第二次サイキックハーツ大戦⑱〜†闇ト踊レ†
影が踊る。漆黒の大樹が、世界へ向けて侵蝕を始める。
さながら、樹木が地表を覆い尽くすがごとく――数多にも枝分かれをし、その切っ先を天に向けて伸ばしていくのは、伝承に語られる聖魔の剣の数々のようだった。
「『蒼の王』よ、我アラベスクは、汝を覆う鎧となろう」
――剣樹がかたどる、うつくしくも禍々しい|装飾文様《アラベスク》。
萌え出ずる|死剣《みどり》は瞬く間に地に広がり、暴虐の限りを尽くすのだろう。
「何を為さんとする、か……次の世界を探すのだ。彼の世界を悪で満たし、その双方を闇に落とす」
厳かにそう告げた不死の王は、眼窩に昏い灯をともしたまま虚空へ向けて手を広げる。
いつしか空は血のような緋に染まっていた。どこからか死者の慟哭が聞こえてきて、闇の気配が高まっていく。
そして――いずれ来るであろう猟兵たちに向かって『蒼の王』は、ただ静かにこう問いかけるのだ。
「……世界はなおも、悪に満ちているか」
第二次サイキックハーツ大戦は、いよいよ第三戦線に突入した。意味もなく片目を押さえたシーヴァルド・リンドブロム(廻蛇の瞳・f01209)が今回説明を行うのは、蒼の王コルベインとの戦いについてだった。
「最強のノーライフキング『蒼の王コルベイン』が、よもや『剣樹卿アラベスク』を纏うとは……」
くッ、と苦悶を露わにする彼が語るには、彼らの目的はサイキックアブソーバーを破壊しての異世界転移、そして彼の地での『闇堕ち』の誘発であるという。
「それを体現するがごとく、戦場では“闇の衝動”が沸き上がり、全てを滅ぼそうと禁忌の力を振るってしまうのだ!」
心の奥に沸き起こる憎悪や殺意、慾望といった負の感情――それに身を委ねることで「真の姿」を晒し、大幅にパワーアップした状態で戦えるが、その代償に同じ戦場にいるものを見境なく攻撃するようになってしまうらしい。
「この世界“最強”と言って良いオブリビオンが相手、そうするのも已む無しではあるが……闇を照らす一条の光もまた、俺たちに射し込んでいるのだ」
何を言っているのか良く分からないシーヴァルドの言葉を訳すと、今回の戦場にはご当地怪人の首領である『グローバルジャスティス』も駆けつけてくれるらしい。闇の衝動を振り払うことを選んだ場合、彼がユーベルコードを強化するアイテムを使って猟兵たちを援護してくれるそうだ。
闇の衝動に身を委ねるか、それとも抗うか――。
どちらの戦いをするかはそれぞれに任せる、とシーヴァルドは猟兵たちに告げてから。
「己の闇を恐れよ。されど恐れるな、その力――!」
ずっと言いたかったらしい誓約の言葉を真剣な口調で紡ぎ、彼は皆を送り出したのだった。
柚烏
大変ご無沙汰いたしておりました、柚烏と申します。こちらは『サイキックハーツ』世界の戦争シナリオになります。
ちゅうにっぽいムーブが出来そうだと聞いて……!
●プレイングボーナス
闇の衝動に従い、パワーアップして戦う/闇の衝動に抗い、グローバルジャスティスの支援を受けて戦う。
●プレイングにつきまして
シナリオ公開がされたと同時に、プレイングを送って頂いて大丈夫です。締め切りはタグでお知らせします。
完結優先で作業しますので、成功度に達するまでの採用となります。プレイングの内容に問題がなくても、人数を越えれば返金の可能性がございます。ご了承のうえで参加頂けますと幸いです。
オープニングみたいなコテコテのノリでお送りしたいと思っています。「し、鎮まれ……闇の衝動よ!」とかそんな感じで。解き放つ場合でも「クッ、今の俺に近づくな、何をするかわからんぞ!」とか叫べばいい感じで戦えそうですね。それではよろしくお願いします。
第1章 ボス戦
『『蒼の王コルベイン』』
|
POW : 剣持つ骸の群れ
レベル×1体の【聖剣・魔剣で武装したアンデッド軍団】を召喚する。[聖剣・魔剣で武装したアンデッド軍団]は【剣】属性の戦闘能力を持ち、十分な時間があれば城や街を築く。
SPD : 我が身は剣にして死の具現なり
【自身の影から生える無数の剣】に密着した「己が武器とみなしたもの」全てを【サイキックエナジー】で操作し、同時一斉攻撃及び防御に利用できる。
WIZ : 死剣大樹海
召喚したレベル×1体の【伝承に語られる聖剣・魔剣の数々】に【生命を喰らう蒼き水晶】を生やす事で、あらゆる環境での飛翔能力と戦闘能力を与える。
イラスト:カス
👑11
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
|
種別『ボス戦』のルール
記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※このボスの宿敵主は
「💠山田・二十五郎」です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
燮樹・メルト
【闇に抗うのは光】
すごいヤミのパワーを感じる〜、左目が疼くしめっちゃやむ〜。
ミコちゃん助けて〜、というわけでキャバリアに乗って。
(闇が溢れる、失った眼窩を疼かせるのは闇の衝動か、嗚呼、救いは光の女神……我が身に救済を)
グローバルジャスティスの装置を使って、UCを一気に強化させるよ〜。
アンデッド軍団を射程に捉えて、全ての敵を掃討して、一気にコルベインに迫っていこう。
解き放つのは、UCの一斉射を全周囲から照射、的をしぼらせずにコルベインを削り取るように光をくらってもらうよ〜。
(闇深ければ、光もまた強く輝く、理をもって、コルベイン、その身を穿つ)
幸・鳳琴
ディバイド世界が滅びれば
「ブレイド」出身の猟兵も帰る術を失います。
なればこそ全力で貴方を討ちましょうか、蒼の王ッ
闇の衝動は抗います
沈まれ、私の闇
なるほど、父母の仇の顔が思い浮かびましたが
最愛の人が愛を伝えることで憎しみを乗り越えた私には
憎悪とは通り越した場所!
落ち着き、勇気を胸に振り払い、
グローバルジャスティスの支援を受けて戦います!
召喚されたアンデッド軍団を黄龍三節棍と
功夫を生かした格闘術でのなぎ払いで突破し、
コルベインのもとに辿り着いたら
超強化された《幸家・醒龍》を叩き込みます!
相手からの反撃もオーラ防御で堪え、
窮地での閃きと限界突破で勝利を掴みますよ。
私達は、己の闇にも屈しませんからっ!
ハル・エーヴィヒカイト
アドリブ連携歓迎
蒼の王
DIVIDEに所属するケルベロスとして
この世界を守る「剣」として
その野望を断ち切らせてもらう
闇の衝動。そんなもの、とっくの昔に乗り越えている
私は最後の復讐を果たす寸前までたどり着き、自らそれを捨てることを選んだ。今更そんな衝動に惑わされはしない
その分ここはグローバルジャスティス卿の支援に頼らせてもらおう
蒼の王と私は戦い方が似ているようだ
そのままでは勝負にはならなかったかもしれないが今は大首領の助けがある
強化されたUCを発動して領域を展開、[念動力]で操作する無数の刀剣の[乱れ撃ち]でアンデッド軍団を蹂躙する
そして彼らの聖剣・魔剣全てを己が武器とし、蒼の王に一斉掃射といこう
破滅の|装飾文様《アラベスク》を描いていた無数の剣先が、統率された動きで猟兵たちの方へと突きつけられた。影より次々に湧き出てくるのはアンデッドの群れで、その手に握られているのもまた名だたる刀剣の数々である。
配下を従え、剣樹の玉座に君臨する『蒼の王』――彼によって、戦場にいるものたちは否応なく“闇の衝動”を引き出され、全てを破壊し尽くしたいという、本能にも似た欲求に囚われていたのだった。
(すごいヤミのパワーを感じる~、左目が疼くしめっちゃやむ~)
髑髏のアイパッチを片手で押さえ、燮樹・メルト(❤️🩹やわらぎ🧬ちゃんねる💉・f44097)は気だるそうに身を屈める。武蔵坂学園生である彼女にとって「やむ」のは日常みたいなものだけど、こう如何にもな感じのラスボス相手にやられると、ついうっかりで闇堕ちしてしまいそうで怖い。
「というわけで……ミコちゃん助けて~」
闇に抗うのは光、との信念により、さっそくメルトは女神型のジャイアントキャバリアを起動させる。
MICO・ミコ・オルガノン――通称ミコちゃんは神聖属性の兵装を持ち、アンデッド相手の戦闘なら申し分ない。
(闇が溢れる、失った眼窩を疼かせるのは闇の衝動か、……嗚呼、)
が、黒の樹海に降り立った女神のコックピットで、少女の心をなおも闇が侵蝕する。それはキャバリアの自我とせめぎ合い、いつ暴走してもおかしくない危険な状態であったが、その時「ミコ」と|同調《シンクロ》したメルトの両手が祈るように組まれた。
(救いは光の女神……我が身に、救済を)
瞬間、緋色の空にひと筋の光が射し込んだように、辺りの闇が薄れていく気配がした。
キャバリアによるオールレンジ思念誘導式神聖機構、セイクリッド・オルガノンが起動し始めたのだ。骸の海に由来するものにダメージを与えるその力によって、じわじわと後退していくアラベスクの影。
不死者の隊列にわずかな乱れが生じたその時――一陣の風となって戦場に斬り込む者がいた。
「『蒼の王』、DIVIDEに所属するケルベロスとして、この世界を守る“剣”として、その野望を断ち切らせてもらう」
純白の髪が、黒の森に鮮やかな軌跡を描く。涼やかな殺気を全身に纏わせ、己を一振りの剣と化して突き進んでいくのは、ハル・エーヴィヒカイト(閃花の剣聖・f40781)だった。
「ディバイド世界が滅びれば、“ブレイド”出身の猟兵も帰る術を失います――だからこそ、」
ハルが周囲のアンデッド達を纏めて斬り捨てたそこで、上空から舞い降りた幸・鳳琴(精霊翼の龍拳士・f44998)が、黄龍三節棍を巧みに操って更なる追い打ちをかける。粉々に砕かれた骨が辺りに舞った。
「全力で貴方を討ちましょうか、蒼の王ッ」
そう、ハルも鳳琴も、異世界からやって来たケルベロスだ。アブソーバーを狙うコルベインの目的が、世界を越えてディバイドに闇堕ちを齎すことだとすれば、ここで決着をつけるしかない。しかし、闇の衝動は灼滅者にもケルベロスにも等しく襲い掛かり、他者への憎悪を際限なく掻き立てていく。
(くっ……沈まれ、私の闇)
力任せに拳を振るい、押し寄せるアンデッドをなぎ払う鳳琴。その時、衝動とともに彼女の脳裏によみがえったのは、父母の仇の顔だった。隣で苦悶の表情を浮かべているハルもまた、宿敵の姿を思い浮かべているのだろう。
すでに乗り越えたと思った憎悪が、どんどん膨れ上がっていく――しかし、惑わされはしない。己の歩んできた道を思い返したハルはコルベインを睨みつけると、自らに言い聞かせるように、静かに告げた。
「……私は最後の復讐を果たす寸前までたどり着き、自らそれを捨てることを選んだ」
そうだ。落ち着いて、勇気を胸に“闇の衝動”を振り払わなければと、鳳琴も深呼吸をする。自分には闇に負けないほどの光がある。指に煌めく永遠の指輪が、そのことを教えてくれる。
「そう、最愛の人が愛を伝えてくれたから。憎しみを乗り越えた私には――憎悪とは通り越した場所!」
そうして、猟兵たちがそれぞれに闇への誘いを振り払ったところで、遠方に待機していたグローバルジャスティスが支援を開始した。ユーベルコードの強化が発動したのだろう。メルトの機体からたちまち力が溢れ出し、全方位に向けてセイクリッドフェザーの一斉掃射を放つ。
(闇深ければ、光もまた強く輝く、理をもって、コルベイン、その身を穿つ)
キャバリアと一体となった少女が、光と化した。天から降り注ぐ光の羽根が、影の剣樹を削り取るように弾けて辺りに広がる。それでもアンデッドの軍勢はしぶとく残っていて、『蒼の王』を護るべく次々に剣を翳す。
「だが、今の私達には、大首領の助けがある」
続いたのはハルだった。無数の剣を操って戦うのは、彼も得意とするところだ。
周囲に展開する結界は、ユーベルコードの強化によって戦場全体にまで及んでいた。そこに存在する「己が武器とみなしたもの」を、今のハルは己の武器とすることができる。つまり――、
「――敵の持つ聖剣・魔剣、その全てを」
直後、念動力によって操作された無数の刀剣が、巨大な竜巻と化して戦場を荒れ狂った。
瞬く間にアンデッド軍団は蹂躙されていき、残る蒼の王コルベイン目掛けて鳳琴が疾駆する。相手からの反撃も覚悟した上で、踏み込みと共に叩き込むのは、単純ながらも力に満ちた降魔の拳だ。
「私達は、己の闇にも屈しませんからっ!」
鳳琴の一撃が、蒼の王を捉えた。そこへ収束させた闘気が注ぎ込まれると、一気に爆発する。
――さながら輝く龍が、天に向かって咆哮するかのように。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
ワタリ・イブキ
我が内にて獣が騒めいておる。
殺せ、喰らえ、すべてを壊せと。其のいと甘美なるを囁いてくる。
ならば良かろう。此度、妾は獣として全てを喰らい尽くさん!
といったノリにて闇の衝動を解放。以てコルベインに挑む。
なれども思考はあくまで冷静に。敵の攻撃軌道を【瞬間思考力】にて把握、最低限の機動にて躱しつつ肉薄。
身を守るとて無為、浸透する拳威にてその守りを貫き衝撃を撃ち込もうぞ。
獣と化した我が拳は血に飢えておる。
オヌシの身に温かな血は流れておらぬだろうが、代わりに流れておるものがあろ。
なればその全てを残さず流し散らし、妾に捧げるが良いわ!
(我が内にて獣が騒めいておる)
黒き影が樹海めいて広がる戦場で、ワタリ・イブキ(玄羽忍者/ブラックフェザー・f36634)は己の内なる声の囁きを感じていた。太古のニンジャの魂が、歓喜に打ち震えているのであろうか。無数の剣が迫り来る中で、彼女の身体がふらりと傾ぐ。そのバストは豊満であった。
(殺せ、喰らえ、すべてを壊せと。……其の、いと甘美なるを囁いてくる)
メンポ・クロスに覆われたワタリの口元が、愉悦の笑みにあやしく歪む。ならば良かろう、と己のソウルに身を委ねた美しきニンジャは、そのまま肉食獣のように身を屈めると降りしきる剣雨の中を突っ切っていった。
「此度、妾は獣として全てを喰らい尽くさん!」
ニューロンが火花を散らし、ワタリの瞬間思考力が極限まで研ぎ澄まされる。それにより敵の攻撃軌道を把握――雨粒の一つひとつが剣の切っ先という只中を、最低限の軌道にて躱しつつコルベインに接近する。スゴイ!
「獣と化した我が拳は血に飢えておる。……オヌシらの身に、温かな血は流れておらぬだろうが」
アンデッドの軍団を従えた『蒼の王』が相手となれば、ネギトロめいた状態は望めないであろう。だが、代わりに流れておるものがあろ、とワタリは深紅の瞳をぎらつかせてカラテを纏う。そのバストはやはり豊満であった。
「なればその全てを残さず流し散らし、妾に捧げるが良いわ!」
――身を守るとて無為。|浸透する拳威《キアイ・ペネトレイション》は、あらゆる物質を透過して内部に衝撃を与えるのだ。ワン・インチ距離まで肉薄したワタリが、カラテ・シャウトを発して拳を繰り出した! ナムサン!
「斯様な鎧に頼りきるなど笑止! イヤーッ!」
纏うアラベスクの鎧の奥、その本体へとワタリの闘気が注ぎ込まれ――しめやかに爆発した。
大成功
🔵🔵🔵
月影・木乃葉
剣樹卿アラベスクは兎も角
蒼の王コルベインは入学当初には灼滅されていたダークネスでしたか
闇の衝動に少し闇落ちしかけて
世界はなおも、悪に満ちている…そうであれば
他世界からの助力も、このような支援も無かったでしょうね…!
闇の衝動を払いグローバルジャスティスの支援を
これが闇落ちならぬ真の姿です…
と白き炎を纏い化身スサノオを召喚
死角からなどから攻めさせ剣の狙いの分散
|白炎蜃気楼《目潰し・認識阻害》にて白炎で姿を隠し
|ニホンオオカミ化《動物変身》
化身スサノオに紛れて接近し、腕以外のオオカミ化解除
|畏れ斬り《武器に呪詛を纏う》で狼化したままの腕で切り裂きます
タクミ・ゴダーイ
かつて闇を纏いながらも飲まれない様に戦った日々
人をエスパーにすればそれを終えられると思った時、
全てが解決する訳ではない。先延ばしであると理解しつつもそれを選んだ
それが俺。だが未来に先送りした罪悪感は心を蝕み
誤魔化す様に他者を育み、戦い。導かれる様な世界の放浪の果てに
今、己の選択と対峙する
闇が呼ぶ。俺を使えと
あの頃とは違い、友もなく。ただ一人の俺に
俺がいると甘い声で囁き。手を絡める。俺は……
カードを目に入る。いや、そこに映る親友たちの姿
「一人だけど独りではない」
小さな勇気が希望の力となって胸を照らす
それで充分だ。それだけで十分だ
「ジャスティス、力を貸してくれ!」
スパーク・ノヴァソードで一刀両断
かつて武蔵坂学園との戦いによって、最初に灼滅されたという『蒼の王』。
それは、月影・木乃葉(人育ちの仁狼・f43890)が入学する前の出来事であり、当時は不完全な状態であったというのだが――復活した彼と対峙した今、木乃葉の魂に封じられた|荒ぶる神《スサノオ》が歓喜の咆哮をあげる。
(……加えて、剣樹卿アラベスクも相手とは)
赤子の頃に人間に拾われ、沢山の愛情を受けて育った人狼の青年にとって、人が傷つくのを見るのは嫌だったし、憎むことも難しいと言うのに。ダークネスの衝動はそんな彼の理性を押し流し、邪神の封印を解けと迫ってくるのだ。
「っ、くっ……」
柔和な表情に、時おり過ぎる邪悪な笑み。闇堕ちしかける木乃葉だが、その衝動に懸命に抗う。
そうだ――こんな風にして、自分たちはずっと戦い続けてきたのだ。
(かつて、闇を纏いながらも飲まれない様に戦った日々)
戦場に立つタクミ・ゴダーイ(灼滅者の魔法使い・f43909)も、過去の大戦を経験した灼滅者のひとりだった。
人類の「闇堕ち」を否定し、エスパーに進化させるという当時の選択も、それで全てが解決する訳ではないと理解はしていたが――未来へ先送りした罪悪感が、今になってタクミの心を蝕んでいく。
(誤魔化す様に他者を育み、戦い。導かれる様に世界を放浪した、その果てに)
猟兵として異世界を渡り、こうして武蔵坂に帰ってきた。しかし、あの頃と違い、今のタクミには友もなく。ただ一人で戦場に立ち尽くす彼に向かって、闇の衝動が甘い声で「俺を使え」と囁いてくる。
(俺がいる。さあ、この手を取れ)
(……俺は)
目に入ったのは、ストレートフラッシュに揃った5枚のカード。そこに映る親友たちの姿に、タクミの心に小さな勇気が灯った。ああ、と銀の瞳を和らげて、彼は静かに吐息を漏らす。
「そうだな。一人だけど、独りではない」
小さな勇気が、希望の力となって胸を照らす。それで――それだけで、タクミには十分だった。
「今、己の選択と対峙する――ジャスティス、力を貸してくれ!」
声を限りに叫ぶと、待機していたグローバルジャスティスが援護を開始した。彼らなら大丈夫だと、この世界の行く末を託すに足る存在なのだと、ユーベルコードの強化を行ってその背中を押す。
「世界はなおも、悪に満ちている……そうであれば。他世界からの助力も、このような支援も無かったでしょうね……!」
直後、闇の衝動を振り切った木乃葉が、白き炎を纏ってニホンオオカミの姿に変じた。
「これが、闇落ちならぬ真の姿です……」
襲い掛かる無数の剣を躱し、時に化身スサノオの牙で噛み砕きつつ、影の鎧に守られた『蒼の王』へと追いすがる。そんな中でも剣持つ骸の群れが、次々と出現して防壁になろうとするが――そこへカードを装填したタクミが機械の剣を構え、最大駆動でアラベスク諸共コルベインを一刀両断しようと迫る。
「Abandon all hope, ye who enter here……NO! Ray of Hope! NOVA・break」
スパーク・ノヴァソードが唸りをあげ、辺りが閃光に包まれた。そこへ紛れるように揺らめいていた白炎が、敵の死角に回り込む。ふんわりした黒髪が、光に舞った。
木乃葉だった。腕以外の獣化を解除した彼が、鬼気迫る爪撃で以って『蒼の王』を真っ二つに切り裂いていた。
「これが、俺の――“俺達”の選択だ」
影の樹海が消滅していく。光の中に掻き消えるコルベイン達に向かって、タクミは力強くそう告げたのだった。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵