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ドゥム独立国食探

#クロムキャバリア #ノベル #アラベリア旅行記 #ドゥム独立国

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#ノベル
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ティー・アラベリア
【リクエスト概要】
MSさんが考えた国家をティーが旅行するノベルをお願いします。
シナリオに登場させた事は無くとも特に問題ありません。
予定があったり、設定だけあったり、出したい願望があったりするだけでもOKです。
なんならクロムキャバリアっぽい要素すらなくとも大丈夫です。
場所、シチュエーション、登場人物(グリモア猟兵を含む)、何をさせるかは全ておまかせです。
設定の掘り下げ等にご活用ください。
文量についても書きやすい文字数で大丈夫です。
ノベルタグには、国家名の他に「アラベリア旅行記」を付けていただけると嬉しいです。

【キャラ設定】
与えられた目的ごとに人格を形成するキャラクターです。
今回は情報収集を兼ねた旅行ですので、基本的には大体以下の要素が含まれた人格になるかと思いますが、絶対ではありません。
・適度に善良
・好奇心旺盛
・暢気で陽気
・お買い物大好き
富裕層のお上りさんのようにも振る舞えますし、反対にバックパッカーのようにも振る舞えますので、お好きにお使いください。
人形ですが人間が知覚できる刺激はエミュレートできるため、普通の人間が楽しむような事であれば大体なんでも楽しみます。
服装も旅行の仕方相応に変わりますので自由に着せ替えてください。

【適度に善良 #とは】
基本的に旅行先の国家の法律を守ります。
このキャラクターは人間ではないため、一般的な倫理とそれに基づいて作られる法秩序や社会正義といった概念に無関心です。
旅行を円滑に進めるために、その土地や国でトラブルなく過ごせるであろう「善良な旅行者」の人格をエミュレートしているにすぎません。
故に、自身の駆体保護のために必要な場合や、より興味深い情報を得られそうなのであればその国の法を破る事を躊躇しません。"コイツ助けた方が面白そうだな"程度の理由で、職務に忠実なお巡りさんの記憶を消すくらいの事はします。
そんな感じなので、あまりにも不条理な行動でなければ、何をさせても問題はありません。
展開的に楽しそうであれば何をやらせてもOKです。



●クロムキャバリア北辺にて
 その国の名は、古い言葉で『館』や『屋敷』を意味するのだという。
 それは、かつての国主が「我が国の領土は我が屋敷の内も同然。我が国の領民は我が家族も同然。ゆえに、断固として守る」と宣言したことに由来するらしい。国主は有言実行の人物だったようで、自ら先頭に立って軍を率いつつ国防に尽力し、乱世の中にあって敵に一歩たりとも国土の土を踏ませなかったといわれている。
 無論、その国主はとうの昔に亡くなっているのだが、後世における彼の評価は毀誉褒貶が激しい。『抜群の武略を駆使して国を守り抜いた英主』と高く評価する向きもあれば、『外交力のなさから休みなき戦役を領民に強いた暗君』と酷評されもする。
 ただまあ、いずれにしろ少なくとも国の歴史の上で重要な意味を持つ人物という認識は、されているようだ。博物館に彼の愛機だったキャバリアが今なお展示されているのは、その証左だろう。
「ふ~む……」
 強化ガラス製の大型ショーケースの前で立ち止まり、ティー・アラベリア(|ご家庭用奉仕人形《自立駆動型戦略魔導複合体》・f30348)は件のキャバリアを見上げた。
 国主の機体にしては飾り気の少ないデザインだ、とティーには見えた。足はやや太いものの全体的にはスマートなシルエットに、砂色のシンプルな装甲を要所に備え付けたといった風情か。仰々しい兜の前立てのようなものもなく、国主というより兵卒が使う量産型のような印象を受ける。
 が、資料によるとこれでもサイキックキャバリアの一種であるらしい。余計な装飾など邪魔でしかないと考えていたとすれば、自身も積極的に前線に出張っていたという国主の気性を反映しているようで、面白い。
 歴戦ぶりを示すように、そちこちに大小の傷が刻まれている。ただ、致命的な欠損などはなく、見た感じからして手入れはしっかりされているようなので、その気になれば今でも動かせそうな雰囲気はある。それでいて軍の格納庫でなく博物館が定位置になっているのは、現代の戦いには追いつけない性能だからなのだろうか。
 実際に動いているところを見てみたいと思う反面、この骨董品まで出撃しなければならないともなれば国が詰む寸前であろうから、望ましい事態ではないとも思う。
 ともあれ。
「……さて」
 これで博物館の目玉になりそうな物は一通り見回れたと思ったティーは、ふと、己が空腹であることを自覚した。腕時計に目を落としてみると、ちょうど昼食時だった。

●昼食は定番の
 この国は海に面している。
 単に『面している』というだけでなく、設備の整った漁港も所有しており、天然の魚が食品として出回っている。それも、プラントに依存しない食品が珍しいクロムキャバリアの中にあって、潤沢な流通量を維持しているというのは、誇るべきことといえるだろう。
 そのため、この国の名物料理といえば、まず魚料理が挙げられる。
 わけても、生の魚を味わえる料理である。干物や燻製などであれば近隣諸国にも多少出回っているが、生で安全に食べようと思えばこの国を訪れるか住むかするより他にあるまい。
「おまちどおさん」
 いかにも定食屋のおばちゃん然とした中年女性が、ティーの前に食事盆を置く。
 それは、刺身定食と呼ばれるものだった。真っ先に目を引くのが、中央の皿に行儀良く盛りつけられた、美しく鮮やかな白、赤、橙の切片――即ち、刺身である。説明によると、マダイ、マグロ、サーモンの三種だそうだ。いずれも定番で人気な魚らしい。
 また、この国では魚醤が大いに流通しており、刺身も魚醤で食べるのが一般的なのだとか。
「いただきます」
 両手を合わせてから、ティーは、まずはマダイの刺身に箸を付けた。
 口に入れ、噛みしめる。刺身そのものは、単体であれば淡泊で味気ないとさえ思えるような味だ。しかし、それが口内で魚醤と混じり合うと激変する。まず塩味を感じるが、単純にしょっぱいだけではない。もっと奥の方から押し寄せてくる重厚な旨味が、舌全体を占領していく。
 魚醤はあまりたっぷり付けなくても良い、とは先に教えてもらっていたが、確かにと思う。刺身本来の味わいが淡いので、それを引き立てる程度の量に留めておかないと、かえって味を殺しかねない。
 ついで、これは米――正しくは、白米を模してプラントで加工された粒状炭水化物だそうだが――が欲しくなる。刺身と同程度の白飯を口に含み、咀嚼に咀嚼を重ねてじんわりと米の甘さを舌に広げる。マダイと魚醤によって生み出される旨味に、この米の優しい甘味が非常に合う。
「……ふむ。これはなかなか」
 今度はマグロの刺身を食べる。いわゆる赤身の部分であるようで、微かな酸味を感じさせるすっきりした味わいだった。これもまた魚醤に合うし、米にも合う。
 サーモンの刺身は、他に比べて甘味が濃厚だった。強い味に引っ張られて、最も米が進むかもしれない。
 三者三様の美味。これ以外にも様々な魚介の刺身があるらしいが、なるほど名物と張り出すだけはある。わざわざこの国に足を運ぶだけの値打ちも、あるといって良いだろう。
 一説には、これら水産資源の豊富さゆえに周辺諸国に狙われ、かの国主が連戦する羽目になった、という考察もあるとか。『食っている魚がうまそうだから』などという理由で他国が戦争を吹っかけるか? という気もするが、実際に口にした後だとあながち馬鹿にできない話だとも思ってしまう。なまじ、干物などを食べて魚のうまさを知ってしまうと、ひるがえって生魚の味が気になりすぎて不満を募らせたのかもしれない。
「してみると、これはさしずめ傾国の味ということになるでしょうか」
 そんなことを考えつつ、ティーはじっくりと舌鼓を打った。

●夕食は隠れた名物
 かの国主以来、この国は尚武の気風で鳴らす。国軍は規律の徹底ぶりと精強さをもって知られ、軍籍のない人々も生真面目でストイックな者が多いとされる。
 しかしその一方で、戦火を離れた場面ではそれらの気質は礼儀正しさや朴訥さという形で表出し、むしろ温和な印象がある。
 そういうわけで、ティーのような旅人に対する態度についても、およそ誰もが物腰が柔らかい。
「ほっほっほ、刺身はもう食べなさったか」
 宿の主人は初老の男性であったが、気難しい様子もなく、朗らかにティーとの談笑に興じてくれた。
「ええ、堪能いたしました」
「それで、夕飯は何になさるか決めておいでか?」
「いえ、特には」
「なるほど。それならば、ぜひとも我が国のもう一つの名物をお楽しみいただきたいものですな」
「あら、オススメがあるのですか?」
「さよう」
 ニコニコとした笑みを浮かべ、主人は言う。
「生の魚のインパクトが強うて、他の料理が霞みがちではありますがな。海産物を活かした物ならば、魚の骨やらエビの殻やらを煮込んで|出汁《だし》を取った料理もありますぞ。これも我が国の自慢です」
「ははあ、なるほど」
 理に適った話だ、とティーは思った。
「出汁を使うということは……鍋料理などでしょうか?」
「ああ、それも悪くありませんな。ですが、一番のオススメは、麺料理です」
「麺!」
 魚介出汁と麺。ラーメンか、あるいはうどんか、蕎麦かもしれないが、いずれにせよ容易に想像できる。絶対に美味だと。
「ご興味がおありですかな? 近所に良い店がありますぞ。時間によっては少しばかり並ぶかもしれませんが、行ってみて損はないでしょう」
「ええ、ありがとうございます」
 行列に並ぶことになったとして、別に構うまい。急ぐ用事のある旅でもないのだから。

 宿の主人の言葉通り、麺の名店だという『涼月軒』には多くの客が押しかけていた。とはいえ行列は覚悟していたほどの長さでもなく、十五分少々の待ち時間を経てティーは席へと案内された。
 案内されがてら、周囲を一瞥する。他の客が食べているものを見ると、この店で提供されているのが、どうやらラーメンに近い料理であると知れる。
「ふむふむ」
 メニュー表を開くと、一番上に一際大きい字で記されてあるのが、恐らく看板メニューであろう『涼月拌撈麺』である。
「……? ろー、めん……で、良いのでしょうか」
 仮にその読み方で合っているのだとして、ラーメンと何が違うのかも判然としないが。
 まあ何はともあれ、ここは変に奇をてらうよりも、店の標準の品を頼むのがよかろう。
「これを一つ」
「はーい」
 メニューを指差しつつの注文に、若い女店員が応じる。若くとも熟練者ではあるのだろう、所作に無駄なところがなく、素速い。
 それでもこの混みようならば待たされるだろう――と思っていたティーだったが、提供されるまでに要したのはほんの十分弱であった。
「お待たせしました~」
 どん、と置かれたローメン(仮)の丼は、ラーメンのそれよりはやや浅い。その分、スープは少なめである。ラーメンであれば麺がスープにどっぷり浸かっているところ、これは半身浴といった風情だ。
 具材は、プラント産の加工野菜スティックが、緑、黃、赤の三種と、加工肉の細切り。放射状に行儀良く盛りつけられたビジュアルは、ラーメンというよりは冷やし中華に近い。ただし、冷やし中華とは違って、琥珀色のスープからは熱さを示す湯気がほこほこと立ち上っている。
 冷やし中華の外見を持ちつつ、内実はラーメン、といったところか。
「いただきます」
 麺を引っ張り上げると、麺は細めでやや縮れているのがわかる。湯気を上げる黄金色の麺にふうふうと息を吹きかけて冷ましてから、すする。
 舌の上に滑り込むのと同時、つるつるした感触が心地良い。縮れた麺にしっかりと絡み付いたスープは、魚介の旨味と香りが濃密に溶け込んでいた。それでいて口当たりはさっぱりとしていて、嫌味なしつこさや刺激がない。
 麺を噛みしめると、もちもちした歯ごたえの向こうにしっかりとしたコシを感じられる。スープの味に負けない存在感があるが、スープの味の邪魔はしない。むしろ、麺のほのかな甘さとスープの塩味が混じり合うことで、この料理本来のポテンシャルが発揮されているといった方が正しいか。
 プラント産の具材は、まあ、物自体はクロムキャバリアのどこにでもあるような物ではある。特徴といえば、細切りにしているので、麺と一緒にして食べやすいといったくらいか。ただ、あるのとないのとでは大違いではある。野菜スティックは歯ごたえと爽やかさで楽しませてくれるし、加工肉の細切りは旨味のボリュームを底上げしてくる。
 これは、食べ損ねていたら一生後悔するところだった。宿の主人には感謝せねばなるまい。
 そんなことを考えつつ食べ進め、そろそろ麺が尽きるかといった頃合い。
 不意に、隣の席にいた中年男性が店員を呼んだ。
「ナメシダマ、一つ」
「はーい」
「――……」
 ナメシダマとは何だろう、とティーが胸中で首を傾げていると、ものの数秒でそれらしき物が運ばれてきた。
 ちらりと横目にする。小鉢に載っているそれは、ゴルフボールほどの大きさの握り飯だった。白一色ではなく、赤やら緑やらの粒が紛れているのが見て取れる。恐らくは、加工野菜チップを混ぜ込んでいるのだろう。
 男性はそれを、食べ終わったローメンの丼にポンと放った。
 あっ、と声が出そうになる。
 意外な行動に驚いたというわけではなく、その手があったことを思い出したからだ。残ったスープに白飯をぶち込んで、塩分と炭水化物を悪魔的に合体させた料理を爆誕させるというのは、他世界のラーメン屋でも頻繁に見られるものだ。
 ティーは改めてメニュー表を手に取り、目を走らせた。さほどの時を要さず『菜飯玉』を見つけ出すと、お手軽価格であるのがわかる。
 即断したティーは、店員を呼んだ。
「すいません、菜飯玉をください」
「はーい」
 やはりあっという間に、菜飯玉が供される。
 ラーメン屋で見るような白飯に比べると少量だが、スープもローメンの方がずっと少ないのだから、これくらいで適正な大きさといえる。
 丼にころんと入れると、スープを吸った飯の玉がほどけていった。野菜チップも沈んでいくが、琥珀に呑まれて元のカラフルさは鳴りを潜める。
 こうなると箸でつまめる代物ではない。ティーはレンゲを手にして、飯の玉を潰し、混ぜ込み、そしてすくった。
「ふー、ふー……ずっ」
 口内に注ぐようにして吸い込んだ途端、およそ予想していた通りの旨味の暴力が舌を殴りつけてきた。
 それはそうだ。この料理の味の要は、魚介の出汁をうんと溶かし込んだスープである。それをたっぷり吸った白飯がどれほどの旨味の破壊力を伴うのかなど、考えるまでもない。罪悪感をごまかすように野菜チップが苦味や酸味を主張してくるものの、それを押し流す高潮よろしく濃厚な味が口中に広がる。
 麺料理としては繊細で上品ささえ感じられた一杯であったのが、雑炊もどきになった途端にジャンクで暴力的なパンチを放ってくるのは、不思議といえば不思議であった。
 しばし食べ進めてレンゲですくえないほど浅くなったところで、丼の縁に口を付けてかき込む。口から喉、喉から胃へと分厚い熱が流れ落ちていき、どっしりと重たい充足感が腹にのしかかる。
 食後の余韻に浸りつつ、一瞬、このまま寝落ちしたら気持ち良さそうだという思考さえ湧き上がる――が、もちろんそんな真似はできない。
「ごちそうさまでした」
 空になった丼の前で、ぱん、と両手を合わせる。一滴残さず堪能でき、悔いなく店を出ることができそうだ。
 明日の朝食は何を食べようか――そんなことを考えつつ、ティーは席を立った。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​



最終結果:成功

完成日:2026年04月02日


挿絵イラスト