どこか楽しげに見えたなら、気まぐれに近づいてみるのも良いだろう。楕円の球体に思えたそれらは、柔らかな耳とフワフワの尻尾を揺らして、ぷにっぷにっと跳ね回る、パルニーの群れなのだから。
丸くてフサフサの尻尾を振ってはぷにっと跳ねて、擦り寄ってくるパルニーたちに攻撃を繰り出す気配はひとつもない。そっと撫でてあげれば、あっという間にパルニーたちと仲良くなれるだろう。
そうして友好的なパルニーたちと戯れ仲良くなれたなら、秘密の場所へと案内してもらえるだろう。そうまことしやかに囁かれる噂話は、無限ダンジョンの『秘密の入口』への招待状。
「既にご存知の方もおられるかしら。GGOには各地のダンジョンの中に隠された『秘密の入り口』から進める『無限ダンジョン』というダンジョンマップがあるのですって!
周期的にランダムで変化している秘密の入り口に、内部はリアルタイム自動生成で無限に広がり続ける、文字通り終わりのないダンジョン。そんな無限ダンジョンのひとつで、バグプロコトルが湧いてしまっているわ。
腕試しや高速踏破、限定レアドロップ集め…様々な目的を胸に無限ダンジョンへ踏み入るゲームプレイヤー達に迫るバグプロコトルの魔の手。そして今回はそれだけではない。
笑顔を深めたセーラがそう語るのは、|統制機構《コントロール》打倒の手掛かりとも噂される最終クエストへのまだ遠い道筋。けれどそこに道があるならば猟兵たちが足を止める理由はないだろう。
そこは訪れる者に友好的にかつ好意的に、ぷにっと跳ね回るパルニーだらけの低レベル帯のダンジョンだ。特に害もなく楽しい娯楽があるだけで、アイテムドロップなどの美味しい思いは期待はできず、たまーにライトなゲームプレイヤーで賑わう事がある程度。
苔むした遺跡とよく似ているけれど、高低差のある場所で死角が多い上に、苔で滑りやすいの。パルニーは柔らかくてよく跳ねるから、思わぬところから攻撃されないように足音…跳ねる音に注意してね。足元にも注意が必要よ。
今回の無限ダンジョンへ迷い込んだゲームプレイヤーは基本的には足手まといだが、的確な指示があれば猟兵の手助けにもなるかもしれない。彼らと共にパーティを組むか、彼らのヒーローとなるかは猟兵の自由だ。
「ダンジョンを進んだら最後に戦うボスは『チュートリアルの妖精』さんよ。本来はチュートリアルをナビゲーションしてくださる方だけれど、今はバグプロコトルになっているの。
一時的にレベル初期化や技能の無効化によって猟兵さんたちを『弱く』しようとしてくる強敵なの。弱くされないように立ち回るだけでも、猟兵さんたちは優位に立てるかもしれないわね」
天井から射し込む木洩れ日がキラキラと照らすのは、何かの歴史を思わせる遺跡の数々。木々の根が張り苔に覆われている景色が代わり映えもなく続くこのダンジョンには、少し湿り気を帯びた涼しさも感じるだろうか。
軽快に足を進めてほどなく猟兵たちの耳に届くのは、友好的なパルニーたちのどこか気の抜けた足音だ。
後ノ塵
後ノ塵です。はじめまして、あるいはこんにちは。GGOでの三章構成のシナリオとなります。
一章はオープニング公開後からプレイングを受け付けています。二章からは断章追加後からとなる予定です。
一章は冒険です。友好的なパルニーと戯れましょう!
ゲームの公式マスコットっぽく扱われている、可愛らしいモンスターの群れが友好的に近寄ってきます。
戯れていると、そのうち無限ダンジョンの秘密の入り口に案内してくれます。楽しく自由にお過ごしください。
二章は『パルニー』との集団戦です。
道中で遭遇するゲームプレイヤー達を守りながら先へ進んでください。
足元は苔まみれで滑りやすく、遺跡の建造物によって高低差があります。死角から襲われないよう気をつけてください。
三章は『チュートリアルの妖精』とのボス戦です。
弱体化させようとしてくるバグプロコトルとの戦いです。
ゲームプレイヤー達は強くはありませんが、指示があれば動いてくれます。
皆様のプレイングお待ちしております。奮ってご参加のほど、どうぞよろしくお願いします。
第1章 冒険
『友好的なパルニーが現れた!』
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POW : パルニーと戯れる
SPD : パルニーと戯れる
WIZ : パルニーと戯れる
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種別『冒険』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
ノアール・ブランシュ
あーしのゴドゲ(GGO)のプレイスタイルはオシャレ勢だから、友好的なモンスターと戯れて過ごしたい日もあるんよ
うっかり無限ダンジョンに行ってしまったプレイヤー達はおそらく同志、助けないと!
遺跡についたら歩き回って、できるだけたくさんパルニーがいる場所を探そうか
ここ!と決めたら座ってパルニーが寄ってくるのを待つ
ロゼの手を持って、振ったらアピールになるかな?
フンフンされたらまずはロゼで触れてご挨拶
次いであーしの手でも撫でてあげるよ
うーん…
案内人のオススメは撫でることやったけど、見てるとやっぱり…
持ち上げたい!
抱えたい!
たかいたかいしてあげたい!
欲望のままに1匹を抱いてたかいたかいしちゃるぞー!
ノアール・ブランシュのプレイスタイルは、一言で表せばオシャレ勢だ。
遊び方が豊富なGGOだからこそ、友好的なモンスターと戯れて過ごしたい日はノアールにだってある。今回うっかり無限ダンジョンへ足を踏み入れてしまったゲームプレイヤーは、きっと同じ気持ちでGGOを遊ぶ同志だろう。
だからこそ同志の救助に一層の気持ちも入るし──オシャレ勢にもってこいな今回の進行フラグなんて、楽しまなければ損である!
ノアールはウサギぬいぐるみのロゼと共に軽快に歩を進める。
時折周囲を見渡しながら散策するだけでも、周囲の苔むした遺跡のそこかしこから聞こえてくるのは、ぷにっぷにっと跳ねるパルニーたちの気配。きっと彼らは友好的な上に好奇心も旺盛なのだろう。
「よーし…ここ!」
そうして周囲の音に耳を澄まし、ぐるっと回り込むように散策していたノアールは、ほどなく足を止めた。欠けた建造物が周囲をぐるりと囲み、木漏れ日が明るく照らす開けたこの場所は、扉はなくも小部屋のよう。四方に向かう道も『案内』には丁度良く、そしてなにより──。
「…るに?」
チラッと遺跡の影からノアールを伺うのは、ぷにっと三段重ねのパルニー。もはや耳を澄まさずともぷにっぷにっと重なり聞こえる幾つもの『足音』に、ノアールは満足そうな笑顔を浮かべてフカフカの苔に腰を下ろす。
膝の上に乗せたロゼの手を持って、三段重ねのパルニーに向かってフリフリ仲良しのアピールと手招きをすれば、好奇心をそそられたパルニーたちが段を崩して、ぷにぷにぴょこぴょこ寄ってくる。
「やっほー。こっちがロゼで、あーしはノアールだよ」
「るに?」
ノアールとロゼをフンフン嗅ぐ小さな鼻に、ロゼの手の平で優しくタッチのご挨拶。ぷにっと跳ねるパルニーたちが擦り寄ってきたら、そっと手を伸ばして優しく撫で撫で。パルニーの頭の上に、ふよんと浮かび上がるハートマークは友好度上昇の証だ。
「るにー」
「お、いっぱい来た。オッケオッケ。順番に撫でたるぜ〜」
程なく周囲からも、ぷにっぷにっとパルニーたちが寄ってくれば、あっちにこっちに優しく撫で撫で。パルニーたちは心地よさそうに柔らかーく溶けてぷにぷに。ハートのマークがふよんふよん。
「んるにー…」
パルニーに囲まれながらナデナデ、スリスリ…ハートがふよふよ…。スローライフなほのぼの空気感の中で、ノアールは満面の笑みを浮かべるも──しかし、不意に動きをとめた。
なんでも、友好度を上げには撫でるのが効果的。数値は見れずとも浮かび上がるハートで友好度の上昇もしっかり確認できたし、ばっちりフラグを達成している──のだが、それはそれ。
「もーたまらんっ!たかいたかーいしちゃるー!」
「るににっ!?」
ノアールは叫ぶやいなや膝のロゼを腕に引っ掛けると、一匹のパルニーの体を両手でぷにっと持ち上げワシッと抱きかかえ。その欲望のままに空へと高い高い!
「おりゃりゃーっ」
「ににーっ!」
「るっにー!」
跳び上がるよりも高く空舞うパルニーに、本パルニーも周囲のパルニーも飛んで跳ねてあっという間に大盛り上がり。パルニーと共にハートのエフェクトが、やたらめったら空に舞い踊ってゆく──。
「やってやったぜ…」
そうしてすっかり満足してパルニーを下ろせば、すっかりハイテンションのパルニーたちはノアールを囲んでぷにっと跳ねて、どこかへ行進をはじめる。
ノアールもまた行進に流されるまま苔むした遺跡をジグザグに進み、隠された道を抜けて程なく、辿り着いたのはぽっかりと口を開けている暗い穴だ。
振り返れば、パルニーたちの足音はあっという間に遠くなってゆく。涼やかさよりもどこか冷たい空気が漂うこの穴は──間違いなく無限ダンジョンへの秘密の入り口だろう。
「よっしゃ!」
ノアールは迷う事なく足を踏みれる。助けを求める同志は、この先に待っているのだから。
大成功
🔵🔵🔵
神臣・薙人
葛城さん(f35294)と
終わりの無いダンジョン…
踏み込まれた方がいるのなら
早くお助けしたいですね
絶界詩篇領域の事も気になります
頑張りましょう
まずはパルニーと戯れる…のですか
楽しそうですね
近くにいる子にこんにちはと声を掛けて
背中を撫でさせて貰います
ほわ…ぷにぷに…柔らかい…
尻尾はふさふさなのですね
ちょっと不思議な感じがします
葛城さん、この子達とても可愛いですね
お目々もきらきらです
ククルカンさんが出られるのでしたら
私も残花を呼んであげましょう
この子達は怖くないですよー
ふふー
ククルカンさんも可愛いです
無限ダンジョンへ案内してくれる素振りが見えたら
遅れずに後をついて行きます
気を引き締めて行きましょう
葛城・時人
ダチの神臣(f35429)と
「何処にでも滲み出て来るの厄介だね…」
大本を潰さない限りいつまでも人を喰い続け
そして何時か他世界も―
「絶界詩篇領域は潰したいし、頑張ってこ」
けど今回は単に楽しく遊べそう
「パルニーめっちゃ可愛いじゃん!」
手を出すと乗ってきたり足元で回ったりして
それ見てるだけでも和む
神臣も楽しそうで嬉しいな
俺達ったら、蟲
つか俺のはもう背中から顔だして興味津々
「いいよククルカン、でも此処の子たちは噛んだら駄目だよー」
って許可すると
『そんなことしない』と言いたげに俺の顔はたいてから
楽しそうにじゃれてる
「残花ちゃんもほら!怖くないよ」
遊びながら和やかに
死闘に導かれるまでの時間はうんと楽しもう
苔むした遺跡には穏やかな木洩れ日が差し込み、モンスターたちのざわめきはどこか遠く──ダンジョンでありながらも適正レベルの低いこの場所には、どこか平和な空気が漂っていた。
「何処にでも滲み出て来るの厄介だね…」
だからこそ、葛城・時人の胸に湧くのは苦々しい思いだ。これまで幾度となく戦ってきたバグプロコトル──失われた過去の化身、オブリビオン。あらゆる世界に染み出す『過去』の怪物はゲームの中にまで現れている。大本を潰さない限りいつまでも過去は人を喰い続け、そして何時か他世界も──だが、そんな過去に食い尽くされる未来を止める為に、猟兵たちがいるのだ。
「絶界詩篇領域は潰したいし、頑張ってこ」
「はい。頑張りましょう」
拳を握りしめた時人は、共にこの地に足を踏み入れた神臣・薙へ振り向き奮起し合う。この先の未来のどこかで巡り合う絶界詩篇領域の為にも、今回の事件に巻き込まれたゲームプレイヤーの為にも、まずは目の前の事をひとつずつ。とはいえ──今回の最初の目的はひと味違う。
「まずはパルニーと戯れるのですね。楽しそうです」
「だね。今回は単に楽しく遊べそうだよ。どこにいるかな…おっと!」
フフッと微笑む薙人に時人も笑顔を返せば、さっそくぷにっぷにっと飛び出してくるのは、友好的なパルニーたちだ。二人を前にしても逃げ出す事無く、小さな鼻をフンフン、フカフカの尻尾をフリフリ。
「パルニーめっちゃ可愛いじゃん!」
愛嬌たっぷりの可愛い仕草を見せてくれれば、その可愛さに時人は思わず言葉も飛び出てしまう。友好的なだけあって、二人が近寄ってもパルニーたちは逃げ出す様子はなく、むしろスリスリと擦り寄ってくるのだから、二人の表情はますます綻んでゆく。
「こんにちは。背中を撫でてもよろしいですか?」
挨拶と共に申し出ながら薙人が膝をつけば、パルニーの一匹がすぐさまその上にぷにっと乗っかりその身を差し出してくれる。そろっと優しく撫でてみれば、ぷにっと柔らかい感触に手のひらが沈み込んだ。
「ほわ…ぷにぷに…柔らかい…葛城さん、この子達とても可愛いですね」
「うん、見てるだけでも和んじゃうよ」
体はぷにっとしていながら、尻尾はふさふさ。ちょっと不思議なパルニーの触り心地に浸る薙人の、そんな楽しそうな姿を見れば時人の心も弾むもの。ソワソワ尻尾を揺らす一匹に時人が手を伸ばせば、パルニーは手どころか腕まで駆け上がり、かと思えばすぐさまターンしてもう一周。目をキラキラさせて楽しげに足元で走り回るパルニーは、友好的な個体の中でも特に活発で好奇心旺盛のようだ。
『きゅい?』
「るににっ?」
そして好奇心旺盛なのはパルニーだけではない。時人の背中からひょっこり顔を出し、興味津々にパルニーを見つめるのは時人の白燐蟲のククルカンだ。
「いいよククルカン、でも此処の子たちは噛んだら駄目だよー」
『きゅいっ!』
「あいてっ」
時人の軽口に『そんなことしない』と言いたげに頭を軽くはたいてから、ククルカンは長い体をくねらせじゃれつかせる。それだけでもう打ち解けたのか、パルニーたちはククルカンと跳ねまわり、薙人の膝の上にいたパルニーだって、上からぷにっと下りるとその輪に加わり跳ね踊る。
「ククルカンさんが出られるのでしたら、私も残花を呼んであげましょう」
そうして可愛くて微笑ましくて、楽しいこの時間に薙人も白燐蟲の残花を呼べば、残花は反対に薙人へぴったりくっつき躊躇いがちにころころ様子を窺う。
「残花ちゃんもほら!怖くないよ」
「この子達は怖くないですよー。ふふー」
けれどちょっぴり警戒していたって、二人が誘えば残花も楽しい輪に加わり楽しそうにじゃれ合ってゆく。
そうして──パルニーたちの頭の上に、ふよんふよんと浮かぶハートのエフェクトは、友好度が上昇した仲良しの証。これで無限ダンジョンへの進行フラグは達成し、秘密の入り口へと案内してくれるはず…なのだが。
「…私達よりも、残花やククルカンさんと仲良くなっているかもしれませんね…?」
「あるかも…神臣っ、俺達もパルニーと仲良くならないとだよっ!」
「ふふっ。混ぜてもらいましょう」
夢中で遊ぶ白燐蟲とパルニーの輪には、もちろん二人も加わらなければ!
改めて、時人と薙人はパルニーたちとの楽しい輪の中に混ざって、思いっきり撫でたり駆け回って遊んだり。気の向くままに和やかに戯れて、存分にパルニーたちとの楽しい時間を堪能してゆけば、そうして程なく──パルニーたちはぷにっと跳ねて、尻尾を振りながらダンジョンの奥へと進み始める。
楽しい時間はここまでだろう。二人は顔を見合わせ頷くと、パルニーたちの案内に遅れずに後をついて行く。苔むした遺跡の間を何度もジグザグに進み、茂みに隠された道を抜けて──辿り着いたのは、暗い口を開ける無限ダンジョンへの秘密の入り口だ。
「ここからが死闘だね」
「気を引き締めて行きましょう」
どこか冷たい空気を漂わせる穴の中へ、踏み込んでしまったゲームプレイヤーを少しでも早く助ける為に、二人が躊躇う事はない。バグプロコトルが巣食う暗い穴の先へ、迷わず進んでゆく二人の猟兵の後ろ姿を、パルニーたちが見送っていた。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
ミノア・ラビリンスドラゴン
定番のマスコットモンスターですわね!
ドラゴンやメイド、数々のモンスターを従えるダンジョンの主であるわたくしにとって、友好モンスターの親密度上げなど犬にお手を教えるより簡単ですわ~!!
高笑いと共に現れればモンスターの注意を惹きつけるに充分!(大声・注目を集める)
すごくけしからん純白の姫ドレスは【存在感】もばっちり!
セクシーなポージングで【誘惑】すれば、誰も彼もわたくしに夢中!
【蠱惑の魔性令嬢】とはわたくしのことでしてよ~!!
わたくしを捕まえてごらんなさ~い! と追いかけっこですわ~!!
苔むした遺跡のダンジョンへと響き渡るのは、自信に溢れる高らかな笑い声──!
木々を震わせそうな程の声量に、足を止めぬものは居やしない。ミノア・ラビリンスドラゴンの派手な登場に驚き引きつけられて、なんだどうしたと好奇心を刺激されるがままにざわめくのは大量のパルニーたち。遺跡のあっちこっちから響いてくる、ぷにぷにっとした足音にミノアは隠しきれない高揚を高笑いにこぼしてゆく。
「ドラゴンやメイド、数々のモンスターを従えるダンジョンの主であるわたくしにとって、友好モンスターの親密度上げなど犬にお手を教えるより簡単ですわ~!!」
なにせ、モンスターの扱いとなればドラゴンプロコトルの真骨頂!
定番のマスコットモンスターなどに至ってはミノアにとってお茶の子再々、たとえ友好的でなかろうとも手玉に取るのは容易いもの。そしてミノアの装備もひと目を惹いてすごく目立つ特別仕様。わざわざ探し回らなくても過剰量のパルニーの群れすら押し寄せようという見通しであった。
しかし相手は人型ではないマスコットモンスター……『すごくけしからん純白の姫ドレス』は効果があるのか!? ……あるのである!!
ここはGGO、付与されたデータがものをいう。存在感ばっちりの衣装はパルニーの瞳にも輝いて見えるのか、いつの間にやら遺跡の影から現れたパルニーたちの視線は全てミノアに釘付け。さらにミノアは自信たっぷりに微笑み細い手指を悩ましげにくねらせて、豊満な美貌をゲームプレイヤーなどであれば一発で悩殺される程のセクシーポーズでアピールする。
しかし相手はマスコットなモンスター……セクシーなポージングは効果があるのか!? ……あるのである!!
蠱惑の魔性令嬢の名は伊達ではない。ハートのエフェクトを振りまくミノアの誘惑がパルニーの群れに命中すれば、モンスターであれどなんのその。一発で悩殺し夢中にして友好を超えた値がぐんぐん上昇!
「さあ、わたくしを捕まえてごらんなさ~い!」
「るにににーっ!」
そしてさらに効率的に友好度を上げるべく、追っかけっこなイベントだってできてしまう!
ミノアがくるっと踵を返せば、大量のパルニーの群れはぷにぷにっと飛んで跳ねて押し寄せる。それはまるで夕暮れの浜辺を駆けるカップルの|光景《スチル》──にしてはパルニーの勢いが過剰であるが、ふよんふよんと浮かび上がるハートはあっという間に上昇する信頼度の証。となれば後は案内してもらうだけである。
「フフン、チョロいですわ~!! では秘密の入り口へ案内していただきましょう……って、少し多……フギャー!?」
ミノアはくるっと振り返り、メロメロ状態のパルニーを一匹キャッチ。した直後、ミノアにドドドッと押し寄せるのはありったけのパルニーの群れである!
ダメージこそ全く無いが、多すぎるパルニーの群れが一気に雪崩れ込めば──そこは一時パルニーの海ともなろう。しかしミノアが沈み溺れたのは一瞬の事。すぐさまその体はパルニーに持ち上げられて、上へ上へとバウンドしてパルニーの群れの背中をいったり来たり。……まさしく、パルニーたちによる胴上げである!
「どういう挙動ですのー!?」
ぷにっとした体は波のようにぷにっぷにっと揺れ動き、ミノアをバウンドさせながら目まぐるしくあっちこっちへジグザグ移動。方角すらわからぬままに茂みを抜けれてゆき──前触れもなくミノアは胴上げから解放される。
「あら!! 無限ダンジョンの入り口ですわね!!」
そうしてミノアの目の前に広がるのは、ぽっかりと口を開ける暗がりだ。名残惜しそうにチラチラ振り返りながら去ってゆくパルニーの群れを見送って、ミノアはどこか冷たい空気が漂う秘密の入り口へと足を踏み入れて行った。
大成功
🔵🔵🔵
ジャック・アリスター
絶界詩篇領域クエストの条件となる場所や手順に、時折こうしてまだ不慣れな駆け出しや、挑戦するつもりの無いプレイヤーまで迷い込み易いものが混じるのは何か意図があるのだろうか?
何にせよ、これ以上知らずに巻き込まれる者が出ないようにしなければ
それにしても、友好的なパルニーとは…
試しに片膝立ちになり手を伸ばして見ると、さして恐れる様子もなく寄ってくる
この警戒心のなさ、野生で生きていけるのか心配になるぞ…
お、おお…しかも結構簡単に撫でさせてくれるんだな…
モンスターを可愛がるのは不思議な気分だが、こうしていると巷でこいつらが可愛いと言われるのも分からなくもないぞ…
しばし任務を忘れ、無心でモフり倒す
苔むした遺跡のダンジョンへと足を踏み入れたジャック・アリスターは、周囲の景色をぐるりと見渡しながらひとり思案に耽っていた。
「ふむ…」
ここはダンジョンと言っても初心者向けで適正レベルの低い場所。アクティブモンスターも少なく、天井から射し込む木洩れ日が演出するグラフィックにも、緊張感よりも長閑さを感じるゲームプレイヤーも数多くいるだろう。
そんな場所に無限ダンジョンへの入り口が現れたならば、まだ不慣れな駆け出しや、挑戦するつもりの無いプレイヤーが迷い込む事もあるだろう。だが、それは何故か。絶界詩篇領域クエストの条件に繋がる場所や手順なのであれば、攻略できるプレイヤーが導かれて然るべきではないのか。バグプロコトル出現の影響か、それとも何か意図があるのか。
猟兵に覚醒し、ゲーム世界のAI人間である事を認識しているノンプレイヤーキャラクターだからこそ、プレイヤーの冒険を陰ながら支える職務に従事するジャックにとって、それは頭を悩ませる事に値する。されど──。
「…いや、無限ダンジョンの入り口はランダムに変化している。知らずに巻き込まれる者が出る事は発生しうるか…」
ジャックは頭を振って広げた思考に区切りをつけた。絶界詩篇領域であれバグプロコトルであれ、これ以上の被害が拡大しないようゲームプレイヤーを助けるのが、ジャックという|重戦士《NPC》の務めだ。
「む」
そうして長く同じ場所に留まっていたせいか、ふいに繁みがガサッと音を立てた。ジャックはハルバードを握りなおし、されど構える事無くそちらに体を向ける。
ガサガサガサ…ぷにぷにっ!
遺跡の影から独特の足音と共に飛び出してきたのはパルニーたちだ。攻撃する気配はない。ジャックが武器を片手に携えたままに片膝立ちで手を伸ばせば、パルニーはさして恐れる様子もなく寄ってきて、ジャックの手に鼻をフンフン、体をスリスリ。
「るにー♪」
「お、おお…結構簡単に撫でさせてくれるんだな…」
流されるようにそそっと撫でてみれば、パルニーは『もっと撫でて欲しい』とでもいうかのように、ジャックへ体を擦り寄せコロンとお腹をみせる。
しかし、これでもパルニーも立派なモンスターである。──モンスターではあるのだが。
猟兵に覚醒しているとてジャックはやはりNPC。モンスターと敵対する事は数あれど──あまりにも野生を忘れたパルニーたちの姿にもはや心配すら浮かび上がるし、こうして可愛がるのはやはり不思議な気分になってゆく。
ジャックは何とも言えない気持ちに兜の下で表情を歪ませるも、しかしここで恐ろしいのはパルニーの魔力。否、魅力である。
「ぷにぷにで……モフモフだ……」
躊躇いがちであった片手のナデナデは、いつの間にやら武器を脇にそっと置いて両手でワシャワシャのナデナデに。そういえば、パルニーがやたら可愛いと噂するゲームプレイヤーの姿も巷でよく見かけたものだった。分らなくもない、むしろ──。
「──ハッ!」
気が付けば無心で撫でまくっていた事に気付き、ジャックは慌てて前のめりの姿勢を正した。可愛い見た目に可愛い仕草は、時に抗い難い魅力となる。咳払いで濁しながら、ジャックは武器を取って立ち上がる。しばし任務を忘れてモフり倒してしまっていたが、そのお陰で友好度は無事に到達しているようだった。
撫でられ満足したパルニーたちは、ふよんとハートを浮かび上がらせながらジャックから少し離れてフサフサの尻尾をフリフリ。ついてこいとでも言う仕草に後を追えば、パルニーたちは苔むした遺跡の間をジグザグ進む。案内されるがままに、そうして隠された道を抜けて程なく──辿り着いた場所は、ぽっかりと口を開けている暗い穴だ。
「よし」
ジャックは気持ちを引き締め穴の奥へ歩みを進める。この先に何が待って居ようとジャックの本懐は変わらない。ゲームプレイヤーの冒険を手助けするのが、汎用NPCの務めだ。
大成功
🔵🔵🔵
フリル・インレアン
ふわぁ、パルニーさんがいっぱいです。
触ってみても大丈夫でしょうか?
かわいいですよね、アヒルさん。
……あれ?アヒルさんが返事をしてくれないです。
もしかして、私がパルニーさんばかり可愛がるから嫉妬しているのでしょうか?
大丈夫ですよ、アヒルさん。
アヒルさんは勇敢で頼もしい私のパートナーですから。
……って、アヒルさん何をパルニーさんにあげてるんですか?
お寿司って、パルニーさんがそんなものを食べるんですか?
ふええ、なんで私よりアヒルさんの方がパルニーさんの好感度が高くなっているんですか!!
「ふわぁ、パルニーさんがいっぱいです」
苔生した遺跡のダンジョンを探索して程なく──フリル・インレアンとアヒルさんが遭遇したのは、ぷにっぷにの友好的なパルニーたちだ。
鼻をフンフン鳴らし擦り寄ってくるパルニーは、警戒心なんて欠片もない。触ってみても大丈夫。とは聞いていても相手はやっぱりモンスター。ドキドキしながら、そっと手を伸ばし撫でてみれば触り心地は見た目通りぷにっと柔らかく、愛嬌たっぷりの見た目も相まってそれはそれは可愛らしい。
「かわいいですよね、アヒルさん。……あれ?アヒルさん?」
思わずパルニーを撫で続けてしまえば、フリルの口元は自然に綻ぶ。しかしどうしてか、フリルの言葉に返事はない。あれれ、と顔を上げて振り返れば、そこにはアヒルさんの丸まった真っ白の背中が見えるだけ。
なんだか小さく見えるような──もしかしたら、フリルがパルニーばかり可愛がるから、嫉妬しているのかもしれない!
フリルは慌てて両手をアヒルさんの背中に添えて、パルニーを撫でるよりもずーっと優しくナデナデ。
「大丈夫ですよ、アヒルさん。アヒルさんは勇敢で頼もしい私のパートナーですから」
だって、アヒルさんはいつもフリルの冒険を何だかんだで助けてくれる。まあ、これまでも色々あったけど……どんな時だって唯一無二の相棒である事は変わらない。しかしアヒルさんに反応はなく、代わりに聞こえてくるのはムシャムシャッと何かを食べてるSEだ。
「……アヒルさん、何をパルニーさんにあげてるんですか?」
フリルが立ち上がって背中からヒョコッと覗き込めば、目に飛び込んできたのはなんと!アヒルさんがエッサホイサとパルニーたちにお寿司を振る舞っている姿だ!
「お、お寿司って、パルニーさんがそんなものを食べるんですか?」
確かに相当数の人類はお寿司が大好きだろう。とはいえパルニーは人ではなくてモンスター。そんなものを食べるのか、食べれるのか……食べるのである。アレルギーとか毒性とか食中毒とか生き物にはあるアレコレはゲームじゃ時々なんにもないし、むしろ逆にゲーム的な設定数値がモリッとあるもの。
ドヤ顔のアヒルさんは肩越しにフリルへニヤリ。そう──お寿司は美味しいから、プレゼントしたら好感度が上がっちゃったりね!
「ふええ、なんで私よりアヒルさんの方がパルニーさんの好感度が高くなっているんですか!!」
そうしてパルニーたちの上にふよんふよんと浮かびまくる圧倒的な量のハートマークは好感度の上昇値。──なのだが対象はアヒルさんなので、フリルとパルニーの仲良し度は当然のようにまだ足りていない!
慌ててパルニーを愛でて戯れてようとしても、もはや時すでにお寿司。この場のパルニーは全てお寿司の魅力に取りつかれて、フリルの手はぷにっと無視されアヒルさんのお寿司もとへ。
となればパルニーたちはぷにっぷにっと秘密の入り口へと案内し始めるし、そのフラグ進行は当然アヒルさん依存でフリルには配慮なし。
「ふええ、置いていかないでくださいアヒルさん!」
フリルは大慌てでアヒルさんの背中を追っかけジグザグ歩いて茂みへダイブ。なんとか見失うギリギリのところで追い付けば、真っ暗な入り口の前でアヒルさんは呆れてヤレヤレ。何してんの遅いよ。なんていつものアヒルさん。
「ふええ……誰のせいだと思ってるんですか!」
フリルがいくら不満を口にしても、暖簾に腕押しなのもいつもの事だ。そうしてアヒルさんの嘴にせっつかれながら、ひとりと一匹も秘密の入り口に入っていくのだった。
大成功
🔵🔵🔵
第2章 集団戦
『パルニー』
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POW : とびつく
【とびつき】で近接攻撃する。低威力だが、対象が近接範囲から離脱するまで何度でも連続攻撃できる。
SPD : はねる
【飛び跳ねて】からレベル個の【レアアイテム「パルニーヘアバンド」の偽物】を召喚する。[レアアイテム「パルニーヘアバンド」の偽物]は誰かが触れると爆発し、【火傷】の状態異常を与える。
WIZ : いたずらパルニー
【バグテクスチャ】を纏ってレベル×5km/hで跳び回り、触れた物品や対象の装備を破壊、あるいは使用不能にする。
イラスト:仮名ゆたか
👑11
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
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種別『集団戦』のルール
記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
暗い穴を進んで、進んで──無限ダンジョンの秘密の入り口を抜ければ、明るい木洩れ日が視界に広がる。
猟兵たちを迎えたのは、木々の根が張り苔生した遺跡のダンジョンだ。どうみても使い回しのグラフィックな上に、ぷにっと跳ね回るパルニーの気配がそこかしこから聞こえてくれば、知らぬうちに道を引き返してしまったのかと思うほどだろう。
けれどここは確かに、バグプロコトルが溢れる無限ダンジョン。
よくよく周囲を観察しながら足を進めれば、足元を埋め尽くす緑の苔は、気を抜けば滑って転んでしまうほど鬱蒼と繁っている上に、欠けた遺跡の建造物は、不自然かつ不規則に積み上がり見上げるほどの見通しの悪い高低差を作っていた。
そしてダンジョンに広がり満ちるそのどこか薄ら寒い冷たい空気の正体は──パルニーたちの気配に混ざって微かに聞こえる人の足音や、押し殺した悲鳴や呼吸、余裕のない戦闘音だ。
それらは、あちこちでバグプロコトルに襲われながら、助けを求め彷徨うゲームプレイヤーたちがこのダンジョンに散らばっている事を示していた。
ある所には震えて隠れるプレイヤーがいるだろうか。またある所には、とにかく走って逃げ回るプレイヤーや、果敢に立ち向かって玉砕しかけているプレイヤーも居るかもしれない。
なにせ、見た目はどれも変わらずとも、友好的なパルニーはもう既にこのダンジョンには存在しないのだから──。
迷い込んだプレイヤーは今も来るかも分からない助けを待っているだろう。
狂暴性を増した群れの気配に警戒しながら、猟兵たちは迷いなくこの無限ダンジョンへと足を進めてゆく。
神臣・薙人
葛城さん(f35294)と
先程とは似ているようで全く違う場所ですね
迷い込んだ方のためにも
早くここを抜けなければ
最初から全力で行きましょう
私達は白燐蟲使い
やはりこれが正解ですね
初手で白燐蟲大拡散砲使用
葛城さんとタイミングを合わせ
同時になるように
蟲達の大群でパルニーを押し流します
跳び回る個体を目で捉えるのは難しいでしょうから
耳に意識を集中させ
不審な音が聞こえたら回避行動を
葛城さんにも注意喚起
その際は苔で滑らないよう留意
負傷時にはUC再使用
装備を使用不能にされても
蟲達は私の体内から現れます
完全に威力を削ぎ落とす事は出来ないでしょう
大群の攻撃にいつまで耐えられますか?
この子達はまだまだたくさんいますよ
葛城・時人
ダチの神臣(f35429)と
さっきまで戯れてた可愛いのが
牙をむいても即敵だ!とは、まあなんないよね
パニックになるのも無理はない
救援と、敵の掃討
此処には白燐蟲使いが二人
うん、俺達ならこれが正しい
「此処のは敵だよ!」
俺がククルカンに言うのはそれだけで良い!
「消えて!無くなれっ!」
神臣とダブルで放たれる白燐大拡散砲が
ダンジョンの隅々までを埋め尽くす
高速詠唱と多重詠唱で更に重ねよう
白の光放つ群れが迷い込んだ人たちを隠し癒し
敵はどんなモノも逃さない
折角一方的な虐殺をお膳立てしたのに
逆にやられるのは業腹だろうね
「そう、武器依存じゃないからね」
蟲笛が音を奏でなくても関係ないんだよ
「一匹たりとも逃さないよ!」
苔むした遺跡の無限ダンジョン──先程までとよく似ているようでも、ここには全く違う景色が広がっている。
神臣・薙人と葛城・時人は湿った苔に足を取られぬよう、そして周囲への警戒を怠らず慎重に進みゆく。油断を許さぬ周囲のざわめきもまた、先程までと同じようで同じではなかった。
そのうち大きく開けた場所へ踏み込んだ二人の前へ、前触れもなくそこかしこから躍り出るのはパルニーの群れ──ここはモンスターハウスだ!
積み上がった遺跡から飛び降りるように不意打ちじみたパルニーたちの攻撃が次々に襲いかかるも、注意さえ払っていれば回避は間に合う。薙人の鋭い警告で距離を取れば、聞き慣れた柔らかい足音が二人を取り囲んだ。
「るるるる…!」
パルニーの姿もやはり先程と同じ。だが、唸り声をあげるその目は凶暴な赤に染まっていた。
時人の背から姿を覗かせる白燐蟲ククルカンが白い翼をざわつかせる。友好的なパルニーとたっぷり戯れていた記憶もあれば、目前の凶暴性は時人の目にも一層ギャップが大きい。いくら牙をむいてこようと、即座に敵だと断ずるのは普通の──しかも、それが戦闘経験の浅いプレイヤーならば時にパニックへと陥る事があるのも頷けるだろう。
時人と薙人は互いの顔を見合わせ頷く。迅速な救援と、敵の掃討。異なる対応を求められる状況だが、此処には白燐蟲使いが二人居た。
「やはりこれが正解ですね」
「うん、俺達ならこれが正しい」
この|戦場《フロア》にも助けを求めるゲームプレイヤーが散らばっているというならば──最初から二人の全力でそれら全てを退け、全てを守るまでだ。
時人が詠唱を重ね紡ぎ、薙人が蟲笛を奏でる。風に乗る音色が呼び寄せ、淡く輝き白く膨れ上がる力は二人の刃であり牙。
「此処のは敵だよ!」
高速で詠唱を終えた時人が翼を広げるククルカンに伝える言葉は、ただそれだけで良い。
「消えて──」
「なくなれっ!」
友と肩を並べ二人が同時にこのダンジョンへと放つのは、白燐蟲たちの大群が描く天の川の輝き。白い光を放つその大群は目の前のパルニーの群れをひと息に飲み込んで押し流し、さらにはこのフロアの全てに支流を伸ばしてゆく。
「大群の攻撃にいつまで耐えられますか?」
敵には攻撃を、味方には加護を。更にこの眩さは、怯えて隠れるゲームプレイヤーの姿を、狂暴なパルニーの目からも隠してくれるだろう。
だがパルニーもバグプロコトル、ただでやられてくれる訳ではない。──わざわざ一方的な虐殺をお膳立てしたのに、逆にやられるのは業腹だろう。
だからこそパルニーの群れは、大群が勢いを落とす僅かな隙に猟兵たちへと狙いを定め、ノイズまみれのバグテクスチャを纏って凄まじいスピードで跳び回る。
高低差があるフロアを跳び回れば、その姿はもはや目では捉えきれない。白燐蟲たちは眩く輝き応戦するも、不規則な動きに僅かな穴は生まれるもの。薙人は耳に意識を集中させ、不審なノイズが聞こえれば即座に時人へ注意を促し回避する。
「葛城さん、左右から来ます!」
「るににににっ!」
だが、したたかなパルニーの狙いは憎い敵への直接的なダメージではなかった。飛び出すパルニーたちの狙いは二人の手元。パルニーの悪戯を躱しきれずに、弾かれた二つの蟲笛は遠く苔の上へ転がっていく。
凶暴な赤がニヤリと笑い、パルニーの群れが二人へと押し寄せる。けれど──白燐蟲たちの天の川は、そう簡単に輝きを曇らせはしない。
「そう、武器依存じゃないからね」
蟲笛は呼び水。音を奏でなくても白燐蟲たちは白燐蟲使いの体内から現れるのだ。いくらバグプロコトルであっても、どんな搦手で邪魔をしようとも、白燐蟲の大群の攻撃から完全に威力を削ぎ落とす事は出来なかった。
紡がれる詠唱に、白き天の川は再び輝く。
「この子達はまだまだたくさんいますよ」
「一匹たりとも逃さないよ!」
白燐蟲たちが大きく広がりフロアを飲み込めば、眩い光の中で僅かに食らった負傷もすぐさま癒えてゆく。
跳び回るパルニーの群れの気配は白燐蟲たちに埋め尽くされて、徐々に剣呑な気配が遠ざかる。天の川の輝きが空へ消えていった時、このフロアにはもうパルニーの姿は残っていなかった。
「な…なんだったんだ、今の…?」
「HPも回復してる…まさか、あなたたちが?」
戦いが終わった後、足元をフラつかせながら姿を現したのは、剣士と射手の二人組のゲームプレイヤーだ。簡単に説明すれば、状況を飲み込んでくれる。
けれど傷は白燐蟲の力で回復していても、どうやら気力はすっかり失っているようだった。…この先で、彼らをパーティの戦力として数えるのは難しい。かといってこの無限ダンジョンで最も安全な場所は猟兵の側となる。ボス戦では、庇護対象として守る事になるだろう。
無限ダンジョンを抜けるにはボスの撃破は不可欠だ──このゲームプレイヤーたちの為にも、早くここを抜けなければならない。
猟兵たちを先頭に、一行は次のフロアへと向かって行った。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
ジャック・アリスター
迷い込んでしまったプレイヤー達の声…!
手遅れになる前に助け出さなければ!
パルニーに襲われるプレイヤー達を発見したらその間に割って入り、攻撃を弾き返す(かばう+ジャストガード+武器受け+弾き飛ばし)
「さあ来い、お前たちもかわいがってやる!」
敵を挑発したり、牽制攻撃でこちらにヘイトを向けさせ(注目を集める)、その間に回復スキルが使えるプレイヤーはスキルの使用を、出来ない者には俺の回復ポーションを渡して(回復液)態勢を立て直してもらう
彼らがどうにか持ち直してくれたら、百烈槍を放って撃退しよう
ここから出るにはこのダンジョンを踏破するしかなさそうだ
不意討ちには気をつけるように促しながら、最深部を目指そう
胡乱な気配に満ちた無限ダンジョンを進むジャック・アリスターの耳に届いたのは、迷い込んでしまったプレイヤー達の悲鳴だ。今にも消え去りそうな声を聞けば、ジャックの胸に湧き上がるのはNPCとしての使命。──手遅れになる前に助け出さなければ!
「──あっちか!」
遺跡の高低差も足元の苔も迅速な歩みを阻むものであろうとも、道なき道を乗り越えジャックは進む。階段状に積みあがった遺跡の階下に見えるのは、パルニーの群れと敵対し瀕死に陥りかけた三人組の初心者パーティだ。
「ハアァッ!」
「るににっ!?」
ジャックが躊躇なく飛び降り武器を振り下ろして間に割って入れば、上空からの奇襲にパルニーたちはたたらを踏んだ。だがバグった狂暴性はすぐさま瞳を赤く染め、ジャックを新たな敵対者として認識すると、すぐさま標的を切り変えて飛びつき攻撃を放ってくる。
けれどパルニーは初心者向けのモンスター。行動パターンならジャックは既に知り尽くしている。タイミングを合わせ武器のジャストガードで受け止めて、即座にその体を弾き飛ばせば、群れとの距離が僅かに開けた。ジャックの乱入によって完全に後衛に退いたプレイヤーたちは既にパルニーの近接範囲外。今が態勢を立て直すチャンスだ。
「今のうちに回復をするんだ! 回復スキルが使えない者はこのポーションを使え!」
「…っあ、ありがとう!」
手持ちの回復ポーションも投げ渡し、ジャックの指示でゲームプレイヤーたちは慌てて尽きかけていたHPを回復させる。だが回復行動はどのゲームでもヘイトが高いもの。再び|標的《ターゲット》が切り替わる前に、ジャックは斧槍の柄を地面に突いて仁王立ちで立ち塞がり、片手でパルニーたちを手招きする挑発モーション。
「さあ来い、お前たちもかわいがってやる!」
ジャックはヘイトがあぶれないよう牽制攻撃を放ちつつ、常に群れの近接範囲で留まり、攻撃をガードで弾き飛ばしながら立ち回る。まんまと飛びついてくるパルニーの手数は多くも、その低い威力では重戦士のガードの堅さには届くまい──その認識はジャックの足元を疎かにさせた。
「しまった!」
ふいにズルリと湿った苔に足とられ思わぬ方向に体が傾けば、パルニーは一斉にジャックへ飛びつきにかかる。やられはせずとも多少の負傷を覚悟したその時、後衛からの攻撃がパルニーたちへと命中する。
「あ、当たった…!」
態勢を立て直したプレイヤーたちの心ばかりの援護は、不意打ちの一撃でもバグプロコトル相手には威力は然程のものではない。だがパルニーの足並みを崩すには充分なもの。ジャックは飛びつきを凌ぎ切り、ハルバードを強く握りしめる。
「行くぞ!」
疾風の加護を宿したハルバードが風の渦を纏う。パルニーたちが飛び付いてくるその瞬間、ジャックが放つのは秒間百もの強力な連続突き。一撃毎に命中率は下がってゆくが、たっぷりとヘイトを集めている今、群れは勝手にジャックへ寄ってきてくれる。
そうしていよいよ最後の一匹まで残らず撃退すれば、ゲームプレイヤーたちは安堵に胸を撫で下ろす。
「助かったあ〜!」
「聖剣士に黒聖者…それに月穹士か。パーティはこれで全員か?」
「あ、ああ。このフロアは多分、俺達だけだと思う」
周囲を警戒しつつ確認しジャックは頷く。この無限ダンジョンを出るには、更に先へと進む必要がある事を伝えれば不安を滲ませるも、覚悟を決めて力強く頷いた。まだ初心者で覚束ない所はあるかもしれないが、指示さえあればこの先で待ち受けるボス戦で共に戦ってくれるだろう。
「よし。不意打ちには気をつけて進むぞ!」
とはいえボスが待ち構える最深部はまだ先だ。ジャックはプレイヤーたちへ注意と警戒を促しながら、慎重に次のフロアへと向かってゆく。
大成功
🔵🔵🔵
ミノア・ラビリンスドラゴン
すでに結構な数のプレイヤーの皆様方がいらっしゃるようですわね!
迷宮メイドで陣地を形成してからと思いましたが、拙速を尊ぶ状況!
遺跡内という地形で、数と速さを両立できるのは……
【ダイナソー・デッキ】よりドロー! モンスターカード!!
ラプトル・トループを召喚!(召喚術)
お行きなさい! プレイヤーの皆様方を救出ですわ~!(大軍指揮)
344体という数の暴力を活かして【情報収集】!
地面を踏み固めて不安定な地形を地均し!
ラプトルはモンスターなのでアイテムに興味なし!
はねるバグったパルニーに牙で噛み付き、爪で引き裂く!
次々に襲いかかり【蹂躙】!
その間にわたくしは皆様方を迎え入れる【拠点構築】しておきましょう!
剣呑な空気に包まれる苔生したダンジョンを見渡したミノア・ラビリンスドラゴンは、僅かな逡巡の後に一組のカードデッキを取り出す。
猶予があれば迷宮メイドで遺跡内に陣地を形成し優位に立ち回ろうが、ここにはすでに幾人ものゲームプレイヤーが迷い込んでいる。今回は何よりも拙速を尊ぶ状況といえるだろう。
「ならば、数と速さを両立ですわね! 【ダイナソー・デッキ】よりドロー! モンスターカード!!」
ミノアがデッキの山からシャッと素早く引くのはラプトル・トループのカード。この|場《フロア》へ次々に召喚されるのは344体もの小型肉食恐竜の軍勢だ!
「お行きなさい! プレイヤーの皆様方を救出ですわ~!」
ミノアの指揮でラプトルが一斉に走り出せば、広がる苔がちょっとばかし滑ろうが、積み上がった遺跡の瓦礫が行く手を阻もうが、大群の行軍は止まらない。それどころか地面を踏み固めて不安定な地形を地均しながら、パルニーどころかこのダンジョンすらもすり潰す勢いで、このフロアを踏破するべく隅から隅まで俊敏に駆ける!
──そしてそのまま、並々ならぬその大騒ぎはパルニーの群れ前にも、ゲームプレイヤーたちの前にも現れる。
「新しいモンスター!?」
「嘘だろもう限界……ってええっ!?」
新たなモンスターの乱入に戦士と術士のプレイヤーたちは一瞬恐怖に震えるも、ラプトルの目標は当然パルニーのみ!
ラプトルたちはフラフラのプレイヤーたちをスルーして、バグったパルニーの群れへ即座に飛び込むと牙で噛み付き、爪で引き裂く!
パルニーの群れが慌てて飛び跳ね『パルニーヘアバンド』の偽物を召喚しようとも、モンスターはレアアイテムなんて興味はないどころか、怪しい物にこそ警戒心は働くもの。そんなものはやっぱりスルーでパルニーへと一直線で向かっていけば、たとえ逃げようとしたって数の暴力でガブッとザシュッと一気に蹂躙してゆく!
「な、縄張り争い……?」
「生息地は掠ってないでしょ……」
「いや、今いるし……」
バグって凶暴になっているといっても、可愛いマスコットが小型の恐竜に捕食されるような光景に、プレイヤーたちはすっかり震えあがる。──だが、これでもラプトルたちは彼らの救出に訪れたモンスターである。
パルニーの群れを残らず片付けたラプトルたちは、頭をひと振り。まるで案内するかのように、時折プレイヤーたちを振り返りながら均された苔の上を進んでいく。
困惑の中でプレイヤーたちは顔を見合わせると、恐る恐るラプトルたちの背中を追いかける。道中ではいつの間にやらすっかり変わり果てたダンジョンの景色やら、はぐれパルニーを蹂躙してるラプトルやら。驚きっぱなしまま程なく──BGMがどこか落ち着いた音色に切り替わる。
ポカンと口を開けたプレイヤーたちを出迎えるのは、開けた場所に設えられた簡易ながらもしっかりとしたテントに焚き火。
そして満面の笑みでプレイヤーたちを迎え入れるドラゴンプロコトル、ミノアである!
「こ、ここは……」
「わたくしが設えた|拠点《セーフハウス》ですわ〜! 無限ダンジョンは果てのないダンジョン! 時に休息し英気を養ってから先へ進むのも、攻略の鍵ですわ〜!」
ラプトルの軍勢が蹂躙している間に、ミノアが構築したのはダンジョンの中でもしっかり休める拠点。焚き火の前でホッとひと息つけば、疲れ切ったゲームプレイヤーたちのHPとMPもばっちり全快だ。
すっかり落ち着いた重戦士と術士はミノアへ感謝を告げる。無限ダンジョンから逃れるには、彼らもまた猟兵たちと共にこの先へ進む事となる。彼らはまだ未熟ではあれど、休息のおかげですっかり気力にも満ち溢れた。指示さえあればこの後のボス戦で共に戦ってくれるだろう。
大成功
🔵🔵🔵
フリル・インレアン
ふわぁ、ここにもパルニーさんがいっぱいです。
見てくださいアヒルさん!
私もこんなにパルニーさんに懐かれているんですよ。
ちょっと勢いがあり過ぎて痛いですけど、それだけ懐かれてるって事ですよね。
それにしても、アヒルさんは何をしているんでしょうか?
ふえ?アヒルさんが呼んでます。
何かあったんですか?
ふええ!?お、落とし穴ですか!?
ふええ!?早くその穴からでないと埋めるって、何をするんですか?
空中浮遊でどうにか出れましたけど、パルニーさん達がまだ穴の中ですよ。
ふえ?アレはバグプロトコルさんだから埋めるって、もしかして私は囮にされてたという事ですか?
「ふわぁ、ここにもパルニーさんがいっぱいです。見てくださいアヒルさん!」
アヒルさんに嬉々としてそう語るのは笑顔のフリル・インレアン。そしてフリルを取り囲んでいるのは──バグって凶暴性を増したパルニーの群れである!
「私もこんなにパルニーさんに懐かれているんですよ」
ぷにっじりっと近付くパルニーの姿にフリルはフフンと胸を張って自慢げ。なにせさっきまではアヒルさんのお寿司によってパルニーと戯れる機会を失ってしまっていたのだ。近寄るパルニーの群れについついご満悦。
とはいえここのパルニーは凶暴にバグったバグプロコトル。フリルへ近付いたら即座にぷにぷにげしげし!ドカドカバキバキ!
いくら低威力とはいえ、ひたすら跳びつき攻撃を連打されたらだいぶ痛いし、瞬く間にダメージは蓄積する──!のだが、それだけ懐かれていると思えばちょっとは堪えようがある。とはいえ食らえば食らうほどHPはピンチになっちゃうだろう!
だからアヒルさんはヤレヤレ翼を広げたら、フリルが倒れる前にとにかく急いでえっさ、ほいさ。
「さ、流石に痛くなってきました…アヒルさんは何をしているんでしょうか…ふえ?何かあったんですか?」
程なく準備が終わればアヒルさんはフリルを手招き。パルニーたちの勢いに押されながらそっちへ行けば──フリルはズボッとスッテンコロリン!パルニーの群れもズドドドドド!
「ふええ!?」
そうしてパルニーたちと共に、フリルは深くて暗〜い穴の底。ほらほら早く穴から出ないと埋めちゃうよ、なんて穴の上から言ってくるのはアヒルさん。フリルが慌ててふわっと浮かび上がって脱出すれば、パルニーの群れは穴の底で重なり合ってぷにぷにもぞもぞジャンピング。うっかり跳び出る前に、アヒルさんは上から土をえっさ、ほいさ。
「ふええ!?何してるんですかアヒルさん!…ふえ?バグプロコトルさんなんですか?」
あんな凶暴なの野放ししてらんないから埋めないとね。なんて賢いアヒルさんなんでしょう。
「ふええ、そうなんですね。…あれ?もしかして私は囮にされてたという事ですか?」
気付いた頃にはパルニーの群れは穴に埋められ躯の海へ。囮にされてフリルはプンプンしているけれど、まあまあ良いじゃない。HPが瀕死になる前にパルニーの群れは倒せたんだから。そうしてフリルとアヒルさんもまた、ダンジョンの先へと進んでゆく。
成功
🔵🔵🔴
探索の果てに辿り着いたボスフロア。そこに足を踏み入れた猟兵たちとゲームプレイヤーたちを迎えてくれるのは、場違いなほどに軽やかなSEと明るいナビゲーションメッセージだ。
薄っすらと微笑みを浮かべながらフワリと舞い降りてくる妖精は、大体のゲームプレイヤーならば一度はお世話になるであろう『チュートリアルの妖精』だ──悪意も敵意も見当たらない上に見覚えもある妖精の姿に、ゲームプレイヤーたちは肩透かしを食らったのだろう。息を吐いて、今まで張り詰めていた警戒を緩めていた。
猟兵たちがゲームプレイヤーたちへと鋭い警戒を口にする目の前で、前触れもなく妖精の笑顔が崩れた。みるみるうちに不自然なノイズが妖精のグラフィックへと幾重にも走り、彩るエフェクトが極彩色に点滅する。
目の前で正体を現したバグプロコトルを目にして震え上がるゲームプレイヤー達には、必死に武器を取るものも居れば、ただ怯えたままの者もいるだろう。彼らを戦闘には出さないまま猟兵だけで戦うか、指示を出して共に戦うかは猟兵たちの自由だ。
ゲームの管理者してみれば、バグプロコトルが立ち塞がることよりも──出現場所から口上まで、全部バグり散らかしている妖精を倒した後の|事後処理《メンテナンス》のほうが、いっそ面倒くさいことこの上ないだろう。
妖精が羽根のような両手を広げれば、激しく点滅する黄色の光臨が膨らみ弾ける。真っ赤に染まったポップアップが知らせる特殊効果は|ユーベルコード《スキル》初期化の警告だ。表面だけのチュートリアルだが、従わなければいくら猟兵といえども著しいデバフがかかる事になるだろう──けれど、そんな警告にもミノアが怖じる事はない。
パチンと指を弾いて発動するのは、モンスターを召喚するプレーンなユーベルコード。対価はもちろんトリリオン支払う必要があるのだが──懐の心配はご無用だ。いつもは素寒貧のミノアでも、今回はすでに無限ダンジョンの道中で、必要経費をばっちりしっかり稼ぎ済みなのだから!
山積みのトリリオンがジャラジャラと虚空に消えてゆけば、入れ替わりに舞い降りるのはサイズも能力も中位程度のドラゴンたちだ。そしてさらに、目の前の光景に圧倒されるゲームプレイヤーたちへと、ミノアが取り出すのは幸運に恵まれた道中で拾ったレアめの武器装備。
武器に強化にと、見た事もない程のステータスの上昇に彼らは驚くも、その数値は時に大きな自信を与えてくれるもの。勇ましく武器を構える彼らは、もう守られるだけの頼りないプレイヤーなどではない。このボス攻略の手数として足るほどに、立派な冒険者だ!
ミノアの巧みな指揮のもと、プレイヤーたちもドラゴンたちと共に果敢に戦う。プレイヤースキルが足りない場面であっても、充分なバフ効果とドラゴンたちの援護によって訪れる危機を乗り越えてゆけば、彼らの攻撃はいよいよ妖精へとクリティカルな一撃を与えてノックバック!
そしてすかさず畳み掛けるドラゴンたちの追撃に、調子を良くしたプレイヤーたちも更にガンガン攻撃を食らわせて、混成軍の猛攻は妖精のHPを大きく削り取ってゆく。
バグったナビゲーションを口にする妖精は、距離を取った。グラリと傾く体を支えるその表情こそ変わらぬままでも、妖精は隠しきれない疲労を滲ませ、再び激しいノイズを纏っていた。