ふわふわ星の海を游いで、煌めく流れ星のお裾分けを手のひらに落とす。小さな翼でも自由に飛んで、雲の切れ間でかくれんぼ。三日月の揺り籠に腰掛けるように体を浮かせて、|天《そら》の絨毯の上で眠るのだ。
「なんて、ね」
白い花畑の傍らで、ミンリーシャン・ズォートン(戀し花冰・f06716)は星空に手を伸ばす。実際の所、星屑を掴める程に高く飛べた日はない。静かに両手を合わせて星を閉じ込めてみても、手のひらの中は空虚なままだ。
爪先で地面を蹴って、小さな翼で空を飛ぶ。ふわり、身体を浮かせて空へと旅立とうとしてみるものの、――ぽふり。
「ごめんなさい……っ」
少し高いジャンプをしただけだ。月明かりに照らされた白い花畑の中に墜ちてしまって、ミンリーシャンは慌てて聖者の光を指先に灯して花弁に触れる。折れてしまった花は、正しく彼女そのものとも言えた。
何度も夢見て空を目指し、ほんの少し時間が過ぎれば地面に転がって空を見上げる。
どうしても、諦められないのだ。
「自由に、飛んでみたいな……」
もう一度伸ばした指先は何にも結局届かない。溢れた願いの声は誰にも結局届かない。
「お星さま――、」
透き通る空色の星へ希う。
「空を飛べるようになりますように」
きらり、星が瞬いた。
天から零れ落ちた空色が、ミンリーシャンの周りをくるくると躍る。舞う星に呼応してか、羽衣が星屑の煌めきを灯して花開くように光を放った。
思わず目を閉じたミンリーシャンがゆっくりと様子を窺うと、目の前にはリボン結びの羽衣がふわふわ浮いている。結び目を飾る空色の星が輝いた。
「わぁあ……っ」
指先で星に触れると羽衣を揺らしてミンリーシャンの周りを飛ぶ。時折頭や肩に羽衣が触れ、遊んでほしいとひらひら舞う蝶のようだ。
願う声が届いたのだろうか。
ずっと、遠かった星が導いてくれた。
「お星さま、願いを叶えて下さってありがとうございますっ。羽衣さん、これからも宜しくお願いしますね」
言葉はきっと、交わせないけれど。
空色の星が瞬いて、羽衣が大きくリボンを膨らませる。半透明に煌めく翼はミンリーシャンの背を押して、戸惑ううちにミンリーシャンの身体は空へと放り出された。
墜ちる――事は、なかった。
「あ……」
空がすぐ傍にある。瞳に星を映し込んで、気の向くまま澄み渡る秋空を自由に歩く。
もう、花が折れる事はない。これからはそよぐ風と共に、大好きな空へ。
成功
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