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蘇りし英雄たちに眠りを

#ヒーローズアース

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#ヒーローズアース


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 月原・雪花(月兎・f06136)がウサ耳をぴこぴこさせながら、劇画調の本――俗にいうコミックを手に猟兵達が集まるのを待っていた。
 ぱらぱらと本をめくる音が聞こえる。猟兵達が集まってもその手が止まらない。熱中しすぎているうさに向けて声を掛けるとそこで集まっていた事に気づいたうさが恥ずかしそうに顔を赤くし、ウサ耳をへにょんとしながらコミックを閉じる。栞を挟むのは忘れていない。

「ん、皆集まってくれてありがとう。新しい世界の事……ヒーロー達がいる世界の事は知ってるかな? 知らない人がいるかもしれないから、説明するけど……昔から僕達猟兵みたいな超常的な力が存在してる世界。昔は隠されたりしてたけど……色々な事件をかねて世界的にその力が示された世界だよ」

 ヒーロー達が存在する世界と聞いて一部の猟兵達が色めき立つ。UDCアース ではヒーロー達が活躍するアニメやコミック、更には実写映画などが多く存在し、それに憧れた猟兵達は少なくない。正統派ヒーローから悪を持って悪を倒すダークヒーローなど魅力あふれた存在、それがヒーローだ。うさは本の絵柄を見る限りどうやらダークヒーローが好みなようだ。

「新しい世界を堪能したい所だけど……そこで予知を拾った……。相手は世界大戦期の偉大なる英雄「ジャスティス・ワン」とアメリカ陸軍の強化改造を受けた量産型ヒーロー。彼らがオブリビオンとして蘇り、街中で暴れ出す未来……このまま放置したら色々な人達に被害が出る……勿論、ジャスティス・ワンや、量産型のヒーロー達の名前にも……」

 残念ながら、機械兵として生み出されたジャスティス・ワンや量産型ヒーロー達には心が無い。命令された通りに動くただの兵器だ。一度暴れだせば多くの被害が出るだろう。
 この事件を解決するためにはヒーロー達との協力が必要だ。

「丁度、ヒーロー達……【ピースメイカー】との地域の交流会…。それが開かれてるからそこで親交を深める事が出来たら、オブリビオンとの戦いでも助かる……かも」

 人並み外れた力があるとはいえ、オブリビオンは強力だ。ヒーロー達でさえも苦戦は免れない。しかし、彼らと仲良くなればヴィランの居場所を知る事や協力を申し出る事も出来るだろう。【ピースメイカー】は市民と協力し、活躍しているヒーローだ。
 仲良くなれば協力を断られる事はないだろう。

「とても残念だけど……蘇ったヒーロー達は皆に慕われた彼らじゃない。今は世界を滅ぼす――オブリビオン。これ以上彼らの正義を汚すわけにもいかない。皆の手で……もう終わってる事を教えてあげてほしい」


暁月
 はい、暁月です。とうとうやってきましたヒーロー世界。わくわくですね。
 という訳で一本目です。今回は最初はヒーロー達との交流をやってもらいます。雪花の予知でも襲撃は解りますが詳細な居場所までは解りませんでしたので、彼らと仲良くなって襲撃現場まで彼らと一緒に行きましょう。
 戦闘は主に猟兵達メインとなります。ヒーロー達は足止めぐらいは出来ましたが、質と量が違うので残念ながら押されてます。しかし避難誘導や救助などは率先してやってくれるのでその辺りの心配はいりません。思う存分立戦ってください。
 それではみなさん、頑張っていきましょう。
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第1章 日常 『ヒーローチームパーティ!』

POW   :    存分に飲んだり食べたりして、大騒ぎします!

SPD   :    美味しいものをほどほどに楽しみながら、ヒーローチームや他の猟兵と交流を深めます。

WIZ   :    関係者の市民や政治家、或いはヒーローと有意義な交流をします。

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🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​

種別『日常』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

レフティ・リトルキャット
※詠唱省略OK
【霊査士】
にゃ!ヒーローの世界なのにゃ?凄いにゃね!
レフティは、ご先祖様の中でも特別な7代目様の力を借りて仲良くなりにいくにゃ。
首輪を霊視の首輪に変えて、物品に宿る精霊達を呼び出して、ヒーロー達の装備や贈られた物などに込められた想いを聞き告げるにゃね。
他にも未解決事件があって、その現場に残された物品でもあればもしかしたら何か新しい情報が見えるかも知れないにゃよ。
仲良くなる為に報酬でつるようなことだけど、ダメ元でも視せてくれないかにゃあ?。
…この霊視能力を使っている時に喧嘩とか戦闘行為はダメにゃからねっ?!


八十神・昼子
【心境】
「絶望という夜が明け、希望という朝日が昇る。ランチブレイザー参上。よろしくお願いします。」
同じヒーローとして猟兵としてみなさんの活躍には本当に尊敬しています。
こっちは知る人は知るかもしれない知らない人は全く知らない超マイナーヒーロー。密着できるほどの地元もない弱小ヒーロー…(ほろり)

【行動】
判定:SPD

ヒーローや猟兵との挨拶回り中心に行動します。
私のような弱小ヒーローにとってこーいう場じゃないと挨拶できない人多いので…。交換する名刺ももってないけどね。
ヒーローランチブレイザー知ってる?知ってるよね…え、知らないすいませんでしたOrz


アドリブ:OK


山鹿市・かさみ
う、うおおおお!!!!ヒーローが、憧れのヒーローがいっぱいの世界!
ここがエデンッスか・・・!?楽園なんスか!?
と思ったらヴィランもいっぱいだったッス。
世の中いいことばかりじゃないッスね。

とにかく!カサミもヒーロー見習いとして全力を尽くすッス!
・・・けどその前に。あの、ヒーローの方々、
皆さまの信条とか得意技とかを教えて頂ければ・・・あ、あと出来ればサインと写真を一緒に撮って頂けると・・・
も、もちろん連携のためッスよ!そりゃもちろん!
・・・嘘ッス、ヒーローとして頑張っている方々はカサミの憧れなんス・・・
そりゃあお近づきになりたい!!任務うんぬんなしにしても!

あ、もちろん連携のためにも覚えるッスよ!



●ヒーロー達との交流

【ピースメイカー】。それはこの区域を守るヒーローの名だ。孤児院出身のヒーローという事もあり、地域密着型で人とのつながりを大事にし、それを武器として使って多くのヴィランを倒してきた。
 政治家との関係は薄いものの、彼の活動には一部の政治家たちも感心している。
 そんな【ピースメイカー】は一か月に一度、交流会として大きなパーティーを開く。これには政治家や企業の人達だけでなく、近隣の市民も参加している。彼に会うために遥々遠方からやってくる人もいると言えば、彼がどれ程の活躍をしているヒーローなのか判るだろう。

 当然ながら、ヴィランが紛れ込む可能性もあり、実際紛れ込み【ピースメイカー】を亡き者にしようと悪事を企んだヴィランもいたが、それらは全て【ピースメイカー】の手で取り押さえられ、更生施設へと送り込まれている。

 多くの市民が和気あいあいと交流会で【ピースメイカー】と触れ合う中、市民の中に猟兵達は紛れ込んでいた。警備もいたが、猟兵達を遠くから来た市民だと思い込み、疑わずに通していた。たとえ何かあっても【ピースメイカー】が何とかしてくれるだろうと信頼してのことだ。

 その猟兵の中にレフティ・リトルキャット(フェアリーのリトルキャット・f15935)がいた。その身の小ささゆえに警備に咎められる事も無かったが、【ピースメイカー】に会うための行列に並んでいると否が応でも人目を集める。
 人々が注目するが手を出すまでに至ってないのにはこのヒーローズアースにも魔法使いや神という存在が人々の中に認知されており、妖精が居てもおかしくないと思われている。といっても子猫の様な妖精は物珍しく、子供が手を伸ばそうとすると母親がそれを咎め、レフティが手を振って笑顔をで返せば子供も笑顔でそれを返し、朗らかな空気が周りに満ちる。
 そうこうしているうちに、レフティの番になると【ピースメイカー】も彼の事には気づいており、人のいい笑みを返す。屈託のない笑みを見るとレフティは確かに彼はヒーローらしいヒーローだと納得し、笑みを返す。

「初めまして。僕は【ピースメイカー】。この街を守るヒーローさ。妖精さん、君の名前を教えてもらっていいかな?」
「はいですにゃ。レフティはレフティ・リトルキャットと言いますですにゃ。ヒーローさんと出会えて感謝感激ですにゃぁ」
「こちらこそ。君の様な妖精と出会えるのは初めてだよ。君はどこかのヒーローの使いなのかな?」
「違いますにゃ。レフティは猟兵(イェーガー)ですにゃ。ヒーローさん達みたいに特殊な力で人々を守ってますにゃ」

 猟兵という言葉に【ピースメイカー】は首を傾げ――そして何か思い出したのかぽんっと手を叩く。彼は情報の大事さを良く解っており、その中に幾人かのヒーローが謎の敵にやられかけた時、猟兵と名乗るヒーローとは違う力の持ち主がいると各地で報告が上がっていた。
 それが目の前の妖精なのかと一瞬疑わしげな眼を向けるが、そこはヒーロー。子供と朗らかに接する彼は少なくともヴィランではないだろうと判断する。

「そうか。君が猟兵と言われる者の一人か」
「はいですにゃー。それで【ピースメイカー】さんと仲良くなりたいと思ってきましたですにゃ。七代目様の力をお借りすれば物品に宿る精霊達を呼び出してお話を聞くことが出来ますにゃ。何か困ってる事件とかありますかにゃ?」
「精霊……? ふむふむ、じゃあこれなどはどうだろうか?」

 【ピースメイカー】はそういうと、一つの古臭いグラスを手に取る。これは【ピースメイカー】が愛用しているグラスであり、この交流会ではいつも愛用しているグラスで――馴染みのマスターの形見の品だ。
 曰くを聞いたレフティは【ピースメイカー】が何を頼みたいのか察し、頷いた。

「ちょっと力を使いますにゃ。戦闘行動だけは取らにゃいで欲しいですにゃ。レフティが倒れてしまいますからにゃぁ」

 そう【ピースメイカー】だけでなく、警備は周りの人々にも告げると、慎重にグラスに手を添え、言葉を紡ぐ。力ある言葉を。

【にゃおん(我、願う 人々の助けになることを 私は精霊を視る者にして力なき子猫 精霊よ、私の話を聞いておくれ 全ては希望の為に)】

 不思議な力、だが決して嫌な感じはしない。これが猟兵の力なのかと感心する者達もいた。【ピースメイカー】もその一人だ。
 そしてその力は形あるものとして顕現し、精霊となってレフティたちの前に姿を現す。それは淡く儚く、まるでガラスの様な精霊。
 その精霊に耳を寄せると、グラスの精霊はぼそぼそと耳打ちし、満足したのかふっと儚い姿を薄れさせ、最後に【ピースメイカー】に一礼するとその姿を消した。
 話を聞いたレフティはふよふよと【ピースメイカー】の耳元まで近寄れば、彼も察して耳を寄せる。これは何かあると察して警備も二人を囲むように壁を作る。

 ぼそぼそとレフティが【ピースメイカー】に耳打ちをすれば、一瞬【ピースメイカー】の目が見開かれる。
「それは本当かい?」
「本当ですにゃ。彼女が教えてくれましたにゃ……マスターの仇を取ってと……」
「そうか……分かった。ありがとう」

 【ピースメイカー】とは言えども、全てを救えたわけではない。手が届かなかった、間に合わなかった、助けられなかった事件など幾らでもある。それが親しい知人ともなれば悔しく、力不足に嘆き続けたに違いない。
 それを晴らす機会が文字通り降って湧いて出たのだ。猟兵という新たな存在によって。
 周りの市民たちは不思議な力を使ったレフティと、ありがたく頭を下げる【ピースメイカー】を見て呆気にとられていたが、晴れやかなヒーローの姿を見ると良い事があったのだと思い拍手を送る。
 あまり長々と話をしていると後ろの人に迷惑が掛かると思い、レフティはもう一度【ピースメイカー】に頭を下げてその場を離れた。

 レフティとしては【ピースメイカー】と仲良くなれればとの行動だったが、どうやらそれ以上に仲良く、信用してくれそうだと思い上々の結果に笑みを浮かべながらパーティー会場の料理を食べ始めるのだった。

●憧れのヒーロー

「絶望という夜が明け、希望という朝日が昇る。ランチブレイザー参上。よろしくお願いします!!」
「ここがエデンッスか・・・!?楽園なんスか!?あ、カザミは大音帝ヤカマシャーっす!宜しくお願いしますっす!」

 目をキラキラと輝かせ、完全にファンと化してるのは八十神・昼子(神のアームドヒーロー・f16483)と山鹿市・かさみ(大音帝ヤカマシャー・f01162)の二人だ。その姿は猟兵というよりもただのファンにしか見えないが、そんな彼らにも【ピースメイカー】は屈託のない笑顔で二人に握手をする。ファンサービスも欠かさない彼は本当にヒーローの鏡だ。

「ランチブレイザーに、大音帝ヤカマシャーだね。ここいらで見かけないけどどこのヒーローかな?」
「あ、私達はヒーローでもあるけど猟兵です。私のような弱小ヒーローにとってこーいう場じゃないと挨拶できない人多いので……」

 なるほど、猟兵にもいろいろいるのだなぁと頷きながら八十神に握手をしながら、懐かしそうな目を八十神に向ける。

「僕にもそういう時代があった。だが、弱小だからと言ってくじけるんじゃない。君には正義を愛する心、ハートがある。そのハートを形作っているのは君が守るべき人達だ。それを忘れる事が無ければ、君は立派なヒーローになる。このヒーロー【ピースメイカー】が保証する」
「【ピースメイカー】さんっ……! はいっ! 誇れるヒーローになれるように頑張りますっ!!」

 八十神は感激したように涙を流しながら、何度も頷く。その彼女の隣では、カザミが目を輝かせてメモ手に取り、じっと【ピースメイカー】を見つめていた。

「それとカザミに皆さまの信条とか得意技とかを教えて頂ければ・・・あ、あと出来ればサインと写真を一緒に撮って頂けると……」
「信条か……そうだね。決して、諦めない事かな。勿論、ただ諦めない事じゃない。時には勝てないと諦めが大事な事がある。それでも諦めないのは――人の助けるヒーローであるという事。それだけは諦めない。諦めたくない……かな。ははっ、改めて口にすると照れるね」
「照れる事なんてないっす! 素晴らしいっす! カザミもそういうヒーローになるために頑張るっす! 夢はでっかくスーパーヒーロー!!ッス!」
「うん、君ならきっとなれるだろう。夢を大きく持ちたまえ」

 肩に手を置き感慨深そうに頷く【ピースメイカー】。若々しいカザミの夢にどうやら昔を思い出し、応援したくなったようだ。
 その後、カザミに得意技を教えたり、PRもかねて決めているポーズで三人そろって写真を取るなど、夢見心地な時間を過ごした二人だった。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​

弥久・銀花
(アドリブ、他の人との絡み歓迎です)

やる事は【SPD】か【WIZ】ですね、ちょっと交流してきます。

ヒーローと猟兵の違いをちょっと確認しておきたいです。
それとヴィランとオブリビオンの違いについても。


私が知ってるアメコミのヒーローは
筋骨隆々のマッチョマンとか
痩せマッチョとか
マッチョな女性とかが、頑丈そうな顎のラインの顔をマスクで隠したりしてピッチピチな衣装で戦ってるって印象なんですが、私みたいな顔を隠さない普通の人狼の少女は浮いてしまわないか心配になってしまったので……。

あ、こう見えて別の宇宙で銀河皇帝って名乗る人とその軍勢とかと戦った事はありますよ。


硬い物とか刀で切ったり腕力には自信あります。



●ヒーローと猟兵と

 握手会も終え、後は食事会となった交流会。【ピースメイカー】もこの場は交流しつつ、食事を堪能する機会なので、美味しい料理に舌鼓をうっていると狼の耳の様な髪形をした銀の髪を持つ猟兵――弥久・銀花(隻眼の人狼少女剣士・f00983)が更に料理をてんこ盛りと盛りながらやってきた。
 その足さばきや体の動きをみて【ピースメイカー】はただのヒーローではないと判断するが、敵意は感じない事から優しい笑顔で迎える。

「君も猟兵かな? どうかな、ここの料理は」
「はい、とても美味しいです。とても美味しいです」

 大事な事だから二回言ったのだろう。皿の上の料理を美味しそうに食べる彼女の姿は【ピースメイカー】も思わず笑みがこぼれる。
 もぐもぐごっくんと、水で口の中をすっきりさせた弥久はナプキンで口をふきふきしてから、先ほどの握手会では聞くに聞けなかった話を振る。

「【ピースメイカー】、少々お聞きしたい事があります」
「何かな? 僕が答えられることならいいよ」
「ヒーローと猟兵の違いをちょっと確認しておきたいです。それとヴィランとオブリビオンの違いについても」

 質問の内容を聞いて【ピースメイカー】は食事の手をとめ、困ったような笑みを浮かべる。

「違いか……正直判らない。というところかな。聞く限り、ヒーローも猟兵達も人々を守る事に重点を置いている。そこの違いはない事は確かだ。人を守るためなら、違いなんて些細な事じゃないかな? それとヴィランとオブリビオン?だっけ、それの違いも……判らない。僕らにとってはヴィランは倒すべき相手でもあり、更生させる相手だ。僕が倒した中にも、今は更生して工事現場で働いている元ヴィランもいる。だがオブリビオンという者に関してはいまいちまだよくわからない……。これで答えになるかな」
「そうですか……それで充分です。ありがとうございます。あとそれと……これは私事なんですけど……私みたいな顔を隠さない普通の人狼の少女は浮いてしまわないか心配になってしまったのですが」

 弥久が知るアメコミヒーローは筋骨隆々のマッチョマンとか痩せマッチョとかマッチョな女性とかが、頑丈そうな顎のラインの顔をマスクで隠したりしてピッチピチな衣装で戦う印象だ。それを聞いた【ピースメイカー】は苦笑を浮かべながら口を開く。

「確かにそういう人たちもいるが……普通に素顔で活動するヒーローもいるよ。可愛い顔を活かしてアイドル活動しながらヒーローをやっている子もいるしね。だから特に問題はないんじゃないかな」
「そうですか……良かった。ありがとうございます」

 満足に行く答えが聞けた弥久は深く頷いて頭を下げる。答える事が出来た【ピースメイカー】も良かったと頷いて再び食事を始めるが、弥久が立ち去る前に一言告げる。

「ああ……オブリビオンに関してですが……更生は無理です。あれはヴィランとは違う存在ですので、くれぐれも更生させるために捕えようと思わないでください。世界を滅ぼす存在……それがオブリビオンなので」
「わかった……忠告感謝するよ。心にとめておこう」

 そのただならぬ雰囲気の中でも【ピースメイカー】は食事を続ける。ここまで肝が据わっているなら、いざという時に躊躇することはないだろうと安堵の息を吐きながら、弥久は食事を続けるのだった。

成功 🔵​🔵​🔴​

アポリー・ウィートフィールド
ここが新世界、ヒーローズアースか……ふむ、文明的な土地、というか、UDCアースとやはり非常によく似ているな……。早速ピースメイカーとの交流会に参加するとしよう。

我がこの世界に発生したオブリビオンを討伐しに来た猟兵であること、地域のヒーローと協力し、オブリビオンの情報共有をしたいことを申し出る。
そして、あとは……この地域の美味いものについて尋ねようか。そしてヒーローたちと共に食事でもしよう。
「スーパーサイズ・ミー!」我は大食いが自慢だ。とびきりデカいメニューを用意してくれ。戦いの前の栄養補給として、見事食べきってみせるとも。



●降り立つ暴食(注:味方です)
「君の様な猟兵もいるのか……本当に先ほどの妖精の子といい、君といい色々な子がいるんだね」
「左様。我らはこの地のオブリビオンを滅するべくこの世界に降り立った。可能ならピースメイカー殿。オブリビオンに関しての情報の共有を願いたいが如何か?」

【ピースメイカー】がやや顔を引き攣らせながら、大皿にこれでもかとてんこ盛りに料理を持ちながら話をしているのはアポリー・ウィートフィールド(暴食のイナゴ男・f03529)だ。
 バイオモンスターやミュータントヒーローといった、人とは離れた姿を持つヒーローがいるのは【ピースメイカー】も知っている。はた目から見るとどう見てもヴィランだろうという外見だが、外見だけで決めつけてはいけないのがヒーローだ。
 そういう事もあり、アポリーに対しても【ピースメイカー】は偏見なく接している。顔が引きつってるのは皿の上に盛られた料理の山に対してだ。

「……そうだね。僕らにとってもオブリビオンという相手に関しては、情報が足りない。情報共有に関してはこちらからお願いしたい」

【ピースメイカー】の瞳を見るアポリーだが、彼が嘘をついている気配はない。本当に情報が少ないようだ。それもそうだろう。今までオブリビオンと戦ったヒーローは悲劇の死を迎えており、ヴィランの犯行とされているのが大半だからだ。

「あいわかった。我らが知る限りのオブリビオンに関する情報を渡そう。無論、ヴィランとの戦いでも我らが猟兵の力にて取り押さえよう」
「助かるよ。市民の平和を守る手は幾らあっても良いからね。……所でそれ本当に食べるのかい?」

 やはり突っ込まずにはいられなかったのか、目の前の料理の山を指さす【ピースメイカー】。大食いのヒーローを知っている彼にとってもこの量は食べきれない。
 だが、この料理の山を目の前にしても自信満々にアポリーは頷く。

「うむ。この程度は朝飯前。全ての生きとし生ける物に、全ての食料に感謝の意を。……頂きます」

 食べ物に対して感謝の意を表すと、アポリーはイナゴの口を開けてフォークを手に料理を咀嚼し始める。それは決して汚い食べ方ではなく、むしろ上品な食べ方で味わって食べているのが良く解る食べ方だ。
 問題は減る量だ。なんかすごい速度で減っていく。早食いってレベルじゃない位みるみるうちに山が削れていく。思わず【ピースメイカー】も食事の手を止め、唖然となる。そうこうしているうちに料理の山が消え去り、口元をナプキンで拭く様は紳士そのものだ。

「凄いな君は。まさかあの量を食べるとは……。まだ食べれるかい?」
「スーパーサイズ・ミー! 我は大食いが自慢だ。とびきりデカいメニューを用意してくれ。戦いの前の栄養補給として、見事食べきってみせるとも。出来れば地域のメニューがいいかな」
「は……ははっ……凄いね。丁度いいものがある。ちょっとウェイター。彼に飛びきりのデカい料理を頼むよ」

 アポリーの豪快な食べっぷりを【ピースメイカー】は気に入ったのか、上機嫌でウェイターにアポリーの望むものを頼む。
 そして運ばれた地元で祝いの日に出される子豚の丸ごとパイ包み焼きを前に、アポリーは両手を合わせて――。

「いただきます」

 実に旨そうに、料理人が嬉しくなるほどの食いっぷりを見せながら食べていくアポリー。【ピースメイカー】も嬉しそうにしている事から、仲良くなることには成功したようだ。

成功 🔵​🔵​🔴​

ティオレンシア・シーディア
※アドリブ掛け合い絡み大歓迎

ヒーローズアース…ヒーローとヴィランの世界、ねぇ。
公的機関が凄く協力的ってのは、やっぱり楽ねぇ。

なんのかんの言ってもあたしたち新顔だものねぇ。
ここはヒーローチームと交流しようかしらぁ。
〇コミュ力・礼儀作法・世界知識を活用して話しかけてみるわぁ。
こういう時、現地の人とつながりがあるってのは重要だもの。

そういえば、奇遇ねぇ。
あたしの相棒、オブシディアンっていうんだけど…ベースになってるのはコルト・シングルアクションアーミー。
その通称も、『ピースメーカー』なのよねぇ。
まあ、この子はシリンダーをスイングアウトできるようにカスタムしたビックリドッキリなアレなんだけどねぇ。



●二つの平和を作るもの

(ヒーローズアース…ヒーローとヴィランの世界、ねぇ。公的機関が凄く協力的ってのは、やっぱり楽ねぇ)

 ゆったりと出された食事を上品に摘みながら、【ピースメイカー】を少し離れた位置で眺めているのはティオレンシア・シーディア(イエロー・パロット・f04145)だ。美しいその美貌に引かれた政治家や企業の役員など笑顔で応対しながらも、しっかりと情報を手に入れているのはBar『黒曜宮』のマスターにしてバーテンダーだけある。

 もっとも、最初に彼女の声を聞いた者は男性女性問わずに非常に驚き、時にはスッ転びそうになる。
 それもそうだろう。クールで美人な外見、さぞかし声もそれ相当なのだろうと思いきや、超甘いロリ系の声だったのだ。ギャップがあり過ぎるだろうと彼女を知る者は語る。

 手練れの政治家や企業の役員が逆に手玉に取られているのが目を引いたのか【ピースメイカー】の方からティオレンシアへ寄ってきた。

「どうかな、交流会は楽しめているかな?」
「はい、それはとても。ヒーローとヴィランの世界とお聞きしておりましたが、私のいた世界と共通する部分も多くてとても楽しめてます」

 ティオレンシアのロリ甘ボイスがさく裂。【ピースメイカー】もずっこけて、周りの人達から同情の視線が贈られた。どうやら同じようにやられてしまった人たちの様だ。

「あ、あら。大丈夫ですか?」
「だ、大丈夫さ。ははは……その口ぶりだと……君も猟兵のようだね」
「ええ。そういえば、奇遇ねぇ。あたしの相棒、オブシディアンっていうんだけど……ベースになってるのはコルト・シングルアクションアーミー。その通称も、『ピースメーカー』なのよねぇ」

 そういうと、ティオレンシアはガンベルトからオブシディアンを引き抜く。警備が一瞬動こうとするも、それを【ピースメイカー】が視線で制した。それはティオレンシアに攻撃の気配がない事を察してのことだ。
 それに――。

「ほほぅ、それは奇遇だね。偶然にも、この場に二つの【ピースメイカー】が揃ったという訳か」
「ええ、とても奇遇ねぇ。ふふ、この世界では新顔だけど、この偶然も縁の一つ。という訳で仲良くしていただけるとありがたいわぁ」
「ああ。此方こそ」

 このような子を敵に回したくない。美女的な意味でも、実力的な意味でも。ヒーローとしての勘が強くそう彼に警鐘を鳴らすのだから。もっとも……好みのタイプだったからというのも否定は出来ない【ピースメイカー】(25歳)であった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

アンナ・フランツウェイ
ヒーローにどうしても聞いてみたい事がある。それは今の私には分からない事、今後猟兵として戦う上で必要だと思うから。

行動は【WIZ】で。

ピースメイカーが一人になって、周囲に誰もいない時を見計らって【コミュ力】を使って話しかけてみよう。話す内容が内容なので、あまり人に聞かれたく無いから…。

ピースメイカーと話せる状況になったら私の過去…両親に売られ、売られた先で人体実験をされた事。その施設で集められたオラトリオ達と殺し合いを強いられた事を話す。

その上で悪に落ちうる人間を信じられるのか、何故そんな人間達の為に戦える理由を聞いてみるよ。
人間と世界、何故それを信じて戦えるのか。…まだ私には分からない。



●人を信じる事

 大勢の人達に料理がいきわたり、各々が談笑や食事を楽しむ中、ひとりアンナ・フランツウェイ(断罪の御手・f03717)は機会を伺っていた。【ピースメイカー】が一人になる機会を。
 何故そんな機会を伺っているのか。それは人に聞かれたくない話を彼に聞いてほしく、彼から聞きたい事があるからだ。
 じっと黙して待っていると【ピースメイカー】が飲み物を取りに一人離れる時が訪れた。機を伺っていたアンナはそのタイミングで人々をすり抜けるように通り抜け【ピースメイカー】へと近づく。

「こんにちは。【ピースメイカー】さん」
「おや、君は……こんにちは。さっきからじっと僕の方を見ていたけど、何か話したい事とかあったのかな?」

 勘が鋭い。気取られない様に見ていたつもりだが、彼は気づいていたようだと内心【ピースメイカー】の評価をあげる。

「……ちょっと人にお話ししたいけど、いい?」
「……分かった。あまり人に聞かれない方がいいかな。長い時間を離れる事は出来ないけど少しなら」

 アンナの視線と、人が居ない時を見計らって自分に近づいてきたという事で人に聞かれたくないのだろうと察した【ピースメイカー】。ウェイターから飲み物を貰い、パーティー会場の中にある建物の中に入り、個室の中へとアンナを案内する。

「ここはね、君みたいに聞かれたくない話や政治家や企業の人達と話をするところなんだ。ここなら人に聞かれる心配はないよ」
「……ありがとう。ここまでやってくれるとは正直思わなかった」

 アンナとしては、ちょっと人から離れた程度で良かったのだが、ここまでしてくれるのは嬉しい誤算だ。
 そしてアンナは語る。自らの過去を。両親に売られ、売られた先で人体実験をされた事。その施設で集められたオラトリオ達と殺し合いを強いられた事を。

 これは確かに人が居る所で口にしていい話ではない。それでも初めて会う【ピースメイカー】である自分に話してくれたのには何か理由があるはずだと、思いながら次の言葉を待つ。

「ねぇ、ヒーローさん。悪に落ちうる人間を信じられるのか、何故そんな人間達の為に戦える理由って何?なんで戦えるの?」
「人間を信じ、戦える理由か……。確かに、君の言う通りどうしようもない下種もいる。更生の余地が無いヴィランもいる。それでもね……僕は信じたいんだ。人の可能性を。完全な悪ではないと信じたいからこそ、人の為に戦う……それじゃ答えにならないかな?」
「……人間と世界、何故それを信じて戦えるのか。…まだ私には分からない。……でも、そういう考え方もあるんだね。ありがとう……答えてくれて……でも……オブリビオンだけは世界を滅ぼす本当の悪……これだけは覚えておいて。でないと――死ぬよ。守りたい人を守る前にあなたが」

 近いうちに起きるオブリビオンとの戦い。それは必ず起きる未来だ。その時、【ピースメイカー】はどう動くのかアンナは気になり、死の宣告ともいえる言葉を継げる。
 だが、【ピースメイカー】はひるむことなく、逆に笑みを浮かべた。それは恐怖や怯えからくる笑みではなく、底抜けに明るく覚悟決めた男の笑みだ。

「……ああ。その時は覚悟を決めてるよ。なんたって僕はヒーロー【ピースメイカー】だからね」

 まさにヒーローの鏡ともいえる【ピースメイカー】の笑顔を見たアンナは、彼ならば大丈夫だろうと思い、話は終わったと言わんばかりに彼に背を向ける。
【ピースメイカー】の言う覚悟は一体どんな覚悟なのか、それは戦いになれば判る事だ。少なくとも――命を投げ捨てるような覚悟でない事を願いながらアンナは会場へと足を進めるのだった。

成功 🔵​🔵​🔴​




第2章 集団戦 『ジャスティストルーパー』

POW   :    フォールン・ジャスティス
全身を【機械部分から放出されるエネルギー】で覆い、自身の【戦闘を通じて収集した敵のデータ】に比例した戦闘力増強と、最大でレベル×100km/hに達する飛翔能力を得る。
SPD   :    イミテーション・ラッシュ
【ジャスティス・ワンが得意とした拳の連打】を発動する。超高速連続攻撃が可能だが、回避されても中止できない。
WIZ   :    マシン・ヴェンジャンス
全身を【機械装甲】で覆い、自身が敵から受けた【物理的な損傷】に比例した戦闘力増強と、生命力吸収能力を得る。

イラスト:もりさわともひろ

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種別『集団戦』のルール
 記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

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 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


●蘇りし英雄。
 交流会も宴もたけなわでそろそろ終わりを見せたその時、甲高いアラームの音が会場に鳴り響く。音の発信源は【ピースメイカー】からだ。
 すぐさまに【ピースメイカー】は懐に入れていた装置、恐らくスマホだろう。多分。機械を耳に当て、真剣な表情で話しの内容に集中する。

「何だって……!? それは本当かい? 幻覚や返送の類じゃ……」

 何やら尋常ならざる事態が起きているようだと、周りの招待客や市民たちがざわめきだす。【ピースメイカー】がここまで動揺するのは珍しい事だからだ。
 そんなざわめきも耳に入らない【ピースメイカー】は深く頷き、機械の電源を切り会場の皆に向けて口を開く。

「皆、サウスロングブリッジにて多数のヴィランが暴れているとの連絡が入った。だが安心してほしい。今すぐにこの【ピースメイカー】が向かい、事態の鎮圧にかかる!」

 そう宣言すると、一斉に歓声や応援の声が上がる。皆が【ピースメイカー】の勝利を疑っていない。それほどの実力を持つのだ【ピースメイカー】は。
 だが猟兵達は知っている。そんな彼でも力が及ばない相手――オブリビオンが相手だと。

 多くの市民たちに見送られながら【ピースメイカー】は弾丸の如き速度で事件現場に向かう。その後ろに追従する様に猟兵達が駆け、並んだ。
 そこで初めて猟兵達が付いてきていることに気付いたのだろう。そして察しの良い彼は気づく。この先にいるのが話に上がっていた――オブリビオンだという事を。
 来るなとは言えない。危険だ、待っているんだと傲慢な言葉を吐けない。もう認めてしまっているのだ。彼らが――猟兵がヒーローに連なる力を持っている事を。

「ついてくると良い。この僕に追いつけている時点で君らが只者ではないという証拠だ」

 その言葉に猟兵達は大きく頷き、飛ばすよと【ピースメイカー】が告げると車を追い抜く勢いで事件現場へと急行する。

 事件現場、サウスロングブリッジに辿り着いた【ピースメイカー】は見てしまった。知ってしまった。その場で暴れてる者達を。それは知っている顔。この場にはいる筈がないいてはいけない……亡くなったはずの大英雄であり大先輩。

「……ジャスティス・ワン……」

 信じられない、信じたくないが目の前が現実であることを否が応でも彼に現実を叩き付ける。それもそうだろう……ジャスティス・ワンは一人ではない。無数のジャスティス・ワンが人々を襲い、車を破壊していたのだ。
 今にも目の前で無辜の命を奪うべく、無機質な瞳を浮かべながらジャスティス・ワンはその異形の拳を車へと叩き付け――。

「させるかぁぁあああ!!」

 咄嗟にその拳へと高速のナックルを叩きこむ。横からの一撃にジャスティス・ワンは腕をへし折られながら、吹き飛んでいく。

「かはっ……!」
 
 だが、【ピースメイカー】も無事ではなかった。たった一瞬の交差の間に無数の拳を受け、満身創痍となっていた。
 聞いてはいたが――これほどのだとは思ってもいなかった。だが、まだ救える命がある。たとえ大先輩が、大英雄が相手だとしても引いてはいけない。
 血反吐を吐きながらもゆっくりと立ち上がる【ピースメイカー】の前に猟兵達が彼を庇うように前に出る。
 その後ろ姿を見た【ピースメイカー】は頼りがいのある新顔たちの背を見て、思わず笑みが零れる。

「どうやら、僕では一人が限界なようだ。僕は救助に回るとするよ。あとは頼むよ……猟兵(イェーガー)!」

 覚悟を託された猟兵達は一斉に頷き、ジャスティス・ワンの姿を模した機械兵――ジャスティストルーパーを殲滅すべく駆けるのだった。
八十神・昼子
【心境】
「絶望という夜が明け、希望という朝日が昇る。ランチブレイザー起動!!」
ジャスティス・ワン…ワンなのに一人じゃないなんて詐欺だわ。
亡くなったはずの大英雄であり大先輩が護ってくれたはずの世界を壊す姿はどんな兵器より…痛い…。

【行動】
判定:POW

UC:ランチブレイザー・ハイパーモードを発動して空からやってきます。
「偉大なヒーロージャスティス・ワン。あなたの悪夢もここまでです。」
愛用している神の斧を右手に、ビームキャノンを左手に闘います。
でも最大の武器である『勇気』を胸に『捨て身の一撃』でジャスティス・ワン達に戦いを挑みます。

アドリブ:OKです。


アポリー・ウィートフィールド
この世界のオブリビオンは害を成すのみならず、死者の名誉と栄光すら冒涜するようだな。さあ、彼らを骸の海へと還すとしよう。

ピースメイカー殿、美味なる料理の紹介を感謝する。おかげで十二分なカロリーを摂取することができた。この世界の理、『空飛ぶユーベルコード』を編み出すためのな。
《空を切り裂く黄昏の翼》発動!敵が飛べるなら、我も空中戦で対抗する。先程食べた料理のカロリーを爆発的に燃焼させ、戦闘データが集まるより先に一気にカタを付ける!
敵の飛行エネルギーの発生源はメカニカル部分、そこを重点的に狙って潰して回り、戦闘能力の削減を図る。



●今の災厄はかつての希望
 
 ゴミを払うかのように腕を振り回せば、車だったものが木の葉のように舞い上がり橋の下へと落ちていく。幸いだったのは、車の持ち主は襲われた際に外へと投げ出され車が無人だったことだろう。
 未だ燃え盛る車を背景に、歩むのはかつての大英雄、ジャスティス・ワン。それも一人ではない、無数のジャスティス・ワンーージャスティストルーパーが炎の中から現れ、猟兵達を視界に入れると本能的に殺意をむき出しにする。
 そこにあるのは正義とは程遠い、真っ黒な悪意。

 揺らめく炎の中から現れたジャスティス・トルーパー達を前に八十神・昼子(新米ヒーロー“ランチブレイザー”・f16483)は気合を入れる。相手はオブリビオンとはいえ、かつての大先輩だ。

「絶望という夜が明け、希望という朝日が昇る。ランチブレイザー起動!!……ジャスティス・ワン…ワンなのに一人じゃないなんて詐欺だわ」

 ただし、内心は非常に不服だった。ジャスティス・ワンは一人のヒーローであってほしかった。だが目の前にいるのは無数のそれを模したジャスティス・トルーパー。
 亡くなったはずの大英雄であり大先輩が護ってくれたはずの世界を壊す姿はどんな兵器より……辛く、痛い。ならば、彼の名誉の為にもこのふざけたオブリビオンは倒さなくてはいけない。

 それに同意する様に一人のキマイラの青年――アポリー・ウィートフィールド(暴食のイナゴ男・f03529)が並び立ち、ブラックジャックを構える。

「この世界のオブリビオンは害を成すのみならず、死者の名誉と栄光すら冒涜するようだな。さあ、彼らを骸の海へと還すとしよう」
「はいっ!」

 威勢のいい八十神の掛け声と合図にしたわけではないだろうが、同時に猟兵とオブリビオン、双方が同時に排除すべく駆ける。

 奇しくも、互いに空へと飛びあがり、力と力。示し合わせた訳ではない。単なる偶然、そしてそれは必然だったのかもしれない。

 ジャスティストルーパー達は機械部分から放出されるエネルギーを全身に纏うのに対し、八十神はゴットパワーを纏い、アポリーは翅を持つ強化外骨格先を全身に覆って空中でぶつかり合う。

 空中での激しいぶつかり合いにより衝撃波が巻き起こる。幾度かのぶつかり合いののちに、次第に差が表れた。
 ジャスティストルーパーは戦闘を通じて収集した敵のデータに従って速度の出力をあげる事が出来る、だが八十神は勇気を、アポリーは先ほどの交流会で得たカロリーを消費して出力を引き上げる事が出来た。
 最初は互角に近いぶつかり合いだったが、ジャスティストルーパーの一人が地面にたたきつけられることによりその差が歴然となった。

 圧倒的に猟兵に対するデータが足りないのだ。ヒーローならば過去の記録を遡ればデータはあるだろうが、猟兵達のデータが圧倒的に足りないのだ。
 戦闘時点から収集したとしても、それでは手遅れ。

「そこだ!」

 アポリーがジャスティストルーパーの機械部分を集中的に狙い、破壊しているのだ。折角手に入れたデータも役に立つ前に無用の長物と化してしまう。

「後ろを取りました! シュート!!」

 それを真似して八十神も斧でジャスティストルーパーの拳を薙ぎ払い、上回る速度で背後を取りビームキャノンで撃ち穿つ。
 
 機械部分を損傷したジャスティストルーパーはもはや飛ぶことは叶わない。だが復帰や奇襲すらさせない。
 時速数百キロの攻撃にさらされた地に落ちたジャスティストルーパー達は無残にも破壊され、自らが壊した車たちと同じ運命を辿る。違うのは、塵となって消えるか、残骸になって残るかだ。
 それを見ていた【ピースメイカー】は車に取り残されていた市民を抱えながら、戦いを横目で見ながら一言。

「これが猟兵……か。頼りになるが……それに甘えてはヒーローとしては失格だな。今は叶わずともいずれ……!」

 次々と炎の中から現れるジャスティストルーパー達を見やりながら、ひたすら【ピースメイカー】は人々を助け、猟兵達を応援するのだった。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

山鹿市・かさみ
かつての英雄とこんな形で会うことになるなんて、複雑ッス。
これ以上英雄の名を汚させないッス、
ピースメイカーさんの分までカサミ達が頑張って止めて見せるッスよ!

カサミはPOW型のユーベルコードで空を高速で飛んで敵に急接近、戦闘に入るッス。
敵が地面にいる場合は空中から急降下、急襲をかけ、
同じく敵がPOW型の飛行能力で対応してくるなら空中戦を仕掛けるッス。
情報によると相手はカサミ達のデータで強くなるらしいッスけど、
カサミの技は心音が速く大きくなるほど強くなる技ッス。
相手が追いつけなくなったら拳や相手の体を掴んで地面に叩きつけてやるッス!
戦ううちに自然と高鳴る鼓動で、データなんて上回ってやるッスよ!



●大英雄の名誉を守るために。
「これ以上英雄の名を汚させないッス、ピースメイカーさんの分までカサミ達が頑張って止めて見せるッスよ!」

 かつての大英雄、そして大先輩であるジャスティス・ワンの姿を模した、ジャスティストルーパーの前にもひるまず、正義の心を燃やすのは山鹿市・かさみ(大音帝ヤカマシャー・f01162)だ。
 心の底から憧れていた大先輩、ジャスティス・ワンとこんな形で出会ってしまったことにかさみは複雑な思いを抱いていた。
 しかし、その思いもジャスティストルーパーを目の前にすれば一変してしまった。
 いびつな機械の腕、意志のない瞳、そして何よりも――正義の欠片もない心。

 これは大先輩じゃない。ただのオブリビオン、大英雄のガワだけを被った紛う事なき敵なのだ。
 そう理解したかさみは腕に、足に、そして心に力を込める。迷いの一つもない正義の心をも燃やし、心音を高めながらジャスティストルーパーへ向けて爆発音と共に空へと舞いあがる。
 爆発の推進力、それに加えて機械心臓から繰り出される鼓動により驚異的な速度を叩きだしたかさみ。それを迎え撃つべくジャスティストルーパー。共に空中でぶつかり合い、その衝撃波で橋が揺れ、炎が舞い散る。
 本当のジャスティス・ワンが相手ならば、かさみでは相手にならなかったかもしれない。力では足りずとも、歴戦の技術は容易く往なし、決定的な一撃を与えただろう。だが、今かさみの目の前にいるのはジャスティス・ワンの皮を被った模造品。

「カサミが憧れた! ジャスティス・ワン大先輩はっ!! こんなものじゃっ!! 無いっす!!!」

 飛びながら拳を振うたびに高鳴る鼓動、蹴りを繰り出すたびに燃え上がる正義の鼓動。それはジャスティストルーパーのデータを常に上回り、機械の身体が削り取られ、偽物の肉体を砕いていく。

「だからっ! とっとと消えるっす!!」

 止めに最大まで加速した流星の様な蹴りがジャスティストルーパーの身体を、心を打ち砕けば大爆発を起こし、その存在を消滅させていく。

 模倣品でも、紛いものでもジャスティス・ワン。かさみも少なからず負傷していたが、未だ昂ぶる正義の鼓動を止めるわけにはいかない。
 今もまだ、橋の奥から次々とジャスティストルーパー達がやってくる姿が見えるからだ。

 己の正義を示す為に、大先輩の名を守るために、かさみは再び舞い上がるのだった。

成功 🔵​🔵​🔴​

弥久・銀花
ヒーローをリスペクトするのは後輩のヒーローや一般市民だけではなく、ヴィランやオブリビオンもなんですね。

ですが、悪事を為す為に死んだ過去の正義の味方の姿を模る何て志の低い真似は見ていて情けないです。
さっさと解体しましょうか。


私は刀による接近戦を挑みます。
相手が何をしてくるか分からない時こそ時分の一番の得意な事で迎え撃つべきでしょう。

【見切り】や【鎧無視攻撃】の斬撃だけではなく、【衝撃波】や【誘導弾】も使って戦闘を有利に進める積りです。

何か強い攻撃をしてくる予感がしたら人狼咆哮で木っ端微塵にしましょう。

ゴミに出す時の分別が大変になってしまいますが仕方ありませんね。


レフティ・リトルキャット
※詠唱省略OK
【猫風の陣】
にゃ!ここは2代目様の武を借りて、真っ向勝負にゃ!
風を纏う子猫に変身し、ガーディアンエナジーで防御性能を高めるにゃね。
先ずは髭感知で動きを見切り、風で加速し、肉球や爪で受け流し、敵のラッシュ攻撃を捌いていくにゃ。
さあ反撃の時にゃよ!ミュージックエナジー!
(防御や回避に成功すれば、自身や猟兵、観衆を鼓舞する様に音楽を戦場に鳴り響かせ)
お返しとばかりに敵のラッシュ攻撃と同じ様に、風の拳や意識を刈り取る猫ぱんちの超高速連打で真っ向から打ち合い、力を削ぎにいくにゃ!
互いに止まらない殴り合い、一度はやってみたかったのにゃあ!



●戦いは空だけでなく、地上でも。

 猟兵達とジャスティストルーパー達が空中戦を繰り広げている一方、地上もまた猟兵達とジャスティストルーパー達が激戦を繰り広げていた。

 かつてのジャスティス・ワンが得意とした超高速の連打が唸り、燃え盛る車を粉々に粉砕し炎ごと散らしていく。
 マトモに当たれば猟兵とは言え、痛手は免れない。【ピースメイカー】でさえも一撃で戦闘を続けるのが困難になり、今は救助活動に専念するほどだ。
 しかし、それでも距離を置くことはありえなかった。

 真正面から、一番の得意な事で迎え撃つ。刀を手に、鋭い気迫を叩き付ける弥久・銀花(隻眼の人狼少女剣士・f00983)。燃え散る火の粉が彼女の髪をちりちりと焼いているが、そんな事はどうでもいい。
 今は目の前の愚かな偽物を解体する。それだけに意識を集中し、火の粉を物ともせず向かってくるジャスティストルーパーへと肉薄する。

 異形の機械の腕から繰り出される拳をギリギリまで見極め、紙一重で見切り刀を振りぬけば衝撃波と共にジャスティストルーパーの身体が吹き飛び機械部品が千切れ飛んでいく。やはり量産型という事なのか、常人には驚異的だとしても恐ろしいほどに固いわけではない。
 銀河皇帝との戦争を潜り抜けた弥久にとっては目の前にいるジャスティストルーパーは造作もない相手だが、油断はしない。
 機械だからだろうか。負傷を物ともせずにジャスティストルーパーは体に放電を走らせながらも超高速の連打を繰り出す。一発でも当たれば大きなダメージを受けるだろう。仮にもジャスティス・ワンが得意とした技だ。模倣としては上出来――だが。

「悪事を為す為に死んだ過去の正義の味方の姿を模る何て志の低い真似は見ていて情けないです。だからっ―――!!」

 拳が弥久に当たる瞬間、連打が全て撃ち返され、それどころかジャスティストルーパーの全身に強烈な衝撃波が――弥久の人狼咆哮が叩き込まれた。
 咆哮をマトモに受けた拳の先から砕け、それが腕まで走り、足も壊れ立つ事すら叶わず――身体が、頭が、全てが粉砕し、ただのガラクタと化して消滅した。

「消えてください。……ゴミならないだけ、ゴミよりマシですね」

 弥久は銀の髪をなびかせながら、次のジャスティストルーパーを滅するべく駆ける。

 そしてこちらもまた、レフティ・リトルキャット(フェアリーのリトルキャット・f15935)が自身の身体と先祖の力を活かし、ジャスティストルーパーを追い詰めていた。

「にゃっ。にゃんっ、にゃー」

 小さなレフティを打ち砕かんと超高速の連打を繰り出すが、髭による感知、そして風の鎧をまとった素早いレフティを捕える事は叶わず、爪や肉球で受け流されてしまい、ジャスティストルーパーが翻弄されていた。

 ジャスティス・ワンが得意とした超高速の連打は一度繰り出せば止める事は出来ず、その弱点を取られた。そしてその弱点を大きく広げるがレフティだ。

「さあ反撃の時にゃよ!ミュージックエナジー!」

 回避した分だけ、受け流した分だけレフティの力が増していた。そして増幅した力は倍返しと言わんばかりに、超高速のラッシュとしてジャスティストルーパーへと繰り出される。
 迎撃しようとジャスティストルーパーもまた超高速の連撃を繰り出す。そしてぶつかり合う超高速のラッシュにより、幾重もの激しい衝撃波が周囲に鳴り響く。
 拳が繰り出されるたびにレフティの拳が裂傷し、ジャスティストルーパーの拳が砕け、そしてそれは徐々に深くなり――。

「これでどうにゃっ!!」

 レフティの風を纏った拳がジャスティストルーパーの拳を腕ごと撃ち貫き、大きく吹き飛ばした。
 レフティの傷は決して浅くはないが、ジャスティストルーパーのダメージの方が深刻だ。なんせ、レフティの拳の威力はジャスティストルーパーの拳だけでなく、肩から胸板まで侵食してる機械部分を全て打ち砕き機能を停止させて、消滅させていたのだ。

(互いに止まらない殴り合い、一度はやってみたかったのにゃあ!)

 少し不謹慎に思うが一度やってみたかった事をやれたレフティは上機嫌になり、次のジャスティストルーパーを排除すべくその小さな体で飛ぶのだった。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

アンナ・フランツウェイ
人の可能性を信じること。まだ私には分からないけど、それが素晴らしい物だということは分かる。
そんな彼が託してくれた役目、必ず果たして見せる!…彼の信念が命を投げ出すようなものじゃ無くて良かった。

奴が動き出す前に【先制攻撃】。剣を突き立て、【傷口をえぐる】も使用しジャスティストルーパーに大きい傷を負わせよう。機械装甲を纏われたら【鎧砕き】で確実に傷を負わせてやる。

傷を負わせたら【断罪式・莢蒾花】を発動。先程付けた傷へ向け放ち、ユーべルコードと動きを封じたい。

動きを封じたら処刑斧を取り出し、相手の首目がけて振るって奴の首を刎ねよう。
「あなた達の役目は終わったの。後は現代のヒーロー達に任せてほしい。」



●引き継がれた覚悟

 アンナ・フランツウェイ(断罪の御手・f03717)は最後の救助者を抱え、戦闘外区域まで走る【ピースメイカー】を眺めながら心の底から安堵した。
【ピースメイカー】の信念が、覚悟が命を賭す物じゃない事に。人の可能性を見る為に、生き足掻く覚悟に。

【ピースメイカー】に向かい、救助者ごと仕留めるべくジャスティストルーパーの凶刃が走るが、アンナがジャスティストルーパーの横っ腹に一撃を加え、貫き傷口を抉る。

「っ! ありがとうっ!」
「いい。こっちは任せて。一人として通さない」

 後ろを向かずに【ピースメイカー】へと淡々と言葉を返す。だが、その言葉にはアンナの熱がこもっていた。
 託された役目、それを果たす為にここは一歩も通さない。
 脇腹を貫かれ、傷口を抉られたジャスティストルーパーは勢いよく飛び退きアンナから距離をおく。
 すると傷口を覆う様に機械装甲が展開され、傷口を防ぐとともに機械の腕が生々しく筋の様な配線を光らせる。

 不気味な光景だが、アンナはひるまずにあえて機械装甲へ向けて剣を振りぬく。
 はた目から見る限り、機械装甲は分厚く、剣では歯が立たないだろう。ジャスティストルーパーですら、データ上そう読んでいた。弾いた隙を狙い、その拳にて生命力を吸い取り、アンナを血祭りに上げる。それがジャスティストルーパーの最適解――だがそれはただのデータ上の理論であった。

 ジャスティストルーパーの予想とは大きく違い、剣は機械装甲を打ち砕き、さらに傷口を抉りこんだ。まさかの予想外の結果にジャスティストルーパーの動きが一瞬止まってしまう。次の行動へ移るジャスティストルーパーだが、その前にアンナが次の手を撃つ方が早かった。

「アンタは動けない。逃げられない」

 機械装甲を剥がされ露わになった傷口へ向けてアンナの血を媒体とした杭が撃ち込まれる。真っ赤な血はジャスティストルーパーの身体を侵食し、ユーベルコードを、その体の行使を封じた。

 まるで凍りついたかのように動きが止まったジャスティストルーパーへ向けて、アンナは斧を取り出す。それは罪人を処刑するための斧だ。

 処刑斧を大きく振りかぶり、動きが止まったジャスティストルーパーへ向けて振り下ろす。それは見る人が見れば、介錯にも見えただろう。
 ごとりと落ちるジャスティストルーパーの首、それは次第に塵と化して肉体と共に消滅していく。

「あなた達の役目は終わったの。後は現代のヒーロー達に任せてほしい」

 それだけをいい残し、アンナは増援が止み。残り少なくなったジャスティストルーパーへ向けて引導を渡すべく歩んでいく。

 夢か幻か、消えていくジャスティストルーパー……ジャスティス・ワンの唇が僅かに「任せた」と笑みを浮かべたような気がし――その姿を消した。

成功 🔵​🔵​🔴​

ティオレンシア・シーディア
※アドリブ掛け合い絡み大歓迎

はいはぁい、任されたわよぉ。
こいつらはあたしたちが相手するぁ。
…だから、市民の皆さんのこと、お願いねぇ?

どこを壊したら止まるのかしらねぇ、これ。
ま、関節部壊せば動けなくはなるでしょ。
〇クイックドロウからの●封殺を〇先制攻撃の〇鎧無視攻撃で撃ち込むわぁ。
基本は近接戦闘主体みたいだし、〇ダッシュ・ジャンプ・スライディング駆使して引き撃ちかけるわよぉ。

空を飛ぶって言っても、いきなりトップスピードに乗るわけじゃないでしょうし。速度乗る前に撃ち落としたいわねぇ。
拳銃弾の初速はざっくり1000km/h。早撃ちで潰す…いける、かしらねぇ?



●託された思い
 ダンダンダンっと思い銃撃音が戦場に響き渡り、それと同時に空を飛んでいたジャスティストルーパー達が地面を滑るように落ちてくる。

「どこを壊したら止まるのかしらねぇ、これ。ま、関節部壊せば動けなくはなるでしょ」

 拳銃を構え、ジャスティストルーパー達を撃ったのはティオレンシア・シーディア(イエロー・パロット・f04145)だ。変わらない超甘いロリボイスはこの戦場には合わないが、その腕前は熟練の腕そのもの。なんせ今先ほど撃ち落としたジャスティストルーパーは時速二千㎞を超える速度を叩きだしていたが、常にその速度を維持できるわけではない。攻撃や回避、そして軌道を変える瞬間は速度を落とさざる得ず、その隙間を狙い撃ち落としたのだ。
 拳銃から放たれた弾丸は吸い込まれるようにジャスティストルーパー達の関節部や推進器を貫き、落としていく。その決定的な隙を狙い、次々と猟兵達が追撃を加えて止めを刺していく。
 頑丈な機械装甲も、高速軌道も意味をなさず、ティオレンシアを危険視したジャスティストルーパーが彼女に迫るも、ジャスティストルーパーの頭上を飛び越して回避し、その脳天に向けて引き金を引く。

「トップスピードに乗る前に仕留めれば――問題はないわよねぇ」

 無慈悲な弾丸がピンポイントにジャスティストルーパーの後頭部を貫けば、そのまま黒き塵と化して消滅していく。
 地面にすべるように降り立った彼女は次の敵を探し、周囲を見渡すがどうやら今のジャスティストルーパーが最後だったのか、戦いの音が鳴りやんでいた。

 要救助者も全て救助完了し、襲撃してきたジャスティストルーパー達も全て撃破。
 過去の大英雄の名を守り切れたことに安堵感を覚える猟兵達。――だが、まだ戦いは終わっていないという事を猟兵達は知っていた。

成功 🔵​🔵​🔴​




第3章 集団戦 『アーミーメン』

POW   :    アーミースタンバトン
【伸縮する警棒型スタンガン】で対象を攻撃する。攻撃力、命中率、攻撃回数のどれを重視するか選べる。
SPD   :    ラバーミューテーション
自身の身体部位ひとつを【伸縮自在のゴム】に変異させ、その特性を活かした様々な行動が可能となる。
WIZ   :    プロトデバイス
自身の装備武器に【アメリカ陸軍が開発した試作強化装置】を搭載し、破壊力を増加する。

イラスト:赤信号

👑11
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種別『集団戦』のルール
 記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


●アメリカの誇り

 ジャスティストルーパー達の襲撃を退けた猟兵達。だが、一向に警戒を緩めない事に、【ピースメイカー】は首を傾げ、何故まだ銃を、拳を構えているのか。まるでまだ何かが来ることを知っているかのような気配に【ピースメイカー】は問いただすべく口を開こうとするが――それは巨大な揺れと共に止められてしまう。

「なっ……!? この揺れは一体……!」

 大きく波打つように揺れる橋。ジャスティストルーパー達は全て倒したはずだ。ではいったい何が――、その答えは直ぐに現れた。橋の下から。

 腕をゴム状に変化させ、跳ね上がるように現れたのはアーミーメン達。アメリカ陸軍の強化改造を受けた量産型ヒーロー達だ。市民たちの喝采を、歓声を浴びることなく、ジャスティスウォーにて壊滅してしまったヒーロー達。
 その目は市民を守るために戦ったヒーローの物ではなかった。ヴィランのように欲望を満たすものでもなかった。その目は――全てを破壊するオブリビオンの瞳。

 ジャキッとスタンバトンを伸ばす音が鳴り、無言のまま殺意をむき出しにしアーミーメンは猟兵達に襲い掛かる! この場を抜かれれば、その殺意は【ピースメイカー】に、市民たちに向かう。その結果起きるのは――無意味な殺戮だ。
 猟兵達は過去のヒーロー達に引導を渡すべく、向かい打つのだった。
 
八十神・昼子
【心境】
「ま、また量産型…。これはヒーローへの侮辱です。」
ヒーローとはオンリーワンな正義を胸に無限の優しさと都に闘う戦士。
こんなの…絶対許してはいけません。絶対に…。

【行動】
判定:POW

私たちが相手で十分です。
UC:ヘビーアームド・ウェポナイズ!!
ランチブレイザー・重武装形態(パンツァーモード)へ移行。
ビームキャノンを左手に装備し、全力射撃で闘います。
【誘導弾】をセット。
アーミーメン軍団の中心部に攻撃を誘導させ、可能な限りのアーミーメンを巻き込むように射撃します。

哀れな先輩よ。あなたたちの正義は私たちが引き継ぎます。
せめて祈ろう。汝の正義に救いアレ!!

アドリブ:OKです。


弥久・銀花
お代わりですか、上等です。

首謀者が何処の誰で何を企んでるのか知りませんが、既に作られてしまった量産偽ヒーローの供養にはちょうど良い機会です。

喝采も歓声も浴びる事が出来なかった彼らを今の時代に悲劇のヒーローにして供養してあげましょう。

ピースメイカー。
偶には市民を守る戦いではなく、勇敢に散っていった先人の名誉を作る戦いをするのも良いと思います。

今のヒーローの姿を見せ付けて、笑って見送ってあげましょう。



私は刀による接近戦を挑みます。

鍛え抜いたのでしょうが、それだけでは猟兵には届きません!


武装や特殊技能に対しては人狼咆哮で応えましょう。


レフティ・リトルキャット
※詠唱省略・アドリブOK
【キャットダンス♪】
にゃ、せめて今回ぐらいは歓声を浴びた最後にしたいにゃね。
その為にも破壊ではなく、楽しませるために、さあレフティと一緒に踊るのにゃあ。
(放送とか録画でもしてくれればぐっどにゃ)
子猫に変身し、ミュージックエナジーで戦場に音楽を鳴り響かせてリズミカルに踊って、アーミーメン達が倒れるまで躍らせるのにゃ。
アーミーメンの伸縮自在なゴムも存分に使った踊りを魅せて貰うにゃよ♪
例えアーミーメン同士でゴムが絡まって自爆してしまっても踊りはまだまだ続くのにゃあ。
にゃ、もちろん踊りながら髭感知による見切りや受け等の防御技能を駆使して踊りを切らせない様に防衛していくにゃね。



●弔いの戦いを
「ま、また量産型…。これはヒーローへの侮辱です」

 自身が尊敬し、そして自分もまた皆に頼られるヒーローを汚された思いを感じ、八十神・昼子(新米ヒーロー“ランチブレイザー”・f16483)は憤りを露わにしていた。ジャスティス・ワンの時にも感じたが、アーミーメン達と対面してはっきりと分かった。

 ヒーローとはオンリーワンな正義と無限の優しさを胸に闘う戦士だ。アーミーメンは元から量産型を主軸にアメリカ軍が作り上げたヒーロー。しかし、それも全ては平和の為。目の前のオブリビオンはそれを汚している。

「こんなの……絶対許してはいけません。絶対に……!」
「そうですね。首謀者が何処の誰で何を企んでるのか知りませんが、既に作られてしまった量産偽ヒーローの供養にはちょうど良い機会です」

 五十神の言葉に同意するように立ち並ぶは弥久・銀花(隻眼の人狼少女剣士・f00983)。シュルリと刀を引き抜き、切先をアーミーメンに向ける。
 喝采も歓声も浴びる事が出来なかったアーミーメン。
 今の時代に悲劇のヒーローにして供養するこそがせめて物の情け。
 そう、引導を渡すのは猟兵だけでは足りない。今を生きるヒーローこそがそれに相応しい。すっと鋭い視線を【ピースメイカー】に向ければ、彼も少々ぎこちないながらも立ち上がり、拳を構える。

「ピースメイカー。今のヒーローの姿を見せ付けて、笑って見送ってあげましょう」
「ああ……! 彼らの名誉の為にも、彼らの誇りの為にもね。それをやるのも、僕らヒーローの役目だ!」

【ピースメイカー】はジャスティストルーパーとの戦い、そして多くの要救助者を助け出したことにより心身に大きな負担がかかっているだろう。だが、それでも立ち上がり戦意を高らかに拳を構えるのは彼がヒーローだからだ。

 しかし、満身創痍とまではいかないが猟兵より疲労や怪我が深いのは明らか。それを支えるように小さな子猫――レフティ・リトルキャット(フェアリーのリトルキャット・f15935)がふわりと隣に浮かぶ。

「じゃあレフティがお手伝いしますにゃ! ピースメイカーさん、それ位は大丈夫にゃ?」
「ああ、むしろ有りがたい。助かるよ」

 身体が痛むだろう、動くのも辛いだろうにそれを物ともせずに笑みを浮かべる【ピースメイカー】。それをみたレフティは上機嫌に耳をピコピコと動かしてお返しににゃーとしいった笑顔を浮かべる。ほんのわずかに訪れた和やかな空気。
 だがそれも一瞬。すぐさまに戦闘態勢に移った。

 アーミーメンはゴム状の身体を活かし、橋を支えるワイヤーを使って飛び跳ねるようにアーミーメン達は猟兵、そしてピースメイカーに襲い掛かる。
 文字通り四方八方からの強襲は空を飛ぶよりも脅威で、マトモに捕えるのは困難だ。だが、その困難を乗り越えるのもまた猟兵だ。

「ヘビーアームド・ウェポナイズ!! ランチブレイザー・重武装形態(パンツァーモード)へ移行!」

 五十神は深く腰を落とし重武装を展開して左腕にビームキャノンを展開する。これは機動力を犠牲にし、射程距離と攻撃力を引き上げる五十嵐のとっておきだ。
 砲弾は誘導弾。跳ねるように飛び回るアーミーメン達だが、その素早い動きを捕え、引き金を引けばほんのコンマ1秒に過ぎない交差のタイミング。そのタイミングを見計らい打ち込まれた誘導弾は多くのアーミーメン達を巻き込み大爆発と共にその存在を消し飛ばした。

 五十神が齎した大爆発は他のアーミーメン達にも影響を及ぼし、僅かな時間の足止めを生む。
 そのわずかな時間に正々堂々、真正面から切り込みにかかる弥久。
 足が止まったアーミーメン達を一閃、二閃、三閃と流れるように切り捨て、胴体を両断されたアーミーメン達は斜めに身体がズレ、その身を黒い霧状と化して消滅していく。
 切り込むためとはいえ、アーミーメン達の中心に飛びこんだ弥久を取り囲むようにアーミーメン達が空から、横から、車の隙間から強襲をし掛ける。
 刀を振るうには車も邪魔。囲むように繰り出される撓る様な一撃は骨を容易く砕いて死に至らしめる必殺の一撃だ。
 だが、それらは当たる事はない。これもまた、弥久の予定通りだったからだ。

「鍛え抜いたのでしょうが、それだけでは猟兵には届きません!! ハァアアアアアア!!!」

 裂帛の気合と共に放たれるのは人ならざる者の――人狼の雄たけび。人狼咆哮をまともに受けたアーミーメン達は衝撃波を全身に受け、次々と消滅していく。
 衝撃波は車も拭き飛ばし、橋の下に突き落とす程の勢いだ。

 アーミーメン達の多くは五十神と弥久により消滅の一途をたどるが、弱った相手を狙う不届き者もいた。対象は血を流しながらも拳を構えている現役のヒーロー【ピースメイカー】。彼が殺される様な事があれば、この街にとっては悲劇であり大きな損失だ。
【ピースメイカー】を血祭りに上げるべく、腕をゴム状にしならせ凶刃を振うアーミーメン。しかし、その動きは突如回転するように捻りを加えあらぬ方向へと攻撃を加えた。
 アーミーメンは確かに【ピースメイカー】を狙った。だが、突如身体が意図せぬ方へと動き、仲間であるはずのアーミーメンを大きく打ちのめした。
 異変はそれだけでは終わらない。身体が思う様に動かず、踊る様な動きを強制されその動きは他のアーミーメン達も同じでまるで集団でのダンスだ。
 原因は【ピースメイカー】の隣で愉快そうに踊るレフティ。彼は視界に入れたアーミーメン達を操り、強制的に自分と一緒に踊らせるユーベルコードを発現させたのだ。
 決定的な隙を晒したアーミーメンに向けて【ピースメイカー】は傷む身体を押して必殺の一撃を繰り出す。

「――ブラッドブリット……!」

 体内の血液を爆発的に加速させて放つ弾丸如きの拳。たったそれだけだが、それが多くのヴィランと倒し、この街の平和を守ってきた。
 その正義を示す様に、弔いの一撃としてアーミーメンの身体を貫く。
 踊り狂っていたアーミーメンに避けるすべはなく、胴体を撃ち抜かれたアーミーメンはそのまま消滅していく。その姿をはっきりと目に焼き付ける【ピースメイカー】だが、それもほんの一秒に満たない時間。直ぐに拳を構えて駆けていく。
 レフティがダンスで捕えるのもそう長くは続かないだろう。何かの拍子に逃れる者が出るかもしれない。

「はあああっ!! ――ブラッドブリットォオォ!」

 彼の思いも、ヒーロー達の思いも無駄にするためにはいかない。その一心でヒーロー【ピースメイカー】は他の猟兵達と協力し、次々とアーミーメン達を倒し続けていった。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​

アンナ・フランツウェイ
強化改造を受けた存在…。…私と一緒 だね。でもあなた達は倒させてもらうよ。喝采を浴びれなくても、あなた達が守った物と誇りを汚させない為に!

まずは相手のアーミースタンバトンと似た性質のユーべルコード、【断罪式・薊ノ花】で巨大な鋸を作成。

アーミーメンがアーミースタンバトンで重視するものを【見切り】、鋸で攻撃力ならば攻撃回数で凌ぐ、命中率なら攻撃力で弾くといった攻撃で対処。

対処したら【カウンター】で反撃。鋸が命中したら【傷口をえぐる】で深手を負わせつつ、【生命力吸収】でトドメを刺す。

複数体が襲ってきたら【なぎ払い】と【範囲攻撃】で、向かって来るアーミーメンを鋸でまとめて引き裂く。

・アドリブ、絡み歓迎


ティオレンシア・シーディア
※アドリブ掛け合い絡み大歓迎

もう一波乱あるんじゃないかとは思ったけど。また毛色の違うのが出てきたわねぇ。
…ま、やることはそう変わるわけじゃないんだけど。

伸縮自在のゴム、ねぇ…
間合いが変わるのは色々厄介ねぇ。
対処法はいろいろあるけど、オーソドックスに行きましょうか。
ゴムって低温に弱いのよねぇ。氷なんかの低温〇属性攻撃の弾丸使って●封殺を撃ち込むわぁ。
〇二回攻撃と〇スナイパーで固めると同時に砕ければ最上なんだけど。

伸びる間合いに気をつけて、〇武器落としなんかで〇援護射撃もできたらいいわねぇ。



●誇りを守るため。

 ゴム状の身体を鞭のように撓らせ、風を切りながらアーミーメンのスタンバトンをアンナ・フランツウェイ(断罪の御手・f03717)の鋸が弾き返し、続けざまに迫ってくる鋭いひじ打ちを鋸の柄頭で受け止め、追い打ちをを駆けるように繰り出される連撃を悉く鋸で弾き返しつつ、鋭いギザギザの刃でゴムの身体を傷つけていく。

 ジャスティストルーパーから続く連戦は猟兵とは言えども疲労を蓄積させていた。それを見計らってアーミーメン達が襲ってきたのであれば侮れない相手だ。
 だが、それでもアンナは引くことはない。目の前にいるアーミーメンは猟兵になれなかった自分に思えたからだ。

「強化改造を受けた存在…。私と一緒 だね。でもあなた達は倒させてもらうよ。喝采を浴びれなくても、あなた達が守った物と誇りを汚させない為に!」

 守るべきものを守るために戦い、そして散り、眠りについてなおオブリビオンとして蘇らされ、守った者に凶刃を向ける。それはヒーローとしての魂を、誇りを深く傷つけ、汚す行為だ。
 そのような事をさせない。させるわけにはいかない。
 そんな思いのアンナをあざ笑うように無機質な瞳のまま、アーミーメン達は集団で襲い掛かる。
 唸るように繰り出されるゴムの腕。しかしその手はアンナに届くことはない。
 パァンと銃撃音が鳴ったと思えば、突如ゴムの腕が半ばに降り曲がり、あらぬ方へと腕が飛んでいく。それは一体だけでなく、ほぼすべてのアーミーメンの腕が、足が、あるいは胴体がくの字に降り曲がり吹き飛んでいく。残りはアンナが鋸で薙ぎ払い纏めて蹴散らしていく。

「また毛色の違うのが出てきたわねぇ。……ま、やることはそう変わるわけじゃないんだけど」

 車の影から的確にアーミーメン達を撃ち落としたのはティオレンシア・シーディア(イエロー・パロット・f04145)だ。オブリビオンにも通じる弾丸は、アーミーメン達にも効果を発揮し、貫くまではいかずとも銃の強烈な衝撃波はゴムの身体を強引に動かすには十分。それに同時にとある手も加えている。

 吹き飛ばされたアーミーメン達はゆっくりと起き上がり再び腕を伸ばそうとするが、そこで初めて違和感に気づいた。
 撃たれた場所が降り曲がったまま戻らないのだ。まるで凍りついたかのように。
 ティオレンシアが放った弾丸には氷の属性が付加されており、ゴムの性質上低温になると硬化する性質を持っている。折り曲げられたまま超低温の一撃を加えられたアーミーメン達は腕を戻すことも叶わず、更に決定的な隙を作ってしまった。

「断罪の時は来たれり。報復の時だ」

 アンナが傷口を抉るように硬化した部分や傷を負わせた部位を狙い、的確に抉りこみ、強制的に出血を促す。流れ出た血は生命力となり、アンナの糧となっていく。
 薙ぎ払う様な動きだが、的確に傷口を抉られ生命力を奪われたアーミーメン達は次々と黒い霧となって消滅していく。

 二人の的確なコンビネーションにより、アーミーメン達は文字通り手も足も出ずに次々と撃ち落とされていく。だが、橋の下から補充する様にアーミーメン達が飛び込んでくる。

 どうやらまだお代わりは終わっていないようだ。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

アポリー・ウィートフィールド
この場を抜かせるわけにはいかぬな……敵は複数、なれば!

我がユーベルコード最大のカバー能力を持つ、貪食の黒き靄を展開。射程内の全てのアーミーメンを同時に攻撃する!
特に武装の使用に関わる腕、それも、その根本にしてゴム化による伸縮や遠心力の影響を受けにくい肩口に攻撃密度を高め、腕の破壊を中心に攻撃する。
こちらへ飛んでくる攻撃は、蟲によって減衰させつつ武器受けで防いでゆく。
だが、それ以上に優先すべきは後逸させないことだ。可能な限りこちらで引きつけ、一体も逃さず斃さねば……



●過去よ眠れ、現在に未来を託して。

 ジャスティストルーパーに続いて、橋の下から飛び出るように現れたアーミーメン達は腕をゴム状に変化させ、その凶刃にて命を刈り取るべく腕を振るいあげる。ヒーローになるべく極めた技術、それは喝采を受ける前に凶事により摘み取られ、そして今、その尊厳を無にするオブリビオンとして振わされていた。
 そんな彼らに対し、アポリー・ウィートフィールド(暴食のイナゴ男・f03529)は両手を合わせ、敬意と共に戦意を高める。眠りにつかせるこそ、彼らに対する礼儀だからだ。

「この場を抜かせるわけにはいかぬな……敵は複数、なれば!」

 地面を踏み抜かんばかりに踏み込むと、アポリー自身から黒い霧が溢れ出る。その霧は黒い点の一つ一つが極小の蟲であり、暴食の如くあらゆるものを喰らい尽くす――それはオブリビオンでさえも関係ない。

 霧如き蟲の大軍は迫るアーミーメン達に喰らい付き、腕を中心に肩やひざなど、人として重要な部位を集中的に喰らい付くし、アーミーメン達の身体を穴だらけに舌かと思えば、内部から全てを喰らい付くしていく。
 アーミーメン達も蟲達を振り払い排除しようと試みるが、蟲達は余りにも小さく流水を斬るかのごとく意味を成さず、むしろその腕を貪り食われていた。
 ならばと、本体であるアポリーに狙いを定めるが、蟲によって威力を激減されアポリーのフォークとナイフによって受け止められる。そしてその後は蟲達のディナーだ。

「もういい。休め。貴殿らが誰にも覚えて貰えずとも、我らが覚えている。――この一撃を持って、汝らの無念も、悲しみも、汚れも全てを喰らおう!」

 アポリーはギャリンギャリンと、フォークとナイフーーブラックジャックを鳴らして足を失い、腕を失いながらもただひたすらに市民を、ヒーローを、猟兵を葬らんと未だ戦いを強いられるアーミーメン達に向けて蟲と共にブラックジャックを振るう。

 黒い暴食の暴風が巻き起こり、アーミーメン達を呑みこんでいく。
 黒の暴風が収まれば、その後には何もかも残っていなかった。アーミーメン達がまるでいなかったかのように喰われ尽くし、残るは破壊の後のみ。

「……ご馳走様でした。貴殿らの思い、我が、我らが引き継ごう」

 誰に言うでもない。だが誰かに届けと思いを込めてアポリーは呟く。

●ヒーローは輝く。これからの未来を守るために。

 戦いが終わり、事後処理の為に他のヒーロー達や警官などが詰めかける中、猟兵達とピースメイカーは喧騒から外れて集まっていた。

「君たちには本当に世話になった。君らが居なければ僕だけでなく……この街すらも危うかっただろう。君たちには感謝してもしきれない」

 深々と頭を下げるピースメイカー。ヒーローであるというのにこうやって頭を下げれるのは彼が誠実な心の持ち主だからだろう。流石に市民の前で頭を下げるわけにはいかず、人目を避けなければいけないのは致し方ないがその辺りは猟兵達も判っているので深く追及はしなかった。

「本当ならお礼もしたい所だけど、僕はこれから事後処理で忙しくてね。だが、君らが困ったときはぜひとも声を掛けてくれ。【ピースメイカー】の名において如何なる自体であろうとも全力で手を貸そう」

【ピースメイカー】は一人一人握手して、さわやかな笑みを浮かべながら感謝の意と気持ちを伝える。忙しいのも本当なようで、警官が【ピースメイカー】を呼ぶ声が聞こえる。
 最後に猟兵達に手を振って、颯爽とその場を立ち去るヒーロー。時刻も夕暮れ、オレンジ色の光が【ピースメイカー】を照らしており、その姿は頼もしく、これからも市民の為に戦ってくれるだろうという事を猟兵達に思わせる姿であった。いずれまた、共に平和を謳歌できる日を願って猟兵達もまた、夕日をバックに帰路に着くのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2019年04月10日


挿絵イラスト