|断片環相《UC》報告書 [code:f45904]
✦――――〔 Fragmentary Cycle Report | 断片環相報告書 〕――――✦
本報告書は、観測対象に内在する特殊型潜在可能性のうち、情動波形の変調、内的因子変異などを契機として浮上する「|断片的発現特性《ユーベルコード》」を解析・記録したものである。
各能力はあくまで未確定かつ準顕現型とされ、対象の選択・同調・覚醒により顕現の有無が決定する。
※本報告書内の注記は、観測者の視点および解釈に基づいたものである。
※記述はすべて断片的な可能性の一端に過ぎず、内容は解釈する者によって変わり得る。
◈観測対象名:小島・透流
◈対象識別ID:f45904
═════ ✦ 発現因子観測記録 ✦ ═════
◇CODE:FC-01《花の織(はなのおり)》
能力値:POW
原式能力:土蜘蛛の檻
能力断片:
レベルm半径内を【任意の対象を絡め取る名もなき花の細根の網】で覆い、[任意の対象を絡め取る名もなき花の細根の網]に触れた敵から【攻撃力とUC発動に要する精神力】を吸収する。
分類タグ:細根展界/捕縛収奪/野花禁域
断片的注記:
『……これ以上、好きにはさせません』
名を授からぬ花も、土の下では確かに命を継いでいる。
奪おうとして伸ばされた手を、もう黙って見送ることはしない。
細い根が結ぶ境界は、やさしさの裏側にある決意だ。
◇CODE:FC-02《咲継(さきつぐ)》
能力値:POW
原式能力:サウザンドアーツ
能力断片:
【敵の装甲を穿つシクラメンの花茎】【硬質化して敵を斬る肉厚の葉】【広範囲に炸裂する鋭い花弁の散弾】で攻撃し、ひとつでもダメージを与えれば再攻撃できる(何度でも可/対象変更も可)。
分類タグ:花茎穿撃/硬葉斬断/散弁連鎖
断片的注記:
『……一度きりでは、ありませんから』
枯れかけた鉢には、まだ終わらない季節が眠っていた。
ひとつ咲けば、その先にまたひとつ。生きることは、幾度も繰り返し続いてゆくこと。
――弱かった昨日も、今日の強さを育てる土になる。
◇CODE:FC-03《冬砦(ふゆとりで)》
能力値:POW
原式能力:載霊結界
能力断片:
【術者が指定した地点に咲かせた柊の白花】からレベルm半径内に、外部からのあらゆる被害を阻む【自分と味方の傷と異常を癒やす柊の防壁】を構築する。堅牢さは【術者の守り抜こうとする意志の強さ】に比例する。
分類タグ:柊白結界/護命慈癒/守誓堅牢
断片的注記:
『……大丈夫。ここは、僕が守ります』
冬の木は、なにもかもを手放し無為に佇むばかりではない。
冷たい棘の裡で、白くちいさな花はひそやかに息づく。
大勢でも、たったひとりでも、守る意志に違いはないのだから。
◇CODE:FC-04《花の指先(はなのゆびさき)》
能力値:POW
原式能力:サイコキネシス
能力断片:
見えない【嘗ての花の記憶が呼び起こす花弁】を放ち、遠距離の対象を攻撃する。遠隔地の物を掴んで動かしたり、精密に操作する事も可能。
分類タグ:不可視花弁/遠隔掌握/細密干渉
断片的注記:
『……この手にも、まだできることがあるから』
嘗て己が手がなにをしたか、してきたのか――それをなかったことにはできない。
けれど、ちいさな花に触れたあの日のぬくもりも、確かに同じ指先が覚えている。
その記憶ある限り、届かぬと決めつけるにはまだ早い。
◇CODE:FC-05《春礫(はるつぶて)》
能力値:SPD
原式能力:ガトリングアロー
能力断片:
【戦場に舞うハルジオンの花々】から無限に供給される【幾度も攻撃し継続ダメージを与える硬い花弁】を、レベル分間射撃し続ける。足を止めて撃つと攻撃速度3倍。
分類タグ:春野弾幕/硬弁連射/残響追撃
断片的注記:
『……風に舞うばかりじゃ、ないんです』
道端の春は、誰かに見つけられるために咲くのではない。
細く頼りなく見えたものにも、風に折れまいとする芯は在る。
やさしい色をしていることと、弱いことは、きっと別の話だ。
◇CODE:FC-06《風渡り(かぜわたり)》
能力値:SPD
原式能力:大凧操舵術
能力断片:
【黄色い花の彩る巨大な石蕗の葉】にレベル人まで乗せて、レベルkm/hで飛翔できる。また、搭乗者全員が【着弾後に弾けて敵の視界を奪う無数の綿毛弾】で攻撃できる。
分類タグ:石蕗空航/群体輸送/綿毛煙幕
断片的注記:
『……乗ってください。空を、行きましょう』
地を離れることが、逃げることだとは限らない。
風はときになにかを遠ざけ、ときに帰るための路をひらく。
今度はひとりで行きはしまいと――空へ向けて差し出す手が、此処にある。
◇CODE:FC-07《瑠璃時雨(るりしぐれ)》
能力値:SPD
原式能力:ヘヴンリィ・シルバー・ストーム
能力断片:
戦場全体に【青い月光を宿すルリマツリの花雨】を発生させる。レベル分後まで、敵は【視界を奪い麻痺を残す鋭い凍雨】の攻撃を、味方は【傷と異常を癒やし攻防を高める慈雨】の回復を受け続ける。
分類タグ:瑠璃天候/凍雨侵痺/慈雨活性
断片的注記:
『……ありえないことを、もうひとつ。あの月のように』
ありえない蒼が、あの森の空には確かにあった。
幸せだと信じてよいのか迷った夜を、もう疑い続けなくていい。
異なるものがひとつの空に在ることも、きっと奇跡の形だから。
◇CODE:FC-08《余香(よこう)》
能力値:SPD
原式能力:シャドウペルソナ
能力断片:
対象1体の精神世界に【カモミールの香で自己強化した術者の分身】を召喚する。[カモミールの香で自己強化した術者の分身]は術者と同じ能力を有し、精神世界を攻撃・治療できる。
分類タグ:記憶芳香/精神顕身/内界干渉
断片的注記:
『……もうひとりの僕にも、どうか力を』
贈り主は、ただ喜ぶ顔が見たかっただけだという。
香りが消えても、そのささやかな願いまで失われやしない。
人をこの世に引き留めるものは、案外そんなちいさな贈り物なのだろう。
◇CODE:FC-09《花宿り(はなやどり)》
能力値:WIZ
原式能力:魔法の装填
能力断片:
自身のユーベルコード5つを装備中の【不思議な力の宿るちいさな五弁花の結晶】に籠め、24時間、行動毎に[不思議な力の宿るちいさな五弁花の結晶]から2種類づつ発動できる。
分類タグ:五弁術晶/術式封装/双術起動
断片的注記:
『できることは……少しでも、多い方がいいですから』
五枚のちいさな余白に、まだ選ばなかった明日が宿る。
ひとつしかできないと諦める前に、もうひとつの路を探す――
それは万能への憧れではなく、誰かのために手を空けておく祈りなのだ。
◇CODE:FC-10《野の理(ののことわり)》
能力値:WIZ
原式能力:ワールドハッキングプログラム
能力断片:
戦場内を【自分と味方の戦闘力を高める野草の花畑の】世界に交換する。この世界は「【敵は根を払うまで攻撃禁止】の法則」を持ち、違反者は行動成功率が低下する。
分類タグ:野花領域/草根戒律/法則侵蝕
断片的注記:
『花たちだって……生きてるんです』
人が名を呼ばぬ草にも、そこに生きるだけの理がある。
踏みつけられて当然の命など、はじめからひとつもなかった。
足許のちいさな声に耳を澄ませば、世界の見え方も変わり始める。
◇CODE:FC-11《花便り(はなだより)》
能力値:WIZ
原式能力:影の追跡者の召喚
能力断片:
【術者の念で操る、捜索と索敵を行う花弁群】を召喚する。それは極めて発見され難く、自身と五感を共有し、指定した対象を追跡する。
分類タグ:群弁使役/潜行索敵/五感共鳴
断片的注記:
『……僕には見えない景色を、見せてください』
知らない景色は、なにも恐ろしいものばかりではない。
風の向こうを知りたいと願うことは、そこにいる誰かを想うことにも似ている。
道端の名もなき一枚が、遠い場所との距離をすこしばかり縮めてくれる。
◇CODE:FC-12《緑の外套(みどりのがいとう)》
能力値:WIZ
原式能力:ヤドリギの織姫
能力断片:
対象を【シロツメクサの茎葉を編んだ外套】で包む。[シロツメクサの茎葉を編んだ外套]は装甲と隠密力を増加し、敵を攻撃する【敵の装甲を裂き防御力を奪う葉刃】と、傷を癒やす【解毒と活力回復も促す白い小花】を生やす。
分類タグ:白詰装衣/隠密加護/葉刃癒命
断片的注記:
『……お守り代わりに。少しは、力になれると思います』
旅立つその背にかけられるものは、言葉ばかりではない。
ありふれた白い小花には、帰ってくる場所の匂いがある。
どうか無事に――その願いを、そっと外套のぬくもりに託して。
――以上の断片は、いずれも観測時に一時的に発露した可能性の一端に過ぎない。
今後の変異経過および顕現条件のさらなる観測が待たれる。
解析担当機構:断片環相観測局
═════ ✦ End of Record ✦ ═════
成功
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