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君もヒーローになれる

#ヒーローズアース

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#ヒーローズアース


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 夜のネオンが輝く街並は、けたたましいサイレンの音に満ちていた。
 パトカーのサイレン音だ。
 それは一つではなく、複数の物があり、ハイウェイを爆走している。
「ち、しっけェ奴等だぜ!」
「かまわねぇぶっかませ!」
 その先頭、パトカーから逃げる一台のバンに、男達がぎゅうぎゅうと詰め込まれていた。
「おい狭いよ動けねぇだろ」
「うるせぇおまえがどけ! いや死ね!」
「あぁんおまえが死ね!」
「喧嘩すんな!」
 口が悪かった。
 一通りの貶し合いをノルマの様にこなして、何人かの後頭部をゴツンガツンとして、窓から取り出したのは、
「ひゃっはーロケットランチャーだぜ!」
 射撃した。
 火を噴き出しながら行く弾頭はクネクネと動きながらパトカーの先頭にぶつかり、大きな爆裂を起こして道を閉じる。
「はーっはーバーカバーカ! あーばよー!」
 急ブレーキを掛けて二次被害を逃れるその様を見て、奴等は遠ざかっていった。
「くそっ、また逃げられた……!」
 その後ろ姿を、パトカーから降りた警官の一人が、悔しそうに眺めていた。


 グリモアベースの片隅に、少女はいた。
 いつもの場所、背もたれの無い椅子に腰掛け、猟兵達を見つめる肆陸・ミサキ(狩られるモノ・f00415)だ。
 ふと、これもいつものように集まってきた彼らにミサキは笑いかけ、そして言う。
「やぁ、遅かったね。僕、待ちくたびれちゃったよ」
 と。
 またまたいつものように告げて、説明を始める。
「ヒーローの世界があるんだ」
 ヒーロー。超人的力で事件を解決する憧れの存在。
 事件というからには、その発端はもちろんあって。
「ヴィランと呼ばれる悪者達。ヒーローの世界は、そういう敵との戦いがあって、今回はそれの逮捕が仕事だよ」
 逮捕。そう、逮捕だ。
「殺しちゃダメ。なにせ、オブリビオンじゃないんだ。あくまで一般的な悪者。だから、逮捕だよ」
 最近暴れている、ヴィラン組織の本拠地に乗り込み捕まえる。
 単純に言えばそれだけだ。
「ただ、その裏にオブリビオンの気配がある。今まで警察が捕まえられなかったのはそういう訳だ、って考えられているんだ」
 ヒーローズアースのヒーローやそれに類する組織も無力ではない。
 それでも対処しきれないというのは、つまり、そういうことだ。
「ヴィランを捕まえた後は、多分、そいつらが現れるだろう。それも含めて、なんとかしてくれ、って話」
 いい?
 と前置きを一つ。
「いいかな。まずは、君たちはヴィランの本拠地に乗り込む。殺さず捕らえて、裏にある陰謀を止める。得意だろ?」
 簡単な流れをまとめて、そうして送り出す。
「じゃあ、みんな、頑張って。今日から君がヒーローだ」


ぴょんぴょん跳び鯉丸

 ヒーローの世界で暴れまわろうぜ!
 ってシナリオです。
 OPに情報は詰め込んでます。
 ヴィランは現代兵器で抵抗してきますのでなんやかんや上手く捕まえてください。
 場所としては綺麗な廃ビルなので、突入方法とかも好きにどうぞ。
 殺しちゃダメよ?
 では、そんな感じで。

 突入ー!
101




第1章 冒険 『ヴィラン組織検挙』

POW   :    正面から乗り込んで、力づくでヴィランを叩きのめします。

SPD   :    策や罠を利用して、スマートにヴィラン達を捕縛します。

WIZ   :    情や思想に訴えかけて、ヴィラン達を改心させます(他の行動に比べやや困難です)。

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種別『冒険』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

夷洞・みさき
ヒーローとヴィラン。咎人までもが大手を振って世界を回す世界、ね。
そんな所もあるんだね。

【POW】
この世界に今を生きる英雄と悪漢には悪いけど、大人しくなってもらおうかな。

本拠地って事は武装もされているだろうし、生身だと、少し面倒だから…。

【UC】にて召喚した船で正面から突撃する。
骸の海を彷徨うこの船なら、地上でも存在しない波に乗って航行できる筈だしね。
死なない程度の火力で悪漢達を砲撃して拘束。

己が他から見える様に船首に立つ。

人を超えているんだろう?これくらいは耐えられると僕は信じているよ。

どうも派手な事が好きそうな世界(偏見)だし、これくらいいいよね。

この世界は、どんな死人の念があるんだろうね。


アズール・ネペンテス
【選択:POW】
まさかオブリビオンじゃないものをどうにかしてきてって話になるとはね…
っていうかむしろ俺あの世界なら警察の厄介になる方な気もするがね。

まぁいいやとりあえず真正面から鎮圧してくるさ。新しいUCの試し打ちもしたいし…その為にも【挑発】でこっちにヘイトを集めてやばそうな攻撃には【見切り】【残像】で回避して…攻撃は【武器落とし】で無力化させてから捕縛でいいのかな…?

あ、ついでにやっぱり金目のものないか物色もしておこう
(アドリブ歓迎


照崎・舞雪
捕縛…捕縛ですか。縄とかそういうの手持ちにないのですが……
あっ!毒物薬物なら沢山あるのです
これでヴィランとかいう連中の身体を麻痺らせて行動不能にしちゃいましょう!(超いい笑顔)

スカイドルフィンを召喚して乗り飛びながら廃ビルへ
突入してヴィランを発見次第、魔法薬をバンバン投げていくのです
大丈夫。動けなくなるだけで、死にはしませんから!

……え?他の猟兵の方々への被害?あー……気合いで避けてください
私も一応、当てないように気は付けますから


ペイン・フィン
……さて。
ヴィラン、か。
……悪人なら、やることは、同じかな。

生憎、自分は、どちらかというと、ヒーローって存在じゃ、無いからね。
だから……。まあ、しょうが無いよね。


現場に到着したら、目立たないと迷彩で隠れながら移動。
ヴィランを視認したら、コードを使用。
攻撃をかわしつつ、背後に回って……、指潰しで、指を潰す。
1人行動不能にしたら、次を狙う、よ。


雨宮・いつき
ヒーロー…弱きを助け強きを挫く、正義の味方達の世界!
きっと御役目を果たす上で勉強になる、偉大な人達が沢山居ることでしょう
…そんな世界にも危機が迫ってるだなんて、由々しき事態です
不肖ながら誠心誠意、御勤めを果たさせて頂きます

他の方が突入した際の混乱に乗じて、僕も一緒に建物に乗り込みます
敵は雷撃符の電撃を浴びせ、気絶させて無力化していきます
部屋内に突入する際は、起爆符で壁面に大穴を開けて…その爆発に気を取らせた隙に普通に入り口から突入です
銃撃を受ける前に遮蔽に身を隠して電撃で応戦して気を惹き、
大穴の外に待機させていた分身達と挟み撃ち
持たせた雷撃符でバンバン敵を気絶させていって下さいね!


アイナ・ラウタヴィーラ
ここがヒーローズアース……。UDCと似てますけどどこか違います、ね
観光はあとにして、まずはお仕事をしましょう

ヴィラン……犯罪者みたいなものでしょう、か?
彼等を全員を無力化するのが任務です、ね
正面から強襲して一気に制圧してしまいましょう

殺害しないように銃はあらかじめ弾薬をゴム弾に入れ替えておきましょう
ゴムといっても当たれば気絶させるくらいの威力はありますし、一般人相手にはこれで十分、です

逐次投降するよう促しながら、抵抗する相手はゴム弾か白兵戦技を応用して締め落とすなりして無力化しましょう

素直に降伏して。無駄に痛めつけたい訳じゃない、から……

〇アドリブ歓迎です


橘・焔
○心情
ヒーローねぇ…
“ヒロイン”も忘れないでね、っと!

【POW】※アドリブ・連携可
「…この世界には協力してくれる“隣人たち”はいるかな?」
愛機に跨り、アイドリングさせながらゴーグルを着用
激戦が繰り広げられる正面入り口を避け、ヴィラン達が立て籠る場所(大きめの窓とかあれば最高)目掛けて一気に加速してダイブ!バイクごと乱入する
「…オイタが過ぎたね、お仕置きの時間だよ」
現代兵器の攻撃は超常の力“光の刃”の高速剣技(2回攻撃19、残像11)で撃ち落とす
呆気に取られる相手を余所に魔力を放出し、周辺の霊的存在を呼び寄せ使役する
「…さぁ出番だ、行っておいで」
見えない敵に制圧される恐怖、堪らないでしょ?



 きらびやかな街の、光が届かない闇の部分に、ヴィランのアジトは在る。
 高層で、所々割れた窓ガラスから覗かれ、色落ちしたコンクリートの肌を見せるビルだ。
 まるで、そこから少しでも離れたい様に、周辺の構造物は距離を開けている。
「おい、聞いたか、なんでも新しいヒーローが俺達を捕まえようとしてるんだってよ」
 そんな中、地上20m程の位置。ビルの中間辺りにいるヴィラン達は会話をしていた。
「はん、誰が何人来ようがカンケーねぇな。どいつもこいつも返り討ちにしてやるぜ」
 勢力図としては拮抗か、ヴィランが少し優勢な状態だ。
 そこに何が来ようと、それは変わらない。
 彼はそう思い、強い気持ちを持っていて、しかし。
「ーーあん?」
 割れた窓からいきなりの光を見た。


「ふぅん……」
 拠点を望む、離れた小さなビル。その屋上に、夷洞・みさき(海に沈んだ六つと一人・f04147)はヘリに立っている。
 英雄と、悪人と。
 それらが当たり前の様に歩き、世界を回す、そんな世界。
「こんなところも、あるんだね」
 なるほど、と。
 そう思い、彼女はおもむろに宙へ跳んだ。
 ふわりとした浮遊感からの、重力に引き落とされる落下の予感を感じながら、
「ーー抜錨せよ」
 しかしあるのは、着地だった。
 自身の背後に現れた、不確定のゆらめくゲート。そこから飛び出てきた、船首から伸びる足場への着地だ。
「さあ往こうか。今はここが、僕の海だ」
 行く。
 完全に姿を見せたそのガレオン船は真っ直ぐに空を渡り、そのままビルの中腹をゆっくり旋回する。
「んな、な、なんだこりゃあー!」
 驚き、ビルの窓からそれを見たヴィランを、みさきは見下ろして、にたりと笑う。
「派手な事が好きそうと見た。だから、まあ、いいよね?」
 そして、船の横、いくつも備えられた砲門から、
「撃て」
 爆撃した。


「派手だ……あれ、死なないよな……?」
 上空で起きた爆裂と、そこから伸びる鎖の出現を見上げて、アズール・ネペンテス(お宝ハンター・f13453)は呟いた。
「……まさかオブリビオンじゃないものをどうにかするとはね」
 肩を竦め、壊れて大きく空いていた玄関から普通に侵入する。
(いやむしろこの世界なら、警察に追われる側でもおかしくないな、俺)
 俺ーーというべきか、それとも装着者である少女の方か。
 顎に手を当て、益体も無い思考を少し挟む。
「うわ、な、なんだテメェ!」
 そんな間に、周りをヴィラン達に囲まれ、銃口を向けられて、
「まあいいや、こんな有象無象達と一緒にされるのは嫌だしな」
 ハッと敵を嗤った。
 見下す様な、嘲る様な、そういう笑みだ。
「テメェ……バカにしやがって……!」
 彼らは、バカではない。
 ヴィランとして幾度かの修羅場を経験しているし、ヒーローとの対決もこなしてここにいる。
 それでも、思考回路は単純で、行動も早かった。
 引き金に掛けた指を動かし、四方八方からの弾丸をお見舞いしようとして、
「おっ、と」
 アズールは、それを見切っていた。
 向けられた銃口の角度から射線を予測し、
「と!」
 回避と同時にダガーを投げ、敵の手を突き刺して武器を落とさせる。
 続けざまに地面を蹴り、別の相手へ距離を詰めて手首を取って、背負い投げる動きで倒す。
 そうして淀み無くヴィランを無力化していき、そうして一息。
「……追加報酬があってもいいよな」
 と、ほんの少し寄り道をして、金目の物を物色し始めた。


 みさきの砲撃が開けた大穴へ、突入する動きがある。
 それは横に長く、白いカラーリングで空を泳ぐ、翼を生やしたイルカだった。
「うわなんだこーー」
「失礼」
 その背に乗った照崎・舞雪(未来照らし舞う雪の明かり・f05079)は、驚きに身を硬直させるヴィランへ、試験管の一本を投擲する。
 くる、くる、と縦に回るそれは山なりに行って、足元に落ちた瞬間に砕け散った。
「うわなにこれくっさ! くっ……ごはぁ!」
 ヴィランが吐血して倒れた。
「くっそこれ毒だ! 吸うと死ぬぞ離れーーがはっ」
「いいえ、死にませんよ。動けなくなるだけです、はい。麻痺です!」
 果たして麻痺毒で人は血を吐くのだろうか、そんな疑問は置いておいて。
 ……大丈夫です、動けなくなるだけです、死にはしませんからね、セーフなのです!
 という気持ちで投げる。
 ビルの部屋は一つ一つが広く天井高もあるが、イルカには少し狭い。
 だから舞雪は、壊れた窓や壁から出入りを繰り返しては毒を投げ込み、割れやすいそれを壁や天井にぶつけて散布。
「……あ、他の猟兵の方達のこと……いえ忘れてはいませんけど」
 ワンフロア制圧するころに思い出したが、まあ、うん。
「信頼してますから、はい」


「なんだあのやべー女は!」
「知るか、構ってらんねぇ……逃げるぞ!」
 バタバタと、階段を降りていく一団がいた。
 舞雪の凶行から逃れたヴィラン達だ。
「あんな無差別テロみたいなヒーローいたか……?」
 思考が鈍る。
 スタイルや性格に差違はあれど、正義を信じて戦うヒーロー達らしからぬやり口だ。
 そんな奴、今までにいただろうか。
「いなかったかもしれないね」
「!?」
 答えは、背後から聞こえた。
 敵だ。直感でそう思い、振り返り様の裏拳を放つ。
 だがそれは空を切り、瞬間に横を通りすぎる何かの気配を感じた時には、彼は両腕を掴まれて背中へ回され、のし掛かられる様に地面へ突き倒される。
「な、なんだお前、どこから……だ、誰か助けーー」
 ヤバい、敵だ、逃れないと。
 そう思い、側にいた筈の仲間を求めて周りを見た。
「僕は、ヒーローって存在じゃ、無いよ。もしかしたら、みんなもだけど」
 だがそこに見えるのは、一人残らず倒れて気絶している姿だ。
 やられている。一体いつの間に。どうやって。
 様々な感情が沸き起こり、
「イッーー!」
 指に激痛が走った。
「だから、まあ、こういうのも、仕方ないよね」
 耐えきれない痛みは意識を遠退かせ、ぼやけていく視界の中、彼は。
 仲間の五指が潰されているのを見て、ああ、自分もそうなったのだと、ぼんやりと思った。


 雨宮・いつき(歌って踊れる御狐様・f04568)は、一階から階段を駆け上っていた。
 上を見る視線は真っ直ぐに、ヴィランが居るであろう階を目指してただ走る。
(ヒーロー……弱きを助け、強きを挫く。そういう、正義の味方の世界……!)
 思うのは、世界の在り方。
 人々を救う、偉大な人達が作り上げた世界。
 そこに迫る危機を、食い止めねばと、そう考えて。
「行きます……!」
 上りきったいつきがまず行ったのは、一枚の符を投げつける事だった。
 それは誰も居ない、外側と内壁に接した廊下だ。
 ……一拍、足を止め、術式を一つ発動させる。
 そうしている間に符は時間経過で爆発し、両側の壁を爆砕して、
「な、なんだ、敵か!?」
 驚きに顔を向けるヴィラン達が居る部屋へ、いつきは突入した。
「ええ、敵です……!」
 電撃を放つ符を一枚、指に挟み、上へ掲げて力を解放する。
 前方への広範囲、固まっていたヴィランへと拡散させた稲光は敵を撃ち、しかし撃破までは行かず、
「このクソガキゃあ!!」
 一斉射撃が返ってきた。
 それを、いつきは倒れ重なったデスクの裏へ退避した。
「お願いしますよ、分身達……!」
 ここまでは計算通り。
 後は、
「ーー!」
 喚び出しておいた分身達が、爆砕で開けた穴から侵入して、持たせた雷撃符を発動させるだけだ。
 そうしてそれは、作戦通りに発動して。
「……成功ですっ」
 ひょこっと顔を覗かせたいつきは、見事に焦げ散らかった部屋と敵を見て、拳を握った。


 仲間の暴れる音を聞きながら、アイナ・ラウタヴィーラ(秘めた闘争心・f00892)は正面から乗り込んでいく。
「ここがヒーローズアース……UDCと似てますけど、どことなく違います、ね」
 所感としては気にならない程度だと、そう思いながらリボルバーの弾装を開いて、特製のゴム弾を込めて納める。
「観光は後にして、ヴィラン……犯罪者、でしょうか」
 エレベーターに乗り、適当な階のボタンを押して、持ち上げられる感覚に身を任せる。
 その間にリボルバーはホルスターに置いて、次いでショットガンにもゴム性のそれをリロードした彼女は、一息。
「制圧を開始します、ね」
 チーンという間の抜けた音と共に開いた扉から飛び出した。
「うお子ど」
 目の前に居たヴィランへ散弾をぶちこんで吹き飛ばす。
 薬莢を出して、しかしリロードの間は無くスライディングで遮蔽物へ隠れると、リボルバーを抜く。
「……降伏して、くれない?」
 一言を告げて、返答の代わりに撃ち込まれてくる弾丸の音を背中に聞いて、ふぅ、と溜め息。
「そう」
 身を乗り出すと共にクイックドロウの技術で一人、二人の心臓部へゴム弾を叩き込む。
「痛め付けたい訳じゃない、けどーー」
「このガキ!」
 抵抗するなら仕方ない。
 と、横合いから掴み掛かってくる敵の動きを、懐へ入り込む動きで間合いを狂わせ、手を取って足を払い、投げ飛ばす。
「制圧、続けます、ね」
 起き上がろうとするそいつをチラリとも見ずにゴム弾をぶちこんで、アイナはショットガンのリロードを完了させてまた前へ進んでいった。


「さぁて、と」
 ビルを見る橘・焔(転生のオデュッセイア・f01608)は、屋上に居た。
 そこは、目標の建物から少しだけ離れた、しかし一番近い建物の上。
「ヒーローだけじゃない、ヒロインもいるって事、教えに行こうか」
 ゴーグルを目に、アクセルを回し、一度逆側へ離れて。
「……いっけぇー!」
 瞬間加速を入れて最高速度に達したインフェルノが、宙を翔んだ。

 逃げ惑い、しかし反撃のチャンスを伺っていたヴィラン達は、突如飛び込んできた衝撃を見た。
 壁を破壊し、やって来たのはバイクだ。
 赤色のそれは床を横滑り、
「オイタが過ぎたね、お仕置きの時間だよ」
 操縦者の小さな少女が告げた。

 焔は、一斉に向けられた銃口を前にしても、妙に落ち着いている自分を感じていた。
 いい精神的集中を得ている、と。
 身体に満ちる魔力も淀み無く、今ならいい動きが出来そうだと、そう思って。
「ふっ……!」
 前方、マシンガンの様に放たれる弾丸の雨を、光の刃で全て弾いた。
「!」
 いや、違う。
 全てではない。
 弾丸の後ろに、構えられた筒が見える。
 それは、
「ロケットランチャーだ!」
 火を噴いて行く弾頭だ。
 初速は遅く、一気に加速して、
「行っておいで」
 何かに操られる様に横へ逸れ、焔の後ろで爆発した。
「な、なんだ、何が起こっぎゃあ!」
 それに驚く間も無く、見えない何かにヴィランは攻撃される。
「言ったでしょ、お仕置きだって」
 それは、焔の魔力に寄せられた妖精達の仕業だ。
「見えず、解らず、制圧される恐怖の中で。反省するといい」

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

ベリル・モルガナイト
【POW】

オイタを。するのは。よく。ないわ。ね?
罪の。ない。人たちを。傷つける。というのなら。猶更。ね

盾を。構えて。真正面から。乗り込み。ましょう
他の方が。傍に。居れば。攻撃から。【かばう】。わ。ね?
【オーラ防御】を。併用しながら。【盾受け】で。前へ。前へ
傍まで。近づいたら。盾で。そのまま。こつんと。制圧。して。いきましょう
私が。【拠点防御】する。なら。どうするか。考えて。逃走経路も。予測。しながら。進みましょう
やるからには。きっちり。残さずに。やらないと。です。もの

【アドリブ、他の方との絡みは歓迎】




 ベリル・モルガナイト(宝石の守護騎士・f09325)。
 宝石の騎士。
 儚く淡い色合いの彼女は、混乱の溢れ返るビルに真正面から進む。
 割れたガラスをジャリッと擦り合う音を鳴らして歩き、コンクリートが剥き出しの階段を上って行った。
「罪も。無い。人達。それを。傷つける。オイタを。するのは。よく。ないわ。ね?」
 一歩一歩を踏みながら言葉を作り、いつしか登りは屋上へと到達する。
 出口の扉を開けて、街灯りで微かに白む空の下、ヴィランの団体が居た。
「ちっ、くしょおおおおお!」
 そいつらはベリルの姿を認めると、追撃から逃れられないと悟ったのか、がむしゃらな突撃をしてくる。
 対して、
「はい」
 ギリギリまで引き付けたベリルはタイミングを合わせて、とんっ、と。
「んべっ」
 構えた盾を前へ出す。
 全身で壁へと激突した衝撃の様にヴィランは仰向けに倒れ、
「おしまい。ね」
 その上から追い討ちの盾が叩き込まれた。
 射撃される弾丸は盾で弾き、そのまま歩いて近付いて、また叩いて制圧する。
 作業の様に淡々とこなして、屋上はベリルに制圧された。

大成功 🔵​🔵​🔵​




第2章 集団戦 『アーミーメン』

POW   :    アーミースタンバトン
【伸縮する警棒型スタンガン】で対象を攻撃する。攻撃力、命中率、攻撃回数のどれを重視するか選べる。
SPD   :    ラバーミューテーション
自身の身体部位ひとつを【伸縮自在のゴム】に変異させ、その特性を活かした様々な行動が可能となる。
WIZ   :    プロトデバイス
自身の装備武器に【アメリカ陸軍が開発した試作強化装置】を搭載し、破壊力を増加する。

イラスト:赤信号

👑11
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種別『集団戦』のルール
 記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。



 ヴィランの本拠地は壊滅した。
 猟兵の報せで現地の警察がそれらを回収し、何台もの車両に収容されて監獄へ運ばれていく。
 その様子を、オブリビオンは見ていた。
「おいおい、こいつぁどういう冗談だ……?」
 一人、二人、いや、さらに続々と。
 兵士を彷彿とさせる衣装に身を包む集団が、警察を見送る猟兵達へと詰め寄っていく。
「見ないヒーローがいると思ったら、こちらの思惑を好き勝手に壊してくれちゃってまあ……危険だな貴様らは」
 そうして、排除するための行動を、敵は起こした。
アズール・ネペンテス
思惑が~っていうけどそりゃ猟兵だもの。オブリビオンが暴れてたり暗躍してる案件だったら各々の理由はともかくそりゃ倒しに来るわな。

まぁ…探しに行く手間が省けたからサクッとやって貰おうとするかな
【罠使い】で足止めしてリザレクト・オブリビオンで召喚した戦力も投入しておいてあげるから他の猟兵にもう各個撃破は任せるわ…俺は物漁りに忙しいんでな。

あ、もちろん警察に証拠物件として差し出すもので自分の私利私欲目的じゃないぞ(←

(アドリブ歓迎



 ぞろぞろと現れるオブリビオンを、アズールはビルの窓から見下ろしていた。
 彼がいるのは建物の三階。拠点に残された遺留物を漁っていた所だ。
「思惑が、っていうけどそりゃ、猟兵だものなぁ。暗躍するなら倒しに来るし、その辺、この世界のヒーローもそうだろうに」
 枠の無くなったその開口に腕を寝かせ、その上に顔を乗せて眺めていた彼はそう呟いて、さてと、と体を起こして姿勢を正す。
 外に背を向け、鼻で笑った直後。
「ぬわぁー!」
 敵の叫びが聞こえた。
 ヴィラン用に仕掛けておいた罠、それが進撃したオブリビオンの足に食いついた証の声だ。
「うん、じゃあ、各個撃破は任せたよ」
 ついでの様に騎士と蛇竜を呼び出し、戦闘に向かわせたアズールの足は、一つ上の階へと向かう。
 窓から飛び出していく二体は好きな様に暴れるだろう、と、そう思い、
「俺は物漁りに忙しいんでね、と」
 階段の踏み面に足を乗せた。その瞬間。
「っ!?」
 背後に殺気を感じ、飛ぶように上階へ行った。
 踊り場で転がり、振り返って直前まで居た場所を見る。
 そこには、スタンバトンを叩きつけたオブリビオンの姿があった。
「やっば」
 冷や汗が頬を伝う。
 ユーベルコードで二体を召喚した代償に、今、自分の戦闘能力は封じられていて、しかし上に逃げれば追い詰められる。
「仕方ないな……!」
 だから、アズールの取る逃走経路は、外へのダイブだった。
 窓へ向かって跳び、頭を庇うように両腕を掲げて行く。
 体を押し上げる浮遊感の後、引きずり込まれる様な重力の落下に任せて落ち、
「しつこいな……!」
 追いかけて飛び出る敵を見た。
 逃げ場が無い空中で、着地と同時にやられる。
 そんな予感があり、そして地面へと落ちて、
「ーー!」
 強烈な衝撃が起きた。

苦戦 🔵​🔴​🔴​

ベリル・モルガナイト
危険なのは。貴方たち。の。方。ね?

また。同じような。事件を。起こさせる。わけには。いかない。もの
市民の。皆さんを。守るために。ここで。終わりに。しましょう。ね

敵の攻撃を。【おびき寄せ】るために。まずは。前へ
一緒に居る。皆さんを。攻撃から。【かばう】わ
【オーラ防御】と盾で。身を守りながら。攻撃を。【盾受け】で。受け止めて。いく。わ
スタンガンの電撃も。【電撃耐性】が。あるから。多少は。平気。よ?
【戦闘知識】で。敵の動きを。予測して。重視した。能力を。【見切り】。対応して。いきましょう



【アドリブ、他の方との絡みは歓迎】



 敵が居た。
 仲間が居た。
 追い詰められる様に、逃れられない攻撃に曝される瞬間だ。
 それを理解した瞬間に、ベリルは地を蹴っていた。
 盾を後ろへ引きながら、落下する仲間の下へ駆け寄り、彼と入れ替わる様に宙へ。
「ーー!」
 追い詰める敵のオブリビオンに向かって、体当たり気味に盾でぶっ叩いた。
「やっぱり。危険。なのは。あなたたち。ね」
 吹き飛ばす。
 敵はビルの壁に激突し、しかし他の個体がまだ落下からの攻撃を仕掛けてくる。
 伸縮する警棒は大きく伸び、放電した光を帯びて、ベリルへと振り下ろされた。
「これ。くらい。なら!」
 回避……はできない。背にはまだ、仲間の姿がある。
 そうであるならば、攻撃は盾で受け、面を流れて体に伝導される電流が痛覚を焼いても、ベリルに退くという選択肢はない。
 ……ここで。終わりに。
 決着を付けるべきだと、そう思う。
 この様な事件は二度、三度と起こさせるべきでは無い。市民の安全の為にも、世界の平和の為にも。
 だから、彼女は退かない。
 いや、むしろ前へ出た。
 復帰した敵と、着地からの二撃目を狙う敵を相手に取り、戦う。
「見切。った!」
 挟み撃ちされる形だ。
 その状況にも慌てず、敵の動きを観察する。警棒を持つ手が短くなっていれば、それは連撃の予兆で、逆に長く両手で握るなら、それは一撃の重さを高めているはずだ。
「ーー!」
 それが分かれば、向かうのは連続攻撃を仕掛けてくる敵だ。
 盾を構え、体当たり気味に食い込んで、攻撃を押し退けた。
 そうすることで猶予を作り、警戒すべき一撃を迎えられる。
 筈だった。
「っ」
 振り返り、改めた向き合いをしようとしたベリルの前には、既に警棒が迫っている。
 伸縮により、敵の間合いが延長されたのだ。
 ーー喰らう。
 その予感に身を硬めたベリルの前で、火花が散った。

成功 🔵​🔵​🔴​

アイナ・ラウタヴィーラ
敵の本隊……です?
この気配、オブリビオンですね。なら遠慮はいりませんね、実弾に切り替えましょう
あれはスタンバトンでしょう、か……。面倒です、ね
何を考えているかはわかりませんが……ろくなことじゃなさそうです
ヒーローと呼ばれるような人間じゃありませんが、まあやっていることは同じです、かね

数が多いようですから、纏っているようならミサイルランチャーで範囲攻撃をしましょう
散開されたらOld Ladyで近い位置にいる相手から攻撃、距離が空いてればライフルで狙撃して確実に数を減らしていき、ます
身体を柔らかく? 出来るようですが、ライフル弾は防げないでしょう。スイスチーズにしてあげます、ね

〇アドリブ歓迎です



「撃ちます」
 ベリルに迫るスタンバトン。それを、アイナはスコープ越しに覗いて、引き金を引いた。
 固定に地面へ接した二脚が射撃の反動で揺れ、排出された薬莢は地面に落ちて高い音を立てる。
「ふぅ」
 スコープの望遠で見えるのは、弾丸がスタンバトンを砕いて、敵の腹に穴を開けた結果だ。手応えを感じながら、弾を込めてリロードを完了させる。
「なにを考えているかは、わかりませんが……」
 オブリビオンである以上、ろくなことでは無いのだろうと、そう思う。
 別に自分は、ヒーローと呼ばれる様な者ではないけれど、引き金を引いた。
 空気を叩く様な音の衝撃と共に、射出された弾丸はまた敵の体に穴を開ける。
 一般的に悪と評される敵を倒すのだから、結果的に同じ。なの、だろう。
 ……ええ、多分。
 自信はあんまり無い。
「まあ、些細な事……です。こゃ」
 立ち上がり、音に引き寄せられたオブリビオンの群体に向かい、
「数が多い、です」
 拾い上げたロケットランチャーを構えて弾頭をぶちこんだ。
 炸裂したそれは広い範囲に熱と衝撃を伝えーー端的に言えば敵を纏めてブッ飛ばした。

大成功 🔵​🔵​🔵​

夷洞・みさき
まだ船に乗っている。

おや、今度はオブリビオンの様だね。
なら遠慮はいらないね。

君達はヒーロー、ヴィランどちらだったのかな。
どちらでも僕には関係ないけど。

【POW】
力比べは苦手だから、君達が強化しても関係ない方法で君達を潰そう。

即ち

船体自体を直接叩きつける、もしくは落下して潰す【踏みつけ】。

避ける敵には落下しつつ砲撃し、範囲内に拘束【ロープワーク】。

逃れた敵には砕けた船が放つ【呪詛】で【恐怖を与える】

君達と同類の鎖だから、そう簡単に外せないよね?

それに、同類だから…何度も出航できるんだよね。

オブリビオン化している船の扱いは雑。
何故なら本体は未だ失われた故郷の港で朽ちたまま眠るのだから。


アド絡み歓迎


橘・焔
○心情
…危険、ねぇ
その言葉、そっくりそのまま返してあげるよ

【SPD】
「…アンタ達が裏で糸を引いてたヤツら、だね」
マフラーを直し、気合を入れ直すように一度エンジンを空吹かし
「さっきはあくまで人間相手だったから本気出せなかったけど、相手がオブリビオンなら遠慮はいらないよね」
愛機:インフェルノを巧みに操縦し、ゴム人間と化した相手の攻撃を可能な限り回避
距離を詰め、加速度と加重を加えた車体を思いっきりぶつけて吹き飛ばす!
「…痛かった?でもアンタらの悪事で傷付いた人達はもっと痛かったさ」
啖呵を切り、魔力で生成した捕縛具で敵を拘束、力の限り締め上げて無力化
「…でもコレで終わりじゃない気がする。何だろう…?」




「おや、今度はオブリビオンの様だね」
 船の舳先に立ったみさきは、眼下を眺めている。
 猟兵達が戦う群れの兵隊、その様は明らかに先程までのヴィランと違い、普段目にするオブリビオンと遜色無い。
 だからそうなのだろうと自然に思って、それならもう遠慮は要らないな、と。
「潰すよ。僕は力比べが苦手だし、ね」
 空を泳ぐ船を、そのまま墜落させた。
 空気を押し退ける煩い音と共に、剥き出しの竜骨が敵を圧し潰そうとして行く。
 メキメキという、木組みの骨子が負荷に耐えられず割れて砕ける感触が足裏から伝わるが、
「なに、この船も君たちと同じだ。過去に在って現在に顕れる、何度でも。だから遠慮せずに、砕けていきなよ」
 みさきは気にしなかった。
 左右に備えた砲門を、逃げ出した敵を補足すべく照準をさ迷わせる。
「……?」
 だが見えない。
 全員揃って潰したのか?
 そう小首を傾げた彼女の元に、メキメキとした音が届く。
 墜落からずっと鳴っている音だ。
 自重によって軋んでいるのかと、そう思う。
「ーーいや違う、これは」
 しかし違う。
 それは。
「船を壊して突っ込んで来たのか……!」
 スタンバトンで船を壊して道を開く、敵の動きによるものだった。
 それが。
「ーー!?」
 到達する。


「ちょっと待った……!」
 船上にて詰め寄られるそこへ、飛び込んでくる者が居た。
 インフェルノと名を与えたバイクに跨がる焔だ。
 フルスロットルで地面を走り、段差を使って空へ行って、前輪を持ち上げながらみさきの前へ。
「……もう遠慮しないよ」
 高速回転をするタイヤを、そのまま敵へ叩き込む為に、体重を前へ掛ける。
 さっきまでの相手なら死なせてしまう危険な動きだが、オブリビオンなら気にする必要もない。
 そういう、殺意のある攻撃だ。
「っち」
 だが紙一重、敵は飛び退いてそれを回避する。
 機体は船上の床を砕いて跳ね、不規則な軌道で少し滑って止まった。
「私たちを危険って言ったけどさ」
 焔はアクセルを回す。
 足を地面に着けて軽く抑え、
「その言葉、そっくりお返ししてあげるよ……!」
 エンジンの回転数が最大になった瞬間に走った。
 コンマで最大速度に達して迫る目の前、オブリビオンが伸ばした腕による迎撃が見える。
「ッ」
 前輪にブレーキを、後輪が前に行くように滑らせ、機体が直角になった瞬間で体を寝かせる。
 そうすることで勢いのまま、寝転ぶ様な体制で床を滑った焔は攻撃を回避と同時に距離を詰めた。そして、
「ぶっ飛べ!」
 体当たりで衝撃をぶちこんだ。
 反動で焔の動きは止まり、吹き飛んで行くそれへと手を伸ばす。
 その届かない手は、魔力で形成された拘束具が延長され、敵を捕まえ、
「痛かっただろ。でも、アンタらの悪事で傷付いた人達はもっと痛かったさ……!」
 思いきり引いて床へ叩きつけた。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

照崎・舞雪
なんです、あれ
新手の変態集団とかそういうのです?
私、ヒーローのロマンとかそういうのまったく分からないし求めないですけど
アレは流石にどうかと思うのです(無駄に挑発)

ところでアレはオブリビオンでいいんですよね?
じゃ、遠慮なく攻撃しちゃいましょう

来なさい、アイシクルフェニックス
あの連中を凍らせてしまうのです!

試作強化装置とか知らないのです。なんかこれ見よがしな強化パーツなので優先的に攻撃して破壊しちゃいましょう、うん



「……なんです、あれ」
 落ちてきた船、それを棒一本で掘り進むピリッとした軍人風のスキンヘッド。
「なんなのでしょうあれは」
 自問する。
 ……ああ、なるほど。
 ポン、と手を打ち、自分なりの解を得た舞雪は一つ頷いた。
「新手の変態集団とか、そういうのですね?」
 それなら納得です、と。
 言葉に、ギョロりとこちらを向く敵の集団にも涼しい顔で、彼女は一歩を踏み出した。
「私、ヒーローのロマンとか、そういうの全く分からないし求めないですけど、はい。ソレは流石にどうかと思うのです」
 納得しても理解はできない、そういうものだ。
 結果的に言葉での挑発した形になって、それに釣られたのか敵は舞雪を目掛けて来て、
「ところであなた達はオブリビオンでいいんですよね? 遠慮なく攻撃しちゃいますけれど」
 振りかざす警棒が腕ごと凍りついた。
「さあ、アイシクルフェニックス。あの連中を凍らせてしまうのです!」
 それは、彼女の背後に寄り添うよう舞い降りた青氷の鳥によるもの。
 翼の羽ばたきで風を起こし、撫でる全てを凍えさせ、オブリビオンの武器に搭載した強化装置を起動不良で破壊した。
 まあ、ただ。
「ふぅ……」
 吐いた息が白く立ち上るそこに、舞雪以外の生命はもう居なくなったのだが。

大成功 🔵​🔵​🔵​

ペイン・フィン
さて……。
どうやら、黒幕に近づいた感じ、かな?

……ここからは、遠慮無く、行くね。

コードを使用。
使う拷問具は、ナイフ“インモラル”、スタンガン“ニコラ・ライト”、毒湯“煉獄夜叉”。
1対1体を確実に、スタンガンでマヒさせ、スタンガンで切りつけ、毒湯で弱らせていくよ。

……悪人の思い通りに、させるとでも?



 アーミーマンとの戦闘をペインは繰り広げる。
 伸びた腕が鞭のようにしなり、横に振り抜かれたそれに対して、彼は体を屈めた。
「……」
 通り過ぎ様、スタンガンを腕に打ち込む。
「なんだその弱っちぃ電流は、効かないねぇ!」
 だがゴムの特性を得た腕は、言わば絶縁体と同義の素材だ。
 生半可な電流は分厚いそれに阻まれ届かない。
「黒幕は、他に居る感じ、かな?」
 しかし、その事実にさして驚く様子もないペインは淡々と言葉を作り、ただの呟きとして戦いの動きを続ける。
 スタンガンを片手持ち、柄に刃以外も納めたナイフを握って、
「何をしたって無駄なんだよヒーロー! そんなちゃちなオモチャじゃ」
「ヒーロー?」
 懐に入り込んでスタンガンを腹に当てた。
 スイッチを入れ、放出される電撃は届かなくて、しかし、高圧電流は痺れ以外の効果を敵に与える。
「ぎっーー!?」
 焼け、だ。
 表皮を焦がし、脆く崩れて肉は露になる。
「ぎざ、ま、ぐおッ」
 そこへナイフを突き立て、抉り、穴を開けてから毒湯を注ぎ込む。
 神経を侵す毒を。
「あっぎち、が……」
 強烈な毒素が体を回り、膝から崩れ落ちたオブリビオンはピク、ピク、と痙攣してから、息絶える。
「ヒーローなんかじゃないけど。でも。悪人の思い通りに、させるとでも……?」

大成功 🔵​🔵​🔵​

雨宮・いつき
彼らが先ほどの方達に力を与え、自分達の都合の良いように動かしていたんですね
…ヒーロー。なるほど、僕達の事をヒーローと呼んでくれますか
ならばヒーローらしく、悪事を企てるあなた達を退治してあげます!

武器の破壊力が高かろうと、当たらなければ問題になりません
距離を取り、管狐達を呼び出しましょう
纏めてやられてしまわないよう、敵を包囲するように位置取って下さいね

管狐達による狐火と小刀の波状攻撃で足止めをしている間に、僕は術の準備を
構えた朱音の刀身を砲身とし、稲荷符と雷撃符を沢山宙に浮かべ、
存分に霊力を込めて増幅した雷の砲撃です(【力溜め】【全力魔法】【属性攻撃】)
絶縁体だろうと焼き切りますよ!



「彼らが、先程の方達に力を与え、自分達にとって都合のいいように動かしていたんですね」
 なるほど。
 頷きを一ついれ、いつきは構えを改める。
「ヒーロー」
 そう、敵は自分達をそう呼んだ。
 勘違いではあるが、しかし、動きを見てそう感じたということならば、
「なるほど。僕達をヒーローと、そう呼んでくれるのならば。悪事を企てるあなた達を退治するのは必然です!」
 存分にそう振る舞おう。
「さあ御勤めの時間です! 勧善懲悪と参りましょう皆さん!」
 その為にいつきが最初にしたのは、小型の管狐を無数に召喚することだ。
 それらは散らばって、一纏まりになっていたアーミーマンを四方から包囲する事で足止めし、同時に一撃で消えてしまう脆さをカバーしている。
「くそっなんだこのちびっこいのは……目障りだぞ!」
 スタンバトンを掻い潜り、小刀で斬り付けたり狐火で火傷させたりして攻撃する管狐は、しかし撃破を目的とした動きではない。
「来ませいーー」
 真の目的は、一網打尽。
 その為の準備として、いつきは精霊を両刃剣に変え、切っ先を前に。
「来ませい!」
 懐から溢れ出させた符の束を、自分を中心に回転させて柱の様に並べ、芯に佇むいつきへ力を集中させる。
「これで終わりです……!」
 抑えきれない霊力と放電が極まった瞬間、稲光と共に雷の砲撃が空間を焼き、アーミーマンを纏めて白光の中に飲み込んだ。

大成功 🔵​🔵​🔵​




第3章 ボス戦 『アシュラレディ』

POW   :    阿修羅旋風
予め【六本の腕に持った刃物を振り回す】事で、その時間に応じて戦闘力を増強する。ただし動きが見破られやすくなる為当てにくい。
SPD   :    ブレイドストーム
自身が装備する【愛用の刃物たち】をレベル×1個複製し、念力で全てばらばらに操作する。
WIZ   :    シックス・ディフェンス
対象のユーベルコードに対し【六本の刃物による連続斬撃】を放ち、相殺する。事前にそれを見ていれば成功率が上がる。

イラスト:otomo

👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠山田・二十五郎です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


「あーぁ、今回は失敗だったかぁー」
 ヴィランは捕まり、尖兵であるアーミーマンは殲滅された。
 その様を、無人となった筈のビル上から覗く者がいる。
「ま、そういうこともあるか。なによりあいつら、そこらのヒーローより強そうじゃん……はは、来た甲斐はそれだけで十二分さ」
 アシュラレディ。
 数々の悪行に雇われ、ヒーローと戦い続けた戦闘狂。
「さあ、私とも遊んでよ、ヒーローじゃないヒーローさん……!」
 それが、墜落するように猟兵達へと、強襲した。
アズール・ネペンテス
なるほど。黒幕はアイツか…腕六本だから異形系の異能か?そういやバイオモンスターだか何だかってのもいるって言ってたな…

そして言動と態度から常に戦闘意思を出し続けるタイプと見たが…搦め手小細工一切なしってタイプが一番相手にしやすいタイプであり時として一番めんどくさいタイプでもあるんだよなぁ

まぁいいや…ちょっと【挑発】してつっついてみるか。引っかかればUCで強化して殴りに行くだけだし失敗なら【武器落とし】【罠使い】で弱らせて後の猟兵に任せるだけだ。

しかし本当にちょっと割に合わん仕事だぞこれ。もうちょい報酬増やしてくれてもいいんじゃねぇかね

(アドリブ歓迎


ベリル・モルガナイト
貴女を。倒せば。おしまい。ね
戦いを。遊び。だなんて
そのために。たくさんの。人を。巻き込むのは。見逃せない。わ
その人たちを。守るために。私。という。盾は。あるの。だから

私の。できる。ことは。変わらない
前へ。前へ。出ていく。わ
振り回している。刃物へ。【シールドバッシュ】で。盾を。叩きつけて。割り込ませる。わ
わざわざ。強化。させる。なんて。させない
【オーラ防御】で。体を守り。動きを。【見切り】。ダメージは。抑える。わ
他の人を。攻撃。しようと。するなら。【かばう】で。割り込む。わね


【アドリブ、他の方との絡みは感激】


アイナ・ラウタヴィーラ
まだ敵が残っていました、か。腕がいっぱい……阿修羅?
あの目、戦いに酔った人の……
貴方も生死を賭けて争う人の精の煌きに魅入られたの?

……ともかく、あれが敵のリーダーです、ね。迎え撃ちましょう
近接戦が得意そうですね、殴り合いは不利になりそう、です
距離を取りつつ銃撃で攻撃しま、しょうか

ライフルでスナイパーと2回攻撃の技能を使った連続射撃で動きを止めつつ、接近されたらオーラ防御で相手の攻撃を警戒しつつ、素早くリバルバーに持ち替えて回数重視のOld Ladyを叩き込みましょう

ここは戦場。ヒーローでもないですし、ヴィランがまさか卑怯だなんて言わない、ですよね?



 六刀が行く。
 上、中、下。三方向が、左右からだ。
 一点を突き刺す様に落ちるそれを、ベリルが迎えた。
「貴女を。倒せば。この。騒動も。おしまい。ね!」
 上空から降るのだから、その真下で盾を掲げれば、自然と受け止められる。
 自ら迎える事で、狙いを仲間へ向けさせないつもりだ。
「イひッ」
「ーーッ」
 ガッと削る音と共に、掲げる腕に重みが来る。
 衝撃に足は折れ、伝う威力が地面を砕いた。
「こいつが黒幕か……腕六本だから、異形系の異能か?」
「腕いっぱい……阿修羅、でしょうか。それより、あの目……」
 守られたのはアズールと、それからアイナだ。
 ……戦いに、酔いしれる人の目、です。
 生死の行方を賭け、争う事でしか見れない輝きに魅入られた。そういう目だと、アイナは思う。
「殴り合いは、不利になりそう、ですね」
 あれは、傷を傷と思わないタイプだ。
 だから少女は後ろへ下がり、逆にアズールは前へ出る。
「全くめんどくさい……」
 搦め手、小細工を用いる事も無いのだろう。
 そういう、直情で動いて単純に強い敵と言うのは、相手にしやすく戦いにくい。
「つまり脳筋バカって事だこのバーカ!」
「え、私のこと? んーつまり君もやりたいのねいいわ!」
「うわやっぱり来た……!」
 簡単な挑発……とも言えないような言葉を、脳内で『喧嘩しようぜ』に変換して、勝手にやる気を出して来る。
 ベリルの盾を足蹴にして沈め、アズールに向かって一直線を跳んだレディは、
「速い……ッ」
 瞬間で間合いをゼロにした。
 自分に向けられた戦闘意思に応じて自分自身を強化する。そういうユーベルコードの発動を示すオーラは、振り抜かれた六刀が切り裂く。
「しまっ」
「ほらもっと、もっと楽しーー!」
 嬉々として、鬼気を孕んだレディの笑みが、アズールの前でぶれた。
「がっ、くぅ~……! 効くねぇお嬢ちゃん!」
 それは横手、距離を取ってライフルを構えたアイナの一撃……いや、二撃だ。
 一射目はこめかみに。二射目は鎖骨の中を通る様に胸へ。
「ほんとに効きましたか、それ」
 人間相手なら致命傷のそれを、オブリビオンは笑って受けていた。
 呆れるように呟いたアイナの声に笑みを濃くして、六腕に持った刃を回して遊ばせる。
 頭を揺らされた衝撃に足はふらつかせ、
「痛かったぜぇ~死ぬほどさぁー!」
 笑ったまま駆けていく。
 刃は高速回転を始め、ヴィヴィッドレッドの髪をなびかせて行く動きはやはり早く、迎える射撃は掠らない。
「だからアンタも死ぬほど痛くなりな!」
「ーーなるほど」
 考えとしては普通の流れだとアイナも思う。
 ただまあオブリビオンと違って、自分は死ぬほど痛いとやはり死んでしまうので。
「お断りします、ね」
 丁寧に拒絶して、ライフルから手を離し、ホルスターのリボルバーを抜いた。
 目の前に迫る凶刃を、前髪の奥の瞳が静かに見る。
「だめだめだめダメ受け取って!」
「無理強い。は。よくない。わね」
 その視界に、壁が割り込む。
 堅固に立ち向かう強靭な壁。攻撃のショックから復帰したベリルの盾だ。
「無理は良くないぜおい、さっきも防げなかったろ、この六刀がよぉ!」
 儚く淡い盾が、攻撃を受け止める。
「さっきとは違うよ」
「さっき。とは。違う。わ」
 それは、先程よりも苛烈で、先程よりも威力が出ていない。
 何故なら。
「何故って、お前の刃は俺が盗ったからな」
 直前で作動したアズールのトラップが、アシュラレディの手から武器を二つ、落としたからだ。
「追加報酬も出ないし、割りに合わない仕事だよほんと」
「手癖、悪……!」
 その手腕に、悪態を吐いた事が、彼女の命運を分けた。
 意識が逸れたほんの一瞬で、眼前に突き付けられるのは冷たい銃口だ。
「Lady? ここは戦場」
 トリガーに掛けた指が迷い無く引かれ、
「ヴィラン相手に手段を選ばないことを、まさか卑怯だなんて、言わない、ですよね」
 ハンマーに叩き出される弾丸が、アシュラレディの身体に連続してぶちこまれた。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

照崎・舞雪
またあからさまに悪役っぽいのが出てきましたねー
私、ああいう敵と真正面から戦うのって得意じゃないので、皆さんにお任せしても?

敵の攻撃に合わせてコードレス・アイスエイジを放つのです
最初の一回は、まぁ失敗してもいいのです
つまり見せ札
私への警戒心を煽るわけですね
ほれほれ、貴女の攻撃を妨害する準備はいつでもできてるのですよ、っと

ところで、強力な冷気と連続斬撃がぶつかりあって打ち消し合うって格好良くないです?私はちょっと格好いいと思うのです
まあその隙を皆さん容赦なくついてくれればいいのですけど


雨宮・いつき
…っ、先の者達の親玉ですね!
絡新婦か何かのような、只者ではない空気を醸し出す佇まい…
一瞬の油断が命取りになりそうです

白兵戦となればこちらが不利
雷撃符の攻撃に加え、先の戦いの残骸を鋭利な石柱に変え撃ち出し、
距離を取っての戦闘を行います
敵もさる者、相殺しながら間合いを詰めて来るでしょうが…

路面の下に詰められた砂だって無機物
操り、路面を突き破って自分の足元から噴出させ、
僕自身を空中に飛ばす事で敵の攻撃を回避
続けざまに、敵の周囲を覆い圧し潰す濁流のように砂を浴びせます!

視線を上空へ誘導し、砂の対処に追わせれば足元が死角になる
飛び上がる直前に放っておいた起爆符をその死角から敵に集中させ、一気に爆破です!



 アシュラレディは仰向けに倒れる。
 近距離からの銃弾を受けたのだから、そうなるのは当然だ。
「ーーひっ」
 びくんと息を吸う音が鳴って、胸が空気に膨らんだ。
「……ひひ、ひひひっ」
 楽しそうに笑って起き上がり、折角吸った空気を全て使って、それから叫ぶ。
「さいっこー……!」


「先の者達の親玉、ですね……まるで絡新婦の様で、只者ではない空気を醸し出しています」
 刹那の油断すら出来ないと、いつきは思う。
 近付く事も、得策ではない、と。
「まああからさまに悪役っぽい見た目で出てきましたからねー。私、ああいう敵と真正面から戦うのって得意じゃないので、他の方に任せたいです」
 理由はどうあれ舞雪も同じ考えだ。
 だから彼女も距離を取る為に下がり、丁度いつきと反対側。真ん中にレディを置く形で位置を決める。
「んぉ?」
 右へ、左に。顔を右往左往させて現状を理解したレディは、キョトンとした表情から一辺。
「……ひっ!」
 足を肩幅に開き、腰を落として笑った。
 自ら移動を捨て、その場に留まり迎撃する。そういう、行動の指針を見せる構えだ。
「間合いを詰めるつもりはない、こちらの得意距離で戦おうと、そういうことですか……!」
 得意な間合いより相手のフィールドで戦おうと言うリスキーな行動は、いつきには到底理解の範疇ではない。
 ないが、しかし、納得は出来る。
 これが、戦いに魅染められた在り方なのだ。
 ならば。
「ならば、荒ぶる山神、その力の断片をお見せ致しましょう!」
 パン、と柏手を一つ。拝む為の動きに請われて起こるのは、彼の周囲に散らばった瓦礫の屹立だ。
 それらは浮かび、長手を地上に対して平行になって、先端は鋭く尖った柱となる。
「なにそれなにそれすっご、やっぱアンタってヒーローの」
 それを見て、アシュラレディは驚嘆と歓喜を混ぜ合わせた笑みを浮かべ、しかし言葉を言い切るより前にそれは射出された。
「ーー!」
 六剣が、柱を迎撃する。
 一つ、七つ、二十。
 打ち落とす技術にブレは無く、それは無限に続けられる様に見えた。
「警戒が薄いと思います」
 だが、それは終わりを迎える。
 空間ごと凍て付かせる程の冷気を放つ舞雪の手によって。
「うおさむっ」
 アシュラレディの手首が凍り、剣はすっぽ抜けて、迎撃出来ない柱が彼女の身体を吹き飛ばした。
「ここ……!」
 いつきは手を緩めない。
 柏手をもう一つ鳴らし、着地するレディの足元から砂の爆裂を起こして囲う。
「圧し潰します!」
 包み込み、圧力で全身を砕く。
 手加減無しの一撃はそうなる筈で、
「顔に似合わずグロいじゃん?」
 しかし、念動力で遠隔操作された六剣が、外から砂を切り開いてレディを救出した。
「それなら、これです」
 飛び出る所を、舞雪の冷気が襲う。
 ……ええ、妨害の準備は十全です。
 警戒させる為に、わざわざ注意を引いてからユーベルコードを使って見せたのだ。
 手を割かせ、隙を作る一手となる筈だが、
「……え、それありなんですか」
「ありなんですよ、ヴィランだもーん」
 複製した六剣がレディの手を離れ、凍てつきを阻む。
「無茶苦茶ですね……!」
 苦虫を噛む顔でいつきは柱を撃ち出し、しかしそれは本来の六剣が砕く事で阻まれてしまった。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

ペイン・フィン
やれやれ……。
なんというか、面倒なのが出てきたね。
……こんな遊び、嫌いなんだけど、ね。

コードを使用。
相手の攻撃を避けながら接近し、攻撃するよ。
使用する拷問具は猫鞭“キャット・バロニス”。
向こうが無数の武器を扱うなら……。それを避けるまで、だよ。



「やれやれ」
 長く続くやりとりを終わらせたのは、ペインだった。
 深く、長い息を吐き出した彼は、息を吸い込んで、また溜め息として吐き出す。
 ……面倒なのが出てきた。
 と。
 胸中でそう思い、動く。
 瞬間移動で背後に回る彼は、数ある拷問具の一つ、九つの爪を有する鞭を振るった。
「……こんな遊び、嫌いなんだ」
「お」
 狙いは六つの刃。
 引っ掻け、引っ張り、引き倒して。
「強引なのね……?」
 手元へ戻したそれをレディの肉体に食い込ませる。
「いたたたたっ」
 ぶちぶちっと言う肉の引き千切れる音が鳴り、肌が吹き出た血で染め上げられ、
「な」
 上空から振り落ちる刃が爪を弾き飛ばした。
 それらは無数にあり、ペインへ向かって前進して落ちていく。
「っと」
 慌てない。
 瞬間移動を発動させ、レディの横手へ飛んで再度の鞭を振るう。
 だが。
「また釣り上げる気? でもだめ、今度は貴方の番よ?」
 九つを、複製の刃が迎えて引っ掛かる。
 それは思い切り鞭を引っ張り、ペインを引き寄せて、
「ふぃっしゅ」
 楽しげな声で斬襲された。

苦戦 🔵​🔴​🔴​

橘・焔
◯心情
…アンタが頭か、随分と冷静なこと
なら素直に“骸の海”へ還れ

【POW】※アドリブ、連携可
アイドリング中のインフェルノに跨がったまま現れた敵を見据える
「…こんにちはヴィランさん、そしてサヨナラ」
相手が口上を述べる間も与えずエンジン全開で戦闘開始

高速の蛇行軌道で接近しつつ“光の刃”で斬りかかるも六腕の剣技には苦戦するはず
機体の操縦と剣檄を繰り返しつつ小声で詠唱を開始
広く拓けた場所に誘い込んで真の姿を解放、魔力を放出して上空に大量の十字架を生成する
「…気づいた?ご自慢な六腕で防いでみなよ。『時よ止まれ、汝はいかにも美しい』!」
スッと着地し、光の十字架の丘となった敵を確認
「…ヒロインもお忘れなく」



 目の前で、鮮血が飛び散る。
 空へ放たれたそれは飛沫で、びちゃっという音と共に地面へ。
「……アンタが頭か」
 エンジンの震えを腰に感じながら、焔は短く呼吸して息を整える。
 言動から受ける印象と違って、随分と冷静だ。
「素直に骸の海へ還れよ、ヴィランさん」
 だから、苛烈に行こう。
 エンジンはフルスロットル、初速から最大加速で、光の刃で斬りかかる。
「ーーッ」
 打ち合いの甲高い音が鳴り、衝撃にタイヤが振れて進路が定まらない。
「どんなに不規則に動いたってサー、所詮動きの決まった乗り物でしょ?」
「ーー読みやすいって言いたいわけ?」
「そういう、こと!」
「ーーくっ」
 蛇行運転からの一撃にも、対応されて打ち返される。
 ブレーキを効かせ、後輪を滑らせて迂回し、
「ーー」
 行く。
 しかし弾かれ、もう一度行き、やはり弾かれて。
「もういいでしょ、これでサヨナラよ」
 六剣がすれ違い様に焔を吹き飛ばした。
 反動で小柄な体は浮かび、宙を回転して、
「ーー祝福ヲ」
 詠唱は完了した。
 ビルの壁に足から着地し、一瞬の停滞を得た彼女は力を解放する。
 瞳は輝き、虹の光彩を発しながら跳び、レディの直上へ。
「まさか、ずっと準備してたの?」
「気づいた? でももう遅い、ご自慢の六腕で防いでみなよ!」
 光があった。
 焔を中心に、十字を象る光の群れが、レディを見ている。
「時よ止まれ、汝はいかにも美しい」
 そして、降り注いだ。
「ひっ」
 笑う。
 刃を構え、自分へ殺到する死の墓標を見て、レディは笑うのだ。
「ひひひっ!」
 弾く、弾く、弾く、弾く弾く弾弾弾。
「……そうそう。ヒーローじゃないよ、私は」
 着地し、輝きを失った焔は瞳を伏せてから背を向ける。
「ヒロインもいるってこと。覚えて還れ」 サヨウナラ。
 お別れの言葉は、静かに空気に飲まれた。

大成功 🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2019年04月15日


挿絵イラスト