#UDCアース
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●私が、俺が、消えて
――消えてしまう。
四肢が、周囲に浮かぶ何かが、外へ出ようとするのを止められない。
仮面を着けた子達を連れて、私は向かう。目的は戦力拡充、及び邪神様を……。
「(違う、やめて……!)」
嗚呼、もう声すらも出せない。叫びは内側で木霊するばかりで。
私は白百合のルージュじゃない、其れは誰かが付けた此の義肢と武装の総称だ。
……誰か、誰か、お願い。呼んで下さい、私の名前を。
どうか、どうか、せめて此の子達を助けて下さい。
私は、もう――最期に会いたい人と会ってはいけないから。
●僅かな可能性
十朱・幸也(鏡映し・f13277)は閉じた目を、ゆっくりと開く。
とある事実について、伝えるべきか。伝えないべきか。
彼なりに悩んではいたが、猟兵達が来た時点でどうするべきか決めたらしい。
「度々、悪ィな。今回は邪神教団の拠点襲撃を依頼したい」
場所はとある学生寮、其の近くに存在する森の奥の別荘。
オフシーズンである今、其処は邪神教団に利用されているとの事だ。
……そして、教団の人間達は学生寮を狙っている。戦力拡充、或いは儀式に利用する為に。惨劇が起きる前に、拠点を叩いて欲しいと彼は告げるのだ。
「まずは周辺にいるヒーローマスクみてぇな仮面付けたヤツら、其の後で別荘の中に閉じ籠っている邪神と戦うってのが流れだな」
ふと、猟兵の内の一人が挙手をして、十朱に確認する。
別荘の中に閉じ籠っている、とはどういう事なのだろう。彼の口振りは、まるで別荘から出るのを望んでいない様にも聞こえて。そんな弱腰の邪神がいるのか、と疑問に思うのも無理はない。
――正に、彼が伝えるべきか悩んでいたのは其れだ。
「今回の件に関わっているヤツらは全員被害者だ。邪神……いや、邪神に身体を使われているヤツも含めてな」
其の事実に驚愕する猟兵も中には居た、だろうか。
十朱の言葉はまだ続く、今回の依頼は全員が被害者の意味を告げる。
ヒーローマスクの様な仮面を着けた人物は皆、近隣の学校に通う一般人の学生達だ。
マスク自体が洗脳装置となっており、呪いにも似た闇の力で操っている。宿主の命が尽きるまで利用し、生命力が尽きれば捨てる。
其の連鎖を断ち切る為にも、逃がす事無く仮面を破壊して欲しいと彼は頼むのだ。
「それから、邪神に関してだけどな。……本体は機械の四肢、胴体はまだ生きてる」
四肢、そして周囲を漂う武装が、とある女性の胴体を利用しているらしい。
今ならまだ自我が残っている内に、彼女に接触出来る。だが、邪神がいつまでも意識を残しておくとは思えない。……此処まで説明を終えてから、彼は猟兵達に頭を下げる。
「命を懸けて戦ってくれるお前らに、こんな事を言う資格はねぇ。でも……可能なら、少しでも助けてやってほしい。マスクや機械の四肢だけ狙えば、もしかしたら」
――まだ、助かるかもしれない。
しかし、其れは猟兵達に苦戦を強いる結果になってしまう可能性もある。
だからこそ、十朱は申し訳なさげに頼み込んでいた。自分が行けるのならばと思うけれど、予知した以上……彼らを送り届ける事しか出来ない。どうして、こんなに歯痒いのか。
あくまでも拠点破壊が目的だと、釘を刺す様に告げてから。
「終わったら、そうだな……帰り道に昔ながらの駄菓子屋があるらしいぜ?」
懐かしさに浸るのも良し、駄菓子屋のお婆ちゃんとの会話に花を咲かせるも良し。
運が良ければ当たりが出て、駄菓子をもう一個貰えるかもしれない。
細やかな幸せを楽しんでみるのも、きっと悪くはないだろう。疲れた心身を癒やす為の時間、其れを心置きなく楽しむ為に……猟兵達はUDCアースへと向かうのだった。
ろここ。
●御挨拶
皆様、お世話になっております。
もしくは初めまして、新人マスターの『ろここ。』です。
シリアスが好きなので、ワンモア シリアスって感じで書かせて頂きました!
十一本目のシナリオは戦闘、及び日常シナリオとなります。
今回の敵は全て、操られてしまった悲しき人形達。
救いの糸を垂らすかどうか……其れは猟兵の皆様に、選択権があります。
行動に込める想い、覚悟、そして猟兵の皆様の決意。プレイングに書いて頂ければ、私も精一杯描写させて頂きます。
尚、第三章(日常パート)のみ、お呼びがあれば十朱・幸也も同行が可能です。
同行を希望する際はお手数をお掛けしますが、プレイングの何処に【同行希望】と記載をお願い出来ればと思います。
また、グループでの参加の際はグループ名を、お相手がいる際にはお名前とIDを先頭に記載をお願い致します。
それでは、皆様の素敵なプレイングを幸也と一緒にお待ちしております。
第1章 集団戦
『『暗黒面』模造仮面と被せられた一般市民』
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POW : 洗脳装置の発動
【宿主】に【目の前の人物に対する憎悪 】【または嫉妬や劣等感などの悪感情、】【そして強烈な殺意】を宿し超強化する。強力だが、自身は呪縛、流血、毒のいずれかの代償を受ける。
SPD : 偽りの声
【宿主の口を介するように、マスク本体 】から【恨みの念が込められた言葉】を放ち、【攻撃の手を緩めさせる】により対象の動きを一時的に封じる。
WIZ : 逃走態勢
【宿主の生命力 】を代償に自身の装備武器の封印を解いて【マスクだけ助かろうとする逃走形態】に変化させ、殺傷力を増す。
イラスト:FMI
👑11
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
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種別『集団戦』のルール
記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
ガルムゼノン・フェンリル
息子のゼル(f00372)と共に、【フェンリル家】で参加するよ
【POW行動】
燎…燎がここのどこかに居るのか……!?
早く、早く彼女に会わなければ……!!
えぇい、邪魔をするな!!俺は…俺は……ッ!
気が気でなくなりそうなのを抑えつつ、宿主にダメージが通らないようマスクをアサルトライフルで精密射撃。
場合によってはハンドガンのクイックドロウで
距離感によって使い分ける感じでいく
近づいてきたらマスクを掌底で2回攻撃。
敵の攻撃は戦闘知識とカウンターで対処したり、フックショットⅡやジャンプで飛び上がり、空中戦で空に打ち上げて蹴り技で追撃するよ
ダメージが蓄積したら崩月・蒼牙爆迅衝!
崩月流の神髄、その身に刻めッ!!
デュオゼルガ・フェンリル
父さん(f01970)と一緒に【フェンリル家】で参加するぜ!
燎…?母さん?母さんがいるのか?
父さん、取り乱してるみたいだ…援護しなきゃ!ちょっ、父さん!待ってくれよー!
父さんが遠距離からある程度削ってくれることを見越して、俺はまず拳による先制攻撃だ!
それから素早さを活かしダッシュで撹乱する戦法を取るぜ!
拳の2回攻撃をマスクに当て、攻撃が来たら戦闘知識とガントレットによる武器受け、見切り、カウンターで対処!
カウンターが間に合わないなら逃げ足で距離を取るぜ
鎧砕きとグラップル、どっちもキメてみせるぜ!
ダメージが溜まってるならマスク目掛け父さんと崩月・狼牙爆迅衝をぶち込むぜー!
●ただ、もう一度
其の人狼の男性に、余裕は無かった。
現地付近の森の入口、其処に到着して間も無く……ガルムゼノン・フェンリル(砕月の咆哮・f01970)は地を駆ける。
気を負わず、ゆっくりとやろう。今の彼から、そんな言葉が出る事は無いだろう。
「(燎……燎が、ここのどこかに居るのか……!?)」
燎、という人物は彼の妻だった。
……死別していた、そう思われていたのに。どうして、此処に。
どうして、オブリビオンに。どうして、嗚呼、どうして――。
息を切らせて走り続けた先に、グリモア猟兵が示していた別荘は在った。不意に跳び出したガルムゼノンを、仮面を着けた学生達が見逃す筈もない。
「ヴオァァァ――ッ!!!」
「コ、ココ、ロスゥゥゥッ!!!」
仮面の下から血を流して、学生達は咆哮する。
……威嚇のつもりだろうか。否、此れは洗脳装置の発動だ。宿主に偽りの憎悪を、殺意を植え付けて、強化する呪い。
彼らの目に、今のガルムゼノンはどう映るだろう。例えば、飢えた獣だろうか。
ある意味ではそうかもしれない。今の彼は愛した女性に会いたい、そんな感情で満たされている。獲物を狙う獣の心境と、然程変わりはないだろう。
「えぇい、邪魔をするな!!俺は……俺は……ッ!」
――燎は何処だ、燎は何処にいる。
予知の通りなら、別荘の中で閉じ籠っているのだろうか。早く、彼女に会わなければ。生きているのなら、生きている内に……其の為に邪魔な者達を蹴散らさなければ。別荘までのルート上にいる学生達を薙ぎ払おうと、ガルムゼノンは構えて……。
「ちょっ、父さん!待ってくれよー!」
「――っ、ゼル……?」
後から追い掛けて来たのだろう、デュオゼルガ・フェンリル(月下の人狼・f00372)普段通りの声で父親を呼び掛ける。失念していたのだろうか、ガルムゼノンの動きが止まって。
……勿論、彼も母親の事を聞いて、焦らない訳じゃない。
でも、今の父親をそのまま戦わせる訳にもいかないと考えるのだ。焦りから力を込め過ぎて、結果学生達を殺めてしまうのは……きっと、母さんも望まないと思うから。
という訳で!彼はガルムゼノンを通り過ぎる様に駆け続けて、マスクを着けた学生の集団の中へ突撃するのだった。
「でりゃーっ!」
唐突に現れた猟兵の存在に動揺したのだろうか。
デュオゼルガは先手必勝を狙い、握り締めた拳を一人の学生のマスク目掛けて放つ。一回と思われた攻撃は素早く放たれた、二回攻撃。……強化されているからか、罅が入るに留まる。反撃に出ようとした所で何かが罅の部分に直撃、マスクを破壊した。
……其れは、ガルムゼノンによる遠距離からのアサルトライフルの銃撃だった。宿主を出来るだけ傷付けない様に、そう考える程には無理にでも落ち着かせたらしい。
「ゼル、次が来るよ」
「わかってるって!任せろー!」
俊敏な動きで翻弄、強化されたとは言えど元は学生故か。動きが大振りで読み易く、だからこそ避け易い。デュオゼルガは時に受け、時に躱し……マスクに対してカウンターを仕掛ける。破壊し切れなかった分に関しては、ガルムゼノンが正確に撃ち抜いてくれる。
何人もが倒されて、敵も焦り始めていて。手近にいるデュオゼルガ対して、二人同時に攻撃を仕掛けようと動き始めた。
……しかし、彼は緩く笑む。近距離に近付く父親の足音が聞こえてきたから。目を合わせれば考えている事も理解出来るのだ。……二人は親子で、師弟でもあるから。
「崩月、蒼牙――」
「崩月、狼牙――」
左はデュオゼルガが、右じゃガルムゼノンが。
無意識に声を揃えては、同じタイミングで力強く拳を握る。崩月流の神髄、今まで培ってきた力を放つ時。
――此れは奇跡を呼ぶ為の拳、絆の一撃だ。
「「――爆迅衝ッ!!!」」
二人の拳が、正確にヒーローマスクを撃ち抜いた。
罅が入り、広がる亀裂。少しの間を置いてから、仮面は粉々に砕け散った。宿主である学生二人はマスクを破壊した事で流血が止まったのか、気絶しているだけの様で。脈はあり、命に別状はないとガルムゼノンが判断すると、デュオゼルガもホッとした様に息を吐く。
「……父さん、落ち着いた?」
「少しは、だけどね。……でも、燎ならきっと」
自分は兎も角、学生達を助けて欲しいと願うだろうから。
……そんな優しい一面も含めて、自分は彼女を愛したのだから。
守るならば、彼女の心も含めて守り切ろう。今度こそ。ガルムゼノンは己の掌を見つめて、再びぎゅっと握り締める。
「行こうか、ゼル。皆を助けて、母さんも助ける」
「もちろん!行っくぜー!」
気絶した学生を安全な所まで運んでから、【フェンリル家】は同時に駆け出す。
学生達を解放する為、崩月流格闘術を駆使するのだ。其の先に、きっと――。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
月守・咲凛
助けるのは大変なのです。でも頑張らなきゃですね。
殺傷能力の高い武装しか無いので、こういう操られた人を助けるのは得意ではありませんが、苦手とも言っていられません。
腕部兵装ユニットの……パンチを解放します!
スラスターで飛び回りながら、敵のマスクを狙ってパンチや、掴み上げてマスクを剥がそうとしてみます。勿論人命優先です。
格闘の心得等は無いのですけど、動きを見切るのは得意なのです。
ただ、武装ユニットで格闘をしないのは理由があって、見た目通りの重さなのであまり振り回すと腕が耐えられないのです。あまり長くは持たずけっこうあっさりポキンと折れてしまうので、そうなったら無理はできないので引きます。
●守る為の覚悟
次に空を駆けて、此の場所に辿り着いたのは幼き戦士――月守・咲凛(空戦型カラーひよこ・f06652)だった。
既に戦闘は始まっている、早く自分も加勢しなければ。
そう、思うけれど……彼女は己の武装を見て、立ち止まる。
「(……助けるのは、大変なのです)」
月守にとって戦う為の武器はどれも殺傷能力が優れている。其れはつまり、今回の様な敵に利用された一般人を助けるには不向きである事を意味していた。
……彼女自身も重々承知している、理解していて此処に立っている。
「――行きます」
腕部兵装ユニット【トマラナイアシオト】、砲門展開不要。ぐっ、と拳を握り締めて……月守は再び空を駆けて、ヒーローマスクの集団へと向かう!
背部ウイングスラスターユニット【フユヲトカスメグミ】のお陰で自由に空を踊り、其の動きに視野が狭まった学生達は正確に捉える事は出来ないでいた。隙の大きい相手からマスクを狙い、腕部兵装ユニットによる殴打を繰り出す。同じ場所を狙って、もう一度パンチ!直後、重い一撃に罅が入る音が……二つ。
一つはヒーローマスクからだ。罅が徐々に広がり、少し置いてから砕け散る。そして、もう一つは彼女だけが聞こえていた音。
「(うっ、ぐ……!)」
月守の腕が、悲鳴を上げる音だった。
歯を食い縛って耐えるも、限界が近い事は明白。
彼女の武装は、少女の身体にはあまりにも重過ぎる代物だった。猟兵だからこそ扱えているのだろうが、そんな重量級の兵装で格闘術など行えば……彼女自身も苦痛を負うのは当然の事。
それでも、彼女は拳を振るう。助ける為に、頑張るって決めたから。
敵からの攻撃は見切る事で最小限に。小柄な身体で抱く決意も、また強く。
「もう、少しだけ……!」
別の学生のマスクを剥がして、砕いた所で両腕が限界を訴える。あと一撃が限度。
自分へと襲い掛かる学生が、恨みの言葉を撒き散らしながら駆けて来る。偽りの怨嗟の声。それでも、月守は真っ直ぐに見据えて……相手に攻撃される前にカウンターを仕掛ける。
其の一撃でマスクは砕けるが、同時に彼女の内側から嫌な音が聞こえてきて。
即座に背部兵装を使い戦場から離れて、気絶した学生達が集められていた場所へと移動する。
「みなさん、ごめんなさい……後は――」
両腕が折れた以上……自分に出来るのは遠隔操作武装ユニットで近付いて来る敵を威嚇し、遠ざける程度が精一杯。団長を、学生達を、団長の大切な人を助ける為に。
「お願い、します」
「オッケー!任せて!」
仲間を信じて、今の自分に出来る事を。
腕の痛みに顔色は青く、嫌な汗を流しながらも……戦場から目を逸らさない。
――そんな彼女の脇を通り過ぎたのは、何かを連れた妖狐の女性。
大成功
🔵🔵🔵
推葉・リア
ガルムさん達のお手伝いするわよ!とりあえず操られてる人たちを助けないとね!
【先制攻撃】でマスクのみに遠くから『フォックスファイア』と近づいたら『バイフォックスファイア』
そして『バトルキャラクターズ』で正義感が特に強くて小回りの利く武器を使う推しキャラを呼ぶわ!一緒にあのマスク叩き壊して叩き切って!
【第六感】でマスクの攻撃を避けたり逃走態勢で逃げようとしてるマスクを優先的に倒したりするわね
なに卑怯な事してるのよ!操ってる人たちを犠牲になんてして!
あっそうそう、学生さん達無事にマスクから引き離せたら、推しキャラ安全な場所まで運んでもらって持ってきた毛布をかけておこう
【アドリブ共闘歓迎】
●希望を呼ぶ灯火
「オッケー!任せて!」
此の場では一際明るく聞こえる声で少女を横切り、駆け抜けるのは推葉・リア(推しに囲まれた色鮮やかな日々・f09767)だった。
先手必勝!と言わんばかりに戦闘開始と同時に狐火を出現させて、学生達に向けて放つ。数は二十二。踊れや踊れ、闇を浄めよ。数人の学生が被っているヒーローマスクに見事命中、狐火は燃え続けて……破壊と同時に消滅した。
……団長であるガルムさん達のお手伝いをする。其の為に、まずは操られてる人達を助けなければ。再び狐火を呼び出しながら、彼女は傍らの人物を見つめて。
「私の十八番よ!それから……お願い!一緒にあのマスク、叩き壊して叩き切って!」
『オッケー!人助けだね、任せてよ!』
推葉にウインクをしてから、両手の拳銃を学生達に向ける青年。彼は彼女が事前に使用していた、バトルキャラクターズによって召喚された人物だった。どうやら、擦れ違い様に同行していた人物は彼だったらしい。
言葉に強い正義感を宿して、青年は確りと狙いを定めて――発砲。
連射された銃弾の狙いは正確で、学生達を操るマスクが次々に割れていく。リボルバー式の様だが、其処は幻想を現実にする技と言った所か。自動で再装填される様だ。
『御主人、こんな感じでいいかい?』
「バッチリ!この調子でガンガン行くわよー!」
……こんな状況ではあるが、推しキャラと戦える事が嬉しいのだろう。
前・中衛を青年に任せて、推葉は後衛で狐火を操る。青年は銃撃戦のみに非ず、ある程度は喧嘩慣れもしているらしい。必要があれば敵の攻撃をいなし、銃身を手にしてはグリップで殴打していて。
彼の一挙一動に内心では黄色い声を上げながら、彼女は狐火を自由自在に操る。此の場から逃走を図る敵を優先にして、マスクを焼き尽くす。
「なに卑怯な事してるのよ!操ってる人たちを犠牲になんてして!」
――絶対に助けるんだから!
逃げようとする相手をいち早く察して、狐火で間に合わなければ推しキャラへ連携。二人のコンビネーションは抜群だった。其の事実もまた、彼女を嬉しい気持ちにさせていて。
「もう一つ、お願いしても……いい?」
『あの子達の保護だよね。御主人、優しいから』
任せてよ、と明るい笑顔を浮かべて、青年はマスクが破壊された事により気絶した学生達を順番に運び始める。向かうのは先程、同じ旅団の女の子が居た場所。
推葉も同じ場所へ移動して、今までに集められた学生達。そして、推しキャラが運んでくれた子達にも毛布を掛けていった。
……少しでも温かい方が、安心してくれるのではないかと思ったからだろうか。
「ガルムさん達、大丈夫かな……」
不安げな呟きに、青年が心配そうに推葉の頭を撫でる。
ヒーローマスクを着けた学生達の数は確実に減っていた。次の戦いは……きっと、もう直ぐ――。
大成功
🔵🔵🔵
月藤・紫衣
なんと、惨いことを…。
誰にでも未来はあるはずなのに、他を食らい、乗っ取り、それを使い捨てるようなやり方は気にくわないですね。
…この手が届く範囲だけでも、救いましょう。
【スナイパー】ほどではありませんが、【投擲】のコントロールには自信があります。
なので【歌唱】で【誘惑】し、引き寄せたところで【属性攻撃】の魔法で風を起こして【衝撃波】を当てて怯ませ、逃げようとしているマスクに【高速詠唱】した【散花風棘】で攻撃、狙い落としていきますよ。
…随分彼らも消耗しているようですね。
時間が許す限り【藤鳴る音こそ鈴の調べ】を歌って少しでも回復出来ないか試みてみましょう。
(アレンジetc歓迎)
シホ・エーデルワイス
アドリブ&味方と連携歓迎
愛する人がオブリビオンの手先にされているなんて…
何て残酷な運命
微力ですが助太刀させて頂きます
後方から【祝音】で味方を回復支援しつつ
<第六感、聞き耳、情報収集、視力、戦闘知識>
で敵が逃走形態に変化しないか警戒します
逃走しそうな敵がいたら
<先制攻撃、クイックドロウ、スナイパー、誘導弾、優しさ>で
複数なら【鈴蘭の嵐】を
単体なら【弾葬】で
仮面を狙撃します
逃がしません!
人は邪神の道具ではありません!
必ず助けてみせます!
余裕があれば上記の手段で攻撃します
救出できた学生さん達は手早く<医術>で応急手当をし
安全な場所に隠しておく
彼女は燎さんというのですか
人狼の親子を見る目が悲しそうです
●祝福の歌
――戦場に響き渡るのは、透き通る歌声。
其れが例えオブリビオンに操られた者だとしても、耳にした全てを誘い惑わす魔性の歌。目を閉じて、自らの元へと招き寄せようとしているのは美しき羅刹、月藤・紫衣(悠々自適な花旅人・f03940)だ。
此の戦いにおいて劣勢を強いられたマスクは逃走形態を取ろうとしたが……其れすらも忘れさせる程、彼の歌は魅力的に感じられたのだろう。勿論、そうなる様に仕向けているのだけれど。
「(……この手が届く範囲だけでも、救いましょう)」
他を食らい、乗っ取り、其れを使い捨てる様なやり方は気に食わない。
誰にでもある筈の未来を、自由を奪い取る所業に月藤は憤りを覚えていたのだ。だからこそ、救う為に歌い続ける。其れが、此の依頼に縁ある者達にとっての救いにも繋がるならば尚更。
「――回復は任せて下さい」
病さえも癒す慈愛の光、此れは苦難を乗り越えて響く福音。
其れを用いて、救出を終えた学生達の治療に回っているのはシホ・エーデルワイス(捧げるもの・f03442)だった。味方の回復支援を考えていたが、現状回復を必要としている者はいない為、一般人の治療に回っている。純粋な想いは光となり、遠くにも届く程だった。
「(人は、邪神の道具ではありません……!)」
……学生達に罪を負わせる訳にはいかないから。
二丁の聖銃、ピアとトリップを直ぐに抜ける様に身構えながら、シホは思う。
月藤の元に誘われる学生達、彼の手が届く程まで僅かな距離。其れは敵の攻撃も届きかねない危険な距離だったが……先に動いたのは彼だった。
「――ッ!?」
「グッ、オ゛……!?」
――瞬間、学生達が一斉に吹き飛ばされる。
歌を中断して、月藤が即座に周囲へ向けて暴風を巻き起こしたのだ。本当は普通の風だったが……衝撃波も混ぜて発動した為、本人以外は暴風に見えたかもしれない。
「シホ、撃ち漏らした分はお願いしますね」
「はい!任せて下さい……!」
待ってました、そう言わんばかりに、シホが二丁拳銃を取り出す。
銃口は学生達に向けるが、まだ動かない。相手の出方を窺う為、確りと聞き耳を立てている。
其の間に月藤が次に詠い上げるは散花風棘、花を散らす棘を呼び寄せて。彼の周囲から伸びる風棘がマスクを狙い、穿つ。百を超える数多の其れは数本ずつ纏まり、一点集中で傷を付けようと……結果、多くのマスクが砕けて落ちた。
間一髪の所で学生の身体を無理に動かし、逃れた物は自ら外れた上で此の場から離脱しようと行動する。近くには学生寮がある、此の身体に拘る必要はない!
――ふわり。エーデルワイスが一片と、更に鈴蘭の花弁が舞う。
「逃がしません!」
シホの聖なる銃が花弁となり、清らかな光を纏いながら難を逃れたマスクへと襲来。
必ず助けて見せる、彼女の意志を乗せた花弁を……逃走に重きを置いた状態で防ぐ事は出来ず、避ける間もありはしない。
為す術無く、逃げようとしていたマスクは一つ残らず粉々にされていて。彼女は念の為に周囲を警戒、隠れている個体がいないか確認したが……どうやら、先程月藤が吹き飛ばした敵達に関しては全て撃破した様だ。
「ありがとう御座います、シホ。……それにしても、随分彼らも消耗しているようですね」
……どれ程の間、生命力を奪われ続けたのだろう。身体を酷使させられていたのか。
今までに救出した学生達、そして漸く解放された此の学生達。皆、余程消耗していたのだろう。気絶している間も苦しげに呻き、呼吸は荒い。命に別状は無い、が。
「月藤さん、もし良ければ……」
「時間が許す限り、にはなりますが。彼らを向こうまで運んでから、回復を試してみましょうか」
「――はい!ありがとう御座います!」
二人で運べば、然程時間も掛からなかった事だろう。
どうやら、他の猟兵達が既に気絶した学生達を一ヵ所に纏めてくれていたらしい。
同じ場所に運んだ後、医学的な面でシホが学生達の応急手当を。月藤は、養親に教えられた藤と遊ぶ風をモチーフとした歌を紡ぎ、治療をしようとする。実際に治療が難しかったとしても、歌は心の安らぎに繋がるだろう。
「(あの別荘の中に、燎さんという方が……)」
愛する人がオブリビオンの手先にされている、なんて。残酷過ぎると、シホは胸を痛めていた。私は、向こうでまだ戦い続けている人狼親子の助けになれたのだろうか。
願わくば少しでも早く、彼らの大切な人が闇から解放されます様に。
……今はただ、祈る事しか出来ないけれど。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
シエン・イロハ
ニナ(f04392)と共闘
SPD選択
恨みの念で攻撃の手を緩めさせる?
生憎とそんな甘い性格してねぇんだよ、残念だったな
あん?俺に指図すんじゃねぇよ
……しょうがねぇな
後の面倒の方が厄介だし、聞いといてやるよ
敵の攻撃は『見切り』で回避
【シーブズ・ギャンビット】使用だが、基本ダガーは『投擲』で服等を壁に縫い付ける等動きの抑制に使用
槍の柄の部分使って『なぎ払い』『吹き飛ばし』で距離を保つ
ニナが接合部を狙うタイミングに合わせ、ワイヤーを『ロープワーク』でマスクの出っ張った部分に巻きつけ引き剥がしを試みる
急所は必ず避けておく
ダメージ調整のためにニナが無駄に攻撃受けそうなら敵か本人蹴り飛ばして回避させる
ニナ・グラジオラス
シエン先輩(f04536)と共闘
POW選択
使い捨てとはさすが邪心様と言うワケか。胸糞悪い
先輩、殺すなよ。手加減するんだ。分かるな?
仮面の接合部を狙えばと言うのは安易かな。だが試す価値はある
『第六感』『見切り』で敵攻撃を避けつつ、それを探れないか試みよう
『フェイント』で敵に隙を作り『高速詠唱』で『2回攻撃』するが、
ダメージ過多になるなら己が身を賭しても中断
【ドラゴニック・エンド】も同様に
カガリ、仮面を狙えないなら外していいからな
撃破後に周囲の安全が確保できて被害者に息があるのなら『医学』で応急処置を
偽善ではなく、出来る事をしない事は単なる怠慢だからな。私はそうなりたくないだけだ
●奇跡を掴む為に
「先輩、殺すなよ。手加減するんだ。分かるな?」
「あん?俺に指図すんじゃねぇよ」
不機嫌にも見える口の悪さは、彼なりの信頼の証か。
ベスティアを片手にシエン・イロハ(迅疾の魔公子・f04536)が、ニナ・グラジオラス(花篝・f04392)を睨みながら告げて……何かに思い至ったのか、溜息を零す。
「……しょうがねぇな。後の面倒の方が厄介だし、聞いといてやるよ」
根っからの善人という訳でもないシエンにとって、助ける為の戦いは本音を言えば面倒で。サクッと暗殺でもした方が早いだろうが、実行した後に何を言われるか。特に隣のニナ含め、もう一人。其の上で一人追加も見込まれる。溜息も零れるというものだ。
……しかし、彼女から返事は無い。出来る事をしない事は単なる怠慢で、其れだけはしたくない。例え、偽善と言われようとも。洗脳装置によって苦痛を代償に強化される学生達を見て、彼女は唇を噛み締める。……腹立たしい、胸糞悪い。
「行くぞ、カガリ!」
――槍形態の状態の武器に声を掛けて、突撃。
迷いなく、ニナは集団へと突き進む。回避可能な攻撃は出来る限り避けて、其れが無理でも……マスクに向けて、槍を振るい続ける。大技の前の準備、間違っても学生達の身体を傷付ける訳にはいかないのだ。
邪神に使い捨てられる前に、一分一秒でも早く助ける。騎士として、必ず。早く動け、早く助けなければ!
彼女は強化された殴打蹴撃を受けても耐えて、ある程度終えた所で槍を見慣れた小竜の姿に戻した。其の瞬間、彼女の背後から学生が奇襲を仕掛けに来ていて。気付いた時には遅く、回避も間に合わない……かと思われたが。
「貸し、一つ」
――直後、黒槍の柄が敵を吹き飛ばす。
自分の気持ちを素直に伝える事はない、其れがシエンという男。
仲間を助ける事に理由は要らないと良く言うが、無償の助力なんて柄じゃない。其れが同僚であっても、だ。
「お前を蹴ると、後でリナの奴が面倒くせぇんだよ」
……あ、其れは伝えるのか。まあ、本心だから仕方がないのだろう。
流石に加減をしたからか、学生が直ぐに起き上がるのを確認してシエンは舌打ちをする。反撃とばかりに怨嗟の咆哮が向けられるも、其れすらも彼は嗤うのだ。
「生憎とそんな甘い性格してねぇんだよ、残念だったな」
平然とシエンが告げる間に、ニナが周囲を見渡し始める。其れにより、自分がかなり危険な位置まで踏み込んでいた事を彼女は漸く理解した。救出への想いが強過ぎた故か。それとも、別の理由か。
深呼吸をして、己の心を落ち着かせながら……彼女は改めて戦況を確認する。
他の猟兵達の力もあり、現時点で学生達に犠牲者はいない。また、消耗が激しい者達の治療についても問題なく。まだマスクに操られている者も少なからず存在するが、戦況は明らかに猟兵が優勢だった。
……そして、辛い思いをしているであろう女性はまだ別荘内。
まだ間に合うとは理解しているが、それでも……助けられるのならば。少しでも早い方が良い筈だから。
「シエン先輩。折角だ、どちらが多く助けられるか勝負しようか。私が勝ったら、駄菓子屋は先輩の奢りで」
「……ああ、そういう事か。俺が買ったら?」
「上等な酒を一本奢ろう。愚兄に奢らせる」
「乗った」
……此処ではない、しかしそう遠くない所で人狼の男性が思い切りくしゃみをしたそうな。
「そういう訳だ。此の場は私達が引き受ける、別荘に向かってくれ」
――残る学生達の数は僅か、二人でも事足りる人数。
だからこそ、手遅れにならない内に救出を。其の人物が大切な人ならば尚更、だ。ニナに同意する様に、カガリもまた鳴いている。
「ハッ、遅ぇんだよ」
不意打ちを狙っていたらしき一人の学生のマスクを掴みながら、シエンは未だ足を止めている猟兵達に鋭い視線を向ける。其れはとっとと行け、と言外に告げる様で。
……先に礼を告げて向かうのは人狼の親子だった。
申し訳ない気持ちが表情に表れていたが、恐らく此の二人ならば大丈夫だろう。野生の勘故か、不思議と確信を持つ事が出来たのだ。他に向かえそうな猟兵達も後に続き、駆けて行く。
行かせてたまるか。妨害しようとする学生達の足は……地面に突き刺さるダガー、威嚇の為に勢い良く突撃したカガリが止める。
「まあ……酒の為なら、少しはやる気出すか」
「今までは出していなかったのか、先輩」
「さあな?」
普段通りの会話を楽しむ程度に、二人は余裕を見せている。
カガリもまだ頑張れるよと伝えたいのか、鳴き声は力強いものだった。ふとニナが笑みを浮かべて、眼前の学生達を見据える。
自分達も早く向かう為に、彼らを確実に救い出さなければ。彼女がカガリに呼び掛けると同時に、シエンのダガーが空を裂いた。
成功
🔵🔵🔵🔵🔴🔴
第2章 ボス戦
『白百合のルージュ』
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POW : カラダが…勝手に……!?
【腕部に搭載されたビームガン】が命中した対象に対し、高威力高命中の【ビームソードの一閃】を放つ。初撃を外すと次も当たらない。
SPD : やめて…来ないで……!
自身が装備する【攻撃対象にビームを放つラビット・ビット】をレベル×1個複製し、念力で全てばらばらに操作する。
WIZ : こっちに来ないで!
見えない【サイキックエナジー】を放ち、遠距離の対象を攻撃する。遠隔地の物を掴んで動かしたり、精密に操作する事も可能。
イラスト:いしはま
👑11
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴🔴🔴🔴🔴🔴
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種別『ボス戦』のルール
記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※このボスの宿敵主は
「💠ガルムゼノン・フェンリル」です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
●闇の深くで、消える前に
……其の場に留まった猟兵達の奮闘も有り、学生達は皆無事に救出された。
其れ自体は喜ばしい事だが、浮かれる訳にもいかないのだ。
此の場で邪神の操り人形と化した被害者はもう一人、いるのだから。
猟兵達が別荘まで、ある程度の距離を縮めた所で入口のドアが開かれる。
「……敵影、確認。戦闘能力の高さから、猟兵と断定」
俯きながら呟き続ける、見目若く見える女性がゆっくりと現れた。
周囲の武装は見た目は愛らしいが、侮るなかれ。其れらを含めて、彼女の四肢は邪神そのもの。神経を蝕み、操る邪神の名は――白百合のルージュ。
「ラビット・ビット、展開。ビームガン、解放」
兎の様な耳の武装が周囲に散開した瞬間、俯いた女性の顔が上がる。
「目的を妨げる愚かな猟兵達に、邪神様の裁きを下します」
――其の表情は淡々とした言葉とはまるで違う、今にも泣いてしまいそうな其れだった。
さあさあ、猟兵諸君!お待ちかね、美しくも悲しい姫君の御登場だ。
ハッピーエンド?それとも、バッドエンド?
此の物語の行く末、其の選択権は……君達、猟兵にある事を忘れてはいけない。
奇跡を望むならば手を伸ばせ、掬い上げろ、零す事なかれ。
……如月・燎という女性の意識が闇の深くで、泡沫に消えてしまう前に。
シホ・エーデルワイス
アドリブ歓迎
味方と連携希望
フェンリル親子の活躍支援を優先
【祝音】で味方を癒しつつ
<第六感、聞き耳、情報収集、視力、戦闘知識>
で敵の隙を伺う
機会が来たら
敵の視界を遮る様に【鈴蘭の嵐】を放ち
それに隠れ<目立たない、忍び足、迷彩、ダッシュ、捨て身の一撃>
で背後から近づいて組み付き
真の姿(首と手首足首に枷が付き
罪悪感を具現化した鎖が敵に絡みつく)
を開放して【餐架】を使用
燎さんを<手をつなぐと優しさで鼓舞>しつつ
味方が攻撃を四肢の敵に当て易くする
聞こえますか?貴女を呼ぶ親子の声が
見ていますか?苦難を物ともせず戦う皆が
願わくは燎さんの抗いによる力添えを<祈り>ます
戦後
味方と燎さんを【祝音】と<医術>で癒す
月藤・紫衣
…先程デュオゼルガくんを見掛けましたが、もしや彼女は…いえ、今はやめておきましょう。
目の前の女性を救うことが優先です。
装備だけ、というのは中々難しいですね…彼女自体にはなるべく傷をつけたくないのですが
ラビットを組紐・蜜糸を使って【ロープワーク】で捕獲し【敵を盾にする】ことでわざとラビットにビームガンを当ててからラビットを【投擲】し、ソードの一閃で破壊していただきましょう。
一機壊れれば別の一機を同じようにして出来るだけ破壊しておきます。
彼女については、攻撃の隙を見つつ【狂華乱舞】で脚の装備を壊せないか試そうかと。
…どうか、あの親子にとって辛い結果にならないように
(アレンジetc歓迎)
推葉・リア
…(やっぱりゼルさんにそっくりね)…っと考え込んでる暇なかったわ
引き続き『バトルキャラクターズ』を呼び出しておいて、一緒に戦うわ
狙いは周りのラビットビット達!複製出来るなら増えれば増えるだけ大変だから、可能な限りフォックスファイアで撃ち落とすわ!
ビームガンやソード、それにサイキックは炎の【オーラ防御】で防いだりや【第六感】で交していくわよ
けどなかなか減らせないかもしれないわね…
なら『推しキャラ達の一斉攻撃』!ラビットビットと可能な限りの武装を壊すわよ!
……私が私達が出来るのはこのまでね、助けられるのはあの親子だけだもの
【アドリブ共闘歓迎】
●武装破壊
「……主よ、我らにどうか慈悲と祝福をお与え下さい」
回復は任せて下さい、お二人は全力で。シホ・エーデルワイス(捧げるもの・f03442)の祈りは苦難を乗り越えようとする者達へ、手助けをする力となる。傷を受けても、即時治癒が出来る様に。
推葉・リア(推しに囲まれた色鮮やかな日々・f09767)と月藤・紫衣(悠々自適な花旅人・f03940)は同じタイミングで頷き、白百合のルージュと向き合う。彼女は感情の籠もらない声で呟き続けている、悲痛な表情はそのままに。
「(先程デュオゼルガくんを見掛けましたが、もしや彼女は……)」
月藤の脳裏にある可能性が過ぎるが、首を軽く横に振って思考を止める。戦いの時まで間もない、深く考える余裕は無さそうだから。
……可能性を追及するのはそう、此の戦いを終えて。彼女を救出してからでも遅くはない。
「(やっぱり、ゼルさんにそっくりね)」
其れは推葉も同様、考え込んでいる暇は無かった。
家族の再会を、悲劇になんてさせたりしない。ゲームだって、途中まで辛くて苦しい事があっても……最後はハッピーエンドが良いに決まってるんだから!
「よーし!狙いはラビットビット達、行くわよ!」
『オッケー、御主人!』
「私も微力ながら、助太刀致します」
学生達との戦いから協力してくれる、バトルキャラクターズによる推しキャラ達。
彼らだけではなく、他の猟兵もいてくれる。だからこそ、推葉は心から頼もしさを感じているのだ。
「(どうか、どうか……親子に光あらん事を……)」
回復支援に徹するシホが、少し離れた所から機を窺いつつ祈り続ける。
……家族との離別、そして再会。本来は手放しに喜ぶべき事の筈だから。
邪神に利用されて、悲劇とならない様に手伝いたい。助けたい。
其の為ならば、此の身の罪を衆目に晒す事となったとしても構わないと強く思う。
●火が消える、其の前に
「散開、敵影捕捉――射出しなさい」
……燎の瞳が訴える。お願い、来ないで、と泣き叫ぶ様な意思を宿す。
命令に従い、攻撃体勢を取っている二人に対してラビット・ビットが取り囲む様に動く。複雑に動く其れらは数が多く、速い。完璧に見極める事は難しいが……少しでも数を減らさなければ。月藤と推葉は目を合わせて、頷いた。
狐火が揺らめく中、蜂蜜色の組紐が煌めいて。飛来する個体を焼き尽くし、鋼糸が組み込まれた蜜糸が別の其れを絡め取る。
しかし、落ち着く間もなく白百合のルージュもまた、接近。推葉の推しキャラの銃撃を避けて、術者本人を狙おうと左手を向ける。嗚呼、ビームガンが彼女を狙って無情にも放たれてしまう……!
推しキャラが傷付くのは嫌だけれど、お願い!と強く願って。真白の和服に身を包む男性が正面に立つ瞬間、炎のオーラを纏いながら彼女は目を閉じた。
「……あれ?」
『おっと、美味しい所を持っていかれちまったか』
……ラビット・ビットが何故か、盾の役割を果たしていた。
月藤の繰る蜜糸により、ビームガンの一撃を其れが受け止めたのだった。好きにはさせない、と笑む姿は何処か艶やかで。
「返しますね、どうぞ遠慮なく」
――受け取って下さい、と白百合のルージュに投げる勢いはとても凄まじい。
容姿からはあまり想像出来ないが、彼も羅刹だという証左か。直撃を避ける為に白百合のルージュが其れをビームソードで真っ二つに。敵の戦力は想定以上、其れを加味しても時間が掛かり過ぎる。何故だ、何が起きている。
邪神が疑問を浮かべる時間は隙となり、気付いた時には二人のユーベルコードが発動直前だった。
「私の大好きなみんな!よろしくね!」
「狂い咲く華は舞い踊る」
推葉は周囲にまだ存在するラビット・ビットに対して、人海戦術を仕掛ける。銃が、刀が、或いは別の武器を手にした推しキャラ達。一人一人が一騎当千の実力……という設定だが、実力は確かで。次々と薙ぎ倒していくのだ。
複製する暇は月藤が奪う、月下美人や女郎花等の花々が白百合のルージュへ向かう。風が操る花は一つ一つが鋭い刃物の様。狙うは彼女の両脚――邪神の一部。
易々と破壊されるつもりも無いと回避を試みるも、天の加護は猟兵達にあるのか。彼も意図しない突風により軌道が変化し、片脚を切り裂く。
「……被害、軽微」
「捕まえました」
ずっと、治癒に専念しながらも機を待っていた。全ては此の時の為に――ッ!
いつの間に背後に回っていたのか、それとも。思考を止めて、白百合のルージュは反撃を優先する。拒絶の意思を乗せたサイキックエナジーが、近付こうとするシホの全身を切り裂いていく。……其れでも、真の姿を発動するには足りないと彼女は理解していた。故に、真の姿専用の技を使えない。けれど、何もしないよりは良い筈だ。
痛みに眉を顰めながら、組み付く。少しでも早く、引き剥がされる前に――
「(手をつなぐ事は、出来るけれど)」
シホは自分が傷付く事は構わない、其れで己の罪が少しでも贖えるのならば。己の身を危険に晒しても構わない、其れは事実。
だが、其れを燎さんが望むのだろうかという気持ちもあって。
赤の他人である自分、そして他の猟兵達を攻撃する度に悲痛な表情を浮かべる彼女が……必要以上に傷付ける事に対して、心を痛めるのではないかとも思うから。
シホは手を取りたい気持ちを抑えて、回避行動を取れるギリギリの距離まで近付いた。
「聞こえますか、貴女を呼ぶ親子の声が。苦難を物ともせず戦う皆が……見えていますか?燎さん」
「何を……」
ルージュの呟きは、関係ない。
シホが今、語り掛けているのは如月・燎という女性だから。
「――願わくば、燎さんの抗いによる力添えを祈ります」
言葉は届いただろうか。祈りは、彼女にとって力になるだろうか。
餐架による重み、そして鎖の束縛から逃れた白百合のルージュの様子は変わらず、淡々とした声のまま猟兵達へ殺意を向ける。忌々しい、邪魔をしないで。
彼女のサイキックエナジーによる物か。ラビット・ビットだけではなく、周囲の石や枝が浮き始める。
「……私が、私達が出来るのはここまでね。助けられるのはあの親子だけだもの」
「(……どうか、あの親子にとって辛い結果にならないように)」
推葉が推しキャラ達と見守り、月藤もまた祈る様に心の中で呟く。
……胸のペンダントの光が意味するものは、如月・燎にとっての希望か、絶望か。
成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴🔴
ニナ・グラジオラス
シエン先輩(f04536)と共闘
WIZ選択
(キョトンとした顔をして)なんだ。
先輩も普段は鬼か悪魔か何かかと思っていたが、人の情は少しはあるんだな
だが、酒も勝ってからの話だぞ?
見えないのなら、見えるようにするまでだ
『高速詠唱』の【ウィザード・ミサイル】で
相手のサイキックエナジーを炎による揺らぎで軌道を明確にする事と
迎撃、あわよくば『武器落とし』を狙い、本体への攻撃は出来るだけ避ける
『地形の利用』で出来るだけ延焼も最小限に止めておきたいのと、
『援護射撃』で声を掛ける人の邪魔は払っておこう
攻撃は『第六感』と『見切り』で避ける
やれる事が減ったのなら、怪我人を『医術』で応急処置しておく
シエン・イロハ
ニナ(f04392)と共闘
SPD選択
勝負の条件はどちらが多く助けられるか、だったな
なら…操られてるらしいあの女も、そいつを助けたいと動いてる奴らも、助ける対象って事でいいんだろ?
…バーカ、酒の為に決まってんだろ
破壊する事で本人の意識に悪影響ない限りラビット・ビットの破壊優先
近場の物は槍、距離がある物はダガーで
『先制攻撃』『範囲攻撃』『2回攻撃』使用
槍の場合は+『なぎ払い』
ダガーの場合は+『投擲』の上【シーブズ・ギャンビット】
回避は見切り
ラビット・ビット殲滅後、余力があれば救出の補佐を
本人に傷付けぬよう気を付けつつ、ワイヤーでの行動阻害等試みる
逃走防止と、縁ある者が声をかけるための『時間稼ぎ』を
●篝火に届く様に
彼らにとって白百合のルージュ、如月・燎。そして、人狼親子との縁はない。
……だからと言って、助けない理由にはならないだろう。
露払いならば出来るから、其れをしないままにしたくないと思う者もいる。言葉にせずとも、行動で示そうとする者もいる。
少なくとも、ニナ・グラジオラス(花篝・f04392)とシエン・イロハ(迅疾の魔公子・f04536)はそんな思いを抱いている……かもしれない。
「おい、ニナ。勝負の条件はどちらが多く助けられるか、だったな」
先の戦いでも猛威を振るっていた黒塗りの槍を遊ぶ様に回して、シエンは次の戦場を見据える。普段と変わらぬ口振りから、どうやら学生達の救出は全て完了した様だ。
「なら……操られてるらしいあの女も、そいつを助けたいと動いてる奴らも、助ける対象って事でいいんだろ?」
――瞬間、ニナと小竜形態のカガリが同時に目を丸くした。キョトン、と。
「先輩も普段は鬼か悪魔か何かかと思っていたが、人の情は少しはあるんだな」
「……バーカ、酒の為に決まってんだろ」
本当に酒の為、だけなのか。シエンのみが知るけれど、ニナは何となく察した様に微笑む。カガリだけは今も分からず、小首を傾げていたが。
そんな細やかな会話を楽しむのは此処まで、猟兵達をビームで殺めようとラビット・ビットが二人と一体の元にも迫る。
「だが、酒も勝ってからの話だぞ?……カガリ、私の背から離れるな」
「勝つに決まってんだろ、俺がな」
――悪辣な笑みを浮かべて、迅疾がラビット・ビットへ肉薄する。
ビームを撃たれる?其の前に撃墜してしまえば良い話だ。ベスティアを横に振るう動作もまた速く、列を成していた三体程が吹き飛ばされる。邪神である故か、両断とまでは至らなかったが……再び浮遊しようと動いた所で、損傷部位を抉る様に何かが突き刺さった。シエンのプラエドー、其の内の一つ。
「遅ぇんだよ」
本人の意識には悪影響を及ぼさないと判断し、シエンはラビット・ビットの破壊を続行する。
……標的捕捉、照準固定、ビーム射出。ラビット・ビットも応戦していて。
最悪、ビームを撃たれても致命傷さえ避けていれば問題ないと黒槍、そしてダガーを駆使して数を減らす。やや前のめりな動きは意図的に。彼は言葉ではなく、行動で示すのだ。とっとと助けに行ってこい、と。
そしてニナもまた、縁ある者達の為に少しでも助力しようと動くのだ。
「見えないのなら、見えるようにするまでだ」
頑張れ、と背中で応援する様なカガリの声にふと微笑んで。
高速化した詠唱により周囲に現れるのは、ニナの決意の炎の具現か。矢と化した其れらの数は百を超える。だが、彼女の狙いは己に迫る、白百合のルージュが放つ石礫ではなく――此の戦場。
「……っ!」
サイキックエナジーが込められた石礫は、さながら銃弾の様で。
全て避ける事は難しく、所々掠める。カガリには当たらなかった事が幸いか。
しかし、ニナの目的もまた果たされたのだ。地形を理解した上での行動。延焼も最小限に留めながらも、炎は燃え上がる。
「炎を認識、負傷には至らない。……何が目的なのかしら」
「さあ、何だろうな?」
「火事にすんなよ」
「愚兄でもあるまいし、そんなヘマをするか」
白百合のルージュの問い掛けには答えず、茶化す様なシエンの声には即答。
……炎が揺らめく。だが、一部により強い揺らぎがある。邪神の周囲、正確に言うならば浮遊する石や枝などが不自然な揺れを見せている。
恐らく、其れはサイキックエナジーによるものだろう。ニナの言葉通り、やや見え易くなっている。軌道を読む事が一層容易になった筈だ。
「待たせたな、先輩」
「別に、まあ……俺の勝ちは確定かもな?」
「ああ……ダブルスコアなら二本奢らせようか」
「人を酒で釣ろうとしてんじゃねぇ」
まだ戦いは終わらない。ラビット・ビットの数はかなり減ったが……邪神はまだ健在している。如月・燎へ声を届けられるのは自分達じゃない、だからこそ露払いに全力を尽くす。複製されるのならば、其の分撃墜すれば良い。
二人の思考は一致しており、だからこそ即時連携してラビット・ビットの撃墜に動くのだった。
闇の中で、息を吐く様に。
泡が一つ浮かんでは、また消えるのを白百合のルージュは内側で感じ取る。
「内部エラーを確認。原因排除を続行します。全ては」
――嗚呼、全ては誰の為なんだろうか。
成功
🔵🔵🔵🔵🔴🔴
クー・フロスト
同行者:イヴ
アドリブ◎
▽心情
本体を傷つけず、武装を解除する戦闘であるか…
強敵である上
攻撃縛り状態では非常に戦いにくいのである
が、それでもやるしかあるまい
この女性を救うためにはな
▽戦闘
燎さんを救う
UCを使用して、【時間】と【運命】を操る
時間:燎さんの時間軸をオブリビオンになる前に戻す
運命:邪神との関連性を、断ち切る
▼
オーバーソウル発動時、前世の私は禁忌の時の魔術を使う
※オリジナルグラビティという、ユーベルコードではない異能の力を使用します
時間よ止まれ…!!助けたい人がいるんだ…!
発動…!
ディスティニー・オブ・マキナ!
(…この瞬間だけは時間を私色に塗り替える…っ)
▽
親子の喜ぶ姿が見れればそれでいい
イヴ・クロノサージュ
同行者:クー
アドリブ◎
▽心情
如月・燎さん、あなたの旦那様と会いたいですか?
息子さんと会いたいですか?
あなたが願えば、届くかもしれません
もしも人が本当に翼《グリモアの力》を得たというのなら
それは時空を渡るためだけにあるものじゃない
降りしきる邪神の暴力から
雛鳥を守るために広げる事だってできるはずなのです!
例え、それがもう飛べなくなった翼であっても!!
(親子の絆の方が強いのです!!)
だから、心から願って下さい
―――あの人に会いたい、と。
▽戦闘
燎さんを救う
UCをそのまま使用します
アドリブ◎
持てる技能を全駆使して、奇跡が起こる事を願います
【全力魔法、属性攻撃=光、破魔】
【手をつなぐ、鼓舞、祈り、優しさ】
●悲しき運命に抗う力
――苦戦した状態でしか使用出来ない、ユーベルコード。
恐らく、完全な形では発動出来ないだろう。発動前から其れを理解したからか、クー・フロスト(《甦生氷姫》武人たる者、常に鍛えよ・f08503)は唇を噛み締める。
「クー……」
「ああ、解っている。それでもやるしかあるまい」
不完全であろうと、全力を解放出来ないとしても。
前世の私の力を少しでも引き出せるならば、可能性はあると思うから。
クーの決意を感じ取ったのだろう、イヴ・クロノサージュ(《機械天使》花と自然を愛する機械人形・f02113)もまた目を閉じる。親子の絆を壊す、そんな邪神に負けたくないから。怖くて、恐ろしいけれど、助けたいと強く願うから。
二人は歩き始める。ラビット・ビット達は他の猟兵が引き受けてくれたから、白百合のルージュへと真っ直ぐに歩いて……ある程度の距離で、立ち止まる。
「イヴ、頼む」
前世の自分を召喚する、そんな大技を何の用意も無しに放つ事は難しいのか。
こくりと頷き、白百合のルージュと向き直る。邪神もまた警戒しているのだろう、直ぐにサイキックエナジーによる攻撃を出来る様にしていて。
「……如月・燎さん、あなたの旦那様と会いたいですか?息子さんと会いたいですか?」
「……私は、白百合のルージュ」
「あなたが願えば、届くかもしれません」
ピクッ、と白百合のルージュが無意識に反応する。内側の乱れ、泡が浮かぶ音。内部エラーの確認……早く、消去を。
「もしも人が本当に翼を得たというのなら、それは時空を渡るためだけにあるものじゃない」
「理解不能、口を閉じなさい」
「降りしきる邪神の暴力から、雛鳥を守るために広げる事だってできるはずなのです!例え、それがもう飛べなくなった翼であっても!!」
「黙りなさい……其の口を、閉じてッ!!!」
――消えない内部エラー、原因は猟兵達か。
そう理解したのか白百合のルージュが怒りを露わにして、イヴへとサイキックエナジーを放つ。恐怖で身が竦んでしまったか。或いは、絶対に逃げないという意志故か。小石に撃ち抜かれ、枝は針の様に突き刺さる。しかし、彼女は痛みに苦しんでも逃げたくはないと思うのか。
……親子の絆は強いから、邪神に負けない力になると思うから。
「燎さん、心から願って下さい――あの人に会いたい、と」
「時間よ止まれ……!助けたい人がいるんだ……!」
白百合のルージュがハッとなり、イヴの少し後ろを見る。
既に、クーの前世たる死神が姿を見せていて。其れは何処か別の――並行世界に存在する何か。召喚が不完全でノイズが走るも、風貌はまるで本物の死神の様で。 残酷な運命なんて変えてやる、前世の力を借りてでも。前世が操るは時と運命、少しでも如月・燎の背を押す力になれば……!
「(この瞬間だけは、時間を私色に塗り替える……少しでも、頼む……!)」
「――Believe Your Key Heart」
傷付いた身体を動かし、イヴもまたクーの力になろうと発動。
召喚するのは聖なる鍵。己の力、己の祈り。全てを賭して、願うは奇跡。
……花や炎が舞い踊る戦場全てを、眩い光が包む。突然の事象に驚く者もいただろうが、何より一番驚愕の表情を浮かべていたのは。
「……内部エラー、消去不能。白百合のルージュが命令します、私の元へ集結しなさい。ラビット・ビット達」
――命令に無反応、最後の命令に従い猟兵達への攻撃を再開している。
己の一部である筈のラビット・ビット達との繋がりが断たれて、もう複製は出来ない。内側の泡が溢れて、零れそうになって。
「私は、私は――白百合のルージュ。此れ以上、私を其の名前で呼ばないで」
不完全ながらも、二人のユーベルコードは確実に効果を見せていた。
残るラビット・ビットは少なく、白百合のルージュは内側の何かの対応に必死なのか……戦闘開始時よりも隙を多く見せている。炎の揺らぎが、彼女のサイキックエナジーの乱れを如実に表していた。
さて、此の逆転劇もそろそろ終わる頃合い。
最後に待つのは希望、奇跡、取り戻す為に掴み取るのか。
……かくも悲しき家族同士の戦い、どうぞ御覧あれ。
成功
🔵🔵🔵🔵🔴🔴
●泡に秘めた、言の葉
ゼルちゃんは大きくなったから、きっとあの子達と同じくらいかなと思ったの。
だから、誰かに助けて欲しかった。それが叶ったなら、私はもう大丈夫。
……本当は少し寂しいけれど、悲しいけれど、それでも。
これ以上、誰かを不幸にしたくないと心から思うから。もう、いいの。
――そう思っていたのに、どうして?
お願い、来ないで。どうか、私を破壊して下さい。
まだ邪神との繋がりは残っているから、貴方達を傷付けてしまうから。
こっちに、来ないで……家族を、私に壊させないで……!
デュオゼルガ・フェンリル
父さん(f01970)と一緒に【フェンリル家】で参加するぜ!
あの優しい匂い…やっぱり母さんだ!
そんな悲しい顔しないでくれよぉ……(ぐすん
でも、やるしか無いんだな…覚悟は決めたぜ、父さん!
俺、絶対…絶対に母さんを助けるから!!
だから!!邪神なんかに負けちゃダメだぜ!
父さんに母さんを任せて、俺は父さんがさっきまで撃墜してた兎型の武器を片付ける!
動きが速ぇ…けど、戦闘技術と見切りで躱すぜ
高度から狙ってくるならフックショットで掴まえてやるまでだ
フックショットには…こういう使い方もあるんだぜッ!
引っ掛けた1基を重り代わりに薙ぎ払いだッ!
神速で一網打尽!
母さん!母さん!!ずっと会いたかった…うわぁぁん!!
ガルムゼノン・フェンリル
【SPD行動】
引き続き、息子のゼル(f00372)と共に【フェンリル家】で参加するよ
ドローン?違うな、遠隔操作するタイプの武装か……
彼女の秘めるサイキックパワーを増大させるだけではなさそうだな
優しい彼女だから惚れたんだ…だから!…覚悟は決めた!
邪神よ、俺の番を…返してもらうぞッ!!
行くぞ、ゼル!!
ラビット・ビットはアサルトライフルで迎撃。
複製するパターンの装備なら、動きが素早い端末が紛れているはずだ…!
動きが早いビットを先に破壊
対象を彼女に切り替え、邪神である四肢の関節部を重点的に攻撃
痛いけど…我慢してくれ
神速(シンソク)!
燎……カガリ!
会いたかった…もう離さないからな、この先…ずっと!!
●また、一緒に暮らそう
「母さん……母さん、そんな悲しい顔しないでくれよぉ……」
今にも泣きそうな表情を浮かべるのは白百合のルージュだけではなく、息子であるデュオゼルガ・フェンリル(月下の人狼・f00372)もだった。
優しい匂い、容姿を見て自分の母親だと判断出来る。思い切り抱きつきに行きたいのに、出来ない。まだ邪神は倒し切れていないから、戦いは終わらない。
そんな息子の肩を撫で叩くのは、ガルムゼノン・フェンリル(砕月の咆哮・f01970)
「行くぞ、ゼル」
一見冷静に見えるが、ガルムゼノンもまた内に秘めた想いは強い。
優しい彼女だからこそ惚れた、愛したのだ。だからこそ、番となったから。
覚悟は既に決めている。そんな父親の姿を見て、デュオゼルガもまた覚悟を決めようと思ったのだ。
「俺、絶対……母さんを助けるから!」
「私は、白百合……の……」
「母さんは、母さんだ!邪神なんかに負けちゃダメだぜ!」
そんなデュオゼルガの声が、彼らの戦闘開始の合図となった。
猟兵達を倒す、其れだけの武装となったラビット・ビット……其の内、動きが早い個体をガルムゼノンがアサルトライフルで撃ち抜く。サイキックエナジーの増幅装置の役目を果たしているならば、少しでも破壊するに越した事はない。流石に一撃では倒し切れないが……。
「父さん!ここは俺に任せて、母さんを!」
「ゼル……ああ、わかった!」
高度から狙ってくるラビット・ビットのビームを回避、そして体勢を整える。
しかし、彼も負けない。母さんを助けるという気持ちが、力となるのだ。フックショットで捕獲した其れを用いて、薙ぎ払い……纏まった所を神速で一網打尽にしていく。父親が安心して向かえる様にと、彼は戦うのだ。
一方、ガルムゼノンは狙いを変えて、アサルトライフルで正確に関節部や其の付近を撃ち抜く。動きが鈍くなった邪神は避けるのも間に合わないのか、狙い通り命中。そして――何を考えたのか、彼は白百合のルージュへ接近を試みる。
血迷ったか、邪神がほくそ笑む様に考えて、ビームソードを展開した直後……ドクン、と何かが跳ねた。何が、内部エラーが、嗚呼。
「……っ、め」
――沸騰した感情のままに、泡が溢れる。
それでも、邪神による行動を止められない。だから彼女は、如月・燎は叫ぶのだ。
「――駄目ェェェ!!!」
「――ウォォォッ!!!」
……刹那、何かが突き刺さる音がした。
ガルムゼノンの心臓を捉えていた筈のビームソードは、狙いが逸れて彼の脇腹を抉るのみに留める。白百合のルージュではなく、如月・燎の意思がサイキックエナジーを操り……無理に軌道を変えたのだ。勿論、意思だけで操れる訳でもない。彼女には操るだけの素養があった、だからこその結果。
だが、脇腹を貫かれて平気という訳も無く。其れを引き抜いた直後、ガルムゼノンは血を吐き出すが……致命傷ではない。まだ、動ける。まだ、やらねばならぬ事がある。
「……燎、痛いけど我慢してくれ」
「――ッ、ゼノさ……」
ふと浮かべた柔らかい笑みを見て、遂に如月・燎は涙を零す。
邪神が再び、愛する者を蝕む前にと……ガルムゼノンは神速による一撃を放つ。邪神が両腕を交差させて、少しでもダメージを軽減しようとするも虚しく。蒼い波導を全身に纏った突進は強く、関節部から先が破壊された。
其の勢いで両脚も外れて、転がり……デュオゼルガが最後に残ったラビット・ビット一基を重りにして、叩き潰す。
白百合のルージュという邪神はもう、いない。
此の場に残ったのは猟兵達、救助された学生達、そして――
「……ゼノ、さん。ゼル、ちゃん」
「母さん……!母さん!」
四肢を失った妻を、ガルムゼノンが抱き抱える様にして支える。
……此れまで、邪神に身体を利用され続けていたからだろう。顔色が悪く、疲労が見えるが、確かに動く心臓の音。医術の心得がある猟兵が診る限り、代替の四肢があれば問題なく動ける様になるだろうとの事だった。
母さんが生きている、また名前を呼んでくれる。
其の事が心から嬉しくて、デュオゼルガは勢いのままに抱きついて。
「ずっと会いたかった……う、うわぁぁん!」
「燎……カガリ!会いたかった……もう離さないからな、この先……ずっと!」
子供の様に泣き出して、寂しさを埋める様にぎゅうっと抱き締める息子。
泣きそうなのに、でも父親だから泣かない様にしているのか。代わりに強く、抱き締めてくれる夫。
……如月・燎という女性は改めて実感する。私、帰って来られたんだね。
死んでしまっても構わないと思っていたのに、どうしてだろう。嬉しくて、安心して、涙が溢れて止まらないの。幸せな世界に、また戻って来れたんだ。
「ありが、とう……」
助けてくれた家族に、皆さんに、沢山感謝を告げたいのに。
……涙で上手く言えない。今はいいんだよ、温かい猟兵達の言葉にまた涙が。
やはり、疲労が蓄積していたのだろうか……少し時間が経過した所で如月・燎は安らかな寝息を立てて、眠り始める。デュオゼルガはもっと話したい、と思うものの、其処は父親が諫めるのだ。
「大丈夫だ、ゼル。また、きっと話せるから」
「だって、俺……まだ言ってねぇのに」
「ん?」
――おかえり、って。
彼らが其れを伝えるのは家に帰ってからの話。
……其れはきっと何気ないけれど、奇跡の様な時間になる筈だ。
成功
🔵🔵🔵🔵🔴🔴
第3章 日常
『むかしなつかし』
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POW : 欲しいものを買う
SPD : 隅々まで見て回る
WIZ : 品物や店に想いを馳せる
|
種別『日常』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
●ほっと一息
救助された学生達、そして如月・燎はグリモア猟兵が事前に手配していたのだろう。UDC組織の構成員が現地到着後、容体確認も兼ねて手際よく保護してくれて。
人狼親子は少し寂しげだったが、駄菓子屋でのんびりと時間を過ごしていればまた一緒に帰る事が出来ると聞いて、またホッとした笑顔を浮かべた。
……さて、まず猟兵達の姿を見て、店主である老婆は目を丸くする。
あまり人が来ない為か、団体様が珍しいらしくて。
「おやまぁ、ちょっと疲れちゃったのかねぇ……。良ければ、色々あるから見ていって頂戴な。当たりもあるよ、楽しいよ」
駄菓子を食べつつ、或いはお土産にするのも良いだろう。
店主の老婆と楽しく話して、のんびりと過ごすのもまた一興。
運試しに挑戦するのもきっと、楽しい筈だ。
さあ、昔懐かしい時間をどんな風に過ごそうか――
【お知らせ】
プレイング受付開始は『4月11日(木)8時30分』以降となります。
くじの当たり外れについては指定でも、お任せでも問題ありません。
お任せの場合、ダイスで判定とさせて頂きますので宜しくお願い致します。
【お知らせ(受付日時変更)】
プレイング受付開始について、本日『4月9日(火)』からとさせて頂きます。
皆様、宜しければ御参加、御検討をお願い致します。
シエン・イロハ
ニナ(f04392)と
落ち込んだ状態で連れ帰ると俺が色々言われて面倒だしな
ま、勝負は俺の勝ち、酒も手に入るし面倒事も回避出来たしで結果は上々だな
(慣れない店内に視線を巡らせただけで手に取りはせず
へーへ―、正直者で悪かったな
食った事ねぇからどれが何なのかよく分かんねぇんだよ
あっそ、んじゃ適当に選べよ
試しに食って気に入ったらつまみにするわ
(少し考えてからにやりと笑い)
勝負の景品じゃないが誰かさんへの土産も含まれてんなら理由としちゃ十分だろ
おら、そっちのも寄越せ、払っといてやるよ
カガリもさっさと乗せろ、落としても拾ってはやらねぇからな
俺の奢り?
んなわけあるか、後でお前の兄貴に請求するに決まってんだろ
ニナ・グラジオラス
シエン先輩(f04536)と
学生も件の女性も無事に保護されたようでよかった
これで憂いなく駄菓子を選べそうだ
店主に丁寧に挨拶をしてから、駄菓子を選ぶ
親友の喜ぶ顔が見れるように、彼女が好きそうなのも忘れずに買って帰らないと
カガリも好きなの選んでいいからな?
で、だ。先輩
駄菓子屋だぞ?何だその早く帰って酒が飲みたいって顔は。店主に失礼だろ
駄菓子と侮るなかれ、だ
先輩の酒のつまみに丁度いいのもあるからな
無理矢理先輩に籠を持たせて、その中につまみに成りそうなのをたんと詰める
うん?私は先輩の分の金は払わんぞ?勝負の景品じゃないだろ?
先輩が奢ってくれるんじゃないのか?
それは名案だな。じゃあ、もう少し盛ろう
●ゴチになります、某人狼お兄さん
「あらまぁー!別嬪さんねぇ……!ゆっくり見ていって頂戴。気に入った物があれば、おまけするからね?」
「御気遣い、有難く。カガリも好きなのを選んでいいからな?」
「あらあら、とっても可愛らしい子だねぇ」
のんびりとした会話に店主のお婆ちゃんの笑顔が綻ぶのを見て、ニナ・グラジオラス(花篝・f04392)もまた微笑む。自分が褒められた事よりも、小竜のカガリが褒められた事の方がとても嬉しそうだ。
さて、そんな褒めちぎられているカガリはと言うと……忙しなく、だがぶつからない様に気を付けながら、周囲をぱたぱたと飛び回っている。瞳はキラキラと輝いていて、まるで子供の様で。初めて見るお菓子、初めて見るおもちゃ、全てが興味の対象なのだろう。
そんな中、視線を巡らせるものの……決して手に取る事はなく。落ち込んだ状態で連れ帰ると、色々言われて面倒だからという理由で付き添ったシエン・イロハ(迅疾の魔公子・f04536)は、何処となく退屈そうにも見える。
勿論、気心しれた者ならば判るであろう程度。其れ故に、ニナは気付いたのか呆れた様に溜息を零して。
「……で、だ。先輩?駄菓子屋だぞ?何だ、その早く帰って酒が飲みたいって顔は」
失礼だろう、とニナが続けるも店主は穏やかに笑っている。
時代が移り変わり、駄菓子屋に目を向ける者も少なくなってきたが……それでも、猟兵達の様に来てくれる人がいる。其の事実が温かく、嬉しく思うのだ。だからこそ、シエンにも微笑んで好きな様に見て行って頂戴、と声を掛けるのだろう。
……流石に面倒を通り越したのか、バツが悪かったのか。彼は両手を上げつつ。
「へーへ―、正直者で悪かったな。食った事ねぇからどれが何なのかよく分かんねぇんだよ」
何が美味くて、何が美味くないか。
駄菓子を食べた経験が無いシエンには、良く解らないというのが正直な感想だったらしい。カガリの様に、未知の物にはしゃぐも柄じゃない。寧ろ、良い歳なのだから御免だ。
「駄菓子と侮るなかれ、だ。先輩の酒のつまみに丁度いいのもあるからな」
「あっそ、んじゃ適当に選べよ。試しに食って気に入ったら……」
其の瞬間、シエンの言葉が止まる。否、不意打ちによって止められた。
彼が試しに食べると聞いては落ち着けない!カガリが一緒に食べよー!と言いたげに急旋回からの突撃を仕掛けたから。
直撃回避の為にキャッチしてから、彼は主人へとなるべく優しくパスをする。
本人曰く……投げたら後が面倒くせぇんだよ、との事。
「子守りくらい自分でやれっての」
「ああ、すまないな?」
「人にカゴ押しつけといて、本当に反省してやがんのか……ああ、そうだ。金は任せろ」
――瞬間、ニナとカガリが同時に目を丸くした。本日二回目。
加えて言うならば、鱈を薄く伸ばした駄菓子や一口サイズのサラミなどなどを籠に入れようとする手が止まった。
あのシエンが奢る?明日は槍かダガーでも降ってくるのか?
嗚呼、しかしそんな事はなかった。彼のニタリとした悪魔の様な笑みが全てを物語っている。そういえば、さっきの勝負は俺の勝ちだったな、と。其の景品にはつまみが付き物である。
「カガリ、そんなに食いたきゃニナに頼んで箱で持ってこい。おら、そっちのも寄越せ」
「……先輩、一応言っておくが後で請求は無しだぞ?」
「後でお前の兄貴に請求するに決まってんだろ」
俺の奢りとか、ある訳ねぇだろ。シエンがはっきりと言い切る。
……何故だろうか、彼の一言が妙に安心するのは。今回の依頼は彼の意外な一面を見る事が出来た気がするが、変化が急激過ぎても困る。人間、程々が丁度良いのだろう。
ニナも理由に納得した様で名案だな、と返しては、カガリが先程運んで来た駄菓子を箱で確保。迷い無く籠に入れる。彼女の甘やかしは止まらない。
大切な親友、そしてカガリが好みそうな物を再び箱で確保。流石に最後辺りで兄の為、とんかつ風に仕上げた駄菓子を単品で籠に入れたそうな。
――どん、と山盛りになった籠を見て、店主は思わず目を瞬かせた。
「こんなに買ってくれるのかい?」
「つまみが気に入ったら、また来てやらなくもねぇ」
シエンなりの感謝の気持ちか。或いは、思った事を言っただけかもしれない。
素直じゃないな、とニナが微笑みながらぽつり。同意する様にカガリがこくこくと頷けば、返ってくる言葉はいつも通りの調子で。
ありがとうねぇ、店主が心から嬉しそうに笑い返したのだった。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
シホ・エーデルワイス
アドリブ&絡み歓迎
のんびりできるのは久しぶりね
最後に日常を楽しんだのは
バレンタイン以来かしら
人狼親子が団らんする光景を微笑ましく見ながら
おばあちゃんお勧めのくじ付き手作り駄菓子を口にし
記憶が一部蘇る
今よりも若い感じのおばあちゃん
大好きな駄菓子の味
住んでいた家は目と鼻の先
思わず家がある方に目を向けるもそこは更地
おばあちゃんは私を知らず
更地にあった家の人を<コミュ力>で必死に尋ね
良く遊びに来ていた黒髪の少女シホは自殺し
両親は後日事故で死亡
と知る
見せてもらった写真の少女は自分と違う姿だが
心がざわつく
動揺していたが
おばあちゃんにくじの当たりを指摘されて気が付き
勘違いを装って心配させまいと明るく振る舞う
●当たりの意味
――最後に日常を楽しんだのは、バレンタイン以来だろうか。
漸く戦いも終えて、皆を無事に救出する事が出来た。改めて、其の事実に心から安堵しながら、シホ・エーデルワイス(捧げるもの・f03442)は駄菓子屋の店内、様々な駄菓子に視線を巡らせている。
先程、何故か山の様に購入していた二人組や他の女性陣、何よりも人狼親子の団欒した雰囲気に微笑ましくなる。
「(本当に、良かったです……)」
少しでも自分が助けになる事が出来たなら、後悔をせずに済んだから。
更に深まる安心感故に、シホはほっとした様に息を吐く。何処となく柔らかい彼女の様子を感じ取ったのか、店主のお婆ちゃんがふふっと微笑んだ。
「お嬢ちゃんもまあ、可愛らしいねぇ……良かったら、試食してみる?これね、おばちゃんの手作りで、くじが付いているの」
「手作り……!ありがとう御座います、頂きますね」
少し大きな、クッキーにも似た其れは黄身ボーロだった。
ほんのりと香る優しい匂いに微笑んで、シホは半分程を口に含む。
激闘で疲労した身体に沁みる、懐かしい味……あの時も、こんな味がしてたっけ。
――あの、時?
「(……あの時、って)」
此処ではない、何処か別の場所……だったかもしれない。
雑音混じりの映像が脳内を駆け巡り、シホは思わず其の場で目を瞠る。
此れに良く似た味、駄菓子屋さんの外か自分を呼ぶ、誰かの声。どれも懐かしくて、温かかった筈なのに。どうして、忘れてしまっていたんだろう。
……別の場所、過去の出来事、今は其れを探すには難しいと彼女は思う。帰還までの時間も限られているのだ。それに、探したい人達は、あの写真は、嗚呼――
「……お嬢ちゃん、お嬢ちゃん?」
「えっ」
「良かったねぇ、星のチョコレート入りは当たりだよ。……大丈夫かい?」
顔色が悪いと心配されてしまった事が申し訳なくて、シホは頭を下げて謝罪する。
過ぎった記憶の事が気にならないと言えば、嘘になる。今直ぐ探しに行きたいけれど、此れ以上は無用な心配を掛けたくなくて。
「ごめんなさい、少し……ぼーっとしてしまいました」
大丈夫です、そう彼女は無理にでも明るく振る舞おうとするのだ。
大成功
🔵🔵🔵
デュオゼルガ・フェンリル
父さん(f01970)と一緒に【フェンリル家】で参加するぜ!
【SPD行動】
良かった、ホントに良かった…
母さんと一緒に回れないのは残念だけど、父さんと一緒にお店を見て回ろうかなー♪
父さんは小さい頃って何して過ごしてたの?
あ!幸也のにーちゃんだ!
聞いて聞いて!母さん、ちゃんと助けられたよ!!
幸也のにーちゃんが色々手配してくれたお陰だぜー♪
…今度こそ、母さんに『おかえりなさい』って伝えるんだ
元気な顔見せたいし、まずはたくさん遊ぶぜ!何があるかなー?
※アドリブ及び改変歓迎です
ガルムゼノン・フェンリル
息子のゼル(f00372)と共に【フェンリル家】で参加するよ
【SPD行動】
助けられて、本当に良かった……!
彼女と一緒に回れなかったのは残念だけど、元気になるまでの辛抱だ、ゼル
お店をのんびり見て回りながら駄菓子でも買おうか
ゼル、食べたいお菓子はあるかい?
あ、懐かしいなぁ。燎…このふ菓子が好きで良く食べてたっけ。少し多めに買っておこうかな?
やぁ、幸也くん。
お陰で無事に助けることが出来たよ、ありがとう
一緒に戦ってくれた猟兵のみんなにもお礼しないとね。
みんな、妻を…燎を助けてくれて。本当にありがとう……!
●これからを、紡ごう
――ゼノくん、ゼルちゃん……本当に、本当に……ありが、とう。
UDC組織の構成員に検査の為、運ばれる直前……改めて、如月・燎が伝えた言葉。
きっと、もっと御礼を言いたくて堪らなかった。伝えたい言葉が、想いが、沢山あったけれど。伝え切るには時間が足りなかった。
……でも、もう大丈夫。これからは家族三人で、優しい時間を過ごせるから。
其の為にも!お母さんの好きな駄菓子も、其れ以外も買って帰ろう!
別れたばかりの時には、デュオゼルガ・フェンリル(月下の人狼・f00372)は寂しげな様子だったが……少し元気が出て来たのだろうか。今は駄菓子屋の店内、漂う甘い香りにきょろきょろと落ち着かない。
そんな後ろ姿を見て、ガルムゼノン・フェンリル(砕月の咆哮・f01970)は穏やかに微笑む。微笑ましいという気持ちは本当だが、何より……漸くホッとして、実感を得たのかもしれない。嗚呼、本当に良かった。
……燎を発見出来た事、間に合った事、己の手で無事に救出する事が出来た事。
どれも自分だけでは成し得なかっただろう。手助けをしてくれた猟兵達、大切な自慢の息子がいたからこそ掴んだ、奇跡。感謝の気持ちで満たされているが、どうやら浸る間はなさそうだ。デュオゼルガがお菓子を見つけて、美味しそうと思った物から籠に入れている。
「ゼル」
「あ、父さん……俺、入れ過ぎた!?ゴメンなんだぜー……」
「いや、この麩菓子も入れてくれないか?燎が好きで、良く食べていたんだ」
「うん!母さん、これ好きなんだ……!俺も買うんだぜー!」
母親の分、息子の分、折角だからと父親の分。
美味しいという気持ちも、これからは家族みんなで共有出来るから。
やっと会えた事が嬉しくて、泣いてしまったけれど……今度こそ、元気な顔を見せたい。ちゃんと……おかえりなさい、って笑顔で伝えたい。
一緒に回れなかった事は残念だったけれど……こうして母さんの事を考えながら、父さんと買い物をするのは楽しいから。ふにゃり、とデュオゼルガは緩んだ笑みを浮かべる。
「そういえば、父さんは小さい頃って何して過ごしてたの?」
「んー?私の小さい頃か……今のゼルみたいに、和菓子に夢中になっていたかもしれないね?」
「父さんも!?へへっ、何だか嬉しいんだぜー」
へにゃりとまた緩んだ笑み、緩んだ雰囲気に、ガルムゼノンは優しい父親としての顔を見せていた。
元気になるまでの辛抱だと言い聞かせていたけれど、思ったよりも早く元気な姿で。思わぬ所で息子の成長を感じながら、ふと思いついた様に耳がピン、となる。
「そうだ、幸也くんにもお土産を買って行こうか。お礼、って事で」
「幸也のにーちゃん、色々手配してくれたからなー!母さん、助けられたよって早く伝えたいんぜー!」
「ああ、きっと心配しているだろうからね」
……此処にはいない、グリモア猟兵が心配している姿は想像に難くない。
落ち着きなんて無くて、ゲームも手につかない程ではないだろうか。親子で同じ事を想像したのだろう、ふふっと噴き出す様に笑うのは同時だった。
そんな仲の良い親子の姿を見て、そして話を聞いて……少しだけ理解したのか。それでも、店主のお婆ちゃんは涙を浮かべて笑い掛ける。
「年を取ると、涙脆くてねぇ……ごめんなさいね……?」
「気にしないで欲しいんだぜー!なあなあ、おばちゃん!父さんよりも少し下の人って、どんなのが好きかな?」
「お酒を飲むなら、つまみにもなる駄菓子もいいけども……あとは、良ければおばちゃんの手作り駄菓子もあるよ。良ければ、食べてみるかい?」
「わーい!父さん、父さんも一緒に食べようなんだぜー!」
母さんへのお土産にもなるかな?と、尻尾を揺らして自分へと聞いてくる言葉に、ガルムゼノンは例え様のない幸福を感じていた。
燎と、息子と歩む筈だった時間。其れは長く、冷静さを欠く程に重い影を残した。
だが……今、愛する妻の事を考えて、どんな反応をしてくれるかなと想像する事が幸せで。息子の口から聞くと、改めて実感する。
ただ、ただ……感謝を。家族皆で過ごす時間、其れは当たり前の様に聞こえるけれど……小さな奇跡の連続が、大きな奇跡となっていくのだろう。
「ああ、私も頂こうかな」
さあ、これからは奇跡の様な当たり前の毎日を。
ガルムゼノンの尻尾が、幸せそうにゆらゆらと揺らめいていた。
――親子三人のこれからに、幸多からん事を。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
推葉・リア
【SPD】
…燎さんも学生さん達もとりあえず無事で良かったわ…なんだか安心したらお腹空いたわね、何を食べようかな…?
そういえばこんな駄菓子屋さんに入るのは初めてね、買う前に店内をゆっくり見ようかな?
…知ってる駄菓子も知らない駄菓子も沢山あるわね、こんなのもあって…こんな味もあるのね…そうだお土産も買って…(色々手に取りお会計)
いっぱい買っちゃったわね、ふふっ
駄菓子食べながら、お店や他の人の様子も見ようかな
特にあの二人…大丈夫だと思うけど落ち込んでないかな…あっ話はしないわよ、親子の間に入るなんて無粋だもの
お婆ちゃんこれは…?運試し?楽しそう!さぁ何が出るかしら…?【お任せ】
【アドリブ共闘歓迎】
月守・咲凛
ちいさいお菓子がいっぱいなのです!
駄菓子には縁がなかったので目をキラキラさせながらあれにしようかこれにしようか、とちょこちょこ走り回ります。
私は一度にたくさん食べられないので迷うのです。
おばあちゃんにどれが良いのか聞いてみましょうか。あまりお腹いっぱいにならない物が良いのです。
お話にはニコニコしながらお付き合いです。基本的に物を知らないので、何にでも興味を持って感心して聞いてます。
帰る時間になったらガルムゼノンさん達をちょっとだけ羨ましそうに眺めて、親子の邪魔をしないようにおばあちゃんに手を振って帰ります。
●ぬくもり
そんな親子のほのぼのとした雰囲気を眺めつつ。
此処に駄菓子屋さんが初めての愛らしい女性と少女が御来店。
店主のおばあちゃんが、可愛らしいお客さんだねぇ……!と笑い掛けたのは、推葉・リア(推しに囲まれた色鮮やかな日々・f09767)と月守・咲凛(空戦型カラーひよこ・f06652)だ。
月守は先の学生達との戦闘で両腕を負傷していたが、猟兵達による癒しの効果もあったのだろう。普通に動かせる程度には回復した様だ。
「ちいさいお菓子がいっぱいなのです!」
「咲凛さん、駄菓子は初めて?」
「はい!」
「それにしても……知ってる駄菓子も、知らない駄菓子も沢山あるわね」
そもそも、駄菓子自体が縁のない物だった月守にとっては全てがきらきらと輝いて映るのだろう。瞳を輝かせながら、どれにしようかと走り回る姿はなんとも微笑ましい。
……助けたいと思う人達を助ける事が出来た。達成感と安心を胸に秘めていた推葉も、彼女の様子にまた微笑む。普段の丁寧な口調からはあまり想像出来なかったけれど、年相応な反応に心から和んでいて。
そんな少女の反応もあってか、ついつい自分も童心に返ってしまう。知らない駄菓子、知っているけれど珍しい味……ああ、旅団の皆にもお土産はいるだろうか。考えている内に籠の中が一杯になっていた。
「こんなにみーんなが喜んでくれるなら、続けてきて良かったわぁ……」
……これまでの猟兵達の喜び、笑い、感謝を告げながらまた微笑んでくれる。
胸が熱くなって、込み上げるものもあったのだろう。店主は涙を堪えながら、それでも幸せをぎゅっと詰めた言葉を溢していて。
おや、先程まで月守が立ち止まってきょろきょろと辺りを見回している。どうしたのだろうと推葉が声を掛けると、返す悩みもまた可愛らしい。
「いっぱいあって、悩みますね……。リアさん、おばあちゃん、どれがいいでしょうか?あまり、お腹いっぱいにならない物が良いのです」
「あまーいものが好きなら、フルーツ餅とか……ねり飴やラムネもどうかしら?そうだ、おばちゃんの手作りがあるんだけれど、食べていかない?当たりもあるよ」
「運試し?楽しそう!」
「私も、やってみたいです!」
ちょっとだけ待っててね、と店主が運試しの駄菓子を裏に取りに行っている間……ふと、推葉が月守の視線の先に気付く。駄菓子屋を出て、帰ろうとする団長と其の息子の姿。落ち込んでいるかと思ったけれど、元気そうだ。しかし……彼女の仲睦まじい様子を見つめる目は優しいけれど、何処か寂しさもあって。
……ほんの少しだけ羨ましくなったけれど、月守は決して其れを口にしない。
記憶を失くしてからの人生はほんの数ヶ月、思い出すには短過ぎる時間。大丈夫、私は大丈夫です。だって、お姉さんは泣いたりしないから。
「はぁい、お待たせしてごめんなさいねぇ。お会計も、もうちょっと待ってておくれ」
「わっ、美味しそう!咲凛さん、黄身ボーロだよ!何が出るかしら…?」
月守も店主に慌てて御礼を伝えてから、推葉と一緒にぱくっ!
――何という事だろう!二人同時に当たりを引いた様だ。
中には星型チョコレート、思わず二人は顔を見合わせて微笑む。良かったねぇ、とお祝いしつつも店主は二人にお釣りを返して。
……大丈夫。推しからのバレンタインにドキドキして、でもやっぱり悶えてしまう。其れが解っている時の緊張に比べたら、今の緊張はまだ可愛いものだ。
すーはー、すーはー。深呼吸を終えて、ぽつぽつと。
「……ねぇ、咲凛さん」
「はい、どうしました?」
「手、繋いで帰らない?」
家族になろうとしている訳じゃない、ただこういうのも偶には良いと思うから。
物語の最後はハッピーエンドが理想だもの!勿論、押し付けたくはないから、無理にとは言わないけれど。推葉は其のつもりだ。
「えっと、その……!ありがとうございます、リアさん」
突然の言動にきょとん、としたけれど。
彼女の気持ちが嬉しくて、とてもぽかぽかして。
月守は差し出された手に、小さな手のひらを重ねる。
良かったら、またいつでも遊びにおいでね。ありがとう。笑顔で見送る店主に、彼女は繋いでいない方の手を振って。並ぶ姿はまるで姉妹の様だった。
……嗚呼、美しき哉。
きっと世界は小さな奇跡の連続で出来ているのだろう。
掴んだ奇跡が、また小さな奇跡を呼ぶ。日常を細やかな幸福で彩るのだ。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
最終結果:成功
完成日:2019年04月12日
宿敵
『白百合のルージュ』
を撃破!
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