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アジュール・クリスマス~聖母の舟

#スペースシップワールド #ノベル #猟兵達のクリスマス2025

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#猟兵達のクリスマス2025


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九瀬・夏梅



エリシャ・パルティエル



寧宮・澪



木元・杏



シリン・カービン



冬原・イロハ



駒鳥・了




●聖なる夜に
 悠久の星海が果てしなく拡がる世界、スペースシップ&オペラワールド。銀河帝国に打ち勝った人々は、未踏領域を越えて更に航海を続ける。未知の文明をもつ異星人との遭遇、銀河帝国をも凌ぐ規模の星間国家による戦争、宇宙海賊の略奪、凶暴な宇宙怪獣の襲来。これまで以上の困難が待ち受けていることだろう。それでも、人々は心をひとつにし、危険な航海を止めることはない。いつの日か旅の終着点となる安息の地を見つけ出し、辿り着くために。
 煌めく星々の海を往く、一隻のスペースシップ。その美しい流線型の船体外壁には、聖母とされる女性の横顔が大きく描かれていた。船の名は『ステラマリア』。遠い昔ダークセイヴァーから古代のスペースシップワールドに渡り、宇宙へ進出した吸血貴族・グレイローズ家が建造した宇宙船である。
 スライド式の自動ドアが滑らかな動きで開き、冒険酒場『アジュール』に集う面々はステラマリアの居住区画へと足を踏み入れた。今日は12月24日、地球基準の世界ではクリスマスイヴと呼ばれる日である。
「ここがガーネットの船ですか。乗船するのは初めてですが、立派なものですね」
「宇宙船はリゾート船は何回か行ったケド、こゆいかにも宇宙船の中! って感じのトコはオレちゃんの行動範囲の中では珍しいかも」
「ガーネットの好意に甘えて、今夜はしっかり楽しませてもらいましょう」
 物珍しい様子で船の内装を見つめるシリン・カービン(緑の狩り人・f04146)に、駒鳥・了(I,said the Rook・f17343)――現在の人格は『アキ』――は歩調を合わせ彼女の傍らに並ぶ。
「宇宙でのクリスマスパーティ、わくわくですね……」
 寧宮・澪(|澪標《みおつくし》・f04690)の口調はいつものように落ち着いたトーンではあったが、その胸中はその言葉通り期待に満ちたものだろう。
「お久しぶりです『ステラマリア』」
 久々に船を訪れた木元・杏(ぐれいと・たぬきズ・てぃーちゃー・あん・f16565)に至っては、時折すれ違う船のスタッフに敬礼を決めて挨拶している。杏に対する船員の反応は静かに会釈したり、律儀に敬礼し返してくれたり、あらあらうふふと微笑んだりと様々だ。
「クリスマス・宇宙。少し風変わりな感もあるこの組み合わせ、良き」
「と、食堂はここか。お邪魔しまーす!」
 アキが食堂のエントランス前に立ち、自動ドアをオープンする。するとそこでは、既にエリシャ・パルティエル(暁の星・f03249)がクリスマスパーティーの準備を始めていた。
 エリシャはキッチンの調理台に並べられた食材や調理器具に過不足がないか、チェックに余念が無い。そこへ、アキが明るい口調でエリシャに声を掛けた。
「パルちゃん、メリークリスマス!」
「ふふ、メリークリスマス! 今は仕込みの段取りとか考えてたところよ」
「メリークリスマス、エリシャ。私はワインの準備を担当しますね」
 シリンが持ち込んだ鞄には、この日のために彼女が選んだ特別なワインと、グラスが丁寧に布で包まれて入っていた。もちろん赤白両方だ。それに、葡萄ジュースも。
「やあ、遅くなっちまったね」
 やや遅れて、アジュールの常連である女シーフ、九瀬・夏梅(白鷺は塵土の穢れを禁ぜず・f06453)が入室してきた。
「夏梅の衣装選びに少し時間が掛かってね」
 そして夏梅の背後から現れたのは、色白の肌に赤い髪のダンピール女性。この宇宙船『ステラマリア号』のオーナーにして船長のガーネット・グレイローズ(灰色の薔薇の血族・f01964)。そしてステラマリアで働くアルバイトスタッフ、冬原・イロハ(戦場のお掃除ねこ・f10327)も一緒だ。
「ガーネット船長! イロハもステラマリアのクルー」
 杏がたたっと前に進み出て、ガーネットとイロハに向かってぴしっと敬礼を決める。
「皆、ステラマリアへようこそ。来てくれて嬉しいよ」
「ウフフ! 今日は賑やかなクリスマスパーティーになりますね」
 いつもと変わらず元気な杏に、イロハとガーネットの口元も緩む。二人が敬礼を返すと、杏も自然と笑みがこぼれた。
「ガーネットは招待ありがと! うふふ、一度来てみたかったの。イロハがここで働いてるって聞いてたし興味あったからね」
「こちらこそありがとう、エリシャ。イロハは真面目だし、よく働いてくれるよ」
「はわわ、ガーネットさん……!」
 上司から直々に仕事の評価をいただき、イロハは照れながらも嬉しそうにしていた。

 ではここで、本日集まったメンバーのファッションを紹介してみよう。
 まずエントリーナンバー1番は杏。サンタさんをイメージしたフード付きのワンピースドレスに、白いタイツ。赤い手袋も合わせて、実にテーマが分かりやすくかわいらしい。
「ふふ、今日のわたしはさながらサンタ♪」
「杏さんがサンタさんなら、私はトナカイさんですね」
 二番目はイロハ。イロハはステラマリアの一般事務員の制服(ケットシーのイロハのための特別仕様)の上から、トナカイフェイクファーのジャケットを羽織っている。もこもこしていて、じつに暖かそうだ。
「私は、以前ある作戦で着用したドレスにしました」
 三番目のシリンはドレスコードに忠実に、色鮮やかな紅のパーティードレスでキメている。彼女の脚線美を活かしたチョイスと云えるだろう。
「やはりシリンは何を着ても様になるね」
 ガーネットは、ストリートファッションや浴衣といった様々なシリンの着こなしを思い出していた。確かに彼女なら、社交パーティーに出ても注目の的になるだろう。
「今日はみんないつもと違うドレスアップした格好でわくわくするわね」
 四番手、エリシャは銀河をイメージしたコバルトブルーのワンピースドレスだ。イヤリングに髪飾り、ブレスレットと、小物系のアクセサリーも充実している。
「今日のエリシャはきらきら輝いてるね」
「ええ、青のドレスが星空のような美しさです」
 スペースシップワールドをイメージしたような装いに、シリンとガーネットも好印象を抱いたようだ。
「私はクリスマスの一張羅、トナカイワンピです……」
 そして五番の澪が選んだのは、これこそまさにクリスマスファッションと言わんばかりのニットワンピース。緑と赤のツートンに、でかでかと星やトナカイのデザインが施されている。このシンプルさ、潔さは澪の意外と大胆な内面を表しているのかもしれない。
「むふー。澪の服可愛い」
「はい……可愛いは正義……」
 むふんと得意げな様子の澪に杏が近づき、さすさすと服に描かれたトナカイを撫でている。以前アジュールで開いたクリスマス会といい、澪=トナカイという図式が成立しつつあるのかもしれない。
「皆もいつもと違う格好だから新鮮だねー。行動見てるといつも通りなんだけど!」
 ここからはスーツ組だ。6人目のアキは、赤地の大柄グレンチェックのパンツスーツ。インナーのベストをモスグリーンとすることで、クリスマス感を巧みに演出している。
「アキはショートパンツとか、軽快なスタイルのイメージだから、スーツ姿は新鮮だね。うん、よく似合っているよ」
 日頃からスーツを着ているガーネットも、アキの着こなしに太鼓判を押す。かっこいいと可愛いを上手く同居させた、アキらしい組み合わせと言えるだろう。
「ガーネット、スーツを貸してくれてありがとうよ。私はドレスよりもこっちの方がいいね」
 七人目の夏梅はスタイリッシュなチャコールグレーのパンツスーツで、中にはライトブラウンのベストを着込んでいた。
 実はこの衣装、ガーネットの私物だったりする。夏梅がスーツスタイルを希望したので、ガーネットは夏梅に私物を貸し出す提案をした。そして二人でガーネットの部屋でスーツを手に取って、どれにしようかと30分ばかり相談していたのだ。
「夏梅さんはガーネットに借りたの? よく似合ってるわ!」
 スーツ姿の夏梅が新鮮だったのか、エリシャが感心した様子で眺めている。
「まあ、ちょっときっちりして堅苦しいが。このくらいの窮屈さなら、今日ぐらいはね」
 そこでポイントとなるのが、夏梅がいつも首から提げている金貨のアクセサリーだ。これが絶妙にスーツに合っていて、堅さを和らげる大人の遊び心を演出している。
「良く似合っているよ夏梅。サイズも大丈夫そうだ」
 最後を飾るガーネットは、最近新調したゴシックスーツだ。生地に縫い込まれた刺繍がシルバーからゴールドに変わり、ラグジュアリー感が増したようにも見える。
「澪も杏もイロハもアキも可愛いし、ガーネットとシリンと夏梅さんは大人でかっこいい!」
 エリシャはスマートフォンを取り出し、早速メンバーの写真を撮り始めた。エリシャにカメラレンズを向けられ、アキと澪がお気に入りのポーズを決める。
「良き装いですね……華やか可憐、凛々しい全部ある……」
「皆もいつもと違う格好だから新鮮だねー。行動見てるといつも通りなんだけど!」
 いつものメンバーも、おめかしをするとまた少し違った印象になる。そう、今日はクリスマスイヴ。いつもより、ちょっと特別な日なのだ。

●準備開始
 全員が揃ったところで、いよいよパーティーの準備開始だ。今回はアジュールメンバーが全面的に意見を出し合い、会場の設営から食事会までが執り行われる、手作り感溢れるものとなっている。
「まずは掃除と、会場の飾り付けかな」
 ガーネットが運んできた収納ボックスの蓋を開けると、そこには色々な種類のオーナメントが詰まっていた。
「この殺風景な船も、今日ぐらいは華やかにしたいね」
「んふふ、クリースマース・ステラマリア♪」
 杏はさっそくオーナメントを手に取って、綿雪やリースを食堂に飾り付けていく。電飾ランプも用意して、宇宙に瞬く星が船内にも溢れるイメージを作り上げる。
「杏の飾り付けは、可愛くてなごむよ」
 そんな杏に向けられる夏梅の優しい眼差しは、まるで孫を見守るおばあちゃんのようでもある。
「今年の澪は羽付き可愛い♪」
「はい、澪ちゃんは高い場所も得意ですー……いつでもおまかせあれ」
「ふふ、上の方の飾りはおまかせる~」
 天井回りの飾り付けは、浮遊できる澪の出番だ。ふよふよと空中を漂い、マイペースに長いモールを飾り付けていく澪。
「食堂の窓から見える宇宙の景色は、さながらクリスマスナイト」
 食堂の片隅から外の景色を見られる窓に、杏はソリに乗ったサンタクロースのオーナメントを吊り下げた。
「はっ。あの香りはくりーむしちゅーの香り……」
 熱心に飾り付けをしている杏だが、キッチンから漂う料理の匂いにはついつい反応してしまう。どうやら今は、エリシャがシチューの仕込み中のようだ。
「サンタさんの活動範囲が無限に広がりすぎちゃって心配にもなりそーだよねえ」
 宇宙を飛ぶように飾られたサンタクロースを眺めて、アキがそんな感想を口にした。確かに、星から星へ駆け回ってプレゼントを配ることになるサンタさんは、さぞかし大変そうだ。
「綿の雪もいっぱい飾り付けましょうね~」
 ホワイトクリスマスの演出にと、イロハはウキウキしながら雪を模した綿をこんもり、食卓に飾っていく。
「イロハも綿の雪をたくさん飾ってくれたね。もこもこふぁふぁなのはイロハとお揃いだ」
 そういう夏梅の足元では、酒場から連れてきたひよこ達がぴよぴよと忙しなく歩き回っている。初めて訪れた場所の珍しい風景に、興味津々のようだ。
「あっひよこも連れてきた? 出張アジュールみたいだね!」
「出掛けたがってたみたいだし、チビ達にずっと留守番させんのも忍びなくてねぇ」
 無邪気なひよこ達を見守りながら、けらけらと笑うアキ。
「ひよこは何匹いるのかしら?」
「こらこら。あっちこっち歩いて、迷子になるんじゃないよ」
 夏梅もイロハも、ひよこ達から目が離せなさそうだ。全員、最後まで迷子にならずに家に戻ることができるだろうか。
「オレちゃんも飾りつけってかネタ班!」
 アキのアイデアで、光るLEDつきのワイヤーアートのトナカイに手が加えてみることになった。別に用意していた四つ足のドローンを、トナカイと合体させるのだ。
「よし、これでOK……ドローンの背の部分にトレイを固定しておいたから、これにお料理積んで会場内歩いて回ってもらお!」
「なるほど、クリスマス仕様の配膳ロボットか……よく出来てるね」
 アキが器用に組み立てたトナカイロボを、ガーネットはしげしげと観察している。
「アキのこの機械も、何だかよく分からないがピカピカ光って綺麗だね」
「センサー付けてるから一応障害物は避けてくれるはず!」
 試しにアキがドローンのスイッチを入れてみると、体をLEDで光らせながらワイヤートナカイがのっしのっしと歩き出した。
「あら、アキの準備したトナカイは動くのね」
 そこに追加の食材を台車で運んできたエリシャが通りがかり、
「ふふ、じゃあ背中にオードブルを乗せて……贈り物を届けるトナカイさんね!」
 エリシャがトナカイを追いかけながら、背中の皿にチーズをそっと乗せてみる。すると程なくしてトナカイは、食器類やナプキンを用意していたシリンの元に辿り着いた。
「……おや、これは?」
「ヤッター、ミッション成功~!」
 傍に寄ってきたトナカイから、チーズをつまみ上げるシリン。テーブルの向こうで、その様子を見ていた猟兵たちの歓声が上がった。
「アキの作った機械ですか? ふふ、優秀なウェイターですね。このチーズはワインのお供にしましょうか」
 トナカイのワイヤーアートを取り囲んで盛り上がっている、猟兵とひよこ達。するとそこに、
「コケケッ」
 雪だるまと見まがうような、白い羽毛の生き物がひょっこり姿を現した。杏の住む木元村出身で、杏の飼い鶏のたまこだ。
「はっ、たまこさん、お久し振りです……!」
 向かい合うイロハとたまこ。ケットシーのイロハと、たまこのサイズが丁度同じくらいだ。木元村を離れ、初めて訪れた謎の空間に、たまこはやや戸惑っている様子だ。『ここどこよ』的な態度できょろきょろ周囲を見渡し、行ったり来たりしている。
「たまこ、今日はまつりんいないよ」
 杏が屈み込んで、たまこの顔を覗きながら語りかけると、たまこは少し寂しそうに『コケココ』と鳴いた。
「あっ、たまこは電飾つついちゃダメだよ、感電するかんね!」
 トナカイをつつこうとしたたまこを気遣って、慌ててトナカイを持ち上げるアキ。するとたまこは不服だったのか、小さく『コケコ……』と鳴いた。夏梅の連れてきたひよこ達が気になったのか、たまこは夏梅のほうへとトットッと近づいていく。
「あ、夏梅、たまこがそっち行った」
「たまこさん、お掃除ロボありますけど、乗ります……?」
 イロハが指さしたのは、床を掃除していた小型の円盤ロボだ。ゆっくり近づいてきたそれに警戒した様子で一瞬硬直したたまこだったが、やがてぎこちない動作でそろっと上に飛び乗った。
「コケケッ」
「たまこはお掃除ロボに乗るの?」
 たまこに興味津々なエリシャをはじめ、猟兵が固唾を飲んで見守る中、お掃除ロボはたまこを乗せて滑らかな動きでスイーッ……と静かに床を移動していく。
 やがて食堂の入り口付近に差し掛かった頃、新たな訪問者が姿を現した。
『コケココ』
「?」
 猟兵達の視線が集中する中、自動ドアを開けて入ってきたのは一体のドローンであった。独特の丸みを帯びた、メタリックグレーのボディ。そして、ガラス玉のようなカメラアイ。見た目にはたまこと瓜二つの、機械仕掛けのにわとり型のドローンだ。
「……あれもたまこ? じゃない。ロボット?」
「杏、これは私の作った『メカたまこEX』だよ。すまないが、たまこをモデルにさせてもらったんだ」
 ガーネットが船のセキュリティ強化のために導入したドローン、それがこのメカたまこEXだ。警備用といいつつも、ガーネットは結構色んな世界に連れ出していたりする。ハイテクを駆使し、索敵や宝探しも得意なのだ。
『…………』
「コケ?」
 本物たまことメカたまこEX。世界の壁に隔たれて、本来決して出会うはずの無かった二羽が、今ここで対面を果たした。
 ピッピッ、ピッピッ。メカたまこは電信音を発しながら、たまこの体をレーザーでスキャンしていく。程なくして、メカたまこのカメラアイにグリーンの光が灯った。『当船にとって脅威ではない。乗船問題なし』ということだろうか。
『コケケッ』
 するとメカたまこの背後から、何本ものクリスマスツリーが通路を疾走しながら現れた。よく見ればツリーの鉢植え部分は戦車のキャタピラのようになっていて、それを利用して走行できる仕組みになっているようだ。
「……って何か動いてる? キャタピラツリー?」
「ってかキャタピラツリーなんてあるんだーすっご!」
 アキとエリシャが驚くのも無理はない。普通、クリスマスツリーが勝手に走り出すことなんてことは有り得ないのだから。
「このツリーは昔ある猟兵が持ち込んだものでね……この船ではクリスマスの風物詩というか、まぁそんな感じだよ」
「まあ、そうなの」
 ガーネットの口から、件のキャタピラツリーについての説明が語られた。実はこのキャタピラツリーは、以前船にやって来た猟兵がクリスマスの賑やかしにと用意したものなのだ。厳密にはドローンではなく、|魔導機械《ガジェット》の一種に分類されるのだが。
「新年になったらツリーから門松へ……って気の早い門松が、もういたような気がするわね……」
「門松?」
「ほら、あそこに一台だけ混ざっているでしょう」
 エリシャが指さした先を夏梅が目で追うと、確かにクリスマスツリーの中に、三本の竹を組み合わせた門松がひとつだけ混ざっていた。
「なんか間違い探しみたいで面白いなー!」
 フライング気味にやって来たキャタピラ門松を見て、アキがけらけら笑う。そんなキャタピラ門松はひとしきり部屋の中を当て所なく迷走すると、やがて恥ずかしそうにすごすごと退場していった。どうやら新年を祝うには、いささか早すぎたみたいだ。

 ピピピピピッ、ピピピピピッ。
「あら、ミートパイが焼きあがったみたいね!」
 そうしている内に、キッチンのオーブンレンジが調理完了のタイマーを報せた。ミートパイは、今回の目玉メニューのひとつだ。そして、クリスマスの定番料理といえるだろう。料理の最後の仕上げのため、エリシャはいそいそとキッチンへと向かっていく。
「船長、ケーキはどちらに運びましょうか?」
 今度はステラマリアのスタッフがドアを開け、カートに乗ったクリスマスケーキが運ばれてきた。
「ありがとう、そこのテーブルに置いてくれ」
 エリシャのミートパイに続き、クリスマスケーキの準備も整ったようだ。
「さて、あとはこのケーキを飾り付けるだけ……」
 今回のケーキはオーソドックスな苺のショートケーキだが、スペースシップワールドでは本物のフルーツはとても貴重な品である。遠方の農業シップから特別に取り寄せた苺を冷蔵庫から取り出し、ガーネットは神妙な顔つきで苺を上に乗せ始める。何かの儀式のようだ。
 苺はエリシャに頼んで調達してもらってもよかったのだが、ガーネットは敢えてそうしなかった。クリスマスという特別な日のために、高いコストをかけてでも自力で調達したかったのだ。
「……よし、これで完成!」
 星形のチョコレートにサンタ人形の砂糖菓子、そして大きな苺。それらを絶妙なバランスでデコレーションして、立派なクリスマスケーキの完成である。
「皆、お疲れさま。さあ、乾杯しよう!」

●いただきます!
 窓にはソリに沢山のおもちゃを積んだサンタクロース。綺麗に飾られたキャタピラツリーが室内を動き回り、そしてテーブルには出来たての料理の数々。酒場アジュール主催のイベント『クリスマスパーティーinステラマリア』の始まりだ。
「みんな、今日はこのステラマリアに来てくれて本当にありがとう」
 パーティーのホスト役を務めるガーネットが一同の前に立ち、赤ワインの注がれたグラスを手にする。
「それでは。メリークリスマス!」
「メリークリスマース!!」
 軽やかにグラスを合わせる音が鳴り響き、楽しいパーティーがいよいよ始まった。アキのトナカイを始め、食堂にスタンバイしていた配膳ロボットが食器や料理を運びはじめる。
「クリスマス料理張り切って作ってみたの! ミートパイにクリームシチューに、オードブルも召し上がれ!」
 チーフ・シェフはもちろんエリシャだ。テーブルの上には、彼女が手がけた温かい料理が所狭しと並んでいる。もちろん、オードブルやサラダの用意も万全だ。猟兵たちは形式に囚われることなく、それぞれのお気に入りへとさっそく手を伸ばす。
「パルちゃんのお料理は楽しみにしてた! いただきまーす」
 乾杯の白ワインを一口飲んで、アキはオードブルのカナッペをひとつ手に取った。チーズや野菜、フルーツ等をクラッカーに乗せた前菜は丁寧に作り込まれていて、見た目にも彩り豊か。
「ウフフ、クリスマスミニオードブルで気分アゲアゲですね♪」
「あげあげ!」
 アキに続き、杏とイロハもさっそくカナッペに飛びついた。みんなが心待ちにしていた瞬間だ。
「メリークリスマス……かんぱーい」
 赤ワインで口を潤し、澪はまずサラダを選び皿に取り分ける。特製ドレッシングをたっぷりかけて、いただきます。
「夏梅さんも食べます……? 美味しいですよ」
「なるほど、サラダもこうして飾るとクリスマスリースになるんだねぇ」
 サニーレタスに星形のチーズをちりばめれば、グリーンサラダもクリスマス風になる。ミニトマトもかわいらしいオーナメントっぽくて、これもクリスマスならではの盛り付けといえるだろう。
「リースサラダは並べるだけだから難しくないのよ。チーズを星型に切るのがポイントね」
 シンプルな料理とはいえ、こういう盛り付けにも力を入れるのがエリシャらしい。
「形を崩してしまうのが申し訳ないくらいだが……うん、私もいただこうかね」
 きっと食べている内に形が崩れていってしまうのだろうが、食べずにいるのも実にもったいない。名残惜しさを感じながらも、サラダの山にフォークを通す夏梅であった。
「おにく! お料理並べてる時から狙っ……気になってた」
「さて、早速メインディッシュからいただきましょう」
 お肉大好きの杏は、さっそくメインの肉料理にがっつり夢中だ。同様にシリンも、ナイフとフォークを手にメイン料理をいただく気満々である。
 大きな鳥の丸焼きにナイフを走らせ、シリンは的確なサイズに切り分けていく。中に詰められていたグリル野菜や、ハーブも同様だ。
「さあどうぞ、夏梅」
「うん、良い焼き具合だ。香ばしい匂いがするよ」
 まずは夏梅が一口目をパクリ。火の通り具合も、問題ないみたいだ。
「カービンせんせーのナイフ遣いはさっすがー! オレちゃんも早速お肉いただこ!」
 アキが肉の一切れにグレービーソースを絡めて、口へと運ぶ。噛みしめた瞬間に肉汁がじわり染み出し、たちまちアキの舌の上に肉の旨味が拡がった。
「この面子でお肉食べてるとアジュールって感じするよねー」
 口直しにサラダを味わいながら、酒場アジュールでの食事に思いを馳せるアキ。夏梅も彼女に同意しつつ、柔らかな肉の味を堪能している。
「果物ソース、美味しそうですねぇ~」
 イロハは少し小さめに切られた肉に、オレンジソースをたっぷり付けて味わっている。
「はい、あっさりお肉なので、果物ソースが合います……イロハさんも、お料理お取りしますよ……エリシャさんの素敵なお料理、他にもいっぱいありますし」
 澪に勧められ、イロハの皿にはミートパイやクリームチーズ、スモークサーモンなどがもりもり追加されていく。
「はわわ、お料理がいっぱいで、なんだかアジュールみたいです!」
「そうですね……。アジュールは豪快手早く盛りもガッツリ、おいしいごはんなイメージですね……」
「豪快に切って豪快に焼く方が楽だからじゃないか?」
 いくら食べても無くならない、そんな印象のアジュール料理を思い出す一同である。
「チキンの丸焼きはクリスマスの定番なんだっけか。アジュールではなかなか出ない肉料理だね」
「チキンの丸焼きは定番ですよね、お腹の詰め物もジューシーなお肉のスープを吸っていて……一緒に焼いた野菜も甘くておいしいやつ」
「これはエリシャの腕の見せ所、ってとこか。……む、チキンといえばまさか」
 澪の相槌で、たまこを思い出したのか。謎の不安に駆られ、思わずきょろきょろと部屋を見渡す夏梅。すると、たまこは夏梅の心配などつゆ知らず。ひよこ達を引き連れてコケコケ元気そうに歩き回っている。
「うふふ、夏梅さんったら。たまこを焼いたりしてないわよ、これは七面鳥なの」
「……ん? 七面鳥、だったのかい。いや、てっきり……」
 とんだ早とちりをしたものだ、と夏梅は気恥ずかしそうに頭を搔いた。顔を見合わせ、猟兵達はくすくすと笑い合う。
「ヨーロッパではお祝いの時の定番なんですって。鶏より大きくて食べ応えがあるかなって」
 ナイフとフォークで丁寧に肉をカットし、上品な所作で口へ運ぶエリシャ。付け合わせのソースも彼女が調味料を厳選したもので、オレンジソースやデミグラスソース、グレービーソース、ハニー&マスタードと多種多様。
「ね、杏?」
「……むふ♪ 食べ応え、ジューシー、良き」
 口いっぱいにターキーをほおばり、杏も至福の笑みを浮かべている。
「杏さんもお肉もっといかがです?」
「ん! お肉、もっと食べる!」
 澪に勧められて、目を輝かせる杏。今日の所は、摂取カロリーは気にしないでおこう。
「うん、このジューシーな肉汁がたまりません。ワインにも良く合いますね」
 ターキーを味わいながら、シリンは芳醇な香りの赤ワインで喉を潤す。猟師であり、肉の専門家ともいえる彼女からも、どうやら合格点が貰えたようだ。
「このワインもいいですね、香りも味もよいものです」
 お酒は結構いける口の澪も、ワインが気に入ったみたいだ。嗅覚と味覚の両方で、じっくりと満喫する。
「夏梅さん、おかわり注ぎましょか」
「ああ澪、すまないね。いつもの酒場で飲むのとは、ちょっと違った感じだね。酒を用意してくれたのはシリンだったか」
 夏梅のグラスに注がれているのは、ワインではなく葡萄ジュースだ。ジュースとはいえ、味は濃厚でしっかり飲み応えがある。
「ええ。この日のために、市場で品定めしてきました。それと、夏梅と杏のために葡萄ジュースを」
「ふふ、葡萄ジュースもこうして飲むとお酒飲んでるみたいに見えるわね」
「料理が美味しいとお酒が進むよね! パルちゃんグッジョブ!」
 そこにアキとエリシャも混ざり、改めて乾杯の挨拶を交わした。
「んー、美味しい! 乾杯は何度してもいいわよね」
「ああ、シリンの心遣いに感謝だね」
 ワインだけでなく、使っているグラスもシリンがこの日のために揃えたのだそうだ。酒は飲めない夏梅だが、ワイングラスで飲めば雰囲気だけでも皆と共有できる。
「みんな、本当にありがとうよ」
 仲間たちの心遣いが、じんわり胸にしみ入る夏梅だった。

「温かいシチュー、ごろり大きな具が入ってて食べ応えがありそうですねぇ~」
「イロハも準備お疲れさま。さあ、食べよう!」
 ガーネットとイロハは軽くグラスを合わせて乾杯し、クリームシチューをお玉ですくってスープ皿に取り分けた。濃厚なシチューの香りが、二人の鼻腔をふんわりくすぐった。
 時間をかけてじっくり煮込まれたシチューは具材の旨味がしっかり溶け出していて、ミルクとバターのコクが優しい味わいを醸し出している。
「ん、ジャガイモか……」
「あれ、ガーネットさん。お野菜はニガテですか?」
 食事の手を止め、スプーンのジャガイモを見つめるガーネットにイロハは怪訝な顔をする。
「いや、違うんだ。昔の友達のことを思い出したから」
 もう何年前のことになるだろうか。まだガーネットがコロニー船防衛隊の訓練生だった頃。同期の中に、農業シップ出身の少女がいたことを思い出した。
「その子の実家から、時々大量のジャガイモが送られてきてね……同じ部屋の仲間同士で、コッソリ食べたものだよ」
「へえ、そんな思い出があったんですねぇ」
 宇宙では野菜も果物も滅多に食べられないのだが、彼女のお陰でジャガイモだけはたらふく食べることができた。ガーネットはそんなことを思い出しながら、またシチューを口へ運んだ。
「ほう、ガーネットの青春時代の話ですか」
 するとシチューの匂いに釣られて、おもむろにシリンがスープ鍋に近づいてきた。
「酔いが回ると、口が軽くなってしまうね」
 ガーネットは苦笑しながら器にシチューをよそうと、ほかほか湯気の上るそれをシリンに手渡した。ふぅ、と静かに息を吹きかけてから、シリンはゆっくりとスプーンを口に含む。
「はふ……ミートパイや七面鳥も絶品ですが、このシチューもなかなかですね。ごろっと大きい野菜と肉から、滋味が沁みだしてますね」
「美味そうに食べるねえ、シリン。私もシチューをもらおうか」
 そう言う夏梅の手には、既にスープ用の深い皿が用意されていた。
「やあ、いらっしゃい。夏梅も、シチューを食べるかい?」
「ああ、ガーネットの昔話を聞きながらね」
 ガーネットに器を手渡しながら、夏梅は少しいたずらっぽく笑う。ガーネットは夏梅から器を受け取ると、鍋の中身をお玉でかき混ぜつつ笑みを浮かべた。
「防衛隊時代の話なら、一晩中でもできるよ。辛いことも、楽しいことも沢山あったからね」
「へえ、それは興味深いねぇ」
 お気に入りの料理と飲み物をお供に、それぞれの昔話に花を咲かせる大人達であった。

●デザートタイム
 やがて配膳ロボットが、人数分のフォークとケーキ皿、そしてカップを用意してきた。皆が一通りの料理を食べ終えると、いよいよデザートタイムだ。
 パーティーのラストを締めくくるのは、もちろんクリスマスケーキ。ケーキの上には大きなイチゴとサンタ人形の砂糖菓子、そしてMerry X'Massの文字が描かれた板チョコが乗っている。
「ケーキはグレちゃん作?すっごいな!」
 ケーキを目当てに、さっそく猟兵たちが集まってきた。
「そうだよ。まあ、生地作りや焼き上げは、エリシャに結構手伝ってもらったんだけどね」
 その代わり、クリームのコーティングと最後の飾り付けはガーネット一人が担当した。つまり今回は、エリシャとの合作というわけだ。
「やっぱりクリスマスにはケーキを食べたいもの。味も気に入ってもらえたら嬉しいわ!」
 ガーネットとエリシャが共同で手がけたケーキは見た目にも美しいが、もちろん味にも自信をもって完成させたものだ。
「崩すのが勿体ないほどですが、美味しいものはいただかねばです~」
「そだ、食べる前にちゃんと写真も撮っておかないとね!」
ケーキを切り分ける前に、アキとイロハがスマートフォンで写真撮影してくれた。後で、彼女らのSNSに画像が保存されることだろう。
「緻密に計算されていそうな見事なバランスで配置されてるね。断面が綺麗なのはエリシャのセンスだね」
「ふふ、ありがとう。さあ、ケーキをどうぞ」
 夏梅が感心した様子で見つめる中、ナイフを手にしたガーネットが丁寧にケーキを人数分切り分け、猟兵それぞれのケーキ皿に移していく。すると、配膳担当のドロイドがおもむろにテーブルに近づき、温かい紅茶やコーヒーを注ぎはじめた。
「ケーキに葡萄ジュース、定番で良き、良き」
 杏は苺とクリームたっぷりのケーキにすっかり夢中で、足元をたまこを乗せたお掃除ロボが通っていくのにも気づかない。たまこはすっかり慣れた様子で、お掃除ロボの上で羽繕いしている。
「ケーキも素晴らしい……切り口も飾りも完璧……すてきすぎますね……」
「ガーネットが相当気合いをいれたようですね、拘りの見えるデコレーションが物語っています。もちろん味も最高」
「二人が頑張って作ったんだ、味は美味しいに決まっているよ」
 どうやら皆、クリスマスケーキの出来映えにとても満足した様子だ。ケーキを作ったガーネットもまた、ほっとした気持ちで紅茶に口をつけた。

「……おや、いつの間にかひよこも飾られてる」
 そうやって皆でケーキを食べていると、夏梅がふとテーブルの異変に気がついた。ピヨピヨと、ひよこ達がテーブルの上を横切っていく。
「夏梅がやったのかい?」
「いや、これは私じゃないよ。ひよこを連れてきたのは私だが……」
「ふむ」
 ひよこもケーキを食べたくなったのだろうかと、ガーネットは少しだけ千切ったケーキの欠片をひよこに与えてみた。
「どれ、アキの機械にも乗せてもらうかい?」
「じゃ、トナカイにヒヨコを乗っけちゃおっと。好きなとこ行っておいで!」
 トナカイの皿からクリームチーズをつまんで、ケーキの口直しにするアキ。そうして空いた皿の上にひよこを一羽、そっと乗せてみる。するとトナカイは、いそいそとたまこのお掃除ロボを追いかけ始めた。
「よーし、たまこが乗ってる掃除機と競争だ!」
「ふふ、たまこも何だか円盤のに乗って満足そうだ。おっと、キャタピラツリーがまだ走り回ってるね。ぶつからないように気を付けるんだよ」
 食堂をぐるりと一周する競走の始まりだ。たまこ・オン・ザ・お掃除ロボが先頭をリード。それを懸命に追うひよこ・ウィズ・トナカイが後に続く。さらにそのトナカイを、他のひよこ達が一生懸命追いかけていく。確かにこの光景は、ちょっとした競走のようにも見える。
「あら、たまこVSひよこレースが始まるの? 去年のソリレースを思い出すわね」
「たまこ、ラクしすぎじゃない? つかたまこは自分で走る方が早いって言いそう」
 微笑ましくも賑やかな光景に、猟兵たちから笑いが湧き起こる。すると、イロハがアックス&ウィザーズの民族楽器を模した『ドンガッキ』を取り出し、慣れた様子で演奏を始めた。
「僭越ながら、BGMはいかがですか? レースもきっと盛り上がりますよ!」
「お、それはアックス&ウィザーズの音楽かい?」
 軽快で牧歌的な弦楽器の旋律に合わせ、ガーネットは靴の爪先でリズムを刻み始めた。綺麗に飾り付けられたキャタピラツリーは、まるでイロハの演奏に合わせて踊るかのように、クルクルと自転しながら走り続けている。
「ふむ。では、こういうパフォーマンスはどうですか?」
 この流れに乗って、シリンが軽やかなステップを披露し始めると会場はさらに興奮を増していく。鮮やかな紅いドレスを纏ったシリンは、キャタピラツリーを巧みに躱しながらステップを刻み、パートナーに見立てたアキのトナカイに合わせてくるっとターン。イロハのドンガッキの音色に合わせて手拍子が鳴り響くと、普段はクールなシリンも自然に笑みがこぼれてきた。
「ふふ、レースもみなさんも楽しげで良き」
「そうだね。皆とこうして楽しく過ごせる時間が、何よりのクリスマスプレゼントだよ」
 アジュールメンバーが即興で繰り広げるパフォーマンスを後方から見守りながら、夏梅と澪は改めて飲み物で乾杯する。和やかで温かい時間を仲間と共有できたことに、夏梅は喜びを感じていた。
 やがて演奏はクライマックスとなり、最高に盛り上がったところでシリンが華麗にポーズを決めてみせた。そして、演奏フィニッシュと同時に湧き上がる盛大な拍手。いつの間にか、ステラマリアのスタッフ達も輪の中に加わっていた。
「はわ、みなさんご声援ありがとうございました!」
「イロハも、素晴らしい演奏でした」
 ドンガッキをしまいながら、ぺこりと一礼するイロハ。シリンもまた、会心のパフォーマンスを披露できたようだ。
「やあ、本当に素敵なものを見せてもらったよ。そうだね、メカたまこ」
『コケケッ』
 メカたまこEXはというと、いつの間にかガーネットの傍に身を寄せ、飼い主に愛でられていた。

「むふ、心もお腹もいっぱいぽかぽか……」
 美味しい料理を存分に味わった杏が、ふと窓の外を覗き見た。広大な宇宙空間には、無数に煌めく幾億の恒星。杏にはその中のひとつが、不意に動いたように見えた。
「宇宙のサンタさん、プレゼントを配ってるのかも」
 そんなことを考えながら、葡萄ジュースをもう一杯飲む杏であった。こうして、スペースシップワールドの聖夜はゆっくりと更けていく。今宵の宴に集った猟兵達を優しく見守りながら、ステラマリア号は悠然と星の海を往くのであった。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​



最終結果:成功

完成日:2026年03月03日


挿絵イラスト