くすくす、くすくす、くすくす…。
その花園は、町から離れた場所に位置していた。
くすくす、くすくす、くすくす…。
笑い声が響き、静かな森は胎動している。
くすくす、くすくす、くすくす…。
花園は。笑う。嗤う。隠した宝石は風に舞い、輝いた。
グリモアベースに猟兵たちを集結させた緑髪の少年、キケ・トレグローサ(たった一人の流浪の楽団・f00665)は自分の予知した景色を思い返しては、ほぉ、と溜息をつく。
「はぁ…。あ、ごめん…みんな。集まってくれて、その、ありがとう」
普段、内気であまり会話が得意ではないキケの本心が垣間見えるように、しどろもどろになりながら手製の資料を配る。芸人として人前に立つときには切り替えるキケが、グリモア猟兵として猟兵の前に立つときにこのような状態になるのは珍しいことだった。
「えっと…ごめん、いま、切り替えるから…ね」
両の手で頬を軽くたたくキケ。軽い痛みで緊張感を戻したようだ。
「よし、それじゃあ説明に入るよ。今回はアックス&ウィザーズでオブリビオンたちの活動を予知したよ。場所は郊外の森の花畑。配った地図で確認してね。この花畑にオブリビオンの妖精たちが住み着いて、何やら活発に活動しているみたいなんだ。この妖精たちは花畑に侵入したよそ者に容赦がないらしい。今は被害は出ていないけど、いつ誰がこの花畑に迷い込んでひどい目に合うか分かった物じゃない。みんなにはこの妖精たちと、その活動が活発になった原因の排除をお願いするね」
オブリビオンとして蘇った妖精たちを、一般人に被害が及ぶ前に排除し、その後同じことが起こらないように原因も排除する。という流れだ。
「妖精たちが活発になった原因なんだけれど、予知でも不明瞭だったんだ。かろうじて分かったのは、『キラキラして、風に吹かれて舞っている何か』ということと、妖精たちはその原因を大切に扱っていること。予知でちらりと見たんだけど…すごい、きれいだったよ…。あ、ええと…妖精たちを退治しながら、この原因についても注意を向けておいてね。よろしくお願いね」
キケが最初に呆けていたのはその原因に見とれていたからか、原因について話したキケのは最初と同じように少し語気が弱くなる。だが、緊張感を奪うほどの綺麗な物体ならば、探索もそこそこに発見が可能だろう。
資料の内容はそれでおおよそ説明がされた。キケは転送のためにグリモアの起動準備に入る。が、顎に手をあてて、やや考え込んでから迷ったように口を再び開いた。
「それと、ここからは曖昧なんだけど…オブリビオンたちの活動のせいで花畑が一種のダンジョンの様になってるかもしれない。つまり、あくまで例えだけど…攻撃性のある植物や睡眠作用のある花粉と飛ばす花だったり…そういう予期しない妨害が入るかもしれないから十分に注意して。杞憂だと、いいんだけど…」
不安そうに口をゆがめるキケ。グリモアは起動準備を完了した。花畑が魔境と化していても、猟兵たちがやるべきことは一つだけだった。
Yggd
こんにちはYggdです。きらきらしてるものだったら私は断然ザラメがいいです。甘くておいしいですよね。色気より食い気です。
アックス&ウィザーズの世界で何やら不審な花畑が出現した模様ですね。妖精と彼らが守るキラキラ、その二つの排除が今回の目的となります。
1章は妖精やキラキラによって変貌した花畑を探索しましょう。思わぬ危険があるかもしれません。対策は万全に。
続く章では妖精やキラキラの排除に向けて活躍していただきます。
それでは。皆様の輝くようなプレイングをお待ちしています。
第1章 冒険
『魔性の花園』
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POW : とにかく脇目も振らずに進む。
SPD : 花の少ない場所を見つけて進む。
WIZ : 慎重に対策を施して進む。
👑11
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴🔴🔴🔴🔴🔴
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種別『冒険』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
高階・茉莉
アドリブや他猟兵さんとの絡みも歓迎
■心情
綺麗な花園は好きですけど、それが私達に害をなすなら
放ってはおけないですね。
ちゃんと原因を突き止めましょう。
■行動
WIZ判定の行動を取る。
私は、花の花粉に喉をやられてしまわない様に
ガーゼを使ってマスクをしておきますね。
後は『視力』で遠くまで見回して安全そうな道を探し
『世界知識』で、普段見慣れない怪しい植物には近づかない様にします。
『学習力』で今まで通ってきた道を覚えておき、
道に迷わない様に注意しておきますね。
「ふう、この道はどこまで続くのでしょうか、流石に疲れて来ましたね……」
休憩時は、周囲に危険な植物が無い事を確認してから休みますね。
アックス&ウィザーズの街道をそれ、地図を頼りの猟兵たちは予知のあった森を目指す。高階・茉莉(秘密の司書さん・f01985)もその一人だ。赤い縁取りの眼鏡を通して、優し気な瞳をあちこちに彷徨わせ、目の前に広がった広大な森林を見上げ、はぁ、と感嘆の溜息をつく。この森を抜けた場所が件の花畑だ。
(綺麗な花園は好きですけど、それが私達に害をなすなら放ってはおけないですね)
うん、と一人で頷いて改めて気合を入れなおす茉莉のその様子も、どこかのんびりとしていて愛らしい。
くすくすくす…。
茉莉はあらかじめ用意しておいた当て布を口にかぶせ、花畑の花が飛ばす花粉を防ぐ準備をして森を歩み、そして抜けた。一面に広がる色とりどりの花畑、絵の具を空から降らせたかの様に、様々な色彩が目を楽しませる。森から延びる一本道は、その花畑を両端に置いて真っすぐにその奥へと延び、その道を行けば視界の限りを花々が埋め尽くす。
茉莉も、ゆっくりと周囲を見渡しながら道を歩みだす。周囲を森に囲まれた花畑は時に道を曲げながら、森の間を縫うようにずっと、ずっと続いている。
「ふう、この道はどこまで続くのでしょうか、流石に疲れて来ましたね……」
茉莉は数刻も歩いたけれど、道は終わらない。足に疲労が溜まり、茉莉は腰を下ろして休息をとる。いったどれだけ巨大な花畑なのだろう。一向に途切れる気配は見せず、予知に見たという妖精もキラキラと輝く何かも見当たらない。
くすくすくす・・・。
茉莉はしばらく休み、また、歩み出した。
くすくすくす…。
ぐるぐるぐる…。
茉莉は更に数刻歩いた時、その道は唐突に終った。
「え?ここは?」
そこは、花畑に足を踏み入た森の終わりで花畑の最初の場所。茉莉は数刻をかけて振り出しに戻されたのだった。
苦戦
🔵🔴🔴
ラザロ・マリーノ
【SPD】
ひょっとして花粉や香りじゃなくて、視覚から何か影響を及ぼすようなモンなのか?
花の少ないところを選んで、出来るだけ花を見ないようにしながら進むぜ。
出来れば目を閉じて、エコーロケーションを頼りに進みてえところだが、花畑じゃあ反響が帰ってこないから仕方ねえ。
それと、定期的に太陽と影の位置を確認して、大雑把な方角を把握しておくぜ。
夜なら星の位置からもっと正確な方角がわかるんだが…。
しかし、見た目に反してかなり厄介な場所だな。
まあ、やってみるしかねえか
※アドリブ・連携歓迎
森の中に広がった極彩色の花畑を眺め、ラザロ・マリーノ(竜派ドラゴニアンのバーバリアン・f10809)は傷跡の残るその厳つい顔を不快に歪ませる。
「ひょっとして花粉や香りじゃなくて、視覚から何か影響を及ぼすようなモンなのか?」
先行した猟兵の様子から、花粉や香り以外にも事件の根幹を守るような妨害が働いているのではないかと予測を行う。
くすくすくす…。
入っておいで…。
くすくすくす…。
ラザロは静かに目を閉じちっ、ちっ、と舌を鳴らす。エコーロケーションという音の反響により、視覚に頼らずとも周囲の状況を確認できる技術を試しているのだ。だが、閉鎖空間ではない屋外では音の反響が小さく、加えてここは音を反響させるような大きな物体の少ない花畑だ。訓練されていてもその微弱な反響を正確に感じ取ることは難しい。
「やっぱ、ダメか…仕方ねぇ。まあ、やってみるしかねえか」
花畑に足を踏み入れ探索するのは諦め、ラザロは花畑と森の境界を歩き探索する。太陽の位置を定期的に確認し、自分の方角を見失わないようにしながら花畑の規模を探るのだ。
「星空なら、もっと正確な方角がわかるんだが…」
木々の間から木漏れ日を投げかける太陽に恨めしい目を向けながら、花畑の周囲を確認しラザロは花畑のおおよその規模を測り取る。
くすくすくす…。
怖い顔…臆病者…。
くすくすくす…。
ラザロは花畑を避けるようにして、その周辺をぐるっと一周する。するとどうだろう。花畑の規模は先行した猟兵の言うほど巨大ではない。確かに広大ではあるが、数刻も歩けば探索しきれる程度の広さしかないではないか。
「見た目に反してかなり厄介な場所だな」
エコーロケーションではない単純な苛立ちに舌を鳴らして、ラザロは美しい色彩を放つ花畑を睨んだ。
成功
🔵🔵🔴
ノイシュ・ユコスティア
【SPD】で行動。
マスクを着用。
双眼鏡と松明を持参。
1人で探索。
「旅団の仲間と一緒に訪れたい場所だね。
敵がいなければの話だけど。」
草を集めて松明で火を付ける。
花畑は燃やさないよ。
この煙を入口の目印にする。
300mほど歩くごとに、双眼鏡で周囲を確認。
また、太陽の位置からおおよその方角を知りながら進む。
花畑の終わりが見えたら【ダッシュ】で走っていく。
途中、キラキラを見つけたら何者なのか様子をうかがう。
「まぶしい!
…見とれている場合じゃない。」
移動するものなら、追ってみる。
植物がこちらに攻撃してきたら、距離を取りながらロングボウで攻撃する。
戦闘が長引きそうなら隙をついて花畑の終わりに向かって逃走。
花畑の周辺から少しずつ探索を進めてゆく猟兵たち。だが、広大な花畑を端からしらみつぶしにしていたのでは時間がかかりすぎる。現に、周辺の探索を終えただけでも太陽は南中を過ぎ、傾き始めているのだ。周辺から得られる情報も十分に整った。そろそろ侵入の頃合いだろう。
「旅団の仲間と一緒に訪れたい場所だね。敵がいなければの話だけど」
傾いた太陽が少しずつ影を伸ばし始め、コントラストが一層映える花畑の美しさに、ノイシュ・ユコスティア(風の旅人・f12684)は気の置けない仲間たちをピクニックを想像して紫の目を細めながら、手を動かし侵入の準備を進める。
くすくすくす…。
来るの?来ないの?
くすくすくす…。
ノイシュは森の中から枯れ草を集めきて、花畑の端でちょっとした小山にする。そこに持参した松明を突き立て、火を放つ。ぱちぱちと乾いた音を立てながら、火は小さく、ゆっくりと落ち葉の山に燃え移り黒く細い煙を上げ始めた。山火事にならないように落ち葉の小山の周囲を軽く掘って燃え移りそうなものを退かせば、花畑の中からでも方角を確認できる狼煙の完成だ。傾き始めた太陽と組み合わせれば、かなり正確に自分の現在地を知ることが出来るはずだ。ノイシュは狼煙の問題がないか確認し、良しと頷いて突入すべくマスクを装着し花畑に目を向ける。と、花畑の中に何かがキラリと光った。
「ん…?まぶしい!」
何かを見極めようとするが、その何かが太陽の光を強く反射したのか、一際強い光を放ち、一瞬だがノイシュの目を眩ませてしまう。その僅かな隙でノイシュはその光る何かを見失ってしまった。正体不明の光に少しだけ、ノイシュは呆ける。
「…見とれている場合じゃない」
自分の腿を叩き、ノイシュは気合を入れなおして花畑に足を踏み入れた。
くすくすくす…。
あげないよ…。
みせないよ…。
くすくすくす…。
ノイシュはこまめに自分の位置を確認しながら、花畑を踏破してゆく。双眼鏡で花畑に先ほどの何か、がないか注意深く探りながら進む。しばらくして、花畑が直接的な妨害を仕掛けるようになってくる。花の一種が種子を破裂させたり、蔓を伸ばしたりするようになったのだ。植物の妨害を掻い潜り得意の弓で撃退しながら、ノイシュは花畑の奥へ歩みを進めた。
成功
🔵🔵🔴
ジズルズィーク・ジグルリズリィ
【POW判定】
明滅、綿密。ジズは、自然を元の姿に戻すため調査を開始です。
キラキラを追いつつ、きびきび前進あるのみです。
花畑を探索するにしても、花に触れるのは悪手?
被害が出てからでは遅いので木によじ登りますです。
【ロープワーク】と拷問具の鎖で森の木々の間や枝を飛び移り、声に迫るのです。
自身が出す音で痕跡をかき消さないことには注意を払うのです。
ある程度突っ切りましたらそこから先は
多少のダメージは【覚悟】の上、姿を【見切り】
正体をつかむためなら、その確証を得るべく突っ込むのですよ。
もとよりだれかが迷い込む前に突っ込んで事態を解決する。
当然、必然。そのためにジズたちは、ここに来たのですから。
探索が進行するにつれて、花畑の妨害は段々とその種類が変化していっているようだ。今は直接的に、植物が体の一部を伸ばしたり、実を使ったりして猟兵たちの足を止めようと動いている様子だ。
「明滅、綿密。ジズは、自然を元の姿に戻すため調査を開始です」
ジャラリ、と重そうな金属音と共に、その女性の猟兵は花畑を見下ろすように太い木に降り立った。ジズルズィーク・ジグルリズリィ(虚無恬淡・f10389)というその猟兵は巨大な槌を鎖で身体につなぎ、体には痛々しい拘束具が装着されているのみという、哀れにすら見える格好だ。だが、その見た目に似合わない優し気な口調でジズルズィークは木の枝の上で、身の丈ほどの槌を背負う。
「花畑を探索するにしても、花に触れるのは悪手?」
眼下でもぞもぞとうごめいている花々を見下ろしてジズルズィークは自身の複雑な心持ちに顔を顰める。
くすくすくす…。
奴隷よ…奴隷ね…。
くすくすくす…。
ジズルズィークは槌と拘束具をつなぐ鎖を繰り枝に引っ掛け強く引く。その反動を利用して小柄なジズルズィークは浮かび上がり、まるでモモンガのように花畑にまばらに生えた木々の間を飛び移るながら、花畑の奥地へと向かってゆく。
くすくすくす…。
卑しい聖女…。
汚れた乙女…。
くすくすくす…。
ジズルズィークは花畑の様子を、木々の上から観察して回っていたが、しかし、その木々も花畑の奥地に進むにつれて、次第に数を減らし遂に途絶える。
「仕方ありませんですね」
木々がなくなったところでジズルズィークは花畑に飛び降りる。その瞬間、周囲の花々がつけた実が破裂し、中に溜め込んだ硬い種子を高速で発射し襲い掛かる。種子がジズルズィークの体に傷を刻み込む前に、手を合わせてジズルズィークは祈りをささげる。
「静聴、聖寵。願くは、われらをあわれみ、赦しを与えたまえ」
一心に祈り、体の力を抜いたジズルズィークに種子が襲い掛かる。だが、ジズルズィークの体は傷つかない。祈りが聞き届けられ、ジズルズィークは天からの護りを授かった。
「もとよりだれかが迷い込む前に突っ込んで事態を解決する。当然、必然。そのためにジズたちは、ここに来たのですから」
元聖女が、覚悟と共に花畑を進む。
成功
🔵🔵🔴
クリストファー・ブラックランド
群れた妖精がメンドクセエ厄介なサムシングに思われるのもアレだ。フェアリーの端くれとしてちょっと頑張ろう。いや、ホントめんどくせえ奴らだなフェアリー!
■行動
Wiz : 慎重に対策を施して進む。
慎重に対策を施して進む。
花粉対策にマフラーで口鼻を覆う。
後はダガーを抜いて、絡みつく茎蔦に備える。
隠しやら守りに自信が無い奴は侵入者煽るからな
妖精達が何を嫌がって、何を守ってるのかを知らんと話にならんので、
花畑の上を滑空し、花畑の中を【視力】【情報収集】で探索。
必要とあらば、自ら着陸して守っているモノを手に取るが、重そうならその辺のヒトに声を掛ける。
また、飛行が困難な場合は誰か近くに人が居ればその人に乗る。
花畑を進むたびに花々の妨害は激化してゆく。その間をすばしっこく飛び回る小さな者が一人、
「ああ!めんどくせぇな!」
荒い口調で植物の間を飛びまわり、手にした小さな刃物でまとわりつこうとした蔓を切断するのは、小さな種族フェアリーの男、クリストファー・ブラックランド(ホロウブラック・f04805)だ。顔をマフラーで覆い、顔の半分近くを隠したクリストファーは豊かな金髪ふり、愛らしい大きな青い目に苛立ちの感情を宿らせている。
「群れた妖精がメンドクセエ厄介なサムシングに思われるのもアレだ。フェアリーの端くれとしてちょっと頑張ろう」
とは、花畑に足を踏み入れる前にクリストファーの言葉である。その時は、やや余裕を匂わせて調子のいいことを言っていたクリストファー。自分の中では中年の渋みを出しているつもりでの発言だった(客観的には背伸びした子供にしか見えなかった)が、現状は違う。
「いや、ホントめんどくせえ奴らだなフェアリー!」
心からの苛立ちのままに、ダガーを振るって蔓の猛攻を避けるクリストファーがいた。
くすくすくす…。
怒ってもだめ…
みせてあげない…。
くすくすくす…。
クリストファーは動きを制限しようとする花粉の霧をさけ、伸びてきた蔦から避けると同時に上空に飛び上がる。少し高いところに飛び上がったクリストファーは少しずれ始めてたマフラーを直して、花畑の様子を俯瞰し、年相応の冷静さを取り戻す。
(隠しやら守りに自信が無い奴は侵入者を煽るからな。妖精達が何を嫌がって、何を守ってるのかを知らんとな)
花畑は相変わらず妨害の嵐だが、少し上空に浮かび上がることでクリストファーに見えてくることがあった。植物たちの妨害が他よりも異常に激化している箇所があるのだ。その先には、窪んで視界から外れる場所が遠くに見える。
(そこには何が何でも行ってほしくねぇってか)
にやりとマフラーの中で笑うクリストファーは、猟兵を先導するために再び花畑に舞い戻った。
くすくすくす…。
くす、くす…。
成功
🔵🔵🔴
ジズルズィーク・ジグルリズリィ
SPD判定
事前に知らされていたとはいえ、なるほど、外敵に容赦ないのです。
聴聞、長恨。ジズはいたいところを突かれて、ぐさぐさです。くすん
それでも愛する自然のため、一肌脱ぐのがジズの使命です!
【オーラ防御】で身を固めて花の少ない場所に身を潜めつつ
妖精やきらきらの、痕跡を集めるのです。
花畑の半ばでほかの猟兵たちを誘導する目印を作りつつ前進。
ユーベルコードを併用し、時折影を伸ばしきらきらはもう見失わないようにするのです。
魔性よ、ジズたちの前にその姿をあらわすのです!
花畑に怪しげな窪んだ地形がある。その情報と共に猟兵たちはそちらに接近するようにして行動を開始した。
「事前に知らされていたとはいえ、なるほど、外敵に容赦ないのです」
鎖を投擲し、飛んでくる実を弾きジズルズィークは鬱陶しい花々の妨害に顔を歪ませる。と、今度は花の根と思わしき蔓が地面が生えてきてジズルズィークを拘束しようと、伸びてくる。
くすくすくす…。
囚われるろ…。
お似合いね…。
「くすくすくす…」
ジズルズィークは側方に身を投げ出すように飛び込み、蔓を避ける。その耳に、笑い声のような甲高い声が届いた。いや、ずっと届いていた。花々が猟兵を惑わし、妨害するその間もずっと、無意識に不要な雑音と排除させられてきた声だ。だが、意識できればそれらの言葉も思い出せる。猟兵たちを見下すような、甲高い侮辱の言葉の数々。
「聴聞、長恨。ジズはいたいところを突かれて、ぐさぐさです。くすん」
思い出せば心を痛めるその声に、ジズルズィークは若干その目を潤ませる。だが、ジズルズィークが抱いた覚悟は、その程度の言葉で折れるような生半可なものではなかった。
「愛する自然のため、一肌脱ぐのがジズの使命です!魔性よ、ジズたちの前にその姿をあらわすのです!」
ジズルズィークの声に向けたその言葉は、問いとなって影を伸ばす。ジズルズィークから伸びた魔法の影は花畑を縫うように駆け抜け、問いに応えよと迫る。
「うひゃあ!こいつは厄介だ!大人しく出ていこうかな。くすくすくす」
どこか楽しむような、馬鹿にしたような。甲高い声と共に、彼らはその姿を現した。
成功
🔵🔵🔴
第2章 集団戦
『花と星の妖精』
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POW : 花を操る
自身が装備する【色とりどりの花】をレベル×1個複製し、念力で全てばらばらに操作する。
SPD : 森の恵み
【食べると幻覚が見えるキノコ】【硬く巨大なきのみ】【どっしりと実った果実】を対象に放ち、命中した対象の攻撃力を減らす。全て命中するとユーベルコードを封じる。
WIZ : 星詠み
【占い】が命中した対象に対し、高威力高命中の【様々な結果】を放つ。初撃を外すと次も当たらない。
イラスト:lore
👑11
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴🔴🔴🔴🔴
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種別『集団戦』のルール
記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
花畑から飛び出したのは愛らしい見た目の小さな者たちだった。
「くすくすくす…」
甲高い声で笑いながら、猟兵たちを囲むように花々の影からやってきてはその声を輪唱のように重ねて笑う。
「あげないよ、私たちの宝物」
歌うように妖精たちが告げる。
「くすくすくす…」
笑い声が花畑に満ち、猟兵たちを取り囲むように響いていく。
「かえって、かえって、くすくすくす…」
「あなたたちは、お呼びじゃないの」
「かえれ、かえれ、くすくすくす…」
妖精の笑い声に反応したかのように花畑全体が蠢き、外敵を排除しようと迫る!
高階・茉莉
■心情
帰れと言われて、何もせずにそのまま帰る訳には行かないのですよ。
まずはこの妖精たちの退治が必要ですね。
■行動
WIZ判定の行動
ウィザード・ミサイルを使用して
攻撃していきますね。
属性攻撃で炎属性を強化して、高速詠唱で放ちます。
全力魔法で一気に攻撃を仕掛けますね。
狙う相手は、私を攻撃している敵から優先的に狙う。
それぞれの妖精に、同じ数だけの魔法の矢を割り振ります。
無暗に同時に戦う対象を増やさない様、
私を狙っていない敵は後回しですね。
星詠みに対しては、見切りで避ける様に努め、
呪詛耐性や祈りで防御出来そうなら、防御も行います。
第六感などで周囲に常に気を配り、
敵に囲まれない様に注意しておきますね。
ラザロ・マリーノ
いや宝目当てでここに来たわけじゃねえんだが。
つまりは、そのお宝がこの事件の元凶って訳だな。
真の姿を開放(体格が一回り大きくなり、牙・角・翼が生えて、よりドラゴンに近い外見に)。
更に、UC「影の傭兵」で自分の影を実体化させる。
常にお互いをフォローできる位置取りで、タワーシールドによる【かばう】【盾受け】【オーラ防御】で攻撃を分散させて、UCを封じられないようにするぜ。
攻撃は、【属性攻撃】で風を纏わせた翼の羽ばたきで相手の動きを封じつつ、【怪力】【なぎ払い】でハルバードを振るうぜ。
しかし、見た目と言い戦い方といい何かやりづらい相手だな…。
※アドリブ・連携歓迎
クリストファー・ブラックランド
※アドリブ、他猟兵との連携可。
宝ってのが気になると言えば気にはなるが。
ひとまずはめんどくせえ連中の排除だ。
「あげる」とかお前らのご機嫌お伺いしていただく必要はねえ。
単純に俺が欲しいからお前らから奪うってだけだ。
■前章からの備え
マフラーで粉塵をガードする。
ダガー投げたり蔓草切り払ったり。
■戦闘
SPD重視。シーブズギャンビットで頭数を減らしていこう。
法衣の中に沢山仕込んだナイフを投擲。
妖精のダガーでも相手が妖精なら十分殺傷力あるだろ。
他猟兵が幻覚等、行動できない状況なら【救助活動】という名の妖精キックで叩き起こすぜ。
一応、宝が今の段階で判別出来るなら【視力】で確認。
妖精を誘導出来るかもしれねえ。
ジズルズィーク・ジグルリズリィ
SPD判定
かえれ、と言われてはいそうですかとはいかないのです
哄笑、考証。ジズは、その宝物とやらを目にするまでは引き下がらないのです
囲まれていては全ての攻撃を避けるのは困難?
全てが命中してしまう前に、致命の攻撃だけ【見切り】し
〈咎力封じ〉で逆に相手の技を封じるのに努めるです
封じ込めが成功しましたらハンマーで攻撃です
といっても深追いはせず、味方との連携を第一です
うまくいってもいかなくても、見た目に油断はしないのです
見た目から想像できるより、ずっと厄介なのです、この魔性たちは
妖精の操作によって花畑の花々が蔦を伸ばし、猟兵たちを締め上げようと迫る。
「帰れと言われて、何もせずにそのまま帰る訳には行かないのですよ」
茉莉がその優しい目に、強かな意思を宿して植物に向け腕を伸ばし、魔力を解き放つ。放たれた魔の力はやがて燃え上がる炎の矢へと姿を変え、伸びた蔦を穿ち焼き払う。初撃を退けた猟兵たちは反撃に動き出す。
「囲まれていては戦いにくいのです」
ジズルズィークが自身が身に着けているものと似た拘束具をあたりにばらまき、妖精目掛けて投げ飛ばす。
「え、きゃぁ!やだやだやだやだ!こんな!私は奴隷なんかじゃないよ!」
「ぎゃぁぎゃぁうるせぇな!」
ジズルズィークの拘束具にぶつかった妖精は拘束具が作動して体の自由を奪われる。拘束され、動きを制限されて泣き喚いた妖精に、クリストファーが次々と投げナイフを放ち、突き立てて黙らせる。
「宝ってのが気になると言えば気にはなるが。ひとまずはめんどくせえ連中の排除だ」
事切れた妖精から投げナイフを回収して、クリストファーは次の獲物を探すように視線を移す。
「いや宝目当てでここに来たわけじゃねえんだが」
当初の目的とややズレのある戦闘に、一瞬だが首を傾げるラザロ。だが、それでも妖精たちは猟兵を外敵をみなして攻撃を放ってくる現状に変わりはない。それに、確か伝えられた予知では妖精が大切にしているものが、この事件の原因だったはず。
「つまりは、そのお宝がこの事件の元凶って訳だな」
ほんの僅かな間にそう思考してラザロは手にしたハルバードを構え、力を籠める。筋肉が隆起するように、体は一回りも大きくなり、背には翼が、頭には角が生えてまるで立ち上がった竜のような姿のラザロが、並んで二人。
「お前にも、働いてもらうぜ」
ラザロが口を開き、隣に立つ瓜二つの自らの影に言う。
「金はしっかり、もらうからな」
影が答えて、二匹の竜が吠えた。
「も、モンスターだ!!」
「こっちこないでぇ!!」
妖精が悲鳴のような声と共に花々を繰り、猟兵を拒むように攻撃を繰り返す。
「あんたたちが何をしたって、宝物はあげないんだから!」
「「あげる」とかお前らのご機嫌お伺いしていただく必要はねえ」
よくわからない植物の種子を連続で発射していた妖精に、クリストファーは投げナイフを放ち、胸に突き立てながら吐き捨てるように言う。
「単純に俺が欲しいからお前らから奪うってだけだ」
まるで蛮族のようなクリストファーの理論だが、トレジャーハンターを生業とするクリストファーにはごくごく当たり前の理屈だった。宝のために遺跡に潜り、太古の人々の持ち物を奪うこと。それはクリストファーの繰り返してきた、生き方そのものだ。
「ですが、彼らがそこまでして守るものとは一体何なのでしょう」
茉莉が、炎の矢を体の周囲に浮かせて自身に迫る植物とそれを操る妖精に狙いを澄ませながら、ふと湧いた疑問を口に出す。
「それはわからないけれど、だからと言って。かえれ、と言われてはいそうですかとはいかないのです」
茉莉の炎の矢に足を止めた妖精を、ジズルズィークが巨大な槌ですりつぶすように叩き潰す。ジズルズィークはそのまま槌につながった鎖を波打たせ、鞭のように少し離れた妖精の一体を強かに打ち据え、茉莉の疑問に答える。
「哄笑、考証。ジズは、その宝物とやらを目にするまでは引き下がらないのです」
ジズルズィークは鎖を引き戻しその勢いを利用して槌を振り上げ、迫っていた花の蔦を殴り、引きちぎった。
「あいつ、やるなぁ。おい、負けてられなぇぞ」
「分かってる。しかし、見た目と言い戦い方といい何かやりづらい相手だな…」
ジズルズィークの戦いを眺めていた影が喜々とした声でラザロを煽る。だが、当のラザロは何処か気分が乗らない様子。それもそのはず、宝を守るために逃げながらも、猟兵と戦う妖精たち、対して自分の姿は荒々し竜で、妖精の姿が愛らしいのも相まって、あまり気分のいい戦闘とは言えない。
「見た目に惑われ、油断しないのです」
妖精を追って、ジズルズィークがラザロの隣を駆け抜けた時、ジズルズィークはそうラザロに指摘した。
「見た目から想像できるより、ずっと厄介なのです、この魔性たちは」
「…ああ、わかってるよっ!」
ラザロは答え、そしてジズルズィークの手をつかみ、彼女を強引に引き戻す。
「っ!?何を…」
ジズルズィークが驚き、ラザロを振り返る。だが、ラザロは無視しジズルズィークを背後に突き飛ばしてタワーシールドを構える。直後、ラザロの前、ジズルズィークの向かっていた先で轟音が響く。
「ちぇ!余計なことしないでよ!」
妖精の不満そうな声が聞こえるが、それよりもジズルズィークはもう一度振り返って目を見張った。そこには大きなクレータのような穴が開き、地面がえぐれている。一体どれほどの高威力の攻撃があったのか。ジズルズィークはラザロが引き戻していなかったら、と考え、冷や汗が背を伝いその場に動けなくなる。
「皆さん気を付けて、妖精の一部が隠れて高威力の技のために占いをしているようです!」
茉莉が焦った様子で仲間に伝え、炎の矢を放ち妖精を牽制する。
「ボケっとするな!どっちにしろこいつらは倒すんだ!あと少し踏ん張れ!」
呆けるジズルズィークの頬に軽く蹴りを入れながら、クリストファーがすれ違い、背後の迫っていた花の蔓に切りかかる。蹴りの痛みに我に返ったジズルズィークは槌を手に、ラザロのそばを離れ戦闘を再開する。
「妖精はざっと半分は倒したってところだ、一気に狩り込むぞ」
影が言いながら、ラザロと背中合わせになる。
「ああ、お前も報酬分は働いてもらうからな!」
二本のハルバードが翻り花びらが舞う。
成功
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ノイシュ・ユコスティア
チャム・ティータ(f13914)と二人で戦う。(二人描写希望)
武器はロングボウ。
真の姿になり、背中に大きな鷹の翼が生える。
「声の主は君たちだったのか。
犯人がわかった以上、素直に帰る訳にはいかないんだ。」
チャムと協力して敵を挟み撃ちする。
敵と距離を取りながら、ユーベルコードを使用して攻撃する。
逃走する敵は最優先で攻撃。あとは倒せそうな敵から狙う。
「チャム、そっちは任せたよ。」
チャムが危険なことをしようとしたら止める。
「今は戦いの最中だから我慢して…。」
また、彼女が狙われたら、敵の注意をこちらに向ける。
妖精以外にも危険な存在がいないか確認しつつ戦う。
技能:援護射撃、スナイパー、2回攻撃、ダッシュ
チャム・ティータ
【ノイシュ・ユコスティア(f12684)】と参加
彼のことは呼び捨て
自分のことはチャムと呼ぶ
「宝物って言われると、見てみたくなるの」
「見せてくれないなら痛い目に合わせちゃうよ!」
グルメツールを装備して戦うの
ノイシュと2人で敵を挟み撃ちにするの
彼が攻撃した敵を狙うの
敵に囲まれないように気をつけるよ
逃げる敵がいたら回り込んで攻撃なの
敵が【POW】で作ったお花は【フルバースト・マキシマム】で全部燃やしちゃうの(花畑は燃やさない)
【SPD】攻撃は美味しそうなの…
だってお腹が空いたんだもん
大丈夫、ちゃんと避けるよ
キラキラ、チャムにも見えるかな?
「敵じゃなかったら一緒に遊びたかったな…」
アドリブ歓迎
弾き絞られた弦が悲鳴のような音と共に放った一本の矢が、花々の間を縫うように飛翔して一体の妖精に突き刺さる。
「声の主は君たちだったのか。犯人がわかった以上、素直に帰る訳にはいかないんだ」
手にロングボウを握り、放ったのはノイシュ。確固たる意志を胸にしたノイシュの背には大きな翼が生え、彼の戦意を示すように白く、陽光を反射し輝く。
「私たちの宝物、みんなでまもるんだ!」
妖精はノイシュを囲むように飛び回り、花々を操るって襲い掛かる。一人では受けきることは難しいだろうその攻撃を、だがノイシュは避けるような仕草一つせずにロングボウに次の矢を番える。
「チャム、そっちは任せたよ」
「はーい!」
ノイシュに呼ばれ、チャム・ティータ(星空パフェ・f13914)はその幼いながらも改造の施されたサイボーグの体躯を目一杯に踏ん張り、装備した物々しい携帯砲台から砲弾を放って迫った植物を薙ぎ払う。そうしてできた空間をノイシュは見逃さず、再び矢を放ち、また一匹の妖精を仕留める
「宝物って言われると、見てみたくなるの。見せてくれないなら痛い目に合わせちゃうよ!」
植物を薙ぎ払ったチャムは好奇心に目を輝かせながら、妖精に向け再度砲弾を放つ。
「お、脅したって…脅したってぇ!これでも、くらえぇ!!」
妖精はチャムの言葉に反応して、一本の花にしがみつき、操る。その花は丸々とした実を蓄え、妖精に操られて植物は実をチャムとノイシュに向けて発射した。
「あの実、おいしそう」
「今は戦いの最中だから我慢して…」
戦闘の最中、しかも敵の攻撃に呑気な感想を漏らすチャムにノイシュは半ば呆れつつ、ロングボウを構え、矢を放ち実を打ち落とす。
「むぅ、ちゃんと避けようと思ってたもん」
ノイシュに呆れられて若干不機嫌になったチャムは不満に頬を膨らませ、それをぶつけるように花畑に砲撃を放ち続けた。
猟兵たちと花畑の妖精たちの戦闘はやがて、妖精の全滅をもって終了した。花畑のその一帯は戦闘の衝撃で荒れた地面に姿を変え、その上に残るのは千切れた花々と動かなくなった妖精たちの亡骸だった。
「敵じゃなかったら一緒に遊びたかったな…」
チャムの呟きは、吹き抜けた一陣の風にかき消された。と、その視界の端をキラリと何かが光った。
「っ!キラキラっ!」
チャムは視界に捉えた光を見失わないようにじっと目を凝らす。ノイシュが共に戦った猟兵たちを呼び、そうして猟兵たちはチャムの先導で進んでいく。
成功
🔵🔵🔵🔵🔴🔴
第3章 ボス戦
『宝玉蝶』
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POW : 育つ宝石
戦闘中に食べた【清らかな水】の量と質に応じて【宝石の輝きが増し】、戦闘力が増加する。戦闘終了後解除される。
SPD : 極彩色の鱗粉
自身が装備する【煌びやかな宝石の粒】をレベル×1個複製し、念力で全てばらばらに操作する。
WIZ : 秘宝の光
【眩い宝石の輝き】が命中した対象を高速治療するが、自身は疲労する。更に疲労すれば、複数同時の高速治療も可能。
イラスト:たま
👑11
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種別『ボス戦』のルール
記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※このボスの宿敵主は
「宇冠・由」です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
猟兵たちが進んだ先にその輝きは遂に姿を現した。
花畑の中、窪んだ地形ゆえに小川が流れついて小さな池となるその場所に飛ぶのは極彩色に輝く、蝶の群れ。
その蝶は羽の一枚から触覚の一本に至るまで宝石によって構成された生きた宝石、宝石蝶。宝石蝶の群れが花畑や池の上を優雅に舞い踊り、絶えず色合いを変えるその幻風景たるや。時に美しく、時に妖しく。見るものを飽きさせない。
そして同時に宝石蝶はオブリビオンでもある。意志あるものは、その美しさに魅了され、妖しさに狂わされる。妖精たちが守ろうとした宝、宝石蝶は、その魔性を伴って猟兵たちの前にその姿を現したのだった。
ジズルズィーク・ジグルリズリィ
SPD判定
ここに到達するまでに、いかに油断は禁物か身をもって痛感してきたのです
ユーベルコード〈私に七難八苦を与えたまえ〉で
いましめと封印を解き放ち、果敢に攻撃するのです
傷や魔性もこれでへっちゃらです!
一方で、かの魔性たちの振る舞いで
痛めつけられた自然には心痛です
確然、必然。ジズも、たしかにその美しさは認めるところです
しかしそれを独り占めし、あまつさえ近寄るものを排するなど
あまりに不毛ではないですか。
魔性の石くれより、眼前に広がる雄大な自然こそ宝です。
戦いが終われば、踏み荒らされた花々や新芽を整え、ジズはそう思いを馳せます
高階・茉莉
WIZ判定の行動を行う。
アドリブや他猟兵との絡みも歓迎。
■心情
宝石の様な蝶ですか、何とも幻想的で綺麗ですね。
ですが、それが人々を脅かすなら、見過ごすわけには行きません。
■行動
私は、ウィザードミサイルを使用して戦いますね。
高速詠唱で素早く攻撃準備に取り掛かり、全力魔法で
一気に攻撃を行いますね。
属性攻撃で、炎を強化しておき、
秘宝の光の回復量を超える様なダメージを与える様に努め
確実に倒していきますね。
敵からの攻撃に対しては、見切りで避ける様に努め
避けきれない場合は、武器受けで防御しておきますね。
一緒に同行する猟兵さんが居たら
協力して、声を掛け合いながら戦いますね。
クリストファー・ブラックランド
も、勿論目的は忘れてませんよ?(視線を泳がせ)
ともあれ、宝とご対面……なんだが、アレは倒したら消えるだろうし、遺骸の宝石になってくれたり……は無いよな。くそう。
触角とか生えた宝石でメシが食えるかってんだよ…。
■対宝石蝶
懐に入れるものもありゃしねえだろ。
SPD軸に援護に回ろう。【フェイント】を駆使して周囲の猟兵の為に隙を作ろう。
撃ち漏らし、または逃走図る奴を警戒。
ケツ見せた奴にはシーブズ・ギャンビットで追撃だ。
■戦闘後
安全を確認した後、花畑に墓標代わりにダガー投げ刺して、ポケットから飴玉をダガーあたりに放り投げる。
惑わし、狂わせた宝石にはちょいと足りねえかもしれんが、
安らかに眠ってくれ、兄弟。
ラザロ・マリーノ
俺は、宝石には興味ねえんだが、コイツは確かに宝物だな!
ちと勿体ねえ気もするが、妖精を惑わすほどの力、放ってはおけねえな。
真の姿を開放(体格が一回り大きくなり、牙・角・翼が生えて、よりドラゴンに近い外見に)。
ハルバードを自分の胸に突き立て、刃に血を纏わせてUC「竜の血」を発動。
さらに【属性攻撃】で纏わせた風で、蝶を巻き込みながら焼き払うぜ!
他人を狂わせるような力がなけりゃあ…いや、そうなったら人間に狩られるだけか。
美しすぎるってのも考え物だな。
※アドリブ・連携歓迎
キラキラ、キラキラ。
宝石蝶は太陽の光を反射して、風に波打つ池と共に輝きを放つ。
「宝石の様な蝶ですか、何とも幻想的で綺麗ですね」
茉莉がほぅっ、と溜息をこぼしながら目の前に風景に一瞬でも心を奪われこぼした言葉は、そこに集まった猟兵たちの心情を代弁していた。
「俺は、宝石には興味ねえんだが、コイツは確かに宝物だな!」
「こ、こいつは…おっと、も、勿論目的は忘れてませんよ?あれが、この元凶ってわけだな」
宝石蝶の輝きにやや興奮気味にラザロが大きな声を出す横で、クリストファーはなぜかバツが悪そうに横目になっている。大方、トレジャーハンターとしての性で、宝石蝶を持ち帰ろうとでも考えついてしまい、後ろめたさが勝手にこみあげてきたのだろう。
「アレは倒したら消えるだろうなぁ…」
と、クリストファーは誰にも聞こえないように小さくあきらめ、肩を落とす。
「ここに到達するまでに、いかに油断は禁物か身をもって痛感してきたのです」
そんなクリストファーの内心など知らないジズルズィークがぐっ、と槌を握り鎖を鳴らし、宝石蝶に飛びかかるべく身を屈める。
「そうですね。綺麗な存在であれど、人々を脅かすなら、見過ごすわけには行きません」
茉莉がその言葉と同時に炎の矢を放ち、一匹の宝石蝶を砕く。猟兵たちはそれを合図に動き出した。
「確然、必然。ジズも、たしかにその美しさは認めるところです」
鎖を握り、槌を巨大なモーニングスターのように扱ってジズルズィークは池の上を薙ぎ払う。仲間に一匹が破壊されたことを感じた宝石蝶たちは、外敵の存在を感知して逃げ惑うようにひらひらと舞うが、回避できなかった数体がジズルズィークの槌に打ち据えられ、バラバラに砕かれる。
「しかしそれを独り占めし、あまつさえ近寄るものを排するなどあまりに不毛ではないですか」
ジズルズィークの体の聖痕が光を放ち彼女が持てる力を出し切って殴り掛かっているのがわかる。続いて引き戻す槌の勢いを利用して今度は本人が突撃して宝石蝶の群れに突っ込んでゆく。過剰な力の行使にジズルズィークの体は体組織が裂け、褐色の肌に血が流れるが彼女は気にした様子もなく、聖痕の光と共に、群れの蝶を鋭い蹴りを放ち再び一帯を砕いた。
「ちょっとどいてな!」
竜の姿のラザロが翼を羽ばたかせ飛び上がり、上空から蝶の群れに迫り、ジズルズィークは入れ替わるように鎖を引いて後退する。ラザロは上空で自らのハルバードを胸に突き立て、勢いよく引き抜いて血しぶきを蝶のいる一帯に向けて放射した。
「ちと勿体ねえ気もするが、妖精を惑わすほどの力、放ってはおけねえ、覚悟しな!」
ラザロは胸の出血をまるで気にした様子もなく、それどころか笑みを浮かべて見せる。するとどうだろう、ラザロの放射した彼の血液が鮮やかに赤く変色し、ついには炎を上げて燃え上がったではないか。今のラザロに流れるのは竜の血、そしてそれは触れたものを燃やし尽くす力を秘めた血だったのだ。蝶たちはラザロの血が掛かった燃え上がる一帯から逃れるように散り散りに飛び去ってこうとする。
「どこ行こうっていうんだよ!」
逃げる宝石蝶たちをクリストファーが追撃して、鋭いナイフの一閃でその羽を切り落として回る。小さなフェアリーのクリストファーはその小回りを活かして宝石蝶の背後に回り込んで次々と襲い掛かり、仕留めてゆく。
「お、おお?」
と、少し間の抜けた声をクリストファーが零したのは、彼が止めを刺した宝石蝶がその輝きを損なうことなく、地面に落下していったからだ。宝石蝶の体は美しい宝石で構成され、その価値を考えるとまさしく宝と言える代物だ。
「懐に入れるものもありゃしねぇと思ってたが、こいつはついてたぜ」
落ちた宝石蝶からは羽を形作っていた宝石を引きちぎり、クリストファーは満たされた笑みを浮かべて飛び回る。
「クリストファーさん、今は戦闘中ですよ」
茉莉がクリストファーを窘めるように指摘するが、クリストファー本人は気にした様子もなく、宝石蝶を仕留めてその羽を奪うことに没頭してしまっていた。
「なるほどな、他人を狂わせるような力がなけりゃあと思ったが…そうなったら狩られるだけか。美しすぎるってのも考え物だな」
クリストファーが宝石蝶を仕留めて回る様子をみてラザロはそんなことを考えた。もしかするとその美しい体を持つからこそ、この宝石蝶たちは狩りつくされ、その後、オブリビオンとして蘇ったのかもしれない。自己を守る手段として他者を惑わす力と共に。宝石蝶の戦闘能力は高いとは言えないのが、その空想に現実味を持たせる。宝石蝶は、魔法の宝石を呼び出し猟兵にぶつけたり、互いの傷を癒す力を使ってささやかな抵抗を見せているが、それは猟兵たちを止めるにはあまりにも脆弱な力だった。
「魔性の石くれより、眼前に広がる雄大な自然こそ宝です」
ジズルズィークそんな弱弱しい攻撃を無視して槌で宝石蝶たちを次々と薙ぎ払った。茉莉は炎の矢で宝石蝶を一体ずつ確実に穿ち、クリストファーはナイフで宝石蝶を断つ。
キラキラ、キラキラ。
崩れ落ちる宝石蝶たちは輝きながら、次々と地に落ちていった。
成功
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ノイシュ・ユコスティア
武器はロングボウ。
「標本にしたら綺麗だろうなぁ。」
深呼吸をして真の姿になり、背中に大きな鷹の翼が生える。
蝶というからには小さいね。
見落とさないように目を凝らして戦おう。
池の近くでは戦いにくいので、広い花畑に誘導する。
敵が見える範囲内で、なるべく遠くに布陣。
敵に囲まれないように動き回りながら攻撃を行う。
攻撃時にはユーベルコードを利用する。
1体ずつ確実に倒す。
「壊れる瞬間も美しいだろう。
倒しがいがあるね。」
逃走する敵は回り込んで攻撃する。
鱗粉は振り払う。
必要があれば翼で飛行する。
「この1擊で終わらせる!」
本気の攻撃時は風を纏う。
技能:援護射撃、スナイパー、2回攻撃、ダッシュ、空中戦
光を反射して戦場になった池の周囲をひらひらと舞う宝石蝶に目を細める。
「標本にしたら綺麗だろうなぁ」
白い翼を伸ばし、ノイシュはすぅっと深く息を吸い込み集中を高める。ロングボウを引き、狙いを澄ませる。標的の宝石蝶は掌よりも小さいゆえに、必殺の気合を込めて矢を放つ。矢は軽い風切り音と共に真っすぐに飛翔して宝石蝶の小さな胴を砕き抜き、輝く宝石がハラハラと舞い落ちる。
「壊れる瞬間も美しい。倒しがいがあるね」
一矢を放ち、また一矢。ノイシュの矢は宝石蝶を次々と仕留めて、動かない宝石へと変えて地に落としてゆく。生き残った宝石蝶は逃れるように池を奥へ、奥へと飛び去ってゆく。
「逃がしませんよ!」
ノイシュは背に生えた真っ白な翼を羽ばたかせ、軽い跳躍と共に中空に飛び出すと、すべるように滑空して池の上へと浮き上がる。その体制のまま上空でロングボウに複数の矢を番えて引き、放つ。ノイシュの矢は風を纏い、軽やかな音と共に逃げようとした宝石蝶を貫き地面に縫い付けた。
宝石蝶たちはその数を減らし、今や数えるほどの輝きが、池の上で明滅するのみとなった。
成功
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ジズルズィーク・ジグルリズリィ
POW判定*アドリブ歓迎
もはやその輝きは数えるばかり?
乱獲で壊れてしまった生態系は直せないですが
ですが、今ある自然だけでも守って見せるのです。そのためには。
数少なくなった虫が水分の補給に向かったところで
それを一網打尽にしますです。
〈神聖なる祈請〉で静かに【祈り】を捧げます。
謝り、祈り、念じ、集まってきた残りの虫たちをまとめてなぎ払うのです。
いつか新たな種としてこの輝きが見られるとよいのですが、その羽を砕いたジズがそう願うのはおこがましいでしょうか。
数減らした宝石蝶。動く宝石たちはそのいずれも羽を欠き、あるいは足が外れたりと無傷な個体は居ない。傷ついた宝石蝶たちは、その身を支えあうかのように寄り添い、輝きながら池の水面へと近づいてゆく。
「壊れてしまった生態系は直せないです」
ジズルズィークは池に降りる蝶たちをしっかりと両の目でとらえて静かに膝を着いた。手を胸の前で重ね合わせて静かに、元聖女は念じる。
「ですが、今ある自然だけでも守って見せるのです」
それは静かな祈り。骸の海の波間に呑まれ、そして、災厄として蘇るしかなかった輝きに、聖者は祈る。そして、咎人殺しが得物を手にする。過去を過去へ、今を今として正すために。
ジズルズィークの手にした槌はつながった鎖とぶつかり乾いた金属音を響かせた。その残響が絶える前に、次なる音が重なる。ジズルズィークが一瞬の跳躍と共に、池に集まっていた宝石蝶を巨大な槌の一撃のもとに薙ぎ払った。宝石の砕ける破砕音が重なり、宝石蝶の美しい断末魔のように響いた。
「いつか新たな種としてこの輝きが見られるとよいのですが…」
ジズルズィークは槌を引き戻し、討ち漏らしがいないことを確かめると目を伏せる。
「その羽を砕いたジズがそう願うのはおこがましいでしょうか」
彼女の問いに答えられるものは、誰もいなかった。
その後、猟兵たちは花畑を再調査、異常が完全に取り除かれたことを確認して帰路についた。花畑の一部は戦闘で荒れてしまったが、被害を免れた花々は咲き誇り、時間が経てば再び見事な花畑として回復するだろう。だが、そこにあの美しい蝶が舞うことは、二度とないのだ。
花畑に現れた輝き、宝石蝶。骸の海に呑まれるオブリビオンである宝石蝶たちの輝きは、今は失われてしまった美しき過去のもの。羨むなかれ、その輝きを。求めるなかれ、その魔性を。過去は時に、美しく、妖しく今を虜にしてしまうのだ。
成功
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