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克服せよ!スライム恐怖症!

#アルダワ魔法学園

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#アルダワ魔法学園


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●彼女のいちばんこわいもの
「いーーーーやーーーーぁっ!!!!!」
 アルダワの地下迷宮内でも比較的地上に近いとある階層にて、甲高い悲鳴を上げて通路を全力疾走する、とある少女がいた。
 身に纏うのはまだシワひとつない新品の学園服。手に握り締めたものはこれまたキズひとつない新品のルーンソード。そのいでたちからして、アルダワ魔法学園の生徒であることは間違いないようだが。
「ムリムリムリムリ、ムリですぅっ!!!!!」
 彼女は絶賛逃亡中であった。いったい何から? まさかこのような浅い階層に、一般人では手に負えない強大な災魔が出現したのか?
 果たして、少女が逃げてきた先から姿を現したものは――。

 ぽよん。ぽよん。ぷよん。ぷよん。

 ぽよっとしてぷよっとしてぷにっとした、丸っこくて柔らかそうな軟体状の災魔。
 どう見ても戦闘力低そうな、何なら序盤の経験値稼ぎに良さそうなそれは。
「スライムだけはイヤぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!」
 ――どうやら、この少女にとってのみ、最凶の敵であるらしい。


「アルダワ魔法学園より、迷宮新歓コンパの付き添い依頼が来ました。リムは猟兵に協力を要請します」
 グリモアベースに招かれた猟兵たちの前で、リミティア・スカイクラッド(人間の精霊術士・f08099)は淡々とした口調で語りだした。
「迷宮新歓コンパとは、アルダワ魔法学園の入学シーズンに行われる恒例行事です。学園にやってきた新入生の歓迎パーティを開いた後、一緒に迷宮探索を行うのが慣わしなのだとか」
 アルダワは災魔と戦う『学生』を育成する学園。新入生と言えども戦闘要員であることに違いはない。この行事は新しい学生を歓迎するのと同時に、実力を見極めるのも目的に含まれているのだろう。
「とは言え貴重な戦闘要員が無事であるに越したことはありません。万が一の事態に備えて、転校生――つまり猟兵に付き添いの依頼が来たわけです」
 同時にリミティアは、新歓コンパで探索する予定になっている迷宮のフロアで、オブリビオンの出現を予知したことを告げる。しかし出現する災魔の脅威度は低く、猟兵ならば余裕をもって解決できるレベルらしい。
「新入生の方に経験を積ませるには丁度いい相手でしょう。……と言いたい所ですが、問題が一つ。今回リムが出現を予知した災魔はスライムなのですが」
 無表情のままリミティアは頬に指を当て、首をかしげながら告げる。
「今回、新歓コンパに挑戦する新入生は、大のスライム恐怖症なのだそうです」

 新入生の名はリリィ。15歳の少女で、人間のマジックナイトだ。
 若くして魔法と剣術の才能を示し、将来を嘱望されて学園に入学してきた、期待の新人である。
 まだ経験は浅いものの、その実力は一般人としてはなかなかのもので、弱い災魔であれば自力で撃退できる筈なのだが――。
「どういう訳か彼女はスライムだけが大の苦手で、戦うどころか悲鳴を上げて逃げ出してしまいます。実力的には決して敵わない相手ではない筈なのですが」
 このままでは未来の学園を支える貴重な人材が、その第一歩で迷宮の闇に消えてしまう。そこで新歓コンパの付き添いに兼ねて、彼女のスライム恐怖症を克服させるのが今回のもう一つの目的になる。

「今回のコンパの流れとしてはまず、学園の敷地内にある喫茶店でリリィさんの歓迎パーティが開かれます」
 そこは余り有名ではないが知る人ぞ知る名店というやつで、特にケーキと紅茶が絶品らしい。ゆったりとお茶のひと時を楽しみながら、新入生と打ち解けたり話をすると良いだろう。
「パーティの後はその流れで迷宮探索に向かいます。構造としてはさほど複雑ではなく、トラップも少ないフロアですが――先程も言った通りスライムが出ます。それも大量に」
 スライム恐怖症のリリィにとっては地獄のような迷宮だろう。ピンポイントでこんな場所を探索することになった彼女は実は不幸体質なのかもしれない。

「依頼としては、リリィさんが死ぬことなく無事に新歓コンパを終えられれば成功となります。とは言え守ってあげてばかりではなく、できる限り彼女にも経験を積ませ、スライム恐怖症の克服を手伝ってあげてください」
 スライムはアルダワでもポピュラーな災魔の一種だ。彼女の将来を考えれば早急に克服すべき課題である。
 依頼の説明を終えると、リミティアは手のひらにグリモアを浮かべて告げる。
「転送準備完了です。リムは吉報を祈っています」



 こんにちは、戌です。
 今回のシナリオはアルダワ魔法学園にて、新入生が無事に新歓コンパを終えられるよう、付き添いながら迷宮の災魔を退治する依頼になります。
 新入生のリリィは一般人ですが多少の戦闘能力はあります。ただしオープニングの通りスライムが大の苦手です。皆さんの指導や説得やフォローで彼女に恐怖症を克服させ、共に災魔(スライム)を倒すことができればベストでしょう。

 第一章は喫茶店での歓迎パーティです。おいしいケーキや紅茶をいただいたり、新入生との交流を深めたり、自由に楽しんでください。
 二章では迷宮の探索、三章では災魔の戦闘が待っています。

 それでは、皆様のプレイングをお待ちしております。
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第1章 日常 『お茶のひと時』

POW   :    ケーキと紅茶を楽しむ。

SPD   :    ケーキ以外のお菓子と飲み物を。

WIZ   :    お持ち帰りのお菓子をお買い求め。

👑5
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『日常』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


「はっ、はじめまして。リリィです」
 アルダワ魔法学園の一角にある、趣のある喫茶店。そこで同期の新入生や先輩たちを前に自己紹介をする一人の少女がいた。赤い髪に、青い瞳。背丈はちょうど同年代の平均くらい。どちらかと言えば内気な雰囲気のある少女だ。
「特技は剣術と魔法で、好きなものは猫とお菓子。苦手なものは……その、スライムです……」
 恥ずかしそうに彼女が語ると、一部から笑い声が上がる。苦手といっても些細なものと思われたのだろう、まさかそれが相対しただけで悲鳴を上げて逃げ出すレベルの恐怖症とは思わず。

 果たしてこの少女は無事に新歓コンパを終えることができるのか。
 それは転校生――猟兵たちのフォローにかかっていた。
ソラスティベル・グラスラン
ふふふ、猟兵として入学したわたしもついに先輩……
新たな学園の仲間を入学早々傷心させてはなりませんっ
【勇気】を以て、わたしが一肌脱ぎましょう!

【POW】
将来有望なリリィさん、彼女も勇者と成り得るでしょうか?
ケーキと紅茶を楽しみながら【優しさ・コミュ力】で接して、
緊張していれば和らげ、怖さよりも未知への楽しさを持ってもらえたらいいですね♪

リリィさんと【手をつなぐ】で、我が【勇気】よ伝われと言わんばかりに

迷宮はまだ地下と思えない環境、見たことも無い動植物がいっぱい
手に入れた素材も凄い武具になったり、美味しいご飯になったり!
恐ろしい敵もいる故に油断は禁物ですが、きっと貴方も好きになりますよ!



「はじめましてリリィさん、わたしはソラスティベルと言います。どうぞよろしくお願いしますねっ」
 歓迎パーティの場で不安そうにしているリリィの緊張を和らげようと、優しく声をかけたのはソラスティベル・グラスラン(暁と空の勇者・f05892)。
(ふふふ、猟兵として入学したわたしもついに先輩……新たな学園の仲間を入学早々傷心させてはなりませんっ。勇気を以て、わたしが一肌脱ぎましょう!)
 猟兵として、同じ学生として、怖さよりも未知への楽しさを持ってもらえるようにと、彼女は新しい後輩に接していく。

 このお店のオススメは、果実をふんだんに使ったプラムケーキと、柑橘類のフレーバーをきかせた紅茶。
 甘くフルーティーな味わいのそれらを一緒に楽しみながら、ソラスティベルはリリィにアルダワの迷宮について語る。
「迷宮はまだ地下と思えない環境、見たことも無い動植物がいっぱい。手に入れた素材も凄い武具になったり、美味しいご飯になったり!」
「ご飯にもですか? 凄いです……迷宮は災魔と戦うだけの場所ではないのですね」
 まだ入学してから日の浅いリリィは、興味深そうに話に耳を傾けている。キラキラと好奇心に輝く瞳に見つめられて、ソラスティベルは笑顔で。
「ええ。恐ろしい敵もいる故に油断は禁物ですが、きっと貴方も好きになりますよ!」
 そう言ってそっと彼女と手をつなぎ、優しく握りしめる。
「大事なのは勇気です。勇気で攻め! 気合で守り! 根性で進む! これで完璧ですよ!」
「勇気……はい、わかりましたっ」
 我が勇気よ伝われと言わんばかりに手を握るソラスティベルに、リリィは何か感じ入るものがあったのか、こくりと頷いた。

(将来有望なリリィさん、彼女も勇者と成り得るでしょうか?)
 それはこれからの彼女次第。だが、そのための導き手がいても良いだろうと、ソラスティベルは思うのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

ニコ・ベルクシュタイン
人には人の事情があるという、だが今は無理に聞き出さない方が良さそうだ
一先ず折角の機会なので、ティータイムを共にして交流を深めようか

絶品と聞いては頼まずには居られないな、ケーキと紅茶を注文して
…ああ、レアチーズケーキがあれば、其れが良いな
機を見て自己紹介をしつつリリィに声を掛けてみよう

歓迎パーティ、楽しめているかな?戦いも勿論大事ではあるが
こういった安らぎの一時もまた大切なものであるよ
俺も一応マジックナイトの端くれでな、君から学べる所があれば
是非とも勉強させて貰いたいと思っている次第

困った事があれば、俺で良ければ何でも相談をしてくれると嬉しい
そう声を掛けておくことで、後の事態に備えておこう



(人には人の事情があるという、だが今は無理に聞き出さない方が良さそうだ)
 ニコ・ベルクシュタイン(虹の未来視・f00324)はそう判断し、一先ずはリリィたち新入生とティータイムを共にして交流を深めることにする。
 折角の機会である、自分も彼女たちも楽しまねば損だろうと。

 絶品と噂されるだけあって、この喫茶店のケーキと紅茶はどれも美味であり、ラインナップも多種多様だった。
「……ああ、レアチーズケーキがあれば、其れが良いな」
「かしこまりました」
 注文を伝え、ややあって運ばれてきた濃厚なクリームチーズの風味あふれるケーキを味わいながら、ニコは機を見てリリィに声を掛ける。
「歓迎パーティ、楽しめているかな?」
「えっ? あっ、はい! あなたは……学園の先輩の方ですか?」
「ああ、失礼した。俺はニコ・ベルクシュタインと言う。よろしく」
 自己紹介も交えながら、ニコは穏やかに先達としてリリィに語りかけていく。

「戦いも勿論大事ではあるが、こういった安らぎの一時もまた大切なものであるよ」
「そう、ですね。正直ここに来て緊張していたので、こんな風に歓迎してもらえて、ほっとしました」
 ティーカップに口をつけながら、リリィはそっと腰に佩いたルーンソードを撫でる。彼女がマジックナイトという情報を覚えていたニコはそれを見てふと。
「俺も一応マジックナイトの端くれでな、君から学べる所があれば是非とも勉強させて貰いたいと思っている次第」
「いえいえ、そんな! 私の方こそ、先輩方には勉強させてもらうことばかりで……」
 恥ずかしそうに恐縮するリリィを、微笑ましげにニコは眉根を少し緩めながら見つめていた。

「困った事があれば、俺で良ければ何でも相談をしてくれると嬉しい」
「はい。頼りにしてます、先輩」
 この後の事態に備えてニコがそう声を掛けると、リリィは嬉しそうに微笑むのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

榎・うさみっち
実は俺もスライムになれる技を持っているのだ!
でも今お披露目するとさすがにやばそうだから内緒!
スライムの何が苦手なんだろうなー?
見た目?先入観?小さい頃のトラウマ?
それが分かれば克服の糸口が見つけられそうだけど
今は楽しくパーティして仲良くなるのが大事だな!

よぅリリィ!俺はうさみっち!
ちっちゃいけど立派な猟兵なんだぜ!
お近づきの印に自分そっくりのぬいぐるみ型ゆたんぽ
「うさみっちゆたんぽ」をプレゼント
おっ、このケーキめちゃくちゃ美味しいな!
とっしりフワフワのスポンジ生地
甘すぎない上品な生クリーム
大きな苺の絶妙な酸味と甘味のハーモニー
いくらでも食べられちゃう!
あとでお店の名前と場所聞いておかなきゃ!



(スライムの何が苦手なんだろうなー? 見た目? 先入観? 小さい頃のトラウマ?)
 それが分かれば克服の糸口が見つけられそうだけど、と榎・うさみっち(うさみっちゆたんぽは世界を救う・f01902)は考える。
(けど今は楽しくパーティして仲良くなるのが大事だな!)
 そう考えて彼はぱたぱたとリリィの元に飛んでいく。
(実は俺もスライムになれる技を持っているのだ! でも今お披露目するとさすがにやばそうだから内緒!)
 荒療治としてはアリかもしれないが、それをすると仲良くなるどころではないだろう、と。

「よぅリリィ! 俺はうさみっち!」
「ひゃっ? あ、はじめまして、うさみっち……先輩?」
 不意に小さなフェアリーの少年に声を掛けられて、目を丸くするリリィ。
「ちっちゃいけど立派な猟兵なんだぜ! お近づきの印にプレゼントだ!」
 そう言ってうさみっちが差し出したのは自分そっくりのぬいぐるみ型ゆたんぽ『うさみっちゆたんぽ』。ジト目がとってもチャーミングな逸品である。
「あ、ありがとうございます。かわいい……」
「だろー? あ、一緒にケーキ食べようぜ!」
 得意げなうさみっちとゆたんぽを抱えたリリィは、一緒にしばしお茶会を楽しむ。

「おっ、このケーキめちゃくちゃ美味しいな!」
 うさみっちが口に運ぶのは定番のショートケーキ。しっとりフワフワのスポンジ生地を、甘すぎない上品な生クリームが覆い、大きな苺の絶妙な酸味と甘味のハーモニーがそれを彩る。
「いくらでも食べられちゃう!」
「本当ですね、すごく美味しい……」
 同じケーキを注文したリリィも、表情が綻んでいる。お菓子が好きだと自己紹介でも言っていたとおり、ここのケーキも口に合ったようだ。
「これはまた来なきゃ!」
「ええ、そうですねっ」
 喫茶店の名前と場所をメモするうさみっちに、笑顔で頷くリリィ。彼女と仲良くなる、という最初の目的は無事に果たされたようだ。

大成功 🔵​🔵​🔵​

ナイ・デス
スライムがこわい……確かに、脅威的なスライムも、いますね
でも、ブラックタールさん達とか、こわくないスライムもいますし
こわくても、立ち向かわなければいけない時も、あるでしょうから……
スライムというだけで判断しないようにと、こわくても立ち向かえるように、なってもらいたい、ですね

その為に……私はまず、周りの人から、何か聞ける話がないか
落ち着いて話せる今のうちに、聞いてみようと、思います
同郷の人とか、そこまで昔からではなくても、私達より一日だけでも彼女と付き合いのある同じ新入生や、先輩とか……ペットとか?にゃーん(動物と話す)いるでしょう
そういう人や動物から、何か後で役立つ話、聞けないか
お話、してみる



(スライムがこわい……確かに、脅威的なスライムも、いますね。でも、ブラックタールさん達とか、こわくないスライムもいますし、こわくても、立ち向かわなければいけない時も、あるでしょうから……)
 歓迎パーティの様子を眺めながら、リリィの恐怖症についてナイ・デス(本体不明のヤドリガミ・f05727)は考えていた。
(スライムというだけで判断しないようにと、こわくても立ち向かえるように、なってもらいたい、ですね)
 その為にはまず、本人からではなく周りの人から情報を集めようと彼は考える。話を聞こうと思うなら、落ち着いて話せる今のうちだろう。

「あの。少し、聞きたいことが」
「ん、何かしら?」
 ナイが声を掛けたのは、学園の寮でリリィと相部屋だという新入生だった。少しでも付き合いの長い人物ならと、リリィのスライム恐怖症について尋ねてみる。
「ああ、さっき自己紹介でも言ってたやつね。あの子マジでスライムだけは駄目みたいねー、災魔図鑑のスライムのページの挿絵見ただけで卒倒かけてたもの」
 絵を見ただけでもダメとは、彼女のスライム恐怖症は相当深刻らしい。
 そこまで苦手な理由など聞いていないかと尋ねてみると、新入生はうーん、と唸りながら首を横に振った。
「聞き辛い感じだったからさぁ……あ、でもそういう時は猫がいると少し落ち着くみたい。前に卒倒しかけた時も、ミーシャを抱っこして意識を保ってたわ」
「ミーシャ?」
「リリィが飼ってる猫よ。ほらあの子」
 そう言った学生が指差した先にいたのは、椅子の上で丸くなっている白猫だった。

「にゃーん」
 動物と会話する技能を持つナイは、白猫からも飼い主の恐怖症について尋ねる。
「にゃぁにゃぁ(ご主人のスライム嫌いかニャ? なんでも昔、この学園に来た時のことがトラウマになってるらしいニャ。我輩がご主人に飼われる前のことだから、詳しくは知らんがニャ)」
 どうやらリリィは新入生となる以前にも学園に来たことがあるらしい。
 その後もナイはリリィと近しい学生や動物から聞き込みを続けるのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

ソフィア・シュミット
【POW】転校生として向かうのですね……
が、がんばりますっ

アルダワに行くのは初めてなんですよ……
先達の方のお話も聞いてみたいのです

ポピュラーな敵であるスライムのことも聞いてみたいですね
紅茶をいただきながら情報交換と行きましょう
え?お菓子ですか?
そ、その、甘いものはあまり得意でなくて
その、すみません……

誰でも苦手なものってあるのですよっ


フレミア・レイブラッド
まぁ、苦手なモノなんて人それぞれでしょうけど…。
念の為に聞くけど、マースライムとかじゃないのよね?マースライムは見た目ホラーだからわかるんだけど…。
まぁ、良いわ。安心なさい。わたしが貴女の悩み、解決してあげるわ♪

といった感じで雑談して悩みを聞きながら、薄っすら【魅了の魔眼】を発動。リリィを魅了して自身の信頼度を上げたり。
後はお嬢様らしく上品にケーキと紅茶を楽しみつつ、「あ、このケーキ、本当に美味しい…。眷属達(魔城スカーレットに暮らす、過去に虜にしたオブリビオン)にもお土産に買って行ってあげよう…」とか考えてたり。

それにしても、可愛い子ね…本当に眷属にしてしまいたいくらい…♪

※アドリブ等歓迎



『転校生として向かうのですね……が、がんばりますっ』
 転送時にそう意気込みを口にしていたのはソフィア・シュミット(邁進を志す・f10279)。アルダワに来るのが初めての彼女は少し緊張しながらパーティに参加する。
 ソフィアと相席で紅茶を傾けるのは同じ猟兵のフレミア・レイブラッド(幼艶で気まぐれな吸血姫・f14467)と、件の新入生のリリィ。
 ティータイムの話題は、リリィの抱えるスライム恐怖症についてだった。

「まぁ、苦手なモノなんて人それぞれでしょうけど……。念の為に聞くけど、マースライムとかじゃないのよね? マースライムは見た目ホラーだからわかるんだけど……」
「全部です。スライムならどんな種類でも苦手で……」
 フレミアの問いかけにしゅんと肩を落としながらリリィは答える。本人も問題だとは思っているらしいが、どうにも直らないらしい。
「まぁ、良いわ。安心なさい。わたしが貴女の悩み、解決してあげるわ♪」
「ありがとうございます、フレミア先輩」
 フレミアが自信たっぷりに言うと、嬉しそうにリリィも微笑む。出会って間もない彼女たちだが、フレミアが薄っすらと魅了の魔眼を発動させていたこともあって、リリィからフレミアへの信頼度はかなり高まっていた。

「スライムって、色んな種類がいるのですね」
「ああ、貴女はアルダワに来るの初めてだったわね。そうね、例えば……」
「あ、私も気になります。怖いですけど……」
 雑談の途中、ソフィアがふと口にした疑問に答え、フレミアは迷宮のスライムについて自身の知る限りで解説する。
 最も良く見られるであろうフラスコスライムから、不完全ながら人型を取るまでになったマースライムまで、一口にスライムと言っても様々な種がいるのだ。
 アルダワで活動する先達からの話を、ソフィアもリリィも熱心に聞いていた。

「まあ、私が知ってるやつだとこんな所ね。参考になったかしら」
「ええ、とても」
「勉強になりました、先輩」
「いいわよ、同じ学生同士だもの♪」
 微笑みながらフレミアは喫茶店オススメのプラムケーキを上品に口に運ぶ。プルーンやレーズンのほのかな酸味と甘み、上質なスポンジの食感が口いっぱいに広がる。
(あ、このケーキ、本当に美味しい……。眷属達にもお土産に買って行ってあげよう……)
 お嬢様らしい振る舞いを崩さないまま、そんなことを考える。ちなみに眷属とは彼女の居城に暮らす、過去に虜にしたオブリビオンのことである。
「美味しいですよね、ここのケーキ……ソフィアさんは食べないんですか?」
「え? お菓子ですか?」
 同じようにケーキを楽しんでいたリリィは、ふと紅茶しか嗜んでいないソフィアに気付いて問いかける。
「そ、その、甘いものはあまり得意でなくて。その、すみません……」
「あ、いえいえ。謝るようなことじゃないですよっ」
 恥ずかしそうに、そして申し訳なさそうに俯くソフィアに、慌ててリリィはぱたぱたと手を振る。
「食べ物の好き嫌いくらい、私だってありますし」
「そ、そうですよね。誰でも苦手なものってあるのですよっ」
「ですよねっ」
 ぎゅっ、と手を取り合うソフィアとリリィ。自身もスライムという苦手意識に悩むリリィとしては、ちょっぴりシンパシーを感じる話だったのかもしれない。

(それにしても、可愛い子ね……本当に眷属にしてしまいたいくらい……♪)
 そんなリリィの様子を見つめるフレミアの目が妖しくキラリと輝く。
 幸か不幸か、彼女はこの気まぐれで快楽主義な吸血姫に気に入られたようだ。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

ベルベナ・ラウンドディー
SPD

ではゼリー1つ頂きます
グミもあればいいですね
ついでに、水あめもありませんか?
全部リリィさんにおごって差し上げます




ああ、サイズを言い忘れてました
一般的なスライムと言われる程度のビッグサイズでお願いします!
質感も再現したものがあればベストです!
これを使って予行練習から入ってみましょう!
これらを敵に見立て!スプーンを突き立て!崩すのです!
むしろこれすら不可能なら日常生活の矯正から必要なんですが…大丈夫ですよねぇ…?
(紅茶ずずー)
…逃走阻止の準備はしておきます


はぁ、本当は自我を持って襲い掛かってきて服だけ溶かしてしまう都合のいいようなお菓子があればいいんですが…
…あ、いえ。何でもありません……



「ではここで、私からの入学祝いです。おごって差し上げますよリリィさん」
「えっ……そんな、良いんですか?」
「良いですとも」
 そう微笑んだのはベルベナ・ラウンドディー(ドラゴニアンのバイク乗り・f07708)。
 最初は初対面の先輩におごってもらうのも、と恐縮していたリリィだったが、断り続けるのも失礼かと思い直し、こくりと頷く。
「じゃあ、いただきます。ありがとうございます」
「どういたしまして。ではゼリーを1つ、グミもあればいいですね。ついでに水あめもありませんか?」
「そ、そんなに頂いちゃっていいんですか?」
「勿論です……ああ、サイズを言い忘れてました」
「え?」
 きょとんとするリリィをよそに、ベルベナは追加で注文をつける。
「一般的なスライムと言われる程度のビッグサイズでお願いします!」
「へっ?」
「かしこまりました」
 この喫茶店の調理担当は実に優秀だった。

 ややあってリリィとベルベナの前にでーん!! と置かれるのは、ぷるぷる、ぷにぷに、でろーん、と鎮座するスライムサイズのお菓子たち。
「これを使って予行練習から入ってみましょう! ――逃げないで!!」
 脱兎の如く出口に向かって駆け出したリリィの行く手に先回りするベルベナ。逃走阻止の準備をしておいてよかった、と彼はこっそり思う。

「むしろこれすら不可能なら日常生活の矯正から必要なんですが……大丈夫ですよねぇ……?」
「う、うぅぅぅぅ……」
 リリィはあんまり大丈夫そうじゃない顔をしていた。というか涙目である。
 だが克服には荒療治も必要。ベルベナはそっ、と彼女にスプーンを手渡す。
「さあ! これらを敵に見立て! スプーンを突き立て! 崩すのです!」
「うぅぅぅぅ……はい……!」
 彼女も恐怖を克服したい思いはあるのだろう。涙目のままざくざくとスプーンでお菓子に挑む姿は、ものすごく必死であった。
 ベルベナはずずー、と紅茶を傾けながらリリィの特訓を眺めるのであった。

「はぁ、本当は自我を持って襲い掛かってきて服だけ溶かしてしまう都合のいいようなお菓子があればいいんですが……あ、いえ。何でもありません……」
 流石にそれは色々な意味で作れませんと、店員の目が物語っていた。

大成功 🔵​🔵​🔵​

トール・ペルクナス
スライム恐怖症?……また難儀なモノだ
とりあえず事情を聴くとしよう恐怖症には切欠がつきものだからな

喫茶店では店の隅で紅茶を楽しませてもらうとしよう
もちろんパーティの会話には耳を傾けながら

リリィ嬢が人の波から解放された所で話を
「スライムが苦手だそうだが理由はあるのか?」
思い当たる理由はいくつかあるが本人の口から聞いてみたい
事情を聞いたら長年培ってきた【世界知識】と【戦闘知識】から助言ができればいいが……
まずは親睦を深めるとしよう
「なるほど……では次は好きなモノでも教えてくれるか?」
若人の輝きはいつだって私に力をくれる

ぽろっと容姿についての失言が出てもそこは許してくれ、思ったことを口にしただけだ



(スライム恐怖症? ……また難儀なモノだ)
 賑やかな歓迎パーティの様子を眺めながら、トール・ペルクナス(雷光騎士・f13963)は喫茶店の隅の席で紅茶を楽しんでいた。この店のオススメの柑橘類のフレーバーティーは、落ち着きのある芳香が特徴的で味わい深い。
(とりあえず事情を聴くとしよう。恐怖症には切欠がつきものだからな)
 そう考えながら会話の機会を窺っていると、丁度リリィが模擬スライム(お菓子製)との特訓を終え、人の波から離れるところだった。

「疲れているようだな」
「え……あ、はい。今日一日で色んな人とお会いしたので……少し」
 トールに話しかけられたリリィは軽く頬をかいて苦笑する。とは言えその様子は迷惑がっている様子ではなかった。
「スライムが苦手だそうだが、理由はあるのか?」
「それは……」
 続くトールの問いかけに、リリィはしばし悩むような素振りを見せたが、やがてゆっくりと語り始めた。

「私……小さい頃に一度、この学園に来たことがあるんです。見学という形で」
 その際に、ごく浅い階層だが、迷宮に潜ったこともあるらしい。
「その時、私ってば迷宮で迷子になって、引率の方とはぐれてしまって……そこをスライムに襲われたんです」
「なるほど。その時の恐怖がトラウマになっている、と」
「はい……」
 幸いにも駆けつけた学生のお陰で大事なかったらしいが、幼少期の恐怖体験は心の傷として残りやすいものだ。

「私からはこの位しか助言できないが……」
 トールは長年培ってきた知識から、スライムに対する効率的な攻撃方法や対処法などについて語る。トラウマの対象についてより詳しく、具体的な知識を得ることで、幼少期の漠然とした恐怖のイメージが少しでも薄れるようにと。
「なるほど……ありがとうございます」
「大したことは言っていない。……では次は好きなモノでも教えてくれるか?」
「猫です!」
 今度は即答だった。
「スライムから助けてくれた学生さんが、ケットシーの方だったので!」
 彼女が再び学生としてこの学園に戻ってきたのもその学生の影響が大きいそうだ。

 猫への愛情と、災魔と戦う学生への憧れを語るリリィの眼は、それまでとは見違えるように輝いていた。
(美しい眼だ。若人の輝きはいつだって私に力をくれる)
 緩む口元をティーカップで隠しながら、トールは彼女の話に耳を傾けるのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

ヴィサラ・ヴァイン
美味しいケーキ…(そわそわ)
友達と家族にお土産として買って行きたいな…
でも新歓コンパは緊張するので気づかれないようなるべく[目立たない]ようにします
一応話の内容は気になるので[聞き耳]を立てておきますが…リリィさんがスライム恐怖症になった理由とか知りたいですね。
「ふむ、リリィさんにそんな事が…影ながら応援させていただきましょう…」
私にも怖いものはありますけど、少しづつなら克服出来るはずです
それはそれとしてケーキ美味しい。紅茶も。
そんな訳でこの棚のここからここまでをください
お金はこの前バイトして稼いだので(多分)大丈夫です!
※気が付かれたら気が付かれたでみんなとお話しします。



「ふむ、リリィさんにそんな事が……影ながら応援させていただきましょう……」
 パーティの参加者に気付かれにくい死角の席で、こっそり話を聞いていたのはヴィサラ・ヴァイン(大蛇を殺すゴルゴン・f00702)。
 美味しいケーキは気になる、でも新歓コンパは緊張するという彼女は、とにかく目立たないことに専念していた。
 一応話の内容は気になるので、こうして聞き耳を立てていたわけだが。

(私にも怖いものはありますけど、少しづつなら克服出来るはずです)
 ヴィサラには誰かと視線を合わせること、誰かに恐怖されることへの恐れがある。
 だがそんな自分が人見知りを乗り越えて家族や友人を作れたように、彼女もきっと――ヴィサラはそう思う。

(それはそれとしてケーキ美味しい。紅茶も)
 ぱくぱく。こくこく。
 シリアスな思考から一転、ヴィサラはティータイムを満喫することに頭を切り替える。彼女の期待に違わずこの店のケーキは絶品揃いだった。
 オススメのプラムケーキをはじめ、色とりどりの果実を使ったフルーツケーキ、濃厚なベイクド・チーズケーキ、とろけるように甘いチョコレートケーキ等々。
 紅茶に関してもお客の好みに合わせた様々な茶葉に加え、柑橘類を初めとした各種フレーバーも取り揃えられている。

「友達と家族にお土産として買って行きたいな……」
「ですよね……あ、お持ち帰りサービスもやってるみたいですよ」
「あ、ほんとだ……って、え?」
「あっ、すみません、横から急に」
 店頭の棚に並べられたケーキに視線を注ぐヴィサラの隣には、いつの間にか同じ棚を見ていたリリィがいた。

「私も、故郷の家族にここのケーキを食べさせてあげたいなぁって思って……」
「なるほど、良いですね。じゃあそんな訳で……すみませーん」
 ヴィサラは近くにいた店員を呼ぶと、ケーキの棚を指差す。
「この棚のここからここまでをください」
「えっ。だ、大丈夫なんですか?」
「お金はこの前バイトして稼いだので大丈夫です! ……多分」
「お、お金持ちですね……」
 猟兵の金銭感覚を知らないリリィはぱちくりと目を丸くする。
 果たしてヴィサラのお財布は無事に済むのか。それはまた別の話であった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

ネムネ・ロムネ
もう春ですね
リミティアさんの頼みですし、わかりました
ネムに任せてください
スライム嫌いのその子を、ネムが鍛えてあげるのですよ


と見栄を張って来ては見たものの、中々溶け込めずにかれこれ数十分
ネムが無表情だからでしょうか、新入生のみんなとの話も中々続きません
しょうがなく喫茶店の端でスマホを弄っているのです
こういう時って、みんなどうしてるのでしょうか
チラリと楽しそうなみんなの姿を伺います
ネムには真似できません
コミュ力不足を痛感するのですよ
い、いいのです
ネムは一人でも生きて行けるのです
スライムだってへっちゃらですし
そう思いながら運ばれた紅茶に口をつけるのでした



「もう春ですね」
 そろそろ歓迎パーティもお開きになろうかという頃、ネムネ・ロムネ(移植された心・f04456)は喫茶店の端でスマホを弄っていた。
 時折スマホから顔を上げて、チラリと楽しそうな学生たちの姿を伺うのだが、どうしてもその輪の中に入っていく取っ掛かりが掴めない。
 かれこれ数十分はこんな状況が続いてた。

『リミティアさんの頼みですし、わかりました。ネムに任せてください。スライム嫌いのその子を、ネムが鍛えてあげるのですよ』
 転送時にそう見栄を張って来てはみたものの、中々学生の中に溶け込めなかったネムネ。無表情だからだろうか、新入生たちとの話も中々続かない。
(こういう時って、みんなどうしてるのでしょうか)
 楽しそうに話をしたりお茶をする学生や猟兵たちの様子を見る。自分から積極的に話しかけに行く者、タイミングを見計らって声をかける者、様々である。
(ネムには真似できません。コミュ力不足を痛感するのですよ)
 乏しい表情の裏に、忸怩たる思いを抱えるネムネであった。

(い、いいのです。ネムは一人でも生きて行けるのです。スライムだってへっちゃらですし)
 そう思いながら運ばれてきた紅茶に口をつけるネムネ。そんな彼女の元に近づいてくる一人の少女がいた。
「あのぅ……ここ、相席いいですか?」
「? ん。どうぞです」
「ありがとうございますっ」
 その少女――リリィは、一瞬驚きながら頷いたネムネに微笑み、対面の席に座る。

「そろそろパーティも終わりですね……この後は迷宮探索に行くんでしたっけ」
「ん。ですね」
 口にする言葉が思い浮かばず、紅茶を傾けながら相槌を打つネムネ。
「迷宮探索、不安だなぁ……スライム出ないといいなぁ……でも、いつまでも怖がってちゃダメだし……」
 リリィは自分の心の中の不安や恐れ、そして葛藤を口にする。
「先輩たちにも応援されましたし、アドバイスも貰いましたし……って、ごめんなさい! 私ばっかり話しちゃって……」
「気にしてないです。頑張るのですよ」
「……! はい!」
 嬉しそうに満面の笑みを浮かべるリリィに、果たしてネムネは何を思ったか。
 パーティの時間は終わり、迷宮新歓コンパはいよいよ本番へと突入する。

大成功 🔵​🔵​🔵​




第2章 冒険 『天井からの恐怖!』

POW   :    体力や気合で耐える/仲間を庇う

SPD   :    素早く避ける/落下物を防ぐ工夫をする

WIZ   :    落下するタイミングを見抜く/安全なルートを見つける

👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​

種別『冒険』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


 歓迎パーティを終えて、リリィたち新入生はいよいよ迷宮新歓コンパの本番、迷宮探索へと挑む。
 今回その付き添いを務めるのは、依頼を受けた転校生――すなわち猟兵たちだ。

 情報にあった通り、新入生の挑むのは迷宮の中でも浅く危険度の低いフロアだ。
 構造も複雑ではなくトラップも少ない。唯一の脅威と呼べるものと言えば――。

 ひゅーん。ぽてっ。ぽよん。
 ひるるる。ぼとっ。でろん。

 高くなった迷宮の天井から降り注ぐ、赤、青、黄、緑、紫といった色とりどりのスライム。
 スライムと言えども結構な速度で降ってくるため、うっかり直撃すると危険かもしれない。最悪、頭からスライムに覆いかぶさられて窒息することもあり得る。
 とは言えまだこの程度の障害なら新入生たちにとって程よいハードルのはずだが。

「~~~~~~~~っ!!!!!!」

 スライム恐怖症の少女、リリィだけは真っ青になっていた。
 それでも即座に悲鳴を上げて逃げ出さなかったのは、パーティでの猟兵たちとの交流やアドバイスの成果だろう。

「だ、大丈夫……逃げちゃだめ……がんばれ私……!」
 生まれたての小鹿のようにプルプル震える足で、それでもスライム落下地帯へと一歩踏み出していくリリィ。
 それを見た猟兵たちも、付き添いの役目を果たすため先に進むのだった。
フレミア・レイブラッド
なんか、UDCでこんなゲームなかったかしら…?
4色揃うと消えるとか…。
まぁ、ちょうど良いわ

とりあえず、視界範囲内にいる全スライムに【魅了の魔眼・快】と【催眠術】使用。手頃な数体以外、魅了したスライムには恐怖症克服の邪魔をさせない為に掛かってないスライムの迎撃を命令。討ち漏らしはわたしが始末するけど…一応、【念動力】で壁も張っておくわ。

リリィには残る数体のスライムは自分が支配下に置いてる事を告げ、徐々に近づかせたり、場合によっては触れるとかさせてスライムに慣れさせ、恐怖症克服させるわ。
後は抵抗しない魅了スライムを倒させて自信を付けさせ、過去を払拭させたりとかね

※以外と面倒見が良い
※アドリブ等歓迎



「なんか、UDCでこんなゲームなかったかしら……? 4色揃うと消えるとか……」
 ひゅるるる、と落ちてくるスライムを眺めながら呟くフレミア。残念ながら、ここのスライムは4つ揃えても一列並べても消えないようだ。
「まぁ、ちょうど良いわ」
 経験を積ませるには手頃な相手だろうと、彼女は魔眼を輝かせる。

「わたしの僕になりなさい……あなたはもう、わたしのトリコ♪」
 思わず見蕩れてしまうような妖艶な笑みを浮かべながら、フレミアは視界に入ったスライムを魅了の魔眼で隷属させていく。フレミアの虜となったスライムたちは、主人の意のままにまだ魅了を受けていない同族に襲い掛かった。
 確認できる限り、やはりこの程度の浅い階層では、猟兵の脅威になるような災魔はいないようだ。
 配下が討ち漏らした個体は、フレミア自身が真紅の魔槍を振るい始末していく。

 周辺のスライムをある程度掃討すると、フレミアは魅了状態のスライムを数体だけ残し、近くにいたリリィを呼び寄せる。
「このスライム達はわたしが支配化に置いてるから、これで少し慣れてみなさい」
「え……ほ、本当ですか? 急に飛び掛ってきたりとか……」
「途中で魅了が解けるようなヘマしないわよ。いいから、ほら」
「きゃっ……?!」
 背中を押され、目を白黒させながら徐々にスライムに近づいていくリリィ。フレミアの言った通り、支配下に置かれたスライムはその場でぷるぷるするだけで、抵抗の様子を見せない。
「これは酸も毒もないタイプだから、ちょっと触ってみるといいわ」
「え、えええっ、触るんですか??」
「いちいち悲鳴上げないの。ほらっ」
 フレミアの指導の下で、リリィはスライムを手で触ってみる。最初は今にも逃げ出しそうな様子だったが、相手が襲ってこないのを理解すると少しは安心したようだ。
 そんな彼女の特訓中も、フレミアは他のスライムが襲ってこないよう念動力の壁を張り、周囲に気を配っていた。

 フレミアからの特訓の締めは、魅了スライムをリリィ自身の手で倒させること。
 まだぷるぷると震える手で「え……えいっ!」と目を瞑りながらリリィがルーンソードを振り下ろすと、あっさりと魅了スライムは退治される。
「お疲れ様。どう、少しは慣れた?」
「は……はい。少しは……」
「そう。なら先に進みましょ」
 無抵抗とはいえ自分の手でスライムを倒せたことは、リリィにとって小さな自信となったようだ。小鹿のようだった足の震えも、少しはマシになっていた。

成功 🔵​🔵​🔴​

ベルベナ・ラウンドディー
…想像以上にダメです。妙案が思い浮かびません
最終手段(ユーベルコードでおねだり)は示唆しますが
克服と引き換えに(主に私の)人格・尊厳・今後の将来すら危険を伴う、と脅しておきます




そもそも無理な克服の必要無いですよね?



弱点を受け入れ、その部分を任せられる仲間を作り
他の分野で上を目指せば済むことです。コミュ症じゃあるまいし。
今回は【気合い・勇気・吹き飛ばし】…で仲間の役を務めますが
…しかし、なお克服を目指すならそこにヒントがあると見ます
苦手な理由でなくて
克服したい理由のほうを聞きたいですね


【学習力】
口にしながら歩かせれば恐怖も多少は紛れ
自覚してない自分の考えが整理できるかもしれません
学習させてみます



(……想像以上にダメです。妙案が思い浮かびません)
 迷宮探索の道中、果たしてどうしたものかと首を捻るのはベルベナ。
 ユーベルコードの力である種の洗脳を施すという最終手段はあるが、それは克服と引き換えに(主に彼の)人格・尊厳・今後の将来すら危険を伴う諸刃の剣である。

「ご、ごめんなさい、色々考えてもらってるのに……」
 最初よりマシとはいえまだぷるぷる震えているリリィを横目に見つつ。ベルベナはああそうか、とふと思いつく。
「そもそも無理な克服の必要無いですよね?」
「え……?」
「弱点を受け入れ、その部分を任せられる仲間を作り、他の分野で上を目指せば済むことです。コミュ症じゃあるまいし」
 思わずきょとんとする少女にそう言いながら、彼は手にした直刀を気合を入れてぶおん、と振るう。吹き荒れる斬撃の風圧だけで、降ってきたスライムはあっさりと吹き飛んでいった。

「今回は私がこの通り仲間の役を務めますが……しかし、なお克服を目指すならそこにヒントがあると見ます」
 適当に周囲のスライムを蹴散らし、落ち着いて話をする余裕を作りながらベルベナは問いかける。
「苦手な理由でなくて、克服したい理由のほうを聞きたいですね」
「スライムを克服したい、理由……」
 最初は戸惑っていたリリィだったが、少し落ち着いて思考を纏めると、やがておずおずと語り始める。
「私……憧れなんです。先輩方みたいな、災魔と戦う立派なアルダワの学生が。昔、私のことを助けてくれた学生さんみたいに……今度は私が誰かを助けられる人間になりたいんです」
 迷宮の先を見つめる少女の瞳に、恐怖と重なりながら、また異なる感情の光が浮かび上がる。

「……話してみたら、少し覚悟ができたかもしれません。ありがとうございます」
「どういたしまして」
 ぺこりと頭を下げるリリィに、ベルベナは微笑む。
 考えを口にしながら歩かせることで恐怖を紛らわせ、はっきりと自覚していない考えを整理させるという彼の狙いは上手くいったようだ。
 迷宮探索の道のりはまだ長い。慎重に、怖気付きながら、それでも一歩一歩、少女は進んでいく。

成功 🔵​🔵​🔴​

ヴィサラ・ヴァイン
さてさて迷宮探索の時間ですね、肝心のリリィさんの様子は…早速怖がってますね(モグモグ)
本人の自信をつける為にも[目立たない]よう影ながらお手伝いします(モグモグ)
【頂点捕食者】でリリィさんの恐怖の感情を食べてしまいましょう(モグモグ)
リリィさんが不自然に思わない程度にして、徐々に恐怖に慣れてもらいます(クピクピ)
スライムには逆に[恐怖を与える]事でリリィさんに危害を与えないように威嚇します(キシャー)
多少は慣れる為に襲ってください。やり過ぎた時の命の保証はしませんが(にっこり)と[動物と話す]で伝えます
それにしても恐怖の感情って美味しくないや…ケーキで口直ししよ(モグモグ)


トール・ペルクナス
背中は押すが甘やかさない性質なのでなリリィ嬢には頑張ってもらう

リリィ嬢の後ろをついていき【戦闘知識】を用いて助言を行う
「怖くても目は瞑るな。動きをよく観察すればどうということはない」

しかし怯える若人を見て我慢できるはずもなく
リリィ嬢より早く微小な【属性攻撃:雷】の【先制攻撃】をスライムたちに【範囲攻撃】で飛ばし電気による【マヒ攻撃】でその動きを鈍らせる
少しでもリリィ嬢が倒しやすいように
「動きの鈍い物から狙え。よし、そうだ」

リリィ嬢が避けきれないスライムにはUCを発動
雷速でリリィ嬢の前へ出て庇いスライムをはじき飛ばす
「……やってしまった」
手は出さないつもりだったが仕方がない
無事でよかった



(さてさて迷宮探索の時間ですね、肝心のリリィさんの様子は……と)
 目立たないようにこっそりとリリィの後を追いかけるのはヴィサラ。少女の怖がりようは、迷宮に踏み込んだ当初よりはマシになったように見える。それでもまだ顔色は悪いが。
 そんな彼女の自信をつける為にも、本人には気付かれないよう影ながらヴィサラはお手伝いをする。もぐもぐ、と絶えず口元を動かしながら。

 一方でリリィの少し後ろから助言を送るのはトール。背中は押すが甘やかさない性質の彼は、あくまで自身は助言者に留まりリリィに頑張ってもらうつもりでいた。
「怖くても目は瞑るな。動きをよく観察すればどうということはない」
「はっ、はいっ……!」
 震える手でルーンソードを構える少女の前から押し寄せるのは数体のスライム。ぷるぷるぷるぷる、とその軟体ボディをやけに震わせて、戦意をアピールしている。

 ――実はこのスライムたちは、こっそりヴィサラの威嚇を受けて、その恐怖の支配下にある。過度の危害を与えないよう、しかしリリィの特訓相手にはなるように。
(多少は慣れる為に襲ってください。やり過ぎた時の命の保証はしませんが)
 にっこり笑顔のヴィサラと一緒に蛇髪がキシャーと威嚇されれば、所詮スライムとしては一も二もなく従わざるを得ない。

 そんな訳でヴィサラにけしかけられ、リリィに襲い掛かるスライムたち。だがそんな事情を知らないリリィは必死である。
「え、えっと、まずは詠唱……いえ、この距離なら剣で攻撃したほうが? えっとえっと……」
 初の本格的な災魔との戦闘ということもあり、若干パニックを引き起こしている。そんな怯える若人を見て、雷光の騎士たるトールが我慢できるはずもなく。
 襲い掛かってくるスライムに素早く微小な電撃を放つ。リリィには悟られない速度で迸ったそれは、電気による麻痺でスライムの動きを鈍らせる。
「動きの鈍い物から狙え」
「! はっ、はいっ!」
 後押しを受けたリリィが駆け出す。魔力を付与したルーンソードを振りかぶり、一閃。将来を嘱望されるだけはあり、その太刀筋は未熟ながらも筋は良く、一撃でスライムを両断する。
 無抵抗ではない敵意のあるスライムを、初めて自分の力で倒せた。リリィはその事実を一瞬遅れてから認識し、思わず喜びの喝采を上げる。
「や! やりましたっ!」
「よし、そうだ――」
 満足げに賛辞を送ろうとしたトールはそこで気付く。喜びのあまり警戒の薄れたリリィに、別のスライムが襲い掛かろうとしているのに。

 危険を認識したトールの判断と行動は、文字通り稲妻の速さであった。
 その身を雷電に変化させ、雷速でリリィの前に出て庇い、スライムを弾き飛ばす。
「え、え? 先輩……?」
 リリィからすれば、突然トールが自分の前に瞬間移動したように見えただろう。しかしやや遅れて弾き飛ばされたスライムに気付き、自分が守られたことを悟る。
「……やってしまった」
 一方のトールは彼女に聞こえないようぼそりと呟くが、すぐに気を取り直す。本当は手は出さないつもりだったが仕方がない。これも性分というものだろう。
 振り返ったトールは、リリィの体に怪我がないことを確認し。
「無事でよかった」
「は、はいっ。すみません、気をつけます!」
 迷宮では一瞬の油断が命取り。今のでリリィもそれを理解しただろう。
 恐怖を少しずつ克服しながら、彼女の心には迷宮に挑む学生としての心構えも育まれつつあった。

「いい調子ですね」
 そんなリリィの様子を見つめながら、もぐもぐと口を動かしつつヴィサラが呟く。彼女が食べているのは形のあるモノではなく、リリィから溢れ出す恐怖の感情。
 と言っても恐怖心を全部食べ尽くしてしまえば、本人にも不自然に思われる。あくまで過度の恐怖を和らげる程度に留め、徐々に恐怖に慣れてもらうのが狙いである。
「それにしても恐怖の感情って美味しくないや……ケーキで口直ししよ」
 喫茶店で大人買いしたケーキで、好みに合わない恐怖の味を誤魔化しながら、ヴィサラはリリィの後を追うのだった。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

ネムネ・ロムネ
※アドリブ大歓迎

喫茶店では素っ気無過ぎたでしょうか
折角話しかけて貰ったのに、あまり上手い切り返しが出来なかったのです
あの時もう少し何か声をかけるべきだったですかね
でも何を言ったら良かったのでしょう
最後の笑みはどんな意味があったですかね
嬉しかった?
うーん、あの程度の声がけで一々喜ばない筈
では苦笑い?
そうは見えなかったですけど、そうは考えたくないですけど、実は気を使われてたのです?
コミュニケーション能力とは一体



などと永遠考えながら、落ちて来るスライムには脊椎反射で対処していきます
寧ろ依頼の本題よりも喫茶店での一幕に心を持って行かれてます
思考は上の空ですが、一方でリリィのフォローは都度欠かせません



(喫茶店では素っ気無過ぎたでしょうか。折角話しかけて貰ったのに、あまり上手い切り返しが出来なかったのです)
 スライムの降り注ぐ迷宮をとことこと歩きながら、ネムネは考え事をしていた。その内容はリリィと出会った喫茶店での一幕についてである。
(あの時もう少し何か声をかけるべきだったですかね。でも何を言ったら良かったのでしょう)
 ぼんやりしながら思考に耽る様子は、依頼の本題よりもそちらに心を持って行かれているようだった。

 しかしネムネも猟兵である。思考は上の空でもスライム程度に遅れは取らない。
 落ちて来るスライムにほとんど脊椎反射のみで反応し、ひょいひょいと軽い身のこなしで避けていく。
(最後の笑みはどんな意味があったですかね。嬉しかった? うーん、あの程度の声がけで一々喜ばない筈)
 迷宮攻略は順調だったが、ネムネの思考はそれと反比例するように延々と深みに嵌まっていく。
(では苦笑い? そうは見えなかったですけど、そうは考えたくないですけど、実は気を使われてたのです?)
 あの時自分に向けられた笑顔がただの愛想笑いだったとは思いたくない。けれど……と、答えの出ない疑問を抱えながら、少女はスライム落下地帯を進んで行く。

 ――しかし、そんな考え事をしながらの迷宮攻略は、やはり他人からすれば不注意に見えたらしい。
(……コミュニケーション能力とは一体)
「あ、あのっ。ちゃんと前を見たほうがよくないです、か……?」
 考えに耽るネムネに声をかけたのはリリィだった。他人の様子を気にする心の余裕が生まれたのは、彼女が少しずつ恐怖を克服している証拠だろう。
 だがやはり、他人の心配をするより先ずは自分のことを、だったかもしれない。リリィはまさに今、自分の頭上から降ってくるスライムに気付いていない。
「心配ねーですよ」
 ネムネの反応は迅速だった。スカートの中から「説得道具」の拳銃を引き抜くと、即座に照準を合わせ発砲。撃ち抜かれたスライムは無数の飛沫となって弾け飛んだ。

「……! ごめんなさい、私のほうが不注意でした……」
 発砲音に目を丸くし、それから助けられたことに気が付いたリリィは、真っ赤になって頭を下げる。
「ん。気にすることないのです」
 慣れた手つきで拳銃のリロードを行いながら、ネムネはふと気になっていたことを聞いてみる。
「喫茶店でネムに見せた笑み、あれはどういう意味だったのです?」
「え? どうって言われても、嬉しかったから、としか……話を聞いてくれましたし、応援してくれましたよね? とても嬉しかったです」
 リリィにとって、あの時の笑顔は自然に浮かんだものだったようだ。それが真剣な悩みなら、話を聞いて貰えるだけでも、たった一言の応援でも、心強いものだ。

「そういうもの、ですか?」
「はい。先輩たちには今もフォローしてもらってますし……私、頑張りますねっ」
 そう答えて迷宮の奥へと進むリリィは震えていたが、表情は最初に会った時よりも明るいように見える。
 ネムネは考え事を続けながらも、彼女がまた道を阻まれないよう、フォローを欠かさないようにするのだった。

成功 🔵​🔵​🔴​

ニコ・ベルクシュタイン
今にも逃げ出したいだろうに、必死に耐えているとは立派だな。
其の心意気に少しでも助力をしたいが、どうしたものかな。

…気休めにしかならぬやも知れないが、俺の本体でもある懐中時計を
リリィに持たせ【懐中時計の神隠し】を発動させてみよう
此れでスライム達から俺達の姿は見えなくなった
見咎められ襲われる心配はまず無いだろう
後は落ち着いてスライムが落下してくるタイミングを見極め
慎重に一体ずつ斬り捨てて行こうか
さすれば次第と慣れてくるのではなかろうか

どうしても斬りつけるのに躊躇いがある場合は
降ってくるスライムの密度が薄い箇所を探すなど
接触を可能な限り控えめにしてあげようか
いきなり慣れろというのも酷な話だろうからな



(今にも逃げ出したいだろうに、必死に耐えているとは立派だな)
 猟兵たちの助けを借り、恐怖を堪えながら一歩一歩先に進んでいくリリィの姿を見つめながら、ニコは思う。
(其の心意気に少しでも助力をしたいが、どうしたものかな)
 自分の力で彼女の助けになることは何かを考え、やがて彼はひとつのアイデアを思いつく。

「……気休めにしかならぬやも知れないが、これを」
「? これって……時計ですか?」
 ニコが差し出したものは、ヤドリガミたる彼の本体である古びた懐中時計だった。
 それをリリィが持ったのを確認すると、彼は自身のユーベルコード【懐中時計の神隠し】を発動。時計に宿った時の魔力が、二人の姿を透明化する。
「此れでスライム達から俺達の姿は見えなくなった。見咎められ襲われる心配はまず無いだろう」
「わ……すごい……!」
 ユーベルコードの力をその身で体感し、驚きで目を丸くするリリィ。そんな彼女にニコは冷静にアドバイスを送る。
「後は落ち着いてスライムが落下してくるタイミングを見極め、慎重に一体ずつ斬り捨てて行こう」
「はいっ、先輩!」
 向こうから襲ってこないと分かれば、リリィも落ち着いて戦える。言われたとおり慎重に、おそるおそるタイミングを見極める。
「焦らなくていい。冷静にな」
「はい……っ、そこっ!」
 意を決して踏み出した少女の振るう剣は、狙い過たずスライムを両断した。

「ど、どうですかっ!」
「ああ、その調子だ」
 奮闘するリリィを見守りながら、ニコは降ってくるスライムの密度が薄い箇所を探し、そちらの方角へそれとなく少女を誘導する。
 少しずつ慣れてきているとはいえ、まだリリィには躊躇いがある。スライムとの接触を可能な限り控えめにすれば、負担も軽くなって安心して戦えるだろう。
(いきなり慣れろというのも酷な話だろうからな)
 焦る必要はない。この瞬間も着実に彼女は成長を続けているのだから。
 やがて疲労により透明化が維持できなくなる限界まで、疲れを表に出すことなくニコは戦うリリィの背中を見守り続けるのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

ナイ・デス
得られた情報の、整理
スライムに襲われて、ケットシーさんに助けられた、と
ふむー……なるほど
……迷宮にきましたけど、どうしましょう?

とりあえず、スライム減らし
【第六感】のままに受け止めて、触れたとこから【生命力吸収】で吸収、消しさって
と、このスライムさんは……頑張って倒せば、あとで良い事あるスライムもいると、教えられそう、ですね

では、今は頑張って倒せるように【猫の手】をかしてもらい、背を押しましょう
にゃーん
リリィさんを、助けてあげてください
リリィさんと、これからずっと一緒に過ごすあなたたち
ルーンソードに宿る、属性精霊さん

何時か自力で呼び出せるその日まで、もうあえないでしょうけど
猫はいつも傍に、です



「スライムに襲われて、ケットシーさんに助けられた、と。ふむー……なるほど」
 迷宮を探索するリリィたち本隊からやや先行しながら、ナイは喫茶店で得られた情報を整理し、どうするかを考えていた。
 彼が先行している理由は、リリィと接触する前に迷宮内のスライムを減らす、言わば露払いだ。

 第六感で降ってくるスライムを察知すると、ナイはあえて回避することなく受け止め、触れた箇所から相手の生命力を奪う。襲う相手を誤ったスライムは、まるで少年の小柄な体に吸い込まれるように消滅していった。
「と、このスライムさんは……」
 露払いを続ける中で、ナイはふと一体のぷにぷにしたスライムに気付く。それから生命力を吸収したときに感じた甘い味わいと疲労の回復する感覚は、彼にとって覚えのあるものだった。
「頑張って倒せば、あとで良い事あるスライムもいると、教えられそう、ですね」
 迷宮の災魔もスライムも、ただ恐ろしいものばかりではないのだと伝えられれば、リリィの恐怖症も和らぐかもしれない。

 やがて後方から、リリィたち新入生と付き添いの猟兵も追いついてくる。
(では、今は頑張って倒せるように猫の手をかしてもらい、背を押しましょう)
 にゃーん、と、誰にも聞かれないような小さな声でナイは鳴く。それは周辺の精霊たちに呼びかけ力を貸してもらう、彼のユーベルコード。
(リリィさんを、助けてあげてください。リリィさんと、これからずっと一緒に過ごすあなたたち)
 今回、ナイが呼びかけたのはリリィの剣――ルーンソードに宿る属性精霊だった。

「わっ? な、なに?」
 不意にルーンソードが輝きだしたのに気付いたリリィは、その刀身から小さな猫の姿をした精霊が現れたのに目を丸くする。
 炎の赤。水の青。風の緑。三つの属性を司る三色の猫精霊たちは、ふわふわとリリィの周囲を取り巻くように漂う。
「猫さん……助けてくれるの……?」
「「「にゃーん」」」
 少女の問いに同意するように三匹の猫が鳴く。彼らは襲ってくるスライムを迎え撃ち、リリィが攻撃しやすい位置へと追い立て、リリィが剣を振るう動作に合わせて追撃を仕掛ける。
「……ありがとう!」
 大好きな猫たちから心強い援護を受けたリリィは、自身も勇気を出してスライムに立ち向かっていく。

 やがて、リリィと猫たちの連携によって周辺のスライムは一掃される。
 すると、役目を果たした猫精霊はにゃーんと鳴いて消えていく。
「あ……」
 名残惜しそうな表情を浮かべるリリィ。そんな彼女を見つめながら、ナイは心の中でエールを送る。
(何時か自力で呼び出せるその日まで、もうあえないでしょうけど。猫はいつも傍に、です)
 精霊たちは今も、彼女の握り締めるルーンソードに宿り続けている。
 彼女ならばいつかきっと、自らの力で猫たちと再会できるはず――ナイはそう信じるのだった。

成功 🔵​🔵​🔴​

ソラスティベル・グラスラン
リリィさんは今、乗り越えようとしているのですね
勇者として最初の壁を…!

歓迎会の時のように、
我が【勇気】よ伝われと心を籠めてリリィさんと【手をつなぐ】
そして全力で【鼓舞】します!!

リリィさん、迷宮でスライムは珍しくない魔物…これは試練です
ですが試練は一人で立ち向かう物と誰が決めたでしょうか!
大丈夫!学生となった今、貴方は一人ではありません
我らの【勇気】を以て、いざ、勇猛に進みましょうッ!!

【盾受け・見切り・かばう】
リリィさんに降るスライムは盾で受け弾きます
ふふー!迷宮探索において仲間との助け合いは当然ですよっ♪

それにしても、迷宮に住むスライムですか…そしてこの甘い香り
これは花蜜?まさか……!



 猟兵たちの助けを借りて、一歩ずつ着実に迷宮の奥へと進んでいくリリィ。最初は震えていた足取りは次第に力強くなり、迷宮の探索者としても経験を重ねていく。
 そんな彼女の成長する様子を見守っていたソラスティベルは、胸に熱いものがこみ上げるのを感じていた。
(リリィさんは今、乗り越えようとしているのですね。勇者として最初の壁を……!)
 いてもたってもいられなくなった彼女は、興奮気味に少女の元へ駆け寄ると、その手をぎゅっと握りしめた。

「わっ……ソラスティベル先輩?」
「リリィさん、迷宮でスライムは珍しくない魔物……これは試練です。ですが試練は一人で立ち向かう物と誰が決めたでしょうか!」
 歓迎会の時のように、我が勇気よ伝われと心を籠めてリリィの手を握りながら、ソラスティベルは訴える。
「大丈夫!学生となった今、貴方は一人ではありません。我らの勇気を以て、いざ、勇猛に進みましょうッ!!」
「……! はいっ!」
 先達からの力強い鼓舞を受けたリリィは、自らも力強い表情で頷く。迷宮の入り口で小鹿のように震えていた少女はもう、そこにはいなかった。

「行きますっ!」
 ルーンソードをしっかりと握り締め、リリィは前進する。恐れを乗り越えることさえできれば、この迷宮のスライムは彼女の敵ではない。
 炎水風の魔力を宿した刃が、ぷにぷにの災魔を切り払っていく。
「その調子ですよ、リリィさん!」
「はい……っ!」
 その時リリィは、はっと自分の頭上から降ってくるスライムに気付く。慌てて剣で切り払おうとするが、それよりも早くソラスティベルの掲げたスチームシールドがスライムを受け止め、弾き飛ばした。
「助かりました、先輩っ」
「ふふー! 迷宮探索において仲間との助け合いは当然ですよっ♪」
 得意げなソラスティベルが防御を担当することで、リリィは安心して攻撃に専念することができる。まだ脇の甘い後輩を先輩がフォローする見事な連携によって、二人は残る探索の行程を一気に進めていく。

(それにしても、迷宮に住むスライムですか……そしてこの甘い香り)
 フロアの最奥に迫るにつれて、一同の鼻を甘い香りがくすぐる。ソラスティベルには、この香りに心当たりがあった。
「これは花蜜? まさか……!」
 その予感は、ほどなくして確信へと変わる。
 果たして、迷宮新歓コンパの最後の障害として立ち塞がったものとは――。

成功 🔵​🔵​🔴​




第3章 集団戦 『蜜ぷに』

POW   :    イザ、ボクラノラクエンヘ!
戦闘用の、自身と同じ強さの【勇者ぷに 】と【戦士ぷに】を召喚する。ただし自身は戦えず、自身が傷を受けると解除。
SPD   :    ボクダッテヤレルプニ
【賢者ぷに 】を召喚し、自身を操らせる事で戦闘力が向上する。
WIZ   :    ミンナキテクレタプニ
レベル×1体の、【額 】に1と刻印された戦闘用【友情パワーぷに】を召喚する。合体させると数字が合計され強くなる。
👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『集団戦』のルール
 記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


 ぷに。ぷに。ぷに。ぷに。ぷに。ぷに。ぷに。ぷに。ぷに。ぷに――。

 スライムの降り注ぐ迷宮を越えて、フロアの最奥まで辿り着いた新入生と猟兵を待ち受けていたのは、やはりスライムだった。
 花の蜜ような甘い香りをただよわせる、色とりどりのスライム。その名も密ぷに。迷宮探索に慣れた学生には、おやつ感覚で倒されることもあるという災魔である。
 とは言え、これもオブリビオンの一種に違いはない。道中のスライムと比べれば戦闘力も高く、数も多いため、新入生にとっては手ごわい敵となるだろう。

 だが、新入生の少女――リリィはもう悲鳴を上げなかった。
「先輩たちのお陰で、ここまで来ることができました。ここで逃げたら、皆さんに会わせる顔がありませんっ!」
 幼少期からのトラウマと恐怖症を完全に払拭したかと言えば、そうではないのだろう。しかし彼女はここまでの試練を乗り越えたことで、恐怖に立ち向かう勇気を手に入れたのだ。

 これが、迷宮新歓コンパの最後の試練である。
 無事に依頼を完遂するために、猟兵たちはそれぞれの武器を構えた。
蛇塚・レモン
援軍参上~っ!
話はだいたい判ったよっ!
この通りすがりの猟兵、レモンちゃんが援護するよっ!

まずは先手を打って、あたいを含めた猟兵たちとリリィさんを包み込む結界を、召喚した巨大な蛇神様に生成してもらうよっ!
(先制攻撃+範囲攻撃+オーラ防御+拠点防御)
この中にいれば安全だよ、リリィさん!
この結界は災魔の攻撃ダメージを軽減する上に侵入を防いでくれるし、結界内の味方をパワーアップしてくれるんだよっ!
それと、蛇神様の邪眼の念動力で敵を一網打尽できるよっ!
(念動力+視力+範囲攻撃)
あたいも結界内から蛇腹剣クサナギを振り回して、蜜ぷにたちの数を減らしてゆくよっ!
(範囲攻撃+生命力吸収+ロープワーク+なぎ払い)



「援軍参上~っ!」
 高らかに声を上げて、リリィたちの元に駆けつけてきたのは蛇塚・レモン(叛逆する蛇神の器の娘・f05152)。
「この通りすがりの猟兵、レモンちゃんが援護するよっ!」
 その左目を真紅に輝かせ、蛇神の器の娘はその神通力を解放する。

「まずは先手を打って、っと!」
 押し寄せる蜜ぷにの群れの前にレモンが顕現させたのは、とぐろ巻く白い大蛇の姿。彼女の裏人格でもある蛇神オロチヒメは、か弱い蜜ぷにを睥睨すると、邪神の念動力を以って吹き飛ばす。
 同時に蛇神の念動力は自身と味方の周囲にオブリビオンの攻撃を軽減する結界を張り巡らせ、敵の侵攻を阻む。
「この中にいれば安全だよ、リリィさん!」
「ありがとうございますっ」
 リリィからの感謝に微笑みで応えたレモンは、自身も結界内から蛇腹剣クサナギを振るう。
 蛇神オロチヒメの結界はオブリビオンの力を弱めるだけでなく、術者であるレモンをパワーアップさせる作用もある。増強された彼女の霊力によって自在に変形可動する蛇腹剣は、さながら巨大な大蛇の尾のように蜜ぷにをなぎ払ってゆく。
 蜜ぷにたちも次々に増援を呼び寄せ合体することで力と数を補おうとするが、レモンとオロチヒメの殲滅速度はそれを上回る勢いである。

「凄い……私も、頑張らないとっ」
 猟兵たるレモンの戦いぶりをキラキラとした眼差しで見つめるリリィは、自身もルーンソードを手に前線へと駆け出す。
 白兵戦を主体とする彼女が戦うには、蛇神の結界の外に出る必要がある。安全地帯を離れて怖いスライムと対峙する――少し前までのリリィなら考えもつかなかったような選択が、今の彼女にはできる。
「やあっ!」
 魔力を纏ったルーンソードの刃が、蜜ぷにを切り裂く。その後方から、レモンの蛇腹剣の刃がうねりながら彼女を援護する。
「危ないと思ったり、疲れた時はいつでも結界に一時避難してよっ!」
「はいっ!」
 退路が用意されているからこそリリィも心置きなく、全力で戦いに専念できる。
 レモンは結界を維持しながら、新入生のために可能な限り蜜ぷにたちの数を減らしてゆくのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

ニコ・ベルクシュタイン
こんな短い間で此処まで成長するとは、
やはり此の少女、只者では無いようだ。
無事に試練を完遂し、立派なマジックナイトになって貰わねばな。

基本的にリリィの援護役として立ち回る
ギリギリまで口出しはせず、アドバイスは必要最低限に
出来る所まで自力で戦ってみるよう提案し、
俺は本当に危ない場面…が無い事を祈るが
必要に応じて精霊銃で【疾走する炎の精霊】による
「援護射撃」を行おうか
あくまで此れは予想だが、スライムならば炎には弱かろう
うちの炎の精霊は手加減を知らぬぞ

とは言いつつも、やはり主役はリリィであるように
余裕があれば「何故スライムが苦手なのか」を聞いてみたいが
あまり触れない方が良いなら止めておこう



(こんな短い間で此処まで成長するとは、やはり此の少女、只者では無いようだ)
 蜜ぷにの群れに立ち向かうリリィの姿を見つめながら、ニコは思う。トラウマに立ち向かう勇気を得た少女は、今この瞬間もまた、成長を続けている。
(無事に試練を完遂し、立派なマジックナイトになって貰わねばな)
 炎の精霊銃、エレメンタル・ワンを構えながら、ニコは彼女の成長を見届けるべく援護役として戦場に立つ。

「出来る所まで自力で戦ってみるといい。本当に危ない時は援護する」
「はいっ、先輩!」
 ニコの提案に頷いたリリィは、ルーンソードを振るい蜜ぷにに立ち向かう。
 戦い方についてギリギリまで口出しはせず、アドバイスは必要最低限に。自分の頭で考えながら実戦の経験を積むことは、何にも勝る成長の糧となる。
 今だ荒削りな部分も多いが、少女の剣技がこの戦いの中で急速に研ぎ澄まされていくのがニコには分かった。

 しかし、戦いは常に優勢とは限らない。襲ってくる敵の中に一匹、他とはまるで動きの違う蜜ぷにが混ざっているのにリリィは気付く。
「っ?! このスライム、強い……っ!」
 その蜜ぷにはぷにぷにぷにっ! と激しく跳ね回ってリリィの攻撃を避けながら、ぽよんと弾力のあるボディで勢いよく体当たりしてくる。パワーもスピードも他のスライムとは段違いの相手に、ペースを乱されたリリィは防戦一方である。
「成長は著しいが、経験はまだ足りないか」
 その様子を後方から見ていたニコは、おもむろに精霊銃の照準をリリィを襲う蜜ぷに――ではなく、その奥で微動だにしない一匹のスライムに合わせる。
「うちの炎の精霊は手加減を知らぬぞ」
 放たれた弾丸は着弾した瞬間、凄まじい勢いで燃え上がり標的を焼き尽くす。その瞬間、リリィと戦っていた蜜ぷにの動きが鈍った。
「えっ? 今度は急に弱くなって……?」
「そのスライムは、仲間に自身を操らせる事で戦闘力を向上させる能力がある」
 ニコが撃破したのは、蜜ぷにのユーベルコード【ボクダッテヤレルプニ】によって召喚された「賢者ぷに」だったのだ。操り手を失った蜜ぷにの戦闘力は元に戻り、あっさりとリリィに撃破される。

「すみません、不勉強でしたっ」
「何、これから学んでいけば良いだけのことだ。……時に君は、何故スライムが苦手なのだろうか」
 戦いの合間の余裕を見計らって、ニコはふと気になっていたことをリリィに問う。
「あまり触れられたくない事なら、無理に答える必要はないが」
「いえ、大丈夫です。……私、小さい頃にこの迷宮でスライムに襲われて以来、ずっとその事がトラウマになってました。でも、今はもう恐怖から逃げたりはしません」
 少女はまっすぐな眼差しでスライムと向かい合いながら答える。
「あの時、私を助けてくれたひとのような……そして今、私を支えてくれる先輩たちのような立派なアルダワの学生に、私もなりたいから!」
「なれるとも、君なら。いつか必ずな」
 リリィの答えにニコは満足げに微笑むと、戦いの主役を彼女に譲り、精霊銃での援護に徹するのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

ヴィサラ・ヴァイン
ん、いいですねリリィさん
勇者とは、普通の人より五分長く勇気が続くだけの人です
今、恐怖と戦ってる貴女は、本物の『勇者』ですよ
では私は本物の『怪物』として【最悪の恐怖】を以ってしてスライム達の相手をしましょう(恐怖を与える 毒使い のレベルを300として扱う)
…あまり見られたくない姿なので[目立たない]様にしますけど
ここまでの道中【頂点捕食者】で食べた恐怖の感情を戦闘力に変え、【猛毒】【恐怖】属性を[毒使い][恐怖を与える]で補強した【押し寄せるハイドラ】の[範囲攻撃]でまとめてスライム達を攻撃します
…ちょっとリリィさんと仲間の反応が気になりますが、私には『怖くない』人が居ますので、大丈夫です



「ん、いいですねリリィさん」
 スライムに立ち向かう少女の姿をヴィサラは優しく、眩しそうに見つめていた。
「勇者とは、普通の人より五分長く勇気が続くだけの人です。今、恐怖と戦ってる貴女は、本物の『勇者』ですよ」
 たったそれだけの事がどれだけ困難かを知る彼女は、心からの賛辞を少女に送る。

(では私は本物の『怪物』として【最悪の恐怖】を以ってして相手をしましょう)
 英雄も怪物も等しく恐れさせる、ゴルゴンの真の力をヴィサラは解き放つ。
 ここまでの道中で食らい続けてきたリリィの恐怖の感情を戦闘力に変え、帽子を取るとその下から百を超える猛毒の蛇髪が姿を現し、蜜ぷにの群れに襲い掛かる。
 蛇髪の群れは蜜ぷにに絡み付いて拘束し、その毒牙で貫いていく。ヴィサラの力で補強された蛇たちの毒は英雄殺しの猛毒。ただのスライムが耐えられるはずもない。
 シューシューと声を上げ、ギラリと眼光を輝かせて押し寄せる蛇の群れを見た蜜ぷにたちは、恐怖のあまり逃げることすらままならない。
 蛇に睨まれた蛙とはこのような状態を指すのだろう。微動だにできない蜜ぷにを、蛇たちは容赦なくムシャムシャと貪り食らっていく。
 ――余談ではあるが、蜜ぷにのボディはその名の通り花の蜜で出来ている。甘くて美味しいと評判である。

「先輩……!」
 蜜ぷにを食らう毒蛇を操っていたヴィサラはふと、目を丸くして自身を見つめるリリィに気付く。――あまりこの姿を見られたくなかったヴィサラだが、同じ戦場でこれだけ暴れればまったく目立たない、というわけにはいかなかったようだ。
「……えっと、これはその」
 どんな反応をされるか不安になる。それでも、自分には『怖くない』人が居るから大丈夫だと、自らに言い聞かせる。
 しかし、次にリリィの口から出た言葉は、ヴィサラの予想とは異なっていた。
「凄いですね!」
「え……?」
「こんなに沢山の蛇を自在に……ビーストマスターでもこんな事できる人は少ないですよ!」
 リリィはヴィサラが抱える葛藤や不安の理由を知らない。だからこそ彼女の眼差しは、先輩に対する純粋な尊敬と憧れで輝いていた。
「私も負けてられません。見ててくださいね、先輩っ!」
 意気込みと共に前線に駆けていくリリィの後ろ姿を見ながら、ヴィサラの口元に浮かんだ笑みの理由は苦笑か、安堵か。
 スライム恐怖症さえ克服してしまえば、あの少女は意外と怖いもの知らずなのかもしれない。

大成功 🔵​🔵​🔵​

ネムネ・ロムネ
※アドリブ歓迎

今まで感じた事を整理しましょう

励ましたり
手を差し伸べたり
ちゃんと耳を傾けて
受け容れて
共感して
そうやって皆はここまで来てましたです
いつの間にかリリィさんの周りには仲間が増えてるのです
んぁ
リリィさん
スライムに立ち向かってる



ん。しょーがねーですね
ネムが出来る事はリリィさんよりもずっと少ねーですけど、一肌脱ぐのですよ

体内のディファレンスエンジンを稼働させ
リリィの後方で狙撃銃で死角からの攻撃や分裂したぷにを制圧し
他の方が戦闘に集中出来るよう援護
体内コアが稼働すると瞳奥の歯車が廻り頭痛と共に鼻血が伝う




リリィさん
(掛ける言葉にあれこれ迷ってから)お疲れ様でした

鼻血を拭いながらサムズアップです


トール・ペルクナス
いい顔だ若人よここは先達として不甲斐ない姿は見せられん

仁王立ちでUCを起動、この身を雷電へと変化させる

帯電しながらリリィ嬢の前へでて
「いい顔になった」
まずは邪魔な輩を消し飛ばすとしよう
【力溜め】をして【属性攻撃:雷】で電力をフルチャージ
【先制攻撃】で《発雷》を発動して視界内のスライム達を【範囲攻撃】で一掃する
「その顔ができればもう心配はいらんな。後は任せておけ」
打ち漏らしを片づけるべくリリィ嬢に背を向けたまま走りだし
雷速で戦場を駆け抜けスライム達へすれ違いざまにバリツを叩きこみ続ける
リリィ嬢や他にスライムが迫るようであれば《発雷》の【マヒ攻撃】で動きを止める
「いつでも若人の輝きはいいモノだ」


フレミア・レイブラッド
ホントに可愛いわね♪真面目にわたしの眷属にしてしまいたいくらいに……でも、やめておくわ…リリィはそのままのリリィが魅力的なのであって、無理矢理魅了してもよく無さそうだし、ね♪(とぼんやり魔眼発動させかけ、途中でやめる)

リリィを念動力でフォローしつつ、【怪力、早業】ドラグ・グングニルで切り裂いたり、密ぷにを【串刺し】にして齧って食べてみたり。
食べて美味しければ最後は【サイコキネシス】と【念動力】で念力の膜に包み、圧縮して仕留めてお土産にしようかしら♪

…信玄餅かしら…?(食べながら)リリィも食べる?

最後に隙を見て悪戯でリリィにキスしてみたり♪
ふふっ…眷属にしない代わりに、記念にね♪

※アドリブ等歓迎


ナイ・デス
ソラ(f05892)と、合流です。ハグ

リリィさん、スライムはまだこわくても、確り立ち向かえる勇気、手に入れたみたい、ですね
ソラ。ここで私、そろそろスライムには、良いスライムもいると、教えたいと、思います
勇者さんたちを、呼びましょう!

【蜜ぷに召喚】です!

一体一体は弱くても、多勢に無勢。勇気を手にしたリリィさん達でも、厳しい時は、くるでしょう
そこを蜜ぷにさん達、援護です!
リリィさんを中心に、円陣を組んで護衛したり
ここまで、恐怖、緊張の連続で疲れているでしょうから
食べてもらって、疲労回復
もっと食べたければ、敵から採りましょう!
仲良くなれたら、上に乗せて、連携したり?
勝鬨?勝鬨、胴上げ!ぷにっしょい!


ソラスティベル・グラスラン
流石わたしのパートナーさん!良いタイミングです、ナイくんっ!(f05727)

リリィさん…見事な啖呵でした!
漲る勇気も十二分ですっ、もう貴方はわたしたちと同じ勇者です!

と、いうことは…わたしたちの秘密兵器もこれで解禁ですねナイくん?
最後に、世には善のスライムさんもいることを彼女に教えてあげましょうっ
リリィさんを助けるのです、我らの勇気ある同志たちよ!
【蜜 ぷ に 召 喚】!

蜜ぷにさんたちはリリィさんの援護と護衛に
ナイくんの蜜ぷにさん軍と連携をとって円陣
うふー!採れる蜜もたっぷりで、一石二鳥ですねっ♪
さあ、リリィさんの迷宮初の突破に勝鬨をあげましょう!
わっしょい!…ぷにっしょい?ぷにっしょい!



「えいっ! やあっ! たあっ!」
 勇気を振り絞り、ルーンソードを手に、怖くてたまらなかったスライムに立ち向かうマジックナイトの少女、リリィ。最初に会った時とは見違えるほどの成長を遂げた彼女を、猟兵たちはそれぞれの想いで見つめていた。

「ホントに可愛いわね♪ 真面目にわたしの眷属にしてしまいたいくらいに……でも、やめておくわ」
 懸命な少女の姿に心を擽られたフレミアは、ぼんやりと魅了の魔眼を発動させかけ、途中でやめる。
「リリィはそのままのリリィが魅力的なのであって、無理矢理魅了してもよく無さそうだし、ね♪」
 そして魔槍ドラグ・グングニルを手に、リリィを援護すべく飛び出していく。

「いい顔だ若人よ。ここは先達として不甲斐ない姿は見せられん」
 同じく、輝きに溢れる若者の姿を見守っていたトールは、その身に雷電を帯びながらリリィの前に出る。
「いい顔になった」
「先輩……?」
 背中に注がれる視線を感じながら、トールはユーベルコードを発動。その瞬間、膨大な電力が彼を中心として迸る。
 自らの身体を雷電そのものに変化させた彼は、まさしく雷電の王と化す。その莫大な力を、身に着けた機械帯と機械籠手に限界までチャージした上で、解き放つ。
「雷の力をその身に刻め」
 トールが見据える先。その視界内にいた蜜ぷには、放たれた雷電によって塵も残さず一掃された。

「その顔ができればもう心配はいらんな。後は任せておけ」
 満足げにひとつ頷いたトールは、リリィに背を向けたまま走り出す。雷電と化した彼の速度は、天より降り注ぐ稲妻のそれに等しい。
 瞬きよりも速く討ち漏らしした蜜ぷにに肉迫した彼は、速度を緩めることなくバリツを叩き込む。遥か東方より伝来したという噂もある謎の神秘の格闘技が、蜜ぷにを完膚なきまでに粉砕する。
 そのまま雷速で戦場を駆け抜けるトールは、次々と残った蜜ぷににバリツを叩き込み、爆散させていく。

「すごい……!!」
「あら、ぼうっとしてちゃ駄目よ」
「わわっ?」
 迷宮に轟く雷電の力に驚愕していたリリィの身体を、フレミアの念動力が引っ張る。直前まで少女のいた場所を、蜜ぷにの体当たりが空振りしていく。
 その直後、彼方より放たれたトールの雷電が蜜ぷにを麻痺させ、動きの止まった獲物をフレミアの魔槍が貫いた。
「まだ気を抜いちゃだめよ?」
「ご、ごめんなさい。気をつけますっ!」
 気を引き締めなおしたリリィの死角をフォローするように、フレミアは彼女と背中合わせになりながら襲ってくる蜜ぷにを魔槍で切り裂き、屠っていく。

「……信玄餅かしら……? リリィも食べる?」
「たっ、食べられるんですかそれっ?!」
 串刺しにした蜜ぷにを齧って感想を口にするフレミアに、吃驚仰天のリリィ。流石にスライム恐怖症の彼女にそれを食べるという発想は無かったようだ。
「結構美味しいわよ。折角だからお土産にしようかしら♪」
 フレミアはにっこりと微笑むと、サイコキネシスを発動させ近くにいた蜜ぷにを念力の膜に包む。そのままぎゅっ、と圧縮して仕留めれば、一口サイズの甘いデザートの出来上がりである。

 そんな戦いの様子を、ネムネは狙撃銃を構えながらじっと観察していた。
(今まで感じた事を整理しましょう)
 ここまでの道中であったこと。そのひとつひとつを振り返りながら、コミュニケーションとはどういうものかを彼女は考える。
(励ましたり、手を差し伸べたり。ちゃんと耳を傾けて、受け容れて、共感して。そうやって皆はここまで来てましたです)
 その結果こそがまさに今、ネムネの目の前に広がっている光景だった。
(いつの間にかリリィさんの周りには仲間が増えてるのです。んぁ、リリィさん、スライムに立ち向かってる)
 沢山の人々に支えられながら。一歩も退くことなく目の前の敵と、己の中の恐怖と戦う少女の姿を、ネムネは見た。

「ん。しょーがねーですね」
 体内のディファレンスエンジンが稼動し、ネムネの瞳の奥で歯車が廻る。脳の機能をブーストした彼女は、瞬時にターゲットを捕捉しトリガーを引き絞る。
「ネムが出来る事はリリィさんよりもずっと少ねーですけど、一肌脱ぐのですよ」
 放たれた銃弾は狙い過たず、リリィの死角から今まさに襲い掛からんとしていた蜜ぷにを撃ち抜いた。
「……! また助けられちゃいました。ありがとうございます!」
 銃声からそれが誰の援護かを察したリリィは、感謝を告げながらルーンソードを振るう。ネムネは小さくそれに頷くと、リリィや仲間たちが目の前の敵との戦闘に集中できるよう援護射撃を続ける。
 死角や後方に回り込もうとするぷにや、仲間を召喚しようとするぷにを、矢継ぎ早の狙撃で未然に制圧し阻止する。
 ディファレンスエンジンの力を借りた正確無比な狙撃の連続はネムネに大きな負荷をかける。頭痛と共に鼻血が伝うが、彼女は構うことなく引き金を引き続けた。

「リリィさん……見事な啖呵でした! 漲る勇気も十二分ですっ、もう貴方はわたしたちと同じ勇者です!」
 感動に打ち震えながら、戦うリリィに熱いまなざしを送るのはソラスティベル。そんな彼女を不意にぎゅっ、とハグする少年がいた。
「合流です」
「流石わたしのパートナーさん! 良いタイミングです、ナイくんっ!」
 これまでは個別に行動していた二人は、まさにクライマックスの瞬間に合流を果たしたのだった。

「リリィさん、スライムはまだこわくても、確り立ち向かえる勇気、手に入れたみたい、ですね」
「と、いうことは……わたしたちの秘密兵器もこれで解禁ですねナイくん?」
 ソラスティベルとナイは互いの顔を見合わせ、そしてにっこりと笑いあう。しっかりと手を繋ぎながら、発動するのは二人の絆と勇気の証。
「ソラ。ここで私、そろそろスライムには、良いスライムもいると、教えたいと、思います」
「ええ。最後に、世には善のスライムさんもいることを彼女に教えてあげましょうっ」
「勇者さんたちを、呼びましょう!」
「リリィさんを助けるのです、我らの勇気ある同志たちよ!」

「「【蜜 ぷ に 召 喚】です!」」

 ぷにっ。ぷにっ。ぷにぷにぷにぷにぷにぷにぷにぷにっ。
「なっ、何が……?」
 不意に後方から押し寄せる無数の気配に気付いて振り返ったリリィは、もはや何度目かも分からない驚愕を覚える。彼女が見たものは――。
『デバンプニー!』
『オナカスイタプニー?』
『オイシクタベテプニー』
『モットキテクレプニー!』
『プニプニー!』
 一体何体いるかも分からないほどの、大量の蜜ぷにの群れ。否、それはもはや軍団と呼ぶべき物量であった。
「てっ、敵の増援っ?!」
 さっと青ざめながら新手の蜜ぷにに剣を向けるリリィ。しかし蜜ぷに軍団は彼女を避けてその周囲に円陣を組み、元からいた蜜ぷにと戦い始めた。
『勇気ト根性でムテキプニ!』
『確実ニ、シトメル、プニ』
『『『最後ニ勝ツノハ、勇気アル者プニ――ッ!!』』』
 ぷにぷにぽよんぽよんと、一体一体は決して強くないものの、溢れんばかりの勇気で蜜ぷに軍団は敵に立ち向かっていく。

「もしかして……味方? 私を守ってくれてるの……?」
「その通りです!」
 きょとんとするリリィに答えたのはソラスティベル。その後ろからナイが一匹の蜜ぷにを抱えて近寄る。
「ここまで、恐怖、緊張の連続で疲れているでしょうから。食べて、ください」
「えっ、いえそれスラ……むぐっ?」
 リリィが言い終わる前に、蜜ぷにの方から口に飛び込んでいった。甘く蕩けるような蜜の味が口いっぱいに広がり、疲労を癒していく。
「お、おいしい……」
「でしょう? もっと食べたければ、敵から採りましょう!」
「うふー! 採れる蜜もたっぷりで、一石二鳥ですねっ♪」
 ノリノリで蜜ぷに軍団と共に獲物を狙う二人に対し、リリィはまだ少し困惑気味だったが、こくんと頷く。
「スライムはまだ苦手ですけど。この子たちが悪い子じゃないのは分かりました」
『プニー!』
「わわっ!?」
 喜んだ蜜ぷにの一匹が、リリィを乗せてぽいんぽいんと戦場を駆け始める。
「こっ、これは流石に怖いですけど……!」
 スライムに跨ったリリィは目を白黒させていたが、すぐに表情を引き締めると馬上ならぬぷに上から敵をなぎ払っていく。

 スライム恐怖症に悩まされながらも数々の試練を乗り越えてきた少女は今、あれだけ恐れていたスライムと共に戦っていた。
 恐怖を乗り越える勇気を得たリリィは、ありったけの想いを込めて刃を振るう。
「やぁーーーーっ!!!」
『プニプニー!!』
 フロアに蔓延っていた最後のスライムをルーンソードが両断し、迷宮に静寂が戻る。それが、この戦いの決着であった。

「大・勝・利! ですっ!」
 残敵がいないことを確認して、高らかに快哉を叫んだのはソラスティベル。
「さあ、リリィさんの迷宮初の突破に勝鬨をあげましょう!」
「勝鬨? 勝鬨、胴上げ!」
「えっ、わっ、ちょっ、きゃー?!」
 言うや否や、ナイとソラスティベルの召喚した蜜ぷに軍団がわらわらと集まってきて、リリィを胴上げし始める。
「わっしょい!」
「ぷにっしょい!」
「……ぷにっしょい? ぷにっしょい!」
「「ぷにっしょい! ぷにっしょい!」」
「おろしてくださぁぁぁぁぁい!?」
 トランポリンの上のようにぽよんぽよんと弾むリリィ。悲鳴を上げるその表情は、しかしどこか楽しそうである。
 どうやら、スライム恐怖症は無事に克服できたようだ。

「いつでも若人の輝きはいいモノだ」
 若者たちの楽しげな喧騒を、トールは少し離れた場所から見守っていた。
 その小さな尊い輝きを守るためならば、彼はどこへなりとも駆けつけるだろう。それが雷電を司る騎士として人を助け悪を挫く、彼の生き様なのだから。

「はふぅ……やっと降りられた……」
「よく頑張ったわね」
 ようやく胴上げから解放されたリリィの元に、微笑みながらすっと近寄るのは吸血姫のお嬢様。
「あ、フレミア先輩。今回は本当にお世話になりま――」
「隙あり♪」
 ちゅっ。
 フレミアの顔が急に近付いたと思いきや、柔らかな感触が一瞬、リリィの顔に触れて、離れた。一拍遅れて何をされたのか理解し、真っ赤になる初心な少女。
「なっ……ななななななぁっ……?!」
「ふふっ……眷属にしない代わりに、記念にね♪」
 どこか大人びた妖艶な笑みを浮かべると、硬直する少女にひらりと手を振って、フレミアは去っていくのだった。

「び、びっくりしたぁ……」
「リリィさん」
「ん? あっ、ネムネ先輩」
 まだ動揺おさまらぬ中、声をかけられたリリィが振り返ると、そこには琥珀色の瞳の少女がいた。
 この二人が会話をするのはこれが三度目。ネムネから話しかけたのは初めての事。
 掛ける言葉にあれこれ迷ってから、少女は鼻血を拭いながらサムズアップして。
「お疲れ様でした」
「……はい! お疲れ様でした!」
 紡がれた労いの言葉に、リリィも満面の笑顔とサムズアップで応えたのだった。

 かくして、今回の迷宮新歓コンパは大成功のうちに幕を閉じた。
 猟兵たちの支えによって恐怖を乗り越えた少女は、学園の新たな仲間としての第一歩を踏み出したのだ。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2019年04月05日


挿絵イラスト