平安遺構のブレイズゲート
●時は平安
平安時代、武蔵野台地にはすり鉢状の形をした『まいまいず井戸』という井戸が多数あった。それは武蔵野名物として当時から京にまでその名をとどろかせており、現代でもそのいくつかが平安時代の遺構として保存されている。
此度、そのまいまいず井戸の一つが白い炎に包まれた。
「これは、如何なこと……!」
井戸の前に立つ一人の女性。生気を感じさせない青白い肌と冷たい体。そしてここだけに生命力を詰め込んだような巨大な乳と尻。その格好は豊満な体を鎧に押し込み、薙刀を携えたいかにも女武者然としたものであった。
「何があるか分からぬ以上落とす命もなきわたくしが参ります。皆は村を」
「|縹《はなだ》様、どうかご無事で……!」
彼女は配下と思しき女武者を置き、臆することなくその燃える井戸の中へと入っていく。そして炎を抜けた先に。
「あー? 誰ですかねあなた?」
●時は令和
「皆様方、トワイライト・ザナドゥお疲れ様でござりました。早速ながらサイキックハーツで依頼でござる」
シャイニー・デュール(シャイニングサムライ・f00386)が集まった猟兵たちに挨拶する。
ブレイズゲート。それは白き炎に包まれた迷宮。サイキックハーツ版ゴーストタウンやギガンティア、と言えば一発で伝わるものも多いだろう。
「今回サイキックハーツで平安時代の遺構である井戸が迷宮化。ここを支配しているダークネスを倒しブレイズゲートを消滅させていただきたく」
ゴーストタウンやギガンティアがそうであるように、かつて灼滅者が現役時代には存在しなかった迷宮があちこちに出現しているのはサイキックハーツでもあること。
「場所は武蔵野、サイキックハーツにては世界の中心と読んでも差し支えない最重要地にござる」
武蔵坂学園のある武蔵野はサイキックハーツのグリモアベースと呼んでも差し支えないほどの地。そのような場所にブレイズゲートが出現したとあっては捨てては置けないだろう。
「そこに潜むダークネスも相応に強力。皆様には井戸に入り込んで敵を滅していただきたく」
そう言ってシャイニーは説明を始めた。
「まず井戸に入ると中は元の大きさを完全に無視した迷宮と化しております。そこに潜む『ラクヨウテンニョ』を倒しながら進んでいっていただきたい」
その名の通り天女の姿をした敵。正確にはダークネスではなく『眷属』という特殊な種族であり、主の命令に忠実に従うだけのダークネスの下僕の様な存在だという。だが彼女らもオブリビオン化したことで意思や知能も向上、主の命令を正しく理解した上自分の意思で役目を果たすべく向かってくるという。
またブレイズゲートのいわば仕様として、迷宮の具体的な構造は予知することができない。適宜自分たちで道を見つけ進んでいく必要があるようだ。
「しばらく進んでいくと、伽藍のような広い空間に出ます。そこにはダークネスが密集しておりますが、彼らは必ずしも攻撃的な存在ではありませぬ。ボスの思想に心酔し、救いを求め集まっているもののようですな」
奥に控えるボスは敗北したダークネスの庇護、救済を掲げているという。そして今やオブリビオンではないダークネスは世界に置いて弱小の希少種族。人にも交じれず、かつての栄華もなく、寄る辺を失くした者たちがボスに縋って祈りを捧げているという。
「この中にいるダークネスたちのスタンスも様々。説得して離脱を促し道を教えてもらったり、彼らに混ざって信者のふりをしてこっそり通り過ぎるなどしてくだされ。もちろん中には邪悪な心を持つ者や実はオブリビオンである者もいます。そういう者に行き会ってしまった場合、実力行使もやむを得ませぬな」
ボスは弱いダークネスに手を差し伸べはするが、決して平和主義者ではない。様々なものが集まる中、対処しやすそうな者と接触しぬけていくのがいいだろう。
「最後に最奥まで行くと、このブレイズゲートの主である『天海大僧正』が御座します。彼と戦い、討ち果たせばブレイズゲートは消滅します」
かつてブレイズゲートともなった|慈眼城《じげんじょう》に君臨し、|安土城怪人《織田信長》と覇を争い、敗れてなお武蔵坂学園に交渉を持ちかけ命脈を繋ぎ、最後は配下の|ダークネス《闇堕ちした灼滅者》に裏切られ散った強大な羅刹。
彼はオブリビオンとなった今再び、敗れたダークネスを集めた|慈眼衆《じげんしゅう》を組織して己が勢力を復活させようとしているという。
「彼はかつて以上に垣根なく多くのダークネスを同胞として集め、己が国を築こうとしています。彼は理由なく人間を害するつもりはありませぬが、さりとて別に人と友好的にあろうとも思っておりませぬ。邪魔なら滅す、そうでないなら放っておく、その程度にしか人を思ってはおりませぬ」
かつては人を滅ぼし過ぎると武蔵坂学園に目を付けられるからと人を害するのを控えたこともあった。だがその結果が巡って身を滅ぼしたこともあり、もう話し合いでの解決は不可能だろう。
「彼の法力はまさに神仏の領域。また寺を一つ焼くほどの炎をも用いてきます。ゆめ油断なさらぬよう」
日本史の大きな転換点を生み出したその力。それを身に受けるのだ。一瞬でも気を抜けば舞う間もなく滅される事だろう。
「最初に言いました通りこのブレイズゲートは井戸の底に広がっています。その中を一人の坂東武者が探索しておりますので、よければ彼女とともに進んでみてはいかがでしょうか」
坂東武者はアヤカシエンパイアに置いて妖を身に宿し東国を守護する武者。なぜそんなものがブレイズゲートに。
「それがどうやらアヤカシエンパイアにおいてもブレイズゲートが発生する事件が起きているようで、しかもその首謀者はあの安倍晴明。彼奴が関われば最早何があっても驚くに値しませぬな」
幾度滅されようと猟兵の前に立ちはだかる、あのドクター・オロチ以上にしぶとい怨敵。その暗躍が最初に確認されたのがこのサイキックハーツであり、まさに勝手知ったるとばかりに力の影響があってもおかしくはない。
「死して身を即身仏とした女性の武者ですが、過去猟兵に助けられたことがあり皆様への信は高くあります。実力も多くの武者を率いる程のものですので、足手纏いにはならぬでしょう」
僅か14歳で小さいながら女武者団を率い、東の地で結界を守る平安の守り手。戦慣れ、という意味ではかなり頼りになるだろう。
「予知ですら見通せぬブレイズゲートは各世界の迷宮でも特に謎多き場所。しかし一歩ずつ進んでいけば、いつか全てが見通せる日もきましょう。それでは皆様、どうかご武運を」
フォーミュラの倒された世界も含め、解けぬ謎は各世界にいくつもある。少しでもその霧を晴らすために。
そう言ってシャイニーはグリモアを起動し、白き炎の中へと猟兵を転送するのであった。
鳴声海矢
こんにちは、鳴声海矢です。こちらはサイキックハーツでブレイズゲート出現です。
もう一つのシナリオと対になっているものではありますが、参加制限などはないので好きなようにご参加ください。
第一章では『ラクヨウテンニョ』との集団戦。名前通り天女の様な見た目で、歌や踊りによる炎召喚の他髪を伸ばして斬撃も使ってきます。畏れの具現化した『眷属』という存在でしたが、オブリビオンとなったことで知能や意思が増大、ボスの目的を叶えるため自分で考えながら行動してきます。
迷宮の各所で襲ってきますが具体的にどこにいるかは分からないので、探索含めて瑶警戒です。
第二章では信者犇めく地下伽藍を抜ける冒険。信者たちはボスの思想に同調し集まったダークネスたちですが、色々な性格のものがいます。信者のふりをして通る、話が通じそうな相手を説得して案内してもらうなどができますが、中にはヒャッハー系の奴もいたりするのでそういうのを倒して無理矢理通るのもありです(だいたいそういう奴は信者内でも嫌われてるので援軍は多分来ません)。
第三章では『天海大僧正』とのボス戦。かつては|慈眼衆《じげんしゅう》という大勢力を率いた強力な羅刹で、オブリビオンとして蘇った今その再興を目指し色々な意味で『敗れた』ダークネスを集めています。さすがにかつての戦争ボス並とまではいきませんが、ボス級としては普通に強い方です。ダークネスの救済と戦力増強を目的としていて今は積極的に人間を攻撃しようとは思っていませんが、いずれぶつかるとなれば滅ぼすことに躊躇はありません。
いずれの章でもブレイズゲートを探索している坂東武者が同行、協力してくれます。以下詳細。
|搗色《かちいろ》・|縹《はなだ》 即身仏の坂東武者×破戒僧 青い髪と灰色の瞳 享年14歳。
東国の小さな村を守る坂東武者のリーダー。かつて自ら宿す鬼に乗っ取られたのを猟兵に助けられたことがある(https://tw6.jp/scenario/show?scenario_id=62802 読む必要はなし)。己の村を守るためブレイズゲートに入ってきた。
武者を束ねるものとして強く高潔にふるまうが、同時に自分より強い人に甘えたかったり豊満すぎる体形を持て余すなど乙女の悩みを隠してもいる。武器は薙刀を使うが大技を撃つときだけどこからか木槌を召喚する。
それでは、プレイングをお待ちしています。
第1章 集団戦
『ラクヨウテンニョ』
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POW : 落陽舞
高速で旋回する【夕焼け色の炎の塊】を召喚する。極めて強大な焼却攻撃だが、常に【奉納の舞】を捧げていないと制御不能に陥る。
SPD : 黒閃髪
【鋭く伸ばした黒髪】が命中した対象を切断する。
WIZ : 破妖歌
【偽りの世界を滅ぼすべしと唱える、古風な歌】を聞いて共感した対象全ての戦闘力を増強する。
イラスト:和狸56
👑11
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
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種別『集団戦』のルール
記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
白き炎に包まれた迷宮ブレイズゲート。その中を、武者姿の少女が顔に頬を当てて歩きまわる。
「な、何だったのでしょうあの破廉恥な方は……面妖な仮面に秘すべき場所に僅かに張り付いただけの薄布、それにあの巨大な、体を覆う程の、その……」
このブレイズゲートへと踏み込んだ坂東武者|搗色《かちいろ》・|縹《はなだ》。彼女は視界が晴れた瞬間目の前にいた異様な風体の女の姿を見て、思わず駆け出してしまっていた。
「うう、あのような妖の如き恐ろしい大きさ……それに比べればわたくしなど……そ、そう、所詮わたくしなど人の範疇。他の武者たちよりほんの少し大きいだけ! わたくしの胸はそんなに大きくない!」
井戸の底に広がる無人の地下道で叫びながら、鎧の上からそこに無理やり押し込んだ自分の胸に触れる縹。動くごとに紐がぎちぎち音を立てたり、うまくやらないと横や下からすぐはみ出したりするそれは彼女の密かな悩みの種であった。
武者のリーダーという立場上誰にも相談できなかったそれを、一人になったのを幸いと大声で叫びながら縹は迷宮をうろつく。
しばし進むと、その顔めがけて薄い布がふわりと舞い降りて来た。だがそれが顔面を覆う前に縹は瞬時に薙刀を一閃。切り払われた布から覗いたその顔は、羞恥に染まる少女の|顔《かんばせ》ではなく凛々しき武者の面構えであった。
「何奴!」
暗闇の中へ縹が問う。すると周囲に炎が灯り、夕焼けの如く辺りを照らす。そしてそこに舞うのは、薄絹だけを纏った妖しくも神々しい裸体の女であった。
その女たちを、縹はきっと睨む。
「外面如菩薩内心如夜叉、天人を偽ったとて分かります。我が身に宿るのと同じ深き闇の気配!」
彼女は鬼を身に宿し戦う坂東武者。故に、相手が天女の姿とはかけ離れた『畏れ』であることを看破できた。
敵を前にして破廉恥云々喚くことなど無く即座に戦闘態勢に入れるのは、彼女が少女である前に戦闘集団の長であることの証か。
「貴女も闇を宿し生きるもの」
「天海上人は堕ちし闇に糸を垂らしお救いになる。貴女もその慈眼にお縋りませ」
己のダークネスに体を渡し、慈眼衆の一員となれ。縹を灼滅者の一種と見たのかそう誘う天女たち。
「安心召され、上人は既に不殺を除く四戒を固く守って久しい。我らさえ及ばぬ貴女のような厚き|肉置《ししおき》でも……」
「だだだだ黙りなさい! あなた達には言われたくありません!」
それでもつつかれるとつい返してしまう乙女心。
しかし、その構えに隙は生じず薙刀を持つ力にも緩みはない。
そして後から|白炎《ブレイズゲート》に入って来た者たちが彼女に追いつくのもちょうど今頃だろう。
平安の女武者と共に、令和に蘇ったダークネスの眷属を闇に返すのだ!
夢ヶ枝・るこる
■方針
・アド/絡◎
■行動
珍しい場所でお会いしましたねぇ。
『FPS』で一帯の情報を把握、不意の遭遇等に備え、『FES』の『対炎結界』で私と縹さんを覆い守りまして。
会敵したら『火属性』を指定し【暜噄】を発動しますねぇ。
【落陽舞】は『火属性』且つ『召喚』を伴う以上軽度ながら『空間属性』でも有りますので、発動した『炎の塊』はまず問題なく全て吸収可能ですぅ。
後は『万象吸収の波動』で[範囲攻撃]を行うと共に、視界外の相手は縹さんに援護願い、『FRS』『FSS』の[砲撃]で[追撃]して叩きますねぇ。
お会いした時から育っている私の胸、更に『吸収』による『胸の増量』を見て、縹さんも落ち着いてくれると良いですが。
突如村の井戸に出現した白き炎と、その奥に広がる謎の大迷宮。その中で村を守る武者のリーダー、|搗色《かちいろ》・|縹《はなだ》は天女の姿をした魔物、『ラクヨウテンニョ』と向かい合っていた。
薙刀を構える縹の後ろから声がかかる。
「珍しい場所でお会いしましたねぇ」
その声に縹が振り返ると、そこには夢ヶ枝・るこる(豊饒の使徒・夢・f10980)の姿があった。
「あ、貴女様は……!」
その姿を見て声を震わせる縹。彼女はかつて鬼に乗っ取られた自分と配下たちを猟兵に救われたことがあり、るこるもその時参戦したうちの一人であった。
「さて、それではまず……」
るこるはまず戦闘ではなく、周囲に探索用の祭器を散らした。ブレイズゲートは|エクスブレイン《サイキックハーツの予知者》、そしてグリモア猟兵にすらその構造は見通せない。別方向からの奇襲に備え周囲の状況を把握しつつ、別に結界を広げることで自身と縹に守りを布いた。
「こちらも天海上人の慈眼を求めて来たのでしょうか」
「それにしては闇がない。恐らくは我らが蘇りしと対となる者」
そしてラクヨウテンニョたちも、相手が灼滅者に代わる己らの大敵、猟兵と見抜く。敵の侵攻を察したラクヨウテンニョたちは、豊かな体を揺らしその場で踊り始めた。
「かしこみかしこみ奉る。落陽の朱、闇呼ぶ光、いざ、参られませ」
薄絹が翻り、紐に巻かれた裸体が曝される。それに呼ばれるように、辺りに夕日の如き赤い炎が出現した。それは踊りに合わせるかのように動き、るこると縹を包囲しようとする。
「大いなる豊饒の女神の象徴せし欠片、その収穫の理をここに」
それに合わせ、るこるは【豊乳女神の加護・暜噄】を発動した。火属性を指定しその力を吸収、さらに償還能力である以上空間属性もあると見て、出てくることそのものをも封じようとする。
そして小さくなっていく炎を超え、さらに吸収波動を飛ばす。それはラクヨウテンニョ自体の体に当たり、その存在を削っていった。
「我ら元よりなきもの」
「古の畏れたる我ら、何を恐れることありましょうや」
彼女たちは元々ダークネスの使い捨ての雑兵である『眷属』。自分たちが消されることなど構いもせず、ただ舞を捧げ続ける。
その舞に呼応して、消されて行くはずの炎が再び燃え上がり始めた。
「例え騙りものとて神、というつもりですか……!」
その姿に縹が言う。その名通り天女の姿をした彼女たち、その奉納の舞いには『神属性』とでもいうべきものが含まれ、結界を超えて二人を炙ろうとしているようだ。
その炎と共に、ラクヨウテンニョたちは広がって舞う。それは攻撃の範囲を広めると同時に、舞とともに翻る薄絹で相手の視界を乱し、位置や数を認識しづらくさせるためのもの。実際にるこるのUCは視界内が攻撃範囲のため、横や後ろに回られてしまうと対処が難しくなってくる。
「祈るだけが力ではありませんよぉ」
舞い続けるラクヨウテンニョたちに、るこるは次の一手を差し向けた。砲撃能力を持つ祭器『FRS』と『FSS』。その二つによる攻撃は、単純な破壊力となってラクヨウテンニョを押し潰した。
見た目通り体は頑健ではないラクヨウテンニョは、その砲弾の重圧に耐えきれず押し潰されていく。しかし後ろに回ったラクヨウテンニョたちは、波動が来ず結界も薄い所を狙い炎の塊を放った。
それはるこるを背後から襲い、焼き尽くそうとする。
「それでは、お任せしますぅ」
「心得ました!」
るこると背中合わせになった縹が、その炎に向けて薙刀を振るった。それは剣圧だけで暴風を巻き起こし炎を抑え込む。
「村の平安の為ならば、喜んで悪鬼と謗られましょう!」
そして小さくなった炎を超え、縹の手に現れた巨大な木槌がラクヨウテンニョを叩き潰した。彼女の言葉通り、【サムライ妖武装変】で強化された彼女の体は、一時的にまさに鬼の力を備えていた。
「何たる厚き双面……もとい双胸……」
舞うこともできず消えるラクヨウテンニョの最後の言葉。確かにるこると縹が背中合わせになった結果、二人の大きな胸が前後双方に突き出されることとなりそれは突破不可能を感じさせる厚き肉壁となっていた。
「落ち着いてくださいませ、大部分は私ですのでぇ」
以前会った時からさらに成長し、加えてこの戦闘中に吸収でさらに大きくなったるこるの胸。それは確かに縹はもちろん、彼女が出あって思わず逃げ出した|褐色肌の女《灼滅者ヌードルマスク》さえ軽く凌駕するものであった。
「そ、そうですね……わたくしの胸などあくまで人知の及ぶ領域で……」
そう言われて何とか落ち着こうとする縹。ただつまりそれは『人外級でないと彼女を超えられない』という意味でもあるのだが、絶賛コンプレックス刺激され中の乙女はそこに気づくことはないのであった。
大成功
🔵🔵🔵
タシュラフェル・メーベルナッハ
話には聞いてるけど、セイメイも大概しぶといわよね。
早いところ滅ぼせると良いのだけど。
ともあれ今はこのブレイズゲートね。
そこの可愛い武者さん、お手伝いさせてもらうわね?
(縹と合流して探索開始)
NachtSchlager達を放って【偵察】して貰いましょう。
敵や何か変わったモノがあれば教えて貰うとしつつ。
戦闘では一の無限を発動、見出した展開を基に敵の攻撃をかわしたり、【エネルギー弾】での攻撃を当てていきましょう。
縹にも見えた展開を基に適切なタイミングで回避や攻撃を呼びかけるとするわ。
それにしても…ふふ、大きくて素敵よね。
確かに戦うには邪魔そうだけど、私は好きよ?あなたのそれ。
陰陽師安倍晴明。彼が猟兵たちの前に初めて現れたのはサムライエンパイアで魔軍将としてであった。
しかしそれより昔、彼は猟兵が活動を始めるよりずっと前からある世界で大敵としてその世界の埒外と戦いを繰り返してきた。
その世界こそサイキックハーツ。そしてその時の名は『白の王・セイメイ』。
「話には聞いてるけど、セイメイも大概しぶといわよね。早いところ滅ぼせると良いのだけど」
タシュラフェル・メーベルナッハ(夜闇の万華鏡・f43850)、通称タシェは(一部を除いた)外見こそ10歳程度だが、その時代から戦いを続けてきた『|灼滅者《スレイヤー》』。
晴明との戦いもブレイズゲートの探索も慣れたものである彼女は、井戸の底に広がる迷宮を迷うことなく進んでいた。
「ともあれ今はこのブレイズゲートね。そこの可愛い武者さん、お手伝いさせてもらうわね?」
簡単に先行していた坂東武者搗色・縹に追いつき、当然のように協力を申し出た。
「ひぅ!? ……か、かたじけのうございます……」
自分より低い場所から聞こえたその言葉に、止まった心臓が跳ね上がったかのような反応を見せる縹。その姿を見て妖しく笑いながら、タシェは手の内から大量の蝙蝠を湧きだたせ、迷宮の中へと放った。
「無暗に進むのは危険よ。ナニが潜んでいるか分からないから」
迷宮の中に散った無数の『|NachtSchlager《夜の蝙蝠》』たち。それは地下の暗さをものともせず、その構造を確認してはタシェに伝えてくる。
「それは、式ですか。その方面には詳しくありませんが、物見があるのは心強いというのは分かります」
「まあ、そう思ってくれていいわ。敵や何か変わったモノがあれば教えて貰うとしつつ……ね」
ブレイズゲートは迷宮というだけあり当然行き止まりや罠のようなものも設置されている。そう言ったものを避けつつ、何か『楽しめる』ものがないかとも探しては見るが。
「相変わらず堅物なお坊さんね」
ここの主である天海大僧正の性格か、残念ながらタシェ的な『お楽しみ』要素は見つからなかった。
唯一見つかったものと言えば。
「その者、まさに身に闇を宿せしもの」
「上人の慈眼が救うは最早羅刹のみにあらず。内なる闇が如何なものであれそれを抑えるに及びませぬ」
突破ルート上にいるラクヨウテンニョたち。幾度かの雑魚戦を潜り抜けねばブレイズゲートを突破できぬのは当然のこととして、タシェは縹とともに戦闘態勢に入る。
二人の目の前で、ラクヨウテンニョが薄絹を翻し裸体を曝す。しかしそれに紛れ彼女たちの髪が蠢き、無数の鉄糸のようになって二人へ襲い掛かった。
「なんの!」
縹は薙刀を構え、それを切り落とそうとする。だがタシェは彼女の尻に手を当て、思い切り突き飛ばした。
「だめ、避けなさい」
思わずバランスを崩し倒れる縹。彼女がいた場所にゆるりと髪が落ちるが、それは足元の石を何の抵抗もなくすり抜けるかのように切り裂いた。
「あれは触れたものを全て切り裂く。受け止めるのは悪手よ」
材質の硬さや実力差など関係ない。この世界で敵が振るうのが最早『ダークネスのサイキック』ではなく『オブリビオンのユーベルコード』だと知っているタシェは、その技が触れさえすればそれだけで何でも切り裂けることを分かっていた。
そのまま周囲を包囲し、一気に髪を伸ばすラクヨウテンニョたち。ユーベルコードと技の特性を活かした戦法を取る知恵もまた、彼女らがオブリビオンと化した故のものか。
しかし、その埒外の力を持ったはダークネスだけではない。
「過程は数多、結果はひとつ。そう、私にとって、それが一番好都合な真実なのよ」
タシェは【一の無限】を発動。その目にこの状況からこれから起こる無限の可能性が全て映る。自分はどう動くか。縹はどうするか。敵の攻撃はかわせるか。中には直撃を受け両断される最悪な可能性も見える。それらに臆さず、最良の選択を一瞬のうちに探し、タシェはそれを見極める。
「……そのまま這って。格好は気にしないで」
タシェは身をかわしながら縹に指示を出す。縹が困惑しながらも突き倒された体制のまま前に這いずると、入れ替わるようにタシェはそこに出た。
「あなた達も素敵だけど……ごめんなさいね」
縹を狙っていた斬撃を乗り越え、その攻撃手にエネルギー弾を至近距離から当てる。そのタシェを迎え撃とうと髪を伸ばそうとしているラクヨウテンニョ、それがどの個体なのか見もせずに分かっているかのように、そちらにエネルギー弾を放って吹き飛ばした。
そのまま相手の攻撃は全て分かっているとばかりに敵の攻撃を避け、攻撃を返していくタシェ。さらに縹にもその間に的確に指示を出し、
「体を右に返してこっちを向いて。そのまま足を広げて、膝を立てる」
その指示のままに縹が動くと、転がった場所を髪が通り過ぎ、さらに開いた足の間に何本も髪が尽き立ち、膝を曲げて引っ込んだ爪先すれすれを薙いでいく。
最良の結果を引けるのはタシェだけではない。その言葉に従えば、教えられた者もまた最良の内にいられるのだ。
その動きの中で、タシェの後ろを取った最後のラクヨウテンニョが髪を横になぎ払う。それがタシェの首を刎ねようとした瞬間、その小さく豊満な体が前に飛んだ。
「今よ……切り上げて!」
髪がタシェの僅か上を通り過ぎた瞬間、その体の横から薙刀が鋭く振り上げられた。それは髪のない場所をうなるように通り抜け、ラクヨウテンニョの体を切り裂いた。
消滅していくラクヨウテンニョを背に、タシェは縹に覆い被さるような格好でその胸に飛び込む。タシェの指示通りに動いた結果仰向けから上体をやや起こし股を開いた格好になっていた縹は、綺麗にその体でタシェを受け止めた。
「なんと、見事な……」
最後に自分に受け止めさせるところまで予定していたタシェの指示に縹は感嘆の声を漏らすが、タシェは妖しく笑いながら自分の顔がある場所……縹の大きな胸に鎧越しに触れる。
「それにしても……ふふ、大きくて素敵よね」
「ふえ!?」
思わぬ言葉に奇声をあげる縹。
「あああああ貴女様とて御歳に合わぬいえ大きいからと何か良きわけでもなく」
「確かに戦うには邪魔そうだけど、私は好きよ? あなたのそれ」
「ひゃっ!?」
言いながらタシェは鎧の中心部分を指ではじき、縹がまた上ずった声を上げる。魔法使いのダークネスはソロモンの悪魔のはずだが、まるで淫魔のように縹をからかうタシェ。相手の反応が楽しいのか、拒絶されないギリギリを見極めた悪戯で彼女との『交流』を図る。
押し倒すような格好で縹の冷たくも豊満な体を至近で褒め、遊ぶタシェ。無数にある『勝利の結果』からこの状況に至る過程をあえて選んだのかは、彼女自身にしか分からぬ話であった。
大成功
🔵🔵🔵
アリサ・エヴェリーナ
アドリブ・やりすぎOK
NGなし
縹と姧蛇羅と共に進む。
「ええ、因縁の相手が打ちのめされたとか」
機嫌がいい姧蛇羅の事を聞かれるとそう答える。
「無用な戦闘は避けるべきであろう。ならば敵に賛同する素振りを見せねば」
姧蛇羅の提案を受けてそれでいくことに。
「んっ、なんだか熱いような」
火照りを感じ息も荒くなり始める。
それと同時に胸に苦しみを感じ始める。
困惑していると姧蛇羅が『肉体改造』と媚薬作用のある魔力を放っていると平然と話す。
「時期的に仕方あるまい」
嘘か真か不明だが進むしかないと歩き続ける。
段々胸が膨らみ窮屈になり、モジモジし始める。
それでも襲いかかる敵には『武覇紅刃』を用いて迎撃する。
「上玉であるが通させてもらう」
姧蛇羅の【霊的防護】と【結界術】を受けつつ【集中】して【剣舞】や【二回攻撃】を繰り出す。
動く度に胸が揺れ擦れてしまう。
【叩き割り】を繰り出したりする。
【幻影使い】を用いて攻撃を誘ったりして縹と共撃を行ったりする。
撃退後は【慰め】で抑えようと試みる。
乾・真守
レヴァリスと行動
アドリブ・やりすぎOK
可能であれば縹は別の猟兵と行動しているのでいない
話を聞きながら絵を描き相手に見せる。
「赤はないが」
相手はレヴァリス、絵を依頼されて行動を共にする。
内容はあるオブリビオンの絵を描くことで限りなく絵に出来てはいたが塗料はない。
プロとしてのプライド故に未完の物を渡すことは出来ないと。
「お二人さん、悪いけど歓迎の挨拶が来てるぜ」
カカセオの言葉に『ストランド』でロープダーツを形成し応戦。
ダーツを飛ばしたり鞭のように振るう【連続コンボ】を繰り出したり『メメントモリ』による【牽制攻撃】による援護を行う。
【受け流し】からの【カウンター】で反撃しながらあることを考える。
「あったな、赤色」
インク等の代わりに見つけたのは血であった。
「最も邪悪な絵と言うべきか」
描き終えたものは黒い翼のオラトリオに似た存在。
黒地に黒みがかった赤色のドレスとヴェールに笑みを浮かべている。
その笑みは不安や言いようもない負の感情を与え、眼に映るのは絶望への狂喜。
一点の曇りもない純粋な邪悪だった。
レヴァリス・ハインライン
乾と行動
アドリブ・やりすぎOK
銀色だが途中から蒼色に変わっている少しウェーブがかかった長髪に白銀のコート姿で人間の姿をしている。
「ああ、こんな感じだ」
真守の描く絵を見て修正を指示していた。
「いや、色は気にしてない。これでいい」
真守も未完の物は渡せないと言い合いになるが襲来により戦闘に入る。
『童龍貫』を抜き、対峙する。
【見切り】や【受け流し】で避けながら【居合】の要領でUCを繰り出す。
グラマーな体躯を指摘されるが「関係ない」と一蹴して斬り捨てる。
『龍閃刀』に持ち替えて【武器に魔法を纏う】と雷を帯びさせて【剣舞】の要領で攻撃を繰り出す。
「雷炎刃!」
纏っていた雷に炎を追加させ【乱れ撃ち】を繰り出す。
回転しながら飛び上がり【重量攻撃】と【範囲攻撃】を繰り出す。
「その執念、恐れ入るよ」
絵を見て唸る。
「ここまでとは。リアリティを重視していると聞いていたが」
脳裏に浮かぶ姿と変わらない宿敵が描かれていた。
「……だがこの姿の保証はない」
読心、そして擬態能力を持つ相手と話しながら先へと進む。
ブレイズゲート探索中の武者搗色・縹はかつて己が宿す鬼を無理矢理強化され、それに乗っ取られたことがあった。
その時彼女を助け事件を解決したのが猟兵だが、その場に赴いた猟兵当人もまたこのブレイズゲートに来ていた。
アリサ・エヴェリーナ(自称駆け出しサマナー・f41926)もその一人であり、彼女は早々に縹を見つけ彼女と共にブレイズゲートを進んでいた。
「此度もお手を煩わせて申し訳ございませぬ。摩利支菩薩様や他の方々にも……」
かつて自分を助けた相手の顔を覚えている縹はアリサに一礼し、彼女と共に進む。人の命を捨て『仏』となった縹
「しかし、そちらの方……以前よりもお心が上向いているような」
「ええ、因縁の相手が打ちのめされたとか」
アリサの召喚した蛇巫女姧蛇羅、以前は妙に不機嫌な様子だった彼女が機嫌がいい事を聞かれ、アリサはそう答える。
「無用な戦闘は避けるべきであろう。ならば敵に賛同する素振りを見せねば」
姧蛇羅の提案を受けてそれでいくことにするアリサ。
「敵に、ですか……わたくしはそれは少々……」
元々潔癖の気があり真面目過ぎる性格の縹。嘘が苦手ということもあり、あまりその作戦には乗り気ではないようだ。
一方アリサも、何か様子がおかしい。
「んっ、なんだか熱いような」
火照りを感じ息も荒くなり始め、それと同時に胸に苦しみを感じ始める。
困惑していると姧蛇羅が『肉体改造』と媚薬作用のある魔力を放っていると平然と告げた。
「あの……何かご不調が……」
縹が心配そうに聞いてくる。体が既に死んでいるからか意図的に外しているのか彼女には効果がないようだが、それ故に事実を話すこともできない。
「時期的に仕方あるまい」
嘘か真か不明だが、進むしかないとアリサは歩き続ける。
「……そう言えば」
段々胸が膨らみ窮屈になり、モジモジし始めるアリサに気づかないままにふと縹が声を上げた。
「麗那様やその主様は……」
「さて、な」
アリサと共に彼女を救った者たちについて問う縹に、姧蛇羅は何も答えなかった。
一方その頃。縹が所在を気にした男は同じブレイズゲートの中にいた。
その男、乾・真守(奇妙な漫画家・f40751)は話を聞きながら絵を描き同行者に見せていた。
「ああ、こんな感じだ」
それを見た依頼者、銀色だが途中から蒼色に変わっている少しウェーブがかかった長髪に白銀のコート姿の女。レヴァリス・ハインライン(ウォーロード・f45851)はその絵が対象の形を捉えていることを確認し、細部の相違だけを修正するよう告げる。
「赤はないが」
その内容はあるオブリビオンの絵を描くことで、限りなく絵に出来てはいたが塗料がなく線画のまま。プロとしてのプライド故に未完の物を渡すことは出来ないと告げるが、レヴァリスは首を横に振った。
「いや、色は気にしてない。これでいい」
これで完成としていいとは言うが、真守はそれでは納得しない。写実を依頼されている以上色まで忠実に再現せねばと、絵を渡そうとはしなかった。
ブレイズゲートの中で言い合う二人。その二人のやり取りを、真守が【神魔召喚】で呼び出していたカカセオが遮った。
「お二人さん、悪いけど歓迎の挨拶が来てるぜ」
その声に従い暗闇を見ると、そこには薄絹纏った裸の女たちが。
「迷い人か、救いを求めて来たか」
「どちらでもよし。天海上人の慈眼は遍くをお救いになる」
ラクヨウテンニョの群れが、いつの間にか一行を取り囲んでいた。
真守は『ストランド』でロープダーツを形成し、それをラクヨウテンニョに投げつける。さらにレヴァリスは『童龍貫』を抜いて応戦するが、ラクヨウテンニョは髪をざわめかせて伸ばしそれを迎え撃つ。
「はて、何ゆえ今日は斯様に|肉《しし》厚きものばかり来たるや」
縹や先に入って来た猟兵の情報が共有されているのか、レヴァリスを見てラクヨウテンニョがそう言う。
「関係ない」
そこまでは自分の知った話ではないと切り捨てるレヴァリス。だが仲間が倒れても一切怯むことなく、ラクヨウテンニョたちは長い黒髪を伸ばしてきた。
真守とレヴァリスは武器を当てそれを受け流そうとする。だが、カカセオが肩をすくめて首を横に振った。
「分の悪い賭けはやめときな。負けた時にかっこ悪いぜ」
その言葉に、二人は受けるのをやめて髪を避ける。外れた髪が地を撫でるが、そこはバターをこそいだかのように綺麗に削り取られていた。
「何でも切るか」
「だが、技量で切ってるわけじゃない」
ユーベルコードの乗った髪は触れたもの全てを切断する。だが、それは決してラクヨウテンニョの武器術が優れているからというわけではない。真守はロープとダーツを組み合わせた連続コンボを叩き込み、ラクヨウテンニョを滅していく。
「なら、こちらだ」
レヴァリスも武器を『龍閃刀』に持ち変える。そこに雷の魔力を帯びさせ、暗い周囲を昼の如く明るくしながらラクヨウテンニョへと切りかかった。
「雷炎刃!」
纏った雷にさらに炎を上乗せした【絶閃】の乱れ打ち。次々とラクヨウテンニョを切り裂いて、最後にそれを踏み台にするように飛び上がった。
「上ならば……」
狙われているラクヨウテンニョが髪を上に向かって伸ばし、空中のレヴァリスを捉えようとする。だが、その身を真守のロープが牽制するように打ち、相手の反応を僅かに鈍らせた。
その瞬間を捉え、重量の乗せられた一撃がラクヨウテンニョを叩き割った。
その消えた場所を見て真守が呟く。
「あったな、赤色」
インク等の代わりに見つけたのは血。それは敵のものか、交戦中にこちらが流したものか。
「そりゃよかった。ダンジョン探索にお宝は付き物だ」
カカセオが馬鹿にしたように言うが、実は大正解。ブレイズゲートでダークネスを倒した時には一定確率でそこ由来の殲術兵器が手に入り、それが灼滅者の戦力増強手段の一つとなっていたのだ。
「だが、少しレベルが低い」
一方でその質もピンキリ。実用に足るレベルのものを入手するには相応に苦労が必要なのだ。
「|試行回数《ガチャ》には困らないだろう。どうも敵を倒さず進んでいる奴がいるようだ」
目的地には通じないだろう場所にはまだ濃い敵の気配。真守はかつての灼滅者がそうしたように、望む者を得るためあえて脇道へと入っていった。
そしてまた場所は変わり、ブレイズゲートの半ばより先。
「通してくれ、と言っても……」
「許しなくここまでやって来た。救いを阻む者に慈眼は垂れられぬ」
最後の道と言わんばかりの長い通路。そこにいたラクヨウテンニョたちは他と違い来訪者への敵意を露にしていた。
恐らく門番の役を担っているのだろう彼女たち。交戦は避けられないところだろうが、それでいい。元より敵を倒せと言われているのにそれを避けようとするのは猟兵として最大級の禁忌。それを犯さず道を通れるのだから願ったりだ。
「上玉であるが通させてもらう」
そう言いながら姧蛇羅が作るのは【霊的防護】と【結界術】で張る非物理の結界。ラクヨウテンニョの伸びる髪を魔術的に抑え込むことで物理的な切断を阻み、その隙に『武覇紅刃』を構えて躍りかかる。
何とか意識を集中させ、ラクヨウテンニョの向こうを張るように剣舞を踊るアリサ。一動作の間に二度切りつけ、隙を曝した相手には大上段から相手の頭を叩き割るかのような力のこもった一撃。
体に異常を抱えながらこうも戦えるのはオーバーロードの賜物か。
しかし、相手も特別な役目を負っている分攻撃は激しい。一人で抗し切れるか、と思ったところで、隣にいる縹が目に入った。
「そうか、なら……」
胸を抑えながら、自身に被せるように幻影を作る。そして伸びた髪が自身を切り裂く瞬間、そこから抜けるように動いて幻影だけを切らせた。
「今こそ!」
「はい!」
そしてそこに重ねるように、縹が薙刀を振るう。髪を幻影に向けて伸ばし無防備となったラクヨウテンニョの体を切り裂き、その豊満な体を消滅させた。
「それが、本来の貴女……」
かつては鬼に囚われ、心の戦いをするのみだった彼女。その武者としての姿を見られたことを喜ぶも、アリサはその場に蹲る。
「如何召されましたか? 宜しければわたくしが」
「いや、それはまずいので……」
即身仏である縹は【極楽の香気】による完全治癒ができるが、それは代償として相手を理性無き獣と変える。この状態で理性を失くしてしまえばどうなるかは明らかであり、それだけは絶対に避けたかった。
「やって貰えばよかろう。この迷宮で楽しんでいるのはお前だけではない」
この純粋な乙女武者の目を盗んで如何に己を慰めるか。そんなアリサの内心を見透かしたかの如く姧蛇羅はいやらしく笑う。そこより井戸に近い場所では。
「その執念、恐れ入るよ」
レヴァリスが絵を見て唸る。
「ここまでとは。リアリティを重視していると聞いていたが」
そこには彼女が脳裏に浮かぶ姿と変わらない宿敵が描かれていた。
「最も邪悪な絵と言うべきか」
オーバーロードした二人が脇道のラクヨウテンニョを滅ぼしそこで真守が描き終えた絵。黒い翼のオラトリオに似た存在。黒地に黒みがかった赤色のドレスとヴェールに笑みを浮かべている。その赤は、選ばれし上質の画材でなければ出せない色をしていた。
そしてその笑みは不安や言いようもない負の感情を与え、眼に映るのは絶望への狂喜。一点の曇りもない純粋な邪悪だった。
「……だがこの姿の保証はない」
絵姿は完璧。だが、現実の方が偽る可能性がある。読心、そして擬態能力を持つ相手と話しながら、レヴァリスは先へと進む。
「そうだな。ゴール前だけは開いてると思うぜ」
何かを知っている風に言うカカセオ。分かって言っているのだろう、恐らくそれはゴールではなくただのチェックポイントにすぎず、真のゴールがどこにあるかは行くまで見通せない。
それが運命、それがブレイズゲート。その迷宮を、猟兵たちはただ進むのであった。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
第2章 冒険
『狂信者の集まりへの潜入』
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POW : 信者の正体を見破る
SPD : 狂気に侵されたフリをして同調する
WIZ : まだ話が通じる信者を探し出す
👑7
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種別『冒険』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
ラクヨウテンニョが蔓延る迷宮を抜け、猟兵たちは広い空洞にたどり着いた。
そこは伽藍と呼ばれる、仏教様式の極めて広大な大部屋。その部屋の中に、無数の人影がひしめいていた。
否、それを人と称するのは適当ではないだろう。そこにいる者たちは、皆かつてのこの世界の支配者、ダークネスであった。
多いのは力強き体躯に角を生やした神薙使いの|闇堕ち《ダークネス》、羅刹。このブレイズゲートの奥に座す者が組織していた慈眼衆はまさにその羅刹の一派閥であった故当然だが、今やここにいるのはそれだけではない。
|トランプのマークを刻んだもの《シャドウ》、|肌を曝し蛇や蝙蝠の要素を持つもの《淫魔》、|体の何割かを水晶に置換させたもの《ノーライフキング》、|炎に包まれた四足獣《イフリート》……その他あらゆるダークネスが、それぞれの形で奥に向かって祈りを捧げていた。
「天海様、私はどう生きればいいのかもう分かりません……」
「お導きを、天海様……」
かつては世界の支配者であったダークネスも、今や姿を隠して生きざるを得ない時代の敗者。人に害をなさなければ受け入れる体制は人間側にもある程度整ってはいるが、素直にそれに順応できる者ばかりでは当然ない。そう言った者にとって、敗者を集め組織される慈眼衆は救いの神、もとい仏と呼べるものだろう。
「人間に怯えるなんてもうまっぴらだ……」
「殺してぇよぉ……天海様よぉ……」
一方ダークネスであった時の快楽を忘れられず、その時代の再来を望むものもいる。慈眼衆がただの慈善団体などでなく『軍勢』である以上、そう言った者たちであっても天海は区別なく信徒として受け入れている。
恐らく彼らが祈る先に目指す天海大僧正はいるのだろう。このダークネスたちの大集団を抜ければ、そこにたどり着くことができるはずだ。
しかし、ダークネスだから全て倒せばよいという時代はもう過ぎた。ここにいる者たちの大部分は時代の変化に翻弄される力なき一般人であり、無差別に蹴散らすなど決してしてはならない。話の通じそうな相手を見つけ対話や交渉を行い、慈眼衆からの離反を促したり道を教えて貰わなければならない。
無論、捨て置けば人や無害なダークネスを害するようなものであればその限りではないだろう。あるいは目指すは天海大僧正一人として、彼らを刺激せぬよう溶け込みつつ道を探して抜けていくのもいい。
誰に、どのような方法で道を開けてもらうか。己の道を見つけ出せ。
夢ヶ枝・るこる
■方針
・アド/絡◎
■行動
事情も様々でしょうが、大変そうですぅ。
『FLS』で全『祭器』を召喚後【綰閒】を発動し収納、全能力を身体機能化しまして。
『FPS』で情報を集め、縹さんに劣らない様な体型の方(推定『淫魔』/可能なら集団)を探しますねぇ。
縹さんや彼女達の様な極端な体型ですと、人々の間に混ざっても「奇異の視線」や「様々なサイズ面での問題」等の理由で馴染み辛い面が有るでしょうから、該当者とお話しした上で他の『使徒』の写真や映像等も見せ、「私達の様な体型でも暮らし易い場所が有る」と『女神様の教団』に勧誘すると共に道を尋ねますぅ。
縹さんも「近い体型の方複数+『使徒』の映像」で、多少納得頂けましたら?
ブレイズゲート奥にあった伽藍。そこには天海大僧正の思想に同調した慈眼衆信者たちが無数に集まっていた。
どれほどの数がいるのか一目には測れないほどの広さと人数。それらは全て、生きる道に迷ったダークネスであった。
この人数全てがそれぞれに悩みを抱え、救済を求めて天海大僧正に縋っている。サイキックハーツ大戦とはそれほどまでの時代の激変だったということだろう。
「事情も様々でしょうが、大変そうですぅ」
夢ヶ枝・るこる(豊饒の使徒・夢・f10980)が辺りを見回すが、その存在感ある姿に注目する者は誰もいない。
「何という集中、まさに一心不乱。よほど救いを求めているのでしょう」
共に伽藍に入った坂東武者、搗色・縹が圧倒されたように言う。彼女の言う通り、ダークネスたちは自分の祈りで精一杯で周囲で何が起ころうが気づかない、あるいは気にしている余裕などない状況だろう。
事実、るこるがUC【豊乳女神の加護・綰閒】を発動、そのまま収納した祭器を使って情報収集をしていてもそれに反応する者は誰もいなかった。
しかしそれでも自分たちが直接声をかけられれば話は別。るこるは道を塞ぐダークネスたちの中から、『話』がしやすそうなものを探し出し声をかけた。
「少し、失礼しますぅ」
「……何か?」
祈祷を止められ少し冷たい声で振り返ったのは、肌も露な衣装を着た豊満な女性。その服装は蛇の鱗や角のようなパーツで局部だけを隠した極端に高露出なもの。一方で足や腕、首元などにはいくつもアクセサリを付けており、露出を下げないまま見た目の豪華さだけを上げている。
過剰に扇情的なその姿は、恐らくサウンドソルジャーのダークネスである『淫魔』だろう。
また周囲には同じように高露出な格好をした淫魔と思しきダークネスたちが群れ集っている。服装はやはり下着やマイクロビキニなど場にそぐわないものも含めた扇情的なもので、そして相当に豊満なものばかりだ。
「お姉様、どうしました?」
「こいつ誰? お姉様に何する気!」
「気にしないで、下がっていなさい」
そのあまりの姿に縹が固まっているが、そんな彼女をあえて前に出しつつるこるは話を切り出す。
「不躾なことをお伺いしますが、もしや体形によって生き辛さを感じていらっしゃるのでは?」
淫魔は豊満かつそれを曝す姿を好む者も多いが、その淫魔はその中でもかなり極端な体な方だとるこるは察する。先に戦ったラクヨウテンニョも一般的には十分巨乳、爆乳と言っていいサイズだったが、目の前の淫魔はそれを遥かに凌駕する……ちょうど縹と同じ程度の豊満さの体を持っていた。
「……だったら何? あなただけには言われたくないんだけど」
確かに、るこるの豊満さは彼女たちすら軽く凌駕するもの。だがだからこそ言えることがあると、るこるは話を続ける。
「周囲からの奇異の視線や、様々なサイズ面での問題があるのは私も分かります。その解決法を一つご提案させていただきたいと思いましてぇ」
そう言ってるこるが見せるのは、自身が属する『教団』に属する仲間たちの姿。それはいずれも高露出で豊満な女性ばかり、中には一部のサイズはるこる以上の者もいる。
「こ、これは……随分変わった絵師の方が描かれたようで……」
写真など知らない縹がやや混乱しながらそれを見ているが、一方現代技術を知っているはずの淫魔たちも同じく困惑気味な表情。
「……一応聞くけど、CGとかじゃないわよね?」
「最近のAI技術は凄いって言いますお姉様!」
「現実はまだ弄れないでしょ、流石に……」
普通に考えればまずそれを疑うだろうその映像。だが何よりの証拠として、るこるの体が現実に彼女たちの目の前にあるのだ。これ以上何を疑えと言う話か。
「もう少し具体案が欲しいのでしたら、例えば私が過去来ていた服や、仲間の人達と色々用立てた映像も」
切り替えて見せるのは、別世界で用立てたチャイナドレスや水着、下着などを付けた映像。そしてその格好で楽しく食事や遊び事をする姿も続けて見せる。
「私達の様な体型でも暮らし易い場所が有る、ということを知っていただけましたら。もしよろしければ『女神様の教団』へご案内いたします」
自身の属する教団は豊満であることを是とし、また体形による差別は一切許さない。
「……そこって、戦うことはあるの?」
「ええ。ですがもちろん望まないならそう言うことはありません」
るこるが最高レベルの猟兵であるように、戦うとなれば最前線で活躍もできる。だが同時に裏方仕事もいくつもあり、戦いとは無縁に生きることもできるのだ。
「……この子たちは戦場に出さないで。弱いのよ、皆」
強いダークネスは皆武蔵坂学園と戦って灼滅され、今はオブリビオンと化した。そうならずに今生きている彼女たちは、つまりそういうことなのだろう。そして慈眼衆は、今はそうでなくてもいつかは勢力拡大の戦を始めるつもりではいるはず。
言外にいざとなれば自分が盾になるというその淫魔を、縹はじっと見ている。あるいは、村を守るため一人この井戸に入ってきた自分と何か重ねているのかもしれない。
淫魔はかつてよりダークネスの中でも弱く、どこか別勢力や時には人間にも取り入ることで生きてきた種族。寄親を変えることに躊躇いはない。
彼女がついて来てくれるというその意思を受け取ったるこるは、まずは天海大僧正への道を開けて安全なところに仲間たちと避難しているよう頼む。あとは依頼の外で仲間に迎えを頼むか、事件解決後のブレイズゲート消滅に合わせ自分で連れていくかすればいい。
「縹さんも落ち着いていただけましたか?」
「は、はい……天下は広うございます……」
近い体型の者複数+『使徒』の映像で、多少納得してくれればと思ったるこる。どうやら|人外級ギリギリの《縹のサイズを基準に選んだ》淫魔を納得させたその映像は、彼女にも効果があったようだ。
そうして豊満な軍団が退いたことでできた広い道を、るこるは縹とともに進む。彼女たちが安心するため、使徒の『力』を振るう場所を目指して。
大成功
🔵🔵🔵
レヴァリス・ハインライン
乾、アリサと行動
アドリブ・やりすぎOK
「天海に用がある」
グラマーな体躯にミニスカにヘソ出しタンクトップ、先端で纏められた長髪が特徴のアンブレイカブルの女に声をかける。
勝てればという話になり身構えるがノースリーブのハイネックシャツと紫紺の服を身に纏い金髪のアンブレイカブルの男が片方の大剣を振るい不意打ちを受けるが防ぐ。
「上等」
片方を格闘、もう片方を武器で対処。
『龍閃刀』に【武器に魔法を纏う】と振るい、【属性攻撃】で無力化を図る。
そのついでに宿敵に関して聞いてもみる。
「好きにすればいい。拒みはしない」
動向すると言われてそう返す。
アリサ・エヴェリーナ
乾、レヴァリスと行動
アドリブ、やりすぎOK
姧蛇羅は下半身が蛇のグラマーな淫魔達に声をかける。
「救いを求める相手を間違えておるのでは?」
天海に祈るより神に祈るのがよいと語る。
「地に堕ち、血肉魂共に混ざり合えども変わらぬ」
信仰を失った神と憎悪から邪悪に転じた力ある巫女が合わさり誕生した邪神である姧蛇羅が手を差しのべる。
「傀儡にされる姿を見るのは耐え難い。約束しよう」
その声は他の淫魔達にも聞こえるようしていた。
大きくなったアリサの胸を触り、揉んだりして戯れを見せながら誘う。
「主らの望みも叶うやも知れぬぞ?」
戦わずに済む場所を用意すると。
乾・真守
アリサ、レヴァリスと行動
アドリブ、やりすぎOK
天海への道を二人に任せ、縹の頼まれ、修二を呼び出す。
「ああ、帰ったよ。元の世界に」
憑いていた存在が離れ元に戻れた麗那は普通の女子に戻り帰還させたと話す。
「帰れた事を喜ぶべきでは?曾孫が」
「やはりな。違和感を感じていたが」
ご明察と言うのと同時に桜吹雪が覆い、姿を日本兵に変える。
「こいつは驚いた」
カカセオも見抜けなかった修二の正体。
「自分は神楽坂修司。麗那の曾祖父です」
異界に迷い混んだ曾孫を護る為に色々していたと話す。
「縹さん、あの子の選択を尊重してください。自分も」
戻ってきても受け入れると語る。
「微力ながらお力お貸しいたします」
ブレイズゲートの迷宮部分を抜けた伽藍には、多くのダークネスが集まっていた。一人が道を開けても少し経てば人が移動し、また道は塞がってしまう。
その道を塞ぐダークネスに、レヴァリス・ハインライン(ウォーロード・f45851)は堂々と声をかけた。
「天海に用がある」
声をかけられたのはグラマーな体躯にミニスカにヘソ出しタンクトップ、先端で纏められた長髪が特徴のアンブレイカブルの女。女は怪訝な表情でレヴァリスを見た。
「ここにいる者は皆そうよ。あなたも天海大僧正の薫陶を受けに来たんでしょ?」
天海は慈眼衆の長であり強力なダークネス。生き方を迷わずとも、その実力を慕ってくる者もまたいるのだろう。
「道があるなら案内しろ」
ただ傘下になりに来たのではない。直に会ってしたいことがあるのだと言えば、女は何かを考えるそぶりを見せた。
「まあ、いいけど……タダでってのも面白くないかな」
人に要求をするならば対価があって然るべき。だが、彼女が欲しいのは金などではない。
「私に勝てたら、通してあげる」
アンブレイカブルにとっては至上の武こそ値千金。それを望むと構える女に、レヴァリスは向き合う。
いざ試合開始、というところで、女はにやりと笑った。
「あ、ちょっと言い間違えた。正確には……」
その瞬間、レヴァリスの後ろから片刃の大剣が襲い掛かった。
「私達、ね」
その刃がレヴァリスを両断する。その瞬間、レヴァリスは自身も武器を振り上げた。
「上等」
ノースリーブのハイネックシャツと紫紺の服を身に纏い金髪のアンブレイカブルの男。アンブレイカブルは必ずしも格闘家ばかりとは限らず、武器術や様々な戦闘法を収めた者がいる。
『龍閃刀』に魔法を纏い、属性を宿した剣と拳による二対一での試合をレヴァリスはそこで繰り広げた。
一方同じとき、伽藍の別の場所ではアリサ・エヴェリーナ(自称駆け出しサマナー・f41926)の召喚した姧蛇羅は下半身が蛇のグラマーな淫魔達に声をかけていた。
「救いを求める相手を間違えておるのでは?」
天海に祈るより神に祈るのがよいと語るが、淫魔たちは否定的な表情。
「神なんて見たこともない。仏も知らないけど天海様は確かに力を持ってそこにいらっしゃる」
彼女らが求めるのは生き方に迷う自分たちを導いてくれる確かな力。それがあるなら神でも仏でもなんでもよく、その祈りはより切迫した即物的なものであった。
信仰を失った神と憎悪から邪悪に転じた力ある巫女が合わさり誕生した邪神である姧蛇羅が手を差しのべる。しかしやはり淫魔たちはそれを取ろうとはしない。
「傀儡にされる姿を見るのは耐え難い。約束しよう」
天海は慈眼衆に己の兵であることを求めている。姧蛇羅から見ればそれは甘言を弄して弱者を傀儡にしている様にしか見えないのだろう。
「野垂れ死ぬよりはましよ」
それでも淫魔たちは首を縦に振らない。それならと大きくなったアリサの胸を触り、揉んだりして戯れを見せながら誘う姧蛇羅。
「主らの望みも叶うやも知れぬぞ?」
戦わずに済む場所を用意すると説明。淫魔ならば淫蕩に耽るのが望みだろうと考え、それ漬けの日々が待っていると。
その様にそれぞれがダークネスと交渉している後ろで、乾・真守(奇妙な漫画家・f40751)は坂東武者搗色・縹と再会していた。
「お久しゅうございます。その節は誠にお世話になり……」
合掌して深く頭を下げる縹。真面目過ぎる性格であり極めて礼儀正しい彼女だが、珍しく何か自己主張をしたそうにしている。
「その、麗那様は……」
かつて鬼であった自分を救ってくれた女性。その所在を召喚主である真守に尋ねると、真守は彼女ではなくその相棒を召喚した。
「ああ、帰ったよ。元の世界に」
その男、修二は憑いていた存在が離れ元に戻れた麗那は普通の女子に戻り帰還させたと縹に告げた。
「そう、ですか……いえ、喜ばしいことでござります」
口ではそう言うが、どこか寂しそうにする縹。そしてその話を聞いて怪訝な顔をしたものは他にもいた。
「帰れた事を喜ぶべきでは? 曾孫が」
「やはりな。違和感を感じていたが」
カカセオと真守の言葉に、修二はご明察と言う。そしてそれと同時に桜吹雪が覆い、彼の姿を日本兵に変えた。
「こいつは驚いた」
カカセオも見抜けなかった修二の正体。
「自分は神楽坂修司。麗那の曾祖父です」
修二ではなく修司。異界に迷い混んだ曾孫を護る為に色々していたと、彼は縹に話す。
「縹さん、あの子の選択を尊重してください。自分も」
帰ったのはそれが本来の姿だから。だがそれを曲げて彼女が戻ってきても、自分は受け入れると語る。
「はい……」
そして縹も。二度と会えなくても、あるいは彼女が戦地に戻ってきても、それが己の遺志で選んだことであれば。
「微力ながらお力お貸しいたします」
曾孫と同じ笑顔で、修司は縹に微笑んだ。
その会話をしている間に、レヴァリスの方では決着がつく。元よりここの相手は倒すべき敵ではない。あくまで無力化での試合終了をもって、彼女はアンブレイカブルたちを抑え込んでいた。
「お見事!」
「まあ、いいんじゃないか」
二人のアンブレイカブルもレヴァリスを認めたように拳と剣を引いた。試合はここまでということで、レヴァリスは一枚の絵を二人に見せる。
「このような者を知らないか?」
それは真守が描いた宿敵の絵。二人はそれをしばし見るが、揃って首を横に振る。
「ちょっと、分からないかな」
「知らないな」
残念ながらそう簡単に見つかるものではないらしい。
「それじゃあ案内するけど……折角だから少し見学させて貰おうかな」
女の方は天海と猟兵の戦いに興味があるのだろう。男の方は興味なさげにしているが、引きずられる形で同行させられることになりそうだ。
「好きにすればいい。拒みはしない」
そう答え、レヴァリスは真守たちの方を見た。
「そういうわけだ、行くぞ」
アンブレイカブルに先導され、通れる道を行く一同。
その際に、修司はそっと縹の隣に立ってある方向への視界を遮る。そちら側では、埒が明かないと見た姧蛇羅がアリサ諸共淫魔を恥辱漬けにしていた。
体形はともかく性格は潔癖症気味の縹。仮にも恩人のそんな姿はあまり見せたくない。これが曾孫が『姉』を気取った少女へ添えるの彼の最初の微力であった。
そしてこの先にいる相手。それに尽くすのは微力では済まないと、この場の誰もが理解していた。
大成功
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タシュラフェル・メーベルナッハ
まあ今の世界、ダークネスには肩身狭いわよね。
寧ろ私が彼らの為に何とかしたい気はするけど、今はそれより、ね。
淫魔やシャドウの子達なら割と話は通じそうだけど、天海とは相性悪い気がするからあまりいなさそうなのよね。
だから狙いはアンブレイカブルや羅刹。
私が勝ったら天海の処へ案内なさい、と勝負を持ち掛けるわ。
私が使う技はUCで会得した艶武術。戦の技であり性の技。
これで勝負した相手をどんどん制圧していくわね。勿論不殺で。
再戦でも弟子入りでも、受け付けるのは後日。今は天海を倒すのが先。だから今日は帰りなさい。
とか言って離反と、ついでに当面の目的も与えてみるわ。
生きるに道が要るのはダークネスも同じ、よね?
かつて、世界の覇権はダークネスにあった。全ての技術や文明、社会や思想なども全てダークネスが作り上げ、自分に都合のいい時だけ奴隷である人間に下賜していた。
しかし、有史より続いたその栄華はこの10年の間で脆くも崩れ去った。
「まあ今の世界、ダークネスには肩身狭いわよね」
タシュラフェル・メーベルナッハ(夜闇の万華鏡・f43850)、タシェはその歴史の生き証人であり、逆転した世界で堕ちた王の生きにくさを思う。
「寧ろ私が彼らの為に何とかしたい気はするけど、今はそれより、ね」
ダークネスの世界を壊した張本人の一人として思う所は多々あるものの、今はこのブレイズゲートの奥へと進んでいかなければならない。
目指す天海大僧正は今いる伽藍の向こう。しかし、この伽藍にはダークネスたちがひしめいている。誰かしらに道を開けてもらわねばならないのだが、タシェが選ぶ相手と手段とは。
「淫魔やシャドウの子達なら割と話は通じそうだけど、天海とは相性悪い気がするからあまりいなさそうなのよね」
自身の嗜好とダークネスの特徴を合致させれば狙いたいのはその二種族。だが仏教徒かつ武断派の天海大僧正と、搦手を得意とするその種族はあまり相性は良いとは言い難そうに思う。特に淫魔は既に何人かの猟兵がそちらに接触し離脱させてしまったこともあり、この大人数の中からは探すのも一苦労となりそうだ。
翻って、天海大僧正の下に多数集っていそうな種族を考えれば。
「ちょっと、そこのあなた」
タシェが声をかけたのは、筋骨隆々の大柄な男。頭の角が示す通り、天海大僧正の同族であり旧慈眼衆では唯一の構成種族であった、羅刹である。
「まどろっこしいことは言わない。私が勝ったら天海の処へ案内なさい」
振り返って目が合った瞬間そう言ってきたタシェを、男は嘲りの目で見下ろす。
「じゃんけんか? それとも……」
相手が幼い子供だと思って適当にあしらおうとした男。だが、次の瞬間男の股間にタシェの手が当てられていた。
「はい、私の勝ち」
あっという間に急所を抑えた手の動きは、淫靡にやさしくも握り潰すために力強くも思える巧みなもの。それと同時に一瞬見えたタシェの『闇』に、羅刹の男は息をのむ。
「まさか、お前……」
|羅刹の強豪たち《刺青羅刹》を、ダークネスの世界を滅した者たち。今自分がここにいる理由を作った存在を感じた男は、大人しく道を開けた。
だが一人退いてもまだ次がいる。次にいたのは盛り上がった筋肉に隠さず曝された豊満な体の、一見すればただ逞しいだけの人間の女。だが、ここにいる以上それがただの人間であるはずがなかった。
その女にも、タシェは『勝負』を申し込む。
「いいだろう。お前如き倒せなければ、天海大僧正についていくことなどできまい」
一見すれば水着のようなリングコスチュームを纏ったその女は、武を至上とするダークネス『アンブレイカブル』。その女とタシェは試合を始めた。
「うっ、ぐ……くぅぅ……」
タシェは巧みに動きながら女の胸を弾き、尻を叩く。それは相手を嬲って遊んでいるようにも見えて、しかし捉え難い達人の動きでの翻弄。
「おぉ……あぁぁぁぁ……!」
程なくして女は全身を痙攣させ、果てて倒れた。全身から様々な体液を垂れ流しにし、女はタシェを見上げる。
「な、なに、を……」
「私が使う技はUCで会得した艶武術。戦の技であり性の技」
猟兵と共に世界に現れた埒外、サイキックをも超えるユーベルコード。それはただの戦闘補助にしかならなかった『技能』を必殺の域にまで高めもできるものであった。
その技で『昇天』させられたアンブレイカブルの女は、コスチュームを脱ぎ自らの体に手を這わせ続ける。
そのまま次の相手を見つけては、時に武で、時に性で相手を圧倒し自らの足元に伏させていくタシェ。
幼くも豊満な体が通った後に敗北と絶頂に倒れる肉体が倒れ並ぶ様は、そのまま彼女が歩いてきた道を表すかのようでもあった。
「ねぇ、お願い。もっと……」
様々な理由でタシェに縋りつく者たちも出るが、タシェはそれらを一瞥し告げる。
「再戦でも弟子入りでも、受け付けるのは後日。今は天海を倒すのが先。だから今日は帰りなさい」
自分に興味を持ったならば、この件が片付いた後でいくらでも『相手』をしてやる。だからその『未来』を目的に『今』をまずは生きろと、慈眼衆からの離反と当面の目的を与えるタシェ。
「生きるに道が要るのはダークネスも同じ、よね?」
ダークネスの種族それぞれが大組織のような状態で、それに乗っていればよかった時代は終わった。だからこそ彼らは迷い、天海大僧正の慈眼に縋ったのだろう。
刹那の快楽でもよい。あるいはあの武者の娘のように何かを背負うのでもいい。自分の艶武から道を見いだせたなら。そして願わくばそれが自分の|道《カラダ》と重ねられたら。
それを思い、タシェは先に続く『道』を拓いていくのであった。
大成功
🔵🔵🔵
第3章 ボス戦
『天海大僧正』
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POW : 天海経
近接範囲内の全員を【移動不能】にする【法力を帯びた詠唱】を放ち、命中した敵にダメージと麻痺、味方に隠密効果を与える。
SPD : 五色不動尊
【江戸東京】の龍脈から1〜12体の【不動尊の姿をした土地に眠る『畏れ』】を召喚し、【仏像が持つような法具】で戦わせる。[仏像が持つような法具]の威力は召喚数分の1に減衰する。
WIZ : 本能寺炎上
【炎の法力】を放ち、命中した敵を【燃え盛る炎】に包み継続ダメージを与える。自身が【とった行動が敵の想定に反】していると威力アップ。
イラスト:フジオカ アデリ
👑11
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種別『ボス戦』のルール
記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※このボスの宿敵主は
「💠山田・二十五郎」です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
ダークネス犇めく伽藍の先にあったのは、奥の院あるいは仏殿と言うべき厳かな場所。そこに一人の老僧が座していた。
その体は二メートルはあろうかという筋骨逞しい巨体と、それをもってしてもアンバランスになるほどに長く大きい右の腕と拳。そして袈裟から覗くその腕には大日如来の刺青が彫られており、また禿頭には四つの黒い角が突き出してきた。
「南無阿弥陀仏、何に迷うて我が慈眼を求めたか」
太く重い声で言うその男。その声はどっしりと重く、聞く者に圧倒的な威圧感と奇妙な安心感を同時に与えるかのような響きを持っていた。
その声に押されながらも、武者姿の少女が前に出る。
「ここに至るまでに聞きしお話より、天海大僧正とお見受けいたしました。わたくしは搗色・縹。我が村の井戸にこの不可思議な迷宮が現れ皆が水を取れず困っております。わたくしに迷いがあるならただそれのみ。どうかあの奇怪な白き炎を収めていただきたい」
ブレイズゲートが何なのかなど彼女は知る由もない。だがそれのせいで村の営みに支障が出ていると、彼女は天海に告げた。
天海は左手で自身の顎を撫でながら、縹を見下ろす。
「済まぬがそれは出来ぬ。我が慈眼には今や羅刹のみならず全てのダークネスが救いを求め縋っている。そして既にブレイズゲートは忌み地に非ず。オブリビオンが再起を図る新たな城となったのだ」
かつてはブレイズゲートはダークネスにとっても好ましいとは言えない場所であった。だが世界が変わったからか、あるいはダークネスがオブリビオンとなったからか、強大なダークネスが己を保ったままそこの主となり、野望を推し進めることもできるようになったのだ。
その縹を、天海は穏やかな顔のままで見る。
「ふむ。そなたもまた仏に仕える身。しかして闘争に身を置き不殺戒を破ることを躊躇わぬ」
仏教における戒めるべき行為の一つ。だがそれはダークネスやオブリビオン、そして坂東武者であるなら犯さぬ方が無理というべきなほどに日常にあるもの。
「白の王はどこまで考えていたのか、最早思い巡らすにも及ばぬ。だが彼奴や逆端に座す女狐などよりは、そなたのほうがよほど好ましい」
恐らくそれは偽りない言葉。だが、だからと言ってこのまま議論を重ねていけるわけではない。
「作麼生、浄土より還りたる仏二つ、慈しみを背負うて地の底にて会う。如何に」
「説破、底を抜いて獄にかえるのみ!」
骸の海から湧き出たオブリビオンと、命を捨て浄土より還った即身仏。互いに背負うもののため、片やブレイズゲートを必要とし片やそれを消したいのなら。この地の底からどちらかが底なしの地獄に落ちるより他はなし。
そしてその地獄への水先案内人となるのは、神も仏もひれ伏す|埒外《猟兵》に他ならぬ。その姿を縹の傍に見た天海大僧正は、巨大な手を握りそこに力を込めた。
ここがブレイズゲートの終点にしてボスステージだ。令和に広がったブレイズゲートを滅するため、『天海大僧正』を坂東武者とともに灼滅せよ!
タシュラフェル・メーベルナッハ
あなたとは第二次新宿防衛戦の後の|祝勝会《灌仏会》以来かしら。
あの頃のあなたなら、今在るダークネスの支えにもなれたかもだけど。
オブリビオンとして在る以上、討つのみよね。
縹、私も手伝うわ。彼を倒して、一緒に帰りましょ?
黒の増殖を発動、増やしたDieSchwarzを操り戦うわ。
天海が呼び出す『畏れ』は数と攻撃力が反比例するけど、それ以外の能力は変わらないと予想。
だから、数が少ないなら剣や槍や斧の形に変形させ集中攻撃で排除、多いなら網や縄型にして拘束や足止めでの無力化を狙うわ。
天海にもこれらの攻撃や拘束狙いで隙を誘い、縹に其処を突いてもらう連携で戦おうかと。勿論、私も隙を見て激しくいくわね。
天海大僧正率いる慈眼衆は羅刹の一大組織であり、当然のこととして人間、そして武蔵坂学園の敵であった。
しかしダークネス同士、羅刹同士でも勢力争いは活発であり、それに破れ劣勢となった慈眼衆はいくつかの条件を元に武蔵坂学園と同盟を結んだこともあった。
「あなたとは第二次新宿防衛戦の後の|祝勝会《灌仏会》以来かしら」
その時慈眼衆と灼滅者は大きな戦を共に戦い、そして共に勝利を祝うまでの関係にまでなっていた。タシュラフェル・メーベルナッハ(夜闇の万華鏡・f43850)その時天海大僧正が催した祝賀会に参加した時のことを思い、天海大僧正に語り掛ける。
「そうか……あれからもう10年が経つのか。必要に迫られ命脈を繋ぐためではあったが、思えばあれが我が|人間《じんかん》で最も穏やかなる時であったかもしれぬ」
それに対し、遠い目をして答える天海。上位のダークネスはオブリビオン化しても生前の記憶が確かな者も多い。彼もまた、その時の記憶がはっきりと残っているのかもしれない。
「あの頃のあなたなら、今在るダークネスの支えにもなれたかもだけど。オブリビオンとして在る以上、討つのみよね」
タシェはその時の語らいで『一般人を巻き込むような事件を起こさない限りは友好関係を維持できる』と彼に告げ、天海もそれに何度も深く頷いた。あるいは彼が命を落とさずダークネスのままであれば、猟兵が慈眼衆復興に手を貸す未来さえあったかもしれない。しかし今の彼はオブリビオン……世界の破壊を目的に書き換えられた存在。10年越しの約束さえ、反故にしなければいられない存在となってしまったのだ。
「覆水不返、破鏡不照。今更何を言っても仕方あるまい。あの時より闘い続ける灼滅者よ、いざ参られい」
静かに言って、天海は巨大な拳を握る。小さくも豊かである体さえ一握りできそうなそれに、タシェは同じく豊かな体を持つ仏と共に向き合った。
「縹、私も手伝うわ。彼を倒して、一緒に帰りましょ?」
「……はい!」
坂東武者搗色・縹。敗者の救済などという大それた目的など掲げず、ただ己の守るべきを守り、そしてそこへ帰るため。その為に遥か未来まで来た平安の武者とともに、タシェはダークネスの老僧に立ち向かう。
「さあ、存分に遊ぶとしましょうか?」
己の身より出る闇色の影、『DieSchwarz』。様々な武器の形をとるそれ自体を複製し、自身の周囲に闇と舞わせるタシェ。
「黒もまた守護の内なり。ノウマク・サマンダ・バザラ・ダンカン」
天海は巨大な手を顔の前に立て、真言を唱える。その声に呼ばれるように、五つの像が天海の前に現れた。
「これは、何と恐ろしい……!」
その姿を見て縹が声を震わせる。真言の通りに現れたのは、五体の不動明王であった。
「あら、随分とカラフルじゃない」
彼の右腕に掘られた大日如来の化身ともされるそれは、赤青白黒黄の五色不動尊。それぞれに剣や独鈷杵を構え、不動尊たちは一斉に二人へと襲い掛かった。
圧倒的な攻撃力が二人を攻め立てるが、タシェは周囲を舞う武器を鉤付きの網に変えて不動尊たちを絡めとるように振りまわす。特に長い武器を持つ者たちは引っかかった網で動きを制限され、近距離での有効打を与えられないでいた。
「今よ、やりなさい」
そこに縹に指示を出し、薙刀で切り込ませる。動きの鈍った不動尊たちは薙刀による攻撃をまともに受け、瞬く間に劣勢に追い込まれて行くのが見て取れた。
「やれ、これはたまらぬ。今の地に名を残すのは白黒のみ。なればそれを恃むより他なし」
天海が狼狽えることなく静かに祈る。すると絡めとられていた赤青黄の三つの不動尊が消え失せ、残る白黒の中へと溶け込むように一体化した。するとその二つは今まで囚われていたのが嘘のように、鉤を握り潰し網を引きちぎってしまった。
「網というのは難儀なもの。大きいものは破り小さきものはすり抜ける」
「そう。なら、こちらもこれでお相手するわ」
タシェもまた冷静に、千切れた網を形を変え別の武器に変じさせる。それは巨大な西洋剣や斧、槍など分かりやすい戦闘のための武器。
それらを操作して二体の不動尊と打ち合わせるタシェ。その激しい剣戟の後ろで、彼女の意識はまた別の事を考えていた。
「天海が呼び出す『畏れ』は数と攻撃力が反比例するけど、それ以外の能力は変わらないはず……」
何体に増えようと、耐久力は変わらない。即ち数が減った分一撃入れて形成をこちらに傾けることは容易くなるはず。
それを狙うかのように、タシェは相手の激しい攻撃も顧みず徹底した集中攻撃で不動尊を攻め立てた。
「只管打坐は悟りに至れど戦勝には導かず。我もまた」
天海が自ら拳を握り、不動尊に並んだ。その拳を一度叩きつけるだけで複数の武器が纏めて跳ね返され、彼の自力の高さを物語る。
「そう、これは叶わないわね」
残る武器を天海含めた三人に差し向けるタシェ。しかし天海一人の参戦でそれまでの優勢が嘘のように一気に武器が押し返されていく。
「直接命を取り合うことは終ぞなかった。それを喜ぶままでいられれば良かったが」
天海と灼滅者は軍勢としての小競り合いはあれど、直接対決したことはなかった。もしあの時そうなれば果たして結果はどうだったかと天海は言う。
しかし、タシェはそれでも妖艶な態度を崩さなかった。
「そうね。あの頃だったらどうだったかわからないわ。それでも、今は」
タシェはちらと下に散らばる叩き潰された武器を見る。
それを合図とするかのように、武器が再度拘束用のものに変じた。それはそのまま天海の足を絡めとり、バランスを崩させる。
「お二方の宿縁、わたくしには思うにも及びませぬ……ですが!」
それに合わせ、縹が大きく踏み込んだ。その手にあるのは薙刀ではなく巨大な木槌。
「大僧正、貴方様に倣い守り、救うべきもののために|破壊《破戒》いたしましょう!」
強烈な横殴りの一撃が天海を捉える。拘束された彼はその勢いを散らすことなくまともに受け、大きく体を折った。
「こんな可愛い娘二人に迫られてるのよ、折角だしもう一つ禁を破って見ない?」
そこに追撃として、自ら槍の一つを取り上から飛び掛かるタシェ。わざと中が見えるようにスカートを翻し、大きな胸で天海の顔に影を差しながらの一撃は、しかし確かにその体を刺し貫いた。
「大きな約定を既に違えているのだ。これ以上戒を犯しては破門も免れぬ……」
天海がその巨体をぐらりと揺らがせ、同時に不動尊も掻き消える。不殺の戒を破り、オブリビオンとなることで武蔵坂との取り決めも反故にした僧はその大きさに反するほどに心細くも見えた。
「ちなみに、貴女も……ね」
妖し気な視線をこっそり縹に送るタシェ。彼女が平安の時に無事帰れたあと『遊び』に行くのも良いかもしれないと、今や時さえ渡る猟兵となった灼滅者は思うのであった。
大成功
🔵🔵🔵
乾・真守
レヴァリス、アリサと行動
アドリブ、やりすぎOK
修司が鵺の魂を封じた黒漆の刀を抜き、霊符を取り出しカカセオと共に挑む。
そんな中、先端に刃の付いた十字型のブーメランが飛来して生き物のように動いては持ち主の元に戻る。
持ち主である麗那は格好が胸元や腹部を出した黒い革のチューブトップ、黒のジャケットにミニスカとオーバースカート、ブーツに変わり髪を纏め上げた格好になっていた。
どちらも大事で迷っていた所を力ある存在の手助けにより心を二つに分けて此方に来たと話す。
「色々聞いた。だから」
「わかった。これから巫術を教える」
修司が麗那に伝授すると伝える。
真守が倒れた後、霧より片刃の大剣と槍を持ち六本足の大型の白馬に跨がった大柄な黒騎士の姿をした存在、ヤヌスが現れる。
修司と目を合わせ、修司がゆっくり首を縦に振るのを見て返す様に首を縦に振る。
無言のまま剣を振り上げ駆ける。
邪魔になる不動尊を相手に修司と対処。
麗那はレヴァリスと【連携攻撃】を行う。
「盛者必衰!」
レヴァリスの技に合わせて滅多切りからの斬り上げを繰り出す
レヴァリス・ハインライン
乾、アリサと行動
アドリブ、やりすぎOK
案内してくれたアンブレイカブルに何のために闘うのか問われる。
「影響だな、目標としている人の」
誰かの為に闘うのも強さに繋がると言われた事も。
「神仏だろうと塞がるなら斬り捨てる」
『童龍貫』を抜き対峙。
「救いを騙る鬼にお似合いだ」
不動尊を見て一蹴、【ダッシュ】で距離を詰めつつ【魔力具現化】で剣を形成しそれを飛ばしながら【居合い】を連続して繰り出す。
攻撃が来たら【見切り】や【受け流し】からの【カウンター】を繰り出す。
(しかしなんだ、この感覚は)
魂を覗かれている感覚に困惑しつつ対処。
麗那と連携することになり名を聞いて知り合いを思い出すが胸にしまう。
「…なんでもない」
ヤヌスの後に麗那と共に連携を繰り出す。
「限界を超える」
【リミットブレイク】で霊力と魔力を解放する。
「斬撃に踊れ!」
霞の構えをとり、【剣舞】と【乱れ撃ち】を合わせた乱撃を繰り出しとどめに『龍閃刃』に切り替えて刺し貫き【一刀両断】する勢いで斬り上げる。
二人にどうするか問いかける。
アリサ・エヴェリーナ
乾、レヴァリスと行動
アドリブ、やりすぎOK
姧蛇羅以外に摩利支天、武葉槌を呼び出す。
「らしくないな」
カカセオから気を付けるよう言われた武葉槌が少し驚く。
何かが起きた時に真守を頼むと言われる。
「貴様がそう言うなら警戒しておこう」
姧蛇羅が【霊的防護】と【結界術】で防御を担当。
『戦神霊刃布』を用いた戦闘を行う。
「しかしこの戦場、何者かに観られている感じがしますね」
摩利支天も何者かの視線を感じつつ】矢弾の雨】や【幻影使い】を用いて戦う。
【受け流し】からの【カウンター】や【剣舞】を繰り出す。
【見切り】からの武葉槌と摩利支天の『連携攻撃』で更に攻める。
【ジャストガード】から【二回攻撃】を繰り出す。
「気配が強まっていますね」
「この張り詰めた緊張感、なにものか」
戦いの中、倒れた真守を保護して距離を取る。
「こちらも加わりましょう」
摩利支天が剣や弓で攻撃に加わり援護を行う
乾・真守(奇妙な漫画家・f40751)、レヴァリス・ハインライン(ウォーロード・f45851)アリサ・エヴェリーナ(自称駆け出しサマナー・f41926)の三人は、レヴァリスが拳を交えて交渉したアンブレイカブルに案内され天海大僧正への道を進んでいた。
「ところでさ、何で戦うの?」
案内しているアンブレイカブルの女がレヴァリスに問う。
「天海大僧正とか?」
「まあ、それもあるけど、もっと大きな話で」
その問いに、レヴァリスは少し考えてから答える。
「影響だな、目標としている人の」
誰かの為に闘うのも強さに繋がると言われた事を伝え、それが自分の戦う理由にもなっていると告げるレヴァリス。
アンブレイカブルは武に優れる者を尊敬する。その答えには納得できるものがあったのか、頷いてそれ以上は聞かずに彼女は案内を続けた。
それに導かれやって来た天海大僧正の座すブレイズゲート最奥部。既に一人の猟兵と一戦交えていたためか、天海大僧正は立ったまま猟兵たちを出迎えた。
「神仏だろうと塞がるなら斬り捨てる」
いかにも高僧然とした天海を前に、レヴァリスは武器『童龍貫』を抜く。
「仏に逢うては仏を殺せ。その先に己の救いがあるのならそれを迷わぬことを仏法は咎めない」
そしてそれに従うように、真守とアリサも次々と多数の者たちを召喚する。
「気を付けるんだな」
その中で真守の召喚したカカセオは、まずアリサの召喚した武葉槌に忠告を出す。
「らしくないな」
「お前のためじゃない。うちのサマナーのためだ」
元々素直にものを言わずひねくれた態度を取りがちな彼の言葉に武葉槌は驚いたようになる。
「貴様がそう言うなら警戒しておこう」
とはいえ、彼の本質は決して悪ではない。言うからにはそれなりの理由があるのだろうと武葉槌はそれを気に留めておくことにし、同時に蛇巫女姧蛇羅が霊的防御の結界を張り守りを固めた。
そしてカカセオは、召喚主の真守と彼が召喚した修司の元に戻る。それと入れ替わるように、坂東武者縹が同じくアリサの召喚した摩利支天へと近づいた。
「摩利支菩薩様、その折にはわたくしの如き愚物に余るお慈悲を頂き……」
合掌して彼女を祈る縹。かつて鬼に乗っ取られた時、召喚された者の中でも先頭に立って己を助けてくれた彼女には神仏への崇敬とそれ以上に恩人としての感謝があった。
それに慈悲深く笑み、合掌を返す摩利支天。
「どうにも数が多い。数を頼もう。ノウマク・サマンダ・バザラダン・センダ・マカロシャダ・ソワタヤ・ウンタラタ・カンマン」
さらに長い真言を唱えると、再び五色の不動尊が現れた。さらには今度は天海自身もそれに並び、六つの強大な力が猟兵と召喚された者たちの前に並んだ。
「救いを騙る鬼にお似合いだ」
それを見て真っ先に動いたのはレヴァリス。南方最前に立つ赤の不動尊に駆け寄り、その眼前で大量の間宝剣を射撃。それの防御に相手が気を取られたところで剣を何度も居合切りして攻め立てる。
それに続いて摩利支天が多数持った武器を連続で青の不動尊に放って動きを止め、続いて縹も白の不動尊に切り込んでいく。
続けて武葉槌が黄の不動尊に力比べを挑むよう掴みかかれば、アリサはそれに呼応しその三体に攻めては引く、を繰り返す連携を取って複数回の攻撃を重ねていった。
そして真守の方では修司が鵺の魂を封じた黒漆の刀を抜き、霊符を取り出しカカセオと共に黒の不動尊に挑む。
「荷が重いね、当たりをひいちまった」
そしてそこには本体であり大ボスである天海の姿も。
修司とカカセオが何とか黒の不動尊を抑え込むが、そうなると最も強い天海が完全フリー。そうなれば天海は悠々と己の相手を見定められる。
「身の丈に合わぬ苦行は帰って何も得られぬ。釈迦が苦行の果てに悟った中道とはそれよ」
そうして見るのは真守。彼は戦列には加わらず、召喚の維持に専念していた。そこに向かって巨大な右の拳を振り上げる天海。
だがそこに、先端に刃の付いた十字型のブーメランが飛来して生き物のように動いて飛来。天海の拳を弾き、そのまま勢いを殺さず持ち主の元へ戻っていった。
その持ち主は、胸元や腹部を出した黒い革のチューブトップ、黒のジャケットにミニスカとオーバースカート、ブーツに変わり髪を纏め上げた高露出な女。
しかしその顔に、縹は見覚えがあった。
「麗那様……!」
摩利支天同様、召喚された者たちの先頭に立って縹を助けた存在。
駆け寄る縹の頭を麗那は撫でる。
「またお会いできるとは……」
「どちらも大事で迷っていた所を力ある存在の手助けにより心を二つに分けて此方に来た」
自分のあるべき場所に帰ったという彼女。そこに留まることと、この戦乱の世界に再び戻ること。そのどちらもを望んだゆえにその身を分けたのだと。
「そうですか。それでその、そちらの御召し物はその、そういう理由で……」
「いや……とりあえず同じことはこちらも言いたいぞ」
かつてはどこか古臭い学生服姿であった彼女だが、垢ぬけた、あるいは都会に染められたような格好となっている麗那。一方縹もその時は即身仏としての薄い法衣姿だったのが、今や胸と腰のパーツのみに豊満な体を詰め込んだだけの|高露出な鎧《和風ビキニアーマー》。
初対面のイメージと違う格好なのはお互い様として、改めて不動尊と天海たちと戦いを続ける。
「色々聞いた。だから」
「わかった。これから巫術を教える」
修司は麗那に技を伝授すると約束し、さらに戦う。
「構わない、あなたはそちらで」
アリサが白の不動尊の相手を引き継ぎ、縹は麗那と二人で天海に当たらせる。その一方、この場にいる何人かは奇妙な視線を感じていた。
「しかしこの戦場、何者かに観られている感じがしますね」
(しかしなんだ、この感覚は)
摩利支天とレヴァリスがそれぞれに感じる奇妙な視線。魂の底まで除かれるような感覚を気にしながらも、何とか不動尊たちを押し返していく。
そして、状況が動いた。
「一丁上がり、だ」
レヴァリスがついに黄の不動尊を切り倒した。だがそれと同時に猟兵の側にも異変が起こる。
「真守様!」
後ろで召喚に専念していた真守が、その場に倒れた。それを見て天海は険しい顔になる
「言うたであろう。過ぎた欲、分を弁えぬ力は己が身を亡ぼすと」
強力なものを召喚しすぎたか。慌てて摩利支天がそちらに駆け寄り、彼を回収する。
そしてそれと同時に、周囲に霧が立ち込めた。
その霧より片刃の大剣と槍を持ち六本足の大型の白馬に跨がった大柄な黒騎士の姿をした存在が現れる。
「教えておく。ヤヌスだ」
その存在を知るのか、修司がそれの名前を告げる。そしてヤヌスは修司と一度頷きあうと、馬を駆って駆け出した。
そのまま不動尊と天海たちの中を駆け抜け、すれ違いざまに剣を一閃。それから数秒の後、赤青白の三体の不動尊が両断され崩れ落ちた。
これが戦場で感じていた視線か。否、それは違う。
「気配が強まっていますね」
「この張り詰めた緊張感、なにものか」
摩利支天と姧蛇羅がまだそれは消えていないという。だが、結果的に大勢はこちらに傾いた。修司はヤヌスと頷きあうと、残る黒の不動尊に向き合う。
「こちらも加わりましょう。おやりなさい」
摩利支天は後方から弓を撃ち、縹に天海に向かうよう指示する。そしてそれと並ぶ麗那にレヴァリスも目を向ける。
「麗那……だったな」
「そうだが、何か?」
「……なんでもない」
その名を聞き知り合いを思い出すが胸にしまう。今はただ、目の前の羅刹を滅するのみ。
「限界を超える」
レヴァリスの霊力と魔力が限界を超えて溢れ出す。
「斬撃に踊れ!」
霞の構えをとり、そこから繰り出すのは剣の連続攻撃。それは嵐の如く荒々しく、それでいて舞のように優雅な乱撃。オーバーロードまで乗ったそれは天海の力をもってしても押し返せない勢いで相手を押し込んでいく。
そこに合わせるように、麗那と縹が攻め込む。
「盛者必衰!」
ブーメランを手に持って、滅多切りからの斬り上げ。そこに縹も薙刀での斬撃を加える。
そしてもう一度レヴァリスが、今度はとどめに『龍閃刃』に切り替えて刺し貫きそのまま相手を縦に両断する勢いで斬り上げた。
「果たして我は……衰えるほど、栄えられたかな……」
言うなれば元々敗者の集まり、そして羅刹同士の争いでも武蔵坂学園との同盟を余儀なくされその果てに内部からの裏切りによって崩壊した慈眼集。
「で、お前たちはどうする?」
戦いを見守っていた案内役のアンブレイカブルの二人に、レヴァリスは今後どうするか問いかける。
「別に天海大僧正に愛想が尽きたとかそういうことはないけど……」
武を至上とするアンブレイカブルがその問いにどう答えるか。
「麗那様……」
そしてそれぞれに様変わりした召喚された者たち。これらの運命が時を超えどこに行くのか。それはまだ分からなかった。
大成功
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夢ヶ枝・るこる
■方針
・『祭器』召喚継続
・アド/絡◎
■行動
なれば、その獄の門を開きましょう。
『FAS』により飛行、【獦矃】を発動し形成した『聖豊域』と『FPS』で僧正の行動を把握しまして。
【天海経】は強力ですが、直接的な効果は『近接範囲内』のみですので、縹さんの周囲を超強化と即時修復の付与された『FMS』のバリアで覆って『接近』を封じ、私自身は飛行と『FIS』の転移で近接範囲から離脱し続けますねぇ。
そして、僧正程の方なら『砲弾』等も『移動不能』にし防いでくる可能性が有ることも想定、『放射』に際しては『FDS』の[爆撃]と『FWS』の爆弾、『|FYS《新祭器》』のミサイルを主体に「空中で止められても、近距離での爆発でダメージを徹せる攻撃」を。
並行して『FRS』の[砲撃]と『FHS』の斬撃波を、其々『|FUS《新祭器》』で『FSS』『FBS』を増幅器化させ強化、『空間連結』で体内に送り込みますぅ。
『詠唱』が止まれば近接可能になりますので、縹さんの攻撃を願い併せますねぇ。
後は、縹さんが無事帰れると良いですが。
戦いの前、天海と縹は禅問答の如きやり取りを繰り広げた。その問いと答えは、出会った仏のどちらかは地獄に行かねばならぬというもの。
「なれば、その獄の門を開きましょう」
夢ヶ枝・るこる(豊饒の使徒・夢・f10980)はその答えを受け、さらにそこに己が力を添えんとした。
「そなたは神に仕えるものか。明治の一時期神と仏は分かたれたが、いずれも人が縋り、人を救うものであるというのは変わらぬ」
天海は異教への忌避感が薄いのか、『豊穣の女神の使徒』であるるこるもある種自分の同種であると見ているようだ。
それ自体は好ましいものなのかもしれないが、どうあれ相手はオブリビオン。戦うより他はない。
「大いなる豊饒の女神の使徒の名に於いて、冷厳なる狩人の瞳を此処に」
るこるは【豊乳女神の加護・獦矃】を発動、空中に浮き上がり相手の接近を拒否する。
「観自在菩薩行深般若波羅蜜多時」
天海はそれを追う代わりに、太い声で経を唱え始めた。るこるはそれに対し祭器を差し向けるが、それは全てある程度近づいたところで動きを止める。
天海の今日が放たれている間、彼の近接距離に入ったものは全て移動を止められる。彼の巨躯、そして威容に巨大な右腕を考えれば相当な距離が『近接』と見なされるのは想像に難くない。
まずは一旦縹に対し防御を布きつつ攻撃を仕掛けて様子を見るが、やはり長物程度で無理矢理突っ切れるような狭い範囲ではないようだ。
「照見五蘊皆空度一切苦厄」
そして天海自身は経を唱えているだけではない。口ではそれを諳んじ続けているが、普通に足は歩き、拳は振るわれる。当然それに合わせて『近接範囲』も移動するため、一度距離を離したとて安全ということは一切ない。
ならばとるこるは自分の周囲に射撃能力を持つ兵装を浮かべ、それに一斉射撃をかけさせる。だが放たれた砲弾は天海に近づいたところでその動きをやめ、空中に固定されたように止まってしまった。
「やはり、僧正程の方ともなれば相当なお力のようでぇ」
彼が元々戦争幹部級はある強大なダークネスであることは聞いている。それほどの力ならば近接に入ったものならほぼ何でも止められようと想定はしていたが、やはり何かを直接ぶつけるのは困難を極めるのは間違いない。
続けてるこるが差し向けるのは、爆弾、爆撃と言った兵器。だがもちろんそれも天海の拳が近づいた瞬間に動くのをやめてしまう。
「舎利子色不異空空不異色色即是空空即是色受」
そして巨大な拳が振るわれ空中で止まっている兵装を全て叩き落とした。だが実弾系はそのまま地に落ちるだけだが、爆発物であるものは当然それで爆発する。
一瞬の轟音と爆炎。その炎や衝撃も広がらずそこでとどまって消えるが、振り払った天海の拳には明確に焼け跡がついていた。
「想行識亦復如是……一度止めるべきか」
一瞬経を唱えるのをやめる天海。天海経はあらゆるものの移動を止めてしまうが、その存在そのものを消せるわけではない。爆発したものに手を入れればその手は焼けるし、移動を禁じられている分それは固まってその場に留まる。
やはりこちらの方が効果的だと爆発物に類するものを次々差し向けるるこる。だが天海はすぐに経を再開し、さらにはその状態のまま跳躍して拳をるこるに向けて振り下ろした。
とっさに短距離の瞬間移動でそれを躱すが、天海の拳は巨大。転移した先でも体が一瞬硬直し、痺れるような感覚が体を襲った。
「なるほど、では……」
効果的な手を見つけたからと言ってそれで安心とはいかない。ならば追加と、るこるは新たに用意した兵装『FYS』のミサイルを天海に向けて発射した。
当然それも天海の近接に入った時移動は止まる。そして天海は、それを殴らずその上に飛び乗ってしまった。
「舎利子是諸法空相……これも爆発するものと見るは必定……不生不滅不垢不浄不増不減」
一瞬の息継ぎの間に言った通りに、天海はミサイルの正体を分かっている。確かに彼は戦国から江戸期の人物ではあるが、その時代から平成まで続けて生きて世の戦乱を見守ってきたのである。ミサイルの存在も知っていて当然だ。
もちろんるこるもそれは承知の上。ミサイルの巨大さを活かし、天海の近接から外れる先端部分に先に落ちていた兵装をそのまま叩きつけた。
その衝撃でミサイルが起爆、天海を足元から炎に包む。
「これを至近では受けたくはないな……足元より炎起きることの恐ろしさは我が誰より知っている」
天海は後方に飛び、その炎から逃れた。そして炎を散らすため、また経を唱えるのをやめる。
その一瞬、るこるはまた別の兵装を天海へ差し向けた。
それは『FSS』と『FBS』、いずれも実体型の兵装であり、天海に近づけば止められてしまうもの。しかし新たな装備『FUS』で他の祭器の力を増す増幅器に変え、砲撃と斬撃を飛ばす別の祭器の効果を増す。そしてそれらの攻撃は、ユーベルコードの効果で空間を飛ばし天海自身の体内にある空間……呼吸で膨らむ『肺』の中へと直接転移させた。
「是故空中。無色無受想行識……がはっ!?」
視認も出来ず広くもないそこに精密に攻撃を通せたのは、やはり猟兵の秘奥たるオーバーロードの賜物か。呼吸器官をやられては経を唱えることが発動条件であるユーベルコードを持続するのは難しい。さらに天海の巨大な拳には火傷の跡があり、元々ダメージを受けている相手への効果の倍加を促す。
常人なら致命傷だ蝋それでも、上級のダークネスでありオブリビオンである天海を仕留めるにはまだ足りない。そしてこれで相手を止めておける時間も、そこまで悠長にしていられるようなものでもないのは想像がつく。
「縹さん、参りましょうかぁ」
「はい!」
縹の防御を解き、天海へと向かわせる。その手には彼女が必殺の時にのみ振るう大木槌が。
「天海大僧正、わたくしもいずれはそちらへ参ります。それまでしばし!」
木槌が近接距離で叩きつけられ、天海の強靭な体を折り曲げる。至近でしか使えないが当たったもの全てを破壊する破戒の技【灰燼拳】……もとい【灰燼槌】が仏によって振るわれた。
そしてその壊れた体に、今度は実体を持つものまで含めた兵装がありったけ叩き込まれる。それは天海の逞しい体を貫き、ついにその体に致命の傷を負わせた。
「仏よ……残念ながらそれは叶うまい。我らは二度と交わってはならぬ」
そう言って天海は大きさの違う両手で歪な合掌をする。サイキックハーツのダークネスとアヤカシエンパイアの坂東武者、本来ならば互いの存在すら知らぬままであるはずのものたち。あるいはそれ以上に、村のために戦う彼女が自分と同じ|地獄《骸の海》に来るなど許されていいはずもないという慈眼か。
「女狐も逝ったか。戻られよ、そなたの村は既に救われていることであろう」
天海が感じ取っているのはブレイズゲートの崩壊。それは己と、もう一つの|要《ボス》が崩れたことの証。
「ええ。後は、縹さんが無事帰れると良いですが」
「ただ来た道を戻ればよい。灼滅者たちもそうしていた。無暗に奥に行く物好きもいたようだが、今それは関係ない」
かつてはその気になれば無限に奥へと行けたブレイズゲート。だが、今この場にそれを望む者は誰もいないだろう。
「神も、仏も、灼滅者さえも凌ぐものたちよ。願わくば、そなたらこそが闇を救う慈眼を持たれんことを」
そう言って天海は合掌し立ったままその慈眼を閉じ、闇に溶けるように消えた。
そしてブレイズゲートの崩壊が始まる。救う必要があるダークネスを避難させる猟兵と別れ、縹は深く一礼をしてから元来た井戸の入口へと走りそこを上り始めた。
そこに、巨大な褐色の肉塊が上から降りて来る。縹は一旦下に降り、自分と並んでしまえば確実に井戸が詰まるそれが降り切るまで待つ。
「あー……なるほど、あなた。大丈夫、皆さん無事ですよ。早く帰って顔を見せてあげてください。心配してますよ、『姫』さんのこと」
「ありがとうございます。では不躾ですがもう一つお頼み申します。どうかこの先にいる善き妖だけでもここからお連れ下さらないでしょうか……貴女に慈眼があるならば」
それはこの井戸に入った時であった仮面の女。だが今度は逃げず、あの高僧の最後の願いと想像したものを代弁した。
女がそれを受諾するような仕草を取ったのを見て、縹は井戸を上る。そして外に出ると、そこには配下である女武者たちが集まっていた。
「お帰りなさいませ、縹様!」
女武者たちはそれぞれに縹に縋りつき、あるいは膝をついて縹を迎える。それに対し縹は合掌を返し、たった今自分が出て来た井戸を振り返る。そこにはもう白き炎はなく、ただ水をたたえた深い井戸があるだけであった。
「縹様、中では一体何が……」
「長き話となります。戻ってから話しましょう。そして村でも何があったかを聞かせてください」
村の方でも何かがあっただろうことは天海大僧正やあの女の言葉から想像がつく。縹は井戸に向かって一度手を合わせ黙祷し、救われたばかりの平安の村へと戻るのであった。
大成功
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