●残影残る血染めの竜
「そら、新しい餌だ」
どさり、と言う音をあげ、人間が廃坑に放り込まれる。
吸血鬼の末端たる兵士たちはやれやれ、と言わんばかりの態度。
「ったく、兵使いの荒いお方だぜ」
「言うなよ、お前も餌にされるぞ」
おっかないおっかない、とばかりに兵士たちはそこを立ち去っていった。
残されたのは暗がりに取り残された奴隷たち。
子供と女ばかりの奴隷。
廃坑の奥からおぞましい咆哮が響いた。
それに怯える奴隷たち。
ずるり、ずるり、と言う音が後に続く。
現れたるはその口を鮮血に染めたる魔竜。
ひっ、と奴隷たちの口から悲鳴が漏れる。
まだその魔竜は新鮮な肉を咥え、むさぼっていたからだ。
ぐちゃり、ぼきり、ばきん、と言う音が響く。
かつてヒトだったものが無残な姿になって血肉を飛び散らせる。
逃げる? どうやって?
彼等の足には戒めが嵌められたまま。
魔竜は舌なめずりをしてまた目の前の餌を見下した。
嗚呼、また新鮮な肉が来た、と。
●グリモアベースにて
「イエス、イェーガー。新たなる予知の時間です」
グリモアベースに集った猟兵たちを前にアリシエル・フィフスガーディ(五天の守護機・f09139)は告げる。
「今回の予知はダークセイヴァー、すでに人気のない廃坑のある町です」
紫紺の瞳が猟兵たちを見やり、話を続けます、と区切った。「最近この廃坑町近辺の村から人々が拉致されているとのことです。そうして拉致された人間は、この廃坑町に集められるのだとか。邪教の生贄にされているだとか、いろんな噂はあります。ただ共通している事実はただ一つ」
ここでまた彼女は区切るように口を閉ざす。
そうして開かれ紡がれた言葉。
――――帰ってくる者は皆無であった、と。
「帰ってくる者は皆無であった。と言う純然たる事実です。さて、予知でお伝えした通りですが廃坑に潜んでいる者の仕業ではありましょう」
くるり、と自身のグリモアを浮かせたまま遊びながら。
紫紺の瞳がまた猟兵たちを見る。
「オブリビオン案件なので見つけ出して抹殺する。それだけが我々の目的です」
さっきお見せしたものは予知にしか過ぎない。
まだ、彼等は放り込まれていない。――――すでに犠牲になった者は救えない。
故に。
「予知を覆すには、さっさとぶち殺すのが手っ取り早いと言うことです」
彼女たちは君たちに向き直り、無機質な眼差しを送る。
「イェーガーたちならば問題なくこの予知の打破を完遂出来ると信じています。健闘と武運を祈ります」
虎河豚天
虎河豚の天ぷら、略して虎河豚天でございます。食べないで。
久しぶりのダークセイヴァー、血染めの魔竜殺しのお時間です。
廃坑を漁って見つけて倒すだけのハック&スラッシュ。
では頑張っていきましょう。
第1章 冒険
『ゴーストタウン』
|
POW : 捜査の基本は足。手当たり次第に探す
SPD : 不意の遭遇とならないよう、周囲を警戒する
WIZ : 過去の資料と照らし合わせ、痕跡を探す
👑11
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴🔴
|
死之宮・謡
ふぅ…ドラゴンか…久しぶりかな?…うん、久しぶりだ。愉しみだねぇ…強いだろ?ドラゴンだし(偏見)まぁ正直な話弱者共が幾ら死のうと関係ないわけだけど…まぁ色々其の辺考えないと折角の御愉しみと戦えないからねぇ…
さて、探索か…苦手だよ、基本的に破壊と殺害以外は苦手だ…ん?知ってるって…なら話は早いかな?…取り合えず頭数増やそうか【裏世界の七血人】召喚…ちょっと探索を手伝ってくれたまえよ…ん?しょうがない…今日はこの後の戦闘まで残ってて良いよ?だからさっさと行けって……露骨にやる気出したねぇ…まぁ最近あんまり戦闘目的で呼んでなかったし仕方ないか…
●裏に潜む七血
「フゥ……ドラゴン、カ……久シブリカナ?」
死之宮・謡(狂魔王・f13193)は首を傾げながら、印を刻む。
戦闘狂の破壊者、生粋の殺戮者たる謡は探索は苦手である。
故に彼女は印を刻み、自らの手足を解き放つ。
「血ヲ撒キ散ラセ、闇ノ住人ヨ我ガ友ヨ、来リテ己等ガ殺意ヲ解キ放テ」
解き放たれるは殺意に塗れた七人の闇より来たりし亡霊たち。
されど、彼等の目に宿るものは不服ばかり。
何故か、単純の話である。
彼等の主たる死之宮・謡は探索が苦手である。
そう、言うまでにない事実である。
故に彼女がいつも取るのは彼等によるローラー作戦ばかり。
彼等の全身を取り囲む殺意それそのモノを見れば分かる通り、彼等もまた主たる謡と同じく血に飢えた殺戮者なのだ。
そんな彼等は呼ばれては探索や情報収集の真似事。
用が終われば還される。
不満も持とう。
だが、絶対の主に逆らうわけにはいかない。
故に不満の色を押し殺し、従おうとした。
だが、彼等の主はそれを読み取った。的確に、適切に。
「……ン、不満ソウダナ? ……ショウガナイ、今日ハ残ッテ良シ」
その言葉に七人の殺戮者たちは歓喜した。
遂に戦える、遂に殺し会える、遂に血を浴びれる。
露骨にやる気を出した従者たちに嘆息をして見送る。
「……マァ最近アンマリ戦闘目的デ呼ンデナカッタシ仕方ナイカ……」
自身にも自覚があったので散り散りに飛んでいった彼等を見送り。
七人の主はそれをゆったりと待つとした。
何、時間はたっぷりとある。
ゴーストタウンと化した廃坑の町を歩み。
「ウン、愉シミダ……強インダロウナ……ドラゴンダシ……」
まだ見ぬ敵に思いを馳せながら。
狂った殺戮者は刃を研ぎ澄ます。
嗚呼、嗚呼、早く、早く、早く切らせろ、と。
成功
🔵🔵🔴
フレミア・レイブラッド
とりあえずは痕跡を探すのが良さそうかしらね。
近隣の村からそれなりの人数が集められているのなら、足跡やその痕跡は隠しきれるものではないはず…。
その痕跡を辿り、人々が集められている場所を見つけ出すわ。
もし途中で兵士等を見つけたら好都合ね。【魅了の魔眼】と【催眠術】で魅了し、わたしの虜にして案内させるわ。自身は町に迷い混んだ旅人という事にして収用場所まで連れていく様に命令すれば潜入も容易だしね♪
後は周囲の兵士等を次々魅了して、魅了されてない兵士を攻撃する様に命令し、その混乱に乗じて連れてこられた村人達を逃がすわ。
※アドリブ等歓迎
ゾーク・ディナイアル
アイアイサー!
それではゾーク大隊長、廃坑に潜む敵の掃討作戦に出撃致します!
☆廃坑探検
SPD勝負
「どんな奴がいるんだろうなぁ、殺し甲斐のある奴だといいけどなぁ…」
『野生の勘』とUC【強化兵戦技《予測回避》】を活用して罠や待ち伏せ、不意な遭遇に警戒し回避しながら廃坑を探検していこう。
もし巡回してる敵勢力の戦闘員を発見したら『怪力』で妖剣を振るい一刀両断にして排除しておくよ。
「今は忙しいから、嬲り殺しは勘弁してあげるね?キャハ!」
あ、でも1人くらいは『傷口を抉り』ながら拷問して、奥に何がいるのかとか、廃坑の構造なんかを聞いてみてもいいね。
「はい、じゃあ次は指を折りまーす!キャハハハ!」
※アドリブ歓迎
●さがしもの
「とりあえずは痕跡を探すのが良さそうかしらね」
フレミア・レイブラッド(幼艶で気まぐれな吸血姫・f14467)は小さく首を傾げた。
幼気な容貌のダンピールは、廃坑町の砂に軽く触れる。
さらり、と乾いた砂が手からこぼれ落ちる。
「近隣の村からそれなりの人数が集められているのなら――――」
その足跡や痕跡は決して隠しきれない。
そして、それは探し当てるまでもなく。
無数に残されていた。
隠す気もない無数のそれら。
それもそうだ、当然の事だ。
だって彼等はこの地の支配者の末端。
支配者が自らの支配地の"所有物"を持ち運ぶ事に何を隠す必要があるのか。
故にそれをたどれば用意に廃坑に辿り着いた。
「案外容易だったの……それじゃあいくわ」
「アイアイサー!!」
その言葉に応えたのはゾーク・ディナイアル(強化エルフ兵の出来損ない・f11288)。
戦闘狂である彼女はまだ見ぬ敵にわくわくしていた。
「どんな奴がいるんだろうなぁ、殺し甲斐のある奴だといいけどなぁ……」
「わたしは楽なのがいいけど」
わくわくしているゾークに嘆息するようにフレミアが応えた。
野生の勘と強化された未来視能力が廃坑内の罠をかいくぐっていく。
待ち伏せ? 無意味だ。
野生じみたその直感が襲いかかってくる前に剣を振り抜いて切り払われた。
「今は忙しいから、嬲り殺しは勘弁してあげるね? キャハッ!」
けたけた、とゾークが笑い、フレミアがまた嘆息する。
殺すのはいいけれど……とフレミアはゾークを見上げる。
「情報収集もしたいのだけれど?」
「ああ、じゃあ拷問もしちゃったりする?」
「無用よ。次は生かして欲しいかしら」
ああ、そう、とゾークは言えばまた襲いかかってきた兵士がいた。
剣は閃かず、振り下ろされた腕を引いてバランスが崩れた所に肘がめりこんだ。
むせる音が響き、吸血鬼兵士が崩れ落ちる。
「これでいいかな?」
「ええ、十分よ」
忌々しげに見上げる兵士の前にフレミアがかがみ、瞳と瞳を合わせる。
その瞳に魔力がこもり、兵士の瞳がぶれる。
兵士の意識が落ちていく、落ちていく、落ちていく。
「さあ、あなたはもうわたしの虜……」
そうして兵士は彼女に夢中になっていく、虜になっていく。
虜にされてしまった兵士は最早彼女の下僕となりさがった。
「じゃあ聞きたい事、聞きましょう?」
「あんまりおもしろくないけどね!」
こいつは……と言うフレミアのジト目がゾークに突き刺さる。
一方のゾークはこたえた様子もなく、次のは拷問しようぜ!! と言わんばかりに目を輝かせていた。
フレミアはもう一度、ため息をついた。
成功
🔵🔵🔵🔵🔴🔴
草野・千秋
【全世界サイボーグ連盟】
女子供を奴隷、生贄にするなんて許せない……!
弱いものしか蹂躙しない卑怯者オブリビオンめ
僕らが相手になろう
逃げずにそこで震えていろ
POW
足で探す、脳筋なので体力勝負ですよ
サイバーアイも頼りにしつつ
情報収集でヴァンパイア、村人、兵士の情報を収集
足跡、野営跡、等をしらみつぶしに調査
コミュ力で残った村人に情報を聞いたりもしつつ
現場や廃坑の場所を探し出す
リーデさん達と得た情報をまとめます
何か有力な敵の手がかりはありましたか?
悪のオブリビオンは僕たちで必ず殲滅しないと
これ以上の被害が出る前に
リズ・ルシーズ
全サ連で連携、アドリブ歓迎だよ!
【SPD】
んーとりあえずボクは何処かに兵士や住人の痕跡がないか探そうかな
【ルシーズ】を使って、人海戦術で【情報収集】だね。兵士と鉢合わせしても気づかれにくいように行商人にでも【変装】して廃坑町や周囲の町の状況を調べようかな。集めた情報は随時リーデ姉さんに伝えて、次の探索場所の指示を仰ぐよ
調べる対象としては、ヴァンパイア、兵士、連れて行かれた村人、それに廃坑の位置ってとこかな・・・あとは、予知によると廃坑の中に何か居るみたいだけど、判ればその情報もあるといいけど
兵士と鉢合わせしそうになったら、今は見つかるのは得策じゃないし【逃げ足】を活用して距離を取るつもり
リーデ・クインタール
【全世界サイボーグ連盟】の皆様と参加
アドリブ歓迎
ふむ…生け贄ですか…まぁよく聞く話ではありますし、それがこのダークセイヴァーなら尚のことでしょう…この世界ならば幾らでも転がっている話ではありますが…乗り掛かった船です 、助けて差し上げましょう
先ずは探索ですか…正直な話あまり得意ではありませんので、皆様が得た情報を纏め、分析して共有する方針で動きましょうか…そちらならば得意ですので…
「トランシーバー」の子機を全員にお渡ししてわたくしとだけですが連絡をとれるようにし、集めた情報を二つの「コア」で解析・纏めて共有致します さて、どのような情報が出てくるか…
河原崎・修羅雪姫
【全世界サイボーグ連盟の皆と参加】(アドリブ・絡み歓迎)
WIZ
過去の資料と照らし合わせ、痕跡を探す
●目的
わざと兵士たちに拉致されて、問題の廃坑内に連れていかれる。
●心情
もう食べられた被害者は救えないけれど。
これ以上の被害を出さない方法はあるはず。
●行動
まず、無力な旅人(避難民)の女性を装って変装。
このダークセイヴァーでは、
いついなくなっても誰も気にしないような存在に。
(悲しいけれど。ここDS世界には沢山いそうよね)
行方不明者が出たあたりを、ぼろマントや現地の人の服装を纏って、うろついていたら、兵士たちの方から来てくれるんじゃないかなって。
一応リーデさんの通信機を隠し持とうとするわぁ。
エレクトゥス・レヴィン
【全世界サイボーグ連盟】から参加。
「人攫いの調査ねえ、廃坑なんてこれ見よがしな場所もあるが……。まずは裏付けからか」
ユーベルコードでフルフェイスヘルメットに変形するロボット生命体を呼び出して装備。
サイバーアイ「観測者」と同調させ、指向性マイクや暗視、赤外線カメラ、生体感知等の機能を強化して周囲を警戒。
足跡や轍など、人が通った痕跡を重点的に探し、どこに向かったかを調べる。
兵士や村人が居れば隠れて会話を盗み聞きし情報収集を図る。
得た情報は旅団の仲間に共有して、何か問題があれば人型に戻したロボット生命体を向かわせて手伝わせる。
絡み、アドリブ歓迎。
●全サ連が行く
「女子供を奴隷、生贄にするなんて許せない
……!!」
草野・千秋(断罪戦士ダムナーティオー・f01504)は怒りに燃えていた。
弱いものを嬲り殺し、蹂躙するオブリビオンに対する怒りである。
「ふむ……まぁ、よく聞く話でありますし、この世界ならなおのことでしょう……」
それに対してリーデ・クインタール(王の右・煉鏡騎士・f14086)は至極冷静であった。
彼女にとっても、この世界にとっても、幾らでも転がっている話だから。
「人攫いの調査ねえ……廃坑なんてこれ見よがしな場所だと思うが」
エレクトゥス・レヴィン(誓兵・f11060)はもうこれ見よがしな廃坑に目をつけていた。
こんな所だ、そんなものだろう。
「んー……とりあえずボクは何処かに兵士や住人の痕跡がないか探そうかな」
リズ・ルシーズ(Re-Z・f11009)は特に気にも止めた様子もなく。
きょろきょろ、とゴーストタウンと化した廃坑町を眺める。
「じゃあ兵士さん見かけたら宜しくねぇ」
河原崎・修羅雪姫(プリンセス・スノーブラッド・f00298)はその身を変えていく。
見すぼらしい格好に、うす汚れた格好にその身を汚していく。
「え、連れてかれるの?」
「ええ、そうよぉ」
「ではこれをどうぞ」
リズが心配そうに声をかけ、リーデは彼女に通信機を託す。
じゃあ、とリズがそれに応え、ユーベルコードを発動させる。
「アーカイブ接続、ブループリント読込、圧縮展開!! ボクはルシーズ、ボク達はルシーズ。ボク達の本質!!」
無数の鏡面体にして、簡易複製体のRシリーズはいっぱい出て来た。
リズはその出て来た複製体たちの衣装を見すぼらしい格好にし、汚していく。
出来上がったのは修羅雪姫と同様の避難民。
「ええ、と……あとはどうするんですか?」
千秋が困惑したように聞いた。
その後ろでエレクトゥスがロボット生命体を呼んでいた。
エレクトゥスが呼び出したソレはドローン型ロボット生命体である。
変形してヘルメットにもなるソレを被りながらもう一機呼び出す。
「簡単な話よぉ」
修羅雪姫は語った。
このルシーズ避難民と共に廃坑に連れていかれる。
そして、リーデと常に情報伝達を行う。
さらにエレクトゥスがドローンで追跡させながらヘルメットで情報を密に行う。
これにより、情報がより得られる事は間違いない。
危機的状況に陥った場合は千秋がそれをフォローする。
最早三段重ねのこの策、逃れられる術はない……!!
後はご覧あれ、と言った所である。
そうして修羅雪姫はルシーズ難民団を率いて去っていく。
無論のこと、早々に兵士たちの目につき、彼女らは速攻トンボ帰りした。
「いや、しかしちょうどいい所に色々いたもんだぜ」
「ああ、これで暫く餌には困らんだろ」
兵士たちは任務が楽になる事しか考えていない。
遠目に聞いている千秋は、怒りに震えていた。
餌? 尊い生命がただの餌。
その理不尽で、不条理に、震えていた。
まだだ、まだ怒るな。ぶつけるのは、まだだ。
自身にそう言い聞かせるも、握りしめた拳からは血が伝う。
(随分とあっさりいったわねぇ……)
ルシーズを率いながら黙々と修羅雪姫は歩き続ける。
あっさりと見つかったのは想定内。
そしてさして気にもせず連れていかれている。
ただ話を聞いている限り、彼等は本当に無差別で、人を選ばず。
平等公平に、餌を探しているだけなのだと気づけば納得もする。
ならば、それを上手い事利用させてもらうだけ。
(ま、お仕事が楽に進むのならそれに越したことはないわぁ)
ルシーズを引き連れながら黙々と修羅雪姫は歩み続ける。
魔竜の巣穴へご案内よろしくねぇ、と呟きながら。
ところでこのルシーズ、自爆装置ついてるのよねぇ。
唐突に爆発させたら面白そう。
なんか変な事も考えつつ。
若干のノイズの後、リーデの持つ通信機が受信反応を示す。
「上手いこと忍びこんだわぁ」
その通信機から修羅雪姫の声が響く。
彼女たちは無事……無事? 魔竜の巣穴たる廃坑に連れられたようだ。
リーデはその声を聞き、そうですか、と返してから頷く。
エレクトゥスのドローン、千秋の追跡。
それにより完全に場所も把握しているし、彼女たちがどこにいるかも分かっている。
「それじゃあ、乗り込むとしますかねぇ」
エレクトゥスが何かあったときの為にと備えていた人型ロボット生命体を元に戻す。
乗り込む宣言にリズとリーデは頷いて返す。
千秋は今はこの場にはいない、彼はルシーズ集団の後を追ってすでに廃坑入りしているからだ。
なんてことはない、あとは合流して、オブリビオンを片付けるのみ。
容易い仕事である。難しいところを乗り越えれば後は武のみが話をつけるのだから。
猟兵たちはオブリビオンがいる廃坑に乗り込んでいく。
その後に出会うものとは――――気にすることでもない。
どうせ、すぐに分かるものなのだから。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
第2章 集団戦
『残影』
|
POW : 怨恨の炎
レベル×1個の【復讐に燃える炎の魂】の炎を放つ。全て個別に操作でき、複数合体で強化でき、延焼分も含めて任意に消せる。
SPD : 同化への意思
【憐憫】の感情を与える事に成功した対象に、召喚した【異形の肉塊】から、高命中力の【絡みつく傷だらけの手】を飛ばす。
WIZ : 潰えた希望の果て
【悲観に満ちた絶叫】を放ち、自身からレベルm半径内の全員を高威力で無差別攻撃する。
👑11
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
|
●魔竜の巣の前に
猟兵たちが辿り着いた魔竜の巣たる廃坑。
そこで猟兵たちが見たものは、無数の残影、オブリビオンと化したソレ。
子供や女ばかりの過去の残影、残された残滓。
それは無惨に食い散らかされた人々の残照。
その怨念、彼等に光ある未来などは存在しない。
彼等はすでに希望と言うものが潰え残滓と化した存在。
何故自分たちばかりがこんな無惨な目に合うのだと言う憎悪。
その怨念は世界を縛り、停滞する過去となって世界に焼き付いた。
嗚呼、哀れだろう、嗚呼、無念だろう。
だが、その哀れも無念も彼等にはもう届かない。
だって、それはもう動かない。
だって、それはもう止まってしまった。
世界すら停滞させる一端と化した彼等はもう動かない、止まらない。
それが――――オブリビオンと言うものなのだから。
ゾーク・ディナイアル
フーン、過去の残響…影ってトコかなぁ?
まぁイイや、せっかくだからボクの鬱憤晴らしに付き合ってねぇぇ!
☆戦術
SPD勝負
「さっきは拷問も出来なかったからさぁ、君達はイイ声で鳴いてよねぇぇぇ!」
敵の攻撃を『野生の勘』で『見切り』躱しながら魔導拳銃を『クイックドロウ』で『二回攻撃』して乱射しながら肉薄し、『怪力』で妖剣を振るいUC【強化兵戦技《高速剣》】を発動して敵を斬り裂いていくよ。
「痛い?苦しい?ボクはねぇ、愉しいよぉぉ!」
反撃にはすぐに『カウンター』を決めて剣を突き刺し『傷口をえぐる』ように痛ぶり殺して、徹底的に殲滅するよ。
「キャハハハハ!キミ達の事情なんかボクは知らないもんね!」
※アドリブ歓迎
●残影、狂走に劣る
「フーン、過去の残響……影ってトコかなぁ?」
ゾーク・ディナイアル(強化エルフ兵の出来損ない・f11288)は笑う。
何故ならば、先程は楽しめなかった鬱憤をここで晴らすからだ。
「せっかくだからボクの鬱憤晴らしに付き合ってねぇぇ!!」
剣を抜き放ち、狂い笑う褐色のエルフ美女。
そこには哀れみなど、同情の色などはない。
事情など顧みても仕方ない。
敵として前に立ったのだから、知った事ではない。
放たれた怨恨にまみれた憎悪の炎はその白刃で切り払われた。
怨恨? 知った事ではない。
異形の肉塊が触手を伸ばすも手にした魔導拳銃の弾丸がそれを穿つ。
肉片が飛び散り、ヘドロのような血が吹き出る。
憐憫? そんなものは抱かない。
故に同化することなどは決してない。
悲観に満ちた絶叫が響く。
斬撃、白刃一閃。その一撃、音すら分かつ。
潰えた希望? それがどうした。
狂い笑いながらさらに撃鉄は起こされ、引き金は引かれる。
弾痕が穿たれる。血肉がまだ爆ぜて飛び散る。
何故、何故、何故、何故。
どうして、どうして、どうして、どうして。
痛みに藻掻き叫ぶ。
苦しみに嘆き叫ぶ。
「痛い? 苦しい?」
肉薄したゾークが、残影の顔を覗き込む。
悲痛と悲壮にまみれた残影が叫びをあげる。
それを見て、このエルフはさも面白そうに、さも可笑しそうに狂笑した。
「ボクはねぇ、愉しいよぉぉッ!!」
げらげら、と、けたけた、と。
彼等、彼女等の絶望も嘆きも怨恨も悔恨も悲壮のその全てを。
憐れむ事もなく、同情する事もなく、嘆く事もなく、怒る事もなく。
笑う。されど、それは救う為の笑みではない。
狂い笑う。それは、肉食獣が獲物を前にした時の笑みだ。
彼女にとって、悲壮をまとった残影は――――ただの獲物にしか過ぎない。
自身の快楽と悦楽の為の餌でしかない。
「キャハハハハ!! キミ達の事情なんかボクは知らないもんねぇッ!!」
白刃がまた二閃、奔る。
音すら分かつ神速の斬閃は、肉塊に二筋の傷口を刻む。
吹き出す血しぶき、まるで放水のようにしぶくソレを忌避する事もなく。
ゾークはさらに踏み込み、剣を突き立てた。
残影が絶叫をあげる。
それは悲壮に満ちたものではなく、純粋な苦痛の絶叫。
「そうだよ、そうだよ、それが聞きたかったんだよねぇぇぇッ!!」
突き立てた刃をひねる。
傷口が抉られる。
突き立てた刃を上下左右縦横無尽に揺らす。
血しぶきがあがり、ゾークの顔を汚す。
されど、気にも止めない。
「さあ、さあ、さあさあさあさあ、もっとイイ声で鳴いてよねぇぇぇッ!!」
傷口を抉られる度に絶叫が響く。
それに心地よさすら覚え、魔導拳銃を肉塊の傷口に押し当てた。
「こうしたら――――もっと鳴いてくれるかなぁッ?!」
銃声が鳴り響く。
接射されたそれは熱量を持って傷口を焼き、弾丸がその傷口をさらに抉る。
また悲鳴が響く。ああ、これを、これを待っていた!!
ゾークは歓喜に震えながら、傷口をえぐっていた剣を払う。
肉塊が上下に分かたれ崩れ落ちる。
「まだまだいるもんねぇ、愉しませてねぇぇぇッ!!」
げたげた、と笑いながら、怨恨と悲壮に沈んだ残影たちをその金色の瞳が睥睨した。
――――嗚呼、そうだ、知った事ではない。
彼女は猟兵、過去にこびりついた残滓を狩り殺し、骸の海に還す為にやってきたのだから。
大成功
🔵🔵🔵
河原崎・修羅雪姫
【全世界サイボーグ連盟の皆と参加】(アドリブ・絡み歓迎)
●目的
『残影』の除去
●心情
「猟兵は過去を狩る。オブリビオンは過去である。
故に猟兵はオブリビオンを狩るのである」
━━それ誰の格言だい?
「私よ」
怨念や過去の残滓を消す方法を、私は一つしか知らない。
それはただ砕きつくし、焼き尽くすこと。
大丈夫。
全部終わったら、鎮魂曲をギターで奏でてあげるわぁ。
●行動
エレキギターを大音響で奏でながら、
残影たちの怨嗟の声【悲観に満ちた絶叫】をかき消す。
(UCヘビーメタルシャウト仕様)
全てが動かなくなるまで、火炎放射で【異形の肉塊】を焼き尽くす。
エレクトゥス・レヴィン
【全世界サイボーグ連盟】から参加。
「こんなんばっかりだな、猟兵ってのは。まったく嫌になる……」
「……弔銃代わりだ、騒がしい見送りで悪いな」
感情は隠さない。
絡み付く手を振りほどかず、氷の特殊弾を装填したトリニティパレードで一体につき偶数発の銃撃を撃ち込む。
「動け、動け……!」
誓約しよう、どんな傷を負ってもかまわず撃ち続けてやる。
なにがあってもオレはこの弔いを完遂してやる。
だから、先に逝け。
「履行、完了……」
主な使用技能【捨て身の一撃、属性攻撃、2回攻撃、クイックドロウ、カウンター、暗視】
絡み、アドリブ歓迎。
草野・千秋
【全世界サイボーグ連盟】
アドリブ絡み等歓迎
犠牲になった人達は不憫ですが
オブリビオンも残影も過去のものです
そして僕達は残影を過去のものにするのです
それが犠牲になった人への弔いとなるのかもしれませんね
生きているのなら助けたかったのですが
壊れてしまった命も心も
もう二度と戻らないのですから
これより、残影を除去する!
変身!ダムナーティオー、推して参る!
2回攻撃、怪力を主軸に攻撃
これが僕の、僕達の力だ
仲間が攻撃されそうなら盾受け、かばう
皆さん、お怪我は!?
回復はシンフォニック・キュア
全てを終えたらUCで鎮魂歌を
リズ・ルシーズ
全サ連と連携、アドリブ歓迎だよ
【SPD】
んー生存者はいなそうかな、死んでる人達なら遠慮は要らないよね?
【迷彩】して、リーダーと【ルシーズ】達と距離を取りながら戦うつもりだよ。【地形を利用】して、遠距離から【スナイパー】みたいに擬似刻印のレーザーの光【属性攻撃】で【援護射撃】かな。前に出てる千秋やリーダーを主に援護になるかな?
千秋、リーダー援護するよ!
射撃で【時間稼ぎ】してる間に、【ルシーズ】達が子供の亡霊を抱擁し自爆して攻撃かな。うん、本当の母親の抱擁じゃないのは仕方ないよね
生きてる子なら、助けてあげたかったんだけどね
戦闘後に、【医術】を使って応急手当かな、大物も待ってそうだしね
リーデ・クインタール
【全世界サイボーグ連盟】の皆さんと参加
アドリブ&絡み歓迎
さて、何か出てきましたわね…まぁ餌にされて殺されたという話は聞いていましたので、予想はしていましたが…オブリビオンになってしまっては手遅れですので…【温もりを捨てて…】…せめて、安らかに眠ると良い…征くぞ…
前衛に出て「ライト」と「アルト」で攻撃(怪力・鎧砕き)「プラズマ」を起動して帯電状態に移行(属性攻撃)
「フレイム」で火炎放射…火葬だ…(属性攻撃)
場合によっては念動力で補助、「コア」の演算能力は近接よりに割く
●鋼の躯体、鉄の心-Steel Body, Iron Heart-
「猟兵は過去を狩る。オブリビオンは過去である」
――――故に猟兵はオブリビオンを狩るのである。
それは誰の格言であったか。私である。
河原崎・修羅雪姫(プリンセス・スノーブラッド・f00298)はエレキギターを片手に悠然と前に出る。
修羅雪姫は怨念や過去の残滓を消す方法を、唯一つしか知らない。
それはただ砕き尽くし、焼き尽くす事のみ。
破壊の権化となる事のみ。
「大丈夫」
――――全てが終われば、鎮魂歌を奏でてあげるわ。
だって、出来る事などそのぐらいでしかないのだから。
「こんなんばっかりだな、猟兵ってのは。……全く……嫌になる……」
構えた銃は弔銃代わり、騒がしき、騒々しき葬りの銃。
かの敵は憐憫を覚えたものを取り込もうとする。
けれど、エレクトゥス・レヴィン(誓兵・f11060)はあえて感情は隠さない。
代わりに今、ここに誓約を交わす。
――――何があっても必ずこの弔いを完遂すると。
「犠牲になった人達は不憫ですが……」
オブリビオンも残影も過去のもの、そして、彼等は残影を過去のものにするもの。
それこそが犠牲となった人々への弔いになると信じて。
生きていたのならば、助けたかった、それは本当だ。
だけど、壊れてしまった心は、失われてしまった命は、最早二度とは帰ってこないもの。
だからこそ、猟兵として、一人のヒーローとして。
「これより、残影を除去するッ!!」
草野・千秋(断罪戦士ダムナーティオー・f01504)は迷わない。
ヒーローだから、決して振るうべきそれは迷わない。迷ってはいけない。
だからこそ、高らかに、今こそここで己の本分を果たすのだ、と。
「変身ッ!!」
雷光が迸り、閃光が閃く。
その躯体を戦う為の力と為して。
「ダムナーティオーッ!! 推して参るッ!!」
その掛け声を合図として、残影の悲観に満ちた絶叫が響き渡る。
されど、それより大きな大絶叫が発せられた。
音と音がぶつかり合う、それは音波と音波の戦いではない。
音速で放たれた誰かを傷つける為の物理的な力を伴った質量打撃の殴り合い。
勝ったのは、修羅雪姫の放ったヘビーメタル・シャウト。
半人半機のメタルモンスター。その心臓は鋼の構造物で出来ていた。
肉塊から触手が放たれ、エレクトゥスを絡め取る。
感情を見せてしまったから、隠そうともしなかったから。
露骨な獲物だからこそ、それは――――。
破裂音が響いた。肉塊の一つが弾ける。
それは銃声、それは鉄を放つ音。
「動け、動け……ッ!!」
自らの身を顧みず、絡め取ってきたソレに対する射撃。
保身なき零距離射撃、それは彼の体を傷つける行い。
だが、保身がないが故に、肉塊もその銃撃を躱す事など出来はしない。
破裂音が響き、また一つ肉塊が爆ぜる。
戦えば戦うほどに傷ついていくエレクトゥス。
しかし、彼には交わした誓約があった。
それが果たすまで、止まっていられない。
「大丈夫です、僕がついています」
ダムナーティオーと化した千秋の魂のこもった歌声が、エレクトゥスを癒やす。
ならば、この身はまだ動ける。動き続ける。動けないはずがない。
「――――先に逝け……ッ!!」
必ず弔いを成し遂げる、その誓約をこめた弾丸が弾痕を穿つ。
シャウトを奏でながら修羅雪姫が炎を放ち、焼き尽くしていく。
雷光を帯びたダムナーティオー・千秋の拳が残影を払う。
「んー……生存者はいなそうかな、死んでる人達なら遠慮はいらないよね?」
その後ろ側で、リズ・ルシーズ(Re-Z・f11009)は首を傾げた。
元より子の為に産まれてきたリズ・ルシーズ。
彼女にとっての優先事項は第一に生きている子供である。
故に死そのものと化したそれらに興味などはない。
トリガーが引かれ、光が残影を撃ち穿つ。
呼び出されたルシーズたちは肉塊を優しく抱きしめ、母親のような微笑みを浮かべ。
刹那、閃光が走り、爆炎が骸を包み込み、残影と化したそれをあるべき海へと還す。
「本当の母親の抱擁じゃないのは……仕方ないよね、ごめんね?」
生きているならば……生きていてくれたならば。
彼女はその本懐を十全に果たしたのだろう、だが果たせないのならば次善策を取るしかない。
「……まぁ予想はしていましたが……」
残影と化した過去のソレらを眺め、リーデ・クインタール(王の右・煉鏡騎士・f14086)は嘆息する。
その身を鋼に変貌させ、人である事を捨て、自らを戦闘機構へと堕とす。
左右のウェポンアームがプラズマを励起させる。
蒼き雷光が迸り、大気を焦がしていく。
「――――せめて、安らかに眠るが良い」
女性らしい柔らかな口調は失せ、ここにあるのは一個の戦闘機械。
左右のウェポンアームが轟音をあげ、大気を焦がしながら肉塊を撃ち抜く。
焼き払う炎は全てを焼き焦がし、無に還す。
あるべきものはあるべき場所へ。
いるべきものはいるべき場所へ。
――――残影、是全て骸の海にへと。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
死之宮・謡
如何でも良いねぇ…こんな風になってるのは此奴等が弱かったからだし…弱者にあらゆる権利は存在しない、存在しているならそれは強者に与えられている時だ……私は私の望むままに殺すよ?壊すよ?
さて、【七血人】共も好きに暴れると良い…久しぶりだろう?思う存分殺して来い…
私も行こうかねぇ…【殺戮感染】発動…
さてさて、宴の開演だよ?
精々、面白おかしく死に晒して…此の私を愉しませてくれよ?
それだけが、貴様等の取れる唯一の選択だからさぁ!
フレミア・レイブラッド
哀れね…女性も子供も死んだ後も世界に縛られて…。
良いわ、ドラゴンの前に相手をしてあげる…。
【サイコキネシス】で束縛し、魔力による冷気【属性攻撃】を纏った魔槍による攻撃【怪力、早業、串刺し、2回攻撃】で圧倒。
【念動力】で自身の周囲に膜を張ったり、念の壁を張る等して攻撃を防ぎ、腕力と念力で強引に圧倒させて貰うわ。
強引で悪いわね。生憎、わたしは貴女達を浄化する様な力は持って無い。わたしにできるのは、これ以上怨みを遺さない様、骸の海へ還す事だけ…。
だからせめて、この世の最後にその想い、受け止めてあげる。掛かってきなさい!
※アドリブ等歓迎
●殺戮の宴
「如何デモ良イネェ」
こんな風になったのは、彼等が弱かったがゆえの必然。
弱者にあらゆる権利は存在しない。
存在する時? それはより強いモノが弱者にそれを与えている時。
弱者救済。それが保証されてないのならば、これはまた必然であった。
故に、絶対強者たる死之宮・謡(狂魔王・f13193)にとってはこの状況は必然である。
だからこそ――――彼女は彼女が振る舞いたいがままに振るう。
「サテサテ、宴ノ開演ダヨ?」
悲観に満ちた絶叫が響くが、この狂いたる魔王の前には何ら意味を持たない。
憐憫? そんなものをこの殺戮機構が抱こうか?
抱くはずがない。
彼女はただ、ただ、殺したいが故に殺すのみ。
召喚されていた七人の殺戮者たちも狂気に満ちた笑い声と共に襲いかかっていく。
自らも愛用する大鎌を構え、薙ぎ払う。
絶叫が満ちる、けれど知った事ではない。
面白おかしく死に晒せ、この私を愉しませろ。
この場における強者であり、狂者である謡は死を謡う。
殺せば殺すほどにその身は際限なく強くなる。
たとえ、それが死の残影であったとしても関係がない。
「サア、私ヲ愉シマセロヨォッ!!」
吠えながら縦横無尽、最早蹂躙に等しい戦いを繰り広げる。
それを眺めながらフレミア・レイブラッド(幼艶で気まぐれな吸血姫・f14467)は一つ、ため息をついた。
彼女のように"隔絶した"考えはこの少女にはない。
ただ、ただ、哀れであった。
死した後も世界に縛られ、世界を停滞させ続ける。
その駒とされ続ける女たちと子供たち。
哀れんだ彼女に触手が襲いかかる。
しかし、その肉塊の群れは決して動けない、動かない。
サイキックエナジーである念動力がそれを寄せ付けない。
フレミアの身に触れる事叶わず能わず。
真紅の魔槍が凍てついた冷気を帯びていく。
刺突一閃、肉塊が閃光とも呼べる速度とその体躯に見合わぬ怪力から放たれた槍に貫かれる。
魔槍に宿った魔力が解き放たれ、内部から凍らせ、そして砕いていく。
「強引で悪いわね――――生憎、わたしは貴女達を浄化する様な力は持って無い」
だからこそ、彼女に出来るのは、これ以上怨みを残さない事。
これ以上憎しみを産まない事、その為に骸の海へと還す事ばかり。
「だからせめて、この世の最期にその想い、受け止めてあげる」
――――掛かってきなさい!!
それこそが彼女の慈悲である。
振るった魔槍から冷気が迸り、氷棺をいくつも築き上げる。
黒い死神は絶対強者が故に、残影を弱者と断じ、自らの悦楽の糧とした。
金色の吸血鬼は強者が故に、残影を哀れみ、慈悲深く葬り還す事を良しとした。
互いが互い、強いが故、されどその思想は至って全く真逆の方向に向いていた。
けれど、それが彼女たちの敵対関係を築くわけではない。
どちらにせよ、オブリビオンと化して世界にこびりついた残滓は取り除かねばならない故に。
黒い死神は殺し尽くし、金色の吸血鬼はいくつもの氷の棺を作り上げた。
残影はここに散り、世界から放逐された。
彼女たちの還る末路は骸の海、されどそれはきっと解放でもあったのだろう。
後には最早何も残らず。残るは唯一つ。
駆逐すべきもののみ。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
第3章 ボス戦
『『血染めの災厄』ルベルレギナ』
|
POW : 女王の慈悲
【ルベルレギナに恐怖したものの生命力】を代償に自身の装備武器の封印を解いて【五感で認識したものを無抵抗に嬲り殺す爪牙】に変化させ、殺傷力を増す。
SPD : 女王の躾
【視界内の全てのものに恐怖をもたらす咆哮】を放ち、自身からレベルm半径内の全員を高威力で無差別攻撃する。
WIZ : 女王の奴隷
戦闘力のない【ルベルレギナに恐怖し絶望した奴隷】を召喚する。自身が活躍や苦戦をする度、【ルベルレギナに生きたまま食われること】によって武器や防具がパワーアップする。
👑11
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴🔴🔴🔴
|
●血染め魔竜
『……なんだ、また肉か?』
血染めに染まった魔竜はその首をもたげた。
自らを絶対強者として信ずるその魔竜。
今は吸血鬼の走狗と化しているが、与えられる餌を貪り食い、強者を殺し。
自らの血肉と変え、その身に力を蓄えて、叛逆の狼煙をあげる為に。
今は自らを狗とし、駒とするを良しとした。
『それとも喰うに値する――――否、問うまでにないか』
戦意を保ってやってきた猟兵たちにその竜は口を歪め笑う。
殺して血肉にするに値した、と笑う。
『恐怖し、絶望した肉袋など、腹を満たす事しかできん』
この魔竜が望むもの、それは殺し、血肉にするに値するもの。
故にやってきた猟兵、それこそが自らの力となることを信じて疑わない。
『さあ、我の血肉になることを許そう――――精々足掻け』
自らを強者と信じて疑わない傲慢たる血染めの魔竜、君臨す。
草野・千秋
【全世界サイボーグ連盟】
アドリブ絡み歓迎
(血の匂いに顔を顰め)
なんだ、ただのヴァンパイアの走狗か
その分際で人を食い殺してきたのか
お前は何様のつもりだ
これがお前の聞く最後の名前となる
我々は全世界サイボーグ連盟!
そして我が名はダムナーティオー!
UCで攻撃力上げ
己が認め信じた者、それは共に戦う仲間
武器改造による剣のチューニングも忘れない
攻撃は2回攻撃を主軸に着実に当てていく
その重そうな体で僕の攻撃が見切れるか?
怪力で巨体を持ち上げて落としたり
仲間が攻撃されそうなら
盾受け、かばうでカバーリング
お怪我は!?
皆さんでこの愚鈍な獣、さっさと倒してしまいましょう!
エレクトゥス・レヴィン
全世界サイボーグ連盟から参加。
「ああはいはい、そーか、そーか。じゃあ死ね」
「口がクセえんだよこの赤トカゲが」
言うなり突撃、攻撃重点で蹴りかかって味方の邪魔をさせないようにする。
自分でも不思議なくらい思考がクリアだ、はっきりとした意識が「なにがなんでもぶっ殺せ」って騒いでやがる。
ユーベルコードの高速移動で後頭部、背面、尻尾、足元なんかの死角をとにかく動き回って、隙あらば殴って抉って蹴り飛ばす。
出来上がった傷口に左腕の放熱板をぶち込んで全力の爆熱排気をぶち込んでやろうか。
主な使用技能【捨て身の一撃、属性攻撃、2回攻撃、カウンター、傷口をえぐる、おびき寄せ】
絡み、アドリブ歓迎。
リズ・ルシーズ
全サ連や他猟兵と連携、アドリブ歓迎だよ!
【SPD】
女子供の肉を貪って強くなれるなら楽なんだけどね
【レグナンド】を展開して光学迷彩付きの外部装甲と対戦車狙撃用ライフル(成型炸薬弾)を召喚するよ。【迷彩】して【地形を利用】しながら【スナイパー】として遠距離射撃だね。
皆、援護射撃いくよっ!
ライフルから衝撃【属性攻撃】の成型炸薬弾を放って、【援護射撃】をしつつ皆の攻撃までの【時間稼ぎ】かな
狗なら、キャンと啼いてね!
奴隷の足元を狙って威嚇射撃して【恐怖を与え】ようかな。贄にされても誰も喜ばないしね
胆は冷えたかな?自分達で死ににいくのは禁止だよ!
子供が怯えてるの見るのは複雑だけど、命あっての物ダネだよね
河原崎・修羅雪姫
【全世界サイボーグ連盟の皆と参加】(アドリブ・絡み歓迎)
●心情
鶏口となるも牛後となるなかれ。
「自らを絶対強者として信ずる」とは聞いて笑わせる。
そのざまでは、吸血鬼に飼われるブタと変わらないではないか?
「強き龍ならともかく、ブタを怖がる猟兵はいないわよぉ!」
●行動
UCへビーメタル・シャウトを使用。
味方にかけるのは勿論、今回重視したいのは、
ルベルレギナが呼び出す
【ルベルレギナに恐怖し絶望した奴隷】に勇気を分け与えること。
「恐怖は打ち消せる! 石を投げろ! ルベルレギナの目を狙え!
奴隷のままで終わるな! 命を懸けてあらがえ!」
全サ連の戦旗をバックに、奴隷たちのケツを
メタル魂で蹴り上げる!
紅葉・智華
※アドリブ・連携歓迎※
全世界サイボーグ連盟で参加
「遅れての参戦、申し訳ないであります。さて、遅れた分の仕事は果たすでありますよ……!」
その図体で自身を強者と誤認しているようでありますが、はっきりと教えてやるよ。「支配者は私の弾丸」だと。
右手の04MVと左手の[K's]Sirius(鎧無視攻撃15)で【選択UC】(スナイパー15)による【援護射撃10】を行う。手数(2回攻撃10)で抑え込む(時間稼ぎ2)。【戦闘知識10】を活かして敵の攻撃の隙を作る、あるいは隙を狙う。【目潰し10】をしても良いかもしれない。
「図体ばかりデカい蜥蜴ごときが威張るな……ただの蜥蜴に見えるでありますよ」
●御旗の下に竜と食い合う
「……なんだ、ただのヴァンパイアの走狗か……」
断罪戦士・ダムナーティオーと化した草野・千秋(断罪戦士ダムナーティオー・f01504)が吐き捨てるように言う。
たかが、たかが走狗の分際で、偉そうに言う血染め竜を前に。
「お前は、何様のつもりだ……ッ!!」
『この我が何様だと? はっ、吠えおるわ下等生物がッ!!』
傲岸不遜に、傲慢なまでに竜は吠える。
ふしゅるるるる、と瘴気を帯びた呼気が漏れる。
「……ああ、はいはい、そーかそーか」
エレクトゥス・レヴィン(誓兵・f11060)は肩をすくめ、その呼気を払う。
露骨に顔をしかめ、そして、眉をひそめる。
「口がクセえんだよこの赤トカゲが」
「図体ばかりデカい蜥蜴ごときが威張るな……ただの蜥蜴に見えるでありますよ」
仮にも幻想種たる竜を蜥蜴呼ばわり。
遅れて駆けつけた紅葉・智華(紅眼の射手/妹捜索中/自称・全サ連風紀委員・f07893)すら竜を指して述べた。
『よく吠えたな、下等種の猿もどきがぁッ!!』
血止めの女王竜が咆哮する。
むせ返るような血の香りを帯びた呼気が辺りに充満する。
「――――鶏口となるも牛後となるなかれ」
河原崎・修羅雪姫(プリンセス・スノーブラッド・f00298)がギターを弾く。
その語り口は誰に向けてか。
「自らを絶対強者として信ずるとは聞いて笑わせる」
修羅雪姫がまたギターを爪弾いた。
「その様では吸血鬼に飼われるブタと変わらないではないか」
蔑むように笑い、またギターが音を奏でる。
「強き龍ならともかく――――」
我が旅団にブタを恐れる猟兵はいないわよぉッ!!
修羅雪姫の呼応に自らの御旗の下に集まった猟兵たちが呼応する。
『この我をブタ呼ばわり!! よかろう、まずは貴様から殺すッ!!』
咆哮に応じて奴隷たちが呼び出される。
絶望しきった彼等は最早逃げ出す事もなく、ただ食われるがままになる。
そう――――そのはずだった。
「――――恐怖は打ち勝てるもの、石を投げろ、龍の目を狙え!!」
そう、それは咆哮のような歌声。
叫ぶように、されどこの暗雲と闇なる世界に光を与えんとする炎の歌。
払暁を告げる太陽の歌、勇気の呼応。
メタルモンスターの歌声は、奴隷たちの消えかけた希望と言う炎に光を灯す。
「……そうだ……まだ終われない……」
「そうよ、私たちにはまだ帰るところがある
……!!」
奴隷たちが叫び、石を投げつける。
そう、それは些細な抵抗にしか過ぎない。
龍にはさしたる障害にもならない。
されど、そう、燃えた命の炎は――――。
『何故だ……!! 一度諦めた貴様たちが何故もう一度立ち上がれる?!』
龍の困惑と化す。
その困惑の間隙、放たれたるは鋼の弾頭。
「女子供の肉を貪って強くなれるなら楽なんだけどね……」
そう簡単にはいかないのがこの世の中、リズ・ルシーズ(Re-Z・f11009)の放ったそれが龍の鱗に突き刺さる。
鋼の剣すら弾くその装甲、されど鋼の装甲そのものである戦車を破壊するために産まれたその銃撃は、容易にその鱗を貫き通す。
「――――てめえはぶち殺す、それが交わした誓約だッ!!」
穿たれた傷跡、エレクトゥスが高速で踏み込んでいた。
左腕の放熱板が穿たれた傷に打ち込まれる。
「――――焼け死ねぇッ!!」
渾身の一撃と共に、放熱板からオーバーロードによる爆熱が放たれる。
傷口が爆ぜて燃え盛り、癒せぬ傷となる。
『おのれ、おのれおのれおのれおのれ、小細工をぉッ!!』
血染めの女王が叫びをあげようと顎を開く。
至近距離から放たれるソニックブームは間違いなくエレクトゥスを砕いて余りある。
だが、もう一人、虚空に飛び上がっていた男がいた。
断罪の戦士、ダムナーティオーと化した千秋は重力に任せるままに落下する。
「させませんよ、愚鈍な走狗がぁッ!!」
叫びと共に踏み抜くように放たれた飛び蹴り、開かれた顎を押しつぶすように血染め龍の頭部を地面にめりこませ、大地を圧壊させる。
「――――この場の支配者、誰だと思う?」
智華がなんとはなしに告げる。
手にしたのは[K's]Sirius、こめられた弾丸は支配者の弾丸。
この場を制するものは紛れもなく龍ではなく彼等であると。
「――――はっきりと教えてやるよ」
こめられた弾丸が放たれ、龍の身体に弾痕を穿つ。
龍が叫びを上げる。
それは痛みと屈辱から来る絶叫である。
今この場に彼女を恐れるものなどは誰一人としていない。
彼女が支配し、そして恐れて絶望していたはずの奴隷ですら。
気にも止めぬ些事程度の投擲をする。
そのことが苛立たしい、しかし何よりも。
『こんな下等生物どもに、この我が圧倒される?! ありえるかそんなことが!!』
この現実そのものが血染めの女王たる龍には苛立たしかった。
だが、猟兵たちに押されているのが事実であり。
戦局は御旗の下で戦う彼等彼女ら優勢である事。
それはどうしようもない現実と事実として立ちはだかっていた。
「これがてめぇの聞く最期の名前だぁッ!!」
「そうよぉ、私が……」
「ボクたちが
……!!」
「全世界サイボーグ連盟でありますッ!!」
「そして、我が名はダムナーティオーッ!!」
鋼の戦士たちは、決して負けぬ鉄の心と鋼の身体を持つ勇者なのだと。
ここに御旗と共に示してみせた。
成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴🔴🔴🔴
ゾーク・ディナイアル
キャハハハハハ!血肉になるのはお前の方だよぉ!
さぁさぁさぁ!愉しませてよねぇぇぇ!
☆戦術
SPD勝負
UC【強化兵戦技《呪術強化》】で己の『呪詛耐性・火炎耐性・氷結耐性』を限界まで強化し『オーラ防御』の結界を纏って敵に斬り込みをかけ、懐に入る。
「強化兵を!舐めるなよぉぉ!」
敵の攻撃を『野生の勘』で『見切り』躱しながら魔導拳銃を『クイックドロウ』で『二回攻撃』して乱射したり、『怪力』を発揮して妖剣を振るい『カウンター』で斬りつけたり、剣を突き刺して『傷口を抉り』ながら嬲り殺しにしていく。
「痛いかぁ?!痛いよねぇ!じゃあこのまま首を落としてあげるよぉぉ!」
※アドリブ歓迎
フレミア・レイブラッド
黙りなさいな。吸血鬼の狗に成り下がった蜥蜴風情が偉そうに…。
どんなに取り繕っても貴方は餌を与えられる家畜よ。
【見切り、第六感、残像】で敵や奴隷達の攻撃を回避。奴隷達は【怪力や念動力】で気絶させた後に竜から離れた隅に放り投げてなるべく戦闘から離脱させる。
自身は敵の動きを【見切り】、敵の防御や攻撃時に各所で【念動力】で動きを瞬間的に束縛して隙を作り翻弄。また、動きに合わせて魔槍で【怪力、早業、串刺し、2回攻撃】によりする事で圧倒するわ。
魔槍に付着した血を【吸血】で摂取しつつ、自身の吸血鬼の血を活性化。
全力の【神槍グングニル】で消し飛ばすわ
さぁ、終わりよ…跡形も無く消し飛びなさいな
※アドリブ等歓迎
死之宮・謡
おや?此奴は自分が上だと思っているのかな?…気に食わないねぇ…爬虫類の分際で…良いだろう…
真の姿…【黒鋼の城塞魔人】アンロック…
叩き潰す…傲慢な其の心ごと貴様の肉体もバラバラになるまで…奴如きに恐怖する筈がないだろう?…まぁ彼奴が強いというのならば嬉しくなることはあるかもしれないが…
(使用技能:呪詛・怪力・生命力吸収・傷口を抉る・鎧砕き・なぎ払い)
戦闘法:盾で防いで斧で叩き割る。以上
逆に言おうか…精々足搔け、この私を愉しませろ…
●龍、墜ちるべし
「キャハハハハハハッ!! 血肉になるのはお前の方だよぉッ!!」
狂い笑いながら、ゾーク・ディナイアル(強化エルフ兵の出来損ない・f11288)は龍に踏み込んだ。
改造と呪術で弄られたその身体を限界まで強化し、その手の白刃を振るう。
『ほざけッ!!』
その身体に巨躯から放たれる爪撃が振り下ろされる。
甲高い音が響き、その爪はその細腕で支えられた白刃に止められていた。
『馬鹿な!! その身体のどこにそれほどの力がある!?』
「強化兵をッ!! 舐めるなよぉぉぉッ!!」
爪を思い切り弾きあげると同時、もう片手に持っていた拳銃で弾き上げた腕を射抜く。
銃声が何度も響き、何度も同じ箇所を撃ち、鱗が砕かれ弾痕が穿たれる。
『馬鹿な、我が鱗が!?』
「基本性能を過信しすぎなんだよぉッ!!」
穿たれた弾痕に剣が突き立てられれば、強化された身体能力その全てを持ってして貫いた。
貫通した刃を無理やり振り抜けば、酷くいびつな音をあげ、龍のその手は縦に裂かれ、血しぶきをあげた。
『グギャアアアアアアアアアアアッ!!』
「痛いかぁ?! 痛いよねぇ!! じゃあこのまま首を落としてあげるよぉッ!!」
「それは困るなぁ……私にも愉しませてもらわねば」
死之宮・謡(狂魔王・f13193)が巨大な斧を片手に踏み込んでいた。
縦に裂かれた前足がその戦斧の一撃で切り断たれる。
しかし、それは斬るなんて言う生易しいものではない。
無理やり引き裂いたようなものだ。
「あ、そうだった? でもそれならぁ……早いもの勝ちだよねぇぇッ!!」
「否はないねぇ
……!!」
鱗を突き穿つ白刃の突き。
鱗を砕き抉る戦斧の一撃。
両者に共通することは、それが龍の鱗を抜くには余りあるもので。
そして、同時に彼女たちは、その傷口を抉ることを得意とする所で。
「さあ」
「さあ」
二人の声が重なり、龍の巨躯に突き穿たれた、砕き抉られた。
剣と斧が無理矢理にその傷口を広げ、抉り、穿つ。
「いい声で鳴いてよねぇぇぇッ!!」
「精々足掻け……この私を愉しませろッ!!」
『ぐぎゃおおおおおおおおおおおおおおおッ!?』
血しぶきがあがり、龍が絶叫する。
その声を聞き、金糸の少女は鬱陶しそうに顔を顰めた。
「……黙りなさいな。吸血鬼の狗に成り下がった蜥蜴風情が偉そうに」
フレミア・レイブラッド(幼艶で気まぐれな吸血姫・f14467)は手をぱたぱた、と仰ぎ、顔をしかめたまま、龍を前にする。
その手に握られたもの、真紅の魔槍。
「どんなに取り繕っても貴女は餌を与えられる家畜よ」
『この我を見下すかぁッ!!』
吠えようとしたその顎が無理やり閉じられる。
フレミアの手が掲げられていた。
それはまるで龍の顎を閉じるように。
そう、それこそが彼女の念動力であり、龍の顎を無理やり閉じさせた力の根源。
「言ったでしょう? どんなに取り繕っても貴女は餌を与えられる家畜よ」
さっきも言われたでしょう? ブタだと。
そう、そして猟兵はブタなんか恐れないと。
「――――さあ、終わりよ」
噴き出した血がフレミアの周りに集い集まり、彼女の力と化していく。
真紅の魔槍に魔力が収束し、禍々しさすら帯びる。
その槍を掲げ、投げ放つ構え。
「跡形もなく消し飛びなさいな」
――――全てを滅ぼす圧倒的な魔力を帯びた力・神槍グングニル。
そう名付けられた一撃は龍の腹に突き刺さり、そこを穿ち貫通する。
風穴が空いた身体は、音速を越えて放たれた槍の衝撃波でさらにその風穴からずたずたに引き裂かれていく。
「首ッ!! いただきぃッ!!」
「叩き潰す……ッ!!」
ゾークが崩れ落ちようとするその首に跳躍し、強化された膂力と重力加速度によって加速した斬撃で首を刎ねた。
謡が残った未だ死を拒否するように蠢く心臓を身体諸共砕くように戦斧を叩き落とした。
『――――ば……か……な……』
末期の叫びは微かにしか大気を揺らさず。
それを聞き取れた者すら少なかろう。
血染め龍の女王は首を落とされ、心臓を潰され、骸すら風穴と共にずたずたに引き裂かれ。
最早、原形一つ残さぬよう完全に破壊されたそれは後は骸の海に還るがままに。
「――――強者のふりしたただの爬虫類だったな」
吐き捨てるように、謡が告げれば、残骸は世界より消え失せる。
あとは静寂のままに、龍がいた痕跡など、最早世に存在しなかった。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵