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あなたはわたくしの光る君!

#シルバーレイン #ノベル #猟兵達のバレンタイン2026 #夢文書

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ミルナ・シャイン



八秦・頼典




 ここは名家の子女が集う名門、私立富歩学園――わたくし、ミルナ・シャインは平民の出身だけれど、学業成績を認められ特別枠で転入することになったのです。
 落ち着いた上品な校舎に驚き、華やかな生徒の皆さんにもどこか珍しがられてしまいましたが、わたくしはこれから始まる学園生活に心弾ませておりました。
 ――ですが、まだまだ転入初日。次の移動教室で迷ってしまったわたくしは、見通しの悪い廊下で急いでいたのです。
 どん、と軽くどなたかにぶつかってしまい、その場で転んでしまいました。
「すまない、怪我はないか」
「いえ、こちらこそ申し訳ありませ……」
 手を差し伸べてくれたその人の顔を見た時、わたくしは直感しました。これが、運命の出会い――!
「頼典様、授業に遅れてしまいますよ」
「ああ、今行く――キミは噂の転校生であろう? この校舎は迷いやすい、気をつけて」
 そう言って去っていくあの方のお名前は? と心ときめくわたくしに、その後初めての友人が教えてくれたのは、八秦・頼典様というお名前。
 文芸部部長の三年生であり文武両道の彼は、サッカーやバスケといった球技にも秀でており、成績優秀者のみが着ることを許される白い詰襟の制服。
「わたくし、恋に落ちてしまいました……」
 思わずそうこぼすと、友人は激しく首を横に振ります。彼女は言うには、端正な顔立ちと品行方正で誰にも分け隔てなく優しい性格だからか、数多の女生徒を虜にする“光る君”であり、また“恋多き君”とも呼ばれているのだとか。
「ライバルもすごく多いし、ミルナちゃんはただでさえ特待生で目立ってるからやめときなよ」
「――いいえ。わたくし、声をかけてみます。だって、もっとあの方のことを知りたいんですもの」
 そう、始まってもいない勝負から降りることなど、わたくしはできません!

 翌日、わたくしは早速放課後の図書室へと足を運びました。友人によると、頼典様は文芸部の活動以外に図書室で本を読んでいることが多いのだとか。
 まるでちいさな町の図書館のような蔵書量を誇る図書室へ向かえば、白い詰襟姿のあの方が、静かに和歌の本を読んでおりました。その周囲には誰もおらず、わたくしは思いきって声をかけました。
「あの、こんにちは。八秦・頼典先輩ですか?」
「……ああ、キミは昼間の。あれから目的地には無事に着いたろうかと気にしていたのだ」
「はい、なんとか。ええと、あの時は助けて下さりありがとうございました。わたくし、お礼が言いたくて」
「わざわざ礼を言いに? ふふ、気にしなくてもよいというのに」
 わずかに低く落ち着いた声で微笑む頼典様に、わたくしはまた胸がどきどきと跳ねてしまいます。
「わ、わたくし、ミルナ・シャインと申します。あの、わたくし是非文芸部に入部したいと思っておりますの……!」
「おや、そうなのかい。文学を嗜む者なら誰でも歓迎している、明日改めて入部届を出してくれるか」
「はい……!」
 こうしてわたくしは、頼典様との繋がりをなかば強引とはいえゲットしたのです。

 それからお昼休みには手作りのお弁当を持っていき、三年生のクラスへと突撃。最初は驚いた様子の頼典様でしたが、やがてわたくしが毎日やってくることを当たり前のように受け入れてくれました。
 ――もちろん、頼典様とお昼を共に過ごしたい女生徒は大勢。三年生の先輩方にはこっそり睨まれてしまう始末でしたが、そのような視線もなんのその。恋は掴み取るもの、アタックあるのみですもの。
「この卵焼き……」
「お口に合いませんでしたか?」
「いや、むしろ好みだ。なかに青のりが入っているのがいい、磯の風味が心地よい」
 元々料理には自信があったものの、頼典様の好みを何故か把握している友人から情報を入手済み。折角なら、一番おいしいものを食べてほしくて、前の晩から下ごしらえをして毎朝早起きして作っているのです。
「そういえば、そろそろ学園祭も近いな。ミルナ君のクラスの出し物は?」
「はい、わたくしのクラスでは喫茶店を……はっ」
 きゅぴーん。わたくしの頭でなにかが閃きました。
「頼典先輩、よろしければわたくしのクラスにも来て頂けますか? お迎えに参ります!」
「はは、手厚いな。なら是非案内してもらおうか」
 は!? と、こっそりこちらを監視していた周囲の女生徒の表情など気になりません。だって、牽制などしていては意味がありませんから。

 夏休みの日、わたくしのスマートフォンにメッセージがありました。見ればそれは頼典様から。
『今度、一緒に海に行かないか』
 頼典様からデートのお誘いを頂いたのはこれが初めてで、わたくしは友人と共にとびっきりかわいい水着を数時間かけて様々な店で選び抜きました。
 そして当日、頼典様と共にビーチへと繰り出した時、その爽やかな姿は夏の暑さすら忘れてしまうほどで。
 クリスマスには共にイルミネーションを見にいき、この煌めきのなかで二人っきりになることが夢のようでした。
 初めてだとおっしゃっていたクリスマスマーケットに向かうと、様々なオーナメントやスイーツをこどものように楽しむ姿はどこか愛らしくも思えて、けれど人ごみではぐれぬようにと手をつないでくださったぬくもり。
 バレンタイン当日には、大勢の女生徒をかいくぐったものの、チョコレートをあげることができたのは随分あとのこと。ですが頼典様はうれしそうに微笑んで、一緒にお茶会を楽しむことになりました。
 ――そんな様々な出来事も、今は光陰流水の如し。

 頼典様が卒業式を迎えた日、わたくしはいつものように――いえ、いつも以上の勇気を出して声をかけます。
「頼典先輩、卒業おめでとうございます。記念に少しお時間をいただけませんか?」
「ありがとう、ミルナ君。奇遇であった、ボクもキミと話がしたくてね」
 そうして向かったのは、愛を誓ったふたりは必ず結ばれるという伝説のある、学園最古の大樹の下。
「……先輩と過ごした日々、とても楽しかったですわ。転入してきてよかった」
 涙で視界がうるんでしまわぬよう、ぐっとこらえて声を出す。だって、わたくしは頼典様のことが。
「わたくし……頼典先輩のことが大好きです! 卒業しても一緒に……」
「待ってくれ」
 そう制止され、心が震える。ああ、でも後悔なんてない。
「――そこから先は、ボクに言わせてくれ。キミと初めて逢った時、ボクは一瞬で恋に落ちたのだ。あのような出来事は生まれて初めてで、キミを残して卒業することは名残惜しい」
「え……?」
 目を瞠るわたくしに、頼典様はどこか困ったように笑って。
「それでも、ボクとお付き合いして頂けますか」
 夢のような、けれど本当のハッピーエンド。わたくしはこらえきれず涙をこぼしました。
「うれしい……! これからもよろしくお願いします……!」
 思わず抱きついたわたくしを、頼典様はやさしく、それでいて力強く抱きしめてくださいました。

 陰から見守っていた友人が、涙を流してわたくしにおめでとうを告げるものだから、なんだかすこしだけ恥ずかしくなってしまったけれど。
 この恋の物語は、未来永劫幸せで綴られるのです。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​



最終結果:成功

完成日:2026年04月18日


挿絵イラスト