グレイトスター・オン・ステージ!
「フハーッハッハッハッハッハッハ!」
夜。ネオンサインが輝く都市のビル屋上で、一人の男が声高に笑う。夜空めいたマントを身に着け、顔には目元を覆う星形のマスク。筋肉質な体を星柄のボディースーツで覆った男は、上空を旋回するヘリに向かって人差し指を突き出した。
「ごきげんよう諸君! 今日も煌びやかに生きてるかい? 私だ。夜空に輝く星の生きざま、その体現者! グレイトスターだ!」
大仰な身振りを加え、グレイトスターはまくしたてる。
「相変わらず煌びやかな私は見ていた……うーむ。最近君達、あまりポップなライフをしてないようだねぇ? それではいけない。人生はスリル! サプライズ! エンターテイメンッ! これらが必要だと気付いているかい? 気付いてないなら気付かせよう! 気付いているなら見せつけよう! さあ、今日のサプライズの時間だァーッ! カメラ! 私が立つこのビルの、窓を早く映すのだ!」
ヘリコプターが高度を落とし、ビルの窓をフレームイン。そこには、悲壮な表情で窓ガラスをたたく人々の姿! 再度高度を上げたヘリを見上げて、グレイトスターは手をたたく。
「ンンーッ! 悲劇的な表情だねぇーッ! 彼らは今、このビルに閉じ込められている。私がそうした。この後彼らはどうなるか? 当然、ヒーローが来なければ死んでしまう。これを見るがいいッ!」
グレイトスターは懐から引き抜いた右手を掲げる。握られたオモチャめいたステッキが、キラリと小さな光を放った。
「賢明なる諸君! 見ればわかるな? これぞまさしくグレイト・ビッグバン・ボムさ! 私がこのスイッチを押せばァ? ビルのどこかに仕掛けた時限爆弾が作動する。それ!」
PUSH! ボタンが押し込まれ、キラキラとした効果音が鳴り響く。
「フハハハハハハハハハハ! 時限爆弾ウェイクアップ! この爆弾は強力でねぇ。このビルぐらい、閉じ込めた人達もろとも吹っ飛ばせるさ! 解除方法はただ一つ。時限爆弾を探し出し、このスイッチを組み込むだけ。最も、その前に私を倒さなくてはならないがねぇ! では期待してるぞヒーロー諸君! このショーは……君達がいないと盛り上がらなぁーい! ハハハハハハハハハハ! ハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハ!」
哄笑しながらグレイトスターを身をひるがえし、マントをはためかせながら去っていく。画面が切り替わり、シーカー・ワンダーの顔が出た。
「……はい、迷惑ーッ! 劇場型ってやつですね!」
そう言い放ち、彼は口早に説明を始めた。
ヒーローズアースのとあるビルを舞台に、ヴィランの一人グレイトスターが挑戦状を投げつけた。時間内にグレイトスターをとらえ、爆弾を解除しなければ多くの命がビルと一緒に砕け散る。手始めにグレイトスターをとっちめつつ、爆弾を捜索。人質の救助を行ってほしい……のだが、それだけでは終わらない。どうやら、グレイトスターを援助していたオブリビオンが、護衛部隊を率いて近くに潜伏しているらしい。
第一章では、グレイトスターの犯罪を阻むこと。
第二章では、周囲を捜索してパトロンのオブリビオンを探し出し、護衛勢力を排除。
第三章で、パトロン本人を撃破してもらうこととなる。
何につけても人命救助は最優先。そして、二度とこうしたことが起こらないよう、ヴィランの援助をするオブリビオンも排除しなくてはならない。
ウェルカム! イェーガーヒーロー!
鹿崎シーカー
(親愛なる猟兵の皆さんへ。皆さんの中にはアドリブ・連携を私の裁量に任せるという人がいるかもしれない。そういう人は、『一人称・二人称・三人称・名前の呼び方(例:苗字にさん付けする)』等を明記しておいてもらえると、私がとても助かります。ただし、これはお願いであって強制ではない。これの有る無しでプレイングを弾くとか判定に補正かけるとかそういうことは無いのでごあんしんください)
(ユーベルコードの高まりを感じる……!)
第1章 冒険
『劇場型ヴィラン犯罪』
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POW : 圧倒的な力を見せつけて、市民を安心させると共にヴィランを撃破します。
SPD : 事件をスピード解決して、最短の時間でヴィランを撃破します。
WIZ : 明晰な頭脳で作戦を考案し、被害を最小限に抑えつつヴィランを撃破します。
👑11
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セット・サンダークラップ
アドリブ・連携歓迎っす
一人称・二人称・三人称・名前の呼び方は「オレ・あなた・あの人・名前+さん」
【WIZ】エレクトロレギオンを召喚して、半数で攻撃と相手の陽動、半数を爆弾の捜索に向かわせるっす
なんというか……UDCアースと似てるっすが相手が超派手っすね……
ともあれ、飛行可能で索敵用のカメラ付きのと攻撃用の銃がついてるエレクトロレギオンを召喚して爆弾探し&相手を攻撃っす!
カメラ付きのを空調のダクトからビル内に侵入させて、上階からしらみつぶしに捜索
攻撃はレギオンで相手を取り囲んで射撃! 新しい世界の初めての相手っすし、相手の力を計る意味合いで命中重視でばらまくように[時間稼ぎ]の攻撃をするっす
桜咲・智依子
みこーん☆ちょこたん華麗に参上!
怪人グレイトスター! このちょこたんが、その企み「りゅーせー☆☆★」させちゃうぞ☆
ちょこ組のみんなー! デビュー戦がんばーるよー♪
ってわけで、今日も一日頑張るぞい☆
(動画を撮る。全体的にどっかで見たことあるネタ
さて、人命かかってるし真面目にやらんと……
出しゃばらず後方支援すっか☆
チャンネル登録は欲しいけど、そこは弁えるのがちょこたん流!
レギオンを召喚して時限爆弾を総当たり気味に探すぞ☆
え、何、レベル低いから少ない?
じゃあ経験値おいてけよぉ!
ちょこをすこれよ!
(アドリブ、ハプニング歓迎
(一人称「ちょこたん」、二人称「名前+くん、ちゃん」。真面目な所は真面目
鏡島・嵐
判定:【SPD】
グレイトスター……名前だけ聞けばヒーローみてえなのにヴィランなのな。
まあやってることはヴィランらしいからいいか……ってよくねえよ!
で、最初はそのグレイトスターを止めるわけか。
どれくらい時間に猶予あるかわからねえし、ちょっとでも急ぎてえな。
なのでクゥを呼んで、最短距離でグレイトスターのいるだろう場所へ突っ走る。
よくわかんねえけど、だいたいこういう奴は一番カメラ映えしそうな場所で待ってそうな気がするから、そういう所を片っ端から当たっていくか。
※アドリブ用補足
一人称:おれ
二人称:おまえ/アンタ(年上・目上)/てめえ(よほど腹立つ相手)/呼び捨て
三人称:あいつ/呼び捨て
レイン・フォレスト
【アイビス】
ヒーロー、か……僕はヒーローって柄じゃないけど
困ってる人を助けて悪い奴らに立ち向かうのがヒーローの姿なら
僕もああなれるように頑張ってみようか
罪のない人達に危害を加えさせはしない
さあ、正義執行の時間だ
【SPD】
フィリアの台詞に
あああ…これはフィリアが狙われる前に片付けないとっと決意
「第六感」と「聞き耳」を使ってヴィランが逃げた方向を探る
「追跡」能力で後を追うよ
見つけたら【ブレイジング】で「先制攻撃」を
当たらずとも、足元や顔の側を掠めるだけでもいい
とにかく足止めになるように
追いつけたら接近して「盗み攻撃」を試みるよ
スイッチを上手く盗めるといいんだけど
二人称=君、名前呼び捨て
アドリブ歓迎
フィリア・セイアッド
【アイビス】で参加
沢山の人を傷つけるなんてそんなこと、させない
困っている人を助けるのは ヒーローだけのお仕事じゃないわ
「WIZ」を選択
見つからないのなら 出てきてもらえばいいかしら
囮作戦決行 自分を狙ってくればみつけやすい
報道のカメラがいればそれに向かって
本当に強い敵は逃げ隠れしないって父が言っていました
今回の犯人さんは隠れちゃいましたから そんなに強くないです
必ず解決しますから 安心してくださいね?
にっこり笑顔 狙われそうなことを言ってみる
レインの様子には?を飛ばす
敵が出てきたら目立つように翼を広げ 仲間を鼓舞する歌を歌いながら的に
回避かオーラ防御で対応
仲間の怪我は春女神への賛歌で回復
草野・千秋
一人称僕
呼びは名前+さん
基本仲間には徹底して敬語
敵には勇敢にあなた、呼び捨て
強大なる力を得た者は
悪にも正義にもなり得るのか
彼は力に酔いしれ悪となったのか?
――恐ろしい
僕はそうはありたくない
閉じ込められた人達は必ず助け出す!
グレイトスター、許さない!
(変身)ダムナーティオー、推参!
【POW】
UCで華麗に飛翔するとともに
戦闘力を増強させる
僕はサイボーグ、一種の強化人間
住む世界は違えど
僕はヒーローを志す者です
ご安心下さい
悪事は必ず挫いてみせます!
敵とは2回攻撃、怪力、範囲攻撃、勇気で戦う
危険物を見つけ次第仲間と排除します
助けられる命は必ず助け出す!
夜。ヒーローズアースの摩天楼、その中で一際高いビルにそそり立つ細い柱に、グレイトスターは足一本で佇んでいた。目下に広がる大夜景。居並ぶビルの壁に設置された街頭モニタがニュースを流す。下から見上げたビルの写真、窓に張り付く悲壮な人々の画像、グレイトスターのバストアップ。硬い表情の女ニュースキャスターが喋るのを眺めつつ、グレイトスターは鼻歌混じりにスイッチ付きステッキを弄ぶ。テロップには『起爆時間不明』、『数百人規模の被害か』、『首謀者は行方知れず』。
「フーンフーフーフッフーン……フ、フーフッフーン……さてさて、かくれんぼの時間は長くは無いぞ。鬼さんこちら、手の鳴る方へ……だ。……フッ」
片頬に不敵な微笑みを浮かべるグレイトスター。次の瞬間、彼の背後に垂直の突風が吹き荒んだ。振り返る彼の目に飛び込んだのは四肢に炎を灯した巨大な金獅子。その背に乗った鏡島・嵐(星読みの渡り鳥・f03812)は、グレイトスターに人差し指を突きつける!
「見つけたぞォ! グレイトスタァァァァァァァァッ!」
「ほう!」
グレイトスターはバックジャンプの金獅子の前足を回避! 背中から垂直に落下する彼を追い、金獅子は壁を垂直に駆け下りていく。嵐にしがみついたレイン・フォレスト(新月のような・f04730)は片手で銃を構え、グレイトスターに狙いを合わせた。
「レインッ!」
「照準がブレる。あんまり揺らさないでくれよ……」
「無茶言うなって!」
嵐が叫ぶと同時、BLAMBLAMBLAMBLAM! 弾丸が放たれグレイトスターの目元を強襲! だがグレイトスターがニヤリと笑ったその瞬間、彼は金の光を残して消失。素早く視線を巡らせたレインは、ストリートの上空を真横に猛スピードで滑空していく光を捉えた。
「千秋、追跡頼んだ!」
「はいッ!」
壁面を走る金獅子を、同じく横壁を走る草野・千秋(断罪戦士ダムナーティオー・f01504)が追い抜いた。進路を光の方に切った千秋は走り幅跳びめいて大ジャンプ! ネオン煌めく夜景に踊る彼の体が青と銀の光に包まれる!
「変・身ッ!」
FLASH! 膨れ上がる青い光から蒼銀の光線が飛び出し金の光に追走していく! 銀のマシンアーマーを見にまとった千秋は金光をまとって飛翔するグレイトスターの背をにらんだ。
「ダムナーティオー、推参! 逃がしませんよ、グレイトスターッ!」
蒼光をジェットめいて噴射し加速する千秋! 肩越しに彼を見返ったグレイトスターは前後反転し、両腕を大きく広げた。
「まずは挨拶代わりだ、ヒーロー。グレイトスター・イリュージョンッ!」
グレイトスターの周囲に無数の光球が現れる。ビルとビルの間、ストリート上空の空間を壁めいて塞いだ光球を前に千秋はさらに加速! グレイトスターは声を張る!
「アステロイドベルトォッ!」
光球が光線の集中砲火を繰り出した! 千秋は複雑軌道を描き、横殴りの雨じみて襲い来るレーザーの群れを掻い潜って右腕を引く。肩から肘へ、肘から拳へ蒼の光をフルチャージ!
「ダムナーティオー・インパクトおおおッ!」
BOOOOM! 蒼い衝撃波が放たれ光線を一蹴しながらグレイトスターへ飛翔する。グレイトスターは笑みを絶やさぬまま垂直飛行! 彼を見上げた千秋は左腕を振りかぶって二度目の衝撃波を放つ! BOOOOOM! 肉迫する蒼光に、グレイトスターは両手を伸ばした。呼び出した金光の巨大円盾で、衝撃波を受け止めた。GYUUUUUM! 甲高いサウンドが夜空に響く。千秋は右耳に人差し指を押し当てた。
「セットさん!」
『ザザッ。……はいっす! バッチリ見えてるっすよーッ!』
直後、グレイトスターの背後にライムグリーンに輝くドローンビットが複数回り込む。ビットは光を収束させ、グレイトスターの背中に射撃! すんでで気づいたグレイトスターは金光をまとい真横にスライド移動して回避! 円盾が消え失せ、押し止められていた衝撃波が霧散する。立ち並ぶビルの壁スレスレを飛行するグレイトスターに、嵐の金獅子が壁面走行で追いついた!
「行けクゥ! バーニングシャウトーッ!」
「GRRRRRR!」
うなり声を上げた金獅子が、開いた口に金色の炎球を出現させる。次の瞬間、金炎の火炎放射がビル壁を抉りながらグレイトスターに襲いかかった! グレイトスターは片手にバスケットボール大の光球を出現させ、思い切り振りかぶる!
「グレイトスター・FIREEEッ!」
投擲された光球が火炎放射に突っ込んでいき、爆発! 内から爆散した火炎が火の粉となって消え散る中を走ったクゥの背、レインがガンスピンして高速リロード。銃口をグレイトスターに向け、乱射する! 腕を交叉したグレイトスターの前に金のバリアが現れ、鉛弾を軒並みガード! 弾を撃ち尽くしたレインは排莢しながら合図を放った。
「今だ、千秋!」
顔を上げたグレイトスターの真下で千秋が壁面を疾走! 拳を蒼く輝かせ、グレイトスターに急接近!
「ダムナーティオー……パァァァァンチッ!」
「んんッ! これはッ……!」
グレイトスターはとっさに立てた片腕に金光をまとわせ千秋の右ストレートをガード! だが千秋の右肘が光を吹き出し拳を押し込む!
「おおおおおおおおおおおおッ!」
「ぐううううううッ!?」
SMAAASH! 拳が振り切られグレイトスターのガードが崩れる! 壁面を足場に踏み込んだ千秋は、鋭い膝蹴りを繰り出した。グレイトスターの下顎にクリーンヒットさせたまま、上空へと押し上げていく! そのまま蹴り足を下げ、逆上がりめいて回転!
「ダムナーティオー・キィーック!」
「ぐはぁぁぁッ!」
蹴り上げを食らって打ち上げられるグレイトスター! 彼は空中で連続後方回転して体勢復帰し、流星めいて急降下した。空を行く大型飛行船に着地した彼に続き、千秋、嵐とレインを乗せたクゥが着地する。グレイトスターは口元を拭うと、大仰な仕草で手を叩いた。
「フッ……フハハハハハハハハハハ! いいぞ、いい一撃だった! 骨身に沁みたよ。……ところでひとつ聞きたいのだが。どうして、私の居場所がわかったのかね?」
低く唸るクゥの首筋を撫でつつ、嵐はグレイトスターを見据えて言った。
「よくわかんねえけど……おまえみてえな奴は、一番カメラ映えしそうな場所で待ってそうな気がしたんだよ。そういう所を片っ端から当たっていって、後は……」
「勘と、君の独り言を頼りにしたよ」
二の句を継いだレインが自分の耳を指でタップ。グレイトスターは喉を鳴らして笑う。
「なるほど、フフフフフ……なるほどなるほど。あまりポップな発想では無いが、まぁいいだろう。私の思考の裏をかいて無駄足を踏み爆発エンド! でも良かったのだが。それでは盛り上がらないからな。フフフフフフフフ……カモン! グレイトスター・TV!」
グレイトスターが片腕を突き上げると共に、三人と一匹が乗る飛行船の真上にヘリコプターが飛んできた。けたたましいローター音を響かせながら、ヘリはスポットライトをグレイトスターに照射する。ビル壁に設置されたモニタに彼の姿が映り込んだ。
「ごきげんよう諸君! 大体二十分ぶりだな。私だ。夜空に輝く星の生きざま、その体現者! グレイトスターだ!」
名乗り上げる彼を遠目に、嵐が小さな呟きを零す。
「グレイトスター……名前だけ聞きゃヒーローみてえなのに、ヴィランなのな」
「油断しなようにね、嵐。やろうとしてることはテロリストのそれだ」
「わーってるよ」
レインの忠告に返すと、スポットライトが三人の方を照らし出す。大げさな身振りで三人に手を突き出すグレイトスター。
「そしてッ! 彼らが本日、私のショーに参戦してくれたゲストの三人。さあ名乗りたまえ! ポップに、派手に、美しくッ!」
嵐とレインが顔を見合わせ隣で、千秋が一歩進み出た。毅然とグレイトスターに視線を合わせ、彼に拳を突きつける!
「僕はサイボーグ、一種の強化人間です。住む世界は違えど、僕もまたヒーローを志す者! ご安心下さい。彼の悪事は、必ず僕らが挫いてみせますっ!」
グレイトスターは鼻白む。少し首を傾げ、やがて渋々と頷いた。
「うーんテンプレだが……ま、パワフルな名乗りだ。やはり私の敵対者はそうでなくては。さて、次だが……んんっ?」
突如、街頭モニタにノイズが走り、砂嵐画面に切り替わる。数秒後、モニタに桜咲・智依子(みこーん☆ちょこたん・f16218)の顔がドUPで映し出された!
『はいはーおっ! みこーん☆ちょこたん華麗に参上っ! 怪人グレイトスター! このちょこたんが、その企み「りゅーせー☆☆★」させちゃうぞっ☆ ちょこ組のみんなー! デビュー戦がんばーるよーっ! ってわけで、今日も一日、がーんばーるぞいっ☆』
飛行船上の空気が凍りつく。レインは頬に冷や汗を垂らしつつ、耳の無線機に手を当てた。
「……セット?」
『あ、いや、えーっと……これはその、フィリアさんがっすね……』
「フィリアが?」
一方その頃、爆弾が仕掛けられたビルの屋上。複数のホロキーを高速タイプするセット・サンダークラップ(青天に光を見る・f05234)の耳から、困惑気味のレインの声。
『ちょっと待って。フィリアが……何をするつもり? すごく嫌な予感がするんだけど』
「えぇー……あー、いやぁ……」
セットは微妙な表情で屋上の中央を見やる。そこでは、撮影用スタンドに設置されたスマホに向かって笑顔を振りまく智依子の姿。智依子はスマホカメラの至近距離で人差し指を立てて振った。
「ととっ、その前にぃ。怪人グレイトスターに物申すっ! って人がいるんだぁ。カモカモ! ほら、こっち来てっ!」
智依子に手招きされ、フィリア・セイアッド(白花の翼・f05316)がカメラの前にやって来た。智依子から手渡されたピンクのデコレートマイクを片手に、フィリアはカメラ目線で言い放つ。
「本当に強い敵は逃げ隠れしないって父が言っていました。今回の犯人さんは隠れちゃいましたから、そんなに強くないです。ビルの方々、聞こえていますか? この事件、私達が必ず解決しますから、安心してくださいね?」
にこりと笑うフィリアの前に智依子が割り込む。
「ってぇわけでぇっ! ちょこたん達はぁ、爆弾仕掛けられたビルの屋上にいるよっ! 怪人グレイトスター! 悔しかったらここまでおーいでっ! それじゃーねーっ!」
智依子が撮影スマホの側面のボタンを押した。軽い電子音が鳴ったのを聞き、スタンドからスマホを外した彼女は、忙しなくタイピングを繰り返すセットの下に駆け寄った。
「セットくーん! どーおー?」
「ちょっと待ってほしいっすーっ! マルチタスクはキツいんすよー! 智依子さんも手伝って欲しいっす!」
「はぁーいっ! じゃ、ちょっと爆弾探しレギオン借りるねー」
「お願いするっす!」
近くに座り、スマホとにらめっこを始める智依子を余所に、セットはやや困り顔で無線機に声を投げかけた。
『……そういうわけで、グレイトスターをこっちまで誘導するの手伝ってほしいんすけど……どうっすかね?』
この世の終わりめいた顔で沈黙するレイン。一方、グレイトスターは楽しげな表情で顎に手を添える。やがて口角を吊り上げた彼は深く頷いた。
「よし、決めた。彼女達の挑発に乗ることとしよう! そして爆弾を破壊し、タイムリミットを待たずに起爆する!」
「んだと
……!?」
動揺する嵐を差し置き、グレイトスターは光に包まれ浮遊する。彼はそのまま、腕組みをして宣言した。
「そうそう、ひとつ教えておこう。私の異能の名はミーティア! 流星の如く空を舞い、星の輝きを武具とする。ありふれた能力なのが玉にキズだが、中々に使い勝手の良いものだ」
千秋が腰を落として身構え、返す。
「余裕ですね。自分の力を教えるだなんて」
「余裕だとも。知られたところで大した不利は生じない。そこが面白みのない点ではあるのだがね。では……ついて来たまえ!」
SMACK! 閃光を放ったグレイトスターが急加速して飛んでいく。レインは青ざめた顔で嵐を叩いた。
「あああああああ……不味いことになった。嵐、急いで! フィリアが狙われる前に片付けないと!」
「言われなくても! 振り落とされんなよレインッ!」
金獅子が猛り、飛行船から助走をつけてジャンプする! ビルの横壁に着地して疾走し、グレイトスター追跡を再開。口に爆炎を湛えた獅子は咆哮と共に火炎弾を連続射出! グレイトスターは複雑軌道飛行で炎弾をかわし、前後反転。金獅子に光線を放った。嵐は四肢の首筋を叩く。
「クゥ!」
「GRAW!」
一声鳴いた獅子は壁からジャンプしてストリートに落下! ジグザグダッシュで走る車をかわしつつ駆ける金獅子の背中で、レインはグレイトスターに銃を撃つ。僅かに加速するグレイトスターの爪先や脇腹を掠める銃弾。そこへ真っ直ぐ飛行した千秋が拳を引き絞って突っ込んでいく!
「ダムナーティオー・パァァァァァァンチッ!」
繰り出された右をグレイトスターは身を反らしてかわす。続いて千秋の左フックをバク宙して避け、彼の顔面に反撃の右拳を叩き込む! がら空きになった腹へ一撃!
「ぐぁっ……!」
「フン!」
グレイトスターは千秋を回し蹴りで蹴り飛ばし、上空へ飛び立つ! 彼の居た場所を炎弾が突き抜けると同時、ジャンプした金獅子が再度ビルの横壁に着地してグレイトスターに追随。さらに複数体のドローンビットがグレイトスターに迫り、ライムグリーンの光線を射出! ライブステージめいて虚空を走るレーザー弾幕をグレイトスターは縦横無尽な軌道で潜り抜けていく。壁を蹴って離れた金獅子はドローンビットを足場に水切石じみて宙を飛び、グレイトスターの背中に追い付いた! 金獅子が前足を振り上げる!
「そこだ! 叩き込めッ!」
「GRRRRRR!」
横薙ぎに振るわれた前足が振り返り、防御態勢を取ったグレイトスターの側面を殴りつけた! そのまま真横にふっ飛ばされたグレイトスターは空中で姿勢を制御し、嵐に指銃で狙いをつける。指先に光球チャージ!
「グレイトスター・イリュージョン……ミーティアライン!」
ZQUUUUM! 一条の光線が夜空を突っ切り、反射的に伏せた嵐の背中を浅く抉った。同時にレインは金獅子の背中から回転跳躍! 手近なビルの上を転がり起き上がってダッシュ、光の尾を引いて飛翔するグレイトスターに銃口を向ける!
「逃がさない……!」
BLAM! BLAM! BLAM! 三発の銃弾が緩やかに弧を描いて落ちていき、ビルの屋上にぶつかって跳弾! そろってグレイトスターの顎下スレスレを抜け、彼を一瞬減速させた。レインは銃弾一発を取り出して握りしめる。月光じみた白い光が彼女の握り拳に収束!
「闇の眷属の力、我が手に」
握りしめた弾丸を装填し、射撃! 顎に触れていたグレイトスターは、振り向きざま光をまとった裏拳で月光弾を弾き返した。彼の頭上に回ったドローンビットがレーザーを雨あられと発射! ジグザグバック飛行して光線を掻い潜ったグレイトスターに、蒼銀の輝きをまとった千秋がミサイルめいて突撃し肩からぶつかる! 二人を取り囲むように銀の光円がいくつも現れ、同色の銃火器を呼び出した。
「全武装、一斉解放! 行きますッ!」
全ての銃火器が蒼色の光を溜め込み、集中砲火を敢行! CABOOOOOM! 銀光の大爆発が千秋ごとグレイトスターを呑み込んだ。夜闇を切り裂く炎から飛び出したのはグレイトスター。焦げ付くマントが夜風にはためく。
「フハハッ! 自爆覚悟の一撃か! だが残念だったな、私はこの通りッ……」
言い募りかけたグレイトスターの目前にレイン! 黒紫色に輝く弾丸を込めた銃を向け、BLAM! 身を反らして銃弾を裂けたグレイトスターは上下逆転し、ブレイクダンスじみた回転蹴りでレインを吹き飛ばす! ふと進行方向を見たグレイトスターの目が、白く大きな翼を広げて滞空する人影を捉えた。その時、やや遅れてグレイトスターを追う嵐の耳にセットからの通信!
『千秋さんレインさん嵐さん! もうちょっと! もうちょっとっすよ!』
「ああ、見えてきたぜセット。お前、爆弾は見つかったのか?」
『今急ピッチで捜索中っすよ!』
「急げ! あいつ、爆弾を壊して爆破させるって言いやがった!」
『ええ、バッチリ聞いてたっす! 聞いてたっすけどー……あ―――――――
…………』
一方その頃、爆弾が仕掛けられたビルの屋上。セットはあぐらをかいたまま髪を掻き毟る。
「ぬああああああっ! わかんねえっす! 智依子さん、全部のフロアくまなく探したっすよね!?」
「しっかり探したよー。……ねえセットくん。ちょこたん、男子トイレ覗いちゃったんだけど、大丈夫かな?」
「今非常事態っすから! それより爆弾っす! 一体どこに……」
「んー……」
口元に人差し指を当て、小首を傾げる智依子。やがて、彼女は閃いた。
「あ、あそこは? エレベーター」
「エレベーター……エレベーターシャフトっすか! 盲点だったっす!」
セットはすぐさまホロキーボードに飛びつきタイピングを再開。その時、翼を広げて浮遊していたフィリアが遠くを見据えたまま呟く。
「二人とも、気を付けてください。……来ます」
直後! フィリアの目に小さく見えていたグレイトスターが、嵐の金獅子の体当たりを受けて吹っ飛ぶ! 彼はそのまま錐揉み回転してフィリアの方を向き、手の平に金色の光球を生み出した。射出! フィリアは両手を前に突き出し、小さく歌を口ずさむ。彼女の手から波紋めいた光が広がり、花弁状のバリアを形成。飛来した光弾がバリアにぶつかって爆発! 閃光が晴れた先、健在のフィリアとバリアを目にしたグレイトスターは薄っすら微笑む。
「ほう……やはり挑発するだけの腕前はある、ということか」
「どこに目ぇつけてんだ!」
グレイトスターの真上に金獅子が飛ぶ! 騎乗した嵐がグレイトスターの背中に白く輝く手をかざした。腕先にまとわりつく吹雪!
「冬に閉じた女王の手の平、命を穿つひとつの言葉、心を溶かす一筋の涙。全てが止まり白と化す。凍りつけッ!」
BLIZZARRRRRRD! 白い竜巻が撃ち下ろされ、ビル一棟の上半分を瞬間凍結! 次の瞬間、飛び上がったグレイトスターは獅子の鼻面にドロップキックを見舞ってフィリアへ突撃! レーザービームめいて一直線に加速したグレイトスターの拳がフィリアのバリアにぶつかる! SMAAASH! フィリアの表情が僅かに歪む。
「っ……!」
「フハハハハハハ! ごきげんよう、お嬢さん。招致に預かり光栄だ!」
拳を突き入れながら、グレイトスターはバリア越しにフィリアを覗き込む。フィリアは両手を押し戻し、キッとグレイトスターの瞳を睨んだ。
「沢山の人を傷つけるなんてそんなこと、させない……!」
「ハハハハハハ……やはりそうこなくては、なァッ!」
CRASH! バリアが砕け散り、グレイトスターの手がフィリアの首筋に伸びる。その時、レインの銃弾がグレイトスターの肩を射抜いた! 一瞬硬直した隙を突き、グレイトスターの真上に回った千秋が片足を振り上げる!
「はぁぁぁぁぁッ!」
渾身のかかと落としがグレイトスターに命中し、ビル屋上に叩き落とした! レインは空中で体勢を崩すフィリアを抱きとめ、屋上の大型貯水タンクの上に着地した。フィリアは不思議そうに瞬きをしてレインを見上げる。
「レイン?」
「君ってやつは、どうしてそう危ない橋を……いや、話は後だ。セット!」
「はいっす!」
返事したセットに、レインは玩具めいたステッキを投げ渡す。危うくキャッチしたセットはレインの方を見返した。
「レインさん、これ……」
「爆弾のスイッチだ。早く解除を!」
セットは表情を引き締めてコクコク頷き、階下へ通じる扉へ走った。ロックをスマホでハッキングしていた智依子が扉を開き、二人は急いで階下へ下る。他方、グレイトスターは胸元を探り、脳裏に先の攻防を思い描いた。顔面めがけてのゼロ距離銃撃を回避した際のビジョンを!
「そうか、あの時か。なるほど……これはポップな展開になってきた!」
「何がポップだよてめぇッ!」
叫んだ嵐がスリングショット! ゴム弾を紙一重で避けたグレイトスターに、金獅子が咆哮しながら襲い掛かった。前足の振り下ろしを最低限の動きでかわすグレイトスターに、獅子の背を降りた嵐は連続でスリングショットを撃ち込んでいく!
「わけのわからねえこと言って何人も巻き込みやがって! 何が目的だ!」
「これは異な事を。私は言ったはずだぞ。これはショーだと!」
「嵐さん! 退避を!」
グレイトスターの真上、両肘から蒼光を噴射した千秋が垂直落下! そちらを見上げたグレイトスターは傘上のバリアを張って防御態勢を取った。千秋は構わずダブルパンチ!
「ダムナーティオー・インパクトぉぉぉッ!」
CABOOOOOM! 二つの衝撃波が同時に破裂し、グレイトスターを押し潰さんと圧力をかける! 彼の両足が屋上の床を砕いてめり込み、亀裂を入れる。爆音に混じってフィリアの歌声が響き、周囲に光の花びらが舞った。
「降りしきれ春の陽射しよ、清らに咲ける花のため、なお踏み耐える根のために……」
歌に応じて勢いを増す千秋の衝撃! 両腕を渾身の力で押し込みながら、彼は言い放った。
「助けられる命は必ず助け出します! グレイトスター、あなたの好きにはさせません!」
「それは、どうかな!」
グレイトスターの両足が輝き、足場が爆散! 彼の落下に伴い、勢い余った千秋の衝撃波が屋上を丸ごと吹き飛ばす。蒼銀の光を垂直に突き抜けたグレイトスターに、最上階に落ちたレインは銃口を向ける。
「逃がさないよ。フィリア!」
フィリアの歌声にビブラートがかかり、レインの銃口に光の花弁が収束していく。レインが引き金を引くと共に純白の光がグレイトスターめがけて飛翔! グレイトスターは手の平から太い光線を発射してこれを迎撃。力尽くで押し返し、レインに光線を叩き込んだ。フィリアが悲鳴めいて叫ぶ!
「レイン!」
「さあ、フィナーレだ! グレイトスター・イリュージョン……!」
グレイトスターは両手を頭上で合わせて眩い光をまとわせる。光量が爆発的に増した瞬間、彼はハンマーパンチを振り下ろす!
「バーティカル・ミーティア!」
ZQUUUUM! 縦一直線の閃光が屋上を貫通しエレベーターシャフトに侵入! 停止したエレベーターを貫通し、その下を急速落下していたセットと智依子に襲いかかった。
「んなぁ――――――っ!?」
「ちょっ!?」
目を見開いた二人が光に呑み込まれ、BOOOOOOM! エレベーターシャフトの半ばが爆発し、上下に爆炎が走る! シャフトにダイブしたグレイトスターは迷わず爆炎に突っ込んでいく。それを追うフィリアとレイン! フィリアは両手を下方にかざし、歌を歌った。
「照らし出せ春の陽射しよ、溶けて消えていく雪のため、やがて生まれる芽のために……」
シャフトを真っ白い光が駆け下り、爆炎を塗り潰すように消し去った。そして炎に呑まれながら自由落下セットと智依子を包み、火傷を癒やす。意識を取り戻したセットは迫るグレイトスターを見、慌ててホロディスプレイを展開!
「ぬおおおおおおおおッ! こっち来るなっすーッ!」
ホロキーを大急ぎで叩き、ドローンビット軍団を呼び出してグレイトスターへけしかける! グレイトスターは雨の如き光線連射でビットを片っ端から撃ち落とし破壊! レインはリロードを終え、遅れてシャフトに飛び込んで来た千秋を見上げる。
「千秋! 手を借りたい!」
「わかりました!」
シャフトの横壁に足を着けた千秋は壁を全速力で駆け下りた。ラリアットの形で引いた腕にレインを捉え、力を込める!
「せあああああああああああッ!」
カタパルトめいてレインを投擲! グレイトスターの真横を突っ切ったレインは真上に銃口を向け全弾射出! 怯んだグレイトスターは速度を落として両腕で顔を防御する。弾丸の雨が腕にまとわりついた金の光に弾かれたところへ、金獅子と共に垂直落下してきた嵐がグレイトスターに飛びかかった!
「やれクゥ! ぶっ飛ばせぇぇぇぇぇッ!」
「GRRRAAAAAAAAAAAAAAAAAAARGH!」
獅子の咆哮がシャフトを震わせ、スイングされた前足がグレイトスターの体を直撃! 獅子はそのまま真横のエレベーター扉にグレイトスターを打ちつける! CRASH!
「がはッ
……!?」
エレベータードアを貫通したグレイトスターは弾丸めいて吹っ飛んでいき、フロア奥の壁を粉砕して外に飛び出す。一方セットはシャフト最下層に見えるコンテナじみた物体にエアディスプレイを重ねてスキャン。コンテナの画像がバラバラになり、設計図のような画像に変化。セットはディスプレイに指を走らせた。智依子のスマホが軽やかな着信音を立てる。
「よっしゃそこっす! 智依子さん!」
「おっけー。ちょっと頭痛いけどー……頑張れちょこたん!」
首を振った智依子はスマホを操る。コンテナに取りついていた、ピンクにデコレートされたドローン三体が行動を開始。手早くコンテナ上部を解体すると、秒刻みのデジタル時計と小さな穴が現れた。
「開ーいたっ! セットくん、やっちゃえ!」
「了解っす! これで……止まるっすよおおおおおおッ!」
セットが自由落下しながら玩具めいたステッキを投げた! ジャベリンじみて一直線に落下したステッキはデジタル時計下の穴に突き刺さる。次の瞬間、甲高い電子音を立ててデジタル表示が『00:03』でストップした。
ビルの外。浮遊したグレイトスターは10時を示す懐中時計を見下ろしていた。爆弾を仕掛けたビルは静まり返り、一階に集るマスコミや野次馬のざわめきだけが空まで響く。グレイトスターは時計をしまい、愉快げに笑った。
「ンンー……ま、中々に楽しめたよ。では、今宵はここまでだ。また会おう、諸君」
グレイトスターは光に包まれ、夜空の彼方へ飛んでいった。
大成功
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第2章 集団戦
『ジャスティストルーパー』
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POW : フォールン・ジャスティス
全身を【機械部分から放出されるエネルギー】で覆い、自身の【戦闘を通じて収集した敵のデータ】に比例した戦闘力増強と、最大でレベル×100km/hに達する飛翔能力を得る。
SPD : イミテーション・ラッシュ
【ジャスティス・ワンが得意とした拳の連打】を発動する。超高速連続攻撃が可能だが、回避されても中止できない。
WIZ : マシン・ヴェンジャンス
全身を【機械装甲】で覆い、自身が敵から受けた【物理的な損傷】に比例した戦闘力増強と、生命力吸収能力を得る。
👑11
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セット・サンダークラップ
一人称・二人称・三人称・名前の呼び方は「オレ・あなた・あの人・名前+さん」
アドリブ・連携歓迎っす
グレイトスターは逃がしたっすか……でも、パトロンをやっつければ事件を起こしにくくなるっすよね!
周囲の監視カメラの[ハッキング]と、周囲の人が投稿するSNSから[情報収集]して怪しい奴らを探して、いなかったらその人達がいない場所を直に探すっす。
戦闘が長引くほど強化されるなら初手で可能な限りの打撃を与えるっす、フルバースト・マキシマム使用! 対象は射程内のジャスティストルーパー全員!
相手が飛ぶなら[空中戦]で追撃、人や建物に被害が出ないように攻撃の方向に気を付けつつ、[一斉射撃]でまとめて攻撃するっす。
マヒル・シルバームーン
二人称:あなた、名前+さん
常に敬語、お嬢様口調
アドリブ・絡み歓迎
ジャスティス!(かっこいいポーズ)
真打ちは遅れて登場するものですからね、ビシッと決めますわ
普段は司令部の椅子で優雅に指示を出す美人司令官というポジションが似合うわたくしですが、今回は特別です
特に変身はしませんが、この世界、ヒーローズアースも守ってみせましょう
人質の無事が確認できればほっと胸を撫で下ろし
『第一幻想』で味方の支援をいたします
皆さん、この世界と人々を守るために、頑張りましょう!
そして…ジャスティストルーパーさんと仰いましたか
どちらが真のジャスティスか教えて差し上げますわ!
レイン・フォレスト
【アイビス】
逃がしたか……またどこかで会ったらその時こそは捕まえる!
が、今はオブリビオンが先か
そうだ、フィリア、もう囮になろうとかやめてくれないか
僕の心臓がもたないよ
フィリアの言葉に
え、いや、だから、説得しないでいいから
おとなしくしててくれた方が……
フィリアらしいけどさ
困ったように苦笑
【SPD】
オブリビオンの居場所を「聞き耳」と「第六感」を使って捜す
仲間達が見つけてくれたらそちらへ急行
「先制攻撃」で【ブレイジング】を叩き込む
敵の攻撃を受けないように、あまり近づかないように注意し連続射撃
攻撃を「見切り」で回避できれば後ろに回り込んで一撃を加える
複数の敵に銃弾を撃ち込んでいけるように動いて
フィリア・セイアッド
【アイビス】
良かった 爆弾の解除、うまくいったみたい
レインの言葉にしょんぼり眉を下げて
ごめんね 次はもっと上手に説得できるようがんばるわ
優しい友人に握りこぶしで宣言
オブリビオンはどこに隠れているのかしら
周囲のスズメやツバメといった小鳥たちに
近くに怖いひとはいなかった?と尋ね 第六感も使い敵を探索
わかったことは レインや仲間たちに周知
「WIZ」
無関係な人が巻き込まれることのないようにと祈る
レインに心配かけないよう 後衛位置で
菫のライアで仲間を鼓舞する歌を
敵の動きをよく見て 大技がきそうなら仲間に周知
自分への攻撃は回避
仲間が近くに入れば オーラ防御で盾に
傷ついた仲間は 「春女神への賛歌」で回復を
草野・千秋
(機械で強化された敵を見て、同族嫌悪を感じ)
強くなったのか?機械の力で?
僕も肉と鋼の混ぜもの、サイボーグだ
でもお前と同じ位置には立ちたくない
お前が僕たちに歯向かう敵か!
速やかに排除する!
僕が修行して得てきた力、お前に見切れるか?
住む世界は違えど、僕だって正義のヒーロー
油断してると痛い目遭いますよ!?
仲間が攻撃されそうなら
盾受け、かばうでカバーリング
仲間を守らせてもらうのはヒーローの誇り
仲間を傷つけさせはしない、守ることも戦うこと
決めどきがあったらUCでフィニッシュ!
断・罪・完・了!
鏡島・嵐
判定:【WIZ】
ジャスティストルーパー……やっぱ響きだけならヒーローっぽいよな……。
この世界じゃ悪役は悪役らしい名前使わねえんかな?
見た目はしっかり悪役っぽいし怖そうだけど、やっつけねえとな。
《二十五番目の錫の兵隊》を召喚して、前に出して直に戦わせつつ、おれ自身は後ろから〈援護射撃〉に徹する。
〈目潰し〉や〈武器落とし〉を仕掛けたり、〈ジャンプ〉や〈ダッシュ〉で攪乱したり、〈フェイント〉で攻撃のタイミングを狂わせたり。余裕がありそうなら、他の皆にも援護を飛ばしたり。
――卑怯者だと? う、うるせえ! 数に任せて襲いかかってくるてめえらに言われる筋合いは無えよ!
※アドリブは前回同様。
天門・千里
考えの押し売りとは大迷惑なヴィランだこと。
そういうのは自宅でやりな。迷惑もかからなくていいと思うよ。
で?今回は雑魚どもと遊べばいいのね。
【範囲攻撃】と【鎧砕き】にフォトンキャバリエーレの突撃で轢殺!
あとユーベルコードも【高速詠唱】と【属性攻撃】で適当にばらまきつつ、
【スナイパー】【投擲】【串刺し】【傷口をえぐる】【呪詛】【槍投げ】を利用した武器でも攻撃しよう。うん、武器は投げるのが一番だ。フォトンキャバリエーレも投げちゃえ。
で、雑魚を蹴散らしたらいよいよあの迷惑ヴィランとご対面かな?
覚悟しろ、大迷惑野郎。”ヒーロー様”が望み通り、ぶっ飛ばしてあげるよ。
柚月・美影
千里(f01444)と連携
千里は幼馴染なので、せっちゃん、と呼ぶ
〇捜索&護衛を倒す
愛用の宇宙バイクでダイナミックエントリー
【騎乗】【ダッシュ】を使用して周囲を探索
「どうやら事件と見たわ!助太刀するわよ!」
敵の護衛戦力を見つけたら戦闘開始!
攻撃は【野生の勘】【投擲】で回避&相殺
【暗号作成】でコンボを決めて
【念動力】でバトルキャラクターズを強化よ!
「ヒーローの世界なら彼にお任せね!マジックカード《フュージョンライズ》!」
「ウェイクアップ!ヒーロー!来て《銀河英雄・バーストウィングマン》!!バーストシュート!!」
薄暗い大理石の通路に複数人の靴音が響く。廊下左右の壁には等間隔に設置された燭台。しかし蝋燭に火は点いていない。周囲を油断なく見回した草野・千秋(断罪戦士ダムナーティオー・f01504)は、反響する足音を聞きながら問いかけた。
「人気がまるでしませんね……。セットさん、ここで大丈夫なんですか?」
「はいっす!」
千秋より少し前、ぼんやりと蒼い光に照らされたセット・サンダークラップ(青天に光を見る・f05234)が脚を動かしながらホロキーボードをタイプする。千秋の目前にエアウィンドウがひとつ開いた。映っているのはビル屋上の鳥瞰風景。少し荒い映像だが、二人が屋上に向かい合っている。千秋はウィンドウに目を凝らした。
「……これは?」
「あのビルの屋上にあった監視カメラの映像っす。ちょっとピンボケしてるっすけど」
セットがエンターキーを押す。映像が再生され、風の音に混じって流れ出すグレイトスターの声。
『ほぉう……面白いことをしてくれるじゃないか。最初に名指しで呼ばれた時は何かと思ったが』
『気に入ってくれたかね?』
『もちろん。だが、解せない』
ボケたグレイトスター像が腕組みをした。
『これだけのお膳立てを整えてくれるのはいいが、なんで自分でやらない? 美味しいところだけ取っていっていいのかい』
『愚問だよ、君ィ』
グレイトスターの前に立つ影が肩をすくめる。
『演劇は役者だけいれば良いというものではない。演者の他に裏方が要る。シナリオを書く脚本家、場を整える演出家、撮影役、エキストラ……。私は脚本家にして演出家。ただそれだけだよ』
『なるほど。それで、私がスターという訳か』
『ピッタリだろう? ミスター・グレイトスター。受けてくれるかね?』
『フッフフフフ……オーケー。スカウトに乗ろうじゃないか、プレイライト。だが、其方のシナリオ通りとは行かない。好きなように踊らせてもらおう』
『構わないとも。今からこれは君の舞台だ。好きに踊ってくれたまえ』
映像がストップ。直後に別のウィンドウが次々現れ、SNSの投稿をリストアップ表示した。ほとんど写真付きのツイートで、そこには毒々しい色合いの服装をした細身の男が収まっている。頭には大量のポップコーンを乗せたシルクハット。次に出て来たウィンドウにはマップが浮かび、ワンポイントに点いた赤い点から矢印が伸びた。曲がりくねりながら進む矢印の通過点にツイートがポップアップしていき、ある一点で停止した。
「これが、SNSの投稿から割り出したコイツの足取りっすね。白昼堂々歩いてくれて助かったっす。……まぁ、足りない部分はフィリアさんに補完してもらってるっすけど」
セットのやや後方で、フィリア・セイアッド(白花の翼・f05316)がこくんと頷く。頭や肩にはスズメやツバメが止まり、羽をつくろっていた。
「うん。鳥達もこんな形の人を見たって言ってる。白くてサクサクしたものを取ってったって。多分、この人のポップコーンのことだと思う」
「場所、動いてないっすかね? 一応リアルタイムで検索かけてるっすけど、これ以上の投稿が出てこないっす」
「大丈夫よ。鳥達に見張ってもらっているから。それに……」
フィリアの両目がすっと細まった。通路の奥を見据える彼女の視界に、狂気に笑う髑髏型オーラがひとつと、大量の白仮面のイメージが小さく浮かぶ。
「うん、居る。ずっと奥に、大勢。レイン、聞こえる?」
「ああ、聞こえてる。これは……ニュース番組だな。さっきの騒ぎの奴だ」
耳を澄ませるレイン・フォレスト(新月のような・f04730)。その近くを走りながら、鏡島・嵐(星読みの渡り鳥・f03812)は脱力した表情で呟いた。
「呑気にテレビ見てんのかよ……。良い御身分だぜ」
溜め息をひとつ吐き、嵐は表情を切り替える。
「ま、どっちにしても、こっちは逃がすわけには行かねえな。グレイトスターも逃がして、黒幕まで取りこぼしたら目も当てられねえ」
「グレイトスターはまたどこかで会った時。今はオブリビオンが先だ。……と。そうだ、フィリア」
レインがフィリアの方を振り返る。きょとんと小首を傾げる彼女の顔をじっと見つめ、レインは不安げな表情で言った。
「もう囮になろうとかやめてくれないか。僕の心臓がもたないよ」
「う……」
フィリアの眉がハの字に下がった。上目遣いでレインを見返し、彼女は両手をぐっと握りしめる。
「ごめんね。次はもっと上手に説得できるようがんばるわ」
「え、いや、だから、説得しないでいいから大人しくしててくれた方が……フィリアらしいけどさ」
諦めたように苦笑するレイン。その時、先を行く千秋が腕を上げて制止した。
「止まって下さい。……ここですね」
戦意を湛えた瞳で目にしたものは、金細工の彫刻が施された両開きの大扉。セットがかざした両手の平に円状の蒼光を呼び出してスキャンする間、嵐はスリングショットを取り出して腰を落とした。僅かに聞こえてくる騒音。
「……いるな。気をつけろよ」
「スキャン完了。罠は無いみたいっすね」
光を消し、両手を下ろしたセットが仲間達を振り返る。一歩進み出た千秋は、大扉の取っ手をつかんだ。
「開けます。みなさん、少し下がっていて下さい」
意を決し、千秋は扉を押し開ける。開いた扉の向こう、暗く広い空間最奥に設置された大型スクリーンがうっすらと光を放つ。流れるニュース番組を真っ二つにする大きな人影が、拍手を繰り出す。CLAPLAPLAPLAPLAP……。次の瞬間、白いスポットライトがスクリーンとスクリーン前に佇む者を照らして見せた。ピエロめいたメイクに、毒々しい色合いの服装。頭にはポップコーンを盛ったシルクハット。拍手をしていた男は、大仰に両腕を広げて見せた。
「ようこそぉ! 待っていたよ、ヒーロー諸兄」
男は右手を左胸へと持っていき、左手を背中に隠して頭を下げた。
「まずは、初めましての挨拶と行こう。私の名はドクター・サイコ。見ての通り、ヴィランだ」
僅かに上がったドクターの顔が凶悦に歪む。嵐はスリングショットに白銀色の金属弾をあてがい、油断なく白粉を塗った顔に目を凝らす。
「グレイトスターはヒーローっぽかったけど、お前はヴィランっぽい名前してんのな。この世界じゃ、悪役は悪役らしい名前使わねえのかと思ってたんだけど」
「ごもっともな意見だ、ウェスタンボーイ。名は体を表すというからねえ。だがま、ヒーローかヴィランかというのは、その実些細な問題でね……」
「御託は必要ありません!」
千秋がドクターの台詞を遮る。
「お前が僕たちに歯向かう敵か! 速やかに排除する!」
「おお、怖い! そう怖い顔をしないでくれたまえよ」
おどけて肩を竦めたドクターは、背後のスクリーンを指し示す。
「君達の戦いぶりはちゃーんと見せてもらったとも。いや、私ではとてもとても敵わない。私はミスター・グレイトスターほど強くはないからねえ! なーのーでー……」
ドクター・サイコが指を鳴らした次の瞬間、空間中を真っ白な光が満たす。思わず目を庇った猟兵達が視界を取り戻したそこは、ドーム状の屋根を持つ教会であった! スクリーンの背後には祈りを捧げるローブ姿の女性巨像。ドクター・サイコは像が設置されたステージに立ち、横四列・縦五列に配置された五人掛け椅子を見下ろしている。椅子は全て人で埋め尽くされており、猟兵達に背を向ける形。ドクターは指揮者めいて両手を広げた。
「彼らが、お相手つかまつろう」
両手の平を上向け、指先を起こす。座っていた者達が一斉に立ち上がり、同時に猟兵達を振り返り、同時に椅子を持ち上げ教会の両サイドに投げた。皆一様に刈り上げた銀髪、筋骨隆々の肉体に黒いスーツ、金のラインをアクセントにした黒いマントという姿。クローン軍団じみた姿を見たレインはフィリアを庇うように立ち、拳銃を引き抜く。
「フィリア、下がってて」
頷き、一歩後退するフィリア。ドクター・サイコは両手をすり合わせて二の句を継いだ。
「紹介しよう。彼らは、ジャスティストルーパー。伝説のヒーロー、ジャスティス・ワンを真似て作った戦闘フィギュアさ。私が作ったわけでは無いが……護衛としては中々優秀だよ。さあ!」
ドクターが両手を叩き、トルーパーズが身構えた直後、CRASH! 天井のステンドグラスを突き破り、バイク二台が教会内にダイブした。遅れてもう一枚ステンドグラスを突き抜け、縦回転しながらマヒル・シルバームーン(銀の月・f03414)がジャスティストルーパーズの前に降り立つ。彼女は立ち上がると同時に拳を真上に突き上げた。
「ジャス! ティス! 銀月のマヒル、ただいま参上しましたわ!」
ポーズを決めたマヒルの左右、モノバイクに乗った柚月・美影(ミラクルカードゲーマー・f02086)と三輪バイクにまたがった天門・千里(銀河の天眼・f01444)がそれぞれ仲間達の方に目配せをする。
「どうやら事件と見たわ! 助太刀するわよ!」
「で? 今回は雑魚どもと遊べばいいのね」
千里がジャスティストルーパーズ、そしてサイコの方を表情の乏しい目で見やる。ドクター・サイコは楽しげに口元を歪め、再度手を叩いて号令を放つ!
「さあ、殺せ!」
最前列のトルーパーズがロケットスタート! 瞬時にスリングショットを構えた嵐は番えた金属弾を射出した。金属の弾丸は特攻をかけるトルーパーの一体に近づいた瞬間に発光!
「胸に燃ゆるは熱き想い、腕に宿るは猛き力。その想いを盾に、その力を刃に。……頼んだ!」
FLASH! 金属弾が閃光を発し、義足の片足を持つ兵士が出現。兵士は稲光をまとう銃剣を横薙ぎ一閃! 稲妻斬撃が突っ込んで来たジャスティストルーパーズに直撃すると共に、セットは翼を広げて高度へ飛翔! ホロキーボードを凄まじい速度でタイプし大量のビーム砲ビットを呼び出した。
「ロックオン完了! 全武装、ファイヤ――――――ッ!」
ZQQQQQUUUUM! ビット全てが光線を雨の如く撃ち出しトルーパーズに飽和爆撃を叩き込む! 噴き上がる炎と煙を突っ切って飛び出した五体のトルーパーズは全身に青白い光を宿し、セットめがけて急上昇! その軌道上に割り込んだ千秋は銀青の光をまとって変身、銀のアーマーを着込み両手に白銀のタワーシールドを持った姿で五体のトルーパーズを受け止める!
「仲間を傷つけさせはしません。守ることも戦うことですッ!」
シールドの裏側をジェット噴射させ千秋は流れ星めいて急降下! 盾に張りつけた五体のトルーパーズを地面にぶち込み、衝撃で炎と煙を吹き飛ばす。即座に千秋を取り囲んだ八体のトルーパーズは拳を引き絞り肉迫。千秋へ繰り出された鉄拳は全て飛来したカードに防がれて止まる! 千秋の頭上を包囲トルーパーズごと飛び越えた美影は一輪バイクドリフト着地を決めて声を張った。
「轢いちゃえせっちゃん!」
「はいよー。あーぶなーいぞー」
DRRRRNG! エンジン音と共に銀河色に光った千里がバイクを操り、包囲トルーパーズの一体を吹き飛ばす! 回転跳躍する千秋の真下を抜けた千里はドリフトを決めてもう一体に追突! 一拍遅れて銃声が連続し、残る包囲トルーパーズの膝や胴体に穴を穿った。近づきすぎない範囲で急ブレーキをかけたレインは高速リロード!
「嵐! 援護射撃だ!」
「おうよ! ……魔なる狙撃手、六発百中。悪魔よ、鉛の道行きを示せ!」
嵐がスリングショットを構え、レインと一緒に射撃を始めた。ばらまかれた鉛弾が包囲トルーパーズの他、外縁に押しやられた爆炎から飛び出す個体群を撃ち抜いていく。スリングショットが放つ金属弾はトルーパーの眼球や手首を貫通破壊! 戦況を後方で見守っていたフィリアは、肩で慌てたように羽ばたく小鳥に気づいて空中を見上げた。ドーム天井に上下逆さで着地したトルーパーの一体がレインめがけて垂直落下!
「レイン! 上っ!」
「……ッ!」
レインが即座に銃口を上向けて引き金を引くもCLICK! 弾切れだ! 一発撃ち出した嵐はレインにタックルをかけて射線から押し出し、二人そろって床を転がる。THOOOOM! 落下トルーパーが床に突き刺さって教会を揺るがす。同時に別個体が嵐の背中に飛びかかり、ハンマーパンチを振り上げた。だがその横合いから暴風じみたサウンドが飛び、トルーパーを吹き飛ばして奥の壁に打ちつける! 黒いマントを翻したマヒルの体が煌めく銀色の光を立ち上らせた。
「皆さん、この世界と人々を守るために、頑張りましょう! そして……ジャスティストルーパーさんと仰いましたか」
SMACK! 息を吸い込み、銀光を一気に強めるマヒル!
「どちらが真のジャスティスか教えて差し上げますわ! VOOOOEEEEEEEEEEEEEEE!」
恐るべき壊滅歌唱が教会天井のステンドグラスを全部まとめて叩き割り、床や壁をひび割れさせる! マヒルの体から溢れた銀光もまた教会中に広がり、仲間達を包み込む。美影はモノバイクのハンドルに設置した円盤型デバイスを操作し、金の扇状パーツを展開! 展開パーツに並べた二枚のカードが光輝く!
「行くわよ! 銀河英雄・バーストマンと銀河英雄・ウィングレディを召喚ッ!」
美影が片手を掲げると共に、彼女の左右に宇宙じみた色彩の光柱がそびえ立つ。光柱を斬り裂いて現れたのは、機械鎧に身を包んだ炎を手にした男性、機械仕掛けの大翼と巨爪を備えた女性! 二人は突っかかってくる二体のトルーパーズに向かって飛翔し、炎の剣と風をまとわせた爪で一閃! 腕を斬り飛ばされたトルーパーズはよろめき、しかし次の瞬間切断面から赤紫の機械を噴き出した! カニバサミめいた機械腕を生み出したトルーパーは美影に突撃し、彼女の胴を挟み取る。そのまま一本背負いじみて彼女の脳天を地に叩き込む! CRASH!
「ッだ……!」
白目を剥きかける美影が空中に放り出された。そこへバッタ型機械脚を備えたトルーパーが跳躍して拳を握る! 割り込みをかけた千秋が右の拳をつかんで受け止め、トルーパーの横面を殴った。そして体勢を崩す敵の足を見下ろす。
「強くなったのか……? 機械の力で?」
千秋は歯噛みをしてバッタ脚トルーパーの腹に渾身の拳をぶち込み地に突き落とす! さらに背中から墜落したトルーパーの胸に垂直落下ストンプ粉砕! 反動を使いバク宙を決めて美影をキャッチした千秋の背後、カマキリ型機械腕を備えたジャスティストルーパーが首を狩りにかかった。義足の兵が歩兵銃を構えて射撃! 雷の弾丸がトルーパーの右目を射抜き、嵐のスリングショットが左目を破壊! 嵐は三体同時の跳躍飛び蹴りを横っ飛びでかわして叫ぶ!
「行け千秋!」
「すみません!」
走り出した千秋の前にジャスティストルーパーが回り込み、拳を引き絞った。トルーパー頭上にセットのビット!
「ちょっと強化したぐらいで、好きにはさせないっすよーっ!」
セットが勢いよくエンターを押し、ビットがビームを撃って妨害トルーパーに風穴を開けた。千秋が素早いステップで倒れる妨害トルーパーを避けると同時、セットの体がくの字に折れる! コウモリ型機械翼を広げたトルーパーの回し蹴りが彼をふっ飛ばした!
「ぐえっ!?」
割れた窓枠を突破して夜空に飛び出すセットの進行方向に、コウモリトルーパーが先回りして回転かかと落とし! 蹴落とされたセットは元来た窓枠から教会内にダイブした。その先の床には両拳を構える別個体トルーパー!
「うおわああああああっ!」
セットはライムグリーンの光翼を広げて制動をかける。が、待ち構えていたトルーパーはジャンプしてセットに迫り、マシンガンじみた拳のラッシュを打ち込んだ! サンドバックじみてボコボコにされるセットの周囲でホロウィンドウが01分解して消失、教会中を飛び回っていたビットが機能停止して墜落。ラッシュトルーパーはトドメの右ストレートを繰り出した! SMAAASH! 弾丸じみてぶっ飛んだセットはフィリアの真横を突き抜けて入り口大扉に激突! フィリアは小さな竪琴を持ち出し、追撃してくるトルーパーをキッと見据えた。
「行かせない……!」
PLLLLL! 竪琴の音が響き、打ち出されたトルーパーの拳がスミレ色のオーラに阻まれてストップした。拳を押し込む取る―パーの背中に三輪バイクが飛来して命中! 身の丈以上の大剣を抱えた千里は背を逸らしたトルーパーを見やる。
「ん、まだ生きてる? じゃ、もういっぱーつ」
半ば床に下ろした大剣の柄を握り、ハンマー投げのハンマーじみて振り回して投擲! 円弧を描いて飛翔した大剣はくずおれながらも立ち上がったトルーパーの脳天にクリーンヒット! SQUASH! 頭をひしゃげ潰したトルーパーが倒れるのを余所に、フィリアは竪琴の調べを奏でて歌い始めた。
「降りしきれ春の陽射しよ、清らに咲ける花のため、なお踏み耐える根のために……」
フィリアの足元に春風じみた光が吹き上げ、背後に倒れたセットと美影に吹きつける。一方、教会の外周に沿って疾駆したレインは銃撃を繰り返してトルーパーズの脚部を次から次へと穴だらけにして千切ってのけた。だが断面から生えた赤紫の機械が失われた脚部を異形化して修復! 立ち上がる敵影を見て舌打ちしたレインは、千秋に庇われたマヒルと兵隊の影に隠れた千里を視界に収めて呼びかける。
「マヒル! 千里! ちまちま攻撃していたんじゃキリが無い! 隙を作るから一気に消し飛ばしてくれ!」
「承知いたしましたわ!」
「んあ? ああ、そういうことね……」
「嵐!」
「足止めだな? 任せろ!」
返すが早いか、嵐は指笛を鳴らす。義足の兵隊は銃剣付き歩兵銃を取り回し、コマめいて横回転! 近場のトルーパーズ爪先を切断し、首や膝関節に銃剣を突き刺していく。ZGRAK、ZGRAK……銃剣に穿たれた傷が稲妻を散らす。爪先切断トルーパーズは一斉に膝から下を手刀で斬り落としパージ! 断面から生やした機械バッタ脚を屈めたところへ、嵐のスリングショットが連続で金属弾を撃ってくるぶしを射抜く! 聖女像の上で見物していたドクター・サイコは野次を飛ばす。
「おいおーい。君、さっきから目やらくるぶしやら狙ってるじゃないか。卑怯ではないのかい、ヒーローとして?」
「う、うるせえ! 数に任せて襲いかかってくるてめえらに言われる筋合いは無えよ! レイン!」
レインはガンスピンからのリロード! 空薬莢を床に散らしたレインは壁を蹴って機械触手刺突を跳躍回避! 下半身を機械タコにしたトルーパーの眉間を狙って発砲。顔面に風穴を開けたところで触手に降り立って一気に駆け寄る。タコ足トルーパーの頭を足場にして再跳躍し、上下反転からの回転! 弾丸を雨の如く撃ち下ろし、トルーパーズの全身を撃ち抜いてその場に縫い止める。千秋はトルーパーのラッシュを二枚の盾でしのぎきり、シールドバッシュで相手していた個体を弾丸雨の中に突っ込んだ!
「やってくれ!」
「VOOOOOOEEEEEEEEEEEEEEEEEEEEEEEE!」
マヒルの轟音が弾丸雨で止められていたトルーパーズをまとめて壁にふっ飛ばす! ひび割れた横壁に食い込んだ個体群に、千里は両手十指を向けて銀河色の極太鋼線を発射! 教会の横壁ごとトルーパーズを消し飛ばした! ドクター・サイコが手を叩く。
「ヒューッ! 物凄い威力だ! ……だが」
滞空するレインの真後ろに一体のトルーパーが現れた。コウモリめいた機械翼を広げたトルーパーは、振り上げた片足を赤紫の機械で覆いかぎ爪を備えた脚部に変える。ドクター・サイコはニヤリと笑った。
「それでフィニッシュというわけではない」
振り下ろされた脚がレインの背面を捉え、真下に叩き落とす! 琴を奏でていたフィリアが手を止め、曲調を切り替える。
「レイン……! 待ってて、今……」
だがその時、コウモリトルーパーがフィリアの前に瞬間移動めいて出現! とっさにバックジャンプする彼女の手中で琴が斬り裂かれて解体。コウモリトルーパーは身をひるがえして回し蹴りを繰り出し、フィリアを吹き飛ばした! さらには稲妻じみたジグザグスプリントで迫って来た義足の兵隊をアッパーカットで顎部破壊殺! ドクター・サイコが笑みを深める。
「残ったのは一体か……ま、構わない。殺りたまえ」
ジャスティストルーパーの両腕が赤紫の機械装甲に包まれ、異形の巨大爪に変貌した。全身に青白い光をまとったトルーパーは一瞬で教会上部まで飛翔し、神速の爪撃! SCRATCH! 教会の床が斜めに引き裂かれ、粉塵を上げ砕け散る。立ち上る砂煙を突っ切って飛び出した千秋がトルーパーへ肉迫していく!
「僕が修行して得てきた力、お前に見切れるか? 住む世界は違えど、僕だって正義のヒーロー。油断してると痛い目遭いますよ!?」
機械翼を羽ばたかせ、千秋へ急降下するトルーパー! 爪と鉄拳が閃き、空中で高速のラッシュ応酬が始まった。激しい金属擦過音!
「おおおおおおおおおおおおおおおッ!」
連打を続ける千秋の頬に切れ目が走り、装甲各所に抉り傷が作られる。一方のジャスティストルーパーは赤紫の金属装甲に全身を覆わせ、爪撃の速度を上げていく! 千秋が歯を食いしばった、その時である!
「千秋さん! 離れるっすよーっ!」
「!」
瞬時に千秋が距離取ると同時、トルーパーの四方八方からビームが飛来! 合間をぬって飛翔するトルーパーの各部を熱線が抉り、翼に穴を開け、爪を射溶かす。セットは高速タイピングして複数機のビットを操り、レーザー射撃を続行。トルーパーはレーザーを回避しながら滑空し、地面スレスレを飛ぶ。光線に追撃させながら、セットは叫んだ!
「美影さん! 行ったっすよーっ!」
トルーパーの進行方向に、炎の男と翼持つ女を控えさせた美影が立ちふさがった。彼女は引き抜いたカードを高く掲げる!
「ヒーローの世界なら彼にお任せね! マジックカード、フュージョンライズ!」
美影のカードが黒と赤の渦を生成。炎の男と翼持つ女が光の粒に分解されて渦へと吸い込まれていった。
「銀河英雄・バーストマンと銀河英雄・ウィングレディを融合! ウェイクアップ! ヒーロー! 来て、銀河英雄・バーストウィングマン!」
渦が一気に収縮して爆発! 眩い銀河色の閃光を切り裂いて現れたのは、炎の片翼と左手にドラゴンヘッドを備えた機械装甲の男。空高く舞い上がった彼はコマめいて回転。ドラゴンヘッドが吐き出した爆炎をまとい、ドリルじみた錐揉み飛び蹴りを放つ!
「焼き尽くせ! バーストシュ――――――トッ!」
トルーパーはクロスガードを決め飛び蹴りを防御! BOOOOOM! 爆炎が周囲にまき散らされ、トルーパーのガードが徐々に押し込まれていく。赤紫の機械腕が軋み、ひび割れたところへ、背中へ回り込んだ千秋が拳を握った。蒼銀の光が腕先を包む!
「断・罪・完・了ッ! ダムナーティオー・パァァァァァァンチッ!」
SMAAAAASH! 渾身の拳がトルーパーの背中に命中! さらにバーストウィングマンの蹴りが背中を反らせたトルーパーの両腕を砕いて胴体にヒット。挟撃を受けたジャスティストルーパーは両目を激しく点滅させ……蒼光と炎に包まれ爆発四散した。
大成功
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第3章 ボス戦
『ドクター・サイコ』
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POW : マッドネス・フュージョン
無機物と合体し、自身の身長の2倍のロボに変形する。特に【自分の発明した犯罪機械】と合体した時に最大の効果を発揮する。
SPD : サイコ・ギロチン
【自動で対象を追う13個の空飛ぶギロチン刃】を発動する。超高速連続攻撃が可能だが、回避されても中止できない。
WIZ : クリミナル・エクスペリエンス
自身からレベルm半径内の無機物を【犯罪用の発明品】に変換し、操作する。解除すると無機物は元に戻る。
👑11
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草野・千秋
一人称、僕
二人称、名前+さん、敵はお前か呼び捨て
詳細ステシ
アドリブ絡み歓迎
お前がパトロンか、ドクター・サイコ
ヴィランに力を与えて来たと言うのか?
僕らは正義のイェーガー、お前を倒しに来た
お前を邪悪と認めた
うめき、あがき、もがき、己の悪行を後悔するといい
――僕はああはなりたくない
力に酔いしれ悪に走るなど
POW
2回攻撃を主軸に攻撃
敵が弱るようなら
怪力で持ち上げ
地面に思い切り叩きつける
仲間が傷つけられそうなら
カバーリング
盾受け、かばう
あなた達が傷つくくらいなら僕が!
決め技はUC、華麗に演出
やってみせる、必ず
柚月・美影
せっちゃん(f01444)、とものちゃん(f04019)と連携
●戦闘
さあ、後は貴方だけよドクター・サイコ!
貴方を倒してハッピーエンドにしてみせるわ!
【騎乗】【ダッシュ】でバイクを操りながら相手を翻弄
相手からの攻撃は【野生の勘】【投擲】で回避&相殺を狙う
【暗号作成】でコンボを決めて
【念動力】でバトルキャラクターズを強化
銀河英雄・バーストウィングマンはそのまま続投
「ヒーローにはヒーローに相応しい舞台がある!
フィールドマジック《銀河摩天楼・ギャラクシティ》!!
これでバーストウィングマンは強化される!ギャラクティック・オーバーシュート!!」
天門・千里
さて、じゃぁあんたをぶっ飛ばすとしましょうか
アルフォリナととものちゃんが合流したなら
「お、ようやく来た。呼んでおいて正解だったな」
ギロチンに対しては【騎乗】と【逃げ足】【オーラ防御】によるライディングで回避
ときおり【カウンター】でギロチンを敵に投げつけて攻撃
「そら、返してあげよう」
犯罪用の発明品は【串刺し】と【吹き飛ばし】を乗っけたユーベルコードで武器を投げつけて破壊
巨大ロボに変形した場合は【串刺し】【鎧砕き】【投擲】【スナイパー】によるユーベルコードで粉砕を試みる
「デザインが私好みじゃない。やり直し」
あとはまぁ、仲間とは連携を意識しとこう。
アルフォリナ・アスタロギア
千里(f01444)美影(f02086)ともの(f04019)と連携
彼らを追いかけこのタイミングで到着
急に飛び出したから追いかけて来たら…またですの?(嘆息
リアルタイムで敵の過去データを【情報収集】
【視力】で癖等見抜き仲間に伝えてサポート
無機物を変化させる技には
手持ちの植物の種を【援護射撃】【鎧無視攻撃】で変化中に撃ち込み
妨害を試みる
精密機器に対する【毒使い】という訳ですわね
巨大メカには【言いくるめ】等で挑発しギロチンを誘発
自動追尾を逆手にとり
エレクトロレギオンでの【おびき寄せ】【だまし討ち】で
自身へのギロチン誤爆を狙う
質量のある分身は無理でも、こうすればね
制御プログラムがイマイチではなくて?
潦・ともの
HEROって柄ではないけれど。あのこのためにも英雄たろうとはしないとね
千里達と参加
彼女達と連携して動きます
バgギロチンに対しては【第六感】で動きを感じ、
【武器受け】と【カウンター】【なぎ払い】で切り払い
または【フォース】で押し返して仲間を護る
相手のフュージョンを【第六感】【見切り】で感じ
「ふむん」
と懐から取り出した無機物『張り子の虎』さんや
発明ロボの嗜み『自爆装置』くんをフォースで飛ばして混ぜ混ぜしてみる
首尾よく動きを制限できればその隙にボコろう
美影の摩天楼にあわせ
『バーストウィングマンの効果
破壊したモンスターの攻撃力分のダメージを受けて貰うよ、ドクター!』
フォースで自爆スイッチをぽちっとな
セット・サンダークラップ
一人称・二人称・三人称・名前の呼び方は「オレ・あなた・あの人・名前+さん」
アドリブ・連携歓迎っす
あとはこいつをやっつければ一件落着っすね!
ドラゴニアン・チェイン起動! ロボ化した相手のカメラアイやコクピット……視界を塞げる場所にオーラを撃って爆破させるっす。
爆破を目くらましにして本命はオーラの鎖! ロボにつないだ鎖を使って相手の動きを阻害するっす!
相手の動きに合わせて鎖を引っ張って自由に動けないようにしたり、相手の手や足につないだ鎖を重そうなものに巻きつけてパンチやキックを出しにくくしたりして、他の方々が攻撃しやすいようにするっす!
マヒル・シルバームーン
ヒーローズアースでの初リサイタル、ひとまず大成功といった感じですわね
ではフィナーレと参りましょうか!
マイクを握る手にも力が入ります
敵の前に出て、スカートを摘まんでご挨拶
そのまま味方を歌で援護する…と見せかけて、『超絶歌唱』ですわ
わたくしの歌唱力が生み出す衝撃波をお見舞いいたします
ボエ~♪
これはたまたま、わたくしの歌声を通したユーベルコードが衝撃波を発生する形で表れているのであって
決して音痴というわけではありませんからね!(必死)
そのまま、敵のギロチンを吹き飛ばしたり【オーラ防御】で耐える等して
攻撃を引きつけます
攻撃は、皆さんにお任せしますね
鏡島・嵐
判定:【WIZ】
黒幕は悪のドクターってわけか。らしいっちゃらしい展開だな。
何してくんのかわかんねえのが怖ぇけど……とりあえず、人を小馬鹿にしてる感じするのが気に入らねえ。
《逆転結界・魔鏡幻像》で相手の攻撃を相殺しつつ、さっき同様〈フェイント〉を織り交ぜた〈目潰し〉〈武器落とし〉でドクターを妨害する。
さっき配下のトルーパーに喰らわせた目潰し、今度はてめぇの番だ!
それでもこっちに向かってくる攻撃は〈第六感〉〈見切り〉を活かして全力で回避。
あとは〈援護射撃〉〈鼓舞〉で味方を助けることも忘れずやっとく。
※アドリブはこれまで同様。
レイン・フォレスト
【アイビス】
やっと自分で出る気になったかい
ハッピーエンドを見る為にも、お前にはここで潰えて貰おうか
フィリア、ラスボス戦だ
気合い入れていこう
頼りにしてるからね
にこっと笑いかけて
【POW】
普段はあまり力に頼らないんだけど
こいつは力でねじ伏せた方がいいような気がするから
【闇の冥加】で攻撃力を強化
「先制攻撃」で弾丸を撃ち込んでからの急接近
「零距離射撃」で関節部分を狙って攻撃
人間でもロボでも関節は弱いはずだよね
まあその前に、犯罪機械と合体させないように気をつけないとね
もしギロチンが飛んでくるようなら銃で全部撃ち落としてやろう
マヒルが攻撃してる時は攻撃しやすいように
「援護射撃」で敵が動けないようにしてみる
フィリア・セイアッド
【アイビス】
彼が黒幕…
沢山の人を傷つける行動を、脚本とか演出とか そんなの許せない
ええ 私もハッピーエンドが好き
「めでたしめでたし」で終われるようにがんばりましょう
レインに負けないよう 全力を尽くすわ
友人の言葉ににこり笑顔
「WIZ」を選択
犯罪用の発明品…
どうせなら、皆の役に立つものを作ってくれたらいいのに
危ないものは怪我をする前に片付けてしまわないと、ね
「鈴蘭の嵐」で攻撃
前へと走るレインに 無茶はしないでねと声かけ
自分への攻撃は第六感も使い 宙に飛んでかわす
仲間が後ろにいる場合はオーラ防御で盾に
傷ついた仲間は「春女神への賛歌」で回復
マヒルちゃんが歌う時は合わせて歌い 援護を
教会の扉が開かれ、アルフォリナ・アスタロギア(星詠みのお嬢様・f04639)が肩で息をしながら踏み入った。天門・千里(銀河の天眼・f01444)が首だけでアルフォリナを振り返った。
「お、ようやく来た。呼んでおいて正解だったな」
「正解だったな、ではありませんわ! 急に飛び出したから追いかけて来たら……またですの?」
嘆息するアルフォリナの隣に潦・ともの(星達の眷属・f04019)が並び立つ。とものは半壊した教会内部を見回し、柚月・美影(ミラクルカードゲーマー・f02086)の姿を見止めた。美影の方もとものを見つけ、相好を崩す。
「はふ、美影もはっけーん。無事のようで何よりですの」
「とものちゃん、ナイスタイミング! いいところに来てくれたわ!」
言うが早いか、美影は教会奥に向き直る。祈る聖女像の頭に腰掛けたドクター・サイコを指差し、彼女は力強く宣言!
「さあ、後は貴方だけよドクター・サイコ! 貴方を倒してハッピーエンドにしてみせるわ!」
対して、ドクター・サイコは不気味に微笑む。
「ウフフフフ……! ここに来て新たな演者の登場とはね。観客を飽きさせない配慮はグッドだ。ミスター・グレイトスターの言葉を借りるなら、ポップな演出だよ。私のコレみたいにね!」
帽子のポップコーンをひとつ取り、指で弾き上げて口でキャッチ。草野・千秋(断罪戦士ダムナーティオー・f01504)は油断なく身構えながらドクターを睨む。
「お前がパトロンか、ドクター・サイコ! ヴィランに力を与えて来たと言うのか? グレイトスターにしたように!」
「そうとも!」
大仰に手を広げ、ドクター・サイコは力説!
「楽しいだろう? 残虐な犯罪者とそれを打ち倒す正義のヒーロー。最高のエンターテイメントだ! 事件は凶悪であればあるほど盛り上がり、人が死ねば死ぬほどヒーロー達にも気合いが入る。今夜のような劇場型犯罪なんて特にそうだ! ギャラリーも、ヒーローも、被害者役もみんな本気だ。いつ事が起こるのか? 無事に収束するのか? それとも死んでしまうのか? どう転んでも楽しい上に、より多くのリアクションが見れる。非の打ちどころがない! ウフフフフハハハハハハハハハ!」
ドクターは腹を抱えて哄笑し始める。レイン・フォレスト(新月のような・f04730)は険しい表情でドクターに銃を突きつけた。
「どう転んでも……だって? ビルに閉じ込めた人々が死ぬのも楽しみのひとつか?」
「そうだが、何か? それにしても……ハァ」
頬杖を突き、ドクターは溜め息を吐いた。
「いやはや、それにしても私の目も濁ったものだ。凶悪犯罪、ニューヒーローの爆誕。それが予測できていれば、もっと脚本を吟味したものを……演出効果も、より良いものが用意出来ていただろうに。ジャスティストルーパーをビル内に配置して市民を巻き添えにさせるとか。……いや、主演をミスター・グレイトスターではなく、捨て鉢なテロリストにする選択肢もあった。倒した、と思ったらビルごと自爆してもらう。いやいや、それともこっそり生体リンクを仕込むのがいいか? 戦闘不能になったらヴィランが自動的に死に、同時に爆弾が強制起爆……ウフフフフッ!」
足をぶらぶらと揺らしつつ、一人含み笑いをするドクター。フィリア・セイアッド(白花の翼・f05316)は両手をぎゅっと握りしめ、絞り出すように呟いた。
「ふざけないで……」
「んん?」
笑いを止めたドクターが興味を引かれてフィリアに目をやる。フィリアは淀んだドクターの瞳を真っ直ぐ見返し、言い切る。
「沢山の人を傷つける行動を、脚本とか、演出とか……そんなの許せない」
「ンフフ……良いッ! うむ、主演ならそうこなくては! だァーがァーッ!」
ドクターは聖女像から飛び降りた。小高いステージの上で、
「君達は少々アドリブが過ぎた。第四の壁を突破するのは自由だが、劇作家を引きずり出すのは頂けない。ここいらでカット及び軌道修正をさせて頂こう!」
ドクター・サイコは片手を掲げて指を鳴らした。彼の体から紫色の力場が膨らみ、教会を一瞬にして駆け抜ける。直後、教会を揺らす大きな地響き! セット・サンダークラップ(青天に光を見る・f05234)は腕を薙いでエアディスプレイを生成し、映し出された数値を読み取る。レインが銃の引き金に指をかけ構えた。
「やっぱりユーベルコード反応……! あいつ、ついにやる気になったみたいっすね!」
「やっと自分で出る気になったかい。ハッピーエンドを見る為にも、お前にはここで潰えて貰おうか。……フィリア」
呼ばれたフィリアがレインを見やる。レインはフィリアに微笑みかけた。
「ラスボス戦だ、気合い入れていこう。頼りにしてるからね」
フィリアの顔がふっとほころぶ。
「うん。めでたしめでたしで終われるようにがんばりましょう」
「作戦会議は終わりかね! では特別ゲストの招致と行こう。紹介しよう……今宵の花形、ストーン・ハート・シスタ―――――――ッ!」
次の瞬間、ドクター背後で聖女像が組んでいた両手を解き、背中から新たな四本の機械腕を展開! 新しい腕の先にはホイールソー、火炎放射器、ガトリング砲、ドリル! 像の顔面が回転扉めいて回り、狂喜に笑う悪魔の顔を表にさらした。台座が僅かに浮き上がり、ステージの上を滑走して聖女像射出! 弧を描いて教会中央に着地した聖女像は、金属が軋むような咆哮を放つ!
『WOOOOGYAAAAAAAAAAAAAAAAッ!』
大音声に顔をしかめるマヒル・シルバームーン(銀の月・f03414)。
「礼拝の象徴を……悪趣味ですわ!」
「ターゲットが信者だったら最高なんだが、まぁこの際気にすることは無い! さぁ、フィナーレと相成ろう! ウファ―――――ッハッハッハッハッハッハッハッハ!」
火炎放射器とガトリング砲が同時に火を噴く! 鏡島・嵐(星読みの渡り鳥・f03812)が手をかざし、大きな鏡の壁を顕現させた。
「鏡の彼方の庭園、白と赤の王国、映る容はもう一つの世界。彼方と此方は触れ合うこと能わず。……幻遊びはお終いだ!」
鏡が爆炎とガトリング銃弾を吸収し、攻撃が止まると同時に炎を吐き出す! 業火が殺戮聖女像に浴びせかけられると共に、鏡壁の左右から猟兵達が飛び出した。崩落した壁に沿って走るレインは銃口に星明かりじみた光をチャージして発砲! 片足を上げてこれを回避したドクターめがけて千秋が跳んだ! 空中からの急降下パンチだ!
「ダムナーティオー・パァァァァァンチッ!」
「おひょっ! アブナイ!」
バックジャンプでパンチをかわしたドクターは千秋の蹴り上げをバク転で回避! ドクターが懐から引き抜いた拳銃が銃撃するも、千秋はクロスガードで受けきった。振り上げた千秋の手刀が蒼い光を吹き上げる!
「お前を邪悪と認めよう。うめき、あがき、もがき、己の悪行を悔いるがいい! ダムナーティオー……!」
「ウヒッ! 恐ろしいことだ!」
おどけて笑うドクターに、千秋は手刀を振り下ろす!
「スラ―――――ッシュッ!」
蒼い光の剣を側転回避するドクター! 彼の周囲に出現した十三枚のギロチン刃が千秋めがけて飛翔する。間に割って入ったとものは赤いレーザーソードを振るってギロチン刃を次から次へと斬り払い、最後の一枚に手をかざす。赤い燐光を放って制止するギロチン刃を、とものは念動力で押し返した! 垂直跳躍で刃を避けたドクターへ、モノバイクに乗った美影が迫る。頭上には炎の片翼と左手にドラゴンヘッドを備えた機械装甲の男!
「バーストウィングマンの攻撃! スターライト・ブレイカーッ!」
ドラゴンヘッドに星めいた輝きを放つ銀炎をまとわりつかせ、バーストウィングマンが飛翔する。空中で腕を交叉し防御態勢を取るドクターを、ドラゴンヘッドで殴り飛ばした! 吹き飛んだドクターは教会最奥の壁に激突!
「よっし!」
「美影、後ろですわ!」
アルフォリナの警鐘が飛ぶと同時、殺戮聖女像のホイールソーが美影を狙う! 聖女像へ駆け出したセットは、片手にライムグリーンのオーラ球を生み出した。
「やらせねーっすよ――――っ!」
殺戮聖女像の機械腕めがけてオーラ球投擲! 着弾・爆発と共に機械腕の爆炎から伸びたオーラの鎖がセットの右手と接続された。両脚を踏ん張り、鎖を引き絞るセット。聖女像の回転刃が美影の鼻先でギリギリ停止したところで、鈴蘭の花吹雪をまとったフィリアが舞い上がる! 羽ばたくフィリアの翼から吹いた花風が、聖女像を呑み込み花弁の竜巻を作り出した。オーラ鎖を引っ張りながらセットが叫ぶ!
「そっちはお任せするっすよーっ!」
「レイン、無茶しないでね……!」
その時、壁の粉塵から飛び出したドクターがテディベアを投げつける! クマの腹部が手榴弾に変化。ドクターは指を鳴らす構え!
「プレゼント・フォー・ユー!」
CLAP! 指が鳴ると同時橙色に輝くクマ。だがそれは飛来した蒼い短剣に貫かれて虚空で暴発。三輪バイクに乗った千里が突撃し、さらに蒼い短剣四本を一度に投げた! クイックドロウしてコレを撃ち落とすドクター。その懐に義足の兵隊が潜り込む!
「うおっ!?」
「さっきてめぇの配下に喰らわせた目潰し、今度はてめぇ自身で味わいな!」
嵐が言い放つと共に、兵隊は顔面狙いの銃剣刺突! 刃は顔を傾けたドクターの目頭を浅く斬り裂く。前蹴りで兵隊をぶっ飛ばしたドクターに、嵐は走り込みつつスリングショット連続射出! ドクターはスウェーで一、二、三発目の弾を避けて後方回転跳躍。義足を踏みしめて体勢復帰した兵隊も銃撃を開始した。ドクター・サイコは空中ムーンサルト回転しながら声を張る!
「やれやれとんだダーティ・ファイトだ! ヒーローとしてどうなのかねそれは!」
「ヴィランに言われたかねえんだよ! 食らえッ!」
嵐のスリングショットが弾を撃ち出し、着地したドクターの右目を狙撃! ギリギリでブリッジ回避したドクター。その時、教会の天井が破壊され、彼を庇う形で三体の巨大サソリ型ロボが飛び込んで来た! ハサミとしなる尻尾が嵐と兵隊の弾丸を弾く! 次の瞬間、フィリアの花嵐を突き破った聖女像のガトリングガンが、嵐に銃口を合わせて火を噴いた。BRRRRRRRRRRRR! 振り向く嵐に弾丸の雨!
「やべっ……!」
「嵐さん!」
割り込んだ千秋が銀のタワーシールドを召喚して弾幕をしのぐ。一方三体のサソリロボは尻尾の先にエネルギーチャージ! それを見たアルフォリナの透明ゴーグルに『CAUTION!』サインが表示された。
「広範囲に光線が来ますわ! 防御してくださいまし!」
ZQQQQQQQQUUUUM! サソリロボの拡散レーザーが放たれ、猟兵達の体各所を引き裂いた。タワーシールドを振り回してガトリングと光線の挟撃を弾く千秋のアーマーが、防ぎ損ねた銃弾に削られ黒く焦がされる! レインは片膝立ちになって輝く銃口をサソリに向けた。
「マヒル! 僕が隙をなんとか作る! まとめて吹き飛ばすんだ!」
「承知しましたわ! ああんもう! 服が滅茶苦茶!」
ズタズタに裂けたスカートを撫でつけながらマヒルが嘆く。拡散光線に肩口や足首を射抜かれながらも、レインは集中して銃撃! BLAM! 星の光をまとった弾丸が右端サソリロボの片足を射抜き、二発目が中央の尻尾を真上に跳ね上げる。三発目で左端サソリロボの尻尾が明後日の方を向いたところで、マヒルは一歩踏み出し優雅に一礼。台風の目じみた光線の間隙で、大きく息を吸ってマイクに叫ぶ!
「VOOOOOOEEEEEEEEEEEEEEEEEEEEEEEE!」
CADOOOOM! 暴風じみた衝撃波が三体のサソリロボを襲い、右端から順に吹き飛ばす! 教会最奥の壁がぶち抜かれて消し飛び、支えの無くなった屋根がひび割れて崩落。落ちてくる瓦礫に、フィリアは両手を突き出した。純白のオーラが傘状に広く展開され、戦場に落ちる瓦礫を防ぐ。だが一方、密度を薄めた花嵐が内側から弾け飛ぶ! 殺戮聖女像はドクターに攻めかかっていた面々に火炎放射機を向け砲火した! BOOOOOM! 美影はバイクごと前後反転、カードを一枚引き抜き投擲!
「トラップカード発動! 氷盾結晶!」
投げ放たれたカードが閃光を発し、次の瞬間巨大な氷のバリアと化して炎を防御! セットは全力でオーラ鎖を引き寄せる!
「んぐうううううっ! 力強っ……! どわっ!?」
鎖に引っ張られたセットが宙を舞い、残った教会横壁に叩きつけられる! 殺戮聖女像は炎とガトリングガンをぶっ放したままドリルを突き入れ氷のバリアを破壊した。開いた穴から雪崩れ込んだ炎が美影を呑み込み、ステージを火の海に変える! 炎に呑まれた嵐は
「ぐあああああッ! クソッ、開け逆転結界!」
ステージを覆うように鏡の壁が出現し、炎を呑み込む。一方教会最奥、ギリギリ炎の届かない範囲に出たドクター・サイコは地についた右手から紫の光波紋を波打たせていた。
「ウフフフフフ……! ちょっと遠くまでふっ飛ばされたから焦ったが、どうにか間に合ったようだ。さあ本番はここからだ……!」
直後、夜空に無数に紫光が灯り、大量のガラクタがドクター周囲に降り注ぐ! ひとりでに寄り集まり、大きな塊を作っていくそれらに、アルフォリナは腰のホルダーから取り出した種子を投げつけた。パーツとパーツの間に食い込んだ種子達は即座に発芽し、ガラクタ塊に根を張り巡らせて動きを縛る!
「ともの! 千里! 長くは保ちませんわ! 今のうちに!」
「はい先生っ!」
「おー。轢き潰すか」
ドクターめがけて千里ととものが突撃していく! バイクのエンジン音と光刃の音が空気を震わせる中、ドクターは余裕の微笑。
「植物……面白い異能だ。だが」
指を鳴らしたドクターの周囲にギロチン刃十三枚が顕現! ドクターを中心に竜巻めいて回転した刃は種子の根をバラバラにし、そのまま二人に飛翔する! バイクごと銀河色の光をまとった千里は車体を右に左に揺らして回避。避けきれない分はバイクの前に飛び出たとものがレーザーソードで斬り払う。最後の一枚に手をかざして念力で止めたとものの真横を抜けた千里は、止まったギロチン刃を素手でつかんだ!
「そら、返してあげよう」
投擲! フリスビーめいて回りながら投げ返された刃は、しかし割り込んだ鈍色の影に防がれた。影の正体は鉄屑をかためて作った長身痩躯の大鎌ピエロ! その両脇には配線内部パーツ剥き出しの鋼鉄獅子。機械の背後でドクター・サイコは機械で作ったムチを振るう!
「ではサーカスの時間だ! せいぜい踊ってくれたまえ!」
SWIP! 機械鞭が地を叩き、ピエロと獅子が同時に飛び出す! コマめいて高速回転した大鎌ピエロが千里の投げた蒼い短剣を弾き返し、獅子がとものに襲いかかった。振り下ろされる二体の前肢を、インターラプトした千秋が滞空ダブルパンチ迎撃! 空中で腹をさらした鋼鉄獅子を、千秋は一体ずつ天に蹴り上げた! ピエロの鎌斬撃は、マヒルがオーラをまとったマントをひるがえし防御。千秋が後ろを振り返った。
「セットさん!」
千秋が叫んだ先にはホイールソーを振り回し、四方八方に弾丸と炎を撒き散らす殺戮聖女像! フィリアと共にその周囲を走り回っていたセットは、空中に打ち上げられた二体の鋼鉄獅子を目に止めた。
「ナイスっす、千秋さん! そりゃあッ!」
オーラ鎖投射! 空を切ったライムグリーンの鎖は対空する鋼鉄獅子二体を束ねてグルグル巻きにし、聖女像の動きに合わせて獅子を引っ張る。振り下ろされ床に叩きつけられた機械獅子二体は聖女像の足元を円を描くように滑走、鎖で聖女像を締め上げた! 明後日の方に飛んでいくガトリング弾丸を横目にしたフィリアは垂直上昇! 両手を合わせ、歌い出す。
「降りしきれ春の陽射しよ、清らに咲ける花のため、なお踏み耐える根のために……」
ほぼ廃墟と化した教会跡地に花弁混じりの風が吹き、猟兵達を撫で上げる。サソリの熱線に斬られた傷や火傷を覆った花びらが光輝く。闘牛士めいてオーラマントを振るい、鎌斬撃を受け流していたマヒルを飛び越え、義足の兵隊がバレルを持って歩兵銃を振りかぶった! フルスイング銃床殴打! SMAAASH! 顔面を殴られてのけ反る機械ピエロの肩、膝、脇腹に鉄のツブテがぶつかり火花を散らす。スリングショットを引き絞り、嵐が合図!
「今だ! そんなガラクタ、ぶっ飛ばしてやれッ!」
SHOT! 発射されたパチンコ玉が機械ピエロの胸に直撃し、たたらを踏ませる。胴体へ飛び込んだ千秋は右ボディブローを叩き込んだ! SQUASH! 胴体を拳の形に凹ませたピエロの足元に着地した千秋は、両足のアーマーから蒼光の粒子を噴出してサマーソルトキックを繰り出す!
「ダムナーティオー・キィィィィック!」
CRASH! サマーソルトキックが機械ピエロの下顎を打ち据え、上空へと吹っ飛ばした! 一回転した千秋の腹に狙いを定めるドクター・サイコ。アルフォリナが口早に言った。
「銃撃、爆弾、ギロチンの順に来ますわ! 気を付けて!」
「遅ぉいッ!」
BLAM! 銃声が響き、ドクターの手から拳銃が飛ぶ。発砲したレインは即座に二発目! 白衣の懐に伸びたドクター右腕の肘関節に穴が穿った。ドクターの周囲に出現した十三枚のギロチン刃を、レインの銃弾が片っ端から撃ち落とす! 一瞬泡を食ったドクターを、バイクに乗った千里がはねた。吹き飛んだドクターはバウンドして地面を転がる!
「ごっはぁッ!?」
腹を押さえて身を起こすドクター・サイコ。その首根っこをつかんだ千秋は、彼を持ち上げ地に打ちつけた! 二回、三回、四回!
「ぐおっ! ぬおっ! ごふっ!」
「今までッ! 何人! 手にかけたッ! 身勝手で、悪趣味な、遊びのッ! ためにッ!」
SMASH! ドクターをたたきつけて地面を凹ませ、千秋は彼の頭に瓦割りパンチを振りかぶる。
「これで終わりだッ!」
「千秋さん!」
その時、千秋の前に割り込んだマヒルがマントを掲げ、太い熱線を防御……し切れずに胸に食らい、千秋もろとも後ろに吹っ飛ぶ! 勢いよく飛来した三体のメカサソリが尻尾から拡散ビームを放射した。急いで仲間達の前に出たフィリアは両手をかざし、純白のオーラで壁を作り防護! ドクターは首を振り、呻きながら立ち上がった。
「ぐっ……想定外に、想定外が重なったな……。そろそろ私も本気を出すとしようかァッ!」
ドクター・サイコを中心に紫の力場が再膨張! 一気に増大し周辺を呑み込んだ紫光は、動きを止めた殺戮聖女像、縛られた鋼鉄獅子、三体のロボサソリ、大鎌ピエロを包んでドクターの下へ引き寄せる。とものはおもむろに懐へ手を突っ込み、張り子の虎を取り出した。
「ふむん」
とものの手を離れた張り子の虎がドクターを呑み込んだ鉄塊に紛れる。金属擦過音を響かせながら融合する機械達は盛り上がり、具体的形状を組んでいく。左右に伸びた腕先に手が生まれ、地を踏む二本脚に燕尾服じみたパーツが降りる。トップには屑鉄を組み合わせて作られたドクター・サイコの肖像! 両目部分を赤く光らせ、巨大なメカドクター・サイコが咆哮を上げた!
『私は劇作家なのだがねえ! 舞台に上がるしかないとあれば、仕方ない! この廃墟を君達のファイナルステージとしようッ!』
歪んだドクターの声が轟く。鼻を鳴らした嵐と千里は、鉄の巨人へ言い放つ。
「退場すんのはてめぇの方だ! 今にそのニヤケ面、泣き顔にしてやるぜ!」
「あと、デザインが私好みじゃない。やり直し」
『気にする必要はない。君達はもう死ぬのだからなァ!』
メカドクターの背中から六本の機械腕が生え、先端にガトリング、火炎放射器、ドリル、ホイールソー、レーザー砲、鎌を形成! タブレットを操ったアルフォリナは大声で断言!
「行きますわよ! 銃撃、火炎放射、ビームを防御! 接近後はドリルとノコギリが飛んできますわ! それにあの武装は所詮ガラクタ、壊してしまえば完全に無力化できます!」
『言ってくれるではないか。壊せるものなら壊すが良いッ!』
メカドクターが遠隔武装を一斉解放! 両手に力を込めたフィリアのオーラバリアに爆炎、弾丸の雨、極太のレーザーが降り注ぐ。オーラの壁は陽炎めいて激しく波打ち、フィリアの顔に苦悶が過ぎる!
「うっ……くぅぅっ!」
「フィリア! 無理は駄目だ!」
「大丈夫、だからっ!」
レインに返すフィリアの隣に、嵐が立つ。彼は揺らぐ白いオーラに両手を伸ばした。オーラを包む銀色の輝き!
「好き放題やってくれやがって……教えてやるよ。そういうのは全部、てめぇに返ってくることをなァッ!」
一瞬にして鏡の城壁と化すフィリアのバリア! 遠隔火力を吸った鏡は、そっくりそのまま炎・光線・弾丸全てを打ち返す! 真っ向からの反撃をクロスガードするメカドクター。攻勢が止まると同時、千里とレインが鏡の左右から飛び出した。それぞれ蒼い短杖と銃を取り出す!
「食らえ……!」
「よっと」
投げ放たれた短杖がガトリング腕を半ばから断ち切り破壊し、月光じみた光線が火炎放射器のバレルを射抜く。交叉した両腕を開き、反撃を弾いたメカドクターは千里にドリルを突き込むが、横合いから伸びたライムグリーンのオーラ鎖が巻きつき軌道が逸れる。セットは鎖の端を地面に打ちこみ、力いっぱい引き寄せる!
「うおりゃあああああああっ! 大人しくするっすよ――――――っ!」
『ぬうッ……!』
ホイールソーがセットのオーラ鎖を断ち切り、ビーム砲がセットを襲う! 割って入ったマヒルがオーラを込めたマントを振ってビームを明後日の方へ受け流して声を張り上げた。
「レインさん! 千里さん! 残りを早く!」
「わかってるさ……!」
レインはへたり込んだフィリアを横目に捉えつつ銃をリロード! 星の光を銃口に溜めて六連発でレーザー砲を切り崩す。セットはメカドクターの後ろに回り、三本のオーラ鎖をドリル、ホイールソー、鎌の機械腕に打ち込み束ねた。
「無力化したっすよーっ!」
『それはどうかな……?』
メカドクターの両目が挑戦的に瞬き、周囲に十三枚の超巨大ギロチン刃を呼び出した。その瞬間アルフォリナの目が鋭く瞬き、タブレットを指が滑る。彼女の回りから真紅の光が複数飛び出し、赤い機械の妖精となってギロチン刃に接着。赤い燐光に包まれた刃は痙攣し、メカドクターに飛来し食い込む! アルフォリナは悠然と微笑んだ。
「質量のある分身は無理でも、こうすればね。制御プログラムがイマイチではなくて? ……美影!」
「オッケー! 任せて!」
美影が勇み、カードを一枚掲げて見せる!
「ここがファイナルステージとか言ったわね。なら見せてあげるわ、ドクター・サイコ! ヒーローにはヒーローに相応しい舞台があるってところ! フィールドマジック、銀河摩天楼・ギャラクシティ!」
地面に叩きつけられたカードから光があふれ、周囲一体を一面白に染め上げる。光が消滅するとそこは、空に銀河を戴く摩天楼! ドクターは動揺!
『何、ここはッ
……!?』
「ここがヒーローの、ヒーローによる、ヒーローのためのバトルステージ! これでバーストウィングマンは強化される!」
美影が人差し指で天を指す。彼女の後方、一際高い尖塔の頂上で、バーストウィングマンが腕組み仁王立ち姿勢! メカドクターは巨大ギロチンを再度召喚。十三枚、二十六枚、三十九枚!
『何かと思えば……舞台を塗り替えただけで勝てると思うなぁぁぁぁぁぁッ!』
その時である! メカドクターの腹に蒼銀の光が突き刺さって巨体を浮かせる。飛び蹴りを叩き込んだ千秋は拳を握って咆哮した!
「負けるわけには行かないんですよ! この世界で生きる、人々のためにッ! はあああああああああああッ!」
SMAAAAASH! 千秋のアッパーが摩天楼の空へメカドクターを跳ね上げる! バーストウィングマンは夜空を舞うロボを見上げ、斜めに跳躍。彗星めいた光をまとい、メカドクターへと一直線! 美影は拳を突き上げた!
「これでトドメよ! ギャラクティック・オーバーシュ―――――――トッ!」
加速した彗星がメカドクターの腹を穿ち、そのまま貫通! 機械の腹部が爆発を起こし、四肢や首、腰部などにも誘爆が起こる。開いた胸からススまみれのドクター・サイコが這い出した。
「ぐ、おッ……! 完全に想定外だ。ここは一度撤退ッ……!」
「そうは問屋が卸さないのね」
言いながら、とものがスイッチを取り出した。
「バーストウィングマンの効果。破壊したモンスターの攻撃力分のダメージを受けて貰うよ、ドクター!」
PUSH! ボタンが押し込まれ、メカドクターの頭部から甲高いBEEP音が鳴り響く。鉄の鼻面を割って飛び出す張り子の虎。そちらを見上げるサイコの顔が凍りついた。
「え? ま、まさか……よ、止せ! やめろおおおおおおおッ!」
張り子の虎が閃光を放ち、KRA-TOOOOOOOM! ビッグバンじみた大爆発の真下で摩天楼は消滅し、元の夜空と廃墟に戻った。
大成功
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