殲禍炎剣聖餐戦争㊷〜濁流の安寧
調停機ポンパドゥールのコクピットで、セイヨウ帝国の不死皇帝『エンペラー・ノーライフ』は白く軟らかい粘液の大地の広がる光景を、なんの違和感も抱くことなく眺めていた。
「よしよし。粘液濁流は無事に広がっているな。この調子ならば、世界の悉くを粘液濁流の底に埋葬する事もできよう」
白くも豊かな髭を撫で付け、不死皇帝はホッと胸を撫で下ろす。|殲禍炎剣《ホーリー・グレイル》のその残骸は、人知を超えた超技術の塊であった。そして、それらを狙う者共や、この場に訪れる者共もまた徒らに争乱と戦火を広げる|悪であろう《・・・・・》。
「このまま戦場に現れし者を尽く破壊し埋葬すれば、この世界には安寧が訪れよう」
──不死皇帝は泥濘の安堵に体を沈め、善良さの滲む笑みを浮かべる。その完全な善意は既に、|調停機《・・・》による|思想汚染《・・・・》によって大きく歪められている事には、気付けぬまま。
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「ヤアヤア、猟兵の皆々サマごきげんよう!殲禍炎剣聖餐戦争も終わりが近くなってきたねェ。
となれば、最後にもうひと踏ん張りのタイミングだよォ」
軽快な靴音を携えて、猟兵たちの前へ姿を見せるのはバロン・ドロッセル。ステッキをくるりと回しながら広げるのは、クロムキャバリアに広がる害意だ。
「これから皆々サマに相手をして頂きたいのは、調停機ポンパドゥール。そしてセイヨウ帝国の不死皇帝『エンペラー・ノーライフ』だよ。
不死皇帝サマは些か浅慮な所はあれど、情に厚く善良な性格から国民達に慕われていたらしいけど…今ではすっかり、調停機による思想汚染を受けちゃっててね?
今や、|完全な善意《・・・・・》によってクロムキャバリア世界の悉くを粘液濁流の底に埋葬しようとしてるのさ」
困ったね、とバロンは両手を広げ首を竦める。
知られざる『柔らかい金属』で造られ、防御とテラフォーミング能力に特化している調停機ポンパドゥール。流星と共に現れたという謎のキャバリアは今、不死皇帝の手足となって歪んだ善意を成就させようとしていた。
「いくら善意といっても世界を埋葬されちゃ溜まったもんじゃないよォ。
だから調停機ポンパドゥールを破壊して欲しいんだけど…戦場は既に不死皇帝のユーベルコードである『粘液濁流』によって『白く軟らかい粘液の大地』と化しているんだ。
呑気に地に足を付けてはいられないよ。たった数分で粘液に飲まれて埋葬されてしまうからねェ」
この戦いではまず、粘液濁流による『埋葬』にどう対処するかが重要になってくるだろう。埋葬を逃れながら、調停機ポンパドゥールの誇る尋常ならざる柔軟性の防御を崩し破壊する──単純ながら敵は強大。だが猟兵ならば何らかの手段を以て戦うことができるだろう。
「方針は決まったかい?とにかく埋葬されないように気を付けてねェ。
健闘を祈っているよ。それでは皆々サマ、いってらっしゃい。」
バロンが指を鳴らせば、グリモアの輝きは戦場への扉を開く。
輝きが導く先に広がるのは、白く軟らかい粘液の大地──すべてを飲み込まんとする戦場の中心で、粘液濁流に覆われた調停機ポンパドゥールはゆっくりと右腕を掲げた。
後ノ塵
後ノ塵です。はじめまして、あるいはこんにちは。
一章完結の戦争シナリオとなります。調停機ポンパドゥールとの戦闘シナリオとなります。
オープニング公開時からプレイングを受け付け、順次執筆させていただきます。期間内の完結の為、全てのプレイングを採用できない場合があります。ご了承ください。
キャバリアに乗らずとも戦えますが、キャバリアが必要な場合はキャバリアをどこかから貸与してもらえます。
プレイングボーナス……粘液濁流による「埋葬」に対処する。
皆様のプレイングお待ちしております。奮ってご参加のほど、どうぞよろしくお願いします。
第1章 ボス戦
『調停機ポンパドゥール』
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POW : 濁流防御
自身の【全身】から【蠢き増殖する粘液濁流】を放ち、正面からの全ての攻撃を無効化する。
SPD : 粘液風船
【腕部】から、着弾地点で爆発する【粘液濁流の泡】を連射する。爆発は敵にダメージを、地形には【底なし沼化】効果を与える。
WIZ : 埋葬濁流
【対象を埋め尽くす粘液濁流】を展開し、レベルm半径内の全員を高速治癒する。ただし1分以上治癒された者は【埋葬完了】して死ぬ。
イラスト:もりさわともひろ
👑11
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種別『ボス戦』のルール
記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※このボスの宿敵主は
「💠山田・二十五郎」です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
ミルケン・ピーチ
色白大人ボディの桃姫で出撃
敵に先制はない…なら最初に【指定UC】を使い巨大ロボに乗って突撃
常に飛行状態になることで底なし沼を無効化しつつ、【空中機動】で濁流攻撃も回避
『ミルクキャノン』を連射して泡を割り、余波を合体ロボの頑丈さで耐えつつ正面から攻撃
勿論無効化されるのは分かっています
一見無駄な行動をしているようにしつつ爆炎で視界を塞ぎながら油断を誘い、敵の大きな攻撃に合わせ喰らう瞬間あえてUC解除
他の機体を帰らせつつ、私専用機の『ダマシーンフェニックス』のみで【リミッター解除】のスピードで後ろに回り、【フェザーアロー】からの【ゴツゴツタックル】の突進で後ろを貫いてやります!
白く軟らかい粘液の大地が広がるその上空へ飛び出すのは、不死鳥を象る紫の装甲。花園・桃姫の姿でダマシーンフェニックスに搭乗したミルケン・ピーチは、コクピットの中で桃姫の豊満なボディを揺らし紫ゴーグルの奥から鋭い眼差しで敵を見据える。
「先制を仕掛けてくる様子はありませんね…」
右腕部をこちらへ向ける調停機ポンパドゥールの真っ赤な瞳は、確実にミルケンを捉えているもまだ動く様子はない。ポンパドゥールの防御力と粘液濁流の布陣が、不死皇帝の余裕といったところだろうか──ならば、ミルケン・ピーチは最初から全力を出すまでだ。
「次元跳躍、全機集合! 桃獣合体! 参上! パルフェオペッシュ!!」
ゴールデンハヌマーンとピンクケルベロスを呼び寄せて、素早く超巨大ロボットに合体変形。ダマシーンフェニックスをベースに合体した桃獣合体パルフェオペッシュならば、大地に広がる粘液濁流は難なく飛び越えられる。紫の翼で飛行しポンパドゥールへと迫り寄れば、ミルケンをパルフェオペッシュごと埋葬するべく迫るのは、蠢き増殖する粘液濁流だ。
「余の敷く安寧を乱す狼藉者め! 白き濁流に埋もれ往ぬが良い!」
ポンパドゥールの装甲から垂れ零れる粘液濁流は大きく波打ち押し寄せるも、パルフェオペッシュの翼を羽ばたかせて大きく旋回する。空中機動で蠢く波を巧みに掻い潜る中で、濁流の波の切れ間から覗くのはポンパドゥールの装甲から滴り落ちた泡のような弾丸の攻撃。回避か、迎撃か──押し寄せる波と攻撃に、刹那を見極めたミルケンが構えるのはミルクキャノン。
「…今ですッ!」
ミルクキャノンの連射で泡を割ればその爆風は波を退ける。代わりに爆発の余波がミルケンを襲うも、頑丈さならばパルフェオペッシュも負けてはいない。激しく揺れる機体の衝撃を堪えながら、紫の翼が向かうのはポンパドゥールの正面だ。すかさずミルクキャノンの連射を浴びせれば、爆風の中から不死皇帝エンペラー・ノーライフの哄笑が戦場へ響き渡る。
「笑止! 余とポンパドゥールの防御がこのような攻撃に破れると思うてか!」
「勿論無効化されるのは分かっています」
蠢く濁流が攻撃を無効化し続けるも、ミルケンは静かに呟きミルクキャノンを連射し続ける。不死皇帝は知将ではない──必要なのは、浅慮が故に皇帝が油断に緩む事。途絶えぬ爆炎と爆風はミルケンの、不死皇帝の視界を埋めてゆく。
無駄、無謀。そして──余裕。浅慮な皇帝が口角を吊り上げ、大きく一手を踏み込むまでに、そう時間はかからなかった。
「暴虎馮河の勇といった所か。ならばそのまま、ポンパドゥールの前に埋もれるが良い!」
油断が誘った皇帝の攻撃は傲慢に膨れ上がった大きな一撃。勝利を確信し、ただ暴威を振るうだけの単調な攻撃を、ミルケンは鋭い眼差しで真っ直ぐに見据える。焦れる気持ちを押し留め、ギリギリまで接近させて攻撃を喰らうその瞬間──。
「…今です!」
ミルケンはあえてパルフェオペッシュの合体を解除した。
弾けるようにバラバラになった機体はされど、一機とて攻撃を喰らうことはない。大地に着陸したゴールデンハヌマーンとピンクケルベロスは粘液濁流の大地から離脱し、ダマシーンフェニックスは合体解除の勢いのまま加速し回り込む。爆炎に視界を染めた皇帝は気付かない──リミッターを解除したダマシーンフェニックスの飛翔は既に、その背中に在るのだと。
「な──ッ!?」
紫の翼を羽ばたかせれば、その羽根は矢となりポンパドゥールの背面を縫い留める。僅かな一瞬とはいえ、フェザーアローによって柔軟性を欠いたポンパドゥールの機体は、ダマシーンフェニックスを正面に捉える事はできなかった。紫の装甲が輝きを帯びてより硬質へと変えてゆく。
「私の全てで貫きます!」
ゴツゴツタックルの突進はポンパドゥールの体を貫き穿つ──!
「ダマシーンフェニックス、帰投します」
ポンパドゥールの遥か上空で、ダマシーンフェニックス纏わり付いた粘液濁流を振り払い、ミルケンは確かな手応えに拳を握りしめる。貫いた穴は瞬く間に粘液濁流の装甲に覆われるも、ポンパドゥールは不自然に機体を傾けている──致命傷と呼ぶにはまだ遠くも、ポンパドゥールを大きく削いだだろう。
戦場の空を舞うダマシーンフェニックスのコクピットで、続く猟兵たちの勝利を信じるその口元は微かに笑みを浮かべていた。
大成功
🔵🔵🔵
神臣・薙人
完全なる善意
時として最も厄介と言えるものですね
この世界を埋葬などさせません
私も力を尽くしましょう
初手で桜絨毯使用
粘液の大地埋めるように
満遍なく降り注がせます
移動はクッションの一つを使い
飛翔して行います
調停機の頭上へ移動
白燐蟲を機体へ潜り込ませます
蟲が全身に行き渡るよう
繰り返し何度でも呼び出し
巧く内部へ入り込めたら
パーツを噛み砕いて攻撃するよう指示します
少しでも弱い部分が見付かれば
そこを集中して攻撃
クッションが埋葬される等
危険性が上がればUC再使用
少しでも粘液の面積を減らし
粘液が直接触れないよう注意します
クッションから落下しそうになった際も
新しいクッションに移動して
飛翔状態を維持するようにします
「完全なる善意…時として最も厄介と言えるものですね」
広がりゆく白く軟らかい粘液の大地を見つめ、神臣・薙人は呟く。もしも利益を欲しての事ならば交渉の余地も生まれようが、此度の不死皇帝はただ『善行』を行っているに過ぎない。その上で善意が歪められているとなれば──もはや説得の余地すらないだろう。
「貴方がどれほどの善意を振りかざそうと、この世界を埋葬などさせません」
ならば猟兵として全力を尽くすまで。薙人が両手に作った器に息を吹きかければ、白き大地に桜吹雪は舞い上がる。無数の花弁は満遍なく粘液濁流へと降り注ぐと、ぽぽんと飛び出るように小山のクッションを作り出した。粘液の大地を埋める花筏に飛び込めば、薙人の体は柔らかく飛び上がり飛翔する。
「ほう…実に美しい光景だが…小手先の技など、粘液濁流に埋葬されるだけよ!」
花弁と共に空を跳ね舞う薙人へ不死皇帝が放つのは、その身を埋め尽くさんと押し寄せる濁流だ。うねりを上げて渦を巻く濁流は傷を癒す力を有していれど、果てに待つのは埋葬のみ──薙人は次の足場を踏みしめ飛び上がり、うねる渦を素早く回避し飛翔する。…皇帝の力は脅威に違いないが、生身の体の敵対者へ向ける攻撃としては少々大味ともいえるだろう。
桜の絨毯が濁流のうねりに飲み込まれて足場が埋葬されれば、薙人は再び花を降り注ぐ。飛翔を維持し続けながら攻撃を掻い潜り、淡い色に染まりゆく戦場を油断なく見極め──皇帝が再び濁流を手繰り、その粘液が大きくうねり上げた瞬間、薙人は大きく跳躍した。
ポンパドゥールの真っ赤なカメラから一瞬にして姿を消した薙人が、花をクッションにその身を受け止めふわりと舞い降りるのは──調停機ポンパドゥールの頭上だ。
「不死皇帝、失礼いたします」
「ぬあっ!?貴様、余の頭上に──!」
不敬に声を荒げる皇帝がポンパドゥールの腕部を振り回すが、薙人は難なく飛翔し躱すと蟲笛で白燐蟲の残花を呼び寄せる。残花は白く淡い花弁のようにポンパドゥールへ纏わり、装甲を覆う粘液濁流をすり抜け秘された機体そのものへと滑り込むと、即座に内部へ噛み付き砕いてゆく。
ポンパドゥールが腕を振ろうと体を揺すろうとも、キャバリアの大きさでは小さな白燐蟲を振り払う事も、捕らえる事も容易くできようはずもない──いくら浅慮で頭に血が登った状態だとて、皇帝もその事にすぐさま気付くが、もう手遅れ。薙人が繰り返し蟲笛を奏で呼び寄せられた白燐蟲はすでに、ポンパドゥールの機体の全身へと行き渡っているのだから。
再びポンパドゥールの腕部が再び標的を薙人に定め、その間にも残花は機体パーツを内部から嚙み砕く。どれほどのキャバリアだとて存在するであろう弱い部分、その接合部へ。猟兵との戦いによって穿たれた負傷の穴へ。潜り込み、より深く──。
丸みを帯びた機体の動きが鈍り、大きく傾ぐ。しかし不死皇帝エンペラー・ノーライフは、浅慮であれど愚鈍ではない。白燐蟲が機体の致命に届きうるその寸前、不死皇帝は声を張り上げる。
「致し方無い…埋葬濁流よ、余ごとポンパドゥールを埋め尽くすが良い!」
「──!」
直後、驚愕と共に飛翔しポンパドゥールの頭上から離脱する薙人と残花の眼下で、濁流はうねりを上げて渦を巻く。白き埋葬の濁流はポンパドゥールへ覆いかぶさり、その機体内部までもを埋め尽くしてゆく。
──ほんの短い束の間、粘液濁流に埋もれていた調停機は再びこの白きに姿を見せる。
「あと一歩…でしたか」
「礼も弁えぬ不埒者め。不死皇帝たる余と調停機ポンパドゥールが、この程度で屈すると思うたか!」
不死皇帝は息巻き吼えるも、そう豪胆な手は二度使えるものではないだろう。現にポンパドゥールの動きは依然として鈍いまま──粘液濁流の装甲の下に秘されていれど、その機体にダメージは大きく、そして着実に積み上げられていた。
大成功
🔵🔵🔵
ルクレツィア・アストリュード
何も埋葬する必要はない。
止めてみせる。
生身で出撃。
SkyWalkerで【空中機動】、空を走ることで粘液を避けて調停機を目指す。
敵が放つ泡は【念動力】で【受け流し】、爆発させない形での回避を試みる。
爆発した時は爆風や粘液も何とか受け流す。
調停機へ接近したら、至天一刀を発動して斬りつける。
防御能力を無視して斬るこの刃なら、粘液装甲に覆われた機体にも斬撃を通せるはず。
側面や背面へ回る動きも組み合わせ、反撃を叶う限りで躱しながら、攻撃を継続してゆく。
勿論、エンペラーは極力傷つけないように。
身の丈程もある片刃反身の剣を携えて、ルクレツィア・アストリュードは生身のまま白く軟らかい粘液の大地の空を|駆けてゆく《・・・・・》。
「何も埋葬する必要はない。止めてみせる」
目的はただ一つ、それだけだ。固く揺るがぬ表情のままに、空を駆けるルクレツィアに大地の粘液濁流は届かない。故にこそ──ルクレツィアのその生身の体へ不死皇帝の暴威が向かう。
「狼藉者がまだ現れるか。余の力で泡と消え去るが良い!」
調停機ポンパドゥールが鈍った動きで歪にルクレツィアへと狙いを定めると、その腕部からいくつもの泡が大きく膨れ上がり零れてゆく。破裂しそうなほどに膨れたその粘液濁流の泡は次の瞬間、空気が抜けた風船のように凄まじい勢いでルクレツィアへと襲い掛かった。
迫る脅威を前に、アンサーヒューマンの瞬間思考力は閃く。
空を駆ける速度は落とさぬままに、ルクレツィアが前方へ放つのは念動力だ。僅かな刺激も与えぬように風船を受け流し過ぎ去れば、後方で勢いよく弾けた風船は爆発の余波が滴った。そこにはぽっかりと底なし沼が口を開け、粘液濁流の大地はすぐさま覆い隠してゆく。
あの大地に足を取られれば一溜まりもないだろう。しかしならば──ただの一度も地に足を着けなければ良いだけだ。
迫る次弾も先程と同じように念動力で受け流し、風のようにルクレツィアは空を駆けてゆく。離れていれば回避は容易い。だがしかしポンパドゥールへ寄れば寄るほど、かの攻撃は苛烈さを増してゆく。一度に迫る弾数も増えてゆけば、風船そのものを回避する事すら難しくなるだろう。そう思考が至った直後、案の定予想していた脅威はルクレツィアの目前へと押し寄せる。
風船のひとつを受け流した直後、その後ろから隠れたひとつがルクレツィアの目の前へと躍り出た。──ポンパドゥールへの目標距離は、もうあと僅か。
ルクレツィアは自身の体を念動力で包むように覆うと、思念制御で発生させた斥力場を蹴ると同時に、紙一重の距離で風船を爆発させる。体を包む念動力が粘液を何とか受け流せば──爆風はルクレツィアの機動力の後押しをしてくれた。
「何…!?」
「ここまで近付けばもう風船は出せない」
驚愕に染まる不死皇帝はポンパドゥールの腕を鈍く振るい、小さな泡のような攻撃を放つも、ルクレツィアはすぐさま思念制御で各所に斥力場を発生させる。まるでそこに地があり壁があるかのように、側面へ、背面へと、縦横無尽に空中を駆け巡り、攻撃を凌ぎながら反撃に放つのは霊力を帯びたThe Answererの斬撃だ。
斬撃を防ぐ装甲も能力も至天一刀の前には通用せず──それどころか、それらこそがこの一刀の威力を増大させてくれる。…故に、あくまでも善人であろう不死皇帝を極力傷つけないように。ルクレツィアが狙うのは、調停機ポンパドゥールのコクピットに座する彼自身ではない。
ルクレツィアの霊力を帯びた太刀筋は幾度もポンパドゥールの防御を貫き、刻み──そして、いよいよ断ち斬る。
「今こそ、此処に『答え』を……!」
「ぐおおぉぉおぉっ!小癪なああぁぁあっ!!」
白く軟らかい粘液の大地の上へと落ちる右腕部は、ぐずぐずと音を立てて底なしの中へ埋もれ、沈んでいった。
大成功
🔵🔵🔵
フランツィスカ・リュッツオウ
⚫︎アドリブ連携歓迎
飽くまでも善意の上で、か。どこぞの女将校や戦争狂に見倣わせたいものだ。
粘液濁流は地表がメインなのだろう? 殲禍炎剣も既に無いのだ。ここは思う存分、空を飛ばせて貰おうか。
Me262に搭乗。高高度を飛行しつつ、調停機目掛けてRMB30mm重機関砲をばら撒くがさて効果は如何ほどか。
硬い敵の相手なぞは幾らでもしてきたが、柔らかい相手というのはまた新鮮だ。
銃撃を繰り返しつつ、相手の反応速度や動きの癖を見定める。そうして頃合いを見計らい、正面以外の方向、頭上からR4Mの一斉射を放つ。
戦車も正面は頑丈だが、天面は意外と脆いモノ。それと同じと考えれば畢竟、対処のしようも似通うと言う訳だ。
久遠寺・遥翔
ノーライフは知らない相手じゃない。なんとか救い出さないとだ
レヴィアラクスに騎乗、UCを発動し超高速飛翔による空中戦を展開する
こちらを撃ち落とそうと飛んでくる粘液や泡も心眼によって捕捉し、高速機動で回避。粘液による埋葬を避ける
周囲を飛び回りながらライフルによる射撃で牽制。ただの射撃ではない、鎧無視攻撃の効果を備えたレーザーだ
堅い装甲ばかりでなくやわらか装甲だって無視してぶち抜く攻撃、これなら正面で受けざるを得ないだろう?
相手が正面で攻撃を受けた隙を見切り背面に回る。そして本命の一撃、UCの世界を分かつ光で次元ごと機体を両断するぜ
真っ二つ程度じゃ不死皇帝は滅びないはず。ちょっと痛いけど我慢しろよ
白く軟らかい粘液の大地のその先、片腕を失った調停機ポンパドゥールを見据えるのは二機のキャバリアだ。
「飽くまでも善意の上で、か。どこぞの女将校や戦争狂に見倣わせたいものだ」
Me262R-1『シュヴァルベ』に搭乗するフランツィスカ・リュッツオウは冷ややかに吐き捨てる。闘争に狂う人々の中でもかの女将校や戦争狂は禄でもない。かの不死皇帝が善意であるならば、かの者たちにはその爪の垢を煎じて飲ませてやりたい程だが──それは調停機による思考汚染に染まっていなければの話だった。
クロムキャバリアに生きとし生けるものにとっては、善であれ悪であれ行いが害であるならば大差はないだろう。レヴィアラクスに騎乗する久遠寺・遥翔は静かに息を吐く。とはいえ遥翔としては、エンペラー・ノーライフもまた救い出すべき一人だ。
「俺にとってノーライフは知らない相手じゃない。なんとか救い出したいと思っているんだが」
「ならばそちらは貴様に委ねよう」
皮肉めいた言葉を口にしていたフランツィスカに、遥翔が己の意志を口にすれば、あっさりと返ってきた言葉に瞳を瞬かせた。
「軍規を尊び、騎士道を重んじ…何よりも自由で在らん。飽くまで善意というならば、滅ぼす事が正解とも限らん」
「…そんじゃ任された。相手は調停機と簡単には滅びない不死皇帝だ。お互い思い切りやろうぜ」
「ああ。殲禍炎剣も既に無いのだ。ここは思う存分、空を飛ばせて貰おうか」
二機のキャバリアは空へと高く飛び立つ。大きく波打つ粘液濁流が蠢き増殖するも、それは地表を満たす高波となるばかりで遥か上空へは届くことはない。二機のキャバリアを見上げるポンパドゥールの真っ赤な瞳はどこか口惜しそうにも見えようか──シュヴァルベは自由を取り戻したこの空で更に高く高く飛行する。
「さて効果は如何ほどか」
硬い敵ならば結果は如何様にも描けるものだが、何せポンパドゥールは柔らかい。かつてない新鮮な敵であればこそまずは様子見。ポンパドゥール目掛けてRMB30mm重機関砲をばら撒けば、蠢き波打つ粘液濁流はすぐさまその攻撃の全てを飲み込んで埋葬してゆく。
正面からの攻撃はすべてが濁流の餌食。ならば次は攻撃の起点を作るまで。
「行くぜ、ラクス!」
拳を打った遥翔はレヴィアラクスを駆る。落下よりも速い滑空から旋回し急上昇、超高速の機動力で蠢く濁流を大きく振り切れば、その先に待つのはポンパドゥールの装甲から滴り落ちた泡のような弾丸の攻撃。だが──そんなものは遥翔の心眼が見えている。僅かな動きで回避すれば、濁流の隙間にコラプサーライフルのレーザー砲で牽制の射撃を捻じ込み、粘液の装甲を容易く蒸発させる。すぐさま蠢き増殖する粘液濁流が波打ち追撃を防ぐも、レヴィアラクスが近付けば近付くほどに、ポンパドゥールは常にレヴィアラクスを正面に捕捉し続ける事は難しくなるだろう。
更にはシュヴァルベの重機関砲がレヴィアラクスの作った隙間を乱れ撃つ。猟兵たちとの戦いの中で負傷を重ね動きの鈍ったポンパドゥールが、空を縦横無尽に駆けるレヴィアラクスの超高速機動に振り切られてゆけば、自ずと防御の壁にも隙間は生まれるもの。シュヴァルベの砲撃が不死皇帝の反応速度と癖を見定め着実に攻撃を届かせ、レヴィアラクスが接近し──そうして好機は訪れる。
「余の宸意を理解せぬ狼藉者共めが…!白き濁流に埋もれ往ぬが良い!」
「来るぜ。ラクス、ワールド・エンドのセーフティを解除!」
『発動承認。取り扱いにはくれぐれもご注意を』
レヴィアラクスのライフルがポンパドゥールを正面に捉える。同時に不死皇帝の咆哮が響き渡り、蠢き増殖する粘液濁流がこれまでにない程に大きく波打ち持ち上がった。キャバリアを飲み込む程の高さはされど、空には遠く及ばない。蠢く粘液濁流が容易くレーザーを飲み込む光景を、フランツィスカは遥か上空から見据えていた。
「戦車も正面は頑丈だが、天面は意外と脆いモノ。それと同じと考えれば畢竟。さて…あの『空飛ぶ要塞』すらも叩き落す大火力、その身で味わってみると良い」
遥か空高くから、R4Mヘキソゲン火薬式ロケット弾が煙を上げてポンパドゥールの頭上、その装甲へ着弾する。柔らかさを失ったかのように装甲を叩き割られたそこに在るのは、剥き出しの調停機の姿。
そして──その背後に在るのは、レーザーが粘液濁流に着弾すると同時に、ポンパドゥールの背後へ回り込んでいた巨神レヴィアラクスの真の姿。
「真っ二つ程度じゃ不死皇帝は滅びないだろ。ちょっと痛いけど我慢しろよ」
遥翔の軽口と共に、ポンパドゥールを貫いたのは世界を分かち空に堕ちる光。それが調停機であろうとも、遥翔の本命の一撃は次元ごと機体を両断する。
──調停機ポンパドゥールの機体が割れ崩れ、大地を満たした粘液濁流が引いてゆく。光に割れた空は雲を払い、なんの障害もない晴れ間が広がってゆく。歪んだ善意が望んだ安寧は過ぎ去った──闘争に狂う世界の行く末は、そう遠くない未来に示されるであろう。
大成功
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