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突然のA/忘却に抗うもの

#ヒーローズアース

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#ヒーローズアース


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●ヒーローズアース
 ここは眠らない街、オーサムシティ。
 悪徳と娯楽をミキサーにかけてぶちまけたような、猥雑な大都市だ。
 この街では悪党だろうが善人だろうが、タフでなきゃやっていけない。
 そう、たとえば彼女のように。

「……やっぱり、決定的瞬間をスクープするしかないようね」
 アパートの一室で、ベレー帽を被った若い女性が呟く。
 彼女の名は『カナメ』。この街で暮らすフリージャーナリストだ。
 デスクの上には、いくつもの資料が広げられている。
「神出鬼没のヴィラン、『アパリシオン』……絶対に正体を暴いてみせるわ」
 状況証拠はいくつも揃っている。だがそれでは足りないのだろう。
 カナメは、アルカイックスマイルを浮かべた青年投資家の顔写真を睨みつける……。

●グリモアベース
「ヒーローズアースで、ヴィランによる人質事件が発生してしまうのだ」
 少年めいた見た目の賢者、ムルヘルベル・アーキロギアはそのように述べた。
 事件は白昼堂々、とある高層ビルのパーティ会場で発生するという。
「首謀者は『アパリシオン』と名乗るヴィランである……の、だが」
 ここで一つ話がややこしくなってくる。
 実はヴィランの正体は、他ならぬこのパーティの主催者なのだ!

「主催者の名は『ガルシア』。この世界では敏腕投資家として有名らしい。
 ま、実際はヴィランとして、ライバルや敵対企業を襲ってきたのであろうよ」
 ガルシア=アパリシオンは、"亡霊"を意味するその名の通り隠蔽工作に長ける。
 ヒーローや当局の追跡をのらりくらりとかわし、私腹を肥やしてきた。
「とはいえ目立ちすぎたせいで、いよいよ隠蔽も限界に達した。
 奴は自らの手下を使って狂言事件を起こし、姿をくらまそうとしているわけだ」
 そして整形や偽装で別の人間に成り代わり、いずれまた悪事を働く。

「この大胆な狂言事件には、間違いなくオブリビオンの影がある。
 しかし、彼奴が行動を起こす前に抑えても逆効果なのだ」
 無論、ユーベルコードを使えば真相を明かすのはたやすい。
 だが確実に余計な手間がかかり、結果としてオブリビオンに時間を与えてしまう。
 となれば予知した事件の発生をあえて待ち、直後に介入するのが最善である。
「人質を救出せねばならぬが、その中に"協力者"となってくれそうな者がいるのだ。
 名は『カナメ』。ガルシアを独自に追う、フリージャーナリストらしい」
 猟兵が事件に介入すれば、彼女は喜んで協力してくれるだろう。
 なにせジャーナリストである。事件現場の実況生中継ぐらいはやるはずだ。
「つまり、オヌシらは人質の救出とヴィランへの対処を考えればよい。
 ……ただし、相手はオブリビオンではない。生かしたまま無力化せねばならぬ」
 アパリシオンはあくまで前座である。本命はその裏にいるオブリビオンだ。
 ヴィランを殺すことは、未来のヒーローの可能性を奪うに等しい。

「悪党の正体を明らかにし、隠れた黒幕を引きずり出して叩き潰す。
 ここまでやって初めて仕事完了というわけだ。油断するでないぞ?」
 そう言うとムルへルベルは、手に持っていた本を閉じる。
「"正義は永遠の太陽だ。世界はその到来を遅れさせることは出来ない"。
 とあるジャーナリストの言葉だ。オヌシらの健闘を祈る」


唐揚げ
 ついにやってきたヒーロー世界! シメジです。
 OP……エッ読んでない?
 では以下のまとめをどうぞ。

●目的
 狂言事件の鎮圧(1章・冒険。『1章補足』参照)
 ???の撃滅(2章・集団戦)
 ???の撃滅(3章・ボス戦)

●NPCおよび舞台設定
『オーサムシティ』
 アメリカかなんかそのへんにある大都市。でかいし騒がしい。
『カナメ』
 上記の街に住むフリーランスのジャーナリスト。19歳。
 正義感が強く、危険な現場に自ら飛び込むタフな性格。日系人。
『ガルシア(アパリシオン)』
 表向きは有能な青年投資家だが、裏の顔は裏工作に長けた凶悪なヴィラン。
 雲隠れするため、手下を使って狂言事件を画策している。

●1章補足
 転送先は問題のビルの外側なので、どうにかして会場に突入する必要があります。
 しかも(ビル内の警備も含め)内部には大量の雑魚ヴィランが存在しています。
 かっこよく蹴散らすなり窓からダイレクトエントリーするなり忍び込むなり、
 自由に突入方法を考えてみてください。

●その他
 今回は普段と違って割とさくさくプレイングを採用してみようと思います。
 章ごとの採用人数は多くても15名様ぐらいになるのではないかなーとか。
 合同プレイングでご参加される場合、なるべく同時に送信頂けると助かります。

 だいたいこんなところです。ちょっと長くなりましたね。
 ともあれ皆さん、ヒーローズアースでお会いしましょう!
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第1章 冒険 『人質を救出せよ!』

POW   :    真正面から突破し、敵を蹴散らす

SPD   :    屋内に侵入し、敵を速やかに仕留める

WIZ   :    抜け穴を作り、人質たちを安全な場所へ誘導する

👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​

種別『冒険』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


●Accident!
「さて皆さん、今日は招待に応じていただきまことに感謝しております……」
 高層ビルの上階層をまるまる1階ぶん利用した、ド派手なパーティ会場。
 壇上に立つ青年投資家ガルシアは、アルカイックスマイルを浮かべてスピーチする。
 招待客の殆どはビジネスパートナーのVIPばかりである。
 無論、彼が他ならぬヴィラン本人だとは夢にも思わない。

 そんなパーティ会場に、やや不釣り合いなベレー帽の若者の姿。
(なんでもいい、なにか決定的な証拠を掴まなきゃ!)
 様々なコネをフル活用して無事潜り込んだカナメは、じっとガルシアを見据える。
 この娘、細かいことはあとから考えるきらいがある。向こう見ずなのだ。
 ……するとその時! 突然の銃声!
「全員動くな! 両手を頭の後ろに置いてその場に伏せろ!!」
 のっぺりとした黒のマスクで顔面を覆った武装ヴィランどもが大挙して雪崩込んできたのだ!
 パーティ会場は阿鼻叫喚に包まれる。壇上のガルシアは慌てて客を落ち着かせた。
「皆さん、落ち着いてください! 彼らの言う通りにしましょう、危険です!」
 なるほど、犯人達を刺激しないよう、理性的な一般人を演じるという筋書きか。

 だがそこで、カナメはヴィランどもの言いなりになることなく、
 壇上にツカツカと歩み寄ると、ビシッとガルシアに指を突きつけた!
「下手な三文芝居打ってんじゃないわよこの大根役者! そうはいかないんだから!
 どうせゴタゴタに紛れて雲隠れしようってハラなんでしょ? そんなの……」
 がしゃりと、カナメの後頭部にヴィランの銃口が押し付けられる。
 無論、ガルシアは何を言っているのかわからないという顔で知らぬ存ぜぬだ。
 だがカナメは、ヴィランどもと壇上の男が意味深に目配せしあうのを見逃していない!
(ああもう、またやっちゃった……さすがに今回はダメかなあ……)
 真実が葬られることを惜しむように、カナメが唇を噛みしめる。
 このままでは、すべてが悪党どもの思うがままだ!
●備考
 事件現場のパーティ会場は『高層ビルの上階層』に当たります。
 1階ぶんのスペースをまるまる使った巨大な会場は壁面がガラス張りになっており、
 なんらかの方法で該当フロアまで浮遊(上昇)すればダイレクトエントリー可能です。

 屋上もしくは地上階から突入する場合、ビル警備員に扮したヴィランが立ちはだかります!
 ユーベルコードの指定は必要ないので、自由に蹴散らす演出をプレイングしてみてください。
ハル・ウロハラ
ヒーロー!ヒーローしちゃっていいんですねっ!
ひゃーっはー!!

現場の窓にドラゴニアンチェイン、どかーんってふっとばしてチェーンでダイレクトアタックですっ!
「私が来たっ!」
派手に突っ込めば混乱しますか?
望むとこですよハルは当たり判定小さめなのがウリですからねっ!
暴れます!



●Appears!
 高層ビルの周辺は、内部の騒ぎと裏腹に不気味なまでに平和だ。
 それも当然だろう、なにせこのビルそのものがガルシアの所有物件であり、
 警備員も何もかもヤツの息がかかったヴィランばかりなのだ……!

 そんな高層ビルを見上げる、近隣ビル屋上!
「ヒーロー! ヒーローしちゃっていいんですねっ!」
 悪徳の塔めいたビルを見上げ、ハル・ウロハラはハイテンションで飛び跳ねる。
 14歳の少女にしてはだいぶ幼げな感があるが、そもそもからして家出娘である。
 好奇心にしたがって世界を飛び回る少女に、怖いものなどありはしないのだ!
「よーしっ、こうなったら派手にいっちゃいますよーっ!!」
 言いながらハルはとてててっと屋上の反対まで駆けていき、
 ギリギリのところでクラウチングスタートめいた姿勢を取る。
「せーの……どーんっ!!」
 そしてすさまじい速度で駆け出した! あっという間に最高速に達し……。
「じゃーんぷっ!!」
 力強くビルの縁を蹴り、飛んだ! 背中の翼が雄々しく羽ばたく!
 ドラゴニアンの面目躍如。斜め上の滑空でさらにスピードを加速したハルは、
 目的となるフロアのガラス壁へ大きく手を伸ばす。
「ひゃーっはーっ!!」
 気合一閃、掌から放たれたドラゴンオーラが波動となってガラスに激突。
 戦車砲にも耐えうるを評判の防弾ガラスはあっけなく砕け、
 勢いを落とすことなくそのまままっすぐにフロアにエントリーだ!
「なあっ!?」
 近くを見張っていた不運な雑魚ヴィランが素っ頓狂な声をあげる。
 慌てて銃を構えようとした瞬間、その両腕にオーラの鎖が絡みついた。
「おりゃーっ!!」
「ぶげぇっ!?」
 そして着弾! 砲弾めいた勢いのハルの飛び蹴りが顔面ストライクだ!
 繋がったままの鎖を支点にハルはぐるりとフロアを一周し、
 さらに外壁近くを守っていたヴィランどもを蹴って殴ってぶっ飛ばす!
「おごーっ!?」
「ごはっ!?」
「ぐげぇっ!」
 飛び石めいて頭を蹴り渡り、呆然としたフロアのど真ん中に着地。
 ヴィランも人質達も、もちろんガルシアもカナメもぽかんとあっけに取られていた。
「ふふーん……」
 そしてゆらりと立ち上がったハルが、びしっとポーズを取る!
「私が来たっ!!!」
「な……だ、誰だお前は!? くそっ、殺せ! 相手はガキだぞ!!」
 咄嗟のことに演技をかなぐり捨てたガルシアが吼える。
 ヴィランどもが自動小銃を構えトリガを引く――BRATATATATAT!!
「望むとこですよハルは当たり判定小さめなのがウリですから! ねっ!!」
 なるほど言葉通り、ハルは床に這うかのように大きく身を縮こませると、
 火線をくぐりぬけて疾駆。ひとり、またひとりと雑魚どもをぶちのめす!
「す、すごい! あなた一体何者っ!?」
 思わずカナメが声をあげた。
 五人目のヴィランの股間を蹴り飛ばしたハルは、その言葉に振り返るとニカっと笑いサムズアップ!
「ハル・ウロハラ14歳、見ての通りの猟兵ですが!?」
 ……なぜに疑問形なのか。妙にドヤ顔だし。
 ともあれこれで、フロアは大混乱に陥ったのだ!

成功 🔵​🔵​🔴​

鳴宮・匡
◆アドリブ歓迎
◆連携OK

……まあ、正義って柄じゃないしな
「正義の味方」のための露払いに徹するとするか

敢えて正面から襲撃をかけて警備のヴィランを誘き寄せる
別の経路から侵入する猟兵たちに向く目を逸らすのがメインだ
死者を出さない程度に【破壊工作】なんかも行って
出来るだけ派手に立ち回る
突破されるのが巧くないと思えば、こちらに人手を割くだろうし
その分、他の経路の警備は手薄になるかな

武力と機動力を奪う程度で留めて殺害はしない
必然的にいつもより多少時間が掛かるだろうから
知覚は相手の攻撃動作を察知するのに振り向けて
消耗を抑えるために回避側に意識を割くよ

……ま、このくらいは「いつも通り」だ
特段、気負う必要もない



●Assault!
 上階層が大変な騒ぎになっている間、同ビルの地上階エントランス。
 一見ごく普通の平凡な見た目をした青年が、緩い足取りで回転ドアをくぐる。
「お客様、申し訳ございません。本日は都合によりビルを閉鎖しておりまして」
 スーツ姿のゴツい黒人が歩み寄り、表向きは穏やかに青年に言う。
 だがその体躯と雰囲気は明らかにカタギではない。なにより、
(銃を隠すなら、もうすこしマシな携帯の仕方をしろよな)
 胸元の不自然な膨らみは、傭兵である鳴宮・匡からすれば一目瞭然だ。
 黒人のSPの足の運び、目の動き、わずかな所作から戦力を計る。
(――二階に狙撃手が二名。奥に自動小銃持ちが四名……ふーん)
「お客様? 失礼ですが速やかにご退場を……」
「ああ、悪い。忘れてた」
 BLAM!!
「アがっ!?」
 なんたることか。匡はまるで世間話でもするような面持ちのまま、
 無造作に愛銃を抜き黒人の両膝を一瞬で撃ち抜いたのだ!
「ボディアーマーだけで対策取ったつもりか? なら甘すぎるぜ。
 普通は腰から下を撃たれないようにカバーリングを……っと」
 BRATATATATATAT!!
 フロア奥からの銃撃をするりとかわし、匡は冷静に柱の陰へ身を隠す。
(死者は出すな、か。ま、ヴィランがどうとかはどうでもいいけどさ)
 この世界にはつきもののルールに内心で嘆息しつつ、
 匡は銃撃の合間に的確に反撃を行い、一人また一人とヴィランを戦闘不能に陥れるのだ。

「HQHQ! エントランスホールにて侵入者と交戦中! 応援を求む!」
 後方でかわされる連中の通信も、匡の鋭敏感覚には全て届く。
 青年が柱から飛び出した直後、特殊徹甲弾を使用したミニガンが火を噴いた。
 強化コンクリート製の柱がスイスチーズのように穴だらけになって砕け散る。
 無論、それも読んだ上での避難移動だ。匡のあとを弾丸が追う!
 BRATATATAT! BRATATATATATAT!!
「そうそう、その調子でどんどんこっちに注目してくれよ」
 リロードの合間を縫った精密な射撃で追加兵力を次々に無力化する匡。
 彼の弾丸はそのことごとくが、ヴィランどもの手・肩・膝のいずれかを穿っている。
 相手が警戒を強めるように、突入を試みるようなふりも忘れてはいない。
「でないと、露払いに徹した意味がないだろ」
「おいどけ、俺がまるごとふっとばしてやる!」
「っと」
 匡はカバーリングしていた物陰から素早く前転移動で飛び出した。
 直後……KA-BOOOOOOOOOOOM!!
「ロケットランチャーまで出すのかよ、まったく――」
 さすがにこれほどの火力は、いかに傭兵とて荷が勝つか?
 ……否。彼が呆れたのは、敵が持ち出してきた火力の過剰さについてではない。
 匡はあえて身を晒す。当然のごとくに、巨漢ヴィランが二発目を装填し構えた!
「――道具を使うなら、もっと効率的に使わないと、だぜ?」

 ……BLAM! KA-BOOOOOOOOM!!
「「「うわああああああっ!?」」」
 彼は自らめがけて飛来するロケット弾を、発射直後に撃ち抜いたのだ。
 ランチャーを中心に小爆発が発生し、敵の防衛線は大きく足並みを乱した!
「……ま、正義って柄じゃないしな」
 降り注ぐ弾雨をジグザグ移動で回避しつつ、匡はひとりごちる。
(このくらいは"いつも通り"だ。別段、気負う必要もない)
 彼にとって、雨の中も弾丸の中も、さして変わりはしないのだ。

成功 🔵​🔵​🔴​

ユーリ・ヴォルフ
この世界は頭脳や資金力、裏工作がより強くものをいうのか
だがこれは世界共通であってほしい
「悪は必ず滅ぼされる」とな!(正義悪の定義はさて置き)
いつかはこの世界のヒーローに会ってみたいものだ

背の翼で飛んで窓から襲撃するとしようか
人質を傷つけず、そしてヴィランを殺さぬ様気をつけねば
命は失われたら終わりだ
生かすことがは殺すよりもなんと難しい事か!

飛行で窓まで飛び、窓を割って飛び込み受け身を取るダイナミック侵入
そのままの勢いから「伏せろ!」とカナメに呼びかけ
立っている周囲の悪の頭目掛けて
『範囲攻撃』『吹き飛ばし』『属性攻撃』(風)でふっ飛ばし転がしてやる
人質を全員伏せさせたのが運のツキだったな
良い的だ!



●Approach!
 BRATATATATAT……BLAMBLAM!! BOOOM!!
「始まっているようだな」
 ユーリ・ヴォルフは巨大なビルを見上げ、ひとり呟いた。
 この高層建造物を打ち立てるまでに、どれほどの無辜の人々が苦しめられたのか?
 姿の見えぬ犠牲者達を思うほど、彼の義憤は心の裡で燃え上がる。
(これまで多くの未知の世界を旅してきたが……)
 ばさり。橙色の翼が雄々しくはためき、彼は浮かび上がる。
(この世界は、武力よりも頭脳や資金力、裏工作がモノをいうのか)
 嘆かわしいことである。他のどの世界にもそれぞれの悪というものがある。
 圧政を敷く領主。
 村々を脅かす怪物。
 あるいは彷徨い出た化生やおぞましき邪神――。
「だが、どのような世界であれ、決して変わらないことがある」
 どんな世界でも共通であってほしいと、心から願うことがひとつある。
 彼の闘志に呼応するかのように翼が翻り、風を切って空を征く!
「すなわち――」
 ふわり。一瞬のホバリング、上層階の様子が目に入る。
 先に突入した同族の少女が暴れまわり、ヴィラン共がそれに応戦する。
 怯えたように伏せる人々。ただひとり仁王立ちする若い女の姿。
 彼はそれらを一瞬で双眸に捉え、飲み込み、再び翼で大気を打った。

 ……KRAAAAAAAAAAASHッッ!!

「「「新手か!?」」」
「伏せろッ!!」
「ふぇえっ!?」
 突如のエントリー、そして鋭いユーリの声に、カナメは素っ頓狂な声を上げた。
 そして言われるがままに、愛用のベレー帽を両手で抑えてその場に伏せる!
「教えてやろう、悪党よ! 悪は必ず、滅ぼされるのだッ!」
 ごおおおう――彼の纏っていたスピードが、そのままに迅風となって吹きすさぶ!
 別の猟兵にかかずらっていたヴィランどもは、この竜巻じみた範囲攻撃をもろに喰らい、
 さながら洗濯機に放り込まれたかのようにぐるんぐるんと振り回される!
「「「ぐえええーっ!?」」」
 壁、柱、あるいは豪華な食事が用意されたテーブルに叩きつけられるヴィランども。
 精妙な魔力のコントロールにより、いずれも気絶はしたが死亡はしていない。
 そして!
「うおおおおっ!?」
「やるな……私の風を受けて踏みとどまるとは」
 受け身姿勢から、ゆらりとユーリが立ち上がる。
 彼が見据える先には青年投資家のガルシア――いや。
「そうか、貴様らが猟兵……ええい、なんてタイミングで邪魔してくれるんだ!」
「それはこちらの台詞だ――ヴィランよ!」
 もはや言い逃れできない状況である。
 獣めいて歯を剥いたガルシア……いや、ヴィラン・アパリシオン!
「ハッハッハッハ! どうやって知ったかわからんが、バカな奴らめ。
 このビルは私のものだ。ここにいるのは全て私の配下なのだぞ!」
 戦力差は圧倒的。袋の鼠だと悪党は高笑いする。
「その増上慢、分厚い面の皮もろとも叩き潰してやろう。
 罪なき人々を巻き込んだのが運のツキだったな。このビルは良い的だ!」
 ユーリはその悪意に一歩も退くことはない。それが彼の信念なのだ!

成功 🔵​🔵​🔴​

天道・あや
敏腕投資家が悪役…!映画や漫画でよくあるやつ!本当にいるんだ…!よし!悪は栄えた試しがない!どっかーんと倒しに行ってみよーー!

pow
ここはやっぱり正面突破!地上階のヴィラン達の所に【レガリアスシューズ】で【ダッシュ】で突っ込んだ後、ヴィランの攻撃を【見切り】ながら殴って気絶させたり【グラップル】で掴んで振り回す!で倒した後、【スカイステッパー】である程度跳躍したら【レガリアスシューズ】をフル稼働させてビルの外の壁を滑って一気に昇る!



●Acrobat!
 猟兵の先行突入により騒然としたエントランスホールに、新たな乱入者!
 長い黒髪をなびかせ、いっそ晴れやかな笑顔で駆け込んできた少女こそ、
 誰であろう天道・あや。世界が変わろうとその可憐さ、溌剌さ変わることなし!
「なんだ、今度は女のガキか!?」
「ガキじゃないってーのっ!!」
 一瞬大きく身をかがめたあや、直後にすさまじい勢いで床を蹴る。
 ロケットスタートじみた加速を前に、咄嗟の照準が捉えられるはずもなし。
 BRATATATATATAT!! 弾丸はむなしく彼女のあとを追うのみだ!
「どうしたの? そんな危ないもの持ってるくせに"ガキ"に当てられないんだ?」
「こ、こいつ……ぐわっ!?」
 まるで瞬間移動のように間合いを詰めたあやの、鋭いハイキックがヴィランの顎を打ち据えた。
 白目を剥いて昏倒したガードマンをひょいっと物陰に放り込むあや。
「いやー、それにしても敏腕投資家が悪役とかまさに映画とか漫画でよくあるやつだね!
 こういうアクションシーンもありがち……っと、わわわわっ!!」
 自分が映画の中のスーパースターになったような気持ちに浸っていたところへ、
 容赦のない弾雨が降り注ぐ。あやは咄嗟に物陰へ飛び込んだ!
「やっぱ現実はそううまくいかないよね。でもでもあたしはめげないんだから!」
 いまのあやは、アイドルに憧れるただのワナビーではない。
 世界を越え、どんな怪物をも倒すスーパーパワーを持った猟兵なのだから。
「悪は栄えた試しがない、ってね!」
 やおら柱から飛び出し、敵陣へ駆け出す。当然の如く迎え撃つ砲火!
「甘いあまーい!」
 あやは軽やかに跳躍。さらにひとつ、ふたつと空中を蹴り上がる!
「何ぃっ!?」
「そーれ、どっかーん!!」
 勢いの乗ったソバットが、悪漢三名を文字通りに一蹴だ!
「ふー……ってだめだめ、まだまだ集中しなきゃ!」
 三度駆け出したあやは道中のヴィランどもを次々に殴り飛ばし、
 あるいは蹴り飛ばし、はたまた掴んで振り回すと縦横無尽に暴れると、
 近くにあった窓をガシャーン! と叩き割り、ビル壁面に出た。
「パーティに遅れちゃうや、こういうときは全速前進まっすぐに!」
 何をするつもりだあやよ、いかにスカイステッパーでも限界があるぞ!
 だが彼女はそのまま外へと身を踊りだし……そして、おお。見よ!
「今のアタシの想い、たっぷり味わわせてやるんだから!」
 彼女の足に装着されたレガリアスシューズが、ビル風を吸い込み加速する。
 ローラースケートめいてビル壁面を踏みこむと、
 彼女は風の力を推進力としてまっすぐに壁を駆け上っていくのだ!
「どう? こんなの映画じゃ見たことないでしょ、なーんてねっ!」
 かくして新たな猟兵が、悪の根城を叩き潰しに現れた!

成功 🔵​🔵​🔴​

千桜・エリシャ
悪い奴らをやっつける
――単純明快、一目瞭然
わかりやすくていいことですわ

それでは、わかりやすく会場へダイレクトエントリーと参りましょう
今どきの羅刹は空だって飛べますわ
花時雨を開いて空中戦で風に乗って一気に高く上昇
パーティー会場を見つけたら怪力で蹴破ってエントリー!ですわ!

みなさーん!私が来たからにはもう安心ですわ!
声援に応えるように手をふりふり
ああ、敵さんがいらっしゃいましたわね
沢山いらっしゃいますし…傾世桜花で魅了して同士討ちするように仕向けましょう
まあ!か弱い乙女に銃口を向けるなんてひどいですわ…
あなた達の敵はあちらでしょう?
ふふ、私の言うこと聞いてくれるわよね?
そしてカナメさんを保護ですわ



●Artistic!
 オーサムシティはいくつものビルが立ち並ぶコンクリートジャングルだ。
 いかに優雅な千桜・エリシャとて、灰色の壁に囲まれたなかでは、
 舞い散る胡蝶も桜花も風情を損ないかけていた。
「悪い奴らをやっつける……単純明快、一目瞭然」
 だが彼女はめげない。いいも通りにあでやかに、瀟洒に、そして、
「ふふっ――わかりやすくて、いいことですわ?」
 爛々と、炯々と桜色の瞳を輝かせ、愛用の和傘をくるりと回すのだ。

「となれば私も、"わかりやすく"参るのが風情というものですわね?」
 微笑みながらひとりごちれば、おもむろに"花時雨"をばさりと開く。
 ごうう――黒髪を、強い強いビル風が不躾に翻した。
 だが見よ。華奢な彼女の体が……風に乗って、ふわりと浮かび上がった?!
「な、なんだあれは!?」
「鳥か!?」
「飛行機か!?」
 近隣のビルで勤務中だった人々が、ふわふわと空を舞う姿に仰天する!
「いいえ、羅刹ですわ? 今どきは空だって飛べますもの!」
 窓越しにエリシャはそう言ってウィンクひとつ。いたずらっぽい笑みを残す。
 彼女の理屈の真偽はさておき、現実にその身は宙を舞っている。
 ふわりふわふわ――目に見えぬビル風の流れを皮膚感覚で読み取り、
 精妙なコントロールで己の体を空へと誘っているのだ。まさに達人!
「さあて――」
 そしてやがて、彼女は落ちれば重傷即死は免れぬほどの高度にやってくる。
 ビル風がふっと途絶え、さながら花びらめいてその体を宙に浮かばせた。
 無論、エリシャが落下を恐れることはない。いやむしろ一回転し――。

 ……KRAAAAAAAAASHッ!!

「こ、今度はなんだぁ!?」
 ふわり。ガラス窓を蹴破った羅刹は優雅な仕草で着地する。
 いい加減に慣れてきたヴィランどもは銃を構え……いや。
「あら無粋ですこと」
 疾い。ゆったりとしているような、しかし目にも留まらぬ速度の歩みで敵の間を行き交い、
 エリシャは一瞬で敵を無力化、銃を取り落とさせ昏倒させたのだ!
「な」
「みなさーん!」
 唖然とするヴィランから眼を離し、彼女が見やるのは人質達。
「私が来たからにはもう安心ですわ! どうぞごゆるりと――」
「こ、このアマぁ! ふざけやがって!!」
 ふりふりと手などをば振っていたエリシャに、剣呑なナイフを構えた男が掴みかかる!
 ヴィランの中には、銃を使うより刃物のほうがよほど強い輩もいるのだ。
 だが!
「まあ、か弱い乙女にそんな恐ろしいものを向けるだなんて……」
 エリシャが振り向けば、まるで和傘は溶け崩れるように桜花に変じる。
 舞い散る桜吹雪がヴィランを撫でれば、男の表情はとろんとしたものに。
「ひどいですわ。あなた達の敵は……あ・ち・ら。でしょう?」
 にこり。空恐ろしい瞳でついと指を向ければ、同じように惚けた悪党達。
 ヴィランどもは互いを見合い、血走った眼を向け合う!
「「「ウオオオオオオオーッ!!」」」
「ふふっ、私の言うことを聞いてくださる殿方は好きですわ~」
 くすくすと笑うエリシャは、そこでふと足元を見下ろした。
「さ、カナメさん? もうご安心くださいましね?」
「あ、う、うん。ありがと……なんてーか、すごいね?」
 ぽかんとしていたカナメは、手を取って立ち上がりつつ苦笑する。
 それを受けたエリシャは、振り袖で自らの口元を隠しつつ、
「このぐらい、乙女の嗜みでしてよ?」
 などと、流し目を見せつつ嘯くのであった。

成功 🔵​🔵​🔴​

灰炭・炎火
あーし、細かいこと考えるの苦手やんね!
だから、もう武器を構えてどかーんって突っ込むよ、どかーん!
壁とかわからーん! 全部ぶっ壊すかんねー!
炎の羽をばーっと広げて、外から勢いよく突っ込むよー!

「さぁさぁ、あーし参上! うん、邪魔するなら、えーっと……あーしの斧、すっごい重くて痛いから、当たると多分、ぱちーんだけど。だいじょぶ? 命とか」



●Aberrant!
 ガラス窓を突き破ってのダイレクトエントリー。
 はたまた、堂々と地上階からの強行突入。
 これまでの猟兵はおおよそそのどちらかだったが――。
「どかーん!!」
 ガゴォンッ!!
 見よ。転送直後にぱたぱたとスピーディにビルへと羽ばたき寄り、
 まるで自宅のドアを開くかのように壁を破壊したフェアリーの姿を。
 そう、フェアリーである。30cmに満たぬ、異世界の小さきもの。
 だがこの光景を見るものは、きっと彼女の、灰炭・炎火の存在には気づけまい。
「もいっちょどかーん! どーん!!」
 ガゴォン!! ゴバァアアンッ!!
 炎の羽を広げた彼女が握り、振るう得物。
 強化コンクリート、はたまた軍用の分厚い鋼鉄扉すら紙くずめいて砕く巨塊。
 然り、巨塊である。鋼鉄球を振り回す赤い重斧、なんとそのサイズ3m超!
「あーし、細かいこと考えるの苦手やんねー!」
 ガゴォン!! 柱も壁も、炎火の前ではなんら変わりがない。
 "ニャメの重斧"を振るえば、結果としてそこに道が生まれるのだ。
「壁とか扉とか、鉄とかこんくり? とかようわからーん!
 ぜーんぶ全部ぶっ壊して進めば変わらんかんねー! はいどーん!!」
 バゴォン……!! まるで建設重機じみた、何者にも止められぬ行進である。
 ただでさえ巨大な斧は、見た目以上の超高密度による馬鹿げた質量を得ている。
 ビルの中央まで出た炎火は、今度は天井/床をバゴンバゴンと砕いて垂直に登っていくのだ!

 ……そして、パーティ会場!
「猟兵どもめ、覚悟し――ん?」
 階下から響く謎の振動と、妙な節のついた何者かの声。
 亡霊めいたヴィランコスチュームに変じたガルシア……アパリシオンが、
 怪訝な顔で足元を見下ろした、まさにその時である!
「ばっこーん!!」
「ぬおわーっ!?」
 その直下をぶち破り、炎火がその名の通り炎めいて勢いよく飛び出してきたのだ!
 なんとなく、キノコとかコインとか集めて火の玉とか出しそうである。
 ともあれ爆発的に吹き飛んだ瓦礫に紛れ、アパリシオンも壁まで飛ばされる。
「ぐげっ!!」
「はーよっこいせー……と、あら?」
 きょろきょろ。炎火はなんだかすさまじい有様のフロアを見渡す。
 まあ足元のぶち抜いてきた穴はいいとして、肝心のヴィランはどこだ?
「ぐ、ぐぐう……な、何者だ、貴様……」
「おー、そこにおったんやんね! よかったよかった!」
 よろよろと立ち上がるアパリシオンにいまさら気づき、
 あれれどうしてあんなボロボロで汚れてるんだろう? と他人事めいて首を傾げつつ、
 巨大な斧を肩に担ぎ……というか、斧にひっつくようなサイズ差なのだが、
 とにかくそのように振り回しながら笑顔で見得を切る。
「さぁさぁ、あーし参上!」
「だ、誰だお前は……! 名前ぐらい名乗れ!」
「うん、邪魔するなら、えーっと」
「聞いてないな!?」
 イマイチ気の抜けるやりとりである。
 しかも決め台詞らしいものを考えてなかったのか、炎火はいまさら考え込むと、
「あーしの斧、すっごい重くて痛いから、当たると多分……ばちーん! だけど」
「具体的に言え具体的に!」
「だいじょぶ? ――命とか」
「うっ」
 あっけらかんとした物言いなのが逆に恐ろしい。
 炎火はきょとんとした顔で首を傾げる。これが……暴力の化身だ!!

成功 🔵​🔵​🔴​

夏目・晴夜
パーティー会場って肉料理はあるのでしょうか

まあ、早いとこ会場へと向かいたいところですね
どんな道でも真っ直ぐ歩いていった方が早く着くものでしょうから、
戦闘特化な人形のニッキーくんで壁をぶち壊しながら悠々と進んでいきます

邪魔する敵は優しくビンタでまとめてなぎ払わせます
敵が攻撃してきても、ニッキーくん可愛くてデカくて可愛いので盾としても申し分ないですね

ニッキーくんのどこがホラー映画のシリアルキラーですか
普通にめちゃくちゃ可愛いでしょうが
だってデカいし、お子様に大人気のアニマル要素も足しておりますし

いや、可愛いですよね?
可愛いですよね、普通に
ええ、もしかして可愛くない――や、可愛いですよね、どう見ても



●Aesthetic……?
 さて、驚くべきことに壁だの扉だのをぶち抜く猟兵は一人ではなかった。
「……パーティ会場って、肉料理はあるんでしょうか」
 バゴンッ!!
 ドゴッ!!
 ゴガッ!!
「いや魚料理という可能性も……私としてはステーキがいいんですが」
 ホラー映画のシリアルキラーめいた恐ろしいからくり人形を先導させ、
 夏目・晴夜はものすごくどうでもいいことを考えながら後に続く。
 もちろん立ちはだかる防壁やらシャッターやらは全部砕く。
 どう見てもダース単位で人を殺していそうな人形の名はニッキーくん。
 優しく可愛いという形容詞がついているが、どう見てもシリアルキラーだ。
「今度はなんだぁ!? ふざけやがって!!」
「おい、絶対に止めろ! これ以上誰も通すな!!」
 当然のごとく、重武装したヴィランどもが立ちはだかるのだが……。
「あ、ニッキーくん。殺しちゃダメですよ。穏便に穏便に」
 シリアルキラーめいた人形はこくんと頷き、のっしのっしと敵に近づく。
 BRATATATATATAT! BRATATATATATATAT!!
 悲鳴を上げながらマシンガンをぶっ放すヴィランども!
 弾丸を物ともせずにのっしのっしと近づく巨大な人形! コワイ!!
「なんだこの人形!? なんだよこの見た目!?」
「どう見てもシリアルキラーだろこれぇ!!」
 ぶーん。ニッキーくんが無造作に丸太めいた腕を振るう。
「「グワーッ!?」」
 暴威とはまさにこのことである。文字通りの一薙ぎだ。
 背後の鉄扉もろともぶっ飛んだヴィランどもは、その派手な破壊に反して気絶で済んだ。
 全身血まみれで頭からだくだく赤いの垂れ流してるけどまあ大丈夫だろう。
「…………」
 そんな惨状を前に、晴夜はしばし静かに佇んでいる。
 さすがにこの有様では、ニッキーくんを叱りつけるのだろうか?
 いやそもそもからくり人形を叱りつけるってなんだ。人形だぞ。
「ニッキーくん」
「…………」
「偉いですね! ちゃんと殺さずに無力化したなんて!」
 ごうーん。巨体の人形が照れくさそうに頭をさする。
「いやあ、それにしても見る目ないですねこの人達(げしっ)」
「ぐえっ!?」
「ニッキーくんのどこがホラー映画のシリアルキラーですか(げしっ)
 普通にめちゃくちゃ可愛いでしょうが(べしっ)わかりません?(どかっ)」
「「ぐえええ!?」」
 完全にKOされたヴィランどもを一瞥し、再びニッキーくんと歩き出す晴夜。
 本人的にはあの評価が心底意外なのか、何度も首を傾げている。
「だってデカいし、お子様に大人気のアニマル要素も足しておりますし……ねえ?」
「…………(重々しくうなずく)」
 殺人の計画を立てている凶悪犯罪者達にしか見えない光景だ。
「……いや、可愛いですよね? 可愛いですよね、普通に……」
 ぶつぶつ。考え事をする晴夜の前でぶんぶん豪腕を振るうニッキーくん。
 立ちはだかるヴィラン。放たれる弾丸。物ともせずに突き進む巨体。
「「「ば、化け物ーっ!?!?」」」
「ええ……もしかしてかわいくない? や、可愛いですよねどう見ても」
 美的センスは人それぞれなのではなかろうか。
 どちらにせよ、とりあえず死者は出なかったようだ。やさしい。

大成功 🔵​🔵​🔵​

神威・くるる
パーティーかぁ……美味しいもんよぉけあるんやろなぁ(人含む)
任務ついでにひとつまみ、とかアカンやろか

とりあえず中に入らなどうにもなれへんね
とりあえず正面からお邪魔させてもらおかな

ヴィランはん、おつとめお疲れさんどすー
え?うち?ややわぁうちの顔忘れたん?イケズな旦那はんらやわぁ
仮にも今回の作戦の実行幹部やのに(嘘)

なぁんて【誘惑】で強化した【催眠術】で思い込ませて
こういうんは堂々と入る方が案外バレへんて聞くし

せっかくやしビルの防災とか管理システムのある部屋に案内してくれへん?
退路の確保と逃げ道押さえるんは大事やろ?

途中でバレたり無事部屋に着いたら
【猫じゃらし】の無間地獄でおねんねしてもらおかな



●Alluring!
 地上階、エントランスホール。
 猟兵の陽動によって激戦が繰り広げられたそこは、散々な有様だった。
 そこら中に弾痕が刻まれ、足元にはカーペットじみて転がる無数の弾丸。
「あやや~、まさに死屍累々って感じやねえ」
 そんな状態のエントランスに、悠々と入場した少女がひとり。
 耳やしっぽが示す通り、猫めいた足取りでしゃなりしゃなりと地獄を歩く。
「く、くそ……」
 かろうじて激戦を生き延びた(死傷者は出ていないのだが)らしきヴィランが、
 瓦礫を払い除けながら立ち上がる。そして顔を上げぎょっとした。
「うおっ!?」
「ヴィランはん、おつとめお疲れさんです~」
 神威・くるるが目の前に立ち、にこやかな笑顔で見下ろしていたからだ。
 しかもひらひらと手を振り、ご覧のように呑気な挨拶までする始末。
「な、なんだおま……っ」
「え? うち? ややわぁ、うちの顔忘れたん?」
 むしろそれが心外だとばかりの反応に、ヴィランは言葉を失う。
 ……何故だ? この年若い子供の言葉は、妙に抗いがたい響きがある……。
「イケズな旦那はんらやわぁ。ほんまに覚えてないんやろか?」
「い、いや、その……誰、だったっけか」
 にこり。どこか呻くような声に、くるるは満面の笑みを浮かべる。
 くねくねと、黒猫の尻尾が愉しげに揺れていた。
「冗談ようけお上手やねえ。うち、仮にも今回の作戦の実行幹部やのに」
「ああ……?」
 そんなはずはない。この計画は極めて機密を保持して進められたものだ。
 こんな子供が、ましてや見たことのない相手がメンバーなわけが……。
「……あ、ああ。そうだった、かな……?」
 だがヴィランはぼんやりとした様子で、頭を振りながら言った。
 そうだった、ような気がする。考えようとすると意識がふらつく……。
「そうそう。せやから旦那はん、ちぃとうちのこと道案内してくれへんやろか?」
「道案内……そう、だな、関係者は案内しないと……」
 ふらふらと立ち上がる男をにこにことした表情で見上げ、くるるは先導させる。
 ……無論、彼女が実はヴィランの一味でした、などということはない。
 これはすべて彼女の催眠術による暗示だ。話しかけた時点から術は始まっていた。
「まずはそうやねえ、ビルの防災とか管理システムとか……そのへんのある部屋に案内してくれへん?」
「ああ……わかった」
 ヴィランのインナーマイクには地下本部からの通信が絶えず入る。
 だが彼はそれにかかずらうことなく、くるるを先導してセキュリティルームへ急ぐ。
 途中で見咎められたとしても、くるるは同じ方法で籠絡してしまうことだろう。
(退路の確保と逃げ道押さえるんは大事やんなぁ。ふふふ)
 任務ついでにパーティの豪勢な料理をひとつまみ、というのも悪くはない。
 だが彼女は狡猾で、用意周到な性格なのだ。念には念を、である。
「ほな、しっかり道案内、よろしくなあ?」
 猫じゃらしをひとつ手に、妖しの猫は陶然と囁いた。

大成功 🔵​🔵​🔵​

柊・明日真
【アドリブ歓迎】
道は作ってくれてあるみたいだな。なら正面から行くとするか。邪魔するぜ!

あらかた蹴散らしてあるようだが、残ってる奴がいるなら【ダッシュ】で接近、大人しく寝ててもらうぜ。

一応人質の安否だけ確認しておくか。
一通り片付けたら【ライオットシュート】で天井をぶち抜いてショートカットだ。
一気にケリをつける!最短距離で行くぜ!


天命座・アリカ
あれは人か?ヒーローか?美少女か?
違うね答えは天才美女さ!
始めようか始めよう!悪事は逃さぬ天命座!

では、私の美貌で囮を……え?もう始まってる?
フライングかい仕方ない!スポットライトは譲ろうか!
それでは私は本丸へ!騒ぎに乗じて進むのさ!
侵入ルート?駄目だよちゃんと玄関からさ!天才は礼儀も重んじる!
お邪魔するよこんにちは!少し階段をお借りする!

有象無象は無視さ無視!悪いね私は白ウサギ!お茶会にだね遅れちゃう!
飛んで跳ねて回って踊る!アスレチックのアトラクション!
近づく人はご用心!手足が滑るよ事故なのさ!
最悪、空間跳躍を挟もうか!短距離ならね問題なく!演者に触るはマナー違反!

※アドリブ大歓迎


ビードット・ワイワイ
では我は高きビルよりUCにて
滑空装置を作りそれにてガラスを破りて強襲せり

ヴィランどもよ目にも見よ
見たならそのまままた別に作りし閃光爆弾を使用
これにてヴィランに【気絶攻撃

逃れたものがいようと【ダッシュ】し【怪力】にて捕縛

これにて第一幕は閉幕せり
小心者の首魁程度我らであれば容易に捕縛せり
逃げたいのならば準備しよ
汝の破滅はすぐそこにあり



●Alliance!
 かくして地上階のルートは完全に制圧された。
「っと、道は作ってくれてあるみたいだな」
 やや遅れて駆けつけたのは、柊・明日真。そしてもう一人。
「私の美貌で囮を、ってもう始まってるのかーい!」
 などとノリツッコミをかます天命座・アリカである。
 とはいえ上階層からは、いまだ事態が済んでいないことが音と振動で察知できた。
「ようし、こうなりゃ急いで乗り込むしかねえな!」
「フライングなら仕方ない! スポットライトは譲るけど」
 ふたりは互いに目線を交わし、頷き合う。
「まっすぐ邪魔させてもらおうか!」
「それでは私ら本丸へ! 騒ぎに乗じて進むのさ!」
 そして駆け出す。二人を止められる者など居はしない!

 ……一方、高層ビルを望むビル屋上。
「見たり見たり見たり。悪徳の塔を見たり」
 ビル風吹きすさぶ屋上に屹立するは巨大な鋼鉄の躯体。
 すなわちウォーマシン、ビードット・ワイワイである。
「すでに戦端切って落とされり、事態は鎮圧完結なり?
 されど悪の声は届かれり、いまだ継続中と判断せり」
 ガシャン! と、音を立てて、背面部に背負ったコンテナが開く。
 すると中からせり出てきたのは、いびつな形の滑空装置だ。
「風は強く吹き荒れり、我は乗りたる翼を得たり。
 然らば空舞う鳥となれり、いざや向かうは戦場なり」
 ゴシュウウ――蒸気を噴き上げ、巨大なボディが浮かび上がる。
 そして風を纏い、3m近い巨体がごうごうと滑空しフロアを目指す!

「こいつで最後だな、おりゃああっ!!」
「お邪魔するよこんにちは! 少し天井抜いたのさ!」
 轟音を立てて天井/床が砕け、力強い跳躍とともに明日真とアリカがエントリーだ。
 どうやらさらに上の階から、最後のヴィランどもが詰めかけたと見えた!
「ボスはどいつだ? あそこか!」
 明日真は目ざとく見咎める。猟兵達を相手に悪あがきを続ける敵を!
「きちんと確認大事だね! でもでも雑魚がたくさんだ?」
「まずはあいつらをなんとかしねえとか」
 身構えたふたりに、へたりこんでいたカナメが振り返る。
「き、気をつけて! そいつら他の奴らよりちょっと強いみたい!」
 彼女は持参していたカメラを回し、この模様を完全生中継している。
 フリージャーナリストのタフネスだ。タフでなければ生き残れないのだ。
「あんたがカナメか! よろしくな!」
「挨拶大事ね感心感心! けれども敵がこっちへ来るよ!」
「「「死ねぇええええっ!!」」」
 なんらかの殺傷性が高いと思しき武器を構えた強化ヴィランどもが迫る!
 だがその時である。KRAAAAAAAAASH!!
「なんだぁ!?」
 ズシンッ!! ガラスを突き破り、着地するビードット!
「なんだいなんだいあの派手さ! どいつもこいつも派手好きかい!?」
「然り然り然り。そしてヴィランどもよ目にも見よ」
「「「何っ!?」」」
「見たならそのまま倒れるがよい」

 ――カッ!!

 強烈な閃光がフロアを満たす! フラッシュグレネードだ!
 気絶することはなかれど、ヴィランども、そしてアパリシオンは大いにひるんだ!
「うおっ、眩し!!」
「こいつは強烈目が痛い! けれども私はへこたれないっ!!」
 素早くアリカが駆け出し、床を蹴り瓦礫はおろか天井や柱を縦横無尽に乱れ舞う!
「な、なんて速さだ!?」
「有象無象はお役御免! 悪いね私は白ウサギ! お茶会にだね遅れちゃうっ!」
 ドカッ! ドゴッ! バキャッ!!
「こいつは失礼ご容赦くださいな! 手足が滑るよ事故なのさ!」
「やるじゃねえか! あとは……大ボスだけだな!」
「然り然り然り。これにて第一幕クライマックスなり」
 猟兵達を払い除けたアパリシオンが、三人を睨みつける!
「くそっ、まだ現れたのか!? お前達は一体なんなんだ!」
 そこでアリカ、にんまりと嬉しそうに笑って一歩踏み出す。
「あれは人か? ヒーローか? 美少女か? 違うね答えは天才美女さ!」
「何だ一体!?」
「始めようか始めよう! 悪事は逃さぬ天命座!
 飛んで跳ねて回って踊る! ヴィランを倒して決着さ!」
「そういうこった、一気にケリつけるぜ!」
「逃げたいならば準備しよ。汝の破滅はすぐそこにあり」
「お、おのれぇ……っ!!」
 アパリシオンがなんらかのユーベルコードを発動しようとする。
 だがこちらのほうが疾い! まず明日真が先陣を切った!
「うぉりゃああああッ!!」
 裂帛の気合とともに跳躍一閃、鋭い飛び蹴りを見舞う!
 咄嗟のクロスガードでこれを受けるものの、衝撃は大きい!
「す、すごい! ニュースをご覧の皆さん、これが噂の猟兵なのです!
 オブリビオンを倒すためにやってきた、私達の新たなヒーロー!」
「そうさそうともその通り! 私達こそ猟兵さ!」
 カナメの名実況を受け、いよいよ胸を張るアリカが言う。
 ざりざりと大きく床を滑って後退した敵めがけ、こちらも跳躍!
「それでは一つお見せしよう! これこそ一世一代大魔術!
 短距離ならね問題なく! 演者に触るは――マナー違反っ!!」
 一瞬その姿が格子模様に覆われたかと思うと、消失。
 直後、アリカはアパリシオンの背後に現れ、鋭い回し蹴りを叩き込んだ!
「がは……っ!?」
 たまらず倒れ込んだヴィランを、ビードットが素早く押さえつける。
「捕縛完了せり。これにて第一幕、閉幕せり」
「こういうのも、悪くねえな!」
「やったね猟兵大勝利! 次なる戦いに乞うご期待!」
 アリカと明日真はハイタッチをする。
 カナメは、そんな彼らの勇姿を誇らしげにカメラで映していた!

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​




第2章 集団戦 『ジャスティストルーパー』

POW   :    フォールン・ジャスティス
全身を【機械部分から放出されるエネルギー】で覆い、自身の【戦闘を通じて収集した敵のデータ】に比例した戦闘力増強と、最大でレベル×100km/hに達する飛翔能力を得る。
SPD   :    イミテーション・ラッシュ
【ジャスティス・ワンが得意とした拳の連打】を発動する。超高速連続攻撃が可能だが、回避されても中止できない。
WIZ   :    マシン・ヴェンジャンス
全身を【機械装甲】で覆い、自身が敵から受けた【物理的な損傷】に比例した戦闘力増強と、生命力吸収能力を得る。

イラスト:もりさわともひろ

👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​

種別『集団戦』のルール
 記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


●アパリシオン逮捕から数十分後
 ――黒幕のアジトは地下にある。
 お縄となったガルシアの証言により、ついに向かう先が判明した。
 オーサムシティ地下100m、秘密裏に作られた秘密基地が決戦の舞台だ!
「私もついてくよ。こんなのほっといたらジャーナリスト失格でしょ!」
 カナメは目を輝かせてそう言った。無論、危険視する声もあるだろう。
「大丈夫だって。これでも色々修羅場はくぐりぬけてるんだから。
 安全な位置からみんなのことをしっかり記録する。それならいいでしょ?」
 ……かくして、向こう見ずなフリージャーナリストが同行することとなった。

●オーサムシティ地下100m・オブリビオン秘密基地
『何……? アパリシオンが逮捕された……だと?』
「はっ……」
 暗がりの奥から響く大音声に対し、ジャスティストルーパーはひざまずく。
 すさまじい圧迫感。この闇の向こうに、オブリビオンのボスがいるのか!
「そしてどうやら、猟兵どもはこのアジトに向かっている様子」
『小癪な……貴様らで相手をしろ。俺様は面倒だ』
「はっ」
 かつてのヒーローを模倣して生み出された、おぞましき改造兵士。
 ひざまずいていたジャスティストルーパーが踵を返すと……おお!
 同じ顔、同じ姿をした無数のオブリビオンどもが整列している!
「ご命令のとおりだ。ここに踏み込んだものは誰ひとりとして生かして返すな!」
「「「ビッグパワーの名のもとに!!」」」
 地下深く、隠されたアジトで猟兵とオブリビオンがぶつかりあう……!
灰炭・炎火
えっへー! あ、そっか、格好よく写ってええねんね! それじゃあーしも撮って撮って! かぁいくかっこよく、ヴィランをやっつけたるから!

飛び回りながら敵に突っ込んで(防具総重量16t)、ニャメの重斧の射程に収めた相手からホノカストライク! どかーんとぶっとばすよ!
……めっちゃカメラ目線で! どやー、とかピースとかしたりして!

……あ! そだ、結社的には、目立ったらあかんのやんね!
えと、今のナシ、あーしは通りすがりのかぁいいフェアリーってことで! ……だめやんね?



●突然の/STRIKE
「えっへー! あ、そっか、格好良く映ってええねんね!」
「もちろん! あなた達のパワフルなとこ、思う存分撮らせてよ!」
 にこにこと浮かれた様子の灰炭・炎火に対し、カメラを構えたカナメは明るく言う。
 これから地下深くのアジトに突入しようというのに、いかにも彼女はお気楽だ。
「それじゃあーしも頑張るねんね! かぁいくかっこよく撮って撮って!
 こぉ、どかーん! どーん!! ってヴィランやっつけたるから!」
「任せといて! 余すとこなく撮っちゃうわ!」
「えっへー!」
 そんなふたりのもとに、ざざざざ……といくつもの足音が近づく。
 暗がりから現れたのは、おお、ジャスティストルーパー!
「「「おのれ猟兵め、ここを通れると思うなよ!」」」
「うっわー! 同じのがいーっぱい出てきたやんねー!」
「あれがオブリビオン……! 炎火ちゃん、やっちゃって!」
「あいー! やったるよー!!」
 炎の翼を広げ、馬鹿げた大きさの斧を振り回し先陣を切る炎火。
 立ちはだかるのは4体のジャスティストルーパーだ!
「「「「ジャスティス……」」」」
「どかーん!!」
「「「「グワーッ!?」」」」
 ストライク! 強烈な横薙ぎがボウリングのピンめいて敵を吹き飛ばす!
 だがどうやら敵にとっても捨て石か。第二波が素早く前に出る。
「「「「フォールン・ジャスティス、起動!」」」」
 バチバチと全身から不穏な電光を放ち、目に見えてプレッシャーが増大する!
 わけても危険なのはスピードだ。その速度、もはやマッハを超えている!
「わっはー、すんごい速さやんねー! けどぉ……」
 ブンッ――ズガァアアアアンッ!!
「「グワーッ!?」」
 超密度超大型の重斧の前には、多少の素早さなど意味がない。
 この単純極まりないただの暴力が、すこぶる敵には凶悪なのだ!
「カメラどっち! カナメちゃんどっちどっち!?」
「こっちこっち!」
「どやー(満面の笑顔でピース)」
「「死ねぃっ!!」」
 カメラ目線でピースを決めた炎火は、そのままぐるんと一回転。
 ジャイアントスイングめいて斧を振るい、敵を再び薙ぎ払う!
「クール! いいよいいよ、サイコーの画が撮れてるわ!」
「えっへー! ……あ!」
 そこでふと炎火は思い出した。彼女が属する『結社』の掟を。
「そだ、目立ったらあかんのやんね……! えと、カナメちゃん?」
「え、何?」
「あんね、んとね、今のナシ。あーしは通りすがりのかぁいい――」
「ちょ、後ろ後ろ後ろ!」
 迫り来る第三波! 炎火は再びの大回転で吹っ飛ばす!
「どかーん!! ……あ、で、なんやったっけ? あ、そうやんね!
 だからね、あーしはかぁいいフェアリーってことで、なんとか!」
「……よくわかんないけど、名前も顔もバリバリ放映されてるよ?」
 カナメは小首をかしげる。炎火も小首をかしげる。
「……だめやんね? 仕方ないやんね! とりあえずぶっとばすかー!!」
「行っちゃえゴーゴー!」
 後のことは考えないことにした炎火であった。

成功 🔵​🔵​🔴​

天道・あや
高い所の次は低い所…うーん、本当に漫画やアニメの悪役みたい…!ま、とりあえず次は地下にGo!……え〜と、カヤメさんだっけ?スクープ取れるといいねっ!あたしもヴィラン倒すの頑張るから一緒に頑張ろうねっ!

WIZ
うわっさっきの人達より強そう…!あたしの想いの乗った重い一撃だと厳しいかも…?う〜ん…よし!ここはあたしの歌で!あ、カヤメさんは離れて隠れててねっ!

敵の攻撃を【見切り】って避けながら鋤が出来たらすかさず懐に【レガリアスシューズ】の【ダッシュ】で入って【サウンドウェポン】で【サンダー!ミュージック!】を奏でて攻撃!



●突然の/THUNDER
 かくして戦端が開かれたなか、天道・あやのテンションはまたしても爆上がりしていた。
「高いところの次は低いところかあ、うーん、ほんとに漫画やアニメみたい!」
「猟兵め、死ねぇっ!!」
「台詞も何もかも、まんま悪役だしぃ!」
 襲いかかってきたジャスティストルーパーの攻撃を間一髪かわし、
 反撃のパンチを叩き込むあや。敵は吹き飛ぶ。だが手応えが浅い!
「あやちゃん、大丈夫!?」
 カナメの声ににこっと明るく笑顔を見せるが、内心は不安だ。
「ごめんカヤメさん、あんまりアクションとか出来ないかも!」
「カナメだよ!? え、もしかして……思ったより強いとか?」
 てっきり快進撃を繰り広げると思っていたせいか、カナメは不安な顔になる。
 だがそんな彼女を見返し、あやはぶんぶんと首を横に振った。
「ううん、あたし達は猟兵だからね! ヴィランもオブリビオンも、
 きちんと倒すの頑張るから! カナネさんも頑張って!」
「だからカナメだよ! 一体どうするの!?」
 あやの攻撃が効かないとなると、打つ手はないのではないか?
 一般人であるカナメはそう考えてしまう。だがあやは自信満々だ。
「心配ないない! あたしの想いの乗った一撃は強いけど、
 あたしの力はそれだけじゃないんだからっ!」
「おお、さっそくカメラを……」
「って! 離れててカマエさん!」
「だーかーらーカナメだよー!!」
 などとぎゃんぎゃん騒ぎ合っている間に、ジャスティストルーパーの増援が現れていた。
 合計8……いや、10。敵はバチバチと電光を放ちながら襲いかかってくる!
「っと!」
 あやは鋭い攻撃をきりきり舞いで躱す。一見すると防戦一方だ。
 カメラを構えるカナメもハラハラものだが、目をそらさないと約束したのだ!
 そしてあやとて圧されているだけではない。好機を待っているのだ――そう、今のような!
「ここだーっ!」
 敵のミドルキックをくぐりぬけ、あやは逆に敵のど真ん中に突入!
 そして愛用のサウンドウェポン――ギターを構え、にやりと笑う。
「心が痺れるようなあたしの想い、聴かせてあげる! いぇ~い!!」
 ギャアアイィイイイン――ピックで爪弾けば、おお!
 放たれた音波は文字通りに、オブリビオンどもを"痺れ"させたのだ!
「「「ガ、ガガガガガガ……ッ!!」」」
「ほらね、これがあたしの想いなんだよ!」
「すっごい、あやちゃんは音楽まで出来るんだ!」
 カメラを構えながら快哉をあげるカナメに、あやは唇を尖らせる。
「も、じゃなくて。そっちがもともとメインなんだよカノケさん!」
「いやいやカナメだって! わざとやってない!?」
 騒がしさはギターの音色よりもよっぽどだったとか。

大成功 🔵​🔵​🔵​

ユーリ・ヴォルフ
カナメは恐怖よりも好奇心の方が強いのか?
それとも仕事熱心なのか…「ジャーナリスト」という職業は面白いものだな
怪我しないよう、前に出過ぎるなよ?
真の姿を解放し、炎の騎士となり前へ出て敵へと駆け出す

炎より炎霆(槍)を生み出し
【属性攻撃】炎を乗せ、駆け、貫き、薙ぎ払う
対数の暴力や、飛翔者が出れば
【メギドフレイム】で炎剣を生み出し一斉投射
避けられようとも、弾数で蹴散らそう
攻撃を受けそうであればオーラ防御でバリアを張り炎の拳で殴る

しかし奴等の統率力は中々のものだな
大規模な組織とは恐ろしいものだ…だが負けるわけには行かない
この場にヒーローが居ないならば…
私達猟兵が、ヒーローになるしかないのだから!



●突然の/FLAME
 オブリビオンのアジトや戦力など気になることは多い。
 だが目下、ユーリ・ヴォルフの興味を引いているのは別のことにある。
「まさかこんなところまでついてくるとは……」
「いやあ、ジャーナリストたるもの危険は承知だから」
 ベレー帽を被り直して、なぜか照れたようにカナメが笑う。
 そんな姿を振り返りつつ、ユーリはふっと微笑んだ。
「恐怖よりも好奇心のほうが強いのか、それとも仕事熱心なのか……。
 "ジャーナリスト"という職業は、なかなか面白いものだな」
「私はただ、真実を届けたい。それだけだよ」
 嘘が嫌いなのさ、と、向こう見ずな若者は誇らしげに言う。
 そんな彼女を背中に、ユーリは敵を見据えて己の炎を燃やした。
「いいだろう。だが怪我をしないように。前に出すぎるなよ?」
「おっけー、って……ワオ!」
 めらめらと燃え上がる炎……そう、いまやユーリ自身が炎を纏う!
 これこそが彼の真の姿。たとえ敵が大群とて怯むことはなし!
「ユーリ・ヴォルフ、異世界より来た猟兵だ! いざ参る!」
 燃え上がる炎を魔槍・炎霆として凝縮させ、掴み取りながら疾駆。
 ごうごうと地下の大気を焦がし、龍炎の戦士が戦場を駆け抜ける。
「「「「なんだこの姿は……データにないぞ!?」」」」
 ジャスティストルーパーは、敵データを戦闘蓄積することで、
 自らの能力を増大させる"フォールン・ジャスティス"の使い手だ。
 だがこの猟兵が解き放った力、その熱量! 奴らのデータにはない!
「私を数値で測れると思ったならば、大きな間違いだ!」
 槍を振り払えばその軌跡が燃え上がり、炎の裡から刃が生まれる。
「我が燃え上がる炎よ、剣となりて驟雨のごとく敵を穿てッ!」
 ゴゴウ、ゴウ――カカカカカッ!!
 立ち並ぶ敵を串刺しにしたメギドフレイムは、その名のごとくに燃え上がる。
 反撃も回避も許さない圧倒的攻勢!
「なんて力なの、猟兵も変身するんだね!」
「変身? ……なるほど、そうか」
 カナメの言葉に、炎の戦士は得心がいった様子で微笑む。
 この世界にもオブリビオンは侵略の爪を伸ばしている。
 だからこそ自分達がここへ呼ばれたのだ。そしてたどり着いた。
「たとえ敵が大規模な組織であろうと、なんであろうと負けるわけにはいかない。
 この場にヒーローが居ないならば――いいだろう!」
 ごうっ!! 炎霆が闇を裂く。
「私達猟兵が、私こそが! いまここでヒーローになってやるッ!!」
「その調子だよ、ちゃんと見届けるからね!」
「ああ、任せておいてくれ!」
 かくして炎の戦士は勇ましく敵へと挑みかかる。
 牙なき人々のために、武器を手に悪へと立ち向かう。
 そのありようは、どの世界だろうと変わることがないのだ!

成功 🔵​🔵​🔴​

鳴宮・匡
◆アドリブ歓迎
◆連携OK

随分とごついの飼ってるんだな
お得意なのは接近戦、ってところ?
じゃあ、簡単だ
近づかせなきゃいいんだろ

アサルトライフルでの銃撃をメインに
一定の距離を保ちつつ敵を掃討
囲まれても面倒だ、戦場全域の敵の動きを感知して
一度に多数に狙われないように立ち回るよ
ああ、さっきと違ってちゃんと急所を狙うぜ?
相手がオブリビオンなら容赦はいらないだろ

――まあ、近づかれたところで問題はないけどさ
視線の向き、呼吸、筋肉の動き
きちんと視ていれば、いつ攻撃が飛んでくるかなんてわかる
初撃の入りを見極めて回避、反撃で確実に殺るようにするよ

やっぱりこっちのほうが面倒が無くていいな
で、次に死にたいのはどいつ?



●突然の/BALLET
 ジャスティス・ワン。
 かつての時代、その大いなる力をもって悪を討ち滅ぼした偉大な戦士。
 ジャスティストルーパーとは、そんな英雄の力を模倣した改造兵士だ。
「ずいぶんとごついの飼ってるんだな……」
 かつてのヒーローを冒涜するようなその姿に対し、
 鳴宮・匡が何かの感慨を抱くことはない。
 他世界の住人だから? ……そういう話でもない。彼は"そう"なのだ。
「あ、あのさ。これ……撮っていいやつ?」
 おずおずと問いかけてきたカナメに、ちらりと平易な視線を向ける。
 彼は仕事を撮られるなどもっての外である。が、いまさらどうこう言ったところで何も変わるまい。
「別にいいけど、俺よりほかの連中のほうが派手だと思うぜ。
 ニュースにするなら衝撃度とか大事なんだろ? どうでもいいけど」
「そ、そうかなあ……」
 暗闇の奥から足音が近づく。匡はそこで会話を打ち切った。
 筋骨たくましい肉体、強大なエネルギーを秘めたサイバネ。
(いかにも接近戦がお得意、って感じだな)
 状況は彼にとってあまり快くなかったが、この事実は好ましかった。
 どうやら今回の仕事は、すこぶる"簡単"なようだから。

「「「侵入者め……覚悟しろ!!」」」
「はいはい」
 バチバチと電光を纏い、なんらかの連続攻撃を放とうとした三体の敵。
 匡はいかにもな台詞を左から右に聞き流すと、無造作にアサルトライフルを抜き打ちした。
 BRATATATATAT。膝と腰部を狙った、横薙ぎの軽やかな三点バースト。
「「「ガガ……ッ!!?」」」
「で、頭だ」
 BRATATATATAT。動きが止まった瞬間、容赦なく頭部を撃ち抜く。
 かつての英雄の相貌が弾丸で穿たれ、砕け、爆散した。
「うっわ」
「次」
 BRATATATATAT。死角から狙っていた敵四体を一瞬で抹殺。
 頭。胸部。あるいは大腿――狙いはどれも致命的。かつ精密。
「すごい……」
「次」
 BRATATATATAT。弾丸は無機的に敵を迎え撃ち、撃滅する。
 中にはあえて味方を捨て石にすることで、匡に間合いを詰めようとするものもいる。
「死ねぇッ!!」
「――」
 だが無駄だ。視線、呼吸、筋肉や駆動部の動き、音、兆し。
 それを視て、聴いて、感じていれば、どうくるかもすべてわかる。
 すさまじい連続攻撃ですら、初撃を飛び退いて回避し、眉間を撃ち抜く。
 BRATATATATAT。駆動部に引火し、32体目のジャスティストルーパーが爆散した。
「……なんて正確な射撃なの。まるで……」
 匡にカナメの声は届かない。正しくは、届いているが無視する。
 それは戦場に必要ないものだ。凪いだ海には不要な揺らぎだ。
「で」
 だから彼は敵を見た。身構え、己を取り囲もうとする敵を。
「次に死にたいのは、どいつだ?」
 ――誰だろうと、結局全員殺すけどな。

 弾丸はいい。
 トリガーを引けば、正義も悪も関係なしに抹殺してくれるのだから。

大成功 🔵​🔵​🔵​

夏目・晴夜
このハレルヤが世間様に褒められるための糧になってもらいましょう

【憑く夜身】で敵の影を片っ端から操っていき、
その影を敵の足や連打を発動する前の拳にしがみ付かせて
動きをどんどこ封じていきます
そんな豪腕で殴られたら凄く痛そうで嫌なので

動きを封じた敵はニッキーくんの【怪力】で殴ったり蹴ったり、
膝で【踏みつけ】地面に固定させてから全力でボコ殴りにさせます
固そうな武具も殴って【鎧砕き】で壊しておきましょうね
私も、余裕があれば妖刀をぶん投げて【目潰し】しておきましょうね
世の中、勝った方がジャスティスなんですよ

あ、記録して頂けるのは実に光栄なのですが、
ちょっとアレ過ぎて褒められない光景はお蔵入りにしてください



●突然の/SHADOW
 生中継。よろしい、実によろしい。
「オブリビオンを倒して褒め称えられる……やっぱりいいですね」
「え、むしろ褒めてくれないところがあるの? ほんとに?」
 恍惚とした様子の夏目・晴夜に、カナメは気兼ねなく相槌を打つ。
「そりゃあありますよ。逆に恐れられたりすることも一応は。
 ああ、ただひとつだけ。記録して頂けるのは実に光栄なのですが」
「え、何?」
「ちょっとアレすぎて褒められない光景は、お蔵入りにしといてください」
「……生中継なんだけど出来るかな……」
 ジャーナリストたるもの、うまいこと見て見ぬふりするのも技術である。
 晴夜はカナメにしっかりと言い含めたあと、正面を見てにまりと笑う。
「さて、ではオブリビオンの皆さん」
 ざざざざざ。暗闇より迫る敵多数。
「このハレルヤが世間様に褒められるための、糧になってもらいましょう」
 カメラから映らぬ表情は、実に卑しい犬めいていた。

「「「「マシン・ヴェンジャンス、起動!!」」」」
 一方、対峙した敵が選んだのは防御特化戦術である。
 機械部分からバチバチと電光が放たれたかと思うと、
 それらは不気味に伸長し、ジャスティストルーパー達の全身を覆う!
「うわっ、何アレ!?」
「おや」
 かくして、ここに機械装甲を纏う剣呑な敵の群れが現れた。
 ガシャン! と拳を打ち据える様、変身前より一回りは巨大だ!
「「「「覚悟するがいい、猟兵ども!」」」」
「だ、大丈夫ハレルヤ君!?」
「困りましたね、あの豪腕で殴られたらすごく痛そうです」
 言葉ぶりと裏腹に、晴夜は非常にいつも通りの様子でいる。
「なので」
 すっ、と。彼はおもむろに、迫り来る敵に片手を差し向けた。
 人差し指を立て、まるでジャスティストルーパーを指差すようだ。
「「「「……?」」」」
 なんらかの布石を警戒する敵影。そこで晴夜はニヤリと笑う。
「もう遅いですよ」
「「「「!?!?」」」」
 然り。"指を向ける"、それでもう彼の術式は完成する。
 地下のタングステン灯に照らされた影が……ひとりでに立ち上がった!?
「「「「これは!?」」」」
「"憑く夜身(つくよみ)"って呼んでるんですけどね?」
 まるで影は主を裏切ったかのように、ジャスティストルーパーの四肢に絡みつき動きを封じる。
 なるほど、夜の体が憑くと書いてツクヨミ。読んで字のごとく。
「じゃ、ニッキーくん。お願いします」
 ごうーん。優しく可愛いシリア……からくり人形が拳を打ち据える。
 さすがにこちらのほうが、装甲を纏ったジャスティストルーパーよりも巨大だ。
 影の拘束から逃れようとする敵ににじりより、まず強烈なハンパーパンチ!
「がぼっ」
 ぐしゃん。敵は粘土めいてひしゃげて潰れた。
「念の為動かないようにしてくださいね」
 ごうん。ニッキーくんは強烈なストンプを叩きつけ、敵の膝を割る。
 強固な装甲を拳と蹴りで叩き割り、爆発四散するまで殴り続けるのだ。
「…………あー」
「ね?」
「うん。いや、でも、いいのこれ?」
 けして悪いとは言わないのだが、カナメも若干ヒいていた。
 そんな彼女に流し目を送りつつ、晴夜は悪びれもせずに言う。
「世の中、勝ったほうが正義(ジャスティス)なんですよ」

成功 🔵​🔵​🔴​

神威・くるる
あやや、ワイルドなイケメンはんがよぉけ来はったわぁ
なぁなぁ、うちが勝負買ったらお味見させてくれへん?
もちろん、正々堂々そちらの代表さんとうちの一人対一人
どない?
なぁんて【言いくるめ】て

試合開始と同時に大量にお腹ペコペコの猫ちゃんを召喚
ふふ、『うちは』一人やで?
そして敵さんの間合いの外から猫ちゃん大好きマタタビをポーイ

飢えた猫ちゃんの爪や牙は案外痛いもんどすえ?

もし勝負に乗ってこーへんかったり
ズルに怒ったお仲間はんらが襲ってきたら
さっき管理室で仕込んだスプリンクラーやら防火扉やらで【罠使い】技能使うて応戦しまひょ

……さて、勝利のご褒美、いただきまぁす(吸血)



●突然の/NYAAAAAAAAAN
 多くの猟兵達は、いかにも映像映えする大立ち回りを繰り広げているのだが……。
「あやや、ワイルドなイケメンはんがよぉけ来はったわぁ」
 神威・くるるは戦場に着くなり、とんでもないことを言い出した。
「なぁなぁ、うちが勝負に勝ったら、お味見させてくれへん?」
「「「「……何を言っている?」」」」
 当然の反応である。だがくるるはめげずににんまりと笑う。
「もちろん、うちが負けたらうちのことは好きにしてええんよ?
 正々堂々、そちらの代表さんとうちの一人対一人。どない?」
「「「「…………」」」」
 あまりにも予想外の展開に、ジャスティストルーパーも気勢を削がれた様子。
 困惑すら浮かべて互いに顔を見比べる様子に、カナメは思わず吹き出した。
「ぷっ、ふふ……」
「ちょっとカナメはん、笑ったらあきませんえ」
 無論、これもすべてくるるの話術、ようは戦略だ。
 こうも面と向かって堂々と言われたのであれば、さしものオブリビオンとて一蹴して襲いかかる、というわけにはいかないのである。
 なによりも恐ろしいのは、それをあっけらかんとやってみせるくるるの胆力だが。

 ……そして。
「確認するぞ。一対一の勝負で我々が勝てば」
「いけずやねぇ。何度も言わせはるなんて」
 くすくすと笑い、くるるはうなずく。殺そうがなんだろうが好きにしろ、と。
「……いいだろう」
「ええ、なんだこの状況……」
 カメラを構えているカナメも、少々現実感がなく困惑した。
 かくして立ち並ぶジャスティストルーパーの代表と、
 あろうことかくるるが一対一で勝負することになったのだ!
「後悔するなよ……」
 じとり、とジャスティストルーパーが身構える。
 合図がくだされた瞬間、敵は恐るべき連続攻撃を繰り出すことだろう。
「もちろんどすえ。ほな……」
「――開始だッ!!」
 そしてジャスティストルーパーが初撃を繰り出そうとした、その時!
「ほーれ、餌はあっちやでー」
 ぺいっ。くるるが投げ込んだのは……マタタビ?
 すると彼方から、ドドドドドドド……という不穏な地響きが聞こえてきた!
「な、なんだ!?」
「「「「「「「「にゃああああああああああん!!!!!!」」」」」」」
 ね、猫だ! 黒猫だ! しかもお腹を空かせた大量の黒猫!!
 マタタビめがけて現れた大群は、当然そのまま敵を呑み込むことになる!
「き、貴様話が! グワーッ!?」
「あやや、何言うてるんやろねえ」
 くすり。策士は艶然と微笑んだ。
「"うちは"ひとりやで? ほーれ、餌はまだありますえー」
「「「「「「「「にゃああああああああああん!!!!!!」」」」」」」
 ひ、卑劣! オブリビオンがなじるのもむべなるかな!
 そして飢えた猫の爪と牙、あと尻尾と肉球ととにかくいろんなものがオブリビオンを襲い、次々に滅ぼしていく!
「あ、あまりにも無慈悲すぎる……」
「頭使わんと、うちみたいなか弱い女子はこわぁい目にあってまうからねえ」
 カメラ目線で言いつつ、きらりと犬歯がきらめいた。
「さあて。そしたら勝利のご褒美、いただこか」
「そこまでやっちゃうの!? あ、うわ、うーーーわーーーーー」
 猟兵とは一体。

成功 🔵​🔵​🔴​

千桜・エリシャ
まあ!専属カメラマンさんが同行してくださるだなんて!
では私の活躍、しっかりと記録してくださいまし
――と、さり気なくカナメさんを背に庇うようにして地下に参りましょう

思う存分御首を頂いても問題ない敵さんの登場ですわね!
また沢山数がいらっしゃいますし、今度は大鬼さんに協力してもらいましょう
ふふ、いらっしゃい
ええ、首以外ならば好きに食べていいですわ
それとカナメさんに何かあれば守って差し上げてね?

大鬼さんが暴れて気を取られている隙に、先制攻撃をお見舞い
見切りで躱して、呪詛乗せた刃で二回攻撃
御首をくださいな
逃げる素振りの方がいらしたら、大鬼さんに捕まえていただきましょう
鬼ごっこの鬼から逃げられると思って?



●突然の/SLASH
 ぞろぞろと現れた敵。ジャスティストルーパー。
 かつての英雄の模倣体。歪められた正義のカタチ。
「まあ! 専属カメラマンさんが同行してくださるうえに、お迎えがこんなに!」
「……エリシャちゃん、かなり嬉しそうだね?」
 千桜・エリシャのうきうきとした声に、カナメは怪訝な顔をする。
 相手は強壮なオブリビオンだ。それほどの自信があるのだろうか?
 だとしてもここまで楽しげというのは、ちょっぴり妙である。
「うふふ、当然ですわ? だって――」
 振り向いた瞳の桜色は、ぞっとするほどに美しい。
「……これだけの数の御首を、思う存分頂いても問題ないんですもの」
「ひょえいっ!? く、くくく首っ!?」
 にこり。女将は大和撫子めいた莞爾とした微笑で頷いた。
「私の活躍、逃さずしっかり記録してくださいましね?」

 そして敵へ向き直る。
 たとえ彼女が修羅を抱えていようと、カナメを守る点は変わらない。
 ジャスティストルーパー達もそれぞれに機械装甲を纏い、戦闘力を増強した。
「あら、残念。でもそんな硬い鱗を叩き割って御首を頂くというのも――善き哉」
 妖しの笑みを浮かべた小夜の桜、その周囲を飛び交う無数の胡蝶。
 ……胡蝶達が、ふと、ランダムだったはずの舞い方を変えた。
 ひとところに集うように、まるで誘蛾灯に群がるかのように。
「え……」
「ふふ、いらっしゃい――」
 はたして、そこに現れたのはいかなる存在か。
 カナメは知るまい。エリシャが纏うこの胡蝶達の正体を。
 魂の化身たるそれらが集いしとき、斯様な大鬼を現出させるということを。 鬼薊啾々(リビングデッド・ニードル)。首狩りの羅刹の業の顕現。
「首以外ならば、なあんでも好きに食べていいですわ、ふふ。
 それと――カナメさんに何かあれば守ってさしあげてね?」
 大鬼は言葉なくして頷き、迫り来る機械生命体どもを睨みつけた。
 そしてぐっと腰を落とし……直後、巨躯が風めいて飛び出した。
「うわっ!?」
 さしものカナメとて、思わずカメラを取り落としかけた風圧。
 まるでボウリングめいて、大鬼の巨体がジャスティストルーパーを吹き飛ばす。
「それでは、どうぞよしなに」
 カナメに言ったエリシャがふんわりと一歩踏み出すと、
 次の瞬間にはエリシャは敵の間合いの裡にいる。
「御首を、くださいな」
 一閃。刀の軌跡は、かけられた囁きのようにか細く幽かに。
 ぎん、と装甲を断ち割り、首がひとつ。ふたつ。みっつ――。
「ああ、ああ」
 断末魔などない。絶叫などない。恐怖も痛みもありはしない。
 彼女の刃は慈悲深く、容赦はなく、そして逃げる隙もなかった。
「た、助け……っ」
 あまりのことに逃げ出すものがいた。
 だが大鬼はむんずとそいつの襟首を掴み、引き戻す。
「あらあら……鬼ごっこの鬼から、逃げられると思って?」
「ひい!」
「あなたで、最期」
 しゃこん――。

「……いやあ」
 首無し屍体が転がる中、うっとりと陶酔するエリシャを見つつ、カナメは思った。
「……人は見かけによらないわ」

大成功 🔵​🔵​🔵​

ペル・エンフィールド
地下に隠ってるなんて不健康なオブリビオンなのです!
何人兄弟かは知らないですけど皆ペルが狩っちゃうのですよ!

羽音無く飛び込んで、ストラスの大爪で捕らえた獲物を壁にゴンゴンしたり地を擦らせたり、ユーベルコードの高圧の炎で消し炭にしたりするのです!

え?カメラ映えしない?
それなら室内を華麗に飛ぶペルの姿を撮ると良いです!
華麗に飛び舞うハーピィの姿、映えると思わないです?



●突然の/NINE
 さて、炎火がちらりと示したように、どうやら猟兵の間には『結社』と呼ばれる組織がある。
 全容はわからない。どうやら相当に秘匿されているのか、そもそも実体がないのか。
 ともあれ新たな猟兵も、どうやらその一人であるらしく。
「こちらのルートに敵は来ていないようだな……」
 猟兵達が最初に突撃したのとは別の出入り口。
 警備中のジャスティストルーパーが、気配がないことを確信して呟いた。
 このルートさえ確保できていれば、万が一のことがあっても大丈夫だ。
 最悪、あちらのルートの警備を捨て石にここから脱出を――。
「――え」
 ふと、頭上を何かが通り過ぎた気がした。
 敵? いや、まさか。音も気配も何も感じなかったのだ。
 だが気になる。ジャスティストルーパーは頭上を仰ごうとし――。
「え」
 燃えて、死んだ。地獄の火炎に灼かれて死んだ。
「地下に隠れてるなんて、不健康なオブリビオンなのです!
 そんなだから、こんな簡単に狩られてしまうのですよ?」
 ばさり、ばさり。思い出したように羽音が響く。
 ペル・エンフィールド。ヒトの体に鷲の翼を持つキマイラ。
 羽音なくして忍び込み、以て地獄の炎をもたらした狩人である。
 彼女が装着した鋼の鉤爪には、禍々しい『Ⅸ』の紋章が刻み込まれていた。
「なんだ、何事だ!?」
「敵襲だと!?」
 ざかざかざかっ、と駆けつけたジャスティストルーパーの増援を見やる。
 同じ顔。同じ体。オブリビオンはそういうものだ……が。
「何人兄弟は知らないですけど、みんなベルが狩っちゃうのですよ!」
 勇ましく微妙にズレたことを言いながら、半鳥人は地下に舞う。
 刻器のⅨ、ストラスの大爪。またの名を『長針のⅨ』。
 それに秘められた力はどれほどか。この惨状を見れば計り知れよう。

「うわーっ、なんか大変なことになってるー!?」
 はたして戦闘音を聞きつけ駆けつけたカナメ。
 ベルは敵を貫き、引き裂き、あるいは鉤爪で捕らえて壁や地面にこすりつける。
 炎が吹き上がるたび、断末魔が響いて新たな消し炭が生まれた。
「なんじゃこら!? ていうかものすごいことしてるね!?」
「あ、カナメさんなのです! どうなのですか、ベルの狩りは!」
「いやーどうも何もちょっとこう、カメラ映えしないっていうか……」
 残虐ファイトもいいところ。しかも敵は全部黒焦げである。
 だんだんカナメも動じなくなってきた感がある。
「むむむ……それならベルの姿を撮るといいのです!」
「え? どゆこと?」
「華麗に地下の空を舞うハーピィの姿……映えると思わないです?」
「……どうかなー!」
「ええーっ!!」
 敵が消えた地下空洞に不満げな声が響いたという。
 ……ところで、正体を隠す件はどうされたので?

大成功 🔵​🔵​🔵​

マリア・マリーゴールド
Oh!ほのか、つよつよデスネ!
マリィも負けてられないマス!
悪い子はめっ!の時間デスネー!

【SPD】
んー、ひとパンチする、良くないデス!
わるわるな手はちょっぷちょっぷ!デス!

パンチきてきたらマリィの体、スパッと良く切れるハモ……違うマスか?惜しイ?
……ハモノ!刃物にしますデスヨ!

痛いデス?ハンセーました?
悔い改めマシタか!エライデスヨー!
次はもっと良い子にナリマショー!では。

"御身が次の世で清らかなる魂として生まれることを祈ります。Amen."

――んン、今日もせいぎのヒトできまシタ!マリィとても偉いデスっ!

……ンん?
目立つのダメでス?
…………。
てへっ☆



●突然の/TEN
 そしてこれまた驚くべきことに、『結社』の関係者はまだいた。
 ……正体を隠すって話はどうだったのだろうか? そんな話はなかったのか?
「Oh! ほのか、つよつよデスネ!」
 純白の修道服を纏う少女、マリア・マリーゴールド。
 透き通るような白い肌に青い瞳、そしてきらめくような金の髪。
 まるで宗教画から抜け出たような、荘厳ささえ覚えさせる姿である。
 ……そう、まるでこの世のものでないような、人でないような。
 事実として彼女はヒトではない。ヤドリガミ。器物の霊。
「マリィも負けてられないマス! 悪い子はめっ! の時間デスネー!」
「ものすごい胡散臭い喋り方だね!? ……ていうかあなたももしかして?」
 炎火に言及したということはそういうことなのだろう。
 が、マリアはにこりと満面の笑顔でカナメに、というかカメラに頷き、
「悪い子に"めっ!"するところ、ちゃんと撮ってくだサイネー?」
「え、それいいの――って行っちゃったや。まあいっか」
 おかげでこうなった。

「猟兵め……覚悟しろ!」
 ジャスティストルーパーの兵力はいまだ健在である。
 おそらく戦闘データも共有蓄積されたことで、手強さはこれまで以上だろう。
「フーム……んー、ひとパンチする、良くないデス!」
「な、何?」
 身構えていた敵も、素っ頓狂な喋りとほわほわした気配に気勢を削がれる。
 だが忘れるなかれ、マリア・マリーゴールドは猟兵である。
 そして彼女もまた、謎めいた"刻器(クロックウェポン)"の使い手――!
「わるわるな手はちょっぷちょっぷ! デス!」
「何をわけのわからないことを……死ね!!」
 ジャスティストルーパーはこれ以上ペースに巻き込まれてはたまらないとばかりに、
 即座に高速戦闘モードに移行。無数のパンチ・ラッシュを繰り出す!
 ジャスティス・ワンが得意とした拳の連打、そのイミテーション……!
「Oh! 悪い子は話を聞かないのデスネ? なら――」
 にこり。マリアは満面の笑みを浮かべた。
「"めっ"の、時間デスね」
 拳が接近し、触れる――!!

「……ぎゃあああああああっ!?!?」
 断末魔の絶叫が響いた。マリアのものか?
 ……否である。悲鳴を上げたのは敵のほうだ。
 今やマリアの肉体は、その装束と同じ純白の器に変化していた。
 禍々しい巨大なギロチン。これで以てジャスティストルーパーの腕を切断したのだ。
「な、なんだ、この切れ味は……!?」
「マリィの体、スパッと切れるハモ……ハモーノ?」
「違う違う、は・も・の」
「惜しイ? 違うマスか? ……ハモノ! 刃物にしたデスヨ?」
 るんるんとしてすらいる様子と対称的に、ギロチンは威圧的である。
 マリアは笑顔を崩さぬまま一歩歩み寄り。
「痛いデス? ハンセーました? 悔い改めマシタか?」
「ぐ、ぐううう、おのれぇええ……!!」
 苦悶は一目瞭然。マリアはそれを"改心"として受け止めた。
「エライデスネー! 次はもっと良い子にナリマショー?」
 ぐおん。
 ギロチンが、振り上げられる。
「え」
「では」
 ――御身が次の世で清らかなる魂として生まれることを祈ります"。
 ギロチンが、呆然とした咎人めがけ、振り下ろされ――。

「……Amen」
 ぐしゃり。
「うーわ」
「――ん、ンっんー! 今日もせいぎのヒト、できまシタ!」
 にぱっ。満面の笑みでカメラに向き直る。
「マリィとても偉いデスっ! ちゃんと撮れてたデスか?」
「いや、撮れてたけど……えっと、いいの?」
「ン?」
「いや、目立っちゃダメとかなんとか」
「……」
「……」

「…………目立つのダメでス?」
「いや私はわかんないけど」
「…………」
 カメラに向き直すマリア。
「てへっ☆」
 こっつんこ、ぺろり。

成功 🔵​🔵​🔴​

イリーツァ・ウーツェ
本人ではなく、姿を借りた物がオブリビオンになるのは珍しい気がするな。
それはともかく。
【SPD】
殴りかかってくる相手に向かって、集束型雷電属性ブレスを浴びせる。
機械ならば電気に弱かろう。
その図体を尾や杖で打ってまとめ、拡散型雷電ブレスで巻き込んでやろう。
友曰く、私は英雄というよりも悪党側らしいが、やることは変わらん。
倒しても良い相手ならば遠慮はしない。
なあ、オブリビオン?



●突然の/BLESS
 幾度もの戦場を経験したイリーツァ・ウーツェには、ひとつ疑問があった。
 そもそもジャスティストルーパーというモノの存在についてである。
「本人ではなく、その姿を借りたモノがオブリビオンになるとは……」
「え、なにそれ、珍しいことなの?」
 じー。カメラを構えながらしっかり撮影するカナメ。
 そんな彼女をちらりと横目で見つつ、イリーツァは呟く。
「少なくとも、私が知る範囲ではかなり珍しいことだ」
「ほへー。不思議ねえ」
「……まあ、それはともかく」
 おほん。咳払いし、気を取り直す。どうも慣れない状況である。
「下がっていたほうが良い。私の戦い方は少々荒っぽい」
「もちろん! 足を引っ張りたくないしね」
 そそくさと引っ込みつつ、カメラはしっかり構えているカナメ。
 どこか気もそぞろという様子でちらりとそちらを見やるイリーツァだが、
「ジャスティストルーパー……機械で形作られた改造兵士か。
 であれば、私はお前達に最適な"壊し方"というものを知っている」
 口元に獰猛な笑みを浮かべ、幾体もの敵を見やる。
 敵の血肉をすする禍々しき魔杖を手に、腰元でうなるは強靭な龍の尾。
「ところで、私などを撮って楽しいのか?」
「そりゃもう! 猟兵さんだもの!」
 カナメの明るい返答に、イリーツァはくっと喉を鳴らした。
「――友曰く、私は英雄(ヒーロー)よりも悪党(ヴィラン)側らしいがな」
 ひとりごちた呟きを残し、龍人は戦場へと飛び込む。
「「「総員構え、敵を撃滅せよ!!」」」
 まったく同じ姿、同じ形態、同じ性能を持つ敵が同じ構えを取る。
 放たれるのは模倣されし拳の連続。めくるめく打撃の嵐。
「遅いな」
 機先を制した尾が、まず前衛の敵を薙ぎ払う。
 それを乗り越えて来たる第二波は、大鰐の魔杖が打ち据える。
 敵は後退を余儀なくされ、結果的に防御的な陣形を選んだ。
 龍の尾と杖によるなぎ払いを防ぐかのように、互いの距離を縮め密集したのだ。
 ――龍は笑う。これこそ見立て通りである。
「倒してもいい相手ならば、私は遠慮しないぞ。仕事なのでな」
 口元から溢れた声に、ばちばちと雷光が混ざる。
 すう、と大きく息を吸い……そして!
「さあ――痺れ砕けて灼け散れッ!!」
 吐き出したそれは、猛烈な稲妻の雨となって敵を打ち据える!
「「「ガガガガガッ!!」」」
 竜霊開基・叫哮波(きょうこうは)。恐るべきブレスの一撃。
 十分に離れていたはずのカナメも、飛び散る電撃の火花に悲鳴を上げてのけぞった。
「うひゃあああっ!?」
「……そら。どうだ、私の言った通りだったろう?」
 カナメに、そして敵に向けた皮肉な言葉。
 過負荷によりショートし焼け焦げた敵の残骸を見下ろし、龍は嗤う。
「私は容赦しないと言っただろうが。オブリビオンどもよ」
 その笑みは、なるほどいかにも悪役めいていた。

大成功 🔵​🔵​🔵​

ビードット・ワイワイ
見たり見たり見たり、汝らの破滅を見たり
かつての思想は既に無く、模造の姿に宿るは悪意
木偶の体に詰まり思い、過去の思いに敬意を払い
今ここにて打ち砕かん。汝らの破滅はここにあり

UCにて過去の破滅を招来
これなるは人の作りし悪意なり。見えぬ気体の姿となりて
民も軍も関係なく、触れし者殺めし兵器
逃れる術は息を止め蹲りて逃げるのみ
されど希望は与えはせぬ。UCの恩恵の高速移動存分に活用せり
【踏みつぶし】【吹き飛ばし】散りし【生命力吸収】せり

模造の木偶では力無し。偽造の思いに野望無し
破滅齎す片腹痛し、機械の我を笑い死させる気であるか?
ここにて果てる定めなり。さて、さらなる悪意はどこにあり?


柊・明日真
【アドリブ歓迎】
命知らずってのは何処にでもいるもんだな。ま、嫌いじゃないがな。ネズミ一匹通さねえ!安心して見てな!

相手が機械ならこいつの出番だな。【瞬電の刻印】【属性攻撃】で感電と機械の無効化、足止めしてる間にまとめて【なぎ払い】だ!

雑兵がいくら出てこようが関係あるか。
片っ端からぶっ潰してやる!



●突然の/TAG
「「「くそっ、なんとしてでも猟兵を食い止めろ!!」」」
 退路を塞がれ余力を削られ、敵はいよいよ進退窮まっていた。
 とはいえもとよりオブリビオンである。掃いて捨てるほどいる改造兵士だ。
 死をいまさら恐れることはなく、次から次へと敵が湧いてくる。
 だが。
「そろそろ向こうもカンバンってとこだあな」
 柊・明日真は、敵兵力の限界を見極め、にやりと野卑に笑った。
「見たり見たり見たり、汝らの枯渇と破滅を見たり」
 ビードット・ワイワイもまた、終結が近いことを知らせる。
「かつての思想はすでに無く、模造の姿に宿るは悪意。
 木偶の体に詰まり思い、過去の思いに敬意を払えり」
「紛いモンに用はねえとよ。俺らは、だけどな」
 ちらりと、明日真が背後のカナメを見やる。
「もちろん! ここでどかーんとかっこよく決めちゃって!」
「ったく、命知らずってのは何処にでもいるもんだなあ?」
 呆れたような感心したような、彼の笑いはそんな色があった。
 確かなのは、そう。
「ま、そういうのは嫌いじゃねえけどな!」
「然り然り然り。恐怖に挑むことこそ破滅を退けるものなり」
 ビードットのカメラアイがめまぐるしく動き回る。
「ネズミ一匹通しゃしねえよ、安心して見てな!」
「しからば今ここにて打ち砕かん。汝らの破滅は此処にあり」
 かくして鋼の予測機と、燃える刻印騎士がともに並び立つ。
 迫り来る敵の数は数十、いや百! 雑魚どもとの最終決戦の幕開けだ!

「「「「機械装甲展開、装着ッ!」」」」
 マシン・ヴェンジャンスを起動し、装甲特化形態に変身する敵群。
 ジャスティストルーパーが鉄の鎧を纏った時、その手強さは倍以上になる。
 ……だが、敵はビードットという猟兵のことを知らぬ。
 彼が用いるユーベルコードを知らぬ。その名の意味を知らぬ。
「ロードルーイン。星の記憶を読み解きし人の傲慢――」
「……来るな。まずは任せたぜビードット!」
「然り。その再来を望む。かくして汝らに過去の破滅を招来せん」
 仮想破滅招来補助具が、いまわしき滅びの過去を再生する。
 ……だがそこに、炎も魔力もなにもありはしない。
「なんだ? 大仰なことを言って驚かせようとしてもそうは……」
「否なり。これなるは、人の作りし悪意なり」
「……?」
 カメラを構えていたカナメも怪訝な顔で首を傾げる。
 だが明日真の背中を見て、思わず一歩退いた。
 絶対に前に出るな。彼の背中はそう言っていたのだ。
「さっさと抹殺……し、で……ッ!?」
 そして異変が起きた。
 まず最前列に居たジャスティストルーパー達が、喉を抑えて膝を突いたのだ。
 次はその後方。さらにその背後、さらにその背後……。
「が……ぐ……!?」
「か、は……!」
「な、なにこれ。何が起きてるの!?」
 カメラを取り落とさぬよう、カナメは必死に手に力を込める。
「これなるものの正体は、目には見えぬ気体なり。
 民も軍も戦士も無辜も関係なく、触れて吸いし者を殺めし"兵器"」
「――っっ!!」
 ビードットはただ冷徹に敵を見下ろす。
「逃れる術はただひとつ、息を止め蹲りて逃げるのみ」
「が……!?」
「だが、そんな楽な道は」
「然様な希望は」
「「与えねえ!/与えはせぬ」」
 明日真とビードットの姿が消えた。
 かろうじて戦闘可能な敵めがけ、まず刻印を刻んだ投擲ナイフが降り注ぐ。
 突き立った瞬間、輝く刻印が雷の魔力を発現した!
「こいつで黙らせてやる! おまけにこいつもだっ!!」
 豪斧・"鎧殻の戦斧"。
 肩に担いだそれを、忌まわしき破滅もろとも思い切り薙ぎ払う!
「模造の木偶では力なし。偽造の思いに野望なし。
 破滅もたらすなど片腹痛し、機械の我を笑い死にさせる気であるか?」
 ビードットの巨体がなめらかに死の戦場を行き、敵にトドメを下す。
「これが、猟兵……破滅すらも味方にする、オブリビオンの天敵……!」
「ああ、そうさ」
 斧を担ぎ、明日真はカナメの方を見てにやりと笑った。
「そして、この世界を守るヒーローってわけだ!」
 かくして戦いは一度終わった。前座どもは潰れて果てた。
「かのものらに破滅はもたらされり。されど敵はいまだ奥に健在なり。
 忘却の首魁は何処にありや。闇に隠れし姿を見せるなり」
「ああ。もう逃げ場はねえぜ――出てこい、親玉野郎!」
 ふたりの勇ましい声が、遠く闇の彼方へ響いていく。

 ……そして、ずしんと。
 地響きとともに、最後の敵が現れた……!

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​




第3章 ボス戦 『ビッグパワー』

POW   :    ビッグパワーナックル
単純で重い【渾身の力を籠めた拳】の一撃を叩きつける。直撃地点の周辺地形は破壊される。
SPD   :    バリアブルマッスル
自身の肉体を【異常なまでに柔軟な筋肉】に変え、レベルmまで伸びる強い伸縮性と、任意の速度で戻る弾力性を付与する。
WIZ   :    バイオレントフォース
全身を【筋肉を鋼の如く硬化させ、強化するオーラ】で覆い、自身が敵から受けた【負傷と、傷つけられたプライド】に比例した戦闘力増強と、生命力吸収能力を得る。

イラスト:かげよし

👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠山田・二十五郎です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


●突然のA/忘却に抗うもの
『おのれ……』
 ずしん。
『俺様の計画を邪魔するだけにはあきたらず……』
 ずしん。
『手ずから揃えたジャスティストルーパーまで全滅させるとは……』
 ずしん!!
 ……闇の中より現れたのは、そう、巨大な筋肉の塊だ。
『ならば、このビッグパワー自ら貴様らの相手をしてやろう!!』
 強大な力を得たことで恐るべき巨体を手に入れたかつてのヴィランである。
 だが今はオブリビオン。過去の化身、未来の破壊者。
『ヒーローもヴィランもどうでもよい。すべては俺様の利用する道具に過ぎん。
 貴様らだ。猟兵、我らの天敵、貴様らこそ俺様が相手をしてやるに相応しい!!』
 見上げるほどの巨体が、地下空間に轟く大音声を響かせる。
 質量とは力である。そしてその邪悪なる性!
 奴はアパリシオンを利用した。もともと逃してやるつもりなどなかったのだ。
 もしも猟兵の介入がなければ、奴らは招待客もろとも死んでいただろう。
 そして多くのVIPが失われ、ヒーローズアースの経済界に大打撃が与えられていた……!!
『小賢しき天敵どもよ、我が拳に潰されて消え去るがいい!!』
 巨大なる悪意が吼える。ここが決戦のときだ!
「……みんなの勇姿、きちんと届けるからね!」
 カナメもまた、皆の背後でカメラを構え続ける……それもまた、戦いなのだ。
アロンソ・ピノ
力自慢の悪党か。
上等じゃねえか。かめらまんってのを守りつつ、ぶっ飛ばしてやるべ。
ユーベルコードは秋弦。鋼糸で縛りつけて無力化を狙う。無理なら腕の一本脚の一本だな。【先制攻撃】【2回攻撃】【だまし討ち】【武器改造】【怪力】で居合の構えから鋼糸を飛ばして、親玉を振り回す。
戦闘力の無いかめらまんが控えている以上、余波や流れ玉、敵の注意がそちらに向かうことは避けたい。
よって主に鋼糸で親玉の動きを制限する方向にいく。【時間稼ぎ】もあるしな。
てめえが誰だか知らねえが、オレの流派の高名のためだ。派手に居なくなってくれ。
―春夏秋冬流、参る。
(アドリブ、絡み歓迎)



●名声を求むもの
『さあ、誰だ……俺様に最初に挑むのは!!』
 稲妻の如き大音声が猟兵達を睥睨する。
 そんな中、決然たる足取りで歩み出たのは桃色の髪の男。
『ほう……』
 エルフの男……アロンソ・ピノは、ぎらりと敵を睨めつける。
「力自慢の悪党か、上等じゃねえか」
『俺様をただの力馬鹿だと思うか? 後悔するぞ』
「さあな。てめえが誰だかなんざ、知らねえよ」
 アロンソは一笑に付し、大きく腰を落として愛刀を構えた。
 一家伝来の宝剣、その銘――瞬化襲刀。
「オレの流派の高名のためだ。派手にいなくなってくれや」
『面白い……!!』
 ぎちぎちと、ビッグパワーの全身の筋肉が恐ろしいまでに張り詰める!
 放たれるプレッシャーは、もはや風となってアロンソの髪を吹き流すほどだ。
「――春夏秋冬(ひととせ)流、参る」
 居合の構え。はたして抜き放ったのは刃――では、ない?
『何?』
 不可視のそれに、ビッグパワーも片眉を釣り上げた。
 柄から先には何もない。いや違う、なにか細いものが――。
『糸かッ!!』
「いまさら気づいたって遅ぇんだよッ!!」
 然り! これこそアロンソが納めた春夏秋冬流の極意なり!
 名のごとく、四季に分かれた型のうち、これなる剣技――否、搦め手は"秋"に属する。
 名付けて『弐の太刀 秋弦(あきづる)』!!
「そうら、秋の音色が聞こえるか!?」
 早い! 複数の鋼糸がまるで生きているかのように敵を襲う!
『おのれがァ!!』
 だがビッグパワーもさしたるもの、その巨体と恐るべき腕力で、
 糸を引きちぎろうと真っ直ぐに突っ込み拳を振り上げる。
 糸が絡みつく。意に介さぬ。張り詰めた糸と巨腕が引き相撲のか前田!
『ぬううううう……ッ!!』
「ぐ、おおおお……!!」
 アロンソもまた両の足を踏みしめ、あらん限りの力を込めて柄を握る。
 なんたる膂力。奥歯が噛み締めたあまり砕けそうなほどだ。
『俺様、を……嘗める、なよ……!!』
「どうだかなあ……どうした、一発入れてみやがれ……!!」
 挑発。ビッグパワーの両眼が怒りに燃え上がる!
『死ねィッ!!』
 ずしんずしんずしん……ブォンッ!!
「アロンソさん!?」
 カナメが悲鳴めいて叫んだ。アロンソは己を強いて笑う!

 ――ゴッッッ!!!!

「がは……っ!!」
 膂力を受け、アロンソは全身から血を吹き出し、ざりざりざりと地面を滑った。
 そう、滑った。彼は吹き飛んではいない。両足は地面を踏みしめたまま。
「意地張んねえといけねえべよ――オレみてえな野郎はなァッ!!」
『うおっ!?』
 そしておもいきり、刀を"振るう"。
 バランスを崩した直後のビッグパワーの巨体が、
 さながら釣り上げられた魚のように上方ベクトルへ、そして!

 ――KRAAAAAAAAASHッッ!!

『ぐ、がああああっ!?』
「へっ、デカブツめ。ざまあみろだべ……」
 片膝をつきながら、瓦礫もろとも天井に激突して絶叫する敵を睨み、アロンソは笑う。
 技あり。男の執念は、たしかにその巨体を大地から引き離したのだ。

成功 🔵​🔵​🔴​

三咲・織愛
こんなにも分かりやすい悪というものがいるなんて。
さすがはヒーローズアースですね!

私、時代劇というものが好きなんです。
勧善懲悪。完璧な悪というものは必ず滅びるものですよね。

それでは、参りましょうっ。

巨体であればその動き、見切ってみせましょう。
noctisで距離をとり範囲攻撃。
四肢を浅く切り裂いて、速度に任せて槍を振るいます。
その拳、当たらなければ怖くもありませんね!
くすりと笑って、攻撃を引きつけましょう。
敵の拳の当たる直前、見切ってから
顔面に拳を叩き込みます。全力で。

ごめんなさい。
私、拳で殴る方が得意なんです。



●正義を楽しむもの
 バカみたいな巨体、はちきれんばかりの筋肉、そしてこれでもかとばかりの悪役顔。
 おまけに『俺様』! 何をとってもこってこてである!
「こんなにもわかりやすい"悪"というものがいるなんて――」
 三咲・織愛は、明らかにテンションの上がった声で楽しげに呟いた。
「さすがはヒーローズアースですね! 私、時代劇というものが好きなんですっ」
「それは嬉しいかもだけど気ぃぬいたら危なくない!?」
 カナメが思わずツッコミを入れるほどのテンションの上がりっぷりである。
 ガラガラガラ……アロンソの攻撃により天井に叩きつけられたビッグパワーが、
 ずしん!! と瓦礫もろとも落下してきた。全身にいくつもの傷!
『俺様をそこらのカートゥーンかなにかと勘違いしているのか!?』
 そんなわかりやすい物言いに、織愛は思わず吹き出してしまう。
『貴様……!!』
「ご、ごめんなさい。でも……ふふっ。だって、仕方ないじゃないですか」
 織愛が時代劇を好む理由。それはシンプルなところにある。
「勧善懲悪。どんな物語でも、悪はいつか必ず滅びるものですよね。
 あなたのように"完璧な"悪なら……さて、どうでしょう?」
「うわあものすごい煽る……!!」
 カメラを構えるカナメはハラハラだ!
 ビッグパワーは怒りと屈辱に全身の筋肉を緊張させ、ずしんと地面を踏みしめた!
『ならば死ね、小娘!!』
 巨体が迫る。まるで重機――いや雪崩だ。天災のごとき異様!
「そのくらいは見切れますよっ!」
 敵の踏み込みを見極め、織愛は素早くバックステップ。
 彼女の周りを飛んでいた藍色の竜が、たくましき槍に変じた。
 ズンッ!! ゴガンッ!!
 喰らえば致命傷は明らかな拳が、二度、三度! 右! 左!
『ええいちょこまかと!!』
「そこですね――!」
 返す刀、もとい間隙に矛が滑り込み、ビッグパワーの拳を足を浅く裂く。
 一撃一撃は決して取るに足らぬかすり傷である。ビッグパワーとてあざ笑う。
『どうした、大言壮語の割にその程度か小娘!!』
「さあ、あなたこそ私を倒せていませんよ?」
『おのれが!!』
 ゴガッ!! バギャンッ!!
 退き、かわし、間隙にわずかなかすり傷を与える。
 まるで積み重ねるかのような堅実で、そして確実な攻防。
 取るに足らぬ傷だ。それ自体はなんら痛痒をもたらさぬただのかすり傷。
「その拳、当たらなければ怖くありませんね!」
『貴様――ァ?』
 ぐらり。
 拳を振り上げたビッグパワーの体幹が、揺らいだ。
「……このために!?」
 カナメは察した。全てはこの瞬間の布石だったのだ!
 ビッグパワーは崩れた姿勢から拳を振るうが、遅い。そしてぬるい!
 そして織愛は、なんと!? 槍を後ろ手に、拳をかわして懐へ飛び込んだ!?
「織愛ちゃ――」
『……ぐぶおぉおあっ!?!?!』
 ……誰もが息を呑んだ。
 織愛は、近づいた。近づいて、拳を握り、細い柔腕を、叩きつけた。
 するとどうだ、数倍以上はあるビッグパワーが吹き飛んだ!?
「な――」
 ぽかんとするカナメを振り返り、織愛はちろりと舌を出した。
「実は私、拳(こっち)のほうが得意なんです」
 ずしん――!!
 カートゥーンのような風景は、現実なのだと地響きが知らしめていた。

大成功 🔵​🔵​🔵​

天道・あや
は~(ため息)…どの世界でもオブビリオンってやっぱり同じなんだなぁ…過去は過去!今だから教えてあげる!今の…未来への想いは過去なんかに邪魔させられないって事を!

POW
真の姿(20代前半ぐらい)解放!ビッグパワーにパンチなどで攻撃してビッグパワーにビッグパワーナックルを使わせる!そしてそれを使う直前を【見切り】当たる直前に【ダッシュ】で後ろに避けて再び【ダッシュ】して接近からの【想いの乗った重い一撃セカンド!どっかーーん!】(【鎧砕き】、【属性攻撃】(炎))で攻撃!

あたしの…カナメの…皆の未来は奪わせないっ!



●謳い踊るもの
「…………」
 すぅ~~~~……とたっぷり、たっぷりたっぷり息を吸ってー。
「……はぁ~~~~~~~~~~~~」
 出ましたクソデカ溜息! 天道・あやのクソでか溜息です!
 それまでのスーパーヒーロめいた気分もすっかりぶち壊しである。
 さもありなん、結局のところ世界を脅かすのは、オブリビオン。
 たとえその世界がどんな場所であれ、それは不変の事実だ。
「ほんっと! どの世界でも、オブリビオンってやっぱり同じなんだなあ!」
 半ば拗ねたような声で言いながら、腰に手を当ててふんっと唇を尖らせる。
 しかしだとすれば、あやが為すべきこともまた同じ。これまでと変わらない。
「でも、それならそれでいいよ。過去は過去ってわけだし!
 いまだから教えてあげるよ、ビッグパワー!」
 ビシィ! 立ち上がる巨体を指差し、高らかにあやは言う。
「現在(いま)の、未来(あした)への想いは、過去(あんた)なんかに邪魔させられないってことを!」
『ハッ……くだらん。すべては俺様が塗り替えるべきものにすぎん!!』
 オブリビオンとなったいま、ビッグパワーはそのためだけにある。
 過去をもって世界を、未来を塗り替える。破滅をもたらすことこそ。
「なら見せてあげる。あたしの未来(すがた)――!」
 その体が神々しく輝けば、髪が伸び、背が高まり、手足も伸びる。
 やがてあやの姿は、常よりも幾分歳をいった大人の女の姿に変じた。
「ワオ! クール! まるでヒーローじゃん!」
「えへへ、でしょっ? まあ見ててよ、カノメさん!」
「だからカナメだよ!!」
 などと何度めかのやりとりをしつつ、あやは敵めがけ駆け出す。
『ならばその未来もろとも、捻り潰してくれるわあっ!!』
 豪腕! 敵の拳は巨大、そして巨体に見合うスピードもある!
 どうするあや、飛んだり跳ねたりした程度では逃れられないぞ!?
「そんなの、あたしには全然怖くないっ!」
 見よ! 彼女は全速力で駆け抜け、風を取り込みなお速く走る。
 速度は力となり、力は想いを込めて彼女の拳に宿る。まさか!?
『死ねェーッ!!』
「これが、あたし達の想い……あたし達の未来っ!」
 拳を握りしめる。最高加速――振り上げ/下ろした拳が、ともにぶつかり合う!
「どっかーーーーーーーんっ!!」
『ぐ……おおおおおっ!?』
 か、勝った! あやの拳がビッグパワーナックルに競り勝ったのだ!
 だがあやは勢いを止めぬ! 速度はいまや火の粉を孕み炎と変じた!
「やっちゃえ、あやっ!」
「任せといて、カナメ!」
 二人の少女の視線が交錯し、頷きあい、再び拳を握りしめる。
 敵がもう一方の拳を振り上げ、下ろす――狙い通りだ。あやはあえて後ろへ飛んだ!
『何っ!?』
 もう一度真正面から来ると踏んでいたビッグパワーは虚を突かれた。
 さながら剣が土をえぐるかのように拳が地面に突き刺さる。間隙!
「もう一発、いっくよー! あたし達の想い、今度こそ受け取ってねっ!!」
 炎を纏った拳が――ビッグパワーの顔面を、捉えた!!
『がぼ――っ!?』
 巨体が吹き飛ぶ……KRAAAAAASHッッ!!
「「やーりぃ!」」
 ターンしてこちらに来たあやと、カナメがハイタッチ!
 すさまじいパワーをまともに受けたビッグパワーは、遥か彼方の壁に激突だ……!

成功 🔵​🔵​🔴​

夏目・晴夜
うわ、可愛くない……
ムッキムキで、異様にデカくて、何人も殺してきていそうなオーラが全く可愛くないですね
その筋肉の柔軟さもまた可愛くない

何はともあれ最後まで気を引き締めて参りましょう
敵の猛攻は【第六感】と【カウンター】でかわし、隙を見て全力の【愛の無知】を叩き込ませます
今日は大勢の方に遊んで頂けて、ニッキーくんもすっかりご機嫌ですからね
可愛くて優しくて可愛くて、これっぽっちもシリアルキラってない彼の感謝の思いです
どうぞ遠慮せず、代表して正面からお受け取りください

素直に感謝もできるという可愛さまで持っているのに、この世界の方々の感性は少々謎ですね
旅団の友人は皆可愛いって口々に褒めてくださいますのに



●可憐なる……もの?
「うわ」
 度重なるクリティカルヒットを受けてなお、いまだ健在の巨体。
 ビクビクムッチムチのはちきれんばかりの鋼の筋肉。
 私はヴィランでございますよと全身で主張しているコスチューム!
 すさまじい大音声! パワー一辺倒のファイトスタイル!
「可愛くない……」
 夏目・晴夜はものっそいヒキ顔でシリアスな声音で言った。
 ごうーん。隣でニッキーくんが頷いた。そんな馬鹿な。
「ムッキムキで」
 ごうーん(うなずくニッキーくん)
「異様にデカくて」
 ごうーん(うなずくニッキーくん)
「何人も殺してきていそうなオーラが……まったく可愛くないですね」
 ごうーん(うなずくニッキーくん)
「ってちょっと待てぇい!?」
 カメラを構えながらずびしっとツッコミを入れるカナメ。
 多分カメラ越しに中継を見ている住人らも同じことをしている。
「いや……あの筋肉の柔軟さも全く可愛くないですね……」
「ええ……?」

 だがそこへ、はるか彼方の闇から巨大な拳が"伸びて"きた!
「おっと!」
 晴夜はニッキーくんとともに素早く横っ飛びに回避。
 言うまでもなくビッグパワーのものだ。弾性を発揮した肉体!
『貴様の木偶こそ大概だろうがァ……!!』
「あなたまでそんなことを言うんですか? はあ、オブリビオンは見る目がないですね」
 溜息をついて頭を振る晴夜。ニッキーくんは無言である。
 ……いやよく見ると上腕二頭筋ビクビクさせながらがしんがしん拳打ち付けてない?
 めっちゃ人殺す顔してない? やっぱシリアルキラってない?
「ニッキーくんも、今日は色んな人に遊んでもらえてご機嫌ですね」
「殺人衝動が高まってヤバいことになってるようにしか見えないよ!?」
「ハハハ冗談が下手な方ですねえ」
 笑顔で辛辣な毒舌を吐きつつ、晴夜はニッキーくんに言う。
「さ、ニッキーくん。愛のムチを、感謝を返してあげてください」
 ガゴキィーン!! 拳を打ち鳴らすからくり人形の双眸が不穏に光る! コワイ!
『ふざけおるなァーッ!!』
 筋肉の柔軟性を駆使し、ビッグパワーが襲いかかる。
 ニッキーくんはややうつむきがち(顔が影になって非常に怖い)から、
 突如としてぐわっと体を起こし(バネじかけめいていて怖い)顔を上げ、
 スッと拳をかいくぐると、その豪腕をビッグパワーの顔面に叩きつけた!
『グワーーーーーーーッ!?』
 顔ばっか殴られてんなこのデカブツ。
 ともあれ飛び込んだ速度と勢いをカウンターとして逆に返され、
 ビッグパワーはその柔軟性ゆえにリズミカルに壁や床を跳ねる。
「可愛い可愛いニッキーくんに遊んでもらえて楽しそうですねえ」
「えっそれツッコミ待ち? ねえ???」
 晴夜は、カナメの台詞に心底不思議そうに首を傾げるのであった。
 ニッキーくんは拳をがしーんがしーん打ち合わせてる。だから怖いって!

大成功 🔵​🔵​🔵​

柊・明日真
【アドリブ歓迎】
自分の配下も道具扱いか。
絵に描いたような外道だな、お前。
ここできっちり叩き潰して、二度と出てこれないようにしてやるよ!

ノロマってワケでもなさそうだが、あの図体なら懐に潜り込んだ方がやり易そうだ。まずは【ダッシュ】で接近戦だ。

【破砕の刻印】【鎧砕き】でラッシュをかける!
攻撃を当てられるだけ当てて反撃の暇は与えねえ!

ビッグパワーナックルの直撃だけは避けたいがこっちもデカイのをぶち込むチャンスだ。
予兆が見えたら【カウンター】を狙う!



●刻み印すもの
「…………」
 柊・明日真は、オレンジの瞳にたしかな怒りを燃やしていた。
 義憤である。いや、それは彼なりの言い方をするならば……。
「気に入らねえな、お前」
『何ィ……?』
 ビッグパワーの巨体と明日真では、その差は歴然。
 いかに明日真が2m近い長身だとしても限度というものがある。
 さながら巨人と小人めいた質量差だ。
 だが彼は臆すること無く、敵たる巨人を睨めつけた。
「自分の配下も道具扱い。人間は計画を動かすための駒。
 絵に描いたような外道じゃねえか。だから気に入らねえ」
『ハッ……ならばどうする?』
 ペッ、と唾を吐き捨て、明日真は武器を構えた。
「ここできっちり叩き潰して、二度と出てこれないようにしてやるよ!!」
『嘗めるなよ小僧……!!』
 直後、ビッグパワーの気配が明らかに変質した。
 これまでの戦いで傷つけられたダメージそのものが力になっているかのごとく、
 全身の筋肉を鋼めいて硬質化させ、強化するオーラを纏ったのだ!
「……へえ、ただのデカブツってワケでもなさそうだな」
『憍慢の報いを思い知れぃッ!!』
 は、疾い! 巨体は普通スピードを犠牲にしているのが通例!
 だが巨大な筋肉はつまり全身が駆動機関ということでもある! 道理だ!
「見え見えなんだよッ!!」
 明日真はこの拳撃をかいくぐり、腕に這わすように剛剣で受け流す。
 そしてギャリギャリと火花を散らしながら、敵の懐めがけ一目散に駆け込んだ!
『甘いわァッ!!』
 しかし敵もさしたるもの、拳がだめならば足。強烈な前蹴りだ!
「がぼ……っ!!」
 丸太、いや、もはや石柱じみたニーが叩き込まれ、みぞおちと言わず明日真の全身を打ち据える。
 だが吹き飛ばされかねぬ威力を彼は無理矢理に押し込み、がちりと巨大な膝に食いつく!
『ぬうっ!?』
「おかげで、懐に潜り込めたぜ……ありがとうよ……!!」
 橙の瞳が燃え上がる。そして明日真は太腿を蹴立て走る!
『おのれが!!』
 ゴウッ!! 腿と拳で圧壊しようという構えか!
 明日真は第六感でこれを回避、着地した先は逆側の腿!
「破砕の刻印(クラッシュクレスト)、起動――こいつでぶっ潰してやる!!」
 剛剣がごう、と燃え上がり、刻印に魔力が通じた。
 そして立て続けのラッシュ! 斬撃! 横薙ぎ! 切り下ろし! 刺突!!
『うおおおおおっ!?』
「おらおらおらおらおらぁ!!」
 血を吐き出し、全体力を一撃一撃に込めた前のめりな戦い。
 あまりにも向こう見ずな戦い方に、カメラを構えるカナメも手に汗を握る。
「……!」
 この戦いから目をそらしてはいけない。ここにいることが己の戦いだ!
「うおおおおおおっ!!」
『が、がはぁ……っ!!』
 そしてついに、明日真の闘志がビッグパワーに膝を突かせた!
 とどめの一撃を胸部中央に叩き込み、彼は大きく飛び退って着地する。
「っけ、どうだ、くそったれが……思う存分、叩き込んでやったぜ」
 いまだ決着はつかず。だが明日真の攻撃はやつに大きなダメージを与えた。
 意地を張り通し、赤髪の刻印騎士は獣じみて笑うのだ。

成功 🔵​🔵​🔴​

ヨハン・グレイン
オルハさん/f00497 と

これはまた……如何にも分かり易い悪ですね。
やりやすいと言えばやりやすいですけど。
隣の彼女が燃えている……ような、気がする。

まぁ、いつも通りに。
援護しましょうか。

攻撃を加える程にパワーアップって、
ちょっとずるくないですか。
これがヒーローやヴィランというもの、なのか?
あまり好きにはなれそうにないですね……。

近くで見たいものでもなし、
近接戦は任せて距離を取りましょう。
蠢く混沌で足を狙う。近付かれたくないので。本当に。
闇を這わせ縫い留め、あとは彼女に任せましょう。

俺はこのノリにはついていけない気がします……。


オルハ・オランシュ
ヨハンf05367 と

ねぇ見て!
いかにもワルって感じだね!
くぅーっ、なんて熱いの!!
ヨハンはわかってないなぁ
そのずるさこそ、悪の真骨頂にんだよ?
私は好きだな
燃えてくるもの!

いつも通りの布陣で頑張ろうね
前線で槍を振り回してこよう
どれだけ伸びてこられようと、速さを生かして【見切り】を狙いたいな
今回は真っ向勝負こそセオリーでしょ!
小細工なしで正面から【2回攻撃】
ヨハンが足止めしてくれているから、攻撃も当てやすいよ


ふふん
真のジャスティスがどっちか、証明してあげるんだから



●並び歩むもの
「これはまた……いかにもわかりやすい"悪"ですね」
 鉄火場に馳せ参じるなり、ヨハン・グレインはなんとも言えない表情をした。
 呆れているというか、暑苦しさに顔を顰めているというか。
 つい最近、キマイラフューチャーで味わった筋肉地獄が脳裏に去来する。
「ねぇ見て! ほんとだね、いかにもワルって感じだね!!」
 一方のオルハ・オランシュは、例にもよってテンションがブレていた。
 おかげで余計に、いつかにキマイラフューチャーのことが脳裏をよぎる。
 ヨハンは頭を振って、迫り来るポージング怪人どものことを頭から消した。
「……燃えてますね」
 呆れ気味のヨハンの声に、オルハは目を輝かせて、
「当たり前じゃない! くぅーっ、なんて熱いの! ヒーローズアース最高!!」
 と、感無量の様子であった。またこのパターンか、とヨハンは溜息をつく。
「まあ、やりやすいといえばやりやすいですけど」
「そういうこと! さあ、あいつをぶちのめしちゃおうっ!」
 ぐおおお……瓦礫の中から巨体が起き上がり、ふたりを睨め下ろす。
 オルハがウェイカトリアイナを構える。
 ヨハンが闇を呼ばい、魔導書を開く。
 待ったなしの真剣勝負だ!

『貴様らがどれほど俺様を傷つけようと……無駄だ。いや、逆効果だ!!』
 メキメキメキメキ……ヤツの纏うオーラがさらに凝固する。
 あきらかに、奴は傷を負えば負うほどに強まっているのだ!
『貴様らも死ぬがいい! 猟兵どもォッ!!』
 そして不気味な柔軟性を発揮した筋肉で、拳! 拳! さらに前蹴り! ストンプ!!
「うわっ、とととと!」
 風を纏いオルハはきりきりまいでこれを回避する。
 ヨハンはもともと後衛として十分な距離離れていたはずだが、
 あまりの猛威と吹きすさぶ瓦礫でさらなる後退を余儀なくされる!
「なんですかこれ、攻撃を与えるほどパワーアップ?
 いくらなんでもこれは……ちょっと、ずるくないですか?」
 ゴガァンッ!! 軽口を遮るかのように瓦礫が舞う!
「ヨハンはわかってないなぁ、そのずるさこそ! 悪の真骨頂なんだよ!」
「そんなこと言ってる場合ですか!?」
 まったくふざけた話だ。トンチキ度合いではキマイラフューチャーといい勝負か?
 などと、いい思い出のないヨハンは心の中で毒づく。
「これがヒーローだのヴィランだのというのな、らっ!」
 ガゴォン!!
「俺は、好きになれそうにないですね……!」
「私は好きだなあ、燃えてくるも……のっ!」
 ドゴォオッ!!
『ええい、ちょこまかとッ!』
「ヨハン、いつも通りの布陣でいこうか!」
「近くで見たいものでもなし、お付き合いしますよ」
 そしてふたりは同時に飛んだ。
 オルハは前へ。
 ヨハンは後ろへ。
 まったく息の合った連携に、ビッグパワーもどちらを狙うか一瞬思案する。
 その間隙を突き、飛び退りながらヨハンが敵の足元へ視線を集中させる。
「そこだ――沈め!」
『ぬうっ!?』
 ビッグパワーの巨大な影が持ち上がり、黒闇の爪が脚部を切り裂いた。
 それはさながら剣山めいて無数の杭になり、さらに彼奴の巨足を縫い止める!
『おのれ、この程度で……!』
「相手が一人だなんて、思わないでくれるっ!?」
 ここでオルハが飛び込む! 鞭打つような巨腕が振るわれるが、かろうじて見切って回避!
 回避による回転運動でさらに風の速度を高め、錐揉み回転しながらオルハが迫る!
「せい、やあっ!!」
『がはっ!!』
 ひとつ、ふたつ! 疾風の二連突き!
 分厚い胸部に、合わせて6つの鋭い傷口が突き刺さり、血が飛沫いた!
「ふふんっ、どっちが真の正義(ジャスティス)なのか、証明してあげるんだから!」
 軽やかに着地し、それっぽい決めポーズを取るオルハ。
 そんな彼女を後ろから見て、ヨハンは額を抑えて頭を振った。
「……このノリには、ついていけそうにありません」
 などと言いつつ、ここまでまたしても来ているのがいかにも彼らしいのだが。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

神元・眞白
【SPD/絡み・アドリブは自由に】
第六猟兵、ヒーローズアース、今回の依頼は――?
移動が遅れたし、状況確認してもらわないと。
飛威、コルクボードと写真、相関図の準備。大体わかればいいから。
きっとそこにいるカメラマンさんに聞けば完成する、はず。

力に力で対抗するのは疲れるし、受け流しながらの立ち回り。
撮ってるってことなら映える様に騎士はヒーローっぽく変装させよう。
……でもヒーローっぽくってどういうもの?それとなく、しよう。
悪にふさわしい最後になるように演出しないと


ユーリ・ヴォルフ
部下たちを、道具と見なすか
奴等は貴様にとって仲間でも何でもなかったというのか…
貴様達悪党とは分かり合える日は来ないのだろうな
カナメのカメラの前なのだ、猶更格好悪い所は見せられないな
叩きのめしてくれる!

真の姿のまま突撃
『範囲攻撃』『属性攻撃』を周囲に纏わせ目くらましにし
飛んできた拳は『オーラ防御』『激痛耐性』でガードしながら
走り回って敵のビッグパワーナックル発動を誘導する

そして発動後の隙を狙い炎霆を投げ囮都市
背負った竜槍を続いて放ち【ドラゴニック・エンド】
いけ!ファフニール!
ファフニールの攻撃が当たると同時に属性攻撃』炎をぶつけ火柱

そういえばこの世界には竜は存在するのだろうか?
会ってみたいな



●滾り彩るもの
「飛威、コルクボードと写真。あと相関図の準備、だいたいわかればいいから。
 きっとそこにいるカメラマンさんに聞けば完成する……はず」
「へっ、私? なんで!?」
 突然こちらに水を向けられたことに、さしものカナメもちょっとキョドった。
 どうやら遅まきながら合流したらしい神元・眞白は、なにやらメイドめいた戦術器達からこしょこしょと様々な情報を仕入れている。
「……だいたいわかった。あのデカブツを、やっつける」
「それ見ればだいたいわかんない……?」
「この際細かいことは抜きにしよう! 力を貸してくれ!」
 真の姿を解放した状態のユーリ・ヴォルフが、眞白と戦術器達に言う。
 眞白もその雰囲気に表情を引き締めると、こくりと頷いた。
『無駄だ……どれほど徒党を組もうが、俺様は不滅にして無敵……!!』
 なるほど、言葉通りビッグパワーはどれほどダウンを喫しようと立ち上がる。
 わけても厄介なのが、ヤツのユーベルコード"バイオレントフォース"だ。
 傷つけば傷つくほど、そしてプライドが傷つけられれば傷つけられるほど、
 ヤツの戦闘能力は高まり、それどころか生命力すら吸収してしまう!
「……だが妙だ。貴様、一体それほどの生命力を一体どこから……」
 猟兵達の中に、致命的なまでに弱った者はまだ出ていない。
 するとユーリの言葉に、ビッグパワーが邪悪な笑みを浮かべた!
『くっくっく……そばに傀儡使いを侍らせておいて、まだわからんのか?
 あるではないかここには……俺様が利用すべき、生命力のゴミカスがなァ!!』
「……まさか!!」
「ジャスティストルーパーの屍体から……!?」
 ユーリとカナメの言葉に、奴はいよいよぎらぎらと目を輝かせる。
 然り。倒され滅びたはずの残骸から、奴は生命力を根こそぎ奪い取っているのだ。
「仮にも貴様の部下だろうに! その屍体を辱めるとは!!」
『部下だからこそだ。俺様にとっては、全て利用すべき道具よ……』
「……哀しい人。誰かに頼ることができないのね」
 ぽつりと溢れた眞白の言葉には、深い憐憫と哀切が込められていた。
「貴様にとっては仲間でもなんでもなかったというのか……。
 やはり、貴様ら悪党とわかり合える日は来ないのだろうな」
 ユーリは吐き捨て、ごうごうと龍の焔を燃え上がらせながら槍を構える。
「カナメのカメラの前なのだ。なおさら格好悪いところは見せられまい。
 行くぞビッグパワー、その歪んな性根もろとも叩き潰してくれる!!」
 眞白もまた、戦術器達を構えさせ決然とビッグパワーを睨む。
 対する敵はすさまじいオーラを纏い拳を握りしめる……!
 今再び、戦いの時!

『ぬうんっ!!』
 ビッグパワーにとって、己の全身が兵器であり鎧であり要塞だ。
 奴は自らの筋肉と溢れるオーラに絶対の自信を持っており、
 それに見合うだけの破壊力と再生能力を有していた。
「甘い……!」
「そのくらい、見切れる」
 大きく振り上げてのハンマーパンチを、ユーリと眞白は左右に散って回避。
 床が砕けて噴煙が撒き散らされ、龍の焔によってそれらが燃え上がる。
『目くらましのつもりか、ちょこざいな!』
「だが貴様のような木偶の坊にはいい手だろう?」
 嘲る声。
 ビッグパワーははめちゃくちゃに周囲を叩きのめし、あるいは踏みつけ、
 ふたりと戦術器達を砕こうとするが、まるで攻撃が当たらない!
「……これ、カメラ映えしてるのかな」
「今はそんなことを考えている場合ではないだろう!?」
 噴煙のなか、相変わらずマイペースな眞白とツッコミを入れるユーリ。
 だが足を止める暇はない。まるで隕石じみた拳が次々に降り注ぐからだ!
「さあどうした、私はここだぞ!」
『貴様ぁ、まずは叩き潰してくれる!!』
 奴は満身の膂力を拳に込め、ぎりぎりと上体を限界までねじった。
 破壊力は想像すらできない、いやしただけでもめまいがするほどだろう。
 だがそれゆえに、攻撃には相応の隙が生まれる。ユーリの目が焔に燃える!
「せいっ!」
『ふんっ!!』
 ビッグパワーははちきれていた膂力を解き放った。
 だが手応えが浅い。殴り飛ばしたのは……炎霆、つまり槍のみ!?
『これは……』
 咄嗟にユーリの姿を探そうとするビッグパワーだが、そこへ死霊騎士と禍々しい龍が襲いかかった。
「ヒーローらしさというのはわからないけれど」
 術者である眞白は、表情を変えぬままきっぱりと言う。
「あなたをどう倒せばいいのかは、わかる」
『ちぃっ、小賢しい!!』
 その間にユーリは背負っていた龍槍を振り回し、これを投擲!
「行け、ファフニール! お前の爪で悪を引き裂け!」
 巨体に突き刺さった龍の槍は、そのまま雄々しい凶悪な暴れん坊ドラゴンに変身!
 雄叫びをあげたファフニールは、鋭い爪と牙でビッグパワーを切り裂く!
『ぐおおおおおっ!?』
 ダメ押しの龍炎。巨体が火柱に包まれる……!

「連携攻撃か。これもなかなか、ヒーローらしいのではないかな?」
「そう、なのかな」
 眞白はふとカナメの方を振り返った。
 カメラを構えた勇気あるジャーナリストは、目を輝かせてサムズアップする。
 ヒーローがどういうものかは、まだ彼女らにはわからない。
 ただ、守るべき人の笑顔が見れた。今はそれでいいのだろう。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

ビードット・ワイワイ
見たり見たり見たり、汝の破滅を見たり
筋肉身に付け手にするは己の知能の乏しさか
真に可能と思うたならば、正義の存在見誤りけり
頭脳も少しは鍛えるがよい。汝の破滅はここにあり

UCにて招来するは宙からの贈り物
数多の生物屠りけり。幾度と堕ちしその流星
誇りし筋肉見せて見よ。身体も想いも居りし場所、
全てを破壊し零にする。星の欠片を前にして人の力は無為になる

身体柔軟にしようとも星の欠片は進みけり
筋肉だけで解決すること、それが少ないとここで知れ
知って潔く逝くがよい。それが汝の破滅なり

力の証明完了せり?鍛えし筋肉なんのため?
得たもの全て無に帰り、残りしものは何であり?
力に溺れし愚か者。これにて舞台を終わらせよう



●破滅を求むもの
 ずしん、ずしん! 未だビッグパワーの巨体は健在!
 いやむしろ、本人の言葉通り、ダメージを蓄積するたびに圧迫感は強まる。
 心弱き者ならば、ビッグパワーの巨体は数倍以上に見えていることだろう。
「――見たり見たり見たり、汝の破滅を見たり」
 だがビードット・ワイワイは、いささかの恐れも抱いていない。
 彼がウォーマシンだから、というわけではない。そもそも恐れる必要がないのだ。
「筋肉身につけ手にするは己の知性の乏しさか」
『何ぃ……!?』
 ぎろり。すさまじい威圧感の凝視がビードットに向けられる!
「汝が唱えた絵空事、真に可能と思うたならば、正義の存在見誤りけり。
 頭脳も少しは鍛えるがよい。汝の破滅はここにあり」
『ほざけ、鉄屑風情が! スクラップにしてくれるわ!!』
 ずしんずしんずしん――巨体が重機じみた速度でビードットへ迫る!
「あ、危ない! ってなんで動かないの!?」
 安全な背後でカメラを構えていたカナメも思わず声を上げる。
 たしかにビードットの躯体は巨大だが、それでも差は歴然の一語だ。
 真正面から押し合いなどすれば、巨腕に砕かれ本当にスクラップになるだろう。
「筋肉達磨に付き合う道理は非ざるなり。我が招来せしは汝の破滅なり」
 仮想破滅招来補助具――過去に記録された破滅の事象を再生し複製する名状しがたい器物が、
 再び起動する。だが毒ガスなどでビッグパワーを止められるのか!?
「ロードルーイン――我が呼ばうは宙(そら)からの贈り物なり」
『何……!?』
 巨大な地下空洞に、どこからかズゴゴゴゴ……と地鳴りめいた轟音。
 ビッグパワーの足音ではない。なぜなら音は頭上から来ている!
「ぎゃーっ!? なんじゃありゃーっ!?」
 カナメはそちらにカメラを向けて、仰天しながら目を剥いた!
 天井に異界めいたゲートが開き、赤熱化した……隕石! 隕石が現れたのだ!!
『馬鹿な、地下空間に隕石を召喚しただと……!?』
「世界は違えど宇宙惑星、その理は不変なり。なればこれは破滅の光なり。
 数多の生物屠りし災いの光、幾度と堕ちしその流星。誇りし筋肉見せてみよ」
 直径は1メートルに届くだろうか、着弾すれば大惨事は必定!
 ビッグパワーとて、これをまともに食らうつもりはない。
 いかに伸縮性を高めたとしても、地下空間から逃れるには遠すぎる……!
『おのれがぁあああああ!!』
 奴は絶叫し、ついに鋼めいた豪腕で隕石を自ら受け止める。
 再生された大気摩擦の炎が、じりじりとコスチュームを、肌を、肉を灼く!
『う、お、お、おおお……!!』
「全てを破壊し零にする、星の欠片を前にして、ヒトの力は無為になる」
「ってそれ私達もやばくない!? どーすんのっ!?」
「恐るるに足らず。あれなる筋肉達磨を見るがよい」
 ビッグパワーは焼け焦げ削り取られながらも、おお、隕石を……砕いた!
 四散した残骸がヤツの全身を礫めいて打ち据え、巨漢は絶叫する!
「……ま、マジかー」
「実に愉快なり。力の証明完了せり、されど汝は破滅を浴びて満身創痍なり」
 ぶすぶすと全身のあちこちから煙を上げるビッグパワーが、
 憤怒の形相で向き直る。ビードットのカメラアイがぐりぐりと蠢いた。
「星の災厄前にして、防ぐほかに術あらず。自慢の筋肉その力、限界を今見たり」
『ほざけ!!』
「憤るか。ならばいま一度その力を見せてみるがよい、力に溺れし愚か者」
 破滅を求める鋼は、愚かなるヴィランを嘲笑う!

成功 🔵​🔵​🔴​

イリーツァ・ウーツェ
これはまた、硬そうな肉だな。
力自慢か。良かろう。打ってくるがいい。
格の違いを教えてやる。
【POW】
杖を地面に突き立てる。腰を落として構え、指先で誘う。
殴りかかってきた腕に回し蹴りの要領で尾を絡め、そのまま尾の力で身を浮かせ、相手の顔面めがけて、UCを使った全力の拳を遠心力ごと叩き込む。
出来れば目玉を狙いたい。潰せれば、他猟兵達が楽になるだろう。
殴り飛ばした反動で元の位置に着地し、杖を引き抜く。
どうだろう。そこそこ絵になる動きは出来た……か?

せっかくの肉だから、本当は少しくらい食べてみたかったが……。
命を賭して真実を伝えようとする勇者が見ているのだ。
我欲に走るような真似は慎もう。



●己を抑えるもの
『……貴様、なんだそれは?』
 ビッグパワーは、目の前の相手が取った仕草を訝しんだ。
「どうした。打ってこないのか?」
『何のつもりだと聞いているのだ』
 魔杖を地面に突き立てたイリーツァ・ウーツェは、フンと鼻で笑う。
 挑発的な眼差し。腰を落として重心を整え、片手を差し出した。
 そして掌を上向け、くいくいと指先で手招いてみせる。
「力自慢のオブリビオンなのだろう? ずいぶん硬そうな肉だが」
『…………』
 無言のビッグパワーに対し、イリーツァは薄く笑う。
「"格の違いを教えてやる"と言っているのだ。さあ、打ってくるがいい」
 挑発だ。お前のそのご自慢の力を、真正面から受けきってやろうというのだ。
 ビッグパワーは半ば呆然としていた。おそらく、かつてヴィランであった頃にも、
 ここまで不敵で不遜な物言いをぶつけられたことはないのだろう。
「来ないのか?」
 イリーツァはなおも挑発する。あからさまな嘲りの笑みを浮かべ、
「――臆病者め」
 と、決定的な一言を放った。

『…………いいだろう』
 長い沈黙の果て、ビッグパワーは静かに、恐ろしく低い声で言う。
 全身の筋肉が、己の骨を潰し砕きそうなまでにぎしぎしと緊張する。
「ひえっ」
 カメラを構えていたカナメも、すさまじい威圧感に悲鳴を漏らした。
 イリーツァに勝算はあるのか? わからない、自分が口を出せることではない。
 ただ彼を信じ、こうして後ろでカメラを回す。
 戦いを見守る……それが、ジャーナリストの戦いなのだから。
『その増上慢を、文字通り打ち砕いてくれるわァッッッ!!』
 そして、怒声!! びりびりとイリーツァの全身を叩く。
 膨れ上がった風船が爆ぜるかのように、ビッグパワーの体がブレた!
「……っ!!」
 カナメは目を瞑りそうになった。そんな自分をなんとか抑え込む。
 見守るだけの自分がこれほど怖いのに、いわんや相対するイリーツァをや!
 龍人は薄い笑みを浮かべたまま、猛然と迫る巨体を見据えている。
 ブンッ、と音の壁を越え、惨劇じみた巨大な拳が振るわれた。
 そしてイリーツァは、あわれ地面のシミに……!

 ――ズシンッ!!

「ひゃあっ!!」
 すさまじい振動が地下空間を震わせる。
 どうなったのだ? イリーツァは完全に地面に押し潰されたのか?
 いや、見よ! 立っているのはビッグパワーでは……ない!
「――え?」
 カナメはぽかんとした。佇んでいるのは、他ならぬイリーツァ!
 そしていましがたの振動は、誰であろうビッグパワーが原因である!
『ぐ――ぐわぁああああっ!?』
 バガンッ!!
 背中から地面に斃れていたビッグパワーは、一拍遅れて絶叫した。
 そしてのたうち回るように後頭部を地面に叩きつけたのだ。
「な、何が起きたの!?」
「なに、少しばかり"戻った"までだ」
 イリーツァは涼しげに嘯く。

 では、実際に何が起きたのかを振り返ってみよう。
 まずビッグパワーが拳を握りしめ、振り下ろす。
 イリーツァはそれを僅かな体幹の動きで受け流した。ここまではいい。
 そして彼の龍の尾が、さながら回し蹴りの要領で敵の腕に絡みついたのだ。
 まさに合気である。イリーツァは尾を支点に、自らの体を浮かび上がらせた。
 ビッグパワーはその巨体ゆえ、満身の攻撃は全体が追従することになる。
 奴自身が攻撃に乗せたスピードを利用し、イリーツァは跳躍。
 ビッグパワーの顔面めがけ――ここだ。ここでユーベルコードが現れる。
 わずか1ナノ秒。刹那と呼ぶべき一瞬だけ、彼は龍の姿に変身したのだ。
 ビッグパワーに負けずとも劣らじ豪腕が、全力で――思い切り叩き込まれた!
 ビッグパワーの巨体が吹き飛ぶ。イリーツァは元の姿に戻りながら、
 くるくると後方跳躍、着地。そして時間の流れは元に戻る……。

『が、あぁああああああっ!!』
 奴がのたうち回る理由は他でもない。滂沱の血を流す、片目!
「せっかくの肉だから、本当は少しくらい食べてみたかったが」
「へっ?」
 イリーツァはカナメのほうを見やり、とぼけたように微笑んだ。
「どうだろう。そこそこ絵になる動きはできたかな?
 ――命を賭して真実を伝えようとする、勇者よ」
 我欲に走る悪党を打ちのめし、涼やかに笑う龍の男。
 カナメは赤らんだ顔をベレー帽で隠しつつ、こくこく頷く。
「ちょ、ちょっとだけ、てかだいぶ早すぎてブレブレだけどね! あはは!」
「むう、テレビとは難しいものだな……」

大成功 🔵​🔵​🔵​

神威・くるる
あや、これは更に逞しい旦那はんやこと
そないに大きいと動きにくぅない?
あんな太くて固そな脈打つあそこ(首筋です)に歯を立てて
全部絞り啜って飲み干せたら
嗚呼、それはどれくらい至高の甘露なんやろか……

【フェイント】や【スライディング】
時々【だまし討ち】を挟みながら攻撃をかわして

なあ、知ってる?
どんなに鍛えた兵士でも
どんな苦痛に耐えられる精神の持ち主も
耐えられへんもんがあるんやて

それは――擽りと、快楽

UCで増やした【猫じゃらし】を向かわせて一斉に擽り地獄
どれくらい耐えられるやろなぁ?


脳が焼ききれる程の拷問の後は
脳が蕩けてまう程の吸血による快楽を



●妖しく笑うもの
 ビッグパワーの巨大な筋肉を前にしても、神威・くるるのペースは崩れない。
「あや、これはさっきよりもたくましい旦那はんやこと」
 などと冗談めかしてくすくす、ころころと鈴鳴りのように笑う。
「そないに図体大きいと、動きにくぅない?」
『貴様、ふざけているのか?』
 ビッグパワーとて、オブリビオンを束ねる首魁なのだ。
 ジャスティストルーパーと異なり、そう簡単にかどわかされることはない。
「それにその首筋……」
 ちろり。くるるの口元を、赤い舌が艶やかになぞる。
「太くて固くて脈打って、歯ぁ立てたら美味しく啜れそうやなあ……?」
「はいストップ待った待った首の話だよね!?」
「? そうどすえ? なぁにカナメはん、赤い顔して慌ててもうて」
 わたわたと待ったをかけるカナメ、それをからかうくるる。
 カナメも色々言いたいことはあるが、根掘り葉掘りするとどう考えても自分が不利なので、
 ぐぬぬ顔でベレー帽を深く被り、撮影に集中することにした。

『ふん、蛭の分際で俺様に敵うと思っているのか?』
「どうやろねぇ。それに蛭とは限らへんよ?」
 くるるはにまりと目を細める。
「旦那はんを吸い尽くしてからからに乾かしてまう、恐ろしい鬼かもなぁ?」
『戯言を……いい加減にその口を叩き潰してやる!!』
 ふざけた態度が逆鱗に触れたのか、ビッグパワーは全身に縄めいた筋肉を浮かべ、
 さらに伸縮性を発揮して変幻自在の攻撃を可能とした!
『死ねぇっ!!』
「あややぁ、こわいこわい」
 ゴガァンッ!! ムチめいた巨大な拳が地面を砕く。
 くるるはこれを飛び退ることで回避、だがそこへ右拳が飛来!
「いけずやわぁ」
 くるり、と猫めいたしなやかさで着地し、さらにスライディング。
 まるでビッグパワーの攻撃をもてあそび、からかうかのような回避だ!
『ええい、ちょこまかとゴミ虫がぁ!!』
「ふふ。そんな虫にも、あんたはんを悶えさせられるって教えてあげよか?」
 軽々と跳躍して敵の追撃を逃れつつ、くるるが笑う。
「どんなに鍛えた兵士でも、どぉんな苦痛に耐えられる精神の持ち主でも、
 だぁれも耐えられへんもんが、ひとつだけあるんどすえ。知ってるかなぁ?」
『俺様に、そんな脆弱さは存在しないのだ!!』
「せやったら、試してみよか――」
 言いながらくるるが取り出したのは……猫じゃらし?
 するとそれは一瞬にして20倍以上に増え、ビッグパワーの全身を這い回る!
『ぬおっ!?』
「そーれ。楽しい時間の始まりどすえ? こちょこちょこちょこちょ……」
『ぬううう、うぅ……おおおおおっ!?』
 むずむずと悶えていたビッグパワーだが、やがてのたうち回り始めた!
『や、やめろ! なんだこれは!! う、ううぉおおおおおお!!!!』
「まだまだ行くどすえ~、そ~れ」
『やぁああああめろぉおおおおお!!』
 猫じゃらしで全身をくすぐられ、じたばたとあがく巨大なヴィラン。
 しかも全身筋肉モリモリのマッチョメン。す、すさまじい光景だ。
「……これ、なんかいかがわしい変な作品とかじゃないよね!?」
「カナメはんも試してみる?」
「絶っっっっっっ対に、やだ!!!」
 ビッグパワーは、しばし為す術もなくくすぐられ続けたという。

大成功 🔵​🔵​🔵​

千桜・エリシャ
あらあら、随分と斬り落とし甲斐のありそうな首ですこと
メインディッシュとしては申し分ありませんわね……
カナメさん、私の華麗な勇姿
しかとそのカメラに余すことなく収めてくださいましね!
あっ、あとでダビングしてもらえるかしら……

あなた、力は強そうですが俊敏性はなさそうですわね
くるり、ひらり、と繰り出される攻撃を見切りで躱して翻弄して差し上げますわ
ほらほら、こっち!遅いですわよ!
挑発して逆上させてあげますわ
そうして判断力が鈍ったところを彼岸花腕で足元に花を咲かせて動けないように拘束
呪詛載せた刃で御首を戴きましょう
地獄に咲く彼岸花は黒
されど、あなたの首が咲かせる花は何色かしら?
ああ、きっとそれは鮮烈な――


リーオ・ヘクスマキナ
はーいはーい、新装備受け取りに行ってたらすっかり遅くなっちゃったけど今更ながら参戦だーよー
この地下、綺麗なものが見えないからあんまり長居したくないんだよねぇ
パワー型とやり合うにもこの狭い空間は厳しいし、さーてどうしたものか

……あ、いや。アレがあったね
カモン、赤頭巾さん! デッカいのが相手ならコッチもデッカいので対抗だァ!
赤頭巾さんに約3mの「ブリキの木樵」に変身してもらって、サイズとパワーで対抗!
こっちからも【2回攻撃】や【スナイパー】としての技術で【援護射撃】して、気を逸したり目や関節を撃って邪魔してやるともさぁ

あ、でもカナメさんが巻き込まれないように細心の注意は払うよー

アドリブ共闘歓迎


バレーナ・クレールドリュンヌ
●アドリブ絡みOKです。

【WIZ】
全ては道具ね……。
忘却の海の水際から蘇ったあなたもまた自分の意思と遠いところで踊らされるものだというのに。

負傷とプライドがキーになるのね……。

歌唱・誘惑を活用して、UCの力を高めましょう。
子守唄を歌いましょう。
わたしの歌は鎮魂の歌、決して傷つけたりしないわ、ただ、その迷える魂を元ある場所に戻すだけ。

足を止めて、暴虐の拳を下ろさせるわ。
さぁ、あなたも揺蕩いなさい、この微睡みと安寧の狭間に。


?……あぁ、カナメと言ったかしら?
わたしの歌う姿を写してもいいけれど、決して見惚れてしまわないようにね?
真実と決着の時を見逃してしまわぬように。



●涯てに咲くもの
 くるり、ひらり。
 まるで舞い散る桜花のように、軽やかにして玄妙なる緩急。
『ちぃい、目障りな!!』
 ビッグパワーは、獲物を仕留めきれぬ苛立ちを滲ませながら暴れ回る。
 それを紙一重で回避している者こそ千桜・エリシャである。
「ほらほら、こっち! 遅いですわよ!」
 拳が降れば横っ飛びに、足が飛んでくれば鞠めいて跳ね上がる。
 攻撃すれすれをからかうように避けて嘲笑うさまは、さながら妖精めく。
『俺様をこけにしおってェエ……!!』
 だがエリシャにとっても、ふたつ誤算があった。
(力は有れども俊敏性はなさそう、と踏んでおりましたけれど)
 ひとつ。ビッグパワーは巨体に比したスピードを有していたこと。
 カートゥーンならばこの手の敵は膂力と反比例して鈍重なものだが、
 これほどの筋肉ともなれば、むしろ比例してしまうのが現実である。
(そして、あのオーラ……)
 ふたつ。ビッグパワーのユーベルコード、"バイオレントフォース"。
 奴が傷つけば傷つくほど、プライドを損なえば損なうほどに高まる力は、
 敵の【判断力】を削ぎ落とそうとしたエリシャにとって大きな壁となった。
 ビッグパワーが苛立ち逆上すればするほど、むしろ敵の動きと力は高まり、
 はじめこそ余裕であったこの攻防も、じわじわと追い詰められつつある。
(これがこの世界のオブリビオンですのね? ああ、なんて――)
 ……だが、これらの事実はエリシャにとって手強いことはあれど、
 彼女を絶望あるいは苦悶に至らせることはない。むしろ喜ばせるほどだ。
(手強ければ手強いほど、御首を斬るのが楽しみになりますもの!)
 ゆえにエリシャは手を休めず、足を止めることなく敵を翻弄する。
 しかしいよいよ、拳と舞いのラリーも終わりに近づきつつあった。
『――そこだ』
 間隙というものは、必然の積み重ねの果てに訪れるものである。
 回避のための余剰空間を奪われたエリシャは、
 まるでパズルのようにすとんとそこへ追い込まれていた。
「……!」
 重機めいて迫る拳! いかにエリシャとて被弾は免れ得ぬ軌道と瞬間!!
 はたして彼女は全身を打ち据えられてしまうのか? 誰もが息を飲むその時!

「――カモン、赤頭巾さん!!」
「さぁ、あなたも揺蕩いなさい――」

「!!」
『ぬうっ!?』
 エリシャとビッグパワーは同時に驚愕した。
 拳の勢いは甘やかな歌声によってわずかにだが弱まり、
 さらに割って入った巨躯が豪腕を真正面から受け止めたのだ!!
 ゴッ!! とすさまじい衝撃音、地面を削る悲鳴じみた金切り声!
 火花を散らし、エリシャからわずか数十センチのところで静止する鋼の巨人。
「……リーオさん、それにバレーナさんまで!」
 エリシャは快哉をあげた。然り、二人の闖入者はいずれも彼女の知己。
「はーいはーい、新装備受け取ってたらすっかり遅くなっちゃったけど、
 ようやく参戦だーよー。デッカいのにはコッチもデッカいので対抗だァ!」
 童話の吟遊詩人めいた装いの少年の名はリーオ・ヘクスマキナ。
 彼が呼ばわった3メートル近い"ブリキの木樵"が、鋼の巨人の正体である。
「あんな乱暴でガサツそうな男が、綺麗なあなたをぐしゃぐしゃにするなんて、
 私には我慢ならないもの。声を出さなくても無事だったでしょうけれど?」
 そして白皙の尾鰭を保つ、蕩けるような甘い歌声の持ち主が、
 バレーナ・クレールドリュンヌである。美貌が笑みに綻んだ。

「おお、ナイスタイミングの援軍……これはクールだね!」
 ヒヤヒヤしていたカナメもノリノリで二人を撮影する!
『俺様の邪魔をするなァ!!』
 そこでビッグパワーが動いた。伸縮する奇怪な拳足を二人めがけ振るう!
「おーっとっとぉ!」
「本当に乱暴な輩ねっ!」
 リーオとバレーナは素早く左右に展開し、攻撃を回避。
 轟音を立てて壁が砕けて崩れ、もうもうと土煙を立ち込めさせるのだ。
 BRATATATATAT!! 油断なく放たれた短機関銃の弾丸がビッグパワーを苛む!
『ええい、鬱陶しい!!』
 鋼めいた筋肉で無造作に弾丸を薙ぎ払うビッグパワー。
 しかし奴を煩わせるのは、リーオが放つ弾丸だけではない。
『なんだ、この歌声は……ッ!?』
 そう、バレーナの歌である。彼女の歌は非常に特異なものなのだ。
「全ては道具。あなたはそう驕っていたわね? ああ、哀れなものね。
 骸の海の水際から甦ったあなたもまた、所詮は操り人形のようなもの――」
 ビッグパワーは拳の風圧で土煙を払うが、バレーナの姿は見えない!
「自らの意思と遠いところで踊らされているだけだというのに……」
 嘲るような言葉とともに、荒ぶる魂を鎮め眠りへ誘う旋律が響き渡る。
 抗いがたい安らぎは、ビッグパワーを微睡ませることまでは出来ずとも、
 目に見えて奴の動きを鈍く緩慢にさせることに成功していた!
「足を止めて、暴虐の拳を下ろし、あなたも揺蕩いなさい。
 この微睡みと安寧の狭間、迷える魂の在るべき場所へ――」
『ほざけ! 姿を見せろ、醜い雑魚が!!』
 迫り来る鋼の巨人を前蹴りで吹き飛ばし、合間合間に放たれる弾丸を弾き、
 ブンブンと靄を払いながら、ビッグパワーは逆上の雄叫びをあげた。
 奴は忘れるべきではなかったのだ。そもそもはじめに相対していたのが、
 どれほどの修羅を保つ剣士であるのか。そして彼女は……、
「――お前」
 この世ならざる宿の女将にして、
「言ってはならないことを言ったわね?」
 客も身内も等しく善きものとして迎えもてなし、
「ならば教えてあげましょう――地獄に咲く、鮮やかな花の色を」
 侮辱にはすさまじき殺意を以て応じる、苛烈なる羅刹であるということを!!
『何――』
 ぞわ……っ!!
 まるで獲物を誘い込んだ海底の奇っ怪な肉食魚めいて、
 無数の黒い"手"が、ビッグパワーの足元から溢れ出た。
 気付いたときにはもう遅い。死霊の黒手はビッグパワーの両足を封じている!
『これは!!』
 跳躍しようとしたビッグパワーめがけ、鋼の巨人が杭打機を突き出す。
 まず左腕でこれを払う。同時に放たれた援護射撃を右腕で防ぐ。
 足。腕。どちらもが封じられた間隙めがけ、胡蝶を纏う刃が……呪詛と共に!

 ――斬撃一閃。

「――ああ、勿体無い」
 ビッグパワーの背面に着地したエリシャは、うっそりと呟いた。
 強靭な敵の首は、これほどの好機を以てしても一撃で断つには足らない。
 しかしばっさりと刻み込まれた太刀筋を追い、鮮烈な赤の軌跡が走る。
「これほど鮮烈な赤を、こんな狭苦しい場所で見なければだなんて……」
 振り向き血漿を払う羅刹には、狂おしい三日月のような笑みが浮かぶ。
『がは……ッ!?』
「ほんとほんとぉ! この地下、綺麗なものが見えないからさぁ。
 あんま長居したくないんだよねぇ。この調子で片付けちゃーおー」
 などと気楽そうなリーオが、エリシャの隣に立って肩をすくめる。
「……ああ、そうそう。カナメと言ったかしら?」
 エリシャに守られる形で踊るバレーナが、カメラを振り向く。
「わたし達の姿を映してもいいけれど、決して見惚れてしまわないようにね?」
「へっ? え、あ、うん!」
 実際心奪われかけていたカナメは、思い出したように我に返った。
「私と皆さんの華麗な勇姿、どうぞ余すことなく収めてくださいましね」
 悶絶する敵を背後に振り向くエリシャの姿は、怖ろしくも美しい。
「……あっ、あとでダビングとかしてもらえると」
「ダビングって何?」
「そもそもそんな場合じゃないでしょう……」
 などと、いつも通りのやりとりも交わす不思議な三人であったという。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

鳴宮・匡
◆アドリブ歓迎
◆連携OK

どれだけ図体がデカかろうが関係ないし
お前の野望もどうでもいい
それが「敵」なら、殺すだけだ

出来るだけ関節や首、顔面など
筋肉が薄く、かつ防御のしにくい箇所を狙う
弾力性のある部位は下手に狙っても衝撃を殺されそうだ

相手が大きく動くようなそぶりを見せた場合は
その軌道の「先」、相手の到達点を予測して
移動した直後の瞬間、精確に急所を狙って狙撃
幾ら柔軟だろうと結局、動くには伸縮の必要があるからな
伸縮の度合いやタイミングを見れば
どういう狙いで、どう動くのかは読めるだろ
……そして
人型である以上は急所の場所だって変わりゃしないんだ
何処を穿てば致命傷に至るかなんて知ってる
飽きるほど見てきたしな


ヴィクティム・ウィンターミュート
ちょーーーいとばかし、出遅れちまったか?主役が熱望する端役の登場だ。
…ハッ!力こそ全てなんてツラァしてやがる。面白ェ、テメェの力って奴を根こそぎ消してやる。

凍える静寂じゃなく、燃え盛るほどのラプソディで相手してやるよ。

【ダッシュ】【早業】【見切り】を併用した高速機動戦闘で相手をする。ちょこまか避けて、ちょこまか当てて、じわじわとダメージを与えていくぜ。
堪らず『バイオレントフォース』を切った瞬間、ユーベルコードを発動。
封印の焔を殺到させて、強化を封印してやる。

よう、デカブツ。こんな弱そうな端役相手に、上手くやられてる気分はどうだい?力の使い方をレクチャーしてやろうか?ん?
じゃ、後は主役に任せるぜ


ジャガーノート・ジャック
(ザザッ)
狙撃ポイントの摩天楼に到着。相対距離は約10km。
問題皆無。
任務を開始する。

(ザザッ)
SPD選択、UC:"Thundercloud"起動。
敵性存在を衛星より視認、補足。ターゲットロックオン。
(情報収集+視力+追跡)

"Thunderbolt"発動待機。サイズ指定:縦横5㎝。
――29㎥の容量を持つ立方体、縦横5㎝ならばその長さは11.6㎞。
その規格をもつレーザー光線として"Thunderbolt"を精製。

Thundercloudによる位置情報・位置補正クリア。
精製最適軌道検索完了。
(スナイパー+誘導弾)

――ヒーローよりは
サイドキックの方が本機は肌に合う。
(援護射撃)

Fire.
(ザザッ)



●狙い穿つもの
 BLAM! BLAMBLAM!! BRATATATATATAT!!
 ガゴンッ!! ドゴォ――ゴガァアアンッ!!
『どいつも、こいつも!! 俺様をコケにしおってェ!!』
 これまでの戦いで浴びた数多の傷口からマグマめいた熱血を溢れさせ、
 ビッグパワーはすさまじい憤怒とともに暴れ狂う。
 もはや奴にとって、敵を破壊し殺すこと以外に思考は存在しない。
 結果として地下アジトはビッグパワー自身の手で破壊され、
 今となっては見る影もない瓦礫の廃墟と化していた。
 ……BLAM! BLAMBLAM!! BRATATATATATAT!!
 断続的な銃声。それらはすべて、ビッグパワーの関節と急所をめがけている。
 敵の攻撃と伸縮のわずかな間隙を、的確に狙い穿つ精密な射撃。
「別にコケにしてるわけじゃないさ」
 鳴宮・匡は瞬速のリロードを終え銃を構え、トリガを引く。
 どれだけ図体がデカかろうが、破壊神のようなパワーを持とうが、
 もっと言えば悪としての野望を秘めていようが、その為に駒を利用しようが、
 匡にとってはすべて『どうでもいい』。彼がすべきことはひとつ。
「それが"敵"なら、殺すだけだ」
 まったき殺意を以て、立ちはだかる過去(てき)を"撃ち"滅ぼすのみである。

「ハッ! どうしたよ穴居人(トロッグ)、赤ン坊の真似事か?」
 降り注ぐ瓦礫をかいくぐり、挑発的な視線と言葉で敵の攻撃を誘う。
 しかし振り下ろされる拳も破滅的な蹴りも、決して届くことはない。
 さながら風――いや、たとえるならば揺らめく篝火の陽炎だ。
 凍えるほどの冬空の下、たしかに燃える焔が生み出す靄めいた幻影。
「狂騒曲(ラプソディ)にゃ程遠いな、ええ? 腐れ音痴(ウィルソン)。
 死にかけの薬物中毒者(ワックド)のが、まだマシにがなるだろうぜ!」
 ヴィクティム・ウィンターミュートは下品なスラングで敵を嘲笑う。
 音速に等しい超高速機動戦闘を、かれこれ5分近くは続けているはずだ。
 ちょこまかと避け、かと思えばナイフで皮を裂き、そしてまた消える。
 薄い薄い和紙を重ねてバベルの塔を組み立てるような、気の遠くなる作業だ。
 身体的にも精神的にも、いわんや電脳にもかかる負担は尋常ではない。
「そら、デカブツ。こんな弱そうな端役相手に、上手くやられて悔しいかい?
 正しい力の使い方ってヤツをレクチャーしてやろうか、ン?」
 だが、彼がそれを表に出すことはない。涼やかに笑うだけ。
 サイバネ甲状腺、反射神経超増強装置、内耳埋込型広域聴覚強化装置。
 さらに小脳代替型ニューロンブースタと強化型サイバーリム。
 これら義肢に内臓・起動した200以上のプログラムがこの無茶を可能にする。
 偏執的なまでのサイバネ強化。常人ならば2秒で脳死(フラットライン)。
 流れる汗すらシャットアウトし、冬寂を名に刻んだ男はクールに笑うのだ。

「それにしてもよォ、主役さんよ! もうちっとハデにゃいかねえもんか!」
 ヴィクティムが冗談めかした軽口で、匡に呼びかけた。
 一瞬でも足を止めれば、ヴィクティムを待つのは破滅の未来である。
 肉も鋼ももろともにひしゃげ、シミにすらならず蒸発するだろう。
 そんな時にこそアイロニカルに振る舞うのが、ヴィクティムという男なのだ。
「お前、わかってて言ってるだろ?」
 対する匡の声はあくまで平易、当然ながら心配や不安の色はない。
 彼とヴィクティムはそうして幾度となく戦場を乗り越えてきたし、
 よしんばヴィクティムが苦境にあったとして動転することもないのだ。
 "凪の海"。彼の二つ名とされる名称は、なるほどいかにも的を射ていた。
「なかなかどうして決定打に欠けんだよなァ、こっちは出遅れ組だぜ?
 熱望された端役のご登場だってのに、出迎えたのは汗臭いゴリラだけかよ!」
 ゴッッッ!! 叩き込まれた岩めいた拳がコンクリを破壊する。
 破損に耐えきれず、ビシビシと天井にヒビが広がった!
「そんな台詞吐けてるなら、あと1時間はやれそうだな」
 BLAMBLAM!! 匡は表情を変えることなく、ビッグパワーを狙撃する。
 なるほどたしかに、人体である以上その構造も急所も変わらない。
 戦場に身を置いてきた彼にとって、ビッグパワーはむしろ容易い獲物である。
(面倒だな)
 だがタフネスに関しては、オブリビオンであることを差し引いても異常だ。
 生前からそうだったのか、骸の海に堕ちた時点でそうなったのか。
 すでに数十発以上の弾丸を叩き込んでいるが、敵はなお堅牢である。

 当然彼自身にも攻撃は返ってくるのだが、匡を捉えることはない。
 限界を足蹴に超演算と身体強化で踏ん張るヴィクティムと、
 研ぎ澄まされた観察と行動予測で瞬発的に回避する匡とでは、
 ともに汗一つかかないように見えて、その内実はまったく異なるのだ。
 かたや一見優雅に思えて、しかし水面下で必死にもがく白鳥のように。
 かたや一時も獲物から目を離さず、一瞬の好機を掠め取る猛禽のように。
 二人が互いを嘲笑うことも、妬むこともありはしない。
 それぞれの能力に信を置き活用し合う。必要ならば助け合いもする。
 在り様は似て、内側は異なり、浮かべる表情もまったく別なれど、
 匡とヴィクティムのコンビネーションは、まさに一心同体である。
『――もうよい』
「あ?」
「……ん」
 出し抜けにビッグパワーが漏らした呟きに、二人が反応した。
 ヴィクティムは内心でほくそ笑む。敵は罠にかかった、と。
 だがそんな彼の肩を匡が叩く。凪の海らしからぬ行動だ。
「おい匡」
「来るぞ」
 それ以上の言葉は要らない。ヴィクティムは一瞬だけ真顔になった。
 そして敵を睨む。ビッグパワーを覆う鋼じみた異形のオーラ……!
「野郎」
『こんな窖(あなぐら)も、何もかもどうでもよいわァアアアアアッッ!!』
 ヴィクティムは反射的にユーベルコードを起動した。だが届かぬ!
 なぜならビッグパワーは両足でずしん!! と地面を踏み、
 さらに火山噴火じみた運動エネルギーを、直上に叩きつけたのだ!!
 崩壊の兆しすらない。天井が一瞬で"消し飛んだ"。
「あの糞野郎(ドレッキー)やりゃあがった!!」
「跳べ!」
 言われるまでもない。ヴィクティムは匡とともに跳ぶ!
 消失した天井、落下する瓦礫――いや、落盤! 崩壊が始まったのだ!
「ちょ、おわぁ!? えええええヤバくないこれ!?」
 当然、一般人であるカナメは慌てふためく。ヴィクティムは舌打ちする。
「糞ッ」
「任せとけ」
 匡はそれだけ言って、崩落する瓦礫を飛び渡っていく。
 おそらく彼はこの一瞬で"何か"を知覚した。ならばそれを信じるほかにない。
 ヴィクティムは舌打ちし、カナメから目を離して"空"を睨み飛んでいく。
 崩落する瓦礫が、慌てふためくジャーナリストを飲み込んだ――!

 ――ゴバァッッッ!!!!

 地上0メートル、オーサムシティ・中央区。
 巨大な交差点のど真ん中が罅割れ、そして内爆的に迸った。
 なお溢れた余剰エネルギーが、天高く劈き夜空の雲をかき消すほど。
「こいつはとんだステージギミックじゃねえか、ええ!?」
「お前が焚き付けすぎるからじゃないのか?」
「そいつは無理筋だろチューマ、あそこまで派手にキレるなんざ思うかよ!」
「別になんてもいいけどな、死にはしないし」
 地上に飛び出した匡とヴィクティムは軽口を叩きあう。
 然り。彼らは崩落直後、ぶち抜けた竪穴をそのまま"飛び抜けた"のだ。
 未来予知じみた観察予測と、命を燃やす身体強化。
 それぞれがあって初めて可能な絶技である。二人は崩落穴を振り向く!
『ぬぅううううんッッ!!』
 モンスターパニック映画の巨大類人猿めいて、ビッグパワーが現れた。
 跳躍、着地。立ち往生した車両が、衝撃にゴムボールじみて弾むほど!
『これが俺様の力だ。貴様らを処刑してやる!!』
 大音声が、オーサムシティの夜景に轟く。ビル街の窓がひび割れる。
「どうでもいい。さっさと死んでくれ」
 匡は銃を構えた。
「――面白ェ、ならその力って奴を根こそぎ消してやる」
 ヴィクティムは嘲笑った。
 そして弾丸が、電子の炎が同時に放たれる。巨躯が咆哮する!

(わかってるよな)
(ああ。これで――)
((状況は整った))

●鋼を纏うもの
《――狙撃ポイントに到着。『"雷雲(サンダークラウド)"』同期開始》
 ざり。ざりざりざり。
 オーサムシティ中央区。
 天高く聳え立つ街のモニュメント、摩天楼の天頂部に影一つ。
 まるでうずくまる肉食獣じみたシルエットは、しかし判然としない。
 雲間から覗く月光は、砂嵐めいたノイズに阻まれているからだ。
《――同期完了。狙撃システム、および視界同期。照準補正計測……》
 カメラアイが消失し再び点灯した時、"彼"は天から世界(した)を見た。
 カウボーイのハッキングが、軌道衛星との高精度同期を支援する。
 キュイイイ――拡大(ズーム)・拡大・拡大。
 欲望と娯楽の貪婪たるオーサムシティをはるか天上から俯瞰。
《――"雷霆(サンダーボルト)"発動待機。容量指定:縦横1.96インチ》
 バチ、バチバチ――砂嵐が、龍の巣めいて電光を瞬かせた。
 生成可能密度:合計29約1024立方フィート。
 伸びる。延びる。形なき光が生まれ、伸び、延びてパチパチと爆ぜる。
 再凝縮。最大射程7.207マイル、破滅の速度で降り注ぐ光の鞭。
《――"雷雲"位置情報更新、クリア。照準補正計測、誤差0.0007》
 ざり。ざりざりざり。
《――軌道予測完了。敵地上到達までカウントダウン開始》
 砂嵐が晴れていく。摩天楼にうずくまる鋼を顕にする。
 その相貌は豹めき、その瞳は赤く赫奕と。
《――5》
 ずしん。ごごん、ぐらり……大地が揺らめく。
 ミリ単位の誤差が生まれる。それすらも計測に入っている。
 悪魔的な未来予測を可能とする傭兵の情報が、
 カウボーイによって経由され"彼"のもとへ届く。だから計測できる。
《――4》
 ずしん! 再びの振動。
《――3》
 ばちり。 砂嵐が、灼けた砂利めいて爆ぜた。
《――2》
 ざりざり。ノイズの残滓が夜空に消える。
《――1》
 そして兵士が敵を捉える。爆ぜる大地、現れた二人の協力者(なかま)。
 凪の海が映した水月が、冬寂の風とともに"彼"のもとへ運ばれた。
 そして生み出された光が届く。稲妻よりも鋭く、雷よりもまばゆき破滅の槌。
《――英雄(ヒーロー)よりは》
 絶対の救済など己には不可能だ。なぜならば。
《――黒子(サイドキック)のほうが、本機の鋼(はだ)に合う》
 自分は壊し、殺すための兵士(ジャガーノート)なのだから。
 ジャガーノート・ジャック。この一瞬のために待ち続けた姿なき狩人。
《――発射(Fire)》

 間隙とは、好機とは必然の積み重ねの果てにやってくる。
 かくして雲間なき夜空に、爪弾き者どもの閃光が煌めいた。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​



 結論から言おう、雷はビッグパワーを滅ぼした。
 だが力は遺った。まるで感光したフィルムのように。
 はたしていかなる現象がそれを招いたのはわからぬ。
 あるいは滅びた直後、骸の海よりそれは来たのかもしれない。

 ――いずれにせよ、残影じみた暴威に対し、これを討ち滅ぼした者らがいる。
 それは、紛うことなき神の御業である。
アダムルス・アダマンティン
アドリブ・結社雑絡み歓迎

複数のナンバーズが秘密裏に行動する基本原則を逸脱した戦闘を行っているとのタレコミ。急行する
「何をやっている貴様ら。結社の『掟』を忘れたのか」
「カメラはやめろ。まったく、報道各社に圧力を掛けるこちらの身にもなれ……」

ソールの大槌を手に、ビッグパワーへ立ち向かう
「大した巨躯だ。だが一つ、惜しいことがあるな」
「――貴様は武器に選ばれてすらいない」
「さあ、征くぞ。クロノスウェポンの力、見せてやろう」
仲間を鼓舞しながら突撃。怪力でもって振るう刻器神撃は炎を纏い、生中な肉の鎧も砕けるだろう
「他のナンバーズだけに手柄をくれてやる謂れもない。全力で行かせて貰うぞ」


ペル・エンフィールド
あわわ…秘密裏に動けと言われてたの忘れてたです…!
…でも、炎火もマリアも派手にやってたですし…此れはきっと許されるですね!
それじゃこのゴリラみたいにムキムキなオブリビオンも狩っちゃうのですよ!
獲物が強ければ強いほど狩りは楽しみが増すのです

とは言えあの腕に掴まれたら、か弱いペルはぺしゃんこなのです
だからひっそりひっそり、急所に一撃を叩き込む機会を伺って
最高火力のユーベルコードを放つのです

ふふん、狩人は狙った獲物は逃さないのですよ
でもおっかない人からは逃げるのです。…さらば!


ラグ・ガーベッジ
「チィ!アダムルスの奴嘘ついてやがったな!」
「俺には目立つなって言っておいてアイツらめちゃめちゃ派手にやってんじゃねーか!」

言われた通りにコソコソビルを登っていたらいつの間にか戦いが終わっていたのでイライラしている

「あー!面白くねぇ!おいそこのパパラッチ!俺があのバカたちよりも強くて最高の武器だってしっかり撮っとけよな!」
カナメを指さしてカメラ目線で要求

「何だコイツ……ゴムかなんかで出来てんのか?」
メリケンサックに変えた腕でブン殴るも感触に違和感

「………ハッハァ!ザマァ見やがれだ!あいつのハンマーじゃあ相性わりーだろ!」
結社の仲間の武器が効きにくそうな事に喜びながら腕を刃物に変えて敵を斬り刻む


灰炭・炎火
ビッグパワー!
ええやんね! あーしと力比べしよ
カナメちゃん、あーしの後ろにいてね
大丈夫、怪我は絶対させへんから
あーし、これで……力だけは負けたことはないんよ!

ってことで、ニャメの重斧は、ん〜〜、誰か持ってて! って放り投げて、拳で殴りかかるよ!

【怪力】全開!
ビッグパワーナックルに、あーしの全力パンチで応戦する!

「正義とか悪って難しい! あーし、だから力比べが好き!」
「シンプルで、単純です、わかりやすくて……結果がすぐ出るもんね!」
「あーしの戦るなら、怯んだらだめよ」
「隙を見せたら……逃さへんから!」
力比べに勝ったら、そのまま更にボディーを殴りつける!



★結社の皆と雑絡み歓迎
★アドリブ歓迎


ビリウット・ヒューテンリヒ
さて、結社の同胞が作戦遂行中と聞いて来てみれば…あらら、随分と目立っているね。御大将(アダムルス)をあまり困らせてはいけないよ?

なんて、説教じみたことはほどほどにして、私も参戦しようじゃぁないか。
ここには随分と美味そうな素材もある。バロウズ、食べていいよ。

さぁ、魔銃の真髄とくと見よ。周囲の無機物を食い荒らし、変形するのはショットガン。近距離で発射される大量の散弾は、それぞれが爆裂の属性を込められた破壊の咢だ。ふふ、世界の記憶から作られた特殊弾、痛いだろう?

私は良識派だからね。あまり目立たずに…
おっと、無機物を取り込んでは目立つも何もないか!ハッハッハ!

※結社メンバーとの雑絡み歓迎


マリア・マリーゴールド
「結社」のヒトとの連携ウェルカムデス!

ゎぉ。いかにもなワルワルさんデスなー?
もの壊ス、ヒト叩ク、ワルいコ。
……特に、嘘、ダメデスヨ。
とってもワルいことデス。
ハンセーしてくださいマセ!

それでは、コホン。

"いまこの時こそ浄罪の時。
汝の罪を濯ぎ次の世での正しき道を示しましょう。Amen."

【SPD】
みょんみょんしててふつーにスパンっ!ってしづらいデス!
仕方ないデスネ。

悪ヒトコーチラ!
マリィはココデス、悪いヒトと違テ逃げまセン!

悪ヒト釣れタラ刻器転身、ギロチンソードになるマス。
これなら悪ヒトより良くスパッ!デキマスネ。
マリィ、ヤドリガミ。体壊レテ平気デス。
誰かマリィ使テくれるなら、一番楽デスケド。



●選ばれしもの
「よぉーいしょっとぉー!!」
 バゴォン!! 地面が砕け、炎の翼を広げた少女が現れる。
「うわわわわ、うわぁーっ!?」
 ……そして少女、すなわち灰炭・炎火が持つ超巨大な豪斧の先端に、
 襟首をひっかけられたカナメがぶらさがっていた。
 ここはオーサムシティの中央区大交差点。
 これまでの戦闘により、ビッグパワーは天井を破壊し、
 地下100メートルから地上までを一気に駆け抜けたのだ。
「カナメちゃん大丈夫? 大丈夫やんね、さっすがー!」
「どこが大丈夫に見えるのさぁー!?」
 あわや崩落に巻き込まれかけたカナメだが、そこを炎火が救った。
 そしてこうして、炎火のパワーで地上へ抜け出したという形だ。
「炎火は乱暴すぎるのです! だからベルに任せておけばよかったですのに!」
「そしたらマリィ、ドサドサ巻き込まれて死んじゃうでシタネ!」
 続いて彼女らを追ってばさりと鋭く飛翔してきたのは、
 ペル・エンフィールドとその足に捕まったマリア・マリーゴールド。
 三人はカナメとともに地上に降り立つ。
 ビッグパワーの穿った大穴を斜めに切り裂くように、一条の焼け焦げた線。
 他ならぬビッグパワーの姿は……そこには、ない。

「ワルワルさん、やっつけられたデス?」
 マリアがきょとんとした顔で首を傾げた。
「むむむ、せっかくベルがかっこよく狩ってみせるとこでしたのに!」
 どうやら戦いは終わったらしいと早合点し、ベルは唇を尖らせた。
「ま、まあ無事に解決したならそれはそれで――っとぉ!?」
 立ち上がろうとしたカナメががくんっと思いきり引っ張られた。
 炎火である。彼女がぐいっとカナメを引っ張って救ったのだ。
 然り、"救った"。ベルもマリアも、表情を一変させ素早く退いていた。
 直後――KRAAAAAAAASHッ!! 彼女らの居た場所が粉砕破裂!
『GRRRRRRRHHHHHHHH……』
 見よ。まるで全身が焼け焦げたかのように黒ずみ、
 バチバチとこの世ならぬ暗紫色の電光を纏うビッグパワーの姿……!
 まるでそれはビッグパワーというよりも、ビッグパワーの形をした暗黒。
 炯々と輝く双眸には、純然たる殺意と憎悪、そして憤怒が燃えていた。
「カナメちゃん、あーしの後ろにいてね。大丈夫、怪我は絶対させへんから」
 彼女を無事に下ろした炎火は、背後を顧みて頼もしげに笑う。
「もの壊ス、ヒト叩ク、しかも不意打ちスル。ワルいコデス」
 マリアの悪人判定は端的である。風にヴェールがそよぐ。
「獲物が強ければ強いほど、狩りは楽しみが増すのです!」
 ばさりとはばたくベルが隣に着地し、ふふんと自信満々で微笑んだ。
 が、直後に我に返り、冷や汗を垂らしながらマリアと炎火を見る。
「……あわわ、思い出したですよ! ベル達いけないことしてたのです!」
「「??? ……あっ」」
 炎火とマリアは一瞬首を傾げてから、しまったという顔をする。
 そう、彼女達はおもいっきり自分からカメラに身を晒していた。
 "いかなる場合であれ、衆目にその身を晒すこと能わず"。
 厳格な『結社』の掟である。嫌な予感がふつふつ高まってきた!
『AAAAAARRRRRRRRRRGGGGGHHHHHッッ!!』
 そんな彼女らめがけ、獣じみて咆哮したビッグパワーが襲いかかる!!

「俺より目立ってんじゃねえぞこの筋肉ゴリラがァ!!」
「かしましい乙女の語らいを邪魔するのはよくないね」
 野卑な声、そして落ち着き払った声、女の声が合わせてふたつ!
 同時に砲弾めいて飛来した"何か"がゴガァッ!! と横っ面をぶん殴り、
 よろけたところでBRATATATATATAT!! と弾丸の雨が降り注いだではないか!
『…………!?!?!?』
 直撃を受けたビッグパワーは、猿めいて跳躍して逃れようとした。
 だがその先、ビル屋上には、形を得た夜のように黒き影が佇んでいる。
 いびつなフォルム。肩に担がれた大槌。刻み込まれた"Ⅰ"の数字。
「――どこへ行くというのだ」
 声は遅れてきた。風鳴りと衝撃が、先にビッグパワーを襲っていた。
 大槌が顔面をぶちのめし、そのままのベクトルで地面へと叩き込む!
 KAAAAAAAASHッ!! 質量にアスファルトが砕け周囲の車が数十センチ浮遊!
「「「あ」」」
 炎火、ベル、そしてマリアはその人を仰いで呆けた声を漏らした。

「オイ! テメエいいとこ持ってってんじゃねーぞこの嘘つき野郎!!」
 ビシィ!! 野卑な声――年頃は9か10と思しき金髪の少女が喚き立てる。
「やめなさいラグ。御大将をあまり困らせてはいけないよ」
 落ち着き払った声――赤茶けた肌のエルフの女がにこやかにたしなめた。
「俺に指図すんな! だいたいなァコイツらがいけねーんだコイツらが!」
 憤懣やるかたなしといった様子の少女、ラグ・ガーベッジは三人を睨む。
 彼女がオーバーに身振り手振りするたび、"Ⅶ"と刻まれた懐中時計が揺れた。
「まあそうね、ずいぶんと目立ってしまっていたようだし。
 とはいえ説教じみたことは、わたし達より彼に任せるべきよ」
 "Ⅳ"と刻まれた古めかしい回転式拳銃(リボルバー)を手に、
 ビリウット・ヒューテンリヒがおどけた様子で言ってみせた。
 そしてふたりの視線も"彼"――ビルの屋上からこちらに着地する男へ。
「……何をやっている、貴様ら。"掟"を忘れたのか」
 迫力ある無表情が、炎火・マリア・ベルの三人を睨めつけた。
 だが"彼"の視線は、その背後でカメラを回すカナメに移る。
「……何さ」
「やめろ」
「は?」
「カメラは、やめろ。どのみち撮ったところで無駄だ」
 男は空を指さした。……この大騒ぎに関わらず、報道ヘリの一機もない空を。
「圧力をかけて報道管制を敷いている。貴様のスクープは誰も採用せん」
「なぁっ!? あ、あんた何様よ! どこの誰だってぇの!?」
 巌めいた男は気丈に睨み返すカナメに、うっそりと呟いた。
「――貴様が知る必要は」
「このおっちゃんな、アダムルス・アダマンティンって言うんよ!」
「「あっ」」
 ベルとマリアがあーあみたいな顔をするなか、炎火はぺらぺら喋る。
「あーしらのリーダーで、ほら、あのでっかいハンマー!
 あれが『ソールの大槌』ってーおっちゃんの"刻器"でうひゃああ!!」
 ズシンっ!! 慌てて避けた炎火のいた場所に大槌が振り下ろされる。
 すさまじい眼光が睨めつけるが、炎火はてへぺろ顔である。
「ブッハハハハ!! ぜェんぶバラされてやんの、ウケる!!」
「だからラグ、そうやって御大将の神経を逆撫でするのは……ぷ、ふふっ」
 ラグは腹を抱えて大爆笑、たしなめたビリウットも思わず吹き出していた。
「よし、これなら私はうまく許されるですね……!」
「ほのかもベルもいいコいいコデス! 心配ありまセン!」
 謎の自信に満ち溢れたベルと、にこにことずれたことを言うマリア。
 そんな一同を見やり、黒衣の男……アダムルスは長く重い溜息をついた。
 関係各所への根回し、現場への急行、そしてメンバーの確認。
 長としての苦労が偲ばれる。カナメはとりあえずカメラを構えた。

『GRRRRRR……何者ダ、貴様ラ……!!』
 そこへ、這い上がってきたビッグパワーが再来する。
 全身の筋肉は傷つきながらも爆ぜそうなほどに膨れ上がり、
 今こそが奴にとって最大最後のピークであることを示していた。
「いいだろう。この際だ、貴様にも教えてやる、巨躯よ」
 ソールの大槌を担いだ長針の"Ⅰ"アダムルスが一歩踏み出す。
「我らは"ナンバーズ"。刻器に選ばれしもの」
 然り。ここに集った六人は、バラバラに見えて共通している。
 その由来も設立も、全容すらも明らかならぬ〈結社〉の雄。
 武器に選ばれし"長針"の担い手と、武器に変ぜし"短針"の変わり手。
「あーし、これでも力だけは負けたことはないんよー!」
 長針の"Ⅱ"、炎火が自信満々な様子で力こぶを作るように腕を曲げる。
「ま、それ以前に私はあなた達の"天敵"なんだけれどね」
 長針の"Ⅳ"、魔銃バロウズの使い手・ビリウットがおどけてみせた。
「テメエなんざ知るかゴリラ! それよかそこのパパラッチ!
 俺がこのバカどもよりも、強くて最高の武器だってしっかり撮っとけよな!」
 短針の"Ⅶ"、己の身を武器へと変えしテセウスの箱・ラグがカナメを睨んだ。
「ムキムキなオブリビオンだって華麗に狩っちゃうのですよ!」
 長針の"Ⅸ"、ストラスの大爪を担いし狩人、ベルがはばたいた。
「アナタ、色々ワルワルですけれど、特に嘘はダメデスヨ。
 とってもワルいことデス。ハンセーしてくださいマセ!」
 短針の"Ⅹ"、純白なるアドナイの神罰・マリアがびしっと敵を指さした。
『ホザケ……マトメテ叩キ潰シテクレル……』
 グルルル、と獣じみた唸りを漏らすビッグパワー……が、訝しんだ。
 先頭に立つアダムルスが、あからさまな嘲りを垣間見せたからだ。
『……何ガ可笑シイ。タカガ武器一ツヲ有難ガル雑魚ドモガ!』
「貴様は強い。だが一つ惜しいことがある」
 六人のナンバーズが揃い踏む。夜空の下に刻印が鈍く輝いた!
「――人が武器を選ぶのではない。武器"が"人を選ぶのだ」
 そして貴様は、武器に選ばれてすらいない。男はそう呟いた。
「さあ、征くぞ。クロノスウェポンの――いや」
「あーしの自慢の!」
「私とバロウズの」
「誰より優れた俺の!」
「あなたを狩るベルの!」
「……あ。ま、マリィの!」
 "選ばれしものの"力を。見せてやる!

●突然のA/忘却に抗うもの
「ってことでぇ、ビッグパワー! あーしと力比べしよ!!」
 返答や仲間の反応を待たず、炎火が飛び出……そうとして、
「あ、これ誰か持ってて!!」
「はぁ!? おまっお前それどんだけ重いと思ウギャー!!」
 ズシーン!! 放り投げられた"ニャメの重斧"の落下音とラグの悲鳴!
「正義とか悪って難しい! あーし、だから力比べが好き!」
「正義とか悪より気にすることがある気がするけどねえ」
 ビリウットの声をあとに、炎火は今度こそ真っ直ぐに突撃した!
『AAAAAAAARRRRRRRGGGGGGHHHHH!!』
 吼えたけるビッグパワーがこれを迎え撃つ!
 炎の翼の力を推進剤に、流星めいて突っ込む炎火……豪腕と、ぶつかり合う!
 轟音! 反発……両者は再び拳を握りしめ、振りかぶった!
「あーしと戦(や)るならぁ!」
 ゴォン!! 衝撃波が街路樹を揺らす!
「怯んだらだめよぉ!!」
 ガゴォン!! たわんだ大気がビルの窓をヒビ割らせる!
「隙を見せたら――逃さへんからねぇ!!」
 三度目の激突! 拮抗……! 炎の翼が、燃え上がる!!
『FFFFFFFFWWWWWWW……!!!!』

「おいテメエ! 俺を無視してんじゃねーぞコラァ!」
 ゴッ!! 力比べをするビッグパワーの巨体をラグが殴りつける……が。
「あぁ? 何だコイツ、ゴムかなんかで出来てんのか?」
 然り。ビッグパワーは全身の伸縮率を極限まで高めている。
 にも関わらず接触面は鋼めいた硬度を保つ。完全な柔よく剛を制した状態だ。
「ハッハァ! こりゃあいい! おいマリア、合わせろォ!」
「"短針"同士でやるデス? それ、とってもワクワクするデスネ!」
 かくしてマリアがラグに従い、ひらりと宙を舞った。
「テメェは俺ほどじゃねーがまあまあだからなァ、光栄に思えよ!」
 野卑に笑うラグの腕が、ぞわぞわと瞬時に鋭利な刃物へ変貌する。
 そしてビルからビルを飛んだマリアは、足から順にギロチンへと!
「それでは、コホン――」
 ヴェールが風になびき、そよ風めいた口訣が響き渡る。
 ――"今このときこそ浄罪の時"――。
 ――"汝の罪を濯ぎ、次なる世での正しき道を示しましょう"――。
『――Amen.』
 これぞ刻器転身のⅩ、"弾頭剣"。アドナイの神罰はここに下されん!
 純白のギロチンソードは、重力を味方にまっすぐに敵へと振り下ろされた!
「俺は一人でも戦えるがよォ、他のヤツがいりゃもっと強いんだぜ!!」
 そして地上からはラグ! テセウスの箱よ、今こそその裡を明らかにせよ!
 刻器身撃、短針にして"単身"のⅦ。鋭き両刃が足元から地摺り残月だ!

 WHIIIIIIIZZZZZ――ZANK! ZANKZANK!!

『AAAAAARRRRRRRGGGGGHHHH!?!?!?!?』
 巨人は絶叫した。当然だ!
 炎火に向けた拳、その反対側の半身がばっくりと切り裂かれたのだから!
「どーんっ!!」
 炎火はこの機を逃さぬ! 全力で拳を殴りぬけ、敵を吹き飛ばした!
 踏みとどまることも出来ずたたらを踏むビッグパワー、そこへ強襲!
「より速く――」
 頭上より見下ろすは死を告げる鳥の目。
「より鋭く――」
 向けられるは燃え盛る地獄の爪。
「狙った獲物は、逃さない!」
 笑んで空を滑るは狩人の翼。おお、ストラスの大爪ここにあり!
 だがベルだけではない。この好機を待っていたのは彼女だけではない!
「美味しいかいバロウズ、よかったね」
 むしゃり。
 ごりごり。
 ぶつん。がつん。ごりゅん。
 ビルを。道路を。街灯を。砕けて飛んだ瓦礫という瓦礫を。
 魔獣――否、魔"銃"が貪り喰らい、ぞるぞると姿を変える。
 短身は伸び、グリップは強靭に、弾倉はすぼまり閉じる。
 コッキング。ガシャンッ! 破滅じみた威力を秘めた散弾銃!!
「さあ、我らの具髄とくと見よ。特製の"爆裂弩"だ」
 ビリウットは魔術師である。異形の追蹤魔術を用いる克己心なき狩人である。
 世界の記憶そのものを弾倉に込め、殺意と決意を以てスライドを引く。
 装填されしは世界そのもの、巡るは魔力、狙い見据えるは不倶戴天!
「死ぬほど痛いだろうが、たんと味わいたまえ。ハッハッハ!」
 ――BBBBLLLLAAAMMMM!!!
 炸裂(エクスプロード)。
 炸裂(エクスプロード)!
 炸裂(エクスプロード)!!
 尽きぬ弾丸が魔力を以て放たれる。刻器神撃、長針のⅣ!!
「さあ、ベルの一撃を食らうがいいのです!!」
 ―――SMAAAAAAAAAASHッ!!
 急降下からの、地獄の火炎を纏った大爪による強襲斬撃!
 狙い済ませた連続散弾の雨嵐! そのふたつが敵を抉り、刻み、穿つ!!
『AAAAAAAAAARRRRRRRGGGGHHHH!?!?!?』
 怪物は震えた。雄叫び――否、悲鳴を上げた。
 なぜだ。なぜ自分がここまで追い詰められている。
 猟兵。地下で対峙したその一つ一つ、その全てがこれを生んだ。
 誰一人欠けたとして、この巨躯を討つ一手には通じなかっただろう。
 叩き、抉り、撃ち、時には弄び燃やし劈き灼いた全ての傷が奴を追い詰めた!

 ――そして。
「さて」
 鋭い瞳が獲物を睨めつける。
「他のナンバーズだけに、手柄をくれてやる謂れもない」
 カナメは無駄とわかっていても彼らの勇姿をレンズに収める。
 いつの日かそれが、きっとこの世界を救う一打になると信じて。
 たとえそうでなくても、彼女なりの戦いを貫くために。
 "希望など忘れてしまえ"と囁く、不滅の過去と忘却に抗うために!!
「全力で行かせてもらうぞ」
 それを見て識っていて、あえて男は見逃した。その理由は定かならず。
 ともあれアダムルスは大槌を振り上げる。ソールの大槌。
 刻を刻みし神の槌。忘れられた大神の器、クロノスウェポンたる大器。
 いざや振るわれよ、これなるは悪を穿つ神の御業なり。
「耐えられるか? この一撃!!」
 地獄の炎よ燃え上がれ。神鉄を鍛え燃やすがいい!
 そして恐れよ天敵よ。汝に下りし神判は、すなわち――!
「……滅びの時だ、忘却(オブリビオン)よ」
 刻器神撃、長針のⅠ。
 単純極まりないとどめの一撃は、天そのものが降り注いだような槌。
 断末魔すらなく、悪鬼たる巨躯は――この世界から滅ぼされ駆逐されたのだ!

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2019年04月07日


挿絵イラスト