんなことは知る由もないのであった。

●囚われた切り札
「罪のないシスターさんを悪いやつから助けてあげないとね!」
 壁と天井に光る花の咲いた洞窟を進むのは桐府田・丈華(カードバトルゲーマー・f01937)という少女だった。
 丈華は洞窟内の罠を見つけたら解除し、救出後の脱出路にできるようにと考えていた。
 また、ゴブリンの見張りや巡回にみつからないよう、慎重に歩を進める。
「あっ、ゴブリンだ!」
 慌てて物陰に隠れる丈華。
「ああっ、こっちからも!」
 ゴブリンを見かけるたびに進行ルートを変え、ゴブリンをやりすごす。
 見張りのゴブリンを倒すと大きな騒ぎになってしまうので、それを避けるには仕方がなかった。
 しかし、そうして逃げ回っているうち。
「あれ? ここ、どこだろう?」
 丈華はすっかり迷子になってしまっていた。
 目の前にあるのは、大きな扉。幸い、ゴブリンたちの姿は見えない。
「うーん、そろそろ、『洞窟に探検しに来て迷い込んだ子供』のふりをして、わざと盗賊につかまりたいんだけど……」
 これまで見かけたのはすべてゴブリンだった。
 どうやら、ゴブリンと山賊は、住んでいるエリアが異なるらしい。
「うーん、困ったなぁ」
 丈華が何気なく大扉を開くと、そこに立っていた見張りらしき男と目が合う。
 待望の山賊だった。
「おい、お前っ! ここまでどうやって入ってきた!」
 見張りの山賊は、丈華を見て誰何の声を上げる。
「ボク、洞窟に探検しに来たら迷っちゃって……」
 ゴブリンの群れが徘徊する洞窟を探検してたという丈華のありえない言葉に。
「ウソつけぇ!」
 山賊からの激しいツッコミが入った。
「怪しいやつ、お前もあのシスターと一緒に『餌』にしてやる! 最近、ゴブリンどもがきちんと肉を集めてこないから、『餌』が足りていないんだ。子供でもないよりマシだろう」
「え、餌?!」
 物騒な言葉を聞いたような気がしたが、これはマリアと同じ場所に連行されるチャンス。
 丈華は抵抗せず、山賊に大人しく従ったのだった。

●決戦準備
 猟兵たちは、ゴブリンたちが徘徊するエリアの最深部、大扉の前に集合していた(約一名除く)。
 ここまで、姿を見たのはゴブリンだけで、山賊の姿は見えなかった。
 だが、目の前の大扉は、明らかにゴブリンではなく人間の手によって作られたものだ。すなわち、この先が山賊たちが拠点としているエリアになるのだろう。
 そして、そこには囚われのシスター、マリアもいるはずである。

 猟兵たちは覚悟を決めて、大扉を開けたのだった。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​




第2章 集団戦 『山賊』

POW   :    山賊斬り
【装備している刃物】が命中した対象を切断する。
SPD   :    つぶて投げ
レベル分の1秒で【石つぶて】を発射できる。
WIZ   :    下賤の雄叫び
【下卑た叫び】を聞いて共感した対象全ての戦闘力を増強する。

イラスト:カツハシ

👑11
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種別『集団戦』のルール
 記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


ゴブリンが守る洞窟の最深部、大扉を開けた先。
 そこは天井の高い広大な空洞になっていた。
 壁面や天井に咲き誇る花が放つ光により、大空洞は外と変わらない明るさになっている。
 空洞内には家などの建物が建ち並んでいることから、この場所が山賊の本拠地であることは間違いなかった。

「て、てめえら、なにもんだっ!」
 大扉の近くにいた見張りが、猟兵たちを見咎める。
「て、敵襲ー!」
 見張りの声によって、建物から武装した山賊たちが現れた。

 さあ、山賊退治の時間だ!
アルトリウス・セレスタイト
何者、とは。随分と安穏とした反応だな
曲者に決まっていようが

先手打って数減らし
華嵐で纏めて叩く
敢えて目立つように堂々と姿を晒して、正面から全力で
はしたなく吠えるばかりの獣には過ぎたものだが遠慮するな。くれてやる

意識が此方に集まれば他への反応は遅れよう
山賊と、飛来するだろう礫とどちらも標的にし、身を守りつつ攻める

ついでにそのへんに適当な岩でもあれば投げつけてやろう
ただの座興だ。気にせず俺を狙ってみろ

【真の姿】
武装が如く纏う光が密度を増して周囲を覆う



「て、てめえら、なにもんだっ!」
「何者、と問われれば。曲者に決まっていようが」
 山賊に対して沈着冷静な言葉を返すのと同時に、自身の武器を淡青色の花びらに変えるのは、アルトリウス・セレスタイト(原理の刻印・f01410)。
 アルトリウスから放たれた幻想的な花びらが、近くにいた山賊たちに襲いかかる。
「なんだぁ? ただの花びらか?」
「はしたなく吠えるばかりの獣には過ぎたものだが遠慮するな。くれてやる」
 その花びらは山賊たちに触れた端から自壊して、自壊に巻き込まれた相手の身体をえぐり取っていった。
「ぐ、ぐああっ!」
 花びらの直撃を受けた山賊は痛みにのたうち回る。
「て、てめえっ、よくもやりやがったな! てめえら、やっちまえ!」
 体格の大きい山賊が下卑た叫びをあげて、周囲の山賊たちを鼓舞する。自壊する花びらに近づくのは危険だと判断した山賊たちが、アルトリウスに向けて次々と石つぶてを投げてきた。
「俺にその程度の攻撃が通用すると思うのか?」
 アルトリウスが真の姿を解放すると、まばゆいばかりの光が密度を増して全身を包み込み、強靭な武装と化す。光の鎧によって、山賊たちの石つぶては、すべて弾き返されてしまった。
「どうした? 俺に当てることもできないのか? ならば、俺からもお返しをしてやろう」
 足元の岩を拾ったアルトリウスは、それを無造作に投げつけた。
 高速で飛来する岩を避けられなかった体格の大きい山賊は、一撃で昏倒してしまう。
「さて、他の味方が動きやすいように、少し暴れるとするか」
 光を纏ったアルトリウスは、淡青色の花びらを舞い散らせながら、山賊たちの中へと踏み込んでいった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

北条・優希斗
やれるだけの事はやって見るさ。
必要なら連携・声掛けは行う。
俺の役割は妖剣解放による高速移動を軸にした撹乱だろう。
素早く戦場を把握後、山賊をフック付きワイヤーで捕らえて叩きつけて無力化する。他の敵も巻き込めるなら最善だね。
その後妖刀で行動している山賊を始末する。
一撃で仕留められれば直ぐに次の標的へ。
出来なければ【二回攻撃】で急所を狙って確実に仕留める。
【殺気】を放てば、他の山賊達の士気を挫いて無力化できないかな?
攻撃は【殺気】で感知して回避。
できなければ【オーラ防御】で防御。
可能なら他の山賊と入れ替わって同士討ちを誘う。
シスターが見つかったら保護を優先。
救出対象に何かあったら本末転倒だからね。



「あっちは始まったようだね。なら、俺も動くかな」
 先制したアルトリウスの動きに呼応し、北条・優希斗(人間の妖剣士・f02283)が動き出す。
「アルトリウスくんが正面から攻めてくれるなら、俺の役割は撹乱だろう」
 腰に佩いた呪われし妖刀の怨念を解放した優希斗は、山賊たちで溢れかえる戦場を疾風のように駆け抜ける。
 山賊とすれ違いざま、フック付きワイヤーを引っ掛け、そのまま周囲の数人の山賊たちごと縛り上げて無力化した。
 さらに他の山賊の一団に突撃し、妖刀を構えて剣気を放つ。妖刀の怨念を纏った剣気を叩きつけられた山賊たちは足を竦ませた。その隙を見逃す優希斗ではない。目にも留まらぬ連撃を浴びせることで、山賊たちを斬り倒していく。
「く……、やっぱり、こいつを使うのはきついな」
 妖刀に生命力が吸われるかのような疲労を覚えた優希斗は、足を止めて呼吸を整える。
「よし、動きが止まったぞ、今だ!」
 その一瞬の隙を狙って、山賊たちから石つぶてが次々と放たれる。
「おっと、当たるわけにはいかないね」
 山賊の殺気を読んでいた優希斗にとっては、それは不意打ちでもなんでもなかった。冷静に回避し、また剣気によって石つぶてを砕いて防御する。
「さて、同士討ちでもしてもらおうかな」
 手近な山賊を捕まえて入れ替わる。
「うわっ、待て、おまえらっ! 俺は敵じゃないぞっ!」
 石つぶての雨を受けて悲鳴をあげる山賊の声を聞きながら、再び戦場を疾駆する優希斗だった。

成功 🔵​🔵​🔴​

カスミ・アナスタシア
ふん、思った通り醜悪な顔ね。
まあいいわ、まとめてぶっ飛ばしてあげる。

【属性攻撃5】【高速詠唱4】
あーもう、やりにくいったらありゃしないわ。
さっさと終わらせてさっさと帰るわよ!

ユーベルコードを使用、背後にレベル×5個分の緑色の魔法陣を発生させて、それぞれが敵を追尾する光属性のホーミングレーザーを射出するわ。
一応洞窟が崩れないように着弾点くらいは考えておいてあげるわ。

「あら、アタシが炎の魔法しか使えないなんて誰が言ったかしら?」
「まあ、アタシの美しさに世界が平伏すのは仕方のないことだわ」


普段は大きな杖を抱えているが、洞窟内で大火力が使えないため、長さ30センチほどのサポートロッドを使用。


久遠・翔
気づくのが遅すぎるんっすよ…ま、さっさと退治してしまうっすかね?

SPDで対応

シーブズ・ギャンビットを使い確実に盗賊にダメージを与え『地形の利用1』を使い壁走りや死角からの一撃を食らわせていきます

もし、仲間がピンチになった場合はためらわず服を脱ぎ盗賊に投げて加速。その仲間をお姫様抱っこの要領で抱きかかえ安全地帯に移動します
ただ…もし女性だった場合は真っ赤になって「すすすすみませんっす!?」と走りながら真っ赤になります

可能ならば抱きかかえたまま助けた相手が敵に攻撃してくれると幸いっす。なんせこの状態じゃ俺攻撃できないっすからね?(苦笑)
盗賊が俺の体見て色目使ったら隠して「見るなっす!?」と叫びます



「ふん、思った通り醜悪な顔ね。まとめてぶっ飛ばしてあげる」
 山賊に対して生ゴミを見るような目を向けるカスミ・アナスタシア(碧き魔女の系譜・f01691)は、普段用いている強大な力を秘めた魔導士の杖ではなく、片手で扱いやすい長さのロッドを手にしていた。
「あー、もう、ちょっと広い空洞だからって、天井崩すわけにいかないし……やりにくいったらありゃしないわ」
 さっさと山賊を片付けて帰ろうと心に決めたカスミは、呪文の詠唱を開始した。その背後に緑色の光を放つ魔法陣が浮かび上がる。
 カスミの呪文詠唱を聞きつけた山賊たちが警戒をあらわにした。
「おい、敵の中に魔術師がいるぞ!」
「へっ、だが、初級魔術程度なら大勢で一気にかかれば突破は簡単だぜ!」
「よく見ると、なかなか上玉じゃねぇか。こりゃ、捕まえれば『餌』にする前に楽しめそうだぜ」
 山賊たちが下卑た笑みを浮かべ、欲望によって身体能力が強化されていく。
「野郎ども、やっちま……え?」
 カスミに向かって突撃しようとしていた山賊たちは、声を失って青ざめる。
 カスミの背後には、一つではなく、70個もの魔法陣が浮かんでいたのだから……
「煌く光精のきざはし―――奔れ!【ライトニングチェイサー】!」
 呪文の起動句と共に、魔法陣から光線が放たれる。
 さすがに数十本の光線を食らってはたまらないと、散り散りになって逃げようとする山賊たちだが、光線は逃げた相手を正確に追尾し、その身体を次々と貫いていく。
「アタシが炎の魔法しか使えないなんて誰が言ったかしら?」
 消し炭となった山賊たちがオブリビオンとして消滅していくのを眺めながら、控えめな胸を張るカスミだった。

「おっと、まだ勝った気になるのは早いぜぇ、お嬢ちゃん」
 勝利の余韻に浸っていたカスミの前に、物陰からさらなる山賊の一団が現れた。
「ちょっとアンタたち、今倒したばっかりなのに、そんなにワラワラ湧いてきて! あれなの!? 一匹見たら十匹いると思えっていう昆虫並みの繁殖力なのっ?!」
 軽口で応じるカスミだが、内心は焦っていた。
(いくら高速詠唱があっても、この距離は近すぎるわ……詠唱が終わる前に接近戦に持ち込まれるわね)
 ロッドを握り近接戦に備えるカスミだが、さすがに近接戦闘でこれだけの山賊を倒す自信はなかった。具体的に言うと、魔法での勝利の確率が93%なのに対し、近接戦闘での確率は50%である。
 山賊たちがカスミに襲いかかろうとした瞬間。
「ぐわぁっ!」
 山賊の一人が、突然、悲鳴を上げて倒れた。血の海に沈んだ山賊の身体が消滅する。
「カスミさん、大丈夫っすか?」
 山賊の背後から気配を消して忍び寄り、不意打ちでその生命を奪ったのは、久遠・翔(性別迷子・f00042)であった。彼女は、そのまま洞窟の壁を走ったり物陰を伝ったりしながら、山賊たちの死角から死角へと移動を繰り返し、不意打ちで一人また一人と血の海に沈めていく。
「べ、別に助けてと頼んだわけじゃないけど、一応、お礼を言っておくわ。別にあんな奴ら、アタシだけでも楽勝だったけどね」
 山賊が一掃されて、カスミがツンデレセリフを言ったところで。
「こっちに女が二人いるぞ!」
「よし、生け捕りにするぜ!」
 さっきよりも多い数の山賊たちが続々と集まってきた。
「なんでこんなに出てくるわけ?!」
「そりゃー、あれだけ派手に魔法ぶっぱなしてたっすからねー」
 カスミの文句に、翔が的確な答えを返す。
 そうこうしているうちに、完全に取り囲まれてしまう二人。
「くっ、さすがにこの人数に囲まれると、アタシの魔法じゃつらいわね……」
「こうなったら最後の手段っすね。カスミさん、すすすすみませんっす!?」
 翔は突如服を脱ぎ捨てて身軽になると、カスミをお姫様抱っこする。
「ちょ、ちょっと、アンタ?!」
「このまま、安全圏まで抜けるっす! カスミさん、魔法で攻撃お願いできるっすか?」
「いいわ、任せて!」
 【シーブズ・ギャンビット】の超加速で、山賊たちの頭上を飛び越え、離れていく翔。
「おっぱいが飛んでる……」
「もう一人のちっぱいとは違う。あれが本当のおっぱいだ……」
 山賊たちは翔の隠れ巨乳から目が離せないでいた。
「見るなっす!?」
 胸を隠そうとして……カスミを抱えているから隠せないことに気付いて赤面する翔。
 一方、翔に抱えられているカスミからは、強大な魔力が迸り、周囲の空間に魔力光を放っていた。
「だ・れ・が・小さいですって?」
 聞くものの心を凍らせるようなカスミの声。それを聞いた瞬間、山賊たちは『あ、死んだな、俺』と思ったという。
 カスミの周囲に再度展開される70個の魔法陣。
「もう、洞窟が崩れないようにとかっていう遠慮はしないわ。ライトニングチェイサー!」
「ぎゃあああっ!」
 乱舞する極太の光線によって、跡形も残らず消滅する山賊たちであった。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

大神・狼煙
「ヒャッハー山賊狩ダァ!!」

骸の大蛇を具現、それに乗って這いずり回りながら轢き殺して回る

礫が危なっかしいため、軌道を読ませぬよう不規則に動き回り注意を引きつつ、こっちを狙う山賊には骸の騎士が背後から斬り捨てる

散々暴れ回ると吊るしあげた山賊の目の前でライターを着火、眼球を火炙りするように脅しをかけながら少女の居場所を吐かせます

「その女を渡せ。そうすればお前の命は救ってやろう」

とか言いつつ、人質?救出したら山賊は骸の騎士に殺させます

「命は救うといった、生存を許すとは言ってない」

もはやどっちが悪か分からない有様



誰も見てない所で、こっそり小さな墓を作り、十字を切って殺した山賊やゴブリンを弔います


桐府田・丈華
「さて、無事に捕まったけど・・・あの山賊、きつく縛りすぎだよ」

怪しまれないように手足拘束されたままで、「餌」の意味を山賊達の会話を盗み聞きしつつマリアさんを探します。発見したらすぐに近づき事情を説明します
他の猟兵の襲撃に気を取られているタイミングでユーベルコードで自分と(発見できていたら)マリアさんの拘束を解いて逃げ出します
ユーベルコードで山賊を蹴散らしアジトから脱出して他の猟兵と合流します
合流後は山賊達に攻撃!
「お礼は倍返しだよ!」素早く石つぶての雨を山賊達にお見舞いします
無力化できたら全員で逮捕!
「今度はこっちの番だからね!」


マスター・カオス
「やはり、あの規模のゴブリンの頭数を従える山賊たちともなれば必然的に、それなりの規模と言ったところか。
さて、他には一体「何」を飼っているのだろうか…?」

山賊の本拠地を一通り眺めて、敵と味方側の状況を確認しておきます。

「ふむ…ゴブリンと拮抗していた戦闘員程度では此処ではやや力不足かな。
ならば、こちらも少しばかり、質と数に重きを置いてみるとしよう。」

味方側の数の利を補填する為『大騎士団ノ残光』にて召喚された、数多のフォースの戦士たちの亡霊を率いて盗賊たちに嗾けます。カオスも主に(時代劇的な意味でも)受け身の方向でカウンターや敵を盾にする動きで対処していきます。


アリス・セカンドカラー
よし、調教してペットにしてくれよう☆
と思ったけど、この山賊共オブビリオンの可能性もあるのか。
オブビリオンならペットは諦めてコロコロしないとね。

ラブフェロモン(誘惑、催眠術、毒使い、盗み攻撃、範囲攻撃)でハートを奪ってー、マインドジャック(ハッキング、医術、催眠術、盗み攻撃、範囲攻撃)で脳をハックして支配権を奪ってちょいちょいといぢれば搾 ペットの出来上がりよ☆
ま、行動に制限与えることは出来るわよね。
コロコロしなきゃいけないなら、闇のドーム(目潰し、属性攻撃、範囲攻撃)でセルフ倫理結界張って、この中に連れ込んで搾りとりましょ(誘惑、催眠術、騎乗、生命力吸収)


シウ・ベルアート
親分格の山賊を狙って戦う。
親分格を挑発(知恵の無い者程、徒党を組みたがると馬鹿にした感じで)し、逃げ回る体で光を放つ花を集める。
ある程度集まったら山賊の攻撃をワザと喰らい、こっそり花を山賊に仕掛けておく。次に山賊から距離を取り、【ウィザード・ミサイル】で天井に咲く大元の花を燃やし光を絶つ。辺りが暗くなったら、山賊に仕掛けておいた花(光)を目印に【咎力封じ】で絡めとる。さらに山賊の攻撃で流した血により拷問具を起動し、殺気を纏った感じで痛め付ける。
本気で殺すつもりは無いが、命乞いをする位までは痛めつける
※信条と矛盾する感情による行動を取る。


北条・優希斗
さて、最後まで油断は禁物だね。
必要ならば仲間との連携・声掛けは行う。
大分混乱しているみたいだ、畳みかけるよ。
続けて妖剣解放の高速移動を維持したまま、敵陣に斬り込んで攪乱する。
一太刀で倒せれば良いけど駄目ならば【二回攻撃】で追撃して止めを刺す。
【殺気】で敵を威圧しつつ確実にね。
石礫は敵の【殺気】を感知して回避が基本だけれど、立ち止まりの際には石礫の弾道を【見切り】、武器による【なぎ払い】及び【カウンター】で石礫を弾いて山賊達に当てる。
難しそうなら【オーラ防御】で防御。可能なら入れ替わり【敵を盾】にして同士討ちを誘おうかな。
もしシスターがいたら保護を優先。
救出対象に何かあったら本末転倒だからね。




「へっへっへ、お嬢ちゃん、こんなところに一人で居ると危ないぜぇ?」
 山賊たちが少女を取り囲み、下卑た笑みを浮かべる。
「よし、この山賊たち、調教してペットにしてくれよう☆」
 見た目は愛らしい少女のアリス・セカンドカラー(不可思議な笛吹きの魔少女(発酵中)・f05202)だが、その考えはなんというか、山賊たち以上にアレだった。
「あー、けど、こいつらオブリビオンだからペットにするのは諦めなきゃいけないかー。しょうがないなー」
 山賊をペットにするという狂気の所業を諦めたアリス。
「まずは、ハートを奪ってー」
 誘惑と催眠術を使って、山賊を虜にしていく。
「なあ、この子、すごく可愛くね?」
「ああ、やべえ、興奮してきた」
 13歳の少女に興奮するロリコンどもが、そこに誕生していた。
「それじゃ、ちょっとそこの物陰にいきましょ☆」
 山賊の一団とともに物陰に消えていくアリス。
 そして物陰から【月夜に誘う者(ルナティックテンタクル)】の念動力の触手が見え隠れしたかと思うと……
「ふう、ごちそうさまでした☆」
 満足げな顔をしたアリスが一人で戻ってきたのだった。


「やはり、あの規模のゴブリンを従える山賊たちともなれば、必然的にそれなりの規模といったところか」
 猟兵たちと山賊たちの間で激しい戦いが繰り広げられるのを、マスター・カオス(秘密結社オリュンポスの大幹部・f00535)は泰然と眺めていた。個々の戦闘は猟兵が圧倒的に優勢ではあるが、なにぶん、山賊たちは数が多い。ようやく半分倒したかどうかといったところだろう。
「さて、ヤツラは他には一体『何』を飼っているのだろうか」
 白い仮面(本体)の下で小さく呟いたカオスは、こちらも出し惜しみしている場合ではないと判断した。山賊の奥の手が何であれ、出される前に潰してしまえば問題あるまいという考えだ。
「ふむ……ゴブリンと拮抗していた戦闘員程度では此処ではやや力不足かな」
 先程召喚した白仮面黒タイツの戦闘員たちは、数こそ多かったものの、個々の戦闘力はゴブリン並み。この山賊たち相手では荷が重いだろう。
「ならば、こちらも少しばかり、質に重きを置いてみるとしよう」
 カオスはこちらに近づいてくる山賊の一団をみやると、それを迎撃するための戦力を呼び出す。
「我に従いしフォースの戦士たちよ! 今こそかつての威光を示せ!!大騎士団ノ残光(グローリー・フォース・オーダー)」
 ユーベルコード【大騎士団ノ残光】により、かつてカオスが所属していた騎士団(と本人は語っている)でカオスに従っていたというフォースナイトたちの霊が召喚される。戦闘員よりも数は少ないが、個々の戦闘力は遥かに強そうであった。
「さあ、征くのだ、我が精鋭たちよ!」
 カオスの命令に従い、山賊の一団に襲いかかるフォースナイトたち。それぞれ、フォースセイバーや念動力を使って山賊たちを撃破していく。
「どれ、私も自ら出るか」
 フォースセイバーを抜いたカオスが時代劇を見て覚えたレベルの腕で剣を振るうが、一人も倒すことができないまま、フォースナイトたちが山賊の一団を全滅させたのであった。


「ヒャッハー、山賊狩りダァ!!」
 その近くで死霊蛇竜に乗りながら山賊を轢き殺して回っているのは、大神・狼煙(コーヒー味・f06108)だ。すでに言動が山賊っぽくなっているが、あくまで猟兵の一人である。
 狼煙が乗る死霊蛇竜は、山賊たちからの石つぶてを避けるように不規則な動きをしながら、山賊に体当たりを食らわせていく。それでも倒せなかった山賊は、背後から忍び寄った死霊騎士が容赦なく切り捨てる。
「ひ、ひぃぃい、た、助けてくれぇっ」
 死霊の蛇と騎士に恐れをなした山賊が許しを請うが、それを素直に聞く狼煙ではない。
 眼鏡の奥の赤い瞳を怪しく光らせる。
「それじゃあ、さらった少女の居場所を吐いてもらおうか。そうすれば、お前の命は救ってやろう」
 山賊の目の前でライターに火をつけると、それを山賊の眼球に近づけていく。
「ひぃっ、わ、わかった、答えるっ! あの女は、一番奥の食料庫に放り込んであるっ!」
 だが、狼煙のライターは止まらない。
「ほっ、本当だっ! 信じてくれっ!」
「まあ、いいだろう」
 ゆっくりとライターが降ろされる。ほっと胸を撫で下ろす山賊。
 その山賊の胸、心臓にあたる場所から剣が生えた。死霊の騎士が背中から刺したのである。
「なっ……?!」
 山賊は、自分の身に起きたことが信じられないというように狼煙をみつめる。
「命は救うといった、生存を許すとは言っていない」
 冷めた目で、骸の海に消えていく山賊を見下ろす狼煙であった。
 なお、その後、誰も見ていない所に、こっそりと小さな墓を作り、殺したゴブリンや山賊を弔う狼煙の姿があったのだが、それを知るのは狼煙に付き従う死霊蛇竜と死霊騎士だけである。


「シスターは食料庫の中、か……」
 【妖剣解放】を維持して戦場を駆け回り、山賊たちを片っ端から斬り捨てていた北条・優希斗(人間の妖剣士・f02283)は、仲間の猟兵から通信を受け、シスターが捕らえられているという食料庫に向かっていた。
「それにしても、なんで匿名通信だったんだろう?」
 首をひねるが、人それぞれ事情があるのだろうと思い、深く考えるのはやめた。
 食料庫への行く手を阻む山賊たちには、そのまま斬り込み、妖刀による連撃で確実に止めをさしていく。剣気を放って敵を威圧することも忘れない。
 そうして敵陣を突破していくと、他にも食料庫に向かう猟兵の姿が見えた。
「シウさんもシスターを助けに?」
 優希斗はシウ・ベルアート(人間の咎人殺し・f04914)と合流し、声をかける。
「ああ。シスターを助けるのはもちろんだけど、そこには山賊のリーダーもいるだろうからね」
 優希斗とシウの目的は同じようだ。
「なら、俺がこのまま敵陣に斬り込んで、道を切り開きましょう」
 近接戦に長けた優希斗が先陣を買って出ると、二人は食料庫に向けて進軍を開始した。
 物陰に隠れている山賊は、優希斗が殺気を感知して、攻撃される前に奇襲して倒していく。遠距離から放たれた石つぶては、弾道を見切り、優希斗やシウに当たりそうなものだけを妖刀で斬り落としていく。
 そこにシウが【ウィザード・ミサイル】による魔法の炎の矢を撃ち込み、山賊たちを確実に倒していった。
 そして、ついにシスターのマリアが捕らえられているという食料庫までたどり着いたのだった。


 時間は少し遡る。
 猟兵たちが突入してくる前に山賊に捕まった桐府田・丈華(カードバトルゲーマー・f01937)は、食料庫に連れてこられ、そこに放り込まれていた。
「いてて……。無事に捕まったけど、あの山賊、きつく縛りすぎだよ……」
「あの……、大丈夫ですか?」
 縄で縛られた丈華に心配そうに声をかけてきたのは、10代半ばのシスター服の少女だった。
「あっ、もしかして、マリアさん?」
「えっ、は、はい。私はマリアですが……」
 いきなり名前を呼ばれて戸惑うマリア。
「あ、大丈夫。怪しいものじゃないから。ボクはマリアさんを助けに来たんだ」
 今は捕まっちゃってるけどね、と付け加える丈華。
「そんなっ、私なんかのために! いけません、早くここから逃げてください! さもないとアレが……」
「え? アレっていうのは『餌』っていうのと関係あるの?」
 丈華が詳しい話を聞き出そうとしたその時、アジトの山賊たちが慌ただしくなり、遠くから爆音が聞こえてきた。
「どうやら、仲間たちが助けに来てくれたみたいだね。この隙に僕たちも逃げ出そう!」
 丈華は【バトルキャラクターズ】を召喚し、縄を解かせようとするが……
「おっと、やっぱりテメェ、襲撃してきたヤツラの仲間だったか」
 食料庫に入ってきたのは、身体中傷だらけの、身長2メートル以上の大男だった。
「気をつけてください、この人が、ここの山賊のリーダーです」
「山賊のボスが自分から出てきてくれたなら好都合だね。ここでやっつけるよ! 行けっ、ゲームキャラクターたち!」
 マリアに教えられて、丈華はゲームキャラクターたちを山賊のボスに向かわせた。額に1と書かれた13体のゲームキャラクターたちが、屈強な山賊に襲いかかる。
 しかし、ゲームキャラクターたちは、山賊のボスが投げた石つぶてによって、ことごとく迎撃されてしまった。
「ハッ、俺を部下たちと同じだと思ってもらっちゃ困るぜ!」
 山賊のボスは丈華に近づいてくると、丈華の縛られた両手を掴んで宙に吊り下げる。そして、丈華に顔を近づけて唇を釣り上げて嗤う。
「ほう、小僧かと思ったが、よく見ると女か。それなら、肉が柔らかいから奴の『餌』に十分だな」
「また『餌』……。『餌』って一体、何のことなんだ」
 丈華の言葉に、山賊のボスは酷薄な笑みを浮かべるだけだった。


「くっ、そろそろ、限界、か……」
 優希斗は寿命を削る【妖剣解放】を解除し、その場に膝をつく。さすがに長時間連続で呪われた力を使い続けるのは、身体への負担が大きかった。
「あれが食料庫のはずです……。シウさん、あとはお願いします……」
「ああ、僕に任せておいてくれ」
 優希斗を岩陰に休ませると、シウは食料庫の扉へ近づき、そっと中の様子を伺った。
 食料庫内も洞窟全体と同じように光る花に覆われており、内部の状況はすぐに把握できた。
「まずいな」
 中では丈華が縄で縛られて倒れていた。その横にはシスター服の女性もいる。
 そして、身体中に傷のある大男が、食料庫の奥の金属製の扉を操作しているところだった。
「あれが山賊の親分か……ならば」
 シウは食料庫の扉を開くと、堂々と中に入っていく。
「やあ、キミが山賊たちの親分かい? ずいぶんと大勢のゴブリンや手下を集めたものだね。知恵のない者ほど徒党を組みたがるといったところかな? 猿山の親分さん?」
「ああっ?! なんだ、テメェは!」
「やれやれ、低能な奴は反応もテンプレートだね。僕たちは猟兵……冒険者だ。キミたちを倒し、シスターを助けに来た」
 それを聞いた山賊リーダーは顔を真っ赤にして叫び声を上げる。
「てめぇっ! 生きて帰れると思うなよっ!」
 巨大なナタを抜いて襲いかかってくる山賊リーダー。シウはその攻撃を間一髪避けていく。
「オラオラ、どうした、魔術師さんよ! 逃げてばかりじゃ俺は倒せねぇぞ!」
「さて、それはどうかな?」
 平静に答えるシウだったが、内心では冷や汗をかいていた。
(あんなナタ、直撃したら魔法を撃つどころじゃないな。それに、呪文を詠唱する隙もない……)
 必死にギリギリでナタを避けていくが、ついに壁際まで追い詰められてしまう。
「へっ、俺様に逆らったことを、あの世で後悔するんだな!」
 大きく振り上げられたナタ。
 しかし、それがシウに振り下ろされることはなかった。
「なっ、こ、こいつらはっ?!」
 狼狽える山賊リーダーには、ゲームキャラクターたちが纏わりついていた。
 その後ろには、拘束から自力で脱出した丈華と、丈華に助けられたマリアが立っている。
「てめぇっ! いつの間にっ!」
「そのお兄さんが、わざとボクから注意を逸らすように動いていたのに気付かなかったみたいだね」
「そういうことだね。所詮は猿山のボスってところかな」
 呪文の詠唱を完了させていたシウは、【ウィザード・ミサイル】を天井に向かって放つ。
「へっ、どこに向かって撃っていやがる……って、なんだっ?!」
 炎の矢によって、天井に咲いていた大きな花が爆散し、強烈な閃光を発した。
 その閃光を直視してしまった山賊リーダーは、目を抑えて苦しむ。
「目が、目がぁああっ!」
 悶絶する山賊リーダーに、シウの拷問具から手枷、猿轡、拘束ロープが放たれ、その動きを完全に封じ、無力化したのだった。


「さて、シスターも無事に助け出せたし、あとはこの親分を痛めつけて……」
 命は取らないまでも、自分の行いを反省させるくらいは痛めつけようとシウが思ったとき。
 食料庫の奥の金属製の扉がゆっくりと上っていき、その奥から低い唸り声が聞こえてきた。
「しまった、さっき山賊が操作していたドアか!」
 シウが驚愕の声を上げると同時に、扉の向こうの空間から巨大なドラゴンが姿を現す。現れたドラゴンは、扉の近くに転がっていた山賊リーダーをひと飲みで飲み込んでしまった。
「いけません、皆さん、逃げてくださいっ! あれは……」
 マリアの声が、洞窟内に響いたのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​




第3章 ボス戦 『息吹の竜『グラスアボラス』』

POW   :    フラワリングブレス
【吐き出された息吹 】が命中した対象に対し、高威力高命中の【咲き乱れるフラワーカッター】を放つ。初撃を外すと次も当たらない。
SPD   :    ガーデン・オブ・ゲンティアナ
自身の装備武器を無数の【竜胆 】の花びらに変え、自身からレベルm半径内の指定した全ての対象を攻撃する。
WIZ   :    フラワーフィールド
【吐き出された息吹 】が命中した対象にダメージを与えるが、外れても地形【を花畑で埋め】、その上に立つ自身の戦闘力を高める。

イラスト:ハレのちハレタ

👑17
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種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠ナイツ・ディンです。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


●花の竜
「山賊たちが話をしているのを聞きました。あれは息吹の竜『グラスアボラス』……自分の縄張りを花畑にして、そこに住まう竜だと……」
 つまり、この光る花に覆われた岩山洞窟全体がグラスアボラスの縄張りであり、山賊やゴブリンは、この強力な支配者に逆らうことができず、食料を捧げながら、なんとか洞窟の奥に閉じ込めて共生していたのだった。
 しかし、追い詰められた山賊によって、グラスアボラスは解き放たれてしまった。このままドラゴンを放置すれば、近隣の街は間違いなく蹂躙されてしまうだろう。
 猟兵たちは、この強大で凶暴なドラゴンを打ち倒さなければならない!
大神・狼煙
ようやく美少女を愛でられると思ったのに!(変態感)


骸の大蛇を具現化して、首、及び頭に巻きつかせる

吐息をトリガーにするUCが二つもあるのなら、まずは口を塞ぐのが先決

残るは武器を花に変えるUCだが、武器って爪とか牙では?

大蛇を斬られる前に、騎士で武器化した部位を狙って斬る

どうしても吐息を止められず、花畑を広げられてしまったら俺の切札【機巧巨人】の出番

拳だけ具現化して、花畑ごとその頭蓋を叩き潰す

巨人は完全に顕現させるには大き過ぎる為、一部だけの具現

全て片付いたら少女に手を出そうとするが、変態行為は正義の味方にしばかれるまでがお約束

「ぐへへお嬢ちゃん覚悟し……ぐぁあああ!?」

最期はお星様になるのだ……


北条・優希斗
……ドラゴンか。休む暇無しとはこの事だね。
仲間との連携・声掛けは密に。強敵相手に出し惜しみはしてられない。
妖剣解放を使用、肉薄しながら【斬撃の衝撃波】とワイヤーによる【二回攻撃】。
ワイヤーを使って肉を抉る【鎧砕き】でグラスアボラスの防御を低下させる。
その後は刀による【二回攻撃】で【フェイント】を織り交ぜながら斬る。
また高速移動で【残像】を生み出し標的をずらす。
これで火力が落ちれば上々かな。
半径数メートルの花弁による攻撃は避けきれないだろうから最大限【見切り】、【オーラ防御】で負傷を最小限に抑えて、【カウンター】で反撃するよ。
 肉を切らせて骨を断つってね。
 マリアさんは必要ならフォローを行うよ。


アリス・セカンドカラー
ボス戦だし本気出しましょうか。
レビテーション(空中戦、念動力、怪力、ダッシュ)で浮遊移動。
トランス(催眠術、第六感、野生の勘、医術)で深い集中状態に入って神懸かり。
サイコフィールド(念動力、オーラ防御、武器受け)を張って防御能力の向上を図る。
ライフスティール(生命力吸収、盗み攻撃)で相手のリソースを奪い自身のリソースの糧とする。
テンタクルファイアにパイロキネシス(念動力、属性攻撃、範囲攻撃)を加えて火勢を高めて、ご自慢の花畑ごとグラスアボラスを焼き払ってあげるわー。

ドラゴンステーキってファンタジー食材のお約束だけど、丸焼きにしたばあ様のドラゴンって美味しいのかしら?


カスミ・アナスタシア
へえ、こんな奴が隠れてたなんてね。
おうちで飼うペットにしちゃ少し大きいんじゃない?

【全力魔法13】【高速詠唱11】【属性攻撃7】
戦闘開始と同時に、前衛たちより少し引いて詠唱開始。
対象の直下から氷の刃で突き上げる「アイスエッジ」、対象の周囲に猛吹雪を発生させ急激に体温を奪い去る「ブリザードゲイン」、対象の周囲の極限定的な範囲を急激に冷却し擬似的な氷河期を再現することで、大賞を存在ごと凍りつかせる「ディザスターフロスト」の3つを連続発動させることによって、それぞれの詠唱時間を短縮する。

「喧嘩を売る相手を間違えたんじゃないかしら?」
「止められるもんなら止めてみなさいよ。このカスミ様をね!!」


ルベル・ノウフィル
【オリュンポス】

【WIZ】リザレクトオブリビオン
「ド、ド、ドラゴン!?」
ルベルはめちゃくちゃビビっていますが、味方の手前ひっしに虚勢を張ります。
「ももも問題ございませんとも! 僕たちの連携をお見せしましょうとも!」
耳がぺたんとなって尻尾は丸くなり全身プルプル震えています。

「協力して動きを封じるのでございます、動けなくなれば、全然怖くないのでございます!」
召喚して死霊に命令して肉壁(?)にする。

自分は後方をうろちょろしている。
ドラゴンにターゲットされると震えあがって味方の後ろに隠れようとする。

1撃ダメージを受けると死霊は消えていく。
「あああー! 前衛が消えたっ、もう終わりでございますぅ」
ヘルプ★


マスター・カオス
【オリュンポス】
グラスアボラス…なるほど、ドラゴンか。自身の縄張りを広げて強さを誇示するタイプだろうか。

ならば、我が存在感を以って、念動力を加えた十二神ノ蹂躙によって動きを止め、どちらが格上なのかという事を教えてやろう!!

フハハハ…敵の攻撃など当たらなければどうということはな―。

状況に応じて、味方を肉壁にしたり、2回攻撃による、仕切り直しとドラゴンの戦闘能力向上を阻止する為に、花畑を散らしたりしておきます。


桐府田・丈華
「うわー!龍!? ボク、ホンモノのドラゴンとか初めて見た!」
ドラゴンの登場に興奮気味になるも他の猟兵にたしなめられるなど
マリアさんを安全な場所へ避難させて戦闘開始
戦闘はバトルキャラクターズで、ドラゴンと距離を開けながら戦います
ドラゴンの攻撃を注意して回避しながらキャラクター達に戦闘指示
「みんな、がんばろーっ!」
ドラゴンを倒し終えたらマリアさんを街まで送り届けて


久遠・翔
餌ってこいつの事だったんっすね…さすがに竜の餌なんてまっぴらごめんっす

相変わらず【シーブズ・ギャンビット】の高速戦法で相手を翻弄するっす
服は最初のうちは着て行動、自分や仲間のピンチの時は助ける為に服を脱ぎ捨て一気に加速…あ、一応インナーは着ているっすからね?(汗)

そのままピンチの仲間をお姫様抱っこしつつ地形の利用1、第六感1、逃げ足1、クライミング2、ロープワーク2、残像1で回避するっす
この状態だと攻撃できないので攻撃は仲間に任せるっす!

けど、女性の場合は終始顔真っ赤にしています
綺麗な人が傍にいると思うと真っ赤になるのはしょうがないじゃないっすか…(ぼそり)



●ドラゴンに挑む猟兵たち
「……ドラゴンか。休む暇無しとはこの事だね」
 北条・優希斗(人間の妖剣士・f02283)は、ドラゴンの巨体を見て呟いた。
 優希斗は山賊戦で妖刀の力を全力解放し続け悲鳴をあげる肉体に鞭打ち、再度、妖刀の力を開放する。妖刀に宿った怨念は優希斗の身体と精神を蝕んでいき、優希斗は苦痛の声を噛み殺す。
(くっ、そろそろ身体が限界か……。だが、俺の身体が限界を超える前に奴を倒す!)

「さー、ボス戦だし、そろそろ本気出しましょうか」
 念動力で自身の身体を宙に浮かせているアリス・セカンドカラー(不可思議な笛吹きの魔少女(発酵中)・f05202)も、集中しながらドラゴンを見つめている。
(ドラゴンステーキってファンタジー食材のお約束だけど、丸焼きにしたばあ様のドラゴンって美味しいのかしら?)
 しかし、その思考は、あまり本気っぽくなかった。

 その横では、桐府田・丈華(カードバトルゲーマー・f01937)がはしゃいでいる。
「うわー!龍!? ボク、ホンモノのドラゴンとか初めて見た!」
 バトルゲーマーの丈華にとっては、ドラゴンはゲームの敵キャラという認識なのだろう。こうして実物のドラゴンを見ることができて興奮しているようだ。

「ド、ド、ドラゴン!? こ、ここは深呼吸して落ち着くのでございます。はい、吸ってー、吸ってー、吸ってー……。ゲホゲホ、息すらできないほどの瘴気とは、これがドラゴンの恐ろしさでございますかっ!?」
 一方、めっちゃビビってるのはルベル・ノウフィル(星守の杖・f05873)という人狼の少年だ。普段はピンと立っている狼の耳は頭にくっつき、尻尾も完全に丸くなっていた。全身をぷるぷると震わせるさまは子犬を思わせた。
「ルベルよ、慌てるでない。この程度の敵に竦んでいるようでは、オリュンポスの幹部候補生の名が廃るぞ」
 ドラゴンの威容を見上げても泰然とした態度を崩さないのは、マスター・カオス(秘密結社オリュンポスの大幹部・f00535)。
「グラスアボラス……なるほど、ドラゴンか。自身の縄張りを広げて強さを誇示するタイプだろうか」
 カオスはドラゴンを冷静に観察し、その能力の一端を正確に推測していた。
「ルベルよ、我ら秘密結社オリュンポスの力を今こそ示すときだ」
「ももも問題ございませんとも! 僕たちの連携をお見せしましょうとも!」
 秘密結社オリュンポスのタッグが連携の構えをとった。

「ようやく美少女を愛でられると思ったのに! 美少女を襲う前にドラゴンに襲われるとか、どういうことですか!」
 お巡りさんを呼ばれそうな変態感溢れる言動をしているのは、大神・狼煙(コーヒー味・f06108)。
「仕方ない、美少女を襲う前に、まずはてめぇからだ、ドラゴンさんよ」
 ドラゴンの動きを詳細に観察しながら、眼鏡の奥の赤い瞳を細める。
 
「餌ってこいつの事だったんっすね……さすがに竜の餌なんてまっぴらごめんっす」
 今回も高速戦法を取ろうとダガーを構える久遠・翔(性別迷子・f00042)。
 翔は脱ぎ捨てていた服を拾って、いつの間にか元の格好に戻っている。

 その翔と一緒に先程まで山賊たちを蹴散らしていたカスミ・アナスタシア(碧き魔女の系譜・f01691)は、前衛陣より少し離れた場所に後衛として陣取った。
「へえ、こんな奴が隠れてたなんてね。おうちで飼うペットにしちゃ少し大きいんじゃない?」

「皆様、お気をつけてください」
 戦場となる範囲から離れていくマリアを確認し、猟兵たちは戦いの火蓋を切って落とした。

●凍るドラゴン
「それじゃ、作戦通り、まずはアタシの大技からいっくわよ! 止められるもんなら止めてみなさいよ。このカスミ様をね!!」
 グラスアボラスが本格的に動き出す前に一気に勝負を決めようと、カスミは構えた杖に強大な魔力を込めていく。
 通常であれば不可能なほどの速度でカスミの周りに3種類の魔法陣が組み上がり、発動可能な状態になる。カスミの魔術士としての高い実力がなければ成しえない必殺の域にまで高められた連続魔法、【トライスペル・コールディア】である。
 この魔法は避けられたときの隙が大きい代わりに、命中すれば大ダメージを期待できる。そのため、グラスアボラスが油断しているうちに撃ち込むのが最善手。
「貫け、アイスエッジ!伏す氷精の導き――凍えろ!ブリザードゲイン!絶望の福音、彼の地より来たれ!ディザスターフロスト!!」
 グラスアボラスの足元から氷の刃『アイスエッジ』が生じ、グラスアボラスの無防備な腹部を切り裂く。さらに『ブリザードゲイン』によりグラスアボラスの周囲に猛吹雪が吹き荒れる。周囲の花が凍りつき砕け散る中、グラスアボラスの皮膚にも霜がおりていく。そして止めとばかりに『ディザスターフロスト』が生み出した擬似的な氷河期がグラスアボラスを氷の棺に閉じ込めた。
「ま、ざっとこんなものね。喧嘩を売る相手を間違えたんじゃないかしら?」
 一瞬のうちに3つの大魔法を放ったことで肩で息をするカスミだが、そのサイドテールの髪は褒めてほしそうにピコピコ動いていた。

「っと、お嬢さん、あぶないっ!」
 それにいち早く気付いたのは、グラスアボラスの爪や牙に注目していた狼煙だった。
 魔法を撃った後の無防備状態のカスミを、狼煙が押し倒す。
「きゃ、きゃあっ! ちょっとアンタ、どこ触ってんのよっ!」
 どさくさに紛れて、狼煙がつい癖で美少女であるカスミの胸を触ってしまったのは変態のサガというものだろうか。
 だが、その直後、カスミの頭のあった位置を竜胆の花びらが貫いていったのを見て、カスミは言葉を失った。
「ヤツの爪を観察してたら、氷の棺の中で消えたんでね。反撃が来るだろうと踏んだんですよ。できれば死霊を盾にしたかったんですがね」
 カスミを庇った際に竜胆の花びらによってできた背中の傷に顔をしかめる狼煙。
「あ、その、あ、ありがと。でも、その……」
「お? お礼のキスでもくれるのかな?」
 目をつむる狼煙。
「い・い・か・げ・ん、胸から手を離しなさいよーっ!」
 狼煙の頬に、華麗なグーパンが決まった。

●怒涛の攻撃
「そんな、嘘……。アタシの魔法が……」
 猟兵たちの目の前で、グラスアボラスを閉じ込めた氷の棺にヒビが入っていく。そして、下半身が氷の檻から解き放たれる。
「狼狽えるな。グラスアボラスの頭部は未だ氷の中。今のうちに畳み掛けるのだ!」
 ブレスに注意を払っていたカオスが、仲間たちに指示を出す。

「わかった、いくよ!」
 丈華が【バトルキャラクターズ】でゲームキャラクターたちを呼び出す。
「みんな、がんばろーっ!」
 グラスアボラスに突撃していくゲームキャラクターたち。
 格闘ゲームのキャラがグラスアボラスに必殺技を叩き込むと、レースゲームのキャラが車ごと体当たり。そしてアクションゲームのキャラがキノコを食べて巨大化すると、手から炎を出して周囲の花ごとグラスアボラスの胴体を燃やす。
「うわっ」
 グラスアボラスの竜胆の花びらによる反撃は、シューティングゲームのキャラクターたちの銃弾の雨で撃ち落とされていった。
「みんな、ありがとーっ!」
 
「俺も負けてられないっすね!」
 グラスアボラスに接近した翔も、【シーブズ・ギャンビット】によるダガーの鋭い攻撃を加えていく。カスミの『アイスエッジ』により大きく切り裂かれた腹部の傷を抉るように攻撃すれば、いかに硬い皮膚を持つグラスアボラスといえど、ダメージは避けられない。
 反撃のために竜胆の花びらが舞うが、それを残像を残した高速移動で回避する翔だった。

「俺も行こう」
 翔と同じく接近戦を挑むのは、妖刀を構えた優希斗だ。
 妖刀を振るい、斬撃による衝撃波を飛ばしてグラスアボラスの皮膚を切り裂くと、そこにワイヤーフックによる追撃を加えていく。グラスアボラスの鱗に引っかかったワイヤーを力任せに引っ張ると、その鱗が剥がれ落ちる。むき出しになった内皮に妖刀を連続して叩き込んでいく。
 襲い来る竜胆の花びらは、その動きを見切って最低限の動きでかわしつつ、妖刀の剣気によってその勢いを削いで、ダメージを抑えていく。
 竜胆の花びらが収まったら、再び、妖刀による連続攻撃が繰り出される。
「俺とお前、どちらが先に倒れるか勝負だ」
 妖刀の怨念によって蝕まれていく身体を実感しながら、気力でグラスアボラスに立ち向かう優希斗だった。

「さて、わたしも遊ぼうかしら」
 アリスはグラスアボラスの生命力を吸収しようと念動力で浮遊し近づいていく。集中状態での生命吸収により、かなりの生命力を吸えた気がするが、グラスアボラスの生命力は無尽蔵。蚊に刺された程度にしか思われていないようだ。
 反撃で飛んでくる花びらは、念動力で軌道を逸しつつ、オーラ防御によって守ろうとするが、なんとか武器で受け止めるのが精一杯だった。

「では、こちらもいくかね」
 グラスアボラスに向き直るは狼煙。キリッとした表情をしているが、頬が腫れているせいで締まらない。
 狼煙は死霊蛇竜と死霊騎士を呼び出すと、死霊騎士にグラスアボラスの爪を狙わせる。
 雷光のごとく閃いた死霊騎士の剣は狙い違わずグラスアボラスの爪を数本切り落とすことに成功した。
「これで花びらによる攻撃も、少しは減るでしょう」
 にやりと笑みを浮かべる狼煙だった。

●解き放たれるドラゴン
 だが、カスミの魔法によってグラスアボラスの動きを止めるのもこれが限界だった。
 ついに、グラスアボラスの全身が氷の棺から解放されたのだ。
 グラスアボラスは大きく息を吸い込むと、息吹を吐く準備をした。
「ちぃっ、ブレスは吐かせはしない」
 狼煙が死霊蛇竜をグラスアボラスの頭部に巻き付かせ、その口を封じようとする。
「ぼ、僕も手伝うのでございます。協力して動きを封じれば、全然怖くないのでございます!」
 ルベルもリザレクト・オブリビオンによって呼び出した死霊蛇竜をグラスアボラスに巻き付かせる。なお、ルベル本人は、ちゃっかり死霊騎士の後ろに隠れて震えていた。
 さすがに二体の蛇竜に口を封じられては、グラスアボラスといえども吐息の狙いが付けられない。
 無理やり蛇竜を引きちぎりながら吐き出されたグラスアボラスの吐息は、猟兵たちの頭上を超えて……後方にいるマリアに迫った。

「マリアさん、危ないっす!」
 グラスアボラスの吐息が命中する直前、翔が服を脱いでインナー姿になり、マリアに向かって駆け出した。
「ま、間に合えーっす!」
 身軽になった翔は【シーブズ・ギャンビット】の能力を完全に引き出し、その速度は音速を超えた。視界に映る景色がスローモーションになる。
 そのままグラスアボラスの吐息を追い越し、呆然と立ちすくむマリアを抱きかかえ跳躍する翔。
「あ、ありがとうございます」
「え、いや、その、これくらい当然のことっす」
 マリアをお姫様抱っこしながら、顔が真っ赤になる翔。
「あの、顔が赤いようですけど、どこか具合でも?」
「い、いや、なんでもないっすよ!」
 綺麗な女性を抱きかかえているため、真っ赤になるのは仕方がないのだった。

●決着
 優希斗の刀、丈華のゲームキャラ、魔力が回復したカスミの魔法、アリスの生命力吸収、そして狼煙とルベルの死霊騎士による攻撃。
 グラスアボラスは、徐々に全身の傷を増やし動きを鈍らせていく。
 しかし、グラスアボラスには、まだ切り札があった。グラスアボラスは【フラワーフィールド】により自らの足元に吐息を吐くと、周囲を花畑に変える。

「くっ、いかん! 一度下がって体勢を立て直すのだ! 奴は花畑に居る限り戦闘力が10倍に跳ね上がる!」
 花畑の警戒をしていたカオスの指示により、近接戦闘を仕掛けていた味方は距離をとった。
「だが、カオスの旦那、どうします。ヤツの吐息を封じようにも、私やルベルさんの蛇竜は消えちまってますよ」
 カオス同様、花畑への対策を練っていた狼煙が声をかける。
「うむ、それについては策がある。お前と同じように、な」
「なるほど、ま、お互いに食えない男ってことですね」
 なぜか分かり合う、怪しい男二人であった。

「ルベルよ、この私の肉壁となるのだ!」
「えええっ、無理でございます、カオス殿~! せ、せめて、この死霊騎士でっ!」
 ルベルは仕方なく、自分に残った最後の砦、死霊騎士を提供する。
「私の方も盾は死霊騎士ですかね」
 狼煙も死霊騎士を盾として準備した。
「では、征くぞ!」
 カオスと狼煙は死霊騎士を盾にしてグラスアボラスへと突撃する。
 二人と二体を迎撃するグラスアボラスの【フラワーフィールド】。二人と二体がいた場所に吐息が突き刺さり、先程の威力を遥かに上回る破壊力で地面を抉り取った。
「あああー、カオス殿と狼煙殿が消えてしまったのでございますっ、もう終わりでございますぅ」
 ルベルの悲痛な声が響く。
「いえっ、まだよ、よく見て!」
 カスミが指差す先には、舞い上がる粉塵の中をグラスアボラスに向かって疾駆するカオスと狼煙の姿があった。
「そうか、直撃の瞬間、死霊騎士を盾にしたのか」
 優希斗が感心したような声を出す。
「けど、あの花畑をどうにかしないと、次の一撃は防げないっすよ」
 翔の言葉に黙り込んでしまう一同。
「で、でも、あの二人なら、きっと何か考えがあるんだよっ!」
 丈華が二人に向かって信じる眼差しを送った。

「フハハハ……敵の攻撃など、当たらなければどうということはない」
「私は冷や汗ものですけどね」
 カオスと狼煙は粉塵の中を抜け、グラスアボラスに接近することに成功した。
 突如現れた二人に驚きながらも、吐息の準備をするグラスアボラス。
「おっと、遅いんですよ! 転移門解放……転送。文字通り、鉄拳制裁をくれてやる……」
 狼煙は【古代機械兵器・機巧巨人(エンシェントギア・ゴーレム)】を部分召喚。現れた機械の巨腕がグラスアボラスの足元の地面を穿ち、地形を破壊した。
 これによって、グラスアボラスを強化していた花畑の効果が消滅する。
「次は私の番だな! ――感じよ―――此れがオリュンポスの片鱗だ!! 十二神ノ蹂躙(フォース・オブ・オリュンポス)!!」
 カオスの掌に雷撃が集まり、電撃としてグラスアボラスを撃つ。
 感電し、のたうち回るグラスアボラス。

「や、やったのでございますか!?」
 その様子を見ていたルベルを始めとした猟兵たちは、固唾をのんで見守る。

 しかし、グラスアボラスは大地を強く踏みしめ立ち上がった。

「そ、そんな……あれでも倒せないなんて……」
 丈華が諦めの言葉を呟いた瞬間。

「フハハハ……誰が今の一撃が止めだと言った? さあ、アリスよ、今こそ出番だ!」
「まったく、待ちくたびれたわよ」
 カオスの言葉に答えるのは、はるか上空に浮かぶアリス。
「さーて、お花は火に弱いわよねー?」
 20個近い触手状の炎を召喚し、さらにそれを一つに合体。巨大な炎の槍を作り上げる。
「さあ、燃え尽きるといいわ」
 グラスアボラスの上空から放たれる炎の槍。グラスアボラスはとっさに回避しようとして……身体が痺れて動けないことに愕然とする。
「フハハハ……我が一撃は、初めから貴様の動きを封じるための布石。それを見抜けぬような低能なドラゴンごとき、我らの敵ではないわ」
 カオスの言葉が終わるとともに、アリスの【テンタクルファイア】がグラスアボラスに直撃し……。
 花のドラゴンは花畑と共に燃え尽きたのだった。

●エピローグ
「さーて、ドラゴンも倒したことだし、ぐへへへお嬢ちゃん覚悟し……」
「近づくなっす、変態!」
「マリアさんに悪さするなら、こうだっ!」
 マリアに襲いかかろうとした狼煙は、翔の蹴りと丈華のゲームキャラクターの格闘攻撃で吹き飛ばされ、お星様になったのだった。
「まったく、男なんてサイテーなんだから」
 空に輝く星を冷ややかな目で見つめるカスミであった。

「皆さん、今回は助けていただき、どうもありがとうございました。なんてお礼を言ったらいいか……」
 マリアは深々とお辞儀をして猟兵たちにお礼を言う。
「じゃあボクはマリアさんを街まで送り届けてくるよ」
 丈華が言うと、他の猟兵たちも街までの護衛を申し出た。(星になった約一名を除く)

 こうして、アックス&ウィザーズにはびこるオブリビオンが一つ消えたのだった。
 しかし、この世界は常にオブリビオンの脅威に晒されている。
 猟兵たちの力が必要とされる時は、またすぐに訪れるであろう。
 それまでは、ヘルメスが用意した紅茶を飲んで、ひとときの休息を楽しんで欲しい。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2018年12月29日


挿絵イラスト