摘め、騒乱の萌芽よ~対『統合体』非対称山岳戦
●破られし平穏、かつての残影
「平和が破るとすれば、六ヶ国のどれかと思っていましたが……控えめに言って理解に苦しみますね、これは」
クロムキャバリアのとある小国家、首都中央部に設けられた豪奢な公邸。かつては『大公国』を名乗り、現在は周囲の諸国家による軍事同盟『六ヶ国連合』の一角を為す『公国』。その指導者たる公王『ニコライ・サフォーノフ』は机上に広げられた戦況報告に眉根を顰めていた。
この『公国』を含む『六ヶ国連合』に対し、突如としてある小国家が宣戦を布告してきたのは今から半年ほど前の事である。相手は『統合体』を名乗る新興国家だ。当初、安全保障の為に『六ヵ国連合』への加入を希望してきたこの国家を、『公国』を始めとする諸国は歓迎した。高い山脈によって隔てられ直接的に国土は接していないものの、此処は戦乱の止まぬ世界である。協力関係が多いに越したことはない。
だが加入交渉が大詰めに入った途端、『統合体』はその本性を剝き出しにした。『六ヶ国連合』の各軍事拠点に対し、突如として奇襲攻撃を敢行。油断し切っていた各国の国境基地を一気呵成に制圧したのである。同時に彼らは宣戦を布告。この裏切りに激怒した『六ヵ国連合』もまた、戦力を動員してこれに対抗。そして、その結果――。
「不意打ちで序盤の優位は得たものの、数の差は歴然。開戦から六か月経過した現在での戦力差は実に十六対一……だと言うのに、前線部隊は何故諦めないのですか?」
王国、協商連合、共同体、皇国、共和国、そして公国。はっきり言って、良い意味で戦力差は圧倒的だった。現時点で『統合体』は各戦線で敗北と撤退を繰り返しており、趨勢は事実上決したと言って良い。それ自体は喜ばしい事だろう。だが、サフォーノフの表情は暗いままだ。
(自治領の反乱、我が父である先王の拘束、六ヶ国和平会談での波乱。それらを乗り越えて齎された平和はおよそ五年。よく保ったと言うべきか、たった五年しかと嘆くべきか。いや、それよりも……|似ていますね《・・・・・・》。)
脳裏に浮かびしはかつて受けた苦難の日々。そして、その発端となった先代公王の暴走。国力差を顧みぬ無理筋な侵攻には、見覚えがあったのである。あの時、父たる男の精神状態はマトモではなかった。もしかしたら、『統合体』もそうなのではないか。そんな推測を裏付ける資料がいま、彼の手元にあった。
(『統合体』を治める評議会とやらから送られてきた密書。そこには悲鳴染みた停戦交渉の要望に加え、|前線部隊指揮官の暗殺依頼《・・・・・・・・・・・・》まで盛り込まれていました。武力を制御できない政府など言語道断ですが……いや、首脳部は辛うじて理性的だと寧ろ喜ぶべきでしょうか)
制御の利かない軍人など、有能な敵よりも厄介だろう。自分の手で排除出来ないのなら、恥を忍んで敵に頼み込むのも苦肉の策としては有りだ。サフォーノフは暫し思案した後で、机上の電話を取る。
「ああ、私です。済みませんが、|猟兵《イェーガー》と連絡を取って貰えますか? 依頼したい事がありまして……ええ。この手の内容は正規戦力より、外部の雇用兵が適していますので。はい、詳細は任せます」
部下へ手短に指示を出し終えると、彼はクッションの利いた背もたれに体を預け、深々と溜息を吐く。権力者が思うがままに行動できるなど絵空事だ。本気で国家を営みたいのであれば、制約に雁字搦めとなってしまう。それをはき違えた者の末路は推して計るべし。
「……こういうのを嫌って、一切合切を巻き添えにしたのですかね、貴方は」
儘ならぬものだ、と。そうしみじみと思考を巡らせながら、かつてより些か歳を重ねた青年は孤独な執務室で天井を仰ぎ見るのであった。
●
「良く集まってくれたな、戦友諸君。さて……この中に『ドストニエル大公国』という国家に聞き覚えがある者は居るだろうか?」
グリモアベースに集った猟兵たちを前にし、フランツィスカ・リュッツオウ(音速越えの叛逆者・f32438)は開口一番そう問いかけた。帰ってくる反応は様々だが、それも無理はないと女軍人は小さく頷く。何せ、その小国家を取り巻く事件は随分と前に一つの区切りを迎えたのだから。
「詳細を語ると長くなるので、掻い摘んで話そう。かつてこの国は首脳部がオブリビオンマシンに浸食され、各国に対し無謀な侵攻を開始した。序盤こそ優先だったが、当然そんな攻勢は続かない。属国に反旗を翻され、戦線の維持も儘ならず、首都陥落も時間の問題……と言う所で、軍部がクーデターに成功。辛くも交戦していた周辺諸国と和平を結ぶことに成功した、と言うのが五年前の話でな。一連の騒動に我ら猟兵も関与していた」
その後、公国を含む交戦した国々は軍事同盟『六ヵ国連合』を締結。各国は互いに腹の探り合いをしながらも戦力的均衡は保たれ、またこの同盟へ喧嘩を挑む国家もおらず、束の間の平和を謳歌していたのである。だが、それも半年前までの話だ。
「山脈に隔たれた隣国『統合体』がこの軍事同盟への参加希望を打診してきたのが六か月前。賛否はあったものの調査と議論の末に受け入れが決定され、正式に加入の取り交わしが行われる直前。突如として『統合体』が各国に対し電撃的奇襲を行った」
友好ムードだった各国はこの裏切りに対応できず、次々と国境基地が陥落。このまま『統合体』が一気呵成に主導権を握るかと思われた、が。
「似たような事を既に『大公国』が行っていたのだ。二度も同じ手を食うほど、国家と言う集団は甘くはない。各国は体勢を立て直すと攻勢に転じ、瞬く間に戦況は逆転した。しかし、そこからが問題だった」
前述の通り、『統合体』と『六ヶ国同盟』は山脈によって国境が隔てられている。つまり攻め込んで来た連中を撃退できても、敵国へ乗り込んで降伏させるのが困難だったのだ。『統合体』側の前線部隊が無謀な攻勢を継続した事も相まって、戦況は泥沼と化した。
「だがそもそも、『統合体』側首脳部にとってもこの侵攻は意図していなかったようでな。つまるところ、前線指揮官の暴走だ。オブリビオンマシンに洗脳された前線指揮官が文民統制を無視して暴発した、と言うのが真相らしい。無論、公に認めてはいないがな」
そこで彼らはかつて同様の行為を行いながらも存続した『公国』へ密書を送り、秘密裏に事態の打開を懇願。自軍を動かすのはリスキーだと判断した『公国』は外部戦力たる猟兵に声を掛けた、という訳である。
「という訳で前提条件が長くなってしまったが、諸君らにはこのオブリビオンマシンに汚染された侵攻部隊を殲滅して貰いたい。暴走している指揮官の生死は……現場の判断に一任する。仮に活かしておいたとしても、未来は明るくは無いだろうがな」
ともあれ、詳細は現地に到着すれば『公国』側が説明してくれるらしい。かつて助力を得た恩義もあってか、支援も報酬も手厚いとの事だ。そうして説明を締め括ると、フランツィスカは戦友たちを送り出してゆくのであった。
月見月
どうも皆さま、月見月でございます。
6月は台湾の剣術トーナメント遠征に掛かり切りでした。
なお結果に関しては来年もリベンジ予定とだけ()。
それはそれとしてクロムキャバリアで戦争のお時間です。
それでは以下補足。
●作戦成功条件
『統合体』前線指揮官の撃破。
※生死は問いません。
●第一章開始状況
到着時刻は夜、戦場は『統合体』との国境を隔てる山脈付近。夜陰に乗じ、殲禍炎剣に撃墜されぬよう山頂高度スレスレを飛翔して来る敵戦力の迎撃となります。高度を抑えているとは言え地上から見ればかなりの距離になる為、一工夫せねば命中させることは難しいでしょう。一章での戦果次第で、二章以降で交戦する戦力の多寡が決定します。詳細は断章投下時に捕捉予定です。
第二章、第三章の状況に関しても都度断章にて補足します。
●プレイング受付について
断章投下時に開始タイミングを告知します。参加人数や繁閑の状況によっては再送をお願いする可能性がありますので、その点を予め御了承を頂けますと幸いです。
それでは、どうぞよろしくお願い致します。
第1章 冒険
『夜間防空戦、用意』
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POW : 対空砲火、地上より弾幕を形成せよ。
SPD : 緊急要撃、速やかに離陸し交戦せよ。
WIZ : 電探走査、敵部隊の位置を把握せよ。
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種別『冒険』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
●流れた歳月、新たなる騒乱
国境付近に設けられた、『公国』軍の前哨基地。時刻は深夜、すっかり漆黒の帳に包まれながらも、国境沿いに悠然と聳え立つ山脈は依然としてその存在感を放っていた。古来より、山脈が国境線の代わりになったと言うのも頷ける光景だ。
だがもしも、数年前の一件に関わっていた者がこの場に居れば、景色以上に『空気』の変化を感じ取っただろう。かつて漂っていた、或いは他国では日常と化している硝煙臭さが極めて薄いのだ。無論、周囲には破壊されたキャバリアの残骸が転がってはいるのだが、逆にそれが異質に感じるほどに、である。
「……五年前に行われた、交戦六ヶ国による和平会談。|少しばかり《・・・・・》一悶着あったものの、各国は緩やかな協力関係と段階的な戦力削減を実行。結果として、この地域は貴重な平穏を甘受する事になりました」
――半年前までは、ですけれどね。
そんな中、不意に猟兵たちへと声を掛ける者が居た。そちらを振り返ると、数人の護衛を引き連れた身なりの良い男が佇んでいる。歳の頃合いは青年と言うにはやや年嵩だが、中年と見做すにはまだ若い。そんな『脂の乗った』とでも言うべき年代の男は慇懃に腰を折って猟兵たちを出迎えてゆく。
「失礼、挨拶が遅れました。私が皆さんに依頼を出したニコライ・サフォーノフ……このドストニエル公国の公王を務めております。初めての方もそうでない方も、どうぞお見知りおきを」
かつては已むに已まれず行動した青年将校も、様々な苦難に揉まれたのだろう。どこか余裕と円熟した雰囲気を纏いながらも、僅かばかりの苦々しさを滲ませている。居住まいを正したサフォーノフは早速現状について説明を始めた。
「『統合体』の軍事同盟加入に端を発する此度の騒動……率直に言って、今の流れであれば順当に我々『六ヵ国連合』が勝利します。そもそもが六対一なのです。幾ら奇襲で序盤のイニシアチブを握ったとはいえ、そのまま押し切れるほど甘くはありません」
当初は彼の言葉通り、『統合体』は潜ませていた戦力を一気に動員する事で優位に立てた。だがその後、頭痛の種となったのがこの山脈だ。事前に潜ませていた戦力が損耗し、その補充を送り込もうにも道らしい道なぞ有りはしない。結果、急速に勢いを失った『統合体』部隊は後退を余儀なくされてしまう。
「……しかし、彼らを助けたのもまたこの山脈でした」
あちらから来るのが困難であれば、その逆も然り。侵攻してきた戦力をほぼ殲滅し切った『六ヶ国連合』もまた、『統合体』本国を抑える事が出来なかったのである。か細い道で何とか部隊を通そうとしたが、今度は向こうの戦力による待ち伏せで大損害を被った。
「斯くして、状況は一進一退となりましたが……そもそも、『統合体』はこの事態そのものが想定外だったらしいのです」
そう言って、サフォーノフは一枚の手紙を取り出す。そこに記載されていたのは今回の奇襲が一部隊の独断に端を発する事、決して裏切る遺志は無かった事、その証拠として前線指揮官の処遇を『六ヶ国連合』、ひいては『公国』に一任する旨が記されていた。
「まぁ、劣勢でも国家はメンツに固執するもの。攻撃の意志が無かったと言う部分については話半分に聞くべきですが、同時に停戦したいと言う意向自体は本物の様です。ただ、正規戦力で事に当たれば、戦後処理で痛くもない腹を探られかねません……だからこそ、皆さんをお呼びしました」
停戦の為にも、暴走している前線指揮官の排除は必須だろう。現在、敵戦力は殲禍炎剣に撃墜されぬよう、山脈と同高度スレスレを飛翔して此方側へとやって来ている。無茶な方法であるため送り込まれる頭数はそう多くは無いが、夜陰に乗じる事で監視の目を掻い潜らんとしているらしい。
だが、その悉くを撃墜してやれば相手の目論見も外れる筈。そもそも後が無い連中だ。ハラスメント攻撃すら満足に出来ないと分かれば、指揮官自身が姿を現す可能性は高い。そうなれば、後は撃破するなり捕縛するなりするだけである。
「対空ミサイルや対空砲、汎用機ですがキャバリアの用意もあります。ご自由にお使い頂いて構いません……皆さんの実力は、十二分に知っておりますので」
そうしてサフォーノフが説明を締め括った、直後。
――ゥゥゥゥウウウウウウ!
宵闇をつんざき、けたたましいサイレンの咆哮が木霊する。前哨基地のレーダー群が接近してくる敵機の存在を捉えたのだ。次々と探照灯の光柱が夜空を貫き、耳を澄ませば大気を斬り裂くエンジン音の低い唸り声も耳朶を打つ。事態は待ったなしであるが、敵軍が地上へ降り立つまでに暫しの猶予が有るだろう。
さぁ、猟兵たちよ。迫り来る機影を迎撃し、次なる戦いへの弾みとするのだ。
※MSより
プレイング受付は17日(金)朝8:30~より。
第一章は夜陰に乗じて迫り来る敵キャバリアの迎撃戦となります。前哨基地には対空兵装の類が豊富に運び込まれており、求めれば『公国』側は必要な装備を提供してくれるでしょう。本章の戦果次第で二章開始時点の戦況が有利になる可能性があります。
どうぞよろしくお願い致します。
村崎・ゆかり
どうやら、以前にお仲間が介入したことのある戦場みたいね。その時に居合わせられなかったのが残念。
現地駐留戦力の独断による無謀な交戦開始か。兵が従ってるのは、最高指揮官の独断だと知らないからでしょうね。まあ、ここで不殺とか言うほどあたしも馬鹿じゃないし。兵員には運が悪かったと諦めてもらいましょ。
「暗視」で敵影を確認。
味方が来る前に手っ取り早く行きますか。
敵航空戦力の直下に「目立たない」よう入り込んで、「全力魔法」風の「属性攻撃」「天候操作」「なぎ払い」「引き裂き」「仙術」で風吼陣。
部隊中央から吹き上がる刀剣含む竜巻に、陣形を維持していられるかしら?
飛行ユニットの給気部に剣が刺さったりもあるかもね?
●暴風、吹き荒れて
「……なるほど? どうやら、以前にお仲間が介入したことのある戦場みたいね。その時に居合わせられなかったのが残念。まぁ、その分は今回の働きで代えるとしましょうか」
夜陰の漆黒と探照灯の暴力的な白。その対比の中で手元の戦闘報告書に目を落としていた村崎・ゆかり(“|紫蘭《パープリッシュ・オーキッド》”/黒鴉遣い・f01658)はそう独り言ちる。
事前説明では概要しか触れられなかったが、よくよく調べてみればこの『公国』も数奇な歴史を歩んで来たらしい。その一端に関われなかったのは確かに惜しむべき事だが、少なくとも新たな動乱には間に合った点を良しとすべきか。
「で、内容としては現地駐留戦力の独断による無謀な交戦開始か。兵が従ってるのは、最高指揮官の独断だと知らないからでしょうね。物理的にも距離があれば、末端が本国の意向まで把握するのも厳しいだろうし……こういうのを軍閥って言うのかしらね?」
纏まった戦力を持ち、かつ政権中央からも距離のある集団が無断行動を始める例など、歴史を紐解けば枚挙に暇がないものだ。加えて、そういった連中は得てして動いて欲しくないタイミングにこそ行動すると相場が決まっていた。
「まあ、ここで不殺とか言うほどあたしも馬鹿じゃないし。兵員には運が悪かったと諦めてもらいましょ。厳しいようだけど、軍人と軍隊って存在はそういうモノだからね」
軍とは戦う為の存在である。『統合体』がどんな政体だかは知らぬが、そこに所属する以上は文句を言われる筋合いも無し。手にしていた書類束を仕舞いつつ、ゆかりは頭上へと視線を向けてゆく。
「……一つ、二つ、いや三つかな。固まらず、三機編成毎に分散して突っ込んできている感じか。一網打尽にされるよりかはマシって考えのようね。まずは一当て、味方が来る前に手っ取り早く行きますか」
高度はまだ高く、その上いまは深夜。機影なぞ点にしか見えない筈だが、朧気ながらでも位置や数を把握できたのは流石と言うべきか。だがその一方で相手も侵入に気付かれた事を悟ったらしい。降下速度を速めながらも、回避機動を取る素振りを見せ始めた。
敵としても殲禍炎剣を懸念し続ける高々度飛行は短時間で済ませ、早々に敵部隊や基地に張り付いての戦闘に移行したいのだろう。乱戦になってしまえば侵攻部隊の思う壷だが、そうは問屋が卸さぬと陰陽師は霊力を練り上げてゆく。
「古の絶陣の一を、我ここに呼び覚まさん。天上までも響き渡る破壊の風よ。その身に宿せし無限の剣刃により触れるもの悉くを裁断せよ。疾!」
形作られる術式は金鰲島十天君が一人、董天君の『風吼陣』。風速50m、即ち家屋が倒壊する程の暴風が吹き荒れ、更にはそれらに乗って無数の刀剣が闇夜へと吸い込まれる。探照灯の中を通過する度にキラリキラリと瞬くが、見た目以上に剣呑な代物だ。
「部隊中央から吹き上がる刀剣含む竜巻に、陣形を維持していられるかしら? 運が悪ければ、飛行ユニットの給気部に剣が刺さったりもあるかもね?」
相手も異変を察知して軌道を変えようと試みているらしいが、高空まで届く暴風がそれを許さない。果たして敵機は回避運動とは異なる動きを見せたかと思うや、一機、また一機と漆黒に緋色の閃光を咲かせて消える。
しかしそれで尻尾を撒いて逃げ帰る程、侵攻部隊も弱卒では無いらしい。引き続き後続の編隊が接近してくるのを感じながら、ゆかりは漆黒の帳へと目を凝らしてゆくのであった。
大成功
🔵🔵🔵
イクシア・レイブラント
翼を広げ航空戦力と同じ高度まで[空中浮遊]して第二波を待ち構え
敵機群に[情報伝達]で警告。
当方に迎撃の用意あり。ただちに国境から立ち去りなさい。
戦いは避けられないだろうからドローン展開、データリンク開始。
航空機群の位置を[暗視、索敵]で把握、
出力を上げ[煌めきを纏う]ことで敵の注目集め[空中機動]で攻撃を躱し、
【削り抉る電磁嵐】を敵機に直撃させて[プラズマ発光]。
ここまで明るくなれば、夜闇に紛れることもできないはずよ。
逃げる敵は追わないけれど、
脱出した兵士に余計なことをされても困るからフォースバインドで[捕縛]。
この戦いが終わるまで大人しくしてもらうよ。
●閃光、視線を招き
煌々と瞬いた紅蓮の閃花も、すぐさま深い闇夜に呑まれ消えゆく。空を斬り裂く探照灯の光柱、断続的に鳴り響く対空砲の轟音、そして数を増しながら接近する低いエンジン音。静寂を望まれるべき筈の国境前哨基地は、幾度目かも分からぬ騒乱の只中に合った。
そんな中、音も無く地上より飛び立った影を敵味方共に確認できなかったのは責められまい。翼を広げ、ややもすれば天も地も覚束なくなる漆黒の中心でピタリと静止したのはイクシア・レイブラント(翡翠色の機械天使・f37891)である。
(山脈から飛び立っているのは同じ……だけど多少遠回りになったとしても、敢えて複数方向に分かれて浸透。対空砲火を分散させた上で一気に降下を狙っている、と)
戦力の逐次投入と各個撃破は戦術上の愚行だが、勝利ではなく|嫌がらせ《ハラスメント》が目的であれば話も変わって来る。勝ちはしないが、負けもしない。軍人らしくないが、戦禍の拡大を狙うオブリビオンマシンならば選びそうな手だった。
「……警告します。これ以上の領空侵犯は認められません。当方に迎撃の用意あり。ただちに国境から立ち去りなさい」
そんな意図を踏まえた上で、イクシアは敢えてそう警告を発してゆく。通信を行えば当然、こちらの位置も知られてしまう。不利は百も承知だ。しかしこれが戦争である以上は、守らねばならぬルールもまた存在している。尤も、彼女とてむざむざ無防備を晒すつもりも無し。
(一隊はそのままこちらへ向けて直進、その他は降下態勢に入った模様。一部を囮にしてでも、本隊を送り込みたいって腹積もりかな? であれば、こちらが取るべき選択は……)
鎧装騎兵もまた抜け目なく周囲に索敵用のドローンを展開。通常の視界では見通せぬ暗闇の中、蠢く機影をつぶさに捉えてゆく。どうやら一部を足止めとして差し向けつつ、残りは戦闘では無く降下を優先しているらしかった。
その動きに迷いは見受けられない。だが事実上の負け戦かつ捨て駒となれば、幾ら何でも躊躇いの一つもありそうなものだ。一抹の疑念を抱きつつも、こちらの存在を把握しながら無視しようと言うのならば受けて立つと、イクシアはレーダーに意識を集中させてゆく。
「目標範囲確定。対象……捕捉完了。FCS、オールグリーン。周辺空域に友軍機の反応、無し。全弾、射出ッ!」
果たして、彼女は全身に纏った推進器から翠色に煌めく粒子を振りまいて視覚的な注意を引きつつ、立て続けに誘導弾を放つ。夜間飛行においては計器を信じる事が大原則だが、そうと分かっていても強烈な光源が現れればそちらに目が行ってしまうものだ。
斯くして次の瞬間、幾つもの閃光が夜空に迸った。命中と同時に弾頭へ搭載されていた電磁装置が強烈なプラズマを生み出したのである。それは不用意に視線を向けた操縦者のみならず、機械的な|眼《レーダー》も潰してしまう。降下中に自機の現高度を把握できなくなった者がどうなるのか。その答えを地上に生じた赤い炎が示してくれた。
「敵部隊は降下をいったん取りやめ、再度上昇を開始……だけど、離脱する気配は無いみたい。逃げる敵は追わないけれど、向かってくるなら対処するまで。撃墜された兵士も、この戦いが終わるまで大人しくしてもらうよ」
イクシアは自らの戦果を確認しながらも、脱出に成功し落下傘で宙空を漂っていた操縦者を抜け目なく捕縛していた。気を失っているのですぐに情報を聞き出す事は出来ないが、下手に暴れられるよりはマシか。
一方の『統合体』部隊も損害を出しつつも、退く様子は無い。鎧装騎兵は小さく嘆息しながらも、反転して来る敵の動きを追跡しつつ、迎撃を続けてゆくのであった。
大成功
🔵🔵🔵
エドゥアルト・ルーデル
おっサフォーノフ氏じゃん、あちこちぶん殴って公国を帝国にランクアップさせようぜ
地上でわやつくよりはやっぱ制空戦闘でござるよね!という訳で拙者も戦闘機を出しますぞ
こいつはツインイオンエンジ…いやこれはスペースシップワールドの戦闘機でござる
本当でござる
すごく本当でござる
妙に耳に残る飛行音を出しながら迎撃戦闘開始ですぞ!派手に音出して飛べば向こうから寄ってくるでござろう
この機体の特徴は徹底的に軽量化された機体からくる機動性でござるので
高旋回で背後を取りながらレーザーキャノンを叩き込んで行け!
良い機体でござるね!アホ程横が見づらいのに目をつぶれば…
空に高らかとインペリアルな行進曲を響かせてやる
●星空に戦乱は満ち
「……猟兵の戦い振りを見るのも五年振りですが、やはり凄まじいものです。頼もしいと同時に、彼らと相対した『統合体』側の心境を考えるとゾッとしませんね」
雄大に聳える山脈を背に、漆黒の夜空を舞台に繰り広げられる防空戦。地上と異なる難しい戦場にも拘らず、危なげなく敵機を仕留めて見せる猟兵たちの戦いぶりに公王は思わず舌を巻く。
その立ち回りは以前の記憶よりも更に洗練されているようにも思える。いったいどこで、どんな戦場を経験すれば身に着くのだろうか。そんな懐かしさにも似た感覚を覚える青年へと、声を掛ける者が居た。
「おっ、サフォーノフ氏じゃん。久しぶりでござるよ。あれから随分とイイ感じの戦力になってるし、あちこちぶん殴って公国を帝国にランクアップさせようぜ」
仮にも相手は一国の首脳だと言うのに、エドゥアルト・ルーデル(黒髭・f10354)の口振りは気安いものだ。だが、それも当然だろう。この傭兵は自治領の反乱、前公王との決戦、六ヶ国和平交渉に関わった猟兵の一人なのだから。
「黒髭殿も壮健そうで何よりです。多少は国家運営の経験も積めましたが、まだいまの『公国』で四苦八苦している有様……『帝国』など元より、かつての『大公国』であっても纏め切れませんよ?」
「野心が無いでござるなぁ……それはさておき、地上でわやつくよりはやっぱ制空戦闘でござるよね! という訳で拙者も戦闘機を出しますぞ~!」
再会の挨拶もそこそこにエドゥアルトもまた防空戦へ参加せんとする。地上から対空砲をちまちま撃つなぞ性に合わぬと、彼は自前の翼を用意していた。パチリと指を鳴らした傭兵の傍らでライトアップされたのは、球体フォルムが目を惹く戦闘機だ。
一見すると、それは旧スペースシップワールドを支配していた銀河帝国軍の宙間戦闘機に酷似していた。だが、よくよく観察すると細部がやや異なる。具体的には主翼が三枚羽ではなく、機体を挟み込むような板状の――。
「おおっと、それ以上は危険が危ないですぞ。こいつはツインイオンエンジ……いや兎も角これは正真正銘スペースシップワールドの戦闘機でござる。本当でござる。すごく本当でござる。夜空に流れる|文字列《スクロール》なんて見えないでござるよ」
上を見ても夜空しか見えないが、きっと傭兵には別な何かが見えているのだろう。銀河とか。そんなこんなでエドゥアルトは機体へ乗り込むや、妙に耳に残る飛行音を放ちながら飛び上がってゆく。
先に交戦した仲間から、相手も派手な光に注意を取られることが判明している。なればこちらは音だとばかりに、空恐ろしさすら感じさせるエンジン音をこれ見よがしに響かせ始めた。
『おお、釣れた釣れた。でも、こんな餌に釣られたら駄目でござるよぉ? この機体の特徴は徹底的に軽量化された機体からくる機動性でござるので、格闘戦はこっちの独壇場ですぞ!』
先の交戦によって迎撃戦力を放置しておくのは不味いと悟ったのか、『統合体』侵攻部隊は傭兵の機体を撃墜しようと襲い掛かって来る。だが奇妙な見た目とは裏腹にエドゥアルトの機体は尋常ではない機動性と旋回能力を見せて回り込むや、レーザーキャノンで瞬く間に敵機を叩き落としてしまう。
『良い機体でござるね! ……生存性度外視の紙装甲と、アホ程横が見づらいのに目をつぶれば』
ほぼ真正面しか見えないのが玉に瑕だが、当たらなければどうと言う事は無い。駄目押しとばかりに何か荘厳な曲を垂れ流しながら、エドゥアルトは意気揚々と夜間航空戦を楽しむのであった。
大成功
🔵🔵🔵
カグヤ・アルトニウス
〇強行偵察
恐らく、私はこの前の騒ぎの当事者なのでしょうけど…
先日のあれだけの騒ぎがあった以上はこうなるのは予想の範囲内でしたけどね。
(乗機)
ホワイト・レクイエム
(行動)
今回の目的は山岳の反対側への強行偵察です
まずはユーベルコード発動…熱光学【迷彩】・物質透過モードにして連中の足元の山脈を突っ切り…出来れば先日の「聖槍」の跡を利用して、背後に回り込みます
あとは、連中の戦力と指揮系統を【偵察】・【索敵】して終わり次第、山脈を越える敵部隊の背後にトゥインクルスターのゲートからエンジン狙いの赤外線誘導マイクロミサイル【一斉発射】+【誘導弾】+【メカニック】を多数ばら撒いてその隙に引き上げます
●忌むも恵むも山脈次第
『……先日は文字通りの総力戦を仕掛けた国家があったと思えば、今度は上の意向を無視して戦い続ける指揮官ですか。この世界は本当に争いの芽が絶えませんね』
上空で鳴り響く砲火や山肌スレスレを掠めてゆくエンジン音。それらを全身で感じ取りながら、カグヤ・アルトニウス(とある辺境の|私掠宇宙海賊《プライベーティア》・f04065)はそう操縦席で独り言ちる。
彼と彼の乗機である白銀の鉄騎はいま、前哨基地周辺ではなく両国を隔てる山脈の中腹にあった。敵部隊は殲禍炎剣に撃墜されぬよう、山頂高度スレスレを飛翔している。であれば、ただ地上から攻撃するよりもこの方がまだ近距離で狙いをつける事が出来るはず。加えて、カグヤにはまた別の狙いがあった。
(山脈反対側への強行偵察……そもそもの話、この山脈があるからどちらも負けはしないけれど勝ち切れもしない。なら、改めて地形の情報を得ておけば後々役に立つはずです)
『六ヵ国連合』と『統合体』の戦力比は単純計算で六対一。奇襲を仕掛けられたとは言え、通常であれば六か月も時間が掛かる事は無い。だがこの国境も兼ねた雄大な山脈が天然の城壁と化し、両軍の大規模な軍事行動を阻んでいたのである。
無論、今回の依頼は飽くまでも『統合体前線指揮官の排除』である為、此処を超えて敵本国へ直接攻め入る段階まではいかないだろう。だが、もしも開拓可能なルートなどを見つけることが出来れば、以降の作戦行動に指針となるかもしれなかった。
(機体を物質透過モードに変更すれば、ある程度の物理的な障害は無視できます。万が一にでも故障すれば、山一つ分の重量に押し潰されてしまいますが……このまま直進して敵部隊の背後を抑え、偵察と同時に攻撃を仕掛ければ一石二鳥ですからね、っと?)
そうして人知れずに山中を進むカグヤだったが、ふっと暗中に明かりが差す。何事かと見上げれば、どうやら渓谷に差し掛かって石土の中から出てしまったようだ。国境に対して平行に生じた深い谷。移動経路になるどころか、超えて渡らねばいけない障害だが、事前に把握できていれば対処のしようもあるだろう。そうしていったんカグヤが足を止め、地形情報を記録し始めた、その時。
『これは……運が良いやら悪いやら』
ちょうど頭上を通り過ぎる敵の一隊を見つけてしまう。機体からもレーダーによって走査された旨の警告が発される。夜間の低空飛行は危険も多い。地形をリアルタイムで計測しながら進路と航路を計っており、恐らくはそれに捕捉されたのだ。
舞い戻って襲撃されるのは無論、みすみす国境基地まで素通りさせるのも本末転倒。だが今なら、背後から一撃を叩き込めるはず。カグヤは亜空間から赤外線誘導マイクロミサイルを出現させると、素早く照準を合わせて解き放つ。
『配下の兵力は飽くまで上の指示に従っているだけですからね。エンジンを狙って無力化するだけでも十分でしょう。ただ、こちらが見つかった可能性がある以上、これ以上の深入りは少しばかりリスクが大きそうです』
パッと赤い閃光が瞬いた後、白煙を曳いて敵機が墜落してゆく。一先ずは最低限の目的は果たせたか。そう判断したカグヤは踵を返すと、仲間たちと合流すべく後退してゆくのであった。
成功
🔵🔵🔴
灯璃・ファルシュピーゲル
SIRD一員で連携
自機・暗視使用
意味も無い殉職をさせられる国民ほど気の毒なものは無いですね…
事前協力貰いキャバリア用の近接空中炸裂弾を準備
局長と情報共有し、監視し予想飛来経路で地形の起伏が激しい地点に敵が差し掛かった処で、指定UCでレーダー波を吸収する霧と元の地形を欺瞞する様に巨大な黒壁を周囲一帯に一気に展開、夜間に低高度で急いで飛ぶ以上は地形追従レーダーと事前の地形情報頼りになるでしょうから、目と耳を奪われれば速度と高度を落として陸標確認せざる負えなくなるかなと。
速度が落ち地形への判断も鈍らせたところを容赦なく狙撃し、翼と推進器部狙いで炸裂弾を撃ち込み確実に山へ叩き落とすよう戦う
アドリブ歓迎
ネリッサ・ハーディ
【SIRD】のメンバーと共に行動
自国の指揮官なのに暗殺依頼とは…余程切羽詰まっていると見えます。
この手の航空機(まぁ正確には異なりますが)の夜間侵攻時、編隊の先頭に指揮官機もしくは|先導機《パスファインダー》がいるのがセオリーでしょうからそれを優先的に叩けば敵に混乱を与えられる筈です。
UCの夜鬼を飛ばして早期警戒機代わりにし、敵の位置や状況などを確認、SIRDメンバーや味方に伝達。更に可能ならばUCの炎の精を使用し、複数の炎を精を集めて照明弾代わりに照らし出し、同時に敵機体の飛行ユニット等を攻撃させます。
最悪撃破できなくても飛行能力さえ奪えば、とりあえずこちらの戦術的目標は達成できる筈です。
ミハイル・グレヴィッチ
SIRDとして行動
この国に来るのも久方ぶりだな。束の間の平和だったな。んじゃ一仕事して、公王サマからタップリ御褒美貰うとしようぜ。
UCでストーラウスの30mm連装機関砲で上空の敵機目掛けて対空射撃で弾幕を張る。この手の対空砲火の命中率はせいぜい4千発に1発、夜間なら猶更低下する。誘導兵器を使用しても電子妨害等で逸らされるのがオチだ。という訳でここは物量で補うのが確実、いわゆる下手な鉄砲も数撃ちゃ当たる、ってヤツだ。幸い、弾薬費は公王サマが気前良く出してくれるそうだから、遠慮なくブッ放せるぜ。
しかし、暴走した指揮官を始末しろ、ね…こーゆーイカれたヤツに心当たりは一人いるが…杞憂だといいんだがな。
梶浦・陽臣
●WIZ対応
●絡みあり
●SIRDとして参戦
「おー来た来た。おいでなすったぞ」
けたたましく鳴るサイレンの音を聞きながら、食べていた軽食を置いて立ち上がる。
「さて、食後の運動の時間だな。久々に働くとしようかな!」
運動がてらと言いたげに、自身の能力を使い魔剣を9本生み出す。
「どうせ隠れて迫ってきてる連中もいるだろうから、俺はそいつらを締め上げに行くとするかな!」
生み出した9本の魔剣は、光と共に姿形を変え、魔剣兵(情報収集レベル100)と姿を変える。
「さぁて魔剣兵共、仕事の時間だ。俺と一緒にかくれんぼに勤しんでるであろう奴らを見つけて締め上げるぞ!」
そしてそのまま、魔剣兵を率いて敵部隊の捜索に出た。
●情報こそ我らが領分
「……この国に来るのも久方ぶりだな。だが、国家から見れば五年なんざあっと言う間か。そう考えると束の間の平和だったな。出来れば呼ばれないに越したことは無かったんだが」
浜の真砂は尽きるとも 世に戦乱の種は尽きまじ。微かな懐かしさとこの世界の宿痾を感じながら、降り立ったミハイル・グレヴィッチ(スェールイ・ヴォルク・f04316)はそう独り言ちる。
アース系世界において悪名高い二度の大戦も、その間は二十年ほどの戦間期が存在していた。そう考えると、五年と言う月日は短いと言えよう。しかし戦火が絶えぬからこそ、彼のような傭兵が食っていけるのもまた事実だ。
「んじゃまぁ、せっかくお声がけ頂いたんだ。一仕事して、公王サマからタップリ御褒美貰うとしようぜ」
「ただ、肝心の依頼内容が些か複雑ですね。自国の指揮官なのに暗殺依頼とは……それも交戦中の敵国に頼み込むなど、余程切羽詰まっていると見えます。或いは自分で高級将校を処断するより、戦死した方が収まり良いと言う意図でしょうか?」
割り切りの良い仲間とは対照的に、ネリッサ・ハーディ(クローク・アンド・ダガー・f03206)は作戦や依頼の内容を読み直しながらそんな疑問を口にしていた。同じ負け戦の戦死でも『停戦の手土産代わりに処刑される』のと『飽くまでも抵抗を貫き果てた』では受ける印象もまた違ってくる。それは対外的のみならず、国民に対しても、だ。弱腰に見えつつもそんな意図を持っているのならば、存外『統合体』首脳部も強かなのかもしれない。
「いわゆる国家のメンツ、ですか。理解は出来ますが、ただその為に意味も無い殉職をさせられる国民ほど、気の毒なものは無いですね」
だが上がどんな考えであれ、そのツケを払わされるのは下であると灯璃・ファルシュピーゲル(Jagd hund der bund・f02585)は複雑そうな表情を浮かべる。このクロムキャバリアには様々な政体が存在するものの、国家である以上は当然ながら多くの国民が属している。勝利であろうと敗北であろうと、血を流すのは彼ら一人一人なのだ。
「同情はするが、かと言って手も抜けないしな……っと、噂をすれば何とやらか。おー来た来た、おいでなすったぞ。まぁ、こう暗いと何処を飛んでるかまではまだ分からないけどな」
そうして会話を交わす最中、幾度目かも分からぬ微かな重低音が耳朶を打つ。仕事前の腹ごなしだとサンドイッチを頬張っていた梶浦・陽臣(魔剣の鞘・f44426)はそれを傍らへ置き、代わりに己の得物たる魔剣を吟味してゆく。幾振りもの魔剣はそれぞれ異なる権能を秘めており、状況に合わせてどう使い分けるかが腕の見せ所だろう。。
「さて、食後の運動の時間だな。久々に働くとしようか! こっちは四人も居るんだ。色々と立ち回りようがあると思うけど、どうする?」
「そうですね。この手の航空機……まぁ、正確には異なりますが。夜間侵攻を行う際は得てして、編隊の先頭に指揮官機もしくは|先導機《パスファインダー》がいるのがセオリーでしょう。なので、それを優先的に叩けば敵に混乱を与えられる筈です」
陽臣の問いかけに対し、集った仲間たちや現状を踏まえた上でネリッサはそう提案する。幾ら電子機器が発達しているとは言え、夜間の飛行には様々なリスクが付き物だ。そのため彼女の言う通り、高度や進路の確認に注力する先導機を設ける事が往々にして多く、技量の立つ指揮官機がその役を担う事も珍しくは無い。
彼らを撃墜する事で侵攻の出鼻を挫けば、後続が作戦の続行を躊躇う可能性も出てくるだろう。斯くして方針さえ決まれば、後は行動あるのみ。|特務情報調査局《SIRD》の四名は動き始める。
「であれば、その為にもまずは敵の予測侵入進路と位置を把握しないといけませんね。加えて、『公国』基地からキャバリア用の近接空中炸裂弾も融通して貰いましょうか。視界が不明瞭な以上、狙撃精度も担保できませんから」
そう言って灯璃は自機の操縦席へと身体を滑り込ませ、友軍側へと通信を入れ始める。程なくして運び込まれた弾薬箱の中身を改めつつ、機体を超長距離狙撃形態へと変形。各種探査装置を起動し、敵部隊の動きを探ってゆく。
「いずれは降下して来るでしょうけど、いまはまだ高度と距離がある。早期警戒機代わりに夜鬼も飛ばしておきましょう。下手なドローンよりも小さいし、発見されづらい筈です……偉大なる深淵の主の下僕よ、我が召喚に答えよ」
「この手の捜索なら、目は多い方が良いだろ? どうせ隠れて迫ってきてる連中もいるだろうから、俺もそいつらを締め上げに行くとするかな! 人間サイズなら、向こうもそこまで注意を払わないだろ」
またそれと併せて、ネリッサと陽臣もまた偵察を飛ばして始めた。局長が召喚したのは異形なる眷属。俗にいう悪魔と酷似した外見だが、顔に当たる部分はのっぺりとした無貌であり、蝙蝠の翼で音も無く飛翔してゆく。
一方の青年が取り出せしは九振りの魔剣。それらは光に包まれたかと思うや、ぐにゃりとその輪郭を変貌させる。数瞬の後に現れたのは人間と瓜二つのシルエット。その正体は道具たる魔剣に人の形と目的を与え、自律的に行動させる術だ。
「さぁて魔剣兵共、仕事の時間だ。俺と一緒にかくれんぼに勤しんでるであろう奴らを見つけて締め上げるぞ! 高度が必要だってなら、手っ取り早く山でも登ってやれば良いさ!」
戦場全体を俯瞰するネリッサと対照的に、陽臣は自ら先頭に立って偵察を行わんとしていた。彼は魔剣兵を薄く広く展開させながら前へと出てゆく。彼らの探査方法はどちらかと言えば魔術寄りだ。敵機種がサイキックキャバリアなら話は別だが、そうでなければ却って相性が良いかもしれなかった。
そんな仲間たちの様子を頼もしげに観察しながら、自身もまた二脚機の操縦席へ腰を下ろしたミハイルは通信機に耳を立てつつ思考を巡らせゆく
(空と地上からの複合観測。他にも『公国』側も探照灯で照らしてくれているが……さて、どこまで命中精度を上げられるやら。この手の対空砲火の命中率はせいぜい4千発に1発、夜間なら猶更低下する。誘導兵器を使用しても電子妨害等で逸らされるのがオチだしな)
仲間たちが敵部隊の動きを捉えるまで、いま少しばかり時間が掛かるだろう。二次元的な地上と異なり、三次元的空間を活用可能な空は広大だ。一発二発撃ったところで一射必中とはいかぬ。故にこそ、情報こそが必要だった。そう考えると、索敵を行える人員が豊富だったのは幸いと言って良いだろう。特務情報調査局の面目躍如と言った所か。
「……夜鬼が敵侵攻部隊を見つけました。数は三個中隊規模。これまでの|三機編成《ケッテ》ではなく纏まった数となれば、敵本隊と見て良いでしょうね」
『こちらも捉えました。現状の航路から察するに、山肌を沿うように降下して、そのまま地上まで降りてくるつもりの様です。また随分と無茶をしますね』
そうして経過した時間は五分か、十分か。仲間の声が耳朶を打つと同時に観測データがモニター上に映し出され、傭兵はガバリとシートから身を起こす。ネリッサの読み通り、先導役が注意深く地形情報を確認しつつ、危険だが発見されにくいルートで主戦力を送り込もうとしていたらしい。もし気付けていなければ、予想外の方向から奇襲を受けていた可能性が高かった。随分と危険を冒しているものだと陽臣が口笛を吹く。
「こっちも視界に捉えたぜ。にしても、本当に地面スレスレだぞありゃ。今にも木の天辺を擦りそうだし、下手をすればそのまま山肌へ衝突しかねないな……」
『成る程、上ばかりに気を取られていたら不味かったな。だが、こっちはとっくに準備オーケーだ。開始の合図は手筈通りに?』
「ええ、照明弾代わりに炎の精を先導機にぶつけます。その後方に敵編隊が居るはずです……いま!」
果たして傭兵の確認から数瞬の間を置いて、パッと紅蓮の焔が煌々と宵闇を塗り潰した。調査局長が呼び出した炎精は単体ならば小さいが、百を超える個体を束ねれば、キャバリアを呑み込むほどの塊と化す。結果、火達磨となった機体は制御を失って山肌へと激突し炎上。己が導くはずだった仲間を照らす松明と化してしまう。
『オーケー、オーケー、ばっちり見えてるぜ! ただ、高速で動く連中を狙うのは骨だな。という訳でここは物量で補うのが確実、いわゆる下手な鉄砲も数撃ちゃ当たる、ってヤツだ。幸い、弾薬費は公王サマが気前良く出してくれるそうだから、遠慮なくブッ放せるぜ!』
炎に照らされた瞬間、慌てて回避機動に移らんとする敵部隊だったが、その不用意な動きは余りにも目立ち過ぎた。そしてそんな隙を見逃すはずも無く、ミハイルは照準もそこそこに連装機関砲で弾幕を張り始める。
薬莢が飛び散る鈍くも甲高い音を装甲越しに感じ取りながら、傭兵は縦横へ薙ぐように弾丸を浴びせかけてゆく。加えて、下手に高度を下げていたのも災いしたらしい。山肌を穿つ砲弾によって巻き上げられた岩や礫を攻撃と誤認。混乱状況に拍車が掛かってしまう。
「よし、そのまま頭を押さえて……って、こりゃ不味い!? 連中、強引に再上昇しようとしてないか? このまま高度を上げられたら、また元の木阿弥だぞ!」
だが、最も敵と近い位置にいた陽臣が急報が告げた。当然ながら相手も馬鹿ではない。機動を制限される山肌近くに留まるよりもいったん高度を稼ぎ、動きの自由度を得た方が良いと判断したのだろう。
しかし、同時に操縦者たちは突然に攻撃で浮足立っている。どちらが上でどちらが下かも覚束ないに違いない。その為に急いで周辺の地形情報を走査し直し、自機の現状を把握せんと試みる、が。
『……はい、そう動くと思っていました。ですが、こちらとしても逃すつもりはありません。このまま強引に引きずり降ろさせて貰います。砲火は轟き、戦場は黒煙に閉ざされる……|Einen Schritt voraus ist Dunkelheit《一寸先は闇ですよ》』
敵操縦席の盤面上に表示される数値が一瞬にして消失する。システムが落ちたのではない。レーダーから齎される情報量がゼロになったのだ。何が起こったと目を剥く敵パイロットはきっと、自機を取り巻く夜闇以上に濃密な漆黒を目の当たりにしているだろう。
当然ながら、それは単なる自然現象ではない。灯璃が生み出した、レーダー波を吸収してしまう黒い霧である。夜間飛行の命綱は計器の数値。だが、それが頼りにならなくなってしまったら? あまつえさえ、視界すらも役に立たなくなってしまったら?
『目と耳を奪われれば、速度と高度を落としてでも陸標を確認せざるを得なくなる。でも、肝心の地形すらも霧に覆われて不明瞭となれば、得られる情報は何もありません。まぁ、航空機でなくキャバリアですからね。もういっそ、着陸してしまうのも手ですが……』
|空間識失調《バーティゴ》に陥って墜落するくらいなら、多少距離があっても地に足着いた方がマシ。そう考えるのも当然だろう。尤も、その場合の速度は飛行時と比べるべくもない。正に止まっていると言って良い状態ならば、狙撃を為せぬ道理も無し。灯璃の放った弾丸は敵機の機関部を掠めた瞬間、至近距離で炸裂。無力化に成功する。
「……地上に降りて来さえすれば、ここからは俺たちの土俵だ。霧で視界が悪くたって、そんだけのデカブツが動き回ってれば嫌でも見つけられるさ。行くぞ、魔剣兵! 逃げられる前にさっさと仕留めるぜ!」
更には待ってましたとばかりに陽臣と魔剣兵たちが取りつくや否や、推進器や関節部へと攻撃を叩き込み、行動不能にさせてしまう。相手も咄嗟に保有兵装で追い払おうとするが、余りにも遅きに失している。操縦席を強引にこじ開けられ、パイロットは速やかに機外へ引き摺り出されていった。
『速度を落とせば間髪入れず狙われ、かと言って高度を上げれば作戦目的は達成できない。これで撤退してくれると良かったのですが、どうやらそう簡単にはいかないようですね』
「飽くまでも向かって来ますか。いえ、それが軍人と言うものでしたね。最悪撃破できなくても飛行能力さえ奪えば、とりあえずこちらの戦術的目標は達成できる筈です」
出鼻を挫き、これで任務続行は不可能だと諦めてくれれば、追撃までするつもりは無かった。だが飛行すら覚束ない状態で、それでも強引に突破せんとする敵部隊の動きを目の当たりにし、灯璃は残念そうに眉根を顰める。
流血を避けたいと言う意図は残念ながら叶いそうにないが、それでも出来る限りの事はすべきだと、ネリッサは引き続き夜鬼と炎精を手繰りゆく。この様子では遅かれ早かれ、『統合体』部隊は対空砲火を突破し、交戦距離まで到達するだろう。
「おいおい、なんだ? 話でも聞ければと思ったが気絶しているのか。まぁ良い、流れ弾に当たっても寝覚めが悪いからな。いったん基地まで運んでおこう。後退支援は頼んだ!」
一方、操縦者を確保した陽臣だったが、相手はぐったりと気を失っていた。死んではいないらしいが、すぐに情報を聞き出せる状態ではない。そうして捕虜を後送しようとする仲間を機関砲で援護していたミハイルは、ある嫌な想像が脳裏に過ぎり苦笑する。
(損害度外視で任務続行か。連中の指揮官は随分と人望があるらしい。しかし、暴走した指揮官を始末しろ、ね。こーゆーイカれたヤツに心当たりは一人いるが……少しばかり趣味が違う気もするな。なんであれ、杞憂だといいんだが)
どこぞの戦場で楽しく暴れているのなら良いが、もし相対した場合はどうすべきか。取り越し苦労であって欲しいと願いながらも、傭兵は標的を照準へ収め続けるのであった。
大成功
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ティオレンシア・シーディア
「前回」の一連にあたしは関わってないけれど、過去の因縁云々を抜きにすればぶっちゃけこの世界ではよくある事案ではあるのよねぇ。
ま、別にあたしのやることが変わるわけじゃないし。しっかりオシゴトしましょうか。
スノーフレークに騎乗して各種センサー・レーダー類と流紋を接続、ついでに高射砲とVT信管砲弾もセットで借りて●射殺・解識を起動。マルガリータ、標的表示と火器管制よろしくねぇ。
「視認」さえできるならあたしの射程は28㎞超、VT信管もグレネードみたいなもんだしUCの対象でしょ。マホガニーのHEATやSSFも合わせれば火力には十分なはずよねぇ。
別に恨みとかはないけれど、まあ不運と諦めて頂戴な。
●ただ、今に賭ける
真夜中の国境山脈付近で巻き起こる夜間防空戦は、本来であれば『統合体』前線指揮官を誘き出す為の前哨戦である。だが敵の損害を顧みぬ攻勢に猟兵が応じた結果、周囲には撃墜された機体の放つ炎が篝火の如く点々と灯っていた。それらを一瞥し、ティオレンシア・シーディア(イエロー・パロット・f04145)は困ったように眉を顰めゆく。
「あらあら、酷い有様ね。『前回』の一連にあたしは関わってないけれど……過去の因縁云々を抜きにすれば、ぶっちゃけこの世界ではよくある事案ではあるのよねぇ。いやまぁ、それはそれとしてどうなのかとは思うけれども」
一つの火種を消したと思えば、それが飛び火して五つの戦火が巻き起こる。そんな話とて珍しくないのがこのクロムキャバリアと言う世界だ。いつになったら平和が訪れるのかと考える時もあるが、それでも目の前の惨禍を摘む事に意味は有る筈。これまで平穏が続いてきたのであれば、今後も続くように尽力するのが猟兵の役目だろう。
「ま、別にあたしのやることが変わるわけじゃないし。しっかりオシゴトしましょうか。そろそろ防空戦も大詰めのようだし、しっかり次に繋げなきゃねぇ?」
何はともあれ、いまは眼前の依頼である。持ち込んだ愛機の操縦席に乗り込みながら、ティオレンシアは機体に接続したHMDを装着してゆく。ゆっくりと目を開けると、漆黒の闇夜は濃い緑色と化し、燃える焔は白く塗り潰されている。それは不可視光線の検知や各種センサー類との同調を行う複合端末だ。
(視覚に問題は無し、と。後は得物だけれども……こういう時、支援が手厚いのは有難いわよねぇ)
操縦桿を動かせば、機体の傍らで何かが同調して小刻みに動く。その正体は『公国』側から借り受けた高射砲。ご丁寧に|近接《VT》信管の砲弾までセットで付けてくれている。威力、射程共に不足は無い。
『操作、照準リンクは正常。後はマルガリータ、標的表示と火器管制よろしくねぇ。これに加えて、マホガニーのHEATやSSFも合わせれば火力には十分なはずよねぇ。後は当てられるか次第かしらぁ?』
加えて、機体自身が手にしたのは機械式のクロスボウだ。装填される物も単なる矢ではなく、成形炸薬弾や翼安定徹甲弾と言った剣呑な弾頭を備えている。当たればキャバリアとて木っ端微塵だろう。ただ、問題は彼女の言葉通り命中させられるかどうか。暗闇に加えて、相手は航空型だ。速度も運動性も侮れぬ。
しかしティオレンシアには彼女をサポートするAIと、何よりこれまで培ってきた戦闘経験があった。であれば、やってやれない事も無い。女店主はAIのタンポポを思わせる合成音声に耳を傾けながら、ジッと暗闇に目を凝らす。
上か、前か、はたまた左右か。形振り構わぬ相手だ、何処から来てもおかしくは無い。そんな中、チカと何かが瞬いた。次の瞬間、数個の光源が前方に落下してきたかと思うや、一直線に此方へと向かってくる。
(あれは……高々度でギリギリまで近づいてからの急降下、そして地面を擦る程の匍匐飛行。随分と無茶をするものねぇ。これじゃあ戦闘機と言うより急降下爆撃よ)
一気に高度を落として対空砲火を振り切り、地上すれすれを縫う事で照準を合わされる間に距離を詰める。苦肉の策だが、実行可能であれば有効だ。とは言え、それも待ち構えている者が居ないと言う大前提があればこそ。
『飛んで火に入る何とやら……別に恨みとかはないけれど、まあ不運と諦めて頂戴な』
果たして、弩弓と高射砲の水平射が吶喊する敵群と真正面からぶつかり合う。一瞬にして立ち込める黒煙の中、飛び出してきた火達磨の機体が女店主のすぐ脇をすれ違うように通り過ぎてゆく。
一拍の間を置いて、背後で爆発音と新たな篝火が生まれた。その赤々とした輝きに照らされながらも、射撃体勢を取る鉄騎のシルエットは決して揺らぐことは無い。ティオレンシアは薄く目を細めながらも、第二陣へと照準を合わせ、引き金を引いてゆくのであった。
大成功
🔵🔵🔵
第2章 集団戦
『二四式戦域制圧機「烈風」』
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POW : 二三式陽電子突撃砲
自身の【機体内蔵型の飛翔ユニット】でレベル×100km/hで飛翔し、射程無限・直線上の全てを切断貫通する【二三式陽電子砲から陽電子の奔流】を放つ。
SPD : 発展型白兵支援システム
指定した敵1体か自身が死亡するまで、負傷を無視して毎秒【陽電子突撃砲と斬艦刀】で攻撃し続け、敵の攻撃を【斬艦刀】で弾く。
WIZ : 三号戦域制圧機搭載型 電念波探信儀
敵1体に威力0の【データリンクに連接した火器管制レーダー波】を照射し続ける。照射時間に応じた量の【攻撃に必要な位置や速度、移動方位】が解析され、敵の全能力値が低下する。
イラスト:イプシロン
👑11
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴🔴🔴🔴🔴🔴🔴🔴🔴🔴
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種別『集団戦』のルール
記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
●Code:Lieutenant Colonel
結論から言えば、猟兵たちによる夜間防空戦は大戦果だと言って良いだろう。高々度から、或いは山肌スレスレの低空を這うように浸透してきた『統合体』部隊だったが、その多くが敢え無く撃墜される末路を辿っていった。
だがしかし、『全て』ではない。防空網を掻い潜って取り付いた機体、僚機の犠牲を糧に辿り着いた機体、半壊状態となりながらも強引に飛び込んで来た機体。そういった生き残りたちが『公国』の前哨基地付近へと集結している。襲来した総数に比べれば大きく減じているものの、それでも『部隊』と呼べる程度の頭数が居るだろう。
戦況を見守っていた『公王』サフォーノフは眉根を顰めゆく。脅威を感じ取ったから、ではない。状況の不可解さを訝しんだのが、その理由だった。
(これほど生き残った事は賞賛に値します……ですが、言ってしまえば|それだけ《・・・・》です。駆けつけてくれた猟兵殿に加え、我々の持つ正規部隊も丸々温存できています。例え敵戦力が帰還を前提とせぬ死兵だったとしても、与えられる損害はたかが知れているはず)
部隊とは言えば聞こえは良いが、飽くまでもそれは数だけの話だ。質の面で言えば、さてどうだろうか。『統合体』部隊の運用機である二四式戦域制圧機『烈風』は、確かに量産型の中では高級機の部類に入る。
しかし機体は度重なる作戦運用で酷使されており、率直に言ってしまえば|敗残兵《・・・》と言って良かった。これは決してサフォーノフの侮りではない。事実、『統合体』は各戦線で敗北し、辛うじて『負けていない』だけなのだから。にも拘らず、彼らはこうして戦場に立っている。
(これ以上戦闘を継続したとしても、投入したコスト以上の結果は得られません。合理的に考えれば撤退し、残った戦力の再編をすべきですが……やはりかつての我が父と同じように、ある種の狂気に囚われているのでしょうか?)
国家とは、組織とは恐ろしいものだ。全体の総数から見れば極々少数である筈の権力者が暴走すれば、それが全体へと伝播してしまう。その実例を、青年はかつて目の当たりにしていた。彼らもそうなのだろうかと、サフォーノフは考える。それはある意味、半分当たりで、半分外れと言って良いだろう。
『……部隊損耗率、|推奨規定値《・・・・・》を突破。戦争続行に支障なし』
『統合指令【Code:Lieutenant Colonel】に従い、これより六ヵ国連合軍との交戦を開始する』
暗号化もされていない、平文での通信。それを傍受した時、年若い公王は目を剥いた。兵士たちの交わす言葉は極めて無機質であり、感情を感じさせない。またそれ以上に彼らはいま何と言ったのか? 戦力の損害を厭うどころか、寧ろ被害が出る事を推奨していなかったか。そんな軍隊など聞いたことが無く、故に聞き間違いであると思いたかった。
だが、敵部隊は明らかに戦闘継続の意思を見せている。それは紛れもない事実であり、いま此処にある現実だ。である以上、どんな思惑があるかに関係なく、為政者として為すべき命令を下さねばならない。
「改めて、猟兵の皆さんに通達します。残存戦力の殲滅、いや、鎮圧を。その際、可能な限り操縦者の回収も併せてお願いします。『統合体』の内情は依然として不明瞭ですが……彼らを戦場に残しておくと、後々厄介な事になる。確証は有りませんが、そんな空気を感じます。飽くまで可能な限りで構いませんので、意識して頂けると幸いです」
何か不穏な雰囲気を感じ取ったのだろう。慈悲や政治的な都合とはまた異なる直感を以て、サフォーノフはそう指示を出してくる。その根拠は不明であり、従う義理は無い。余計な危険を冒して痛手を負ってしまっては元も子もないが、さりとて依頼人の意向を無視するのも上手くは無い。どうするかは個々人の判断次第だろう。
さぁ、猟兵たちよ。勝利を望まぬ兵士たちを制圧するのだ。
※MSより
第二章のプレイング受付は24日(金)朝8:30~開始となります。
第二章は集団戦、防空網を突破してきた『統合体』の二四式戦域制圧機『烈風』との戦闘になります。第一章の結果、彼らは部隊としての体裁を辛うじて為している程にまで疲弊していますが、それでも継戦の意志を失ってはいません。機体自体の性能は高水準の為、侮れば手痛い反撃を受ける可能性があります。
また、公王サフォーノフは敵操縦者の無力化と捕縛を希望しています。その理由は現時点ではっきりとはしませんが、行動結果次第では第三章に影響がある可能性があります。
それでは、引き続きどうぞよろしくお願い致します。
カグヤ・アルトニウス
〇疫病鼠再び
やっぱり…
「部隊損耗率」を切り出してきたという事はこの前の旧体制国みたいに残留思念で強化する機体も来ている可能性は高そうですね
ただ、これを止めないと「連合」が疫病の様な狂気に巻き込まれて瓦解するので…
対症療法ですけど、やってみます
(乗機)
ホワイト・レクイエム
(行動)
まずは、データリンクと飛行システムを崩す為の【ハッキング】・レーダーを無効化する為の【ジャミング】・アブソリュートウォールでの【通常攻撃無効】で自衛します
そして、精神防護付きテレパシー(【念動力】+【狂気耐性】)による【催眠術】+【浄化】で狂気を一時的に鎮静化します
後は、UCで機体を解体しつつパイロットを回収します
●伝染する狂気
(やっぱり……通りで被害を気にしない戦い振りだと思いました。『部隊損耗率』を切り出してきたという事は、この前の旧体制国みたいに残留思念で強化する機体も来ている可能性は高そうですね)
これまでの戦い振りと漏れ聞こえ通信の内容を踏まえ、カグヤはある種の合点がいったと嘆息した。部隊、或いは兵士とは名ばかりの集団は、確かに厳密な意味でのソレとは異なるらしい。こうなってくると『統合体』と言う政体の名も意味深に思えてくる。
『正直、撃破に加えて操縦者を確保すると言うのはかなりの手間です。ただ、これを止めないと「連合」が疫病の様な狂気に巻き込まれて瓦解するので……対症療法ですけど、やってみます』
本命である前線指揮官の乗機について未だ情報を得られていないが、万が一精神汚染系の機能を持っていた場合、敵操縦者たちの存在によって強化されてしまう可能性が高い。以前には残留思念を吸収する事で強化される敵も居たことから、殺害では無く捕縛を求めるのも理解できた。
(ホワイト・レクイエムに対するレーダー波の照射を確認。ロックオン警告は出ていませんから、飽くまでこちらの情報を得る事が目的ですか……ただ、むざむざ手の内を明かされるのを座視する義理もありませんからね)
操縦モニターに表示される報告内容にざっと目を通しながら、カグヤはレーダーの照射源へと視線を向けてゆく。アクティブレーダーは自機の位置を晒すことに繋がってしまう。先ほどまでは見つからずに潜入する事が主目的だった為、使用を控えていたのだろう。
操縦者の思考は不可解だが、さりとて考えも無しに突っ込んで来る木偶の坊でも無いらしい。となれば、向こうの思惑をむざむざ果たさせてやるのは面白くない。カグヤはコンソールを素早く叩き始めるや、カウンターを仕掛けてゆく。
(レーダー波を攪乱するジャミングに、機体操縦と連携を崩す為に並行してハッキングも実行……後は前倒しで仕掛けられた場合に備えて、防御障壁も展開。ついでに回線を抉じ開けられたら、精神面も落ち着かせてみましょうか)
向こうからこちらに影響を及ぼせるのならば、その逆が出来ぬ道理も無し。カグヤは自身にレーダーを照射していた数機の位置情報を逆探知するや、お返しとばかりにシステムを妨害。そうして機体間に繋がりを作り上げると、今度はそれを介して操縦者本人への干渉を試みていった。
『操縦系統、火器管制にエラーを確認。情報収集を一時中断、し、て……?』
『指揮、中枢機との、リンクが……途、絶……』
その効果は覿面だった。機体の挙動よりも先に操縦者たちの反応が目に見えて鈍ってゆく。どういった理屈かは判然としないが、好機には違いあるまい。異常を察知した敵機が陽電子砲をこちらへ差し向けてくる前に、カグヤが先手を打つ。
『機体構造を解体すると同時に、黒光で操縦者だけを回収すれば命を奪わずに回収できますかね……聖なる槍の記憶よ、今一度ここに再臨し迷える魂に祝福を与えたまえ』
白銀の機体が手にせしは神々しき一振りの槍。そこから放たれる白き波動の嵐は呑み込んだ鉄騎を粒子へと分解し、放り出された操縦者は黒い光に包まれ捕縛される。捕虜となった彼らに関しては、一先ず公国側へ引き渡しておけば悪いようにはすまい。この判断が後々どのように戦況へ影響するかも、きっとじきに分かるだろう。
斯くしてカグヤは己が戦果を確認しつつも、次なる敵へと相対してゆくのであった。
成功
🔵🔵🔴
村崎・ゆかり
公王の言葉を伝えたヘッドセットを指で叩いて、一つ嘆息。
自分が戦わなくていいものだから、気軽に言ってくれちゃって。まあ、雇用主のご希望には可能な限り沿いましょう。
「全力魔法」理性の「属性攻撃」「範囲攻撃」「精神攻撃」「神聖攻撃」「法力攻撃」「破魔」「破邪」「浄化」「除霊」と、ありったけの神聖系技能を動員して、仏頂尊勝陀羅尼経!
今の何者かに操られているかのような意識を、一旦途絶させる。
取り憑いた『何か』の抱えた|業《カルマ》を狙い撃つわ。操縦者の肉体には傷一つ付けない。元から悪事に手を染めてなければ、御仏の救いの手も届くでしょう。
制御を失ったキャバリアの転倒で操縦者が傷つかないことを祈るのみね。
●迷いを払い、悪しきを祓う
(殺さずに捕縛、ね。自分が戦わなくていいものだから、気軽に言ってくれちゃって。気にせず破壊してしまうのが一番楽なのだけれど……まあ、雇用主のご希望には可能な限り沿いましょう)
コツン、と。ヘッドセットを指先で軽く叩きながら、ゆかりは小さく嘆息していた。何を感じ取ったのかは知らないが、少しばかり厄介な命令である。とは言え、意向を無視して後で何かしらの不利益を被っても詰まらない。
(それに、操縦者の精神状態も真っ当じゃなさそうなのも気になる……その原因が精神汚染や洗脳だったのなら、まだやりようもありそうね)
或いは、公王も『統合体』パイロットの言動から何かしらの機微を感じ取ったのか。ともあれ、ゆかりも相手の様子に違和感を覚えているのだ。物のついでに試してみる価値はあるだろう。
彼女が手近な分隊に意識を向けると同時に、相手もまた陰陽師の存在を確認したらしい。こちらは生身だと言うのに、『統合体』側は陽電子砲の照準を合わせるや一切の躊躇なく高熱の光を解き放ってくる。
『敵戦力を確認。「六ヵ国連合」正規部隊では無く、外部雇用の傭兵と推察』
『高脅威度の目標と判断。優先して交戦を行う』
垂れ流される通信内容は相も変わらず無感情なもの。機体の状態こそピンキリだが、迷いの無さはある意味で脅威と呼べるか。対するゆかりは足代わりに自身のキャバリアである機甲式を召喚。上に飛び乗り攻撃を回避しつつ、法力を練り上げる
(こっちはほぼ生身だっていうのに、容赦のない事で。それに脅威と判断した相手を狙っているようだけれど、さっきの言動も踏まえると、厄介だから排除するって理由からでも無さそう……ますます不可解ね。やっぱり、何かに憑りつかれているのかしら?)
すぐ間近を光の軌跡が通り過ぎてゆくも、ゆかりの思考は冷静なままだ。相手がまともな精神状態ではない以上、やはりそちらの方面を攻めるのが吉か。彼女は敵部隊を視界に収めたまま、素早く随心真言を唱えてゆく。
「オン、ボロン、ソワカ。オン、アミリタ、アユダディ。ソワカ。いと尊き御仏の御慈悲を此処に示さん。弱き衆生を守り、業を背負いし者を討つ……仏頂尊勝陀羅尼経!」
次の瞬間、ゆかりを起点とした周囲一帯へ柔らかな光が降り注ぐ。暴力的に戦場を斬り裂く陽電子の閃光ではない。宵闇を照らし導く、煌めき広がる慈悲の霧。機体装甲を始めとする物理的な障壁は意味を為さず、操縦者の精神へと直接的に干渉する。
『通信が、途絶状態、に……統合指令【Code:Lieutenant Colonel】との、接続、が』
「やはり、何かしらの干渉を受けていたようね。取り憑いた『何か』の抱えた|業《カルマ》を狙い撃ったわ。安心して、操縦者の肉体には傷一つ付けないから。元から悪事に手を染めてなければ、御仏の救いの手も届くでしょう」
戦争行為そのものに対する是非もあろうが、命令に従って行動する兵士自体に罪はあるまい。その証拠に『統合体』側の機体は徐々に動きを停止させ、糸の切れた人形の如くその場に立ち尽くす。この後の処理は『公国』側に任せてしまって問題は無かろう。
「懸念があるとすれば……制御を失ったキャバリアの転倒で操縦者が傷つかないことを祈るのみね」
そうやや皮肉気に笑みを浮かべながら、ゆかりは引き続き哀れな兵士たちの憑き物を払うべく、次なる敵の元へと向かってゆくのであった。
成功
🔵🔵🔴
イクシア・レイブラント
思い出すのは半年前の戦い。
道を踏み外した人々の怨嗟を糧に起動した人蔵愛憎喚造機ファーニスニーファ。
類似戦力が控えている可能性は十分にありうる。
だけど、一時的に操られているだけであれば、まだ望みはあるものよね。
救える命は救う、それが|猟兵《ヒーロー》の勤めだもの。
ドローン展開、交戦状況および残存機体確認。
[集団戦闘、戦闘演算]で戦場を共にする猟兵たちの邪魔にならないタイミングを見極めて
【強制遮断】を発動。
統合指令【Code:Lieutenant Colonel】の接続も、電念波探信儀のレーダー波も遮断。
[推力移動]で接近して大型フォースブレイドでハッチを破壊、
パイロットを拘束して連れ出すよ。
●繰り糸を断ち切るべし
『精神干渉系の妨害を確認。Code:Lieutenant Colonelとの連携途絶に注意せよ』
『我らは「統合体」。その本分を忘れるべからず』
立て続けに撃破され、捕縛されてゆく『統合体』軍の操縦者たち。だがそんな同胞の姿を目の当たりにしても尚、残存兵力は別の事について懸念を示していた。統合体指揮官の機体がどんなキャバリアなのかは杳として知れぬが、ロクでもない『何か』が在るのはまず間違いあるまい。
(……やはり、思い出されるのは半年前の戦い。道を踏み外した人々の怨嗟を糧に起動した人蔵愛憎喚造機ファーニスニーファ。あれも兵士の死をトリガーに己を強化していた。そう同じ機種が出てくるとは思えないけれど、類似戦力が控えている可能性は十分にありうる)
既に交戦済みの仲間たちと同じように、イクシアもまた以前の事件が脳裏を過ってゆく。総力戦と言う概念を極端に、或いは純粋に突き詰めた国家。あのレベルに極まった集団が幾つもあるとは思いたくは無いが、無いと言いきれないのもこの|鉄騎と戦乱の世界《クロムキャバリア》の厄介なところだろう。
「だけど、一時的に操られているだけであれば、まだ望みはあるものよね。事実、本国側はまだ理性的な判断が出来ているみたい。救える命は救う、それが|猟兵《ヒーロー》の勤めだもの」
他国へ騙し討ち同然に侵攻を仕掛けた。確かにそれは非難されるべき行為だ。しかしその責を負うべきは命令を下した前線指揮官のみ。末端の兵士たちを殺さずに済むのであれば、それを試す価値は十分にある。
「まずはドローンで交戦状況と残存機体の把握を、と……?」
推進器を吹かしながら宙空へと飛びあがり、鎧装騎兵は周囲へとドローンを散布。まずは敵味方含めた布陣や戦況について把握しようと試みる。だが偵察機能を作動させた瞬間、それらはレーダー波の照射警報を叫び始めた。
どうやらイクシアが動き出すよりも前に、相手から目を付けられていたらしい。尤も、防空戦であれだけ派手に立ち回ればそれも無理は無いか。照射源の位置を確認しようとした刹那、チカと夜闇に閃光が瞬く。
「ッ……!?」
咄嗟に身を翻すのがあと一瞬でも遅ければ、直撃を受けていてもおかしくは無かった。すぐ真横を通り過ぎる高温に肌を焼かれながらも、驚愕する間もなく第二射が襲い掛かって来る。ご丁寧に射点がバラバラであり、十字砲火のような形になっているのも厄介だ。
(精神状態はさておき、戦術判断自体は合理的だね。と言うより、寧ろ|そう《・・》させるのが目的だったのかもしれない)
損害を厭わず、恐れを知らず、意思は統一され、しかして判断能力はそのまま。彼らの無感情さで見落としがちではあったが、ある意味で兵士の理想形と言って良いだろう。非人道的な処置である、と言う点に目を瞑ればだが。
(何をされているのかは概ね把握できた。なら、後は……事象観測、電脳魔術起動。戦場全域の通信およびコントロール機能を無力化する)
攻撃に晒されながらも、イクシアの電子回路は既に演算を完了させていた。彼女は攻撃と攻撃の僅かな合間を見計らうや、自身の躰に内包された大電力を一気に解放。それは強烈なまでの磁気嵐と化し、軍用規格である筈の電子回路をダウンさせてしまう。
勿論、友軍を巻き込まないように計算した上での一手である。そうして身動きを止めてしまえばもうこっちのもの。鎧装騎兵は巨大なフォースブレイドを手にするや、手早く操縦席ハッチを切り開くと、内部の操縦者を引きずり出してゆく。
「あ、あぁ……」
「放心状態、か。疲弊はしていそうだけど、神経に損傷があるようには見えないから、公国側で面倒を見て貰えれば大丈夫かな」
彼らは目の焦点があっておらず、話が出来る状態でも無いが、命に別状は無さそうだ。その点に胸を撫で下ろしつつも、イクシアは彼らが流れ弾に巻き込まれぬよう、いったん前哨基地へと後退してゆくのであった。
成功
🔵🔵🔴
ティオレンシア・シーディア
ロクでもないのはまあハナから知ってたけれど…犠牲前提どころの話じゃなかったわねぇ…
殺すなとか普通に墜とすよりかなり面倒ではあるけれど…クライアントのご注文だし、何より絶対ロクなこと起きないし。頑張るとしましょうか。
高速飛翔するなら当然小回りは効かないはずよねぇ。そりゃ耐Gとか無視すれば多少の無茶は効くでしょうけれど、自滅とか最低効率にも程あるし。
ってことで、進路上に攻撃を「置いて」おきましょうか。マルガリータで攻撃の軌道を解析して効果範囲から外れつつ●黙殺・征圧を起動、描くのは|遅延のルーン三種《停滞・阻害・欠乏》。どんな機械でもガス欠で捕縛しちゃえば動けないわよねぇ?
●星は墜つも、灯まで消えず
「はぁ……ロクでもないのはまあハナから知ってたけれど、蓋を開けてみれば犠牲前提どころの話じゃなかったわねぇ。なに、『統合体』ってつまりそういう意味なのかしら?」
既に交戦を開始している仲間たちから齎された情報へと目を通したティオレンシアは、思わず目頭を押さながら首を振る。良くも悪くも予想と言うのは得てして裏切られるものだが、今回は輪に掛けて酷いと言えよう。加えて、この後に控えている対指揮官戦を思えば彼女の反応もむべなるかな。
「正直、殺すなとか普通に墜とすよりかなり面倒ではあるけれど……クライアントのご注文だし、何より絶対ロクなこと起きないし。仕方ないけれど、頑張るとしましょうか」
言うまでも無く、こちらを殺しに来る相手を生かして捕らえるなぞ手間だ。だが、それを無視すればそのツケはより大きく膨らんで返って来る。そんな展開が容易く想像できたからこそ、女店主は文句を言いつつも従うより他に無い。だがそれも、やろうと思えば実行可能だと言う実力の裏返しだろう。
『各機、高度を取れ。地上は先の電磁妨害の影響が残っている。Code:Lieutenant Colonelとの接続維持を最優先にせよ』
ちらと頭上を見やれば、飛び上がった鉄騎たちが編隊を組んで飛翔していた。遮蔽物の少ない上空へ避難して通信感度を確保しつつ、反撃の機会を窺っているらしい。精神状態を除けば基本的な戦闘能力は維持されているのがまた厄介である。
(高速飛翔するなら当然小回りは効かないはずよねぇ。そりゃ耐Gとか無視すれば多少の無茶は効くでしょうけれど、自滅とか最低効率にも程あるし……いやまぁ、損害も織り込み済みだろうけど、無駄死にしろって訳でも無いでしょう?)
被害が出る事を寧ろ望んでいるような有様だが、自殺志願者と言う訳ではあるまい。飽くまでも戦った上で、と言う大前提が有る筈。であるならばと、ティオレンシアは方針を定めた。彼女は支援AIに演算を任せつつ、夜空へ向けて黄水晶が嵌め込まれたペンを向けてゆく。
「進路上に攻撃を『置いて』おきましょうか。お願いねぇ、ゴールドシーン。ここら一帯、纏めて『あたしの領域』にして頂戴な?」
ペン先を振るう度に、虚空へ淡く輝く|神秘文字《ルーン》が描き出される。一方、そんな女店主の動きを敵も察知したのだろう。大きく弧を描くように旋回しながら、攻撃態勢へと移ってゆく。そうしてお互いが一直線上に並んだ瞬間、暴力的な光の奔流が彼女目掛けて襲い掛かった。
(兎にも角にも、まずはこの初撃だけは避けなくちゃねぇ……!)
直撃すれば溶解は必至。だがティオレンシアは予め射線と効果範囲をAIに予測させており、寸でのところで攻撃を回避してゆく。閃光と高熱の余波を浴びせかけられるも、まだ耐え切れるレベルだ。そうして攻撃を終えた敵編隊が頭上を通り過ぎようとした、瞬間。
『……ッ!?』
がくん、と。まるで蜘蛛の巣に突っ込んだ羽虫の如く、彼らの動きがつんのめった。その正体こそ、彼女が虚空へ描いた神秘文字の権能。停滞、阻害、欠乏の三種を重ねた遅延の罠である。
更にはそうして動きが鈍ったところを狙い澄ますように、敵編隊の上下に無数の輝きが生じてゆく。その一つ一つが魔力を凝縮させた弾丸だ。自慢の機動力を潰された彼らに、それらを回避する手立てなどある筈も無く――。
「どんな機械でもガス欠で捕縛しちゃえば動けないわよねぇ? 安心して頂戴、操縦席はちゃんと避けるから、ね」
次の瞬間、降り注ぐ光によって無惨にも翼を捥がれてゆくのであった。
成功
🔵🔵🔴
エドゥアルト・ルーデル
サフォーノフ氏に従って今ここで不殺プレイするか♦
それとも敵を気にせずぶち殺すか♠
迷うでござるねェ~❤
ここをいなしてしまえば勝ちでござるがそれは雑魚の思考でござる
そんなんで勝てて気持ちいいか?厄介をぶち殺すのが最高に楽しいんじゃないでござるか?という事で殺意上げろ!産地直葬だ!
空を見上げてごらん、敵がいるでござるね
こういう時はチラ見サイコフォース!突然発生する爆発で目!耳!鼻!は無いでござるから武装を持った腕とコクピットをふっ飛ばしておこうぜ!負傷は無視できても機体の損傷は無視できないでござろう!燃え尽きるまで撃ち込んでおけ!
無事墜落した奴も地上できっちり仕留めておこうな!はいお死枚でござる
●戦場の流儀
「サフォーノフ氏に従って今ここで不殺プレイするか♦ それとも敵を気にせずぶち殺すか♠ 迷うでござるねェ~❤ という訳で、そろそろ狩るか♣」
被害を与えるのではなく受ける事を望む侵攻側と、そんな敵兵を殺さぬように苦慮する防衛側。双方の思惑が錯綜する戦場は正に混沌と言って良い。だが、闘争とは得てしてそんなものだと、エドゥアルトはしたり顔で語ってみせる。光の加減だろうか? 何か妙な場所が光を発しているのは目の錯覚だと信じたい。
「ここをいなしてしまえば勝ちでござるが……それは雑魚の思考でござる。そんなんで勝てて気持ちいいか? 厄介をぶち殺すのが最高に楽しいんじゃないでござるか? 余裕で倒せるレベルなんざいるか! という事で殺意上げろ! 産地直葬だ!」
お偉いさんからの要請を踏まえた上で、しかして黒髭の傭兵はそれを無視する事に決めた。どんな背景があろうとも此処は戦場で、いかなる事情を抱えていようが相手は死にに来ているのだ。である以上、こちらも殺す気で臨まないなどあり得ない。それがこの男の流儀とあれば、如何なる権力者が捻じ曲げられようか。
「空を見上げてごらん、敵と言う名の星がいるでござるね。えー、これからアレを全部叩き落として星の屑にします。だってこちとら公国なんだもの」
そうして頭上を仰ぐエドゥアルトの視線の先では、依然として敵機が飛び交っている。そのどれもが戦闘機動であり、交戦の意志を色濃く滲ませているのは明白。やるべきかやらざるべきかで言えば、間違いなく殺るべきだと傭兵は結論付けた。
「こういう時はチラ見サイコフォース! 目!耳!鼻!……は無いでござるから、武装を持った腕とコクピットをふっ飛ばしておこうぜ! ほらほら三等分にオープンゲットする前にさっさと降りてくるでござるよ!」
傭兵は拳を握るや否や、敵機が頭上を通り過ぎるほんの一瞬を見計らい、練り上げた重力エネルギーを叩き込む。攻撃と言うには余りにも無造作極まるが、それでも命中させてしまうのだから侮れぬ。果たして、体勢を崩した機体は勢いよく地面へと激突してしまう。
『推進器及び左脚部に甚大な損傷。右腕陽電子砲、使用不能……問題なし。死亡に至らぬ限りは斬艦刀による白兵戦を継続する』
普通であれば操縦者も無事では済まない筈だが、生憎と彼らもまた普通ではない。唯一残った左腕に斬艦刀を掴むと、攻撃の主であるエドゥアルトへ猛然と襲い掛かってゆく。負傷した状態で無茶な機動を行えば当然死に直結するが、そんな末路などお構いなしの暴れっぷりだ。
「ああ、やだやだ。最期まで暴れて死ねってか。自分の意志が無い連中ってのは詰まらんでござるよ。ただ、負傷は無視できても機体の損傷は無視できないでござろう? 燃え尽きるまで撃ち込んでおけ!」
それは最後まで戦い抜く気概と言うよりかは、予めそうインプットされた行動に従っていると形容した方が適切か。黒髭は振り回される鉄塊を器用に避けつつ、眉根を顰めながら立て続けにグラビティによる爆発を引き起こす。
それは視認さえしていれば防御も何も関係ない攻撃なのだ。である以上、狙う場所など一つしか在り得ず――。
「この手のキモイ動きをする奴は、動かなくなるまできっちり仕留めておこうな! はいお死枚でござる……なお、いま拙者の事だと勘違いした奴は後で屋上まで来るように」
結果、敵機は操縦席ごと吹き飛ばされ、遂に機能を停止し崩れ落ちてゆく。それを見たエドゥアルトは戦果を挙げて上機嫌な一方、やや冷めたようにも見えるのは気のせいか。どちらにせよ、この相手は確かにお終いだ。斯くして傭兵は踵を返し、炎に包まれる機体から背を向けてゆくのであった。
成功
🔵🔵🔴
ネリッサ・ハーディ
【SIRD】のメンバーと共に行動
グイベル01より各員へ。敵戦力は大幅に減少しましたが、依然として侵攻を企図しています。敵機は高性能であり、また士気も高い模様。各自警戒を怠らない様に。尚、|依頼主《クライアント》より操縦士の捕縛の要請が出ていますので、各自可能な限りその旨対処する様に。
グイベル01は|交戦を許可《クリアード・ホット》、|各個にて射撃開始《ファイア・アット・ウィル》。
UCの夜鬼を飛ばし指揮管制を行い、戦力が集中もしくは逆に手薄になっている地点等敵の状況を確認し味方に伝達。
Lieutenant Colonel…中佐という事ですが、一体何を意味するコードネームなのか、気になりますね。
ヴィルマ・ラングカイト
SIRDの一員として参加
…こちらレイター22、増援要請により指定座標に間もなく到着。|戦闘準備完了《クラーツムゲフェヒト》、別命なくば敵を視認次第交戦に入る。
さて、ゾルダートグラード戦車兵の技量がどれ程のものなのか、奴等に教育してやる。|戦車、前へ《パンツァー・マールシュ》。
山岳地帯という地形を利用しUCを使用して敵を迎撃。その際、敵機の脚部等を狙って移動機能を奪い擱座させる。移動中の敵機の脚部を慣れうのは、なかなか骨の折れる事だが…難しくはあっても、不可能な事ではないな。やってみせよう。
しかし、これ程の損害を受けてもまだ交戦意欲があるとは…私が以前経験した、東部戦線での戦闘を思い出させるな…
灯璃・ファルシュピーゲル
SIRD一員として密に連携
自機と装備使用
無理やり出血を強いる犠牲を強いられた部隊かと思いましたが。この自動兵器のような無機質さ…出撃する前からとうに犠牲にされてましたかね…
局員と連携し極力非殺傷での制圧を目標に、味方前衛より少し下がった位置に陣取、敵味方の動きを監視しつつ。敵機の頭部及び武装腕部・飛翔ユニットを集中狙撃し、動きと戦闘行動を阻害して味方が攻撃を仕掛ける隙を作りやすい様に支援
同時に密かに指定UCで管狐達をばら撒き、敵に探知されにくい様に前線に分散浸透させていき、自身や味方の攻撃に紛れて可能な敵機へ次々憑りつかせて駆動系や動力系の制御を過負荷破壊させて制圧を狙います
アドリブ・絡み歓迎
梶浦・陽臣
●POW
●SIRDとして参加
「中の奴だけ無傷でって、また無茶な要求を……」
「ちょっと難しいが……機体の内部構造をシェイクしてやれば大人しくなるかな!」
自身の能力を行使し、【鉄甲魔拳】を生み出し装備。
飛んでくる烈風に対して『瞬間強化(レベル10)』をした後に『ジャンプ(レベル10)』して接敵。
烈風に対してUC【無刀流魔拳『崩壊拳』】を発動。
「大人しく、落ちろ!」
一度に5発の『怪力(レベル5)』を込めた拳を同時に同じ個所に叩き込むことで機体内で内部崩壊を起こし、搭乗員を傷つけずに烈風を無力化する。
これを繰り返し行う。
相手からの攻撃は【幻影魔剣】による『自動防御(レベル5)』で撃ち落とす。
寺内・美月
アドリブ・連携歓迎
SIRD共同
「まったく、連休で出動要請に気づかなかったとは不覚……」
・当初《防空戦力》を発動し高射軍団を配備。高射軍団は飛翔してくる敵機を迎撃しつつ、空中機動による増援や別働隊の侵入を考慮して上空を警戒する。状況によっては比較的低火力な高射システムを使用し、地上部隊への直射攻撃を行い機体の無力化を図る
・指定UCを発動し2個機械化歩兵軍団を召喚。各軍団は隷下キャバリア化旅団と共同し、中距離対戦車火力と砲迫火力、キャバリアや近距離対戦車装備を充実させた歩兵部隊の緊密な連携によりこれを無力化する。万一に備えて、公王のいる公国基地にも1個師団を予備隊として配置
└軍団隷下部隊は分散配備し【陽電子突撃砲】と【白兵システム】に警戒。たとえ軍団司令部が破壊されても各隊の判断で戦闘を継続し、敵機が近づいてきたなら各自の判断で対戦車弾を撃ち込む
└軍団隷下の各通信隊にはジャミング設備を増強、【電念波探信儀】を妨害させる。機ごとに周波数が違うなら、こちらは《支援戦力》で通信隊をさらに増強
ミハイル・グレヴィッチ
SIRDとして行動
敵パイロットを生け捕りにしろだぁ?ったく、公王サマも無茶な|注文《オーダー》出してくれるぜ。そりゃま、やれないコトもないが…その分報酬上乗せだな。
そんじゃキャバリア狩りと洒落込むか。
敵と味方が交戦し徐々に混乱が広がり始めた頃合いを見計らって、敵に気付かれない様遮蔽物を利用しながら接敵し、射程距離内まで近づいたら、UCで敵機の脚部やブースター・スラスター等動きを封じられる場所を狙って攻撃。
擱座した敵機を見つけたらコクピットをこじ開け、中のパイロットを捕らえる。抵抗された時を警戒し、油断なくMPi-KMを構えて接触。
さて、どんなヤツらが乗ってるのか、パイロットのツラ拝むとするか。
●その符牒が意味は
『部隊の残余戦力、急速に低下中。それ自体は|許容可能《・・・・》なれど、キャバリア操縦者の捕縛を認む』
『意識途絶に伴うCode:Lieutenant Colonelとの断絶は許容外である。機体を脱出し指揮管制機の到着まで持ち応えるか、戦死が推奨される。そう規定されている』
夜間防空戦から続く戦闘は依然として猟兵たち優位に推移してゆく。それ自体は喜ぶべきものだが、彼らの表情には未だ警戒の色が滲んでいた。自らの損害を異様なまでに意に介さず、個よりも集団の目標を優先する姿勢。軍人にはそういう側面もあるが、これは何でも度が過ぎている。
『無理やり出血を強いる犠牲を求められた部隊かと思いましたが。この自動兵器のような無機質さ……察するに、出撃する前からとうに犠牲にされてましたかね。薬物か、洗脳か、改造か。なんであれ、見ていて気分の良いものではありません』
操縦者たちが凡そまともな精神状態ではない事は、灯璃ならずとも一目瞭然だ。何をされているのかまでは現時点で判然としないが、公王からの要請も踏まえると、出来る限り流血を避けようと心掛けていた事は決して無駄で無かったらしい。ただその一方、生かして捕縛と言う要求に対してミハイルや陽臣は困ったものだと顔を見合わせていた。
「敵パイロットを生け捕りにしろだぁ? ったく、公王サマも無茶な|注文《オーダー》出してくれるぜ。相手は空も飛べる航空型だって分かってんのかよ。そりゃま、やれないコトもないが……その分、報酬は上乗せだな」
「確かに中の奴だけ無傷でってのは、また無茶な要求だよ。ただ手間だ何だと無視したら、それはそれで後々面倒な事になりそうな気もするのがなぁ……ちょっと難しいが、機体の内部構造をシェイクしてやれば大人しくなるかな!」
二人とも小言を呈しながらも、その指示を律儀に守ろうとするのは踏んで来た場数から来る直感か。やはり、きな臭い空気を察しているのだろう。或いは杞憂であっても、報酬が増えるのであれば悪くは無い話である。
「ただ、そうなるともう少し人手が欲しいところですが、もうそろそろ……っと」
「――まったく、連休で出動要請に気づかなかったとは不覚。こちら寺内美月。麾下戦力と共にただいま現着した。遅参の段は働きによって返させて貰う」
しかし作戦の難易度が上がったのであれば、もう少しばかり頭数を揃えたい。何かを待っているかのようにチラと腕時計へ視線を落としていたネリッサは、生真面目そうな軍靴の足音に顔を上げる。視線を向けると、そこには見知った顔である寺内・美月(霊軍統べし|黒衣《学生服》の帥・f02790)の姿があった。
『同じく、こちらレイター22。増援要請により指定座標に間もなく到着予定。|戦闘準備完了《クラーツムゲフェヒト》、別命なくば敵を視認次第交戦に入る。作戦指示あらば下命されたし』
また、それと同時に重厚な駆動音を伴った通信が入る。サッと周囲を見渡せば、宵闇に浮かぶ歪な人型のシルエット。その機影の輪郭だけで、それがヴィルマ・ラングカイト(パンツァー・ヴィルマ・f39899)の愛機であると一目で分かった。
嫌な雰囲気を感じ取っていたのはネリッサとて同じ。局長と言う立場から念のため増援要請を出していたのだが、求めに応じてくれた者らが居てくれたのは嬉しい限りである。そうして改めて集った面々の能力を脳内で整理し直すと、仲間たちへと号令を掛けてゆく。
「ええ、要請に応えて貰いありがとうございます。では……グイベル01より各員へ。敵戦力は大幅に減少しましたが、依然として侵攻を企図しています。敵機は高性能であり、また士気も高い模様。各自警戒を怠らない様に。尚、|依頼主《クライアント》より操縦士の捕縛の要請が出ていますので、各自可能な限りその旨対処する様に」
――グイベル01は|交戦を許可《クリアード・ホット》、|各個にて射撃開始《ファイア・アット・ウィル》。
斯くして号令一下、|特務情報調査局《SIRD》の面々は作戦行動を開始するのであった。
(……さて。実のところ、私のやるべき事は先程とそう変わりませんね。情報収集と指揮管制。人手が増えれば増えるほど、こうした役割も重要になるでしょうから)
各自が行動を開始してゆく中、その背を見送るネリッサは先程と同じように悪魔めいた異形の眷属を召喚するや、それを夜空へと飛ばしてゆく。彼女は彼ら自身が名乗る通り、情報こそを重視する。それが迎撃戦然り、正面切っての戦闘然り、だ。寧ろ、動かす兵が増えれば増えるほど、こうした役回りの重要性は増す。
(そう考えると、前線指揮官の手管は確かに脅威と言えるでしょうね。夜間の分散浸透戦術は連携が難しく、実行するだけでも一仕事。その上、戦線に姿を見せて居ないにも関わらず、士気崩壊や潰走を起こさせていない……良くも悪くも、だけれど)
故にこそ、『統合体』部隊の上に立つ何某かの存在は不気味だった。目ぼしい情報も得られていない現状、出来る限り早急に引きずり出してやりたいところである。ただ、そういった意味では味方にも同じような事が実行可能な者が居る事に気付く。
尤も、そちらは飽くまでも信頼関係によってそれを為す点が、敵と最も大きな違いだろう。噂をすれば何とやら。視線を巡らせれば、ちょうど当の本人が動き出さんとするところだった。
「重ね重ね、遅れた事が悔やまれる。本来であれば前段階の防空戦で動きを見ておきたかったが、致し方あるまい。航空優勢の確保は急務、そうでなくとも主導権を握らせる訳にはいかない。全防空部隊に発令……『明烏』発動。対空防御を密としつつ、敵増援や迂回戦力に警戒せよ」
果たして、その視線の先に居た美月は頭上に広がる漆黒の夜空を睨みながら、配下の軍勢へと展開を命じてゆく。それに応じて起立してゆくのは夥しい数の高射砲群である。目を凝らせば、僅かだが動き回る機影が見えた。
『対空兵装の増加を確認。高脅威の目標と判断、対地攻撃を実施する』
『地上側の戦力は引き続き攻撃を続行せよ』
敵は異常だが、馬鹿でも愚かでもない。『統合体』部隊は高射砲が火を噴くと同時に地上目掛けて陽電子砲を発射。天対地で熾烈な砲撃戦を繰り広げてゆく。砲門の数こそ多いが、高速で動く相手に対し命中率はそこまで高くは無い。が、重要なのは撃破よりも地上部隊に手を出す隙を与えない事だ。
「続けて、全突撃部隊に発令……『雷霆万鈞』発動。自動車化亡霊歩兵軍団、およびキャバリア化旅団は共同して前線を押し上げよ」
青年将校は続けて機械化歩兵と鉄騎の混成部隊へ進軍命令を下す。中近距離での対戦車兵装に加え、携行可能な砲迫火力による綿密な連携制圧を推し進めてゆく。更には抽出した戦力を公王と基地の防衛にも回す徹底ぶりだ。
(さて、向こうも始めたか。航空戦力、なにするものか……それではゾルダートグラード戦車兵の技量がどれ程のものなのか、奴等に教育してやる。|戦車、前へ《パンツァー・マールシュ》)
そうして俄かに戦闘が激しさを増す様子を見て取ったヴィルマもまた、自らの重パンツァーキャバリアを移動させ始める。通常の戦車が持つ|無限軌道《キャタピラ》の悪路踏破能力の代わりに、鉄騎が備える二脚は立体的な地形の移動を可能としていた。即ち、戦車兵が進出したのは国境を隔てる山脈地帯だ。
(高射砲のお陰で|戦闘爆撃機《ヤーボ》を気にしなくて良いのは有難いな。何より、三次元的に戦えるのはそちらだけではない。移動中の敵機の脚部を狙うのは、なかなか骨の折れる事だが……難しくはあっても、不可能な事ではないな。やってみせよう)
山間の地形だけあって高低差が激しく、周りは剥き出しの岩肌や石塊が転がっている。移動するだけでも一苦労だが、逆に言えば身を隠す場所には事欠かないと言う事でもあった。ヴィルマは器用にも砲塔部分のみを露出させ、獲物を探してゆく。
幸い、敵の視線は美月率いる軍集団に釘付けだ。大軍こそ囮に使えとは良く言ったものである。機動兵器は機動するからこそ脅威。脚を止めてしまえば、単なる的でしかない。果たして狙いをつけた次の瞬間、56口径88mm砲が虎を思わせる咆哮を上げるや、敵機の脚部を吹き飛ばした。その威力は凄まじく、片方のみならず両足を纏めて粉々にしてしまう。
『よし、上出来だな。これで戦力としては無力化出来ただろう……っ! どうやら戦果をじっくり確かめる暇もないようだ。すかさずレーダー照射か、存外に抜け目がない』
戦車兵の技量は賞賛されて然るべきだが、間髪入れずにけたたましい警報が操縦席内に鳴り響く。瞬時に砲撃地点を割り出した別の敵部隊が照準を合わせて来たのだ。速やかに移動しなければ。そう思った次の瞬間にはもう、幾条もの光線がヴィルマ目掛けて放たれていた。
『山岳方面に攻撃機を確認。後背に脅威を残せば、前線指揮官機に累が及ぶ可能性が有り。優先排除を開始する』
遮蔽物を盾としていたお陰か、初撃は岩が阻んで直撃を免れる。だが陽電子砲を浴びた岩石はどろりと赤熱しながら溶け落ちており、二撃目を防ぐ事は無理と一目で分かった。後退して射線を切るのが先か、敵の攻撃が先か。差し向けられた砲口が暴力的な輝きを孕み始めるのを確認しても、戦車兵に焦りの色は無かった。何故ならば――。
『増えて群れなせ、小さき狐……|Lasst uns das Festival starten《さあ、お祭りをはじめましょう》』
彼女は決して、独りで戦っている訳では無かったからだ。次の瞬間、二つの事象が同時に起こった。一つは放たれた陽電子砲が、何故か大きく重戦車の脇へと逸れた事。もう一つは射撃を行った鉄騎の頭部が吹き飛んだ事である。
それを為したのは、やや後方で戦場全体を俯瞰していた灯璃。彼女は仲間の危険に気付くや、瞬時に支援へ動いたのだ。頭部と言う最も小さな標的に命中させるとは、狙撃手の面目躍如と言ったところか。
『メインカメラ、照準機器を喪失。射点、公国側後方……現在の機体状態では遠距離目標への攻撃は不可能。よって吶喊し相打ちとする』
しかし脚部とは違い、頭部を破壊しただけでは完全な無力化とはいかぬ。センサー関係が集中しているため照準精度は著しく落ちるだろうが、それにさえ目を瞑れば継戦は可能。なればと頭部を失った機体は推進器の出力を上げ、捨て身の攻撃を敢行せんとする、がしかし。
『無駄ですよ。先ほど射撃を外したのは、本当に|レーダー装置を撃ち抜かれただけ《・・・・・・・・・・・・・・・》だと思いますか。まぁ、そうと悟られないように狙ったので、気付かなくても当然ですが』
その目的が果たされることは無かった。何故ならば、吐き出される推力バランスがてんで滅茶苦茶だったのである。片方が過剰なほど激しいと思えば、もう一方はうんともすんとも反応しない。あまつえさえ、バラバラと細かい部品が脱落する始末。
もしも敵機を外側から観察する者が居れば、機体内外を走り回る半透明な何かを見出しただろう。その正体は電子に干渉する管狐たちだ。灯璃の言葉通り、相手は狙撃によって照準をズラされたのではない。秘かに遣わせていた彼らによって、知らぬ間に設定を狂わされていたのである。
『稼働停止までの猶予、残り三十秒。吶喊は可能と判断。目標至近まで接近後、動力炉を過剰自爆させます』
これではまともに飛べないのも当然だろう。だが、げに恐ろしきは相手の執念か。どうせ動けなくなるのなら、せめて敵を巻き込んで果てよう。そう躊躇なく決断し、直進も儘ならない状態で無理やり迫って来たのだ。
この有様で灯璃の元まで辿り着けられるかは怪しい。しかし、もしも友軍の真っ只中へ飛び込んでしまったら。そもそも、自爆されたら操縦者も無事で済む筈も無し。だが下手に突いても半壊状態の機体が誘爆する可能性もある。そんな厄介極まりない状態だが、勇敢にもその前へ躍り出る者が居た。
「全く、積極的に自滅しようとしてくる相手ってのも困ったもんだ。生かして捕縛しろなんて言われてなければ、放っておくんだが……どのみち言っても聞かない連中なら、後は拳でどうにかするしかないよな!」
それは陽臣だ。もはやまともな戦闘なぞ出来ないだろうが、それでも相手は全高五メートル級の鉄塊である。高速で突っ込んで来る大質量に対し、仮にも生身の人間が真正面から相対するのはそれこそ自殺行為でしかない。
だが、その不可能を為す存在こそが猟兵だ。勢いよく飛び上がり、真っ直ぐに鉄騎を見据える青年。彼の両手には剣ならぬ拳、即ち鉄鋼籠手に覆われていた。鋭い刃を備えた其れもまた、彼が携える魔剣の一つである。
「ただのパンチと思うなよ! そっちだってとっくにボロボロなんだ、どれだけ硬かろうが粉々にしてやる! パイロットは脱出の準備でもしておくんだな! さぁ、大人しく……落ちろッ!」
数瞬か、数秒か。視界いっぱいに広がる敵機のシルエット目掛け、陽臣は全力で拳を振るう。刹那、鳴り響いた甲高い打音は一つのみ。しかし、実際に叩き込まれた拳打はなんと五撃にも及ぶ。
複数の拳を寸分の差なく同時に叩き込む絶技。同じ個所へ打ち込まれた衝撃はただでさえ崩壊しかかっていた機体にトドメを刺し、バラバラと空中分解を引き起こす。青年は崩れ落ちる残骸の中から慣性の法則で飛び出してきた操縦者を見つけるや、首根っこを引っ掴んで捕縛していった。
『まさか、あれ程の損害を受けてもまだ交戦意欲があるとは……私が以前経験した、東部戦線での戦闘を思い出させるな。恐ろしいものだ』
『加えて、あの状態の機体を制御できるだけの技量を維持している点も厄介ですね』
自らの砲撃に端を発する一連の流れを見届けたヴィルマは、地獄のような戦場を思い出し眉根を顰めゆく。また灯璃も不殺こそ意識していたが、決して手心を加えて訳では無い。にも拘らず不安定ながらも機体を御した敵操縦者の技量に、賞賛を通り越して不気味さすらも覚えてしまうのであった。
(徐々にですが、『統合体』部隊も形振り構わなくなっていますね。皆さんも危なげなく戦えているようで何よりですが……先ほどの戦闘中、少しばかり気になる事を言っていました)
斯くして間近で鉄屑の山と化した敵機を視界に収めつつ、ネリッサは戦場全体の統制に注力していた。上空を旋回中の夜鬼から齎される情報は、SIRD側が主導権を握りつつある事を示している。多少の綻びが生じたとしても、すかさず彼女が指示を飛ばしてその穴を塞ぎ、大事になる前に被害を押し留めている点も大きいだろう。
目まぐるしく変動する戦況を見極めるのは多大な労力を要するが、そんな中でも局長は敵の発した言葉を聞き逃してはいなかった。『Code:Lieutenant Colonel』と言う単語を、だ。
(直訳すれば『中佐』という事ですが、単純に指揮官の階級を意味している訳では無いでしょう。一体何を意味するコードネームなのか、気になりますね。ともあれ未だ件の人物が戦場へ姿を見せていない点を見るに、まだ様子を見ていると考えるべきかと。となれば、あともう一押しが必要です)
指揮官が前線へと赴く必要性とは何か。今であれば『配下の部隊が支配下から外れた場合』と見て問題なかろう。遠隔の繋がりが途切れたのならば、直接コントロールするのが一番手っ取り早いからだ。
「……という訳で、揺さぶりをお願いできますか?」
「心得た。各通信隊に伝達。敵レーダー波及び遠距離通信に対するジャミング妨害を開始せよ。敵部隊の連携に乱れが出た場合、速やかに対戦車弾での無力化を実施。効果が薄いと判断した際は、周波数を変更して再度実行せよ」
斯くしてネリッサが美月へ打診するや、将校は一切の逡巡なく求められた内容を下達してゆく。指揮官の命令を受けた部隊は持ち込んでいた各種装備を起動させると、幾つかの周波数帯へと強力な電波を流し始める。始めは四方八方を飛び交っていた照準レーダーが乱れ始め、次いで当たりを引き当てたのか、機体の挙動に困惑の色が浮かぶ様子が見て取れた。
ただ、戦意を失った訳でも降伏した訳でもない。である以上、美月が攻撃の手を緩める理由なぞ無く、動きを止めた機体から順に対装甲兵器の餌食としてしまう。個別に反撃をしてくるものの、肝心要の統率から切り離されてしまっては脆いものだ。
(よしよし、良い感じに混乱しているじゃねぇの。こうなってくれりゃあ、生身でも立ち回りようがあるってもんだ)
そしてこの機に乗じ、頃合いを見計らっていたミハイルもまた動き出す。これほどまでの乱戦ともなれば、一歩兵にいちいち注意を向けてはいられない。加えて、これまで撃破された機体の残骸が良い障害物となっている。
大地に突き立ったフレームや鋼板、燃料を舐め夜闇を焦がす焔。それらは傭兵にとって格好の隠れ蓑だった。彼は肩に|対戦車擲弾発射機《RPG-7V2》を担いでおり、装甲を食い破る牙を突き立てるべく獲物を探す。果たして、丁度良い位置に敵機を見つけたものの、その様子が些かおかしい。
『戦闘、殲滅、損耗、統合、闘争……! ッ!? ぅう!』
「おいおい、まさか指示が無くなったから暴走か。命令に従うのが兵士だが、命令がなきゃ判断出来ないのは単なる暴徒だぜ、おい?」
陽電子砲を矢鱈目鱈に撃ち放ち、腰に収めた斬艦刀を無茶苦茶に振り回す。それはさながら、癇癪を起こした子供のようだ。狙いも何もあったものではないが、それだけに予想がつかず厄介である。とは言え、錯乱した兵士なぞ戦場では珍しくも無い。況や、その黙らせ方をや。
「さて、と。それじゃあさっさと大人しくさせて、どんなヤツらが乗ってるのか、パイロットのツラを拝むとするか」
果たして、ミハイルは無造作に思えるほど気負いなく対戦車擲弾を叩き込む。意外にもそれは振るわれる斬艦刀や光線をすり抜けると、鉄騎の脚部へと命中。そのまま体勢を崩し、地面へと引き摺り倒してしまう。
こうなればもう身動きも取れまい。傭兵は得物をドイツ製AKに持ち変えながら機体をよじ登ると、外側からハッチを無理やり抉じ開ける。どうやら、操縦者は気を失っているらしい。ぐいと髪を掴んで顔を確認するが、休みなしに行動させられたのかげっそりとやつれており、敵ながら見るに忍びない有様だった。
「おいおい、随分と酷いなこいつは。どんな扱いを受けていたのかは知らないが、ロクなもんじゃないだろうな……っと?」
これでは尋問するよりもまず病院へ運び込むべきだろう。嫌な物を見たと顔を顰める傭兵は、せめて他に何かないかと操縦席を覗き込む。パチリ、と。動力が落ちる寸前、通信機から流れていた音声が耳朶にこびり付く。録音か何からしく、随分とひび割れた酷い音質だったが、何かに気付いて思わず舌を打つ。何故なら、それは。
――かつて聞いたことのある人物の声と、よく似ていた様な気がしたからだった。
成功
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第3章 ボス戦
『戦域管制ユニット』
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POW : 我らがあるべき場所
【ダークマターと念導波の濁流】を降らせる事で、戦場全体が【念導波に満ちた宇宙空間】と同じ環境に変化する。[念導波に満ちた宇宙空間]に適応した者の行動成功率が上昇する。
SPD : 我らがなすべき事
【召喚した巨大な艦載砲】から、戦場全体に「敵味方を識別する【念導波によって誘導されるγ線バースト】」を放ち、ダメージと【超高熱と電磁波、放射線による身体と機械へ】の状態異常を与える。
WIZ : 我らがうしなった物
戦場全体に【人格統合を強制する念導波】を発生させる。敵にはダメージを、味方には【管制ユニットから提供される情報と並列思考】による攻撃力と防御力の強化を与える。
イラスト:key-chang
👑11
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴🔴🔴
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種別『ボス戦』のルール
記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※このボスの宿敵主は
「💠ティー・アラベリア」です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
●劣化した亡霊
――『晴れて私がこの部隊のトップという訳だ』
――『これでもう、我々の戦争を邪魔する者は居なくなった』
かつて『公国』がまだ『大公国』と呼ばれていた頃。先代の公王はオブリビオンマシンの狂気に呑まれ、周辺国に無謀な侵略戦争を行った。当然ながらその行いは各方面の反発と報復を買い、属国であった筈の『自治領』にまで牙を剥かれたと言う。
――『確かに我が軍は壊滅状態、死に体と言って良い』
――『だが……あと一撃、叩き込んでやれる程度の戦力は残されている』
その『自治領』を率いた将校は功罪相半ばする男だったそうだ。祖国を護る為に立ち上がったと言えば聞こえは良いが、実態は劣勢であればあるほど喜ぶ戦争狂。間違いなく優秀で理性的だが、それを戦争と闘争の為にフル活用する危険人物。その階級は『中佐』だったと記録されている。
――『それなら十分だ。それだけで十二分だ』
紆余曲折を経て、先代公王に対するサフォーノフのクーデターへ協力し、戦争終結の一助となった立役者。一方でその後に行われた和平会談を、タカ派の過激派を率いて襲撃した犯罪者。猟兵に撃破されて以降、その消息は杳として知れぬと聞く。
しかし、それならば、何故。
その男の声がいま、ひび割れた酷い音質の放送で戦場全体に垂れ流されているのか。
『統合体』部隊との凄惨な戦いの場となった国境地帯。両国を隔てる山脈の陰から、ゆっくりと何かが姿を現してゆく。夜空に瞬く星を遮る、巨大かつ歪なシルエット。探照灯に照らされたその威容を形容するのなら、『天使』と呼ぶべきだろうか。件の放送はその機体から発せられていた。
「あれは……似ている。そして、この声。恐らくは録音か、人工音声。ああ、そうですか。そういう事ですか」
件の機体こそ、前線指揮官の搭乗機だろう。しかしそれを目の当たりにした公王サフォーノフは驚愕よりも寧ろ、納得の表情を浮かべる。と同時に、泡を食って駆け寄った護衛が数枚の書類を手渡してくる。それを一瞥した青年は、猟兵たちへ向けて口を開く。
「たったいま、『統合体』首脳部からも追加情報が来ました。あれこそが前線指揮官のキャバリア、『戦域管制ユニット』。兵士の人格を統合し管理する戦略兵器であり……その正体はかつて我が父たる先代公王が駆り、殲禍炎剣を制御可能と嘯いた機体のデッドコピーです」
純白の天使を思わせる鉄騎、『ネハシム・セラフ』。殲禍炎剣の制御を目的として公国で建造された機体だったが、その目論見は敢え無く失敗。せめてもの使い道としてプロパガンダに運用されていたものがオブリビオンマシンと化し、搭乗者の先代公王自身にその誇大宣伝を信じ込ませてしまった因縁の存在だ。
だが殲禍炎剣に手は届かずとも、その制御能力は一角のものであったらしい。どこからか情報を入手した『統合体』は自分たちの政体に合わせて機体を再設計し、殲禍炎剣ではなく麾下の兵士を統率する戦略兵器として完成させた。だが、彼らはここで余計な事をしてしまう。
「単なる指揮ではない、完全なる人格統制。それを操縦者単独で行うには負担が大きい。故に彼らはAIにサポートさせる事にしました。元が公国製の機体なら、優秀な公国軍人の思考データを載せた方が相性は良いと考え……よりにもよって、『中佐』を選んでしまった」
機体がデッドコピーであれば、搭載したAIもまたお粗末なもの。戦争狂で、劣勢に歓喜し、犠牲が出ても意に介さない。元となった男はある種の美学と流儀を持っていたにも拘らず、そんな極端かつ分かり易い要素だけを抽出してしまった。結果、サポートAIが逆に前線指揮官の思考を汚染してしまい、この有様である。
友好的な会議をぶち壊すわ、劣勢になろうが戦闘を止めないわ、犠牲は当然と考えているわ、と。よくよく振り返って見れば、全く同じ行動原理に従って動いていた。お互いが隣接しながらも山脈に隔てられているという、近くて遠い距離感なのも不味かったのだろう。流れてくる断片的な評判のみを鵜吞みにし、ろくに精査しなかったに違いない。
「……通りで我が国に話が振られる訳です。元々『公国』が作った機体で、AIの参考元も建前上は『公国』の下部組織に属していた軍人なのですから。手の内を知っているのだから、対処しやすいだろうと踏んだのでしょう」
何ともはた迷惑な話である。だが、猟兵たちが尽力してくれたお陰で相手の脅威度は低下していると言って良い。あの機体が本領を発揮する為には統率すべき配下が必要だが、その悉くは既に生きたまま捕縛済みなのだから。
「殺してしまっても同じ結果だったと言われれば、否定はし切れませんが……あの時点では殺害した場合のデメリットを考慮せざるを得ませんでした。加えて結果論とは言え、このような馬鹿げた存在の犠牲者を抑えられて、正直ホッとしていますよ」
ある意味、あの機体は公国が持つ負の側面と言って良い。それによって死者が増える事など、サフォーノフは望んでいなかった。ともあれ、戦域管制ユニットが利用可能な手駒は壊滅済みだ。無駄では無かった事は素直に喜びたいところだが、しかし。
――『さぁ、諸君。我々の戦争を始めよう』
破壊され操縦者を失った筈の機体たちが、金属の軋む不協和音を奏でながら再起動する。どうやらその制御能力で強引に稼働させているらしい。操縦者が乗った状態と比べるべくも無いが、注意するに越したことはないだろう。
それを見た公王は一瞬だけ目を伏せた後、猟兵たちへと告げゆく。
「我が国の歴史や因縁を存じない方も多いでしょう。安心してください、皆さんに求める事に変わりはありません……あの機体の、早急な撃破を。それで此度の戦いは終わります。どうか、ご武運を」
さぁ、猟兵たちよ。戯画化され、捻じ曲げられ、劣化した戦禍の虚像。過去より這い出た偽りの亡霊をどうか討ち果たしてくれ。
※MSより
プレイング受付は31日(金)朝8:30~より開始です。
第三章は前線指揮官の駆る『戦域管制ユニット』との決戦です。要約すると今回の事件は『公国製機体のデッドコピーに公国の危険人物を元にしたサポートAIを載せた結果、逆に指揮官が思考を乗っ取られて暴走した』事が原因となります。
第二章の戦果により統合すべき兵士が軒並み捕縛されており、相手は代わりに破壊された機体で代用していますが、脅威度は本来と比べて大きく下がっています(主にWIZ攻撃など)。ただ単体の戦闘力も侮れない為、油断すべきではないでしょう。
なお、今週末が所用によりバタついております為、場合によっては再送をご依頼させて頂く可能性がございます。申し訳ありませんがご了承頂けますと幸いです。
それでは、引き続きどうぞよろしくお願い致します。
カグヤ・アルトニウス
〇戦後処理どうするのでしょう
今回は…目の前の「亡霊」を冥府に送り返します。
ただ、どう見てもクロムキャバリアの技術ではないモノが使われてますけど…その入手経路は調査が必要ですね
(乗機)
ホワイト・レクイエム
(行動)
まずは、向こうの念導波を私のテレパシー【念動力+精神攻撃】で【ジャミング】して相殺
次にアブソリュート・ウォール【オーラ防御】でダメージと状態異常を遮断してからソードオブビクトリーの内の両腕に装備した一対の刀身のみをエクストラ・ブルーにした「エクストラ・ブルーモード」にしてUC発動します
あとは、頭上から【ダイブアタック】で突撃して【双剣使い+連続コンボ+剣舞】の連続攻撃を叩き込んでいきます
●藍の斬光、繰り糸を断ち
(事件の首謀者を表舞台に引きずり出すことは出来ましたが……よくよく考えると素直に喜べない状況でもありますね、これは)
上空で静止する巨大なキャバリアを見上げながら、カグヤは眉根を顰めゆく。相手は壊れたテープレコーダーの如く、ひび割れた音質で元となった軍人の発言を垂れ流している。今回の騒動はアレを撃墜すれば終わりだ。そう、|今回は《・・・》だ。
(ベースとなった機体と搭載されたAIの参照元、どちらも元を辿れば『公国』に由来すると言う事は分かりました。ただ仮にそれを差し引いたとしても、どう見てもクロムキャバリアの技術ではないモノが使われてますけど……その入手経路も調査が必要ですね)
機体の設計図に、高級将校のメンタルデータ。『統合体』が手に入れた情報はどれも軍事機密に分類される内容だ。おいそれと他国が手に入れられるものではあるまい。いったいどこから漏れたのか、例えこの騒動が無事に軟着陸したとしても追及は免れぬだろう。
その上で、『公国』とはまた別の系統が混ざっているのは明白である。あれが『統合体』が持つ本来の技術なのか、はたまた同じように他勢力から掠め取った何かを混ぜ合わせたのかまでは不明だ。いま確かな事は、源流が何であれ脅威であると言う一点のみ。
――『公私混同できぬ、否、公と私の境界線が無いと言うのも考え物か』
――『まぁ、私としては暴れられればそれで良いのだがね』
そして相手もまた、既に猟兵を脅威として認識しているのだろう。ゆっくりと機体全面をカグヤの駆る白銀機へと向けてゆく。と同時に時空間に歪みが生じ、虚空から艦載砲と思しき砲口が突き出て来た。
其処から放たれしはどす黒くも極彩色を帯びた念動波だ。触れた物体を昇華させる程の高温に加え、電磁波と放射線を孕むそれは確かにこれまで戦ってきた『統合体』部隊とは異色にも思える。
(これは……単なる念動操作だけではない。砲撃そのものにもこちらの精神を汚染しようとする悪意を感じますね。直撃は勿論、余波を浴びるのも避けたいところですが)
まともに浴びれば蒸発するが、余波を受けただけでも破滅的な思考に侵される。そうっ直感したカグヤは防御障壁を展開して自機を守りながら、己の思念も増幅。物理的にも精神的にも、相手の齎す脅威を防がんと試みてゆく。
果たして、白銀の鉄騎が極彩色の漆黒に呑み込まれた。五秒、十秒。執拗なまでの砲撃照射により、地形そのものが赤熱し溶解してしまう。こうなってしまえば、如何な猟兵とて無事では済むまい。戦況を見守る者らがそう危惧した、その時。
『……文明及び神話の産物に乗り又は其れを身に纏う者達よ、今一度己が足で踏みて足元に跪く畏れを思い出したまえ』
悍ましき狂気を断ち切るは藍色の閃光。地獄の中心部より夜空へ目掛けて飛翔した白銀の鉄騎は、防いだにも拘らず無傷とは言い難かった。高熱で装甲が歪み、電磁波で機体システムにエラーが生じ、何より操縦者であるカグヤ自身も思考に靄が掛かった感覚に苛まれている。
『これが指揮下の兵士たちを洗脳した力、ですか。確かに常人であれば抗いがたいでしょう。ですが、これもまた人が作り出した利器に依るものならば、藍の刃を以て断てぬ道理はありません』
だが、身体に染みつかせた動きは思考では無く反射の領域だ。青年は管制ユニットの頭上を取ると両腕に装備した一対の刀身、その切っ先を眼窩の敵へと突きつける。相手は指揮能力に長け強力な砲火力を持つが、白兵戦の術だけは持ち合わせていないと見て良い。
故に、こうして取りついてしまえばこちらをどうにかする事は困難であり――。
『……まずは、一撃。|騎兵降ろしの解刃《ライダー・ディスラプター》』
双刃による猛連撃が、優美な機体装甲へと斬傷を刻み込んでゆくのであった。
成功
🔵🔵🔴
村崎・ゆかり
暴走の原因がそのいかれたAIだって言うなら、これオブリビオンマシンじゃないじゃない。だったら、|猟兵《あたしたち》の出る幕じゃない。
って言いたいけど、契約は契約だしね。仕方ない。相手になる。
念導波ね。|呪術《オカルト》に片足突っ込んだ機体設計してる。それで、専門家を相手取るつもり?
念導波は「オーラ防御」「狂気耐性」「霊的防護」「魔力防御」と封魔装甲『アルマドゥラ』で遮断する。『アルマドゥラ』なら宇宙服代わりもしてくれるわ。
「全力魔法」電撃の「属性攻撃」「電撃」「天候操作」「仙術」で十字天経。
キャバリアなら、過電流を受ければただじゃすまないわよね。霊力のもつ限り、落雷を叩き込み続けてあげる。
イクシア・レイブラント
亡霊のように見えても本人とは異なる独立した|個体《いのち》。
責めるべきはAIを開発した人物達なのだろうけれど、
これ以上の被害が出る前に止めるよ。
強制遮断と似た|機能《ユーベルコード》のようだけど、
その環境なら戦い慣れている。
【最大稼働】でオーラを纏い[霊的防護、呪詛耐性]でダークマターと念導波を遮断、
[通常攻撃無効、環境耐性]で宇宙空間に適応して
アームドフォートで敵機体群を[戦闘演算、砲撃]しながら速度を上げ過ぎない程度に[推力移動]、
大型フォースブレイドを[武器巨大化]させて本体を[空中戦、なぎ払い]。
戦いが好きだというなら全力で切り崩すのが礼儀よね。
短い間だけどつき合ってあげるよ。
●黒を断つは白と翠
強烈な藍色の斬光を浴びた巨躯が、僅かに姿勢を傾がせる。もし相手が量産機であったならばそれで勝負は決していたが、『戦域管制ユニット』の耐久性は通常の其れとは一線を画していた。そんな様子を目の当たりにしたゆかりは、垂れ流される人工音声に忌々し気な表情を浮かべてゆく。
「暴走の原因がそのいかれたAIだって言うなら、これオブリビオンマシンじゃないじゃない。だったら、|猟兵《あたしたち》の出る幕じゃない。いやでも、過去の人物を元にしているのなら、狭義的にはそうとも言えるのかしら? ……まぁ、どのみち契約は契約だしね。仕方ない。相手になる」
「ただ亡霊のように見えても、厳密には本人と異なる独立した|個体《いのち》。暴走したとは言え、そうあれかしとして作り上げられたもの。責めるべきはAIを開発した人物達なのだろうけれど、これ以上の被害が出る前に止めるよ」
一方、人の|型《カタチ》をした|機械《レプリカント》と言う生い立ち故か、イクシアはやや暴走したAIに同情的な様子だった。あの人工頭脳を設計したのは『統合体』の技術者であり、プログラム自体はその製造目的に則っているだけだ。とは言え、暴走してしまった以上は彼女の言葉通り止めてやらねばなるまい。
「パッと見た限り、厄介なのは念導波ね。どっから引っ張って来たのかは知らないけど、|呪術《オカルト》に片足突っ込んだ機体設計してる。でも、それで専門家を相手取るつもり? そっちはあたしがどうにかするから、前を任せても良いかしら?」
「うん、勿論。強制遮断と似た|機能《ユーベルコード》のようだけど、宇宙みたいな環境なら戦い慣れている。念導波さえどうにかなれば、立ち回れないって事は無い筈だよ」
乙女たちは共に知己であり、長所も短所も勝手知ったる仲である。交わす言葉は端的なれど、それで十分だった。一方、天使の如き機体は白兵戦で手痛い一撃を被った点を考慮したのか。まずは己に有利な環境へ戦場自体を作り替えんと動き出す。
――『諸君、状況は最悪だ。まさしくクソの様な惨状だ』
――『忌々しいかもしれないが、まずは前提条件を整理するとしよう』
優美な外観とは裏腹に、垂れ流されるのは夜闇よりもドス黒い漆黒。粘着くような暗黒物質は濁流と化し、戦場全体を呑み込んでゆく。それらは真空状態と重力異常を引き起こすと同時に、敵対象をサポートAIの統制下へ強制的に組み込まんとする念導波に満ちていた。無防備にそれらを浴びれば、待っているのは『統合体』兵士と同じ末路だ。
「あたし自身はアルマドゥラで覆えば最低限のカバーは出来る。後はどこまでこの気持ち悪い念導波を中和できるかね。でも、単なるプログラムに遅れを取ってたら……陰陽師の名折れってものよ!」
対するゆかりは自らを鼓舞するかの如く、押し寄せる濁流の前へと立ちはだかってゆく。体表を微小機械で覆う事により外界から肉体を保護しつつ、霊力を練り上げながら九字を切る。次の瞬間、視界が一切の無明と化した。
上下左右どちらを向いても黒一色。重力異常のせいで自分が地面に立っているのかも定からぬ。そんな不安定な状況で、戯画化された『誰か』の思考が流し込まれる。闘争への狂奔、個を塗り潰し総体へ統合せんとする強制力。思考を墨で塗り潰される様な奔流を前に、しかして陰陽師は動ずることなく精神を研ぎ澄まし――。
「邪念雑念に揺さぶられているようじゃ、この生業は務まらないのよ……九天応元雷声普化天尊! 疾っ!」
刹那、雷光の純白が暗黒空間に迸った。邪を破り正を顕す、雷神の一撃。神鳴る力は暗黒物質を押し戻し、文字通りの陰陽なる調和を作り出す。完全に無効化する事は叶わなかったが、戦闘を行うのに支障は無い筈だ。
「キャバリアなら、過電流を受ければただじゃすまないわよね。霊力のもつ限り、落雷を叩き込み続けてあげる。イクシア! 援護するから……」
「本丸を叩く、と。分かった。機体各部、安全装置解除。フォースリアクター、イグニション。|最大稼働《フルドライブ》!」
二度、三度と立て続けに響く雷鳴を背にしながら、入れ替わりにイクシアが飛び出してゆく。黒白のみの世界に、紡がれるは清々しき翠色の粒子。先に発言した通り、彼女の躯体であれば宇宙空間での行動は苦にならない。
だがその一方、相手も先の二の舞を演ずるのは避けたいのだろう。ぞぶり、と。暗黒物質の中から強引に遠隔操作された半壊状態の『烈風』が浮かび上がると、猟兵の足を止めんと姿を現してゆく。
「操縦者は全員救出済みだから、さっきみたいに手加減する必要は無し……戦いが好きだというなら全力で切り崩すのが礼儀よね。短い間だけどつき合ってあげるよ」
それらはゆかりの放つ落雷によって吹き飛ばされてゆくが、鎧装騎兵もまた重砲を構えて敵機へ直撃弾を叩き込む。操縦席にはもう誰も乗っていないのだ、遠慮は不要。ただ、速度を上げ過ぎれば殲禍炎剣に捕捉されかねない為、そちらに気を遣う必要もあった。
そうして一機、また一機と撃ち抜き、巨大な戦域管制ユニットを攻撃圏内へと納める。しかしあれだけの巨躯だ、砲弾の一発や二発では有効打になり得まい。なればと、イクシアは得物を念動剣へと持ち変えた。それは彼女の意志に応じ、翡翠色の光刃を長く厚く伸ばしゆく。
「刀身の伸長範囲は限界ギリギリ。だけど、まだちょっと心許ないかな。でも、例え一人じゃ足りなくても……」
「二人掛かりならどうかしらね? イクシア、感電しないように注意して! いくわよ!」
頭上目掛け天高く掲げられる刀身。鎧装騎兵の体躯と比べれば巨大だが、敵機のサイズ感を見てしまうと確かにやや小さいか。しかし、威力が足りなければ補えば良いだけの話だ。果たして彼女が握り締めた得物を振るう直前、切っ先目掛けて極大の落雷が墜ちてゆく。翠と白、二つの意志を籠めし刃は瞬時に雲耀の速度へと至り、そして。
「これなら、戦争狂さんのお眼鏡には適ったかな?」
荘厳な装甲を断ち、優美な翼型ユニットを斬り飛ばしてゆくのであった。
成功
🔵🔵🔵🔵🔴🔴
エドゥアルト・ルーデル
(サイコ)フォースと共にあらんことを
偽物だろうがAIだろうがお互いやる事は一つでござろう、むしろあれが仕込まれてるならなおの事でござる、|戦争《クリーク》、|戦争《クリーク》、|戦争《クリーク》
|Das ist der weg《我らの道》.
という事で宇宙空間だろうがカッ飛んでいける優れモノを出すでござるよ
ジェットパックとベ…アーマー一式でござる、さあやろうぜ…空間戦闘をな
敵機周辺を飛び回りながら中央窓っぽい所へ磁気式吸着爆弾を投擲、外装にダメージを与えていきますぞ
折を見て取り付けそうならウィップコードを巻きつけて急接近、ブラスターを破損個所に接射しまくれ
じゃあなブリキ野郎、いつかまたやろうぜ!
●星海の戦争
グラリ、と。強烈な斬撃と落雷の同時攻撃を浴びた巨躯が傾ぐ。『戦域管制ユニット』の装甲表面に刻まれた損傷は深い。しかし、それでもまだ撃墜するには至らぬ。依然として夜空に浮かび続けるその威容はさながら破滅へ導く天使か、死の星か。そんな姿を見上げながら、髭面の傭兵は妙に胡散臭い澄まし顔を浮かべて見せる。
「これまた|狂った《サイコ》な|思考回路《ドロイド》なことで……フォースと共にあらんことを」
確実に間違っているのだが、結果的に間違ってない感じになってしまった。何がとは言わないが、一言で表せばそんな状況だろう。光か闇かで言えば確実に暗黒面な男ではあるが、立場だけを見れば|秩序《オーダー》側なのも困りものだ。
「まー、マスクを脱いだ正体が偽物だろうがAIだろうが、お互いやる事は一つでござろう。むしろアレが仕込まれてるならなおの事でござる。即ち|戦争《クリーク》、|戦争《クリーク》、|戦争《クリーク》! ……|Das ist der weg《我らの道》」
エドゥアルトは元凶たるAIのベースになった戦争狂と面識があった。蓋を開けてみれば本人では無かったが、思考がそういう手合いだと分かっただけでも十二分。|躯体《からだ》が闘争を求めているのならば、それに乗ってやるのが傭兵なりの敬意である。
――『私はね、猟兵諸君が大好きなのだよ』
そして、どうやら敵AIもそんな猟兵側の意図を察知したらしい。黒髭の戦意に刺激されたのか、はたまた妙な流れに感化されたのか。選んだ攻撃手段は先程と同じく、暗黒物質による濁流。それらで埋め尽くされた戦場は天と地の区別も消失し、無重力の宇宙空間を形成してゆく。
酸素にも乏しく、何の対策も無ければこれだけで詰みだ。しかし相通ずる者同士、これは闘争を楽しむ為のお膳立てと言う意味が多分に含まれている。その証拠に、待ってましたとばかりにエドゥアルトがイキイキし始めていた。
「もう、アンタも好きねぇ。という訳で、宇宙空間だろうがカッ飛んでいける優れモノを出すでござるよ。ジェットパックとベス……アーマー一式でござる。さあやろうぜ……空間戦闘をな」
果たして、男が虚空より取り出し身に纏ったのは背負いタイプの推進装置と、全身を覆うメタリックな光沢を放つ装甲だった。その中でもT字型スリットの入ったヘルムがひと際目を惹く。更に|光線銃《ブラスター》など構えてしまえば、何とは言わないがもう完璧である。
これで準備は万全。推進器を勢い良く吹かしながら、黒髭は勢いよく『戦域管制ユニット』目掛けて肉薄してゆく。一方、対する相手も遠隔操作していた烈風たちを砲台代わりに迎撃を試みる。そうして漆黒の空間は瞬く間に赤や青、緑の輝きと発射音で埋め尽くされてしまう。なに、真空で音は聞こえない筈? この宇宙では出るんだよ。
「感じる、感じるでござるよ、暗黒の力を……! アイアムユアファーザー、二重の意味でな!」
それは素質ある若者か、緑色の赤ちゃんか。訳の分からない事を口走りながらも、エドゥアルトは光線を掻い潜って取りつくや、機体正面の培養槽らしき場所へ磁気式吸着爆弾を次々と投擲し爆破する。
その内部に浮かぶ異形は思考回路かそれに準ずる存在らしい。攻撃を受けた直後から、俄かに鉄騎たちの動きが鈍り始めてしまう。こうなればもう、調子に乗った黒髭を止める手段など有りはしない。
「そらそらそら、ラッキー・ショットを食らうでござるよ! じゃあなブリキ野郎、いつかまたやろうぜ!」
鞭状の紐を絡めて身体を固定すると、破損個所へ銃口を捻じ込み乱射。ガスが尽きるまで熱線を撃ち込み終えると同時に、内部から噴き上がる爆炎に巻き込まれぬよう、エドゥアルトは危なげなく離脱してゆくのであった。
成功
🔵🔵🔴
ティオレンシア・シーディア
…つまりなぁに?聞きかじりで張りぼてに劣化コピー載せたら、それにすら耐えられずに乗っ取られたってことぉ?…多角的に頭痛くなってきたわぁ…
いっそ写真撮って額装したら見料取れるんじゃない?
まあどんなにアホらしい自爆でも、始末はつけなきゃいけないわよねぇ…
手駒は粗方潰したから脅威度は激減してるとはいえ、数に集られるとちょぉっと面倒よねぇ。念導波も鬱陶しいし。
●黙殺・目録から●消殺が自動展開、「人格統合を強制」って立派に「行動制限」よねぇ?反射して効くかはこの際二の次、囲まれて頓死とか冗談じゃないもの。
あとは●黙殺・砲列による魔術弾幕とガン積みした物理火器・火砲を●虐殺・壊擂で制御、|同時多重補足《マルチロックオン》で諸々薙ぎ払いつつ隙を突いて本体に|収束飽和射撃《ピンホールショット》ブチかますわよぉ。
…やらかしたことがあまりにもあんまりすぎるし、これ後始末の諸々どーするのかしらねぇ…
政治的なアレコレとかあたしが気にするようなことでもないけれど。
●後始末ほど大変で
煙を噴き上げ、内部より溢れる爆炎で『戦域管制ユニット』は夜空を照らしてゆく。そんな有様でも尚、機体から垂れ流される念導波とざらついた人工音声が途絶える事は無い。それはただ、己の建造理由と元となった人格に従い行動するAIに過ぎない故か。
『……ええと、つまりなぁに? よそ様のを真似した張りぼてに聞きかじりの劣化コピーを載せたら、それにすら耐えられずに乗っ取られたってことぉ? なんだか、多角的に頭痛くなってきたわぁ……いっそ写真撮って額装したら見料取れるんじゃない?』
あんまりにもあんまりな言い草だが、端的に言ってしまえばそうなのだから仕方がない。思わず頭を抱えたくなるティオレンシアであるが、困った事に国家と言う存在は時にこうした愚行を起こす事がしばしばある。ある種の『ハンロンの剃刀』とでも言うべきか。
「まあ、どんなにアホらしい自爆でも、誰かが始末をつけなきゃいけないわよねぇ……それを他人へ丸投げする姿勢に思う所はあるけれど」
猟兵として国家からの依頼を受ける事自体はやぶさかでないにしろ、敵対国に泣きつく『統合体』首脳部の姿勢は頂けない。しかしこの場でどうこうする事が出来ない以上、先ずは目の前の厄介事を片付けるより他に無し。
『手駒を粗方潰したから脅威度は激減してるとはいえ、数に集られるとちょぉっと面倒よねぇ……念導波も鬱陶しいし、お仲間に加えられる趣味は無いわよぉ?』
幸い、相手が本来操る筈だった麾下戦力は操縦者を失った事で戦闘力を半減させている。機体とて徹底的に叩いた関係で半壊状態と言って良かったが、固定砲台くらいの役目は果たすだろう。
加えて、今この瞬間も戦場に飛び交っている思念が思考を苛む。鬱陶しいと感じる程度で済んでいるのは女店主が猟兵だからであり、常人であれば先の兵士たちのように取り込まれてお終いだ。念導波への対処と、敵本体との戦闘。両方をこなすにはどうすべきか。
『思考を乗っ取られて変な行動をさせられたら厄介極まりないけど。ただあたしの場合、基点となるのは魔術「文字」。予め必要な意味を刻んでおけば、その心配も少なくなるかしらねぇ?』
クルリ、と。ティオレンシアは先程も使用したペンを取り出すと、慣れた手つきで乗機に幾つもの文字を刻み込んでゆく。いざと言う時に手元が狂って不発、なんて事態に陥っては目も当てられぬ。だがこうして事前に必要な文字を刻んでおけば、後は発動させるだけで事足りる。尤も、発動させられるのはそれぞれ一回こっきり。いつ、どの文字を切るかが腕の見せ所だ。
――『我々は文明人ゆえ、野蛮な振る舞いは御免被る』
――『戦争とて紳士的に殺し合うのがマナーだ』
相対する者が文字を操ると相手も視認したのだろうか。どの口が言うのかと呆れるような内容を人工音声に乗せながら、ゆっくりとティオレンシアへと向き直る。ただでさえ神経を逆撫でする念導波が強まると同時に、戦場のあちらこちらで半壊状態の『烈風』が動き出す。
仕掛けてくる、そう悟った次の瞬間、幾つもの陽電子砲が彼女目掛けて迸った。威力も精度も落ちているとは言え、直撃すればそう何度も耐えられまい。紙一重でそれらを避けつつ、女店主は敵の配置を見定めてゆく。
『そもそもの話、「人格統合を強制」って立派に「行動制限」よねぇ? 反射して効くかはこの際二の次、囲まれて頓死とか冗談じゃないもの。せいぜい混乱して頂戴な?』
そうして敵群の分布を見定めるや、ティオレンシアは事前に仕込んでおいた魔術文字の一つを発動する。その途端、あれほど激しかった砲撃の密度が俄かに落ちてゆく。サッと周囲を一瞥してみれば、『烈風』たちが身悶えするかの如く躯体制御を失っているのが見えた。
彼女は自らの周囲に結界を張る事で念導波の影響を遮断すると同時に、それらを反射。結果、複数方向から多重の念導波を浴びた事で命令系統が混線し、操縦者不在の鉄騎がコンフリクトを生じさせているのだ。
「さて、こうなってしまえばあとはこっちのものね。|黙殺・砲列《デザイア・バッテリー》に|虐殺・壊擂《アニヒレート・パルヴァライズ》……魔術弾幕とガン積みした物理火器に火砲の|大盤振る舞い《マルチロックオン》よぉ。有象無象の相手なんて長々するだけ無駄だし。邪魔な連中は効率的に潰さないとねぇ?」
機動しない機動兵器なぞただの的。ここが仕掛け時だと判断したティオレンシアは仕込んで置いた魔術文字を複数同時に起動させた。機体表層に浮かぶ無数の魔術文字が無数の光弾を撒き散らし、機体に搭載された火砲や手持ちの大型クロスボウが解き放たれてゆく。
攻撃開始からの経過時間は数瞬か、数秒か。たったそれだけの時間で、猟兵を取り囲んでいた鉄騎たちが一掃されてしまう。立て続けに巻き起こる爆発を目晦まし代わりにすると、女店主は敵本体へと狙いを定める。あれだけ大きな目標だ、邪魔さえ入らなければ狙いを外す事などそうあり得ず――。
『……|収束飽和射撃《ピンホールショット》、ブチかますわよぉ』
それまで広範囲に向けていた火力を一点に集中。物理と魔術、どちらかは防げても両方は凌ぎ切れまい。果たして、一瞬にして高負荷を掛けられた装甲がそれらに耐え切れる筈も無く、優美な装飾を盛大に打ち砕かれながら内部より爆発を引き起こす。
『……やらかしたことがあまりにもあんまりすぎるし、「統合体」にしろ「公国」にしろ、この後始末の諸々はどーするのかしらねぇ? 政治的なアレコレとか、あたしが気にするようなことでもないけれど』
戦域管制ユニットの損傷は致命的なレベルへと至りつつある。故にこそ、戦後処理についても思考が巡ってしまうのだろう。依然として鳴り響くざらついた人工音声に顔を顰めながら、ティオレンシアはそう独り言ちてゆくのであった。
大成功
🔵🔵🔵
ミハイル・グレヴィッチ
SIRDとして行動
機体もAIも劣悪、そんな機体を実戦投入して挙句暴走してるんだからな。統合体も追い詰められてんのかね。おまけに、ヤツの思考データを基にしてるんだ。そりゃ上手くいくワケないわな。
ま、俺らがやるコトは変わんねぇ。さっさと済ませて一杯やりに行こうぜ。
巨神エリュシオンに搭乗して出撃。
UCを使用し回避率を強化、敵の攻撃を回避しながら、まず周囲の雑魚を狙っていく。
ふん、幾ら指揮管制能力が高くても、操るのがガラクタばっかじゃ個々の戦闘力は大したコトねぇ。烏合の衆だぜ。
雑魚をあらかた相当したら、戦域管制ユニットを攻撃。タイミングを見計らって、UCの冥界神の槍を発動。一気に串刺しにしてやる。
ったく、あの声を聴いた時はヤツが現れたのかと思ったが…蓋を開けてみれば、ただの模倣品か。まぁヤツと会わずに済んで、ホッとしたような、残念な様な、複雑な気分だな。
今回の統合体最大のミスは、あの|戦争狂《ウォーモンガー》の思考データをAI如きに理解させようとした点だな。ヤツを理解するなんざ、100年早いぜ。
寺内・美月
アドリブ・連携歓迎
SIRD共同
「……全軍緊急撤退、牽制射一斉。目標敵随伴部隊、各個に射撃し撤退せよ」
・全軍の損耗を避けるため、召喚した部隊は一回だけ斉射を放ち緊急離脱。撤退が主目的であるため、牽制射撃を主眼として戦果に固執せずも、復旧した敵キャバリア隊の完全破壊をある程度は追求したい
・撤退にあわせて戦術支援サイキックキャバリア《フロンティヌス》を出動。フロンティヌスには〖EP対非実弾兵器反射シールド〗を装備させ、自身も〖戦闘防護衣〗を着用して宇宙戦に対応しつつ前進開始
・サイキック?的な自動操縦に切り替えた《フロンティヌス》には、敵艦載砲のガンマ線バーストから美月やSIRD人員及びキャバリアを防護させる。この際、盾が耐えられるプランク温度まで加熱しないよう注意(そもそもプランク温度まで加熱するのか、加熱しても周囲の地形が耐えられるのかは不明)
・自身はキャバリアの肩に乗って近距離まで接近した後、艦載砲の合間を縫って最接近し、指定UCにて敵主力に一撃を加えてなるべくなら攻撃手段だけは排除したい
ネリッサ・ハーディ
【SIRD】のメンバーと共に行動
情報によれば、敵は公国製機体の模倣品で、搭載されたAIが暴走している様です。そのAIは、確か以前グレヴィッチさん達の報告書にあった人物がベース・・・それが中佐だった訳ですね。まぁ完全コピーには程遠い様ですが。いずれにせよ、この機体の撃破か目標となります。
グイベル01より各員、|会敵《エンゲージ》、|全兵装使用自由《オールウェポンズフリー》。
引き続き、UCの夜鬼を使用して指揮管制に務め、敵を観察し行動パターンや弱点等を見出し、それをメンバーに伝えます。
またチャンスがあればUCで黄衣の王を召喚、敵の動きを封じる又は攻撃を試みます。
…機体も人格も、所詮紛い物ですか。
ヴィルマ・ラングカイト
SIRDの一員として参加
あれが指揮官機か…人格統制などという非人道的な手段を用いるとは…まぁ戦時急造品によくある事だな。目的は手段を正当化する。勝利を至上目的とする戦争なら猶更だ。
よかろう、二度と使えない様完膚なきまでに破壊してやる。
レイター22よりグイベル01、目標を視認。これより攻撃を開始する。
|戦車、前へ《パンツァー・マールシュ》!
|PzkpwⅥ Ausf. E《ティーガー》の重装甲に物を言わせて、真正面から敵の攻撃を受け止めながら攻撃。防御力を少しでも高める為、車体を敵に対して45度、いわゆる昼飯の角度を維持できる様に操縦する。
更にUCで爆撃支援を要請、敵に対して爆弾の雨を降らせる。
灯璃・ファルシュピーゲル
SIRD一員で密に連携
…史上最大級の粗大ごみの押し付けとは。公国も気の毒ですし、こんな分析力が乏しい首脳部だと…また同じ事をしそうで心配ですね
兎も角も先ずは目の前の処理ですね。指定UCにて、仲間たちの多角的な視覚情報から、敵味方の運動軌道及び敵の念導波の放出・増幅部を割り出して支援狙撃を実施。宇宙で攻撃や移動時の反動作用が異なったとしても、自身の反動含め割り出して修正するのみです。
艦載砲を多用し始めたら、冷却に使用してそうな部位を割り出し集中して攻撃。大出力な以上、熱暴走は怖いでしょうし攻撃機能の低下を狙って仲間の戦闘を狙撃支援しつつ確実にダメージを重ねていきます
※アドリブ絡み歓迎
梶浦・陽臣
●SPD対応
●SIRDとして参加
「随分とやべー奴をAIのモデルにしたんだな……」
「尻拭い感が否めないが……仕事だからな、排除させてもらう」
能力を行使し時属性の魔剣、刻魔錬剣を生み出す。
「圧倒的なスピードってやつを見せてやる」
生み出した刻魔錬剣を、そのまま自分の胸に刺し、取り込む。
UC【刻魔人化】を発動。時計の装飾を伴った銀色の刻魔人の姿となる。
そして、【鋼刃魔剣】を生み出し装備し、大幅に増大したスピードで戦域管制ユニットを『切断(レベル18)』し離脱、切断し離脱を繰り返す。
管制ユニットから放たれる攻撃に対しては、攻撃の予兆が見えた瞬間超スピードでその場から一気に離れ、また戻ってくるを繰り返す。
●終焉と、予兆と
「……やれやれ、一瞬|ヤツ《・・》が出て来たのかと思ったが、要は機体共々劣化コピーだったワケだ。こいつはとんだ肩透かしだなオイ?」
上空に浮かぶ巨大な威容と、ひび割れた酷い音質の人工音声。それらを耳目で受け取ったミハイルの顔に浮かぶのは、脅威や憂慮では無く呆れの色だった。これまでの断片的な情報から最悪を想定していたのだが、それはある意味で正しく、ある意味で誤っていたと言えよう。
「なるほど……情報によれば敵は公国製機体の模倣品で、搭載されたAIが暴走している、と。加えてそのAIは、確か以前グレヴィッチさん達の報告書にあった人物がベース……それが中佐だった訳ですね。まぁ完全コピーには程遠い様ですが」
公国側から共有された情報や仲間の事件記録を洗い直したネリッサは、本事件の背景事情をそう簡潔に整理してゆく。謎だった『Code:Lieutenant Colonel』とやらは兵士たちの思考を汚染したAI、ひいては元となった高級将校を示していたという訳か。
「ま、蓋を開けれ見れば機体もAIも劣悪、そんな機体を実戦投入して挙句暴走してるんだからな。完全な自業自得だし、統合体も政治的に追い詰められてんのかね。おまけに、ヤツの思考データを基にしてるんだ。そりゃ上手くいくワケないわな」
「その上、後始末は他国頼み……露悪的に言って、史上最大級の粗大ごみの押し付けとは。公国も気の毒ですし、こんな分析力が乏しい首脳部だと……また同じ事をしそうで心配ですね。重ね重ね、何故あの機体と軍人を選んだのか理解に苦しみます」
傭兵と同じく先代公王へのクーデターや和平会談での戦闘に関わった灯璃の反応も、概ね似た様なものだった。『統合体』が如何なる国家なのかは定からぬが、首脳部の対応や前線部隊の惨状を見た限りロクな体制ではあるまい。本件が終われば『六ヶ国同盟』との交渉も再開するだろうが、また一悶着が無いとも言い切れないのが怖いところである。
「いや、伝え聞いた情報だけでも相当だろ。えらくやばい奴をAIのモデルにしたんだな。頭どうかしてるんじゃないか、これ作った奴ら。結果的にとんでもない状況になってるし……もし完全に再現してたら、それこそ手が付けられなかったんじゃないか?」
直接的な面識の無い陽臣でも、挙げられた内容から件の人物がかなり危険である事は分かった。仲間の言葉通り、今回は再現が不完全であったからこそ暴走を始めてしまったが、逆に完成度が高ければどうなっていただろうか。少なくとも、今以上に碌な事態にはならなかったと言う事だけは確実だろう。一方、美月は一軍の将として別の視点から論じて見せる。
「それにのめり込み過ぎるのは論外だが、勇猛さは将器にとって欠かす事の出来ない要素でもある。記録を改めた限り、部下からの人望自体はあったのだろう? そうしたカリスマ性が悪い意味で噛み合ってしまった面もあるか」
絶望的な反抗、敵首都への殴り込み、果ては和平会談の背信まで。少なからず、件の軍人に付き従った者らも確かに居た。善でも悪でも、突き抜ければ人を引きつける何かを帯びる事もある。それが部下の統制を望む『統合体』上層部の思惑と一致したと言う側面も無いとは言い切れまい。
「確かに士気高揚にプロパガンダはつきものだが、まさか一足跳びに人格統制などという非人道的な手段を用いるとは……まぁ、不具合が出る事も含めて戦時急造品によくある事だな。目的は手段を正当化する。勝利を至上目的とする戦争なら猶更だ」
国家が兵士や国民の意識を特定の方向へ誘導する事自体、良く有る事だとヴィルマは知っていた。その手段として欠陥品や未検証の技術を新型と喧伝しながら投入し、結果として鳴かず飛ばずで終わる事も珍しくは無い。ただ、今回は役立たずどころか大損害を齎す結果となってしまっただけで。
「……灯璃の言う通り何か尻拭いやってる気分だが、これで最後だ。始末してやろうぜ」
「よかろう、二度と使えないよう完膚なきまでに破壊してやる」
ともあれ、大局的な話はそれこそ政治家にでも任せておけば良い。彼らがこの戦場に招かれた理由は最初から明示されている。『戦線指揮官の排除』。である以上、戦う以外に為すべき事は無し。魔剣を手にする陽臣の言葉にヴィルマは然りと頷き、砲塔ハッチから操縦席へと身体を納めてゆく。
「兎にも角にも、先ずは後顧の憂いより目の前の処理ですね」
「俺らがやるコトは変わんねぇさ。さっさと済ませて一杯やりに行こうぜ」
引き続き精密射撃と情報観測に努めんとする狙撃手に対し、傭兵は何故か二脚機から降りて地面に立つ。男はまるで準備運動のように伸びをしながら、ニヤリと不敵な笑みを浮かべていた。
「さて、このままでは些か相性が悪いか……全軍緊急撤退、牽制射一斉。目標敵随伴部隊、各個に射撃し撤退せよ」
「代わりに私たちの出番、と言う事ですね。グイベル01より各員、|会敵《エンゲージ》、|全兵装使用自由《オールウェポンズフリー》」
彼我の戦力を勘案して麾下戦力を後退させる美月と、入れ替わるように前へと出るネリッサ。真相が明らかとなった今、後はただ敵を討ち破るのみ。夜空に鎮座する暴走者を引き摺り下ろすべく、|特務情報調査局《SIRD》は決戦へと身を投じてゆくのであった。
――『どちらかを屈服させぬ限り、一兵残らず殲滅しない限り、戦争は終わらない』
――『そうだろう、諸君?』
後退してゆく諸兵科連合と、入れ替わりで前線へと出てくる猟兵たち。それらを踏まえた上で『戦域管制ユニット』がまず選択したのは、地の利を得る事だった。即ち、機体各所から放出した暗黒物質による物理法則の塗り替えである。
相手が宙空に留まっている事も相まり、降り注ぐ漆黒の奔流は雨と言うよりも一切合切を呑み込み押し流す濁流と言って良い。おまけにそれらは念導波を帯びており、生半可な精神力では人格を統合されてしまう恐れもあった。
「先んじて後退を命じておいて正解だったな。アレに呑み込まれて麾下戦力を丸ごと奪取されでもしたら目も当てられなかった……とは言え、津波の如く迫る速度は侮れないか」
猟兵ならば兎も角、美月が率いる亡霊の将兵たちでは抵抗も困難だっただろう。そういう意味では全軍を撤退させたのは英断と言える。彼らは無人と化した烈風群への牽制射もそこそこに退いてゆくが、高射砲と言った機動力に難のある兵器では逃げ切れるか怪しいところだ。なればと、青年将校は別の一手を打つ。
「フロンティヌス、出動。EP対非実弾兵器反射用シールドを構えて前進。濁流を押し留めて友軍の後退を支援しつつ、敵の本格攻勢に備えよ」
相手が無人ならばこちらも自律稼働で対抗するとばかりに、美月の傍らから一機の鉄騎が歩み出てゆく。それは巨大な盾を構える事で自らを防波堤と化し、戦場全体が覆い尽くされるまでの時間を引き延ばす。と同時に、美月もまた密閉型の防護着を着用する事で次の段階へと備える。
そう、これは飽くまでも下準備に過ぎない。果たして戦場全体が宇宙空間と化すや、遠隔操作された無人機たちが動き出す。半壊状態であれば機動力は落ちるものだが、重力影響が低減されればその問題もクリア可能。斯くして次々と放たれる陽電子砲が、自律機の楯へと吸い込まれてゆく。
『本来ならコレを操縦者込みで実行するってのが、想定していた戦術なんかね。ふん、残念だったな。幾ら指揮管制能力が高くても、操るのがガラクタばっかじゃ個々の戦闘力は大したコトねぇ。所詮は烏合の衆だぜ』
しかし、そんな鉄騎に並び立つシルエットがもう一つ。その正体は二脚機から乗り換えたミハイルの駆る巨神『エリュシオン』だ。巨神はその物々しい外見とは裏腹に、機敏な動きで放たれる光線を回避。もはや遠慮する必要はないとばかりに、躊躇なく操縦席へとパルスマシンガンを叩き込む。
(正直、配下の連中自体は大したことねぇ……だが、この頭を揺さぶられる様な感覚には参るな。なまじヤツの事が理解できちまうから、余計に影響を受けてんのか? あんまり時間を掛けると少しばかり不味いかもしれん)
烈風たちは事実上の固定砲台だ、そこまでの脅威ではない。だが現在進行形で思考と精神を侵食する念導波が非常に厄介だった。すぐに人格を支配されるほどやわでは無いが、集中力がゴリゴリと削られてしまう。出来れば本体を叩いて黙らせたいものの、そうするにはもう少し遠隔操作機たちを減らさねばならぬ。
(……近づけば近づく程に不快感が強まってゆく。ナイトゴーントを介してもこのレベルとは。もし直接浴びてしまった時を考えると、ゾッとしませんね)
なればこちらで突破口を開いてみせようと、ネリッサは引き続き情報の収集に努めていた。彼女の召喚する夜鬼はそもそもが宇宙的存在の眷属である。戦場が宇宙環境に変わろうとも、行動自体に支障はない。
局長は天地の区別なく飛び交う陽電子砲の嵐を掻い潜らせながら、夜鬼を介して戦域管制ユニットの様子を窺ってゆく。装飾過多とも呼べる外観だが、兵器である以上は各機能を司る部位を備えている筈。それを破壊出来れば、攻略の糸口になるだろう。
(っ!? 特定の角度から近づくと、僅かにですが伝わって来る念導波が強い。つまり、その場所こそが発生源と見て間違いないでしょうね)
ネリッサが目星をつけたのは、敵機上部に備え付けられた人面型の彫像だった。確かに如何にも意味ありげな造形をしていたが、どうやらそれが念導波を投射する増幅器としての役割を持っているらしい。
だが機体全体と比して彫像のサイズは大きいと言い難い上に、猟兵たちと相手の間にはまだ少なくない数の烈風が蠢いている。これらを今すぐに突破して増幅器を破壊するのは現実的ではなかった。しかしだからと言って、此処からアレを狙えるのか?
「……見えていますか、|灯璃さん《フクス08》?」
『ええ、無論。「目」をお借りした甲斐がありました。宇宙空間と同様の物理条件になった事で攻撃や移動時の反動作用も重力下と異なりましたが、自身の反動含め誤差を割り出して修正済みです』
答えは是。局長の問いかけに対し、愛機の操縦席で全神経を研ぎ澄ませていた灯璃が問題ないと答えゆく。機体は既に狙撃形態を取っており、変化した戦場のデータに合わせて諸元も修正済みだ。
加えて彼女は夜鬼の視界を借り受ける事により、ネリッサよりも更に少ない負担で情報を得る事に成功していた。ここまで条件が揃った状態で狙いを外さば、狙撃手の名折れである。彼女は瞳に映る幾つもの視界を一つに重ね合わせた果てに、操縦桿のトリガーを引き絞ってゆく。
『――|Bullseye《大当たり》』
果たして、銃口から放たれた弾丸は狙い違うことなく彫像へと吸い込まれ、澄まし顔の眉間を正確に撃ち抜いた。顔面は着弾の衝撃によって片側半分が砕け散り、同時に声を伴わぬ絶叫じみた思念が空間内に響き渡る。
「おお、嫌な感じが消えたぞ。こいつは有難い、っと!? 攻撃パターンを変えたのか。おちおち喜んでいる暇もないなッ!」
と同時に、思考を苛む念導波が雲散霧消してゆく。神経を逆撫でする不快感が消えた事に気付いた陽臣は喜ぶも、直後に慌てた様子で飛び退る。直後、つい先ほどまで彼が居た場所を光の柱が貫いてゆく。
――『勘違いしている様だがね、私はまだ勝ちを諦めるつもりなど毛頭ないのだよ?』
何事かと見やれば、戦域管制ユニットは自らの周囲に無数の艦載砲を召喚していた。念導波によるハラスメントが無効化された結果、より直接的な攻撃手段に切り替えたのだろう。厄介な点を一つ潰せたが、好き勝手に砲撃されるのも宜しくは無い。
『ならば、戦線に穴を開けてやろう。突破力こそ求められる役割、電撃戦こそが華。レイター22よりグイベル01、目標を視認。これより攻撃を開始する。|戦車、前へ《パンツァー・マールシュ》!』
ここは一気に攻勢へと転ずるべきだ。そして戦車ほどその役割に適した兵器もあるまい。ヴィルマは臆することなく|PzkpwⅥ Ausf. E《ティーガー》を前進させてゆく。猛虎の分厚い装甲に物を言わせて突き進みながら、立ち塞がる烈風へ砲弾を叩き込んで黙らせる。
とは言え陽電子砲ならばまだしも、艦載砲の直撃を受ければただでは済まない。良くて蒸し焼き、悪ければ爆散する間もなく溶解だ。故に決して足を止める事無く、仮に被弾したとしても減速を最小限にすべく機体の操作に細心の注意を払ってゆく。
(防御力を少しでも高める為、車体を敵に対して45度、いわゆる昼飯の角度を維持。停止は即撃破に繋がると考えるべきだ。幸い、烈風はあらかた片付けた。あともう少し、距離を詰めれば……っ!?)
目につく範囲の無人機は撃破済み。後は『戦域管制ユニット』を射程に捉えるだけだ。しかし、交戦距離が近くなればなるほど、当然ながら狙われる可能性は高まる。果たして、戦車兵は自機に向けられた砲口、その奥に輝く暴力的な輝きを認めてしまう。回避は? 時間が無い。防御は? 装甲が持たぬ。どちらを選んでも死を免れぬならば。
『攻撃あるのみ、か。さぁ、ジェリコの喇叭を吹き鳴らせ!』
真空である筈の虚空を震わせる、けたたましいサイレンの調べ。幾重にも重なりあうそれらの源は、百を優に超える急降下爆撃機の編隊だった。|Ju87《スツーカ》が投下した500kg爆弾が艦砲や敵機本体に降り注ぎ、爆発の衝撃で打ち据えてゆく。だが、相手も然るもの。照準の甘さに構うことなく、γ線バーストを照射。撒き散らされる熱波と電磁波、放射線で戦車を機能不全に陥らせんとする、が。
「ふむ、最悪プランク温度まで到達する事も覚悟していたが。流石にキャバリアの出力ではそこまで至らないか。そもそもとして、それ程の高温が生じれば防いだとて焼失は免れないだろうがな」
戦車兵に追従していた美月のフロンティヌスが飛び出し、文字通りの意味で盾となった。ミシミシと躯体が軋みを上げるが、当の将校は機体から離れた場所に居るので影響を受ける心配は無し。決して浅からぬ損傷とは引き換えに、鉄騎は己が役割を全うする。
「ふぅ、ちょっとばかりヒヤッとしたぜ。こういうのをタンクデサント、だったか? 戦車諸共に吹き飛ぶことも多かったみたいだけど……此処まで来れば問題ない!」
そうして窮地を凌ぎ切った刹那、巨躯の間から人影が飛び出す。それはヴィルマの戦車上に乗っていた陽臣だ。彼は戦域管制ユニット目掛けて挑み掛かりながら、そっと自らの胸に掌を重ねる。
すらり、と。引き抜かれるは一振りの魔剣。飾り気のない一振りだが、これこそ青年が持つ異能の根幹を為す核だった。感触を確かめるように振るわれた軌跡が複雑な文様を描き出すと、虚空より一領の鎧が召喚され、陽臣の身体を覆ってゆく。
「さぁ来いよ、3分で決着つけてやるぜ?」
それは自らの身体能力や技術を飛躍的に上昇させる魔剣鎧。生身で巨大なキャバリアを圧倒し得る破格の性能と引き換えに、使用可能な時間は僅か|180秒《3分間》。だが、それで充分だと彼は確信していた。
「重量が弱いからって、いつまでも浮かばれてたら面倒だしな。上から押し潰す!」
狙うは敵機直上。狙撃と爆撃で損傷した個所に狙いを定めるや否や、急降下と共に真なる魔剣を振り下ろす。当然ながら相手も艦砲で迎撃を試みるも、周囲に展開させた幻影魔剣がデコイとなって照準を逸らしてゆく。
キャバリアの中でも更に巨大な戦域管制ユニットと、生身の陽臣。質量差は圧倒的だが、しかして齎された結果は真逆を示した。魔なる剣が、研ぎ澄まされた刃が、天使の如き鉄騎を切断しながら下方へと強引に押し込む。だが、いまこの場所は天も地も無い宇宙空間。下に降りたところで何の不利があろうか。そう――。
『待ってたぜ、模倣品野郎。さぁて、行くぜエリュシオン。串刺しにしてやれ!』
その先で巨神に乗ったミハイルが待ち構えていなければ、だが。陽臣の圧に合わせて、傭兵は機体の加速用ブースターを点火。手にした巨大光剣の切っ先を繰り出した。通常であればまだ抵抗のしようもあっただろうが、上下を挟まれては逃れる術も無し。装甲を穿ち貫く刃により、宣言通り戦域管制ユニットは串刺しとされてしまう。
『さぁ、今のうちにトドメをさしてやりな!』
傭兵はそう叫ぶものの、敵機は甚大な損傷を負ってはいるが機能停止にまでは至っていない。元となった人物同様、諦める事を知らぬ闘争心は更に可能な限りの艦砲を召喚。青年か巨神を排除、そうでなくとも引き剥がせればという狙いか。
『……宇宙空間は極寒と思いがちですが、案外そうではないらしいですね。大出力な以上、熱暴走は怖いでしょう?』
しかしそれらが火を噴くより前に、戦域管制ユニットが帯びる幾つもの翼状ユニットが撃ち抜かれた。それらは放熱板としての役割もあったらしく、翼を失ったことで排熱能力が低下。異常をきたした砲身が自壊してしまう。そんな戦果を確認し終えると、灯璃は照準をより致命的な部分へと定め直し、更にトリガーを押し込んでゆく。
「今が機ですね。私も攻撃に加わるとしましょうか。The Unspeakable One,him Who is not to be Named……さぁ、貪り尽しなさい」
『弾種、徹甲弾! 残弾の心配は無用、ありったけを叩き込む。|撃て《フォイアー》!』
僅かでも猶予を与えれば、何をしてくるかも分からない。故にこそ、ここで勝負を決すべき。そう判断したネリッサは夜鬼を送還すると同時に、汚穢な黄衣を纏った神格を追加召喚。禍々しき触手で蹂躙する傍らでは、ヴィルマが当たるを幸いに装填と射撃を間断なく繰り返す。轟音が一発響く度に、相手の装甲が無残にも砕け散る。
「くそ、あともう一押しだってのに、もう時間が……悔しいが、後は任せたぜ」
「――心得た。曲がりなりにも敵の将たらんを相手とするならば、こちらも抜くのが礼儀だろう。例えそれが、紛い物であろうとも」
一気呵成な攻勢を前に戦域管制ユニットの躯体は急速に破壊されてゆく一方、相手を抑え込んでいた陽臣が遂に活動限界を迎えてしまう。青年の全身を覆っていた鎧も解除され、それを好機と見た敵機が自らを貫く光刃から抜け出そうと藻掻き始めた。
しかし、ここまで来て詰めを誤る事など許されない。仲間と入れ替わるように、一つのシルエットが高々と跳躍する。それは半壊状態となった乗機を足場代わりに駆け登った美月だ。彼はすらりと黒白二振りの太刀を鞘走らせてゆく。
「繊月、司霊。両刀の第一次封印を解除……剣霊覚醒」
軍とは勇将が率いらば獅子と化し、愚将が立てば烏合に堕す。故にこそ結果的に誤りだったとはいえ、『統合体』は有能な将校の人格を機体に搭載したのだろう。そういった意味では、此度の戦いは将器の相比べと言っても過言では無かった。そして、その土俵で彼が他者に後れを取る事などあり得る筈も無く……。
――『いずれまた相見えるか、それは分からぬ』
――『だが、戦火がある限り、我々は永遠であり不滅だ』
――『さらばだ、諸君。これにてさようならだッ!』
一刀両断された『戦域管制ユニット』は損傷に耐え切れず、遂に崩壊を始めてゆく。無数の部品を落下させ、完全に稼働を停止する寸前。搭載されたAIが最期にざらついた音声で紡いだのは、そんな別れの叫びであった。
「……終わった、んだよな?」
「うむ、そのようだな」
敵機の撃破と共に空間を満たしていた暗黒物質が消失し、戦場全体が元の状態へと戻ってゆく。地に足を着ける感覚で緊張の糸が切れたのか、深々と息を吐きながら陽臣が地面へ座り込む。その横では美月が得物を納刀しながらも、油断なく指揮官機の残骸へと視線を向けていた。
「厄介な手合いだったが、勝利は勝利。後の処理は政治家に任せておけば良いが……念の為、操縦者の安否も確認しておくとしよう」
これで『六ヵ国連合』と『統合体』の間で勃発した戦争は終結に向かうだろう。後はテーブルを舞台に交渉と言う名の戦いが繰り広げられるだろうが、一介の戦車兵であるヴィルマには与り知らぬことだ。
ただ、前線指揮官が生き残っていれば何かしらに使えるやもしれぬ。駄目で元々だと戦車から降りて捜索を行う仲間の背中を、ミハイルはタバコを燻らせながらなにとなしに眺めている。
「ったく、最初あの声を聴いた時はヤツが現れたのかと思ったが……まぁ会わずに済んで、ホッとしたような、残念な様な、複雑な気分だな」
共に肩を並べて戦ったこともあれば、最後は死力を尽くして殺し合いもした。味方でもあり敵でもあると言う点が、割り切れなさを感じる一端なのだろう。ただ一点だけ確実なのは、どちらであっても厄介であるのは間違いない事か。
「今回『統合体』が犯した最大のミスは、あの|戦争狂《ウォーモンガー》の思考データをAI如きに理解させようとした点だな。ヤツを理解するなんざ、100年早いぜ」
「……機体も人格も、所詮紛い物ですか。そう言えば過去の戦闘記録を見た限り、元となった『中佐』の死亡は確認されていませんでしたね。容易く落命するような人物には思えない反面、五年も大人しくしているとも考えにくいですが」
肩を竦める傭兵に対し、ネリッサはそんな懸念を口にしてゆく。確かに今回はAIだったが、件の戦争狂は殺しても死ななそうな男だ。この世界の何処かで元気に生きている可能性は高い。だがその一方、噂話の一つも聞かないと言うのは確かに妙な話でもある。
そんな会話を横で聞いていた灯璃は『中佐』と面識の有る者の一人として、ふと或る考えが思い浮かぶ。彼はかつて、本懐である猟兵との死闘を果たして見せた。となれば、次に描く望みはいったい何か。
「例えば……より大きく、もっと激しい戦争が起こるのを待っているのでは?」
「はっ、嗤えねぇジョークだ」
ミハイルは狙撃手の言葉を受け流しながらも、あり得ないとは返せなかった。だがもしそうなったら、どうすべきか。いま考えたところで答えなぞ出ないだろう。ともあれ、此度の任務はこれで一区切りだ。
次に声が掛かるのは何処の小国家で、どのような騒乱か。そんな不穏な予感を抱きながらも、|特務情報調査局《SIRD》の面々は報酬を受け取るべく、公王の元へと足を向けてゆくのであった。
大成功
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