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総合食肉工房~カーニバル~

#ダークセイヴァー

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#ダークセイヴァー


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●美味しいソーセージ
 工場見学にようこそイらっしいました、ええ。
 当工場で生産されているソーセージはとびキりおいしくてですね、ええ。
 新鮮な材料で作られテますから、ええ。
 最近、やっと安定して手に入るようになった、カなり上等なお肉でしてね、ええ。
 本来なら機密事項なんですよ、エえ。
 でも、今日は皆サんだけに特別にですよ、ええ。
 その食材がナんなのかを見ていただこうかなと、ええ。
 どうぞこちらへイらしてください、ええ。
 きっと、貴重な体験になるとおもいますヨ、ええ。

●工場見学
『当工場ではこだわり製法で、心をこめたソーセージ作りを行っております。その味を変えることなく守り続けており、多くの方からご支持をいただいております。』

「こういうチラシが出回っているみたいなんですよね。」
 カイル・アルガスト(ドラゴニアンの精霊術士・f05742)は猟兵たちに黄色く薄汚れた紙を配り始めた。どうやら、食肉工場の見学案内らしい。一見すると何の変哲もない、どこにでもよくあるチラシだ。
「ただのソーセージ工場なら何の問題もないのですが、この工場に見学に行った人達は、ことごとく失踪してしまっているらしいんです。……察しの良い皆さんであれば、すでに想像できているかもしれませんが。つまりは、そういうことです。」
 オブリビオンが操業しているような工場が、まともな工場であるわけはない。このまま放置しておけば、さらなる犠牲者が増えることは火を見るよりも明らかだ。
「なので、皆さんにはこの工場を経営しているオブリビオンを討伐していただきたいのです。」
 とは言っても、倒すべきオブビリオンの潜伏場所を把握できているわけではない。闇雲に探したとしても、発見することは困難だろう。しかし、工場の案内者を含め、内部には幾人かの看守が配置されている。彼らを利用して内部の情報を収集をすれば、何かわかるかもしれない。討伐の前に、まずは下地を整えることが先決だ。
「因みに、看守の方々も人間ですので、そのあたりは承知しておいてくださいね。そのような場所で働いている人が、果たしてまともな人間かと問われると、私にはわかりかねますが……。」
 無論、強制的に労働させられている者もいれば、自ら望んで働いている者もいるだろう。その辺りも見極めながら、情報を得る最善の手段を選択して欲しいとのことだ。当然、猟兵たちは見学者として潜入することとなる。あまりにも怪しい行動をとってしまえば、通報されることも十分にあり得る。ある程度は慎重に行動する必要があるだろう。
「恐らく、この初動で工場の進退が大きく左右されます。危険な潜入になるとは思いますが、どうぞよろしくお願いいたします。」


弐呉崎
 ソーセージとかウインナーは、ゆでたやつにマスタードをつけるだけでも美味しいですよね。どうも、弐呉崎です。

 さて、少々血なまぐさいお話ではありますが、何をするにもまずは情報収集です。工場内にいる看守から情報を引き出し、工場の主であるオブリビオンがいる場所を探し出して下さい。その行動が、結果的に捕らわれた人たちを救うことに繋がるかもしれません。

 それでは、皆様の気合と根性の入ったプレイングをお待ちしております。
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第1章 冒険 『強制収容所を開放せよ』

POW   :    暴力を背景に脅しつけ吐かせる等

SPD   :    書類、日記等情報源を盗む。周囲を探索する等

WIZ   :    口車に乗せる等

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🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​

種別『冒険』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

ウィルトス・ユビキタス
食肉工房……まあ原材料は察しがつくな。これは見過ごす訳にはいかない問題だ。急いで乗り込むぞ。

見学中にそっと【忍び足】で【目立たない】様に抜けて周囲を探索する。加工場とか加工済みのものを運んでいく先が怪しいな。
オブリビオンの手がかりが見つかれば良いが……。
探索中に見聞きしたものはメモしておこうか。
もし探索中に発見されたら【逃げ足】で逃走してどっかに隠れる。道中にメモを隠して他の猟兵が見つけることを祈る。

『これは俺、ウィルトス・ユビキタスがここで見聞きしたことを万が一のために記録したのものだ。もし猟兵が見つけたなら役立てて欲しい』

手記だけの登場でも大丈夫だ。



●潜入
 作戦当日、猟兵たちは見学者として工場内へと潜入する。ここ最近は見学者の数が減少しているのか、工場側の歓迎も一入だった。案内者の話を聞きつつも、彼らは工場内部に怪しい点がないかとを周囲を見渡すが、一見すると何の変哲もない工場に思えるだけだった。やはり、この工場の真相を知るには、単に見学しているだけでは不十分であると、誰もが感じ取っていた。

 そんな中、一人の男が先陣を切り、抜け出すことに成功する。ウィルトス・ユビキタス(武闘派デスクワーカー・f01772)だ。
「食肉工房……まあ原材料は察しがつくな。」
 看守の目を掻い潜りながら、ウィルソンは加工済みのソーセージが運ばれていく先へと向かう。僅かな音もさせぬよう、息を殺しながら複雑に入り組んだ廊下を進む。途中、僅かに反応する看守もいたが、さしたる苦難もなく、彼は目的の場所へとたどり着くことができた。
 出荷の作業で忙しいのだろうか。辺りに看守の姿はない。ふと目についたのは、一台の事務机と、その上に煩雑におかれた資料。これ幸いと、ウィルソンは数枚の紙を手に取った。
「なるほど、出荷先は各村を収める領主……つまり、オブリビオンか。となると、その中にこの工場の主もいる可能性があるわけだな。」
 一通り周囲の探索を終えると、彼は道中でメモを隠士ながら加工場へと向かった。そこは、小綺麗にされていた先程との部屋とは異なる、異質な空間。締め切られた空間にこびり付くような、腐臭にも似た鉄の匂いが鼻につく。そして、そこにあったのは、すでに解体された肉の塊たち。
「い、嫌だ!誰か助け――あ゛ぎ――。」
 辿り着くと同時に部屋の奥から聞こえた声は、鈍い切断音と共に途絶えった。理性が己を抑制するよりも先にその体が動く。ウィルトスは声の聞こえた方向へと駆けだしていた。
「おい、お前!そこで何をしている!」
しかし、近くにいた看守がそれを良しとするはずはない。招かれざる見学者を捕縛せんと看守たちがウィルトスへと迫る。
「見つかっちまったか。……仕方ない、しばらく探索は中断だな。」
 奥で何があったかは容易に想像ができる。だが、今ここで捕まってしまってはここまで得た情報が水泡と帰してしまう。今、彼らがなすべきことはオブビリオンを撃つこと。それは彼も重々承知しているのだ。苦虫を噛み潰したかのような顔をしながら、ウィルトスはその場をあとにする。

『これは俺、ウィルトス・ユビキタスがここで見聞きしたことを万が一のために記録したのものだ。もし猟兵が見つけたなら役立てて欲しい』

 なんとか看守を撒き、安全な場所に隠伏することに成功すし、ウィルトスは再び、これまで見聞きしたことをメモし始める。耳に残り離れない、先程の断末魔を思い出しながら。

成功 🔵​🔵​🔴​

キア・レイス
暴食なのか商売でもしているのか、工場なんてよく作ったものだ。

工場の見学者が拐われているようなので私も見学者として中に入る。
危険かもしれないが中に入るなら一番自然だろう、中に入ったらとりあえず見取り図を探す、チラシやパンフレット、避難経路図でもいい。
装備はとりあえず自動拳銃に減音器を取り付けたものとツールナイフとピックナイフ。

ある程度順路の通り進んだら警備員から離れ本格的に潜入。
聞き耳をたてながら忍び足、警備員に鉢合わせないようにしつつ、事務所か守衛室にでも乗り込む、手早く鍵の付いた引き出しや金庫でも見つけて鍵開け、重要そうな書類を盗み出す。
暗殺はできるだろうが警備員は一応人間だ殺さずにいたい。



「暴食なのか商売でもしているのか、工場なんてよく作ったものだ。」
 キア・レイス(所有者から逃げだしたお人形・f02604)は任務思考のため、見学を装いながら、パンフレットトや避難経路図などを探していた。しかし、それらしいものはなかなか見当たらない。様々な世界を渡り歩く猟犬にとっては当たり前のものであっても、どうやらここではそうでもないらしい。そもそも、脱走を助力するようなものを設置する理由はないだろう。
「どうしたものかな。手あたり次第に探すのは流石に時間の浪費か。」
 今後の策を思案しながら再び周囲を見渡すと、ふと案内人の後ろポケットに目が止まる。かなり使い古されているのか、そこにはコイン程の穴が開いていた。そこから垣間見えるのは薄汚れた紙切れ。
「……なるほど、確かに彼らにはとっては必要なものだものな。」
 何の訓練も受けていない人間から物を盗むことなど、シーフでもある彼女にとっては造作もない事だった。一通りの説明が終わり、案内人が次の進行方向へと向いたその瞬間、鮮やかな手際で地図と思しき紙片の抜き取った。そのまま彼女はその場を離脱し、紙片の中身を確認する。使い込まれ、擦り切れそうになってはいたが、紛れもなく内部の見取り図だった。
 「よし、これで予定通り事務所に向かうことができそうだ。」
 事務所へとたどり着く。かなりの人数の見学者を相手取る為なのか、はたまた何か別の理由があるのかはわからないが、幸いにも、事務所に人の気配はなかった。何かしら重要書類であれば、当然、金庫などに入っているものだ。程なくして、キアは鍵のかかった引き出しを見つける。このような場所に侵入するものはまずいないのだろうが、オブリビオンにも最低限のセキュリティー意識はあるようだ。だが、この程度の対策は彼女の前では無力に等しかった。
「ふむ、オブビリオンというのも、案外マメだな。」
 中にあったのは数枚の資料。名前、年齢、性別、出身の村、毎日の体調――どうやら、捕まった者たちの情報のようだ。そして、確認の証だろうか、それぞれの紙の下に書かれているサインのような何か。
「フロイデ・へクセ……」
 資料に目を通し初めて数分、先程まで静かだった工場内が、突如喧騒に包まれる。何か不測の事態が発生したのだろうか、看守たちがあわただしく動き始めているようだ。だが、彼女にとっては好都合。その混乱に乗じて、キアは警備が手薄となった事務所の外へと難なく脱出する。必要なものは手に入れた、他の猟兵たちと合流するため、彼女は再び走り始めた。

成功 🔵​🔵​🔴​

天御鏡・百々
【WIZ判定で交渉して「情報収集」】

ヤドリガミたる我に食事の必要は無いが
人肉の腸詰など趣味が悪いということはわかる
いや、この世界を支配するヴァンパイアにとっては当たり前なのか?
まあこの工場の主がヴァンパイアとも限らぬが、どちらにせよ捨て置くことはできまい

工場へ見学者として潜入
「第六感」も使いつつ案内人や看守の様子を見極め、
強制労働されている者に声をかけるとしようか

我らが工場の主を倒してこの地を開放しに来たと告げ
内部の情報を集めるぞ。「情報収集」技能は役に立つだろう。

また、強制労働されている者は大分疲弊していそうだな。
「鼓舞」で元気づけておくとするか。



「そこの男、少々話をしないか?」
 突然話しかけられた男は、その声の主、天御鏡・百々(その身に映すは真実と未来・f01640)を見やると、その目を丸くした。こんな工場に年端もいかぬ少女が一人で立っていれば、驚くのも当然だ。
「汝らを解放しに来た。そのためにも知っている情報を教えてもらいたい。」
「……はぁ?俺たちを解放だぁ?寝言は寝てるときに言うもんだぜ、お嬢ちゃんよ。んなことが無理ってことは、ここにいる誰もがわかってんだ。そんなことができるんならとっくにやってるんだよ。」
 少女から差し伸べられる救いの手。だが、突如現れた素性不明の少女の言葉には全く信憑性がなく、その話はあまりにも荒唐無稽だ。幾年もの間、ここで働かせられ続けている彼らは、脱出がどれほど困難であるかを重々承知しているのだから、後ろ向きになるのも当然だ。
「ならば、このままここで一生を終えるのか?まぁ、人の寿命などたかが知れておるし、大した問題でもないかもしれんな。最も、ここに居ったとしても、天寿を全うできるとは到底思えんがな。」
「だからって俺たちにどうしろっていうんだ?食事すらまともに与えらず、生きる気力すら湧かない人間に一念発起でもしろってか?冗談も大概にしてくれ。」
 だが、完全にくすぶってしまっているわけではない。僅かながらの現状に反発する力は残っているのだ。そう確信する百々は男を焚きつけるかのように話を続ける。
「だからこそ我々が力を貸そうと言っておるのだ。このままここにいてもいつ死ぬかわからない。それはお主自身がよくわかっているのはずだ。それに――お主、外に女房と子供がおるのだろう?」
 何故そのことを知っているのかと問いたげな男の顔。ここに連れてこられてから、手紙の一つすら交わす事が出来なかった、自分にとって最も大切な存在。忘れてかけていたものを思い出させる百々の言葉に、男の心は大きく揺らぐ。
「なに、ただの勘だ。して、お主はどうしたいのだ?ここで飢えてくたばるのか、それとも、家族に看取られて逝くことを選ぶのか。決めるのはお主自身だぞ?」
 男はもう何年も会っていない家族の顔を思い浮かべる。だが、疲弊しているせいからか、その記憶はあまりにも朧気で、鮮明に思い出すことは叶わない。あぁ、娘は目の前にいる少女と同じ年の頃だろうか。そんなことを思いながら、娘と百々の顔を無意識のうちに重ねる。久しく忘れていたはずの、会いたいという強い感情が、男の頬を伝って流れ落ちた。
「……本当にできるのか?」
「うむ、御神体たる我に二言はない。汝らが世界に希望を持てぬというのであれば、我々がお主たちが生きるための希望となろうぞ。」
 その言葉を聞いた男は汚れた袖で涙をぬぐう。もはや彼に迷いはない。
「わかった。俺の知っていることであれば、喜んで提供しよう。」
 男曰く、この工場の主は定期的に工場へとやってくるという。どうやら今日がその日であり、数時間もすれば到着するだろうとのことだった。情報を得た百々は仲間との合流を果たすため、男に別れを告げる。人の助けとなり導く者としての使命を果たすために。

成功 🔵​🔵​🔴​

フォルター・ユングフラウ
我はソーセージよりハムを所望したいところだな…鮮血の様なワインを添えて。
まあよい、腹ごしらえはこの任を片付けてからだ。

看守が人間であれば、多少は付け入る隙もあろうな…【WIZ】を上手く活かして動きたいところだ。
不本意ではあるが、誘惑で堕としてみるか。
我の美貌を最大限に活用し、恐怖よりも色香で脳を麻痺させてやろう。
これだけでペラペラ喋れば良いが、鼻の下を伸ばされるだけでは意味が無い。
必要に応じて、UC:心壊す揺籃歌も使おう。
これで情報を吐かせるか、周囲の目を盗んで情報源を持って来させるのもいいかもしれぬな。
後でたっぷり良い思いをさせてやる、とでも言えば、その気になるかもしれぬ。
まぁ、嘘だがな。



「我はソーセージよりハムを所望したいところだな……鮮血の様なワインを添えて。」
 他の猟兵たちから離れて行動をし始めた、フォルター・ユングフラウ(嗜虐の乙女・f07891)は、工場の蛮行など位に会することはなくつぶやいた。冷酷無慈悲を具現化したような存在である彼女にとって、赤の他人の生死など気に留めるほどのことでもないのだろう。
「まあよい、腹ごしらえはこの任を片付けてからだ。」

「おう、そこのお嬢さんよ、ここは関係者以外立ち入り禁止だぜ、へへ。」
 程なくして彼女の前に現れた一人の男。どうやらこの辺りの警戒を任されている看守のようだ。男はフォルターの白い肌と、それに対象的な漆黒の髪をまじまじと眺めながら、疎ましく思えるような笑みを浮かべる。
「あぁ、少々迷ってしまったのでな。できれば案内を頼みたい。」
「案内?もちろん構わねぇぜ。こんな上玉――いや、美人を放っておいたらバチが当たるってもんよ。」
 無論、男は案内をするつもりは毛ほどもない。目の前の女が最終的にどうなろうと知ったことではない。男は自身の欲求が満たせればそれでよいのだ。汚らわしい。今すぐにでもその首を切り捨ててやりたいという衝動にかられながらも、作戦遂行のため、あえて男の心理を利用する。
「ところで、この工場の主は何者だ。ずいぶんと良い趣味をしているようじゃないか。」
「そんなもん知ってどうすんだ?あんたには関係ない話だぜ。」
「関係あるかどうか決めるのは汝ではない。もし、情報提供をするのであれば、後でたっぷり良い思いをさせてやる。」
 彼女の言葉に、男の期待度は一気に高まる。この工場に来て以来、まともに女性の相手をすることのなかった男にとって、これ以上の誘惑はない。自身がすでに魅了されていることも気づかず、男はその甘い誘惑にまんまとのせられる。
「なんだなんだぁ?あんたもその気だったってわけか?いいぜ、後でたっぷりと教えてやるよ、ここのことも俺のことも隅々までな。」
「いや、その必要はない。汝はただ私の言うことにだけ従っていればよい。」
 そう言葉を放つと、フォルターは看守へと近づき、その耳元で囁いた。
「我にその身を、その心を委ねよ。背徳の悦びに震え、絶頂させてやろう。」
 その言葉と同時に、男の背後に魔法陣が描かれる。しかし男はそれに気づく様子は全く、やがて男は魔法陣から延びる何かに束縛される。先ほどまでの勢いは何処へいってしまったのか、男は借りてきた猫のようにおとなしくなってしまった。
「ふん、それではいろいろと教えてもらうとしようか。その体が出涸らしのようになるまで、たっぷりとな。」
 従順な偶人と化した男から聞き出せたのは、この工場には人間以外の看守もいるということ、そして、その看守は自分たちの監視と工場の主の護衛を任されているということだった。
 これにて彼の看守はフォルターとって用済みとなる。後に恍惚の表情で転がされた男が発見される事となるが、それはまだ暫く先の話。

大成功 🔵​🔵​🔵​

ヴェル・ラルフ
聞くもおぞましい話だね…暫くソーセージ食べれなくなっちゃうや。

まずは、SPDを生かして工場内の書類を探索してみよう。出荷場所、販売ルート、利益をどこに計上しているのか…
人間が働いているなら、なにかしら書き置きやメモもあるかもしれないしね。

[追跡]も得意だから、怪しいやつがいたら追跡してみようかな。
被害が広がらないうちに、迅速に行動したいね。



「聞くもおぞましい話だね……暫くソーセージ食べれなくなっちゃうや。」
 ヴェル・ラルフ(茜に染まる・f05027)は情報を得るために工場内を探索していたが、これと言ってめぼしいものがなかなか見つけらず、当てもなくふらふらと放浪していた。工場の内部は見た目以上に広く、需要と思しき部屋を探すだけでも一苦労だ。しかし、好機というものは突然やってくる。今まで見てきた看守とは明らかに違う気配を放つ看守がヴェルの目に留まる。
「ちょっと露骨過ぎるぐらい怪しくないかな。まぁ、わかりやすくて良いんだけどね。」
 他の看守たちと比べると血色も悪く、明らかに肉付きが悪い。だが、その男を見るや否や、他の看守たちは明らかに挙動不審となっていた。ヴェルは躊躇うことなく、その異様な雰囲気を放つ骨張った看守の追跡を始めた。裏街で培ったその追跡技術は、男に気づく隙を与えぬ見事なものだった。だが、相手も看守である。警戒のために、時折後ろを振り返ったり、辺りをキョロキョロと見回すこともあった。その都度、ヴェルは壁などを利用して視覚へと潜り込み何とかやり過ごしてた。
「他の看守と比べても、かなり警戒心が強いみたいだね。その程度で僕を見つけるのは無理だろうけど。」
 追跡をしてしばらくが経ち、何個目かの曲がり角に差し掛かった時、壁の隙間に不自然に挟み込まれた紙片が目に留まる。この工場のチラシとは異なる質感のそれは、
ウィルトス・ユビキタス(武闘派デスクワーカー・f01772)の残したメモだった。そこには出荷先やルートなど、この工場の流通にかかわる内容の一部が記載されていた。
「なるほど、なんとなくイメージは出来てきたね。でも、まだ情報が足りないかな。」
 そのメモには肝心の工場の主についての記載が見当たらない。他にも同様のメモがあるのだろうか。だが、その情報は不測の事態さえなければ、合流によって共有できるものだ。ならば、目の前にいる男を追って情報を得る方が有益となる可能性は高い。などと考えていると、いつの間にか看守が先へと進み始めており、それに気づいたヴェルは急いで男を追いかけた。

 ほどなくして、看守が足を止める。そこは工場で働く者たち専用の出入り口だろうか。表と比べれば質素な作りではあるが、その造りは堅牢で、容易に開け閉めできるものではなさそうだ。すると、その扉が音を立てながらゆっくりと開く。
「あれは……女性?」
 看守と何かを話しているようだが、気づかれないように位置取っているため、聞き取ることができない。もう少し近づけば聞こえるのかもしれない。だが、今ここで見つかるリスクを冒すのは、愚策としか言えないだろう。踏ん切りがつかずにそのやり取りを眺めていたが、突如、その女と看守がヴェルいる方向へと歩き始めた。
「おっと、流石にまずいですね。」
 危険を察知したヴェルはすぐさまその場を立ち去った。そのわずかに距離を詰めた一瞬、看守が女性を呼ぶ声が微かにに聞こえた。
『フロイデ様。』
 それは先程見つけたメモにもあった名前。つまり、少なくとも彼女はこの工場で作られたソーセージを仕入れているということだ。だが、単なる上客であるのか、工場の主であるかは今の段階ではわからない。しかし、間違いなく重要な人物であることを確信したヴェルは、情報共有のため、仲間たちのもとへと向かった。

成功 🔵​🔵​🔴​




第2章 集団戦 『篝火を持つ亡者』

POW   :    篝火からの炎
【篝火から放たれる炎】が命中した対象を燃やす。放たれた【赤々と燃える】炎は、延焼分も含め自身が任意に消去可能。
SPD   :    篝火の影
【篝火が造る影に触れた】対象の攻撃を予想し、回避する。
WIZ   :    新たなる亡者
戦場で死亡あるいは気絶中の対象を【自分と同じ姿の篝火を持つ亡者】に変えて操る。戦闘力は落ちる。24時間後解除される。
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種別『集団戦』のルール
 記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


情報収集を終えた猟兵たちは、見学者を装っていた一団へと合流を果たす。互いに得た情報を共有し、フロイデ・へクセという女性と思しきオブリビオンが工場の主であることを突き止めた。看守からの情報では数時間後にこの場に到着するとのことだったが、どうやら既にこの場にそれらしき女性が到着しているらしい。工場内の喧騒の一要因には彼女の来訪にもあるようだ。今後の作戦を練りながら歩を進める猟兵たちだが、件の女性が看守たちを引き連れて目の前に現れる。
「……今日は見学者一考はずいぶんと賑やかなようね。いや、数は多いに越したことはないものね。」
 すると、フロイデは右手を挙げて看守たちに合図を送る。先程までは辛うじて人の形を留めていたいたそれは、まるで腐り果てた死体であるかのような要望へと姿を変えた。
「速やかに捕えなさい。」
 その言葉を皮切りに、主の名を実行せんと亡者たちが猟兵たちへと迫る。
フォルター・ユングフラウ
ほう、我を食肉に加工したいか?
なれば、貴様等の様な小汚い雑兵に触れられる訳にはいかぬな。
我の肉を味わうに足るは、真に高貴なる者のみ…覚えておくが良い。

さて、邪魔な亡者共を挽肉としようではないか。
【WIZ】を活かし、手玉に取ってくれよう。
薙ぎ払いや呪詛を駆使し、状態異常で阻害してみるか。
UCはヴィーダーゲンガーを使おう。
亡者を迎え撃つは、腐乱した腕の群れ…ふふっ、相応しい光景だな。
受けた傷は、吸血や生命力吸収で賄おう。
亡者共の後には、オブリビオンが控えている…極力消耗を回復した上で、万全の態勢で臨みたいところだ。
必要な者がいれば、黒の小瓶に収めた治療薬を渡しておこう。


キア・レイス
失敗したかもしれないな。
アサルトライフルやカノン砲は隠せないと考え、持ってきていない。
せめてグリモアベースまで戻る時間も…無いだろうな。

火力不足は否めないが、先制攻撃をかける。
クイックドロウで即座に攻撃、そして撃ちつつも前衛のできる猟兵の後ろまで下がる。
足りない分は数で補うしかないだろう、ユーベルコード【スカウトドローン】を使用し呼び出せるだけ召喚、散開させて猟兵たちの援護を任せ私も援護射撃。
出来るだけ弱っていそうな敵を狙って数を減らす。

アドリブ、即席共闘○


天御鏡・百々
【「巫覡載霊の舞」を使用し、薙刀で「なぎ払い」】

首魁が出てきたようだが、
先ずはこの亡者の看守を殲滅する必要があるようだな

ユーベルコード「巫覡載霊の舞」を使用し光を纏う
少々の攻撃ならばこれで平気なはずだ
「オーラ防御9」を使うのもよいな

なかなかに数が多いが所詮は雑兵
「真朱神楽」(武器)にて「なぎ払い3」でまとめて潰してくれようぞ
我が神楽の舞の前に滅び去るがいい

とはいえ死者を操るというのは厄介だな
「破魔4」を攻撃に乗せることで浄化できぬものか?

●神鏡のヤドリガミ
●アドリブ、絡み歓迎



●前方
 突然の襲撃に対し、歓喜、困惑、焦燥など、猟犬たちの中に様々な衝動が交錯する。
「失敗したかもしれないな。」
そのような中で、特に焦りを見せていたのはキア・レイス(所有者から逃げだしたお人形・f02604)。彼女は 潜入の際に大型の武器を隠すことは困難だと判断し、アサルトライフルやカノン砲を持ち込んでいなかったのだ。前後を亡者が抑えている今の状況では、武器を取りに戻るなど到底かなうはずもなかった。
「だが、それを悲観しても仕方ない。先制攻撃をかける。」
 火力不足に不安に感じながらも、彼女は一歩前へと踏み込み、隠し持っていた自動拳銃を取り出す――周りからは取り出しただけに見えただろう。だが、それと同時に迫りくる亡者のうちの一体が、突如床へと転がり、それを見た亡者たちが一瞬だけ足を止める。そして、再びに周囲に響く銃声と漂う硝煙の匂い。一体、また一体と亡者たちはその頭部を撃ち抜かれていく。
「流石に数が多いな。やはり、一度下がろう。」
 いくら彼女がクイックドロウによる速射が可能であったとしても、その弾数には限度がある。篝火の槍を携えながら、再び猟兵たちへと迫ろうとする亡者たちに弾丸を撃ち込みながら、キアは後退を始めた。
 そんな彼女を援護するかのように、小さな黒瓶が亡者の群れへと投げ込まれる。フォルター・ユングフラウ(嗜虐の乙女・f07891)の投げたそれが、押し寄せる亡者たちの傍へと落ち、ガシャンと音を立てながら割れた。その瞬間、そこにいた者たちは薄暗くなリ始めていた工場内が、一瞬だけ真昼間になったかのような錯覚を覚える。同時に、先頭を走る亡者たちはいとも容易く吹き飛ばされ、その体は勢いよく燃え始めた。
「ほう、流石は枯れ木のような体であると言ったところか。よく燃えるものだな。」
 フォルターは先程投げたものと同じ黒の小瓶を、後方へと下がってきたキアへと手渡した。
「これはさっきの……」
「安心するがいい、それは只の治療薬だ。爆発などしない。」
 彼女の持つ小瓶の中には、傷薬や毒薬は勿論、媚薬や火薬まで揃っている。当然、外から見ただけでは、その中身が何なのかはほぼわからない。持ち主であるフォルターを除いて。
 そんな二人のやり取りにかまう必要はないとばかりに、爆発を免れた亡者たちが急速に距離を詰める。
「ほう、この状況を見てまだ我を食肉に加工したいか?」
 同意とも取れるような、命あるものを呪わんとする叫びを亡者たちが上げる。
「なれば、貴様等の様な小汚い雑兵に触れられる訳にはいかぬな。我の肉を味わうに足るは、真に高貴なる者のみ…覚えておくが良い。」
 フォルターがその手に携えた鞭を振るおうとするが、それよりも早く、淡い光を帯びた一人の少女が敵前へと躍り出る。神霊体となった天御鏡・百々(その身に映すは真実と未来・f01640)が朱色の薙刀より放つ一閃。優雅に弧を描くその切先は大気を裂き、真空の刃となって亡者たちへと襲い掛かる。
「我が神楽の舞の前に滅び去るがいい」
 接触と共に亡者の首が飛び、何体目かの亡者が絶命する。しかし――。
「死者を扱うというのも厄介だな。」
 ここまでかなりの数の亡者を倒してきたはずなのだが、敵の数が減る様子がない。どうやら、死亡した亡者を周りにいる亡者が操っているらしい。何かしらの手段を断たねば、繰り返す死者蘇生を止めることはできないだろう。そこで、百々は死者であるなら、我の破魔の力で浄化し、不浄の連鎖を止めることはできぬだろうかと考えた。
「お二方、準備のために少々時間を稼いで貰えぬか?」
 無言の同意。しかし、己が役割を理解した二人は、敵の動きを封じるために従者たちを呼び出した。
「立ち塞がりし者に、遍く死の抱擁を。拒むな、慣れれば心地良きものだ」
「ドローンの展開完了、敵の索敵と支援射撃をしろ、行け!」
 フォルターの呼び出す腐り爛れた無数の腕と呪詛が亡者たちを絡めとり、キアのドローンが取り逃した亡者を押しとどめる。そして、それらの主たる彼女たちも亡者たちの仮初めの命を刈り取っていった。そして――。
「不浄なるものどもよ、その死の呪縛から今ここで解き放ってやろう。」
 先程よりも輝きを増した真朱神楽の一閃が数体の亡者を捉えた。それら首が床に転がると同時に、それらを操っていた何体かの亡者たちも一斉に崩れ落ちる。他の亡者がそれらを再び使役しようとするも、浄化され、死の連鎖から解き放たれたそれらが動き出すことは二度となかった。
「僥倖だな。このまま一気に押し切ろうぞ。」
 勝算が見えた猟兵たちは亡者たちの数を急速に減らしていった。既に何度も屠られている亡者たちは、その操り主たる個体を純に失い、ついに生きている死者は根絶された。そして、そんな亡者たちにフォルターが近づくと、おもむろにその血を吸い始めた。
「アナタ……まさかそのような者どもの血を吸うとは、正気の沙汰とは思えんな?」
「万全の態勢で臨みたいのでな。使えるものは使っておいて損はない。汝が浄化してくれたおかげで、あの腐臭を放つ体をそのまま喰らわなくて済んだわけだ。一応、礼は言っておこう。」
「フォルター殿の呼び出した腕も、似たようなものな気はするが……まぁ、野暮というものか。」
 キアと百々はその様子に半ば呆れつつも、フォルターに渡された黒の小瓶の中身を飲み干し、先に待つ決戦へと臨む。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

ファル・ファーリア
すでに完全に亡者になり果てた者たちだろうか、それとも一時的なもので、まだ更生可能だろうか。

戦う猟兵たちを癒すため、春の訪れを寿ぐ歌と激しい踊りを通じてユーベルコード『シンフォニック・キュア』を発動する。
亡者たちにも、歌に共感する心が残っていれば…呪縛から解き放たれる、あるいは多少なりとも弱体化するかもしれない。

「届いてください、ボクの歌声、そして取り戻してください、人の魂と尊厳を、冬を越え、春に芽生える草木のように―」

スキル:力溜め1、全力魔法1、歌唱1


逆月・すい
私の本体は金属製だからね。捕まえても美味しいソーセージにはなれないと思うよ?
まぁ、それはさておき。

【リザレクト・オブリビオン】で死霊を召喚。
敵は可能な限り、原型を留めないようバラバラに。
ほら、増えたら困るからね。なるべく綺麗な死体を残さないようにしたいな。
…生憎、元がなんであれ、既に亡き者となったあなた達よりは、生きている方々の方が大事だと思うんでね。遠慮も容赦もしないよ。

召喚中、私は動けなくなってしまうから、もし仲間がいるなら連携できると良いのだけれど。
まぁどちらにせよ、死霊の一体を私の傍に置いておこう。いざという時は守ってね。


ヴェル・ラルフ
フロイデ様、ね…何者なんだろう?

ま、とりあえずは目の前の敵の殲滅が先だね。ただの見学者と思ってなめてもらっちゃ困るな!

広範囲攻撃できる人がいたらそのまま任せて、あぶれたやつを確実に1体ずつ仕留めていこうかな。

篝火の攻撃はとらえられると厄介だし、まずはSPDを生かして背後をとろう。
愛用の[明けの鈴]で懐かしの暗殺技でも披露しようかな。
【早業】【フェイント】【2回攻撃】【傷口をえぐる】

ふふ、のろいなぁ。欠伸出ちゃうよ。



●後方
「すでに完全に亡者になり果てた者たちだろうか、それとも一時的なもので、まだ更生可能だろうか。」
 疑問を確証へと変えるため、そして亡者たちを救わんとするため、ファル・ファーリア(漂泊の舞手・f06089)は春の訪れを寿ぐ歌と共に舞い始める。しかし、彼らは既に一度その命が死に絶えた存在。理性なき獣とまではいかないが、主の命なしではまともに動くことすら叶わぬ存在となり果てた亡者に、心などあるものなのだろうか。その歌が彼らの耳に届いているかもわからぬまま、そこあにある命に燃やさんと篝火がファルへと迫る。
「そんなことをしている余裕はないんじゃないかな?」
 生きている者の救出すら困難なこの状況で、死者――ましてや敵の救済に時間を割く余裕など、彼らにはないということを逆月・すい(黒杯・f06634)は理解しているのだ。ファルの前へと躍り出た彼女は、ヨイノツキと呼ばれるオーブを掲げ、それが淡く輝く月光を放つと、亡者たちが後方へと弾き飛ばされ、その動きを一時的に封じる。
「……生憎、元がなんであれ、既に亡き者となったあなた達よりは、生きている方々の方が大事だと思うんでね。遠慮も容赦もしないよ。」
 少なくとも彼女、そしてその傍らに現れた少年――ヴェル・ラルフ(茜に染まる・f05027)は、亡者たちに手心を加えるつもりはないらしい。
「フロイデ様、ね……何者なんだろう?」
「少なくとも、まともな奴ではないということは確かだろうね。」
「それを確かめるためには、まずは目の前の敵を蹴散らさないと。」
 いずれにしても、目の前の亡者たちをどうにかしなければ、工場の主へとたどり着くことはできない。この工場で働く人たちを開放するためにも、ここで足踏みしている余裕はない。
「あぁそうだ。私、しばらく身動きが取れなくなるので、近くの敵を任せてもいいかな?一応、騎士は傍に置いておくつもりではいるけどね。」
 それをヴェルが了承したことを確認すると、再びヨイノツキが輝き始める。その光に呼応されるかのように、騎士と蛇竜がその場に姿を現す。騎士は術者を守るため、そして蛇竜は眼前に蔓延る餌を喰らわんとするために、各々が意思をもって行動を始めた。目についた亡者を片っ端から喰らいつくそうとする死霊の竜は、本能の赴くままに行動しているが故に、取りこぼしも多く見られた。そんな隙を狙ってか、一体の亡者が術者たるすいの元へと踏み込んできた。
「ふふ、のろいなぁ。欠伸出ちゃうよ。」
 だが、護衛役であるヴェルがそれを見逃すはずはない。彼は亡者の背後を取ると、諸刃の短剣――明けの鈴の切先をその首筋に当てる。切り裂くというよりは抉るといった方が正しいだろうか、寸分違わず突き刺された短剣は、亡者の頸動脈を寸断する。その後も、フェイントなどを駆使し、近づく亡者を確実に仕留めていくヴェルだが、時折、篝火で影を作り出した亡者に彼の攻撃が回避される。しかし、持ち前の素早さでその対応力をいかんなく発揮し、追撃によって息の根を止めた。

 戦闘開始からそれなりに時間は経っただろう。しかし、蛇竜に喰らわれた分の亡者は減ったように見えるが、それ以外の亡者が一向に減る気配がない。倒された亡者を健在な亡者が操ることで、疑似的に無尽蔵に敵が湧くような状況となっていた。
「流石に、ここまでしぶといゾンビアタックは骨が折れるなぁ。」
 ヴェルが現状に対してわずかにぼやいたその瞬間、亡者の投擲した篝火の一本がすいの護衛たちをすり抜け、その頬をかすめた。同時に、彼女を守っていた騎士と、亡者を喰らい続けていた蛇竜が消滅する。幸いにも、軽い切り傷だが、亡者を減らす要となっていた蛇竜が消えたことにより、亡者たちが一転攻勢に出る。猟兵たちへと向かってくる亡者たちを、傷の手当てに回っていたファルが再び目に据える。
「たとえ不可能であったとしても、それでもボクは……」
 少しでも彼らに意思があるのであれば、何かを取り戻せるきっかけを与えられる可能性があるのなら、今ここで迷っている場合ではない。ファルは再びその声を放つ。
「届いてください、ボクの歌声、そして取り戻してください、人の魂と尊厳を、冬を越え、春に芽生える草木のように――」
 それは偶然か、あるいは必然か。再びその場に響く歌によって、亡者たちの動きが止まる。それを見逃さなかったヴェルが奥に潜む一体の亡者へと一気に距離を詰める。そして、躊躇うことなくその胸を貫いた。それが、一度も倒されていない唯一の亡者だったのだろう。制御するものを失った亡者は、次々に自壊していった。
「……やはり、救えませんでしたね。」
「そうでもないよ。」
崩れ落ちていく亡者たちを目の当たりにしながら、言葉にしがたい感情を抱えるファルへと、すいが言葉をかける。
「少なくとも彼らを不死の呪縛から解き放った。それだけは事実だよ。」
「……はい、そうですね。それがせめてもの救いです。」
 彼らが被害者であるかどうかなど、本来はわかるものではないだろう。だが、少なくともあのオブビリオンを倒せば、この場にいる生者も死者も惑うことはないのだ。ならば迷う必要などない。猟兵たちはフロイデと相対するため、彼女の消えた方向へと走り始めた。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​




第3章 ボス戦 『フロイデ・へクセ』

POW   :    精霊隷属呪法(エレメンタルスレイブ)
【隷属させた精霊】を代償に自身の装備武器の封印を解いて【属性暴走状態】に変化させ、殺傷力を増す。
SPD   :    想念記録宝珠(メモリーオーブ)
【絶望】の感情を与える事に成功した対象に、召喚した【宝珠】から、高命中力の【想念を喰らう光芒】を飛ばす。
WIZ   :    生贄面談(インタヴュー・ウィズ・ヴィクティム)
質問と共に【思念で操る宝珠】を放ち、命中した対象が真実を言えば解除、それ以外はダメージ。簡単な質問ほど威力上昇。
👑17
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主はバンシィ・ルフェイです。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


「あら、思った以上に早かったようね。」
 猟兵たちが彼女の後を追ってたどり着いたのは、加工場の奥にある部屋――ウィルトスが悲鳴を聞いたあの部屋だ。加工場以上の血生臭さと腐臭が猟兵たちの鼻に突き刺さる。
「私も少し早めに来て正解だったみたいね。大事な原材料を持っていかれてしまっては損失も大きいもの。あぁでも、あなたたちの願いはこの中にあるのよね。」
 彼女の立つ奥に錠の施された扉が見える。おそらく、失踪した人たちはその中にいるのだろう。それに気づいた猟兵の思惑を知ってか、突然鍵を外し、扉を開ける。
「いいわ、あなたたちの願いを叶えてあげましょう。」
 ほどなくして、扉の奥から一人の男が脱出を試みようと、走り出してくる。間違いなく、捕まっていた見学者だろう。脱出するという願いを叶えるため、助けに来たと思しき猟兵たちの元へと駆け寄ろうとする。だが――。
「じゃあ、頂くわね。」
 扉の死角にいたが故に男は気づかなかったのだろうか。いや、気づいていたところで避けようはなかったのかもしれない。すれ違いざまに、フロイデはその手に携える杖で男の脳天を貫いた。救いを得たと思い込んでいたその男声は、一転して部屋内を覆う絶叫となり、周囲の空気を震わる。間もなく男は絶命した。
「あぁ、いいわ……!そう、その声!その表情!希望から絶望へ叩き落されるその一瞬!これに勝る娯楽など有りはしないわ。」
 常軌を逸したその行動に、再び猟兵たちの表情が曇る。魔女か、あるいは人ですらないなにか。オブビリオンというものは得てしてそういうものなのだろうか。
「さて、あなたたちの残りの願いもかなえてあげましょう。代わりに、あなたたちは何を捧げてくれるのから?」
 異端なるものの狂気が、その手で彼らの何かを奪わんと、猟兵たちへ迫る。
天御鏡・百々
【機を見て「幻鏡相殺」にて敵の攻撃を無効化】

貴殿が首魁か
貴殿を倒し、このような悪趣味な工場は潰させてもらおう

我が幻鏡相殺は闇雲に使っても効果が見込める技ではない
先ずは「神通力」(武器)による障壁(オーラ防御10)で皆を護りつつ
敵の攻撃手段をよく観察するとしよう

その後、味方が致命打を受けそうな場面
もしくは敵の攻撃を無効化すれば攻撃のチャンスを作れる場面で
幻鏡相殺を使用し敵の攻撃を無効化するぞ
「攻撃は防いだ、今が攻め時ぞ!」

もしもチャンスがあれば
敵の宝珠の破壊も狙いたいか
アレが敵の攻撃の要と見た
仲間に破壊を呼びかけるのも手だな

●神鏡のヤドリガミ
●アドリブ、絡み歓迎


ヴェル・ラルフ
【血統覚醒】でヴァンパイアに変身
瞳は深紅に、肌はより白く、自分の牙すら武器になる。

上着を脱いで身を軽くし、明けの鈴を構えて背後をとりたい。
扉は閉めておこう、人質の人たちに恐怖を見せる必要などないから。
背後がとれれば【シーブズ・ギャンビッド】で首を狙う。
背後は難しそうであれば、正面か側面の低い位置から【陽炎空転脚】
腹部か顎をねらっておこう。

みんなと連携、間髪いれずにUCを繰り出そう。
血統覚醒は長くは持たないからね。

君みたいなオブリビオンに叶えてほしい願いなどないね。
自分の望みは自分で叶えるからこそ意味があるんだよ。



「貴殿が首魁か。貴殿を倒し、このような悪趣味な工場は潰させてもらおう。」
「君みたいなオブリビオンに叶えてほしい願いなどないね。自分の望みは自分で叶えるからこそ意味があるんだよ。」
 天御鏡・百々(その身に映すは真実と未来・f01640)とヴェル・ラルフ(茜に染まる・f05027)の言葉にフロイデは不敵な笑みを浮かべる。ほどなくして、戦いの火蓋が切って落とされた。

 それを察したのか、ヴェルは上着を脱ぎ捨てると一番槍としてフロイデへ迫る。それに合わせて、彼女の周りに漂う宝珠が一か所へと集まり、その守りを固めた。しかし、ヴェルはフロイデに一撃を加えるわけでもなく、その横を通り過ぎていく。そして、奥の扉へとたどり着くと、その勢いのままその部屋を閉ざした。
「人質の人たちに恐怖を見せる必要などないからね。これで懸念の一つは潰せたよ。」
「猟兵というのは随分と優しいのね。人のことを気にしている余裕などあるのかしら?」
 守りを固めていたフロイデが一転攻勢、その手に携えていた杖を構える。すると、その杖は怪しげな光を放ち始めた。神鏡のヤドリガミたる百々は、その本質部分が近かったからか、他の者たちには聞こえない、悲鳴にも似た何かを聞き取った。
「悪趣味な技法だな……自身の配下ですらそのように扱うとは。」
「下級精霊など所詮、道具でしかないのだから。こうして役に立てるだけでも本望でしょう?」
 その二人のやり取りを見ていたヴェルが、その首を掻き切らんとフロイデの背後を取る。瞬間、明けの鈴による鋭い一撃がフロイデを捕らえたかのように見えた。しかし、宝珠による守りは固く、そう易々とは急所への攻撃を通してはくれない。そして、攻撃が失敗した瞬間は最大の隙となる。ヴェルは咄嗟に距離を取ろうとするが、フロイデの方が一手早い。
「私にはこの宝珠があるので、あなたたちと違って人のことを気にしている余裕があるの。」
 フロイデはその手に持つ杖をまるで槍を扱うかのように、殺傷力をました先端を突き出し、ヴェルの腹部を的確に捉えた。ヴェルは持ち前の敏捷性と百々の神通力により急所への致命傷は防いだが、何度も喰らえば、ただでは済まないだろう。ヴェルは再びフロイデから距離を取り、他の猟兵の近くへと戻った。
「やはり、あの宝珠をどうにかせねば、このまま続けてもじり貧だな。」
「そうだね……でも、僕の血統覚醒も長くは持たないから、できる限り早めに仕留めないと。」
「ならばヴェル殿は攻撃を当てることのみを考え、一気に攻め込むとよい。後は我がなんとかしよう。」
 百々の合図を皮切りに、ヴェルが一気に距離を詰める。背後から攻めても自身の死角を広げるだけ。ならば、正面から攻め込む方が善策だと判断したのか、愚直にその歩を前へと進める。しかし、そのような状況でフロイデが手加減するはずもなく、彼女はさらなる精霊の犠牲を払い、杖の纏う光がより一層強くなる。あとは簡単だ、その切先を突っ込んでくる男に合わせるだけでいい。周囲の宝玉もそれに追随するようにヴェルへと迫る。しかし――。
「幻なれど鏡は鏡、映りしは鏡像なれど同じ力、相殺できぬ道理はあるまい。」
その突きは先程見た。ならば百々もそれに合わせるだけで良い。どこからともなく現れた幻鏡が杖の姿を映すと、杖はその輝きを急速に失っていた。その状況を見たフロイデが僅かに声を荒げる。
「ここぞというときに役に立たない精霊どもが!」
「道具にも道具なりの、精霊にも精霊なりの矜持がある。それを理解できぬような輩に負けるわけにはいかぬ。」
フロイデがその言葉を今後理解することはないだろう。100年を生きたヤドリガミと同じ考えに至るにはそれほどの時間を要するのだ。しかし、彼女にそれだけの時間は残されていないのだ。
「攻撃は防いだ、今が攻め時ぞ!」
百々の言葉に気を取られていたフロイデは、眼前へと迫るヴェルへの反応が遅れた。
「煽る紅、一気に地に堕ちろ。」
至近距離まで迫ったヴェルは、フロイデの顎をめがけてその脚を振り上げた。宝珠で攻撃するには時間が足りないと判断したのか、彼女は咄嗟に一つだけを防御へと回す。しかし、陽炎を思わせる、ゆらめくような高速の一撃は、その宝玉を砕きながら彼女の顎へと直撃する。宝玉をも砕く一蹴に華奢なフロイデの体は宙を空転する。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

フォルター・ユングフラウ
希望から絶望へ叩き落される一瞬こそ昂る…あぁ、大いに賛同する。
立場が違えば、貴様とは良い酒が飲めたのかもしれぬが…残念ながら、我の酒の肴は貴様の絶望の表情になりそうだ。

捧げるものか、では苦痛を惜しみなく捧げよう。
【WIZ】を活かし、吸血や催眠、呪詛等を駆使して戯れようではないか。
貴様と我は性格が似ている様だ…手の内を冷静に予測し、回避に役立てる事が出来ると良いのだがな。
UCはアップグルントを使おう、当てても外れても有利となる。
むしろ、あえて外して行動阻害と自己強化を図るのも一興か。
慢心にこそ、付け入る隙がある…自身が絶対と信じる優位が崩れた時、貴様はどの様な表情を見せるのだろうな?



「貴様と我は性格が似ている様だ……」
何とかフロイデは受け身を取るも、軽い脳震盪を起こしているのだろうか、その膝はおぼつかない。その状況をフォルター・ユングフラウ(嗜虐の乙女・f07891)はつぶさに観察していた。
「希望から絶望へ叩き落される一瞬こそ昂る……あぁ、大いに賛同する。」
だが、猟兵とオブリビオンという異なる立場にある彼女たちが相容れることは決してない。同時にフロイデがそれを許容するはずはなかった。
「生贄風情が私に理解を示したところで何の意味もない。」
「あぁ、その通りだ。だから我は貴様の絶望の表情を酒の肴とさせてもらうとしよう。」
すると、フォルターは自らの手首を掻き切った。彼女の動脈から吹き出す赤黒い飛沫がフロイデへと振りかけようとする。だが、フォルターが彼女の動きを予測しているように、彼女の行為が何を意味するのかを即座に理解し、距離を取った。
「大方、呪詛の類か何かだろう。その程度を見切れぬほど盲目は……。」
しかし、ウォルターの目的はそこではなかった。彼女の血液が床へと散布されると、そこから煙のような何かが立ち上り始める。次第に勢いを増していくそれは、やがて濃霧となってフロイデの周囲を覆った。そして、フォルターはためらいなくその中へと飛び込む。全方位が死角となった状況でフロイデは警戒心を高めるが、その中で気配を感じ取るのは容易ではなかった。
「どうやら、貴様の方が我を理解できていなかったようだな。ならばもはや何も言うまい。苦痛を惜しみなく捧げてやろう。」
フロイデは声のする方へと宝珠を放つが手ごたえはなく、投げ出された宝珠が空を切る。そして残るのは首筋への生暖かさと冷ややかな痛み。慢心。自身が圧倒的に優位であると疑わない奢り。その優位が崩れたと知ると、フロイデはその顔に苦悶の表情を浮かべた。
「なかなか良い顔をするではないか。状の酒はなかなか美味いものになるだろうな。」
次第に霧は晴れていく。フロイデの眼前に立つ吸血鬼はその口を赤く染め、魔女に冷笑を向けた。

成功 🔵​🔵​🔴​

キア・レイス
可愛い顔して惨いことをする。
先程もらった薬瓶で体力は十分、やることは猟兵への援護と捕らわれた人々の防衛だろうか。

序盤は目立たない程度に援護射撃。
フロイデの出方で変わるが、猟兵に注意が向いたら奥の部屋の出入口に陣取り攻撃から人々をかばいつつ捕まった人々が無闇に部屋からでないように自身で塞ぐ。
捕まった人々に向かった場合は拳銃を連射、おびき寄せ隙を見て奥の部屋の出入口に立つ。
攻撃の標的になるかもしれないがかばうために引けない、私は痛みになれている、死ぬほど痛い程度なら大丈夫。

戦闘は主に他の猟兵に任せるが隙があれば、【衛星兵器支援射撃】を発動、前段のビーコンさえ当たれば熱光線が工場ごと焼き貫くだろう。


天御鏡・百々
【「合わせ鏡の人形部隊」で作りだした人形部隊で攻撃】

我が眷属の力、見せてくれよう

手に持った人形兵の左右に鏡を召喚
召喚された合わせ鏡に映った無数の人形兵が鏡の中から続々と出てくる

合計90体の鏡像人形兵からなる鏡像人形部隊だ
防御力は無いが、そこは我の神通力(武器)の障壁(オーラ防御12)で補える
こやつらは貴殿の宝珠よりも頼りになるぞ?

人形兵を分散させ、オーブを抑えつつフロイデ・ヘクセを攻撃させる
障壁が間に合わぬならば、人形兵に味方をかばわせ防御にも使う

●神鏡のヤドリガミ
●アドリブ、絡み歓迎



怒りの矛先フォルターへと向けようとするフロイデを数発の銃弾が牽制する。拳銃の主である自分へと向き直るフロイデを見て、キア・レイス(所有者から逃げだしたお人形・f02604)は出会い頭の殺戮を思い起こしていた。
「可愛い顔して惨いことをする。」
「惨い?あなたたちは肉を喰らう度に、家畜に対して哀れみでも感じているの?やはり、ずいぶんと猟兵というのは優しい生き物なのね。」
「あそこにいる人々は家畜ではない。ましてやアナタのおもちゃでもない。」
「だからここから解放するというの?ここを出たところで、この世界で彼らが生き残ることができる保証があるとでも?力無き者が自由を与えられたところで、幸せになれるとでも思っているのかしら。」
 かつての自分ならその質問にどう答えただろうか。人形だった自分、道具だった自分。弄ばれていた方が幸せだったあのころ。いや、そう思い込んでいただけだったかもしれない。あの時なら肯定していた可能性はあるのだろう。しかし、それを是とする理由は今の彼女にはない。キアはその手に拳銃を構え、守るべきものの前へと立つ。
「少なくとも、わたしはあの場から逃げ出してここにいる。幸せかどうか決めるのは自分自身だ。」
「やはり馬鹿な人たちね。そんなものを守ることに一体何があるのかしら。」
 キアに向けて光をまとった宝珠が放たれる。先程よりも明確に殺意を増したそれが一直線に彼女へと迫る。しかし、彼女はよける素振りを見せようとはしない。ここで引くわけにはいかない、それに痛みには慣れている。ならば壁となって守るまでのこと。だが、何かを守ろうとしているのは彼女だけではなかった。
「我が眷属、合わせ鏡に果てなく映りし鏡像兵よ、境界を越え現世へと至れ。」
 突如現れた人形兵がキアとフロイデの間を遮り、その体を散らした。天御鏡・百々(その身に映すは真実と未来・f01640)によって召喚された鏡像の人形兵が彼女を庇ったのだ。
「キア殿が言うように、人の幸福とは当人たちが決めるものだ。貴殿が決めるものではなかろうに。」
「それはあなたたちも同じでしょう?彼らが救いを求めていると本当に信じているの?」
「……確かにそうかもしれん。確証があるわけではない。だが――。」
 彼女の脳裏をよぎるのは看守の男。彼と約束したのだ。ここに捕らわれている者達の希望となることを。
「救いを求める声が……願いが確かにそこにあった。ならばそれに応えるのが我の務めだ。」
 その声を皮切りに、人形兵たちが一斉にフロイデへと襲い掛かる。百々の神通力により障壁をまとった人形兵たちは、その弱点たる耐久性を補われ、やがてフロイデを圧倒し始める。フロイデも宝珠を使い応戦するが、その数の差は圧倒的。各々が役割を持って動く、90体にも及ぶ鏡像の部隊を容易に破ることは容易ではない。
「自慢の宝珠はその程度か?こやつらは貴殿の宝珠よりも頼りになるぞ?」
百々の眷属たちによる分散攻撃によってかく乱されるフロイデ。しかし、キアの援護射撃があっても、人形たちは攻守それぞれ分担されているからか、攻撃のみに集中することはできず、決定打には欠けていた。
「首魁もかなり消耗はしているはず。ならばこの辺りで一気に畳みかけたいところだが……」
 その時、宝珠が離れ防御が手薄になったフロイデに小型の機械が放たれる。キアの拳銃から放たれたそれは、衛生兵器のための誘導標識。フロイデはそれを取り外そうとするも、人形兵たちがそれを阻む。
「支援射撃を要請する、焼き付くせ!」
衛星から魔女へと落とされる天罰ともいえるような一撃。それは工場の天井に風穴を開け、

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

佐藤・非正規雇用
「ふざけるな! 人間はお前の娯楽じゃねぇ!!
逆に貴様をミンチにして、この工場は今日限りで閉鎖だ!」

見るからに魔法に頼りきった、ひ弱そうな敵だぜ。
俺の【POW】で捻じ伏せてやる。

隷属させた精霊を代償にするらしいが、
俺の【生命力吸収】で阻害できないかな。
それから【ドラゴニアン・チェイン】の【2回攻撃】で
確実に捕らえてみせるぜ!

(オーラの鎖を眺めて)ほーら、俺と運命の糸で結ばれただろ?
この死の運命からは逃れられないぜ!!

この依頼が無事終わった後は、
しばらく肉を食べる気にならないな……。
クレープでも食べて過ごすよ。



周囲はまばゆい光に包まれた。

 閃光に目を瞬かせていた猟兵たちが、再び周囲の状況を把握できるようになるまで、そう時間はかからなかった。フロイデはまだ倒れてはいない。しかし、咄嗟にオーブを強化し凌いだのだろうか、いくつかの宝珠が砕け、周囲に散乱していた。
「久しいはね……この感じ。そこの中にいる人間も最初は抵抗していたけど、最近はめっきりと大人しくなってしまって、退屈だったもの。」
「ふざけるな!人間はお前の娯楽の道具じゃねぇ!!逆に貴様をミンチにして、この工場は今日限りで閉鎖だ!そして俺はクレープを食う!」
疲弊してもなお人々を嘲笑するフロイデの言葉に、佐藤・非正規雇用(ベリーロール・f04277)が激昂する。なにやらクレープという言葉が聞こえた気がするが、そんなことは些細な問題だ。
「娯楽?違うわね。これはあくまで商売よ。私はその上澄みを救い取って自身の快楽としているだけ。それに――」
フロイデは先程よりも一層強い光を纏った杖を構える。
「今は目の前のあなたたちを屈服させる方が面白そうでしょう?」
殺意の込められた突きが、容赦なく非正規雇用へと繰り出される。殺傷力を増したそれは、まともに貰ってしまえば、致命傷は避けられない。しかし、非正規雇用は臆せず前へと出る。戦闘が長く続いたこともあり、猟兵たちは疲労の顔を見せていたが、それはフロイデも同じ。僅かに精彩を欠く攻撃を非正規雇用は何とか回避していた。だが次の瞬間、杖の先端が彼にわずかに触れた。いや、自ら触れに行ったという方が正しいだろうか。そのまま掴み取った杖は、纏っていた光がわずかに薄れる。
「小癪な真似を……!」
フロイデは男の手を振り払い、距離を取ろうとする。だが――。
「おっと、逃がさないぜ!」
非正規雇用はすぐさま竜のオーラをフロイデへと向けて放った。両手から放たれたオーラはフロイデと接触したのちに爆発すると、2本の鎖となって二人を繋ぎ留めた。
「ほーら、俺と運命の糸で結ばれただろ?この死の運命からは逃れられないぜ!!」
動きを封じられたフロイデは、その鎖を断ち切ろうと杖を振るうが、この好機を猟兵たちが逃すはずはなかった。

成功 🔵​🔵​🔴​

サンディ・ノックス
願いを叶えると言いながら
都合よく曲解したものを叶えるとかはよくある話だけど
曲解さえしないなんて…
口実にするなら少しは真実混ぜなきゃ

精霊さえ道具扱いしてたけど
道具がなければ何もできないだけじゃない
どこ見ても三流だなぁ


武具と一体化
全身黒基調の甲冑姿へ変身

狙いは全ての宝珠破壊
防御も宝珠頼りだしこれ以上消耗は避けたいだろうから
当てる苦労はないはず

可能な限り【2回攻撃】
【フェイント】と【見切り】を駆使し被弾は抑える
最初から全力はぶつけず
耐えきれると思わせてから
攻撃力重視の解放・宵と【怪力】をあわせ一気に破壊へ
(だまし討ち)


希望から絶望へ叩き落される瞬間が堪らないのは同感だな
お前の絶望、楽しませてもらうよ



「精霊さえ道具扱いしてたけど、道具がなければ何もできないだけじゃない。どこを見ても三流だなぁ。」
 そう言うと、サンディ・ノックス(飲まれた陽だまり・f03274)は鎖でつなぎとめられるフロイデに向かって駆けだした。普段の引っ込み思案な彼であればこんな言葉は出ないのであろう。しかし、攻勢へと転じたサンディはフロイデへと近づくたびにその姿を変えていく。彼女に接近したときには、サンディは全身を黒基調の甲冑に身を包まれていた。
「願いを叶えると言いながら、都合よく曲解したものを叶えるとかはよくある話だけど、曲解さえしないなんて……口実にするなら少しは真実を混ぜなきゃ。」
「何の対価もなく願いをかなえられると思っている方が愚かなだけでしょう?真実を聞かなければ見抜けないようなら、それこそ三流よね?」
 フロイデが逆に挑発をしてきたが、サンディはためらわずに己の手に携えた黒剣を彼女へと振り下げる。身動きの取れないフロイデに宝珠でその攻撃を防ぐ以外の選択肢はなかった。ガキンと大きな接触音は立てたものの、防ぐことには成功する。しかし、サンディの攻撃はまだ終わっていない。
「さぁ、宴の時間だよ。」
 サンディが漆黒の両刃剣を振り上げると、フロイデは再び防御を試みようと、宝珠を一か所に集中させる。先ほど見たその攻撃を防ぐことなど容易い。彼女はそう思ったのだろう。だが、力任せに叩き付けられたその一撃は、先程とは比べるまでもなく重い。防御を一手にひき続けていた宝珠はその攻撃を絶えようとするも、やがて限界を迎える。咄嗟の判断で彼女は鎖を断ち距離を取った。その瞬間、ついに彼女を守っていた道具は全てガラスのように砕け散った。
「希望から絶望へ叩き落される瞬間が堪らないのは同感だな。お前の絶望、楽しませてもらうよ。」
 フロイデの表情に焦りが見え、その手に握る杖に力を込める。互いに消耗をしてきている猟兵と魔女。終わりの時は近い。

成功 🔵​🔵​🔴​

ヴェル・ラルフ
引き続きでヴァンパイアに
瞳は深紅に、肌はより白く、自分の牙すら武器になる。

もう魔女にあまり力は残っていないだろうけど、油断大敵だね。窮鼠猫を噛む、っていうし。

《SPD》
仲間の動きを確認しつつ、補佐しながら動こう。
人質に手は出させまい。扉の方にいた方がいいかな。

または隙をつくってもらったら、
[力溜め][ダッシュ][早業][暗殺]
明けの鈴、暮れの鈴を構えて、背後から【シーブズ・ギャンビッド】で狙う。投げてもいいし、近接攻撃で確実に[傷をえぐる]でもいいね。

君が、少しでも己の行動を後悔できるならいいけど。無理なんだろうな。



 ここで決めるしかない。無意識のうちにそう感じ取った、ヴェル・ラルフ(茜に染まる・f05027)は扉のそばを離れ、再び距離を詰める。それに応戦するようにフロイデもヴェルの向かってくる方向へ走り出す。だが――
「面白くないわね。えぇ、面白くない。」
 まるで譫言のように言葉を呟きながら、彼女はヴェルの横を通り過ぎた。目指していたのは奥にある扉。ヴェルが閉ざした扉を再び開かんと一直線に突き進む。
「窮鼠猫を噛むとはよく言うけど、あまりにも見境が無さすぎるね!」
 ヴェルは踵を返し、フロイデの後を追うが、このままでは間に合わない。そこで彼は手に携えた鈴の片割れを足元めがけて投擲した。避ける気もないのだろうか、それはフロイデへと難なく命中し、わずかに動きが鈍る。しかし、その歩を止める様子はまるでない。ヴェルもその足を止めることなく、フロイデを追いかけた。魔女との距離が縮まるごとにその眼は紅く、その肌は白くなっていく。己の命を燃やしながら走る速度を上げていた。あの扉だけは開けさせてはいけない。だが、間もなくフロイデの手が扉へと掛かる。
「……せっかちな男は嫌われるわよ?」
「その言葉、そっくりそのまま返すよ。」
 だが、その扉が開くことはなかった。魔女の背中を見やると、そこに刺さっていたのは黒い刃。ヴェルのもう一方の短剣、暮れの鈴がフロイデの核たる何かを貫いていた。
「君が、少しでも己の行動を後悔できるならいいけど。無理なんだろうな。」
「当然よ。私は後悔するような行動はしないも。あぁ、でも――」
 フロイデは猟兵たちを見渡すとわずかに微笑んだ。
「あなたたちの絶望する顔が見られなかったのは残念ね。」
 その言葉を最後に、フロイデ・ヘクセは黒い煙となって姿を消し、短剣が床へと落ちる。天井の穴から月光が差し込む部屋に、鈴の音のような音が響き渡った。

●彼らの幸せは何処にある
 猟兵たちは工場内に残党がいないことを確認すると、看守や捕らわれていた人々を解放した。彼らの口々に述べるのは、大半が猟兵たちへの感謝の言葉だった。一方で、悪態をつくような言動をとるものも少なからずいたようだ。
 力無き者が自由を得たとして、この荒廃した世界で幸福をつかむことができるのか。フロイデの言葉が猟兵たちの耳に残る。だが、一時の幸せであったとしても、それを得た者達が目の前にいるのだ。ならば迷う必要はない。彼らのような者達を救うために、猟兵たちはこの工場へとやって来たのだから。

大成功 🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2019年01月16日
宿敵 『フロイデ・へクセ』 を撃破!


挿絵イラスト