3
第二次サイキックハーツ大戦③〜悪魔の手札は♡Qと……〜

#サイキックハーツ #第二次サイキックハーツ大戦 #第一戦線

タグの編集

 現在は作者のみ編集可能です。
 🔒公式タグは編集できません。

🔒
#サイキックハーツ
🔒
#第二次サイキックハーツ大戦
🔒
#第一戦線


0




●サイキックハーツ、旧校舎
「ふむ、チップは使い果たしたと思ったがな」
 戦場に呼び出されたアスモダイ不思議そうには周囲を見回すが、すぐに状況を理解して不敵に笑う。
「机の下にでも一枚落ちていたか、ならばその全てを使わせてもらおう」
 そう言ってアスモダイが指を鳴らすと彼女の足元に巨大な五枚のカードが現れる。一つはハートのQ、そして残りは裏向きのまま隠されている。裏向きのカードはアスモダイにも柄が見えていないはずだがその表情には自身の勝利に対する自信と、賭けを楽しむ愉悦の笑顔が浮かんでいる。
「さあ来い灼滅者……いや今はサイキックハーツ……いや、エスパー?猟兵というのも居るか……面倒だ、一纏めで灼滅者で良いだろう」
 十年近く時が経つ間に微妙にややこしくなった呼び名に若干首を傾げたアスモダイだったが、すぐに思考を切り替えると翼手を広げて敵を待つ。
「この景色も見ているのだろう。互いにイカサマ有りの真剣勝負だ、存分に賭けようではないか」
「……待てアスモダイ、その『賭け金』には儂の存在も含まれているか?」
 不意に、アスモダイの背後から彼女を召喚した魔術師ソロモンが声を掛ける。その質問に悪魔は答えず、ただ笑みを浮かべるのみであった。

●グリモアベース
「中々の快楽主義のようだな、嫌いじゃないよ」
 予知を見たアリスティアー・ツーハンドソード(王子気取りの両手剣・f19551)は、その刀身に猟兵達の姿を映しながら自らの見た予知を語る。
「第二次サイキックハーツ大戦、皆忙しい所申し訳ないが新たな予知だ。ソロモン王が悪魔アスモダイを召喚、運命を操作するその力を使い己を強化しながら進撃しようとしている。これを撃破するためにアスモダイの仕掛けるギャンブルに打ち勝ってほしい」
 アスモダイは戦場である旧校舎全域にギャンブル空間を展開している。この中では戦闘行動を行うたびにランダムで様々な現象が発生するのだが、ここではその他に明確なルールがひとつ存在する。
「この空間では変則的なブラックジャックが行われており、中に入った者は好きな枚数のトランプを作る事が出来る……この時、カードは好きなスートと数にする事が可能だ」
 つまりカードにランダム性はない、Aと適当な絵札を作って即座にブラックジャックを作ることも可能だ。
 カードには「相手の存在の一部を奪う」メリット効果か「自らの存在の一部を奪われる」デメリット効果のどちらかがランダムで込められている。数値が大きいほど奪われる存在の規模は大きく、能力は勿論や肉体や装備、記憶の一部が持っていかれる可能性すらある。幸いなのは奪われたものはゲームの勝敗に関係なくアスモダイを撃破すれば元の持ち主に戻っていく事と、デメリット効果の場合は何を失うか奪われる側が選べるという事か。
「掛け金は存在しない、ゲームの勝者は互いの出したカードの効果が問答無用で全て発動する……つまり敵から強い部分を奪うだけでなくこちらの弱い部分を押し付けて弱体化を狙えるというわけだね」
 そして注意点があると、アリスティアーの宝石が警戒を促すように光る。
「もし生成したカードが既に誰かが作っていた物と同じだった場合、後から作り出した人物は不正をしたとみなされ強制的にゲームに敗北する。つまり猟兵同士で被りを警戒しなければならない上に、既にアスモダイが出しているハートのQと正体不明の四枚は作ってはいけないという事だ」
 アスモダイとのゲームに敗北するという事はつまり、『ソロモンへの従属』という彼女が抱えるこちら側にとって最悪のデメリットを押し付けられる事に他ならない。そうなれば戦闘に勝つことは殆ど不可能だろう。
「そしてこれは僕の感だが、彼女の作っている数値は21ではない」
 賭けの悪魔が引き分けにしかならない勝負をするか?答えは否、彼女の持つ五枚の手札には必ず勝ち筋がある。つまりこの勝負の一番重要なポイントは『如何にしてカードの被りを避けるか』に他ならない。
「少々厄介だが、君達であれば問題ないと信じている。向こうはイカサマ有りと言っているんだ、好きにやってやろうじゃないか」


マウス富士山
=============================
プレイングボーナス……ギャンブル空間がもたらすメリットを利用して戦う/ギャンブル空間から降り注ぐデメリットを逆手に取る。
=============================
●マスターコメント
 オープニングをご覧いただきありがとうございます、今回シナリオを執筆させていただくマウス富士山と申します。
 今回のシナリオは悪魔と行う存在を賭けたブラックジャック、基本的なルールはオープニングに書いてある通りです。
 アスモダイの手札は既に決定しており、リプレイによって変更される事はありません。猟兵達とアスモダイはジョーカーを覗いた52枚の山札を共有して使っているとイメージしてください。
 勝負に勝つとアスモダイは大幅に弱体化する為、戦闘そのものは難しくないと考えて問題ありません。敵から何を奪い、自分の何を押し付けるかをプレイングに書いて頂ければ大丈夫です。
 オープニングの公開と同時にプレイングの受付を開始、皆様の参加を心からお待ちしております。
108




第1章 ボス戦 『魔術師ソロモン・アスモダイ召喚』

POW   :    デザイアブラスト
詠唱時間に応じて無限に威力が上昇する【欲望】属性の【魔力波動】を、レベル×5mの直線上に放つ。
SPD   :    ラストフルイリュージョン
無敵の【欲望の化身】を想像から創造し、戦闘に利用できる。強力だが、能力に疑念を感じると大幅に弱体化する。
WIZ   :    アスモダイ・ギャンビット・リバース
【儀式魔術「アスモダイ・ギャンビット」】を解放し、戦場の敵全員の【サイキックエナジー】を奪って不幸を与え、自身に「奪った総量に応じた幸運」を付与する。

イラスト:塩髄

👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠山田・二十五郎です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

ギュスターヴ・ベルトラン
ギャンブルか…
相手が相手だ、最適解は読まれてる前提で行く
でも正直、戦略的な考え方って苦手なんだよな

なので対策は一つ
カードは自分の意思で選ばない

【祈り】を捧げ、Friandises…ラムネを噛んで【第六感】に委ねる
あとはブラフとして黒スートで揃えたがると見せかけるさ

デメリットとしてオレが持ってる魔導書を押し付ける
座天使の名付きで、使うと天使らしく頭が固くなる代物…敵を【断罪】せよとこっちに訴えかけるヤバい奴だ

そして奪うのは相手の選択誘導能力
イカサマ仕掛ける奴の読みだけは潰させる
…自分の能力が十全じゃないって思わせる

引いたのはスペード7、クラブ8、ダイヤ5
…オレがフリッカーダイヤだから混ざったか?



●我らが父の御心のままに
「正直、戦略的な考え方って苦手なんだよな」
 アスモダイの仕掛けてきたゲームにギュスターヴ・ベルトラン(我が信仰、依然揺るぎなく・f44004)は思わず眉間を揉む。相手は紆余曲折あれど最後の戦いまで生き残った運命を操る悪魔、こちらの最適解は読まれていると考えて良いだろう。
「ならば天に運を任せれば良いだろう、そんな恰好をしているのなら得意だろう?」
 挑発のようなアスモダイの言葉。しかしギュスターヴはその言葉を肯定するようにラムネを口に入れて集中力を高めると、その全てを捧げて一心に祈る。
「|Seigneur, fais de moi un instrument de ta paix《主よ、私をあなたの平和の道具にしてください》──」
 聖句と共に輝きを持って三枚のカードがギュスターヴの手の中に現れる。自分の意思は無く、天に委ねた心のままに選ばれたそれを悪魔祓いは自らの目で確かめることなく相手に見せた。
 スペードの7、クラブの8、そしてダイヤの『6』、合計は21のブラックジャック。恐れる事は無いというように、主は最強の一手をギュスターヴに指し示した。
「ほう?」
 感心したようにアスモダイが声を上げ、裏向きになっていたカードが開く。勝負の結果が良く分かるように、ギュスターヴにだけ悪魔の持つ手札が明かされた。
「貴様の勝ちだ、灼滅者」
 瞬間、全てのカードが輝きだし存在の簒奪が始まる。ギュスターヴは迷いなく悪魔からその選択誘導能力を奪い、相手の頭からこちらの動きを操作する考えを消滅させる。ただでさえこちらが不利な勝負だ、後付けで更に動きを狭められたらたまらない。
 こちらが押し付けるのは天使の名を冠する魔導書。聖書を模した力を悪魔が持つというのは何とも皮肉だが、使用者に断罪を強要するその意志はただでさえ制限されたアスモダイの思考を更に狭めるだろう。
敵の弱体化に成功し内心息を吐くギュスターヴだったが、不意にその脳裏に多くの選択が浮かび上がる。アスモダイから奪った能力の影響だろう、普段の自分なら考えもしない文字通り悪魔的なアイデアに彼は思わずなるほどと呟く。
 このゲームで敗北するのは数字の比べ合いに負けた時と、既に作られたカードを作ってしまった時……それ以外にはない、ユーベルコードの使用さえもこの場では許されている。
 印象ほどこのゲームは厳密ではない、イカサマを挟む余地はいくらでもあるようだ。
「……しかし、オレがフリッカーダイヤだからダイヤの手が増えたのか?」
 我らの父は駄洒落も嗜むらしい、自らを勝利に導いた遊び心にギュスターヴが感謝の祈りを捧げるのであった。

成功 🔵​🔵​🔴​

ガルディエ・ワールレイド
大前提として【竜覚】を使用。第六感等を研ぎ澄ませ使おうとしているカードがヤバいと感じたら切り替える。

5枚で20以下を作りQを含む。
Aを3枚含んでいると想定してもQAAAXであり、Xに8以上は使えない。
伏せ札に5以上のカードを1枚でも使っていれば、もう4以上が使えない。
めちゃくちゃ自由度が低いな。
実はソロモンの事が大好きなのか……?

スペード10、スペード6、スペード5を狙う。
特に集中するのはスペード6。
ここを通すか、あるいは危険を察知してのスート変更に成功すれば勝利確定だ。
「次の札はスペード6が来そうな気がするんだよな」

奪うものは表情を作る能力。
押し付けるものは機械操作能力(※かなりの機械音痴)


エミリィ・ジゼル
行くぞアスモダイ!ソロモンの髪を賭けて尋常に勝負!
の前にちょっとタイム!

と、時間を止めて伏せカードを確認
カードの確認は後述のスート被りを避けるために用います

確認が終わったらカードを元に戻してゲーム開始
21はないということは、おそらく5枚で20でしょうね
重複を避けて21を出したら勝てる。そういうゲームなのでしょう

Qを除いた4枚で10になる組み合わせは9パターン

ではこっちはJと6と5にします
スートは事前に確認した被りを避けて選択

これでわたくしの勝ちだ!

奪うもの:ソロモンの髪、ひとむしり
奪われるもの:74人目のソロモンの悪魔かじできない(隙あらばソロモンの髪をむしろうとする権能持ち)



●カミのみぞ知る一手
「これは……」
 伏せられた悪魔の手札、その内容を予測してガルディエ・ワールレイド(黒竜の騎士・f11085)は目を細める。
 Qを含む五枚で合計は20以下。こちらにAを使わせるのを封じる狙いで隠れた四枚の内3枚をAとした場合、最後の1枚に8以上の数値は使えない。
 また伏せ札に5以上のカードが1枚でも使われている場合、残り3枚に4以上の数値を使う事が出来ない。
 冷静に見ればアスモダイが手にしている五枚の手札というのはそこまで組み合わせの自由度は高くない。カード被りによる敗北という特別ルールを前提とし、相手に警戒心を抱かせるための見えている地雷のようなものだ。
「実はソロモンの事が大好きなのか……?」
 明らかな遅延戦法。期日まで主を守り切れば勝利となるアスモダイにとっては有効な手ではあるが、付き合ってやる義理はない。
「長考だな、臆したなら逃げても構わんぞ?」
「……そんな煽り方されたら、退くわけにはいかねえな!」
 口ではアスモダイの挑発に乗りながらも、ガルディエは冷静に自らの竜覚を研ぎ澄ませ、三枚のカードを生成する。
(通った!)
 スペードの10、スペードの6、スペードの5。迷いなく剣のスートでブラックジャックを作り出したガルディエが地面に叩き付けるように自らの手札を開示すると、11枚のカードが戦場に出揃った。
「「……ん?」」
「あ、ども」
 なんか多くないかと二人が眉根を寄せていると、いつの間にかその場に現れていたエミリィ・ジゼル(かじできないさん・f01678)がぺこりと頭を下げる。彼女が手に握っているのはスペードのJ、クラブの6、ダイヤの5、絵札は10として扱う為ほとんどガルディエと同じ構成であるが、そのスートはまるでバラバラであった。
「こちら側の数値は共に21、わたくし達の勝ちだ!」
「いや、構わぬが……」
 運命を操作する力を持つアスモダイが、いつからそこにエミリィが居るか分からなかった。その事実に悪魔は思考を巡らせていると、ピクリと動揺したように翼手が震えた。
「しかし、思ったよりロマンチックな手札でしたね」
 先程勝利宣言を行った笑顔のまま、エミリィは自分の握る三枚のカードで口元を隠す。今行っている勝負では、まだアスモダイが伏せているカードは明かされていない。
「一つのスートで揃えられていたので、わたくしはそれ以外を使わせてもらいました」
「くくっ、覗かれても見破れると思ったのだがな」
 二人の会話で、ガルディエはエミリィがアスモダイの手札を覗いた事に気が付く。しかしその詳細を聞く前に勝者の権利である簒奪の時間が始まった。
「……そっちからは表情を作る能力を貰う、余裕ぶった態度が出来るのもこれまでだ」
「ではわたくしはソロモンの髪を貰いますね」
「「え?」」
 エミリィの宣言にガルディエと突然標的にされたソロモンの声が重なる。瞬間、美しい黄金の髪が逆立ち、頭頂部を中心にブチブチと円形に引き抜かれた。
「ぐわあああああああ!?」
「うわ、わたくしの頭に移植された気持ち悪っ」
 銀の髪に金のメッシュが入った多色の髪型になったエミリィは、そのまま自分の分身を相手に押し付けると、それは嬉々として頭部を抱えて縮こまるソロモンの毛根に更なるダメージを与えようと襲い掛かる。思わず震えあがってしまうような凄惨な光景であった。
「そちらは?こっちに何を渡す?」
「え、ああ……じゃあ機械操作能力を……」
 無意識的に頭部を庇っていたガルディエは、アスモダイに促され自らの苦手分野を相手に押し付ける。現状この場に機械は存在しないが、これから来る味方に上手く利用してもらえればそれで良い。
 現状使われたカードはスペードの5、6、7、10、J。クラブの6、8。ダイヤの5、6。少々スペードの使用率が偏っているか。
(そして、あのメイドはアスモダイの使っていないスートを選んだか……)
 これは大きなヒントとなるだろう、事前に相手の数字を予想していたガルディエからすれば殆ど手の内を暴けたと言っても過言ではない。
 勝利の時は近い、場に並ぶカードを見てガルディエはそう確信するのであった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

秋風・葉月
(……もしかしたらアスモダイはハートのスートで来ているのかもしれませんわね。これほどハートのスートが出ないとなると……愛の強い方ですわね)
じゃあ私はこの仮面の戦士のカードをベットしますわね。取られたところでこいつ(ベルト)がなければ意味を成しませんわ。また作りに行くか手に入れればいいだけですし。
ハートは握られているでしょうから私はそうですわね……ダイヤの3と8と9で華麗に決めましょうか。あえて21を作らないのも戦略なのですわよ?

奪い取るのは相手の戦闘力
もし相手がふざけやがってと暴れに来てもこちらが抑えられるようにしますわ!


有坂・紗良
要はカードをダブらせずに21作ればいいんスよね?
あーなるほどね、完全に理解したっスわコレ

この順番でカブらないようにするのはめんどいんスけど、今のボクには色んな人からもらったヒントがある!
使えないスートが分かるだけで大分楽になるっスね

ここはドカンと一発でデカい目出して倍プッシュした方が絶対に楽しいに決まってる!
なんでここはダイヤのAとKで決まり!速攻大穴狙いこそギャンブルの浪漫ってね!

えっ?BJ作ったのはいいけどなんか持ってかれるんスか?
アッ!ボクの装備が根こそぎ持ってかれる!!!
でも機械音痴の人が爆発物とかを下手に持ったら危ないような……

奪う物:機械全般に関する知識
奪われる物:爆発物含む装備類



●真に戦うべきものは
「……愛の強い方ですわね」
 猟兵達が明かしてくれた情報からアスモダイの手札を予想した秋風・葉月(秋葉原のご当地ヒーロー・f44081)は、思わず口元に小さな笑みが浮かぶ。
 相手が握っているのは間違いなくハートのスート。とても分かりやすい愛情のシンボルだ。ならばこちらはと葉月は三枚のカードを生成する、そこに並べられた数字の合計値をしっかりと数え、彼女は自らの手の中にカードを隠した。
「使えないスートが分かるだけで大分楽になるっスね」
 同様に戦場へやってきた有坂・紗良(天性のトリガーハッピー人間・f42661)も相手の握っているスートはハートだと予想し、こちらはダイヤのAとKでブラックジャックを作ろうとした所で、おっとと葉月の方を見る。
「すいません、カード確認させてもらっていいっスか?一応被り避けの為に」
「ええ、構いませんわよ」
 紗良の要請に葉月がアスモダイには見えないようにしながら自らの手札を晒すと、紗良はおやと内心で首を傾げる。その疑問を感じ取ったのか、葉月は安心させるように笑顔のまま頷いた。
「そろそろ良いか?こちらとしても今の主の姿が見るに堪えないのでな、どちらでも良いので頭髪を貰いたい所だ」
「んー、変な所で負けられない理由が湧いて来たっスねー」
 アスモダイの催促に応え紗良は二枚のカードを生成すると、三人のプレイヤーは同時に自らの手札を公開しようとして……紗良の手を葉月が抑えた。
 隠されていたアスモダイの手札は全てハートのQ、A、2、3、4、合計は20。
 そして葉月の手札は全てダイヤの3、8、9、合計は相手と同数である『20』。
 何を出せば勝てるか、それが完全に分かっているはずの場面で何故か葉月は唯一勝てる数値である21を外した。合計値を数え間違えたかとアスモダイは葉月の表情を覗くが、彼女はこの数値で問題は無いと自身に満ちた笑顔を浮かべている。
「アスモダイ・ギャンビット」
 そして、葉月の口から出た単語にアスモダイの表情が消えた。
「なんスかそれ?」
「かつてアスモダイが武蔵坂学園と争った際に使ったとされる能力です。対象に敗北条件を提示し、相手が無意識にでもそれに同意をした場合発動され……敗者は勝者にその存在を吸収される」
 存在の吸収、それはまさに今このゲームの勝敗によって起こっている事だ。しかしそうなるとその現象が起きるのは敗者から勝者への一方通行のはず……と、そこまで考えを巡らせた所で、紗良はあっと声を上げる。
「コイツ、『事前に見せたルールに従う』を敗北条件に設定してやがったっスね!?」
「ええ、そして先程の頭髪移動からわかるように相手側のプレイヤーはアスモダイではなく、ソロモン王本人ですわ!」
「……なんだと!?」
 驚愕の表情でアスモダイを見るソロモン王。そんな彼の視線を受け悪魔は小さく溜息を吐くと、獰猛な笑みを浮かべた。
「バレたか」
 何故ゲーム事にアスモダイの手札は変わらないのか、何故ディーラーともプレイヤーとも違うカードの置き方をしているのか、その答えは最初からゲームなどしていないからに他ならない。
 悪魔は自らの身を切らず、この仕組みがバレないように奪った存在を仮初の勝者の指示通りに分配していたに過ぎないのだ。
 しかしその仕組みを見破り、真の勝者となった葉月と紗良にソロモン王の存在が一方的に吸収される。
「オオッ!?なんか凄いパワーが湧いてくるっス!?」
「では、その場から動かないでくださいましアスモダイ!」
 葉月が敗者から奪ったのは戦闘能力、それにはソロモン王の持つ悪魔を従える力も含まれている。
 まるで磔にされるように身動きが取れなくなったアスモダイに向け、紗良は炸裂弾を装填したTAQ-Hの照準を向ける。悪魔は自分の仕掛けたトリックを見破られたにも関わらず、満足げな笑顔を浮かべていた。
「とんだ自己愛ですわね」
「当然だろう?身銭は切らないに越したことはない」
 そのやりとりを最後に、悪魔の心臓は撃ち抜かれその全身は主であるソロモンを巻き込んで炎上する。普段とは段違いの高火力、まるでハリウッド映画のクライマックスのようなド派手な最後に紗良は思わず口笛を吹くのであった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2026年05月06日


挿絵イラスト